平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会六月定例会会議録 第 三 号
 
 七月 三日 (火曜日) 午前 十時 四分 開議
  午後 三時 七分 散会
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議 事 日 程 第三号
  平成二年七月三日(火曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 44番中村千晴君。
 〔中村千晴君、登壇〕(拍手)
○中村千晴君 おはようございます。
 雨も小やみになったようでございますが、先日来の大雨で九州地方では二十数名の死者、行方不明者が出るなど大きな被害が出ております。犠牲者の方々の御冥福をお祈りするとともに、被災地の皆さん方に心からお見舞いを申し上げるものでございます。また、梅雨前線の活発化により、今後、本県も十分注意を要するのでありますが、警戒その他作業に当たられる職員の皆さんにも大変御苦労をおかけすると思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 では、お許しをいただきましたので一般質問を行うことにいたします。内容は通告のとおりでありまして、その順序に従って質問を行います。
 まず県の長期総合計画に関して、一番目の問題は計画の進捗状況と目標達成への見通しであります。
 本年は長計第一次中期実施計画の目標年次であり、二十一世紀を目指しての県勢の発展、県民生活の向上、文化環境の充実を推進するための十五カ年計画の一区切りとなる時期と位置づけられた年であります。また、仮谷県政第四期目の最終ラウンドに入っていく年ともなります。こうした意味合いから、今回再び長計に関する問題の幾つかを取り上げて質問をすることにいたします。
 まず、知事にお尋ねをいたします。
 今、第一次中期実施計画の最終年次に至って県内外の情勢の変化が著しいこのとき、計画の進捗に当たって、あなたはどうした県行政の状況にあると判断されておりますか、知事としての所感をお述べいただきたいと思います。
 次に、県長計は昭和三十九年以来、四次にわたって策定されてきたのでありますが、実施計画が策定されたのは今回が初めてであり、知事の英断と担当者の方々の御労苦に改めて敬意を表することにやぶさかではありません。その実施計画もいよいよ本年度をもって第一次が終了することになるわけでありますが、有終の美を飾る意味から、終了を待って第一次実施計画全体のフォローアップを行い、県民に報告することが必要ではなかろうかと思考いたします。これについての行政事務が予定されているとすれば、そのプロセスをお示しいただきたいと思います。
 次に、本年十月には国勢調査が行われ、国民生活の実態、動向が明らかにされます。長計策定の中で非常な苦心を要されることの一つに人口フレームの推計があります。前回の国調の昭和六十年は長期計画策定中のころであり、その時点で本県の人口は百八万七千二百六人、前々回国調の昭和五十五年からの五カ年間で百九十四人の人口増でありました。しかし、本県の人口は昭和五十九年以降年々減少の一途をたどっており、年間二千人余りが減り続け、昨年はようやくにして前年比五百九十一人のマイナスに落ちついたという状況であります。一方、長計予測では、本年の県内人口は百九万五千人と推計されていたのでありますが、実態とは相当な開きがあると考えられます。当局ではこの乖離をどの程度と予測されておりますか、またこの一年間の人口増減の傾向はどうなっているのか、さらに将来の見通しについて県内人口の動向をどのように予想されているのか、長計に掲げられた数値と比較してお答えいただきたいと思います。
 次に、長計に示された行財政の運営に関する県の投資的経費の見通しについてであります。
 昭和六十一年から六十五年すなわち平成二年の本年まで、既に執行された分と本年度予算執行見込みを含め、この五年間での投資的経費は長計では五千三百二十億となっておりますが、実績としてどの程度の額となるのか、また目標年次の平成十二年まで、今後の見通しとして長計では一兆九千百六十億円と計画されておりますが、どう試算されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、質問を二番目の公共投資十箇年計画との関連についてに進めることにいたします。
 昨年九月以来懸案であった日米間の構造協議が、去る六月二十八日夜ようやく最終報告がまとまり、閉幕しました。そして、最終報告に明示された日本側の改善策は臨時閣議において内容の了承がなされ、今後、我が国の政策に反映されていくことになる運びとなったのであります。
 御承知のとおり、公共投資は十年間で総額四百三十兆円での決着となったのでありますが、その経緯からも明らかなように、二十一世紀の社会づくりの理念や方針が皆無であり、ただ数字だけがひとり歩きしているとの指摘がなされるところとなっております。しかし、ともあれ公共投資十箇年計画の内容が数字として提示されたのであり、資金配分に当たってはおくれている生活関連の社会資本の整備や教育施設整備に重点的配分を行うべきであり、同時に地価の抑制に強力な取り組みが必要とされ、あわせてインフレ回避に十分配慮すべきであります。翻って、これがもたらす本県への影響も大きなものとなってくると推察されるのであります。昨日、石田議員からも御質問がありましたが、地方自治体の最高責任者としての立場にある知事は、本県の長期総合計画の遂行に関してどうした問題が懸念されるとお考えか、御所見を承りたいと思います。
 また、影響がすこぶる大きなものとなり、特に長計の最終年次の目標値の見直しが必要となった場合どのように対処されるのか、直截的に中期実施計画で目標値の修正をしていくのか、抜本的に最終目標値の上方修正を長計そのものに対して行うという措置をとるのか、基本的な方針をお示しいただきたいと思います。
 次に、公共事業のうち特に住民生活に密着度が高く、しかも他府県に比べて整備のおくれが著しい下水道問題についてでありますが、これに関する質問は先般も行っておりますので、今回は公共投資十箇年計画に関連して端的にお尋ねをすることにいたします。
 国の整備目標は現九○年度見込み四四%でありますが、これを二○○○年に七割程度とするとあります。それに比べて本県は、八九年度末すなわち本年の三月末時点で三%、言うまでもなく全国最下位であります。二○○○年での長計目標値が三九%、これが仮に完遂できたとしても全国平均より十年以上のおくれとなります。しかし現実には、現時点での中間目標が一一%と設定されておるのにそれさえクリアできず目標に遠く及ばないという極めて厳しい状況下にあり、文字どおり遅々として進まぬ下水道の実態であります。来年度の政府予算要望にも下水道整備の促進は確かに入れられてはおりますが、それとても昨年の要望よりも後退した内容となっております。土木部長より、この窮状をどう克服するのか、決意ではなく具体的な施策についての御説明をいただきたいと思います。
 長計に関する質問の最後は、第二次中期実施計画の策定についてであります。
 まず、国の公共事業五箇年計画との連動性についてお尋ねをいたします。
 明年を五年度とする五箇年計画が、建設省関係では第五次都市公園整備計画、第六期住宅建設、第七次下水道整備計画等々があり、運輸省関係でも第五次海岸事業、第六次空港整備、第八次港湾整備の各五箇年計画がそれぞれ策定される運びになろうとしております。これらは、ちょうど本県の第二次実施計画の初年度と合致することになり、この際、これと連動させてはいかがかと思うのであります。それとともに、各五箇年計画を本県の第二次実施計画にそのまま取り入れて、平成三年から七年までの五カ年の中期実施計画として策定してはいかがかと考えます。もちろん財政フレームとの関係もあろうとは思いますが、本長計の末尾のところに「当面五か年程度の主要な事業と施策に関する中期実施計画を策定する」との記述もあることであり、ぜひ御一考をいただきたく、御答弁をお願いいたします。
 次に、策定の進行状況であります。
 既に第一次の期間も終わり、残りわずかとなった今、鋭意策定作業に取りかかっていると思いますが、その状況、また策定完了の予定時期等についてお知らせをいただきたいと思います。これは特に、長計の推進本部長であり実施計画の策定委員長でもある西口副知事より御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、二項目目の燦黒潮リゾート構想の推進についてお尋ねをしてまいります。
 その一番、総合保養地域整備法すなわちリゾート法でありますが、これの承認見通しについてであります。
 去る昭和六十二年制定のリゾート法施行以来、近年の好況の波に乗って全国各地でリゾート開発がブームとなった感があります。しかし、地価の高騰、人手不足、環境破壊等々の問題が惹起し、先走った地域では改めて計画の見直しを余儀なくされているところも出始めているという状況となっております。こうした中で本県も、待望のリゾート構想がいよいよ出番間近の気配が濃厚となってまいりました。昨年度行われた県民世論調査では、リゾート進出を是とする意見が否とする意見より大きく上回ったとのことであります。
 そこで、まず知事にお尋ねをいたします。
 この県民世論調査の結果を受けて、今後のリゾート政策の展開について知事はどのようなお考えを持たれているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 このほど、国土利用計画法に基づく監視区域の対象地域の拡大等の変更が県より発表され、リゾート法の承認を予定している県内七地域の重点整備地区のうち和歌山、海南、田辺、白浜の一部は既に指定されておりますが、残りもすべてが区域指定されました。燦黒潮リゾート構想の承認を見越して、地価の高騰を防止するための措置であります。
 しかし、肝心の燦黒潮リゾート構想の方は一体どのような状態の中で承認待ちとなっているのか。昨年五月十九日、承認申請の前手続となっている基礎調査書がようやく国土庁へ提出されました。その後ちょうど一年を経過したのでありますが、これについては我が党の森本明雄議員からも先般質問がなされ、私も今日まで再三質問いたしておりますので、それらの答弁を踏まえてお尋ねすることにいたします。
 基礎調査書提出の後、昨年六月十六日に各省庁合同の第一次ヒアリングがあり、その後十一月十六日に第二次合同ヒアリングが行われたとの報告があり、調査書の審査は進んでいるとも思われるのでありますけれども、私の手元にある国土庁の資料によれば、本年五月三十日現在で承認済みの構想は六十三年七月、トップに行われた三重県の構想以降、本年五月二十八日付の福井県まで二十一道府県、承認申請中が熊本、青森、愛媛の三県、そして基礎調査書提出が十六県、そのうち提出順で本県は三番目となっております。こうした状況の中、当局は承認の時期についてどのような見通しを立てておられますか、また今日に至った遅延の要因は何であったと考えておられますか、お答えいただきたい。
 私は、本構想の審査の過程でウイークポイントとなるのは、構想の地域が本県の海岸沿いに南北に細長いという地形上の問題と、いまひとつは民間事業者の参入が明確となっていないのではないかという点に危惧を持つものであります。
 国の承認に当たっての国土庁等六省庁の基本方針では、この民間事業者の参入という点についてはこう述べております。「当該地域において相当数の民間施設が現に整備されつつあり、または今後整備される見込みがあること」とあり、その見込みとは「施設の概要、実施時期等、民間事業者による具体的な整備計画が存在し、かつその実現性を担保するものとしての立地可能性調査、施設整備に関する意思の表明等が行われているかどうかによるものである」と規定しております。
 そこで質問でありますが、参入民間事業者の概数と事業総額の概算見込み額はどの程度と試算されているのか、お教えいただきたい。ちなみに、承認済みの他府県の構想では、民間のみの事業費総額は大きい方では千葉県の九千五百億円をトップに、福岡県では五千億円、兵庫県──これは淡路島でありますが、面積は本県構想の十六万二千ヘクタールの約三分の一強の六万ヘクタールで、事業費は四千億円となっております。少ない方では埼玉県の九百億円、福井県、宮城県がそれぞれ一千百億円と発表されておりますが、本県も今の時点でおよその見込みは立てておられると思いますので、この際、お示しいただきたいと思います。
 二番目の問題、承認構想の推進体制と諸問題についてであります。
 まず、リゾート整備に何としても避けなければならないのは乱開発であり、無謀な自然破壊、環境破壊であります。こうした行為を防止しリゾート地を守るため、兵庫県では淡路島の良好な地域環境の形成に関する条例を制定しております。また、三重県ではリゾート地域における県税の特例措置条例で税優遇措置を制定しているとともに、中小企業者向けのリゾート振興資金融資要綱をつくって制度化融資を行うことになっております。京都府では府税条例の一部改正による措置等と各府県での対応はさまざまでありますが、本県では、秩序ある開発を行い、それとともにリゾート地域の地元産業の発展、中小企業の振興育成のためどのような措置を講じられようとしているのか、条例、要綱制定についての予定をお答えいただきたいと思います。
 次の問題として、地価抑制策の監視区域の指定についてお尋ねをいたします。
 前段申し上げましたが、去る六月二十九日、重点整備地区となる予定地がすべて監視区域に指定され、七月十六日から実施されることになりました。しかし、今後、仮に構想承認の段階で区域の変更があった場合どう対処されますか、お尋ねをしておきます。
 また、この措置によって地価抑制の効果が上がるのかどうか。今回の変更すなわち強化措置の発表に対して、リゾート構想地域以外の一部の地域では反対の意見も出されているようでありますが、参考に現在までの届け出状況について、件数、土地利用審査会の審査対象、勧告の有無等を情勢判断とあわせて御報告いただきたいと思います。
 また、六月二十七日、市町村への土地取引の届け出内容に新たに資金計画書の添付を義務化し、借入金がある場合は借入先、借入額、返済期日などの記載等を求めるとの通達が国土庁から出されましたが県はどう対処されましたか。いつからどのように実施するのか、予定等を含めて御説明いただきたいと思います。
 次に、構想の推進体制についてであります。
 このほど、県の素案概要が送られてまいりました。それによれば、重点整備地区ごとに推進連絡協議会を設けるとなっておりますが、関係地方公共団体、民間事業者に学識経験者等を加えた官民一体の構想地域全圏規模の推進機構の設置も望ましいのでありますがどう対応されますか、お答えいただきたいと思います。
 次に、三点目のゴルフ場に対する行政の対応についてお尋ねをいたします。
 燦黒潮リゾート構想の素案概要によれば、和歌山市加太、紀泉地区を初め七カ所の重点整備地区のそれぞれの主要施設として挙げられているのがゴルフ場であります。枯木灘地区以外の六地区すべてに予定されております。今は、確かに健全なスポーツとしてのゴルフの存在は大衆化し、需要度は非常な高まりを見せております。しかし、最近の傾向としては地元住民から歓迎される施設として受け入れられることが必ずしも容易なものではなくなり、その主たる原因は農薬散布による環境汚染の不安、そしてもう一つは森林開発に伴う形状変更による災害の不安であります。したがって、地域住民の不安を解消するためゴルフ場の農薬使用の現況を明確にし、住民生活の安全確保のための適切な対応が望まれるところとなっております。
 そこで質問でありますが、現在、県内で営業中のゴルフ場と造成中、届け済みのもの及び事前協議の段階にあるもの等々、それぞれの箇所数をお教えいただきたい。また、現在までにゴルフ場にかかわる農薬使用による汚染状況の調査がなされていれば、その実態を御報告ください。
 厚生省は、このほど農薬二十一種を対象に水道事業に関する取水口での暫定基準を設け、チェックを行う旨の通知を地方自治体に出されたのでありますが、当局はどう対処されましたか。
 また、農薬汚染に関して、大阪府では指導要綱を設け今月から施行との報道がありましたし、熊本県では要綱でさらに総量半減に規制強化するとの報道もあったことは御案内のとおりであります。本県では、ゴルフ場での農薬規制については基本的にどのような方針で臨まれますか、また全ゴルフ場を対象とした実態調査についての考え方をお示しいただきたいと思います。
 次に、ゴルフ場の造成についてであります。
 林野庁は、六月十一日、ゴルフ場やスキー場、宿泊レジャー施設の建設などに伴って、森林が持っている土砂崩壊防止や水源涵養などの公益的機能が低下するのを防ぐため、現行の保安林制度と林地開発許可制度を見直し、森林の開発転用規制を強化することを決めた通知を出されたのであります。それによれば、ゴルフ場の開設においては、全体面積のうち森林率が現行の四○%から五○%に引き上げられ、周辺部及びホール間に配置する森林幅が現行の二十メートルから三十メートル以上にするとの規制が強められたのであります。これに対してどのような措置をとられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 四点目の、世界リゾート博の開催に当たってお尋ねをいたします。
 「関西国際空港が開港する平成五年の夏を目途に開催する世界リゾート博」、主会場は和歌山マリーナシティ、会期は約七十日間、目標入場者数は百万人とする基本計画が決定と、「県民の友」六月号によって県下全域に大きくPRがなされました。本県の燦黒潮リゾート構想の推進に大きな役割を演じるものと、その成功を心から期待するのであります。
 その大要については、過日配送されてきた基本計画書によって知ることができるのでありますが、今は基本計画の段階であり、今後、実施計画において綿密な作業に入っていくものと思われますが、先手必勝の気構えと行動で万事抜かりのない対応をお願いしておきます。そして、願わくはせっかくのこの博覧会イベントが大成功をおさめるよう、行政はもとより、地元住民、各産業界等、こぞって参画できる官民総ぐるみの開催となることを強く要望しておきます。
