平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 利一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 質問をいたします。
 まず、相次ぐコンビナート火災の問題点でございます。
 昨年七月十日に石油コンビナート特別防災区域にある大岩石油青岸油槽所で起きた化学薬品タンク爆発炎上事故は、高さ二十メートルの火柱を上げて炎上し、黒煙は六百メートルの上空に達し、実に十二時間燃え続けたのであります。響く地鳴り、襲う猛災、その上、強烈な刺激臭は鎮火してからも三キロ四方の市街に広がり、改めてコンビナート災害の恐ろしさを見せつけられたのであります。
 また本年に入ってからは、去る五月九日、関西電力海南発電所において脱硫装置解体中に火災が発生。爆発音を繰り返しながら一時間にわたって炎が吸収塔から十数メートルも上がり、消火作業が難航。この間に黒煙もうもうと市内中心部にまで立ち込め、七十メートルの近くにある三万キロリットル重油タンク七基に冷却放水をして難を免れたのであります。この海南発電所では最近三度目の災害事故のため、周辺住民の不安と怒りは大きいのであります。
 次いで、五月二十六日夕刻発生した住金製鉄所の火災は、出火から丸一日燃え続け、二十七日午後六時半、ようやく消しとめられましたが、この間、周辺住民は刺激臭を伴う黒煙に悩まされ続けたのであります。しかも、住金製鉄所が出火に気がついてから市消防局へ通報したのは、実に五十三分後のことであります。また、電源遮断などの不手際で放水態勢が整うまでに二時間近くもかかるという対応のまずさがますます災害を大きくしたのであります。
 これらの火災は石油コンビナートを形成する重要な事業所で発生したものであり、時と場合によっては大きな労働災害や周辺住民を巻き込んだ恐るべき事態になりかねない重大な問題であるにもかかわらず、事故は繰り返し発生をしておるのであります。これらの相次ぐコンビナート事故に対して県民、市民は、安全防災対策はどうなっているんだという強い不信と不満と怒りを持って、防災の施設や安全に対する教育など、徹底した安全管理体制のチェックを強く求めているのであります。
 これら続発するコンビナート火災の発生について、また事業所の防災対策等について知事はどのように考えておられるのか、その所見をお伺いいたします。
 さて、これら事故の問題点の一つとして挙げられることは、いわゆる「生産優先、安全軽視」という企業意識の中で起きた事故であるということであります。海南発電所は脱硫排煙装置の撤去作業中であり、住金は施設を中国へ輸出するための撤去作業中であり、両事業所ともこの撤去作業に従事する業者に対して火気使用管理等の防災上の安全チェックがなされておらず、下請に任せっきりであります。すなわち、合理化のため、安全監視体制が撤去作業の下請業者にまで及んでいないのであります。
 ちなみに、新聞記者の質問に対して海南発電所は、工事仕様書のマニュアルをもとに「防災シートは敷いていたはず」などと、推測の説明しかできておらないのであります。住金の火災でも住金側は、「教育ができていなかった」と、その否を認めた発言をしているのであります。さらには、元請から下請へのトンネルの中で予算が削られ、安全対策の手抜きにつながることは必至であり、見逃せない重大な問題であると考えるのであります。
 このような事業所の安全管理の責任について県はどのような措置をとり、対処しているのか、説明を願いたいのであります。
 次の問題は、コンビナート災害の重大性の意識が欠如しているということであります。
 海南発電所の火災においては、この火災現場から七十メートルの近くに三万キロの重油タンクが七基並立しておりますが、冷却放水で延焼を免れたのであります。しかも海南発電所では、先ほど申し上げましたように、四十七年の六月、六十三年の五月に次いで、今度三度目の火災事故であります。また住金製鉄所火災に至っては、出火に気づいてから通報したのは実に五十三分後であります。まさに、何をか言わんやであります。さらに、電源遮断がもたついて放水を始めたのは二時間後、そのために消火活動は大きくおくれ、丸一日燃え続けたのであります。これに対して世間では、「五十三分もおくれたということは常識では考えられない。初めのうちは、何とか事故隠しをとたくらんでいたのではないか」とうわさされているのであります。しかも、北部臨海消防協議会はその前日の二十五日に総会を開き、施設の自主点検を申し合わせたその翌日の住金火災事故であります。
