平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会六月定例会会議録 第 四 号
 
 七月 四日 (水曜日) 午前 十時 六分 開議
  午後 一時四十五分 散会
 ────────────────────
議 事 日 程 第四号
  平成二年七月四日(水曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
 ────────────────────
本日の会議に付した事件
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
 ────────────────────
出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
 ────────────────────
欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
 ────────────────────
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
 ────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ────────────────────
 午前十時六分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から監査結果の報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に従いまして、質問をいたします。
 最初に、登校拒否問題についてお伺いをいたします。
 まず、登校拒否とは何か、このことについて改めて考えてみたいと思うわけであります。
 和歌山県教育会館内にある和歌山県教育相談センターと和歌山県国民教育研究所が共同して昨年七月に発行をいたしました、「学校へ行きたくない子はいない」という登校拒否を克服するための手引書から紹介をしてみたいと思います。
 「登校拒否」とは、一口に言えば、いじめや暴力、嫌がらせや仲間外れ、さまざまなトラブル、家庭の事情など、いろいろな理由で人間関係がうまくいかなくなり、本人が「学校へ行かなければならない」「行きたい」と思っているのに、行く力を失い、行けないで苦しんでいる、そして助けを求めて家庭へ逃げ帰ってきた、この状態を登校拒否と考えている、このように述べております。
 登校拒否の前兆、すなわち兆しの段階では、毎日学校へ登校し、それほど目立つこともなく学校生活を送っておりますが、家庭では平素と比べると変化が見え始めている。夜はいつもと変わらないけれども、朝、学校へ行くまでの間に次のような状況が見られるようになります。
 朝起きるとき、気分が重そうで起きづらくなる。起きてからも、不機嫌で怒りっぽくなる。洗顔、歯みがき、食事など、ぐずぐずする。いつもより便所に入っている時間が長い。元気がなく、学校へは何となく行き渋る。それでも休まないで毎日登校するし、先生に尋ねると学校ではいつもと変わりがないということで、親もそう気にとめないことが多いわけでありますけれども、子供は既に苦しみ始めている、このように言われております。
 これがだんだん進行してくると、今度は「学校へ行きたくない」「休みたい」「頭が痛い」「腹が痛い」「吐き気がする」などと言って行き渋る。この段階では、親が学校へ行くように励ましたり、あるいは厳しく迫ると気を取り直して学校へ行く。はた目にも怠け者、あるいはずるを構えておるというように思われます。しかし、この段階で子供は苦しさが進行しているのであります。
 こうして無理をしていると、「頭が痛い」「腹が痛い」と言って、そばから励ましても聞き入れなくなる。一日休んで十日くらい登校をするような状態になる。また、休むということが決まると今まで出ていた熱が下がるというような状態とか、またそれがさらに進行していきますと、一日休んで二日くらい登校する、二日休んで一日登校するなどという断続的な不登校を繰り返すようになります。やがて力尽きて、連続して休むことになります。
 このように見てみると、登校拒否は前兆の段階で気をつけてやれば発現を防ぐことができるし、初期の段階で親や学校が回復のための正しい取り組みをしてやれば、比較的早く力を取り戻し回復できる、このように言われております。
 登校拒否の前兆者は一学級に数名はいるのではないかとも言われております。また、登校拒否はこの前兆を含めて全校生徒の二〇%近くにもなるのではないかというような見方もあります。しかし、連続不登校に入ってからも学校へ行くように迫ることを続けますと、一層ひどくなって、家庭での暴力、食事もとらずに部屋に閉じこもり、夜こっそり起きて食事をする、もっと追い込むと自殺にもなりかねない、このように述べております。
 貴重な実践の上でつくられた今紹介してまいりました手引書は、既に九千人の親に活用されていると聞きましたが、それほど、親にとってこの登校拒否の問題は切実な問題となっているのであります。
 また、私は先日、教育研修センターで教育相談主事の方にお会いをし、この方の「教師へのコンサルテーションの試み」という論文を読ませていただきましたが、この中で登校拒否に対する八つの留意点がまとめられてありました。
 それは、「『なぜか?』と子供に聞くのではなく、チームで追求し続けること」「マイナスの批評や評価はしないこと」「悪者や犯人をつくらないこと」「『たった一人の子供のために』と思わないこと」「直そうと焦らないこと」「無条件性の強い人間関係を創造すること」「会うために会うこと」「教師自身の心境、経験、イマジネーションを引き出すこと」、このように指摘をしております。
 前段が若干長くなりましたけれども、以下、具体的課題を提起して、教育長からの積極的な答弁をいただくことを切望いたします。
 一九八九年版「青少年白書」によりますと、登校拒否児童生徒数の推移が明らかにされております。昭和五十年の登校拒否は、中学生七千七百四人、小学生二千八百三十人の計一万五百三十四人。これが昭和六十年になりますと、中学生でその三・六倍の二万七千九百二十六人、小学生では一・四倍の四千七十一人。昭和六十三年には、同じく昭和五十年対比で、中学生は四・七倍の三万六千百人、小学生は二・二倍の六千二百八十五人へと激増をしております。総数で見ますと、昭和六十年は三万一千九百九十七人で、昭和五十年の三・〇倍、六十三年は同じく四・〇六倍にもなっております。
 和歌山県教育相談センターでは、昨年からことしにかけて百二十四件、高教組の教育相談センターで十五件の相談があったと言われております。なお、病院その他への相談を含めると相当な数に上るものと見られます。
 そこで、第一に、教育研修センターにおける相談件数とその内容について、また、県教委ではスーパービジョン方式による教育相談の推進が行われていると聞いておりますが、いつごろから実施され、どのような成果を上げているのかという点であります。
 一方、センターには教育相談主事一名、アルバイト一名、また紀南教育研修所には指導主事一名の配置と聞いております。ふえ続けている登校拒否の現状から考えると、専門的な人員の増員が何としても緊急課題ではないかと考えます。
 第二に、私の承知している県下の登校拒否にかかわる相談センターは、和教組、高教組の教育相談センターと、和教組関係では、現在、有田、日高を除く全郡市に相談センターを設置しております。また、登校拒否を考える親の会が約二百人でつくられておりまして、それに和歌山大学の学生三十数名による研究サークル、いわゆる「プラットホーム」というのがあります。
 県の教育研修センターと、その関係する教職員も多数おられると考えております。私は、こうした関係者が集まって、各種の行事や研究など、経験を交流し、また協力、共同の取り組みや支援活動に取り組むことは大変重要な意義があると考えるわけであります。
 第三に、教育委員会として、自由学級的な取り組みやそのための施設の開放など、他府県や県内で取り組み成果を上げている、そうした教訓を生かすことも大切と考えます。あわせて、キャンプなどの計画も必要ではないかと考えるわけであります。
 第四に、県教育研修センターの改築についてであります。これは県議会文教委員会でも重要課題として論議されてまいっております。また、県総合教育センター──これは仮称でありますけれども──の建設検討委員会がつくられておるところでもあります。今日、美術館あるいはまた図書館建設が重点となっておりますけれども、念願の研修センターの改築も、引き続き積極的に取り組まるべきであると考えるわけであります。
 最後に、登校拒否の要因についてであります。要因にはいろいろなことが重なっていると考えられますけれども、その直接のきっかけとなるのは、学校とのかかわりが多くを占めているのではないかと思います。
 先ほど、昭和五十年と六十年、六十三年の登校拒否の小・中学生の推移を挙げましたが、一九六〇年代、高度経済成長の時代から登校拒否が加速度的にふえてきております。その背景には、高度成長時代以降の学校や地域における子供たちの生活、あるいは教育の変化があることは否めない事実だと思います。
