平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(森本明雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番森本明雄君。
 〔森本明雄君、登壇〕(拍手)
○森本明雄君 順次、質問を進めてまいります。
 最初に、関西国際空港についてであります。
 運輸省は、関西国際空港開港時における関西圏の航空需要を国内外合わせて年間二千五百万人と予測し、関空でその需要は賄えないため開港時点での大阪空港の廃止は不可能と判断、したがって大阪空港は当分の間存続と方針を固めたことが報道されました。この運輸省の方針に対して、知事の所信をまずお伺いいたしたいと思います。
 運輸省では、航空需要予測、存廃による経済効果などの調査を昭和五十九年度から実施しており、五月には大阪空港の存廃調査の総合評価結果を公表、その後、遅くとも来年三月までには最終決定が示されるようであります。
 運輸省が五百キロ以内の国内便近距離路線空港として当分の間大阪空港存続の方針を固めたことは、最終決定ではないにしろ、大阪空港廃止を求めて運動を進めてきた和歌山県にとって、その運動のあり方について根本的に変更を余儀なくされ、今後はより厳しい対処を求められていると思うのであります。
 それにしても大阪空港は当分の間存続とは、期間を明示せず、極めてあいまいな表現であります。これを認めますと、存続方針の大阪府を初めとする大阪空港周辺自治体や民間団体の流れはさらに強さを増し、当初から大阪空港存続を考えている運輸省の意図とするところとなってしまいます。そして、大阪空港は国内便近距離路線の基幹空港として永久に存続となります。また運輸省は、大阪空港存廃決定のスケジュールを固めました。このことにより、和歌山県として今後数カ月が廃止への正念場となりました。
 運輸省の大阪空港存廃の見通し把握、廃止への具体的取り組みとそのスケジュールについてお伺いをいたします。
 収支採算性の前提になる航空需要でありますが、運輸省の予測では、関空開港時における関西圏での航空需要は国内旅客二千五百万人、国際旅客九百万人でありました。私は、国際旅客はまだ可能性があるものの、国内旅客二千五百万人は、国内景気の動向、新幹線時間短縮計画、長期的な航空輸送伸び率の逓減など勘案すると、関空開港による潜在需要が顕在しても下方修正せざるを得ないことを申し上げましたが、このたびの報道による需要予測は、関空は国際旅客を中心に一千二百万人、大阪空港は国内旅客一千三百万人、国内外合わせて二千五百万人であり、九百万人の見込み違いが生じております。この大幅な下方修正は、結果として空港利用率を低下させ、収支採算性を一層悪化させる要因となります。
 関空開港時点における運輸省の航空需要予測をどう判断していたのか、お伺いをいたします。
 運輸省が示す平成五年度の国内外輸送需要を想定する手法の変更数値が明確でないので国内外の比率はわかりませんが、関空開港時点での一千二百万人は、国際旅客、国内長距離旅客を除いた後、運輸省の示す数値で計算した場合、国内近距離路線の入り込む余地は余りありません。これでは国内便数が少なく、不評の第二成田空港になりかねないと思うのであります。
 また、長距離路線は重量の関係で騒音の被害が大きいこと、アクセスがもたらす需要への影響度が少ないこと、そういった観点から短距離路線は大阪空港、長距離路線は関空と路線選びがされる可能性を申し上げてまいりましたが、立地条件のみに配慮する路線選びは極めて公平を欠くものであります。
 日本の国内外線の基幹空港として、またアジア、さらに世界の本拠として完全空港の必要性に迫られている立場での観点に配慮すべきであると思うのでありますが、見解をお伺いいたします。
 関空は空港能力に対して投資が過大で非償却資産の総事業費に占める比率が高いことなどから、開港時年間発着十万回、国際旅客九百万人、国際旅客一千百万人は収支採算性の最低基準であったと思います。それが国内外合わせて一千二百万人ではますます採算性の悪い空港となり、単独黒字は開業後五年、配当開始は九年後という約束は大幅おくれとなり、実行不可能となるおそれもあります。
 収支採算性の最低基準を割り、採算性悪化の傾向に落ち込む可能性の見通しは、収支採算性を優先する国の全体構想実現への判断に大きな影響を与えるものと思うのでありますが、見解とその見通しについてお伺いいたします。
 運輸省は、関空開港時、関西圏での航空需要を新空港だけでは賄えないとの判断であります。時間制限が厳しく、欠陥空港の大阪空港ですら年間発着数約十三万回、国内外旅客合わせて約二千二百万人を受け入れているのであります。