 このように、海南発電所における重油タンクの目と鼻の先の火災といい、住金火災の通報五十三分おくれといい、コンビナート災害がいかに重大な危険をはらんでいるかという認識の欠如も甚だしいと言わざるを得ないのであります。県は、これらの問題をいかにとらえ、どのように対処しておるのか、説明を願いたいのであります。
 次に、広報活動の問題であります。
 昨年の大岩石油タンク爆発火災についても、タンクが密集しているので次々と爆発するのではないかと、周辺の住民は非常に恐れたのであります。また、強烈な刺激臭に目やのどが侵され、有毒ではないかという市民からの問い合わせが相次ぎ、これら市民に対する広報のおくれが問題にされたのであります。
 海南火災についても、報道によりますと、「黒煙もうもう 爆発するのではないかという不安走る」、「数十メートル先に重油タンク 関係者一時騒然」、「爆発が起こるのではないかと、そればかり心配した。近くに住む者には簡単でいいから説明してほしい」等々、広報の不備に大きな不満が出ているのであります。
 また住金火災についても、出火から丸一日燃え続け、悪臭の伴う黒煙に悩まされ続けた住民は、大災害に至るのではないかという不安にかき立てられたのであります。
 聞くところによりますと、住金は周辺自治会長の一部に電話連絡し、翌日になって職員が陳謝して回ったということでありますが、全体には伝わっておりませんし、後で謝って回ったからよいというものでもありません。簡単な応急の情勢や、二次災害のおそれはないのか、刺激臭など人体に影響はないのかなど、手早く住民に知らすべきであると考えるのであります。
 私は、これら過去の災害火災における広報活動のあり方の反省に立って、特にコンビナート災害の重大性にかんがみ、地域放送との連携のもとに、和歌山放送、テレビ和歌山、NHK和歌山等のマスコミの活用を工夫すべきであると考えるのであります。
 県は、コンビナート災害時の広報活動についてどのような反省と対策を持っているのか、さらに地域放送、マスコミの活用についてどう考えておられるのか、質問をいたします。
 次に、国道百六十八号線の崩壊と復旧計画についてでございます。
 新宮市から本宮町に至る熊野川町椋呂の国道百六十八号線で、去る二月二十四日、土砂崩壊が発生。高さ四十メートル、道路四十メートルにわたって千五百立方メートルの土砂に埋まり、降り続く雨の中で復旧作業がはかどらず、全面通行どめが丸二日続き、現在に至るも片側通行になっているのであります。これがために、高校生の通学や周辺住民、特に本宮温泉郷の観光に大きな支障を来したのであります。
 引き続いて六月五日午前零時ごろ、今度は同じ熊野川町宮井の国道百六十八号線でがけ崩れが発生。国道の長さ八十メートルにわたり土砂に埋められ、ふさがれたのであります。現場は、国道の上方二百メートルの山林から土砂が岩石とともに急斜面の雑木や杉などをなぎ倒しながら轟音を立ててなだれ落ち、国道を埋めてしまったのであります。
 五日、六日と全面通行どめとなり、六日の夕刻から片側通行、夜間は全面通行禁止になっていたのでありますが、九日未明、再び土砂崩壊があり、全面ストップ。十日午後から片側通行になり、ようやくこの二十一日になって夜間の規制も解かれ、終日片側通行になっているのであります。
 崩壊現場は、高さ二百メートルからの山崩れの跡や、百五十トンから二百トンとも思われる岩石や土砂がむき出しになって、大雨が降ると再び崩落の危険が大きく残っているのであります。
 この相次ぐ全面通行どめで、問題は完全な迂回路がないということであります。唯一の迂回路は、宮井大橋を渡り、林道篠尾峯線を通って敷屋大橋に抜けるのでありますが、道幅が狭く、大型車は対向できず、一部は未舗装でガードレールもない道路で、しかも所要時間は国道の十倍近く、一時間半もかかるという悪道であります。
 今、私は「悪道であります」と言ったんですが、実はこの迂回路は、この議場の2番議席に座っておられる前熊野川町長さんが篠尾峯線に非常に骨を折ってつくっていただいたもので、あの峠へ行くと「和田正一」と書かれた記念碑が建っております。実際のところ、この迂回路がなかったら、それこそもうバンザイであります。全面ストップでありますが、そういう意味では和田さんに敬意を表するものでございます。
 さらに、この崩壊場所は、和田さんの豪邸の縁側からまともに見える。和田さんは毎日、好きな晩酌もやめて、奥さんと交代で二次災害が起こらないか一生懸命に番をしてくださっておるそうでありますので、番人手当を県にもお願いせんならんと思っておるわけでございます。
