平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(中村隆行議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○中村隆行君 あと一人でございます。よろしく御協力のほどお願いいたします。
 今回私は、関西国際空港に関連して質問をさせていただきます。
 関西国際空港は、言うまでもなく世界に開かれたものであります。政治もまた、より開かれたものにならねばと思う次第でございます。特に国においては、いつまでもいわゆる国体政治では世の中からもおくれます。関空同様、より開かれた政治への思いを強くいたしているものであります。
 前置きはこれくらいにいたしまして、平成五年春、関西国際空港から待望の一番機が飛び立ちます。このとき、我が国初めての二十四時間、世界に開かれた新空港の出現により、和歌山は世界に最も近い都市として生まれ変わり、また国内の主要都市とも一気に結ばれるわけでございます。世界じゅうから、日本国じゅうから、圧倒的な量とスピードで私たちの町に二十四時間流れ込んでくる人、物、そして情報、こうした都市の二十四時間化、国際化、情報化は、さまざまな形で私たちの生活様式にまで大きな影響力を及ぼすことでありましょう。関西国際空港の開港に伴うインパクトは、和歌山に大きな波及効果をもたらします。その波及効果をより大きく受けとめるために、関西国際空港の立地を県勢の発展に積極的に活用することを目的として、昭和六十一年に地域整備計画が策定されたものと認識してございます。
 地域整備計画の策定以来、空港島埋立土砂の搬出の跡地にコスモパーク加太が建設され、和歌山マリーナシティの着工、那賀郡のメーンプロジェクトである南麓サイエンスパークへの近畿大学の誘致、松下電池を初めとする数々の企業誘致がなされています。また交通アクセスについては、本県の悲願であった国土軸への直結が昨年夏、新大阪への特急くろしおの乗り入れが果たされ、東京へは大変便利になったことは皆様御承知のとおりであります。道路関係についても、泉佐野岩出線は都市計画決定のための諸準備が進められ、本格的な工事に着手されるのは時間の問題と聞き及んでおりますし、泉佐野打田線、国道二十四号の和歌山バイパスなどについても整備が進められてございます。このように、関西国際空港の開港に向けて県内の地域整備が着々と進められておりますのも、知事を初め関係の皆さんの懸命の御努力のたまものと敬意を表する次第でございます。
 しかし、平成五年三月の開港まで、あと三年余りを残すところになってまいりました。この開港までの三年間は、今まで以上に関西国際空港開港に向けての本県の取り組みの正念場でございます。この三年間の取り組み次第で、関西国際空港の本県への波及効果は拡大もし、縮小もすることになってまいります。その取り組みの中で最も重要なものは、何といっても府県間道路の整備でございます。
 この二十九日には近畿自動車道が和泉市まで利用できるようになりますし、泉佐野岩出線の四車線化も近々計画決定がなされようとしておりますが、この和泉山脈を貫く府県間道路を整備しなければ、本県の紀北地域はその位置する直線距離の割に時間短縮されず、新空港の経済効果を十分に享受できないことになってまいります。府県間道路については、本県だけでなく大阪府の重点的な取り組みがなければなりません。そのため、我々は「紀の川の水は血の一滴」とも言われる貴重な財産である紀の川の水を大阪に分水するのであります。
 昨年の九月議会における総務委員会、関西国際空港対策特別委員会、水資源対策特別委員会でけんけんごうごうの激論を交わした根幹は、大阪府の対応のあり方、遅さから来たものでございます。「和歌山がこれくらい大阪に協力しているのに、大阪は和歌山に対して何もしてくれへんやないか。紀の川の分水は凍結してしまえ」等の意見が各議員からも続出したのであります。その後、十一月に阪和連絡協議会が開催され、何回かの事務レベルの折衝の上、合意を見たと新聞等で拝見した次第でありますが、九月議会であれくらい激論を交わした問題であるので、当然、十二月議会で何らかの説明が本会議あるいは関係の委員会等でなされるものと思っておりましたが、とうとう何の音さたもございませんでした。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 あの九月議会各委員会での各議員の意見をどうとらえられたのか、また大阪府に対してどのように伝えられたのか、大阪府の反応はどうであったのか、お聞かせ願いたい。
 次に、土木部長にお伺いいたします。
 泉佐野岩出線、泉佐野打田線を初めとする府県間道路の整備については、平成二年度は本県並びに大阪府がどのように取り組む予定なのか、さらに完成時期などの今後のスケジュールはどうなのか、お尋ねいたします。
