平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 七 号
 
 三月 十五日 (木曜日) 午前 十時 五分 開議
  午後 一時五十五分 散会
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議 事 日 程 第七号
  平成二年三月十五日(木曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第七十号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第七十号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
 第四 休会決定の件
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出 席 議 員(四十三名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
 20 番 石 田 真 敏 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第一号から議案第七十号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 おはようございます。万雷の拍手をいただきまして、ありがとうございます。今議会の一般質問日程の最終日でございますので、短時間で質問を行いたいと思います。
 まず初めに、平成二年度予算全般につきまして幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 平成二年度は、本県にあって二十一世紀の和歌山を展望した長期総合計画のもとでの第一次中期実施計画の仕上げの年であると同時に、この十一月には仮谷知事第四期県政スタート以来四年目に入る極めて大切な年となります。この大切な段階を迎えた予算編成でありますから、知事としても相当な覚悟と自信を持って当たられたことと確信しているところであります。
 予算の姿を概観いたしますと、初の四千億円突破、十一年ぶりの伸び率ということで、県予算を報じた新聞記事の中で「攻撃型」という見出しをつけたものもございましたが、確かに積極的というか強気の予算であると感ずる次第であります。このことについては、第一に積極型予算の中身の問題、第二に積極型予算を組むことができた財源面の根拠の両面から質問する必要があると考えます。
 まず積極型予算の中身でございますが、予算書をざっと眺めましても、特にビッグプロジェクトを中心として投資的経費への重点配分が目を引くところであります。これら大規模プロジェクトについては、南紀白浜空港本体土工事の開始、和歌山マリーナシティ埋め立ての開始、新美術館・図書館の最終設計、県立医大の用地購入等、いよいよ目に見える形になってきたという実感がございます。また、近く開通する国道三百十一号新逢坂トンネル、県南北交通のためのふるさとづくり、林道水上栃谷線のトンネルや国道四百二十四号の白馬トンネルの着工等、総合交通体系上の道路網についても、その推進、進捗が見られるところであります。
 これらの積極的な取り組みには、関西国際空港の開港等に象徴されるように、我が和歌山県の新たな飛躍の絶好のタイミングを決して失してはならないという知事の並み並みならぬ決意のほどがうかがえる次第であります。県勢の活性化のために知事を初め県当局が一丸となって努力されていることに対して敬意を表するとともに、我々議会に籍を置く者として最大限の協力を惜しまぬことを、改めて申し上げるものでございます。ただ、大胆な取り組みであるがゆえに、若干心配の残る点もございます。
 まず一つ目の心配は、このように急テンポで増大する事業を計画どおり推進、消化することができるのかという重大な問題であります。
 投資重点という予算を編成したとしても、事業の実行が伴わないとすればどうしようもありません。当該年度中に事業を終えることができず翌年度に繰り越さざるを得ない事業が年々かなり多くなってきており、その理由としては大半が用地買収の困難性であると聞きます。有効利用面積が少ない本県県土において、とりわけ地価急騰の現状のもとでは用地の買収が極めて困難となっており、担当職員の苦労も大変なものと考えますが、いずれにせよ、事業費をふやす一方で事業進捗、特に用地買収のための抜本的な対策を講じなければならない時期に来ているのではないでしょうか。ネックとなっているのがどの辺にあるのか。
 例えば、用地買収担当の職員体制が不十分なのか、公図混乱や地籍調査のおくれなのか、代替地等のストックが不足しているのか、やはり最終的には買収単価の問題なのか等々、私としてはいろいろ想像もしているところでありますが、知事としてどのように現状を認識し、その対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
 二つ目の心配としては、将来の財政負担の問題であります。
 大規模なプロジェクトを推進するに当たっては、当然のことながら、それぞれの事業について全体計画があり、その計画に沿って各年度の予算措置を行うこととなっているはずであります。ですから、先行きの財政負担についても一定の目途を持っておられることと思います。ただ、投資的事業を行う場合の財源は、県債すなわち借金を充てることとなるわけであり、とりあえず当該年度における県費の負担はないことから、ややもすれば思い切りのよ過ぎることとなりはしないか、生来、小心な私としては、どうしても心配してしまうのであります。このような心配に対して、知事はどのように説明し、我々を安心させていただけるのか、お尋ねしたいと思います。
 さらなる心配事としては、事業費の大きな伸びがちゃんと全体的な事業進捗につながっているのかという問題であります。
 わかりやすい例として、道路予算について申し上げます。
 毎年度、道路予算額を何%伸ばしておりますというような説明をお聞きするわけでありますが、皆さん御存じのように、地価が急騰しているために、その分、用地取得費がかさんでいるはずであり、さらには人手不足から人夫賃も高くなる。そういう状況のもとで、金額面での事業進捗より、何メートルの道路新設や改良がなされたのかという実態面での事業進捗が大変心配になるところであります。その辺のところ、土木部長としてどのように考えているのか、答弁を願いたいと思います。
 次に、積極型予算についての二つ目の側面、財源面の根拠についてであります。
 その中でも、二年度は税収の伸びがとりわけ目立つのであります。税収総額で九百四十五億円、対前年度一八・一%増となっており、聞くところによると、この数字は四十七都道府県の中で第一位とのことであります。それ自体は大変結構なことと喜んでおります。
 その内訳として、増加額、伸び率双方で大きいのが法人事業税であり、これだけで六十億円を超える増収、対前年度二○・七%増とのことでありますが、従来からこの税金が税収全体を左右すると言っても過言ではなかったわけであります。その中でも、特に鉄鋼、石油、電力のいわゆる大手三法人の業績の動向に大きく左右されてきたのが実情であり、これらの企業が好調なときは税収もよい反面、そうでないときは反動も大きく、要は税収の安定性が乏しいことから、たとえ二年度の税収がよくても手放しで喜べないということになるわけであります。
 また、本県で百億円を超える税収を上げているもう一つの税金に個人県民税があります。本県人口が全体として減少しているときに老人の人口がふえているということは、税金を払っている労働人口がかなり減っているのではないかと推察いたしますが、法人事業税の次に重要な税収であるこの税金の先行きについても大変心配の残るところであります。
 歳出面で種々の事業を展開することによって企業活動等が活性化し、さらに人口もふえていく、その結果、税収の増加にはね返ってくるという循環が理想的でありましょうが、いずれにせよ、財政を論ずるイロハのイは歳入、特に税収を把握することであると思います。二年度における大幅な税収の伸びを見て、県経済の動向を踏まえた今後の見通しや税収構造のあり方についての所見を総務部長にお伺いいたします。
 さて、以上いろいろと心配事を申し上げたわけでありますが、やはり夢のあることも申し上げ、議論しなければなりません。
 知事は、議会冒頭の演説の中で、「九○年代最初の予算であり、予算執行を通じ、活力のある『ふるさと和歌山』への新たな離陸に向けてエンジン始動に全力を傾注する」との意気込みを示されたところであり、今申し上げたような幾つかのハードルを乗り越えて、必ずやそれを実行されるものと確信するところであります。特に知事には、行政の長として、県民に豊かな暮らしを保障するだけでなく、政治家として県民に夢、そしてロマンを与えるという重大な使命があります。その意味でも、二年度予算における積極的な取り組みを二十一世紀に向かってなお一層膨らませていただきたいと思う次第でありますが、知事の胸の中に今後進めたい新たなプロジェクトがあるのか、将来の和歌山についてどのようなビジョン、構想を持っておられるのかについてお伺いして、予算全体についての私の質問を締めくくることといたします。
 次に、関西国際空港問題についてであります。
 県議会において、昭和六十一年九月議会には「関西国際空港の国内便大幅確保に関する要望決議」、平成元年二月議会には「関西国際空港全体構想の早期実現に関する要望決議」、六月議会には「大阪国際空港廃止に関する要望決議」を行っております。
 このような県議会の取り組みを受けて、我が党の坂井弘一衆議院議員が、昨年十二月に「関西国際空港建設等に関する質問主意書」を提出し政府の見解をただしたところ、本年一月に回答がなされました。
 その主な内容は、関西国際空港の全体構想については、「昭和六十三年度から近畿圏における航空需要予測、関西国際空港株式会社の長期的な収支の分析等の基礎的な調査を実施しており、今後、同調査の結果や大阪国際空港のあり方についての検討結果を踏まえ検討することとしている」との回答でありました。
 大阪国際空港の存廃については、「大阪国際空港騒音調停申請事件に係る昭和五十五年の調停条項に基づき所要の調査を行っているところであり、今後、同調査の結果を踏まえ第六次空港整備五箇年計画の策定作業に併せて検討を行い、速やかに結論を得ることといたしたい」との回答でありました。
 関西国際空港の国内便確保については、「関西国際空港は我が国の国際・国内航空輸送網における基幹空港として設置される空港であることにかんがみ、同空港の国内線の便数については、このような機能を発揮し得るものでなければならないと考えている」との回答でありました。この回答は、政府において閣議を経て文書でなされたものであります。