 さて、話はもとへ戻りまして、この国道百六十八号線の全面ストップにより奥地本宮町はいつも陸の孤島になり、産業や生活物資の輸送ルートも断たれ、住民生活に与える影響は大きく、特に観光本宮温泉郷は夏のシーズンの出ばなをたたかれて、その打撃は深刻であります。百人以上の大口団体や中小団体の取り消しが続き、個人客も予定を変更して皆無、泊まり客も、田辺方面や、また小型車を使って不便な迂回路を遠回りして瀞観光へ送るなど、その有形無形の損失被害は実に大きいのであります。
 また、この数回の全面通行どめにより、新宮市内に通学する新宮高校生で四十二名、新宮商業生で十二名、計五十四名の高校生の通学にも支障を来しているのであります。
 以上申し述べたとおり、雨に弱い百六十八号線、たび重なる崩壊災害、全面通行どめにより奥熊野地方は陸の孤島となり、地域に大きな被害を与えているのでありますが、とにかく住民は、雨が降っても安心して通れる道を厳しく求めているのであります。さらにまた、今、雨季を控えて、きょうのような強い雨が降れば、また通行どめが起きるのではという不安の声が出ておるのでございます。
 現在、崩壊した宮井地区の国道は、新宮土木及び林務課の昼夜を分かたぬ懸命の努力により、ようやく片側通行になったのでありますが、二次災害の大きな危険をはらんだ状態であり、その復旧が急がれているのであります。
 崩壊現場は山林であり、現に災害関連緊急治山事業としてその対策に取り組んでいると思いますが、経過及び復旧計画について農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 また、さきに崩落した椋呂地区は、長期にわたり片側通行の規制のままであります。そして、今回の事故現場である宮井地区は上方山林からの土石流によるもので、現在、夜間通行どめが解除されて片側通行の規制が行われているのでありますが、両地区の復旧計画について土木部長の説明をお願いいたします。
 さらに、奈良県境に至る百六十八号線は崩壊危険箇所が非常に多いのでありますが、この危険箇所の総点検はどうなっているのか、また危険箇所はどういう改修対策を立てておるのか、説明を願いたいと思います。
 次に、新不老橋の名称の募集についてであります。
 新不老橋の名称を募集するために、県は和歌山市の全小・中・高の学校にチラシを配布して、優秀賞には副賞十万円、佳作三点には副賞一万円を贈るという賞金つき応募を求めておりますが、県教委から市教委を通じて各学校に児童生徒への広報について協力を求めて配布し、子供たちの間で評判になっておるという新聞記事を読みまして、私は、ふっと次のような風刺漫画を思い浮かべたのであります。
 その漫画は、立派に完成された新不老橋。その橋の真ん中に取りつけられた屋台の上に、ねじり鉢巻きではっぴ姿の土木部長、教育長、県の偉いさんがずらり並んで、祝竣工のもちまきの最中であります。土木部長は「この橋に名前をつけてください」と大きなメガホン。片や教育長は、「一等十万円」と書いた大きなもちを高々と持ち上げている。その下で子供たちが「十万円、十万円」と大騒ぎをしておる。このありさまをかなたの不老橋の上からやおら眺めていた万葉姿の柿本人麻呂が、「何事ならん。これじゃタズも渡らぬ」と憮然たる表情。その後ろに、守る会の人々が不満の顔、顔、顔。「裁判中だぞ」と叫ぶ者あり──こういう漫画であります。
 どうですか、皆さん、この漫画の中からどういうことをお考えになられますか。私は、逆らう者への県のおごりの姿が見えてくるのであります。いやしくも新不老橋建設については、目下、裁判で係争中であります。そういう中で公教育まで使って、しかも賞金つきの名称募集は社会的に非常識であります。「思いやり県政」とは、少数意見も配慮するということではないのでしょうか。このことについていかがですか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、教育長にお尋ねをします。
 現在の教育は、社会の進歩のもとに、その環境といい、教育の内容といい、次第に完備された中で子供たちは幸せな教育を受けていることはまことに喜ばしいことであります。しかしながら、豊かな時代の今の教育には、何か「日本人の心」というようなものが忘れられ、心の荒廃の問題が批判されているのであります。学校では自己中心的な傾向が強く、いじめや校内暴力が後を絶たない、家庭では家のお手伝いをしてもお金である。おばあちゃんでも金がなければ孫は懐いてくれないという、きょうこのごろであります。
 このように、経済大国と言われる日本において、金万能の思想が大人から子供に広がっていることが今の教育の大きな問題であり、心の教育が問い直されていると思うのであります。そういう時世の中で、一等賞十万円という大金を出して児童生徒の射幸心をあふるというようなことを教育委員会自体が介在して行うということに、私はどうしても納得いかないのであります。教育長にその御見解を承りたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの森利一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森利一議員にお答え申し上げます。