 そこで、基本的な問題について二、三お聞きしておきたいと思います。
 まず、開催の事業主体についてであります。
 計画書には運営母体として仮称博覧会協会の設置とありますが、事業主体についての考え方が定かではなく、例えば事業主体は県で行い、運営万事を協会に委託して行おうとするのか、あるいは協会が事業すべての主体者となって運営を行うという方針なのか、明確にお示しいただきたいと思います。
 また、世界リゾート博の展開としてプレキャンペーン、ポストキャンペーン事業が示されておりますが、リゾート博開催前後の事業もすべて同一の事業主体が行おうとするのかどうか、またこの期間は全期間を通じてどの程度と計画されておりますか。特に、ポストキャンペーンは平成五年以降と記されておりますが、責任の所在を明確にしておくべきだと思考いたします。
 事業規模についてでありますが、開催事業費総額はどの程度と予定されておりますか、お聞かせいただきたいと思います。また今後のスケジュールでありますが、博覧会協会設立準備会の設置状況と協会設置までのプロセスを御説明願いたいと思います。
 次に、最後の長寿社会総合福祉対策について質問を行うことにいたします。
 まず、一番目の高齢者保健福祉推進十か年戦略に関してであります。
 本年一月、高齢化社会に対応する県の長期ビジョン、長寿社会総合対策指針が発表されました。かねてより要望を続けてきた者の一人として、当局の御労苦に敬意を表する次第であります。
 ところで昨年末、国の方でも高齢者の保健、福祉の分野で、今世紀中に実現を図るべき目標を掲げた高齢者保健福祉十か年戦略が発表されたのでありますが、まず知事にお尋ねをいたします。
 「健康・福祉和歌山」を県政推進の三本柱の一つに立てられ、行政に大きな比重をかけられてきた知事として、この十か年戦略の戦略的価値についてどのような判断をなされておりますか、見解をお示し願いたいと思います。
 次に、県の対策指針との整合性についてであります。
 発表は政府の十か年戦略の翌月になったのでありますが、県の指針の策定は既に昨年九月末に決定されており、実質は国に先行したものとなっております。県の指針の中で示された目標は、ホームヘルパー、ショートステイ、デイ・サービス等は在宅三事業、三カ年緊急整備として目標値が掲げられておりますが、特養、保健施設は平成十二年の目標値、ケアハウスについては目標値が出されていないなど、若干の差異が見受けられるのであります。したがって、国の十カ年目標との整合性はどう図られていくのか、お聞かせください。
 また、本県ではいち早く在宅三本柱のカード制の実施など、住民サービスの向上に特段の措置を講じられたことは、まことに時宜にかなったことであり、意を強くするものであります。さらにその拡充を図る意味から、未整備の市町村の整備目途についても、この際、お示しいただきたいと思います。
 また、個人住宅の高齢者あるいは身障者用の改造について専門家の担当による相談窓口の設置が望まれます。さらに公営住宅の建設計画についても、明年からの建設五カ年計画の中に高齢者、身障者向け住宅の枠組みを導入し、建設の年次計画をぜひとも実現していただきたいのでありますが、あわせて御答弁を求めます。
 二番目、地域福祉の充実について。
 県の長計には、三層の福祉圏の設定として、小・中学校区を小域福祉圏、市町村域を基本福祉圏、そして郡・市域を広域福祉圏として記述されておりますが、老人福祉法の今回の改正により特養の入所決定権が市町村事務に移行ということなど、基本福祉圏の責務はますます重要となってまいります。また広域福祉圏については、市・郡とするのか県事務所単位とするのか、あるいは広域市町村圏をそのまま充てるのか、保健所のサービスエリアとの兼ね合いもあり、どう定義づけるかも明確にしなければなりません。こうした状況にかんがみ、三層の福祉圏の基本方針と整備の現況を御説明いただきたいと思います。
 また、高齢者保健福祉計画の策定についてはどのように策定準備に当たれておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
 さらに、ボランティア活動の市町村ごとの連絡協議会の設置状況と見通しについても、あわせてお示しいただきたいと思います。
 三番目、総合福祉センター──仮称でありますが、これの建設について。
 長寿社会の振興に伴い、高齢者対策は年々拡大され、内容も高度化、多角化してまいります。したがって、それらを統合し、機能的な活動、研究、開発の拠点として総合福祉センターの建設が必要とされるのであります。
 先月末、和歌山市内の旧国鉄操車場駅跡地六・九ヘクタールの処分について、清算事業団に対して処分審議会の答申が出されました。これについては、今議会冒頭、知事からも報告がなされたのでありますが、答申では「県内各地の健康・福祉関係の核となる施設を整備する立地条件に恵まれている」とされております。具体的なことは後日の問題として、今回はその基本方針について御説明をいただいておきたいと思います。
 質問が数多くなりましたが、どうかその趣旨を生かされ、当局は的確な御答弁をお願いしたいと思います。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村千晴君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村千晴議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、長期総合計画でございます。
 現在進めておる第一次中期実施計画の最終年次になっておりますけれども、知事の所見と中期実施計画のフォローアップについてでございます。
 お話ございましたように、今次の長計は四次長計でございますけれども、初めて中間的な中期計画を策定し、その進行管理を行っておるわけでございます。まだ一次の中期計画の実施段階中でございますので達成状況が明確ではございませんけれども、順調に進行しつつあると思っておるわけでございます。
 この中でも、関西空港、高速道路の南伸、白浜空港、こうしたビッグプロジェクトが順調に進んでおるし、また新大阪乗り入れ、マリーナシティ等において和歌山県は明るい経済見通しがあると感じておるわけでございます。今後の県政において大きな飛躍が考えられるのではないかと存じておるわけでございます。
 また、話ございましたように一九九○年代の初頭であり、これからが和歌山県にとって非常に重要なときでもございます。それゆえに、第二次の中期実施計画についても全力を注いでまいりたいと思います。また、第一次中期実施計画の進捗状況については何らかの形で示してまいりたいと思っております。
 次に、長期総合計画と公共投資十箇年計画との関連の問題でございます。
 昨日も石田議員にお答え申し上げたところでございますけれども、今後、国において生活環境、文化に重点を置いた推進方向が考えられると思います。そういう意味から、本県の社会資本の充実の面において大きなチャンスでもございますし、有利な状況が生まれてくるのではないかと思っております。その具体的な実施方法については、国の予算獲得の時期、また長期五カ年計画の策定時において、本県の各施策がその分野において十分採択されるように取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
 なお、御指摘ございました長期計画の最終年次の目標値の見直しについては、今後、本県における社会資本の充実、社会環境等を十分勘案しつつ対処してまいりたいと存じておるところでございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想の推進に関してでございます。
 県民世論調査の結果に基づいての県のリゾートに対する考え方ということでございます。
 県民世論調査において、豊かな自然を生かしながら、スポーツやレクリエーション、文化施設を持ったリゾート開発についてどう思うかという調査を行いました。それに賛成が六二・三%、反対が二三・四%で、リゾート開発に対する高い関心度がうかがわれるわけでございます。
 特に年齢別に見た場合、二十代の若者の七五%強の方々がリゾート整備を通じて魅力ある雇用の場が確保され、またスポーツ、レクリエーション施設や文化施設が整備された快適な町づくりに大きな期待を寄せていることがわかるわけでございます。若い人たちが、定住のためにもリゾート政策を積極的に推進してまいりたいと考えていることがうかがわれるわけでございます。
 ただ、二割強の方々が反対と答えております。その内訳は、余り進めるべきではないが一八・三%、進めるべきではないが五・一%でございまして、その大半の皆さんがリゾート開発による自然破壊を懸念されているわけでございます。
 和歌山県のリゾート開発というのは、本県のすばらしい自然を生かした特色が発揮できることを考えておりますので、こうした意味からもリゾート開発の推進に当たって、自然を尊重しながらの開発、自然環境が調和したリゾート整備を今後進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 それから、昨年末に高齢者保健福祉推進十か年戦略が発表されましたけれども、この価値についての考え方でございます。
 日本は、世界の中でも高齢化社会が進んでおります。二十一世紀を間近に控えて、これから超高齢化社会になってくると思うんです。未踏の時代を迎えるわけですけれども、そうした際における保健福祉施設の充実、個人の生活、社会全体のあり方、こういうものが問題にされると思うのでございます。こうした時期に十か年戦略が出されました。個々の施策はもちろんでございますけれども、国民全体が高齢化問題を考える契機という意味においても高く評価するものでございます。
 次に、長寿社会における総合福祉センターの建設でございます。
 健康・福祉ということを、私はかねがね強く訴えてまいっておるわけでございます。中村議員から話ございましたように、国鉄操車場駅跡地における問題、また清算事業団の答申と関連して、現在この利用について保健と福祉、また婦人、少年関係等を兼ね合わせたセンターとして検討すべく、各方面の意見を承っていかなければならないと思っておるところでございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 第二次中期実施計画の策定状況についての御質問であります。
 第二次中計の策定に当たっての取り組み姿勢等については、去る十二月議会において御報告を申し上げたとおりでありますが、基本的には間近に控えた関西国際空港の開港、南紀白浜空港のジェット化整備、あるいは近畿自動車道の南伸等によるインパクトをでき得る限り生かした施策の展開を図っていくことが重要であろうと考えております。こういった基本的な姿勢に立って、去る五月二日に県長期総合計画推進本部会議を開催して具体的な作業をスタートさせたところでございます。
 現在、庁内各部局から成る計画調整部会を中心として年度内に計画策定を完了すべく鋭意作業を進めているところでございます。また、市町村の計画との整合性を図るために六つの定住圏別の意見交換会を実施いたしまして、この六月に終了したところでございます。
 平成三年度を初年度とする第二次中期実施計画の期間は、来るべき二十一世紀を展望したときに県勢を大きく飛躍させなければならない極めて重要な時期でもございまして、将来を見通した社会資本の整備、健康、福祉、教育、文化等、各般にわたる施策を効率的、計画的に推進して長期総合計画の目標達成のために努力をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、県長期総合計画に関しての御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、人口予測との乖離と今後の見通しについてでございます。
 昭和四十年代からの高度成長期から安定成長期という全国的な推移の中において、本県人口は昭和五十七年度までは増加を続けてまいりましたが、その後の円高等の影響により本県の約七割を占める基礎資材型産業の構造不況から、五十七年度の百九万人をピークに減少傾向に転じたところでございます。しかしながら、近年、本県産業界の自助努力、並びに先端産業を中心に企業誘致に努めた結果、景気は回復基調に向かっておるところでございます。平成元年度鉱工業生産指数は、昭和六十年を一○○とした場合一○六・五で、対前年の伸び率では近畿の平均を上回った数値となってございます。
 本県の人口は、長期総合計画における平成二年度の目標値百九万五千人に対し、平成元年度は百七万九千二百六十四人となってございますが、ただいま申し上げた諸状況を勘案すると、平成二年度においては増加に転じるのではないかと考えてございます。ちなみに、平成二年四月における対前年比では増加しているところでございます。
 県政全体のトレンドについては、先ほど知事から答弁がございましたが、さらに本県が現在取り組んでいる地域産業の高度化に寄与することを目的とした頭脳立地構想や燦黒潮リゾート構想、さらには民間による大規模宅地開発などアメニティー高い職・住・遊近接型のふるさとづくりを推進していくことにより、今後の見通しとしては明るい方向で進むものと考えているところでございます。
 第二点は、中期実施計画を五カ年計画にしてはどうかということについてでございます。
 さきの十二月議会における議員の御提言を踏まえて、計画の期間については鋭意検討を重ねてきたところでございますが、当面は関西国際空港の開港を大きなターゲットとしての取り組みが重要であること、中期実施計画をより実効ある計画にするためには、二十六分野にわたる期間内の見通しの的確な把握が必要であること、本県を取り巻く社会経済情勢の変化に対応しての即応性、また計画期間内における最大限の投資的経費の的確な把握が必要であること等々の観点から、第一次中期実施計画同様に三カ年程度が適当ではないかと考えておるところでございます。
 なお、議員の御提言の趣旨を十分踏まえて、国の住宅、下水道等の五カ年計画との整合性に留意しながら、第二次中期実施計画を実りあるものにすべく積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、燦黒潮リゾート構想に関連した御質問のうち、第一点は総合保養地域整備法の承認見通しについてでございます。
 リゾート法に基づく基本構想の承認申請についてでございますが、その事前手続として昨年五月に提出した基礎調査書は、本年五月八日におおむね妥当であるとの結論を得たところでございます。議員御指摘のとおり、国の承認手続がピークとなっているところでございますが、現在、本県を含め、三県が承認申請に当たっての最終の協議を進めているところでございます。今後とも、一日も早く承認が得られるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 第二点は、民間事業者の概要等についてでございます。
 参入民間事業者の概要については、既に公表されている松下興産、丸紅、東急不動産のほか、数多くの進出を希望する企業と現在、鋭意協議しているところでございます。
 なお、燦黒潮リゾート構想の事業総額については、現在その事業内容等について国と調整中でございますが、他府県に比べても遜色のない規模、内容になるものと考えてございます。
 第三点は、地元産業の振興、企業育成についてでございます。
 本県には、梅、ミカン、野菜などの農産物、新鮮な魚介類、伝統的な地場産品など、本県のリゾートを特色づける資源が豊富にございます。こうした資源を活用し、リゾート客へのサービスの向上に努めるとともに、地域振興の効果をより高めるため、地域の農林水産業や商工業のリゾート産業への参画、新規リゾート産業との相互連携を積極的に促進することにより、地元産業の振興、中小企業の育成を図ってまいりたいと考えてございます。
 なお、お話のありました融資制度については、事業者の意向を勘案しつつ、既存の制度との調整を図りながら検討してまいりたいと考えてございます。
 第四点は、秩序ある開発の進展についてでございます。
 本県のリゾート整備は、すぐれた自然環境のもとで初めて成り立つものでございますので、こうした意味においても開発と保全の調和に努め、自然環境に支障が生じないよう十分配慮してまいる所存でございます。
 なおリゾート地の景観については、リゾート施設の景観に配慮するだけではなく、周辺の町並みもリゾート地にふさわしい景観を形成することが必要かと存じます。
 そこで現在、県では先進地事例を収集し、リゾート地の景観のあり方について検討を深めるとともに、今後はこうした事例をもとに、地域住民の御理解、御協力をいただきながら、一体となってリゾート整備を進めてまいりたいと考えてございます。さらに開発規制の条例についても、今後の課題として研究してまいりたいと考えてございます。
 第五点は、税優遇に関する条例についてでございます。
 リゾート法に基づき税制上の特例措置が講じられるものとしては、国税では法人税、所得税、県税では不動産取得税、県固定資産税、市町村税では特別土地保有税、事業所税、固定資産税がございます。
 特例措置を受けるためには、県税では不動産取得税、県固定資産税についての特別措置の条例制定が必要でございますので、本構想の推進を図っていく上から、承認後の条例制定に向けて検討を行っているところございます。また、市町村税では固定資産税についての特別措置の条例制定が必要でございますが、関係市町に協力を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 第六点は、構想の推進体制についてでございます。