 このような回答がなされたことを受けて、本議会で再度、大阪国際空港の存廃と関西国際空港の国内便確保の問題、並びに関西国際空港の全体構想について質問をいたします。
 まず、大阪国際空港の存廃と国内便確保についてであります。
 国内便確保に対する政府の回答は、国内線の基幹空港としての機能を発揮するだけの便数は確保するとの回答であります。関西国際空港が国際線を中心とした空港になって、成田空港の二の舞にならないかとの危惧があったわけでありますが、この回答により、まずは一安心できることになります。しかし、大阪国際空港の存廃問題は本年中には結論が出されるとの回答でありますし、その結論も今日までの経過を見ますと存続の結論が出されるのではないかと思うのであります。
 私は今まで、大阪国際空港の存廃と国内便確保について、本会議あるいは委員会において私の考え方を述べ、仮谷知事を初め当局の考え方をただしてまいりました。大阪国際空港を廃止すれば関西国際空港の国内便は十分確保されるとの考え方から、今日まで大阪国際空港の廃止を訴えてまいったわけでありますが、先日、鈴木議員がおっしゃいましたとおり、まだ存続の結論は出ていませんが、大阪国際空港存続の流れをとめることは大変難しくなってまいりました。
 そうした中で、今後、和歌山県としては大阪国際空港の存廃にかかわらず、いかに関西国際空港に国内便を多く確保するか、とりわけ羽田空港との便数を確保するかが重要になってまいります。その場合、便数についての明確な目標が必要になってまいるわけでありますが、私はやはり三案で示されたとおり、四割程度は国内便が就航しなければならないと考えておりますし、特に羽田便については、大阪国際空港は一日十五往復ありますが、それと同程度あるいはそれ以上の便数の確保が必要であると考えております。
 知事としては、どの程度の国内便が確保されればよいとお考えなのでしょうかとお伺いをいたしたいと存じておりましたが、知事の運輸省に対する戦略があると思いますので、改めて知事の国内便大幅確保に対する御決意のほどをお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、関西国際空港の全体構想についてであります。
 全体構想については、「検討中である」ということだけの政府の回答でありますし、先日、就任した岐阜県選出の大野運輸大臣が「関西国際空港の全体構想よりも、中部国際空港の方を先にする」との発言をしたとの報道がありました。知事読まれましたか。二階さんが政務次官になったということだけを喜んでいてはだめですよ。海部総理も愛知県の選出でありますし、今の風向きは関西国際空港の全体構想よりも中部国際空港に向いているような感触が強くあります。このような情勢でありますので、全体構想早期実現への道のりは大変険しくなってきております。
 聞くところによりますと、政府特に大蔵省は、関西国際空港の全体構想の必要性は十分認識しているが、関西国際空港会社の採算性の問題があるので、その着工時期をおくらせるべきであるとの考え方のようであります。しかし、採算の問題だけで全体構想をおくらせてよいとは考えられません。この関西国際空港会社の採算性の問題については、関西国際空港株式会社法などの法的な問題もあり、法律改正が必要でありますが、全体構想の横風用の補助滑走路と本体部分との間の内海を埋め立て、その土地を分譲あるいはリースすれば相当の収入が得られますので、何ら問題にすべきではないと私は考えております。
 それよりも、私は昨年の九月議会で申し上げましたし、関西国際空港会社の幹部も申しておるように、横風用の滑走路がなければ風の強い日には夜の便は日本に着陸できないことになりますし、一本の滑走路だけであれば、その滑走路が使用できない不測の事態にも対応できません。諸外国の主要な国際空港を見てみましても、滑走路一本の空港はどこにもありません。また、世界の国際空港は二十四時間空港であります。成田空港は、そういうことからすれば本当の国際空港ではないのであります。我が国初の二十四時間空港である関西国際空港こそが、世界に誇れる我が国の国際空港であります。その国際空港を一本の滑走路だけで長期にわたり放置するということは、世界じゅうから奇異な目で見られることは明らかであります。
 しかし、今の政府に関西国際空港に対する風向きを変えるためには、このような理論だけでは無理であります。鈴木議員の発言のとおり、関西の政治力の総力を結集して取り組まなければなりません。航空審議会の中間報告が出るまでに関西の熱意と底力を示す必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 平成二年度予算について、いろいろな角度から御意見なり質問をいただいたわけでございます。
 第一点として、多くのプロジェクトがあるし、急テンポで事業が増大している、これを消化する上での現状認識と対応ということでございます。
 お話ございましたように、事業を推進する上で一番の問題は用地交渉でございます。その用地交渉の中で用地買収が円滑に進んでいない理由としてさまざまな御意見をいただいたわけでございます。そのようないろいろな原因がふくそうしておるということを十分認識しております。この対応、体制については、先日来いろいろ御意見ございましたし、私も述べさせていただいたわけでございます。
 まず用地交渉について、現在の地価高騰は、県の対策もさることながら、国の対策ということも大事だと存じておるわけでございます。基本法の制定に伴っての諸施策が進められるとともに、県内対策としても、従来の多くのプロジェクトについて、地元の皆さん方の協力、支援を得ているわけでございます。そうした面において、なお一層積極的な御支援をいただくのは当然でございますけれども、現在、県、市町村、国から成る県の用地対策連絡協議会というのをつくっておりまして、全県下的な共通問題として取り組んでおるわけでございます。このレベルアップを図るとともに、庁内の関係部局で構成する公共用地取得促進対策委員会において、そうしたふくそうする問題を検討しておるところでございます。
 今後とも、事業促進についてなお一層積極的な姿勢、体制、また取扱要領で、代替用地の確保等にも取り組んでまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、二年度予算で投資的事業に係る財源的な見通しでございます。
 お話のように、私たちもこの財源をいかにするかということに一番苦慮しているわけでございます。しかし、これらはやらなければならない重要な事業でございます。しかしながら、後年度に大きな負担を残さないようにするために、現在、予算編成において全体事業計画を踏まえた作業を行っているところでございます。これらの事業を推進することによって、本県産業の活性化が図られ、経済への好影響が期待できるところでございます。
 その推進に当たっては、第一に、国庫補助事業の優先採択等、国に対する積極的な働きかけ、第二に、ふるさとづくり、地域づくり事業等、国の財源措置のついた県債の活用、第三に、第三セクター等、民間活力の導入、第四に、基金の有効活用による年度間の財源調整、このように県財政の負担軽減のため、引き続きできる限りの工夫を行いまして、御指摘のように計画的な財政運営に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 次に、二十一世紀に向かっての今後の進めたいプロジェクト、将来の和歌山についてのビジョンでございます。
 社会経済情勢の変化に対応するとともに、県民の皆さん方の負託にこたえるために、現在、第四次長期計画では、その目標年次を西暦二○○○年とし、県土の均衡ある発展と県勢の活性化を図るために「活力と文化あふれるふるさとづくり」を基本目標といたしまして、今二十世紀から二十一世紀へのバトンを渡す重要なときを迎えて、計画達成に向け、全力で取り組んでいるところでございます。まさに今、関西国際空港が本県の至近距離のところに立地し、大阪湾のベイエリアのポテンシャルが高まりつつある現在でございます。また、南紀白浜空港のジェット化整備が平成六年に完成する中、自然資源に恵まれたアメニティーの高い本県は、関西創生のかぎを握っているものと確信しておるところでございます。
 こうした好転しつつある環境のもとで、県内交通体系の整備を図るために、高速道路の南伸を初め、ヘリポートのネットワークを含む陸・海・空一体となった総合交通体系の整備を進め、県内各地を有機的に連結する二時間交通圏の確立を図るとともに、高度情報化社会に対応する情報ネットワークの構築を進めてまいる所存でございます。こうした基盤整備をもとに、関空を中心とした臨空都市圏、南紀白浜空港を中心とする臨空都市圏を核として、国際的にも適応するリゾート地の形成など、六つの定住圏のそれぞれの地域の特性を生かした新たな展開を図り、県民一人一人が真に豊かさが実感できる、ハード面においてもソフト面においても充実したふるさとづくりを行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 次に、関西国際空港問題についてでございます。
 お話ございましたように、全体構想の早期実現、国内便の大幅確保について、坂井代議士が国会に対して質問主意書を提出されるなど積極的に取り組んでいただいていることについて、私も非常に感謝しておるところでございます。
 関西国際空港の国内便確保について、政府の回答もございましたように、国内線の基幹空港としての機能を発揮できるだけの便数が確保されるものだと確信しておるわけでございます。そうした点を踏まえて、話ございました国内便の確保については、引き続き運輸省、また議会における空港対策特別委員会等の意見も聞きながら対処してまいりたいと思います。
 また全国構想の実現についても、非常に厳しいとのことでございまして、私もさように存じておるわけでございます。六次空整については、航空審議会の中間答申が出る夏ごろまでが最初の山場になると考えておるわけでございます。そうした面において、県内はもとより、大阪の政財界一致して当たらなければならないということ、ごもっともでございます。その点について、なお一層努力してまいりたい。いずれにいたしましても、ことしが勝負の年だと思います。
 幸い、国会において、自民党の中西さんは副幹事長、そしてお二人が政務次官の要職にございますし、公明党でも坂井さんが国対委員長、また県内の事情に詳しい社会党の貴志さんが建設委員会におるわけでございます。現在、こうした衆参両議員の優秀な皆さんがおるわけで、私は一番格好のときではないかと思うわけでございます。県会の皆さん方のなお一層の協力を得て、これが推進のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 地価高騰などの状況下での事業費の伸びと実態的な事業進捗についてでございます。