 相次ぐコンビナート火災の発生とその対策についての知事の考え方でございます。
 お話ございましたように、特別防災区域内での関電、住金事業所における一連の事故で地域住民の皆さんに多大の迷惑をかけ、不安を与えたということ、私もまことに遺憾に思っております。
 森議員おっしゃいますように、このような事故の再発防止について、関係事業所に対し、なお一層厳しい態度で安全管理の徹底など、今後とも十分配慮してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) コンビナート地域における安全等の防災管理の問題でございます。
 今回の両事故は、いずれも休止中の施設の撤去作業を事業者に請け負わせ、その作業中と作業後において発生したものでございます。
 企業の作業工程、安全管理については各事業所において規定されているところでございますが、事故のあった両企業に対し、現在の作業管理規定等を見直すとともに、下請業者等に対する管理監督及び教育を徹底するよう指示しているところでございます。また、関連事業所等を含めた従業員に対し、特別研修を実施する計画を進めているところでございます。
 次に、安全意識という問題についてでございます。
 ただいま御指摘のとおり、コンビナート地域における災害は周辺に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、特定事業者を初め防災関係機関はその責務を十分認識し、防災体制の整備と災害の予防、さらに応急対策等の実施に万全を期することを基本方針として和歌山県石油コンビナート等防災計画を作成し、防災会議及び訓練等において研さんに努めているところでございます。
 しかしながら、今回の通報のおくれ等につきましては、下請業者を含めた関連会社や従業員の火災の重大性の認識に十分でなかった点があり、県としても、事故直後、事情の聴取をするとともに、口頭及び文書で指示をしたところでございます。このことを踏まえ、今後かかることのないよう十分指導してまいる所存でございます。
 また、周辺住民に対する広報活動でございます。
 御指摘のとおり、コンビナート災害は当該事業所のみならず周辺地域住民に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、関係市町村及び関係特定事業者は相互に協力して災害時における住民の不安解消等を図るため、災害の状況や応急措置の状況について住民に周知するよう防災計画書において定められているところでございますが、今回の広報活動については、ただいま御指摘のとおり遺憾な点もあったわけでございます。
 今後は過去の反省に立って、災害の状況に応じ、御提案のありました、和歌山放送、テレビ和歌山、NHKなどの地域放送等との連携のもとに周辺住民への周知方法を検討し、効果的な広報活動に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 六月五日、熊野川町宮井地区で発生した林地崩壊につきましては、災害発生後、直ちに現地調査を行い、土木部と協議を重ねた結果、国道の安全通行に係る応急工事については土木部で対応、林地部分については農林水産部で行うべく取り決めたところでございます。
 議員御指摘の土石流など二次災害への対応につきましては、応急工事として災害関連緊急治山事業により土砂どめの擁壁工等が実施できるよう、ただいま国と協議を進めており、近く着工ができるものと考えてございます。
 全体復旧につきましては、さらに多額の経費を要しますが、できるだけ早期に復旧してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、国道百六十八号の椋呂、宮井地区の災害についてでございます。
 議員御指摘のように国道百六十八号は幹線道路でありますので、早期に復旧すべく、現在、鋭意調査計画中でございます。
 椋呂地区内の崩壊につきましては、現在、調査ボーリングを行い、対策工法を決定すべく解析中でございます。対策工法が決まり次第、速やかに執行してまいります。
 また、宮井地区の地すべりにつきましては、道路上約二百メーターの山林から土砂が泥流となり道路に流出したもので、現在、仮設防護さくを設置し、応急対策をいたしております。
