平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(田中実三郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時八分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 質問に移ります。
 六十三年度決算審査特別委員会に参加をいたしました。三月県会でも委員長の報告をじっくり承りました。当初予算の説明も拝聴いたしました。非常に残念なのは、どうもしっくりこない、決算委員会はあれでよかったのだろうかということです。そこで、総務部長に質問をいたします。
 一番目、委員長報告に対して当局の把握している問題点は、主として幾つに整理され分類されているのか、またそれぞれの項目に対して、将来も含めてどんな対策を進めようとしているのか。
 二番目、連日の決算委員会の審議の中で、平成二年度当初予算の編成時にも対処をなさるかの印象を受ける答弁が幾つかありましたが、当局として当初予算及び今回の予算措置で対処をなされた項目は何と何であるのか、お答えをいただきたい。
 質問の二番目、交通政策樹立についてお伺いをいたします。
 平成二年三月、つまり二月定例会の会期末、委員会を終え、当初予算の審議もあと二日の本会議で終わろうとする時期に、当局は県行政の機構改正なるものを突如として発表されました。もちろん、発表された機構改正を前提とした平成二年度当初予算の骨組みであったと私は理解をします。我々議員はそういう機構改正を知らないまま、機構改正と無関係で各常任委員会で予算審議を終了したことになるわけで、私としては極めて不本意と言わなくてはなりません。我が社会党会派が最終的に当初予算に反対の意思表示をいたしましたのは、もちろん森議員が討論で述べられたように、原発の問題、消費税の問題等が関連していたことは事実でありますけれども、機構改正を意識しないで予算審議に参加したことも一つの理由であったことは否めないと、改めて今日思い起こすのであります。
 ともあれ、このことは議運での総務部長の発言もあったということでありますから、今さらここで取り上げようとは存じませんが、一つ、交通政策課を新設されたことに関連をして質問をいたします。
 今まで、旧国鉄紀勢本線の電車と国道四十二号線を県の交通政策の二つの柱として論議されてまいりました。御承知のように、紀勢本線は既にJRに移管され、その経営、運営も各支社別の計画にゆだねられております。したがって、その対策のスタイルも、県としては変更を加えざるを得ないでありましょう。国道四十二号についても、逐次その利用形態が変貌しつつあります。つまり、高速を求める声は県の道路行政をはるかに引き離して、住民の要求と企業の期待という二つの面では大きく差異のあることをこの際認めなければなりません。そのため、前述いたしました二点の柱は既に取りかえなくてはならないというふうになります。こうした情勢により、交通対策から交通政策へとの県政の変革の必要から、今回、交通政策課の新設になったと私は推察いたします。
 いみじくも、時を同じくして奈良県においても交通政策課を新設いたしました。その目的として、リニア鉄道の誘致に全力を挙げるという方針を奈良県は明らかにしています。我が和歌山県の交通政策課はその趣旨を何に求めるのか、この際明確にしていただきたいのであります。
 ただ単に、従来何回となく答弁の中で承った「陸・海・空の連係を密にした交通整備を図り」云々の繰り返しでは今日なりません。和歌山県地勢あるいは地域事情に対応する具体的な政策樹立の面で御答弁をいただきたいのであります。
 三番目、国立田辺病院問題について質問をいたします。
 国立田辺、白浜病院の合併、統合が提唱され、地域において長い間賛否両論の論争がされ、田辺市議会においても五十八年三月に反対の趣旨の意見書が採択をされた経緯もありますが、その後そうした経緯とは別に新しい設置位置も既に決まっており、建設も四年度完成の運びで、その実現に向けて着々と進行中であります。
 そこで問題となるのは、Aの一番といたしまして、田辺、白浜の合併をめぐって地域で今まで論議をされた問題点は、私の聞くところによれば診療内容の充実等が主たる焦点であったように思います。県が地域医療行政の観点から見て、当該地域の住民の診療行政に対する不安解消のため、どんな諸点を新しい国立病院の中で実現せしめるべく考えているのか、県の見解を聞きたいのであります。
 平成三年度政府予算要望書の四十ページに──これはさきに送ってきた長い方の四十ページで、後で送ってくれた冊子では六十九ページになっています──「人的体制の確保と設備の整備の特段の配慮をなされている」と書かれていたように思います。なお、県発行の「地域保健医療計画」の四十一ページにも既に一つの柱として取り上げていますけれども、この二つは私としては既に承知した上での質問であるということを前提にお答えをいただきたいのであります。