 従来は、事業費の伸びと事業量はほぼ比例してきたところでございます。これは、建設省が調査をした建設工事デフレーターを見ましても、昭和五十五年から平成元年三月までの過去九年間で二・八%の上昇にとどまっております。また地価の変動率については、昭和五十七年から五十八年にかけては六から七%の伸びを示しましたが、その後は一から三%と安定的に推移してきたところでございます。しかしながら、最近の急激な地価高騰、代替地の要求、地権者ニーズの変遷等、ふくそうしてきたことから、事業の執行にそごを来すことを懸念しているところでございます。
 今後、事業費の確保に努め、用地取得に全力を注ぐとともに、設計・施行においてもより合理化を図るなど、事業の効率的な執行に努力をしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 財政を支える財源の問題でございます。
 健全な財政運営を行うには財源の確保、特に安定的な県税収入が望まれるところです。平成二年度の予算については、県税収入に一番大きなウエートを占める法人二税で、製造業、金融業、建設業など全般にわたり好調に推移していること、また県民税利子割、自動車二税についても大幅な伸びが見込めることが大きく影響して、元年度に比べ一八・一%と大幅な伸びを見込んだところでございます。今後の見通しや税収構造のあり方については、御承知のとおり、本県の税収構造から見て素材型産業の比率が低下したとはいえ、他府県に比べなお高い水準にありますので、今後の経済動向のいかんによっては県税収入に大きな影響も考えられるところでございます。県税収入による安定的な財源を確保するためには、加工組み立て型の企業誘致の積極的な推進や産業構造の高度化など、均衡のとれた県経済の基盤の拡大に今後とも努めていく必要があると考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、渡辺勲君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 まず過疎地の現状と今後の対策について、二つ目は串本地区土木談合問題とその対応について、三つ目は天神崎保全問題について、三点質問いたします。
 雨の降るある秋の日、私はたまたま招かれるままに、西牟婁郡内の奥深い山里の祭りに行く機会を得た。この里の秋祭りは、獅子舞を回す者、笛を吹く者、太鼓をたたく者、祭りの役員さん等も含めて三十名もいただろうか。紅葉したこの里の木々は雨に光り、川を隔てた対岸に並ぶ数戸の家々を囲む周りの紅葉は一幅の風景画にも思えた。かつて百名の児童生徒が通学していたこの里の小学校は十数年前廃校となり、今は工場の作業場になっていた。過疎地の村祭りは、人々の郷愁を誘い、人々の心を和らげるけれども、笛の音や太鼓の音が遠ざかるにつれて、私は物悲しい秋を思った。過疎地の現実は、明治以来、村々で守り育ててきた数多くの小学校を廃校に追い込み、村の基幹産業であった林業は疲弊し、若者はいや応なしに村を捨てて都市に流れ、人口は激減し、該当町村の財政を今もなお圧迫し続けております。
 一例を西牟婁郡中辺路町の小学校数と児童生徒数に求めるならば、昭和三十五年、今から三十年前でありますけれども、小学校数十三校、児童生徒数千四百三十名だったが、平成二年の今は小学校数三校、児童生徒数二百八十三名であります。このような状況は県下の過疎地押しなべての現状ではありますが、働く場所がない。だから、若者や人々は生活の場を求めて村から去っていくのであります。
 先日行われた衆議院選挙で、ある候補者はその戦いのスローガンを、「地元に産業を 若者に未来を」と掲げた。私は、このスローガンというか政策は時宜にかなったすぐれた呼びかけだと思ったが、それはさておき、先輩・同僚議員の皆様も幾たびか当議場を通じてこの過疎化に歯どめをかける呼びかけや演説、活性化への具体化を県政に求め続けてきたけれども、特効薬のないこの現状を認識しながらも、私は少し散文的な発想ではあるが、以下、数点質問をいたします。
 商工労働部長にお聞きをいたしたいと思います。
 商工労働部が六十三年度から実施している紀南地域等企業導入促進事業により、平成元年十月、東牟婁郡本宮町に染色加工工場、従業員二十名、また平成三年、すさみ町の奥深い佐本地区に高級紳士服の縫製工場、五十名の従業員を見込む進出、協定の実現に、県の指導協力のもと、今、鋭意取り組んでおり、その操業が待たれるところであります。六十三年以降における県の積極的な働きかけは全県的にかなりの企業進出、協定、操業の実施や予定がなされているが、その概数を過疎地域に焦点を当てて明らかにされたいのであります。
 と同時に、これら企業の進出において、県の努力は言うまでもないが、各市町村における取り組みの姿勢が大きく作用しているのではないかと思う。例えば、昨年の企業導入促進事業費二百余万円を、本年度はつつましくもわずか二十万円を減額して百八十万円の計上となっているが、私は該当町村からも必要経費を計上し、これが対策を図っていく積極性を喚起し、県・町村一体となって旺盛に取り組むべしと思うが、その指導理念を問うものであります。
 二つ目、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 県農林水産部は、山村振興対策の一環に過疎地域活性化推進モデル事業費百五十万を計上し、そのモデル方策を策定予定だが、私は仮称「過疎地域活性化特別措置法」に係る県下該当町村一斉にその策定への方途を講じられたいと提唱するものであります。
 私は、県農林水産部が地域活性化推進のモデル方策を行うというこの積極的な行政姿勢を評価するものでありますが、反面、該当町村が、うちの町は、うちの村はどのような活性化の方策を打ち立てようかといった、それ自身の立ち上がりこそが今一番必要なことではないかと思うからであります。そのために、それぞれの該当町村が県に対し、このようなことを考えているが、このような計画を立案中だが、ひとつ相談に乗ってくれ、指導もしてくれといった自立精神の中で、県農林水産部ともども「ともに生きる」──共生の道を樹立することが肝要ではないかと思うのであります。国、県の施策を待って事業を推進するといった方式ではなくて、我が町も、我が村も、そのためになら町費も村費も積極的に支出していくんだといった意欲的かつ一体感に立った行政態度、自立と共生、創造が必要かと思うが、部長のその指導理念をあわせて求める次第であります。
 三つ目、前段、私は村の祭りの話をいたしましたが、中辺路町中川小学校はかつて百名の児童生徒がいました。今、上田さんという方が工場を経営しております。工場というよりも作業所といった方が適切かもわかりませんが、この作業所には二十二名の地元の男女の方々が仕事に精を出しています。この作業所は、遠くはインドネシア、メキシコ、インド等からトウ、麻、ヤシの原料を仕入れ、それらをこの作業所で製品にして家庭用品として国内に販売し、年商ほぼ七億から五億──年度によって変わりますからそういう表現をさせていただきます──の売り上げ実績を上げておるところであります。この工場は、先ほど述べました県の企業誘致施策の中で誘致されたものではございませんが、山村型の加工型産業であります。すぐれた経営者と従業員の努力は、とみにその売れ行きを増大させ、今ではこの地域に住む人々にとってはなくてはならない生活の根拠地となっているのであります。
 しかし、国道三百十一号から三百七十一号に向かう分岐点、中辺路町二川地区からこの地区へは約三キロ、工場から製品を大型車で運ぶにしては、元県道・現国道三百七十一号は余りにも狭隘であります。本道路の拡幅、局部改良等については、町長、議会、地区住民代表ともども、郡選出の私ども議員も、知事、土木部長に陳情等を重ねているところでもありますが、私はここで少し発想を変えて質問をいたします。
 もし、今からこの工場をこの地に誘致するとしたならば、まず大型車で製品を運べるように道路の拡幅が最大の条件になるはずであります。どうだろうか。「企業誘致と地元住民の生活の向上を」という小さな幸せのために、この道路の早期拡幅を要請し、あえて質問といたします。
 四つ目、熊野は、日本人の心のルーツであり、「現代人をよみがえらせる宇宙的空間 奥深い神秘的なゾーンというイメージがあります。 限り無くやさしい熊野の地は、心の宇宙をつくりあげ、現代人をも安らぎの世界に誘ってくれるのです」。県文化振興課発行の「紀州おもしろブック なんでもかんでもわかやま」は、こう書き上げておるのであります。
 ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーン事業は、昨年の七千二百十万円に引き続き本年度は四千百二十万円の予算計上がなされ、その内容は観光客の誘致を図るため、JR西日本、NHK等、民間企業とタイアップし、県、市町村、観光関係団体が一体となって大型観光キャンペーンを展開するとともに、本県に残された歴史的、文化的遺産である熊野古道等を全国に紹介するものであります。
 また本年は、古道ピア事業費として二億二百九十余万円が計上され、熊野古道をメーンテーマとした古道ピアを古道関連地域で開催し、その開催期間をこの八月十八日から十月二十一日と定め、全国キャラバン八カ所、古道フェスティバル四カ所、平安村の設置等を通じ本県への誘客及びイメージアップを図るものであるが、この熊野古道にかける知事の意欲に、私はある種の感動すら覚えるのであります。
 この誘客事業は、知事提案要旨によれば、本県の有する豊かな歴史、伝統をもう一度見詰め直し、県内外の人々に知っていただくため一昨年より行われ、その総仕上げとして開催するもので、確かに本事業は歴史や文化の再認識と再発見を人々に訴える現代的価値を持ったものとして評価されるべきだが、また反面、現代観光の持つ側面、すなわち人々の躍動感やともに参加するといった行動面でのイメージに欠如していないかどうか、さらには地域住民の経済的利益を促進させ、地域活性化にどう定着させていくかといった側面をより重視し、一過性に終わらせてはならないと私は思う。今後の方策について見解をただすものであります。
 五つ目、県は今、リゾート論花盛りの中で、マリーナシティ、燦リゾート構想を打ち出し、県の立地状況に照らし、海洋リゾートゾーン、山岳高原リゾートゾーン、都市近郊型リゾートゾーンの組み立てを論理的に打ち立ててはいるが、私の見る限り山岳高原リゾートは具体的に見えない。
