平成2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会六月定例会会議録 第 二 号
 
 七月 二日 (月曜日) 午前 十時 五分 開議
   午後 二時二十八分 散会
 ────────────────────
議 事 日 程 第二号
   平成二年七月二日(月曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
 ────────────────────
本日の会議に付した事件
 第一 議案第七十一号から議案第八十一号まで及び報第五号から報第七号まで(質疑)
 第二 一般質問
 ────────────────────
出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田  亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本  一 君
 6 番 宗  正 彦 君
 7 番 岡 本  保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本  進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦  武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門  三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森  利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村  博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺  勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
 ────────────────────
欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
 ────────────────────
説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口  勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野  寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
 ────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 中 西 俊 二
 議事課副課長 松 田 捷 穂
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 松 本 浩 典
 総務課長 田 上 貞 夫
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
 ────────────────────
 午前十時五分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第七十二号及び議案第七十三号については職員に関する条例の改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
 ────────────────────
和人委第108号
平成2年6月27日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成2年6月26日付け和議会第67号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
   記
 議案第72号 職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
 議案第73号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
  (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
 ────────────────────
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第七十一号から議案第八十一号まで、並びに知事専決処分報告報第五号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 20番石田真敏君。
 〔石田真敏君、登壇〕(拍手)
○石田真敏君 去る五月九日、自民党県議団の研修会が、講師に前経済企画庁長官の高原須美子さんをお迎えして開催されました。講演は「二十一世紀 日本の課題と進路」という演題でなされたのですが、大変示唆に富む内容でありました。そこで、この講演内容を参考にして、以下、質問をさせていただきます。
 まず、講演内容の大要は次のようなものでありました。すなわち、二十一世紀における日本は間違いなく高齢化社会に突入している。そうなると二十一世紀には高齢化社会対策が最重要課題となって、他の施策を実現する余力が今日と比べると随分小さくなる。それだけに、これから二十一世紀を迎えるまでの十年間に日本はなすべき課題をきちんとなしておかなければならない。そしてその課題とは、今日の日本に一番欠けている「生活に豊かさの実感がない」という問題の解決であり、この課題解決のために今後十年間に日本がなすべきことは次の三点である。すなわち、公園、下水道などの生活関連社会資本整備をすること、労働時間の短縮をすること、内外価格差を是正すること、以上三点についての解決が必要であると指摘されました。
 以上が、高原さんの講演の大要であります。
 そこで、以下、これらを参考にして質問させていただきたいと思いますが、時間の関係から、第三番目の「内外価格差の是正」という指摘については大規模小売店舗法の問題あるいは農業問題など重要な問題が含まれているものの、ここでは緊急を要する問題一点だけをお伺いし、その他の議論については別の機会に譲りたいと思います。
 まず、大店法の問題であります。
 先般の日米構造協議を踏まえ、その運用緩和が五月三十日より実施されました。この大店法は、大型店の出店が周辺中小小売業者との関係において小売業全般の調和ある発展を阻害することのないよう措置することを目的とした法律であるだけに、今回の運用緩和措置により中小小売業者に与える影響は大きいものがあると思います。
 そこで、このことについて当局はどう受けとめ、どのように対処されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、「公園、下水道などの生活関連社会資本整備」という高原さんの指摘についてお伺いをいたします。
 この課題については、高原さんの講演と軌を一にして、日米構造協議の最終報告に盛り込む公共投資十箇年計画への建設省など関係十省庁からの概算要求額が五百兆円を超える額となり、これら各省庁の要求と大蔵省、経済企画庁との調整の末、四百十五兆円が米国に提示され、その結果、四百三十兆円で決着したと報じられております。
 いずれにいたしましても、今後十年間に四百数十兆円の莫大な国費が社会資本整備につぎ込まれることになるのであります。このことについては、それなりに大きな期待を抱くものであります。しかし、懸念もあります。というのは、今日「東京国と地方国」、あるいは「都会の不満と地方の不安」などと指摘されているように、東京一極集中を引き起こしている状況が厳然として存在しているからであります。そしてこの状況について、認識はあっても、あるいはまた官庁の地方移転などのかけ声はあっても、何ら根本的な、具体的な解決策を見出せていないのが今日の現状であります。こういう現状を打開する理念も方策もなく、これからの十年間に四百数十兆円という莫大な国費を投入する計画が進められようとしているのであります。
 私は、今回のこの計画が、今日までの考え方の延長線上に、すなわち東京一極集中に象徴される考え方を是認する考えのもとに進められるのではないか、さらには地方のニーズを無視し、国民のニーズを無視した形で進められるのではないかと非常に危惧するものであります。もし私の危惧するとおりであるとするならば、この計画が終了する十年後には想像もつかないような国土建設上のアンバランスが生じ、より一層の地方の衰退が生じていることになると思います。それだけに、この計画の基本的な考え方の中心には、今日のアンバランスな状況を現出したことへの深い反省と、二十一世紀を迎えるまでに今日のこのアンバランスを是正し、それこそ均衡ある国土の発展を実現できるような新しい考え方を据えてもらわなければならないのであります。そして、この議論こそが先行しなければなりませんし、この公共投資十箇年計画について地方がもっと積極的に発言すべきであると思います。
 知事には知事会議等の席上でこの計画について積極的な御発言をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。さらには、知事の東京一極集中に象徴される現状についての認識とこれの是正について、さらに公共投資十箇年計画の実施に際しての基本的理念についてどのようにあるべきと考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、高原さんの指摘された生活関連社会資本整備という問題について、もう一点お伺いいたしたいと思います。
 当日、この話をお伺いしていて感じたことは、和歌山県の現状は既に高齢化先進県であり、二十一世紀を待たずして財政需要が増大している一方、産業基盤の整備という面では途上県で、これまた財政需要が増大しているということであります。これら二つの財政需要増大の上に、さらに大きなトレンドとして、これまた積極的に対応していかなければならない生活関連社会資本整備の充実という課題が課せられることになり、和歌山県としては今後なすべき課題が山積しているということになるわけであります。
 そこで、これらの課題をいかにしてクリアしていこうとされているのかについてお伺いをいたします。すなわち、施策の遂行と財源の確保についてどう状況を把握されているのかということであります。
 まず、高齢化と産業基盤整備についてであります。
 高齢化については、先年来、財団法人和歌山県いきいき長寿社会センターの設立とその運営や在宅福祉サービスの緊急整備など、多種多様な施策を展開しておられるのでありますが、今後の高齢化対策を考えたとき、施策の遂行と財源の確保についてどのような展望をお持ちなのか、二十一世紀をにらんだ観点でお聞かせいただきたいと思います。
 次に産業基盤整備については、その一つの具体策として、ここ数年来、本県における産業構造の素材型産業偏重是正という観点から非常に積極的な加工組み立て型産業の誘致を図り、昭和五十八年以来、今年六月の四社を含めて合計四十五社の誘致という成果を上げてこられたことに評価をいたすものでありますが、和歌山県の目標とすべき指標等と比較したとき、現状における合計四十五社という企業誘致状況の達成率はどのようになっているのか、そしてそのことをどのように評価されているのか、さらに今後はどう進めていかれるつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 と同時に、昨今、県内企業からも企業用地需要が高くなってきておりますが、これにも積極的に対応されるべきでないかと思いますが、あわせて御所見をお伺いいたします。
 また、企業誘致に限らず、産業基盤の整備という観点から見たとき、今後の方針によればいかなる施策の遂行が必要であり、そのための財源確保についてはいかなる展望をお持ちなのかもお聞かせいただきたいと思います。
 以上申し述べた二つの大問題を解決して、いよいよ生活関連社会資本整備の問題に入っていけるのであります。しかし、御承知のように、平成二年版「一〇〇の指標からみた和歌山」を見ても人口一人当たり都市公園面積は二・九二平米で全国四十四位、また公共下水道普及率においても三%と、全国最下位の四十七位であります。
 このように、生活関連社会資本整備の面においても立ちおくれを指摘せざるを得ないのでありますが、今後整備していくべき生活関連社会資本としてどのようなものを考えておられるのか、そしてそれらの現状はどうなのか、またこれら施策の遂行と財源の確保についてどのような展望をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 さらに、以上の三点、すなわち高齢化対策、産業基盤整備、そして生活関連社会資本整備の問題を総合的に考えたとき、県として時代のトレンドをいかにクリアしようとしておられるのか、お伺いいたします。
 このように見てきますと、二十一世紀に向けて我が和歌山県のなすべき課題は余りにも大きいという感じさえ抱くのでありますが、かといって手をこまねいているわけにはまいらないのであります。そうであるだけに、さきに指摘した日米構造協議に絡む公共投資十箇年計画には、日米間の摩擦解消という目的以上に、その達成が期待せられるのであります。
 この計画については、先ほど知事に大所高所からの御見解をお伺いいたしましたが、関係部長には、この計画に和歌山県としてどのようにかかわっていこうとされるのか、すなわち、具体的にはこの公共投資十箇年計画を活用して和歌山県の現状をいかに改善していこうとされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、高原さんの御指摘の第二点目、労働時間の短縮問題であります。
 確かに、この問題の解決は、今日指摘されている「生活に豊かさの実感がない」という国民意識の払拭のためには欠かすことのできない課題であり、また他の先進諸国との協調という意味合いからもその実現を図っていかなければならない問題であろうと思います。さらに、「テクノ&リゾート」を標榜し、リゾート開発により県の活性化を目指す和歌山県にとっても、その実現のためには欠かすことのできない要件の一つであろうと思います。恐らく今後、このトレンドに沿って労働時間の短縮が各界各層で図られていくことになるであろうと思われます。
 しかし、私が高原さんの話をお聞きしていてすぐに感じたことは、こういう労働時間短縮のトレンドは認めるとしても、果たして地場産業者がこれに耐えられるのだろうかという点であります。といいますのは、労働時間の短縮は零細な業者にとってはすぐ経営の圧迫につながり、また今日の人手不足とも相まってより一層の人手不足を引き起こすことにもなってまいるからであります。もちろんこれらの問題は、第一義的には地場産業者おのおのがそれぞれの才覚と努力で解決していくのが当然でありますが、今日の地場産業者を取り巻く環境には、それ以上に厳しいものがあると言えます。すなわち、今申し上げた労働時間短縮による経営圧迫の問題、さらには平成五年開港予定の関西新空港での予定従業員数五万九千人、そして和歌山マリーナシティ予定従業員千数百人、頭脳立地構想を初め県が積極的に推進されている企業誘致による予定従業員数千人、これらはすべて紀北地区から通勤可能な地域に位置するものであるだけに、先ほどの労働時間短縮に伴う人手不足とも相まって、特に紀北地域の地場産業者の存立にかかわるほどの人手不足の発生が懸念されるという問題、さらには昭和六十一年の十二月議会でも指摘をいたしましたが、これら進出企業と地場産業者とを比較した場合、その待遇面、すなわち給与、休日、福利厚生面などで恐らく大きな格差が生じるであろうという問題などであります。これらの状況に対して、先ほども申し述べたとおり、第一義的には地場産業者それぞれが対応していくのが当然でありますが、それのみで対応し切れない面も出てくることが予想されます。
 そこで、以下、地場産業界の抱える問題のうち、人手不足問題を中心に幾つかの質問をいたしたいと思います。
