平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第9号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 九 号
 
 三月二十三日 (金曜日) 午前 十時 三分 開議
  午後 三時 十五分 閉会
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議 事 日 程 第九号
  平成二年三月二十三日(金曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十号まで、報第一号から報第四号まで及び請願二十二件並びに継続審査中の議案第百四十一号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第二 各常任委員会閉会中継続審査の件
 第三 各特別委員会閉会中継続審査の件
 第四 意見書・決議案
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第七十号まで、報第一号から報第四号まで及び請願二十二件並びに継続審査中の議案第百四十一号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第二 各常任委員会閉会中継続審査の件
 第三 各特別委員会閉会中継続審査の件
 第四 意見書・決議案
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出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 議事の都合により休憩いたします。
 午前十時四分休憩
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 午後一時六分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第一号から議案第七十号まで、知事専決処分報告報第一号から報第四号まで、今期定例会の請願三件及び継続審査中の請願十九件、計二十二件、並びに前会から継続審査中の議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを一括して議題とし、順次、各常任委員会委員長及び決算審査特別委員会委員長の報告を求めます。
 文教委員会委員長大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○文教委員会委員長(大江康弘君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案七件、請願前会からの継続分四件であります。
 委員会は、三月十九日及び二十日の両日、第二委員会室において開催し、当局から付託案件等について詳細な説明を聴取した後、審議に入りました。
 委員会における各委員の質疑、意見及び要望等主なものは、次のとおりであります。
 まず初めに、四月からの新学習指導要領の移行措置に伴い、本県の小・中・高校における現行の指導要領のもとでの日の丸掲揚、君が代斉唱の実施状況はどうか、また、全国的に見ると二十府県で既に定着していると言われているが、本県ではおくれている理由は何かとただされたのに対し、昭和六十三年度の卒業式では、県下の小・中学校の国旗掲揚は九五%の実施、国歌については二一%から二二%実施している、高等学校全日制においては、国旗では約半分実施されており、国歌については実施されていない、また、おくれている理由等の調査はしていないが、国旗・国歌が過去に戦争にも使用されたという問題等が議論となっていると思われるとの答弁がありました。
 委員からは、現行の指導要領では「指導することが望ましい」となっていることから、今までは理解と納得を得ながら指導してきたと思うが、新学習指導要領になると今までの考えから一歩進まなければ移行していかないのではないか、移行する中身について県教育委員会はどう指導するのか、指導に違反する場合、法的拘束力があるのか、教育現場、特に校長にだけ責任を押しつけることがあってはならない、むしろバックアップしていく県教育委員会の姿勢が大事であるがどうかとただされたのに対し、新学習指導要領では単に学校行事だけではなく教科での指導を位置づけているように、現行の指導要領と新学習指導要領との指導の中身、位置づけが違っている点を理解してもらう必要がある、また、学習指導要領は学校教育法に基づき文部大臣の告示がされているものであり、法的に位置づけられているため、準拠して行っていきたい、学習の内容にかかわって処分するのではなく、学校で位置づける経過が大切であり、それに反する場合は処分の対象となる、また、国旗・国歌の問題だけでなく、新学習指導要領の中身、考え方、実施の方向についても、講習会等、県立校長会、市町村教育委員長会議でその中身を説明している、校長にだけ責任をかぶせるのではなく、指導要領の位置づけを考えた上で校長や市町村教育委員会をバックアップしていきたいとの答弁がありました。
 委員からは、新学習指導要領で義務化される日の丸掲揚、君が代斉唱の指導が特例措置により平成二年四月一日から実施となることを再確認される中で、新しい国際化の時代に向かう今、過去において国旗・国歌が侵略に使われたという歴史上のことだけにとらわれるのはどうかと思う、新聞報道によると文部省見解は、日の丸掲揚、君が代斉唱が全く行われなかった場合、「その学校は学習指導要領違反であり、第一義的に校長に責任がある」として、校長が実施のリーダーシップを発揮するようにと指針を示しているが、文部省の見解に沿って指導するのか、県教育委員会として現場の先生へある程度強い指導も必要ではないかとただされたのに対し、二十一世紀へ向かう新しい時代の中で、新学習指導要領に準拠して取り組む必要がある、法律論上では違反者に対しては処分することになるが、処分することを望んでいるわけでなく、日の丸掲揚、君が代斉唱がスムーズに実施されるよう、学校長会や市町村教育委員会を通じて指導に努めているとの答弁がありました。
 委員からは、六十三年度の状況の中で、高等学校全日制においては国旗では約半分、国歌については実施していないデータが紹介されたが、戦後四十年経過した現在、国旗も国歌も育っていない、国旗・国歌に法的根拠はなく、押しつけていくところに問題があり、皆が納得するものを制定すべきである、国旗・国歌の対応について市町村教育委員会は足並みがそろっているのか、指導についても県教育委員会と同じであるのか、また、問題が起きた場合、即処分というような態度はとるべきでなく、教育に処分はなじまないので話し合うことが大切であると考えるがどうかとただされたのに対し、新学習指導要領に準拠するということで市町村教育委員会も県教育委員会と同じ考えである、新学習指導要領の趣旨の理解を求める過程は大切であり、各学校が教育課程を編成する場合、指導要領の枠から外れることは許されるべきことでないと考えている、また、話し合いの中身が問題であり、公務員として行うべきことを前提としての話し合いが必要である、話し合いはトラブル以前のことであり、問題が起きた場合は処分があり得るとの答弁がありました。
 委員からは、県教育委員会と見解を異にする意見として、君が代は明治維新時における天皇への礼式曲であり、歌詞の内容が主権在民の理念に逆行する、一九三一年の満洲事変のころから特に歌われてきたし、戦争と切り離すことはできず、法的根拠もなく、唯一の根拠は慣習問題である、さまざまな歴史的経過や国民感情を無視して一律に押しつけるのは思想・信条・宗教の自由に反するものであり、政府も六年前の国会答弁で「国民には強制できない」と、また県教育長も「理解を得ながらやっていきたい」と言っているが、このことは大事である、国民に異なる考えがある場合、これを学校教育の場へ持ち込むのはどうか、意見が異なる場合は十分に話し合う必要がある等、君が代、日の丸の強制は教育現場になじまないものであるとの意見が出されました。
 また、総括して国旗・国歌に関し、過去からの教職員団体等との間に培ってきた信頼関係にも配慮しながら、新学習指導要領移行への対応を望む意見が出されました。
 次に、みくまの養護学校の開校日等についてただされたのに対し、平成二年四月に開校する、開校日は四月九日ごろをめどとして準備を進めており、事業がすべて完了するのは平成四年度であるとの答弁がありました。
 次に、田辺市の天神崎問題について、本会議において知事は環境庁へ支援をお願いしたいとまで述べられているが、所管は違うとしても教育委員会も大いに関心を持つべき問題であると思うがどうかとただされたのに対し、知事部局の問題ではあるが、自然保護と環境保全から非常に重要な問題と受けとめているとの答弁があり、重大であるとの認識のもとに今後対処してもらいたいとの要望がありました。
 次に、中途退学者問題等に係る教員の増員についてただされたのに対し、特に重要な教育課題が重複している学校に対しては、地方教育事務所、市町村教育委員会及び学校長の意見を聴取しながら教員の加配を行っているところであるとの答弁があり、関連して委員からは、習熟度別学習は中途退学者対策としても重要である、また、授業についていけない生徒への対応としてマン・ツー・マンの個別学習も極めて大事であると思うがどう考えるかとただされたのに対し、個人の能力差、理解の程度等に応じた習熟度別指導は個々への対応という観点からも大切であると考えているとの答弁がありました。
 次に、複式学級について、AB方式をとった場合、二年間で同じ科目を学ぶことになるが、学ぶ順序に問題はないのか、欠学年が出た場合、子供たちの学習が中途半端になることはないのかとただされたのに対し、複式学級にはAB方式、直接間接方式の二つがあるが、どちらを採用するか生徒の発達段階を大事にしなければならないし、また、地域の実情に応じて市町村教育委員会と学校が選択するものである、欠学年が出てきた場合、AB方式ではなく直接間接方式で進められるよう各学校において長期的な学級編制計画がなされているとの答弁がありました。
 次に、教員の海外研修と高校生の海外体験事業についてただされたのに対し、若手教員海外派遣事業は二十五歳から三十五歳の若手教員を二カ月海外に派遣し、資質の向上を図ることを目的としている、高校生の海外体験事業は、県下の高校生に海外生活を体験させ、現地高校生との交流や異文化体験、ホームステイ等を通じて国際感覚を培うことを目的としているとの答弁がありました。
 次に、高校生の心臓検診について新規に予算計上されているが、この事業の趣旨及び心臓病の現状等についてただされたのに対し、従前から保護者負担で実施されていたが、保護者の負担軽減を図るという趣旨を踏まえるとともに、心臓検診による異常発見率が中学一年時よりも高校一年時の発見率が非常に多いことから実施するものであるとの答弁がありました。
 次に、埋蔵文化財の発掘状況と今後の計画についてただされたのに対し、県事業としては根来寺坊院跡や広域遺跡群詳細分布調査を実施しており、建設省からの委託事業として藤並遺跡と川辺遺跡の発掘をする予定であるとの答弁があり、委員からは、県の歴史等を知ってもらうため、遺跡の保存、出土遺物の展示方法等について意見がありました。
