平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時六分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問をしてまいります。
 まず初めに、大店法問題についてであります。
 けさほど石田議員からも御質問がございましたが、重ねて質問を申し上げます。
 日米構造協議に見られますように、日本とアメリカの政府、大企業は、大資本大型店が自由に進出できるよう大店法を緩和し、さらには廃止させようとしています。アメリカはその理由として、日本には中小商店が多数あるため流通機構が多段階、複雑で非効率的になっていて、消費者の利益を損なっているからとしています。しかし、中小小売店が多数あることは本当に消費者の利益を損なっているのでしょうか。非効率的なのでしょうか。
 私たち日本人の消費生活は生鮮食料品中心ですから、ほとんどの家庭は毎日買物をしています。諸外国に比べて数が多いと言われる日本の中小小売店は、消費者の近くに多数あることによって、このような消費生活を支える大切な役割を果たしてきました。特に最近では共働き世帯やお年寄りの家庭がふえてまいりましたから、車で遠くまで行かなくても自宅の近くに安心して日々の買物ができる店があることは消費者の切実な要望でもありましょう。ですから、中小小売店、商店街、市場の役割はますます大きくなっていると言えます。
 戦後、一貫してふえてきた中小小売店が八〇年代に入って売り上げ不振などから転廃業に追い込まれ、この六年間、店舗数で約三十四万店も減少しているのであります。この大きな原因に、大型店の出店攻勢の影響があることは明らかです。このため、中小小売店、市場、商店街の中にも、大型店が出店してお客を集めてくれれば自分たちの商店街も客がふえ、売り上げも伸びるのではないかと期待して、大型店の出店を待望する声もあることは事実です。
 今、年間三百件を超える大型店の進出があると聞いております。中小企業庁は、五年に一度、商店街の実態調査を行っており、八五年の調査によりますと、商店街内に大型店が進出したことによって近隣型商店街では小売店の四五%が「悪い影響があった」としています。「よい影響があった」とする小売店は、わずか一〇・七%。また、大型店の地域の商業発展に対する影響について聞いてみますと、近隣型商店街では五四・二%が「マイナスの要因になっている」と思っており、「プラスの要因になっている」と思っている小売店は一〇・三%となっています。
 また、同じ調査で、「繁栄している」と答えた商店街の要因は、一つには商圏地域の人口・世帯の増加、二つには販売促進活動の活発化、三つにはアーケード・街路灯などの設置を挙げています。逆に「停滞及び衰退している」と答えた商店街の原因の一位は「大規模小売店に顧客をとられた」ということで、しかもこれは六五・四%にも達しているのです。このことは、全国に一万六千ある商店街の八八・九%が「停滞及び衰退している」と答えていることからも、まさに大型店の進出によって近隣の小売店や商店街の売り上げが伸び、そして繁栄する保証は何ら期待できないことを裏づけていると思うのです。この時期に大店法の規制緩和、廃止が行われるならば商店街や小売店はますます衰退し、さらにこれが加速化して深刻な状況をつくり出すことは容易に判断できます。
 既に御承知のように、大店法の第一条は「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とする」と明記されているのです。ところが、五月二十四日付、二産局第百三十二号で、通商産業大臣官房商務流通審議官通達が和歌山県知事あてに「大規模小売店の届出に係る今後の運用について」ということで出されておると聞いております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 この通達の内容の柱とこれに対する知事の所見をまずお聞かせください。
 次に、本県における大規模小売店舗数は、本年四月三十日現在、百三十九店で、その四六%に当たる六十四店が和歌山市に集中し、さらに今後二店の新規出店と一店の増床が計画されていると聞いています。一方、中小小売店数は一万八千三百十九店、うち八六・四%の一万五千八百二十一店は従業者数四人以下の零細小売商店であります。これらの中小小売店が歴史的に和歌山の地域経済を支える一翼を担ってきたとも言えるでしょう。
 中小小売店は地域の雇用の場として重要な役割を果たし、高齢化社会に向かうことが確実視される中で、働く場としての中小小売店の役割も改めて見直されます。中小商店の背後には中小卸業者があり、そこと結びついた中小製造業者があります。地域経済は、このようにして、これらの人たちが互いに結びつき支え合ってつり合いのとれた発展をしているのではないかと思うのです。