 また、新空港、大阪市などへのアクセスを考えた場合、和歌山市からはJR阪和線、南海本線がありますし、伊都地方、橋本からは南海高野線があります。那賀郡からは、粉河駅と熊取駅を結ぶバスの運行が八月から開始されると先日発表されました。しかし、将来、近畿大学のキャンパスへの学生の通学、また空港へのアクセスを考えた場合、JRの和泉砂川駅、南海本線の泉佐野駅、新空港と岩出駅を結ぶ那賀郡の利便性を考えた新たな路線バスの運行がぜひとも必要だと思いますが、県当局はどのようにお考えなのか、また具体的な行動をとっているならばお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新空港の南ルートについて、先日、知事のお考えをお聞かせいただきましたが、私からも若干質問させていただきます。
 昨年十二月には、大阪商工会議所において関西国際空港南ルート架橋促進シンポジウムが開催されました。本県からは西口副知事、県道泉佐野岩出線整備促進期成同盟会会長の林岩出町長を先頭に那賀郡の各町長、同盟会のメンバーが出席され、私も出席させていただいた次第でございます。また、本県選出の二階代議士も参加していただき、盛会に開催されたのであります。
 関空の立地を契機とした臨空都市圏としての紀泉地域の発展を考えるためには、近畿レベルの紀泉地域の役割等も踏まえた空港への新たなアクセスルートの整備がぜひとも必要であると考えます。
 府県道泉佐野岩出線の都市計画決定も間近に迫り、平成二年度から用地買収も始まるとのことでございますが、この府県道泉佐野岩出線を南ルート架橋と直結し、関空とダイレクトに結ばれるならば、紀北地域の利便性の向上はもちろんのこと、地域開発の先導という大きな役割を果たしていくことと思いますが、南ルート架橋の必要性について企画部長の御答弁をお願いいたします。
 新空港開港に向けての取り組みの中でいま一つ大変に重要なものは、新空港を活用した農業の振興、産業の振興であります。
 産業振興の中の企業誘致については、数多くの立地が決定し、一部の企業は既に操業を開始いたしております。また、待望の松下電池の起工式が一月に行われるなど、着実にその成果があらわれております。しかしながら、本県が従来から持っておった産業である農業あるいは観光についての新空港の開港に向けての取り組みが余りなされていないような感じがいたします。
 農業については、空港との関係でよく言われるのはフライト農業であります。農産物を航空便で輸送するフライト農業は、九州の空港周辺では特に盛んに行われておりますが、新空港が開港することにより関西に向けて日本各地から、また世界の国々から各種の農産物が空輸されることになります。新空港開港に向けて、今こそ本県がフライト農産物として生産するのに適した作物の検討やその販路の検討、あるいはPRの方法などの検討が必要であると考えます。先日の答弁の中にも空輸出荷の実験が行われているとのことでありましたが、そのような結果を踏まえ、フライト農産物の関空開港に合わせた取り組み状況についてお聞かせ願いたいと思います。
 また、新空港では一日に約二十万人の人々が出入りするわけでありますが、機内食あるいは空港内の食堂での消費も膨大なものになると予測されますし、また空港島の対岸にできる臨空タウンの消費についてもはかり知れないものがあろうかと思います。このような一大消費地が本県の間近に新たにできるわけでありますので、この新空港を含めた泉南地方での消費に本県の農産物を当然売り込んでいかれる予定であると思われますが、もう既に機内食業者に他府県の産地が積極的に売り込んでいるとの話も聞いてございます。本県においてはどのような取り組みをなされているのか、また今後どのように販路を求めていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、紀の川流域の農業についてお尋ねいたします。
 昭和六十一年二月定例会において、県下における養液栽培など先端技術を導入した臨空農業の実態と取り組みについてお伺いし、これに対し、当時の高垣部長から六・二ヘクタールの養液栽培やカーネーションの省エネルギー施設などの拠点に高収益生産を目指した施設園芸タウンを紀の川流域で計画しているとの御答弁をいただいております。
 その後、紀北地域ではハウス栽培が着々と増加し、立ったままで収穫できるイチゴの養液栽培、粒とはとても思えない大きなイチゴの品種、見た目だけではなく実に味のよいハウス桃、イチジクのハウス栽培、カーネーションを初めとする花卉生産など、収益性の高い産地が育ちつつあることは十分承知いたしているところでございます。これは農家の皆さんの営農意欲のあらわれであり、技術指導なされた普及員や営農指導員の方々を初めとする御当局などの御指導、御支援のたまものと考えております。