 このほか、総合教育センターの早期建設、大学進学状況に係る問題点、聴覚障害を持つ子供への対応、県・市町村間ネットワーク学習情報提供システム、情報機器等整備状況、選抜高校野球の現状、スポーツ指導者バンク設置、スポーツ・レクリエーション祭、美術作品取得基金積み立ての作品購入に係る県の基本的方針、県立高校の保護者負担軽減及び東京学生寮の現況と女子寮建設についても、質疑及び意見、要望等がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 当委員会に付託されました議案第一号及び議案第二十三号は賛成多数をもって、また議案第十七号、議案第三十五号、議案第四十九号、議案第五十一号及び議案第六十六号は全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 また、請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第九号、議請第六十三号についてはさらに継続審査を要するものと決し、議請第六十一号、議請第七十五号については請願者からの取下願があり、これを承認することに決した次第であります。
 以上をもって、文教委員会の報告といたします。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 建設委員会委員長中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(中村隆行君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案二十三件、知事専決処分報告三件、請願新規分一件であります。
 当委員会は、三月十六日、十九日及び二十二日に第六委員会室において、企業局、土木部の順に開催いたしました。
 当局から議案について説明を聴取した後、質疑に入りました。
 各委員の質疑、意見、要望の主なものは、次のとおりであります。
 まず企業局関係でありますが、和歌山マリーナシティについては、三十一ヘクタールの処分、予納金二十億円の受け入れについて質疑が集中したところであります。
 まず処分に係る売買契約の内容について質問があり、当局からは、施設整備の事業主体である松下興産株式会社との間で平成二年三月末までに埋立地の竣工認可、譲渡許可を停止条件とした売買契約を締結いたしたい、三十一ヘクタールの売買代金は二百三億円である旨の説明がありました。
 これに関連し、埋立地が竣工する前に処分を提案する理由は何か、予納金の根拠は何か、売買金額の積算基礎等についてただされました。
 これに対し、実質処分は知事の竣工認可及び譲渡許可を受けた後となるが、契約の時点で議会にお諮りすべきものと考え提案した、予納金の受け入れについては、事業費のうちには一部起債が適用されないものがあること、金利情勢等、今後の厳しい動向に備えること等を総合的に判断し、基本となる売買契約を締結することとした旨の答弁がありました。また、売買代金については土取り費用等造成原価を基本としているが、付近の鑑定価格に比べ大差はない、今後の建設物価の高騰や災害等があった場合は売買代金の変更を契約の条件としており、竣工時に確定する旨の答弁がありました。
 このほか、マリーナシティの総事業費八百億円は変更があるのか、また、完成後の施設利用料金に影響するのではないかとの質問に対し、総事業費のうち松下興産株式会社が担当する施設整備については事業費の上昇が見込まれるが、当局は投資に見合う県民福祉のための還元を目標として進めてまいりたい旨の答弁がありました。
 また、マリーナシティの計画についても発言があり、将来の海上アクセスの計画としてホバークラフトの基地を考えてほしい旨の要望も出されました。さらにまた、マリーナシティに係る電気、ガス、水道等、共益部分の取り組みについてもただされ、埋め立てだけではなく都市計画とのかかわり等を総合的に把握されたい旨の意見も出されました。
 また、平成五年夏にマリーナシティを主会場として開かれる世界リゾート博の会場用地に関連して、土地の無償使用が可能な契約内容となっているとのことだが、今後なお一層、リゾート博担当部局との連携を密にし、マリーナシティの事業を進められたい旨の意見も出されました。
 土地造成事業については、このほか保有地の処分についても質疑があり、処分の状況、買い戻し特約等についてただされたところであります。
 次に、田辺湾リゾート計画に関連し、白浜有料道路の整備についてただされたのに対し、将来の交通量予測をすると四車線化が必要であろうと考えており、有料道路としての可能性については地元の理解と協力を得ることが前提となるので、こういったことも含めて現在調査中である旨の答弁がありました。
 また、議案第五十六号の工業用水道事業に係る条例改正案、臨時の給水等についてきめの細かい質問が交わされ、また、大堰設置に伴う取水口の改修の見込み等についてもただされたところであります。
 続いて土木部関係でありますが、まず用地取得の問題に対し、論議が集中したところであります。
 とりわけ、未登記事案の措置についてただされたほか、土地収用法の活用はもっと迅速にならないのか、用地取得とのかかわりを持つ地価安定について銀行の協力を得る等、土木部としても総合的な把握の中で対処されたい等の意見が出されました。
 また、公共用地取得促進対策委員会の今後の取り組みについてただされたのに対し、用地取得の困難さに対処するための具体的な方策を検討している、現在問題となっている事項を精査し、用地取得に努めてまいりたい旨の答弁がありました。
 次に、土地収用法の適用を受けている道路事業の現状について質問がありましたが、これに対し、現在事業認定を受けているのは県道船戸海南線、県道井ノ口秋月線のほか、港湾関係では臨港道路毛見一号線である、今後も必要な箇所については事業認定を進めていきたいとの答弁がありました。
 また、県道和歌山橋本線(吉札─口須佐間)について、土地収用法の適用を考えてみてはどうかとの意見も出されました。
 さらにまた、道路網の整備については関西国際空港開港を控え府県間道路は極めて重要である、年次計画等を示してほしい、第二阪和国道の大阪側の取り組みがおくれているのではないか、紀の川分水の協定書に基づき、大阪府側にも府県間道路についてなお一層強力に働きかけるべきである等の意見が出されました。
 また、過疎地の道路対策についてもただされ、椿山ダム建設完了に伴い村道糠越舟原線は完了しているが、県道田辺十津川線の寒川地区についても積極的に取り組むべきではないかとの指摘もありました。
 また、県が進めているマリーナ、医大等のプロジェクトが完了すれば、国道四十二号においても交通渋滞が予測されるのではないかとただされたのに対し、短期的に整備が図られるものについては建設省に働きかけるとともに、別のルートとして長期的に都市計画街路松島本渡線の整備も検討したい旨の答弁もあり、県のプロジェクトや道路交通情勢とのかかわりについても論議が交わされたところであります。
 次に、繰越事業が多いが、発注時期等を考え、工期内に完成できる工夫をすべきであり、平成六年に竣工が予定されている南紀白浜空港についても計画どおりに完了するのかとただされたのに対し、未買収用地の難航している現状について説明がありました。
 これに対し、地価高騰で価格が折り合わないのではないか、代替地の措置はどうなっているか、地元との連携は強化されているのかとただされましたが、当局は、空港用地については大きな地価高騰に及んでいないと認識しており、今後も粘り強く交渉していきたい、推移によっては事業認定の必要も考え、その準備を進めている旨の答弁がありました。
 このほか、公共下水道基本計画策定費補助、和歌公園整備費債務及び契約繰り越し、区画整理事業の換地清算、都市計画等、土木部事業各般にわたる質疑が交わされたところであります。
 また、「港湾整備五箇年計画の策定と推進に関する意見書」提出について議員提案があり、これについては後ほど意見書案が提案される運びとなっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上、慎重審議の結果、採決に入りましたが、当委員会に付託されました議案第十四号、第十七号、第十九号、第二十号、第二十一号、第二十二号、第三十二号、第三十五号、第三十七号、第三十八号、第三十九号、第五十五号、第五十六号、第五十八号、第五十九号、第六十号、第六十四号、第六十五号、第六十六号、第六十九号、第七十号は賛成全員をもって、また議案第一号、第二十三号は賛成多数をもって可決すべきものと決し、知事専決処分報告第二号、第三号、第四号は賛成全員をもって承認すべきものと決しました。
 また、請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第七十八号は採択すべきものと決しました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 総務委員会委員長平越孝哉君。
 〔平越孝哉君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(平越孝哉君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案二十八件、知事専決処分報告一件、請願審査新規分一件、継続分十三件であります。
 当委員会は、三月十九日、二十日及び二十二日の三日間、第三委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議を行いました。
 各委員の質疑等の主なものは、次のとおりであります。
 医科大学関係では、まず県立医科大学卒業生の県内就職状況や病理解剖等における施設面、遺族への接遇の問題及び骨髄移植の問題についてただされたのに対し、卒業生の就職状況は、最近十カ年の傾向では六百二十七名の卒業生のうち県内就職は四百四十九名の七二%である、病理解剖については、医学の進歩のため役立ててもらうのが原則であり、御遺族の納得を得られるよう配慮してまいりたい、また骨髄移植の問題については、移植の適合判定やドナーの登録など、ネットワークが必要である、また、医療技術そのものは当大学の技術水準から見れば可能であるが、今後の課題として検討しているとの答弁がありました。
 次に、懸案であった医大の統合移転に伴い、今後、大学としての課題については具体的に教授会で審議していくべきでないかとただされたのに対し、基本構想については既に学内で意見の集約を得ており、現在、設置者である県当局と協議を進めているとの答弁がありました。
 また、そのほか、医大統合移転についての予算措置の状況や大学病院における消費税の額等についての質疑が行われました。
 次に知事公室関係につきましては、南方熊楠邸保存顕彰会と南方熊楠記念館の有機的運用について、また国際交流協会の内容についてただされたのに対し、田辺市の南方熊楠邸保存顕彰会と南方熊楠記念館の役員が重なっている中でお互いに連絡をとりながら運営していきたい、また国際交流協会については、総合的な交流を進める中核組織として協会を平成二年度のなるべく早い時期に設立して、目的達成のために努力したいとの答弁がありました。
 また、留学生や外国人の方がトラブルを起こしたり病気になった場合等において不安感を持っておられるので、国際交流協会の目的でもあり、この点を忘れないでほしい、また、新しい友好交流事業を考える場合には経済効果等を総合的に十分考えてほしいとの意見もありました。
 次に、企画部関係につきましては、まず、大阪湾ベイエリア開発推進協議会に参画しているのか、その中で和歌山の湾岸道路についてただされたのに対し、大阪湾ベイエリアを瀬戸内地域という範囲でとらえ、大阪湾環状交通体系の中でその必要性を提唱していく、また、総合交通体系の考え方については、陸、海、空を総合的、一体的にとらえ整備を進めていくとの答弁がありました。
 次に、交通事故相談についてただされたのに対し、示談のポイントとなる症状固定の時期の判断は医師と被害者が行うものであるが、非常にばらつきがあり、示談がなかなか成立しない、今後とも顧問弁護士等の意見も聞きながら対処していきたいとの答弁がありました。