 空港の能力は、滑走路の受け入れ能力とターミナルの受け入れ能力とが関係して、そのいずれか小さい方に制約されますが、開港時点における関空能力を把握されているのか、お伺いいたします。
 報道によりますと、関空会社は関空の埋立事業について、地盤沈下が当初の見通しより〇・八メートルも大幅に達している、最終的には予測を数メートル上回る見込みであることを明らかにしておりますが、運輸省では、諸般のボーリング、土質調査の結果を踏まえ比較的均一な土質と判断し、開港後の残留沈下を十年後までに〇・六メートル、二十年ないし三十年後においては一メートル程度と予測していたようであります。しかしながら、全体的な沈下予測については指摘もあり、懸念もされていたようであります。例えば、ポートアイランドは埋立工事完了後九年間で約三メーター、最終的には四メーター、六甲アイランドは十年間で約四メーターの沈下であります。
 もちろん、地盤や堆積物の違い、工法の違いによって一概には言えませんが、平成五年の開港時は地盤沈下の激しい時期に当たるのではないかと思いますが、どのように判断されているのか、お伺いいたします。
 なお、あわせて予測を超えた地盤沈下、それによる開港時期への影響、さらに不同沈下の予測について、空港会社の株主・和歌山県として確かな情報に基づく報告をお伺いいたします。
 次に、交通安全対策と救急医療体制の充実についてであります。
 昨年十一月、急増する交通死亡事故に政府の交通対策本部は初の非常事態宣言を出しました。改めて交通ルール、マナーを守るという交通安全教育の原点が強調され、特に効果的な若い世代からの安全教育の重要性が指摘されています。
 高校では三ない運動が徹底されていますが、法律では十六歳から免許が取れるのに学校が卒業まで免許を預かったり、隠れて免許を取った生徒を処罰する学校もあるようであります。教育するというよりも、むしろ禁止することに重点が置かれているようであります。
 これまで三ない運動については、問題を先送りしているだけだという批判がありましたが、最近、これを見直そうという動きが出てまいりました。
 昨年、政府の交通対策本部は、二輪車の事故防止に関する総合対策を決めました。その中で学校における交通安全教育の充実が打ち出されており、いわゆる三ない運動を行っている学校においても地域の実情に応じて、規制のあり方を含め、事故防止のための総合的な方策を検討することにより交通安全教育、指導の積極的な推進を図るとしています。
 また、文部省が示した新学習指導要領の保健体育の中にも、初めて交通安全という項目が入りました。文部省は、三ない運動一本やりの学校に方針の変更を促し始めたと言えます。そして、三ない運動は地域における現実的な対応の一つとしながらも、高校においてはこのような措置だけをもって交通安全対策とすることなしに、二輪車や自動車の特性、交通法規、交通事故の防止対策などの交通安全教育の徹底を図ることを求めているようであります。
 三ない運動が広がった原因は、事故の責任を親が学校に転嫁しようとしたことにあると言われています。法律に基づいて免許は与えられるのでありますから、事故の責任は本人にあるのが当然であります。しかし高校生は未成年でもあり、本来は家庭教育の中で、親と子の話し合いを通して免許を取るかどうかは決められるべきものであります。生徒にしても、高校に行っていない同年代の少年は自由に免許が取れるので、禁止の理由が理解できていません。車に乗って事故を起こすくらいなら、乗せて運転適性検査を伴った個別安全指導を行うなど、若い世代からの実際に即した安全教育が効果的であると思うのであります。
 今後の交通安全教育のあり方、三ない運動の見直しについて教育長にお伺いします。また警察本部長に、三ない運動のあり方と見直しについての見解をお伺いいたします。
 我が国で救急体制の基盤ができてから四半世紀が経過いたしました。日本の救急医療のシステムは、施設整備など量の面では世界の先進国と言われながら、とかく質の面では立ちおくれていると指摘されています。
 救急医療の目的は、言うまでもなく迅速に治療を施し、患者の生命を救うことにあります。しかし、欧米に比べて日本では通報から治療開始までの時間がかかり過ぎます。そのため、助かる命がみすみす失われることも少なくありません。
 その一つの要因は、医療機関に運ぶまでの医療の不備にあります。欧米では、医師と救急隊が同乗した救急車が現場に急行するというシステムが一般化しています。しかし我が国では、医師確保の面で困難もあり、ごく一部の自治体で実施されているだけであります。
