平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(石田真敏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時五分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第七十二号及び議案第七十三号については職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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和人委第108号
平成2年6月27日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成2年6月26日付け和議会第67号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第72号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
 議案第73号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
  (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 20番石田真敏君。
 〔石田真敏君、登壇〕(拍手)
○石田真敏君 去る五月九日、自民党県議団の研修会が、講師に前経済企画庁長官の高原須美子さんをお迎えして開催されました。講演は「二十一世紀 日本の課題と進路」という演題でなされたのですが、大変示唆に富む内容でありました。そこで、この講演内容を参考にして、以下、質問をさせていただきます。
 まず、講演内容の大要は次のようなものでありました。すなわち、二十一世紀における日本は間違いなく高齢化社会に突入している。そうなると二十一世紀には高齢化社会対策が最重要課題となって、他の施策を実現する余力が今日と比べると随分小さくなる。それだけに、これから二十一世紀を迎えるまでの十年間に日本はなすべき課題をきちんとなしておかなければならない。そしてその課題とは、今日の日本に一番欠けている「生活に豊かさの実感がない」という問題の解決であり、この課題解決のために今後十年間に日本がなすべきことは次の三点である。すなわち、公園、下水道などの生活関連社会資本整備をすること、労働時間の短縮をすること、内外価格差を是正すること、以上三点についての解決が必要であると指摘されました。
 以上が、高原さんの講演の大要であります。
 そこで、以下、これらを参考にして質問させていただきたいと思いますが、時間の関係から、第三番目の「内外価格差の是正」という指摘については大規模小売店舗法の問題あるいは農業問題など重要な問題が含まれているものの、ここでは緊急を要する問題一点だけをお伺いし、その他の議論については別の機会に譲りたいと思います。
 まず、大店法の問題であります。
 先般の日米構造協議を踏まえ、その運用緩和が五月三十日より実施されました。この大店法は、大型店の出店が周辺中小小売業者との関係において小売業全般の調和ある発展を阻害することのないよう措置することを目的とした法律であるだけに、今回の運用緩和措置により中小小売業者に与える影響は大きいものがあると思います。
 そこで、このことについて当局はどう受けとめ、どのように対処されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、「公園、下水道などの生活関連社会資本整備」という高原さんの指摘についてお伺いをいたします。
 この課題については、高原さんの講演と軌を一にして、日米構造協議の最終報告に盛り込む公共投資十箇年計画への建設省など関係十省庁からの概算要求額が五百兆円を超える額となり、これら各省庁の要求と大蔵省、経済企画庁との調整の末、四百十五兆円が米国に提示され、その結果、四百三十兆円で決着したと報じられております。
 いずれにいたしましても、今後十年間に四百数十兆円の莫大な国費が社会資本整備につぎ込まれることになるのであります。このことについては、それなりに大きな期待を抱くものであります。しかし、懸念もあります。というのは、今日「東京国と地方国」、あるいは「都会の不満と地方の不安」などと指摘されているように、東京一極集中を引き起こしている状況が厳然として存在しているからであります。そしてこの状況について、認識はあっても、あるいはまた官庁の地方移転などのかけ声はあっても、何ら根本的な、具体的な解決策を見出せていないのが今日の現状であります。こういう現状を打開する理念も方策もなく、これからの十年間に四百数十兆円という莫大な国費を投入する計画が進められようとしているのであります。
 私は、今回のこの計画が、今日までの考え方の延長線上に、すなわち東京一極集中に象徴される考え方を是認する考えのもとに進められるのではないか、さらには地方のニーズを無視し、国民のニーズを無視した形で進められるのではないかと非常に危惧するものであります。もし私の危惧するとおりであるとするならば、この計画が終了する十年後には想像もつかないような国土建設上のアンバランスが生じ、より一層の地方の衰退が生じていることになると思います。それだけに、この計画の基本的な考え方の中心には、今日のアンバランスな状況を現出したことへの深い反省と、二十一世紀を迎えるまでに今日のこのアンバランスを是正し、それこそ均衡ある国土の発展を実現できるような新しい考え方を据えてもらわなければならないのであります。そして、この議論こそが先行しなければなりませんし、この公共投資十箇年計画について地方がもっと積極的に発言すべきであると思います。
 知事には知事会議等の席上でこの計画について積極的な御発言をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。さらには、知事の東京一極集中に象徴される現状についての認識とこれの是正について、さらに公共投資十箇年計画の実施に際しての基本的理念についてどのようにあるべきと考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、高原さんの指摘された生活関連社会資本整備という問題について、もう一点お伺いいたしたいと思います。