 こうした状況の中、本日あえていま一度質問させていただくわけでございますが、これは、一昨年、本県農業に大きな影響を与えるオレンジ等農産物の自由化が決定され、ミカンやハッサク園の廃園を含む転換が進められており、このことが多くの農家の皆さんが農業の将来に不安を抱き、その対応に苦慮していることから、早急に展望のある農業の振興方策を示す必要があると考えたからであります。特に那賀郡農業は、関空立地もあって高収益農業の一端である臨空農業の展開に有利な条件にあり、前段述べましたような先進事例や試験研究成果を紹介し、農家の皆さんの経営改善の一助にしていただく必要があると考え、質問をいたしておる次第であります。
 そこでお尋ねいたしますが、地域整備計画にうたわれております施設園芸タウンの進捗状況について、どのような品目が、どのような技術で、どの程度の面積で生産されているのか具体的にお示しいただくとともに、試験研究機関での取り組み状況等についてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、商工労働部長にお伺いいたします。
 新空港開港に合わせて和歌山マリーナシティで地方博が開催されますが、県内の観光振興のためには恒常的に観光客が来ていただける施策、例えば北海道のトマムで、飛行機、鉄道、ホテルの宿泊のチケットをホテルが企画し、セットで販売して成果をおさめています。このような発想で、飛行機、クルージング船、ホテルをセットにした企画などを立案し実行すれば成果があらわれると考えますが、新空港を活用した観光振興のためどのような企画を考えられているのか、お伺いいたします。
 先月、関西国際空港会社のターミナルの基本計画が発表され、今秋には実施設計が完了し、いよいよ年末からはターミナル工事が始まるようでございます。先ほども申しましたとおり、新空港には一日二十万人近くの人々が出入りするわけでありますので、ターミナルに本県の農産物、地場産品の紹介・販売あるいは県内の観光案内を行う和歌山県観光物産センターを設置すれば、本県の特産物、観光にとって絶大なPR効果があると思います。
 ターミナルには個々に出店する県内企業もあると思いますが、県全体の特産物、観光のPRを公平に行うためには、県と観光協会、農協、漁協あるいは経済団体等が共同出資した第三セクターの和歌山県観光物産センターを出店してはいかがなものでございましょうか。
 現在、関西国際空港会社に対し、和歌山県コーナー、物産販売等を要望されているようでありますが、具体的にどのような観光案内をし、どのような物産を販売する予定なのか、またその選定方法、運営主体をどうするのか、関空関連事業の受注活動の主管部である商工労働部長にお尋ねいたします。
 次に、労働力の確保対策についてお尋ねいたします。
 最近よく耳にすることがございます。「人手が足らんで困ってるんや」という話を聞くわけであります。和歌山周辺を見回しても、関西国際空港の建設、阪南・加太の土取り事業、和歌山マリーナシティの建設、花博会場の建設、学研都市の建設等、ビッグプロジェクトがメジロ押しでありますし、民間の設備投資が盛んであり、また住宅建設も伸びております。本年一月の全国の企業倒産は対前年比二五%の減少で、好景気を反映して極めて低い水準になっているようであります。
 ところで、こうした中で人手不足による倒産だけは急速にふえ続けているとのことでございまして、昨年一年間の人手不足倒産は一昨年の四・二倍にもなっているようで、中小零細企業にとって人を確保することは企業の死活問題でございます。
 業種別には、建設業が全体の約三五%を占めて最も多く、それから製造業、サービス業、卸売業、小売業の順で、人手不足感は今、全産業、全企業に波及してきているのでございます。この人手不足は、せっかく和歌山に企業進出していただいた企業の中にもあると聞いてございます。このような深刻な人手不足の現状を当局としてどのように把握されているのか、また今後どのような対応をされていかれるのか、商工労働部長の答弁をお願いいたします。
 次に、人材育成、教育の問題についてお尋ねいたします。
 関西国際空港の開港によりまして、人、物、情報が大量に送り込まれてくるわけですから、国際化の波が早急に押し寄せてくるのはだれにでも予測されることであります。この国際化に対応した町づくりなどハード面での整備は当然重要なことでございますが、私は最も基本的に重要なことは人の問題、いわゆる国際人として外国の方々と触れ合いのできる人づくりを進めることも大事なことではないかと考えてございます。