 さきの九月議会における尾崎要二議員の質問でも指摘されておりましたが、既に県外からの進出企業の従業員募集に際しても、ごく少数の応募者しかいなかったという事態が発生しているのであります。これは、現代の若者の「三K」、すなわち「汚い・きつい・危険」の三つのKがついた仕事を敬遠する傾向があるからとはいうものの、現実に人材確保ができないという事態が起こっているのであります。これらの状況、さらには先ほど申し上げたような紀北地区を取り巻く状況を考え合わせたとき、各企業の、そして特に地場産業の人材確保について当局はどう対応していこうとされているのか。少なくとも、誘致に応じていただけた企業のためにも、そして地場産業者の不安解消のためにも数年先を見越した見通しや方策を明確に提示する必要があると思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、人材として考え得る新規高卒者、女性、定年退職者、そして大学卒業生などのUターン、Jターンについてお伺いいたします。
 まず、新規高卒者の県外就職者割合を見ると、平成元年度就職者総数六千二百六十八人のうち県外就職者数は約三七%の二千三百十人で、その就職先は、大阪が千六百五十八人、東京が百三十三人、愛知が百十三人、奈良が九十七人などとなっております。
 さらにもう少し詳しく見ますと、昭和六十三年度の統計でありますが、新宮商業で県内百二名、近畿八十二名、その他五十名、田辺工業で県内四十七名、近畿百十六名、その他二十五名、御坊商工は県内百四十六名、県外百五十六名、和歌山工業で県内二百四十五名、近畿百九十七名、その他四十九名、和歌山商業で県内三百四名、近畿四十一名、その他一名であります。これを見ますと、割合として、紀南地方ほど県外就職者が多い状況であります。もちろん、さまざまな要因があることと思いますが、高校内での就職指導と県内企業の募集とに連係が足りなかったのではないかという思いがいたします。このことについてどう把握し、今後どう対応していかれるのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 次に、高原さんは講演の中で、人手不足解消の一方策として女性の活用と定年退職者の活用を指摘しておられました。確かに、働く意欲を持っている女性や定年退職者がふえているのは事実であります。そして、この意欲ある人々に働く場を提供することは、働くということ以上に意義のある場合もあります。
 長寿社会総合対策指針でも指摘されているように、「一人ひとりにとっても、生きがいを高め、安定した収入が得られるという意味で働くことの意義は大きく、健康で働く意欲のある高齢者の希望をかなえていくことが重要」であると言えます。
 そこで、どのようにしてこれを実現していくのかであります。長寿社会総合対策指針にも女性プランにも随分詳しく対策が記述されておりますが、それぞれの手順と見通しについてお聞かせいただきたいと思います。特に公共職業訓練機関の機能強化や紹介機関の充実などは直接的な影響を与えるだけに、どのように対策を講じられるのか、詳しくお聞かせいただきたいと思います。
 次に、大学新規卒業者及び県外就職者のUターン、Jターン問題であります。
 新聞報道によれば熊本県が非常に積極的な活動をされているようでありますが、県内企業者にもこれを望む人が多数おられますので、以下数点についてお伺いいたします。
 まず新規学卒者でありますが、進学先の大学等への県内企業からの求人が非常に少ないという声をよく聞きます。これについては、確かに各企業が多数の県外の学校に求人を行うことは非常に難しかろうと思います。
 そこで、和歌山商工会議所等もやっておられるようでありますが、県なども協力して新規学卒予定者に対する県内企業案内や募集案内をもっと積極的にされてはどうか、あわせて新規学卒者対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
 次に、高卒、大卒などの既卒者のUターン、Jターンであります。
 これらの方々についての今日までの県としての活動の現状、すなわち人材を希望する企業の要求にこたえられるだけの十分な情報収集とその集積をなされているのか、またこれらを容易に利用できるようなシステムが開発されているのか、そして今日までの成果についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、県外で定年退職を迎えられた方々の中にも、高度な技術、技能を持った方々がおられると思いますが、この方々への対応はどのようになっているのかについてもお聞かせいただきたいと思います。
 県では、今年度の新規事業として技術労働等確保対策事業が予定されておりますが、人材に対する求人側の多様化などを勘案したとき、技術関係者のみならず多様な人材確保策を講じられるべきだと思います。さらには、その重要性と求人側の多様化などを考えたとき、県として全庁的な対応をなされるべきだと思います。あわせて御所見をお伺いいたします。
 いずれにいたしましても、Uターン、Jターンについて、より一層の積極的な、そして総合的な対応をお願いしておきたいと思います。
 次に、先ほど指摘した進出企業と地場産業者との待遇面での格差問題についてお伺いいたします。
 まず、給与、休日等については業者それぞれに頑張っていただくのは当然でありますが、その他の面、特に福利厚生面で質問をいたします。
 例えば、従業員住宅の問題であります。マスコミ報道によれば、今日、大企業ですら人材確保のために豪華な社宅や独身寮を建設しているとのことであります。しかし、中小零細業者にとって独自でこれの解決を図ることは非常な重荷であろうと思います。また、保養施設などを見ても、大企業と太刀打ちできるはずがないのも明白であります。
 そこで、意識ある地場産業者などを糾合して組合を設立させ、これらの福利厚生にかかわる問題に対処させることなどを県として考えてみられてはいかがと思いますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上、地場産業にかかわる、特に人手不足問題を中心に幾つか見てまいりましたが、このほか地場産業を全般的に見ますと、今日までの地場産業対策では律し切れない事態を迎えつつあると言えます。
 そこで、今日までの対策を見直していくべき問題も多々あると思いますが、当局はこのことについてどのように状況を把握し、いかに対応していくべきと考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、関西空港の問題についてお伺いをいたします。
 ことしになって関西新空港に関してさまざまな報道がマスコミでなされておりますが、その中で幾つか気になる報道もありましたので、以下、お伺いをいたします。
 まず、報道のうち和歌山県に直接的に関係のあるものを分類いたしますと、次の三点になるかと思います。伊丹空港の存廃に関する報道、全体構想推進における地域協力に関する報道、土砂単価に関する報道の三点であります。
 そして最初に結論を申し上げますと、この三点について報道されていることは、すべて和歌山県が当初考えていたよりもはるかに厳しいものになっているということであります。言葉をかえて言うならば、関西新空港の必要性にかんがみ、我が和歌山県が当初の反対運動を押し切ってまで知事を先頭にこれが建設に協力してきたことは、当初の運輸省などの言葉とは裏腹に、そのときどきの流れの中で大いに裏切られてきたと言えるのであります。
 確かに新空港建設による効果を云々する声はありますが、その効果の大小よりも、この建設に伴う一連の作業の中でこれだけ強者の論理がまかり通り、国の行政に対する地方の信頼をなくさせたことは大変重要な問題であると思います。
 まず、以上申し上げたことについて知事はどう感じ、どう考えておられるのか、お伺いをいたします。
 次に、第一番目の伊丹空港存廃問題についてお伺いいたします。
 この問題については、昭和四十九年の航空審議会答申主文において「大阪国際空港の廃止を前提として」と明記されているにもかかわらず、その後の運輸省の見解では「これに拘束されない」との考えを示し、実際の行動も伊丹空港の存続を目指したものとなっております。この一連の動きは全くのまやかしであり、まさしく行政の一貫性に対する信頼を覆すもので、厳しく批判されてしかるべきものであると私は思います。そして、この運輸省のあるまじき行動に乗って、今日、伊丹空港存続があたかも当然のごとくに議論されているのであります。
 そして驚くことには、去る六月五日付読売新聞の報道によりますと、伊丹存続を主張するいわゆる十一市協の有力構成メンバーである西尾大阪市長は、伊丹空港に国際線の一部すなわち近距離国際線をも残すよう主張している旨の報道がなされているのであります。
 さらには、六月十九日付読売新聞の「大阪空港」という特集記事の中で、国内航空三社ともに「現空港は国内専用、新空港は国際線と海外乗り継ぎ用の一部国内幹線に」と機能分担を一致して望んでいると報じられ、さらに阿部日本航空大阪空港支店長は、「周辺道路の整備など、空港全体の機能の見直しが必要だ。国内線の基幹空港として恥ずかしくない形での将来像を探らねば」と発言しているのであります。その一方で、関西新空港関係県として、当然その歴史的経緯の中で伊丹空港の存廃に深くかかわる和歌山県を蚊帳の外に置いて、その意見を聞こうともしないのが現在の運輸省の姿勢であります。確かに非常に巧妙で、さすがに頭のよい中央官僚だと感心はいたしますが、世の中、頭がいいだけでは通らないことがたくさんあるのであります。この一連の行動には運輸省のずるさが目立って、運輸省の行政運営手法に対する不信感だけが増幅し、そのいんぎん無礼さに辟易とさせられるのであります。
 以上申し上げたような状況の中で、和歌山県は伊丹空港存廃問題についてどういう態度をとられるのか、改めてお伺いいたしたいと思います。
 さらに、このことにかかわって、以下二点の問題についても御所見をお伺いいたします。
 その第一点は、先ほど紹介いたしました西尾大阪市長の発言や航空三社の思惑、発言を考え合わせたとき、伊丹空港と全体構想との関係は、これまた従来の認識と大きく変容し始めているのではないかということであります。このことについてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
 と同時に、オール関西で全体構想実現に取り組んでいるやには見える反面、同床異夢のような感がいたします。というのは、全体構想実現と伊丹存廃とについては、オール関西の中で大いに意見を異にしているからであります。果たして全体構想の実現と伊丹の存続とは両立し得るのかどうかが問題であります。このことについて、オール関西、特に関西財界、主要関係府県はどのように考えていると把握されているのか、そして県はそれをどのように受けとめているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次に、伊丹空港関連の二番目の問題といたしまして、去る四月十二日付日経新聞の夕刊で、「建設省、国土庁、近畿各府県などで構成する近畿圏高次機能都市整備計画調査委員会は十二日、伊丹空港を二十一世紀に備えた業務都市として再開発し、その開発利益で一切の都市基盤投資だけでなく、関西新空港全体構想と神戸空港の財源も確保できるとした『近畿ワールド・オムニ・コア構想』を策定、関係団体に提示した」と報じられ、これについて山崎日経編集委員が次のような解説をしておられます。すなわち、「伊丹空港は仮に存続の結論を得ても過密都市の上空を飛ぶ危険性と時間制限が残る以上、永久に゛欠陥空港゛から脱皮はできない。新空港に国際線と国内幹線を、神戸にローカル線を移して伊丹を廃止するのが常識的な選択とすれば、跡地の開発利益で両空港の整備まで可能という今回の試案は゛巧み゛の一言に尽きる」云々と論じられております。
 この構想等について、伊丹空港存廃議論の中で和歌山県としてどう位置づけていくのか、当局の御見解をお伺いいたします。
 次に、問題の二番目といたしまして、全体構想推進における地元協力についてお伺いいたします。
 この問題については何度か報道されておりますが、三月十五日付日経新聞では、「関西経済連合会など関西財界は、関西新空港の滑走路を三本とする全体構想を早期に実現させるため、空港会社が約束している『開港九年目からの配当』を民間株主が当分の間、自主的に辞退する検討に入った」、さらに「空港会社の採算性に疑念を持つ大蔵省の説得が不可欠」であり、「宇野収関経連会長らはこれを地元経済界の熱意を示す゛切札゛の一つにしたい」と報じられております。
 また、六月九日付日経新聞では、運輸省は「全体構想の扱いについて、開港十年後をめどに滑走路一本を増設、残り一本は検討課題とする意向を固めた」と報じるとともに、「ただし、関西国際空港会社の経営負担が過大になるため、『地元の全面協力』を着工条件に掲げる」とし、「具体的には 1無利子または超低利の資金融資 2埋め立て免許料を無料にする関空会社法改正 3現工事で露呈したトラブル一切を事前に片付ける──など厳しい内容になる見通し」と報じられております。その後、運輸省の方針として、漁業補償についての地元解決、さらには空港会社への地元出資比率の大幅引き上げなどが報道されております。また、これまでにも大蔵大臣、運輸大臣などのこれに類する発言も報道されております。これら一連の報道を見て、中央官庁の傲慢さ、厚かましさに唖然としている者の一人であります。一体、関西新空港とは何なのかという思いがいたします。
 昭和五十年七月二十三日付、当時の木村運輸大臣より大橋正雄県知事あての「関西国際空港について」と題する協力依頼文書には、「関西地区における新空港の実現は、答申に述べられているように、大阪空港の現状や航空輸送需要の動向等を考えると緊急を要する課題と思われます」と明記されているのであります。すなわち、関西新空港建設の原点は伊丹空港の騒音問題の抜本的解決を図ることであり、さらには日本国における関西圏の占める地位、並びに日本国における将来の航空需要に対する必要から計画されたものであります。であるとするならば、国が本来責任を負うべき第一種空港である関西新空港の性格からしても、それへの協力は協力として、オール関西ができるだけのことをなすとしても、それに甘えるような、輪をかけて地元協力を要請するような最近の中央官庁の態度は、基本を忘れて、行政として当然遂行すべき義務を放棄するものであり、また協力がなければ認めないと言うがごとく駆け引きに使うとは言語道断と言うべきであります。これは、行政に対する信頼を失墜させるばかりでなく、主権者たる国民として言えば、許しがたい怠慢と言わざるを得ません。彼らは、会社方式に味をしめ、この会社を隠れみのにして、みずからの手を汚すこともなく、みずから責任を負うこともなく、会社へのコントロールだけは手放さないで、あるときは会社側に責任あるがごとく、そしてあるときには中央官庁に権限あるがごとくして、いわゆるキャッチボールをすることによって責任は逃れ、権限の行使のみを行うという最も卑劣な行政運営を行っているのであります。
 以上、申し上げてまいりました中央官庁によるより一層の地元協力要請について、知事の御所見と対応をお聞かせいただきたいと思います。
 また、会社方式をこのように利用するのであるならば、この会社方式の見直しを国に要求する必要も出てくると思われますが、このことについてもあわせて御所見をお伺いいたします。
 問題の三番目として、土砂単価に関する報道についてお伺いいたします。
