平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 まず過疎地の現状と今後の対策について、二つ目は串本地区土木談合問題とその対応について、三つ目は天神崎保全問題について、三点質問いたします。
 雨の降るある秋の日、私はたまたま招かれるままに、西牟婁郡内の奥深い山里の祭りに行く機会を得た。この里の秋祭りは、獅子舞を回す者、笛を吹く者、太鼓をたたく者、祭りの役員さん等も含めて三十名もいただろうか。紅葉したこの里の木々は雨に光り、川を隔てた対岸に並ぶ数戸の家々を囲む周りの紅葉は一幅の風景画にも思えた。かつて百名の児童生徒が通学していたこの里の小学校は十数年前廃校となり、今は工場の作業場になっていた。過疎地の村祭りは、人々の郷愁を誘い、人々の心を和らげるけれども、笛の音や太鼓の音が遠ざかるにつれて、私は物悲しい秋を思った。過疎地の現実は、明治以来、村々で守り育ててきた数多くの小学校を廃校に追い込み、村の基幹産業であった林業は疲弊し、若者はいや応なしに村を捨てて都市に流れ、人口は激減し、該当町村の財政を今もなお圧迫し続けております。
 一例を西牟婁郡中辺路町の小学校数と児童生徒数に求めるならば、昭和三十五年、今から三十年前でありますけれども、小学校数十三校、児童生徒数千四百三十名だったが、平成二年の今は小学校数三校、児童生徒数二百八十三名であります。このような状況は県下の過疎地押しなべての現状ではありますが、働く場所がない。だから、若者や人々は生活の場を求めて村から去っていくのであります。
 先日行われた衆議院選挙で、ある候補者はその戦いのスローガンを、「地元に産業を 若者に未来を」と掲げた。私は、このスローガンというか政策は時宜にかなったすぐれた呼びかけだと思ったが、それはさておき、先輩・同僚議員の皆様も幾たびか当議場を通じてこの過疎化に歯どめをかける呼びかけや演説、活性化への具体化を県政に求め続けてきたけれども、特効薬のないこの現状を認識しながらも、私は少し散文的な発想ではあるが、以下、数点質問をいたします。
 商工労働部長にお聞きをいたしたいと思います。
 商工労働部が六十三年度から実施している紀南地域等企業導入促進事業により、平成元年十月、東牟婁郡本宮町に染色加工工場、従業員二十名、また平成三年、すさみ町の奥深い佐本地区に高級紳士服の縫製工場、五十名の従業員を見込む進出、協定の実現に、県の指導協力のもと、今、鋭意取り組んでおり、その操業が待たれるところであります。六十三年以降における県の積極的な働きかけは全県的にかなりの企業進出、協定、操業の実施や予定がなされているが、その概数を過疎地域に焦点を当てて明らかにされたいのであります。
 と同時に、これら企業の進出において、県の努力は言うまでもないが、各市町村における取り組みの姿勢が大きく作用しているのではないかと思う。例えば、昨年の企業導入促進事業費二百余万円を、本年度はつつましくもわずか二十万円を減額して百八十万円の計上となっているが、私は該当町村からも必要経費を計上し、これが対策を図っていく積極性を喚起し、県・町村一体となって旺盛に取り組むべしと思うが、その指導理念を問うものであります。
 二つ目、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 県農林水産部は、山村振興対策の一環に過疎地域活性化推進モデル事業費百五十万を計上し、そのモデル方策を策定予定だが、私は仮称「過疎地域活性化特別措置法」に係る県下該当町村一斉にその策定への方途を講じられたいと提唱するものであります。
 私は、県農林水産部が地域活性化推進のモデル方策を行うというこの積極的な行政姿勢を評価するものでありますが、反面、該当町村が、うちの町は、うちの村はどのような活性化の方策を打ち立てようかといった、それ自身の立ち上がりこそが今一番必要なことではないかと思うからであります。そのために、それぞれの該当町村が県に対し、このようなことを考えているが、このような計画を立案中だが、ひとつ相談に乗ってくれ、指導もしてくれといった自立精神の中で、県農林水産部ともども「ともに生きる」──共生の道を樹立することが肝要ではないかと思うのであります。国、県の施策を待って事業を推進するといった方式ではなくて、我が町も、我が村も、そのためになら町費も村費も積極的に支出していくんだといった意欲的かつ一体感に立った行政態度、自立と共生、創造が必要かと思うが、部長のその指導理念をあわせて求める次第であります。