 よく外国の方の話に出てくるのが日本人の英語力の問題です。日本人の大学卒の場合、中学で三年、高校で三年、大学で四年の計十年も英語を学んでいながら英語で話をすることが非常に苦手だ、筆談で少しは話ができるが、会話はほとんど、まるっきりできないという話をよく聞きます。私なんかは、その最たるものであります。文法は学んでいるが会話ができないというのが一般的なようであります。
 ある教育関係の方に聞いた話でございますが、ある中学校の修学旅行で、外国人が中学生に何か話しかけてきたそうです。最初は身ぶり手ぶりで話をしていたそうですが、近くに英語の担当の先生が来たので、生徒が先生に通訳してもらおうとお願いしたそうですが、その先生は、私は会話ができないと逃げ出したそうです。この話は、笑い話でも何でもありません。残念ながら、事実の話であります。すべての英語の先生がこの話のようなことはないと思いますが、これからの国際化に向けて、いわゆる国際語である英語教育の授業にもっと英語を聞くことができて、話をすることができるような授業を取り入れる必要があると思います。
 そこで私の提案ですが、県内の中学校、高校に、外国人英語教師の派遣による英会話の授業を英語のカリキュラムの中に組み込んではどうでしょうか。県内の七つの各教育事務所に何人かの外国人教師を配置し、各管内ごとに週に数回、各中学校、高校に巡回授業を行うわけです。現在も、那賀高校を初め県内の数校に専属の講師を配属されているようでございますが、中学生から始めまして、もっと密度を濃くし、生徒との交流を深めることが大事だと思います。外国人英語教師による授業を行うことによって、生徒は生の英語を聞き、生きた英語を学ぶことができるのではないでしょうか。また、直接外国人と触れ合い、交流することによって、外国人に対する一種の恥ずかしさというかコンプレックスのようなものがなくなり、国際人としての感性を育てることができると思います。生きた英語を学び、外国人と直接交流することが、子供たちにとって貴重なことでなかろうかと思います。
 新年度予算の中で、国際化に対応した人づくりについて積極的に取り組まれている知事の姿勢に対し敬意を表するものでありますが、これからの国際化社会に対応した人材の育成に関する知事のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 また、現在の外国人講師の活動状況について、さらに今後の国際化に具体的にどのように対応されていくのか、教育長にお伺いいたします。
 最後に、本県にとって最も重要な関空の全体構想の早期実現、国内便の確保について、私の所感を申し上げます。
 申すまでもなく、滑走路三本を備えた完全な空港が完成されてこそ、世界に誇れる我が国初の二十四時間空港として、また国内、国際の基幹空港としての機能が十分発揮できることとなり、関西圏が大きく浮上し、本県にとっても無限の可能性を秘めた飛躍が望めることになります。
 第一日目の鈴木議員、また本日の渡辺議員の質問によりまして、仮谷知事のこの問題に取り組む決意のほどをお伺いいたしましたが、近畿知事会の会長として、また関西の早期実現期成会の代表理事として、いわゆる関西のリーダーとして仮谷知事に大いに期待し、県内はもちろん関西全体で第一期計画に取り組んだあの熱意を再び燃え上がらせていただいて、ぜひとも全体構想の早期実現を果たしていただきますようここに強く要望いたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村隆行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村隆行議員にお答え申し上げます。
 これからの国際化社会に対応した人材の育成でございます。
 御指摘のように、これから国際化が進んでまいりますし、我々の生活にも関西空港を初めとして国際化が進んでまいるわけでございます。外国の文化、また日本の文化もよく知った上で、国際人としての視野に立って行動する人間でなければならない。
 特に中村議員から、英語の話し方は非常に重要だという御指摘がございました。私も、第一はそうだと存じておるわけでございます。そうした面から、話ございましたように、従前から教育委員会においても英語指導助手を受け入れておるわけでございまして、英語の会話について推進をやっております。また、教員の皆さんを海外へ派遣して語学の実情を知っていただく。さらにまた今後、高校生の海外生活体験事業を実施するようお願いを申し上げているところでございます。