 去る六月六日付日経新聞において、次のように報じられております。「価格問題で、関西国際空港会社は五日までに土砂を供給している大阪府と和歌山県土地開発公社の双方に一立方メートルあたり千百円を最終案として提示した。大阪府は新空港の滑走路を三本つくる全体構想をバックアップするため(中略)千百円でほぼ合意しているが、同公社は『千百円では原価割れで県の財政を圧迫する』と百円以上の上積みを要求、実質千二百円をめぐる攻防を続けている」、さらに、和歌山県は「土砂価格については土砂採取にかかった約一千億円の総事業費から、当初一立方メートルあたり千六百円台を関空会社に提示した。これに対して、関空会社は 1赤字分は跡地の開発利益で補うことが可能 2工事用道路などの費用は跡地造成費に転嫁して欲しい──などを理由に協力を求めた」が、公社の反発に対し、「和歌山県が大阪府に比べ跡地開発の利益が少ないことに配慮、千二百円をめぐる端数の積み上げが焦点になっている」と報じております。この土砂価格の一連の交渉過程を見ても中央官庁のずるさを感じるとともに、我が方のお人よしというか、非常な甘さを感じるのであります。
 会社や中央官庁の、淡路の土砂単価は安いという意見とか加太の開発利益云々とかの主張は、まことに噴飯物であります。新規投資分などを考慮すれば、淡路の土砂単価と比較して加太の方が当然高くなることを最初からわかって発注したはずであり、また加太の開発も、「最初に開発ありき」ではなく「最初に土砂採取ありき」だったのであります。
 私は、中央官庁が地方公共団体に対し、このような駆け引きを弄してくることに言いようのない寂しさを感じるのであります。こんなことは、本来「信頼」という文字をその根底に置くべき中央と地方との関係にとって、将来を考えたとき、決して好ましいことではないと思うからであります。また最近では、この上にさらに、先ほども触れたように「全体構想実現」という美名のもとに無言の圧力をかけられているのであります。
 そこで、お伺いいたします。
 一立米当たり千二百円をめぐる端数の積み上げが焦点と言われているが、このことの真偽と、これで妥結した場合、当然、提示額の千六百円との差額、つまり四百円掛ける六千五百万立米イコール二百六十億円をどのように埋め合わせするのかが問題となってきます。当然、会社側の言うごとく、加太開発の中で吸収していくより方法はないかと思いますが、一体どうすれば吸収可能なのか、お聞かせいただきたいと思います。
 県民感情としては、昭和四十九年の航空審答申以来、さまざまな苦難を乗り越えて協力してきたというのが偽らざる気持ちであります。それだけに何らかの直接的な恩恵があってしかるべきと考えているにもかかわらず、それを抑えて協力しているはずの土砂採取問題で跡地への大きな負担が発生し、加太開発にまでその影響が出るとするならば、もはや我慢できない事態であると言わざるを得ません。
 以上、申し上げてまいりましたように、伊丹空港存廃問題、さらには全体構想実現のための地元協力、そして土砂価格の問題、これらに関する新聞の報道一つ一つに物申すべきことが出てくるのであります。
 確かに、空港問題が国家的プロジェクトであることを考え、同時に県益を考えたとき、これらの問題にトータルにいかに対応すべきかが非常に重要になってくるとは思います。そして、知事初め当局もこのことに苦慮されているのであろうと推察いたします。しかし、空港問題への今日までの和歌山県の協力は、端的に申し上げて、全体構想の実現と国内便の大幅確保を達成しなければならないということからなされてきたのであります。しかるに、果たして今日の状況でこれらのことの達成を確約できるのでありましょうか。はっきり申し上げて、今までの一連の経過を見ると、またのらりくらりと雰囲気づくりをされ、結局は押し切られて、六月二十一日付産経新聞で二期工事を二段階施工にし、最終的に三期工事まで行うと報道されているような形で、第六次空港整備計画には認められても、伊丹空港との併存の中で全体構想は見送られ、国内便は海外乗り継ぎ用一部幹線だけという事態になるのではないかと強く危惧するのであります。
 こういう状況の中で六月二十七日付読売新聞では、「大蔵省は、常に大事故の危険がある現大阪国際空港の永久存続は問題として、運輸省に対し、関西新空港の全体構想着手の条件として、完成後の現空港廃止を明確にするよう求める方針であることを明らかにした」と報じられております。
 このように、空港問題はいまだ大きく揺れた状態であります。それだけに、県としては懸念払拭のために強力な行動を起こし、強力な申し入れをなすべきであると思います。今日の状況を下世話な言葉で表現するならば、中央官庁にオール関西は押しに押され、その中でも特に和歌山県は押しまくられているという感を強くするのであります。和歌山県はこの辺で毅然とした態度を表明することも必要であると思いますが、知事の御所見をお伺いして、質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの石田真敏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 石田議員にお答え申し上げます。
 まず第一点は、大店法の運用緩和についてどのように受けとめ、対応していくかということでございます。
 今回の運用緩和は、今後の経済社会情勢の変化に対応するために、第一に消費者利益の保護、第二は中小小売商の地域経済への貢献、第三は国際協調という三つの視点から、総合的に勘案して実施されたものでございます。しかしながら、既存の商店街、また中小企業者に対する影響には、御指摘のとおり非常に厳しいものがございます。
 こうしたことから、今後の対応としては、街路灯やアーケード等の環境整備事業によって商店街にハード面の事業補助を行う一方、本年度新たに中小商業活性化基金を創設し、これを幅広く活用してまいりたいと思っております。そして、今後の商店街は、単なる買い物の場だけではなしに、地域住民の暮らしの広場、また文化交流の広場としての形で、国の施策と相まって県においても施設整備面の助成政策を考えていきたいと思っております。
 第二点、高原須美子さんの講演を聞いてという前提がございましたけれども、公共投資十箇年計画についてのお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、この計画は東京一極集中に拍車をかけるような公共投資配分につながるものであってはいけないという御意見でございます。そしてまた、知事会等においてもこの点を十分配慮せよということでございます。
 私は全国知事会の建設運輸調査委員長をやっておりまして、七月十九日に知事会で明年度の予算編成を迎えての対策を検討しますが、六月二十八日にそのための委員会を開催し、知事会で提出する文案を練ったわけでございます。そこにおいて、第一点に東京一極主義の排除、いわゆる地方振興ということでございます。そしてまた公共投資十箇年計画において、平成二年度で長期計画が終わりになり、新しく八つの計画がつくられますが、地方の意見を十分聞いてその計画の中に盛り込むべきであると考えております。
 四百三十兆円の予算になって金額はふえたけれども、地価の高騰があるではないか、だから結局、事業量はふえないのではないかといった点において、国土基本法に基づく国の政策──応急対策や恒久的対策もありましょう。また、税制問題もありましょう。そうした問題について確固たる対策を樹立すべきであるということを決めてまいった次第でございます。こうしたことを十分反映させてまいりたいと思います。
 また、御指摘のように、現状においては、政治、経済、文化等、さまざまな面で東京一極集中が進んでおります。国際経済文化圏としての関西の復権を目指して二眼レフという形で進んでいかなければならないし、関西の中においても、大阪、兵庫、京都という形ではなしに、和歌山を含めた形の体制を進めていかなければならないと存じております。
 お話ございましたように、十箇年計画においては生活環境とか文化に重点を置いた推進を図っていくものと承知しておりまして、その意味において、本県にとって社会資本の計画的な整備を積極的に展開していく上でチャンスではないか、有利な状況が生まれてきたと思っております。
 そうした具体的実施に際しましては、高齢化への対応の問題や産業基盤、社会資本の整備という基本的課題を十分に認識し、国の予算編成あるいは公共事業関係の五カ年計画の策定時等において本県の各施策を国に強く訴え、採択されるように取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、関西国際空港について御意見を承ったわけでございます。
 大阪国際空港の問題、関西国際空港全体構想の問題、あるいは土砂単価の問題につきましては、お話ございましたようにさまざまの報道がなされており、私も存じております。
 御指摘のように、本県は厳しい県内情勢の中でございましたけれども、県勢の将来への飛躍を考えて、県民の御理解を得て関西国際空港の計画案等三案について同意するとともに、新空港の建設に全面的に協力を行ってきたところでございます。
 思えば、ちょうど八年前の八月三十一日でございます。その三案同意をもって当時の運輸大臣に回答いたしました。八月三十一日と申しますと、予算要求の最終日でございます。そしてまた、その過程において民活等の問題があり、議会の皆さんに民活を受けるかどうかお諮りもしました。そうしたさまざまな思い出が脳裏に浮かんでまいります。
 国におきましても、当然、本県のこのような立場を理解していただいておると考えております。ただ、担当官が人事異動等でかわることがまことに残念に思います。
 次に大阪国際空港の存廃問題でございますけれども、その根本は航空機騒音等の環境問題でございます。運輸省の調査、地元の意見聴取、運輸省の責任による決定という手順より処理すべき旨の調停が公害等調整委員会においてなされており、現在、その最終段階を迎えていると思います。
 私としましては、関西国際空港の建設に同意した本県の立場から、廃止決議がなされた県議会の意を体し、国に対して私の主張を申し上げているところでございます。県益を図る立場から、また県民の利便性を確保するためにも全力を傾注してまいる所存でございます。
 全体構想についての地元協力の問題でございますけれども、本県独自に和歌山県関西国際空港全体計画促進協議会を政・財・官挙げて設立し、要望活動を行っているところであり、本県としては協力できるよう検討していかなければならないと存じております。
 全体構想の事業主体につきましては、関西国際空港はお話のように第一種空港であり、国で建設するのが基本であると考えておりますけれども、先ほど申しましたように、財政事情等、いろいろな事情がございます。そうした諸般の事情から、現在、第一期工事は国、民間、地方公共団体の第三セクター方式で進められているところでございます。第二期工事については、今後、国の動向を見きわめながら、オール関西で組織している期成会の構成団体、さらには県議会とも十分相談させていただきながら検討していかなければならないと考えている次第でございます。
 全体構想についての今後の展望につきましては、県議会の皆さんにも御協力をいただきながら国に対し要望を重ねてきたところでありまして、おかげをもって第六次空港整備五箇年計画への位置づけに明るい展望を持っているところでございます。
 また国内便の大幅確保、特に東京便を含む主要な都市との路線確保につきましては、関西国際空港は国際・国内の基幹空港としての位置づけから、国際線の一元化はもちろん、当然、主要な都市との国内便が確保されるとの国の基本的な考え方を聞いてございます。
 今後とも、県選出の国会議員並びに県議会と緊密な連携を保ちながら懸命の努力をしてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
 土砂単価については企画部長から答弁いたしますけれども、国の各省の態度、会社の態度についての石田議員の考え方、私も同感でございます。私もそうした精神に基づいて対処しているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 二十一世紀に向けての高齢者対策でございますが、これからの十年間に、特に高齢者の保健福祉サービスの分野における基盤の整備が重要な課題と考えております。このために県におきましては、さきに副知事を長に長寿社会対策推進本部を設置するとともに、長寿社会総合対策指針を策定したところでございます。今後はこの指針の趣旨に沿い、高齢者保健福祉推進十か年戦略に盛られた具体的な施策を積極的に実施してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、企業誘致の状況等でございます。
 昭和五十年代からの我が国の産業構造の変化により、基礎素材型産業に特化していた本県は深刻な影響を受けるに至りました。この対策の一つとして、県は加工組み立て型産業を中心とする企業誘致を推進し、産業構造の転換を図るべく努力をいたしてございます。
 通産省の工業統計による本県の製造品出荷額に占める加工組み立て型産業出荷額の比率は、昭和五十七年の四・七%から昭和六十三年には一二・一%と徐々に高くなってきており、企業誘致の効果もその一つと考えてございますが、まだ全国の数値とは差がございます。今後も、県関係機関や各市町村と連絡を密にしながら受け入れ態勢の整備を図り、地域バランスのとれた企業立地を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県内企業の件でございます。
 市街地に散在している機械、家具、和雑貨等の地場産業は、用地の狭隘等の問題で新たな設備投資が著しく制約されてございます。このような環境に積極的に対処していくためには、工場用地の確保と各分野にわたる事業の共同化、協業化が必要と考えますので、今後、市町村ともども工業団地の確保について、より積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、人材確保についてでございます。
 議員御指摘のとおり、中小企業における現在の最重要課題は、人材、労働力不足問題であると考えてございます。国におきましては、現在、中小企業人材確保促進法案の提出が検討されております。本県においても、本年二月、関係課による中小企業等人材確保対策連絡会議を設置し、総合的な施策の実施に努めてございます。
 中小企業、特に地場産業の人材確保につきましては、労働条件の改善や合理化、省力化を初めとする企業経営の改善等、多面的な取り組みが必要であると考えてございます。
 次に新卒者対策、Uターン対策でございますが、新規高等学校卒業者につきましては、関係者の連絡会議の開催、職業安定所職員による学校訪問など、各学校との密接な連携をとりながら県内への就職促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、本年度から技術労働力等確保対策事業を実施し、本県出身の技術系大学生の就職に関する意向を把握するとともに、県内企業の求人情報を提供していくこととしております。
 この事業の実施につきましては、商工会議所ほか関係者の意見を十分参考にしながら進めることとし、当面、技術系大学生を対象としておりますが、今後、対象者の範囲拡大も含め、積極的に検討してまいりたいと考えてございます。
 また、既卒者対策といたしましては、全国の公共職業安定所をコンピューターネットワークで結ぶ総合的雇用情報システムにより求人求職情報がすぐに提供できることとなっております。また、定年退職者を含め、県外居住者で本県へのUターン就職希望者には、国が運営する人材Uターンセンターへ県内企業の情報を提供しているところでございます。
 一方、女子労働者は、パートタイム労働者も含め、年々増加してきております。パートタイム労働者対策といたしまして、既設の和歌山パートバンク、この秋に田辺市へ設置予定のパートサテライト等でパートタイム雇用の需給調整等、総合的なサービスを提供してまいります。
 また、従来から女子労働者の技能習得の講習会を婦人等就業援助センターで実施しているところでございますが、女子の一層の就業促進を図るため、本年度、技術講習会の科目などのニーズ調査を実施することといたしております。
 高齢者につきましては、六十歳定年制を基盤として六十五歳までの継続雇用の促進、求人年齢の引き上げ等、事業主に対する指導を強化するほか、助成金制度を一層活用していただけるよう努力してまいりたいと考えております。