 当日、この話をお伺いしていて感じたことは、和歌山県の現状は既に高齢化先進県であり、二十一世紀を待たずして財政需要が増大している一方、産業基盤の整備という面では途上県で、これまた財政需要が増大しているということであります。これら二つの財政需要増大の上に、さらに大きなトレンドとして、これまた積極的に対応していかなければならない生活関連社会資本整備の充実という課題が課せられることになり、和歌山県としては今後なすべき課題が山積しているということになるわけであります。
 そこで、これらの課題をいかにしてクリアしていこうとされているのかについてお伺いをいたします。すなわち、施策の遂行と財源の確保についてどう状況を把握されているのかということであります。
 まず、高齢化と産業基盤整備についてであります。
 高齢化については、先年来、財団法人和歌山県いきいき長寿社会センターの設立とその運営や在宅福祉サービスの緊急整備など、多種多様な施策を展開しておられるのでありますが、今後の高齢化対策を考えたとき、施策の遂行と財源の確保についてどのような展望をお持ちなのか、二十一世紀をにらんだ観点でお聞かせいただきたいと思います。
 次に産業基盤整備については、その一つの具体策として、ここ数年来、本県における産業構造の素材型産業偏重是正という観点から非常に積極的な加工組み立て型産業の誘致を図り、昭和五十八年以来、今年六月の四社を含めて合計四十五社の誘致という成果を上げてこられたことに評価をいたすものでありますが、和歌山県の目標とすべき指標等と比較したとき、現状における合計四十五社という企業誘致状況の達成率はどのようになっているのか、そしてそのことをどのように評価されているのか、さらに今後はどう進めていかれるつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 と同時に、昨今、県内企業からも企業用地需要が高くなってきておりますが、これにも積極的に対応されるべきでないかと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
 また、企業誘致に限らず、産業基盤の整備という観点から見たとき、今後の方針によればいかなる施策の遂行が必要であり、そのための財源確保についてはいかなる展望をお持ちなのかもお聞かせいただきたいと思います。
 以上申し述べた二つの大問題を解決して、いよいよ生活関連社会資本整備の問題に入っていけるのであります。しかし、御承知のように、平成二年版「一〇〇の指標からみた和歌山」を見ても人口一人当たり都市公園面積は二・九二平米で全国四十四位、また公共下水道普及率においても三%と、全国最下位の四十七位であります。
 このように、生活関連社会資本整備の面においても立ちおくれを指摘せざるを得ないのでありますが、今後整備していくべき生活関連社会資本としてどのようなものを考えておられるのか、そしてそれらの現状はどうなのか、またこれら施策の遂行と財源の確保についてどのような展望をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 さらに、以上の三点、すなわち高齢化対策、産業基盤整備、そして生活関連社会資本整備の問題を総合的に考えたとき、県として時代のトレンドをいかにクリアしようとしておられるのか、お伺いいたします。
 このように見てきますと、二十一世紀に向けて我が和歌山県のなすべき課題は余りにも大きいという感じさえ抱くのでありますが、かといって手をこまねいているわけにはまいらないのであります。そうであるだけに、さきに指摘した日米構造協議に絡む公共投資十箇年計画には、日米間の摩擦解消という目的以上に、その達成が期待せられるのであります。
 この計画については、先ほど知事に大所高所からの御見解をお伺いいたしましたが、関係部長には、この計画に和歌山県としてどのようにかかわっていこうとされるのか、すなわち、具体的にはこの公共投資十箇年計画を活用して和歌山県の現状をいかに改善していこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、高原さんの御指摘の第二点目、労働時間の短縮問題であります。
 確かに、この問題の解決は、今日指摘されている「生活に豊かさの実感がない」という国民意識の払拭のためには欠かすことのできない課題であり、また他の先進諸国との協調という意味合いからもその実現を図っていかなければならない問題であろうと思います。さらに、「テクノ&リゾート」を標榜し、リゾート開発により県の活性化を目指す和歌山県にとっても、その実現のためには欠かすことのできない要件の一つであろうと思います。恐らく今後、このトレンドに沿って労働時間の短縮が各界各層で図られていくことになるであろうと思われます。
 しかし、私が高原さんの話をお聞きしていてすぐに感じたことは、こういう労働時間短縮のトレンドは認めるとしても、果たして地場産業者がこれに耐えられるのだろうかという点であります。といいますのは、労働時間の短縮は零細な業者にとってはすぐ経営の圧迫につながり、また今日の人手不足とも相まってより一層の人手不足を引き起こすことにもなってまいるからであります。もちろんこれらの問題は、第一義的には地場産業者おのおのがそれぞれの才覚と努力で解決していくのが当然でありますが、今日の地場産業者を取り巻く環境には、それ以上に厳しいものがあると言えます。すなわち、今申し上げた労働時間短縮による経営圧迫の問題、さらには平成五年開港予定の関西新空港での予定従業員数五万九千人、そして和歌山マリーナシティ予定従業員千数百人、頭脳立地構想を初め県が積極的に推進されている企業誘致による予定従業員数千人、これらはすべて紀北地区から通勤可能な地域に位置するものであるだけに、先ほどの労働時間短縮に伴う人手不足とも相まって、特に紀北地域の地場産業者の存立にかかわるほどの人手不足の発生が懸念されるという問題、さらには昭和六十一年の十二月議会でも指摘をいたしましたが、これら進出企業と地場産業者とを比較した場合、その待遇面、すなわち給与、休日、福利厚生面などで恐らく大きな格差が生じるであろうという問題などであります。これらの状況に対して、先ほども申し述べたとおり、第一義的には地場産業者それぞれが対応していくのが当然でありますが、それのみで対応し切れない面も出てくることが予想されます。
 そこで、以下、地場産業界の抱える問題のうち、人手不足問題を中心に幾つかの質問をいたしたいと思います。