 生命尊重の立場から、医師会や関係団体の協力を得て医師と救急隊が同乗した救急車の実現を図っていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 我が国では、救急隊員は医師法の規定により、災害や交通事故など救急現場においてほとんど医療行為はできません。わずかに緊急やむを得ないこととして、毛布での保温や酸素吸入、包帯を巻くなどの応急措置が認められているにすぎません。しかし、一刻を争う状況下で搬送中に死亡するケースも見られる中、救急医療機関に運ぶまでの医療の重要性が叫ばれるゆえんであります。
 例えば、英国では救急隊員が緊急医療行為を行うことが法的に認められています。米国の場合も同様に、特別救急医療士制度により医療行為が許された救急隊員が活躍しています。
 我が国においても救急隊員に何らかの教育と資格を付与して医療行為を認める方向を探るべきであり、国に対し実現を要望すべきであると思いますが、所見をお伺いいたします。
 昨年、交通事故死者が二年連続一万人を突破した日本でありますが、反対に交通事故死者数が最低を記録したのが西ドイツであります。
 交通事故数が史上最高の西独で、なぜこの奇跡が起きたのだろうか。それを紹介したテレビ番組によりますと、官民共同で事故のデータをコンピューターで分析し、なぜ死ぬのか、それを防ぐにはどうすればよいのかを研究し、それを徹底的に具体化したということであります。例えば、衝撃吸収構造の車を開発する、また全座席でシートベルトを締めることを義務づけ、それをせずに事故に遭ったときは保険金が大幅減額される制度、あるいは全運転者に応急手当てのマスター、救急セットの装置を義務づけるなど、次々に実施をいたしました。さらに、通報から十六分以内に医師が事故現場に到着するといったように救急医療体制の完備までやってのけております。救急車での医療行為さえ許されていない日本と大きな違いであります。この徹底した作戦で交通死者激減の奇跡が起きたわけであります。
 生命尊重などの言葉だけがあふれる日本の社会と徹底した実践と実現していく西独の違いを見せつけられましたが、問題点や課題を探し出し、そこまでやらなくてもというほど、それを一つずつ徹底してつぶしていく、やる以上は徹底してやり抜くことであります。それが奇跡的な結果を生むことをこの事実は教えてくれましたが、所感をお伺いいたします。
 今後、徹底した交通安全対策の取り組みといたしまして、交通安全思想の周知・啓蒙を図ること、原付免許にも実技検定を、交通安全教育、施設充実に特定財源の確保を、交通安全施設を実情に見合ったものに強化、乗用車の安全性向上をなど、ハード面、ソフト面の両面を充実させていかなければならないと思いますが、対応についてお伺いいたします。
 次に、国連麻薬乱用撲滅の十年についてであります。
 麻薬問題への国際社会の取り組み方を討議するため、去る二月二十日から国連本部で開かれていた初の国連麻薬特別総会は、最終日の二十三日、一九九一年から二〇〇〇年までの十年を「国連麻薬乱用撲滅の十年」とすることを宣言し、世界行動計画を採択いたしました。
 これまで供給国への批判が集中しがちだった国際世論が、需要国側への責任も明確にし、ともに協力を訴えたのが特徴でありました。こうした情勢を判断したとき、麻薬乱用撲滅へ行政の精力的な行動が迫られていると思うのでありますが、今後の取り組みについて知事にお伺いをいたします。
 麻薬問題は、今や環境問題と並ぶ地球規模の問題であると言われていますが、特に米国では深刻で、七千万人以上が少なくとも一度は麻薬を使った経験を持つと言われております。
 一方、日本人も、有名俳優がハワイで所持していた麻薬を発見され逮捕、また横浜市内の倉庫で見つかったコカインは二十四キロ、さらに大阪空港に台湾から到着した輸入マグロ入り段ボール箱の中に覚せい剤六十六キロ、こうした事件があったばかりでありますが、日本では米国ほど深刻ではないにしろ、大麻や覚せい剤のほか、コカインの密輸入が数年前から急増しており、暴力団や一部芸能人だけでなく学生やサラリーマン層にも広がる気配のあることが憂慮され、今は第二期覚せい剤乱用時代とも言われているのであります。
 麻薬は、人の心身をむしばみ、家庭、社会、国家を滅ぼす「魔薬」であります。しかも、一たび麻薬になじんだ人がそこから立ち直ることは至難なことであります。麻薬が唯一破らない法は需要供給の法則であると言われていますが、麻薬を欲する人がいる限り、その生産、販売はなくなりません。