 次に、関西国際空港の影響もあり、平成二年も上がると思われる地価の対策について、また、電源立地予算に関して日置川町に対する行政の対応についてただされたのに対し、地価対策については金融、税制、供給等により総合的な土地対策を図っていかなければならず、国に対しても要望していく、監視区域制度のみでは地価安定は難しいが、総合的施策の展開の中で考えていく必要がある、日置川町に対する電源立地予算については、平成元年度及び二年度においては県としての予算措置は行っていないとの答弁がありました。
 次に、天神崎とリゾート構想の関係についてただされたのに対し、燦黒潮リゾート構想の重点整備地区内であり、学習の場と考えているとの答弁がありました。
 次に、平成二年国勢調査についてただされましたが、国勢調査の調査員は市町村の推薦により総務庁長官が任命し、今回は約七千百調査区と前回より約二百調査区の増加が見込まれ、これに伴い調査員も増員される予定であり、また五月には企画部長を本部長とする実施本部を設置したい旨の答弁がありました。
 次に、大阪国際空港関係につきましては、県議会として現大阪空港廃止の要望決議をしており、県としてはあくまでも航空審答申の精神にのっとり廃止を訴えるべきだとただされたのに対し、県としては、議会の意向を踏まえ、航空審の答申に沿って対処されるよう強く主張していくとの答弁がありました。
 また、関西国際空港の国内便の便数について県としてどのような目標を持っておるのかとただされたのに対し、県としては、本県が同意した運輸省の三点セットの環境アセスメントの中で国内便百七十便が示されており、その時点での一つの目安として認識しており、現在は一便でも多くの便数確保を目指し、また国内の主要都市と結ばれるよう、最大限の努力をしているとの答弁がありました。
 次に、府県間道路、地域整備計画が進められているが、ダイレクトな話ばかりである、例えば大阪はアジアの窓口になろうとしているが、関西あるいは近畿の中で和歌山をどのようにしていくのかとただされたのに対し、県としては、本県にとって関西国際空港は大きなウエートを占めている、交通体系等の整備は手段であり、目的は関西国際空港の機能の活用である、本県として産業構造の高度化、国際化のために活用してまいりたいとの答弁がありました。
 なお、関西国際空港開港を控え、トラックターミナルが必要であり、各団体の意見を聞いて対処してもらいたいとの要望がありました。
 次に、土地開発公社の関係につきましては、まず土砂単価決定作業の状況及び加太開発事業の収支についてただされたのに対し、関空会社は暫定価格で決着がつくとは考えておらず、土地開発公社としても暫定価格では承服できない、一応三月末を目標に置いて交渉していきたい、また、加太開発事業の工事金の支払い及び土砂収入等については、支払いは準備工事等を含め四百二十億円、そのうち土砂採取第一期工事支払い分は百七十億円であり、関西国際空港会社からの土砂収入は三月末見込みで百三十億円程度となるとの答弁がありました。なお、土砂単価の本県側の姿勢としては大局的見地に立って早期に決断すべきとの意見の開陳がありました。
 また、このほかJRの清算事業団の土地の利用等についても質問がありました。
 最後に、総務部関係につきましては、まず人件費に関連して管理職の割合、職員定数等、職員構成についてただされたのに対し、昭和五十一年以来、知事部局で三百六十五人の削減を行っている、本県は自治省が作成しているモデル定数あるいは類似府県と比較してもやや上回っている、今後とも組織を見直し管理職の削減等を行うよう努めたいとの答弁がありました。
 次に、平成元年度予算の繰越明許費がふえているが、これに対する考え方をただされたのに対し、繰り越しが多額に上っており異常な事態であると認識している、平成二年度予算の執行を確保する上でもこの点について何らかの対応をすべく庁内で議論をしているとの答弁がありました。
 次に、医科大学移転整備に係る周辺整備についてただされたのに対し、紀三井寺地区の下水事業や道路等については和歌山市と今後協議をしていきたいとの答弁がありました。なお、統合移転に関する全体の面的規模並びに資金計画を早急に策定してほしいとの強い要望がありました。
 総務部関係では、このほかに平成二年度予算に関連してマイナスシーリング見直しの結果において新規事業はどの程度あるのか、県債の構成費が一〇%を超えているが、健全な財政運営のため抑制すべきではないか、消費税に係る歳出増はどの程度あるか、また、県職員の海外研修の成果をどのように生かされているか、青年館の改修計画はどうか等、数々の質疑、論議がありました。
 以上の結果、採決に入りましたが、当委員会に付託されました議案のうち、議案第一号、第八号、第九号、第十一号、第二十三号、第二十九号、第五十七号については賛成多数をもって、その他の議案については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、専決処分報告報第一号については、全会一致をもって承認すべきものと決しました。また請願につきましては、お手元に配付の請願審査結果表のとおり、議請第四十八号については請願の取下願を承認し、その他の請願についてはすべて継続審査を要するものと決した次第であります。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 厚生委員会委員長和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○厚生委員会委員長(和田正人君) 厚生委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表及び請願文書表に記載のとおり、議案十二件、請願三件であります。
 委員会は、三月十九日、二十日、第四委員会室で開催し、民生部、保健環境部の順に当局から付託案件についての説明を聴取した後、審査を行いました。
 委員会における各委員の質疑、意見及び要望の主なものは、次のとおりであります。
 民生部関係では、まず在宅介護に関する質疑があり、在宅介護支援センターの機能及び人的体制、医療と福祉の連携、さらには在宅介護を支援するための体制づくりについてただしたのに対し、在宅介護支援センターは相談機能と要援護老人に対する諸サービスの調整機能を持つものであり、一義的には特別養護老人ホームへの併設を念頭に置いているが、その整備のあり方については病院、老人保健施設等への設置を含め関係部局と協議を進めており、人的体制については、現時点では保健婦、看護婦、介護福祉士等、専門職員二名程度を想定している、また、高齢者に対する医療、福祉、保健に係るサービスの連携を図るため、市町村に高齢者サービス調整チームの設置を進めてきた結果、今年度末に全市町村でその体制が確立する予定であり、今後はこのチームの効果的な活動方法、特に連携のあり方も含めてマニュアルを作成したい、なお、在宅対策について緊急三カ年整備計画により全国平均水準をまず確保したいが、将来的には県、市町村において保健福祉計画を策定し、介護の総合的対応が法改正により予定されていることを踏まえ、その体制の整備も含め、市町村及び県レベルにおける協議を行うための組織づくりを行った旨の答弁がありました。
 さらに、高齢者のみの世帯における介護問題の実例を挙げて見解をただした後、現行の家庭奉仕員派遣は一回につき最大限二時間程度であると各市町村では理解しているようだが、二時間というのはあくまで目安であるとするならば、実態に応じた時間派遣とすべきであり、このことを徹底させるよう強く指導すべきである旨の要請がありました。
 続いて、最近カラオケボックスが増加しているが、営業に際し風俗営業適正化法に該当しないと聞いているが、これ以外に届け出等が必要ないのか、必要がなければ実態はどのように把握しているのか、また、カラオケ事業者の協会が設立され、自主規制しているとのことだが、協会未加入店に対する指導方法等についてただしたのに対し、カラオケボックスは法的には届け出、許可等の義務がなく、営業についても直接規制するものはない、密室性が高く営業が深夜にわたることから全国的には問題が生じているため、本県では担当課からの直接訪問や県警、補導センター等との連携により営業と利用実態の把握に努めている、現在、和歌山県カラオケ事業者協会には四十八店中十六店が加入しているが、未加入店に対しても直接赴き、具体的に自主規制を要請している旨の答弁がありました。
 さらに、他府県では夜間の青少年の立ち入り制限を検討しているが、本県として条例、規則の改正により立ち入り制限を考えないのかとただしたのに対し、本県としては現在の営業実態からすれば現行の条例で対応できるものと考えている旨の答弁がありました。
 次に、障害者に係る自動車税の減免について、税務課との協議は進んでいるのか、施設入所者のみではなく在宅者をも含んだ形での議論をすべきであると考えるがとただしたのに対し、従来、自動車税の減免は施設入所者のために利用するものについては対象外であったが、月二回程度帰宅する者について減免の対象にすべきかどうか税務課と話し合いを持った、本来、施設は三百六十五日、二十四時間体制で処遇している関係で、月二回程度帰省することは入所者の指導上からも適当であると考えにくいが、早い時期に妥当な線で議論したい旨答弁がありました。
 続いて、大塔村の小守にコロニー的な施設をつくることについて、村も土地の提供等、前向きに検討しているが、県の対応はどうかとただしたのに対し、当該施設の具体的建設計画等は伺っていないが、施設整備等の基準や法人化について検討してまいりたい旨の答弁がありました。
 さらに、南紀療育園の牟婁あゆみ園を含めた運営の全体構想についてただしたのに対し、今回、南紀療育園の精神薄弱部門の整備で児童施設のほか成人施設を併設することとしているが、これと既存施設の肢体関係二施設を含めて事務管理部門の一元化を図るとともに、調理部門についても、当面、肢体不自由児施設を除く三施設について一元化を実施していきたい旨の答弁がありました。
 次に、特別養護老人ホームの現況についての質問があり、特に待機日数が長期化すると要援護老人を有する家庭の生活は深刻であり、このため、老人保健施設、病院も含めたきめ細やかな施設対応をするよう要望がありました。
 さらに、聴覚障害者用のファックスのリース料軽減について、国庫補助制度の創設を期待していたが見送りとなった、聴覚障害者のコミュニケーション確保の重要性から県単で措置できないのかとただしたのに対し、聴覚障害者のファックスの負担軽減については機会あるごとに厚生省に対し要望しており、厚生省も二年度予算で要求したが見送りとなり、三年度実現に向け、制度のあり方を検討し、予算要求する意向と聞いている、なお、県単独事業については研究してまいりたい旨の答弁がありました。
 次に、老人保健法に基づく診療報酬について、病院で治療が必要と判断して処置したにもかかわらず、審査の段階で査定され減点された例があるがどう考えるのかとただしたのに対し、診療報酬については、基金法に基づき、社会保険診療報酬支払基金において診療担当者、保険者及び学識経験者の代表で組織する審査委員会がレセプトの内容審査を行っており、その審査において減点査定を行う場合もあるが、医療機関から再審査請求ができることになっているのでその場において解決できるものと考える旨の答弁があり、これに対し、現実には老人保健点数ができてから老人に対し十分な治療ができないようになっていることを今後の参考として理解すべきである旨の意見がありました。
 このほか、民生部の事業で各種の集いの開催が多く計画されているが、これに参加する住民への工夫、配慮が望まれるとの要望がありました。