 さきの九月議会における尾崎要二議員の質問でも指摘されておりましたが、既に県外からの進出企業の従業員募集に際しても、ごく少数の応募者しかいなかったという事態が発生しているのであります。これは、現代の若者の「三K」、すなわち「汚い・きつい・危険」の三つのKがついた仕事を敬遠する傾向があるからとはいうものの、現実に人材確保ができないという事態が起こっているのであります。これらの状況、さらには先ほど申し上げたような紀北地区を取り巻く状況を考え合わせたとき、各企業の、そして特に地場産業の人材確保について当局はどう対応していこうとされているのか。少なくとも、誘致に応じていただけた企業のためにも、そして地場産業者の不安解消のためにも数年先を見越した見通しや方策を明確に提示する必要があると思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、人材として考え得る新規高卒者、女性、定年退職者、そして大学卒業生などのUターン、Jターンについてお伺いいたします。
 まず、新規高卒者の県外就職者割合を見ると、平成元年度就職者総数六千二百六十八人のうち県外就職者数は約三七%の二千三百十人で、その就職先は、大阪が千六百五十八人、東京が百三十三人、愛知が百十三人、奈良が九十七人などとなっております。
 さらにもう少し詳しく見ますと、昭和六十三年度の統計でありますが、新宮商業で県内百二名、近畿八十二名、その他五十名、田辺工業で県内四十七名、近畿百十六名、その他二十五名、御坊商工は県内百四十六名、県外百五十六名、和歌山工業で県内二百四十五名、近畿百九十七名、その他四十九名、和歌山商業で県内三百四名、近畿四十一名、その他一名であります。これを見ますと、割合として、紀南地方ほど県外就職者が多い状況であります。もちろん、さまざまな要因があることと思いますが、高校内での就職指導と県内企業の募集とに連係が足りなかったのではないかという思いがいたします。このことについてどう把握し、今後どう対応していかれるのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 次に、高原さんは講演の中で、人手不足解消の一方策として女性の活用と定年退職者の活用を指摘しておられました。確かに、働く意欲を持っている女性や定年退職者がふえているのは事実であります。そして、この意欲ある人々に働く場を提供することは、働くということ以上に意義のある場合もあります。
 長寿社会総合対策指針でも指摘されているように、「一人ひとりにとっても、生きがいを高め、安定した収入が得られるという意味で働くことの意義は大きく、健康で働く意欲のある高齢者の希望をかなえていくことが重要」であると言えます。
 そこで、どのようにしてこれを実現していくのかであります。長寿社会総合対策指針にも女性プランにも随分詳しく対策が記述されておりますが、それぞれの手順と見通しについてお聞かせいただきたいと思います。特に公共職業訓練機関の機能強化や紹介機関の充実などは直接的な影響を与えるだけに、どのように対策を講じられるのか、詳しくお聞かせいただきたいと思います。
 次に、大学新規卒業者及び県外就職者のUターン、Jターン問題であります。
 新聞報道によれば熊本県が非常に積極的な活動をされているようでありますが、県内企業者にもこれを望む人が多数おられますので、以下数点についてお伺いいたします。
 まず新規学卒者でありますが、進学先の大学等への県内企業からの求人が非常に少ないという声をよく聞きます。これについては、確かに各企業が多数の県外の学校に求人を行うことは非常に難しかろうと思います。
 そこで、和歌山商工会議所等もやっておられるようでありますが、県なども協力して新規学卒予定者に対する県内企業案内や募集案内をもっと積極的にされてはどうか、あわせて新規学卒者対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 次に、高卒、大卒などの既卒者のUターン、Jターンであります。
 これらの方々についての今日までの県としての活動の現状、すなわち人材を希望する企業の要求にこたえられるだけの十分な情報収集とその集積をなされているのか、またこれらを容易に利用できるようなシステムが開発されているのか、そして今日までの成果についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、県外で定年退職を迎えられた方々の中にも、高度な技術、技能を持った方々がおられると思いますが、この方々への対応はどのようになっているのかについてもお聞かせいただきたいと思います。
 県では、今年度の新規事業として技術労働等確保対策事業が予定されておりますが、人材に対する求人側の多様化などを勘案したとき、技術関係者のみならず多様な人材確保策を講じられるべきだと思います。さらには、その重要性と求人側の多様化などを考えたとき、県として全庁的な対応をなされるべきだと思います。あわせて御所見をお伺いいたします。
 いずれにいたしましても、Uターン、Jターンについて、より一層の積極的な、そして総合的な対応をお願いしておきたいと思います。
 次に、先ほど指摘した進出企業と地場産業者との待遇面での格差問題についてお伺いいたします。
 まず、給与、休日等については業者それぞれに頑張っていただくのは当然でありますが、その他の面、特に福利厚生面で質問をいたします。
 例えば、従業員住宅の問題であります。マスコミ報道によれば、今日、大企業ですら人材確保のために豪華な社宅や独身寮を建設しているとのことであります。しかし、中小零細業者にとって独自でこれの解決を図ることは非常な重荷であろうと思います。また、保養施設などを見ても、大企業と太刀打ちできるはずがないのも明白であります。
 そこで、意識ある地場産業者などを糾合して組合を設立させ、これらの福利厚生にかかわる問題に対処させることなどを県として考えてみられてはいかがと思いますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、地場産業にかかわる、特に人手不足問題を中心に幾つか見てまいりましたが、このほか地場産業を全般的に見ますと、今日までの地場産業対策では律し切れない事態を迎えつつあると言えます。
 そこで、今日までの対策を見直していくべき問題も多々あると思いますが、当局はこのことについてどのように状況を把握し、いかに対応していくべきと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、関西空港の問題についてお伺いをいたします。
 ことしになって関西新空港に関してさまざまな報道がマスコミでなされておりますが、その中で幾つか気になる報道もありましたので、以下、お伺いをいたします。