 承認後の推進体制についてでございますが、現在、各重点整備地区ごとにリゾート整備を推進し、地域の振興を図るための協議会の設置を進めているところでございます。また、リゾートに造詣の深い学識経験者を招き、講演会等を行ってきたところでございます。今後とも、学識経験者の協力も得ながら特色のあるリゾート整備を進めてまいりたいと存じます。
 御指摘の推進組織については、今後の課題として受けとめさせていただきたいと存じます。
 第七点は、国土法の監視区域との関連についてでございます。
 リゾート開発関連で地価上昇のおそれのある地域については、国の運用指針により監視区域に指定したところでございます。リゾート法の承認については、現在、関係六省庁と基礎調査書等で十分調整を図り、構想案の最終協議の段階でございまして、地域の変更はないものと考えてございます。
 次は、土地取引の届け出件数等についてでございます。
 地価の監視区域については、昨年三月に和歌山市の商業地域を指定して以来、昨年九月、本年三月と三回の指定を行ってきたところでございます。この指定によりまして、届け出件数は昭和六十三年の六百四十四件に比べ平成元年は千四百三十件に増加するとともに、価格や利用目的についての指導件数も、昭和六十三年は四十三件で届け出件数の六・七%に比べ平成元年の指導件数は三百十六件、二二・一%に増加してございまして、監視区域制度の効果が発揮されたものと考えてございます。
 なお、指導に従わない場合は、和歌山県土地利用審査会の意見を聞いて届け出者に取引を中止するよう勧告することになってございますが、現時点では行政指導に従わなかったケースはございません。今後、地価動向を十分見きわめながら、監視区域制度を厳正に運用してまいる所存でございます。
 次は、土地取引の届け出制度に係る資金計画書の添付についてでございます。
 平成二年三月二十日の国土利用計画法一部改正の施行により、監視区域内における一年に満たない短期間の転売については、投機的取引かどうかの判断に資するために事業計画等の添付を義務づけてございます。さらに、六月二十七日付の国土庁からの通達により、投機的な土地取引を金融面からより一層厳しくチェックするために資金計画の提出をあわせて求めるものでございます。県といたしましては、こうした通達に基づく制度を活用しながら投機的取引の抑制に努めてまいります。
 次に、ゴルフ場についてでございます。
 県下ゴルフ場の状況は、営業中が二十カ所、造成中のものが三カ所ございます。また、昭和六十三年十二月一日に届け出制度を開始する以前から各個別法で事前協議中のものが七カ所、その後の届け出制度により受理したものが九カ所、そのうち七カ所が事前協議中でございます。
 最後に、世界リゾート博の開催に関連してお答えを申し上げます。
 第一点は、開催の事業主体等についてでございます。
 世界リゾート博は、行政だけでなく民間を初め県内各界の力を結集し、県、市町村、経済団体、各種団体等により構成する博覧会協会(仮称)を設置し、推進してまいりたいと考えてございます。
 こうした考え方をもとにして近く準備会を発足させ、本年度末までに博覧会協会の事業内容、組織などを明らかにしてまいりたいと考えております。
 第二点は、キャンペーンの事業主体等についてでございます。
 この博覧会を促進し効果あるものにするために、開催前後のキャンペーン事業を官民一体となって盛り上げていくことが重要でございます。したがいまして、具体的な事業計画等については、本年度策定を予定している実施計画の中で博覧会協会みずから実施するキャンペーン事業、また関係機関等にお願いして実施していただく事業等を明確にして、より効果のあるものにしてまいりたいと考えてございます。
 第三点の、地方博覧会における事業費でございますが、入場目標者数や博覧会の内容等によって左右される度合いが大きいため、今後、実施計画、実施設計を策定していく中で健全かつ効率的な財政計画を立ててまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 昭和六十一年に策定した第四次長期総合計画において、平成十二年度までの十五年間の投資的経費の見通しとしては一兆九千百六十億円を見込みまして、うち昭和六十一年度から平成二年度の五年間で五千三百二十億円を計画しておりましたが、各年度の予算編成・執行において県勢活性化のため投資的事業への財源の重点配分を行ってきたこともございまして、この間、平成二年度当初予算を含む五カ年度の実績としては六千三百八十七億円となっております。
 また、先ごろ日米間で合意された公共投資十箇年計画のもとで、今後、投資的経費の増加が期待されることもございまして、真に県民のニーズに適合した事業への配分という観点から、より一層事業の重点化を図りながら、長期総合計画の着実な実行、効率的、計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 公共投資十箇年計画と関連して、おくれている下水道の整備への対応についてでございます。
 県では、下水道の整備促進を図るため、昭和五十五年度から紀の川流域下水道事業に着手し、鋭意努力をしているところであります。また、和歌山市等、公共下水道事業に着手している都市においては既に相当額の投資を行っておりまして、今後はその効果が次第にあらわれるものと考えております。しかし、本県の市町村は下水道事業の着手がおくれていることは事実でございます。
 このことから、昭和六十三年度から二カ年にわたり県全域における下水道の整備を計画的かつ効率的に進めるための指針となる下水道整備構想エリアマップを策定し、これに基づき市町村を積極的に指導しているところでございます。さらに、本年度から基本計画を策定する場合に、市町村に対し三分の一の県費補助を行っております。
 今後、中小市町村における下水道を進めるために、整備手法のあり方、補助金、起債等の財政制度の改善、支援体制の充実等を国に対して強く求めていく必要があると考えております。
 次に、長寿社会総合福祉対策の中での高齢者、身障者向け住宅の考え方についてでございます。
 住宅建設計画については、現在、国において策定中の第六期住宅建設五カ年計画の施策体系のもとに、県民がゆとりある住生活を営むことができるよう良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成を図るとともに、高齢化社会への対応を基本目標に民間住宅建設の活性化と公的援助住宅の的確な供給を促進してまいりたいと存じます。
 中でも、県が直接建設する住宅については、長寿社会を想定し、医療、福祉施策との連携のもと、高齢者や障害者が安心して住めるよう配慮した住宅を既存住宅の改善も含めて、関係部局と協議する中で必要戸数を計画的に確保してまいりたいと考えております。
 なお、高齢者向け等の個人住宅に対する相談業務については、現在作成中の高齢者向け建築物設計指針の活用を図りながら十分対処できるよう検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 ゴルフ場での農薬規制についての基本的な対応でございます。
 ゴルフ場での農薬使用については、昭和六十三年八月以降、農耕地での使用と同様に農薬取締法が適用され、この法令に基づく登録農薬を適正に使用することが基本となってございます。そのため、各ゴルフ場などに対し農薬の安全使用について指導通達を行うとともに、関係機関から成る県ゴルフ場農薬安全使用指導対策協議会の設置による指導体制の整備、またゴルフ場関係者等への研修会の開催やゴルフ場への立入調査等、その指導の徹底を図ってきたところでございます。
 さらに、農薬の適正使用を徹底させるため、先般、既存の全ゴルフ場に対し、農薬の年間使用計画の作成、使用実績の記録、排水口における水質の自主点検実施などを内容とする通達を行ったところであり、これに基づき農薬使用実態を把握できると考えてございます。今後とも、農薬の適正使用に向け、立入検査を含めて厳しく指導してまいります。
 なお、国において目下、ゴルフ場での農薬適正使用に関する指導要領策定指針──これは都道府県を指導するためのものでございますが──を検討しておりますので、その結果を踏まえ、関係部局と協議しながら対応してまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場と森林の問題でございます。
 森林におけるゴルフ場の造成については、平成二年六月十一日付をもって林地開発許可制度の許可基準の運用細則の一部改正が行われ、議員お話しのとおり、開発区域の残置森林率等の基準が改められました。今後、新たに出される開発計画については、新しい基準を適用して指導してまいる所存でございます。
 なお、現在までに事前協議等により既に事業計画等を指導している案件もございますので、これらについては一定期間、経過的措置を講ずる必要があるものと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、森林の保全と森林の適切な土地利用を図っていくことがさらに必要となってくるものと考えられますので、許可に当たっては十分な指導を行ってまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) ゴルフ場の農薬使用についての御質問にお答えを申し上げます。
 県下のゴルフ場周辺の水質調査については、平成元年に七カ所の周辺河川で水質調査を実施して公表いたしたところでございます。その結果は、三種類の農薬が検出されましたが、いずれもWHO(世界保健機関)の基準あるいは今回国が示した河川への暫定指針値を下回っており、問題のない状況でございます。
 二番目に、御指摘の五月三十一付の厚生省の通知でございますが、「ゴルフ場使用農薬に係る水道水の安全対策について」の取り扱いについては、六月七日付で保健所を通じて市町村等、関係水道事業体に対してゴルフ場での使用農薬のモニタリング等、必要な措置を講ずるように指示したところでございます。
 なお県といたしましては、昨年度に引き続き、水道事業体で行うモニタリング調査とは別に河川の農薬調査を実施することとしており、現在、既設のゴルフ場二十カ所を対象に調査地点の選定等を検討している段階でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず、高齢者保健福祉推進十か年戦略に関係してお答えをいたします。
 十か年戦略と本県の総合対策指針との整合性についてでございます。
 本県の総合対策指針については、広範多岐にわたる長寿社会対策の施策を総合的、計画的に推進していくための基本方向を明らかにしたものであり、具体的施策の実施に当たっては国の十か年戦略との整合性についても十分配慮してまいりたいと考えてございます。
 次に、在宅福祉サービスの体制整備についてでございます。
 県下全域でひとしく在宅サービスが実施できるよう、平成元年度より緊急に整備を進めているところでございます。デイ・サービスについては、未整備の市町村も約半数程度ございますので、引き続き市町村と鋭意協議を行い、早急に整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、個人住宅の改造に係る相談窓口の設置についてでございます。
 個人住宅の改造相談についても、今後、需要が予想されるところでもございますので、財団法人いきいき長寿社会センター内のシルバー一一○番に専門相談員を設置することとし、現在その人選について関係機関と協議を行っているところでございます。
 次に、地域福祉の充実に関連しての高齢者保健福祉計画の策定についてでございます。
 今般の老人福祉法等の改正に伴う高齢者保健福祉計画は、平成五年四月施行とされてございます。本県においてもできる限り早い時期に作成できるよう、市町村との協議を初め各種基礎資料の収集・分析等の準備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、地域福祉の充実に関連しての三層の福祉圏についてでございます。
 小域福祉圏については、民生児童委員総務が中心となり、ボランティアの協力を得ながら個別的援助活動の推進に努める一方、社会福祉施設の社会資源活用を図り、地域との連携のもと、きめ細かいデイ・サービス等の整備を図っているところでございます。
 基本福祉圏については、地域における福祉の中核的存在である市町村社会福祉協議会推進体制の強化のため法人化に努めてまいりましたところ、達成率は九二%となってございます。さらに、長寿社会に対応できる保健医療部門とのネットワークづくりなどのサービス調整チームを組織し、在宅福祉の推進を図っていくものでございます。
 広域福祉圏としては、福祉事務所機能の活用と各種団体の活動を通じ、広域にわたる福祉ネットワークづくりや老人保健施設等の施策推進に努めているところでございます。今後、広域福祉圏のあり方としては、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的に実施する体制を整え、生活、健康、生きがいなどの施策を基本に、総合的なサービス体制を整備するシステムづくりが重要となるものと考えております。今後、関係機関を含め、定義づけ等を検討してまいりたい。なお、三層福祉圏の一層の推進により二十一世紀にふさわしい長寿福祉社会の実現を図ってまいる所存でございます。
 次に、市町村ボランティア連絡協議会の設置状況でございます。
 平成元年十月一日現在の設置率は三十四カ所、六八%となっており、目標を超えた実績となってございますが、今後、引き続き設置について指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に、総合福祉センターの建設でございます。
 知事からもお答えしてございますが、高齢化社会が進行する中で活力とゆとりのある福祉社会を形成していくためには、公的福祉施策の充実はもとより、県民の参加、協力による幅広い民間社会福祉活動の振興が望まれます。そのための条件整備が重要な課題となっているところでございます。
 このような状況から、県民がいつでも気軽に活用できるようなコミュニティー活動やボランティア活動を初め、高齢者や婦人、青年、少年等、福祉団体活動の拠点として、健康で明るい、生きがいのある福祉社会を構築するための総合的な役割を担う中核施設と考えてございます。なお具体的には、本年度中に基本構想を策定し、早期実現を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 44番中村千晴君。
○中村千晴君 懇ろな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。再質問をしたいわけでありますが、質問の窓口がかなり広過ぎて時間が大分超過しております。次の質問者の関係もあろうと思いますので、再質問はいたしません。
 ただ一点だけ、行政の面で今後いろいろな情勢に対応した人的配置において、当局は十分現状に即した配慮を行っていただきたい。それだけ特にお願いしまして、質問を終わります。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村千晴君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 4番中村利男君。
 〔中村利男君、登壇〕(拍手)
○中村利男君 私たちは、旅に出ます。団体で、時には小グループで。目的地に着いて、その土地のバスに乗りかえ、名所古跡めぐりへと出かけますが、説明の上手なバスガイドさんに出会いますと、ともすれば見過ごしてしまいそうな何の変哲もない山や森、または海岸線がそのバスガイドさんの説明によって急に息を吹き返し、時にはつわものどものときの声が聞こえるような古戦場であったり、あるいはまた万葉のロマン漂うみぎわであったり、しばしその時代に引き込まれる、そういう体験は皆様方も幾たびか味わわれたことと思いますが、説明もそこまでまいりますと、くだんのバスガイドさんはガイドというよりはむしろ語り部と言った方がいいかもしれません。
 さて、特急くろしお号が大阪を出発をして約四十分、雄山トンネルをくぐると左眼下に紀の川平野が開けてまいります。列車は、いよいよ紀州和歌山に入ったのでございます。そこで、車内放送を通じて、まず紀州和歌山のイメージを強力に印象づけるべきではないだろうかと思いますが、それでは紀州路のテーマは一体何なのかとなりますと、これはなかなか難しいと思います。私は、それは一つは燦黒潮リゾート構想のテーマにもなっている「紀州の海」であり、いま一つは高野山、熊野三山に象徴される「心のふるさと」ではないかと思いますが。いずれにいたしましても、列車が紀州路に入ったそのときに紀州和歌山を強力に印象づけるべきだと思いますが、いかがでしょう。
 さて、列車は和歌山を発車し海南を過ぎるころ、今度は車窓の右側に和歌浦湾が開けてまいります。大阪を出発して初めて見る紀州の海です。「ああ、海や海や。きれいやなあ」、こんな声があちこちから聞こえてまいります。「由良湊ヲ見渡セバ、澳漕舟ノ梶ヲタヘ、浦ノ濱ユフ幾重トモ、シラヌ浪路ニ鳴千鳥、紀伊ノ路ノ遠山眇々ト、藤代ノ松ニ掛レル磯ノ浪、和歌・吹上ヲ外ニ見テ、月ニ瑩ケル玉津島、光モ今ハサラデダニ、長汀曲浦ノ旅ノ路、心ヲ碎ク習ナルニ、雨ヲ含メル孤村ノ樹、夕ヲ送ル遠寺ノ鐘、哀ヲ催ス時シモアレ、切目ノ王子ニ着給フ」──大塔宮が熊野へ落ちていくくだりの一節であります。私も、勝浦から和歌山への行き帰り、いつも見ておりますが、何回見ても見飽きることのない、すばらしい眺めの和歌浦湾であります。
 その和歌浦湾に、今、和歌山マリーナシティの建設用地の埋め立てが着々と進められており、ケーソンによる輪郭が水面にはっきりとあらわれてまいりました。ところが、あの埋立工事が和歌山マリーナシティの建設用地であるとわかる方が一体何人いるだろうか。まして、観光客の方々にはほとんどわからないのではないかと思います。ちょうど関西電力海南発電所の前でもあり、どこかの工場用地の埋立工事をやっているぐらいにしか思わないでしょう。御承知のとおりマリーナシティの建設用地ではありますが、先ほど中村千晴議員も申されておりましたように、三年後の平成五年夏にはその埋立地で世界リゾート博が開催されることになっております。