 三つ目、前段、私は村の祭りの話をいたしましたが、中辺路町中川小学校はかつて百名の児童生徒がいました。今、上田さんという方が工場を経営しております。工場というよりも作業所といった方が適切かもわかりませんが、この作業所には二十二名の地元の男女の方々が仕事に精を出しています。この作業所は、遠くはインドネシア、メキシコ、インド等からトウ、麻、ヤシの原料を仕入れ、それらをこの作業所で製品にして家庭用品として国内に販売し、年商ほぼ七億から五億──年度によって変わりますからそういう表現をさせていただきます──の売り上げ実績を上げておるところであります。この工場は、先ほど述べました県の企業誘致施策の中で誘致されたものではございませんが、山村型の加工型産業であります。すぐれた経営者と従業員の努力は、とみにその売れ行きを増大させ、今ではこの地域に住む人々にとってはなくてはならない生活の根拠地となっているのであります。
 しかし、国道三百十一号から三百七十一号に向かう分岐点、中辺路町二川地区からこの地区へは約三キロ、工場から製品を大型車で運ぶにしては、元県道・現国道三百七十一号は余りにも狭隘であります。本道路の拡幅、局部改良等については、町長、議会、地区住民代表ともども、郡選出の私ども議員も、知事、土木部長に陳情等を重ねているところでもありますが、私はここで少し発想を変えて質問をいたします。
 もし、今からこの工場をこの地に誘致するとしたならば、まず大型車で製品を運べるように道路の拡幅が最大の条件になるはずであります。どうだろうか。「企業誘致と地元住民の生活の向上を」という小さな幸せのために、この道路の早期拡幅を要請し、あえて質問といたします。
 四つ目、熊野は、日本人の心のルーツであり、「現代人をよみがえらせる宇宙的空間 奥深い神秘的なゾーンというイメージがあります。 限り無くやさしい熊野の地は、心の宇宙をつくりあげ、現代人をも安らぎの世界に誘ってくれるのです」。県文化振興課発行の「紀州おもしろブック なんでもかんでもわかやま」は、こう書き上げておるのであります。
 ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーン事業は、昨年の七千二百十万円に引き続き本年度は四千百二十万円の予算計上がなされ、その内容は観光客の誘致を図るため、JR西日本、NHK等、民間企業とタイアップし、県、市町村、観光関係団体が一体となって大型観光キャンペーンを展開するとともに、本県に残された歴史的、文化的遺産である熊野古道等を全国に紹介するものであります。
 また本年は、古道ピア事業費として二億二百九十余万円が計上され、熊野古道をメーンテーマとした古道ピアを古道関連地域で開催し、その開催期間をこの八月十八日から十月二十一日と定め、全国キャラバン八カ所、古道フェスティバル四カ所、平安村の設置等を通じ本県への誘客及びイメージアップを図るものであるが、この熊野古道にかける知事の意欲に、私はある種の感動すら覚えるのであります。
 この誘客事業は、知事提案要旨によれば、本県の有する豊かな歴史、伝統をもう一度見詰め直し、県内外の人々に知っていただくため一昨年より行われ、その総仕上げとして開催するもので、確かに本事業は歴史や文化の再認識と再発見を人々に訴える現代的価値を持ったものとして評価されるべきだが、また反面、現代観光の持つ側面、すなわち人々の躍動感やともに参加するといった行動面でのイメージに欠如していないかどうか、さらには地域住民の経済的利益を促進させ、地域活性化にどう定着させていくかといった側面をより重視し、一過性に終わらせてはならないと私は思う。今後の方策について見解をただすものであります。
 五つ目、県は今、リゾート論花盛りの中で、マリーナシティ、燦リゾート構想を打ち出し、県の立地状況に照らし、海洋リゾートゾーン、山岳高原リゾートゾーン、都市近郊型リゾートゾーンの組み立てを論理的に打ち立ててはいるが、私の見る限り山岳高原リゾートは具体的に見えない。