 経済大国日本が世界の麻薬組織からねらわれている、そんな危惧が本当だとしたら大変なことであります。本腰を入れた麻薬、覚せい剤などの対策が緊要だと思うのでありますが、取り締まり状況の実態、今後の対策についてお伺いいたします。
 麻薬や覚せい剤に手を染めるきっかけは人それぞれだと思いますが、総じて言えることは、現実からの逃避を求める心がそこにあるということだと思います。薬の力をかりて一時でも苦痛や空虚さを忘れ、心の安らぎや充足を得たいとする願望であります。より根本的には、現代人が薬物にかりそめの充足を求める精神の脆弱さを脱し、たくましく生きる自律と自立の力を養うほかはないと思います。そのために、学校教育、社会教育、さらには再起を促す中で、いかに正しい人生観を確立し、生きる意欲を涌現させるか極めて重要でございますが、取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、健康和歌山についてであります。
 今月三日、健康文化をつくるシンポジウムが和歌山市民会館で行われ、健康、文化について数々の提言があったと聞きました。私は参加していませんので講演内容についてはわかりませんが、私なりの考え方を若干申し上げておきたいと思います。
 これまで医学においては、健康問題はすべて医学、医者に任せるべきだとされていましたが、専門医のところに行けば何もかも解決できるわけではございません。中川米造先生の言をかりるならば、これが意味しているのは、健康であるために、また病気を治すためには環境、ライフスタイルの方が大事である、しかもライフスタイルは環境の関数として出てくるということでございます。
 また、米国の厚生省が「健康な国民」と題するパンフレットを出しましたが、それによりますと、主な病気について、それが起こるのは不健康なライフスタイルによるものが五〇%、不健康な環境によるものが二〇%、体の中だけの理由によって起こるものが二〇%、不適切な医療によるものが一〇%となっています。この数字にどれほどの意味があるのかは別といたしまして、健康維持には環境とライフスタイルが関係しているとする意識が一般化してきているのは事実であります。
 また、病にはその人の生命の傾向性、宿命といったところに起因するものもありますが、現在さまざまな身の病、心の病に苦しみ悩んでいる方は、その病気に負けない強い心で挑戦しなくてはならないと思います。
 身の病を機縁にして心の病をもいやしていくこともできます。心の病との闘いの中で人間として大きくなっていくこともできます。大切なことは、病気を不幸への出発点とするか、より大いなる幸せの軌道へのスタートとするかであります。
 こうして考えてまいりますと、これまでの活動のあり方を抜本的に見直し、健康づくりの発想を転換し、環境や社会のあり方、人間関係やそれを取り巻く文化など、より広い視野からとらえ直すことこそ時宜にかなったものと考えるのであります。
 この際、健康文化県の提唱にぜひとも取り組んではと考えるのでありますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 健康を損なった場合に、必要かつ十分な治療を受けられる体制の確立とあわせ、従来の疾病治療を中心とした医療制度から保健、医療、福祉を有機的に結合させた健康の維持増進、疾病予防を目的とした健康医療システムの確立が必要であります。そのため、市町村を単位とした保健所を核に、医療、福祉、スポーツ、レクリエーション施設を連携した地域健康づくりネットワークを作成し、このネットワークを軸に地域に根づいた日常的な健康づくり事業の推進、あるいは県民全員が生涯にわたって定期的健康診断を受け、健康手帳制度に記録する生涯健康管理システムの採用、さらには市町村役場と健康診断をしている医療機関にコンピューターの端末装置を設置し、センターのコンピューターと結んで住民の各種健診データを蓄積、集中管理した上で活用する仕組みで県民一人一人の健康管理を行う地域住民健康支援システムの採用でありますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、紀の川護岸工事の影響による被害対策であります。
 報道により既に御承知と思いますが、建設省が進めている紀の川護岸工事の影響で生活用井戸や農業用井戸の水がかれて、和歌山市小豆島中州地区の住民が大変な迷惑をこうむっています。住民の大半が農家で占めている中州地区は、水質のよさ、水量が豊富なことから現在でも農業用水から生活用水に至るまで地下水を利用しています。
