平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番堀本隆男君。
 〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 先輩議員、同僚議員の御高配により登壇の機会を得ましたことを感謝申し上げます。
 昭和六十二年一月に県庁を去って三年余、時代は激しく変化してまいりました。東欧の社会主義国やソ連の民主化のうねり、日米経済摩擦を初めボーダーレスエコノミー諸問題の激化、未曾有の好景気のもとでの東京一極集中と地域格差の顕在化、そうした中で本県の相対的なおくれに対する屈折した焦りが積み重なってまいっておりましたが、本議会開会日における知事説明の力強さ、県勢浮揚にかける積極姿勢と意欲的な肉づけ予算、まことに頼もしく感じたのは私一人だけではなく、世論も大きく歓迎しているところであります。
 着々と進む関西国際空港の建設、高速道路の大阪府下及び紀南への延伸、南紀白浜空港のジェット化事業等、国土幹線軸との直結が間近となり、県内各地での企業進出や各種プロジェクトの進行が県経済に強力なインパクトを与えており、実感として明るい展望が開けてまいりました。そうしてこれから先、本県はどのように発展し変貌していくのであろうか、大変楽しみが持てる反面、順調に進展するかどうか、また心配される面も考えられるところであります。
 さて、仮谷知事は職員に対する訓示の中で、行政の果たす役割の中でも先見性、先導性、リーダーシップがとりわけ大切であると常々諭されており、うなずけるところでありますが、先見性つまり将来どうなっていくかを予測するのはまことに難しいものであります。
 ここで、一つの話の御紹介をお許しいただきたい。
 昭和五十五年秋のある日のこと、ある学者から知事はすごい講義を受けられた。関西国際空港建設に対して近畿の各府県がすべて賛成していない今から十年前のことであります。学者というのは、皆さんも御存じの今野修平・大阪産大教授であります。当時、国土庁計画官として三全総を中心にまとめられ、ちょうど福井医科大学の教授になられたばかりでラジカルな新進気鋭。お聞きしたのは二十一世紀の和歌山の姿であります。
 今野教授は、「先ごろ先進工業国を研究している学者仲間約二十人ほどが集まって一晩けんけんごうごう、二十一世紀には全国でどの府県が最も発展しているのか論じ合った。期せずして皆の意見が一致した。和歌山県だということであった。ただしその前提条件は、泉南沖に関西国際空港ができればということであった」と話されたそうです。
 簡潔にその理由を申し上げます。
 私は、先見性について、かねがね学者は偉いと思うのでありますが、その当時の昭和五十五年、「日本が今のまま世界じゅうへ日本の優秀な工業製品を集中豪雨的に輸出を続けると、早晩、必ず世界各国の企業が倒産し失業が続出して日本は恨まれ、そして日本商品は締め出されてしまう。これを回避するには、日本企業が世界各国に進出し、現地に工場を建てて現地採用し、その国で製品を販売するシステムをとらなければならない。そうしない限り日本は生き残れないだろう」と断言されました。
 十年後の今、まさにそのとおりに展開しております。しかも教授は、日本企業の世界進出も、行き過ぎるとまたリアクションが起こると指摘しております。各国から、日本ばかりが世界を制覇するという攻撃を受けるのであります。これを回避するにはどうするか。世界の優良企業を日本に積極的に受け入れる、進出環境を提供する。
 さて、そうなると外国企業は日本のどの地域に進出を希望するか。第一に国際空港のあるところ、第二に高速道路等交通基盤の整ったところ、第三に太陽の輝く暖かい地域、つまりサンベルトであります。
 アメリカで起こったサンベルト現象は、フロリダ、テキサス、アリゾナ、カリフォルニアなど、南部地域の巨大な国際空港のある都市近郊にハイテク産業を中心にして新産業地帯を形成し、こうしてできた都市群が衰退した東部や北部の産業地帯にかわってアメリカ経済の担い手として急成長を遂げております。そうした産業と人との南への民族移動現象は、米国のみならず西独やフランス、英国でも起こりつつあります。
 テキサスの巨大なダラスフォートワース国際空港がアメリカ東西交通の十字点にあり、広大な平地があって太陽と緑の快適環境に恵まれ、テキサス大学のノーベル賞教授陣がハイテクフィーバーの原動力を創出して、投資意欲を高めつつ世界有数のハイテク都市群をつくり上げてまいりました。そして当然、ハイウエーの周辺に企業が林立し、発展を続けているのであります。
 野村総研が以前「関西復権」のレポートを出しており、関西がなぜ戦後関東に追い抜かれたのかということの中で、その原因として、「関東への中枢機能の集中とか貿易機能の関東移転とか言われているが、結論的にはキャパシティーの差である。関西が三十年代の初頭に既に淀川に水がなくなり、工場用地が限界となったのに比べ、関東平野は日本じゅうから集まる人と企業をどんどんのみ込んで膨張を続けてきた。その差が結果的に出ただけである。今後関西が発展するにはヒンターランドの開発以外にない。琵琶湖平野、奈良盆地、紀の川平野の開発である。関西国際空港と高速交通網の整備が決め手となる」と書かれてございます。