 「過疎地域は、温暖な気候、緑豊かな森林、清らかな河川等、豊かな資源に恵まれている。これらの資源は、国民の価値観の変化とともに見直されつつある」と、最近はだれもがそう言う。しかし、二十一世紀はあと十年であります。そのとき、現在の過疎地はなおじり貧の状態に置かれているのだろうか。あるいはまた喜々として人々は生活を楽しみ、人口が増加し、学校が一つ二つとふえていくといった状況が生まれているのかどうか。必ず後者の状態になっていると確信を持って予言する人はいないのではないかと、私は思うのであります。
 県は、本年度予算において山村の持つ特徴を生かした緑の交流空間整備費を四カ年事業として一億五千万、集落周辺森林整備費を二カ年計画事業として一億余万円等々を提案しているところであるが、それらの積み重ねを多としながらも、私は国、県ともに思い切った発想の転換に基づく政策を推進しない限り、過疎地の明るい展望は約束されないと思うのであります。
 森林整備事業は森林浴の森をうたい上げているが、私は太陽と緑、美しい大地、美しい水を誇るならば、それらを最大限に活用した全国に誇り得る森林浴の森の創設とスポーツ施設の併設、静寂と躍動、歴史と文化の発揚、訪れた人々にふるさと産品が販売し切れないような複合的なリゾート形成を今具体的に進めるべきだと思う。夢を現実のものに、なぜならば二十一世紀はもうそこに来ているからであります。見解を求める次第であります。
 以上で、過疎問題について終わりたいと思います。
 土木部長にお尋ねをいたします。
 さきの十二月県議会で指摘いたしました、いわゆる串本地区土木協同組合幹部による談合問題について、その後の経過についてただしておくものであります。詳細は省略いたしまして、まず答弁を紹介いたします。
 知事、「串本の県工事等の入札に対する県の姿勢についてでございます。 県などの公共事業の入札に参加する全建設業者が関係法令を遵守する、これは当然のことだと存じておるわけでございます。 しかしながら、先ほど御指摘ございました串本漁港改修工事の執行について問題が提起されておるということは、まことに遺憾であると存じておるわけでございます。業界みずからがその使命を自覚し、襟を正されることは望むところでございますし、(中略)県としては、県工事の発注については、当然のことながら、さらに一層厳正な入札執行に努めてまいる考えでございます」。磯村土木部長、「刑法上のいわゆる談合罪と独占禁止法の私的独占または不当な取引制限の規定について、議員御質問の調整行為がそれぞれの法律に違反するかどうかは、公正取引委員会等、関係機関によるべきところであると考えます。 県としては、公正で公平な入札を執行する意味からも、去る十一月十七日付で、串本地区土木協同組合に対し、文書による警告を行ったところであります。 いずれにしても、現在提訴中であり、公取委より談合であるとの判断が出た場合には、関係者に対し、指名停止等、厳正な処分で臨む所存であります」。以上が十二月県議会における答弁であります。
 御承知のように、本問題は、串本地区建設業者が工事入札における話し合いが決着困難または決着のつかない場合にかけられる、みずから設けている同業者九人で構成する調整委員会の調整、裁定に従わなかった三業者に対し工事用の生コン供給をストップするという前近代的な制裁措置に出たため、三業者は人権侵害、名誉棄損、威力妨害、独占禁止法に違反する行為であるとして昨年の十月二十一日、公正取引委員会大阪事務所に提訴に及んだものであり、これを受けた公正取引委員会は、直ちに十月三十日、三十一日、十一月一日と現地に入り、これが事情聴取に及んだが、その速やかな対応に比し、いまだにその結果報告はなされていないのであります。あれからもう四カ月余り、やがて五カ月になりますが、ナシのつぶてであります。ところが、この法にはいつまでに結果報告をしなければならないという期日が明記されていないので、今なお放置されているのが現状であります。行政担当の土木部長は、先ほど読み上げましたように、「現在提訴中であり、公取委より談合であるとの判断が出た場合には、関係者に対し、指名停止等、厳正な処分で臨む所存であります」と答弁し、いたずらに日月の推移を見守るにすぎないというのが現状であります。
 そこで私は、次の質問をいたします。