 また、離転職者に対し、高等技能学校等での能力再開発訓練、企業内職業訓練の援助等、より一層の充実を図ってまいります。
 次に福利厚生についてでございますが、雇用促進融資制度や中小企業が組合を設置する場合の高度化資金等、融資制度の効果的運用、勤労者体育施設や雇用促進住宅の設置促進に努めてまいります。
 また、退職金制度を持つことが困難な中小企業に対する中小企業退職金共済制度への加入促進や、その他の互助共済制度を大規模事業所並みに近づけるための中小企業勤労者福祉サービスセンター設置に、現在、取り組んでいるところでございます。
 最後に、地場産業対策の総合的な見直しでございます。
 本県の地場産業は地域経済の最大の担い手であり、県としてもその振興を積極的に図ってきたところでございます。しかし、これらの地場産業をめぐる現状は、構造的課題に加え、アジアNIESの追い上げ、国際化等、地域経済環境は厳しく変化してまいるものと思われます。
 このような情勢の中で現行の地場産業振興ビジョンを見直して、環境変化への対応と時代を先取りした技術力、情報力、人材といったソフトな経営資源の充実を柱とした新しい振興策を策定し、今後の課題と進むべき方向を明らかにして一層の振興を図ってまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 公共投資十箇年計画の活用についてでございます。
 本県の生活関連社会資本の整備状況を見ますと、議員御指摘のとおり、公園、下水等において他府県と比べて低位の状況にありますが、関西国際空港の開港を三年後に控え、かつまた和歌山マリーナシティなど県下にビッグプロジェクトを推進中であり、交通体系の整備を初め、都市施設の充実、河川、海岸、砂防あるいは建築施策など、豊かな自然を生かした快適な生活環境づくりに取り組んでいるところであります。
 今回、日米構造協議で合意を見た公共投資十箇年計画では、知事が申し上げたとおり、社会資本整備計画の十五分野のうち、平成二年度末に期限の参る八分野について積極的な計画策定がなされると思われますが、本県としては、この十箇年計画を最大限に活用し、きめ細かい事業展開を図りたいと考えております。
 特に、県民生活の向上に直結する生活関連インフラや広域的な産業基盤整備につきまして、県の実情に沿った事業の推進を図るべく、国に対し強く要望いたしたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 公共投資十箇年計画への対応でございます。
 ますます国際化が進展する中で、生産基盤の整備と快適で潤いのある環境づくりを進め、本県の地域特性を生かした、豊かで住みよい農山漁村を構築することが肝要と考えてございます。
 二十一世紀を目指した今回の十箇年計画を絶好の機会ととらまえ、広域農道、広域林道、漁港関連道路等の道路網や集落下水排水施設整備、さらには保健休養機能や緑のダムなど、今日環境財として森林の持つ公益的機能の充実等々、農村、山村、漁村の活性化とあわせて生活環境関連施設整備が一層促進できるよう国に対して強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 公共投資十箇年計画につきましては、二十一世紀を見据え、生活の質の向上に重点を置いた分野に配慮した方向で現在検討されているところでございますが、財源面では、国と地方の関係、補助事業と単独事業の区分が現時点で不明でございます。そのため、地方財政計画等の今後の動向を見きわめていく必要があると考えております。
 このような中で、均衡ある国土、活力ある県勢発展のため公共投資十箇年計画の実施、とりわけ本県にとって南紀新空港、マリーナシティ、図書館、美術館、医大の統合移転といったビッグプロジェクト事業の本格化に伴い、毎年度多額の財源を要することとなり、中長期的な展望に立った財政運営がより一層重要であると考えております。
 また、本県の生活環境、産業基盤を総合的、効率的に向上させるためには、現在の国の公共事業の枠配分が必ずしも適合していないという面もありまして、今後、知事会等を通じ、真に県民のニーズに適合した公共事業等の配分となるよう要望を重ねてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、伊丹空港存廃問題に関連した御質問にお答え申し上げます。
 関西国際空港全体構想の実現と大阪国際空港の存廃についての関西経済界及び主要関係府県の考え方でございますが、関西国際空港全体構想の早期実現については、オール関西の政・財・官界のみならず、東京の経済界、内外の航空会社と一体となり、関西国際空港全体構想早期実現期成会を組織して取り組んでいるところでございます。
 各構成団体につきましては、大阪国際空港存廃に関して種々の見解があることは存じておりますが、関西国際空港全体構想が必要であるとの認識で一致しているところでございます。
 次に、近畿圏高次機能都市整備計画調査委員会による近畿ワールド・オムニ・コア構想についてでございますが、この構想は、京都大学の米谷名誉教授が中心となり、昭和六十一年度から検討を進めてこられた考え方を取りまとめられたもので、東京における大手町、丸の内、霞が関地域と同様に、近畿圏においても社会経済文化活動を総括する国際的業務中枢拠点として新たに近畿ワールド・オムニ・コアが必要であるとの認識に立ち、発表されたものでございます。近畿圏の首都圏に対する相対的地位を高めることにより東京圏への一極集中を是正するという観点からも卓越した提案であると考えてございます。
 次に、土砂単価問題についてでございます。
 土砂単価につきましては、現在、関西国際空港株式会社との間で、跡地整備を含めて、総合的に検討しながら鋭意協議を重ねているところでございます。
 また、加太開発の中で吸収可能かどうかでございますが、加太開発事業は土砂採取事業と跡地整備事業で構成されておりまして、現在進行中の土砂採取事業には、粗造成、調整池、のり面保護等々、跡地整備に係るものが多く含まれており、加太開発事業として総合的に採算性の確保を図ってまいりたいと存じてございます。
 なお、跡地整備のコスモパーク加太には数多くの企業からの提案や進出希望があり、関西でも有数の複合的かつ大規模な町づくりの実現を目指していく所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 人材確保における高校生の就職状況についてお答えをいたします。
 平成二年三月卒業者の進路希望事前調査によりますと、県外企業への就職を希望する者の割合は、県全体的には四四・五%という状況であり、議員御指摘のように、平成元年度は三七%の者が県外企業へ就職してございます。したがって、県教育委員会といたしましては、関係部局と連携をとりながら県内企業の求人情報が各学校に十分提供されるようさらに努めてまいるとともに、各学校においては県内企業に対する理解を深めさせ、進路指導の充実にさらに一層指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了していますので、以上で石田真敏君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 質問をいたします。
 まず、相次ぐコンビナート火災の問題点でございます。
 昨年七月十日に石油コンビナート特別防災区域にある大岩石油青岸油槽所で起きた化学薬品タンク爆発炎上事故は、高さ二十メートルの火柱を上げて炎上し、黒煙は六百メートルの上空に達し、実に十二時間燃え続けたのであります。響く地鳴り、襲う猛災、その上、強烈な刺激臭は鎮火してからも三キロ四方の市街に広がり、改めてコンビナート災害の恐ろしさを見せつけられたのであります。
 また本年に入ってからは、去る五月九日、関西電力海南発電所において脱硫装置解体中に火災が発生。爆発音を繰り返しながら一時間にわたって炎が吸収塔から十数メートルも上がり、消火作業が難航。この間に黒煙もうもうと市内中心部にまで立ち込め、七十メートルの近くにある三万キロリットル重油タンク七基に冷却放水をして難を免れたのであります。この海南発電所では最近三度目の災害事故のため、周辺住民の不安と怒りは大きいのであります。
 次いで、五月二十六日夕刻発生した住金製鉄所の火災は、出火から丸一日燃え続け、二十七日午後六時半、ようやく消しとめられましたが、この間、周辺住民は刺激臭を伴う黒煙に悩まされ続けたのであります。しかも、住金製鉄所が出火に気がついてから市消防局へ通報したのは、実に五十三分後のことであります。また、電源遮断などの不手際で放水態勢が整うまでに二時間近くもかかるという対応のまずさがますます災害を大きくしたのであります。
 これらの火災は石油コンビナートを形成する重要な事業所で発生したものであり、時と場合によっては大きな労働災害や周辺住民を巻き込んだ恐るべき事態になりかねない重大な問題であるにもかかわらず、事故は繰り返し発生をしておるのであります。これらの相次ぐコンビナート事故に対して県民、市民は、安全防災対策はどうなっているんだという強い不信と不満と怒りを持って、防災の施設や安全に対する教育など、徹底した安全管理体制のチェックを強く求めているのであります。
 これら続発するコンビナート火災の発生について、また事業所の防災対策等について知事はどのように考えておられるのか、その所見をお伺いいたします。
 さて、これら事故の問題点の一つとして挙げられることは、いわゆる「生産優先、安全軽視」という企業意識の中で起きた事故であるということであります。海南発電所は脱硫排煙装置の撤去作業中であり、住金は施設を中国へ輸出するための撤去作業中であり、両事業所ともこの撤去作業に従事する業者に対して火気使用管理等の防災上の安全チェックがなされておらず、下請に任せっきりであります。すなわち、合理化のため、安全監視体制が撤去作業の下請業者にまで及んでいないのであります。
 ちなみに、新聞記者の質問に対して海南発電所は、工事仕様書のマニュアルをもとに「防災シートは敷いていたはず」などと、推測の説明しかできておらないのであります。住金の火災でも住金側は、「教育ができていなかった」と、その否を認めた発言をしているのであります。さらには、元請から下請へのトンネルの中で予算が削られ、安全対策の手抜きにつながることは必至であり、見逃せない重大な問題であると考えるのであります。
 このような事業所の安全管理の責任について県はどのような措置をとり、対処しているのか、説明を願いたいのであります。
 次の問題は、コンビナート災害の重大性の意識が欠如しているということであります。
 海南発電所の火災においては、この火災現場から七十メートルの近くに三万キロの重油タンクが七基並立しておりますが、冷却放水で延焼を免れたのであります。しかも海南発電所では、先ほど申し上げましたように、四十七年の六月、六十三年の五月に次いで、今度三度目の火災事故であります。また住金製鉄所火災に至っては、出火に気づいてから通報したのは実に五十三分後であります。まさに、何をか言わんやであります。さらに、電源遮断がもたついて放水を始めたのは二時間後、そのために消火活動は大きくおくれ、丸一日燃え続けたのであります。これに対して世間では、「五十三分もおくれたということは常識では考えられない。初めのうちは、何とか事故隠しをとたくらんでいたのではないか」とうわさされているのであります。しかも、北部臨海消防協議会はその前日の二十五日に総会を開き、施設の自主点検を申し合わせたその翌日の住金火災事故であります。
 このように、海南発電所における重油タンクの目と鼻の先の火災といい、住金火災の通報五十三分おくれといい、コンビナート災害がいかに重大な危険をはらんでいるかという認識の欠如も甚だしいと言わざるを得ないのであります。県は、これらの問題をいかにとらえ、どのように対処しておるのか、説明を願いたいのであります。
 次に、広報活動の問題であります。
 昨年の大岩石油タンク爆発火災についても、タンクが密集しているので次々と爆発するのではないかと、周辺の住民は非常に恐れたのであります。また、強烈な刺激臭に目やのどが侵され、有毒ではないかという市民からの問い合わせが相次ぎ、これら市民に対する広報のおくれが問題にされたのであります。
 海南火災についても、報道によりますと、「黒煙もうもう 爆発するのではないかという不安走る」、「数十メートル先に重油タンク 関係者一時騒然」、「爆発が起こるのではないかと、そればかり心配した。近くに住む者には簡単でいいから説明してほしい」等々、広報の不備に大きな不満が出ているのであります。
 また住金火災についても、出火から丸一日燃え続け、悪臭の伴う黒煙に悩まされ続けた住民は、大災害に至るのではないかという不安にかき立てられたのであります。
 聞くところによりますと、住金は周辺自治会長の一部に電話連絡し、翌日になって職員が陳謝して回ったということでありますが、全体には伝わっておりませんし、後で謝って回ったからよいというものでもありません。簡単な応急の情勢や、二次災害のおそれはないのか、刺激臭など人体に影響はないのかなど、手早く住民に知らすべきであると考えるのであります。
 私は、これら過去の災害火災における広報活動のあり方の反省に立って、特にコンビナート災害の重大性にかんがみ、地域放送との連携のもとに、和歌山放送、テレビ和歌山、NHK和歌山等のマスコミの活用を工夫すべきであると考えるのであります。
 県は、コンビナート災害時の広報活動についてどのような反省と対策を持っているのか、さらに地域放送、マスコミの活用についてどう考えておられるのか、質問をいたします。
 次に、国道百六十八号線の崩壊と復旧計画についてでございます。
 新宮市から本宮町に至る熊野川町椋呂の国道百六十八号線で、去る二月二十四日、土砂崩壊が発生。高さ四十メートル、道路四十メートルにわたって千五百立方メートルの土砂に埋まり、降り続く雨の中で復旧作業がはかどらず、全面通行どめが丸二日続き、現在に至るも片側通行になっているのであります。これがために、高校生の通学や周辺住民、特に本宮温泉郷の観光に大きな支障を来したのであります。
 引き続いて六月五日午前零時ごろ、今度は同じ熊野川町宮井の国道百六十八号線でがけ崩れが発生。国道の長さ八十メートルにわたり土砂に埋められ、ふさがれたのであります。現場は、国道の上方二百メートルの山林から土砂が岩石とともに急斜面の雑木や杉などをなぎ倒しながら轟音を立ててなだれ落ち、国道を埋めてしまったのであります。
 五日、六日と全面通行どめとなり、六日の夕刻から片側通行、夜間は全面通行禁止になっていたのでありますが、九日未明、再び土砂崩壊があり、全面ストップ。十日午後から片側通行になり、ようやくこの二十一日になって夜間の規制も解かれ、終日片側通行になっているのであります。
 崩壊現場は、高さ二百メートルからの山崩れの跡や、百五十トンから二百トンとも思われる岩石や土砂がむき出しになって、大雨が降ると再び崩落の危険が大きく残っているのであります。
 この相次ぐ全面通行どめで、問題は完全な迂回路がないということであります。唯一の迂回路は、宮井大橋を渡り、林道篠尾峯線を通って敷屋大橋に抜けるのでありますが、道幅が狭く、大型車は対向できず、一部は未舗装でガードレールもない道路で、しかも所要時間は国道の十倍近く、一時間半もかかるという悪道であります。
 今、私は「悪道であります」と言ったんですが、実はこの迂回路は、この議場の2番議席に座っておられる前熊野川町長さんが篠尾峯線に非常に骨を折ってつくっていただいたもので、あの峠へ行くと「和田正一」と書かれた記念碑が建っております。実際のところ、この迂回路がなかったら、それこそもうバンザイであります。全面ストップでありますが、そういう意味では和田さんに敬意を表するものでございます。
 さらに、この崩壊場所は、和田さんの豪邸の縁側からまともに見える。和田さんは毎日、好きな晩酌もやめて、奥さんと交代で二次災害が起こらないか一生懸命に番をしてくださっておるそうでありますので、番人手当を県にもお願いせんならんと思っておるわけでございます。