 中小商店が衰退することはこれらの業者全体に大きな打撃を与え、その結果、地域の中小業に雇用、就業の場を求めてきた人々は生活が維持できなくなり、地域経済の衰退は免れません。そして、中小小売業者は地域の住民でもあり、地域に根差して営業してまいったことから、地域のお祭りや盆踊りなどの文化を支える上でも大きな力を発揮してきたのです。
 中小商店が衰退することは、伝統ある地域の文化さえも破壊することになります。こうした大資本大型店の進出はこのような結果を生み出すことが当然予測されますし、だからこそイギリスやフランス、西ドイツ、イタリアなどでは大型店の新増設には許可制をとって厳しい規制を行い、中小商店を保護し、生活、都市環境を守っていると言われているのです。
 昭和六十三年の県の「商業統計調査結果報告書」によりますと、昭和六十年から六十三年の三年間に小売業の商店数が九百五十六店、〇・五%減少、負債額一千万円以上の企業倒産件数は、製造、建設、卸小売、運輸、通信業、サービス業、その他四百十二件でありますが、今なお転廃業に追い込まれようとしている商店も少なくない実態が続いています。
 私は、つい先日、和歌山商工会議所の方にお会いをしまして、大店法の今後の運用についての通産省の通達に係る意見や見解を聞かせていただきました。
 昨年十二月十二日、商工会議所は、今回の通達に先立ち、和歌山商工会議所連合会として日本商工会議所会頭に、小売商業振興と大店法運用について、小売商店の経営が大変困難になっている状況を訴えて要望書を提出し、その中で政府に要請をしてほしい趣旨を申し述べていらっしゃいます。今回の通達については、「説明を受けた段階であり、今後どうなるのか。一番心配するのは、出店調整期間が短縮されたが、果たして一年半以内で調整がうまくつくかどうかである」と述べておられます。そして法律については、「何らかの形であった方がよいと思う」とも話しておられるのです。
 知事にお伺いいたします。
 こうした和歌山商工会議所の要望書について、知事としても積極的に受けとめられ、政府に対して強く要望されたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
 さて、大型店の集中する人口約四十万都市和歌山市の実情について、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 大型スーパーの進出度合いを示す方法は二つあると言われています。一つは、大型店売り場面積が小売業全体の売り場面積に占める比率、すなわち占有率であります。いま一つは、売り場面積一平方メートルの人口密度です。この場合は、一平方メートル当たりの人口が少なければ少ないほどスーパーの過密ぶりが明らかになるわけです。
 そこで、和歌山市の大型小売店舗の現状を見てみますと、一九八〇年から一九八九年の間で大型小売店は十店ほどふえ、その売り場面積の占有率は九・二%増、一平方メートル当たりの人口は三・〇一人から二・五人にと大幅に減少。言いかえますと、人口一人当たりに対する大型店の売り場面積の割合は、ここ十年だけとってみても二〇・四%も伸びているのであります。
 大規模小売店の一平方メートル当たりの人口指標を和歌山市が調査委託した日本マーケティングセンターの規定によりますと、周辺の中小小売店や地域経済社会との適正な調和のとれた、すなわち共存共栄、いわば「適正競合地帯」としての大型店の進出のあり方は、売り場面積一平方メートル当たり十人から十二人未満としております。また、七人から十人未満が「競合地帯」、五人以上七人未満が「競合激化地帯」、三人以上五人未満が「超競合地帯」、三人未満が「ムチャクチャ地帯」と規定しています。和歌山市の二・五人は、まさに「ムチャクチャ地帯」であると言えます。
 さらに、現在、河西地区においてはニチイやオークワ、イズミヤなど大型店の増床及び新設の計画が進められており、その売り場面積は約二十二万平方メートルにも及びます。これらを加えると大型小売店の市場占有率は約六七%、一平方メートル当たりの人口は一・八人という、まさに異常な状況になるのです。この状況は、今ですら、ぶらくり丁や黒門、明光、七曲その他の市場は衰退し、人通りも少なくなり、中小小売店が少なくなっていますし、中小小売店あるいは和歌山市の町づくりにも大変な事態を招くことは避けられないと思うのです。
 新増設されようとしている大型小売店舗は、今までの単なるスーパーではなく、巨大な土地にショッピングセンターを初め、その周辺に映画館、図書館、レストラン、サウナ、プールや文化・スポーツ施設を備え、その上、銀行、証券会社、不動産会社まで収容するという新しい形の、しかも企業丸抱えの町がつくられようとする大型店の出店です。