 その一つは、土木部長は、法に照らし、法どおり、それをじっと見守っていくということは、ある意味では大変正しい行為であろうかと思います。しかし、一度だって串本土木を訪れて関係業者にそういったことについての事情を予断を排して聞いてやったことがあるかどうか、このことをまず聞いておきたいのであります。
 二つ目には、提訴した者、提訴された者、それは敵対関係にある、しかしながら同じ町内に住んでいる、どっちがいい、どっちが悪い、そういう中でただ漫然と時を過ごしていく、そういうことが行政としてあっていいのだろうか。むしろ、行政はどちらの見方をするというのではなく、どちらの意見も聞いて、そして和解ができるものだったら和解を進めてやっていくということに踏み込んでいくことは行政の枠を逸脱した行為になるのだろうか、私はそうは思わないのであります。土木行政のそれらの考え方についてお尋ねをしておきたいのであります。
 次に、天神崎の問題に移りたいと思います。
 三月八日の県議会の質問で鈴木俊男議員は、「最近のリゾート開発ブームの中で天神崎にも開発の動きが出ていると警戒をしていたやさき、特別地域内の一部がひそかに開発業者二社に転売されている」と指摘し、「天神崎の自然を大切にする会、あるいはこの運動のために寄附をされた全国の協力者の方々、そしてこの運動をバックアップしてきた田辺市や県に対する明らかな挑戦であると思うのであります。(中略)保全が必要な地域だけでも、地方自治体がバックアップして買い上げる」べきだとただしたのに対し、知事は、ナショナルトラスト運動の日本第一号としても天神崎は大切だ、保全地域の範囲はどの部分かを、田辺市や自然を守る会の意見を聞きながら県としても対応していきたい旨の答弁をされたところであります。
 また、三月十一日、現地、天神崎を視察した貴志代議士は、「長期的な保護のためには法規制が必要。かといって、住民に迷惑がかかってはいけない。土地の買収も含めて超党派で──ここが大変大事なところであります──国に保護措置を訴えていきたい」とその感想を発表し、貴志代議士は近く開かれる衆議院の建設委員会において本問題を取り上げるとのことが、既に三月十二日の新聞紙上で大きく報道されたところであります。
 前後するが、三月七日、田辺市議会においても一般質問としてこの問題が取り上げられ、生駒田辺市長は、「開発は断る方法がない。土地を買い取る力がないので、国に対し保全を働きかけている」旨の答弁を行ったところであります。
 業者が開発を目的にこの特別地域内の土地を買うのはとにかく悪だと一方的に決めたところで問題の前進や解決にはならないにしても、開発業者二社がこの土地の一部を取得するに当たり、県に対し開発の可能性等について問い合わせがなかったのかどうか。あったとすればどう答えたのか。業者は開発可能性ありと判断して購入したのではないか、ただしておきたいのであります。
 揺れ動く天神崎、今県民は、開発と保全をめぐる価値観の相違とその成り行きを注目しつつあります。開発行為は一般的には営業または俗に言う利益追求を目的としているが、保全行為は何に対し、何の目的で存在するのか。この場合は、天神崎周辺に生息している約五百種に上る海洋生物を広く子供たちに生きた自然教育の場として残したいという、自然保護と自然の価値を高めたいという、心というか広い意味での教育文化の保全の立場であります。教育委員会はよく聞いておいてください。
 ここに来て、我々はどちらの立場をとろうとするのか。私は、繰り返し申し上げますように、開発は必ずしもすべて悪いといった説はとらないのでありますが、残すべき価値あるもの、守るべき価値あるものは開発を避け、鮮明に保全すべしと思うのであります。また、法の限界内で規制し切れないこの問題は、より高い次元で措置すべしと思うのであります。そしてその手法は、まさに超党派の立場に位置づけ、全体として県政も市政もそれぞれの区分を明確にして、国に対しその対応を迫るべし、お願いをすべしと思うが、知事のいま一度の踏み込んだ答弁を求めるものであります。
 以上で、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 熊野古道、古道ピアと今後の方策についてでございます。
 ことしは、ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーンの仕上げの年ということで、全国展開のキャンペーンを古道ピアで実施しているわけでございます。