 先日、県から送っていただいた ウェルネスWAKAYAMA 「世界リゾート博」の基本計画書によりますと、「『世界リゾート博』は、県内外の人々の共感・理解そして参加があってはじめて成功する」として、平成五年に向けてのプレキャンペーン、開催中のインキャンペーン、そして博覧会終了後のポストキャンペーンと、それぞれキャンペーンを展開することとなっており、プレキャンペーンのところでは、開催前の年である平成四年を中心にキャンペーンを展開することとなっております。しかし、それでは遅くはないでしょうか。今できることは今からおやりになってはいかがでしょう。
 例えば、JRと交渉して列車の中で放送するのも一つの方法ではないかと思います。このことは、観光客といった県外の方々ばかりではなく、紀南の方から所用のため列車で和歌山へ来られる方々にもよく知っていただき、その方々の旅行計画の中に世界リゾート博を今から組み込んでいただいておくべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 もちろん、現在でも特急くろしお号で車内放送による宣伝は行われております。例えば、紀三井寺付近では西国第二番の札所であるということの説明、御坊に近づけば煙樹ケ浜、日ノ御埼、それに絵説き説法で有名な道成寺、また切目海岸を通過するときには、海の向こうに見える岬は白浜で、熱海、別府と並ぶ日本有数の温泉地であるということ、また串本に近づけば本州最南端であるということ、そして橋杭岩、海中公園と一通りの説明はしておりますが、何かいまいちといった感じで、ぴりっとしたものが感じられません。せっかく年間四百万人という方々が特急くろしお号を利用して和歌山県を訪れてくださるのだから、語り部とまではいかなくても、もう少し紀州路を印象づけるような方法はないものだろうか。JRさんとも相談の上、検討されてはいかがでしょう。お伺いいたします。
 そうこうしているうちに、列車は勝浦に近づいてまいりました。また、車内放送が流れます。今度はグリーンピア南紀の宣伝です。「和歌山県が誇る総合リゾート基地・グリーンピア南紀。野球場、ゲートボール場、テニスコート等、あらゆる設備が整った未来派のリゾート地であります」。私は、この放送を聞くたびに何とも言えない複雑な心境に陥ります。「看板に偽りあり」とは申しませんが、少し誇大広告の嫌いなきにしもあらず。早く額面どおりにしていただきたいと思いますが、グリーンピア南紀及びその周辺整備について関係部長の御所見をお伺いいたします。
 次に、和歌山県文化振興課が一昨年発刊いたしました「紀州おもしろブック なんでもかんでもわかやま」という本です。この本について、仮谷知事はこう言っております。「ふるさと紀州を一度じっくり見つめるため、本県が全国に誇れるものを集めてみようということで調べ始めたところ、『さすがわかやま』というものが次から次へと出てきました。 極端にいえば和歌山県がなければ今の日本の文化はなかったと思えるほどの材料が集まり、とうとうこういう本ができ上がりました。 まずはご一読ください」。読ませていただきました。今まで知らなかった人物や事柄、また物にも触れることができて大変勉強になりました。
 知事が言われるように、本県が全国に誇れるもの、さすが和歌山と言われるものがぎっしり詰まっておりますが、私の感じといたしましては、あの本は県民に対して、和歌山県にはこんな人物がおりますよ、こんな事柄やこんな物もありますよ、だからふるさと紀州をもう一度じっくり見直して、和歌山県に、そして和歌山県民であることに誇りを持っていただきたい、このように県内向け、県民向けの本ではないかと思うのであります。せっかく苦労されて集められた貴重な資料でありますから、さらにこれを活用されて、今度は全国向けの、すなわち和歌山が発信基地になるような本をつくってみてはどうでしょうか。
 これは私の全くの素人考えですが、例えば紀州備長炭を取り上げる場合、いきなり炭の王様・紀州備長炭を持ってくるのではなく、まず全国の炭についていろいろ紹介をした後で、究極の炭・紀州備長炭を持ってくるといった隠し味的手法をとってはどうでしょうか。また、最近はヘルシーブームでもあり、紀州梅を紹介するのもよいだろうし、また鯨を取り上げるなら、和歌山県となじみ深い、「勇魚」という本を書いているC・W・ニコルさんにお願いすれば、世界的な見地から書いていただけるのではないでしょうか。
 いずれにいたしましても、炭なら炭の項を読んでいただければ、雑学的要素も加味されたかなりの知識が得られ、ほのぼのとした和歌山県の宣伝がにじみ出てくるような、そんな本の発刊を考えてみてはどうでしょうか、知事にお伺いいたします。
 次に、農山漁村の御婦人方によって組織されているものに生活改善友の会というのがございます。
 「農山漁村の特性を生かしたふるさとの味をつくろう」、こういった目標を掲げて、それぞれの地域で昔からその土地に根差している素材を使っていろいろなものをつくり出しております。そして、年に二、三度、各地域から持ち寄って発表会を行っておりますが、これがまた外形、中身とも力作ぞろいでありまして、中にはふるさとの味として立派に商品化されているものもあります。こういった生活改善友の会の皆様方の日ごろの努力が和歌山県の食文化のすそ野でもあり、また語り部の役目もしてくださっていると思うのでありますが、この方々に密着して必要な情報を提供したり、地域の問題点を提起したりしながら適切な指導、助言を行っているのが農業改良普及所の中にある生活改善班でありますが、この人員が県下全部で三十名であり、これでは余りにも少な過ぎると思います。ふるさとの香り、そして滋味豊かな和歌山県づくりの下支えとなっている生活改善班をさらに充実すべきだと思いますが、農林水産部長の御意見をお伺いいたします。
 最後に、ことしの観光対策についてお伺いいたします。
 知事は、二月定例会における知事説明の中で、「本県の有する豊かな歴史、伝統をもう一度見詰め直し、県内外の人々に知っていただくため、一昨年より『ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーン』を展開してまいりましたが、二年度においては、その総仕上げとして、日本三大古道の一つである熊野古道を中心とした『古道ピア』を開催する」、こう言っております。
 知事は、ことしの観光の目玉として「古道ピア」を持ってきているようでありますが、私は先日、熊野那智大社と青岸渡寺でいろいろとお話を伺ってきたのであります。全国で「熊野」と名のついている神社やお寺が三千三百六社もあるそうです。どうしてこのように熊野三山の分霊が全国で三千三百余りも祭られるようになったのだろうか。「蟻の熊野詣」と言われように、現世に救いを求めて熊野へ熊野へとやってきたという、ただそれだけのことでは説明し切れないのであって、既にその当時から、例えば熊野比丘あるいは熊野比丘尼という説教師が熊野曼陀羅、今で言うパンフレットを持って布教宣伝に回っていたのであります。また先達、今で言う添乗員を使って、熊野詣の方々に宿の世話からいろいろと利便を図っておったのであります。
 私は、和歌山県の宣伝ということについていろいろと申し上げてまいりましたが、もう既に七、八百年も昔の平安時代に「熊野」という名が全国各地に広められ、宣伝されていたということになるわけであります。私たち郷土の先人たちが、信仰という形ではありましたが、知恵と努力によって全国各地に私たちの郷土の名と文化、そして何らかのつながりといったものを残してくれております。和歌山県の宣伝を考えるとき、こういった歴史を振り返ることもまた大切ではないでしょうか。
 私は、宣伝ということについて、特に観光宣伝というものは、単に白浜なら白浜を、また勝浦なら勝浦を個々に宣伝すること、これももちろん必要であり、それなりの効果は期待できると思うのでありますが、県全体あるいは地域全体、例えば勝浦ではなく熊野の持つイメージを前面に押し出すとか、そこに根差している風俗や人情といった面も含めてトータルとしての宣伝でないと、息の長い本当の効果は期待できないと思うのであります。
 そういう意味において、「きらめく紀州路キャンペーン」、「ノスタルジア紀州」、「ふれ愛紀州路キャンペーン」、そしてその続編として「ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーン」と続いてまいりました、その総仕上げが来る八月十八日から十月二十一日まで熊野古道を舞台として繰り広げられる「古道ピア」であろうかと思うのであります。そして私は、この「古道ピア」を単に観光の面だけではなく和歌山県の宣伝と位置づけたいと思うのでありますが、知事の言われる「総仕上げとしての古道ピア」、これのねらいとするところは那辺にあるのか、知事にお尋ねをいたします。
 また、「古道ピア」というようなこういった事業は、まず地元の方々と密着して事を運ぶことが一番大切だと思うのでありますが、その辺はどうなっているのか、そして究極的には県民の皆様方の御理解と御協力がぜひとも必要だと思いますけれども、県民に対してどのように呼びかけていくおつもりなのか、あわせてお伺いいたします。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村利男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村議員にお答え申し上げます。
 私への質問は、「紀州おもしろブック」の問題が第一点でございます。
 「紀州おもしろブック」は、県の若い職員に和歌山県のすばらしいところ、どんなところをやったらいいかということで検討させました。そうした形であの本ができ上がってまいったわけでございます。県内向けではないかという話でございましたけれども、文化デザイン会議が開催された際に、それの土産にしていただくものとして本が一番いいんじゃないかということで「紀州おもしろブック」を編集させていただいたのでございます。県民の皆さんも知っていただき、県外の皆さんも知っていただく、そういう形でつくらせていただいたわけでございます。
 御指摘のように、よそへの宣伝についてもっと配慮しなければならないんじゃないかという御意見、また御提言ございました梅とか炭とか、そうした和歌山県のすばらしいものを全国向けの本にするということ、私も同感でございます。
 現在の考えといたしまして、ことしは「きのくに文学碑紀行」というのを計画しておるわけでございます。本県の豊かな歴史や風土を詠んだ俳句や歌などを取り上げ、その地域や周辺にある暮らしや文化などを紹介することによって、文化の薫り高いふるさと和歌山を県内外にアピールしてまいりたいと考えております。
 また人物編としても、県内はもちろん、小学校五、六年から中学校一、二年までの皆さんに和歌山県の生んだ偉大な人たちの足跡をもう少し知っていただこうということで、青少年婦人課でも現在計画をしておるわけでございます。
 おっしゃられたように、和歌山を発進地として和歌山の宣言、観光宣伝や物産宣伝もやっておりますが、そうしたものを多角的になお一層やってまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、古道ピアでございます。
 一昨年から「ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーン」の一環として取り上げさせていただいたのでございます。これは、観光宣伝もございますけれども、和歌山県の隠された魅力を再発見するという形で和歌山の宣伝をやろうとするものでございます。
 お話ございましたように、熊野神社一つを取り上げても、この前、千葉の人と話をしておりますと、千葉県に熊野神社が二百七十あるということです。沖縄にも熊野神社があるわけです。だから、熊野神社は全国へ布教に回ったんです。広島がカキで売る、富山が薬で売ると同じような形で熊野神社を先達がやったんではないかと思いますし、蟻の行者の問題もあるわけでございます。そうしたものを熊野古道で十分理解していただこうとするものです。
 この前、私は、和歌山県が生んだ偉大な小説家の中上健次さんと話しました。中上さんは、「熊野大学」というのを毎年やっていただいております。ことしの八月四日から五日にかけて、熊野本宮大社の旧社地で「熊野神璽」というのをやろうと計画しておるわけでございます。二十四時間パフォーマンス──歌あり、踊りあり、絵画ありということで、都はるみも参るそうですけれども、そうしたパフォーマンスを全国的にやろうとしておるわけでございます。
 このように、民間の皆さんが和歌山を、また熊野を大きく売り出そうしていただいておるということ、本当に感謝にたえないところでございます。こうした点とかみ合わせながら、中村議員がおっしゃった点を十分配慮して今後進めてまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 特急くろしお号におけるPRについてでございます。
 県外からお越しいただいた方々に本県の観光地や名所を知っていただくため、JRの協力を得て、昨年からテープや車掌の肉声による案内を始めたところでございます。
 議員御提言のように、車内放送を通じて紀州路の入り口で和歌山のイメージを強く印象づけることは、和歌山の旅をより楽しんでいただくためにも非常に大切なことだと存じます。今後とも、特急くろしお号の車内での和歌山県のPRについて、歴史的な事柄や現在のビッグプロジェクトの動向なども含め、有効な方策を関係部局やJRと連携を保ちつつ、また広く各方面の御意見も賜りながら種々検討いたしまして、議員御提言の趣旨に沿えるよう努力してまいりたいと考えてございます。
 次に、古道ピアについてでございます。
 近年の観光客のニーズの多様化、個性化に伴い、自然資源のみならず、すぐれた歴史、文化資源を活用した、従来の観光形態とは一味異なる知的好奇心を満足させる旅が求められてきてございます。
 古道ピアは、千年の昔から今に息づく熊野の歴史、文化を通じ、本県の持つすぐれた文化性、歴史性、精神性に触れていただこうとするものでありまして、ストレスの多い社会に生きる現代人に魂の休養を提案するものでございます。
 このため、熊野を訪れ、熊野古道を歩いてくださった方々に対し、地域住民の方々が一丸となって歓迎するといった機運が何よりも大切であると考えてございます。期間中、関係市町で実施いたしますイベントを初め、いろいろの事業については、地元自治体及び観光協会と一体となって推進しているところでございますが、地域住民の方々のなお一層の参加意識の高揚に努めてまいり、地元主導の観光キャンペーンとしていきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、特急くろしお号での世界リゾート博のキャンペーンの展開についてお答えを申し上げます。
 地方博覧会は、通常「千日作業」と言われてございまして、本格的なキャンペーンは平成三年度から展開していくこととしてございますが、県内外の皆様方に多数お越しいただくためにも、今から事前のPR等に力を入れていかなければならないと考えてございます。したがいまして、本年度は「県民の友」六月号に掲載するとともに、パンフレットあるいはチラシを作成して県内外に配布させていただいているところでございます。
 議員御提言の特急くろしお号の列車PR放送は、JRと十分連携をとりながら進めてまいりますとともに、あらゆる機会や媒体を通じて効果的なキャンペーン、PR等をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、グリーンピア南紀とその周辺整備についてでございます。
 グリーンピア南紀は、燦黒潮リゾート構想において紀南地域における核プロジェクトとして位置づけているところでございます。その整備に当たっては、既存施設と一体となって、より相乗効果を高める施設を整備することを基本に、紀南地域のリゾート拠点にふさわしい質の高いリゾート地の形成を目指して、民間企業を交えた計画研究会を設置して検討を行ってきたところでございます。
 現在、用地の所有者である年金福祉事業団、厚生省等と用地の利用等について鋭意協議を進めているところでございますが、一日も早く事業実施が図れるよう、今後とも関係部局ともどもより一層の努力を続けてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) グリーンピア南紀の施設の整備についてお答えいたします。
 グリーンピア南紀について、特急くろしお号での車内放送はJRの厚意でPRがなされてございます。県といたしましても、当該地域にふさわしい、より充実した保養基地となるよう、今後とも努力していきたいと考えてございます。
 昨年来、利用者の意向も聞きながら国及び年金福祉事業団へ強く要望いたしましたが、その結果、平成二年度、三年度で既存施設の充実のための事業が実施されることとなってございます。なお、その内容等については、現在、協議を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 生活改善班の充実を図れということでございます。
 農山漁村の生活分野を担当する普及職員は、労働の改善、経営管理、生活環境の改善、地域農産物の利活用の促進や生活改善友の会、若妻グループ、高齢者グループの育成など、地域の課題に重要な役割を果たしており、現在、本庁に専門技術員三名、県下七つの普及所には生活改善班を設置して三十名の職員を配置し、指導助言に当たっているところでございます。増員については、行政改革等、諸般の問題もあり、大変難しいと存じます。しかし、近年における農業情勢の目まぐるしい変化の中で、地域農産物の高付加価値化による利活用もまた、まことに重要な課題でございます。したがって指導助言に当たっては、普及所全員がみずからの研さんと加工、創出など新技術の習得による資質の向上に努める一方、チームプレーに徹し、知恵を出し合い、効率的な運営、円滑な活動体制のもとで多様化する地域の要請にこたえてまいる所存であります。