 本県、とりわけ和歌山市の現状をどのように把握しておられるのか、また今後どのような対応が必要とお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 続いて、五月三十一日、今回の通産省通達の内容で「時事通信調べ」が新聞に載りました。この記事をちょっと読んでみますと、「大規模小売店舗法の運用緩和を求める通産省の通達が三十日から施行されました。時事通信社が三十日まとめた調査結果(速報)によると、一部の都市が独自規制の見直しを表明しているものの、独自規制を実施している都道府県・政令指定市の多くが、『通達が指摘する゛行き過ぎた規制゛に当たらない』などとして、当面、規制内容の見直しをおこなわない方針であることが分かりました。(中略)まだ対応方針を決めていない都道府県・政令指定市でも、岩手、大分、和歌山の各県(中略)は独自規制が通達内容に抵触しないと判断しています」、こう書いてあります。また和歌山市について、「同様の規制を持つ和歌山市も通達施行を契機にこれを見直します」と報道されていますが、和歌山県の方針はこの新聞のとおりなのかどうか。そして、和歌山市について「見直す」というふうに記事が書かれておりますが、もしこの和歌山市の見直す内容についてお知りになっていらっしゃるのであればお教えいただきたいと思います。
 続いて、地方労働委員会の任命問題についてお尋ねをいたします。
 私は、二月定例議会でこの件について質問をしてまいったところですが、六月十八日の任命状況を見てみますと、労働者側委員五人のすべてを連合組合のみが占めるという結果になったことは極めて遺憾に思うのです。和歌山県では、今日、県地評、連合という二つのローカルセンターが並び立っていることはだれもが認めているところでございます。県地評、同盟、労懇という三つの労働団体に行政委員が配分されてきた歴史的経過から言って、当然、二つのローカルセンターに配分されるべきであるということは二月議会でも指摘してきたところでございます。
 ところで、地方労働委員会というのは、労働者を守る立場に立って、労働組合が団体交渉を拒否されたり不当労働行為を受けたりしたとき救済する機関であると思うのです。
 私は、ここに昭和四十六年以降に提訴された事件の資料を持っております。約二十年間に五十数件の問題が扱われておりますが、その大部分が県地評の関係の組合であるように見受けられます。
 商工労働部長にお尋ねしますが、地方労働委員会がこの二十年間に扱った事件のうち、県地評、同盟、労懇それぞれが関係するものは幾つあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 さて、問題は、なぜ県地評関係の組合から地労委へ提訴が行われたか、一方、同盟、労懇からは少ないのかという初歩的な問題であります。
 今、地労委に提訴されている事件に、竜神タクシー問題がございます。竜神タクシーには、以前から労働組合がありました。この労働組合は連合加盟組合であります。ところが、同じ職場にC勤務者という身分不安定な労働者がおります。このC勤務者というのは、売り上げの四〇%だけが手取りとなるオール歩合制の労働者なのです。この労働者が県地評加盟組合である運輸一般に相談して、C勤務者の組合をつくりました。運輸一般の組合員は連合組合の役員に会い、「C勤務者の要求を取り上げてくれるのなら、あなた方の組合に入るようみんなを説得してもよい」と申し入れましたが、連合組合の役員は、「そういう要求をうちの組合で取り上げることはできない」と断ったのです。こうしてつくられた新しい組合に対して会社は、「あなた方はそういう条件で採用されているのだから契約書のとおりだ」とのみ繰り返し、組合掲示板設置さえも拒否してきました。さらに、一人の組合員を見せしめに契約更新拒否という首切りをしたというのが今から和歌山地労委で審査される問題であります。なぜ、連合組合から地労委への提訴がないのか。この事例から見てもおわかりいただけると思うのです。
 本来、労働組合とは、C勤務者のような身分不安定の労働者や最底辺にいる労働者の生活と権利を共同で守ることなのではないでしょうか。労働者を退職に追い込んだり泣き寝入りさせるようなことは、決してあってはならないことだと思うのです。逆に、この立場を忘れて労使協調の立場に立つならば、地方労働委員会に持ち込まれるような問題は起こらないのです。
 そこで、地方労働委員会の果たすべき役割について、商工労働部長の明確な答弁をお願いいたします。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 第一点、大店法運用通達の内容の柱と知事の所見、第二点、和歌山商工会議所の要望書、政府への要望についての見解でございます。
 けさほど石田議員にも大店法の運用緩和について御説明申し上げたのでございますけれども、この緩和については、第一点は消費者利益の保護、第二点は中小小売商業者の地域経済への貢献、第三点として国際協調、この三つが総合的に勘案されて実施されたものであると存じております。