 教育の面では、中教審答申、学習指導要領の改訂などによって、管理体制の強化と校則の押しつけなど管理主義教育が強化をされる。テストの結果によって「偉い子」「だめな子」というように分けられて、この中でいじめ、嫌がらせなどが行われる。学校自体が選別をされ、「いい学校」ヘ行くことを求めて子供の自発性が押しつぶされる。家庭では、親が職場で長時間労働や低賃金、夫婦共稼ぎの中で起こってきた家庭不和や崩壊、こうした今日の教育のあり方や生活が登校拒否を生み出す要因の大きな一つになっていると思うのであります。
 以上、五点にわたりまして教育長からお答えをいただきたいと存じます。
 第二に、紀の川大堰と有本揚排水場、すなわち有本ポンプ場の問題についてお尋ねをいたします。
 まず、紀の川大堰についてであります。
 昭和六十二年十二月の定例県議会に提出をされた紀の川大堰の建設に関する基本計画の作成についての議案に対し、我が党県議団は、次の問題点が明らかにされていないとして反対の立場を表明いたしました。
 それは、根本的には、大堰建設により影響を受ける住民との合意が得られていないことでありました。同時に、当初からの基本計画による治水事業にかかわる大堰の建設に当たって大阪府がダム使用権を設定するなどという、本県と県民にとりましても極めて重大な問題があったこと、また、紀の川大堰から大阪に分水するということ、大阪のダム使用権の設定ということになった建設省、大阪府、和歌山県の話し合いの結果なるものが県民を納得させるような県益保障の見通しがなかったこと、さらに、紀の川大堰にかかわる調査が昭和五十三年度から進められていましたが、九年たった時点、しかも重大な議決をする当議会に至ってもなお環境影響調査が建設省から提出されておらなかったこと、加えて、大阪分水に対する県民の合意について公聴会が一度も開かれていないこと、これらの理由によるものでありました。同時に、同十二月の和歌山市議会総務委員会での県知事に対する七項目の条件についてもただしてまいったわけでございます。
 以上の問題点とその後の一年半にわたる経過を踏まえながら、質問をいたしたいと存じます。
 まず初めに、井戸の調査の未公表問題であります。
 建設省は既に昭和五十八年度、今から七年前に、四箇郷地区約三百九十戸に対し、井戸の使用目的等のアンケート調査を行っております。この結果がいまだに公表をされていないということであります。
 住民の中では、去る二月、和歌山市小豆島中洲地区で、昨年十一月から建設省が進めている紀の川護岸工事の影響で約二十戸の農家の飲料水あるいは農業用井戸の水がかれ、ビニールハウスで栽培していたカーネーションが枯れるなどの被害が出たことなどから、さらにこれよりも大規模な大堰建設ではどのような被害を受けるかなど、不安が増大をしております。まず、この点、土木部長から具体的かつ明確な答弁をお願いいたします。
 続いて、工事の計画と進捗状況についてお伺いをいたします。
 新聞報道によりますと、本年度、大堰の右岸堰本体からの着手が、地元調整のおくれから完成が大幅にずれ込むという見方がされておるようであります。本年度、建設省は紀の川大堰に二十二億円の予算化を行いましたが、工事の開始によって、資材や土砂の搬出入を初め、騒音・粉じん被害、あるいは飲料水や農業用水への被害が推測されるわけであります。土木部長から、工事計画とその進捗状況について、できるだけ詳しくお答えをいただきたいと思います。
 続いて、和歌山市の上水道、工水道の取水口についてお尋ねをいたします。
 六十二年十二月定例県議会で私は、大堰の完成によって渇水期の水面位置が現在の新六箇井堰より約一メートル下がり、その結果、五カ所の取水口のうち三カ所が取水不能になって、新しい取水口の取りつけやそれに対応する浄水場設置に約四百億円近くかかり、これが市民の水道料の値上げにはね返るのではないかということで質問をいたしました。
 当時、企画部長は、事業実施に伴う取水口等の変更については、現機能の維持を含めた工事は建設省が対応し、既に市の水道局との協議調整が進められていると答えられております。この取水口問題はその後どのように決着を見たのか、土木部長からお答えをいただきたいと思います。
 また、大堰建設に伴う新六箇井堰の撤去などにより、JRの鉄橋のかけかえなどが必要となるのではないかと見られます。あわせて、六十谷橋などへの影響はないのかどうか、住民からのいろいろな不安も出ておりますので、あわせて土木部長からお答えを願います。
 次に、大阪への分水問題についてであります。
 毎秒四トンを上限に当面三トン送水の方向が出されておりますが、毎秒四トンと言えば、その一日量は四十万和歌山市民の上水道の量と同じであります。この導水管は大堰の上流に敷設されると言われておりますが、その工事計画などについて企画部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、有本ポンプ場の問題についてお尋ねをいたします。
 昨年九月、和歌山市・紀北地区を中心とした集中豪雨によって増水した川に帰宅途中の小学生が落ち込み、痛ましい犠牲になりました。また、浸水や冠水などによって膨大な被害を受けたのであります。
 建設省近畿地建和歌山工事事務所が一九八一年に発行した有本揚排水機場のパンフレットによりますと、既設の宇治ポンプ場の老朽化に伴い、内川の浄化事業を見直して、最も効果のある改築計画として紀の川の左岸五・六キロ付近へ移し、紀の川から有本川、大門川へそれぞれ浄化用水を導入する計画と、さらに、このポンプ場の設置により、浸水に悩まされている有本地区の排水を兼ねさせて、和歌川水系の治水対策としても万全を期すよう計画をしているとしています。
 このポンプ場設置は、長年にわたって浸水に悩んできた地域の住民にとっては大きな期待がかけられているだけに、その完成期日、工事内容に大きな関心が寄せられております。
 そこで、土木部長にお伺いをします。
 現在、樋門の工事が進行しておりますが、揚排水機の本体工事の完成のめどと機能についてお聞かせいただきたいのであります。聞くところによりますと、揚水いわゆる浄化対策については、有本川へ毎秒三立方メートル、大門川へ毎秒十・五立方メートルの合計十三・五立方メートル計画が今度は毎秒八立方メートルに、一方、排水すなわち浸水対策も当初の毎秒十立方メートルが縮小されるやに伺っておりますが、事実かどうか。事実とすればその根拠についてお示しいただきたいのであります。あわせて、排水機能はどの範囲まで及ぶのか、また浸水対策の効果についてもお聞かせください。
 最後に、排水路計画と安全性などについては周辺の住民や関係者との十分な合意が図られなければならないと考えます。形式的な合意であってはならないことを申し述べ、答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、紀の川大堰に関する御質問でございます。
 井戸問題については、地元関係者が心配されているところであり、四箇郷地区の約三百九十戸の井戸調査結果の公表については、地元自治会等と十分調整を図っていくと聞いております。
 工事の内容でございますが、建設省の計画では、平成二年度は水理水文調査、測量等、諸調査の継続調査を行い、低水護岸、工事用道路、堰本体の一部に着工する予定であり、平成四年度の完成を目指して努力していくと聞いております。
 また、資材搬入等の工事用道路については、交通停滞を起こさないように堤外の高水敷を利用する計画であり、工事公害等の問題についても十分配慮してまいるとのことであります。
 また、和歌山市の取水口対策については、和歌山市水道局と協議を行っておりますが、具体的な方法については今後さらに調整し、対応していくと聞いております。
 JRの橋梁については、新六箇井堰の撤去により河床を掘削することとなるため、建設省では平成二年度にJRと協議調整を行うこととしております。
 なお、六十谷橋については、橋脚に影響がないので大堰による橋のかけかえは考えておりません。
 今後、県としても、和歌山市とともに建設省に協力して、地元周辺自治会、内水面漁業関係者等に御理解と御協力をいただき、早期に完成されるようさらに努めてまいる所存であります。
 次に、有本ポンプ場について、建設省は昭和五十四年度に事業着手し、現在施工中でありますが、昭和六十三年に和歌山市が公共下水道の区域変更を行い、有本川の周辺と大門川周辺の一部が下水道区域に編入されたことから、流入負荷量が軽減されること等を勘案して計画を見直し、浄化揚水量毎秒八立方メートルについて現在検証中であります。また排水計画については、有本川流域二・一平方キロメートルのうち、ポンプ場周辺から上流約一・六平方キロメートルについて、自然排水及びポンプ排水をする計画となっております。
 能力については、浸水被害の状況、投資効果等を検討し、排水区域内の水路改修を含め、計画の見直しを行っているところと聞いております。
 また排水路計画については、有本川及び支川を改修し、疎通の増加を図る必要があり、安全対策についても周辺住民と十分協議しながら進めてまいるとのことであります。
 建設省では、今後、関係機関及び地元と協議調整を進め、平成七年度を目標に一部供用すべく鋭意努力しているところでありまして、県としても円滑な事業執行が図られるよう積極的に働きかけてまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀の川大堰に関連しての導水管工事計画についてお答えを申し上げます。
 導水管の敷地については、紀の川利水協定に基づき、可能な範囲で道路として一般の用に供することとなってございます。
 導水管ルートの決定に当たっては、道路としての利便性を十分考慮し、地域の発展につながることを念頭に置き、大阪府を初め関係機関と協議を進めているところでございます。