 今野教授は、海外企業が進出を希望するとしたら、日本の中で和歌山県以外にないと断言しました。和歌山は関空に最も近く、南で暖かく、何よりも開発されていない。紀の川平野は、紀泉山脈をトンネルで掘り、太いパイプを三、四本抜けば一気に大阪と地続きになる。さらに和歌山市から海南市の丘陵部、有田川、御坊平野まで高速道路が完成すれば紀北・紀中はハイテク産業の一大ゾーンになる可能性が高い。関西国際空港が完成し外国のハイテク企業がどんどんやってくるようになると、国内のハイテク企業も和歌山に集まる。それは技術情報を求めるためであり、結果的に和歌山に技術集積が高まり、ますます発展を呼び起こすということであります。
 また、今野教授は、「紀北のこうしたハイテク産業地帯と同時に、紀南も二十一世紀に大きく発展する。それは、和歌山に進出した外国企業はバカンスを大切にし、必ずリゾートを求めるからだ。そうすると、地中海のコートダジュールに似た紀南は彼ら外国人のリゾート開発の最適地となり、さらに日本もバカンスとリゾートの時代に入り、紀南は日本有数のリゾート地に発展するだろう。このような検討の結果、二十一世紀には紀北、紀南とも大きく変貌し、和歌山県は全国でも最も発展した県になるだろう。もっとも、和歌山県が高速道路や企業用地などの受け皿づくりを積極的に進めることがキーポイントになる」とも言われております。
 学者たちの予測が必ずそうなるとは限りませんが、仮谷知事も深くうなずかれ、その結果、近畿で一番早く関空建設への賛成を表明されたものと私は推察いたしております。
 ちなみに、本県第四次長計のタイトルは「テクノ&リゾート」であります。
 長々とお話をしましたが、最近、東京において地域開発関係の学者や研究者の間で、「和歌山県がこれからおもしろい。関空と高速道路の南進で、とりわけ海南から御坊、印南あたりまでの間が注目される。仮にこれを『黒潮サンベルト』と名づけると、将来、この地帯が県開発のリーディングゾーンになっていくだろう。単に工業団地の造成だけでなく、あらゆる面からの可能性があり、それだけにここをどうデザインするか、今、大変重要な時期に来ており、その構想力が問われている。東京サイドから見てそれがわかるし、幾つかのナショナルプロジェクトも考えられ、またそれを取り込まないと大規模な開発や大きな発展は望めないだろう」と言っており、一部有志の間で検討を始めたと聞かされております。
 さて、こうした話を聞くまでもなく、我々もこの仮称「黒潮サンベルト」の発展の可能性は十分に知っているところであります。逆に言いますと、東京サイドは、最近の本県でのマリーナシティの進行、頭脳立地構想の指定、御坊テクノポリス、燦黒潮リゾート構想の推進、関空効果による立地企業の南進、また現在本県の発展を見込んで入り込んでいる開発デベロッパーの口コミによる本県のすばらしさがこうした学者等の動きになったものと私は考えますが、いずれにしても、黒潮サンベルトの発展可能性が県内外で論議が高まってまいったようであります。
 さて、去る昭和六十三年十二月議会において私は、地域産業の高度化に寄与する特定事業の促進に関する法律、通称「頭脳立地法」による地域指定に頑張ってほしいと要望いたしましたところ、早々と第二次指定を受け、全国三県の一つに本県が入りました。まことに喜ばしいことで、仮谷知事を初め当局の皆さんの御努力に深く感謝いたします。特に、事業主体が地域振興整備公団であり、海南インテリジェントパーク及び和歌山リサーチラボの完成の暁は二十一世紀の本県のリーディング産業地帯の核として期待が膨らんでまいったのであります。
 そこで、本県が今後ハイテクランドを構想する上で最も急がなければならない中核施設である大学と産業技術センターについてお尋ねします。
 和歌山大学に理工系学部を設置する運動が起こって十有余年、一向に展望が開けてこないが、設置についての現状と将来の見通しをお伺いします。
 さらに、提案として、本県発展百年の礎として県立の科学技術大学を検討していただきたいのであります。県立医大の移転という大事業を抱え、財政的に至難と思われますが、シリコンバレーを初め世界のハイテク産業都市の発展の源がハイレベルの工業大学にあることを教えられるとき、本県浮揚に不可欠であると思うからであります。
 次に、産業技術センターのリフレッシュに鋭意取り組み、新しい研究棟の予算を大幅に計上している当局に敬意を表するところでありますが、この際、新棟建設を現地再開発ではなく、環境、利用性、将来性を考えて他の適切なところに検討されてはいかがでありましょうか。
 自民党県議団の中でも声が上がっており、私見ではありますが、集積のメリットを生かすならば頭脳立地指定地内の海南インテリジェントパークの中が最適だと考えられます。この際、予算は繰り越してでもよいものをつくるべきで、同様に、集積を生かす趣旨から県立科学技術大学についてもインテリジェントパークに隣接する地が最適かと考えられますが、当局のお考えをお伺いいたします。