 二点といたしまして、これまた仄聞するところによれば、厚生省においては合併される新国立病院の内容の中で数字的にも逐次明らかになっていると承知をいたしていますが、県としては今示されている中央の数値が、例えば県下で要求されている看護婦養成機関の設置がどのようになっているのか、紀南県民の診療行政に対する要求を満足するものであるのか、あるいは反対の方向に動いているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
 三つ目として、地域では以上述べた二点の要求を達成するためにどういう運動をやったらいいんだろうかと悩んでいます。反対反対ではいけない。地域の医療行政をよくしていくためにはどういう努力をどっち向いてしたらいいんか。県へ言うてもいい返事をくれん、いかにも県では関知をしないごとき答弁が返ってくる。どこへ向いてどんな努力をすれば以上述べた二点が解決する、効果を上げる道に通じるのか、質問いたします。
 また、今申し上げた三点の問題点とは別の次元でBの問題として考えられるのは、国立病院が合併をした後、当然起きてくるであろう跡地の利用問題についてであります。
 巷間伝えられるところによると、紀南病院もそろそろ移転をするのではなかろうか、あるいは田辺の商店街の皆さんから御意見を聞くと、田辺市の中心部に位をするので商店街の活性化にぜひ利用してほしい等々、訴えられていますけれども、何にしても、田辺市にとっては現国立病院の位置というものは重要な位置であるだけに、その利用内容のいかんによっては田辺市の将来の行政にも大きく影響いたしますし、県の行政にも大きく影響するものと思いますので、軽々と決定づけられるものではない。県は、「地元の意思決定」という言い方をよくされますけれども、田辺市の意思決定を待っている、いわゆる拱手傍観の姿勢だけでは悔いを後に残すことになると考えますが、県として現在考えている利用計画についてはどんな構想を持っているのか、あるいはどんな図式で跡地利用の結論を見出していく所存か、その見解をお答えいただきたいのであります。
 四番目、カラオケボックス急増による対策についてお伺いをいたします。
 ストレス解消だとかいうことで最近流行を始めているカラオケボックスは、警察庁の調査に基づくと、昨年十月調査では全国で約千六百カ所であったのが十二月の再調査では二千七百三十カ所と、わずか二カ月の間で七○%の増加率を示しています。過ぐる決算委員会において、「三十七店、三百六十八室と把握をしています。休日には中学生も利用していると聞いています」という警察本部の答弁でありましたが、一つ目として、この警察本部が答弁された数値はいつの調査によるものであるのか、また今日一番新しい調査ではどんな傾向にあるのか、本部長からお答えをいただきたいのであります。
 二番目として、和歌山県としては、昨年十月、文書で各業者に健全営業の要請をした、つまり条例制定よりも業者指導に重点を置く旨の答弁もあわせてありましたが、全国的に拝見をいたしますと、条例を改正したのは京都、岡山、佐賀、沖縄、北海道、兵庫、福岡、長崎の八道県のようであります。主としてその内容の中では「十八歳未満の深夜入場禁止」を規定しているようでありますけれども、時間に関係なく全面禁止の方向で青少年の不良化防止に踏み切った県もあるようであります。本県の取り締まり方向としては、現在のカラオケボックス状況に照らしてどんな方向をとっていくことが不良化防止に資するとお考えをいただいているのか、お答えをいただきたいのであります。
 五番目、白浜空港ジェット化整備に関連して、一番身近なテレビ難視聴の問題を質問いたします。
 我が和歌山県政の重点項目として白浜空港ジェット化整備事業は、議員連盟も結成をし、県当局とともに挙げてその実現こそ県勢活性化の起爆剤とすら標榜され、日夜懸命に努力を続けていることについては時宜を得た方策と受けとめていますが、その計画内容を見ると、滑走路延長に伴い、既設サテライト局──と言うのが正しいのか中継所と言うのが正しいのか、私は専門家でないのでどちらが正しいのか知りませんが、そこのテレビ塔の高さが民間放送では八・七メートル、NHKでは七・九メートル、現在の高さより低くなる計画になっていることに気がつきました。
 現在、この二つの中継所を介して我々県民が受信しているチャンネルは、五十、五十二、五十四、五十六、五十八、六十、六十二の七チャンネルであったと思います。テレビ塔が低くなることによって一般家庭にどんな影響があらわれてくるのか、またこの対策は県としてどんな方向をとるのだろうかという立場で調査をしてみると、現在それぞれの現状調査をNHKなり放送協会などに委託をしてその現状把握に努めていらっしゃることがわかりました。