 なお、大阪府上水道事業第七次拡張計画では、紀の川大堰から取水し、阪南浄水場へ結ぶ計画となってございまして、現在、大阪府において導水の工法等が検討されているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 登校拒否についての五項目の御質問に対してお答えを申し上げたいと思います。
 平成元年度の相談件数は全部で百九十八件でございまして、そのうち百二十七件が登校拒否、そして七十一件が拒食・過食、対人恐怖等でございます。
 登校拒否の要因としては、御指摘のとおり、家庭や学校、さらに社会の問題が複雑に絡んでいるところでございます。こうしたことから、各学校においては、日ごろから教職員と児童生徒、そしてまた児童生徒相互の心の触れ合いを深め、一人一人を生かす学校づくりが肝要でございます。このため、登校拒否児童生徒への対応についても、学校が主体的にかかわっていくことが大切であると考えてございます。本県においては、昭和五十九年から、全国に先駆けて教員に専門的な指導助言を行うスーパーバイズ方式を採用し、成果を上げてきたところでもございます。
 教育相談主事の増員については、スーパーバイザーは、技量、識見について高い専門性を備えることが必要であるため、今後、人材の育成を含め、研究課題としてまいりたいと考えてございます。
 教育相談関係者との連携については、関係者がお互いに専門性を高めるため、連携を深めることは大切でございまして、現在も県教育委員会の教育相談主事に指導助言が求められているところでもございます。
 また、キャンプや適応指導教室等の問題については、文部省が本年度から登校拒否児童の適応指導教室実践研究を始めたところでもございまして、この成果を参考にしながら、学校施設等の利用を含め、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、教育研修センターの改築についての御質問でございますが、昭和三十九年に設置をした教育研修センターは、時代の進展に対応するためには、規模、設備とも十分とは言いがたい状況にもございます。
 教育委員会としては、調査研究機能、相談機能などを持つ総合教育センターの建設を重点課題の一つとして位置づけ、庁内にプロジェクトチームを設置して、用地の問題も含め、その基本的なあり方について種々検討を進めているところでございまして、早期にまとめるよう努力をしてまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 お答えをいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず土木部長でありますけれども、井戸調査の公表の問題について、軒数は三百九十戸ということでしたが、実際に調査をされたのは約千三百カ所ぐらいあったようであります。そのようなアンケート調査を五十八年からやっていた。そして、前回の答弁にもありましたけれども、例えばそのような千三百カ所の井戸調査の公表がされずに、一方では、建設省が十六カ所でやった調査だけを連合自治会に報告し、説明しているというような状況であります。
 このような状況ですから、その地域の住民の不安が去らないんです。建設省がみずから行ったアンケートでしょう。そのみずから行ったアンケートを住民に知らせない。これは建設省の常識かもわかりませんが、いわゆる世間一般の常識ではないんです。調査をやったものを報告するという当然のことがやられていない。ここに今日の問題があると思います。だから、地区との話し合いがなかなか進まない。これは、私はそこに要因があると思うわけであります。
 これは四箇郷という連合自治会の出している新聞でありますけれども、ここに六十二年度に調査をした地下水利用の数値が出ております。それによりますと、「生活用井戸」「アパート及びマンション用井戸」「農井戸」「工業及び商業井戸」「その他」となっておりますが、この中で「生活用井戸」が「アパート及びマンション用井戸」を加えて約二千を超えております。それで、合計が二千百九十カ所。
 結局、建設省がやった調査が発表されないから、再度また自治会が独自にこういう調査をやらなければならないという状態なのであります。ですから、私は、このような事業が進まないのは、今申し上げましたように、住民の側にあるのではなくて、住民の不安や疑問にこたえていない行政の側にあることを銘記すべきであると思うわけであります。
 そこで、再度土木部長にお尋ねをいたしますが、建設省が行った調査はあくまで公表されないのかどうか、この点についてひとつお答えをいただきたい。再度答弁をお願い申し上げます。
 それから、もう一つ。これは調査の過程で自治会の農家の方から出されたんですが、例えば、一つの自治会があって、その地域に井戸を持っている人がほかの自治会に住んでいるといった場合、その人の井戸は調査の対象にならない。あくまでもそこに住んでいる人の井戸だけが調査をされるわけですから、相当抜けておるというような問題もあります。これは、参考までに申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、要望でありますけれども、有本ポンプ場の問題であります。
 これについては今土木部長から答弁をいただきましたが、今のところは樋門工事でありまして、住宅地域とは大分離れているんです。ところが、本体工事に入りますと、今度はあのお宮さんの裏、住宅まで非常に近いわけなんです。ですから、当然、振動あるいは騒音といった対策に万全を期するよう建設省に要望していただきたい。建設省交渉に当たる県当局の担当の皆さん方は大変だろうと思うんですけれども、ひとつこの点は住民の立場に立って、ぜひともこれらの実現ができるように取り組みを進めていただきたい、このように思います。
 教育長から答弁をいただきました。それについて、二、三点、再質問と要望を申し上げたいと思います。
 まず、教育長が申しておられましたし、私も先ほど紹介いたしましたように、今、こういった登校拒否の問題では、登校拒否を考える親の会というのがあります。また、県の教育相談センターがあります。和大の学生サークルに「プラットホーム」というのがあります。
 これらの三者が共同して、一年に一回、三泊四日のキャンプ──これはことしで二回目だそうでありますが、今度は美里町の国吉小学校で七月二十七日から三十日の四日間にわたってキャンプが行われます。これは全部、父母の自費であります。一万三千円。これでもって楽しいキャンプというのが行われる。
 これについて、次のように紹介をしております。「このキャンプは昨年の七月末にも実施いたしました。その結果、参加した子どもの六〇%が二学期から再登校をはじめました。三学期からは二〇%の子どもが、そして残りの二〇%の子どもは新しい学年から学校へいける(一部不安定登校を含む)ようになりました。 家族と遠く離れた地のみどりの山と静かな川の流れにかこまれて、自分の未来の姿をみる学生達に導かれ、見知らぬ友達と起居、食事、行動を共にするこの夏のキャンプは、子ども達の心をひらかせ、回復をはやめることに大変役だったということで、今年も和歌山大学の学生たちと協同して取り組むことになりました」、このように言っております。
 いろいろなケースはあると思いますけれども──同時にまた、この三者の共同の行事としては、二カ月に一回の一日行事が行われております。親と学生サークルと本人で、約百人近くが集まっています。もう一つは「プランタン」といって、週一日ないし二日、田辺では二日やっているそうでありますけれども、自由学校といって、自由に勉強し、話し合い、散歩をする、このようなことが行われているというように聞いております。
 この一日行事に二回以上参加をした子供たちで六〇%が、自由学校に来た子の八〇%が回復をしておる、そういう方向にあるということが出されております。
 先ほども申しましたように、いろいろなケースがあるとは思いますけれども、私はこのような問題というのは、今、教育長もことしから文部省がキャンプを行うと言っておられましたけれども、当然、教育委員会、教育に携わる行政が行っていくべきだと思います。和歌山ではこういった経験がつくられておるわけでありますから、ぜひこういったいろいろな経験を学びながら、できるだけ早くこの和歌山でも進めていただくように、これは要望を申し上げたいと思います。
 それから、専門家の人員の問題であります。
 確かに、予算問題とか人の問題とか、いろいろあると思いますが、私は、この登校拒否児に対する問題が今日の教育問題の非常に重要な内容であるということをもう一度改めて自覚をいただきまして、ひとつこの点については積極的な対処を教育長にお願いをしたい、このように思います。
 そこで、もう一つ、これは答弁をいただきたいわけでありますけれども、登校拒否を考える親の会については、聞くところによりますと、たしか今まで一回、交流というか懇談会が持たれたようであります。ぜひこういった親の切実な気持ち、そのような願いを十分に聞いてこれを生かしていただきたい、このように思います。