 知事部局においても、青年の海外派遣を青少年婦人課で行っておるわけでございます。また、農業士の海外研修について農業振興課で、さらにまた中小企業関係の技術力向上のための派遣を産地振興課で行っておりますし、県職員の海外研修についても人事課で行っておるわけでございます。さらに、国の諸施策ともタイアップいたしまして、青年の海外協力隊の派遣や洋上大学を行っておるところでございます。また、今議会にお願い申し上げております和歌山県国際交流協会を設立いたしまして、増大する国際化のニーズにこたえてまいりたいと思います。
 特に和歌山県は、昔から海外へ移住した県でございます。それだけになお一層、国際的感覚を持った人材の育成ということに配意しなければならないと思っております。
 それから、関空の全体構想の実現は、鈴木議員、渡辺議員に答えたとおりでございまして、要望でございますので、その趣旨を体して全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港問題に関連しての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、阪和開発連絡協議会の対応についてでございます。
 昨年の阪和開発連絡協議会においては、県議会の御意見や紀の川利水の経過等を踏まえて、県として特に強い姿勢で臨みました結果、大阪府副知事から道路網の整備等について積極的な取り組みの決意表明がなされました。
 まず道路網については、主要な府県道について詳細にわたって協議を行った結果、基本的に関西国際空港開港までの路線ごとの整備目標の合意を見るとともに、大阪側としても紀の川利水に関する協定を踏まえ、和歌山よりも早く整備するという姿勢で取り組むとの前向きな発言を得るなど成果をおさめたところでございます。
 次に、関西国際空港全体構想の推進については、第六次空港整備五箇年計画に位置づけられるよう共同で国に要望していくことが確認されました。国内便の確保については、国内線の基幹空港としての機能を十二分に発揮できるだけの大幅な便数確保を鋭意要望していくことが確認されたところでございます。また、紀泉地域の総合開発に係る組織については、平成二年の設立に向けて検討を行うことで意見の一致を見たほか、鉄道網の整備、加太・岬スカイラインの早期実現、紀淡海峡トンネル構想の具体化のための一層の連携強化等々、昨年に比べて着実な進展を見たところでございます。
 今後とも当協議会等を通じて、県益を図る立場から、県勢発展のために阪和間の諸問題について従来にも増して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 第二点は、那賀郡と空港とのバス運行についてでございます。
 紀北地域は、関西国際空港の至近距離に位置していることから、泉南地域あるいは空港を最短距離で結ぶ交通手段の整備は大変重要であると考え、県としてはかねてから泉南地域と結ぶバス路線の開設についてバス事業者等に働きかけてきたところでございます。
 議員御提言の岩出町から泉佐野岩出線を通るバス路線については、近畿大学を含む南麓サイエンスパークのためにも必要と考え、バス事業者に要請し、現在、具体的な検討に入っているところでございます。県といたしましては、その一日も早い実現を図るため、地元関係者と協議しながら、事業者等にさらに強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 最後に、南ルートの必要性についてでございます。
 関西国際空港の空港島と対岸部を結ぶ連絡橋については、空港島北端部のいわゆる北ルートとして、道路、鉄道の併用橋を現在、鋭意建設中でございます。現在、建設中の連絡橋の道路部分は、往復六車線の高規格の道路であり、またJR阪和線並びに南海本線を経由して直接空港に乗り入れる鉄道も併設されることから、予測交通量に対しては十分対応できるものであると伺ってございます。しかしながら、全体構想の推進とともに空港南部地域、特に和歌山方面からの利便性を確保するため、また空港島のセキュリティーを考えた場合、南ルートの連絡橋が必要であると認識しているところでございます。先日の知事答弁にございましたように、関係の方々とも協議しながら積極的な対応が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 府県間道路の進捗についてお答えいたします。
 府県間道路については、紀の川利水に関する協定及び覚書に基づいて、府県間で密接な連携を図りながら整備を進めているところであります。
 まず泉佐野岩出線についてでありますが、和歌山県側は昭和六十三年度に根来地区の一キロメートルを事業化し、地元の了解を得て測量、設計を進めております。一部で土地所有者の了解が得られておりませんが、平成二年度は本格的に用地買収ができるよう全力を挙げ事業の促進に努めてまいります。大阪府側については、泉佐野岩出線のバイパスとなる都市計画道路の金熊寺男里線、樽井男里線が事業中であり、両路線とも関西国際空港開港時までに二車線で暫定供用されることとなっております。