 また、これら活動の成果といたしましては、お話にもありましたとおり、生活改善友の会グループ等による地域特産品として、現在、県下に百七十余品目がつくり出され、各地域地域において立派に商品化され、定着して評価されている商品も数多くございます。今後も、市町村や関係機関の連携をさらに深め、農山漁村の振興が一層図られるように努めてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、中村利男君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十五分休憩
 ──────────────────────
 午後一時八分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 質問に移ります。
 六十三年度決算審査特別委員会に参加をいたしました。三月県会でも委員長の報告をじっくり承りました。当初予算の説明も拝聴いたしました。非常に残念なのは、どうもしっくりこない、決算委員会はあれでよかったのだろうかということです。そこで、総務部長に質問をいたします。
 一番目、委員長報告に対して当局の把握している問題点は、主として幾つに整理され分類されているのか、またそれぞれの項目に対して、将来も含めてどんな対策を進めようとしているのか。
 二番目、連日の決算委員会の審議の中で、平成二年度当初予算の編成時にも対処をなさるかの印象を受ける答弁が幾つかありましたが、当局として当初予算及び今回の予算措置で対処をなされた項目は何と何であるのか、お答えをいただきたい。
 質問の二番目、交通政策樹立についてお伺いをいたします。
 平成二年三月、つまり二月定例会の会期末、委員会を終え、当初予算の審議もあと二日の本会議で終わろうとする時期に、当局は県行政の機構改正なるものを突如として発表されました。もちろん、発表された機構改正を前提とした平成二年度当初予算の骨組みであったと私は理解をします。我々議員はそういう機構改正を知らないまま、機構改正と無関係で各常任委員会で予算審議を終了したことになるわけで、私としては極めて不本意と言わなくてはなりません。我が社会党会派が最終的に当初予算に反対の意思表示をいたしましたのは、もちろん森議員が討論で述べられたように、原発の問題、消費税の問題等が関連していたことは事実でありますけれども、機構改正を意識しないで予算審議に参加したことも一つの理由であったことは否めないと、改めて今日思い起こすのであります。
 ともあれ、このことは議運での総務部長の発言もあったということでありますから、今さらここで取り上げようとは存じませんが、一つ、交通政策課を新設されたことに関連をして質問をいたします。
 今まで、旧国鉄紀勢本線の電車と国道四十二号線を県の交通政策の二つの柱として論議されてまいりました。御承知のように、紀勢本線は既にJRに移管され、その経営、運営も各支社別の計画にゆだねられております。したがって、その対策のスタイルも、県としては変更を加えざるを得ないでありましょう。国道四十二号についても、逐次その利用形態が変貌しつつあります。つまり、高速を求める声は県の道路行政をはるかに引き離して、住民の要求と企業の期待という二つの面では大きく差異のあることをこの際認めなければなりません。そのため、前述いたしました二点の柱は既に取りかえなくてはならないというふうになります。こうした情勢により、交通対策から交通政策へとの県政の変革の必要から、今回、交通政策課の新設になったと私は推察いたします。
 いみじくも、時を同じくして奈良県においても交通政策課を新設いたしました。その目的として、リニア鉄道の誘致に全力を挙げるという方針を奈良県は明らかにしています。我が和歌山県の交通政策課はその趣旨を何に求めるのか、この際明確にしていただきたいのであります。
 ただ単に、従来何回となく答弁の中で承った「陸・海・空の連係を密にした交通整備を図り」云々の繰り返しでは今日なりません。和歌山県地勢あるいは地域事情に対応する具体的な政策樹立の面で御答弁をいただきたいのであります。
 三番目、国立田辺病院問題について質問をいたします。
 国立田辺、白浜病院の合併、統合が提唱され、地域において長い間賛否両論の論争がされ、田辺市議会においても五十八年三月に反対の趣旨の意見書が採択をされた経緯もありますが、その後そうした経緯とは別に新しい設置位置も既に決まっており、建設も四年度完成の運びで、その実現に向けて着々と進行中であります。
 そこで問題となるのは、Aの一番といたしまして、田辺、白浜の合併をめぐって地域で今まで論議をされた問題点は、私の聞くところによれば診療内容の充実等が主たる焦点であったように思います。県が地域医療行政の観点から見て、当該地域の住民の診療行政に対する不安解消のため、どんな諸点を新しい国立病院の中で実現せしめるべく考えているのか、県の見解を聞きたいのであります。
 平成三年度政府予算要望書の四十ページに──これはさきに送ってきた長い方の四十ページで、後で送ってくれた冊子では六十九ページになっています──「人的体制の確保と設備の整備の特段の配慮をなされている」と書かれていたように思います。なお、県発行の「地域保健医療計画」の四十一ページにも既に一つの柱として取り上げていますけれども、この二つは私としては既に承知した上での質問であるということを前提にお答えをいただきたいのであります。
 二点といたしまして、これまた仄聞するところによれば、厚生省においては合併される新国立病院の内容の中で数字的にも逐次明らかになっていると承知をいたしていますが、県としては今示されている中央の数値が、例えば県下で要求されている看護婦養成機関の設置がどのようになっているのか、紀南県民の診療行政に対する要求を満足するものであるのか、あるいは反対の方向に動いているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
 三つ目として、地域では以上述べた二点の要求を達成するためにどういう運動をやったらいいんだろうかと悩んでいます。反対反対ではいけない。地域の医療行政をよくしていくためにはどういう努力をどっち向いてしたらいいんか。県へ言うてもいい返事をくれん、いかにも県では関知をしないごとき答弁が返ってくる。どこへ向いてどんな努力をすれば以上述べた二点が解決する、効果を上げる道に通じるのか、質問いたします。
 また、今申し上げた三点の問題点とは別の次元でBの問題として考えられるのは、国立病院が合併をした後、当然起きてくるであろう跡地の利用問題についてであります。
 巷間伝えられるところによると、紀南病院もそろそろ移転をするのではなかろうか、あるいは田辺の商店街の皆さんから御意見を聞くと、田辺市の中心部に位をするので商店街の活性化にぜひ利用してほしい等々、訴えられていますけれども、何にしても、田辺市にとっては現国立病院の位置というものは重要な位置であるだけに、その利用内容のいかんによっては田辺市の将来の行政にも大きく影響いたしますし、県の行政にも大きく影響するものと思いますので、軽々と決定づけられるものではない。県は、「地元の意思決定」という言い方をよくされますけれども、田辺市の意思決定を待っている、いわゆる拱手傍観の姿勢だけでは悔いを後に残すことになると考えますが、県として現在考えている利用計画についてはどんな構想を持っているのか、あるいはどんな図式で跡地利用の結論を見出していく所存か、その見解をお答えいただきたいのであります。
 四番目、カラオケボックス急増による対策についてお伺いをいたします。
 ストレス解消だとかいうことで最近流行を始めているカラオケボックスは、警察庁の調査に基づくと、昨年十月調査では全国で約千六百カ所であったのが十二月の再調査では二千七百三十カ所と、わずか二カ月の間で七○%の増加率を示しています。過ぐる決算委員会において、「三十七店、三百六十八室と把握をしています。休日には中学生も利用していると聞いています」という警察本部の答弁でありましたが、一つ目として、この警察本部が答弁された数値はいつの調査によるものであるのか、また今日一番新しい調査ではどんな傾向にあるのか、本部長からお答えをいただきたいのであります。
 二番目として、和歌山県としては、昨年十月、文書で各業者に健全営業の要請をした、つまり条例制定よりも業者指導に重点を置く旨の答弁もあわせてありましたが、全国的に拝見をいたしますと、条例を改正したのは京都、岡山、佐賀、沖縄、北海道、兵庫、福岡、長崎の八道県のようであります。主としてその内容の中では「十八歳未満の深夜入場禁止」を規定しているようでありますけれども、時間に関係なく全面禁止の方向で青少年の不良化防止に踏み切った県もあるようであります。本県の取り締まり方向としては、現在のカラオケボックス状況に照らしてどんな方向をとっていくことが不良化防止に資するとお考えをいただいているのか、お答えをいただきたいのであります。
 五番目、白浜空港ジェット化整備に関連して、一番身近なテレビ難視聴の問題を質問いたします。
 我が和歌山県政の重点項目として白浜空港ジェット化整備事業は、議員連盟も結成をし、県当局とともに挙げてその実現こそ県勢活性化の起爆剤とすら標榜され、日夜懸命に努力を続けていることについては時宜を得た方策と受けとめていますが、その計画内容を見ると、滑走路延長に伴い、既設サテライト局──と言うのが正しいのか中継所と言うのが正しいのか、私は専門家でないのでどちらが正しいのか知りませんが、そこのテレビ塔の高さが民間放送では八・七メートル、NHKでは七・九メートル、現在の高さより低くなる計画になっていることに気がつきました。
 現在、この二つの中継所を介して我々県民が受信しているチャンネルは、五十、五十二、五十四、五十六、五十八、六十、六十二の七チャンネルであったと思います。テレビ塔が低くなることによって一般家庭にどんな影響があらわれてくるのか、またこの対策は県としてどんな方向をとるのだろうかという立場で調査をしてみると、現在それぞれの現状調査をNHKなり放送協会などに委託をしてその現状把握に努めていらっしゃることがわかりました。
 そこで私は、過ぎる年にテレビ和歌山が認可申請を提出する際の、我が和歌山県議会の中における議論を頭に思い浮かべながら、以下、三点について質問をいたしたいと思います。
 大きい一番の一、二つのテレビ塔を約八メートルから九メートル低くした場合、現在の受像度合いがどの地域にどんな影響を及ぼすのか、お答えください。
 二つ目、現在、調査を施行しているようでありますけれども、田辺市のリゾート計画に組まれている高層建物への影響は計算に入っているのか。
 仄聞すると、二十八階の建物が既にでき上がるかのごとき宣伝を田辺市はしています。そうすると、そういう高層建物への影響を計算に入れて調査をやっている。つまり、田辺市付近はテレビ塔が低くなる、リゾート計画で建物が高くなる。これは、幾何学的に考えていただいても交錯をいたします。現在調査は建物のないところでいろんなテストをして検査をしている、資料を集めている、低くなった後で高層の建物ができ上がってくる、そういうことまで値の中に入れていらっしゃるのか、どういう計算をしていらっしゃるのかお伺いしたいということです。
 三つ目は、UHF電波の性質についての見解を聞きたい。
 つまり、電波の中には、直進性とか反射性とかいろいろあると思う。その性格によって難視聴の値も違ってくると思います。現に──言わない方がいいかな──田辺のある病院の新築によって難視聴が起きているという訴えも来ています。文化会館が建つときに百件の難視聴が出て、それに要した経費が約二千八百万だと聞いています。ここらあたりも頭に入れながら調査をしないと大変だと思います。
 四つ目は、現在の環境で難視聴解消のために、今までNHKさんから補助金をもらったり、県行政の中で、例えば僻地対策とか農村対策の中で投資を随分されていらっしゃいます。私も三つばかり組合をつくりましたが、その県費を使って難視聴解消をやったやつが木阿弥になるんじゃないか、あるいはせっかくできたその組合の運営が今後困るんじゃないかということが心配でございます。この影響を受ける施設が百十一ありますが、営々と組合員が積み立てをして運営しているこの難視聴解消の組合に対して今後どういう対策方針を考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
 大きな二番として、いろんな問題点が出るでしょうけれども、関係住民に及ぼす影響として考えられるのは、県へ言うてもあかんやろうからということで自分でアンテナを移動するというような作業があるのではないか。あるいは、映りが悪くなるとの周知徹底をやっておかないと、ゴースト障害なりフラッター障害などに対する知識が一般住民は少ない。それに、テレビ塔が低くなる。高層建築物ができたんだからこういう障害が出るんですよという教育というか、広報というか、啓蒙をやっておかないと、困ってくるのは電器店です。テレビは売って幾らじゃないんです、映って幾らですから、不良なテレビを買わされたという不満が出てくる。こういうあたりについても十分考えなければならないんじゃないかと思います。つまり、先ほど申し上げたように、文化会館でも百件で二千八百万を要したという事柄からして、不鮮明受像解消への経費負担は県としてどう考えているのか。
 三番目として、今申し上げた一、二の考え方からいたしますと、なまじっかテレビ塔の切り下げを考えるよりも、思い切ってサテライト局を高尾山とか槇山の頂上へ移転して、平草原から出る電波と高尾山、槇山から発信する電波のどっちでもいい方をとってくださいという方法に変える方がかえっていい。なまじっか手を使うよりも中継局を思い切って高尾山、槇山へ置く方が、単に田辺だけでなしに、御坊、日高郡、東牟婁郡を含めた全地域に大きく影響すると思いますので、この点も含めてお答えをいただきたい。
 私は、いろんな関係でこれを土木部長に絞っていますけれども、るる申し上げたように、保健環境部、ひいては農林部、商工労働部にも影響いたしますので、よそごとのように考えないで十分検討を重ねておいていただきたいと思います。
 六つ目、環境問題について。
 地球の環境を守りましょうということで「地球の日」を設定した。世界は、今、地球という星を守るのは人間だと、地球における自然破壊に強い視線を注いでいます。最近の新聞紙上を拝見いたしましても、自然破壊の問題を取り上げたのがたくさんあります。ここに切り抜いていますが、これだけあります。
 タイトルだけを見てみましても、「放射能汚染の恐怖広がる 水や食物で体内被曝」、「原発から太陽エネルギーへ」、「白ロシアに医療品を チェルノブイリ原発事故から四年 後遺症いまだ深刻」、「フランス原発王国曲がり角 黄信号次々高まる論議」、「十万人の子供が被曝原発事故で」、「柏崎刈羽原発五号機見切り運転 ひび割れなど二十二項目」、「原発のごみ『ノー』 岡山市民団体県条例求め署名運動」、「天神崎廃油汚染」、五月十五日付新聞では「『海南発電所事故発生を反省』と関電側」と、数え上げれば際限がないこれらの内容を拝見して感じることの一つ目は、きのう来、森議員、木下議員からも御論議がありましたけれども、全世界を恐怖に突き落としたチェルノブイリ原子力発電所事故から四周年がたった今日、改めてその事故の悲惨性と規模の広大さ、永続性を再認識しなければ県行政として大変だと思います。
 二番目には、企業側が幾ら、安全だ、十分な配慮をしている、事故防止に万全を期する等々と強調しても、一たび事故が発生すれば、いかに抗弁しようともそのなすすべもなく、単に「反省をして今後こうしたことのないように努力いたします」という言葉で終わってしまう事件が多い。
 例えばウクライナでは、事故後一年間は人体に全然影響がないんだと言ったのに、四年たった今日、多くの変化が生まれて、気管、肺の病気、出血がとまらない、あるいは妊婦の中毒、異常出産等が確認されていますし、ひどいのは八本足の馬さえ生まれるという人畜に異常現象があらわれ、二百万人が住んでいる二十七都市で強い放射能が検出されています。
 新潟においては、東電が四十一項目のトラブルのうち十九項目は改善されたけれども二十二項目については改善をされないまま営業運転に入ったことで、今度は県側が東電側に資料公表を要求するという不信が出ています。
 ひとり、ソ連や新潟県だけではありません。和歌山県の海南で五月九日に発生した火災事故、たしか私の記憶では、火災ではなしにタンクが沈下したか傾斜した事故であったと思いますけれども、過去の事故を思いますと、昭和四十七年以降、三度目の事故であると思います。
 私は、海南に火力発電所を設置する際に、煙突の高低の問題で県会で論議をした。煙突が高かったら遠くへ害が行くんだ、低かったら近いところで被害が多く出るんだという質問をいたしたところ、火災やタンクの基礎などは当然企業側で万全を期している、危なくないんだ、設計上、防災の備えは企業側がやることが当然であるがのごとき説明であったと記憶しております。
 また原発問題でも、特別調査委員会のメンバーの一人として東京に参りました際に、私の記憶に間違いがなければ、水産庁か技術庁の方であったと思いますが、「原発については、もちろんまだまだ問題点はあるけれども、和歌山の人はなぜ火力発電の問題点ももっと検討しないのですか」と忠告をしてくれました。また当時、県のある幹部の方から、「海南の火力発電については、社会党はもっと根性を入れて反対してくれよ」と激励されたこともあわせて思い起こします。深く勉強、研究をしないで既定観念だけで賛同することの浅慮を、今改めて戒めなくてはならないと思う次第であります。
 さて、我が党の故森岡県議、さらにはこれを引き継いで浜口県議が議会ごとに、原発誘致反対の立場で当局に対してあらゆる角度で質問を重ねています。これに対する当局の答弁は、私の感じる限り、時には政府の指導と思われる内容のときもあり、主として企業側の持つ資料を基礎にした答弁に終始しているように思えてならない。