 ただいま農林水産部長が答弁いたしましたが、道路管理者としても早期に通行規制を解除すべく、緊急治山事業の計画と整合性を図りながら、建設省へ近々中に応急対策工事として申請するよう作業を進めております。
 また、国道百六十八号の危険箇所につきましては、従来から道路の安全性を高めるため、防災対策として落石防護ネット、ロックシェッド等で整備を進めているところでございます。さらに安全の徹底を図るため、平成二年度中には県下の危険箇所の総点検を行う予定にしております。
 今後とも、異常気象時にも強い道づくりに取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新不老橋──仮称でございますが──につきましては、県事業により昭和六十三年度に事業着手して建設を進めてきたものであります。昨年十二月に本工事について提訴を受けたところでありますが、県としては本橋梁の必要性にかんがみその建設を推進しており、来年春には完成するものであります。
 名称募集につきましては、和歌浦という万葉ゆかりの地でもあり、多くの方々にこの地にふさわしい名称を考えていただくため、広く一般から名称を公募しているものであります。公募に当たりましては、広報紙等で広報を行うとともに、チラシを県事務所、和歌山市、協賛する団体等に配布いたしました。この広報の一環として、県教育委員会に児童生徒への広報を依頼したものであります。これは、児童生徒が郷土を考える一助にもなると考え、行ったものでございます。もし児童生徒が受賞する場合は、保護者同伴により賞状、副賞の伝達を行うよう考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 新不老橋の名称に係る御質問に対してお答えをいたします。
 郷土に関心を持ち、そしてまた郷土を愛する人間を育成することは大切なことであるという観点から、一般県民を対象としたパンフレットを、特に和歌山市内の小学校、中学校、高等学校に対して配布をいたしたものでございます。
 議員御指摘の副賞についてでございますが、児童生徒が受賞した場合には、先ほど土木部長からも回答がございましたように、私どもの方は所管をする土木部に対し、授与式に保護者同伴を条件とするなど、賞金の取り扱いに関することについて配慮を願っておるところでございます。また当該校に対しましては、家庭と十分な連携を図り、教育的な配慮をするよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 コンビナート災害の問題で答弁をいただきました。とにかく、災害が起きる、当局が厳重に警告をする、また起きる、文書警告をするということを繰り返しており、これをどのようにして断ち切っていくかということでございます。
 先ほどからいろいろ答弁をいただいておるわけでございますけれども、大枠ではわかるんですが、どうも抽象的で具体性がなく、防災対策の計画書の勉強をしているような答弁になっておるわけです。その中で、今度は特別研修をやるんだということを答弁しておりますけれども、この特別研修はどういう形で、どういうものを対象にやるのか、もっと具体的に説明を願いたいと思います。
 それから、住金の通報五十三分おくれでございますけれども、これについてはどういうふうな指導をしたのか。これも具体的に答弁されておらないので、具体的な答弁をお願いしたい。そして、これには罰を科したのか、罰則はないのかどうかといったことについても説明を願いたいと思います。
 次に、広報活動の問題であります。先ほど申し上げましたとおり、広報活動のおくれ、不徹底が問題になっておるのでありますが、今までの広報のようにサイレンを鳴らすとか「ただいま火災が起こりました」だけでは時代おくれであり、住民の不安を取り除くために必要な状況を広報するという時代になっておると私は思うのであります。
 答弁の中に、地域のマスコミ、NHKとかテレビ和歌山、和歌山放送などを活用していきたいという発言がありましたけれども、これは時代の要請であり県民の要請でありますから、ぜひ速やかに取り組んでいただきたいことを要望いたしておきます。
 次に百六十八号線の問題でございますけれども、現地の県職員の新宮土木や林務課の人が一生懸命やってくれておることに感謝いたします。また、早急な対策を立ててくれておることをありがたく思います。ぜひ早く復旧していただきたい。
 それから、この百六十八号の危険箇所というのは相当あるんでございますから、これも十分な対策を早く立てていただきたいと思います。