 さて、日本経済の絶好調を背景に関空効果を先取りした設備投資意欲が本県にも及び、企業進出が大きく伸びていることはまことに喜ばしいことであります。この陰には、当局において企業立地課を設け、有能な職員を投入して全国に関空効果をPRしての誘致戦略が成功したもので、その努力を高く評価するものであります。
 ところで、やる気満々の職員にとって決定的な悩みが二つあります。一つは、需要はどんどんあるのに得るべき企業用地の手持ちがない、いかんとも仕方がないということ。もう一つは、若い労働者が大変不足していること。これらについて庁内で連絡をとり、市町村ともタイアップしているが、きょう言ってあすにできる事柄でないだけに唇をかむ思いだとのことであります。
 ここ三、四年来の本県の企業誘致数は相当に伸び、特に去年、ことしと目覚ましいものがあります。にもかかわらず、本県の鉱工業生産指数や製造品出荷額が横ばいで、全国の成長率に追いつかないのはなぜか。その一つは、誘致間もないために成長率への寄与度が低い、もう一つは、本県のこの水準での誘致では全国水準に追いつけない、つまりスケール的に本県では経験していないもう少し多量の企業誘致が必要であるということであり、いかほど全国の成長率が高いかわかるのであります。
 例えば新潟県は、ここ三年間、全国ナンバーワンの企業立地件数で六百四十一件。ちなみに本県は百四件であります。新潟県が全国一の高速道路の延長を持ち、新幹線、新潟空港という交通基盤を生かして懸命に企業用地を造成してきたことが、東京日帰り圏という地の利もあって、すばらしい発展ぶりを見せたのであります。何と申しましても、受け皿である企業団地を造成しないことには企業進出が伸びないのであります。
 そこで、お尋ねいたします。
 まず、紀北、紀中における県関係の手持ち企業用地はどれほど残っているのか。同じく市町村の手持ち企業用地はどれほどか。
 二つ目、現在、県企業局、県土地開発公社、その他が造成中の企業用地は紀北、紀中でどれほどあるのか。市町村はどれほど造成中か。
 三つ目、現在計画中の桃山第二工業団地、雑賀崎地先埋め立てのほか、どれほどの面積を予定しているのか。
 四つ目、地域振興整備公団にもっと開発をお願いできないか。
 以上の四点をお伺いします。
 昭和六十二年の成田空港の取扱貨物量は全国港湾のナンバーワンで、全国の輸入総量の一四・二%を占めておりますが、これは大阪港、神戸港の二港分一三・四%を上回る驚くべき数字であり、関西国際空港が二十四時間空港になると乗客よりも物流量が想像以上にふえ、ヒンターランドの開発が急がれるとのことであります。
 アメリカのサンベルトのハイテク産業諸都市を見るとき、国際空港から伸びるハイウエーに沿って発展する工業群がそっくり同じパターンで関空から近畿自動車道紀勢線に沿って有田地方、御坊地方までハイテク企業が延びていくと予想され、景気の変動とは関係なしに長期間にわたり確実に展開されるであろうことが今野教授の予言どおりに実感されるようになってまいりました。つまり、申し上げたいのは、県がリーダーシップをとり、市町村ともども積極果敢に企業用地造成に取り組んでいただきたいのであります。
 先日の新聞によりますと、ソフト化経済センターは、二十一世紀の産業の基盤となる研究者やベンチャービジネスのための最良の環境を備えた国際先端頭脳都市ソフトコンビナートを日本に立地し、世界に広く知的生産の場を提供すべきだという提言をまとめてございます。
 大学、研究所、試作工場、リゾートなど、合わせて六千ヘクタール程度の全く新しい都市を二十年間程度で完成する計画で、総投資金額は約五兆円。ソフト化経済センターでは、研究環境が劣る日本からすぐれた研究者が米国などに頭脳流出する現象を解消し、日本だけでなくアジアなどの海外の人材にも開かれた研究環境を提供しようというもので、例えば米国のシリコンバレーなどに匹敵する研究所、事業環境を整えた先端都市を建設すべきであるという構想でございます。特にマリーナなどのリゾート施設やコンサートホールなどの文化施設、ショッピングセンター、外国人学校なども備えた国際都市とし、日本主導で創設する国際機関を置く構想で、自治体主導、民間企業の出資で開発を進める姿が描かれてございます。
 この提言に幾つかの自治体が関心を寄せている最中とのことでありますが、当局の御意見をお伺いします。
 私は、この記事を読んで想定したのが、海南から御坊、印南に至る仮称「黒潮サンベルト」であります。若干平地は少ないが、丘陵部の開発で対応できるでしょう。
 さて、こうしたナショナルプロジェクトの構想や東京サイドの学者が検討を始めたという仮称「黒潮サンベルト」が関西国際空港と高速道路を太い流れのベルトとして将来大きく伸びることを予測し、この際、一つの提案をいたしたいのであります。
 よその地域から関心を持たれるということは本県にとってありがたいことではありますが、仮称「黒潮サンベルト」を対象に、本県が独自にシリコンバレーのような開発可能性調査を行っていただきたいのであります。
 本県では第四次長期総合計画において地帯別に圏域内整備の方向が示されておりますが、時代の進展もあり、関空直結高速道路沿線地帯の概念で、圏域を超えた広域地帯の開発調査が必要と思われるのであります。こうした開発ポテンシャルの高い高速道の沿線は、大阪にも奈良にもありません。まさに和歌山県のみができるものであります。関西国際空港地域整備大綱のように国に認知されるような計画にまで高められれば、これにこしたことはないのであります。