 また、中小企業者に対する厳しい状況やそれらの対応についても石田議員にお答え申し上ましたけれども、今後、大型店や地元商業者の動向を見ながら知事として適宜対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、大店法の運用緩和に伴う中小商業の活性化につきまして、さきの和歌山商工会議所連合会からの要望の趣旨を踏まえ、政府に対して今後要望してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(宗 正彦君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 和歌山市における大規模小売店は、現在、六十六店舗、売り場面積十六万六千四百八十八平方メートルでございます。二年前の六十三年十月の和歌山商工会議所の調査資料によると全売り場面積に占める割合は三二・五%で、全国の県庁所在地の類似都市の平均三四・七%を若干下回ってございます。また、昭和六十三年度商業統計資料によると小売店数は五千四百五十一店で、減少の傾向にございます。
 したがいまして、今後、中小小売商業の対応策といたしましては、商店街の近代化、情報化などを促進し、魅力ある商店街づくり等、その活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に県内市町村の独自規制につきましては、通産省の通達があって後、調査指導したところ、いずれもその通達内容に抵触いたしてございません。
 なお、和歌山市の小売商業調整に関する要綱の見直しの動きにつきましては、現在のところございません。
 次に、地方労働委員会委員の任命問題でございます。
 昭和四十六年から現在まで約二十年間、地方労働委員会での新規取扱件数は審査事件五十七件、調整事件二百八件でございますが、すべて労働組合法に定められた自主的な労働団体、また労働者個人の申し立て等によるものであり、労働団体別の数の把握はいたしてございません。
 また、地方労働委員会の役割でございますが、労使間の紛争が起きた場合、労使双方が対等の立場で自主的に解決するのが望ましいわけですが、円満に解決できない場合、公平な第三者が仲立ちをし、紛争解決のための援助や救済をする必要性から労働委員会が設置されているわけでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、知事と商工労働部長に御答弁をいただきました。大体予想する答弁でございましたので、よしとはできません。
 大店法の問題です。
 今知事がおっしゃったように、三つの観点で法律がつくられているという、改正の規制の部分についてはそのとおりだと思うわけですけれども、法そのものは、「国際的な問題」ということはどこにも書いてないんです。「第一条 この法律は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とする」、こうです。その後、日米構造協議の中でそういうふうに規制を変えて、緩和せざるを得ないというような状況に日本政府が追い詰められてきているということですから。
 五十七年、五十九年と、規制についての改正がずっと行われてきております。この大店法は、御存じのように昭和四十八年にできたわけです。それ以前は東京に白木屋さんというお店があって、そのときには大きいお店であるということで非常に珍しがられたということです。ところが、それから昭和の時代に入り、地方都市にも百貨店があちこちとできてきた。そして、その百貨店というのは大変大きな規模のもので、今までその町並み、その商店街で小売業を一生懸命営んできた人の商いに大きな影響を及ぼし、それが国民世論の中、あるいは中小企業業者の中で大きな問題になり、町並み、町づくりからしても問題があるということで百貨店法が昭和六年につくられたわけです。
 和歌山での経過を見てみますと、丸正百貨店は呉服屋さんとして明治二十四年十月に創業開始されていますが、百貨店法ができてからしばらくして昭和二十五年十月、会社を設立したということです。しかし、百貨店法でもまだ地域の人たちの状況は守られなかった。そして、大店法が昭和四十八年にできてから、続々とスーパーや大型のスーパーを中心としたものがあらわれた。そういった中で、またまた小売店、中小商店街、市場などが非常な圧迫を受けるような状況になってきて、それについて五十七年に規制が行われるようになったわけです。これは、大店舗いわゆる五百平米以上のものと五百平米以下のものがありますが、五百平米以下のものに対する規制であったと思います。しかし、大型店が続々と出てくる中で町が衰退の一途をたどっていき、地方自治体としても非常に問題があるということで商店街の人たち、また市民や県民の世論が盛り上がり、和歌山県もつくられてきたというふうに私は思っております。