 もう一つ、要望でありますけれども、こうした不登校児のために行われるいろいろな行事については、できるだけ学校施設の開放などについてもぜひ強めていただきたい。この点、要望いたしまして、土木部長に一つ、教育長に一つ、それぞれ答弁をお願いいたしたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 井戸調査結果の公表については、建設省では地元の方々の意向を十分お聞きし、対応していくと聞いておりますが、重ねて要請してまいります。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 登校拒否児童生徒を考える親の会についての御質問でございました。
 このことについては、昨年の七月に県教委の担当者も出席させていただいて御要望をいただいたところでありますが、今後も、父母の悩み、要望等をお聞かせいただきまして、それを教育相談の中で十分活用してまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 土木部長から再度答弁をいただきました。建設省も住民の意向が特にあれば公表していくという方向をとっているようであります。これは私、今までよりも一歩前進したと思いますので、そういった住民合意の立場、住民の切実な要望、不安に対してこたえていくように、この点ぜひひとつ積極的な対応をお願いして、質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従いまして、質問をいたします。
 まず、和歌山県の森林・林業の将来展望とその対策についてであります。
 森林・林業を取り巻く現状認識とその対策について。
 最近、新聞、テレビ、ラジオ、その他マスコミで森林問題が大きく取り上げられている。アマゾン流域の熱帯雨林、東南アジアの熱帯雨林、その他、日本のODA絡みの森林の伐採についても、地球環境問題としてとらえられている。そのようなことを見聞きするとき、数年前、ある山林家に連れてもらって山林の実態を見学に行ったことを思い出します。
 山に行って驚いたのは、手入れの行き届いた山林、間伐、枝打ち、下刈りがよくできている山林は非常にすばらしく、その林相の立派なことに魅せられた。しかし一方、手入れの行き届いていない山林は、同じ樹齢であっても、枝は伸びほうだいで、同じ森林資源であってもその価値は天と地との差があろうと思った。
 その山林家の山荘に着いて、記録簿に何か書き残すように言われたので、「造林を見て人生を考える」と書いた。努力精進をする人生、努力精進をしない人生との間に大きな差ができるのは自明の理であるが、造林についてもそのことがはっきりと実感された。
 手入れの行き届いたすばらしい山林は今も手入れが行き届いていてますます立派な林相になっているのか、手入れの行き届いていなかった山林は今もそのままか、それとも、それ以後下刈りも枝打ちも間伐もしてすばらしい林相をしているのか、そのままの状態であるのか、整備された林道、整備されていない林道はそのままなのかと思いながら、和歌山県の林業について知事に質問をいたしたいと思います。
 県土の七七%は森林で、そのうち九五%は民有林であり、間伐を必要とする幼若齢林は全体の六九%であり、生産性の高い林業経営をするためには、適切な間伐、下刈り、枝打ち作業を実行しなければならない。民有林林道の総延長は、平成元年四月一日現在で七百六十六路線、一千六百五十一キロメーター、うち自動車道一千百三十八キロメーターで、林道密度は一ヘクタール三・三メーターであります。
 木材価格は昭和五十六年から低下、昭和六十二年に一時的に急騰したが、六十三年からやや下降ぎみである。切り出し労賃単価の上昇は著しく、五十年と六十二年とを比較すると一・六倍になっており、山元立木価格の下落はまた著しく、昭和五十年と六十二年の比較は〇・六九倍になっている。六十年における林業就労者数は三千十九人であり、昭和三十五年に比較して七七%の大幅な減少を示している。また、平成二年、県森林組合の調査によれば一千九百八十一人となっておりまして、二十九歳以下の就業者は全体の一・五%で、予想以上の高齢化になっている現状であります。
 県内の山林は、昭和三十年代の造林ブームのときに植えた杉、ヒノキの三万九千八百ヘクタールが約十年後に伐採に適した樹齢に達する。商品価値を高めるために伐採期をおくらせる傾向はあるにしても、十年後には伐採可能な面積は現在の倍以上に広がることになる。
 以上の本県の森林・林業の現状を仮谷知事はどのように認識し、「木の国和歌山」と言われている森林・林業の活性化を図るためにどのような対策をとられるか、お尋ねいたしたいと思います。
 二番目に、経済活動から見た林業対策についてであります。
 県下の民有人工林面積は二十万八千九百五十七ヘクタールで、その蓄積は四千九百十六万六千立方メーターであり、全国的に見ても優位にあります。しかし、三から七齢級の間伐を必要とする幼若齢林が全体の六九%を占め、生産性の高い林業経営を行うためには、適切な下刈り、枝打ち、間伐作業を実行しなければなりません。戦後、活発に行われた人工造林は、昭和三十年の一万二千百六十七ヘクタールをピークに減少を続け、昭和六十三年には八百八十九ヘクタールになっておるのであります。
 地形が急峻な割に林道密度は一ヘクタール当たり三・三メーターと、佐賀県の九・六ヘクタールの約三分の一であり、効率的な林業経営をするためには、林道の整備を急いでしなければならないわけであります。
 製材工場も年々減少の傾向を示しております。昭和六十三年の木材供給は、県産材一九%、三十二万八千立米、外材八一%、百四十三万五千立米となっており、その輸入外材の九〇%は北米材であります。和歌山市、田辺市、御坊市の外材工場が輸入しているアメリカ合衆国のワシントン、オレゴン州有林が、マダラフクロウの保護に関係して州有林、私有林の大幅な伐採規制が行われ、その輸入も円滑にできなくなる心配も出てきているのであります。
 県下の人工林の平均的樹齢は三十年前後となっており、杉については五年後、ヒノキについては十年後に伐採可能な森林が多くなってくる。このような情勢の中で、本県の森林・林業、木材産業を活性化するためにどのような施策を展開していくのか、安田農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、生活環境資源としての森林対策であります。
 森林の機能は、皆さん御存じのとおり、木材生産、県土の保全、水資源の涵養、生活環境の保全形成等、多面的機能を有し、県民生活に大きく貢献しているのであります。
 今、国際的な課題として地球環境問題が取り上げられております。炭酸ガスの発生が大気圏のオゾン層を破壊して地球を温暖化する問題、熱帯林を過剰に伐採することによる地球環境悪化の問題を解決し生活環境をよくすることが、日本を初めとする先進国の大きな義務となっているのであります。
 人間が生きていくのに一番大切なものは、水と空気であります。森林には、水資源の涵養機能とか、酸素を供給し炭酸ガスを吸収して大気を清浄化する機能、国土の保全機能、森林浴による心身の安定、健康に対して大きな効果があり、人間が生きていく上で不可欠のものとなっておるのであります。
 このような効果を日本の森林で推計すると、年間の評価額は二十五兆円に上り、和歌山県の森林評価は五千七百四十五億円になると言われております。物の豊かさから心の豊かさを求める時代になった今日、森林は私たち人間生活を守る大切な生活環境資源となってきた。
 そこで、安田農林水産部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 生活環境資源としての森林と生産資源としての森林をどのように調和配置し、将来、面積的にどのように展開して豊かな県民生活に活用するのか、山村住民と都市部の人々との交流による山村の活性化対策等とともにお聞かせをいただきたいと思います。
 また、森林は木材を生産する経済的な資源であるとともに、広く県民、国民がその恩恵を享受している公共性の高い資源でもあります。この人間生活上必要な森林を健全な姿で維持、造成しようと努力している山林地域は、過疎化、高齢化が進み、森林の放置化が進展しつつあり、これは、人間が生活していく上での基本的な環境が大きく悪化される危険性が増加しているということであります。
 今日、県として、広くこのような状況を県民、国民の皆さんに、特に都市部の皆さんに、人間生活上、森林の評価が二十五兆円にもなり、人間が生活していく上で欠くことのできない重要な生活環境資源であること等をアピールして、何らかの御協力をお願いして森林の健全な育成を図ってはどうかと考えますが、いかがか、安田農林水産部長の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、林業労働者対策についてであります。
 林業労働力の問題であるが、県森林組合の調査でも判明しているように、若者の新規参加者が皆無に近い状態で、二十九歳以下の労働者が全体の一・五%以下であり、高齢化が予想以上に進行している現状であります。
 先般決着を見た日米構造協議で、一九九一年から十年間で公共事業四百三十兆円、JR、NTTなど民間の二十五兆円、合計四百五十五兆円の社会資本等の投資が行われることになっております。山村の活性化のためには公共事業の拡大は喜ばしいことであるが、山村奥地の林業労働者は建設労働者と密接な関係があり、森林・林業に従事しようとする労働者も公共事業等の建設労働者となって、今後の後継者不足を一層加速させることになる。現在でも、森林・林業労働は、仕事が天候に左右されて収入が安定せず、雇用形態も安定した職場と言えず、また都市部における史上第二番目の好景気とが拍車をかけて、ますます新規参入を困難にしている。一方で、森林は長年生育して本格的な収穫期を迎えようとしている現在、また森林の公益性が強く望まれる時期に、山で働く人がいない状況が目に浮かび、心配するものであります。