 第四次長期総合計画に関し、若干のお伺いをいたします。先議会において先輩・中村千晴議員からもなされておりますので、重複を避けます。
 昭和六十一年十二月に進行した現第四次長計でありますが、その後、社会経済の急速な変化とそれらを背景とした新しいプロジェクト群がスタートしております。例えば、マリーナシティ、頭脳立地、田辺湾総合リゾート開発──丸紅と田辺市であります──燦黒潮リゾート構想等々であります。これらとこれらに伴う各種計画の四次長計本文への組み入れが課題となっておりますが、いかがでありましょうか。
 ところで、本県が将来展開する大プロジェクトと地域開発には、当然、公共事業の増大と財源問題が生じてまいります。昨年度、本年度と税収は好調となっており、単独事業が平成二年度に大きく伸びておりますが、いつまでも続きません。やはり国の公共事業を大きく伸ばさなければならない。ここで、国に対してぜひ一言物申していただきたいのであります。
 建設省が発行している「公共工事着工統計年度報」で、昭和五十八年から六十三年までの六年間の累計を見てみますと、本県は五千四十三億円で全国四十六位であります。人口六十一万の鳥取県でも五千二百十六億円。人口七十九万の島根県が八千九百億円と、べらぼうに高い。人口の似た滋賀県が七千三百五十億円、石川県が八千七百四億円と、人口同規模県に比べても和歌山県は平均二千億円少ないのであります。信じられないくらいであります。
 現在、中央でも公共事業の配分で論議が起こっております。日米構造協議でテーマに上がった公共事業の増額問題もさることながら、新行革審の国と地方の関係等に関する答申検討の中で公共事業の配分方法に問題が多く、配分シェアが硬直化しているとの論議に対し、大蔵省は適正配分で問題なしと反論しておりますけれども、一般論として、公共事業と言えば過去の実績や慣習をもとに固定的な予算配分をしている代表分野であります。例えば省庁配分枠、地域配分枠は不可侵領域でございます。対前年伸び率が均等化される結果、分母の大きい県の定率と分母の小さい県の定率との絶対額の開きが経年ごとに複利計算的に格差が開いていくのであります。
 六年間で二千億円も開く格差の事例を大蔵省に提出されたいのであります。本県財政と地域経済に及ぼす影響は極めて大きいと言わざるを得ません。
 そこで、総務部長にお尋ねします。
 逆転の発想といたしたいのでありますが、こうした公共事業費配分額が類似県に比べ著しく低い場合、落ち込み分をある程度交付税で補てんを求めていく道がないものかどうか。例えば、公共事業減収補てんのようなものであります。
 国が四全総でうたう地域の均等な発展を目指すなら、こうした地域間格差の是正をどこに求めていけばよいのか。中央に対し声を大にして、たびたび訴えてほしいのであります。特に国、公団、事業団の事業が本県では極めて少なく、国の機関の中にトータルな視点で公共事業費の配分を調整するところがないと本県の公共事業費はいつまでたっても最下位クラスにあり、したがって本県が新しい飛躍の時代を迎えながら開発は全く進まないという結果になりかねないのであります。
 ともあれ、これは私の予断ではありますけれども、関西国際空港完成後の和歌山─御坊間の高速道路の沿線は、インターを中心に、我々が想像する以上のテンポと規模で開発が進むと考えられます。関東近県の高速道路沿線の企業立地の進展は、日本の工業地図を大きく塗りかえつつあります。同じことが本県にも起こるでありましょう。
 確かに本県は平野が少なく、開発が進みにくいとする説がありますが、関東でも開発は丘陵部が多く、本県の有田地方、日高地方の低い里山は十分開発可能であります。先端科学技術都市として世界に有名なニース近郊のソフィアアンティポリスは地球の皮をはぐような開発をやめ、まず山に道をつけ、その道に面した必要な用地のみを企業用地とし、できる限り山の緑を残す自然保護の姿勢を貫きました。そうすることにより、緑の多い快適環境として研究者が集まるのであります。
 本県も、このような開発方式を研究していただきたい。企業用地の造成におくれをとると、県内企業すら県外へ流出するのは当然であります。フランスのラングドック・ルシヨンの成功は、理想を理想に終わらせることなく実現に努力して初めてなし得たものであるとのことであります。
 私の夢は、二十一世紀初頭には黒潮サンベルトの開発が大きく進み、海外の企業が進出して本県の海外駐在事務所がヨーロッパに、アメリカに、アジアに設けられ、本県文化の案内と企業誘致に活躍する職員がふえ、同じ形で海外事務所が本県に駐在して国際化が一段と前進する和歌山県の姿であります。
 次に、土木部長にお尋ねします。
 観光リゾート地として紀南はようやくフットライトを浴びてまいりました。くろしお特急新大阪乗り入れで観光客も相当増加し、紀伊半島に乗り入れる観光バスもひときわ多くなったようで、ことしは一段と期待が持てそうであります。