 護岸工事が進む中で、矢板を地下深く打ち込む工事と同時期から、地下水脈が断たれたのか、井戸の水位が急に下がり始め、使用できなくなってしまいました。建設省和歌山工事事務所では、事態に対処するため護岸工事を一時中断し、生活用水の井戸を優先して掘って急場をしのぎましたが、長期に工事の中断を行うと工期に間に合わないとの判断で農業用井戸と護岸工事を同時進行しています。しかしながら、農業用井戸の工事が農家の希望どおり進まないことから不満の声が強くなっています。農家にとって農業用水は命の水であります。すべてに優先して用水確保のための工事を進めるべきであります。
 建設省所管の工事でありますが、被害者は県民でもございます。農業用水確保のための工事やその他の問題も含め、遅滞なき対応を進めるようお願いを申し上げたいのであります。
 以上で一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの森本明雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森本議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題、大阪空港存廃についての運輸省の方針の問題でございます。
 現在、国において存廃調査の取りまとめを行っており、その結果を関係自治体、関係住民に提示し、意見を聞いた上で決定されるものでございますが、なお現在、国において調査の取りまとめを行っておる段階であり、存廃についての結論は出されていない状況でございます。
 この問題は環境問題の根本でもありまして、鈴木議員にもお答え申し上げたとおり、国と関係自治体、関係住民との間で結論を出すべきだと認識しており、私も私なりに運輸省に主張してまいったところでございます。
 次に、関西空港における国内便の大幅確保の問題についてでございます。
 関西国際空港は、国において、我が国の国際線、国内線両用の基幹空港との位置づけがなされてございます。また私は、国内便の路線については、あくまでも東京を初めとする全国の主要都市と結ぶべきだと考えております。そのため、関西国際空港に国内便を大幅に確保するよう県選出の国会議員──特に県選出の国会議員の皆さんは各界において要職にございますので格段の御努力をいただき、また県会議員の御努力により、一丸となってこの運動をなお一層積極的に推進してまいりたいと存じております。
 次に、麻薬、覚せい剤等乱用撲滅への取り組みでございます。
 この問題については、話ございましたように国際的な広がりを見せており、また我が国においても乱用が大きな社会問題となっております。本県におきましても、薬物乱用対策推進本部を中心として警察に積極的な強力な取り締まりを行っていただくとともに、また関係機関や団体、乱用防止推進員の方々等の協力を得ながら乱用による弊害や恐ろしさを県民に周知徹底するための啓発活動を推進し、その防止に努めておるわけでございます。
 検挙数も、昭和五十九年をピークに年々減少しつつありますけれども、なお一層各関係者の協力を得ながら努力してまいる所存でございます。
 次に、健康和歌山についての健康文化のシンポジウムの関係において森本議員から御提言をいただいたわけでございます。
 健康文化のシンポジウムは、成人病撲滅県民会議と県の共同主催により開催したものでございます。お話ございましたように、ライフスタイルによる、また環境による病気から健康を守るということが非常に重要なことだと感じておりまして、心の病を治していく健康づくり対策を従来の健康対策の上に加えて、なお一層積極的に進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港についての御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、大阪国際空港存廃問題の今後のスケジュールについてでございます。
 運輸省におきましては、本年五月ごろに関係自治体、関係住民に対してかねてから運輸省が行ってまいった存廃調査の結果を提示し、七月ごろまでにそれに対する回答を求めて、ことしじゅうに最終的な結論が出される予定になっていると聞いてございます。
 第二点は、航空需要予測と収支採算性についてでございます。
 近畿圏の長期航空需要予測は昭和六十一年に運輸省から発表されております。それによりますと、議員御指摘のとおり、関西国際空港開港時点では国際旅客九百万人、国内旅客二千五百万人になってございます。新しい航空需要予測につきましては、全体構想基礎調査の中で作業が進められておりますが、近年の航空需要の伸びを反映した需要予測がなされる可能性が高いと聞いてございます。