 さて、話はもとへ戻りまして、この国道百六十八号線の全面ストップにより奥地本宮町はいつも陸の孤島になり、産業や生活物資の輸送ルートも断たれ、住民生活に与える影響は大きく、特に観光本宮温泉郷は夏のシーズンの出ばなをたたかれて、その打撃は深刻であります。百人以上の大口団体や中小団体の取り消しが続き、個人客も予定を変更して皆無、泊まり客も、田辺方面や、また小型車を使って不便な迂回路を遠回りして瀞観光へ送るなど、その有形無形の損失被害は実に大きいのであります。
 また、この数回の全面通行どめにより、新宮市内に通学する新宮高校生で四十二名、新宮商業生で十二名、計五十四名の高校生の通学にも支障を来しているのであります。
 以上申し述べたとおり、雨に弱い百六十八号線、たび重なる崩壊災害、全面通行どめにより奥熊野地方は陸の孤島となり、地域に大きな被害を与えているのでありますが、とにかく住民は、雨が降っても安心して通れる道を厳しく求めているのであります。さらにまた、今、雨季を控えて、きょうのような強い雨が降れば、また通行どめが起きるのではという不安の声が出ておるのでございます。
 現在、崩壊した宮井地区の国道は、新宮土木及び林務課の昼夜を分かたぬ懸命の努力により、ようやく片側通行になったのでありますが、二次災害の大きな危険をはらんだ状態であり、その復旧が急がれているのであります。
 崩壊現場は山林であり、現に災害関連緊急治山事業としてその対策に取り組んでいると思いますが、経過及び復旧計画について農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 また、さきに崩落した椋呂地区は、長期にわたり片側通行の規制のままであります。そして、今回の事故現場である宮井地区は上方山林からの土石流によるもので、現在、夜間通行どめが解除されて片側通行の規制が行われているのでありますが、両地区の復旧計画について土木部長の説明をお願いいたします。
 さらに、奈良県境に至る百六十八号線は崩壊危険箇所が非常に多いのでありますが、この危険箇所の総点検はどうなっているのか、また危険箇所はどういう改修対策を立てておるのか、説明を願いたいと思います。
 次に、新不老橋の名称の募集についてであります。
 新不老橋の名称を募集するために、県は和歌山市の全小・中・高の学校にチラシを配布して、優秀賞には副賞十万円、佳作三点には副賞一万円を贈るという賞金つき応募を求めておりますが、県教委から市教委を通じて各学校に児童生徒への広報について協力を求めて配布し、子供たちの間で評判になっておるという新聞記事を読みまして、私は、ふっと次のような風刺漫画を思い浮かべたのであります。
 その漫画は、立派に完成された新不老橋。その橋の真ん中に取りつけられた屋台の上に、ねじり鉢巻きではっぴ姿の土木部長、教育長、県の偉いさんがずらり並んで、祝竣工のもちまきの最中であります。土木部長は「この橋に名前をつけてください」と大きなメガホン。片や教育長は、「一等十万円」と書いた大きなもちを高々と持ち上げている。その下で子供たちが「十万円、十万円」と大騒ぎをしておる。このありさまをかなたの不老橋の上からやおら眺めていた万葉姿の柿本人麻呂が、「何事ならん。これじゃタズも渡らぬ」と憮然たる表情。その後ろに、守る会の人々が不満の顔、顔、顔。「裁判中だぞ」と叫ぶ者あり──こういう漫画であります。
 どうですか、皆さん、この漫画の中からどういうことをお考えになられますか。私は、逆らう者への県のおごりの姿が見えてくるのであります。いやしくも新不老橋建設については、目下、裁判で係争中であります。そういう中で公教育まで使って、しかも賞金つきの名称募集は社会的に非常識であります。「思いやり県政」とは、少数意見も配慮するということではないのでしょうか。このことについていかがですか、土木部長にお伺いをいたします。
 次に、教育長にお尋ねをします。
 現在の教育は、社会の進歩のもとに、その環境といい、教育の内容といい、次第に完備された中で子供たちは幸せな教育を受けていることはまことに喜ばしいことであります。しかしながら、豊かな時代の今の教育には、何か「日本人の心」というようなものが忘れられ、心の荒廃の問題が批判されているのであります。学校では自己中心的な傾向が強く、いじめや校内暴力が後を絶たない、家庭では家のお手伝いをしてもお金である。おばあちゃんでも金がなければ孫は懐いてくれないという、きょうこのごろであります。
 このように、経済大国と言われる日本において、金万能の思想が大人から子供に広がっていることが今の教育の大きな問題であり、心の教育が問い直されていると思うのであります。そういう時世の中で、一等賞十万円という大金を出して児童生徒の射幸心をあふるというようなことを教育委員会自体が介在して行うということに、私はどうしても納得いかないのであります。教育長にその御見解を承りたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの森利一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森利一議員にお答え申し上げます。
 相次ぐコンビナート火災の発生とその対策についての知事の考え方でございます。
 お話ございましたように、特別防災区域内での関電、住金事業所における一連の事故で地域住民の皆さんに多大の迷惑をかけ、不安を与えたということ、私もまことに遺憾に思っております。
 森議員おっしゃいますように、このような事故の再発防止について、関係事業所に対し、なお一層厳しい態度で安全管理の徹底など、今後とも十分配慮してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) コンビナート地域における安全等の防災管理の問題でございます。
 今回の両事故は、いずれも休止中の施設の撤去作業を事業者に請け負わせ、その作業中と作業後において発生したものでございます。
 企業の作業工程、安全管理については各事業所において規定されているところでございますが、事故のあった両企業に対し、現在の作業管理規定等を見直すとともに、下請業者等に対する管理監督及び教育を徹底するよう指示しているところでございます。また、関連事業所等を含めた従業員に対し、特別研修を実施する計画を進めているところでございます。
 次に、安全意識という問題についてでございます。
 ただいま御指摘のとおり、コンビナート地域における災害は周辺に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、特定事業者を初め防災関係機関はその責務を十分認識し、防災体制の整備と災害の予防、さらに応急対策等の実施に万全を期することを基本方針として和歌山県石油コンビナート等防災計画を作成し、防災会議及び訓練等において研さんに努めているところでございます。
 しかしながら、今回の通報のおくれ等につきましては、下請業者を含めた関連会社や従業員の火災の重大性の認識に十分でなかった点があり、県としても、事故直後、事情の聴取をするとともに、口頭及び文書で指示をしたところでございます。このことを踏まえ、今後かかることのないよう十分指導してまいる所存でございます。
 また、周辺住民に対する広報活動でございます。
 御指摘のとおり、コンビナート災害は当該事業所のみならず周辺地域住民に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、関係市町村及び関係特定事業者は相互に協力して災害時における住民の不安解消等を図るため、災害の状況や応急措置の状況について住民に周知するよう防災計画書において定められているところでございますが、今回の広報活動については、ただいま御指摘のとおり遺憾な点もあったわけでございます。
 今後は過去の反省に立って、災害の状況に応じ、御提案のありました、和歌山放送、テレビ和歌山、NHKなどの地域放送等との連携のもとに周辺住民への周知方法を検討し、効果的な広報活動に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 六月五日、熊野川町宮井地区で発生した林地崩壊につきましては、災害発生後、直ちに現地調査を行い、土木部と協議を重ねた結果、国道の安全通行に係る応急工事については土木部で対応、林地部分については農林水産部で行うべく取り決めたところでございます。
 議員御指摘の土石流など二次災害への対応につきましては、応急工事として災害関連緊急治山事業により土砂どめの擁壁工等が実施できるよう、ただいま国と協議を進めており、近く着工ができるものと考えてございます。
 全体復旧につきましては、さらに多額の経費を要しますが、できるだけ早期に復旧してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、国道百六十八号の椋呂、宮井地区の災害についてでございます。
 議員御指摘のように国道百六十八号は幹線道路でありますので、早期に復旧すべく、現在、鋭意調査計画中でございます。
 椋呂地区内の崩壊につきましては、現在、調査ボーリングを行い、対策工法を決定すべく解析中でございます。対策工法が決まり次第、速やかに執行してまいります。
 また、宮井地区の地すべりにつきましては、道路上約二百メーターの山林から土砂が泥流となり道路に流出したもので、現在、仮設防護さくを設置し、応急対策をいたしております。
 ただいま農林水産部長が答弁いたしましたが、道路管理者としても早期に通行規制を解除すべく、緊急治山事業の計画と整合性を図りながら、建設省へ近々中に応急対策工事として申請するよう作業を進めております。
 また、国道百六十八号の危険箇所につきましては、従来から道路の安全性を高めるため、防災対策として落石防護ネット、ロックシェッド等で整備を進めているところでございます。さらに安全の徹底を図るため、平成二年度中には県下の危険箇所の総点検を行う予定にしております。
 今後とも、異常気象時にも強い道づくりに取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新不老橋──仮称でございますが──につきましては、県事業により昭和六十三年度に事業着手して建設を進めてきたものであります。昨年十二月に本工事について提訴を受けたところでありますが、県としては本橋梁の必要性にかんがみその建設を推進しており、来年春には完成するものであります。
 名称募集につきましては、和歌浦という万葉ゆかりの地でもあり、多くの方々にこの地にふさわしい名称を考えていただくため、広く一般から名称を公募しているものであります。公募に当たりましては、広報紙等で広報を行うとともに、チラシを県事務所、和歌山市、協賛する団体等に配布いたしました。この広報の一環として、県教育委員会に児童生徒への広報を依頼したものであります。これは、児童生徒が郷土を考える一助にもなると考え、行ったものでございます。もし児童生徒が受賞する場合は、保護者同伴により賞状、副賞の伝達を行うよう考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 新不老橋の名称に係る御質問に対してお答えをいたします。
 郷土に関心を持ち、そしてまた郷土を愛する人間を育成することは大切なことであるという観点から、一般県民を対象としたパンフレットを、特に和歌山市内の小学校、中学校、高等学校に対して配布をいたしたものでございます。
 議員御指摘の副賞についてでございますが、児童生徒が受賞した場合には、先ほど土木部長からも回答がございましたように、私どもの方は所管をする土木部に対し、授与式に保護者同伴を条件とするなど、賞金の取り扱いに関することについて配慮を願っておるところでございます。また当該校に対しましては、家庭と十分な連携を図り、教育的な配慮をするよう指導してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 コンビナート災害の問題で答弁をいただきました。とにかく、災害が起きる、当局が厳重に警告をする、また起きる、文書警告をするということを繰り返しており、これをどのようにして断ち切っていくかということでございます。
 先ほどからいろいろ答弁をいただいておるわけでございますけれども、大枠ではわかるんですが、どうも抽象的で具体性がなく、防災対策の計画書の勉強をしているような答弁になっておるわけです。その中で、今度は特別研修をやるんだということを答弁しておりますけれども、この特別研修はどういう形で、どういうものを対象にやるのか、もっと具体的に説明を願いたいと思います。
 それから、住金の通報五十三分おくれでございますけれども、これについてはどういうふうな指導をしたのか。これも具体的に答弁されておらないので、具体的な答弁をお願いしたい。そして、これには罰を科したのか、罰則はないのかどうかといったことについても説明を願いたいと思います。
 次に、広報活動の問題であります。先ほど申し上げましたとおり、広報活動のおくれ、不徹底が問題になっておるのでありますが、今までの広報のようにサイレンを鳴らすとか「ただいま火災が起こりました」だけでは時代おくれであり、住民の不安を取り除くために必要な状況を広報するという時代になっておると私は思うのであります。
 答弁の中に、地域のマスコミ、NHKとかテレビ和歌山、和歌山放送などを活用していきたいという発言がありましたけれども、これは時代の要請であり県民の要請でありますから、ぜひ速やかに取り組んでいただきたいことを要望いたしておきます。
 次に百六十八号線の問題でございますけれども、現地の県職員の新宮土木や林務課の人が一生懸命やってくれておることに感謝いたします。また、早急な対策を立ててくれておることをありがたく思います。ぜひ早く復旧していただきたい。
 それから、この百六十八号の危険箇所というのは相当あるんでございますから、これも十分な対策を早く立てていただきたいと思います。
 次に、不老橋の問題で質問をいたしました。ところが、土木部長も教育長も、私の質問に全然答えておらないのでございます。土木部長は、とにかくこういう状況になったので、こういう広報をいたしましたという報告でしたが、裁判で係争中に何でこういうおごりの姿のことをやるんだというのが私の質問の要旨であります。非常識ではないかということで、かくやりましたという報告を聞いておるんじゃない。まあ意図的にそういう答弁をしておるのかもしれませんけれども、非常に食い違っておるわけでございます。
 教育長も同じでございまして、私は先ほどから、こういう時世の中で教育委員会が介在して十万円も賞金を出すような募集はおかしいんじゃないかと言うておるわけです。それについての答弁が一言もありません。言えないんですか、どうですか。
 私が教育長であったらどういう表彰をするかというと、あなたはこういう立派な優秀作品──○○橋というのをつけてくれましたので、これを表彰しますと。しかも、これは後世に残るものであり、その栄誉をたたえ、心の表彰をいたしますと。今の時世に。そして副賞には図書券でもつけて、しっかり勉強しなさいよというふうにやりたいと思うんでありますけれども。
 教育長、もう再質問しても同じことの答弁が返ってくるんだと思います。(「答えさしてやれ」と呼ぶ者あり)──皆さんの世論が強いんで。それじゃ、質問の要旨というのをもう一度言います。今の時世に教育委員会が介在して一等十万円というような賞金つきで名称を募集するということは教育的ではないと思うんですが、どうですかということであります。教育長にもう一度答えてもらいます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 御指摘いただきました企業の特別研修でございますが、下請会社、事業所の職員との間の連携に十分でなかった点が見受けられますので、これらの連絡体制についての研修、さらに事故を想定した実地の訓練などを指導してまいりたいと考えております。