 そこで私は、過ぎる年にテレビ和歌山が認可申請を提出する際の、我が和歌山県議会の中における議論を頭に思い浮かべながら、以下、三点について質問をいたしたいと思います。
 大きい一番の一、二つのテレビ塔を約八メートルから九メートル低くした場合、現在の受像度合いがどの地域にどんな影響を及ぼすのか、お答えください。
 二つ目、現在、調査を施行しているようでありますけれども、田辺市のリゾート計画に組まれている高層建物への影響は計算に入っているのか。
 仄聞すると、二十八階の建物が既にでき上がるかのごとき宣伝を田辺市はしています。そうすると、そういう高層建物への影響を計算に入れて調査をやっている。つまり、田辺市付近はテレビ塔が低くなる、リゾート計画で建物が高くなる。これは、幾何学的に考えていただいても交錯をいたします。現在調査は建物のないところでいろんなテストをして検査をしている、資料を集めている、低くなった後で高層の建物ができ上がってくる、そういうことまで値の中に入れていらっしゃるのか、どういう計算をしていらっしゃるのかお伺いしたいということです。
 三つ目は、UHF電波の性質についての見解を聞きたい。
 つまり、電波の中には、直進性とか反射性とかいろいろあると思う。その性格によって難視聴の値も違ってくると思います。現に──言わない方がいいかな──田辺のある病院の新築によって難視聴が起きているという訴えも来ています。文化会館が建つときに百件の難視聴が出て、それに要した経費が約二千八百万だと聞いています。ここらあたりも頭に入れながら調査をしないと大変だと思います。
 四つ目は、現在の環境で難視聴解消のために、今までNHKさんから補助金をもらったり、県行政の中で、例えば僻地対策とか農村対策の中で投資を随分されていらっしゃいます。私も三つばかり組合をつくりましたが、その県費を使って難視聴解消をやったやつが木阿弥になるんじゃないか、あるいはせっかくできたその組合の運営が今後困るんじゃないかということが心配でございます。この影響を受ける施設が百十一ありますが、営々と組合員が積み立てをして運営しているこの難視聴解消の組合に対して今後どういう対策方針を考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
 大きな二番として、いろんな問題点が出るでしょうけれども、関係住民に及ぼす影響として考えられるのは、県へ言うてもあかんやろうからということで自分でアンテナを移動するというような作業があるのではないか。あるいは、映りが悪くなるとの周知徹底をやっておかないと、ゴースト障害なりフラッター障害などに対する知識が一般住民は少ない。それに、テレビ塔が低くなる。高層建築物ができたんだからこういう障害が出るんですよという教育というか、広報というか、啓蒙をやっておかないと、困ってくるのは電器店です。テレビは売って幾らじゃないんです、映って幾らですから、不良なテレビを買わされたという不満が出てくる。こういうあたりについても十分考えなければならないんじゃないかと思います。つまり、先ほど申し上げたように、文化会館でも百件で二千八百万を要したという事柄からして、不鮮明受像解消への経費負担は県としてどう考えているのか。
 三番目として、今申し上げた一、二の考え方からいたしますと、なまじっかテレビ塔の切り下げを考えるよりも、思い切ってサテライト局を高尾山とか槇山の頂上へ移転して、平草原から出る電波と高尾山、槇山から発信する電波のどっちでもいい方をとってくださいという方法に変える方がかえっていい。なまじっか手を使うよりも中継局を思い切って高尾山、槇山へ置く方が、単に田辺だけでなしに、御坊、日高郡、東牟婁郡を含めた全地域に大きく影響すると思いますので、この点も含めてお答えをいただきたい。
 私は、いろんな関係でこれを土木部長に絞っていますけれども、るる申し上げたように、保健環境部、ひいては農林部、商工労働部にも影響いたしますので、よそごとのように考えないで十分検討を重ねておいていただきたいと思います。
 六つ目、環境問題について。
 地球の環境を守りましょうということで「地球の日」を設定した。世界は、今、地球という星を守るのは人間だと、地球における自然破壊に強い視線を注いでいます。最近の新聞紙上を拝見いたしましても、自然破壊の問題を取り上げたのがたくさんあります。ここに切り抜いていますが、これだけあります。
 タイトルだけを見てみましても、「放射能汚染の恐怖広がる 水や食物で体内被曝」、「原発から太陽エネルギーへ」、「白ロシアに医療品を チェルノブイリ原発事故から四年 後遺症いまだ深刻」、「フランス原発王国曲がり角 黄信号次々高まる論議」、「十万人の子供が被曝原発事故で」、「柏崎刈羽原発五号機見切り運転 ひび割れなど二十二項目」、「原発のごみ『ノー』 岡山市民団体県条例求め署名運動」、「天神崎廃油汚染」、五月十五日付新聞では「『海南発電所事故発生を反省』と関電側」と、数え上げれば際限がないこれらの内容を拝見して感じることの一つ目は、きのう来、森議員、木下議員からも御論議がありましたけれども、全世界を恐怖に突き落としたチェルノブイリ原子力発電所事故から四周年がたった今日、改めてその事故の悲惨性と規模の広大さ、永続性を再認識しなければ県行政として大変だと思います。