 そのため、作業環境の改善や就業安定を図り、本県の自然条件に適した高性能機械の導入や林道、作業道の早期整備を図り、林家収入の向上、林業労働者への安定的配分を講ずる等、抜本的対策が必要であると確信いたしますが、安田農林水産部長の見解をお尋ねいたします。
 第二番目に、水産振興のためのマリノベーション構想の促進についてであります。
 和歌山県の水産振興を図るため、従来の発想の転換を図り、農林水産省の提唱しているマリノベーション構想を取り入れるべきだと、昭和六十一年九月定例会で提案をいたしました。
 マリノベーション構想については、仮谷知事の積極的な決意のもとに和歌山県の第四次長期総合計画の中に取り入れられ、昭和六十二年度には田辺市、南部町、白浜町、日置川町、すさみ町、串本町の一市五町の広域が調査対象地域に指定されて、その構想の実現のために検討委員会を設置して、関係市町村並びに漁業関係者の意見を聞いて構想を立てているところだと思います。
 そこで、水産業振興のために、このマリノベーション構想の促進について私の所見を述べるとともに、仮谷知事に質問をいたしたいと思います。
 その前に、私の地元である田辺漁業協同組合に、平成元年度沿岸漁業構造改善事業によりヒラメ養殖施設の建設について特段の御配慮を賜りましたことに対して、心から御礼を申し上げます。
 最近の漁業センサスその他の資料により調査いたしますと、次のようになっております。漁業就労者数は、昭和五十三年八千八十三人、昭和六十三年七千二百七十二人と、十年間で八百十一人の減少をいたしており、十五歳から四十九歳までの若年・壮年者が千七百九十七人減少し、五十歳から六十五歳までが逆に千二十九人増加し、若者の漁業への参入が少なく、漁業従事者の減少と高齢化が急速に進んでいることを示しているのであります。
 また、漁業の専業、兼業の別を見てみますと、専業が四四・九%、兼業が五五・一%になっており、専業者が過半数を割っている現状であり、これは漁業専業で生計を立てる難しさを如実に示しているのであります。また、漁業後継者として漁業に従事している者はわずか全体の三・四%にすぎず、このことだけでも、漁業に従事している人々が明るい希望と展望を持っていないことを示しているのであります。
 昔は、親の仕事を継ぐことに誇りを持っており、漁村にも若者があふれ、活気に満ちていました。しかし、近年の経済の高度成長とマスメディアの発達により、都会の生活がよくわかり、身近に感じられて、若者をして都会へ集中させる結果となっているのであります。
 漁業は、自然に左右されて労働日数の確保が難しく、所得が低いので、職業としての魅力を小さくし、若者の参入を少なくしてきた。県も、その対策として漁獲向上のための沿岸漁場の整備開発、資源をふやすための栽培漁業の推進、流通の効率化のための流通加工体制の整備、漁船を守るための漁港の整備等々の施策を実施してきたにもかかわらず、依然、若者の漁業離れが進んでおります。
 県は、平成三年度の政府要望において、海域の高度利用と漁村地域の活性化に資するマリノベーション構想の事業化を推進するための要望をしております。さきにも述べましたように、日米構造協議において、十年間に公共事業四百三十兆、民間分二十五兆、合計四百五十五兆の事業が行われます。今でも若者が他の産業へ流出しているのであるから、この四百五十五兆の事業が社会資本等の充実のために投入されると、水産業、漁業の将来はますます若者の参入が少なくなり、高齢化が進み、希望のない職業になっていくことが予想されます。
 そこで、従来の発想を転換して、仮谷知事が先頭に立って、和歌山県の水産業の明るい展望のためにも、このマリノベーション構想の実現を国に強く働きかけ、また市町村に強い指導力で指導するとともに、積極的に推進され、若者が希望を持って定着できる漁村づくり、水産業の振興を図るべきだと存じますが、仮谷知事の見解をお尋ねいたします。
 三番目に、身体障害者に対するタクシー運賃割引制度の導入及び福祉タクシー制度の拡充についてであります。
 まず、身体障害者に対する割引運賃制度の導入についてであります。
 先日、所用で東京都の町田市へ行き、タクシーに乗りました。前のいすのところに運賃一覧表がついてあるのでよく見ると、運賃別に普通運賃額と割引運賃額との両方を表示してあったので、運転手さんに聞いてみると、身体障害者の方が乗ったときの割引運賃で、一〇%の割引があるのでそれを表示していると言っていました。
 これは大変よい制度である、和歌山県でも導入できないかと考えて、早速どのような制度か調べてみた。また、今、身体障害者に対する各交通機関の実施状況を調べると、JR、私鉄、バスについては本人が五〇%引き、飛行機が二五%引きになっております。
 運輸省で調べると、平成二年五月十八日付で、地域交通局長名で各地方の運輸局長及び沖縄総合事務局長あてに、一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度についての一部改正について、通達を出しているのであります。
 「近年、タクシー利用の実態、営業実態等にかんがみ、運賃料金制度により実情に即したものとすることにより、利用者の利便の向上と利用の促進を図る観点から、昭和五十一年四月二十六日付自旅第十一号『一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について』の別紙の一部を下記のとおり改正したので、その実施方について遺憾なきを期せられたい」との通達でありました。
 距離制運賃の割引の項で、身体障害者割引は身体障害者福祉法による身体障害者手帳を所持している者に適用できるものとし、割引率は一〇%とすることになっております。現在、この割引制度を実施しているのは、東京都特別区、武蔵野市、三鷹市、多摩地区、横浜、大阪市域A、京都のMKタクシーグループで、事業者数は五万四千四百八十業者、車両数は二十五万五千百四十一台となっているのであります。
 この制度のことを身体障害者の方にお話しすると、身体障害者の社会への完全参加のためにも和歌山県でもぜひ導入してほしいとのことであります。導入してもらえれば、通達にもあったように、利用者の利便の向上にもなるし、タクシーの利用促進にもなり、事業者も、また運転手さんの利益にもなるので、県が中心となってこの制度の導入促進を図っていただきたく、民生部長の見解をお尋ねいたします。
 二番目に、福祉タクシー制度の導入拡張についてであります。
 私は、田辺鍼灸マッサージ師会の顧問をさしていただいておりまして、その会合によく呼ばれて出席をいたします。そこで先生方の話を聞くと、現在、田辺市初め県内の十一市町村で福祉タクシーを実施して、年間十五枚から十枚程度の割引券の交付を受け、基本料金の割引を受けて大変ありがたい、会合に参加しやすく便利であると喜んでおりました。
 民生部長、御存じのとおり、この制度の実施主体は市町村及び市町村の社会福祉協議会がなっており、県の施策でないので、実施していない市町村に呼びかけ、和歌山県の五十市町村で実施されるようぜひお願いいたしたく、民生部長の見解をお尋ねいたします。
 以上、身体障害者運賃割引制度の導入及び福祉タクシー制度の拡大について、官民が一致して身体障害者の社会参加を容易にすべきであると存じますので、ぜひその実施方をよろしくお願いいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 森林・林業を取り巻く状況について詳細に御説明いただいたわけでございまして、それについての知事の現状認識の問題、またその対策についてでございます。
 お話もございましたように、現在、森林は地球的規模において取り上げられております。また、国内的に見ましても、経済林としての林業、生活保護林としての林業等々、文化の面からもいろいろ取り上げられており、緊要な状況にあるわけでございます。
 また、本県の実情としては、保育期でございまして伐採期に達していないことから、現在の供給率は一九%という低率でございますし、内外価格差の問題もあることも事実でございます。しかし、十年後には適伐期を迎えるわけでございまして、労働力の問題等々、いろいろな問題があるわけでございます。
 本県の杉、ヒノキというのは、質、量ともに非常にすぐれておるし、また、国際情勢で輸入が厳しくなることが予想される状況でございますので、必要度が増してくると思うわけでございます。
 そうした中で今何をなすべきかという対策として、産業基盤の整備等について、また加工流通の面において考慮しておるわけでございますが、なお一層これらの材が有効に活用されるために──今一番厳しい問題は何かといったら、私は労働力だと思うんです。若年労働者が非常に少ないということでございます。そうした中でございますので、とにかく若者が働けるような形の林道整備を図っておく、労働力確保についての対策を持っておく、また機械化対策を考えておくということが一番大事でございまして、山村の活性化のためにそうした面に十分配慮してまいりたいと思っております。
 それから、水産業振興のためのマリノベーション計画でございます。
 マリノベーションは、国において、つくり育てる漁業、漁村環境の整備、また漁業者が参加することによる海洋レクリエーション基地づくり等、総合的に整備しようとするものでございまして、田辺湾は指定をいただいたわけでございます。