 まず、報道のうち和歌山県に直接的に関係のあるものを分類いたしますと、次の三点になるかと思います。伊丹空港の存廃に関する報道、全体構想推進における地域協力に関する報道、土砂単価に関する報道の三点であります。
 そして最初に結論を申し上げますと、この三点について報道されていることは、すべて和歌山県が当初考えていたよりもはるかに厳しいものになっているということであります。言葉をかえて言うならば、関西新空港の必要性にかんがみ、我が和歌山県が当初の反対運動を押し切ってまで知事を先頭にこれが建設に協力してきたことは、当初の運輸省などの言葉とは裏腹に、そのときどきの流れの中で大いに裏切られてきたと言えるのであります。
 確かに新空港建設による効果を云々する声はありますが、その効果の大小よりも、この建設に伴う一連の作業の中でこれだけ強者の論理がまかり通り、国の行政に対する地方の信頼をなくさせたことは大変重要な問題であると思います。
 まず、以上申し上げたことについて知事はどう感じ、どう考えておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、第一番目の伊丹空港存廃問題についてお伺いいたします。
 この問題については、昭和四十九年の航空審議会答申主文において「大阪国際空港の廃止を前提として」と明記されているにもかかわらず、その後の運輸省の見解では「これに拘束されない」との考えを示し、実際の行動も伊丹空港の存続を目指したものとなっております。この一連の動きは全くのまやかしであり、まさしく行政の一貫性に対する信頼を覆すもので、厳しく批判されてしかるべきものであると私は思います。そして、この運輸省のあるまじき行動に乗って、今日、伊丹空港存続があたかも当然のごとくに議論されているのであります。
 そして驚くことには、去る六月五日付読売新聞の報道によりますと、伊丹存続を主張するいわゆる十一市協の有力構成メンバーである西尾大阪市長は、伊丹空港に国際線の一部すなわち近距離国際線をも残すよう主張している旨の報道がなされているのであります。
 さらには、六月十九日付読売新聞の「大阪空港」という特集記事の中で、国内航空三社ともに「現空港は国内専用、新空港は国際線と海外乗り継ぎ用の一部国内幹線に」と機能分担を一致して望んでいると報じられ、さらに阿部日本航空大阪空港支店長は、「周辺道路の整備など、空港全体の機能の見直しが必要だ。国内線の基幹空港として恥ずかしくない形での将来像を探らねば」と発言しているのであります。その一方で、関西新空港関係県として、当然その歴史的経緯の中で伊丹空港の存廃に深くかかわる和歌山県を蚊帳の外に置いて、その意見を聞こうともしないのが現在の運輸省の姿勢であります。確かに非常に巧妙で、さすがに頭のよい中央官僚だと感心はいたしますが、世の中、頭がいいだけでは通らないことがたくさんあるのであります。この一連の行動には運輸省のずるさが目立って、運輸省の行政運営手法に対する不信感だけが増幅し、そのいんぎん無礼さに辟易とさせられるのであります。
 以上申し上げたような状況の中で、和歌山県は伊丹空港存廃問題についてどういう態度をとられるのか、改めてお伺いいたしたいと思います。
 さらに、このことにかかわって、以下二点の問題についても御所見をお伺いいたします。
 その第一点は、先ほど紹介いたしました西尾大阪市長の発言や航空三社の思惑、発言を考え合わせたとき、伊丹空港と全体構想との関係は、これまた従来の認識と大きく変容し始めているのではないかということであります。このことについてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
 と同時に、オール関西で全体構想実現に取り組んでいるやには見える反面、同床異夢のような感がいたします。というのは、全体構想実現と伊丹存廃とについては、オール関西の中で大いに意見を異にしているからであります。果たして全体構想の実現と伊丹の存続とは両立し得るのかどうかが問題であります。このことについて、オール関西、特に関西財界、主要関係府県はどのように考えていると把握されているのか、そして県はそれをどのように受けとめているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、伊丹空港関連の二番目の問題といたしまして、去る四月十二日付日経新聞の夕刊で、「建設省、国土庁、近畿各府県などで構成する近畿圏高次機能都市整備計画調査委員会は十二日、伊丹空港を二十一世紀に備えた業務都市として再開発し、その開発利益で一切の都市基盤投資だけでなく、関西新空港全体構想と神戸空港の財源も確保できるとした『近畿ワールド・オムニ・コア構想』を策定、関係団体に提示した」と報じられ、これについて山崎日経編集委員が次のような解説をしておられます。すなわち、「伊丹空港は仮に存続の結論を得ても過密都市の上空を飛ぶ危険性と時間制限が残る以上、永久に゛欠陥空港゛から脱皮はできない。新空港に国際線と国内幹線を、神戸にローカル線を移して伊丹を廃止するのが常識的な選択とすれば、跡地の開発利益で両空港の整備まで可能という今回の試案は゛巧み゛の一言に尽きる」云々と論じられております。
 この構想等について、伊丹空港存廃議論の中で和歌山県としてどう位置づけていくのか、当局の御見解をお伺いいたします。
 次に、問題の二番目といたしまして、全体構想推進における地元協力についてお伺いいたします。
 この問題については何度か報道されておりますが、三月十五日付日経新聞では、「関西経済連合会など関西財界は、関西新空港の滑走路を三本とする全体構想を早期に実現させるため、空港会社が約束している『開港九年目からの配当』を民間株主が当分の間、自主的に辞退する検討に入った」、さらに「空港会社の採算性に疑念を持つ大蔵省の説得が不可欠」であり、「宇野収関経連会長らはこれを地元経済界の熱意を示す゛切札゛の一つにしたい」と報じられております。
 また、六月九日付日経新聞では、運輸省は「全体構想の扱いについて、開港十年後をめどに滑走路一本を増設、残り一本は検討課題とする意向を固めた」と報じるとともに、「ただし、関西国際空港会社の経営負担が過大になるため、『地元の全面協力』を着工条件に掲げる」とし、「具体的には 1無利子または超低利の資金融資 2埋め立て免許料を無料にする関空会社法改正 3現工事で露呈したトラブル一切を事前に片付ける──など厳しい内容になる見通し」と報じられております。その後、運輸省の方針として、漁業補償についての地元解決、さらには空港会社への地元出資比率の大幅引き上げなどが報道されております。また、これまでにも大蔵大臣、運輸大臣などのこれに類する発言も報道されております。これら一連の報道を見て、中央官庁の傲慢さ、厚かましさに唖然としている者の一人であります。一体、関西新空港とは何なのかという思いがいたします。