 「過疎地域は、温暖な気候、緑豊かな森林、清らかな河川等、豊かな資源に恵まれている。これらの資源は、国民の価値観の変化とともに見直されつつある」と、最近はだれもがそう言う。しかし、二十一世紀はあと十年であります。そのとき、現在の過疎地はなおじり貧の状態に置かれているのだろうか。あるいはまた喜々として人々は生活を楽しみ、人口が増加し、学校が一つ二つとふえていくといった状況が生まれているのかどうか。必ず後者の状態になっていると確信を持って予言する人はいないのではないかと、私は思うのであります。
 県は、本年度予算において山村の持つ特徴を生かした緑の交流空間整備費を四カ年事業として一億五千万、集落周辺森林整備費を二カ年計画事業として一億余万円等々を提案しているところであるが、それらの積み重ねを多としながらも、私は国、県ともに思い切った発想の転換に基づく政策を推進しない限り、過疎地の明るい展望は約束されないと思うのであります。
 森林整備事業は森林浴の森をうたい上げているが、私は太陽と緑、美しい大地、美しい水を誇るならば、それらを最大限に活用した全国に誇り得る森林浴の森の創設とスポーツ施設の併設、静寂と躍動、歴史と文化の発揚、訪れた人々にふるさと産品が販売し切れないような複合的なリゾート形成を今具体的に進めるべきだと思う。夢を現実のものに、なぜならば二十一世紀はもうそこに来ているからであります。見解を求める次第であります。
 以上で、過疎問題について終わりたいと思います。
 土木部長にお尋ねをいたします。
 さきの十二月県議会で指摘いたしました、いわゆる串本地区土木協同組合幹部による談合問題について、その後の経過についてただしておくものであります。詳細は省略いたしまして、まず答弁を紹介いたします。
 知事、「串本の県工事等の入札に対する県の姿勢についてでございます。 県などの公共事業の入札に参加する全建設業者が関係法令を遵守する、これは当然のことだと存じておるわけでございます。 しかしながら、先ほど御指摘ございました串本漁港改修工事の執行について問題が提起されておるということは、まことに遺憾であると存じておるわけでございます。業界みずからがその使命を自覚し、襟を正されることは望むところでございますし、(中略)県としては、県工事の発注については、当然のことながら、さらに一層厳正な入札執行に努めてまいる考えでございます」。磯村土木部長、「刑法上のいわゆる談合罪と独占禁止法の私的独占または不当な取引制限の規定について、議員御質問の調整行為がそれぞれの法律に違反するかどうかは、公正取引委員会等、関係機関によるべきところであると考えます。 県としては、公正で公平な入札を執行する意味からも、去る十一月十七日付で、串本地区土木協同組合に対し、文書による警告を行ったところであります。 いずれにしても、現在提訴中であり、公取委より談合であるとの判断が出た場合には、関係者に対し、指名停止等、厳正な処分で臨む所存であります」。以上が十二月県議会における答弁であります。
 御承知のように、本問題は、串本地区建設業者が工事入札における話し合いが決着困難または決着のつかない場合にかけられる、みずから設けている同業者九人で構成する調整委員会の調整、裁定に従わなかった三業者に対し工事用の生コン供給をストップするという前近代的な制裁措置に出たため、三業者は人権侵害、名誉棄損、威力妨害、独占禁止法に違反する行為であるとして昨年の十月二十一日、公正取引委員会大阪事務所に提訴に及んだものであり、これを受けた公正取引委員会は、直ちに十月三十日、三十一日、十一月一日と現地に入り、これが事情聴取に及んだが、その速やかな対応に比し、いまだにその結果報告はなされていないのであります。あれからもう四カ月余り、やがて五カ月になりますが、ナシのつぶてであります。ところが、この法にはいつまでに結果報告をしなければならないという期日が明記されていないので、今なお放置されているのが現状であります。行政担当の土木部長は、先ほど読み上げましたように、「現在提訴中であり、公取委より談合であるとの判断が出た場合には、関係者に対し、指名停止等、厳正な処分で臨む所存であります」と答弁し、いたずらに日月の推移を見守るにすぎないというのが現状であります。
 そこで私は、次の質問をいたします。
 その一つは、土木部長は、法に照らし、法どおり、それをじっと見守っていくということは、ある意味では大変正しい行為であろうかと思います。しかし、一度だって串本土木を訪れて関係業者にそういったことについての事情を予断を排して聞いてやったことがあるかどうか、このことをまず聞いておきたいのであります。
 二つ目には、提訴した者、提訴された者、それは敵対関係にある、しかしながら同じ町内に住んでいる、どっちがいい、どっちが悪い、そういう中でただ漫然と時を過ごしていく、そういうことが行政としてあっていいのだろうか。むしろ、行政はどちらの見方をするというのではなく、どちらの意見も聞いて、そして和解ができるものだったら和解を進めてやっていくということに踏み込んでいくことは行政の枠を逸脱した行為になるのだろうか、私はそうは思わないのであります。土木行政のそれらの考え方についてお尋ねをしておきたいのであります。
 次に、天神崎の問題に移りたいと思います。
 三月八日の県議会の質問で鈴木俊男議員は、「最近のリゾート開発ブームの中で天神崎にも開発の動きが出ていると警戒をしていたやさき、特別地域内の一部がひそかに開発業者二社に転売されている」と指摘し、「天神崎の自然を大切にする会、あるいはこの運動のために寄附をされた全国の協力者の方々、そしてこの運動をバックアップしてきた田辺市や県に対する明らかな挑戦であると思うのであります。(中略)保全が必要な地域だけでも、地方自治体がバックアップして買い上げる」べきだとただしたのに対し、知事は、ナショナルトラスト運動の日本第一号としても天神崎は大切だ、保全地域の範囲はどの部分かを、田辺市や自然を守る会の意見を聞きながら県としても対応していきたい旨の答弁をされたところであります。
 また、三月十一日、現地、天神崎を視察した貴志代議士は、「長期的な保護のためには法規制が必要。かといって、住民に迷惑がかかってはいけない。土地の買収も含めて超党派で──ここが大変大事なところであります──国に保護措置を訴えていきたい」とその感想を発表し、貴志代議士は近く開かれる衆議院の建設委員会において本問題を取り上げるとのことが、既に三月十二日の新聞紙上で大きく報道されたところであります。
 前後するが、三月七日、田辺市議会においても一般質問としてこの問題が取り上げられ、生駒田辺市長は、「開発は断る方法がない。土地を買い取る力がないので、国に対し保全を働きかけている」旨の答弁を行ったところであります。
 業者が開発を目的にこの特別地域内の土地を買うのはとにかく悪だと一方的に決めたところで問題の前進や解決にはならないにしても、開発業者二社がこの土地の一部を取得するに当たり、県に対し開発の可能性等について問い合わせがなかったのかどうか。あったとすればどう答えたのか。業者は開発可能性ありと判断して購入したのではないか、ただしておきたいのであります。
 揺れ動く天神崎、今県民は、開発と保全をめぐる価値観の相違とその成り行きを注目しつつあります。開発行為は一般的には営業または俗に言う利益追求を目的としているが、保全行為は何に対し、何の目的で存在するのか。この場合は、天神崎周辺に生息している約五百種に上る海洋生物を広く子供たちに生きた自然教育の場として残したいという、自然保護と自然の価値を高めたいという、心というか広い意味での教育文化の保全の立場であります。教育委員会はよく聞いておいてください。
 ここに来て、我々はどちらの立場をとろうとするのか。私は、繰り返し申し上げますように、開発は必ずしもすべて悪いといった説はとらないのでありますが、残すべき価値あるもの、守るべき価値あるものは開発を避け、鮮明に保全すべしと思うのであります。また、法の限界内で規制し切れないこの問題は、より高い次元で措置すべしと思うのであります。そしてその手法は、まさに超党派の立場に位置づけ、全体として県政も市政もそれぞれの区分を明確にして、国に対しその対応を迫るべし、お願いをすべしと思うが、知事のいま一度の踏み込んだ答弁を求めるものであります。
 以上で、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 熊野古道、古道ピアと今後の方策についてでございます。
 ことしは、ふれ愛紀州路・歴史の道キャンペーンの仕上げの年ということで、全国展開のキャンペーンを古道ピアで実施しているわけでございます。
 お話ございましたように、実施について、地域の特性をどう生かすか、地域の皆さんにいかに参加していただくか、このことが私は大きな成功の要因だと思うわけでございます。古道ピアにおいて、そのように努めてまいりたいと考えております。
 また、このキャンペーンの特色は、王子社の復元、モニュメントの建設といった将来に残る観光施設やソフトの充実でございまして、観光に対する新たな取り組みの契機にしていきたいと思っております。地元においても、このキャンペーンを機にいたしまして新たな機運が盛り上がっておりますし、私も大いにそれを期待するわけでございます。
 現在、本宮町、大塔村、美山村に建設された観光情報物産センターの「紀の国新王子」における地元産品の販売が好調と承っておるわけでございます。土産品の開発などを含め、このような形で今後いかに地元の活性化のために結びつけていくかという点についても、相ともども検討し、研究を進め、一過性に終わらせることなしに進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、天神崎の保全の問題でございます。
 天神崎は、市街地から近い景勝地でございまして、また動植物が豊富に生息する地域で、田辺市民はもとより全国からも高い評価を得ておる貴重な地域でございます。そしてまた、ナショナルトラストの皆さんが大いに頑張っていただいていることに敬意を表しているということを鈴木議員に対する答弁でも申し上げたところでございます。
 今後、天神崎の開発申請があった場合、その内容に応じて厳しく対処していくとともに、田辺市、天神崎の自然を大切にする会等の意見も十分に聞き、その保全策についてともども検討してまいりたいと考えてございます。
 また国に対しても、環境庁も天神崎について非常に関心が深く、再三にわたり視察もしているわけでございます。だから、ナショナルトラスト運動をなお推進することはもとよりでございますけれども、天神崎の支援についても要望をしてまいりたいと考えております。
 それから、県への問い合わせの件については私存じませんので、商工労働部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、紀南地域の企業誘致の件でございます。