 次に、保健環境部関係については、前日の民生部関係の審査において質疑応答のあった老人医療の問題が取り上げられ、現行の老人保健診療報酬点数は、長期入院の場合に入院時医学管理料等が段階的に減額されるなど、入院患者の約半数を占める老人を実質的に病院から追い出しを図るものであり、これの改正について中医協に意見具申する考えはないかとただしたのに対し、要望することについてはやぶさかではないが、現行点数が治療の必要な老人を病院から追い出しているとは考えていない、保健婦による訪問指導や老人保健施設の充実等の方向により老人が適切な医療等を受けられるようにしていきたい旨の答弁がありました。
 さらに、退院後の保健所の保健婦による訪問看護の実態等についての質疑応答の後、保健婦の増員計画の有無と各地域において訪問看護をシステム化すべきであるとただしたのに対し、保健婦の欠員を補充することにしていること、さらに、訪問看護の形態はいろいろ考えられるが、この重要性は十分認識しており、自治体や医療機関がそれぞれ分担してお互いに協力して実施することが必要であり、関係機関で組織する訪問看護推進検討会を設置しており、その円滑な導入と推進に努めてまいりたい旨の答弁がありました。
 このほか、既に訪問看護をチーム編成を行って実施している病院があるので参考にしてもらいたい旨の要望がありました。
 次に、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律で第一条に資格を有することが定められているが、最近、カイロプラクティックや整体術といった法定外の医業類似行為の業種がふえており、資格を有する人の職域を圧迫しているがとただしたのに対し、昭和三十五年の最高裁判所の判例とその後の厚生省局長通達により法定外の医業類似行為は取り締まりの対象とならず、現在のところ法的な規制になじまない旨の答弁があり、また、手技と指圧の違いの質疑応答の後、適応症名が記載された広告や名称に治療院と称して業務を行っていることはどうかとただしたのに対し、法定外のカイロプラクティック等の広告、看板等は判例もあり規制の対象とならないが、医療法の問題もありふさわしいとは思わない、厚生省に対し医業類似行為について明確に定めるよう働きかけたい旨の答弁がありました。
 さらに、大津市や吹田市等では六十五歳以上の方に対し、はり、きゅう、あんま、マッサージの治療券を交付しているが、県内で実施する考えはあるのかとただしたのに対し、現在、老人保健制度の医療費としての補助制度があるが、それ以外の部分については老人福祉の観点から調査したい旨の答弁がありました。
 このほか、難病患者等に対する施策の充実、病院でだれもがスムーズに受診できるような受付窓口での工夫の指導、さらに、今後の看護学校の新増設に対応し得る専任教員の養成等についての質疑、要望がありました。
 以上が、当委員会における審査の概要であります。
 付託されました議案第一号、第十八号、第二十三号、第三十六号は賛成多数をもって、また議案第六号、第七号、第十五号、第三十三号、第四十五号、第四十六号、第四十七号、第六十六号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また請願につきましては、継続審査中の議請第五十号、第七十四号はさらに継続審査を要するものと、また新規受理分の議請第七十六号は採択と決した次第であります。
 以上をもって、厚生委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産委員会委員長中村利男君。
 〔中村利男君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(中村利男君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十三件であります。
 当委員会は、三月十六日、十九日の二日間、第一委員会室で開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 まず農業関係についてでありますが、味一ミカンの生産振興については、予算的に見て基盤や流通施設に比べ研究費が少ないのではないか、現在の生産量は五百トン程度であるが、伸びない原因はどこにあるのか、また今後の伸びはどうかとの質問に対し、味一ミカンは県産ミカンのリード役として評価も高く、県全体の波及効果も大きく、生産者団体と一体となって三千トンを目標に取り組んでいるが、品質基準が厳しいことや自然条件にも左右されるところが大きい、また、試験研究では優良系統への更新やオレンジマップの活用を通じ、味一の生産技術開発に積極的な取り組みをしているとの答弁がありました。
 また、ミカン園再編対策に係る中晩柑類の枠拡大について、当初割り当てより千百五十ヘクタールまで拡大していただいたが、なお不足しているので知事会でも取り上げるなどその対応はどうかとの質問に対し、県では最終年度で二百から三百ヘクタールほどふやすよう努力していくが、難しい面もあるので、熊本県や愛媛県など主産県と歩調を合わせ、国に対し積極的に要請していくとの答弁がありました。
 このほか、ミカンの対米輸出の見通し、オレンジ戦略緊急技術開発の内容、みかんの日の制定に係る事業の内容についての質疑応答がありました。
 次に、フライト農業に対する県の取り組みと地域別振興方向についてただされたのに対し、空港立地に伴う臨空農業の展開を図るため、関空対応では地域整備の中で施設園芸タウンづくりを進めているが、基本的には県内全域で軟弱野菜や黒潮フラワーエリア計画に基づく花卉類等、軽量で単価の高い品目の生産振興を図っており、臨空農業の展開は関空と白浜空港の両面対応で推進している、また、地域別振興方向については、生産計画を策定し、地域の特性を活用しながら産地化推進に努めるとの答弁がありました。
 また、フライト農業を推進する中で、関西国際空港での県産農産物の展示販売等に努力されたい旨、要望がありました。
 次に、農業後継者対策についてただされたのに対し、多くの関連事業があるが、「育てる環境づくり」「励ます環境づくり」「自立する環境づくり」を三本の柱として、四Hクラブ、青年農業経営者協議会を軸に、農業士会、生活改善グループ、国際農業交流協会等のグループにも協力を得ながら施策展開を図っているとの答弁がありました。
 そのほか、農業後継者の現状についても質疑応答がありました。
 次に、過疎化に歯どめをかけるための方策についてただされたのに対し、過疎化に歯どめをかけることは大変難しい問題であるが、若者を初め地域へ人々が定着するよう考えなければならない、農林業等第一次産業だけでは解決が難しい問題であるが、中山間地域の産業振興へ重点を置き、人が定着するよう総合的に取り組みたい、また、地域の活性化には地域にやる気があるかどうかが原点であり、地域の意欲的な取り組みを助長していきたいと考えている、今後、新しい過疎法施行の中で、広域的な地域整備を考慮しながら山村過疎対策の一層の充実を図りたいとの答弁がありました。
 また、中山間地域の農業振興についてどうかとの質問に対し、平成二年度において農林水産省の各種の事業が実施されることになっている、試験研究課題として水田農業の確立や生薬なども含め産地対策を推進することとしており、また、試験研究機関相互の連携を図りながら中山間地域の振興に向けて取り組みを進めることとしている旨の答弁がありました。
 このほか、中山間地域活性化事業の内容及び中山間地域農業実用化技術開発の内容について質疑応答がありました。
 次に、紀の川用水土地改良区に対し二億円の貸し付けを予算化されているが、なお苦しい状況にどう対応されるのかとの質問に対し、国においては土地改良事業の地元負担金対策として土地改良事業総合償還対策事業を新設されたところであり、当事業が紀の川用水土地改良区に適用されるよう今後とも努力していくところであり、県としても改良区の賦課金が適正なものであるのか等、総合的に検討する中で対応策を考えているところであるとの答弁がありました。
 また、南紀用水事業の日置川分水について質疑があり、国では日置川分水をやらないと決定したわけではないが、こうした動きになってきているとの答弁がありました。
 次に、農薬安全指導の実施状況の質問に対し、農薬取締法に基づき、農薬使用による被害や食品残留の防止のため、農薬取り扱い業者等に対し安全適正使用の指導を実施している、また、ゴルフ場の農薬使用についても、平成二年度から三カ年計画で芝生等の病害虫防除データの集積と防除マニュアルを作成してまいるとの答弁がありました。
 そのほか、農地の集団化の方策と実績はどうなっているのか、また、農業労働者管理の推進、地籍調査の実施や白浜空港に関連する花卉団地の造成について質疑応答がありました。
 次に、振動病対策についてでありますが、振動障害者の労災打ち切りが多くなっている、就業対策を県として考えていくべきではないかとの質問に対し、振動障害者の労災補償認定者は千三百六十三名、うち林業は千六十八名であり、現療養者は六百六十五名である、軽快者の雇用については森林組合に復帰している方もあるが、林業以外の職業につく方も多くある、今後とも振動障害軽快者就業促進事業等を活用し、生シイタケ、センリョウ等の特用林産物についての就業研修、また森林組合等に対する雇用促進の指導を推進していくとの答弁がありました。
 次に、林地開発についてでありますが、ゴルフ場開発に保安林が含まれる場合はどう対処するのか、また保安林解除ができるか否かの基準はどうなっているのかとの質問に対し、ゴルフ場開発に係る保安林解除は原則として行わないこととして指導している、また、保安林解除が必要な場合は個別案件に応じて林野庁と協議することとなる旨の答弁がありました。
 次に、密漁船取り締まりについてでありますが、なぜ密漁があると思うのかとの質問に対し、密漁船問題は瀬戸内海課長会議でも課題にしている、また漁民相互間での侵犯もあり、秩序を乱すことに対しては措置が必要であり、保安庁、警察にも協力を依頼して取り締まりを行っており、なくならないのは残念である旨の答弁がありました。
 このほか、有田川漁協のマリーナ建設に関する陳情についてどうなっているのか、また原子力と漁業についての基本的な考えはどうかといった質疑応答や、沖合養殖漁業の技術的検討等の要望がありました。
 以上のような審査の結果、当委員会に付託されました議案等について採決に入りましたが、議案第二号、三号、四号、十七号、二十四号、二十五号、二十六号、三十五号、六十六号はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと、また議案第一号、二十三号、五十八号、五十九号は賛成多数をもって可決すべきものと、それぞれ決した次第であります。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 経済警察委員会委員長尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(尾崎吉弘君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案十二件であります。
 当委員会は、三月十六日、第五委員会室において開催し、当局から付託案件についての説明を聴取した後、審議に入りました。
 各委員の質疑、意見及び要望等の主なものは、次のとおりであります。
 公安委員会関係では、まず婦人警官の採用時期、採用人員など具体的な進捗状況についてただしたのに対し、採用試験の実施については人事委員会の権限において行われるべきものであり、その詳細はしかるべき時期に人事委員会から公表されるものと思われるが、県警で把握しているところでは、採用試験は平成二年九月中旬、受験資格は、学歴による区分は設けず、満十八歳から二十七歳までの女子、採用予定人員は初年度数名、採用後の教養については県警察学校において全寮制により実施したいとの答弁がありました。