 お話ございましたように、実施について、地域の特性をどう生かすか、地域の皆さんにいかに参加していただくか、このことが私は大きな成功の要因だと思うわけでございます。古道ピアにおいて、そのように努めてまいりたいと考えております。
 また、このキャンペーンの特色は、王子社の復元、モニュメントの建設といった将来に残る観光施設やソフトの充実でございまして、観光に対する新たな取り組みの契機にしていきたいと思っております。地元においても、このキャンペーンを機にいたしまして新たな機運が盛り上がっておりますし、私も大いにそれを期待するわけでございます。
 現在、本宮町、大塔村、美山村に建設された観光情報物産センターの「紀の国新王子」における地元産品の販売が好調と承っておるわけでございます。土産品の開発などを含め、このような形で今後いかに地元の活性化のために結びつけていくかという点についても、相ともども検討し、研究を進め、一過性に終わらせることなしに進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、天神崎の保全の問題でございます。
 天神崎は、市街地から近い景勝地でございまして、また動植物が豊富に生息する地域で、田辺市民はもとより全国からも高い評価を得ておる貴重な地域でございます。そしてまた、ナショナルトラストの皆さんが大いに頑張っていただいていることに敬意を表しているということを鈴木議員に対する答弁でも申し上げたところでございます。
 今後、天神崎の開発申請があった場合、その内容に応じて厳しく対処していくとともに、田辺市、天神崎の自然を大切にする会等の意見も十分に聞き、その保全策についてともども検討してまいりたいと考えてございます。
 また国に対しても、環境庁も天神崎について非常に関心が深く、再三にわたり視察もしているわけでございます。だから、ナショナルトラスト運動をなお推進することはもとよりでございますけれども、天神崎の支援についても要望をしてまいりたいと考えております。
 それから、県への問い合わせの件については私存じませんので、商工労働部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、紀南地域の企業誘致の件でございます。
 紀南地域や県下の過疎地域への企業誘致については、御承知のように、大都市部からの遠距離にあることや交通アクセスが未整備など、立地的には恵まれておりません。そうした地域への企業立地を促進するため、特に紀南地域等企業導入促進事業を昭和六十三年度から実施いたしてございます。ちなみに、六十三年度以降の県下全体の誘致件数は二十五件でございます。うち過疎地への誘致は、美山村一件、すさみ町二件、古座川町一件、本宮町一件の計五件で、百人以上の雇用を創出し、将来、二百人以上の雇用を見込んでいるところでございます。
 県といたしましては地域のバランスを考慮しながら立地促進を行っておりますが、議員御指摘のとおり、企業導入の正否は市町村の取り組み姿勢によって大きく左右されるのが現実でございます。
 こうしたことから、今後さらに市町村との連携を密にし、立地促進を図るため、昨年四月、全市町村参加で経費も負担していただき、和歌山県企業立地連絡協議会を設立いたしました。今後とも、この機関を通じ、市町村の受け入れ態勢の整備等を強く指導し、積極的に企業導入に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、天神崎の開発可能性等についての問い合わせの件でございます。
 観光課の記録によりますと、先ほど申されました関係二社のうちの一社から、去る二月二十八日に電話照会がございまして、第三種特別地域としての規制内容の説明とあわせて、この地域がナショナルトラスト運動の土地であり、地権者の方々等に開発を差し控えるよう協力をいただいている経過のあることを説明したところでございます。
 なお、このときは既にこの会社が移転登記済みであることを私ども確認しております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 過疎地域活性化推進の問題でございます。