 なお、このうち泉南インターチェンジのアクセス道路となる区間が近畿自動車道の開通に合わせて今月末に供用される予定であり、その他の区間についても平成二年度、引き続き事業促進が図られる予定となっております。
 根来地区を含む金熊寺─岩出間のうち、まだ事業化されていない区間については、両府県において都市計画決定の上、事業化に努めていくことといたしております。
 泉佐野打田線については、県内側の整備は一応概成しており、大阪府側についても昨年十一月、土丸バイパス等が完成し、全線が概成いたしたところであります。
 なお、府県境付近の暫定改良区間についても、平成二年度より再改良する予定であり、今後この区間の事業促進を図ってまいります。また、本県内の府県間道路の整備を促進するため、平成二年度は新たに府県間道路用地代行取得事業を発足させ用地取得を促進することといたし、今議会に予算をお願いしてございます。
 その他、国道三百七十一号、泉大津粉河線、岬加太港線等の路線についても、協定及び覚書の趣旨に沿って両府県間で連絡を密にし、整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 フライト農業の取り組みでございます。
 関西国際空港の立地に伴い、空輸農業の展開を目指した、高級で軽量な品目の施設栽培を推進しているところでございます。また空輸出荷については、北海道やヨーロッパなどへの空輸実験と並行して、エンドウ、ブロッコリー等の野菜や柿、梅、桃等の果実を北海道向けに年間六百トン程度出荷いたしてございます。今後とも、生産対策の推進はもとより、空輸出荷に対応した新商品の検討、販売の開拓にも他府県に負けないように取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新空港をインパクトとした農産物の販売拡大についてでございます。
 予想される空港周辺地域での需要増加に対応した流通体制の整備が最も重要であると考えてございます。六十二年から、空港関係者、市場流通関係者、マスコミ関係、大学の専門の先生方から成る有識者による検討委員会を設置いたしまして、空港周辺を含む広域的な流通対応やプロジェクトチームによる空港需要の実態調査など鋭意検討を行ってまいったところでございます。これらを踏まえ、生産者団体の主体的な取り組みを基本に、既に設置しております特需センター、花卉流通センターの機能強化による産地の流通体制の整備に努めているところでございます。また、紀の川流域の産地組合においては、空港への販売前線基地などの確保の動きも出てまいってございます。
 さらに、議員お話しの機内食などの空港需要への対応については、関係業者に対し働きかけているところでございますが、品目や規格など納入条件に非常に厳しいものがございます。このため、今後も生産出荷体制の整備や市場対応力の強化に向けて、生産者団体ともどもなお一層の努力をしてまいる所存でございます。
 最後に、関西国際空港に関連をして、施設園芸タウンの進捗状況、技術研究の問題でございます。
 関西国際空港に隣接する紀の川流域は、臨空農業の展開に有利な条件にあり、かねてより地域整備計画に基づき施設園芸タウンづくりを進めてきたところでございます。
 その進捗状況でございますが、計画に対して五○%を上回る進捗率となってございます。その内容については、トマト、ミツバの養液栽培や低温育苗によるイチゴの早出し栽培、ショウガなど四○ヘクタールの施設化が進むとともに、花ではバラのロックウール栽培や菊、ストック、カーネーションの省エネルギー施設など八ヘクタール、さらに果樹では柿の超早出し栽培や完熟桃、ブドウ、イチジクなど十五ヘクタールで、現在六十ヘクタール余りの施設園芸タウンづくりが着々と進みつつある状況にあり、平成二年度末で七十三ヘクタールとなる予定でございます。
 また試験研究機関においても、バイテク技術による新品種の育成や省エネルギー技術による養液栽培、鮮度保持技術対策など、臨空農業の展開を図る実用技術の開発に鋭意取り組んでいるところでございます。さらに、生産者のやる気、すなわち企業マインドを喚起しながら、関係者が一体となって効率的な事業の推進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、議員御提言のセット旅行商品についてでございます。
 この商品は、レベルの高い施設利用の割安感や旅行手配の簡便さなど、観光客の誘致を図るための有効な方法であると考えます。特に、現地不案内の海外からの観光客には、このようなセット旅行商品が好評を得ていると聞いてございます。