 次に、不老橋の問題で質問をいたしました。ところが、土木部長も教育長も、私の質問に全然答えておらないのでございます。土木部長は、とにかくこういう状況になったので、こういう広報をいたしましたという報告でしたが、裁判で係争中に何でこういうおごりの姿のことをやるんだというのが私の質問の要旨であります。非常識ではないかということで、かくやりましたという報告を聞いておるんじゃない。まあ意図的にそういう答弁をしておるのかもしれませんけれども、非常に食い違っておるわけでございます。
 教育長も同じでございまして、私は先ほどから、こういう時世の中で教育委員会が介在して十万円も賞金を出すような募集はおかしいんじゃないかと言うておるわけです。それについての答弁が一言もありません。言えないんですか、どうですか。
 私が教育長であったらどういう表彰をするかというと、あなたはこういう立派な優秀作品──○○橋というのをつけてくれましたので、これを表彰しますと。しかも、これは後世に残るものであり、その栄誉をたたえ、心の表彰をいたしますと。今の時世に。そして副賞には図書券でもつけて、しっかり勉強しなさいよというふうにやりたいと思うんでありますけれども。
 教育長、もう再質問しても同じことの答弁が返ってくるんだと思います。(「答えさしてやれ」と呼ぶ者あり)──皆さんの世論が強いんで。それじゃ、質問の要旨というのをもう一度言います。今の時世に教育委員会が介在して一等十万円というような賞金つきで名称を募集するということは教育的ではないと思うんですが、どうですかということであります。教育長にもう一度答えてもらいます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 御指摘いただきました企業の特別研修でございますが、下請会社、事業所の職員との間の連携に十分でなかった点が見受けられますので、これらの連絡体制についての研修、さらに事故を想定した実地の訓練などを指導してまいりたいと考えております。
 また、通報おくれの問題につきましても、同じく現場職員と事業所職員との認識に不十分な点があったように思われます。私どもとしては文書による指示をいたしたところであり、企業における適切な対応を期待しているところでございます。
 工法につきましても、計画には方針が定められておりますが、もっと詳細な、工法の具体的なマニュアルの作成等について検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) お答えをいたします。
 まず、先生の御質問の中心になりますのは、現在の社会情勢の中で児童生徒に対して十万円というのは考えられないというお話であり、特にその中で、射幸心をあおる危険があるんではないかというお話もございました。
 その件につきましては、射幸心というのは、一般論から申しますと、自分が努力をしないで偶然の利益を期待するというものであろうかと私は思います。今回の場合は、応募すると仮定しますと、非常にいろんな努力をしてまいらなければならない。こういうことでございます。
 それはともかくといたしまして、この十万円に対して私どもとしては、今回の募集の状況を検討しながら今後さらに慎重に検討をしていかなければならないと思います。しかし全国的に見ても、例えば統計グラフの全国募集も同じように通貨を賞金にしており、平成二年から平成三年にはその賞金が非常にアップをされている現状でもございますので、そういった観点の中で私どもも十分配慮しながら、今後の教育のために努力をしていきたいと考えます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 総務部長の答弁を了といたします。
 ただいまの教育長の答弁で、十万円については私たちも今後配慮したいということは、あなたの心の中にも配慮しなければならんというものがあるんだと思います。
 私は先ほど、森が教育長だったらということで案を出しましたけれども、これについて教育委員長はどういうお考えを持ちますか。十万円を出してやる今の案と私が言う案と、どちらの方がいいと思いますか。
○議長(門 三佐博君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育委員会委員長上野 寛君。
 〔上野 寛君、登壇〕
○教育委員会委員長(上野 寛君) 豊かな心を育てるという見地から、今後は十分に慎重に対応していかなければならないと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、森利一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時九分休憩
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