 また、通報おくれの問題につきましても、同じく現場職員と事業所職員との認識に不十分な点があったように思われます。私どもとしては文書による指示をいたしたところであり、企業における適切な対応を期待しているところでございます。
 工法につきましても、計画には方針が定められておりますが、もっと詳細な、工法の具体的なマニュアルの作成等について検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) お答えをいたします。
 まず、先生の御質問の中心になりますのは、現在の社会情勢の中で児童生徒に対して十万円というのは考えられないというお話であり、特にその中で、射幸心をあおる危険があるんではないかというお話もございました。
 その件につきましては、射幸心というのは、一般論から申しますと、自分が努力をしないで偶然の利益を期待するというものであろうかと私は思います。今回の場合は、応募すると仮定しますと、非常にいろんな努力をしてまいらなければならない。こういうことでございます。
 それはともかくといたしまして、この十万円に対して私どもとしては、今回の募集の状況を検討しながら今後さらに慎重に検討をしていかなければならないと思います。しかし全国的に見ても、例えば統計グラフの全国募集も同じように通貨を賞金にしており、平成二年から平成三年にはその賞金が非常にアップをされている現状でもございますので、そういった観点の中で私どもも十分配慮しながら、今後の教育のために努力をしていきたいと考えます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 総務部長の答弁を了といたします。
 ただいまの教育長の答弁で、十万円については私たちも今後配慮したいということは、あなたの心の中にも配慮しなければならんというものがあるんだと思います。
 私は先ほど、森が教育長だったらということで案を出しましたけれども、これについて教育委員長はどういうお考えを持ちますか。十万円を出してやる今の案と私が言う案と、どちらの方がいいと思いますか。
○議長(門 三佐博君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育委員会委員長上野 寛君。
 〔上野 寛君、登壇〕
○教育委員会委員長(上野 寛君) 豊かな心を育てるという見地から、今後は十分に慎重に対応していかなければならないと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、森利一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時九分休憩
 ────────────────────
 午後一時六分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、質問をしてまいります。
 まず初めに、大店法問題についてであります。
 けさほど石田議員からも御質問がございましたが、重ねて質問を申し上げます。
 日米構造協議に見られますように、日本とアメリカの政府、大企業は、大資本大型店が自由に進出できるよう大店法を緩和し、さらには廃止させようとしています。アメリカはその理由として、日本には中小商店が多数あるため流通機構が多段階、複雑で非効率的になっていて、消費者の利益を損なっているからとしています。しかし、中小小売店が多数あることは本当に消費者の利益を損なっているのでしょうか。非効率的なのでしょうか。
 私たち日本人の消費生活は生鮮食料品中心ですから、ほとんどの家庭は毎日買物をしています。諸外国に比べて数が多いと言われる日本の中小小売店は、消費者の近くに多数あることによって、このような消費生活を支える大切な役割を果たしてきました。特に最近では共働き世帯やお年寄りの家庭がふえてまいりましたから、車で遠くまで行かなくても自宅の近くに安心して日々の買物ができる店があることは消費者の切実な要望でもありましょう。ですから、中小小売店、商店街、市場の役割はますます大きくなっていると言えます。
 戦後、一貫してふえてきた中小小売店が八〇年代に入って売り上げ不振などから転廃業に追い込まれ、この六年間、店舗数で約三十四万店も減少しているのであります。この大きな原因に、大型店の出店攻勢の影響があることは明らかです。このため、中小小売店、市場、商店街の中にも、大型店が出店してお客を集めてくれれば自分たちの商店街も客がふえ、売り上げも伸びるのではないかと期待して、大型店の出店を待望する声もあることは事実です。
 今、年間三百件を超える大型店の進出があると聞いております。中小企業庁は、五年に一度、商店街の実態調査を行っており、八五年の調査によりますと、商店街内に大型店が進出したことによって近隣型商店街では小売店の四五%が「悪い影響があった」としています。「よい影響があった」とする小売店は、わずか一〇・七%。また、大型店の地域の商業発展に対する影響について聞いてみますと、近隣型商店街では五四・二%が「マイナスの要因になっている」と思っており、「プラスの要因になっている」と思っている小売店は一〇・三%となっています。
 また、同じ調査で、「繁栄している」と答えた商店街の要因は、一つには商圏地域の人口・世帯の増加、二つには販売促進活動の活発化、三つにはアーケード・街路灯などの設置を挙げています。逆に「停滞及び衰退している」と答えた商店街の原因の一位は「大規模小売店に顧客をとられた」ということで、しかもこれは六五・四%にも達しているのです。このことは、全国に一万六千ある商店街の八八・九%が「停滞及び衰退している」と答えていることからも、まさに大型店の進出によって近隣の小売店や商店街の売り上げが伸び、そして繁栄する保証は何ら期待できないことを裏づけていると思うのです。この時期に大店法の規制緩和、廃止が行われるならば商店街や小売店はますます衰退し、さらにこれが加速化して深刻な状況をつくり出すことは容易に判断できます。
 既に御承知のように、大店法の第一条は「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とする」と明記されているのです。ところが、五月二十四日付、二産局第百三十二号で、通商産業大臣官房商務流通審議官通達が和歌山県知事あてに「大規模小売店の届出に係る今後の運用について」ということで出されておると聞いております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 この通達の内容の柱とこれに対する知事の所見をまずお聞かせください。
 次に、本県における大規模小売店舗数は、本年四月三十日現在、百三十九店で、その四六%に当たる六十四店が和歌山市に集中し、さらに今後二店の新規出店と一店の増床が計画されていると聞いています。一方、中小小売店数は一万八千三百十九店、うち八六・四%の一万五千八百二十一店は従業者数四人以下の零細小売商店であります。これらの中小小売店が歴史的に和歌山の地域経済を支える一翼を担ってきたとも言えるでしょう。
 中小小売店は地域の雇用の場として重要な役割を果たし、高齢化社会に向かうことが確実視される中で、働く場としての中小小売店の役割も改めて見直されます。中小商店の背後には中小卸業者があり、そこと結びついた中小製造業者があります。地域経済は、このようにして、これらの人たちが互いに結びつき支え合ってつり合いのとれた発展をしているのではないかと思うのです。
 中小商店が衰退することはこれらの業者全体に大きな打撃を与え、その結果、地域の中小業に雇用、就業の場を求めてきた人々は生活が維持できなくなり、地域経済の衰退は免れません。そして、中小小売業者は地域の住民でもあり、地域に根差して営業してまいったことから、地域のお祭りや盆踊りなどの文化を支える上でも大きな力を発揮してきたのです。
 中小商店が衰退することは、伝統ある地域の文化さえも破壊することになります。こうした大資本大型店の進出はこのような結果を生み出すことが当然予測されますし、だからこそイギリスやフランス、西ドイツ、イタリアなどでは大型店の新増設には許可制をとって厳しい規制を行い、中小商店を保護し、生活、都市環境を守っていると言われているのです。
 昭和六十三年の県の「商業統計調査結果報告書」によりますと、昭和六十年から六十三年の三年間に小売業の商店数が九百五十六店、〇・五%減少、負債額一千万円以上の企業倒産件数は、製造、建設、卸小売、運輸、通信業、サービス業、その他四百十二件でありますが、今なお転廃業に追い込まれようとしている商店も少なくない実態が続いています。
 私は、つい先日、和歌山商工会議所の方にお会いをしまして、大店法の今後の運用についての通産省の通達に係る意見や見解を聞かせていただきました。
 昨年十二月十二日、商工会議所は、今回の通達に先立ち、和歌山商工会議所連合会として日本商工会議所会頭に、小売商業振興と大店法運用について、小売商店の経営が大変困難になっている状況を訴えて要望書を提出し、その中で政府に要請をしてほしい趣旨を申し述べていらっしゃいます。今回の通達については、「説明を受けた段階であり、今後どうなるのか。一番心配するのは、出店調整期間が短縮されたが、果たして一年半以内で調整がうまくつくかどうかである」と述べておられます。そして法律については、「何らかの形であった方がよいと思う」とも話しておられるのです。
 知事にお伺いいたします。
 こうした和歌山商工会議所の要望書について、知事としても積極的に受けとめられ、政府に対して強く要望されたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
 さて、大型店の集中する人口約四十万都市和歌山市の実情について、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 大型スーパーの進出度合いを示す方法は二つあると言われています。一つは、大型店売り場面積が小売業全体の売り場面積に占める比率、すなわち占有率であります。いま一つは、売り場面積一平方メートルの人口密度です。この場合は、一平方メートル当たりの人口が少なければ少ないほどスーパーの過密ぶりが明らかになるわけです。
 そこで、和歌山市の大型小売店舗の現状を見てみますと、一九八〇年から一九八九年の間で大型小売店は十店ほどふえ、その売り場面積の占有率は九・二%増、一平方メートル当たりの人口は三・〇一人から二・五人にと大幅に減少。言いかえますと、人口一人当たりに対する大型店の売り場面積の割合は、ここ十年だけとってみても二〇・四%も伸びているのであります。
 大規模小売店の一平方メートル当たりの人口指標を和歌山市が調査委託した日本マーケティングセンターの規定によりますと、周辺の中小小売店や地域経済社会との適正な調和のとれた、すなわち共存共栄、いわば「適正競合地帯」としての大型店の進出のあり方は、売り場面積一平方メートル当たり十人から十二人未満としております。また、七人から十人未満が「競合地帯」、五人以上七人未満が「競合激化地帯」、三人以上五人未満が「超競合地帯」、三人未満が「ムチャクチャ地帯」と規定しています。和歌山市の二・五人は、まさに「ムチャクチャ地帯」であると言えます。
 さらに、現在、河西地区においてはニチイやオークワ、イズミヤなど大型店の増床及び新設の計画が進められており、その売り場面積は約二十二万平方メートルにも及びます。これらを加えると大型小売店の市場占有率は約六七%、一平方メートル当たりの人口は一・八人という、まさに異常な状況になるのです。この状況は、今ですら、ぶらくり丁や黒門、明光、七曲その他の市場は衰退し、人通りも少なくなり、中小小売店が少なくなっていますし、中小小売店あるいは和歌山市の町づくりにも大変な事態を招くことは避けられないと思うのです。
 新増設されようとしている大型小売店舗は、今までの単なるスーパーではなく、巨大な土地にショッピングセンターを初め、その周辺に映画館、図書館、レストラン、サウナ、プールや文化・スポーツ施設を備え、その上、銀行、証券会社、不動産会社まで収容するという新しい形の、しかも企業丸抱えの町がつくられようとする大型店の出店です。
 本県、とりわけ和歌山市の現状をどのように把握しておられるのか、また今後どのような対応が必要とお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 続いて、五月三十一日、今回の通産省通達の内容で「時事通信調べ」が新聞に載りました。この記事をちょっと読んでみますと、「大規模小売店舗法の運用緩和を求める通産省の通達が三十日から施行されました。時事通信社が三十日まとめた調査結果(速報)によると、一部の都市が独自規制の見直しを表明しているものの、独自規制を実施している都道府県・政令指定市の多くが、『通達が指摘する゛行き過ぎた規制゛に当たらない』などとして、当面、規制内容の見直しをおこなわない方針であることが分かりました。(中略)まだ対応方針を決めていない都道府県・政令指定市でも、岩手、大分、和歌山の各県(中略)は独自規制が通達内容に抵触しないと判断しています」、こう書いてあります。また和歌山市について、「同様の規制を持つ和歌山市も通達施行を契機にこれを見直します」と報道されていますが、和歌山県の方針はこの新聞のとおりなのかどうか。そして、和歌山市について「見直す」というふうに記事が書かれておりますが、もしこの和歌山市の見直す内容についてお知りになっていらっしゃるのであればお教えいただきたいと思います。
 続いて、地方労働委員会の任命問題についてお尋ねをいたします。
 私は、二月定例議会でこの件について質問をしてまいったところですが、六月十八日の任命状況を見てみますと、労働者側委員五人のすべてを連合組合のみが占めるという結果になったことは極めて遺憾に思うのです。和歌山県では、今日、県地評、連合という二つのローカルセンターが並び立っていることはだれもが認めているところでございます。県地評、同盟、労懇という三つの労働団体に行政委員が配分されてきた歴史的経過から言って、当然、二つのローカルセンターに配分されるべきであるということは二月議会でも指摘してきたところでございます。
 ところで、地方労働委員会というのは、労働者を守る立場に立って、労働組合が団体交渉を拒否されたり不当労働行為を受けたりしたとき救済する機関であると思うのです。
 私は、ここに昭和四十六年以降に提訴された事件の資料を持っております。約二十年間に五十数件の問題が扱われておりますが、その大部分が県地評の関係の組合であるように見受けられます。
 商工労働部長にお尋ねしますが、地方労働委員会がこの二十年間に扱った事件のうち、県地評、同盟、労懇それぞれが関係するものは幾つあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 さて、問題は、なぜ県地評関係の組合から地労委へ提訴が行われたか、一方、同盟、労懇からは少ないのかという初歩的な問題であります。
 今、地労委に提訴されている事件に、竜神タクシー問題がございます。竜神タクシーには、以前から労働組合がありました。この労働組合は連合加盟組合であります。ところが、同じ職場にC勤務者という身分不安定な労働者がおります。このC勤務者というのは、売り上げの四〇%だけが手取りとなるオール歩合制の労働者なのです。この労働者が県地評加盟組合である運輸一般に相談して、C勤務者の組合をつくりました。運輸一般の組合員は連合組合の役員に会い、「C勤務者の要求を取り上げてくれるのなら、あなた方の組合に入るようみんなを説得してもよい」と申し入れましたが、連合組合の役員は、「そういう要求をうちの組合で取り上げることはできない」と断ったのです。こうしてつくられた新しい組合に対して会社は、「あなた方はそういう条件で採用されているのだから契約書のとおりだ」とのみ繰り返し、組合掲示板設置さえも拒否してきました。さらに、一人の組合員を見せしめに契約更新拒否という首切りをしたというのが今から和歌山地労委で審査される問題であります。なぜ、連合組合から地労委への提訴がないのか。この事例から見てもおわかりいただけると思うのです。