 紀南地域や県下の過疎地域への企業誘致については、御承知のように、大都市部からの遠距離にあることや交通アクセスが未整備など、立地的には恵まれておりません。そうした地域への企業立地を促進するため、特に紀南地域等企業導入促進事業を昭和六十三年度から実施いたしてございます。ちなみに、六十三年度以降の県下全体の誘致件数は二十五件でございます。うち過疎地への誘致は、美山村一件、すさみ町二件、古座川町一件、本宮町一件の計五件で、百人以上の雇用を創出し、将来、二百人以上の雇用を見込んでいるところでございます。
 県といたしましては地域のバランスを考慮しながら立地促進を行っておりますが、議員御指摘のとおり、企業導入の正否は市町村の取り組み姿勢によって大きく左右されるのが現実でございます。
 こうしたことから、今後さらに市町村との連携を密にし、立地促進を図るため、昨年四月、全市町村参加で経費も負担していただき、和歌山県企業立地連絡協議会を設立いたしました。今後とも、この機関を通じ、市町村の受け入れ態勢の整備等を強く指導し、積極的に企業導入に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、天神崎の開発可能性等についての問い合わせの件でございます。
 観光課の記録によりますと、先ほど申されました関係二社のうちの一社から、去る二月二十八日に電話照会がございまして、第三種特別地域としての規制内容の説明とあわせて、この地域がナショナルトラスト運動の土地であり、地権者の方々等に開発を差し控えるよう協力をいただいている経過のあることを説明したところでございます。
 なお、このときは既にこの会社が移転登記済みであることを私ども確認しております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 過疎地域活性化推進の問題でございます。
 浜本議員が言われるように、それぞれの地域が意欲的に地域活性化に取り組むことが非常に大切なことでございます。自主・自立の精神に基づいた町づくり、村づくりを、県、関係町村ともども力を合わせ、一体となって積極的に取り組まなければならないと、私も考えております。
 お話の中にございました過疎地域活性化推進モデル事業は、森林、温泉などの地域資源と人づくりについての調査研究やイベントを行い、過疎地域活性化のためのモデル方策を策定する事業でございます。国の新規事業として全国で十地域実施され、これに対して全国から百二十カ所の要望があったわけでございますが、本県は政府要望の中で特に強く要望をし、一地区指定される予定でございます。単年度事業でございまして、事業費は一千万円、うち国費が五○%、事業主体の町村が四○%、県費の一○%を今議会にお願いしているものでございます。
 今後、新しい過疎法施行の中で、このモデル事業の成果をも十分生かして、山村過疎対策の一層の充実を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、道路と企業誘致についてでございます。
 国道三百七十一号の中辺路町から龍神村の間については、現在、交通不能区間の解消を図るべく鋭意事業の進捗に努力しているところであります。
 御質問の二川─温川間約三・八キロメートルは、幅員が狭く、大型車の通行が困難な隘路区間もありますので、現在、改良計画について調査を行っているところであります。今後、町当局とも協議しながら調査の進捗を図ってまいりたいと考えております。
 なお、全面的な改修には日時を要しますので、当面、大型車の利便性が向上するよう、待避所の設置、交通隘路区間の解消等の対策を講じてまいりたいと考えております。
 次に、議員御指摘の串本地区の談合問題については、落札後、関係者から公正取引委員会に提訴され、その判断が既に同委員会にゆだねられている状況でありますので、法違反かどうかの判断はその結果を待たざるを得ないものと考えております。
 なお、両者の言い分を聞いてということでございますが、このことについては、現在の混乱を業界の自主的な努力によって収拾し、業界の適正化が図られるのが望ましいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 森林浴の森の創設等についてお答えを申し上げます。
 本県のリゾート整備の考え方については、昭和六十三年に和歌山県リゾート開発基本構想を策定いたしまして、県下のリゾートの方向を海洋型、山岳高原型、都市近郊型の三つのタイプに分類いたしまして、それぞれの地域のリゾート整備の方向を位置づけてきたところでございます。
 山岳高原リゾートゾーンは、日本人の心のふるさとである高野山、熊野三山の歴史、宗教、文化と森林や清らかな水の流れと渓谷美、各地にわき出る多様な温泉といったすぐれた自然、さらに地域に根差した伝統的な文化や各種の特産品を十分活用しながら、心身のリフレッシュできるリゾート地の形成を目指しているところでございます。
 こうした基本方向に沿って、山村地域が持っている豊かな森林、静寂な環境等の資源を活用して、森林浴の森やスポーツ施設などのレクリエーション機能を持った山村にふさわしいリゾート整備を幅広い角度から検討して、この整備を通じて過疎地域の対策、ひいては地域の振興に資してまいりたいと考えてございます。
 なお平成二年度は、内陸地域リゾート形成促進事業として、意欲的な市町村の参加を得て、内陸部のリゾート地の形成を促進するための予算を今議会にお願いしているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 一番最後の企画部長の答弁、質問者よりもすぐれた立派な答弁をいただき、ありがとうございます。
 山岳リゾート、森林浴の森の創設ということ、これは農林水産部でも、そういう森林浴の森の創設という予算を今回は計上してございますか。
 先ほど、「全国に誇る」という表現を使ったんですが、もっと俗っぽい言い方をすれば、日本一の森林浴の森を和歌山県につくったらどうなという、平たく言えばそういうことを申しているわけであります。
 私は、東京のディズニーランドへ毎年一回行きます。これで三年目ですが。ことしは、大事な年であるので行きませんけれども。東京の方へ行けばディズニーランドがある。しかし、南の方の和歌山へ行けば日本一の森林浴の公園がある。そこにはスポーツ施設もある、ゴルフ論がとかく議論されておりますけれども、そこにはゴルフ場がある、菜園がある、そしてホテルがある。いわば民間企業を導入した形での森林浴、そういうものを行政が一体となって取り組むべきではないかということを申し上げておるのであります。そういう夢を現実のものにしていく。
 そういった視点から見ると、海にばっかり精を出しているような感がしてならんのです。海に精を出しているのは結構でございます。そのことを、私は否定をしてはございませんけれども。何かリゾートと言うと「燦黒潮リゾート」、海にばっかり力を入れている。山の方は、もう忘れたんかいなあ。高野山あそこにあるわ、龍神あそこにあるわ、本宮にもあるわ。それは、もともとあるだけの話や。しかし、自然、宗教、文化、そういうものを近代の形にした森林浴の森、これはやればもうかるでしょうね。もうかるという言葉、ちょっといけませんけれども。しかし、人がした後でしてもあかん。よその県が三つ、四つとした後で和歌山県が八番目ぐらいにしても、これは人は相手にしてくれない。そういう形でのものをすべしということを述べておるのでありますが、私の意見を述べて質問はやめたいと思います。
 企業誘致の問題であります。
 二年前だったですか、すさみ──私は「すさみ」という言葉をやたらに申しておりますけれども、それは来年度のための対策でやっているんではないんです。私は、何回やっても、すさみは六番であります。一番あかんところでありますから。どうぞほかの先生方、特に西牟婁の先生方は安心していただきたい。なぜ言うかというと、すさみ町には不思議と企業立地が行われる。それは一体なぜか。
 例えば、佐本というところがある。白浜からすさみへ行って、佐本へ行って、そしてちょっと用事をして帰ってくると、もう夕方になります。それほど奥深いところであります。しかし、そこにも高級紳士服の企業が、県の紹介で来年度できる。地元雇用を中心にした五十名の人でそれができる。そして、前に大江康弘さんが言われたオリムピック工場の誘致だとか、そういうものが盛んにすさみでは行われている。それはなぜかと言うと、特に町政のあり方がすぐれているからだと思うのであります。そういう旺盛に取り組んでいく姿勢に県は真正面からこたえている。これが、五十名の縫製工場の実現ということに相なっておるわけでございます。
 二年前だったか、釣り具を生産するオリムピック工場がオープンしたときに、私どもも呼ばれましたので行きました。そのとき知事は、その町の盛衰のかぎは人口の増減にかかっている、そのような意味においてもこの企業の進出は人口の増加を裏づけるものでまことにうれしいという意味──もっと上手に演説されましたが。
 先ほど述べましたように、今度、佐本という、あんな遠いところにでもできる。でもと言ったら失礼ですが。そこの点を、もっと県は認識をしていただきたいと思う。こういうようなこと、議場では言うべきでないと思いますが、言います。言うても来んようなところはほっとけ、自立と共生、一生懸命にやろう、ともにやろうというところには、ぼんぼん県費も出し、町費も出しなさい、そういう形の中でやっていただきたい。非常にラジカルでございますけれども、私はそのことを特に申し添えておきたいと思います。
 六十三年以降の全県の企業進出は二十五件だという。紀南地方の過疎地は美山村を含めて五件。二十五分の五です。とりようによっては、たった五つかよ、やっぱりあかんのやな過疎地というのはと、そういうことにもなりますけれども、私は失望しない。どんな小さな企業であっても、その積み重ねをより一層指導し、督励をして、今後とも一生懸命に頑張っていただきますように、特に要望をしておきたいと思います。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は御意見、要望でありますので、以上で浜本収君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十二分休憩
 ──────────────────────
 午後一時五分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番中村隆行君。
 〔中村隆行君、登壇〕(拍手)
○中村隆行君 あと一人でございます。よろしく御協力のほどお願いいたします。
 今回私は、関西国際空港に関連して質問をさせていただきます。