 二番目には、企業側が幾ら、安全だ、十分な配慮をしている、事故防止に万全を期する等々と強調しても、一たび事故が発生すれば、いかに抗弁しようともそのなすすべもなく、単に「反省をして今後こうしたことのないように努力いたします」という言葉で終わってしまう事件が多い。
 例えばウクライナでは、事故後一年間は人体に全然影響がないんだと言ったのに、四年たった今日、多くの変化が生まれて、気管、肺の病気、出血がとまらない、あるいは妊婦の中毒、異常出産等が確認されていますし、ひどいのは八本足の馬さえ生まれるという人畜に異常現象があらわれ、二百万人が住んでいる二十七都市で強い放射能が検出されています。
 新潟においては、東電が四十一項目のトラブルのうち十九項目は改善されたけれども二十二項目については改善をされないまま営業運転に入ったことで、今度は県側が東電側に資料公表を要求するという不信が出ています。
 ひとり、ソ連や新潟県だけではありません。和歌山県の海南で五月九日に発生した火災事故、たしか私の記憶では、火災ではなしにタンクが沈下したか傾斜した事故であったと思いますけれども、過去の事故を思いますと、昭和四十七年以降、三度目の事故であると思います。
 私は、海南に火力発電所を設置する際に、煙突の高低の問題で県会で論議をした。煙突が高かったら遠くへ害が行くんだ、低かったら近いところで被害が多く出るんだという質問をいたしたところ、火災やタンクの基礎などは当然企業側で万全を期している、危なくないんだ、設計上、防災の備えは企業側がやることが当然であるがのごとき説明であったと記憶しております。
 また原発問題でも、特別調査委員会のメンバーの一人として東京に参りました際に、私の記憶に間違いがなければ、水産庁か技術庁の方であったと思いますが、「原発については、もちろんまだまだ問題点はあるけれども、和歌山の人はなぜ火力発電の問題点ももっと検討しないのですか」と忠告をしてくれました。また当時、県のある幹部の方から、「海南の火力発電については、社会党はもっと根性を入れて反対してくれよ」と激励されたこともあわせて思い起こします。深く勉強、研究をしないで既定観念だけで賛同することの浅慮を、今改めて戒めなくてはならないと思う次第であります。
 さて、我が党の故森岡県議、さらにはこれを引き継いで浜口県議が議会ごとに、原発誘致反対の立場で当局に対してあらゆる角度で質問を重ねています。これに対する当局の答弁は、私の感じる限り、時には政府の指導と思われる内容のときもあり、主として企業側の持つ資料を基礎にした答弁に終始しているように思えてならない。
 そこで、改めて当局に質問をいたしますが、これだけ世界的な規模と動向で原発に対する見直し論の台頭している最中に、和歌山県としては、なおかつ従来どおりの、ともすれば原発推進誘致の行政と世間で批判される姿勢をあくまでも取り続けるのであるか。
 「開発とは、人類のよくなることにある」との最近の世界をめぐる言葉を思い浮かべながら、原発を企業的な感覚で理解をし、とらまえている企業の意図する資料に基づくのでなく、例えば行政は省エネを提唱して運動を展開しているのに、ある企業は電力消費をPRしているがごときことがなかっただろうか。
 以上、るる述べた点を踏まえ、県民側に立つ為政者の立場としての所信を求めたいのであります。
 また、地域活性化のために原発をぜひ誘致するんだということをよく耳にいたしましたが、これに伴う財政的要目についても総務部長の見解をあわせ承りたいのであります。
 二番目、天神崎の自然保護について、青少年不良化防止の観点から質問を申し上げます。
 私は、昭和五十年二月二十八日の当議場における質問を想起します。くどいようですが、当時の大橋知事、井上教育長の答弁を繰り返し、愚念ながら申し上げます。大橋知事は、「天神崎の特殊性を生かして自然学習村あるいは自然博物館をつくつたらどうかという御提言でありますが、われわれも一つの大きな御提言だと思いますが、財政の状態も勘案しながら、将来の問題として検討さしていただきたいと思います」。井上教育長は、「自然との関連におきまして、子供たちに学習の場を提供してその情操を養い、体力等人間形成に資するよう、との御意見には同感でございます。(中略)知事答弁の趣旨がございましたので、それに従いまして将来の課題として研究さしていただきたい」。以上の議会答弁が昭和五十年ですから、それから十五年たっています。知事当局、教育当局両者の、この件に関するその後の取り組みの経過と将来展望の見解を承りたい。もちろん、政府要望冊子三十五ページの「完全新規」と付記したことを承知の上での質問でございますから、あわせてお答えを願いたいと思います。