 一説によると、週休二日制の定着と広がり、リッチな退職者の旅行ブームが底辺を拡大しているとのことで、こうした紀南への旅行ブームの背景と南紀白浜空港のジェット化を見込んで関東のデベロッパーから紀南が大変注目を浴び始めました。この機会をとらえ、私も微力ではありますが、東京を中心にリゾートの誘致に頑張っているところであります。再々上京しては、とにかく現地を見てほしいと企業に来てもらっておりますが、地図の上に絵をかくのと違い、いざ進出となると厳しい採算制に立つためになかなか誘致は進みません。
 来県のたびに私は白浜空港から串本周辺までを自分の車で案内するのでありますが、必ず指摘されるのが、一つは道の悪さ、カーブの多さ、二つは、串本まで一時間三十分は遠過ぎる、せめて一時間にならないものか、バイパス等の国道整備はいつ完成するのかということであります。気候、風土、景観については抜群だと口をそろえて褒めてくれますが、最大の隘路は国道四十二号であります。そこで、直線化工事の見通しを建設省紀南工事事務所に伺うと、逆に陳情を受けます。現行予算に上積みをいただくと工事がはかどるのだがと、暗にプラスアルファを県から中央に要望してほしい様子であります。
 改良は白浜町─日置川町間で検討が進められているようでありますが、現況と今後の見通しをお伺いします。
 本県は公共事業費の配分が少ないことを逆手にとって国に訴え、国道四十二号白浜─串本間の改修を強く迫ってほしいのであります。観光県であり、リゾートを主要産業に位置づける本県に恥じない国道にしてほしいのであります。
 次に、農林水産部長にお尋ねします。
 活力ある山村づくり推進事業、通称「活山事業」でありますが、この県単補助制度ができた昭和五十七年度予算は三億七百万円であった。それから毎年シーリングのたびに二千万円ずつ削られ、平成元年には一億六千四百六十三万円にまで小さくなりました。平成二年は元年とほぼ同額だということであります。
 この活山事業は、活力ある山村づくりのため、国庫補助の対象とならない小規模な産業振興対策、人づくり対策、定住環境整備等の事業に補助され、中でもふるさと産品推進は非常に人気が高い。理由は、自分の地域に合った産地づくりを選択できるからで、既に例えば日置川のセンリョウとか、どこどこのシキビとかシイタケ等のように産地が立派に育ってまいりました。非常によい補助制度であります。半島振興過疎対策特別委員会の現地調査でも、必ず補助金の枠の増大を要望されます。地元でも、町村長さんや地域の有力者の皆さんから私どもはいつも要望を受けてございます。
 私が申し上げたいのは、これだけ実績の上がった要望の高い立派な補助金をなぜシーリングでカットをし続けてきたのかということです。過疎を食いとめる予算を削れば過疎を促進するようなものであります。過疎の実態を知っておれば、シーリングだからと言って机の上でばっさり切れないはずであります。マイナスシーリングの欠点は、すぐれたよい制度も、時代の要請にこたえた制度も、その支出の芽を摘んでしまうことであります。財政当局もその辺を十分に考えていただきたいのであります。
 平成三年度以降の活山事業の見通しをお伺いしたいのであります。
 次に、新しい果物の話であります。
 自治大学校時代の友人が山口県で議員をしており、先月、招かれて行ってまいりました。農業問題はいずこも同じ悩みが多く、高収益農業を目指し、一つは施設栽培の拡大、二つは新しい果物の発掘を行っており、そこでユニークな話を聞きました。
 山口県は山東省と姉妹県で、交流を高めるためにと門外不出の名果・肥城モモの苗を数年前に山東省から進呈され、去年初めて結実し、試食会を行ったとのことであります。楊貴妃が好んで食べたと言われ、一個三百五十グラムの大果で、糖度十七度と甘くてみずみずしく、香りも高いそうであります。同じ山東省と姉妹県である本県も、ぜひ進呈を受け、本県の特産品にと思うのでありますが、農林水産部長の考えをお聞きいたしたい。
 本県でも全国に先駆けてチェリモヤを開発しており、これの開発を担当した研究員は、さらに世界で最も値段の高いナッツ、マカデミアナッツを導入し、栽培に入っております。成功すればすばらしいことでありまして、農林水産部の努力に感謝するとともに、研究費等を惜しまず支援してやっていただきたいのであります。
 次に、ゴルフブームの到来とともに本県でも各地にゴルフ場開設の動きがありますが、昨今、全国各地でゴルフ場農薬使用に係るトラブルや事故が相次いでいるところであります。こうした中、千葉県では、このたび大英断でもって新設ゴルフ場に対し農薬使用禁止を決定し、現行ゴルフ場に対しても順次禁止を求めていく方針と新聞報道にありました。
 週刊誌「AERA」の今週号でも、無農薬ゴルフ場の特集を行っており、全国各地でもそうした動きが広がってまいりつつあります。農薬環境汚染の視点から若干人件費が高くついてもその方がベターであるとの考え方が定着しつつあり、先日も著名なゴルフ場設計家、テクノグリーンの本橋会長にお聞きしたところ、グリーンの消毒は欠かせないが、その他フェアウエー等、人力除草で十分できるのではないかとのことであります。
 本県における新設ゴルフ場及び既設ゴルフ場の農薬問題にどう対処される見通しか、お考えをお伺いします。
 総務部長にお尋ねします。