 昭和五十年七月二十三日付、当時の木村運輸大臣より大橋正雄県知事あての「関西国際空港について」と題する協力依頼文書には、「関西地区における新空港の実現は、答申に述べられているように、大阪空港の現状や航空輸送需要の動向等を考えると緊急を要する課題と思われます」と明記されているのであります。すなわち、関西新空港建設の原点は伊丹空港の騒音問題の抜本的解決を図ることであり、さらには日本国における関西圏の占める地位、並びに日本国における将来の航空需要に対する必要から計画されたものであります。であるとするならば、国が本来責任を負うべき第一種空港である関西新空港の性格からしても、それへの協力は協力として、オール関西ができるだけのことをなすとしても、それに甘えるような、輪をかけて地元協力を要請するような最近の中央官庁の態度は、基本を忘れて、行政として当然遂行すべき義務を放棄するものであり、また協力がなければ認めないと言うがごとく駆け引きに使うとは言語道断と言うべきであります。これは、行政に対する信頼を失墜させるばかりでなく、主権者たる国民として言えば、許しがたい怠慢と言わざるを得ません。彼らは、会社方式に味をしめ、この会社を隠れみのにして、みずからの手を汚すこともなく、みずから責任を負うこともなく、会社へのコントロールだけは手放さないで、あるときは会社側に責任あるがごとく、そしてあるときには中央官庁に権限あるがごとくして、いわゆるキャッチボールをすることによって責任は逃れ、権限の行使のみを行うという最も卑劣な行政運営を行っているのであります。
 以上、申し上げてまいりました中央官庁によるより一層の地元協力要請について、知事の御所見と対応をお聞かせいただきたいと思います。
 また、会社方式をこのように利用するのであるならば、この会社方式の見直しを国に要求する必要も出てくると思われますが、このことについてもあわせて御所見をお伺いいたします。
 問題の三番目として、土砂単価に関する報道についてお伺いいたします。
 去る六月六日付日経新聞において、次のように報じられております。「価格問題で、関西国際空港会社は五日までに土砂を供給している大阪府と和歌山県土地開発公社の双方に一立方メートルあたり千百円を最終案として提示した。大阪府は新空港の滑走路を三本つくる全体構想をバックアップするため(中略)千百円でほぼ合意しているが、同公社は『千百円では原価割れで県の財政を圧迫する』と百円以上の上積みを要求、実質千二百円をめぐる攻防を続けている」、さらに、和歌山県は「土砂価格については土砂採取にかかった約一千億円の総事業費から、当初一立方メートルあたり千六百円台を関空会社に提示した。これに対して、関空会社は 1赤字分は跡地の開発利益で補うことが可能 2工事用道路などの費用は跡地造成費に転嫁して欲しい──などを理由に協力を求めた」が、公社の反発に対し、「和歌山県が大阪府に比べ跡地開発の利益が少ないことに配慮、千二百円をめぐる端数の積み上げが焦点になっている」と報じております。この土砂価格の一連の交渉過程を見ても中央官庁のずるさを感じるとともに、我が方のお人よしというか、非常な甘さを感じるのであります。
 会社や中央官庁の、淡路の土砂単価は安いという意見とか加太の開発利益云々とかの主張は、まことに噴飯物であります。新規投資分などを考慮すれば、淡路の土砂単価と比較して加太の方が当然高くなることを最初からわかって発注したはずであり、また加太の開発も、「最初に開発ありき」ではなく「最初に土砂採取ありき」だったのであります。
 私は、中央官庁が地方公共団体に対し、このような駆け引きを弄してくることに言いようのない寂しさを感じるのであります。こんなことは、本来「信頼」という文字をその根底に置くべき中央と地方との関係にとって、将来を考えたとき、決して好ましいことではないと思うからであります。また最近では、この上にさらに、先ほども触れたように「全体構想実現」という美名のもとに無言の圧力をかけられているのであります。
 そこで、お伺いいたします。
 一立米当たり千二百円をめぐる端数の積み上げが焦点と言われているが、このことの真偽と、これで妥結した場合、当然、提示額の千六百円との差額、つまり四百円掛ける六千五百万立米イコール二百六十億円をどのように埋め合わせするのかが問題となってきます。当然、会社側の言うごとく、加太開発の中で吸収していくより方法はないかと思いますが、一体どうすれば吸収可能なのか、お聞かせいただきたいと思います。
 県民感情としては、昭和四十九年の航空審答申以来、さまざまな苦難を乗り越えて協力してきたというのが偽らざる気持ちであります。それだけに何らかの直接的な恩恵があってしかるべきと考えているにもかかわらず、それを抑えて協力しているはずの土砂採取問題で跡地への大きな負担が発生し、加太開発にまでその影響が出るとするならば、もはや我慢できない事態であると言わざるを得ません。
 以上、申し上げてまいりましたように、伊丹空港存廃問題、さらには全体構想実現のための地元協力、そして土砂価格の問題、これらに関する新聞の報道一つ一つに物申すべきことが出てくるのであります。
 確かに、空港問題が国家的プロジェクトであることを考え、同時に県益を考えたとき、これらの問題にトータルにいかに対応すべきかが非常に重要になってくるとは思います。そして、知事初め当局もこのことに苦慮されているのであろうと推察いたします。しかし、空港問題への今日までの和歌山県の協力は、端的に申し上げて、全体構想の実現と国内便の大幅確保を達成しなければならないということからなされてきたのであります。しかるに、果たして今日の状況でこれらのことの達成を確約できるのでありましょうか。はっきり申し上げて、今までの一連の経過を見ると、またのらりくらりと雰囲気づくりをされ、結局は押し切られて、六月二十一日付産経新聞で二期工事を二段階施工にし、最終的に三期工事まで行うと報道されているような形で、第六次空港整備計画には認められても、伊丹空港との併存の中で全体構想は見送られ、国内便は海外乗り継ぎ用一部幹線だけという事態になるのではないかと強く危惧するのであります。
 こういう状況の中で六月二十七日付読売新聞では、「大蔵省は、常に大事故の危険がある現大阪国際空港の永久存続は問題として、運輸省に対し、関西新空港の全体構想着手の条件として、完成後の現空港廃止を明確にするよう求める方針であることを明らかにした」と報じられております。