 本来、労働組合とは、C勤務者のような身分不安定の労働者や最底辺にいる労働者の生活と権利を共同で守ることなのではないでしょうか。労働者を退職に追い込んだり泣き寝入りさせるようなことは、決してあってはならないことだと思うのです。逆に、この立場を忘れて労使協調の立場に立つならば、地方労働委員会に持ち込まれるような問題は起こらないのです。
 そこで、地方労働委員会の果たすべき役割について、商工労働部長の明確な答弁をお願いいたします。
 第一回の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 第一点、大店法運用通達の内容の柱と知事の所見、第二点、和歌山商工会議所の要望書、政府への要望についての見解でございます。
 けさほど石田議員にも大店法の運用緩和について御説明申し上げたのでございますけれども、この緩和については、第一点は消費者利益の保護、第二点は中小小売商業者の地域経済への貢献、第三点として国際協調、この三つが総合的に勘案されて実施されたものであると存じております。
 また、中小企業者に対する厳しい状況やそれらの対応についても石田議員にお答え申し上ましたけれども、今後、大型店や地元商業者の動向を見ながら知事として適宜対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 なお、大店法の運用緩和に伴う中小商業の活性化につきまして、さきの和歌山商工会議所連合会からの要望の趣旨を踏まえ、政府に対して今後要望してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(宗 正彦君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 和歌山市における大規模小売店は、現在、六十六店舗、売り場面積十六万六千四百八十八平方メートルでございます。二年前の六十三年十月の和歌山商工会議所の調査資料によると全売り場面積に占める割合は三二・五%で、全国の県庁所在地の類似都市の平均三四・七%を若干下回ってございます。また、昭和六十三年度商業統計資料によると小売店数は五千四百五十一店で、減少の傾向にございます。
 したがいまして、今後、中小小売商業の対応策といたしましては、商店街の近代化、情報化などを促進し、魅力ある商店街づくり等、その活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に県内市町村の独自規制につきましては、通産省の通達があって後、調査指導したところ、いずれもその通達内容に抵触いたしてございません。
 なお、和歌山市の小売商業調整に関する要綱の見直しの動きにつきましては、現在のところございません。
 次に、地方労働委員会委員の任命問題でございます。
 昭和四十六年から現在まで約二十年間、地方労働委員会での新規取扱件数は審査事件五十七件、調整事件二百八件でございますが、すべて労働組合法に定められた自主的な労働団体、また労働者個人の申し立て等によるものであり、労働団体別の数の把握はいたしてございません。
 また、地方労働委員会の役割でございますが、労使間の紛争が起きた場合、労使双方が対等の立場で自主的に解決するのが望ましいわけですが、円満に解決できない場合、公平な第三者が仲立ちをし、紛争解決のための援助や救済をする必要性から労働委員会が設置されているわけでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、知事と商工労働部長に御答弁をいただきました。大体予想する答弁でございましたので、よしとはできません。
 大店法の問題です。
 今知事がおっしゃったように、三つの観点で法律がつくられているという、改正の規制の部分についてはそのとおりだと思うわけですけれども、法そのものは、「国際的な問題」ということはどこにも書いてないんです。「第一条 この法律は、消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もつて国民経済の健全な進展に資することを目的とする」、こうです。その後、日米構造協議の中でそういうふうに規制を変えて、緩和せざるを得ないというような状況に日本政府が追い詰められてきているということですから。
 五十七年、五十九年と、規制についての改正がずっと行われてきております。この大店法は、御存じのように昭和四十八年にできたわけです。それ以前は東京に白木屋さんというお店があって、そのときには大きいお店であるということで非常に珍しがられたということです。ところが、それから昭和の時代に入り、地方都市にも百貨店があちこちとできてきた。そして、その百貨店というのは大変大きな規模のもので、今までその町並み、その商店街で小売業を一生懸命営んできた人の商いに大きな影響を及ぼし、それが国民世論の中、あるいは中小企業業者の中で大きな問題になり、町並み、町づくりからしても問題があるということで百貨店法が昭和六年につくられたわけです。
 和歌山での経過を見てみますと、丸正百貨店は呉服屋さんとして明治二十四年十月に創業開始されていますが、百貨店法ができてからしばらくして昭和二十五年十月、会社を設立したということです。しかし、百貨店法でもまだ地域の人たちの状況は守られなかった。そして、大店法が昭和四十八年にできてから、続々とスーパーや大型のスーパーを中心としたものがあらわれた。そういった中で、またまた小売店、中小商店街、市場などが非常な圧迫を受けるような状況になってきて、それについて五十七年に規制が行われるようになったわけです。これは、大店舗いわゆる五百平米以上のものと五百平米以下のものがありますが、五百平米以下のものに対する規制であったと思います。しかし、大型店が続々と出てくる中で町が衰退の一途をたどっていき、地方自治体としても非常に問題があるということで商店街の人たち、また市民や県民の世論が盛り上がり、和歌山県もつくられてきたというふうに私は思っております。
 法律とこの規制の問題というのは、非常に矛盾していると思うんです。大店法は大型店と中小小売業者や市場などが共存共栄をしていくためにつくられていると思うんです。しかし規制をするということ自体は、地域の商店街を潤し、ともに発展をしていく、そんな町づくりの一環でこの法律がつくられているのにもかかわらず、それに対して地方行政は口出しをするなといったあり方ですから、発展を阻害するという意味からこの規制というものは当然あるべきだと思うわけです。
 この矛盾点について、商工労働部長、どういうふうにお考えなのか、もう一回お聞きをしたいと思います。法律を守っていく上から、この規制が必要でないのか、廃止すべきなのか、この点についてもう一回お答えください。
 それから、先ほど、大規模小売店一平米当たりの人口指標について和歌山市の場合を例えて申し上げました。現在、二店の新規大型店とイズミヤの増床計画があるわけですけれども、この規制緩和がとられていくならば、そういった大型店が和歌山県全体、あるいは和歌山市にはもっともっとふえていくであろうことが予想されます。野放しの状態が続けられていく。この野放しの状態を町づくりのためにどうやって規制していくのかということがかぎだと思うんです。
 先ほど「ムチャクチャ地帯」というふうに申し上げました。今度の大型店というのは、今あるようなスーパーの形態ではないわけです。
 私は、次郎丸にできる「(仮称)MYCAL和歌山 出店についての説明書」というのをいただきました。法律では届出制であるがために地域住民の皆さんの合意やいろんな意見については無視されていくということが、今度の規制緩和の問題、あるいは大店法の廃止の方向と一致すると思うわけです。
 この説明書を見てみますと、莫大な土地──私はその土地も見てまいりました。町並みそのものが非常に大きく変わっていくということがはっきりしてくると思うんです。そして、一つの企業がその広大な土地を占有して、地域の人たちとの調和といったものが考えられないほどの巨大な町がつくられていくということを目の当たりに見るわけですけれども、こういった点、これからの町づくりのためにどういうふうにお考えになるのか、もう一回お聞きをしたいと思います。
 横浜にも、ニチイの、同じMYCAL本牧という町がつくられています。滋賀県においても、今、巨大な企業である西武が「西武」の町をつくっています。
 私は、つい先日、議員団で調査に行ったときに、「中華料理を食べたいな」とみんなが言うから、「じゃ、ここらで探しましょう」ということで、船着き場の近くで「どこへ行ったら食べられますか」と聞いたんです。そこには、ほとんど商店街というのはないわけです。町の人たちや船員さんがおっしゃるのには、「西武に行ったら何でもあるよ」ということです。そのときに私もよくわからなくて、「ああ、西武デパートに行ったらあるんだな」というふうに理解をしたんですけれども、ところが話を聞いてみると、一つの町が形成されているという。だから、周りの商店街が寂れていく姿が目に見えてきているんだということをお聞きしてきました。
 こういった点で、今の問題について「深刻な問題を抱えている」というふうに知事も答弁をされましたので、ぜひもう一回お聞きをしたいと思います。商工労働部長の答弁をお願いします。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の制定の趣旨につきましては、議員御指摘のとおりでございます。
 先ほど知事も答弁申し上げましたように、消費者利益の保護等、三点を総合的に勘案して運用緩和という動きとなってきたわけでございますけれども、私ども地方行政に携わる者としては、特に一番の消費者利益の保護という面と二番の中小小売商業の地域経済の貢献という点を大きく考えていかなければならないのではなかろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、先ほど議員も「共存共栄」という言葉を使われましたけれども、これからは消費者のニーズにも沿いながら中小小売商業の活性化を図っていくということが必要でなかろうかと思うわけでございます。そのためには、先ほども答弁いたしましたように、小売商業においては、例えば買い物するだけの場でなしに、遊びの場とか暮らしの場、そしてまた文化的な要素のある商店街づくりを進め、活性化を図っていかなければならないと考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 くどいですけど、商工労働部長、あなたがおっしゃった二つの点を追求していく上で大店法の規制緩和は必要なのか、あるいは大店法の廃止は必要なのかどうか、そこをはっきり答えてください。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 大店法の規制緩和か廃止かという点でございますけれども、私は大規模店と小規模小売店が共存共栄をしていくべきであると考えてございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 我が国の農業が農産物の自由化や米の自由化に激しく揺れ動き、農業者は将来に大きな不安を抱いてございますが、こんな時期に、県農林水産部長安田重行さんの「これからの農業政策」というタイトルで書かれた和歌山県農業の指針ともいうべき一文を拝読いたしました。
 その内容を要約いたしますと、平成十二年を目標に第四次長期総合計画を策定し、二十一世紀に向けた基本方向づけをしております。立地条件や産地の実態、地理的条件と物流の展開、国際化の進展と環境変化等を勘案した知識集約型農業を目指してございます。県下を紀の川流域、有田川流域、日高地域、紀南地域の四地域に区分し、適地適作を基準にきめ細かい耕地別振興計画を策定しており、和歌山県の主産物である果樹、野菜、花卉等に重点を置いた、まことに見事な政策であります。これが各地域で定着するならば、和歌山県の農業が安定すると思うような名文章でございました。しかし、和歌山県のミカン農業は農産物の自由化によって強烈なパンチを受け、国の強硬とも言える行政指導で、減反、改植、転作と、再編に取り組んでいるところでございます。
 質問の本論に入ります。
 和歌山県農業の特産物はミカンと梅であります。産地は有田から日高、紀南地域であり、梅は日高南部から田辺周辺にかけて主産地で、全体の七割近くを生産しております。田辺市の秋津地区は、青切りミカン──これは九月ごろ出てまいります──として有名な早出しの特産地であります。この地域を中心に現在進められている国営南紀用水農業水利事業について大変気になることが幾つかございます。
 この事業計画は、約三十年余り前にさかのぼりますが、日高川総合開発構想の一環として日高川の水を龍神村福井地内でカットし、南部川村清川、通称「切目辻」に分水して発電所と調整ダムを建設し、下流の南部川村、南部町の干害対策用水事業として検討したのが始まりと伺ってございます。
 ここに、当時の和歌山県長期総合計画の試案というものがありますが、農業振興計画の四項目に「その他」として、「南部川水系においては、将来、樹園地のかんがい用水として上流部にダム建設を計画し、農業用水の確保を図るとともに洪水調節を行うものとする」となってございます。
 しかし、この分水計画もさたやみとなり、南部川水系に貯水ダム建設のみが進んでまいりまして、昭和三十四年、当時の日高農地事務所でダム建設場所等の調査検討をした結果、南部川村清川穂手見という地区が適地と決定し、県営事業として、当時の金額で約二十億円の費用を計上いたしております。その途中で田辺市周辺でも同じような用水計画が起こり、日高川分水による干害対策事業が計画進行中の南部川水系ダム事業を巻き込み、大用水事業である国営南紀用水農業水利事業になったと聞いてございます。
 昭和四十二年の四月、国営事業として調査が開始され、六年の歳月をかけた中で全体実施計画が作成されております。この計画は、田辺市と白浜町、上富田町、大塔村、南部町、南部川村の一市五町村を区域とする紀南地方における初めての国営事業であり、受益面積は、水田千五百ヘクタール、果樹園──ミカン畑と梅畑でございます──三千四百ヘクタール、合計四千九百ヘクタールという大計画でありました。
 取水源は日置川町の小房地区に取水堰を設け、富田川を水路橋で渡し、上富田町、白浜町、大塔村の各町村を通って田辺市まで導水をし、田辺市近郊のかんがい用水の補給と畑地かんがい用水として一部は上水道と工業用水とする、一方、南部川水系の南部川村穂手見地区に堤高三十五メーター、貯水量三百万立方メートルのダムを構築し、南部川流域の干害を防止して梅畑のかんがいを行うということになってございます。
 昭和五十一年十一月には水田面積が縮小されましたが、事業が確定しております。その当時の事業内容は、受益面積四千百七十三ヘクタール、内訳は、樹園地三千四百六十二ヘクタール、水田七百十一ヘクタール、受益市町村は田辺市、上富田町、南部川村、南部町の四町と少なくなってございます。取水量は、日置川で毎秒二・六立方メートル、南部川で〇・九四立方メートル、合計三・五四立方メートルであります。事業費は大きく伸びて百七億円となり、南部川水系の当初の事業計画の約五倍強となっております。
 八年後の昭和五十九年二月には大幅な事業計画の変更がなされ、受益面積は二千九百九十ヘクタール、取水量二・四立方メートルと大きく減り、事業費が逆に約倍の二百十一億円となって、ここに大きな逆差が生まれています。
 昭和六十二年三月には水利権協議が成立して、知事同意の上、ダム本体に着工し、本事業計画から実に二十年にして具体的に動き出したのであります。そのダムも、平成元年十二月には完成しております。
 この二十年の間には社会変動が激しく、農業形態も大きく変わり、見直しが必要と思うのでありますが、この件に関して、本事業の主要村である南部川村の今年三月村議会で、村長から南紀用水農業水利事業の全体計画縮小変更についての打診がされたということを表明されてございます。
 それで、次の点についてお伺いいたします。
 まず、当初計画から脱落した町村とその理由。