 関西国際空港は、言うまでもなく世界に開かれたものであります。政治もまた、より開かれたものにならねばと思う次第でございます。特に国においては、いつまでもいわゆる国体政治では世の中からもおくれます。関空同様、より開かれた政治への思いを強くいたしているものであります。
 前置きはこれくらいにいたしまして、平成五年春、関西国際空港から待望の一番機が飛び立ちます。このとき、我が国初めての二十四時間、世界に開かれた新空港の出現により、和歌山は世界に最も近い都市として生まれ変わり、また国内の主要都市とも一気に結ばれるわけでございます。世界じゅうから、日本国じゅうから、圧倒的な量とスピードで私たちの町に二十四時間流れ込んでくる人、物、そして情報、こうした都市の二十四時間化、国際化、情報化は、さまざまな形で私たちの生活様式にまで大きな影響力を及ぼすことでありましょう。関西国際空港の開港に伴うインパクトは、和歌山に大きな波及効果をもたらします。その波及効果をより大きく受けとめるために、関西国際空港の立地を県勢の発展に積極的に活用することを目的として、昭和六十一年に地域整備計画が策定されたものと認識してございます。
 地域整備計画の策定以来、空港島埋立土砂の搬出の跡地にコスモパーク加太が建設され、和歌山マリーナシティの着工、那賀郡のメーンプロジェクトである南麓サイエンスパークへの近畿大学の誘致、松下電池を初めとする数々の企業誘致がなされています。また交通アクセスについては、本県の悲願であった国土軸への直結が昨年夏、新大阪への特急くろしおの乗り入れが果たされ、東京へは大変便利になったことは皆様御承知のとおりであります。道路関係についても、泉佐野岩出線は都市計画決定のための諸準備が進められ、本格的な工事に着手されるのは時間の問題と聞き及んでおりますし、泉佐野打田線、国道二十四号の和歌山バイパスなどについても整備が進められてございます。このように、関西国際空港の開港に向けて県内の地域整備が着々と進められておりますのも、知事を初め関係の皆さんの懸命の御努力のたまものと敬意を表する次第でございます。
 しかし、平成五年三月の開港まで、あと三年余りを残すところになってまいりました。この開港までの三年間は、今まで以上に関西国際空港開港に向けての本県の取り組みの正念場でございます。この三年間の取り組み次第で、関西国際空港の本県への波及効果は拡大もし、縮小もすることになってまいります。その取り組みの中で最も重要なものは、何といっても府県間道路の整備でございます。
 この二十九日には近畿自動車道が和泉市まで利用できるようになりますし、泉佐野岩出線の四車線化も近々計画決定がなされようとしておりますが、この和泉山脈を貫く府県間道路を整備しなければ、本県の紀北地域はその位置する直線距離の割に時間短縮されず、新空港の経済効果を十分に享受できないことになってまいります。府県間道路については、本県だけでなく大阪府の重点的な取り組みがなければなりません。そのため、我々は「紀の川の水は血の一滴」とも言われる貴重な財産である紀の川の水を大阪に分水するのであります。
 昨年の九月議会における総務委員会、関西国際空港対策特別委員会、水資源対策特別委員会でけんけんごうごうの激論を交わした根幹は、大阪府の対応のあり方、遅さから来たものでございます。「和歌山がこれくらい大阪に協力しているのに、大阪は和歌山に対して何もしてくれへんやないか。紀の川の分水は凍結してしまえ」等の意見が各議員からも続出したのであります。その後、十一月に阪和連絡協議会が開催され、何回かの事務レベルの折衝の上、合意を見たと新聞等で拝見した次第でありますが、九月議会であれくらい激論を交わした問題であるので、当然、十二月議会で何らかの説明が本会議あるいは関係の委員会等でなされるものと思っておりましたが、とうとう何の音さたもございませんでした。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 あの九月議会各委員会での各議員の意見をどうとらえられたのか、また大阪府に対してどのように伝えられたのか、大阪府の反応はどうであったのか、お聞かせ願いたい。
 次に、土木部長にお伺いいたします。
 泉佐野岩出線、泉佐野打田線を初めとする府県間道路の整備については、平成二年度は本県並びに大阪府がどのように取り組む予定なのか、さらに完成時期などの今後のスケジュールはどうなのか、お尋ねいたします。
 また、新空港、大阪市などへのアクセスを考えた場合、和歌山市からはJR阪和線、南海本線がありますし、伊都地方、橋本からは南海高野線があります。那賀郡からは、粉河駅と熊取駅を結ぶバスの運行が八月から開始されると先日発表されました。しかし、将来、近畿大学のキャンパスへの学生の通学、また空港へのアクセスを考えた場合、JRの和泉砂川駅、南海本線の泉佐野駅、新空港と岩出駅を結ぶ那賀郡の利便性を考えた新たな路線バスの運行がぜひとも必要だと思いますが、県当局はどのようにお考えなのか、また具体的な行動をとっているならばお聞かせ願いたいと思います。
 次に、新空港の南ルートについて、先日、知事のお考えをお聞かせいただきましたが、私からも若干質問させていただきます。
 昨年十二月には、大阪商工会議所において関西国際空港南ルート架橋促進シンポジウムが開催されました。本県からは西口副知事、県道泉佐野岩出線整備促進期成同盟会会長の林岩出町長を先頭に那賀郡の各町長、同盟会のメンバーが出席され、私も出席させていただいた次第でございます。また、本県選出の二階代議士も参加していただき、盛会に開催されたのであります。
 関空の立地を契機とした臨空都市圏としての紀泉地域の発展を考えるためには、近畿レベルの紀泉地域の役割等も踏まえた空港への新たなアクセスルートの整備がぜひとも必要であると考えます。
 府県道泉佐野岩出線の都市計画決定も間近に迫り、平成二年度から用地買収も始まるとのことでございますが、この府県道泉佐野岩出線を南ルート架橋と直結し、関空とダイレクトに結ばれるならば、紀北地域の利便性の向上はもちろんのこと、地域開発の先導という大きな役割を果たしていくことと思いますが、南ルート架橋の必要性について企画部長の御答弁をお願いいたします。
 新空港開港に向けての取り組みの中でいま一つ大変に重要なものは、新空港を活用した農業の振興、産業の振興であります。
 産業振興の中の企業誘致については、数多くの立地が決定し、一部の企業は既に操業を開始いたしております。また、待望の松下電池の起工式が一月に行われるなど、着実にその成果があらわれております。しかしながら、本県が従来から持っておった産業である農業あるいは観光についての新空港の開港に向けての取り組みが余りなされていないような感じがいたします。
 農業については、空港との関係でよく言われるのはフライト農業であります。農産物を航空便で輸送するフライト農業は、九州の空港周辺では特に盛んに行われておりますが、新空港が開港することにより関西に向けて日本各地から、また世界の国々から各種の農産物が空輸されることになります。新空港開港に向けて、今こそ本県がフライト農産物として生産するのに適した作物の検討やその販路の検討、あるいはPRの方法などの検討が必要であると考えます。先日の答弁の中にも空輸出荷の実験が行われているとのことでありましたが、そのような結果を踏まえ、フライト農産物の関空開港に合わせた取り組み状況についてお聞かせ願いたいと思います。
 また、新空港では一日に約二十万人の人々が出入りするわけでありますが、機内食あるいは空港内の食堂での消費も膨大なものになると予測されますし、また空港島の対岸にできる臨空タウンの消費についてもはかり知れないものがあろうかと思います。このような一大消費地が本県の間近に新たにできるわけでありますので、この新空港を含めた泉南地方での消費に本県の農産物を当然売り込んでいかれる予定であると思われますが、もう既に機内食業者に他府県の産地が積極的に売り込んでいるとの話も聞いてございます。本県においてはどのような取り組みをなされているのか、また今後どのように販路を求めていかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、紀の川流域の農業についてお尋ねいたします。
 昭和六十一年二月定例会において、県下における養液栽培など先端技術を導入した臨空農業の実態と取り組みについてお伺いし、これに対し、当時の高垣部長から六・二ヘクタールの養液栽培やカーネーションの省エネルギー施設などの拠点に高収益生産を目指した施設園芸タウンを紀の川流域で計画しているとの御答弁をいただいております。
 その後、紀北地域ではハウス栽培が着々と増加し、立ったままで収穫できるイチゴの養液栽培、粒とはとても思えない大きなイチゴの品種、見た目だけではなく実に味のよいハウス桃、イチジクのハウス栽培、カーネーションを初めとする花卉生産など、収益性の高い産地が育ちつつあることは十分承知いたしているところでございます。これは農家の皆さんの営農意欲のあらわれであり、技術指導なされた普及員や営農指導員の方々を初めとする御当局などの御指導、御支援のたまものと考えております。
 こうした状況の中、本日あえていま一度質問させていただくわけでございますが、これは、一昨年、本県農業に大きな影響を与えるオレンジ等農産物の自由化が決定され、ミカンやハッサク園の廃園を含む転換が進められており、このことが多くの農家の皆さんが農業の将来に不安を抱き、その対応に苦慮していることから、早急に展望のある農業の振興方策を示す必要があると考えたからであります。特に那賀郡農業は、関空立地もあって高収益農業の一端である臨空農業の展開に有利な条件にあり、前段述べましたような先進事例や試験研究成果を紹介し、農家の皆さんの経営改善の一助にしていただく必要があると考え、質問をいたしておる次第であります。
 そこでお尋ねいたしますが、地域整備計画にうたわれております施設園芸タウンの進捗状況について、どのような品目が、どのような技術で、どの程度の面積で生産されているのか具体的にお示しいただくとともに、試験研究機関での取り組み状況等についてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、商工労働部長にお伺いいたします。
 新空港開港に合わせて和歌山マリーナシティで地方博が開催されますが、県内の観光振興のためには恒常的に観光客が来ていただける施策、例えば北海道のトマムで、飛行機、鉄道、ホテルの宿泊のチケットをホテルが企画し、セットで販売して成果をおさめています。このような発想で、飛行機、クルージング船、ホテルをセットにした企画などを立案し実行すれば成果があらわれると考えますが、新空港を活用した観光振興のためどのような企画を考えられているのか、お伺いいたします。