 このように、空港問題はいまだ大きく揺れた状態であります。それだけに、県としては懸念払拭のために強力な行動を起こし、強力な申し入れをなすべきであると思います。今日の状況を下世話な言葉で表現するならば、中央官庁にオール関西は押しに押され、その中でも特に和歌山県は押しまくられているという感を強くするのであります。和歌山県はこの辺で毅然とした態度を表明することも必要であると思いますが、知事の御所見をお伺いして、質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの石田真敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 石田議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、大店法の運用緩和についてどのように受けとめ、対応していくかということでございます。
 今回の運用緩和は、今後の経済社会情勢の変化に対応するために、第一に消費者利益の保護、第二は中小小売商の地域経済への貢献、第三は国際協調という三つの視点から、総合的に勘案して実施されたものでございます。しかしながら、既存の商店街、また中小企業者に対する影響には、御指摘のとおり非常に厳しいものがございます。
 こうしたことから、今後の対応としては、街路灯やアーケード等の環境整備事業によって商店街にハード面の事業補助を行う一方、本年度新たに中小商業活性化基金を創設し、これを幅広く活用してまいりたいと思っております。そして、今後の商店街は、単なる買い物の場だけではなしに、地域住民の暮らしの広場、また文化交流の広場としての形で、国の施策と相まって県においても施設整備面の助成政策を考えていきたいと思っております。
 第二点、高原須美子さんの講演を聞いてという前提がございましたけれども、公共投資十箇年計画についてのお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、この計画は東京一極集中に拍車をかけるような公共投資配分につながるものであってはいけないという御意見でございます。そしてまた、知事会等においてもこの点を十分配慮せよということでございます。
 私は全国知事会の建設運輸調査委員長をやっておりまして、七月十九日に知事会で明年度の予算編成を迎えての対策を検討しますが、六月二十八日にそのための委員会を開催し、知事会で提出する文案を練ったわけでございます。そこにおいて、第一点に東京一極主義の排除、いわゆる地方振興ということでございます。そしてまた公共投資十箇年計画において、平成二年度で長期計画が終わりになり、新しく八つの計画がつくられますが、地方の意見を十分聞いてその計画の中に盛り込むべきであると考えております。
 四百三十兆円の予算になって金額はふえたけれども、地価の高騰があるではないか、だから結局、事業量はふえないのではないかといった点において、国土基本法に基づく国の政策──応急対策や恒久的対策もありましょう。また、税制問題もありましょう。そうした問題について確固たる対策を樹立すべきであるということを決めてまいった次第でございます。こうしたことを十分反映させてまいりたいと思います。
 また、御指摘のように、現状においては、政治、経済、文化等、さまざまな面で東京一極集中が進んでおります。国際経済文化圏としての関西の復権を目指して二眼レフという形で進んでいかなければならないし、関西の中においても、大阪、兵庫、京都という形ではなしに、和歌山を含めた形の体制を進めていかなければならないと存じております。
 お話ございましたように、十箇年計画においては生活環境とか文化に重点を置いた推進を図っていくものと承知しておりまして、その意味において、本県にとって社会資本の計画的な整備を積極的に展開していく上でチャンスではないか、有利な状況が生まれてきたと思っております。
 そうした具体的実施に際しましては、高齢化への対応の問題や産業基盤、社会資本の整備という基本的課題を十分に認識し、国の予算編成あるいは公共事業関係の五カ年計画の策定時等において本県の各施策を国に強く訴え、採択されるように取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、関西国際空港について御意見を承ったわけでございます。
 大阪国際空港の問題、関西国際空港全体構想の問題、あるいは土砂単価の問題につきましては、お話ございましたようにさまざまの報道がなされており、私も存じております。
 御指摘のように、本県は厳しい県内情勢の中でございましたけれども、県勢の将来への飛躍を考えて、県民の御理解を得て関西国際空港の計画案等三案について同意するとともに、新空港の建設に全面的に協力を行ってきたところでございます。
 思えば、ちょうど八年前の八月三十一日でございます。その三案同意をもって当時の運輸大臣に回答いたしました。八月三十一日と申しますと、予算要求の最終日でございます。そしてまた、その過程において民活等の問題があり、議会の皆さんに民活を受けるかどうかお諮りもしました。そうしたさまざまな思い出が脳裏に浮かんでまいります。
 国におきましても、当然、本県のこのような立場を理解していただいておると考えております。ただ、担当官が人事異動等でかわることがまことに残念に思います。
 次に大阪国際空港の存廃問題でございますけれども、その根本は航空機騒音等の環境問題でございます。運輸省の調査、地元の意見聴取、運輸省の責任による決定という手順より処理すべき旨の調停が公害等調整委員会においてなされており、現在、その最終段階を迎えていると思います。
 私としましては、関西国際空港の建設に同意した本県の立場から、廃止決議がなされた県議会の意を体し、国に対して私の主張を申し上げているところでございます。県益を図る立場から、また県民の利便性を確保するためにも全力を傾注してまいる所存でございます。
 全体構想についての地元協力の問題でございますけれども、本県独自に和歌山県関西国際空港全体計画促進協議会を政・財・官挙げて設立し、要望活動を行っているところであり、本県としては協力できるよう検討していかなければならないと存じております。