 次に、和歌山県警察総合相談室設置構想についてただしたのに対し、現在、各課で対応している交通相談や困り事相談など、各種の相談を警察本部の中に総合相談室を設けて一元的に対応する構想のもとに、警察は入りにくいという問題や相談者のプライバシー保護という面にも配慮しながら適正に処理し、県民の期待にこたえていきたいとの答弁がありました。
 次に、軽四輪自動車の路上駐車の実態とその取り締まり対策についてただしたのに対し、軽四輪自動車については自動車の保管場所の確保等に関する法律によって車庫の確保が義務づけられてはいるが、現実にはいわゆる車庫証明を必要としないため、車庫を確保していないケースが相当あると承知している、なお、軽四輪自動車は県内で約十八万台登録されており、これらの駐車違反は年間六千百件に及んでいるところである、こうした実態を踏まえ、現在、青空駐車の一斉取り締まりを実施しているとの答弁がありました。
 次に、自動車学校指導員の資質を向上させるための対策と女性指導員についてどのように考えるかとただしたのに対し、新規免許取得者の九五%は自動車学校の卒業生であり、それだけに自動車学校が果たす社会的責任は重大であると考えている、今後、指導員講習を教習所協会に委託することになるが、この機会に指導員の資質向上に向けてさらに指導監督を徹底してまいりたい、また、女性指導員は現在県内に数名おり、ソフトムードの指導で好評を得ているとの答弁がありました。
 次に、土地売買等の背後に暴力団が介在し、その資金源となっていると聞くが、実態をどのように把握しているのかとただしたのに対し、暴力団の資金源は多様化、巧妙化しており、従来の賭博、覚せい剤の密売等の恒常的資金源に加えて、最近は民事介入暴力にその資金源を求める傾向が強くなっている、現在、土地に絡む事件についての検挙はないが、昨年中二十二件の相談を受理しているところであり、今後、積極的に対応してまいりたいとの答弁がありました。
 このほか、和歌山西警察署の新築・移転の問題について、用地の確保が困難であれば現地改築も含めた幅広い取り組みを行ってもらいたいとの意見や、警察署受付窓口における応接マナーのより一層の向上について検討してもらいたいとの要望、また、関西国際空港開港後における要人警護のあり方、本島長崎市長襲撃事件や中曽根事務所への狙撃事件に対する考え方、花火大会実施時の法規制等について説明を求めました。
 次に、商工労働部、地方労働委員会関係では、まず、全国的に好景気を持続しているが、本県経済の概況を数字で示してほしいとただしたのに対し、鉱工業生産指数で見ると、昭和六十三年を一〇〇とした場合、平成元年十二月では一〇八・一となっている、また、前年同月比でも三・二ポイント上昇している、上昇した主な業種は化学工業の九・七%、機械工業の四・六%などである、雇用情勢を有効求人倍率で見た場合にも、平成元年十月には昭和四十九年以来実に十五年ぶりに一を超え、本年一月では一・一六倍となっている、また県税収入面で見た場合にも、平成二年度当初予算で九百四十五億円と対前年比一八・一%で全国一の伸びを見込んでいる、このように、本県経済は内需拡大を背景に順調に推移しているとの答弁がありました。
 次に、中小企業融資制度の実績と、今後、公定歩合が引き上げられた場合の利率についてただしたのに対し、昭和六十三年度の融資実績は約三百八十億円である、また、利率については長期プライムレートが七・五%に上がっており、本制度による融資利率についても現在検討中であるとの答弁がありました。
 次に、最近の円安が地場産業にどのような影響を与えているのかとただしたのに対し、最も円高であった昭和六十三年一月の一ドル百二十一円と比較すれば約三十円強の円安となっている、このため原材料の輸入価格の上昇や経済基盤である石油価格の上昇などのデメリットが考えられるが、一方で輸出の簡易化やNIES諸国からの製品輸入の減少などのメリットも考えられる、特に本県の場合は輸出比率が高いため、円安のメリットもあり、中でも電子機器、化学、パイル、ボタン等の業種についてはメリットが大きいと思われる、いずれにしても、今後とも為替相場の動向を注意深く見守っていくとの答弁がありました。
 次に、花と緑の博覧会に対する本県の対応についてただしたのに対し、花博への参加は土木部計画課を中心に関係各課で検討してきたが、現時点での計画は七月二十六日に四千人収用できる催事会場で和歌山の日を開催することを初め、スポットガーデンの出展や近畿の森への共同出展、物産展への参加などが予定されているとの答弁がありました。
 次に、地方労働委員会の労働者委員の選任がおくれている問題についてただしたのに対し、労働界の再編成問題などもあり選任がおくれているが、後任者が任命されるまでは前任者が職務を行うこととなっているとの答弁がありましたが、委員からは、できる限り早い時期に選任するようにとの強い要望がありました。
 次に、地域雇用開発助成金の制度運用の実績と今後の見通しはどうかとただしたのに対し、県内では七安定所が指定されており、地域雇用開発にかかわる計画書受理件数は、昭和六十二年、昭和六十三年の両年で四百四十二件あり、助成金の支給金額は累計で雇用奨励金が約十七億九千二百万円、特別雇用奨励金が十一億八千万円であった、また、雇用失業情勢の改善に伴い、平成二年度から制度の見直しが予定されているが、本県には解除される地域があるとは聞いていないとの答弁がありました。
 このほか、商工会、商工会議所等に多額の助成を行っているが、その事業内容や成果についての資料を求める、また、県が行う観光開発であっても自然との調和や自然保護に十分配慮するよう、また、学卒者の県内での就職の促進、婦人の就業機会の拡大、外国人労働者の受け入れの検討などについての意見や要望がありました。
 以上のとおり慎重審査の後、採決の結果、当委員会に付託されました議案第一号、五号、十三号、二十三号、二十七号、三十一号、四十八号、五十二号、五十三号、五十四号及び六十六号、六十七号は、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上で、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、よろしく御決定のほどをお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 決算審査特別委員会委員長西本長浩君。
 〔西本長浩君、登壇〕(拍手)
○決算審査特別委員会委員長(西本長浩君) 決算審査特別委員会の審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会は、昨年十二月定例会最終日の十二月十五日に設置され、同定例会に提出された議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを閉会中の継続審査として付託されたものであります。
 審査は、一月十日、十六日、十七日、十八日、二十三日、二十四日及び三十一日の七日間にわたり行いました。
 まず初日に、出納長から決算概要、代表監査委員から決算審査意見書の内容についてそれぞれ説明があり、その後、総括質疑を行いました。
 二日目からは、各部局別に審査を行いました。
 各委員からの質疑、意見、要望等の主なものは、次のとおりであります。
 知事公室関係では、国際交流に関し、パスポートの発給状況についてただされたのに対し、昭和六十三年実績は二万四千七百十一件、対前年比較一三%の伸びを示したが、平成元年においては中国情勢等により現時点で七%の伸びにとどまっているとの答弁がありました。
 次に、文化振興に関し、県内で活動している文化団体への補助についてただされたのに対し、県民文化祭事業については和歌山文化協会等へ報償費を、またふるさと運動についてはふるさと運動補助金として各団体へ補助を行っている、そのほか、和歌山版画ビエンナーレ展実行委員会や(財)南方熊楠記念館等についても補助をしているとの答弁がありました。
 総務部関係では、まず予算の組み方について意見があり、同和対策事業において事業費と事務費が異なる部局に計上されている問題が取り上げられたのに対し、複数の部局にまたがるような事業の場合、その予算の組み方についてはそれぞれの部局がいかに有機的に事業の執行ができるか、県行政にとって合理的であるかによって決められるべきであり、今後とも検討していきたいとの答弁がありました。
 次に、消費税問題について、工事請負の契約に際しては消費税について関係者の理解が得られるよう十分PRされたいとの要望がありました。
 次に、県税関係では、不動産取得税で不納欠損のうち時効によるものが八十一件あるが、その主な理由がただされるとともに、不納欠損処分をするについては十分精査の上、処理されたいとの意見がありました。
 次に、自衛隊の部外工事の活用状況についてただされたのに対し、県では五十七年以降実績がないが、市町村では六十年以降三件の実績がある、実施に際しては予算的、地形的な面で実施できない場合等に委託できることになっているが、今後ともPRしていきたいとの答弁がありました。
 次に、市町村振興資金の貸与内訳と財政状況が困窮している市町村への対応がただされ、財政健全化支援のため今後とも一層の努力をされたいとの要望がありました。また、国から市町村に配分される交付税の状況と算定方法についてただされました。
 次に、入札問題については、一円入札が六十二年、六十三年に行われているが、業者指名は何に基づいて行ったのか、六十二年にそうしたことがあれば六十三年は予測できたのではないか、現有の指名競争入札等参加者登録要綱で防止できないのであれば、それにかわるものをつくれないのかとただされ、公正取引委員会の考え方などを参考にして検討してまいりたいとの答弁がありました。
 次に、医科大学移転整備事業について、繰越額、不用額が生じているが、一日も早く移転整備が進むよう努力されたいとの強い要望がありました。
 このほか、私学の指導と問題点、県職員の定数、適正配置及び勤務状況、地方機関委任事務への県費の負担状況についての質疑がありました。
 企画部関係では、近畿大学に売却した用地に関する経過と大学誘致の可能性についてただされたのに対し、売却面積は四十二・九ヘクタール、売却額は十八億一千九百六十万円で、用地の造成は平成二年度末に完了する予定であり、近畿大学としては理工系の研究所、理工系の学部の一部の立地を並行して進めていく予定であるとの答弁がありましたが、委員からは、いつ、何が、どんな格好でできるのか、大学の正式な機構を通じて情報をつかんで説明してほしいとの要望がありました。
 次に、県のシンクタンクとして企画部は何を目標としているのかとただされたのに対し、各事業部での施策展開の基本的な方向づけをするとともに、第四次長期総合計画において県政の目標を「活力と文化あふれるふるさとづくり」とし、その中で県土開発の基本的な方向づけはテクノ&リゾートとして位置づけているところであり、さらに県政全般にわたる重要事項を把握するとともに、社会経済動向等を的確にとらえ、適宜施策に反映するよう努めているとの答弁がありました。
 次に、本県におけるリゾート構想について、六十三年度末までの進捗状況と今後の見通しについてただされたのに対し、基礎調査書を策定し、六十三年十一月から国との協議を始めており、承認については、現在、関係省庁の合同ヒアリングも二回済み、大体の御理解を得ている、一日でも早く承認を得られるよう努力してまいりたいとの答弁があり、委員からは、承認後の組織体制についても意見がありました。
 関連して、大規模年金保養基地に係るグリーンピア南紀構想は本県リゾート構想の中では南紀の拠点となるので、年金福祉事業団と十分協議調整しながら積極的に進めていくよう要望がありました。