 しかし、果たしてどれだけの効果があったかというと、そうした指定はいただいたけれども、現在の予算における枠の配分について重点的に考える等々、これからが大事な段階ではないかと思うわけでございます。
 話ございましたように、日米協議が調いました。公共投資十箇年計画が始まります。そうした中で、従来のようなマリノベーションについての形の考えではなしに、独自的なものも取り入れて考えていかなきゃならないのじゃないかと。また、リゾート計画との関連において、漁民の皆さんが参加してやっていく、マリノベーションと抱き合わせてやっていくという方法、こうしたものも考えていかなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 経済活動から見た林業対策でございますが、ただいま知事から基本的な点で御答弁がございました。
 議員お話しのように、熱帯雨林の減少や地球温暖化という地球環境の保全の問題もございますし、アメリカにおける絶滅寸前の野性動物を保護するという政策から、特に北米における原木輸出が大変不安定な状況にある中で、県産材の安定確保の必要性が高まってきてございます。
 こうした中で、杉、ヒノキが近い将来に主伐期を迎えようとしている本県としては、間伐強化対策事業を計画的に進める中、生産性の高い地域林業の確立を図るために、林道密度を短期間で整備する高密路網整備事業を中心としながら、基盤整備をより一層進め、県産材の安定供給体制づくりに努めてまいる所存でございます。
 また、富田川流域や奥日高地域に設置をしてきた木材流通加工施設を拠点に、杉一般材総合対策や乾燥材総合対策事業等を新たに実施し、木材の高付加価値化を図るとともに、林業労働力の確保に努めながら、いわゆる川上と川下とを一体化した流通加工体制の整備を進めてまいる所存でございます。
 次に、近年、森林の多面的役割が広く認識されてきている中で、御指摘のように、生活環境資源としての森林の果たす役割は大変重要と考えてございます。このために、県下の森林計画においても、水源涵養、保健文化、生活環境保全等の機能別の森林の適正配置に努めているところでございます。
 さらに、今日的な課題として、森林を環境財と位置づけるとともに、新たな森林リゾート等、その機能発揮について検討を深めているところでございます。
 また、国民がより直接的に森林づくりに参加する必要があるとして、昭和六十三年度、緑と水の森林基金が発足したわけでございますが、そういった中で多くの都市部の住民の負担の増額等をお願い申し上げ、広く県民に理解を求めているところでございます。
 なお、近年、定着化しつつある保健休養やレクリエーション活動等、森林の総合利用を一層促進し、都市と山村の人々の交流を通じて、森林の有効利用と山村地域の活性化を図ってまいる所存でございます。
 次に林業労働者不足対策の問題でございますが、議員お話しのとおり、林業労働者の減少と高齢化の問題は、本県のみならず、全国的な課題でもございます。
 本県は、単独事業で林業従事者福祉向上対策の充実を図るほか、林業従事者の各種保障制度への加入促進等、雇用条件の改善を図る林業労働力確保対策事業を本年度から新たに発足させたところでございます。また、国の新規施策として、林業担い手強化対策事業、林業労働者就労安定対策事業を取り入れ、林業従事者の新規参入の促進、技術の向上、就労環境の改善に努めることといたしてございます。
 次に、高性能機械の導入や林道、作業道の早期整備の問題でございますが、林業労働力の減少、高齢化に対応し、作業の効率化、労働環境の改善、また魅力ある林業の確立を図る上で、大変重要な問題かと認識いたしてございます。
 今後、林道等の整備とあわせ、本県の地形に合った機械の導入による省力化についても、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず最初に、身体障害者に対するタクシー運賃の割引制度についてでございますが、議員お話しのとおり、本年五月の運輸省局長通知により、身体障害者に運賃割引制度が適用できるようになってございます。
 その実施についてはタクシー業界の自主的判断が基本となりますが、身体障害者の社会参加を促進する上からも、今後、関係者に理解を求め、実施に向けての検討をお願いしてまいりたいと考えてございます。
 次に、福祉タクシー制度の問題についてでございます。
 近年、障害者のニーズも多様化してございます。各市町村においても、それぞれの地域の実情に応じて各種の事業を実施しているところでございます。福祉タクシー制度についても、その推進について、関係市町村、団体等とも協議をしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 答弁をいただきましたので、要望という形でお願いをしておきたいと思います。
 知事も申しておりましたけれども、水産業においても林業においても、労働力の不足というのは大変なものだと思います。特に林業においては、十年後に伐採期が来るときに果たして何人の労働者が山で働いていただけるか。今でも、だんだん減っていっておるんです。
 ところが、四百五十五兆円も社会資本のために投下されますと、林業、漁業にどれだけのいい影響があるか、ほかの産業、建設、土木にどれだけの効果があるかと申しますと、やはり林業とか漁業に対する効果は非常に少ないと思うわけです。放っておいても減っていくのに、ほかの産業が潤ってくると、若い者がますますほかの産業へ流れていく。こうなりますと、人のいない産業、働き手がいない産業というのは成り立たない。
 こういうふうなことでございますから、今答弁いただいた各施策を十分実施していただいて、水産業、林業の安定的な繁栄をお願いしたい、このように要望いたします。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十五分休憩
 ──────────────────── 
 午後一時四分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、去る六月二日、続いての六日の新聞報道に接し、一九八〇年代の後半から国際的に問題化、特に最近、緊急の課題として注目を集めている地球環境の危機的な現象とも申すべき温暖化問題と原発とのかかわりについて、問題点を提示し、県当局としての御見解をお伺いいたします。
 まず報道の内容ですが、「通産省資源エネルギー庁は、去る五月三十一日、二〇一〇年度までの我が国エネルギー政策の基本とも言うべき長期エネルギー需給の見通し案を決定した。それによると、二〇一〇年度に必要な総エネルギー量を原油換算で六億六千六百万キロリットルと予測し、原子力発電の総設備容量を現在の約三千万キロワットから七千二百五十万キロワットにふやす。このため、今後二十年間に百万キロワット級原発四十基程度を建設する」とのことであります。
 これは、エネルギーの安定供給の確保と炭酸ガスを排出する石油、石炭削減の立場から今後も原発推進政策堅持の姿勢を明確にしたものであるが、反原発の住民運動が世界的に高まっている中だけに、実現への疑問の声は電力業界からも出ている。さらに、問題の地球温暖化を防ぐためCO2(炭酸ガス)削減を求める世界的な動きをにらみ、二〇一〇年度にはCO2総排出量は三億四千五百万トンで安定化するとした上で、原子力は供給の安定性、経済性にすぐれ、CO2削減の点でも有利で、高い技術力を有する先進国として最大限の導入努力が重要としています。
 総合エネルギー調査会も六月五日、二〇一〇年度までのエネルギー政策の基本となる、これも中間報告「地球規模のエネルギー新潮流への挑戦」を正式発表。今後、生活のゆとりと豊かさ維持のためにはエネルギー消費量の増大は避けられないとしながらも、二〇一〇年度までに強力な省エネ努力を進め、同年度に必要な総エネルギー量を原油換算で六億六千六百万キロリットルと予測し、また地球温暖化防止のために炭酸ガス削減を進める立場から、CO2を排出しない原発の優位性を強調し、二〇一〇年度までに四十基を新設という推進路線を追認しています。
 また、新たな省エネ対策未導入の場合の二〇一〇年度総需要見通し、原油換算七億四千九百万キロリットルを一一・二%削減して六億六千六百万キロリットルと省エネ努力を求め、その内容として、民生用の冷暖房機の効率向上、自動車燃費の改善、発電効率の向上のほか、地下鉄やごみ処理場から出る廃熱など未利用エネルギーの活用等を挙げ、これにより民生部門エネルギー需要全体の一〇%を賄うとの目標設定とともに、エネルギー供給については、安定保障とCO2削減を重視して、引き続き石油依存度低減を目指すとともに、非化石エネルギーすなわち原子力や新・再生可能エネルギーへの依存度を高める方針を重視しております。