 ふるさと創生一億円事業は、東京一極集中が進む中で、地方の振興、地域おこし、ふるさと創生を進めるということで全国的に大変な関心と反響を呼びました。地方自治経営学会が全国の自治体に行ったアンケート調査の結果を見ますと、一番目には、各自治体が自主的、主体的に我が町づくりを考える起爆剤になった、二番目に、住民にも我が町を考え、町づくりへ参加するという意識が芽生えた、三番目には、マスコミ等にも大きく取り上げられて広く国民にも知れ渡り、自治体の町づくりによいPRになった、これほどまでに各方面から関心の目が向けられたことはかつてなかったことで、各市町村がみずからの施策力を示す絶好の機会となったと、高い評価がなされております。こうした人気を受けて自治省からふるさと創生一兆円構想が打ち出され、平成二年度も継続が決まっております。
 そこで、本県における一億円事業の実施状況とこの事業に対する評価、平成二年度の国の方針、制度の内容、そして都道府県に対する事業がどうなっているのか、お尋ねします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 副知事西口 勇君。
 〔西口 勇君、登壇〕
○副知事(西口 勇君) 通告が副知事ということでありますので、堀本議員に第四次長計にかかわる幾つかの課題についてお答えをいたしたいと思います。
 まず、和歌山大学の理工系学部の増設についてであります。
 このことにつきましては、従前から、県からも強く要望して大学当局においても検討が重ねられてまいったわけでありますが、その結果、本県の地域振興に寄与することを重視した学部として、応用分野を中心に据えた産業科学部とすることが昨年学内で決定されたところであります。
 現在、具体的なカリキュラム等について検討が進められていると聞いてございます。今後とも早期実現に向けて、和歌山大学総合大学化促進期成同盟会などと連携を図りながら、和歌山大学並びに文部省等国に対して強く働きかけてまいりたいと考えております。
 また、ただいま御提言ございました県立科学技術大学についてでありますが、大学の設立に当たっては、御承知のように用地の選定、確保、あるいは施設の整備を初めとして財政的な問題、教育内容や教授陣の確保といった大変多岐にわたる検討が必要でございますので、長期的な視点から研究をさせていただきたいと思います。
 次に、工業技術センターについてであります。
 工業技術センターを地域産業の魅力ある中核的研究開発施設として再編整備をするために、センターの適地について種々検討を重ねてまいりました。その条件といたしましては、産業の集積地との距離、用地取得の可能性、アクセスの問題、またビッグプロジェクトとの関連性、さらには人材育成の場である高等技能学校との連携など、総合的に検討した結果、現在地での再開発といたした次第であります。
 今後、センターの再編整備推進に当たりましては、関係者の意向を十分に踏まえ、頭脳立地構想とも連携を図りながら幅広い技術支援体制を整備してまいりたいと考えております。
 次に、企業用地の開発についてであります。
 最近における好景気と関西国際空港あるいは高速道路等基盤整備が進む中で本県への企業進出意欲が高まりを見せておりますことは、お説のとおりでございます。このような状況の中で、受け皿である企業用地問題が御指摘のとおり最も大事な課題であろうかと思うわけであります。
 御質問の紀北、紀中における手持ち企業用地のうち県関係については、今月六日に三社と進出協定を締結した吉備工業用地をもって全く分譲済みとなったわけでございます。市町村段階につきましては、粗造成を含め十三万一千平方メートルを確保いたしておりますが、このほとんどが分譲内定あるいは特定の企業と折衝中の状況でございます。
 次に、造成中及び来年度造成予定の企業用地でございますが、県段階では、桃山工業団地及び北勢田工業用地、合わせて二十四万七千平方メートルの造成に着手をいたします。また市町村段階では、十三万平方メートルの造成を計画いたしておるところであります。平成三年度以降につきましては、県では和歌山市雑賀崎地先の埋立企業用地を初め約八十九万平方メートル、市町村段階では約六十二万平方メートルの造成を予定いたしております。
 昨今の用地買収の困難さはございますけれども、前段に申し上げた企業立地の絶好の機会を失うことのないように全力を傾注してまいりたいと考えております。
 地域振興整備公団の事業主体となる中核工業団地につきましては、おおむね百ヘクタールの開発面積と開発地域指定等の条件が要るわけであります。このほか、地元市町村の全面的な協力が必要となってまいります。
 今後、近畿通産局を通じまして、公団の本県での事業化の可能性について十分協議を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、第四次長期総合計画の今後の運用についてお答え申し上げます。
 議員御案内のとおり、海南から御坊、印南に至る地域は、交通基盤で見ますと、近畿自動車道紀勢線が既に吉備町まで開通し、吉備インター周辺に相当数の企業が進出しているところでございます。