 関西国際空港の開港や県内リゾート基地等が整備される時点が商品化のチャンスと考えますので、今後、旅行会社やホテル、旅館等、関係事業者に働きかけをしてまいりたいと存じます。
 次に、ターミナルビルへの和歌山県コーナーの出店については、県の関西国際空港地域整備計画にも位置づけられておりまして、現在その実現に向け機会あるごとに空港会社へ申し入れをしておりますが、具体的な入居条件、募集方法等がいまだ決定されておりません。
 今後、空港会社からの情報収集に努めながら、また関係団体等と協議をしながら、議員御提案の趣旨も十分踏まえ、より県益の上がる方策を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、人手不足対策でございます。
 本県における雇用情勢は、景気の拡大に伴って着実に改善されておりますが、地域や業種によって人手不足の状況が見られるところでございます。
 このような実態を踏まえまして、県としては、本年二月、庁内に中小企業等人材確保対策連絡会議を設けまして、学校卒業者の県内企業への就職促進、県内企業へのUターン対策、中高年齢者の就職促進等、人材の確保に努めているところであり、今後より積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 国際化社会に対応した人材育成の重要性にかんがみ、これまで星林高等学校への国際交流科の設置、並びに外国人英語指導助手の招聘、教員の海外研修への派遣などを行ってきたところでございます。また、県内の学校においては、外国の学校との姉妹校提携や留学生の派遣、受け入れなどを行っているところでございます。特に平成二年度には、現在受け入れてございます英語指導助手の増員を図るとともに、新たに高校生の海外生活体験、また英語担当以外の若手教員の海外研修等に要する事業予算を今議会にお願いいたしているところでございます。
 次に、英語指導助手の活動状況についてでございます。
 英語担当の教員と共同して、授業を通じて生徒の英会話の力を伸ばすとともに、生徒との直接の交流を通じて国際理解を深める役割を果たしているところであります。また、各種研修会への参加により教員の資質向上など成果が上がっているところでもございます。県教育委員会といたしましては、こうした取り組みを今後ともより一層充実をしてまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 22番中村隆行君。
○中村隆行君 質問ではなく、少し要望をさせていただきます。
 関空にとりまして、今がまさに正念場であります。担当部局の腕の見せどころでもあろうかと思います。せめて向こうから働きかけのあるようなときは、部長みずから泥をかぶるつもりで飛び込んでいく勇気と姿勢が県勢浮上のためにもなければならないと思います。後は、知事が、議会が、あるいはスタッフなりが受けとめていくという姿が必要ではないかと思います。自分のペースだけではおくれていくのではないでしょうか。当局のより一層の御努力をお願いいたしまして、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村隆行君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、お諮りいたします。明三月十六日、並びに三月十九日及び二十日は常任委員会審査のため、また三月十七日は議事の都合により、それぞれ休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、三月十六日及び十七日、並びに三月十九日及び二十日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
 ──────────────────────
 総務委員会 第 三 委 員 会 室
 厚生委員会 第 四 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 五 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 一 委 員 会 室
 建設委員会 第 六 委 員 会 室
 文教委員会 第 二 委 員 会 室
 ──────────────────────
○議長(門 三佐博君) 次会は、三月二十二日再開いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十五分散会

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