 原子力発電については、これまた最大限の導入努力が大切として、原子力の総エネルギー供給に占める割合を八八年度の九・〇%から二〇一〇年度には一六・七%と二倍近くにふやす一方、石油、石炭については、八八年度五七・三%だった石油の割合を二〇一〇年度四六・〇%と五割弱にし、またCO2の年間排出量については、二〇〇〇年度までは増加するがそれ以降は横ばいと予測している旨の報道内容で、同日付の経済欄では、「『原発推進』業界内にも悲観論」との見出しで、中間報告は「豊かさの追求と炭酸ガス削減を両立するには原発は不可欠」を強調しているが、世界的に反原発運動が高まり、フランスを除く先進国で原発見直しを求める動きが広がっている中での推進路線に対して、同調査会の一部からも批判。加えて、電力業界内部にも「原発の新設四十基はかなり努力しなければ追いつかない」との見方が出ている上、報告発表に当たっての稲葉秀三・総合エネルギー調査会会長の「地球温暖化問題、経済成長のあり方、われわれのライフスタイル、現代文明のあり方などにかかわる難解な連立多元方程式を解くような苦しみを味わいながら審議」云々との談話のとおり、審議の焦点になったと伝えられる、民生用を中心に急増予想のエネルギー需要への対応、CO2増加による地球温暖化問題、先進国のエネルギー多消費批判等々、難問山積の審議の結果、報告は、経済成長と豊かさ維持のために必要最低限の需要見通しを打ち出すとともに、原子力発電の必要性を訴えた、いわば原発導入は豊かさと地球環境保全の両立には不可欠というものである。
 しかし、この推進路線には電力業界でも一部悲観的な見方に加えて、「原発の現代史」の著者・西尾氏の「反原発運動が激しくなる一方なのに、どこに四十基もつくるというのか。非現実的な内容だ。また、地球環境保全をCO2問題だけでとらえているが、放射能問題には全く触れていない」との厳しい批判もあり、資源エネルギー庁幹部の「もっと原発を減らすとなると、経済成長を下方修正し、生活レベルを下げざるを得ない。それで国民合意が可能か」との言葉のとおり、この中間報告は「原発が嫌なら豊かさは実現できない」という論法を打ち出して国民の選択を迫ったものと言える。
 多少長くなりましたが、以上の報道内容に関連して、地球の温暖化問題と原発立地とのかかわりについて、以下、数点お尋ねいたします。
 まず最初に、言葉の整理として、これまでになかったような高温、低温や季節外れの暴風、大雨あるいは干ばつ等、そうした世界的な異常気象をもたらしている現象として最も有力な説明に「地球の温暖化」問題があり、温暖化をもたらす原因として最も有力な仮説が「温室効果」である。なお、温暖化は温室効果だけによってもたらされるものではなく、森林破壊や海洋汚染、砂漠化現象等も相互に大きく影響し合って起こります。
 以上の観点を踏まえて、地球の温暖化の原因等について質問いたします。
 温室効果気体として一番有名なのは二酸化炭素(炭酸ガス)ですが、原因となる気体はそれだけではなく、ほかにもメタンガス、フロンガス、亜酸化窒素なども温室効果を起こします。なお、これらの温室効果の原因となる気体のことを「温室効果気体」と言う、これは御承知のとおりです。
 さて、私どもは「温室効果」と聞くと二酸化炭素のことだけを思い浮かべてしまいますが、現在、温室効果中で二酸化炭素の果たしている役割は五〇%。残り半分は、メタンやフロンガス等、その他の温室効果気体が寄与していると考えられており、しかも、松野太郎氏の「温室効果ガスの増加による気候変化の推定」資料によりますと、一九六〇年代には二酸化炭素の影響が大部分であったのに対して、一九八〇年代には二酸化炭素とその他の気体の役割はほぼ半分ずつになっており、今後、二〇〇〇年代にかけては二酸化炭素以外の効果気体の役割は今以上に大きくなると予想されているとのこと。
 そこで、多少時間を割き、二酸化炭素以外の温室効果気体について少し触れたいと思います。
 まずメタンは、バクテリアの嫌気性発酵によって発生する気体で、身近なところではどぶや沼地などからぶくぶくと出てくるのを見ることができます。問題視されるゆえんは、同じ体積で比較した場合、二酸化炭素よりもメタンの方が熱吸収効果が大きいからで、また、現在の大気中のメタン濃度は一・六ppmほどで二酸化炭素の二百分の一程度ですが、メタンは年々一%の割合で激しくふえ続けているため問題化しているとのことです。また、増加の原因については多くの説がありますが、定説になっているものはなく、専門家の間でも議論が始まったばかりとのことであります。
 次にフロンガスですが、これはオゾン層破壊の問題で世界的に問題化し、モントリオール議定書で二〇〇〇年までに全廃することが合意成立と聞いております。なお、このフロンは、言われているオゾン層破壊の面からだけでなく、温室効果気体としても、メタン同様、少ない量でも温室効果──だけでなく、放出されたガスはなかなか分解されず、まず大気圏に広がって温室効果の原因となり、次に成層圏まで上がっていくとオゾン層破壊の原因となるという厄介な代物で、問題化したときまず注目されたのが缶スプレーの充てん材としてのフロンガスでしたが、現在、重要視されているのは半導体製造の際の洗浄剤とクーラーの冷媒とのことです。
 次に亜酸化窒素は、土壌の嫌気性発酵などによって発生する気体で、これもまた同じ体積で比べた温室効果は二酸化炭素よりも大きいため問題にされており、発生についての詳細は未解明でございますが、増加率は年〇・三%程度と聞いています。
 以上のとおりですが、現時点では二酸化炭素は最大の温室効果気体であり、かつその増加の傾向についても、例えばハワイ・マウナロア山で一九五八年以来ずっと観測されているデータでも明らかなとおり、年々周期的な増減を繰り返しながらも、じわじわと濃度が上がっています。なお、この増減は植物の光合成の季節変化によって起こるもの、すなわち春から夏にかけては多くの植物が成長し、光合成を行うことによって大気中の二酸化炭素濃度が減り、秋から冬は光合成の量が減り、濃度がふえると考えられているとのことです。この一事からも、植物の存在が二酸化炭素問題では大きな位置を占めていることがおわかりと存じます。
 次に、問題化されている二酸化炭素の発生について、一つの見積もりデータを提示いたしたいと思います。
 化石燃料の燃焼によって一年当たり五十トンと言われるその中身について、これも電力中央研究所の西宮研究員による一九八六年の我が国の二酸化炭素の産業別発生量表によりますと、工業三三・三%、電力二七・九%、交通二一・四%、民生一三・六%、その他三・八%であり、この表を見る限りにおいては、火力発電所からの二酸化炭素発生率は、大きいには大きいが、決定的な要因ではなく、──だからといって火力発電所をどんどんふやしてもよいということにはもちろんなりませんが、二酸化炭素の問題は、輸送や産業構造全般の問題であると言うことができると存じます。
 そこで、一つの問題提起として自動車のことを挙げてみましょう。二酸化炭素問題の中で自動車の占める割合は決して少なくないにかかわらず、現在、国内でなされている二酸化炭素削減論議で自動車が本格的に論議、問題化されたことはほとんどございません。これは、産業中心に動いている政治がこの点での自動車交通の見直しと規制の論議を望まないからであります。
 私は、環境保全とエネルギー政策の面からどのような公共交通機関が望まれているかを考えることも重要な問題と考えますが、現在の政策下では経済成長が最重要視されており、二酸化炭素排出規制の観点を今の交通行政はまだ持っていないと考えます。この考え方はうがち過ぎでございましょうか。
 さらに、二酸化炭素の増加に関連して、先ほど触れましたとおり、森林の破壊(乱伐)という要素も大きくかかわっている。このことについて少し述べてみたいと思います。
 森林などの緑色植物は、光合成によって大気中の二酸化炭素を取り入れ、酸素を供給する働きを持っている。それゆえ、今、世界的に問題化しているブラジルや東南アジアの熱帯林乱伐は、地域の生態系、文化の破壊という問題と同時に、二酸化炭素増加の点でもまた大きな問題点、当然のことと思います。
 気候に直接的な影響の要素として、もう一つは熱汚染の問題等も等閑視できないと思います。これは、種々の廃熱によって起こる問題であり、このことがはっきりわかるのは、現在、都市部で起こっているヒート・アイランド現象。エアコンを備えたビルが林立し、舗装道路を自動車が走り回る大都市では、さまざまな廃熱の影響でそこだけ周辺地域よりも温度が高くなる。この現象をそう呼ぶのですが、このような現象を起こすほどの巨大な廃熱のかたまりが、直接地球規模の温暖化や気候の変化に結びつくかどうかはそう簡単には即断できないにせよ、少なくとも都市部の気候への影響は容易に想像できますし、省エネの必要性も理解できる問題と存じます。
 以上、長々と申し述べましたが、細部については科学的な究明の不確実さとの批判承知とは申せ、現在のエネルギー大量消費文明が今地球に大きなダメージを与えることは事実であり、その脱却の一側面として問われているのが地球温暖化対策だと考えますが、これらの点についての当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、原発が地球温暖化問題の解決策であるという考え方について質問いたします。
 私が冒頭長々と申し述べた二つの中間報告は、あたかも原発増設は温暖化解決の一救世主であるかのような言い分ですが、私はこれに多分の疑問を感じる一人です。
 以下、問題点を指摘して、当局の明快な御答弁をお願いいたします。
 まず第一は、原発立地で効果的な二酸化炭素削減が期待できるかについて。
 原子力発電所では、ウランの核分裂反応を利用して発電が行われています。核分裂反応そのものは、二酸化炭素の発生とは確かに無縁です。先ほども指摘のとおり、二酸化炭素排出のうち火電が占める割合は三〇%。その半分を原発で置きかえたとすると、この場合、ざっと計算して今の我が国原発の設備量を短期間で倍増することが必要となり、実現不可能と思います。仮に可能としても、その効果を考えてみますと、地球全体の二酸化炭素の温室効果のうち二酸化炭素の割合が五〇%、うち原発で最大限三〇の半分の一五%を減らすという計算ゆえ、〇・五掛ける〇・一五イコール〇・〇七五となり、効果は七・五%程度。しかも、この計算には原発の立地建設までに必要な時間やエネルギーは一切入っていません。