 法律とこの規制の問題というのは、非常に矛盾していると思うんです。大店法は大型店と中小小売業者や市場などが共存共栄をしていくためにつくられていると思うんです。しかし規制をするということ自体は、地域の商店街を潤し、ともに発展をしていく、そんな町づくりの一環でこの法律がつくられているのにもかかわらず、それに対して地方行政は口出しをするなといったあり方ですから、発展を阻害するという意味からこの規制というものは当然あるべきだと思うわけです。
 この矛盾点について、商工労働部長、どういうふうにお考えなのか、もう一回お聞きをしたいと思います。法律を守っていく上から、この規制が必要でないのか、廃止すべきなのか、この点についてもう一回お答えください。
 それから、先ほど、大規模小売店一平米当たりの人口指標について和歌山市の場合を例えて申し上げました。現在、二店の新規大型店とイズミヤの増床計画があるわけですけれども、この規制緩和がとられていくならば、そういった大型店が和歌山県全体、あるいは和歌山市にはもっともっとふえていくであろうことが予想されます。野放しの状態が続けられていく。この野放しの状態を町づくりのためにどうやって規制していくのかということがかぎだと思うんです。
 先ほど「ムチャクチャ地帯」というふうに申し上げました。今度の大型店というのは、今あるようなスーパーの形態ではないわけです。
 私は、次郎丸にできる「(仮称)MYCAL和歌山 出店についての説明書」というのをいただきました。法律では届出制であるがために地域住民の皆さんの合意やいろんな意見については無視されていくということが、今度の規制緩和の問題、あるいは大店法の廃止の方向と一致すると思うわけです。
 この説明書を見てみますと、莫大な土地──私はその土地も見てまいりました。町並みそのものが非常に大きく変わっていくということがはっきりしてくると思うんです。そして、一つの企業がその広大な土地を占有して、地域の人たちとの調和といったものが考えられないほどの巨大な町がつくられていくということを目の当たりに見るわけですけれども、こういった点、これからの町づくりのためにどういうふうにお考えになるのか、もう一回お聞きをしたいと思います。
 横浜にも、ニチイの、同じMYCAL本牧という町がつくられています。滋賀県においても、今、巨大な企業である西武が「西武」の町をつくっています。
 私は、つい先日、議員団で調査に行ったときに、「中華料理を食べたいな」とみんなが言うから、「じゃ、ここらで探しましょう」ということで、船着き場の近くで「どこへ行ったら食べられますか」と聞いたんです。そこには、ほとんど商店街というのはないわけです。町の人たちや船員さんがおっしゃるのには、「西武に行ったら何でもあるよ」ということです。そのときに私もよくわからなくて、「ああ、西武デパートに行ったらあるんだな」というふうに理解をしたんですけれども、ところが話を聞いてみると、一つの町が形成されているという。だから、周りの商店街が寂れていく姿が目に見えてきているんだということをお聞きしてきました。
 こういった点で、今の問題について「深刻な問題を抱えている」というふうに知事も答弁をされましたので、ぜひもう一回お聞きをしたいと思います。商工労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の制定の趣旨につきましては、議員御指摘のとおりでございます。
 先ほど知事も答弁申し上げましたように、消費者利益の保護等、三点を総合的に勘案して運用緩和という動きとなってきたわけでございますけれども、私ども地方行政に携わる者としては、特に一番の消費者利益の保護という面と二番の中小小売商業の地域経済の貢献という点を大きく考えていかなければならないのではなかろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、先ほど議員も「共存共栄」という言葉を使われましたけれども、これからは消費者のニーズにも沿いながら中小小売商業の活性化を図っていくということが必要でなかろうかと思うわけでございます。そのためには、先ほども答弁いたしましたように、小売商業においては、例えば買い物するだけの場でなしに、遊びの場とか暮らしの場、そしてまた文化的な要素のある商店街づくりを進め、活性化を図っていかなければならないと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 くどいですけど、商工労働部長、あなたがおっしゃった二つの点を追求していく上で大店法の規制緩和は必要なのか、あるいは大店法の廃止は必要なのかどうか、そこをはっきり答えてください。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の規制緩和か廃止かという点でございますけれども、私は大規模店と小規模小売店が共存共栄をしていくべきであると考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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