 民生部関係では、まず初めに同和対策事業における残事業量の今後の執行予定、特に和歌山市の残事業量についてただされたのに対し、計画事業のうち平成元年度実施予定を含めると約六五%強の進捗率である、また、残事業の中には地価高騰、地権者の同意、地元合意の問題等により実施がおくれているものもあるが、法期限内に実施できるよう取り組んでいきたい、また和歌山市については、大規模地区を抱えており、市単独事業として約四十億円が見込まれているが、県・市・地元で協議会を設置し、対策に当たっているとの答弁がありました。
 次に、民生委員について、地域での活動は大変大事なことであるが、終身民生委員となってはいないか、その任命方法と業務等についてただされたのに対し、任命方法は、各市町村において民生委員推薦会で審査を行い、候補者を県に推薦、県は民生委員審査専門分科会の審査を得て厚生大臣に推薦を行い、委嘱されるが、年齢制限があり、新規に委嘱する場合は六十五歳未満、再任の場合は七十五歳未満となっている、民生委員の業務は社会的弱者の立場に立って福祉事務所等と連絡調整を行っていただくものであり、近年、民生委員に課せられる任務が多様化しており、若い人や婦人層等を広げたところであり、福祉行政推進のため、特別職の地方公務員としての研修等も十分行ってまいりたいとの答弁があり、委員からは、民生委員の政治活動との関係についても意見がありました。
 次に、国民健康保険料について、県内の保険者の赤字状況と県の助成についてただされたのに対し、県下五十保険者のうち赤字保険者は六保険者で、和歌山市、海南市、田辺市、新宮市、串本町、すさみ町となっている、県の助成は保険基盤安定制度負担金四億二千三百二十一万円、高額医療費共同事業補助金一億七千百万円等であるとの答弁がありました。
 また、委員からは、厚生省が発表した資料によると和歌山市の赤字は全国で第三位にランクされているが、その原因と対策についてただされたのに対し、和歌山市の赤字は昭和五十七年度に発生し、原因は被保険者の高齢化、医療技術の高度化及び保険料の確保が不十分と考えられ、対策として保険料の適正な賦課、収納率の確保向上及び医療費適正化対策等について指導してきたが、平成四年度より一般会計からの繰り入れをする等、赤字解消計画に沿った抜本的見直し等について強く指導しているところであるとの答弁がありました。委員からは、深刻な問題であり、抜本的な対策、指導を求める意見がありました。
 そのほか、母子寡婦福祉資金貸付金の未償還金、生活保護関係について、及び予備費の充用についても意見がありました。
 保健環境部関係では、まず看護婦不足の現状とその対策についてただされたのに対し、本県の看護婦数は人口十万人当たり五百八十三人で、十万当たり五百六十六人の全国平均をやや上回っているが、ベッド百床当たりの人数で見ると全国平均よりもやや少なく、また、看護婦と準看護婦の比率で見ても四対六と全国平均と比べて看護婦の少ない状況にある、また、その対策としては、県立高等看護学院の定数増や、結婚や育児で離職中の看護婦を登録するナースバンク事業、幼児を抱えた看護婦対策として院内保育所に対する運営補助事業など、看護婦の養成と確保に努めているとの答弁がありました。
 次に、県内の医療機関は地域的に偏在していると思われるが、医療機関の少ない地域に対してどのような対策を講じているかとただされたのに対し、確かに医療機関が偏在している状況にあるので、僻地については巡回診療等で対応し、また、救急医療についてはヘリコプターによる搬送や救急医療情報システムの活用により対応しているとの答弁がありました。
 次に、精神障害、中でも潜在的な患者に対する措置はどのように行っているかとただされたのに対し、精神障害者の対策については各保健所に相談窓口を設置し、関係者の相談に応じるとともに、在宅患者訪問等を通じ精神障害者の状況把握に努めている、また、医療機関とも連携を図り、適正な指導に努めているとの答弁がありました。
 次に、覚せい剤中毒者の実態把握と乱用防止対策についてただされたのに対し、覚せい剤乱用者の対策は、取り締まりについては警察が行い、県としては啓発活動を実施するとともに、各保健所に相談窓口を設置し相談に応じるなどの対策を行っているが、実態の把握は非常に困難であるとの答弁がありました。
 商工労働部関係では、まず中小企業の育成に係る高度化資金の貸し付けについて多額の未収金があり、しかも年々増加しているが、償還がスムーズにできる具体的な解決策等をただされたのに対し、未収金回収の実効を上げるため、関係課による債権管理対策チームをつくり、年三回程度債権整理集中月間を設けるとともに、不良債権については強制執行の実施等、最善の努力を払い、債権の回収に努めていきたい、具体的には債務者、連帯保証人に対する調査、抵当物件の評価、債権者との話し合い等により処分方法等を検討の上、法的措置をも含めた方法で債権の回収を図っていきたい、なお、この処置により回収額が貸付金に満たない場合は、連帯保証人への法的措置をも含め進めていきたいとの答弁がありました。
 次に、企業誘致のための具体的な事業と誘致実績についてただされたのに対し、企業誘致特別キャンペーン事業として東京、大阪の立地説明会や、リゾート関連企業の参加を得て県内現地案内とパンフレット等送付による企業立地意向調査を実施した、優遇措置については奨励金、税制面、資金融資制度等があり、誘致結果は年々増加の傾向で、平成元年度は十四件を誘致している、用地価格は全国平均に比べやや高いが、昨今は大都市、泉南地域の地価高騰や関空の建設等により進出希望が多くなっている状況であり、今後は労働力の確保問題もあわせて考えていきたいとの答弁がありました。
 次に、工業技術センターの再編整備に伴う将来構想についてただされたのに対し、目覚ましい技術革新、ハイテク化、ソフト化、技術ニーズに対応するため、工業技術センターの機能施設を再編し、研究開発機能の充実、開放的施設づくり、産官協力体制の強化を基本に再編整備を進めているところで、時代に即応し、二十年先を見詰めた施設にしたいとの答弁があり、委員からは、他と比較して遜色のない立派な施設にしてほしいとの要望がありました。
 このほか、和歌山県信用保証協会の信用保証料収入、地場産業に対する消費税の影響、労働事情等調査事業について説明を求めるとともに、商店街対策として現在実施している環境整備だけでなく、抜本的な対策を検討すべきであるとの意見がありました。
 農林水産部関係では、まずリゾート関連事業が推進されているが、その中での農林水産業の位置づけはどうかとただされたのに対し、農林水産業とリゾート関連産業両者の共存共栄が図られることが大事であり、それぞれの地域の特性を生かしながら第一次産業を観光に結びつけていくことが行政の基本と考えているとの答弁がありました。
 次に、人工魚礁を印南、有田等で実施しているが、その効果はどうか、また効果の追跡調査はどのような方法で行っているかとただされたのに対し、昭和六十三年度で四億五千万円程度実施したが、新しい漁場ができ漁獲がふえることや楽な操業ができることなど、大きな効果があると考えている、また、追跡調査は水産試験場の職員による実地調査と漁船による調査を行っているとの答弁がありました。
 次に、漁業の後継者対策、若年労働者対策としてどのような施策を実施しているかとただされたのに対し、後継者の育成は大変重要であると認識しており、沿岸漁業改善資金の無利子貸し付けや中学生を対象とした体験学習会を実施しているほか、各種免許取得のための講習会等を行っているとの答弁がありました。
 次に、林道整備の見通しについてただされたのに対し、現在の林道密度は一ヘクタール当たり三・三メートルであるが、これを平成十五年度には七・三メートルまで伸ばせるよう努力しているとの答弁がありました。
 その他、農協の運営、ミカン輸出の現状、試験研究機関のあり方などについて意見や要望がありました。
 土木部関係では、まず京奈和道路の計画が国道二十四号バイパスやその他の道路の新設改良に悪影響を及ぼしていないかとただされたのに対し、道路の新設に際しては常に地域全体をネットワーク化させるという観点から検討を重ねているところであるが、これと並行して地域の幹線道路については現在整備を進めており、また、今後も整備の必要な箇所について整備を図ってまいりたいとの答弁がありました。
 次に、最近の土木技術の高度化に伴い、技術職員の資質の向上を図るためどのような取り組みを行っているか、またその間の要員はどうなっているかとただされたのに対し、技術職員の資質の向上についてはあらゆる機会を通じ取り組んでいるところであり、昭和六十三年度中に実施または職員を派遣した研修会等は、建設省主催の建設大学へ十名、全日本建設技術協会主催の講習会に十五回、延べ百八十七名を派遣したのを初め、県主催の研修会や土木学会、その他各種協会が開催した研修会等に延べ百二十名を参加させており、今後とも積極的に取り組んでまいりたい、また要員については、研修参加者の選定時に職務状況を勘案しているので特に配慮はしていないとの答弁がありました。
 次に、河川砂利採取の手続について説明を求めたのに対し、砂利採取を申請しようとする者は砂利採取業の登録を行わなければならず、その登録業者は砂利採取計画を定め、県に申請して認可を受けなければならない、また、県は申請を受理した後、当該河川が治水上、利水上支障がなく、しかも地元の合意が得られる場合には砂利の採取量及び地域の砂利需給状況等を総合的に考慮して許可するとの答弁がありました。
 このほか、和歌山マリーナシティ建設に伴う事務執行についての意見や、田辺湾マリンタウン構想の推進に当たっては地元住民の意見を反映させるようにとの要望がありました。
 医科大学関係では、統合移転用地決定後の取り組みについてただされたのに対し、一昨年十二月定例会での移転先決定後、医科大学移転整備協議会を設置していただき、その中で基本構想策定の具体的条件について目下協議を重ねているところであるとの答弁があり、委員からは、県民医療の中核であるので、大学側の意見も十分反映してもらい立派なものにしてほしいとの要望があり、関連して、統合移転を踏まえ、看護婦不足問題についてどう対応していくかとただされたのに対し、大学としても重要な課題であり、基本構想策定の中でこの点を踏まえて十分検討していただくことにしているとの答弁がありました。
 次に、附属病院等整備基金に関して、積立額と今後の計画及び最終目標金額についてただされたのに対し、昭和六十三年度末で百四十億八千百余万を積み立てていただいており、今後は知事部局の方で毎年度の一般会計の状況を見ながら年次的に積み立てていただけるものと考えているとの答弁がありました。
 次に、主要施策成果表のバイオ実験設備整備に関し、どのような研究であるのかとただされたのに対し、遺伝子レベルにおけるがん、成人病、難病の成因と治療に関する研究で、昭和六十三年度は三千九百万円、平成元年度は約六千万円で設備を整備するものであるとの答弁がありました。
 このほか、臨床研修医及び臨床研究医に対する診療協力謝金、病院経営に係る繰入金、医療機器購入に係る寄附金についても発言がありました。
 教育委員会関係では、本県高等学校施設の全国レベルからの見地と本県大学の収容能力が非常に低い状況のもとで、平成二年度以降、中学校卒業生徒は減少するが、その後再び増加していく中で、教育委員会としては長期的計画を持つことが必要であると考えるがどうかとただされたのに対し、将来を考えたビジョンについては、全国レベルのデータを掌握しながら、また中学校卒業生徒数激減に対処するため、長期展望に立って高等学校への進学状況や大学への進学など進路等についても検討をしているところであるが、高等学校のあり方について、二十一世紀をつくる人づくり推進協議会を開催し、御意見をいただくことになっているとの答弁がありました。