 関西国際空港開港時には、大阪府吹田市までの全線が供用されます。また、御坊までの区間は既に事業化し、御坊から田辺までは、昨年、国において予定路線から基本計画路線への昇格がなされたところでございます。
 このように、県土の幹線大動脈となるべき近畿自動車道紀勢線の建設が急ピッチで進んでおりまして、まさに地域振興のための諸条件が着々と整い、開発の機運が高まってまいりつつございます。
 県といたしましても、近畿自動車道紀勢線の南進に伴うインパクトと特性を生かした新たな展開といたしまして、インターチェンジ周辺における産業の現況等や既存諸計画との整合性に留意し、立地が有望となる業種等々について第二次中期実施計画の策定の中で鋭意検討してまいる所存でございます。
 なお、議員御提案の黒潮サンベルト構想につきましては、研究課題とさせていただきたいと存じます。
 次に、四次長計策定後の状況変化への対応についてでございます。
広く県内各界の方々の御意見をいただき策定した第四次長期総合計画は、西暦二〇〇〇年を目標年次とした十五年間の長期計画であり、基本的な県勢発展の方向と目標を示したものでございます。この基本計画を推進するため昭和六十三年三月に中期実施計画を策定し、計画の進行管理を実施しているところでございます。
 この中期実施計画は、本県を取り巻く社会経済情勢の変動等を的確にとらまえ、効率的な行財政運営の推進に努め、重点的に実施すべき施策、事業を明確にすることにより、本県の行財政運営の基本としているものでございます。
 その後の社会経済環境の変化、あるいはまたその後の検討に基づくプロジェクト等につきましては、平成二年度に策定する第二次中期実施計画に盛り込んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 御指摘の公共事業の配分の問題につきましては、本県にとっても大変重要な問題であると考えておりまして、私どもとしても県レベルで種々分析をいたしているところでございます。
 例えば財政力、人口等の点で類似している県との比較をしますと、道路事業では若干多目の公共事業を実施している反面、街路等の都市計画事業ではかなり下回るというようなアンバランスがあることも事実でございます。また、大規模な水田が少なく、圃場整備事業が少ないことや、道路公団の事業が一時中断したという事情もあるわけでございます。
 いずれにせよ、公共事業についても県勢活性化にとって何が必要かという観点から十分検討するとともに、このような県の事情、実情を国に対しても強く訴えているところでございます。
 また、こういう公共事業をめぐる諸論議の中で、県の発展のために緊急に整備すべき道路等については半島振興道路やふるさとづくり特別対策道路といった手法を用い、県単独事業として大規模な事業に取り組んでおります。これらの事業につきましては、御指摘の趣旨にも沿って、その一部が地方交付税で措置されるということになっており、実質的に見て国の補助事業、公共事業を補完する形となっておるわけでございます。
 今後とも事業の効果について十分分析を行い、どのような方策によって県にとって必要な投資的事業を重点的に展開していくのか、御提言の趣旨も踏まえて研究してまいりたいと考えております。
 次に、ふるさと創生一億円事業でございます。
 県内市町村それぞれみずから考え、みずから行う事業という趣旨に沿ってアイデア募集等住民の参加を求めたところ、全市町村で百六の事業が決定され、それぞれ実施に移されているところでございます。
 各市町村は地域の特性を生かし、産業の振興や観光事業、また長期的視野に立った人材育成や国際化事業に積極的に取り組んでおりまして、これらの事業が契機となって主体的な地域づくりと地域の活性化の機運が一層高まり、活力ある県土の創生に結びついていくものと期待しているところでございます。
 また、平成二年度におきましても、ふるさと創生の一層の推進を図るため、国において総額一兆円を超える規模の支援策が講ぜられるものとされているところでございます。
 まず、新たな施策として一億円事業をフォローアップする地域づくり推進事業が創設されまして、五千三百億円──これは、ソフト事業、ハード事業の両方あるわけでございますが、これらに対する起債と交付税措置が行われるものとされております。
 また、昨年に引き続き、ふるさとづくり特別対策事業、あるいはふるさと財団関連融資、ふるさと市町村圏などの施策が充実強化されております。
 都道府県に対する措置としましては、市町村支援のための経費として引き続き一億円程度の交付税措置がされているほか、県が行うふるさとづくり特別対策事業、あるいはふるさと市町村圏への出資金等に対して昨年度と同様の財政措置が行われることとされております。
 県としましても、このような制度や、県単独事業として平成二年度に創設予定のさきがけ補助、さきがけ貸付、地域づくり推進事業を活用し、今後一層ふるさとづくりの推進に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 国道四十二号白浜町から串本町間の国道直線化工事の促進についてでございます。