 浜本議員が言われるように、それぞれの地域が意欲的に地域活性化に取り組むことが非常に大切なことでございます。自主・自立の精神に基づいた町づくり、村づくりを、県、関係町村ともども力を合わせ、一体となって積極的に取り組まなければならないと、私も考えております。
 お話の中にございました過疎地域活性化推進モデル事業は、森林、温泉などの地域資源と人づくりについての調査研究やイベントを行い、過疎地域活性化のためのモデル方策を策定する事業でございます。国の新規事業として全国で十地域実施され、これに対して全国から百二十カ所の要望があったわけでございますが、本県は政府要望の中で特に強く要望をし、一地区指定される予定でございます。単年度事業でございまして、事業費は一千万円、うち国費が五○%、事業主体の町村が四○%、県費の一○%を今議会にお願いしているものでございます。
 今後、新しい過疎法施行の中で、このモデル事業の成果をも十分生かして、山村過疎対策の一層の充実を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、道路と企業誘致についてでございます。
 国道三百七十一号の中辺路町から龍神村の間については、現在、交通不能区間の解消を図るべく鋭意事業の進捗に努力しているところであります。
 御質問の二川─温川間約三・八キロメートルは、幅員が狭く、大型車の通行が困難な隘路区間もありますので、現在、改良計画について調査を行っているところであります。今後、町当局とも協議しながら調査の進捗を図ってまいりたいと考えております。
 なお、全面的な改修には日時を要しますので、当面、大型車の利便性が向上するよう、待避所の設置、交通隘路区間の解消等の対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、議員御指摘の串本地区の談合問題については、落札後、関係者から公正取引委員会に提訴され、その判断が既に同委員会にゆだねられている状況でありますので、法違反かどうかの判断はその結果を待たざるを得ないものと考えております。
 なお、両者の言い分を聞いてということでございますが、このことについては、現在の混乱を業界の自主的な努力によって収拾し、業界の適正化が図られるのが望ましいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 森林浴の森の創設等についてお答えを申し上げます。
 本県のリゾート整備の考え方については、昭和六十三年に和歌山県リゾート開発基本構想を策定いたしまして、県下のリゾートの方向を海洋型、山岳高原型、都市近郊型の三つのタイプに分類いたしまして、それぞれの地域のリゾート整備の方向を位置づけてきたところでございます。
 山岳高原リゾートゾーンは、日本人の心のふるさとである高野山、熊野三山の歴史、宗教、文化と森林や清らかな水の流れと渓谷美、各地にわき出る多様な温泉といったすぐれた自然、さらに地域に根差した伝統的な文化や各種の特産品を十分活用しながら、心身のリフレッシュできるリゾート地の形成を目指しているところでございます。
 こうした基本方向に沿って、山村地域が持っている豊かな森林、静寂な環境等の資源を活用して、森林浴の森やスポーツ施設などのレクリエーション機能を持った山村にふさわしいリゾート整備を幅広い角度から検討して、この整備を通じて過疎地域の対策、ひいては地域の振興に資してまいりたいと考えてございます。
 なお平成二年度は、内陸地域リゾート形成促進事業として、意欲的な市町村の参加を得て、内陸部のリゾート地の形成を促進するための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 一番最後の企画部長の答弁、質問者よりもすぐれた立派な答弁をいただき、ありがとうございます。
 山岳リゾート、森林浴の森の創設ということ、これは農林水産部でも、そういう森林浴の森の創設という予算を今回は計上してございますか。
 先ほど、「全国に誇る」という表現を使ったんですが、もっと俗っぽい言い方をすれば、日本一の森林浴の森を和歌山県につくったらどうなという、平たく言えばそういうことを申しているわけであります。