 そして、南部川水系で行っていた県営事業に国営事業がどのような形で入り、どのような形で大きくなってきたかというその経過。
 また、計画時及び第一回計画変更時の見通しと詰めが甘かったのではないかということ。第一回の見直しのときは既にグレープフルーツを初め大変な騒ぎのあった後であり、見通しに大きな誤りがあったと思うのでございますが、その点はどうか、お伺いいたします。
 さらに、第二回計画変更を南部川を中心に関係町村に出しておるようでありますが、その計画変更の内容、そして二回目の計画変更をしようとする国との交渉状況とその見通しについてお伺いいたします。
 そして、このことに関して起こってまいる国の国営事業の採択基準と分水による水利権についてお尋ねいたします。
 国営事業としての資格規模は千ヘクタール以上と聞いておりますが、南部川水系の南部川村、南部町を合わせると、現在、無理に無理をして加入させたとしても八百ヘクタールほどしかございません。事業効果をあらしめるためには大体千五百ヘクタールを確保しなければならないと言われておりますが、仮に事業効果が得られるとしても、対象面積が大幅に減ることにより受益者負担と施設の維持管理費が大変な割高となってまいります。この事業が認定されてから今日まで素直に一生懸命に取り組んでまいった南部川村、南部町の農家にとって大変大きな負担となってくることは必定でございます。
 さらに気になることは分水でありますけれども、本事業の当初の話し合いの時点から、南部川の水──現在完成している島ノ瀬ダム湖水──は南部郷に、日置川の水は田辺市及びその周辺にという初期の申し合わせ事項があり、分水ということは不可能であると思います。ダム建設によって南部川流域で水田、畑、人家など犠牲者を出し、また県営事業として取り組んでいるところへ国営事業という大型化に巻き込まれる中で四囲の状況や社会変動ということを理由に事業計画が再び変更され、負担金や管理費用が増額され、さらに水まで持っていかれるようなことは断じて許されることではございません。正直者がばかを見るようなことは絶対させられません。責任を問うならば、すべて国と県にあると思います。
 本事業は昭和四十年代の大橋県政時代に計画され、昭和五十年代に仮谷県政に引き継がれて実施に移されたものでございまして、県政における農政の最重点事項として取り組んできたことは事実であります。私も東京にいる折にいささかお手伝いをした関係から本事業の早期完成を念じておりましたところ、ことしの三月、関係町村の議会で一斉に取り上げられ、びっくりして現地に再三足を運び、いろいろと調査をし、お聞きしてまいりました。
 ここに、南部川村山田村長の三月議会提案理由説明の一文を申し上げまして、農林水産部長の賢明なる御答弁をお願いするものでございます。
 前段は省略しまして、「いずれにありましても、我が村にとっては国難的大問題でありますので、村議会はもちろん、村民の御意見を十分承り、冷静な判断のもと子々孫々に禍根を残すことのないよう適切な処置をしておかなければならないと考えています」、これが提案理由の結びの言葉でございます。農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 続いて福祉対策でございますが、特に障害福祉の中の施設について提言をし、御答弁をお願い申し上げます。
 福祉関係については久々の質問でございますけれども、私ども議会の中の有志で議員連盟をつくり、県下各地の施設を視察したり、作業所のボランティアの人々と懇談会をしたりして取り組んでいるところでございます。福祉問題は幅が広く、奥の深い、そして長く取り組むべきものと強く感じたものでございます。
 今回は、障害福祉のうちの老人対策について提言を申し上げたいと思います。
 県下の精神薄弱者援護施設の入所者を年齢別に見てみますと、昨年十月の統計では、二十歳から三十歳の年齢層が約五割弱で、十歳単位でだんだんと少なくなっておりますけれども、五十歳代では三十人、六十歳代では四人で三十四人となっており、このままでまいると五年先には約倍の人数にふえてくる予定でございます。
 この福祉施設で働く指導員の皆さん方から、五十歳代以上の人々の食事について大変困っておるという話を聞くのであります。歯の痛みは治療しても、入れ歯や差し歯はほとんどないと言ってよいほどで、健常者のような歯の状態ではないそうです。そして、施設の給食に肉やかたい料理があると、調理場の方々が細かく刻んでつくってあげ、食べさしておるそうです。しかし、こうしたことは少人数であればできるけれども、入所者の多い施設では手間がかかり、全員一斉給食となるとできかねることも多く、現在は何とか無理をしてやっていけても、近い将来、この入所者たちの老齢化が進むと無理が生じるとの話でございました。何事にもきめ細かい、行き届いた行政が必要でございますが、精神薄弱と高齢という二重、三重のハンディを負っているこれらの人々に、老人ホーム的なもの、または独立した別棟のようなものをつくり、食事もつくれる施設の増設をしてはと思うものでございます。
 このような施設はまだ全国に一カ所もないようでございますけれども、「福祉和歌山」を行政の柱とする和歌山県に全国の先駆けとして積極的な取り組みを期待するものでございます。この点について、福祉一筋でまいられた高瀬民生部長の御答弁をお願い申し上げます。
 次はコンビナートの防火対策でございますが、けさほど社会党の先生の御質問で当局も十分答えられたので重なるとは思いますけれども、せっかく書いた原稿でございますので、重複は重々承知の上、この企業に強い反省と注意を促す意味で質問いたします。
 昔から、ことわざに「地震、雷、火事、おやじ」というのがあります。また、すべてなくなることを「灰になる」と言います。それほど火事というものは恐ろしいということを言いあらわしておるのでありますが、最近、県内において大企業の集まっているコンビナート地帯、北部臨海工業地帯内で火災事故が余りにも多過ぎますので、あえてこの議場から企業者に対して注意と反省を促し、また指導に当たる県当局の方針をお伺いするものでございます。
 私は新聞のスクラップをするのが趣味で、あの机の上にスクラップを置いておりますけれども、その中の事故の記事を見ますと、県下の火災記事の中で、昨年の七月十日、「タンク銀座の恐怖 響く地鳴り襲う猛煙」、これは紀の川河口における化学薬品タンクの爆発火災の見出しでございます。「また爆発 怒る住民」、これはことしの五月九日夕刻に起きた関電海南発電所の火災の見出しでございます。ごく最近では「ずさんな防災体制 一一九番五十分もおくれる」、これは住友金属和歌山工場の火災の報道の見出しであります。
 これらの事故は人命を失う事故ではなかったので一面では安堵はいたしましたけれども、付近住民に与えた不安ははかり知れないものがございます。
 石油コンビナート等災害法という法律が昭和五十一年に施行されてから昨年末までの事故件数を見ますと、三十六件もの多くが発生しております。負傷者は四名で、死傷者は出ておりませんけれども、被害額は相当な金額に上ります。事故の発生の都度、警告書や指示書、厳重注意から総点検ということを繰り返しておりますけれども、同一事業所において五回も六回も事故を繰り返しているのが実情でございます。中には通報おくれという火災事故の初動措置を怠った事業所もありますが、これは防火・防災に対する怠慢であり、不見識でもあると思います。
 事故の原因を究明すると、口裏を合わせたように「下請が、下請が」と責任を転嫁するのが企業側であり、その時点で事故原因を徹底究明し、反省して防止対策を立てておるなれば、またそれを下請業者にも指導徹底すれば防げるはずでございます。
 神奈川大学の田尻教授は、「高度成長期につくられたコンビナート施設は老朽化している。企業内でも末端従業員にまで安全教育は及んでいない。石油コンビナート等災害防止法の規定も基本的な事柄でしかなく、厳しい安全教育を義務づけた新しい法律を成立すべきだ」とコメントをされております。
 たび重なる火災事故で事業所が特別自主点検等を行っているようでございますが、以上申し上げた防火・防災に対して指導者側の最高責任者である総務部長の御所見をお伺い申し上げます。
 もう一点、文化財の防火についてでございます。
 コンビナート地帯の防火・防災対策とは少々異なりますけれども、神社仏閣等の建築物や美術工芸品の国指定の重要文化財、県指定の文化財が県下各地に多く散在しております。これらを災害から守り、伝承していくという面からお伺いいたします。
 北には、御承知のように真言密教のメッカと言われる高野山があり、南には熊野もうでで有名な熊野三山の神社仏閣があります。これら重要文化財の指定を受けておるものには、文化庁を中心に保存管理と防火・防災対策が、十分とは言えないまでも補助金等で行われているようでありますが、県指定の文化財を所持する寺社等に対しては皆無と言ってよいほどお粗末な状態であり、個人所有物であれば個人で守っているのが現状でございます。
 和歌山県には「古い歴史と文化がある」という言葉をよく聞くのでありますが、その証左となる文化財、目で確かめられる文化財を保護し、管理・継承しながら後世に無事伝えていく面からも、いま一度防火・防災の面から再点検し、対策を講じるべきだと思います。
 生活文化の向上から家庭生活のエネルギーは電気、ガス、石油となり、町じゅうにはガソリンスタンドが、各家庭にはガスボンベがあり、危険と隣り合わせでございます。文化財という面から言えば教育委員会も関係いたしますけれども、私はあえて防火・防災の面から総務部長の答弁を求めるものでございます。
 これで、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 国営南紀用水農業水利事業について、七点の御質問でございます。
 まず、当初計画から脱落した町村とその理由でございますが、昭和五十年代に入って消費者嗜好の変化、多様化等によるミカン需要の低迷により、上富田町が計画の全面積、田辺市も大幅な面積減を余儀なくされ、五十八年度に第一回変更に至ったものでございます。
 次に、県営事業として考えていたものが国営事業に拡大、巨大化した経過はどうかということでございますが、昭和三十年代から四十年代にかけて、ミカン全盛期に県内各地で畑地かんがいが盛んに事業化されました。そういった中で、田辺市、上富田町のミカン園にもかんがい事業の強い地元要望があり、補助率アップによる地元負担の軽減という観点から、当時、南部川流域で構想されていたかんがい事業を包含して国営事業化が計画されたものでございます。
 また、昭和五十八年度の第一回事業計画変更時の見通しについての御指摘でございますが、当時、農業をめぐる客観情勢は変化をしていたものの、受益者である生産者農家全体の農業用水確保の要望は極めて強く、ある程度規模縮小しても事業による経済効果が保たれるものと判断をし、引き続き事業実施してきたものでございます。
 今回の第二回事業計画案につきましては、今日、農業をめぐる諸情勢はさらに一段と厳しく、産業としての農業の構造変化が進みつつあり、オレンジ等の自由化を目前に控え、再編対策実施の中で田辺地方における受益農家の意向の変化から大幅な事業計画の見直しが余儀なくされたものでございます。国の変更案の内容といたしましては、計画受益面積二千九百九十ヘクタールから千七百八十八ヘクタールに縮小し、日置川、南部川の二水源の現計画を一水源にしようとするものでございます。
 次に日置川分水についてでございますが、現下の農業情勢や分水問題、田辺市が実施した受益農家意向調査の結果、さらには経済効果の面を考え合わせて国と協議を重ねた結果、日置川からの取水は適当ではないと判断しているところでございます。
 また、国営事業の採択基準でございますが、畑地かんがいの場合、受益面積千ヘクタール以上であること、あわせて経済効果の成り立つことが条件となっており、当地域の場合、約千五百ヘクタールの畑地かんがい面積の確保が必要となってございます。
 次に現況と見通しの問題でございますが、将来にわたる事業効果、事業費及び維持管理費の負担軽減等を総合的に検討した今回の事業計画変更案について、田辺市、南部町、南部川村及び受益者間の意見調整を鋭意行っているところでございます。とりわけ、南部川流域の皆様方には十分御理解を得られるよう最善の努力を重ねてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 精神薄弱者援護施設に入所されておる老人対策についてでございますが、その処遇については特別な配慮が必要ではないかと考えております。
 県におきましては、障害者にかかる和歌山県長期行動計画の中で、入所者の高齢化に伴い、高齢障害者施設のあり方について課題としているところでございます。
 今後、施設入所者の高齢化が年々進んでいく中で、その対策について、国を初め関係機関とも十分協議を重ねながら対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) コンビナート地帯の防火対策についてでございます。
 昨年の大岩石油青岸油槽所のタンク火災事故後、県あるいは和歌山市消防局からコンビナートの事業所に対して文書による通達及び査察等、機会あるごとに注意を促してきたところでございますが、このたび事故が連続して発生したことはまことに遺憾でございます。
 今後は、県といたしましても、異常現象についての認識、通報のあり方、下請業者を含め現場を重視した安全管理の教育、さらには住民の広報等について強力に指導を実施してまいりたいと考えております。
 重要文化財や宝物品の防火安全対策につきましては、消防用設備等の整備、さらに維持管理、自衛消防組織の整備、防火意識の高揚など、いろいろ方法はあるかと思いますが、今後とも関係部局と連携をとりながら、消防本部を通じて関係者を指導してまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 21番木下秀男君。
○木下秀男君 農林水産部長ですが、この用水事業は和歌山一県だけではなしに、昭和四十年代ごろに全国で三カ所の大規模な国営事業があったことを記憶してございます。全部は覚えておりませんけれども、その一つに九州は大分県の駅館川──大分県から福岡県に至る川です──水系で計画しており、ここも和歌山県と同じように水利権の問題で難航して、当時、役所では駅館川を、「厄介」にもじって「厄介用水」と呼んでおりました。和歌山県でも日置川水系の水交渉が成立しないので、「南紀用水」というのを「難儀用水」というざれ言葉で取り組んでおったことを思い出します。その当時、もちろん県もそうでございますが、関係者の市町村、農協代表等の猛烈な陳情運動が建設に結びつき、先ほど来からの経過をたどっておるわけでございます。
 時代の移り変わりに即応したものは当然でございますけれども、後から入って、うまくいかないから抜けていって、できるものなれば水をくれと、このような虫のよいことは許されるものではないので、それらの点に十二分な配慮をした上で本事業が完成するように特に強く要望するものでございます。
 この小さい村で水没用地を補償し、立ち退きをさせました。現在その立ち退きした皆さん方はもう移転先で落ちついておりますけれども、この実情を聞いたら切歯扼腕することと思います。それほど南部川村水系では犠牲者を出してまで取り組んでいるということを忘れられては困ります。もちろん、日置川町の分水の困難さということも伺っております。また、今となっては、上富田から来るということは工事費用の問題よりも至難のわざだということもわかってございます。
 そういう意味で、今、この議場に農林部長を経験された公室長、教育長──いずれもこの問題を積極的に取り組んだ方でございますが、今、その立場にないとはいえ、自分が歩んできた道でございますので、安田農林水産部長を助けてこの問題の解決のためアドバイスしていただくことを要請し、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時二十八分散会

このページの先頭へ