 そこで、改めて当局に質問をいたしますが、これだけ世界的な規模と動向で原発に対する見直し論の台頭している最中に、和歌山県としては、なおかつ従来どおりの、ともすれば原発推進誘致の行政と世間で批判される姿勢をあくまでも取り続けるのであるか。
 「開発とは、人類のよくなることにある」との最近の世界をめぐる言葉を思い浮かべながら、原発を企業的な感覚で理解をし、とらまえている企業の意図する資料に基づくのでなく、例えば行政は省エネを提唱して運動を展開しているのに、ある企業は電力消費をPRしているがごときことがなかっただろうか。
 以上、るる述べた点を踏まえ、県民側に立つ為政者の立場としての所信を求めたいのであります。
 また、地域活性化のために原発をぜひ誘致するんだということをよく耳にいたしましたが、これに伴う財政的要目についても総務部長の見解をあわせ承りたいのであります。
 二番目、天神崎の自然保護について、青少年不良化防止の観点から質問を申し上げます。
 私は、昭和五十年二月二十八日の当議場における質問を想起します。くどいようですが、当時の大橋知事、井上教育長の答弁を繰り返し、愚念ながら申し上げます。大橋知事は、「天神崎の特殊性を生かして自然学習村あるいは自然博物館をつくつたらどうかという御提言でありますが、われわれも一つの大きな御提言だと思いますが、財政の状態も勘案しながら、将来の問題として検討さしていただきたいと思います」。井上教育長は、「自然との関連におきまして、子供たちに学習の場を提供してその情操を養い、体力等人間形成に資するよう、との御意見には同感でございます。(中略)知事答弁の趣旨がございましたので、それに従いまして将来の課題として研究さしていただきたい」。以上の議会答弁が昭和五十年ですから、それから十五年たっています。知事当局、教育当局両者の、この件に関するその後の取り組みの経過と将来展望の見解を承りたい。もちろん、政府要望冊子三十五ページの「完全新規」と付記したことを承知の上での質問でございますから、あわせてお答えを願いたいと思います。
 では、和歌山県の教育の中に、自然環境あるいは自然保護に対する教育が基本的にどこでなされているのかということを考えてみると、見当たらない。
 そこで教育長、自然保護、自然環境保全のための基本的な教育はどこでなされているのか、ひとつお答えをいただきたい。
 以上、ちょっと時間がありませんので、かいつまんで申し上げましたが、よろしく御答弁をお願いいたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、国立田辺病院でございます。
 白浜温泉病院と国立田辺病院の統合については、過去いろいろな経過があったことはお話のとおりでございます。そうした事情を踏まえて、高度な救急医療、高度な医療等が供給できる総合診療病院の機能を国に強く要望してきたところであり、国の基本計画にもその方向が盛り込まれておるわけでございます。そして、平成四年の開院に向けて現在建築が進められているところでございます。この病院が計画どおりの機能を持った運営がなされるように、引き続き国に強く働きかけてまいりたいと思います。
 また、国立田辺病院の跡地利用についてでございます。
 これについては、地元で利用計画を検討しているわけでございまして、県としても地元の意向を尊重してその実現に向けて支援してまいりたいと思います。詳しいことについては部長から答弁申し上げます。
 次に、原発に対する認識と為政者としての立場での所信でございます。
 環境問題が取り上げられている現状でございますけれども、原子力発電所の問題については、最近国が発表した長期エネルギー需給見通しによりますと、二○一○年までの導入量には一定の制約があることは認めつつも、石油代替エネルギーとして、また地球環境保全対策を推進する観点からも安全確保対策を充実強化して、国民の理解を図りながら、導入のために最大限の努力をするとされておるわけでございます。
 本県においても、原子力発電所の立地に伴う経済的効果を地域の活性化に役立てようとして市町村がその実現に積極的に取り組んでいるところでございます。私といたしましても、こうした国の考え方を初め、各種の資料、情報等を総合的、客観的に検討しながら、従来から適地性、安全性、地元の同意という三原則を設けて県民の立場で対処しているところでございまして、今後ともこの姿勢を堅持してまいる所存でございます。
 次に、天神崎の保全に対する教育の問題でございます。
 天神崎については、私は自然保護のシンボルとして非常に重要なものだと考えており、その保全にも努めているところでございます。その自然を活用しての観察や学習の場としての適正な利用が重要だと考えております。
 御承知のように、現在まで自然を保護することが先決であるとの考えから、民間運動としてのナショナルトラストにより土地買い上げ等を行い、また県としても田辺市ともども協力して金を出し、保全を図ってきたところでございます。
 議員御提言の自然学習施設等については、自然保護協会を中心として、自然観察センターの建設計画もあるやに聞いておるわけでございます。また一方、田辺南部海岸県立自然公園内のひき岩群周辺において地元の強い要望がございまして、ふるさと自然公園国民休養地整備事業を本年度、来年度で行うことになっております。今後、これらの施設の有機的な連携を図りつつ、自然学習の場として活用できるものと考えておるわけでございます。
 今後、民間団体の盛り上がりや田辺市、地元住民の意見を聞きながら、天神崎の保全について対処してまいりたいと存じております。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 決算審査特別委員会においては、近代化資金特別会計の資金回収の問題や未登記処理問題を初めとして県政各般にわたって幅広い御審議をいただき、人事管理の問題とか予算編成執行の問題、その他の問題など、種々の御指摘をいただいたところでございます。
 私どもとしても、これらの御指摘を踏まえ、例えば公営住宅の管理体制の問題や地籍調査予算の増額など、できる限り改善に努めているところでございます。中には、御指摘をいただきながらも、例えば未登記用地の問題など、直ちに改善を図ることが困難な問題もありますが、できる限り御意見の趣旨に沿って必要な改善が図れるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、原子力発電所が立地した場合の市町村財政に及ぼす影響についての御質問でございます。
 原子力発電所立地に伴う固定資産税については、ただいま御指摘のとおり、地方交付税の算定に当たってその七五%をその団体の基準財政収入として参入されることになります。また固定資産税については、資産の償却に伴い減少していくことも御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、現在の原子力発電所の出力規模から考えますと、もしそういう立地があったとすると、税収は相当多額になるものと考えられ、財政力いかんによっては不交付団体となり、交付税を必要としないほどの税源の確保が図られる場合も考えられるわけでございます。また交付税の交付団体であるとしても、収入に算入されるのが七五%ですので、算入されない二五%の税源が生まれることになるわけでございます。また固定資産税のみならず、原子力発電所とその関連企業や関連施設への雇用機会の創出などの波及効果によりまして、市町村民税の増収などにつながることも考えられるわけでございます。また電源三法による交付金については、地域の公共施設の整備等、住民の福祉と利便の向上に寄与する財源に使える可能性もあるわけでございます。
 しかし、原子力発電所が立地している県や市町村に問題がないわけではございませんで、全国知事会からも国に対して電源地域の恒久的かつ広域的な振興を図るため特別の措置を講ずるよう要望がなされているところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 交通政策についての御質問にお答えを申し上げます。
 まず、交通政策課新設の意義についてでございます。
 近年、交通の高速化、広域化、交通手段の多様化等が進みまして、産業振興、地域活性化を図る上でも交通体系の充実が極めて重要となってきているところでございます。
 関西国際空港の建設、南紀白浜空港のジェット化、近畿自動車道紀勢線の南伸等、本県を取り巻く基幹交通体系の整備が大きく進もうとしているまさしくこのときに、これらを核とした県内、陸・海・空の効率的な交通ネットワークの確立、交通基盤を有効に活用するためのソフト面での施策の展開、地域交通への政策の強化が半島性等、地理的制約を解消するために必要不可欠であると考えているところでございます。
 次に具体的な施策については、鉄道の輸送力強化、過疎地域での県民の利便性の確保等、従来の施策の充実に加えて、関西国際空港のインパクトを最大限に受けとめるためのアクセス交通網の確保、交通の高速化に的確に対応するためのヘリポートネットワークの構築、本県を国土軸上に位置づけるための第二国土軸構想の推進、体系的、効率的な道路網整備を推進するための計画の策定、高速艇を活用した海上交通網の充実等々を強力に推進することとしているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 国立田辺病院関連の質問にお答え申し上げます。
 まず国立田辺白浜温泉病院については、国の再編成計画によりその統合が進められているところでございます。本県においては、紀南地方における高度な救急医療施設等の整備が課題となっており、この統合病院建設の基本計画の策定に当たっては、高度な救急医療機能の整備を初め、成人病、特にがんや循環器疾患に対する高度医療、難病、リハビリ、僻地医療等の機能についても要望してきたところでございます。
 二つ目に、現在建設中の新病院の基本計画でございます。
 診療科を見ると十九診療科となっており、現在の国立白浜温泉病院、田辺病院を合わせた十一診療科と比較して充実した内容となっております。また、脳神経外科を中心とした救急医療、がん、循環器疾患に対する高度な診療機能等、あるいは医療従事者の卒後研修や生涯研修を行う地域医療研修センターの機能をもあわせ持っている内容になっております。また診療科については、地域の他の病院との機能分担や地域の医療需要に応じ弾力的に運営していくと聞いており、田辺医療圏における基幹病院としての役割を果たしていただけると考えております。
 なお診療体制については、医師は百床につき十人、看護婦は百床につき四十人とするなど、必要な人員を確保すると聞いております。
県といたしましては、引き続き基本計画の実現及び地域の医療需要に対応した弾力的な運用について、地元と連携を図りながら国に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、跡地利用の御質問でございます。
 知事もお答え申し上げましたように、国は跡地の払い下げについては、基本的には自治体または公的な団体を優先したい意向でございます。県といたしましては、地元で公共性のある利用計画を調整していただくことが大切であると考えており、地元の意向を踏まえて国へ働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) カラオケボックスの対応についてお答えいたします。
 本県の青少年健全育成条例においては、カラオケ業者に青少年非行防止の責務、飲酒、喫煙、シンナー吸引等の場所としての提供禁止のほか、保護者等にも青少年の夜間外出の制限の規定が設けられてございます。
 したがって県行政としては、こうした現行条例の規定をもって業者に対する指導と自主規制の徹底を図るなど諸対策を推進し、青少年の非行防止に努めてきたところでありますが、最近の情勢を踏まえ、今後もこうした対策をより強化するとともに、カラオケ営業の実態と青少年問題とのかかわりに深い関心を持ち、青少年に与える影響を見きわめながら、関係機関とも十分協議し、条例改正の要否についても検討してまいりたいと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 南紀白浜空港ジェット化整備に伴う難視聴問題についてでございます。
 南紀新空港の建設により、白浜町の平草原に位置する民間放送局及びNHKのテレビ中継放送所が航空法の定める水平表面を超えるため、これらを低減する必要が生じたものであります。
 そのため、昭和六十三年度から低減による影響等を調査してきており、それによると一部の地域においてテレビの映りが悪くなると予測されております。その対応策については、議員の御質問にもありました新たなテレビ中継放送所の設置及び個別受信対策並びに県の補助などにより、当該地域に設置された難視聴解消のための受信共聴施設の対策などに関し引き続き詳細な調査を実施し、各関係機関と十分協議の上その対応策を検討してまいります。また、対応策が定まった時点で一般住民への周知徹底を図るとともに、協力をお願いしてまいりたいと存じます。
 なお、田辺湾総合リゾート開発の事業主体においては、この低減を承知しております。
 UHF電波の特殊性については、直進性を有するものであり、その点を考慮の上、調査を実施いたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) カラオケボックスに関する御質問にお答えいたします。
 まず、昭和六十三年度決算審査特別委員会における答弁の三十七店舗、三百六十八室については、昨年十二月末現在の数であります。
 次に、最近の傾向としては、本年六月一日現在で五十七店舗、五百八十七室を把握しており、大幅な増加となっております。また、これの利用者の傾向については、依然としてサラリーマンや主婦グループ、若者が中心でありますが、中学生を含む少年の利用も見られているところであります。
 次に、こうした現状に照らしての対策についてであります。
 警察といたしましては、少年の非行防止、健全育成の立場から、関係団体の協力を得ながら、少年に対する補導活動を強化する一方、カラオケボックス業者に対しては、健全営業に向けての指導を行うとともに、酒類を提供するなど少年の非行を助長する悪質な行為に対し、関係法令を積極的に適用して取り締まりを行ってまいる所存であります。
○副議長(宗 正彦君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 天神崎に関する保全とその教育についてお答えいたします。
 天神崎は、自然環境に恵まれた絶好の自然観察、そしてまた学習の場でもございます。こうした観点から、昭和五十七年に開館いたしました自然博物館においては、教育普及活動として天神崎等における自然観察会を開催してきたところでございます。また地元の学校においては、現地学習の実施や新任教員を対象とした初任者研修において、天神崎の現地見学や自然保護に関する講義などを実施しているところでございます。
 自然環境の教育については、実践的な野外での自然との触れ合いや仕組みを肌で観察し学習することの大切さは議員御指摘のとおりでございます。県教育委員会としては、自然教室やふるさと教育推進事業を進めるとともに、各学校において地域の実態に応じた創意工夫する教育を進めているところでございます。
 天神崎については、関係者の皆さん方の御尽力でナショルトラスト第一号として全国最初の認定を受けたことを十分踏まえて、今後とも自然保護に留意しながら、自然との触れ合いを深めていく教育をさらに進めていきたいと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 順序が若干不同になりますけれども、適宜、再答弁をお願いいたします。
 まず、総務部長。原発との関連で質問をいたしましたが、型どおりのお答えです。
 実は三月二十四日、ある放送で美浜町原発誘致二十周年記念のプログラムがありました。この席上で、美浜の町長なり学識経験者から、よかったというような内容の発言は私にはひとつも感じられなかった。顕著に言われたのは、「建設時には投資的経費も増加するが、後で減じていく。原発による地域発展は幻想である」、「一時的な立地助成金は地方交付税で相殺されてしまう」、「固定資産税が急激に減少していく」、「投資的に周辺の公共建物は増加しているので、これに対する維持費が多く支出されて困る」、「企業の誘致は進まないで、観光収入も一時的であって頭打ちとなり、農業、漁業の基本産業の乱れが目立つ」、以上の五つに集約できたと思います。
 誘致後、既に二十年たった美浜町のいわば反省とも言われるこの放送の中でこういうふうに明確に定義づけられているのに、今でもやっぱり部長は、原発を持ってきたらその地域は発展するんだというふうにお考えですか。五つの項目を具体化しましたから、それぞれにわたってお答えをいただきたいと思います。
 次に、テレビの問題です。
 商店街の意向について質問したんですけれども、これは質問にならなかったんかな。じゃ、改めて。電器屋さんは、テレビを売って幾らではなしに、映るテレビを売って幾らだということが原則なんです。電波が届かないやつを映るようにするためには余計な金がかかり、労力がかかる。あるいは、これでいいと思っているやつが今度はあかんようになった、おまえとこの機械が悪かったんでという格好で、商取引上困る。これは、私はやっぱり商工労働部の管轄であると思う。そういうものの啓蒙もやってほしい。これは、ひとつお答えをいただきたい。