 私は、東京のディズニーランドへ毎年一回行きます。これで三年目ですが。ことしは、大事な年であるので行きませんけれども。東京の方へ行けばディズニーランドがある。しかし、南の方の和歌山へ行けば日本一の森林浴の公園がある。そこにはスポーツ施設もある、ゴルフ論がとかく議論されておりますけれども、そこにはゴルフ場がある、菜園がある、そしてホテルがある。いわば民間企業を導入した形での森林浴、そういうものを行政が一体となって取り組むべきではないかということを申し上げておるのであります。そういう夢を現実のものにしていく。
 そういった視点から見ると、海にばっかり精を出しているような感がしてならんのです。海に精を出しているのは結構でございます。そのことを、私は否定をしてはございませんけれども。何かリゾートと言うと「燦黒潮リゾート」、海にばっかり力を入れている。山の方は、もう忘れたんかいなあ。高野山あそこにあるわ、龍神あそこにあるわ、本宮にもあるわ。それは、もともとあるだけの話や。しかし、自然、宗教、文化、そういうものを近代の形にした森林浴の森、これはやればもうかるでしょうね。もうかるという言葉、ちょっといけませんけれども。しかし、人がした後でしてもあかん。よその県が三つ、四つとした後で和歌山県が八番目ぐらいにしても、これは人は相手にしてくれない。そういう形でのものをすべしということを述べておるのでありますが、私の意見を述べて質問はやめたいと思います。
 企業誘致の問題であります。
 二年前だったですか、すさみ──私は「すさみ」という言葉をやたらに申しておりますけれども、それは来年度のための対策でやっているんではないんです。私は、何回やっても、すさみは六番であります。一番あかんところでありますから。どうぞほかの先生方、特に西牟婁の先生方は安心していただきたい。なぜ言うかというと、すさみ町には不思議と企業立地が行われる。それは一体なぜか。
 例えば、佐本というところがある。白浜からすさみへ行って、佐本へ行って、そしてちょっと用事をして帰ってくると、もう夕方になります。それほど奥深いところであります。しかし、そこにも高級紳士服の企業が、県の紹介で来年度できる。地元雇用を中心にした五十名の人でそれができる。そして、前に大江康弘さんが言われたオリムピック工場の誘致だとか、そういうものが盛んにすさみでは行われている。それはなぜかと言うと、特に町政のあり方がすぐれているからだと思うのであります。そういう旺盛に取り組んでいく姿勢に県は真正面からこたえている。これが、五十名の縫製工場の実現ということに相なっておるわけでございます。
 二年前だったか、釣り具を生産するオリムピック工場がオープンしたときに、私どもも呼ばれましたので行きました。そのとき知事は、その町の盛衰のかぎは人口の増減にかかっている、そのような意味においてもこの企業の進出は人口の増加を裏づけるものでまことにうれしいという意味──もっと上手に演説されましたが。
 先ほど述べましたように、今度、佐本という、あんな遠いところにでもできる。でもと言ったら失礼ですが。そこの点を、もっと県は認識をしていただきたいと思う。こういうようなこと、議場では言うべきでないと思いますが、言います。言うても来んようなところはほっとけ、自立と共生、一生懸命にやろう、ともにやろうというところには、ぼんぼん県費も出し、町費も出しなさい、そういう形の中でやっていただきたい。非常にラジカルでございますけれども、私はそのことを特に申し添えておきたいと思います。
 六十三年以降の全県の企業進出は二十五件だという。紀南地方の過疎地は美山村を含めて五件。二十五分の五です。とりようによっては、たった五つかよ、やっぱりあかんのやな過疎地というのはと、そういうことにもなりますけれども、私は失望しない。どんな小さな企業であっても、その積み重ねをより一層指導し、督励をして、今後とも一生懸命に頑張っていただきますように、特に要望をしておきたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は御意見、要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十二分休憩
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