 全体構想の事業主体につきましては、関西国際空港はお話のように第一種空港であり、国で建設するのが基本であると考えておりますけれども、先ほど申しましたように、財政事情等、いろいろな事情がございます。そうした諸般の事情から、現在、第一期工事は国、民間、地方公共団体の第三セクター方式で進められているところでございます。第二期工事については、今後、国の動向を見きわめながら、オール関西で組織している期成会の構成団体、さらには県議会とも十分相談させていただきながら検討していかなければならないと考えている次第でございます。
 全体構想についての今後の展望につきましては、県議会の皆さんにも御協力をいただきながら国に対し要望を重ねてきたところでありまして、おかげをもって第六次空港整備五箇年計画への位置づけに明るい展望を持っているところでございます。
 また国内便の大幅確保、特に東京便を含む主要な都市との路線確保につきましては、関西国際空港は国際・国内の基幹空港としての位置づけから、国際線の一元化はもちろん、当然、主要な都市との国内便が確保されるとの国の基本的な考え方を聞いてございます。
 今後とも、県選出の国会議員並びに県議会と緊密な連携を保ちながら懸命の努力をしてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 土砂単価については企画部長から答弁いたしますけれども、国の各省の態度、会社の態度についての石田議員の考え方、私も同感でございます。私もそうした精神に基づいて対処しているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 二十一世紀に向けての高齢者対策でございますが、これからの十年間に、特に高齢者の保健福祉サービスの分野における基盤の整備が重要な課題と考えております。このために県におきましては、さきに副知事を長に長寿社会対策推進本部を設置するとともに、長寿社会総合対策指針を策定したところでございます。今後はこの指針の趣旨に沿い、高齢者保健福祉推進十か年戦略に盛られた具体的な施策を積極的に実施してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、企業誘致の状況等でございます。
 昭和五十年代からの我が国の産業構造の変化により、基礎素材型産業に特化していた本県は深刻な影響を受けるに至りました。この対策の一つとして、県は加工組み立て型産業を中心とする企業誘致を推進し、産業構造の転換を図るべく努力をいたしてございます。
 通産省の工業統計による本県の製造品出荷額に占める加工組み立て型産業出荷額の比率は、昭和五十七年の四・七%から昭和六十三年には一二・一%と徐々に高くなってきており、企業誘致の効果もその一つと考えてございますが、まだ全国の数値とは差がございます。今後も、県関係機関や各市町村と連絡を密にしながら受け入れ態勢の整備を図り、地域バランスのとれた企業立地を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県内企業の件でございます。
 市街地に散在している機械、家具、和雑貨等の地場産業は、用地の狭隘等の問題で新たな設備投資が著しく制約されてございます。このような環境に積極的に対処していくためには、工場用地の確保と各分野にわたる事業の共同化、協業化が必要と考えますので、今後、市町村ともども工業団地の確保について、より積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、人材確保についてでございます。
 議員御指摘のとおり、中小企業における現在の最重要課題は、人材、労働力不足問題であると考えてございます。国におきましては、現在、中小企業人材確保促進法案の提出が検討されております。本県においても、本年二月、関係課による中小企業等人材確保対策連絡会議を設置し、総合的な施策の実施に努めてございます。
 中小企業、特に地場産業の人材確保につきましては、労働条件の改善や合理化、省力化を初めとする企業経営の改善等、多面的な取り組みが必要であると考えてございます。
 次に新卒者対策、Uターン対策でございますが、新規高等学校卒業者につきましては、関係者の連絡会議の開催、職業安定所職員による学校訪問など、各学校との密接な連携をとりながら県内への就職促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、本年度から技術労働力等確保対策事業を実施し、本県出身の技術系大学生の就職に関する意向を把握するとともに、県内企業の求人情報を提供していくこととしております。
 この事業の実施につきましては、商工会議所ほか関係者の意見を十分参考にしながら進めることとし、当面、技術系大学生を対象としておりますが、今後、対象者の範囲拡大も含め、積極的に検討してまいりたいと考えてございます。
 また、既卒者対策といたしましては、全国の公共職業安定所をコンピューターネットワークで結ぶ総合的雇用情報システムにより求人求職情報がすぐに提供できることとなっております。また、定年退職者を含め、県外居住者で本県へのUターン就職希望者には、国が運営する人材Uターンセンターへ県内企業の情報を提供しているところでございます。
 一方、女子労働者は、パートタイム労働者も含め、年々増加してきております。パートタイム労働者対策といたしまして、既設の和歌山パートバンク、この秋に田辺市へ設置予定のパートサテライト等でパートタイム雇用の需給調整等、総合的なサービスを提供してまいります。
 また、従来から女子労働者の技能習得の講習会を婦人等就業援助センターで実施しているところでございますが、女子の一層の就業促進を図るため、本年度、技術講習会の科目などのニーズ調査を実施することといたしております。
 高齢者につきましては、六十歳定年制を基盤として六十五歳までの継続雇用の促進、求人年齢の引き上げ等、事業主に対する指導を強化するほか、助成金制度を一層活用していただけるよう努力してまいりたいと考えております。
 また、離転職者に対し、高等技能学校等での能力再開発訓練、企業内職業訓練の援助等、より一層の充実を図ってまいります。
 次に福利厚生についてでございますが、雇用促進融資制度や中小企業が組合を設置する場合の高度化資金等、融資制度の効果的運用、勤労者体育施設や雇用促進住宅の設置促進に努めてまいります。
 また、退職金制度を持つことが困難な中小企業に対する中小企業退職金共済制度への加入促進や、その他の互助共済制度を大規模事業所並みに近づけるための中小企業勤労者福祉サービスセンター設置に、現在、取り組んでいるところでございます。
 最後に、地場産業対策の総合的な見直しでございます。