 では、和歌山県の教育の中に、自然環境あるいは自然保護に対する教育が基本的にどこでなされているのかということを考えてみると、見当たらない。
 そこで教育長、自然保護、自然環境保全のための基本的な教育はどこでなされているのか、ひとつお答えをいただきたい。
 以上、ちょっと時間がありませんので、かいつまんで申し上げましたが、よろしく御答弁をお願いいたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、国立田辺病院でございます。
 白浜温泉病院と国立田辺病院の統合については、過去いろいろな経過があったことはお話のとおりでございます。そうした事情を踏まえて、高度な救急医療、高度な医療等が供給できる総合診療病院の機能を国に強く要望してきたところであり、国の基本計画にもその方向が盛り込まれておるわけでございます。そして、平成四年の開院に向けて現在建築が進められているところでございます。この病院が計画どおりの機能を持った運営がなされるように、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと思います。
 また、国立田辺病院の跡地利用についてでございます。
 これについては、地元で利用計画を検討しているわけでございまして、県としても地元の意向を尊重してその実現に向けて支援してまいりたいと思います。詳しいことについては部長から答弁申し上げます。
 次に、原発に対する認識と為政者としての立場での所信でございます。
 環境問題が取り上げられている現状でございますけれども、原子力発電所の問題については、最近国が発表した長期エネルギー需給見通しによりますと、二○一○年までの導入量には一定の制約があることは認めつつも、石油代替エネルギーとして、また地球環境保全対策を推進する観点からも安全確保対策を充実強化して、国民の理解を図りながら、導入のために最大限の努力をするとされておるわけでございます。
 本県においても、原子力発電所の立地に伴う経済的効果を地域の活性化に役立てようとして市町村がその実現に積極的に取り組んでいるところでございます。私といたしましても、こうした国の考え方を初め、各種の資料、情報等を総合的、客観的に検討しながら、従来から適地性、安全性、地元の同意という三原則を設けて県民の立場で対処しているところでございまして、今後ともこの姿勢を堅持してまいる所存でございます。
 次に、天神崎の保全に対する教育の問題でございます。
 天神崎については、私は自然保護のシンボルとして非常に重要なものだと考えており、その保全にも努めているところでございます。その自然を活用しての観察や学習の場としての適正な利用が重要だと考えております。
 御承知のように、現在まで自然を保護することが先決であるとの考えから、民間運動としてのナショナルトラストにより土地買い上げ等を行い、また県としても田辺市ともども協力して金を出し、保全を図ってきたところでございます。
 議員御提言の自然学習施設等については、自然保護協会を中心として、自然観察センターの建設計画もあるやに聞いておるわけでございます。また一方、田辺南部海岸県立自然公園内のひき岩群周辺において地元の強い要望がございまして、ふるさと自然公園国民休養地整備事業を本年度、来年度で行うことになっております。今後、これらの施設の有機的な連携を図りつつ、自然学習の場として活用できるものと考えておるわけでございます。
 今後、民間団体の盛り上がりや田辺市、地元住民の意見を聞きながら、天神崎の保全について対処してまいりたいと存じております。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 決算審査特別委員会においては、近代化資金特別会計の資金回収の問題や未登記処理問題を初めとして県政各般にわたって幅広い御審議をいただき、人事管理の問題とか予算編成執行の問題、その他の問題など、種々の御指摘をいただいたところでございます。
 私どもとしても、これらの御指摘を踏まえ、例えば公営住宅の管理体制の問題や地籍調査予算の増額など、できる限り改善に努めているところでございます。中には、御指摘をいただきながらも、例えば未登記用地の問題など、直ちに改善を図ることが困難な問題もありますが、できる限り御意見の趣旨に沿って必要な改善が図れるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、原子力発電所が立地した場合の市町村財政に及ぼす影響についての御質問でございます。