 要望ですが、質問でも申し上げたように、この件については土木部長が一括して答えたような格好ですけれども、私が調査している間でも、あっちこっち聞いて回ってもなかなか連絡ができてない。例えば、田辺のリゾート担当者に聞いても、県からそんな話聞いたことないよ、テレビの難視聴なんて考えてみたこともなかったと、端的に言ってそうです。あるいは農林水産部に、おまえとこでずっと行政上やってきた難視聴解消でようけ金つぎ込んだやろう、今度百十一施設がこういう格好になってきたらどうやって運営していくんだ、指導はどうするんだという話をしても、もうひとつぴんときたような返事がない。だから、お答えは型のごとく「関係各所と緊密な連絡をとりながら前向きの姿勢で取り組んでまいります」という答弁はなさるけれども、現実は余り連絡がとれていない。おまえとこはおまえとこ、わしのとこはわしのとこ、済んだら終わり、こういうことのないようにしていただきたい。これは、土木部だけでは荷が重いと思います。
 飛行場をつくるについては、みんなでやいやい言うけれども、住民の目に見えない被害については解消してやろうという県行政の取り組みが少ない。しかしながら、こういう点が大事だと思います。これをまずやっておかなんだら、飛行場や飛行場やと言うても誘致へ水をかけるような話になってしまう。これも、飛行場はいいけれどもそれを受け入れる基盤を考えておかなければいかんという一つの実例です。
 こういう点もひとつ土木部長、私は幸い建設委員会に属していますから足らない点は委員会でもっと深めますけれども、各部との連携を口だけではなしにもっと根性を入れてきっちりやってほしいなということを要望しておきます。関係部局も、土木部から連絡があるのを待つのではなしに、私とこの部での問題点はこれがあるんだというふうに、むしろ問題提起を各部から土木部に出していく、こういう姿勢を要望しておきます。
 教育の問題については、ちょっと食い違うようですけれども、後刻、十五年前の議会でのやりとりの明細をお届けします。十分勉強していただきたいと思います。教育部門としては、十五年前から余り進んだ取り組みをしていないなということがおわかりだと思う。
 たしか、三月県会の文教常任委員会の中では、このことについても論議があったという委員長の報告ですけれども、それを掘り下げて、どういう点での論議が委員会の中でなされて、教育委員会としてはどう受けとめているのかについては後刻承ることにして、本日は答弁結構です。
 以上。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 先ほどは、原子力発電所が立地した場合の市町村財政への影響ということについて申し上げたわけでございますが、これに対して、たしか福井県の美浜町の例かと思われますけれども、増収があっても交付税で差し引かれるとか、固定資産税は減少していくとか、施設を使えば維持費が大変とか、その後、必ずしも企業進出、観光開発が進んでいないケースもあるという御指摘をいただいたわけでございます。
 まあ、これは一般論でございますので、どちらのケースもあり得るんではないかと思いますが、原子力発電所の立地が地域の活性化につながるか、つながらないのか、それはそのインパクトをどう生かして持続的な活性化につなげる地域づくりをするかどうかというその方向づけによるのではないかと考えられるわけでございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、田中実三郎君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず初めに、地域医療と福祉の問題で質問いたします。
 いつか、この議場で訴えさせていただいたかと思いますが、もし家族の入院に付き添えないような場合、付添婦さんに渡すお金だけでも一カ月五十万円近くかかり、これが数カ月も続くと家庭破壊につながりかねないわけで、何とか完全看護をしてくれる病院を探してほしいというような痛切な叫びを私たちは何度となく聞かされるのであります。また、こうしたやりくりのつかない家庭にあっては、寝たきりや痴呆老人の介護に疲れ果てたお嫁さんが蒸発してしまうなどの家庭崩壊の例が後を絶たないのであります。しかも、寝たきりや痴呆老人はどんどんふえる傾向にあり、西暦二○○○年には人口十万人当たり二千人以上にもなると言われ、こうした事態に対処するための地域医療と福祉施策の充実は今日の政治にとって緊急にして重要課題の一つであります。とりわけ過疎地の多い有田にとっては、老人だけしかいない家庭が多く、事態は極めて深刻であります。
 しかしながら、私は本県の「長寿社会総合対策指針(要約版)」に載っている知事の巻頭言を読ませていただいて、少なからず安堵することでできました。大変格調の高い文章ですので、皆さんもお目通しのことと思いますけれども、紹介させていただきます。
 「はじめに」「『長寿』という言葉には、生命の躍動感を思わせる響きがあります。 人類悠久の歴史の中で、21世紀を目前に控えた今日、ようやくにして悲願に辿りついたという喜びと、それが生み出す様々な可能性への期待とが、静かに、しかし、ひしひしと伝わってきます。 これからの長寿社会を語るとき、私たちは、何よりもまず、こうした状況を可能にした人類の英知に思いを致し、生命への尊厳と畏敬とを基本認識に据えて出発しなければなりません」。
 そこで、まず知事にお願いしておきますが、この言葉が建前上のきれいごとでなく、これからの知事の施策の中ににじみ出るものであってほしいのであります。
 今度の私の質問の中心点は、県立五稜病院の中に老人保健施設や福祉施設を併設することによって、老人や障害者をめぐって地域が抱えているさまざまな悩みを解決するために大きな力をかしてほしいということであります。
 先日、大阪府が委託している大阪福祉事業財団の関目学園を視察してきました。
 ここは、城東区の町中にある総合福祉施設であって、病院を初め特別養護老人ホーム、精薄者のための共同作業所、乳児保育所など、まさに「赤ちゃんからお年寄りまで」の言葉どおりの施設が一万坪余りの敷地の中にぎっしりと並んでいました。そして、今も強く印象に残っていることは、底抜けに明るい雰囲気が見られたこと、その活動が地域住民の中に深く、広く溶け込んでいるように思えたことであります。
 ちょうど昼の休憩時間の少し前でしたが、余り広いホールではありませんでしたけれども、そこにはお年寄りがぎっしりといすに腰をかけて、老人大学の講義を受けておられました。それが終わると、皆さんが食堂に入って、がやがやと楽しそうに食事をとり、その後は人形づくりや日本舞踊、詩吟等、それぞれの趣味に分かれてのクラブ活動でした。しかも驚いたことに、これらのお年寄りは、施設の入所者だけではなく、付近の住民からの参加者が多いということであります。事務長さんが、「うちとこは老人の託児所のような役割を果たしている」と笑いながら話していましたが、事実、玄関先にはこうしたお年寄りを送迎するデイ・サービス用のリフトバスが二台も並んでいました。
 五稜病院には、毎日五、六十人程度の内科、外科の外来患者が見えられますが、地域との結びつきの点では組織的に取り組まれておらず、精神病院としての暗いイメージをぬぐい去ることはできていません。
 そこで、この五稜病院に、ホームヘルパーやデイ・サービス、ショートステイなどの在宅三事業を行う広域的な地域福祉センターを併設し、あわせて先ほどの関目学園の老人託児所のような活動を行えるようにすれば、これまでの暗いイメージにかわって地域と密着した生き生きイメージが出てくるのではないでしょうか。お年寄りなどの長期の慢性患者の場合、入院は決してよい環境とは言えず、できれば家族や近所の人と一緒に生活して、そこで医療を受けられるような在宅医療の充実が望ましいのであります。
 今度政府が打ち出した高齢者保健福祉推進十か年戦略でも、このような在宅ケアの充実が大変重視されていますし、本県の長寿社会総合対策指針を見ても、はっきりとこのことの方向づけが行われています。しかし、現状はお寒い状態で、吉備町の場合、ことしからホームヘルパーが一人ふえましたけれども、町内にお世話を必要とする一人暮らしのお年寄りの方が九十人ほどおられますが、とても手が回らないので、重度の方の三、四十人を中心にして週一、二回の介護に当たっているのが現状のようですし、金屋町の役場の方にお聞きしても、ほぼ同じような状況でした。
 政府の十か年戦略によれば、現行の三万人余のホームヘルパーを十万人にふやす作戦ですが、平成二年度に予算づけされたのはわずかに四千五百人であって、これからは毎年六千四百人ずつふやさなければならない勘定になるわけで、その実現が危ぶまれています。しかも、この目標が満額実現されたとしても、まだ人口十万人当たり七十七人であって、スウェーデンやデンマークの十分の一程度にすぎません。在宅医療に力を入れているこれらの国では、高齢者が病気になった場合、本当に二十四時間家事サービスをするわけで、これほど多くのヘルパーが必要となります。ということは、これが一つの有力な産業雇用政策にもなっているわけで、こうした人間らしい仕事にたくさんの人材が働けることになることが日本の福祉や医療を社会的に大きく発展させる道にもなるのであります。
 次に入浴サービスの問題ですが、有田には広域の特別養護老人ホーム「潮光園」があります。ここには入浴設備も整っていますが、これを利用してデイ・サービスを行っているのは所在地の湯浅町だけであります。こうした状況に加え、政府の十か年戦略では在宅介護支援センターを一万カ所、過疎地のお年寄りのための生活福祉センターを四百カ所つくる計画があるわけで、私のこの提案が時宜にかなったものとして御検討いただけるものと確信いたしております。
 いま一つ、五稜病院自身の効率的運営の面からも、こうしたことの検討が必要かと思います。すなわち、医療技術の進歩、患者の高齢化、住民の健康ニーズの多様化などの中で、五稜病院においても何らかの対応を必要とする時期に来ていると言えます。
 その一つは老人保健施設の併設の問題でありますが、病院の入院患者の間でも老齢化が進み、現在、七十歳以上の方が二十五名もあると聞きますし、いわゆる中風症状の患者も増加してきているようであり、こうした方々によりよい生活の場を与えるものとして老人保健施設の併設が望まれています。また、医師が入院の必要がなく通院可能と判断しても、その家族らが受け入れを拒む場合が多く、特に世代がわりしている家族の間ではこの傾向が強いと言われ、こうしたこともあってか五稜病院は、県立でありながら「すぐ退院させる」という、よくない風評を耳にすることが多いのであります。
 そこで、こうした事態を解消するため、精神障害者援護寮を併設して、回復途上にある患者に一定期間利用させ、生活の場を与えて社会復帰の指導を行えるようにしてほしいという声もあります。さらに、最近のストレス社会の中にあって、いわゆるノイローゼ症状で仕事場に行けなくなる若者も多くなる傾向にあり、気軽に相談に乗ってもらえるような明るい雰囲気での県精神保健センターの拡充が求められていますし、心身に障害を持つ方々の社会復帰と保護を目的とした精神薄弱者援護施設とそれに付随した作業場の設置を求める要望も地域の間で強まってきています。
 こうした施設と、先ほど来強く要望してきた在宅ケアや託老所的機能を持った地域医療福祉センターの併設、例えば、一階は地域センターで、二階、三階には老人保健施設や心身障害者施設をつくるといったことも可能であります。その上、五稜病院には作業農園や空き地が二千五百平米もあり、老朽のため近く撤去が予定されている伝染病棟の敷地を加えれば、少々の施設をつくれる余裕を持っています。また、現在は入院患者の減少する中で、鉄筋二階建て千百七十五平米の第五病棟は全く利用されておりませんし、内外科用の入院病棟も未利用のままであります。
 御承知のように、五稜病院と言えばよく赤字が問題となりますが、これらの施設を併設すれば医師や専門職員を必要に応じて派遣することができますし、炊事、洗濯等も共用ができて赤字解消の方向での多角的経営が可能となるのではないかと思われますし、何よりもこのことによって地域に開かれた病院として、その結びつきと交流が広がります。また、寮母、ヘルパーなどの雇用面でも大きく地域の期待にこたえることが予想され、地域活性化にも貢献できるわけであります。
 県立五稜病院の建設は昭和二十六年に始まり、その用地買収は一年余にわたって紛糾したことを記憶していますが、当時、旧御霊村は、小野知事による総合病院化への約束を信じて一万坪の用地を無償提供したという経緯がございます。私の本議場における初質問は昭和四十六年の六月議会でしたが、そのときに五稜病院総合病院化の約束不履行の責任を追及したのに対し、当時の大橋知事は、「私も五稜病院建設以来のいきさつから考えましても、ぜひ、少なくとも内科外科を合わせた病院にしなければならないということで、ことばだけと言われるかもしれませんけれども、ほんとうに一生懸命にやっております」云々と答えています。
 一万坪の用地と言えば、現在の時価に換算すれば三十億円以上になるわけで、それほど大きくもない旧御霊村がよほどの約束がなければこれほどの大金を無償提供するはずがなく、このことについての県の責任は大きいと言わねばなりません。その後も、仮谷知事に対し総合病院化の実現を繰り返し要望し続けてまいりましたが、内外科医の常駐体制をようやく実現していただいたというのが現状でございます。
 地元としては、さきに提出されている陳情署名にありますように、あくまでも総合病院化の方向の一日も早い実現を願い続けているのでありますが、諸般の事情でもしそれが難しいようであれば、それまでの次善の策として、先ほど来説明してまいりましたような諸施設や地域医療福祉センターの併設を御検討願えないかと思うのであります。具体的な事業実施の方法については、県立ということにこだわらなくとも、市町村や広域組合にお願いする方法や福祉事業団等の法人に委託する方法も考えられますし、一番切実で緊急なものから順次手をつけていくことも可能でないかと思われます。要は、さきに紹介しました知事の巻頭言のような、やる気があるかどうかにかかっていると思います。
 そこで関係部長にお尋ねしますが、五稜病院と地域医療福祉センターに係る私の提案を真剣に受けとめ、その実現の可能性について関係部局の間で協議し検討していただけるかどうか、その所信のほどを伺いたいのであります。
 続いて、在宅ケアなどの地域情報の集約システムの問題でお尋ねします。
 一定の地域の範囲で、直接の援助や相談を必要とする対象者が、どこでどのような問題を抱えているかを常に把握しておくことが必要と思われますが、このための情報源として福祉事務所等での相談や医師、医療機関での情報、民生委員さんたちの地域活動、さらにはこれらのつなぎ手としての保健婦やヘルパーによる実態把握等が考えられます。
 そこで、これら情報の集約体制の現状はどうなっているのか、長寿社会総合対策を進めていくためには、こうした諸情報の集約システムを確立することがどうしても必要と思われるが、このことについてどんな取り組みが行われているかをお伺いしたいのであります。
 続いて、在宅福祉サービスの問題でございます。
 先ほどの要約版の最後のページでございますけれども、こういうことが書かれております。「ご利用ください 在宅福祉サービス」「こんなサービスを…… 介護のお世話 食事、排せつ、入浴、衣類の着脱、からだの清拭、洗髪など」「身の回りのお世話 調理、洗濯、掃除、買い物など」「自宅から電話一本で必要なときすぐに間にあう便利なサービス」、こういうふうになっております。
 果たして、実際はこんなになっておるか。先ほどもちょっと触れましたが、有田では入浴サービスが実施されているのは湯浅町だけのようであり、また給食などのデイ・サービスが行われているという話は聞いたことはありません。したがって、この要約版に書かれていることは誇大宣伝の感なきにしもあらずと思われますので、関係部長の所信を伺いたいのであります。
 五稜病院関連の最後に、精神病患者の急患受け入れの問題で質問いたします。
 聞くところによりますと、精神科診療の二十四時間体制の実施が国から指導されているようでありますが、五稜病院ではこの体制がまだ実現されておらず、県立であるにもかかわらず、日曜、祭日や夜間における急患の受け入れがないのはけしからんという不満を時々聞かされます。今年度は病棟に冷暖房をつけていただいて大変喜ばれていますが、いま一つ、こうした二十四時間体制の実施についても急患家族の心情にこたえていただくとともに、勤め人や地域の人たちが仕事を終えてからでも診察を受けられるように、ぜひしていただきたいと思いますので、保健環境部長の御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、有田の美しい自然を守る立場から、地域的な二、三の問題について質問いたします。
 まず、伊都郡花園村久木地区に計画されていると言われる産業廃棄物の処分地の問題であります。
 ここに吉備町の六月定例会において採択された請願書がありますが、ちょっと読ませていただきます。
 「最近、有田川の源流である伊都郡花園村久木周辺において、一八○ヘクタールに及ぶ山林に産業廃棄物処分地建設計画が進められていることを知り、この愛する有田川の自然を破壊に至らしめる計画に憤りを感じているところであります。(中略)ご承知のように産業廃棄物は一旦埋められると撤去することは困難であり、その被害は、水源として永い期間にわたって流失し、河川を汚染するものであります。有田地方の住民の命の水とも言うべき有田川の水を守り、子孫に伝えるのは、私達の責任であることを痛感し請願に及んだ次第であります」──こういう趣旨であります。
 また、参考資料も添えられておりますが、それをちょっと紹介しますと、面積は今申し上げましたように百八十ヘクタール、それから事業概要は産業廃棄物十二種類、これは後ろに明細がついておりますが、汚泥、鉱滓、腐敗物等いろんなものが入っております。これを、サンドイッチ工法にて埋立処分する。跡地計画は、「跡地はリゾート用地として利用すると共に、植樹により自然環境を復元する」。サンドイッチ工法とは、「廃棄物は、およそ二メートルの厚さで埋立て、その上に、およそ五○センチの覆土をするサンドイッチ工法を採用する。 なお、埋立完了地には、およそ一メートルの覆土をする」。こういう内容でございます。
 聞くところによりますと、この計画は当初、奈良県野迫川地区を予定していましたが、住民の反対で花園村に移ったとか、しかも百八十万平米の用地の買収は既に終わっているとのことであります。