 先月、関西国際空港会社のターミナルの基本計画が発表され、今秋には実施設計が完了し、いよいよ年末からはターミナル工事が始まるようでございます。先ほども申しましたとおり、新空港には一日二十万人近くの人々が出入りするわけでありますので、ターミナルに本県の農産物、地場産品の紹介・販売あるいは県内の観光案内を行う和歌山県観光物産センターを設置すれば、本県の特産物、観光にとって絶大なPR効果があると思います。
 ターミナルには個々に出店する県内企業もあると思いますが、県全体の特産物、観光のPRを公平に行うためには、県と観光協会、農協、漁協あるいは経済団体等が共同出資した第三セクターの和歌山県観光物産センターを出店してはいかがなものでございましょうか。
 現在、関西国際空港会社に対し、和歌山県コーナー、物産販売等を要望されているようでありますが、具体的にどのような観光案内をし、どのような物産を販売する予定なのか、またその選定方法、運営主体をどうするのか、関空関連事業の受注活動の主管部である商工労働部長にお尋ねいたします。
 次に、労働力の確保対策についてお尋ねいたします。
 最近よく耳にすることがございます。「人手が足らんで困ってるんや」という話を聞くわけであります。和歌山周辺を見回しても、関西国際空港の建設、阪南・加太の土取り事業、和歌山マリーナシティの建設、花博会場の建設、学研都市の建設等、ビッグプロジェクトがメジロ押しでありますし、民間の設備投資が盛んであり、また住宅建設も伸びております。本年一月の全国の企業倒産は対前年比二五%の減少で、好景気を反映して極めて低い水準になっているようであります。
 ところで、こうした中で人手不足による倒産だけは急速にふえ続けているとのことでございまして、昨年一年間の人手不足倒産は一昨年の四・二倍にもなっているようで、中小零細企業にとって人を確保することは企業の死活問題でございます。
 業種別には、建設業が全体の約三五%を占めて最も多く、それから製造業、サービス業、卸売業、小売業の順で、人手不足感は今、全産業、全企業に波及してきているのでございます。この人手不足は、せっかく和歌山に企業進出していただいた企業の中にもあると聞いてございます。このような深刻な人手不足の現状を当局としてどのように把握されているのか、また今後どのような対応をされていかれるのか、商工労働部長の答弁をお願いいたします。
 次に、人材育成、教育の問題についてお尋ねいたします。
 関西国際空港の開港によりまして、人、物、情報が大量に送り込まれてくるわけですから、国際化の波が早急に押し寄せてくるのはだれにでも予測されることであります。この国際化に対応した町づくりなどハード面での整備は当然重要なことでございますが、私は最も基本的に重要なことは人の問題、いわゆる国際人として外国の方々と触れ合いのできる人づくりを進めることも大事なことではないかと考えてございます。
 よく外国の方の話に出てくるのが日本人の英語力の問題です。日本人の大学卒の場合、中学で三年、高校で三年、大学で四年の計十年も英語を学んでいながら英語で話をすることが非常に苦手だ、筆談で少しは話ができるが、会話はほとんど、まるっきりできないという話をよく聞きます。私なんかは、その最たるものであります。文法は学んでいるが会話ができないというのが一般的なようであります。
 ある教育関係の方に聞いた話でございますが、ある中学校の修学旅行で、外国人が中学生に何か話しかけてきたそうです。最初は身ぶり手ぶりで話をしていたそうですが、近くに英語の担当の先生が来たので、生徒が先生に通訳してもらおうとお願いしたそうですが、その先生は、私は会話ができないと逃げ出したそうです。この話は、笑い話でも何でもありません。残念ながら、事実の話であります。すべての英語の先生がこの話のようなことはないと思いますが、これからの国際化に向けて、いわゆる国際語である英語教育の授業にもっと英語を聞くことができて、話をすることができるような授業を取り入れる必要があると思います。
 そこで私の提案ですが、県内の中学校、高校に、外国人英語教師の派遣による英会話の授業を英語のカリキュラムの中に組み込んではどうでしょうか。県内の七つの各教育事務所に何人かの外国人教師を配置し、各管内ごとに週に数回、各中学校、高校に巡回授業を行うわけです。現在も、那賀高校を初め県内の数校に専属の講師を配属されているようでございますが、中学生から始めまして、もっと密度を濃くし、生徒との交流を深めることが大事だと思います。外国人英語教師による授業を行うことによって、生徒は生の英語を聞き、生きた英語を学ぶことができるのではないでしょうか。また、直接外国人と触れ合い、交流することによって、外国人に対する一種の恥ずかしさというかコンプレックスのようなものがなくなり、国際人としての感性を育てることができると思います。生きた英語を学び、外国人と直接交流することが、子供たちにとって貴重なことでなかろうかと思います。
 新年度予算の中で、国際化に対応した人づくりについて積極的に取り組まれている知事の姿勢に対し敬意を表するものでありますが、これからの国際化社会に対応した人材の育成に関する知事のお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 また、現在の外国人講師の活動状況について、さらに今後の国際化に具体的にどのように対応されていくのか、教育長にお伺いいたします。
 最後に、本県にとって最も重要な関空の全体構想の早期実現、国内便の確保について、私の所感を申し上げます。
 申すまでもなく、滑走路三本を備えた完全な空港が完成されてこそ、世界に誇れる我が国初の二十四時間空港として、また国内、国際の基幹空港としての機能が十分発揮できることとなり、関西圏が大きく浮上し、本県にとっても無限の可能性を秘めた飛躍が望めることになります。
 第一日目の鈴木議員、また本日の渡辺議員の質問によりまして、仮谷知事のこの問題に取り組む決意のほどをお伺いいたしましたが、近畿知事会の会長として、また関西の早期実現期成会の代表理事として、いわゆる関西のリーダーとして仮谷知事に大いに期待し、県内はもちろん関西全体で第一期計画に取り組んだあの熱意を再び燃え上がらせていただいて、ぜひとも全体構想の早期実現を果たしていただきますようここに強く要望いたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村隆行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村隆行議員にお答え申し上げます。
 これからの国際化社会に対応した人材の育成でございます。
 御指摘のように、これから国際化が進んでまいりますし、我々の生活にも関西空港を初めとして国際化が進んでまいるわけでございます。外国の文化、また日本の文化もよく知った上で、国際人としての視野に立って行動する人間でなければならない。
 特に中村議員から、英語の話し方は非常に重要だという御指摘がございました。私も、第一はそうだと存じておるわけでございます。そうした面から、話ございましたように、従前から教育委員会においても英語指導助手を受け入れておるわけでございまして、英語の会話について推進をやっております。また、教員の皆さんを海外へ派遣して語学の実情を知っていただく。さらにまた今後、高校生の海外生活体験事業を実施するようお願いを申し上げているところでございます。
 知事部局においても、青年の海外派遣を青少年婦人課で行っておるわけでございます。また、農業士の海外研修について農業振興課で、さらにまた中小企業関係の技術力向上のための派遣を産地振興課で行っておりますし、県職員の海外研修についても人事課で行っておるわけでございます。さらに、国の諸施策ともタイアップいたしまして、青年の海外協力隊の派遣や洋上大学を行っておるところでございます。また、今議会にお願い申し上げております和歌山県国際交流協会を設立いたしまして、増大する国際化のニーズにこたえてまいりたいと思います。
 特に和歌山県は、昔から海外へ移住した県でございます。それだけになお一層、国際的感覚を持った人材の育成ということに配意しなければならないと思っております。
 それから、関空の全体構想の実現は、鈴木議員、渡辺議員に答えたとおりでございまして、要望でございますので、その趣旨を体して全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港問題に関連しての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、阪和開発連絡協議会の対応についてでございます。
 昨年の阪和開発連絡協議会においては、県議会の御意見や紀の川利水の経過等を踏まえて、県として特に強い姿勢で臨みました結果、大阪府副知事から道路網の整備等について積極的な取り組みの決意表明がなされました。
 まず道路網については、主要な府県道について詳細にわたって協議を行った結果、基本的に関西国際空港開港までの路線ごとの整備目標の合意を見るとともに、大阪側としても紀の川利水に関する協定を踏まえ、和歌山よりも早く整備するという姿勢で取り組むとの前向きな発言を得るなど成果をおさめたところでございます。
 次に、関西国際空港全体構想の推進については、第六次空港整備五箇年計画に位置づけられるよう共同で国に要望していくことが確認されました。国内便の確保については、国内線の基幹空港としての機能を十二分に発揮できるだけの大幅な便数確保を鋭意要望していくことが確認されたところでございます。また、紀泉地域の総合開発に係る組織については、平成二年の設立に向けて検討を行うことで意見の一致を見たほか、鉄道網の整備、加太・岬スカイラインの早期実現、紀淡海峡トンネル構想の具体化のための一層の連携強化等々、昨年に比べて着実な進展を見たところでございます。
 今後とも当協議会等を通じて、県益を図る立場から、県勢発展のために阪和間の諸問題について従来にも増して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 第二点は、那賀郡と空港とのバス運行についてでございます。
 紀北地域は、関西国際空港の至近距離に位置していることから、泉南地域あるいは空港を最短距離で結ぶ交通手段の整備は大変重要であると考え、県としてはかねてから泉南地域と結ぶバス路線の開設についてバス事業者等に働きかけてきたところでございます。
 議員御提言の岩出町から泉佐野岩出線を通るバス路線については、近畿大学を含む南麓サイエンスパークのためにも必要と考え、バス事業者に要請し、現在、具体的な検討に入っているところでございます。県といたしましては、その一日も早い実現を図るため、地元関係者と協議しながら、事業者等にさらに強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 最後に、南ルートの必要性についてでございます。