 原子力発電所立地に伴う固定資産税については、ただいま御指摘のとおり、地方交付税の算定に当たってその七五%をその団体の基準財政収入として参入されることになります。また固定資産税については、資産の償却に伴い減少していくことも御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、現在の原子力発電所の出力規模から考えますと、もしそういう立地があったとすると、税収は相当多額になるものと考えられ、財政力いかんによっては不交付団体となり、交付税を必要としないほどの税源の確保が図られる場合も考えられるわけでございます。また交付税の交付団体であるとしても、収入に算入されるのが七五%ですので、算入されない二五%の税源が生まれることになるわけでございます。また固定資産税のみならず、原子力発電所とその関連企業や関連施設への雇用機会の創出などの波及効果によりまして、市町村民税の増収などにつながることも考えられるわけでございます。また電源三法による交付金については、地域の公共施設の整備等、住民の福祉と利便の向上に寄与する財源に使える可能性もあるわけでございます。
 しかし、原子力発電所が立地している県や市町村に問題がないわけではございませんで、全国知事会からも国に対して電源地域の恒久的かつ広域的な振興を図るため特別の措置を講ずるよう要望がなされているところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 交通政策についての御質問にお答えを申し上げます。
 まず、交通政策課新設の意義についてでございます。
 近年、交通の高速化、広域化、交通手段の多様化等が進みまして、産業振興、地域活性化を図る上でも交通体系の充実が極めて重要となってきているところでございます。
 関西国際空港の建設、南紀白浜空港のジェット化、近畿自動車道紀勢線の南伸等、本県を取り巻く基幹交通体系の整備が大きく進もうとしているまさしくこのときに、これらを核とした県内、陸・海・空の効率的な交通ネットワークの確立、交通基盤を有効に活用するためのソフト面での施策の展開、地域交通への政策の強化が半島性等、地理的制約を解消するために必要不可欠であると考えているところでございます。
 次に具体的な施策については、鉄道の輸送力強化、過疎地域での県民の利便性の確保等、従来の施策の充実に加えて、関西国際空港のインパクトを最大限に受けとめるためのアクセス交通網の確保、交通の高速化に的確に対応するためのヘリポートネットワークの構築、本県を国土軸上に位置づけるための第二国土軸構想の推進、体系的、効率的な道路網整備を推進するための計画の策定、高速艇を活用した海上交通網の充実等々を強力に推進することとしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 国立田辺病院関連の質問にお答え申し上げます。
 まず国立田辺白浜温泉病院については、国の再編成計画によりその統合が進められているところでございます。本県においては、紀南地方における高度な救急医療施設等の整備が課題となっており、この統合病院建設の基本計画の策定に当たっては、高度な救急医療機能の整備を初め、成人病、特にがんや循環器疾患に対する高度医療、難病、リハビリ、僻地医療等の機能についても要望してきたところでございます。
 二つ目に、現在建設中の新病院の基本計画でございます。
 診療科を見ると十九診療科となっており、現在の国立白浜温泉病院、田辺病院を合わせた十一診療科と比較して充実した内容となっております。また、脳神経外科を中心とした救急医療、がん、循環器疾患に対する高度な診療機能等、あるいは医療従事者の卒後研修や生涯研修を行う地域医療研修センターの機能をもあわせ持っている内容になっております。また診療科については、地域の他の病院との機能分担や地域の医療需要に応じ弾力的に運営していくと聞いており、田辺医療圏における基幹病院としての役割を果たしていただけると考えております。
 なお診療体制については、医師は百床につき十人、看護婦は百床につき四十人とするなど、必要な人員を確保すると聞いております。
県といたしましては、引き続き基本計画の実現及び地域の医療需要に対応した弾力的な運用について、地元と連携を図りながら国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、跡地利用の御質問でございます。
 知事もお答え申し上げましたように、国は跡地の払い下げについては、基本的には自治体または公的な団体を優先したい意向でございます。県といたしましては、地元で公共性のある利用計画を調整していただくことが大切であると考えており、地元の意向を踏まえて国へ働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) カラオケボックスの対応についてお答えいたします。