 国道四十二号につきましては、交通の隘路となっている屈曲部、異常気象時における通行規制区間等の改良計画を策定するため、昭和六十三年度より建設省において白浜町─日置川町間の調査を行っております。
 県といたしましては、調査の促進と早期事業化が図られるよう国に対して強く要望しているところであります。
 また、白浜─串本間の改修につきましては、現在、日置川町塩野からすさみ町朝来の間三・五キロメートルが日置川道路として建設省において事業が進められております。このうち、塩野─伊古木間一・九キロは日置トンネル等の工事が順調に進んでおりまして、県としては平成三年度に供用ができるよう要望しているところであります。
 また、伊古木─朝来間一・六キロにつきましては、現在、用地買収の促進を図っておりますが、一部で交渉が難航している状況であります。
 白浜─串本間の残る区間につきましても、通行の隘路区間や異常気象時における通行規制区間の改良を国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 活力ある山村づくり推進事業は県単事業として五十七年度から実施をしておりまして、特に六十一年度からは産業振興、資源活用、人づくりを三本の柱として事業を推進しております。
 議員お話しのように、山村の地域づくりに幅広く対応できる効果的な事業として市町村、地域の方々から非常に多くの要望がありまして、大切な事業と考えてございます。
 山村振興をより効果あらしめるために、山村過疎対策についての国の補助事業の積極的な活用ともあわせて、可能な限り地域の要望にこたえてまいる所存でございます。
 次に、山東省の肥城モモの導入と新しい果実の研究費の問題でございます。
 本県でも友好提携を結んでいる中国山東省から魯西黄牛、ナスビ、白菜──特に白菜の原産地が山東省でございます──またアメリカからはチェリモヤ、ナッツ類を導入し、各試験場において適応性、産地化の可能性の研究を鋭意進めているところでございます。
 お話の肥城モモにつきましては、大型の桃で、肉質がかたい、日もちが良好な反面熟期が遅い、結実も不安定であるという、栽培上難しい点もあるようでございます。今後の取り組みにつきましては、関係機関と調整を図りながら検討してまいりたいと存じます。
 また現在、果樹園芸試験場で取り組んでいる新しい果実の開発研究は昨今の消費の多様化の中で大変重要と考えておりまして、チェリモヤ等の生産安定技術の確立、あるいは個性化商品の開発研究の強化のために予算を計上し、今議会にお願いをいたしておるところでございます。
 最後に、ゴルフ場と農薬の問題でございます。
 ゴルフ場での農薬の使用につきましては、六十三年の九月以降、農薬取締法に基づいて適正使用などの指導徹底に努めるとともに、昨年の六月には、関係する二十三市町村と県関係十七機関で構成をする県ゴルフ場農薬安全使用指導対策協議会において指導の強化を図っているところでございます。
 ゴルフ場の新規開発につきましては、農薬、肥料を含めた年間使用計画に基づく影響評価や、さらに開設後の水質検査の実施など、自主管理の徹底を強く指導しているところでございます。
 また、既存のゴルフ場につきましては、啓発、研修、立ち入り等の指導に加え、平成二年度からは芝の病害虫及び雑草の発生実態に応じた防除適期の解明や、周辺環境に影響を与えない散布技術の開発を目指した農薬安全指導取締対策事業の拡充予算を本議会にお願いいたしているところでございます。
 これらの成果を生かし、各地の先進事例をも調査しながら安全防除指針を策定し、必要最小限の防除が図れるよう今後とも総合的な取り組み強化を図ってまいる所存でございます。
 議員お話しの千葉県のゴルフ場の農薬禁止の件につきましては、三月九日の報道で知りました。直ちに千葉県にその事情を伺ったところでございます。この問題につきましては、関係部局ともども真剣に検討をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
17番堀本隆男君。
○堀本隆男君 御答弁ありがとうございました。二点について。
一点は、関空から直結して南へ延びる高速道路の沿線、海南─御坊間のサンベルトでございますが、東京では大きく注目を浴びております。各地域ごとではなく、連檐したこの地域全体を対象に二十一世紀に向けたハイテクランドとしての可能性調査をぜひ行っていただきたいのであります。
 二点は、よしあしは別として、リゾート産業を発展させるためにはスポーツ施設であるゴルフ場をつくらざるを得ません。ところで、本県でもゴルフ場設置に反対する住民がふえつつあります。反対する最たる理由の一つは農薬と健康問題であります。この問題が解決するとゴルフ場の建設は大きく前進するでしょう。農薬を使用しない場合、業者は若干人件費が高くなりますが、それくらいは十分対応できるとのことであります。当局の厳しい姿勢を決断していただきたいのであります。
 以上二点、要望といたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時五十八分散会

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