 次に、教科書選定についてはどうかとただされたのに対し、県教育委員会は教科用図書選定審議会を設置し、参考資料を作成するとともに各市町村を指導しているが、小学校及び中学校については県内を八ブロックに分けて採択委員会を設置し、選定を行い、採択については各市町村ごとに決定している、また、高等学校については学校長が選定し、採択しているとの答弁がありました。
 次に、教科外担当教員の状況と今後の取り組みについてただされたのに対し、本県においては僻地学校が多く、また小規模校も多いため、標準法定数上すべての学校について各教科の免許を有する教員の配当は困難な状況にあり、平成元年度、中学校では延べ八百七十八件の免許外教科担当があるが、今後ともその解消に向けて努力していきたいとの答弁があり、関連して、教員採用検査に係る実技検査及び採用検査結果公表についても発言がありました。
 このほか、体育振興費の補助金の交付先、(財)和歌山県体力開発センターの県民への体力開発貢献度、県立図書館等建設進捗状況についても意見が出されました。
 公安委員会関係では、まず警察予算全体に占める警察活動費の予算が減少しているが、捜査に支障を来すことはないかとただされたのに対し、警察活動に必要な経費については常に効率的な執行に努めているが、重要事件等が発生し予算に不足が生じた場合には補正予算を計上し、予算面から警察活動に支障を来すということのないように配慮しているとの答弁がありました。
 次に、科学捜査を推進するために鑑識資機材の整備と人員の充実を図る必要があるとただされたのに対し、捜査活動を効率的に行うためには科学捜査資機材や体制の充実を図る必要があり、毎年、整備に努めているとの答弁がありました。
 次に、右翼団体の現況及び右翼団体と暴力団とのつながり、またその取り締まりについてただされたのに対し、右翼的な活動をしている団体は県内で二十団体あり、構成員は百数十名である、また暴力団との関連については、暴力団が右翼を標榜していることが多く、今後とも厳正な取り締まりを行っていくとの答弁がありました。
 次に、青少年の非行防止に関連してカラオケボックスの現況についてただされたのに対し、現在、県内には三十七店、三百六十八室のカラオケボックスがあり、サラリーマン、主婦、若者等が主に利用している、また、非行の温床となるおそれもあるので、各業者に健全な営業について文書により要請を行ったところであり、今後も業者の協会を通じて指導を徹底してまいるとの答弁がありました。
 次に、緊急自動車が現場に到着するまでの所要時間いわゆるリスポンスタイムの現状と短縮を図るための方策についてただされたのに対し、本県のリスポンスタイムは六分三十秒で全国平均より約一分遅いが、五年前と比較すれば約一分間短縮しており、現在の交通事情のもとではこれ以上の短縮は困難であると思われるが、今後も機器の改良や担当者の技術面の向上を図り、少しでも短縮できるよう努めてまいりたいとの答弁がありました。
 その他、駐在所、派出所に勤務する警察官は地域に密着した活動が必要となるため、勤務時間が不規則になったり勤務内容が多岐にわたるなど苦労の多い中で頑張ってくれている、これらの現場の警察官やその家族に対して何らかの配慮をしてはどうかなどの意見がありました。
 なお、主な質疑内容につきましては以上のとおりでありますが、これらとは別に、昭和六十三年度決算審査全般を通じての意見として、土木部、農林水産部を中心に過年度からの未登記箇所が非常に多く残っているが、予算的な裏づけを持つ特別な機構等を設けるなどして抜本的な解決策を講じるよう、また、事業の執行に当たってはできる限り効率的に実施し、予算の繰り越しは極力避けるよう努めるべきである、予備費を充当した場合には決算審査冒頭の説明で明確にすることなどの意見があったことを報告いたします。
 以上のとおり、慎重審議の後、採決の結果、当委員会に付託されました議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算は、賛成多数をもって認定すべきものと決しました。
 何とぞ、適当な御決定をお願いいたします。
○議長(門 三佐博君) 以上で、各常任委員会委員長の報告及び決算審査特別委員会委員長の報告が終わりました。
○議長(門 三佐博君) これより、委員長の報告に対する質疑に入ります。──質疑なしと認めます。
○議長(門 三佐博君) 次に、討論に入ります。
 まず、森利一君から反対討論の通告がありますので、これを許可します。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 私は、社会党県議団を代表いたしまして、平成二年二月定例議会に提案された議案第一号和歌山県一般会計予算及び議案第二十三号補正予算について、反対の立場から討論をいたします。
 まず、歳入のうち、消費譲与税、地方交付税その他、合わせて百八十億余円の消費税に係る歳入についてであります。
 消費税につきましては、既に論議が尽くされているとおり、さまざまな欠陥や矛盾に満ちた悪税であり、国民各層の反対が強く、さらに県民の消費税廃止の世論も極めて大きいものがあります。
 既に参議院におきましては、議員提案による消費税廃止法案が可決決定され、衆議院におきましても、廃止法案が今国会に提案されることが確定しているのであります。
 このように決着を見ない中央情勢の中で、消費税導入の本予算案を私たちは容認することができないのであります。
 次に、原子力発電関連の予算、すなわち原発立地を前提とした国からの交付金二千六百万円についてであります。
 チェルノブイリ事故以来、「脱原発」は世界の常識であり、特に国内における世界に類例のない福島第二原発の事故や蒸気細管破損による事故の続発等々、安全性に不安を持つ多くの県民の間には「紀伊半島に原発は要らない」という強い世論が盛り上がっているのであります。
 美しい自然環境を残して、原発よりもリゾート、原発よりも高速道路という県民の立場に立ち、二十一世紀へ向けて展望のない原発立地は断念すべきものであると強く反対するものであります。
 以上、私は、反対する主な問題、すなわち消費税、原発予算を取り上げて反対討論をいたしました。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 次に、橋本進君から賛成討論の通告がありますので、これを許可します。
 14番橋本 進君。
 〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 私は、本二月定例議会に提案されている予算関係議案並びに関係諸議案につきまして、我が自由民主党県議団を代表して、賛成の立場から討論を行うものであります。
 平成二年度は一九九〇年代最初の節目の年であり、本県にあっては、いわゆる二十一世紀の和歌山を展望した長期総合計画のもと第一次中期実施計画の仕上げをする、極めて重要な年であります。
 最近の本県の経済、社会的環境を見ますと、我が国経済の状況、さらには関西国際空港のインパクトを満帆に受けとめ、企業立地の増進等、我が和歌山の新たな飛躍に向けての実感がひしひしと迫っております。
 このような情勢のもとに編成された平成二年度予算においては、その全体的な姿を見ても、本県始まって以来初めての四千億円台突破のいわゆる四千二百二十八億円──これは一般会計でございまして、特別会計の約七百億円を含めますと五千億円になんなんとする予算編成であります。一般会計におきましては、何と十一年ぶりの伸び率ということであります。本県飛躍の絶好のタイミングを決して逃すことなく、将来の和歌山のビジョンを県民に訴えようとする知事初め県当局の並み並みならぬ意欲が感じ取れて、その姿勢を高く評価するものであります。
 特に、和歌山マリーナシティの埋め立て、南紀白浜空港の本体工事、新美術館・図書館等の最終設計、県立医大の用地購入費等、いわゆるビッグプロジェクトが具体的な形となっており、さらに道路予算についても、国道、県道のみならず農道、林道という手法も用いて、いわば全庁的な姿勢で総額五百億円を上回る重点配分がなされております。また、それら投資的事業の事業進捗に当たって地元負担金を大幅に軽減し、市町村財政への配慮もなされております。
 今議会における重要案件の一つであった土地問題に対しても、機構改革も含めて、できる限りの努力がなされており、その成果を大いに期待するものであります。
 また、工業技術センターの充実や頭脳立地事業の推進等、情報化、高度技術化といった時代の流れに即した産業政策、さらに輸入自由化を間近に控えた本県農業の構造改善等が積極的に展開されているとともに、高齢化社会における老人福祉の充実を初め、急速な国際化に対応する施策等、福祉、健康、文化、教育などの県民生活に密着した分野についても積極的かつきめの細かい取り組みがなされております。
 ところで、反対討論でも触れられていた消費税問題でありますが、これについては、一般質問冒頭に我が党の鈴木議員が議論いたしましたように、昨年の参議院議員選挙の結果等を踏まえ鋭意検討されて見直された案をベースに本年二月の総選挙が行われ、その結果、国民の審判としてはそれなりの評価を受けたものと確信するものであります。
 特に、地方の立場としては、消費譲与税、地方交付税等を通じて消費税税収を県民福祉の向上に結びつけており、本県では百八十億円を超えますが、この財源なくしては予算の編成、実行は不可能であります。
 また、公営住宅の家賃についても、県民の暮らしに直接関係するものとして、非課税とする見直し案に即して適切な処置がとられております。
 県勢浮揚を図った重要なこの予算に対して、これ以上、消費税を理由に反対の姿勢をとることが果たして責任ある県議会の立場であると言えるでしょうか。この予算が一刻も早く成立し、さらにその着実、果敢な実行により、知事が第四期県政に向けて打ち出された「躍動の時代 豊かな和歌山の創造」の実現に近づくことを切に期待するとともに、我々自由民主党県議団として最大限の協力を惜しまないことをお誓いし、私の討論を終わります。
○議長(門 三佐博君) 次に、村岡キミ子君から反対討論の通告がありますので、これを許可します。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 私は、日本共産党県議団を代表して、二月議会に提案され審議してまいりました議案について、反対の立場から討論をいたします。
 平成二年度県予算において、消費税問題で、政府案による一部改正案が実施されるものとしての転嫁措置がとられていますが、かかる消費税につきましては、平成元年度県予算審議の際にも、一つには、我が国の税体系の原則である応益課税が根本から崩され、低い所得の人ほど税負担が重いという最悪の大衆課税であるということと、二つには、憲法並びに地方自治法に基づく地方自治の本旨である「住民の福祉増進」に逆行する重大問題として、反対の立場を明確にしてまいりました。今、再びこのことを強調しておきたいと存じます。
 中でも、昨年暮れの参議院におきまして、国会史上前例を見ない野党提案による消費税廃止法案が可決される事態に至りましたが、少なくとも参議院で自民党が少数である以上、消費税の廃止を求める野党の優位な政治情勢は動かないものであって、我が党としても消費税の廃止に向けて全力を挙げてまいります。
 したがいまして、県民のためにある行政サービスについて、県民から消費税を徴収する予算措置に強く反対をいたします。
 原子力発電所の立地に関係する予算措置を申し上げます。