 もし、これらの計画が事実であれば、請願書の言葉をまつまでもなく有田川下流住民にとって極めて深刻な問題ですので、念のため花園村役場へ電話で問い合わせてみました。助役さんの話では、一度コンサルタント会社の計画書を持って役場へあいさつに来たが、その後、正式の申請もなく文書も来ていないので町としての態度の決めようもない状況だということでした。そのとき、ついでにお伺いしたことですが、霊園公園をつくるという別計画の事業主からの三千万円の寄附金については議会の承認を得て返しに行ったとのことでしたので、申し添えておきます。
 その後、金屋町においても臨時議会を開いて同様の請願書を採択していますし、有田市議会でも審議が始まるようであります。有田川下流住民の関心と反対の声が、このように一段と高まってきております。事がこれほど進んでいますので、県として花園村の廃棄物処分地の問題についてどの程度の現状把握ができているのか、また有田川下流住民の心情を踏まえて今後どう対処してくださるおつもりかを関係部長より伺いたいのであります。
 続いて、ゴルフ場開発の問題で質問いたします。
 全国的なリゾート開発ブームと大企業、大資本の金余り現象の中で、本県においてもゴルフ場開発のあらしが吹き荒れていますが、最近、有田でもその激しさを増しています。
 金屋町では、現在、二つのゴルフ場が営業していますが、県と協議中の釜中を初め、畦田、谷、岩野河の四つの予定地で動きが活発化しており、清水町久野原では、ゴルフ場を含む大きなリゾート開発の説明会を契機に住民の意見が分かれて紛糾しており、また湯浅町の山田山や広川町の明神山の開発をめぐっても激しい議論が行われているところであります。
 私は、ゴルフ場を初めとするリゾート開発そのものに反対するものではありませんが、その余りの多さと激しさに驚くとともに、これによって有田の美しい自然環境が破壊され、大きな災害や環境汚染の事態を招来しないかと心配します。
 御存じのように、長峰山系は中央構造線に属する危険な破砕帯でありますが、裏側の海南市東畑から美里町にかけてもかなりの予定地があると聞きますし、これほど多くの開発で破砕帯の山を裸にしてしまって本当に大丈夫なのか、重大な災害を引き起こすことにならないかと、まず心配いたします。
 いま一つ大きな心配は、土地を売ってしまっても事業認可のおりない場合も考えられますし、これからの経済変動で開発計画やゴルフ場経営がどんな事態になるかも知れず、そんな場合、花園村の産業廃棄物処理地のような転用が行われる可能性が多分にあるということであります。また、農薬汚染の問題も千載に悔いを残すようなことになりかねません。
 こうした観点に立つならば、徹底した議論に基づく住民合意こそ開発認可に当たっての最大の必要条件と考えるわけでありますが、これまでの議会答弁から見た場合、隣接自治会や離れていても特に大きな影響を受ける自治会の同意のない限り事業認可はあり得ないと考えますので、そう理解してよいかどうかについて農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、予定地に共有林等の入会地が含まれている場合、その関係者全員の同意がない限り認可の対象区域になり得ないと考えてよいか、さらに水利権者の同意についても全員の同意が必要と考えてよいかについて御所見を伺いたいのであります。
 次に農薬使用の問題でございますが、このことについてけさほど中村千晴議員から質問があり、答弁も大体同じようなことになるんじゃないかと思いますので、これは省略させていただきます。御答弁、結構でございます。
 最後に、二川ダム堰堤下流の常水確保について質問いたします。
 このことについて、これまで何回か取り上げてきましたが、昨年の二月県会においては、常時放水をしても売電料換算で年間三千万円程度ではないか、いつまでも二川地区住民を泣かせ続けるつもりかと詰め寄りました。その後、河道整備事業を進めてくださっているようでありますが、住民の要求はあくまでも放水による常水確保であります。
 既に県にも届いているかと思いますが、本年、五月二十二日付の二川区長名の要望書によれば──これは町へ出している要望書です。一回二十四時間として、一カ月に少なくとも五回放水してほしいという要望であります。常時放水の要求を六分の一にまで切り下げたわけでありますが、それでも聞いていただけないのか、できない理由として、水利権や構造上の問題を挙げているが、水利権とはいわば関西電力のためのものでないか、一体、関電のもうけと住民の幸せのどちらが大事と考えているのか、構造上の問題といっても今日の技術をもってすれば解決できるはずであり、要はやる気がないからでないか、こうした怒りの思いに駆られるわけでありますが、土木部長より、どうしてもこのたびの二川区長名による要望を受け入れられないならば、その根拠をだれにでもわかるようにお示し願うとともに、このことで企業局長と部長自身が出席して二川地区住民との対話集会を開いていただきたいので、御所見をお伺いします。
 同時に、現在進められている河道整備事業について、その規模、内容と今後の計画について御報告を願いたいのであります。
 以上で、第一回目の私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) お答え申し上げます。
 まず第一点目の、五稜病院の敷地内に老人保健施設等を併設してはどうかという御提案についてでございます。
 現在、五稜病院については、公営企業としての面からの効率的な運営を含めて、今後のあり方について検討しているところでございます。御指摘の老人保健施設や社会復帰施設等の併設については、一つの考え方でございますが、いろいろ困難な問題もあるかと思うわけでございます。今後、五稜病院の検討を進める中で、民間活力の導入も含め、一つの研究課題として受けとめさせていただきたいと存じます。
 次に二点目の、五稜病院の二十四時間の応急体制についてでございます。
 精神疾患に係る急患の二十四時間受け入れ体制の整備については、本年三月に公示した和歌山県地域保健医療計画の中にも挙げておるところでございます。この受け入れ病院については、精神保健法に規定されている応急病院の指定を受けることが望ましいわけでございまして、その指定に当たっては、現在の五稜病院の人員、設備では十分でない点もございまして、早急な実施は困難でございますが、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
 三点目の、産業廃棄物関係の御質問でございます。
 花園村久木地区における産業廃棄物埋立処分場計画については、現在のところ事業者からは県へ話は全くございません。事業者の方から話がありました際には、関係部局と連携を密にして、地元及び下流の関係機関と調整をし、対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 広域的な地域福祉センターについてお答えいたします。
 ホームヘルパー等の在宅福祉サービスについては、住民に最も身近な市町村が実施主体となってございます。複数の市町村が効果的、効率的な観点から広域センター的な供給体制を整備するという方向を打ち出された場合、県としても具体化について努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、情報集約システムとその対応策についてでございます。
 援護を必要とする高齢者等に対し、最も適切なサービスを提供できるような体制づくりを図ることは極めて重要なことでございます。このため、地域住民に最も身近な市町村において、福祉、保健、医療の各種サービスの連携・調整がとれるよう、全市町村に保健婦、ヘルパー、医師等を構成員とするサービス調整チームを設置するとともに、新たに在宅介護支援センターを設置することといたしてございます。今後は、こうしたものを核とする中で関係機関と連携を図りつつ、要援護老人等の情報集約システム等の機能を果たしてまいりたいと考えてございます。
 在宅福祉サービスの利用についてでございます。
 指針要約版にもございます在宅福祉三事業については、平成元年度より緊急に整備を進めているところでございますが、なお供給体制が未整備の市町村もございますので、引き続き市町村とも協議を行い、早急に整備を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 久木の開発計画問題についての新聞報道や地元の動きは承知いたしておりますが、事業者からの事前協議もございませんし、説明も受けておりません。
 森林の開発については、事業者からの協議があれば、災害防止、環境の保全等、林地開発許可基準に基づき指導するとともに、関係市町村の意見を聞き、保健環境部を初め関係部局と十分調整を図りながら厳正に対処してまいる所存でございます。
 次に、ゴルフ場の開発に関しての御質問でございます。
 森林法による林地開発許可については、開発に当たって本制度の円滑な実施を図る目的から、開発に係る森林のある地元自治会及び影響を受けると見込まれる自治会の同意を得ることといたしてございます。
 入会地が開発計画区域内に含まれる場合に、入会地については入会権者全員の同意を必要といたしております。また水利権者については、取水、排水等、影響への有無、水田等、水の利用への支障の有無を判断する目的から同意を得ることといたしております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 二川ダムの常時放流についてでございます。
 二川ダムは、完成から二十四年を経過し、その間、洪水調節、発電等、多目的ダムの目的を発揮して、下流の流域住民の生命と財産を守り、生活の安定と産業の発展に寄与しているところであります。
 議員御質問の常時放流については、地元から強い要望がございますが、二川ダムの構造上の制約や水利権の問題等があり、現時点では難しいところがございます。この常時放流の問題については、関係部局において調査検討を行うこととしております。河道整備事業による効果の状況も踏まえて、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。また、地元関係者に対して説明をし、御理解を得られるよう努めてまいる所存であります。
 現在、実施している減水区間の河道整備事業は、二川地区の家庭排水がよどまぬようにすることと、放水量毎秒千三百立方メートルを安全に疎通できる断面を確保するため、河川環境を考慮した内容として平成元年度から行っております。全体延長が千八百十五メーターで、二年度は延長三百メーターの河道掘削を実施する計画でございます。三年度以降は、残りの千三百七十五メーターの河道掘削と護岸工事を施行し、環境整備を図ってまいります。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 五稜病院にかかわる提言については、今後の研究課題として検討させていただくという答弁でございました。ぜひ、その早期実現を望みたいわけでございます。
 そこで一つ申し上げたいのは、先ほど指摘した五稜病院における遊休施設というんですか、第五病棟が全く使われていないまま置かれていたり、活用しようと思えば活用できる膨大な敷地が残っておる。このことについて、それほど痛みを感じない。実際、民間経営の病院やったら、こういうことをほっておくことはないと思うんです。何とか活用して住民の利益を増すことはできないか、もうけを増すことはできないか、こういう真剣な論議が起きて当然だと思うんですが、どうしたわけか五稜病院ではそうした状態が長い間そのまま続いている。こういう点を考えた場合、地元の住民としては、今の研究課題として検討させていただくという答弁ではちょっと納得できん感情があります。長寿社会総合対策指針にしても、これだけ立派な方針を出されておるんだから、これに魂が入っておれば、今の保健環境部長の「研究課題」というより、もうちょっと前向きな踏み込んだ答弁がいただけるのは当然じゃないかと思います。
 私がお願いした件については、保健環境部だけで解決できる問題ではなく、民生部分野の仕事も非常に多いと思います。そこで、部局間の協力、協調、協議というのが非常に大事になると思うんですが、私たちが外から見た場合に、民生部の方は社会的弱者の方と直接常に接触しておるから割に行動性があるけれども、保健環境部になったら何か学者的な、象牙の塔的な感じもするわけです。これは、どちらもいい面、悪い面があると思います。いい面を生かして、互いに協力し合ってやっていただくということになればうれしいわけですが、どうも自分の城を守る、余りよそへ干渉してはというような縄張り根性が強いのではないかという心配もあるわけで、そうした場合、両部局あるいは幾つかの部局にまたがる事業だとなかなか進みにくいんじゃないか、こういう不安を感じるわけです。
 この問題については、本当に長寿社会総合対策指針の重要課題の一つとして、あるいは五稜病院の精神病患者対策の重要な課題として真剣に取り組んでいただきたい、このことを御要望申し上げます。
 もう一つは、私たち住民の間で早くやってほしいということでお願いに行くとすれば、五稜病院へお願いに行ったらいいのか、県事務所へ行ったらいいのか、保健所へ行ったらいいのか、ちょっとわかりにくいわけです。一体どこが最終責任部局になっていただけるのかというようなことを、もし説明していただけるならば再答弁をお願いしたいと思います。答弁が難しいようであれば結構です。
 それから、二番目の産業廃棄物処分地の問題です。
 まだ申請も何も来ていないんでということで、そういう答弁になると思いますが。
 そこで、特にお願いしておきたいのは、有田川の下流住民の心情としては非常に深刻な問題である。だから、吉備町議会がすぐ請願書を採択する、金屋町では臨時議会を開いてまで対応する。有田市議会は始まっておりませんが、これから審議が始まると思います。また清水町ですが、この請願書を受け付けたのは議会の会期終了のぎりぎりでしたので一応継続扱いになっておりますが、今月中に委員会を開き、また臨時議会を開いて対応するという方向のようでございます。
 このように非常に深刻に受けとめておりますので、こうした心情を十分理解して、申請はなくても現地調査を一度ぐらいやっていただくとか、役場へ事情を聞いていただくとか、そういうことをお願いしたいと思います。
 それからゴルフ場の開発の問題ですが、答弁わかりました。
 その答弁をいただいた結果ですが、影響を受ける自治会の同意がない限り、あるいは災害、環境、水質汚染等、正常に考えての不安のもとに同意できないという事情が生まれた場合には事業認可をすることはないと、こういうぐあいに理解させていただきたいと思いますがそれでよろしいか、もしそう理解して悪いならば再答弁をお願いします。
 それから、二川ダムの常水確保の問題でございます。
 土木部長の答弁、前の方を聞いたら、また同じ答弁かというように感じたんですが、ちょっと後半部分でいい面もあったんじゃないかと思うんです。この問題については調査検討し、今実施している河道整備事業の効果も踏まえて検討していきたいと、こういう意味の答弁だったと思います。
 ということは、常時放水について検討する、検討課題としていただけたと思うんです。しかし、その答弁、ちょっと聞いたらまた心配になる面もあるわけです。というのは、河道整備事業の効果も踏まえて検討するということであれば、河道整備事業が終わってからその段階で初めて検討課題になってくるというような受け取り方もできるわけです。今から直ちに調査検討を始めて、その途中で河床の効果なんかも検討の資料の中に入れていくという意味であるのか、あるいは段階的に河道整備が終わってから検討させてもらいますというのか、これをはっきり再答弁で明確にしていただきたいと思います。
 以上です。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 役所での窓口という形でございますが、私どもの部の医務課の方に御相談いただければ、うちの部だけで対処できないものもあるかもしれませんが、窓口としては御相談に応じたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 二川の常時放流については、技術的な検討を含めて、直ちに検討してまいりたいと思います。
 その中で、河道整備等の状況もあわせて具体的なものの考えを挙げていくというふうに考えております。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 土木部長に要望申し上げます。
 難しい理由として挙げておられるのは、ダムの構造上の問題と水利権の問題だと思うんです。
 ダムの構造上の問題についてはわかりますけれども、現在、揚水発電所なんかではダムの水を何百メートルも山の上まで運ぶんですから、二十四時間ぐらいあのダムの塀を越して水を流すぐらいは技術的に解決できない問題ではないと思うんです。
 そういう点から見たら、水利権が一番大きな問題ではないかと私は感じるんですが。水利権の性格というのもわかりますけれども、考え方によったら、水利権を行使する結果としてのダム発電事業だと思うんですが、この発電事業のために必要な放水というように考えたら、水利権と対立する性格のものではなくて、水利権行使のために必要な事業という点で了解が得られないものかどうか。得られるはずやと思いますが。
 こうした点、土木部長、企業局長もこの責任者になられると思うんですけれども、すぐ検討していただく内容として、ぜひそういう方向も含めて関西電力等の関係機関にもお願いして、御了解をいただくように努力していただくと、このことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時七分散会

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