 また、二酸化炭素の問題から原発を考えた場合、核燃料の製造や後始末に必要なエネルギー、社会的なコスト等の要素は当然考えなければならないにかかわらず、これも全く考慮に入っていない。その七・五%であり、実際は七・五%でも大き過ぎる見積もりの上、現にアメリカのロッキー・マウンテン研究所の二人の研究員は、一九八八年、「今後四十年間にわたって三日に一基の割合で原発を建設し続けても、二酸化炭素の増加を防ぐことができない」との研究結果を発表しています。
 加えて、原発をふやしても、そのまま火力発電所の減少には結びつかない。それはなぜかというと、出力調整の問題が存在するゆえ。発電設備は昼夜の需要の違いに合わせて出力の調整が必要ですが、原発での調整は安全上不可能。したがって、調整用の火力、水力発電が必要の上、原発は一基が事故を起こした場合、同型機をすべてとめて総点検の必要が時にはあり、その場合の予備電力としても火電が必要となります。このように考えますと、果たして原発の推進はそのまま火電削減に結びつくかどうか。
 さらに、熱汚染の問題に視点を置いて検討いたしましても、原発は他の各種エンジンや火力発電所に比べて熱機関としての効率は悪く、熱効率は三〇%にすぎません。すなわち、原子炉内で発生の熱のうち約三分の一が電力になり、残りの三分の二は廃熱として温排水等の形で捨てられております。この廃熱が直接地球全体の温暖化に寄与することはないとしても、原発集中立地の現状から考え、周辺の地域的な気象への何らかの影響は間違いない上に、何よりも大切な放射能汚染による環境汚染の問題、これは、チェルノブイリのたった一基の原発事故による、いまだに終わらない放射能汚染による広域被害の現実と意味の大きさを考えましたとき、チェルノブイリ事故をもたらした原発こそが最大の環境汚染源と言うべきではないかとも考えられます。
 以上のほかに、例えば廃棄物の処理、廃炉の問題、その他ございますし、また、温暖化問題はエネルギー対策の問題、さしあたって省エネ実現が何よりもの課題。そのことと電力の大量消費に支えられている原発推進路線との矛盾など、検討課題はまだまだ残っております。都合で今回は省略するといたしましても、私は原発と温室効果削減論は両立しないと考える一人ですが、あえて原発推進を打ち出した関係当局の真意とも絡めて、県当局独自の明快な御所見、あわせて今後の対応等についてお伺いいたします。
 以上で、私の第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口矩一議員にお答え申し上げます。
 地球温暖化対策と原発立地効果についてでございます。
 地球温暖化問題につきまして、ただいま浜口議員から詳細なお話がございました。そのように、最近、さまざまな国際会議の場で活発に議論されておるわけでございますし、また昨年七月のアルシュ・サミットにおいても、その対応として、経済成長と環境保護が両立するための技術開発努力とともに、エネルギー効率の一層の向上と原子力発電の重要性の認識が確認されたところでございます。
 こうした国際的な合意を背景として、六月に発表された総合エネルギー調査会中間報告においても、原子力発電が地球温暖化の抑制に一定の効果があるように予測されてございます。
 県としても、原子力発電所の立地については、こうした内外の議論にも関心を寄せながら、従来どおり、適地性、安全性、地元の同意の三原則に基づいて対処してまいる所存でございます。
○副議長(宗 正彦君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 地球の温暖化の原因等についての御質問にお答え申し上げます。
 地球温暖化の原因となる温室効果気体、ガスでございますが、御指摘がございましたように、二酸化炭素、メタン、フロン、亜酸化窒素などが挙げられ、これらの温暖化への寄与率は、二酸化炭素が五〇%、次いでメタン、フロン、亜酸化窒素の順と推定をされております。
 エネルギー利用など、人間の各種活動によりこれら温室効果ガスの濃度が上昇し、その結果、気温の上昇とともに海面上昇、気象変化などにより生態系や人類系に重大な影響を及ぼすのではないかと懸念をされておるところでございます。
 地球温暖化問題は人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼす重大な問題と考えられており、国は、二酸化炭素等温室効果ガス排出量の安定化など、国際的な取り組みに積極的に参加することとしており、県としてもその動向を注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 地球温暖化対策と原発立地の御質問にお答え申し上げます。
 本年六月に発表された国の総合エネルギー調査会中間報告によると、今後のエネルギー政策は地球的視点で検討する必要があるとされ、その一つは世界的な石油需給の逼迫化の問題、二つ目は地球温暖化問題を初めとする地球環境問題の高まりであるとされてございます。
 このため、今後のエネルギー問題についての国の主要政策課題は、国民生活の向上を図りながら環境への負荷を軽減することを基本に、第一に新しい省エネルギーへの取り組み、第二に地球温暖化の原因物質の一つとされる二酸化炭素を排出しない原子力などの非化石エネルギーの導入を強力に推進する必要があるとされてございます。
 このため、供給安定性と経済性にすぐれた石油代替エネルギーである原子力を、地球環境保全の観点からも、安全の確保と国民の理解を前提として導入のための努力をしなければならないとされてございます。
 県としては、先ほども知事がお答え申し上げたとおり、エネルギー消費と環境問題とのかかわりといった内外の議論や動向にも関心を払いながら、適地性、安全性、地元の同意の三原則、中でも安全の確保は何にも増して重要との考えで対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 地球の温暖化対策と原発立地効果につきまして知事は、「温暖化問題は国際的にも注目されておる。対応として、経済成長と環境保護の両立のための技術開発努力とともに、エネルギー効果の一層の向上と原発の重要性の認識が確認されている」とされて、総合エネルギー調査会報告内容に一部触れながら、「原発立地については、内外の議論に関心を寄せながらも、従来どおり、三原則に基づき対処」と御答弁されてございます。
 また企画部長は、「中間報告によると」とされて、今後のエネルギー政策は地球的な視点で検討の要ありとされ、世界的な石油需給逼迫化の問題、地球温暖化を初めとする環境問題を挙げられ、このため、今後の政策課題として、国民生活の向上を図りながら、環境への負荷の軽減を基本に、新しい省エネへの取り組み、CO2を排出しない原子力など非化石エネルギーの導入推進の必要から、供給の安定性と経済性のすぐれている原子力について、地球環境保全の観点からも、安全確保と国民の理解を前提として導入努力がされている──これは中間報告の内容の分析だと思います。
 県としては、知事答弁と同様に、エネルギー消費と環境問題とのかかわり、内外の論議や動向に注目しながら、三原則を堅持、安全確保を重視しながら対応と、こういうような御答弁をされております。
 私が先ほど第一回の質問で申し述べた内容は、中間報告で言われている原発立地で温暖化の解決、二酸化炭素の効果的な削減が可能かという点につき、立地による削減率七・七%の問題と、それに相殺される必要なエネルギー、また出力調整の問題、熱汚染等々の附帯的な事実の考察の一端をお示しするとともに、放射能汚染、廃棄物処理、廃炉の問題点を挙げ、その効果いかんをお尋ねしたわけでございます。御答弁ではその点全く触れられておらず、中間報告の内容の要点のみお答えですが、この件に関しては、今論議が始まったばかりで、専門家、学者の間でも数々の諸説があって現在まだ定説になっていないということも聞いておりますし、私の質問も適切を欠いたうらみなきにしもあらずだった、このようにも考えますので、この件については、ここで御答弁いただくよりも今後十分に検討していただきたい、そうして私を交えて御討論をお願い申し上げたい。このように要望としてお願い申し上げたいと思います。
 なお、ちょっと触れたいと思いますけれども、二酸化炭素との関連で、いわゆる原発の立地にしても、コストもかかるし非常に長い時間もかかる。あるいはまた、廃炉の問題、廃棄物の問題にしても先の長い話である。温暖化あるいは二酸化炭素の増加、これも先の長い話である。
 そういうようなことを考えましたときに、ただ一つお願いしておきたいと思いますのは、今の中間報告、すなわち温暖化対策即原発推進、このことを根拠としたそれぞれの論争というか説明というようなことについては、十分慎重にお願い申し上げたい。このこともあわせて要望として、それだけにとどめておきたいと思います。
 なお、保健環境部長さんの御答弁、そのとおりでございますので、今後、そのことについて、いわゆる生活面あるいは環境保全という面から、これまた十分な御検討をひとつお願い申し上げたいと存じます。
 以上で、時間が余りましたけれども、終わりたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時四十五分散会

このページの先頭へ