 本県の地場産業は地域経済の最大の担い手であり、県としてもその振興を積極的に図ってきたところでございます。しかし、これらの地場産業をめぐる現状は、構造的課題に加え、アジアNIESの追い上げ、国際化等、地域経済環境は厳しく変化してまいるものと思われます。
 このような情勢の中で現行の地場産業振興ビジョンを見直して、環境変化への対応と時代を先取りした技術力、情報力、人材といったソフトな経営資源の充実を柱とした新しい振興策を策定し、今後の課題と進むべき方向を明らかにして一層の振興を図ってまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 公共投資十箇年計画の活用についてでございます。
 本県の生活関連社会資本の整備状況を見ますと、議員御指摘のとおり、公園、下水等において他府県と比べて低位の状況にありますが、関西国際空港の開港を三年後に控え、かつまた和歌山マリーナシティなど県下にビッグプロジェクトを推進中であり、交通体系の整備を初め、都市施設の充実、河川、海岸、砂防あるいは建築施策など、豊かな自然を生かした快適な生活環境づくりに取り組んでいるところであります。
 今回、日米構造協議で合意を見た公共投資十箇年計画では、知事が申し上げたとおり、社会資本整備計画の十五分野のうち、平成二年度末に期限の参る八分野について積極的な計画策定がなされると思われますが、本県としては、この十箇年計画を最大限に活用し、きめ細かい事業展開を図りたいと考えております。
 特に、県民生活の向上に直結する生活関連インフラや広域的な産業基盤整備につきまして、県の実情に沿った事業の推進を図るべく、国に対し強く要望いたしたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 公共投資十箇年計画への対応でございます。
 ますます国際化が進展する中で、生産基盤の整備と快適で潤いのある環境づくりを進め、本県の地域特性を生かした、豊かで住みよい農山漁村を構築することが肝要と考えてございます。
 二十一世紀を目指した今回の十箇年計画を絶好の機会ととらまえ、広域農道、広域林道、漁港関連道路等の道路網や集落下水排水施設整備、さらには保健休養機能や緑のダムなど、今日環境財として森林の持つ公益的機能の充実等々、農村、山村、漁村の活性化とあわせて生活環境関連施設整備が一層促進できるよう国に対して強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 公共投資十箇年計画につきましては、二十一世紀を見据え、生活の質の向上に重点を置いた分野に配慮した方向で現在検討されているところでございますが、財源面では、国と地方の関係、補助事業と単独事業の区分が現時点で不明でございます。そのため、地方財政計画等の今後の動向を見きわめていく必要があると考えております。
 このような中で、均衡ある国土、活力ある県勢発展のため公共投資十箇年計画の実施、とりわけ本県にとって南紀新空港、マリーナシティ、図書館、美術館、医大の統合移転といったビッグプロジェクト事業の本格化に伴い、毎年度多額の財源を要することとなり、中長期的な展望に立った財政運営がより一層重要であると考えております。
 また、本県の生活環境、産業基盤を総合的、効率的に向上させるためには、現在の国の公共事業の枠配分が必ずしも適合していないという面もありまして、今後、知事会等を通じ、真に県民のニーズに適合した公共事業等の配分となるよう要望を重ねてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、伊丹空港存廃問題に関連した御質問にお答え申し上げます。
 関西国際空港全体構想の実現と大阪国際空港の存廃についての関西経済界及び主要関係府県の考え方でございますが、関西国際空港全体構想の早期実現については、オール関西の政・財・官界のみならず、東京の経済界、内外の航空会社と一体となり、関西国際空港全体構想早期実現期成会を組織して取り組んでいるところでございます。
 各構成団体につきましては、大阪国際空港存廃に関して種々の見解があることは存じておりますが、関西国際空港全体構想が必要であるとの認識で一致しているところでございます。
 次に、近畿圏高次機能都市整備計画調査委員会による近畿ワールド・オムニ・コア構想についてでございますが、この構想は、京都大学の米谷名誉教授が中心となり、昭和六十一年度から検討を進めてこられた考え方を取りまとめられたもので、東京における大手町、丸の内、霞が関地域と同様に、近畿圏においても社会経済文化活動を総括する国際的業務中枢拠点として新たに近畿ワールド・オムニ・コアが必要であるとの認識に立ち、発表されたものでございます。近畿圏の首都圏に対する相対的地位を高めることにより東京圏への一極集中を是正するという観点からも卓越した提案であると考えてございます。
 次に、土砂単価問題についてでございます。
 土砂単価につきましては、現在、関西国際空港株式会社との間で、跡地整備を含めて、総合的に検討しながら鋭意協議を重ねているところでございます。
 また、加太開発の中で吸収可能かどうかでございますが、加太開発事業は土砂採取事業と跡地整備事業で構成されておりまして、現在進行中の土砂採取事業には、粗造成、調整池、のり面保護等々、跡地整備に係るものが多く含まれており、加太開発事業として総合的に採算性の確保を図ってまいりたいと存じてございます。
 なお、跡地整備のコスモパーク加太には数多くの企業からの提案や進出希望があり、関西でも有数の複合的かつ大規模な町づくりの実現を目指していく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 人材確保における高校生の就職状況についてお答えをいたします。
 平成二年三月卒業者の進路希望事前調査によりますと、県外企業への就職を希望する者の割合は、県全体的には四四・五%という状況であり、議員御指摘のように、平成元年度は三七%の者が県外企業へ就職してございます。したがって、県教育委員会といたしましては、関係部局と連携をとりながら県内企業の求人情報が各学校に十分提供されるようさらに努めてまいるとともに、各学校においては県内企業に対する理解を深めさせ、進路指導の充実にさらに一層指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了していますので、以上で石田真敏君の質問が終了いたしました。

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