 那智勝浦町、古座町における候補地が住民の強い反対運動によって消えてまいった事実関係や、日置川町における原発反対の町長誕生などの県民の動向、また紀伊半島のすぐれた自然環境を生かそうとする燦黒潮リゾート構想の整合性の上からも、まだ科学的に安全性が確立されていない原発問題において、本県は原発立地にかかわる事務を返上すべきであります。
 したがって、日高町にかかわる予算措置に反対をいたします。
 本県が施行する建設事業に伴う市町村負担金問題について申し上げます。
 平成二年度におけるこれらの負担率につきまして、一定の軽減措置がとられるべく対応されている点について評価をいたすところでありますが、県下市町村の厳しい財政状況を考えるときに大幅な軽減措置がとられることが重要でありましょう。強くこのことを要請申し上げておきます。
 知事の予算説明にもありました、和歌山マリーナシティの建設促進事業での予算措置は九十億円余の多額に上っていますが、何しろ本事業は、松下興産という一営利企業が独占して行うリゾート開発について、本県が和歌浦湾の一角を埋め立て、土地造成を行うという事業でありまして、地方公共団体が行う事務の基本原則は県民全体を対象とするものでありましょう。一営利会社のみを対象に行う事務に四百億円余の血税を消費するなどということは絶対に許されないことでありまして、しかも三・三平方メートル当たり二十一万六千円という価格は安過ぎるという県民の批判の声は、当然であります。
 地方自治の本旨に違反するとともに、一営利会社に奉仕するものとして反対をするものです。
 計画街路の整備事業で、和歌浦廻線の三億円余の予算措置について申し上げます。
 この事業は新不老橋架設に伴うもので、御承知のように、和歌の浦の歴史的景観の保全問題をめぐって、現在、和歌山地裁で住民団体と本県との間で係争中であります。本県行政のあり方について住民から行政訴訟にまで持ち込まれるというようなことは、決してあってはならないことです。今日に至った行政責任は極めて重いと申し上げざるを得ません。かかる事態を冷静に受けとめるならば、予算措置そのものを見合わせるべきであります。
 かけがえのない和歌の浦の歴史的景観の保全の立場から、反対をいたします。
 最後に、関西国際空港問題で申し上げます。
 私どもは、関西国際空港の泉州沖立地に当たりましては、空港整備法に基づく第一種空港として国の責任において建設を進めるべきであるとして、第三セクターとしての関西国際空港株式会社の設置及び地方公共団体等による出資について反対してきたところでございます。
 本県の出資金につきましては、昭和五十九年度から六十三年度までの十五億円で完了したものと考えていましたが、新たに平成元年から四年度までの間に二十二億五千万円を出資するとして、平成二年度で四億六千二百万円が予算措置されています。特に最近に至り、全体構想早期実現問題に財界を巻き込んでの動きが活性化してまいっています。この状況下で、和歌山について言えば、国内線確保、地価高騰、阪和間、紀南への道路問題の解決、県下の地域活性化促進などの点で、なお今日も見るべき進展が見られないという事態を踏まえ、本県の出資負担の増高問題に視点を置かざるを得ません。
 かかる事態の中で、出資問題について反対の立場を明確にしておきます。
 以上、反対の理由を申し上げてまいりましたが、以下、反対する議案について申し上げておきます。
 議案第一号、八号、九号、十一号、十三号、十四号、十八号から二十号、二十二号、二十三号、二十九号、三十一号、三十二号、三十六号、三十七号、三十九号、五十七号から五十九号、及び議案第百四十一号六十三年度決算認定については不承認、議請第七十八号の採択に反対いたします。
 以上で、反対討論を終わります。
○議長(門 三佐博君) 次に、渡辺勲君から賛成討論の通告がありますので、これを許可します。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 お許しをいただきましたので、平成二年度当初予算案に対しまして、賛成の立場で討論を行いたいと思います。
 さて、今定例会に上程された諸議案の賛否の分かれ目である消費税関連予算に対する我が党の見解を述べておきたいと思います。
 まず、国税である現行の消費税には、断固反対であります。欠陥消費税は一たん廃止をして、改めて不公平税制の是正、将来の高齢化社会に適合した税制の再構築を国民合意の上で目指そうというのが我が党の主張でございます。
 そして、自民党からは見直し案、社公民連の四党からは廃止法案を衆議院に上程しようとしておるのが現状でございます。しかしながら、衆議院で自民党から提出された見直し法案が賛成多数で可決、しかし参議院では賛成少数で否決されるのであります。また、野党四党で提出をする廃止法案は、衆議院において否決でございます。やむを得ませんけれども、現行の消費税が存続されるというのが現実ではないでしょうか。
 しかし、現実の社会には一刻の休みもございません。それぞれの政党の理想論だけで県民生活が果たして保障されるのでありましょうか。県勢の伸展があるでありましょうか。
 私どもは、こうした現状にかんがみ、県予算案に計上されている国からの消費税関連財源約百八十億円の歳入を無視することは地方財政の根幹を揺るがすことになり、とりわけ自主財源に乏しい本県にあっては、県民の福祉を後退させるものと判断せざるを得ません。要求はすれども財源を認めないでは、無責任のそしりは免れません。県政の責任の一端を担う者として、県民向けのポーズよりも地方財源確保に最大限の努力を払い、さらに県民生活を一歩でも前進させるという、現実的かつ責任ある態度をとることといたしたのでございます。
 以上で終わります。
○議長(門 三佐博君) これをもって、討論を終結いたします。
○議長(門 三佐博君) これより、採決に入ります。
 まず、議案第一号及び議案第二十三号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 次に、議案第八号、議案第九号、議案第十一号、議案第十三号、議案第十四号、議案第十八号から議案第二十号まで、議案第二十二号、議案第二十九号、議案第三十一号、議案第三十二号、議案第三十六号、議案第三十七号、議案第三十九号、及び議案第五十七号から議案第五十九号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 次に、議案第二号から議案第七号まで、議案第十号、議案第十二号、議案第十五号から議案第十七号まで、議案第二十一号、議案第二十四号から議案第二十八号まで、議案第三十号、議案第三十三号から議案第三十五号まで、議案第三十八号、議案第四十号から議案第五十六号まで、及び議案第六十号から議案第七十号までを一括して採決いたします。
 本案に対する委員長の報告は、いずれも原案可決であります。
 本案を委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 次に、地方自治法第百七十九条の規定による知事専決処分報告報第一号から報第四号までを一括して採決いたします。
 本件についての委員長の報告は、いずれも承認であります。
 本件を委員長の報告のとおり承認することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立全員であります。よって、本件はいずれもこれを承認することに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に、請願について採決いたします。
 まず、議請第七十八号を採決いたします。
 本請願に対する委員長の報告は、採択であります。
 本件を委員長の報告のとおり採択とすることに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立多数であります。よって、本件はこれを採択することに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に、ただいま採決いたしました請願を除くその他の請願二十一件を一括して採決いたします。
 本件は、いずれも委員長の報告のとおり決することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、本件はいずれも委員長の報告のとおり決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に、継続審査中の議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを採決いたします。
 本決算に対する委員長の報告は、認定であります。
 本決算を委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立多数であります。よって、昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算はこれを認定することに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に、日程第二に入ります。
 お諮りいたします。お手元に配付しております「継続審査を要する所管事務調査件名表」のとおり、各常任委員会に対し、閉会中の継続審査として付議することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、以上のとおり、各常任委員会に対し閉会中の継続審査として付議することに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に、日程第三に入ります。
 お諮りいたします。同和対策、関西国際空港対策、水資源対策及び半島振興過疎対策の各特別委員会に付議されたそれぞれの問題について、さらに閉会中の継続審査とすることに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第四、和議第三十三号「港湾整備五箇年計画の策定と推進に関する意見書案」、和議第三十四号「交通死亡事故防止対策の強化に関する意見書案」及び和議第三十五号「関西国際空港全体構想早期実現に関する意見書案」を一括して議題といたします。
 案文はお手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 まず、和議第三十三号及び和議第三十四号を一括して採決いたします。
 本案をいずれも原案のとおり決することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 次に、和議第三十五号を採決いたします。
 本案を原案のとおり可決することに賛成の諸君は御起立願います。
 〔賛成者起立〕
○議長(門 三佐博君) 起立多数であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 次に、和議第三十六号「議員の政治姿勢と虚礼廃止に関する決議案」を議題といたします。
 案文は、お手元に配付しております。
 本案は、昨年七月三日に決議した「議員の政治姿勢と虚礼廃止に関する決議」の一部を提案理由記載のとおり改正して決議するものであります。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、直ちに採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決されました。
○議長(門 三佐博君) 以上で、今期定例会に付議された諸案件の審議はすべて終了いたしました。
 長期間にわたる各位の御精励、深く感謝いたします。
○議長(門 三佐博君) これをもって、平成二年二月定例会を閉会いたします。(拍手)
 午後三時十五分閉会

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