 本県の青少年健全育成条例においては、カラオケ業者に青少年非行防止の責務、飲酒、喫煙、シンナー吸引等の場所としての提供禁止のほか、保護者等にも青少年の夜間外出の制限の規定が設けられてございます。
 したがって県行政としては、こうした現行条例の規定をもって業者に対する指導と自主規制の徹底を図るなど諸対策を推進し、青少年の非行防止に努めてきたところでありますが、最近の情勢を踏まえ、今後もこうした対策をより強化するとともに、カラオケ営業の実態と青少年問題とのかかわりに深い関心を持ち、青少年に与える影響を見きわめながら、関係機関とも十分協議し、条例改正の要否についても検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 南紀白浜空港ジェット化整備に伴う難視聴問題についてでございます。
 南紀新空港の建設により、白浜町の平草原に位置する民間放送局及びNHKのテレビ中継放送所が航空法の定める水平表面を超えるため、これらを低減する必要が生じたものであります。
 そのため、昭和六十三年度から低減による影響等を調査してきており、それによると一部の地域においてテレビの映りが悪くなると予測されております。その対応策については、議員の御質問にもありました新たなテレビ中継放送所の設置及び個別受信対策並びに県の補助などにより、当該地域に設置された難視聴解消のための受信共聴施設の対策などに関し引き続き詳細な調査を実施し、各関係機関と十分協議の上その対応策を検討してまいります。また、対応策が定まった時点で一般住民への周知徹底を図るとともに、協力をお願いしてまいりたいと存じます。
 なお、田辺湾総合リゾート開発の事業主体においては、この低減を承知しております。
 UHF電波の特殊性については、直進性を有するものであり、その点を考慮の上、調査を実施いたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) カラオケボックスに関する御質問にお答えいたします。
 まず、昭和六十三年度決算審査特別委員会における答弁の三十七店舗、三百六十八室については、昨年十二月末現在の数であります。
 次に、最近の傾向としては、本年六月一日現在で五十七店舗、五百八十七室を把握しており、大幅な増加となっております。また、これの利用者の傾向については、依然としてサラリーマンや主婦グループ、若者が中心でありますが、中学生を含む少年の利用も見られているところであります。
 次に、こうした現状に照らしての対策についてであります。
 警察といたしましては、少年の非行防止、健全育成の立場から、関係団体の協力を得ながら、少年に対する補導活動を強化する一方、カラオケボックス業者に対しては、健全営業に向けての指導を行うとともに、酒類を提供するなど少年の非行を助長する悪質な行為に対し、関係法令を積極的に適用して取り締まりを行ってまいる所存であります。
○副議長(宗 正彦君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 天神崎に関する保全とその教育についてお答えいたします。
 天神崎は、自然環境に恵まれた絶好の自然観察、そしてまた学習の場でもございます。こうした観点から、昭和五十七年に開館いたしました自然博物館においては、教育普及活動として天神崎等における自然観察会を開催してきたところでございます。また地元の学校においては、現地学習の実施や新任教員を対象とした初任者研修において、天神崎の現地見学や自然保護に関する講義などを実施しているところでございます。
 自然環境の教育については、実践的な野外での自然との触れ合いや仕組みを肌で観察し学習することの大切さは議員御指摘のとおりでございます。県教育委員会としては、自然教室やふるさと教育推進事業を進めるとともに、各学校において地域の実態に応じた創意工夫する教育を進めているところでございます。
 天神崎については、関係者の皆さん方の御尽力でナショルトラスト第一号として全国最初の認定を受けたことを十分踏まえて、今後とも自然保護に留意しながら、自然との触れ合いを深めていく教育をさらに進めていきたいと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 順序が若干不同になりますけれども、適宜、再答弁をお願いいたします。
 まず、総務部長。原発との関連で質問をいたしましたが、型どおりのお答えです。
 実は三月二十四日、ある放送で美浜町原発誘致二十周年記念のプログラムがありました。この席上で、美浜の町長なり学識経験者から、よかったというような内容の発言は私にはひとつも感じられなかった。顕著に言われたのは、「建設時には投資的経費も増加するが、後で減じていく。原発による地域発展は幻想である」、「一時的な立地助成金は地方交付税で相殺されてしまう」、「固定資産税が急激に減少していく」、「投資的に周辺の公共建物は増加しているので、これに対する維持費が多く支出されて困る」、「企業の誘致は進まないで、観光収入も一時的であって頭打ちとなり、農業、漁業の基本産業の乱れが目立つ」、以上の五つに集約できたと思います。