 関西国際空港の空港島と対岸部を結ぶ連絡橋については、空港島北端部のいわゆる北ルートとして、道路、鉄道の併用橋を現在、鋭意建設中でございます。現在、建設中の連絡橋の道路部分は、往復六車線の高規格の道路であり、またJR阪和線並びに南海本線を経由して直接空港に乗り入れる鉄道も併設されることから、予測交通量に対しては十分対応できるものであると伺ってございます。しかしながら、全体構想の推進とともに空港南部地域、特に和歌山方面からの利便性を確保するため、また空港島のセキュリティーを考えた場合、南ルートの連絡橋が必要であると認識しているところでございます。先日の知事答弁にございましたように、関係の方々とも協議しながら積極的な対応が必要であると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 府県間道路の進捗についてお答えいたします。
 府県間道路については、紀の川利水に関する協定及び覚書に基づいて、府県間で密接な連携を図りながら整備を進めているところであります。
 まず泉佐野岩出線についてでありますが、和歌山県側は昭和六十三年度に根来地区の一キロメートルを事業化し、地元の了解を得て測量、設計を進めております。一部で土地所有者の了解が得られておりませんが、平成二年度は本格的に用地買収ができるよう全力を挙げ事業の促進に努めてまいります。大阪府側については、泉佐野岩出線のバイパスとなる都市計画道路の金熊寺男里線、樽井男里線が事業中であり、両路線とも関西国際空港開港時までに二車線で暫定供用されることとなっております。
 なお、このうち泉南インターチェンジのアクセス道路となる区間が近畿自動車道の開通に合わせて今月末に供用される予定であり、その他の区間についても平成二年度、引き続き事業促進が図られる予定となっております。
 根来地区を含む金熊寺─岩出間のうち、まだ事業化されていない区間については、両府県において都市計画決定の上、事業化に努めていくことといたしております。
 泉佐野打田線については、県内側の整備は一応概成しており、大阪府側についても昨年十一月、土丸バイパス等が完成し、全線が概成いたしたところであります。
 なお、府県境付近の暫定改良区間についても、平成二年度より再改良する予定であり、今後この区間の事業促進を図ってまいります。また、本県内の府県間道路の整備を促進するため、平成二年度は新たに府県間道路用地代行取得事業を発足させ用地取得を促進することといたし、今議会に予算をお願いしてございます。
 その他、国道三百七十一号、泉大津粉河線、岬加太港線等の路線についても、協定及び覚書の趣旨に沿って両府県間で連絡を密にし、整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 フライト農業の取り組みでございます。
 関西国際空港の立地に伴い、空輸農業の展開を目指した、高級で軽量な品目の施設栽培を推進しているところでございます。また空輸出荷については、北海道やヨーロッパなどへの空輸実験と並行して、エンドウ、ブロッコリー等の野菜や柿、梅、桃等の果実を北海道向けに年間六百トン程度出荷いたしてございます。今後とも、生産対策の推進はもとより、空輸出荷に対応した新商品の検討、販売の開拓にも他府県に負けないように取り組んでまいる所存でございます。
 次に、新空港をインパクトとした農産物の販売拡大についてでございます。
 予想される空港周辺地域での需要増加に対応した流通体制の整備が最も重要であると考えてございます。六十二年から、空港関係者、市場流通関係者、マスコミ関係、大学の専門の先生方から成る有識者による検討委員会を設置いたしまして、空港周辺を含む広域的な流通対応やプロジェクトチームによる空港需要の実態調査など鋭意検討を行ってまいったところでございます。これらを踏まえ、生産者団体の主体的な取り組みを基本に、既に設置しております特需センター、花卉流通センターの機能強化による産地の流通体制の整備に努めているところでございます。また、紀の川流域の産地組合においては、空港への販売前線基地などの確保の動きも出てまいってございます。
 さらに、議員お話しの機内食などの空港需要への対応については、関係業者に対し働きかけているところでございますが、品目や規格など納入条件に非常に厳しいものがございます。このため、今後も生産出荷体制の整備や市場対応力の強化に向けて、生産者団体ともどもなお一層の努力をしてまいる所存でございます。
 最後に、関西国際空港に関連をして、施設園芸タウンの進捗状況、技術研究の問題でございます。
 関西国際空港に隣接する紀の川流域は、臨空農業の展開に有利な条件にあり、かねてより地域整備計画に基づき施設園芸タウンづくりを進めてきたところでございます。
 その進捗状況でございますが、計画に対して五○%を上回る進捗率となってございます。その内容については、トマト、ミツバの養液栽培や低温育苗によるイチゴの早出し栽培、ショウガなど四○ヘクタールの施設化が進むとともに、花ではバラのロックウール栽培や菊、ストック、カーネーションの省エネルギー施設など八ヘクタール、さらに果樹では柿の超早出し栽培や完熟桃、ブドウ、イチジクなど十五ヘクタールで、現在六十ヘクタール余りの施設園芸タウンづくりが着々と進みつつある状況にあり、平成二年度末で七十三ヘクタールとなる予定でございます。
 また試験研究機関においても、バイテク技術による新品種の育成や省エネルギー技術による養液栽培、鮮度保持技術対策など、臨空農業の展開を図る実用技術の開発に鋭意取り組んでいるところでございます。さらに、生産者のやる気、すなわち企業マインドを喚起しながら、関係者が一体となって効率的な事業の推進に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、議員御提言のセット旅行商品についてでございます。
 この商品は、レベルの高い施設利用の割安感や旅行手配の簡便さなど、観光客の誘致を図るための有効な方法であると考えます。特に、現地不案内の海外からの観光客には、このようなセット旅行商品が好評を得ていると聞いてございます。
 関西国際空港の開港や県内リゾート基地等が整備される時点が商品化のチャンスと考えますので、今後、旅行会社やホテル、旅館等、関係事業者に働きかけをしてまいりたいと存じます。
 次に、ターミナルビルへの和歌山県コーナーの出店については、県の関西国際空港地域整備計画にも位置づけられておりまして、現在その実現に向け機会あるごとに空港会社へ申し入れをしておりますが、具体的な入居条件、募集方法等がいまだ決定されておりません。
 今後、空港会社からの情報収集に努めながら、また関係団体等と協議をしながら、議員御提案の趣旨も十分踏まえ、より県益の上がる方策を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、人手不足対策でございます。
 本県における雇用情勢は、景気の拡大に伴って着実に改善されておりますが、地域や業種によって人手不足の状況が見られるところでございます。
 このような実態を踏まえまして、県としては、本年二月、庁内に中小企業等人材確保対策連絡会議を設けまして、学校卒業者の県内企業への就職促進、県内企業へのUターン対策、中高年齢者の就職促進等、人材の確保に努めているところであり、今後より積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 国際化社会に対応した人材育成の重要性にかんがみ、これまで星林高等学校への国際交流科の設置、並びに外国人英語指導助手の招聘、教員の海外研修への派遣などを行ってきたところでございます。また、県内の学校においては、外国の学校との姉妹校提携や留学生の派遣、受け入れなどを行っているところでございます。特に平成二年度には、現在受け入れてございます英語指導助手の増員を図るとともに、新たに高校生の海外生活体験、また英語担当以外の若手教員の海外研修等に要する事業予算を今議会にお願いいたしているところでございます。
 次に、英語指導助手の活動状況についてでございます。
 英語担当の教員と共同して、授業を通じて生徒の英会話の力を伸ばすとともに、生徒との直接の交流を通じて国際理解を深める役割を果たしているところであります。また、各種研修会への参加により教員の資質向上など成果が上がっているところでもございます。県教育委員会といたしましては、こうした取り組みを今後ともより一層充実をしてまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 22番中村隆行君。
○中村隆行君 質問ではなく、少し要望をさせていただきます。
 関空にとりまして、今がまさに正念場であります。担当部局の腕の見せどころでもあろうかと思います。せめて向こうから働きかけのあるようなときは、部長みずから泥をかぶるつもりで飛び込んでいく勇気と姿勢が県勢浮上のためにもなければならないと思います。後は、知事が、議会が、あるいはスタッフなりが受けとめていくという姿が必要ではないかと思います。自分のペースだけではおくれていくのではないでしょうか。当局のより一層の御努力をお願いいたしまして、終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中村隆行君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、お諮りいたします。明三月十六日、並びに三月十九日及び二十日は常任委員会審査のため、また三月十七日は議事の都合により、それぞれ休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、三月十六日及び十七日、並びに三月十九日及び二十日は休会とすることに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 三 委 員 会 室
 厚生委員会 第 四 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 五 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 一 委 員 会 室
 建設委員会 第 六 委 員 会 室
 文教委員会 第 二 委 員 会 室
 ──────────────────────
○議長(門 三佐博君) 次会は、三月二十二日再開いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十五分散会

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