 誘致後、既に二十年たった美浜町のいわば反省とも言われるこの放送の中でこういうふうに明確に定義づけられているのに、今でもやっぱり部長は、原発を持ってきたらその地域は発展するんだというふうにお考えですか。五つの項目を具体化しましたから、それぞれにわたってお答えをいただきたいと思います。
 次に、テレビの問題です。
 商店街の意向について質問したんですけれども、これは質問にならなかったんかな。じゃ、改めて。電器屋さんは、テレビを売って幾らではなしに、映るテレビを売って幾らだということが原則なんです。電波が届かないやつを映るようにするためには余計な金がかかり、労力がかかる。あるいは、これでいいと思っているやつが今度はあかんようになった、おまえとこの機械が悪かったんでという格好で、商取引上困る。これは、私はやっぱり商工労働部の管轄であると思う。そういうものの啓蒙もやってほしい。これは、ひとつお答えをいただきたい。
 要望ですが、質問でも申し上げたように、この件については土木部長が一括して答えたような格好ですけれども、私が調査している間でも、あっちこっち聞いて回ってもなかなか連絡ができてない。例えば、田辺のリゾート担当者に聞いても、県からそんな話聞いたことないよ、テレビの難視聴なんて考えてみたこともなかったと、端的に言ってそうです。あるいは農林水産部に、おまえとこでずっと行政上やってきた難視聴解消でようけ金つぎ込んだやろう、今度百十一施設がこういう格好になってきたらどうやって運営していくんだ、指導はどうするんだという話をしても、もうひとつぴんときたような返事がない。だから、お答えは型のごとく「関係各所と緊密な連絡をとりながら前向きの姿勢で取り組んでまいります」という答弁はなさるけれども、現実は余り連絡がとれていない。おまえとこはおまえとこ、わしのとこはわしのとこ、済んだら終わり、こういうことのないようにしていただきたい。これは、土木部だけでは荷が重いと思います。
 飛行場をつくるについては、みんなでやいやい言うけれども、住民の目に見えない被害については解消してやろうという県行政の取り組みが少ない。しかしながら、こういう点が大事だと思います。これをまずやっておかなんだら、飛行場や飛行場やと言うても誘致へ水をかけるような話になってしまう。これも、飛行場はいいけれどもそれを受け入れる基盤を考えておかなければいかんという一つの実例です。
 こういう点もひとつ土木部長、私は幸い建設委員会に属していますから足らない点は委員会でもっと深めますけれども、各部との連携を口だけではなしにもっと根性を入れてきっちりやってほしいなということを要望しておきます。関係部局も、土木部から連絡があるのを待つのではなしに、私とこの部での問題点はこれがあるんだというふうに、むしろ問題提起を各部から土木部に出していく、こういう姿勢を要望しておきます。
 教育の問題については、ちょっと食い違うようですけれども、後刻、十五年前の議会でのやりとりの明細をお届けします。十分勉強していただきたいと思います。教育部門としては、十五年前から余り進んだ取り組みをしていないなということがおわかりだと思う。
 たしか、三月県会の文教常任委員会の中では、このことについても論議があったという委員長の報告ですけれども、それを掘り下げて、どういう点での論議が委員会の中でなされて、教育委員会としてはどう受けとめているのかについては後刻承ることにして、本日は答弁結構です。
 以上。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 先ほどは、原子力発電所が立地した場合の市町村財政への影響ということについて申し上げたわけでございますが、これに対して、たしか福井県の美浜町の例かと思われますけれども、増収があっても交付税で差し引かれるとか、固定資産税は減少していくとか、施設を使えば維持費が大変とか、その後、必ずしも企業進出、観光開発が進んでいないケースもあるという御指摘をいただいたわけでございます。
 まあ、これは一般論でございますので、どちらのケースもあり得るんではないかと思いますが、原子力発電所の立地が地域の活性化につながるか、つながらないのか、それはそのインパクトをどう生かして持続的な活性化につなげる地域づくりをするかどうかというその方向づけによるのではないかと考えられるわけでございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、田中実三郎君の質問が終了いたしました。

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