 そのような中で収支採算予測につきましては、航空需要の伸びとあわせ、関西国際空港株式会社において収入拡大のため複合管理棟の建設など最大限の努力がなされておりますので、当初予定どおりに実行されるものと考えてございます。
 第三点は、空港能力についてでございます。
 開港時点の関西国際空港の能力につきましては、年間十二万回程度の離着陸を予定してございます。先日発表された旅客ターミナル基本設計におきましても、開港時点では国内線一千万人、国際線一千万人の旅客に対応できる能力を有していると聞いております。
 また、現在の第一期計画は、最終的には離着陸回数十六万回で、国内線旅客一千三百万人、国際線旅客一千二百万人に対応できる計画になっております。さらに効率的な運用を行えば、旅客については三千万人程度まで対応できると聞いているところでございます。
 第四点は、空港島の地盤沈下についてでございます。
 現在、関西国際空港株式会社において、沈下観測をもとに調査分析を行っているところでございますが、埋立調査工区における現在までの沈下観測データによると沈下量が当初の予測値より〇・八メートル程度大きくなっているとの報告を受けており、この調査結果が確定次第、所要の措置を講ずると説明を受けてございます。また、このことにより開港がおくれることがない旨、あわせて説明を受けているところでございます。
 次に、交通安全対策についてお答えを申し上げます。
 県といたしましては、現在の交通事故情勢を厳しく受けとめ、県民一人一人の交通安全意識の高揚が大変重要であるとの観点から、交通安全母の会や交通指導員会など五十三団体で組織している交通事故をなくする県民運動推進協議会とともに、毎年、春や秋の全国交通安全運動、昭和六十三年から始めた高齢者交通安全旬間、さらに夏や年末年始の交通事故防止県民運動等を展開し、街頭啓発やラジオスポット放送、啓発物品の配布など、官民一体となった交通安全啓発活動を積極的に進めているところでございます。
 今後、議員御提言のあったことも踏まえまして、より一層、警察本部を初め道路管理者などの関係機関や各団体との連携を強化し、一体となって悲惨な交通事故をなくするための運動を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 救急自動車への医師搭乗システムいわゆるドクターカーにつきましては、医療関係への搬送中において早期に適切な救急医療処置を施すことを目的としたシステムで、救命率を高める上で有効なものであるとされてございます。
 このため、昭和六十二年、国において消防機関におけるドクターカーの導入及び管理運営に関する調査研究委員会が設置され、昨年、報告書がまとめられたところでございます。
 その報告書によりますと、消防機関がこれを導入するに当たっては、医療機関との連携方法、医師の確保、地域の特性等によりその条件に差があるので実情を勘案し、その必要性について十分検討するよう報告がなされているところでございます。
 また、救急隊員の資格については、消防法施行令により救急業務に関する講習課程を修了した者またはこれと同等以上の学識経験を有する者のいずれかに該当する消防職員をもって充てなければならないとされているところでございます。
 事故現場及び搬送途中における迅速かつ適切な応急手当てが救命上極めて重要なことから、昭和六十一年の消防法の一部改正により、救急隊員の行う応急手当てについて法的な根拠が明確にされたところであります。しかし、医師法等との関係において救急隊員の応急手当てには限界がございます。
 現在、国の方では、救急隊員のより一層高度な知識、技術の養成を図るため、救急隊長教育の実施が検討されているところでございます。
 本県としましても、今後、国とも十分協議を行い、ドクターカーの導入や救急隊員による救急処置の拡充等、救急医療体制の充実について消防及び救急医療関係機関との連携を含めて検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 健康和歌山に関する御質問についてお答えを申し上げます。
 県民の健康づくりのための基盤づくりには、保健、医療、福祉が連携を保ちつつシステムの確立をしていくことが必要であると考えております。このため、各保健所に保健所保健福祉サービス調整推進会議を設置して在宅ケアの支援体制を充実するなど、地域のネットワークづくりに努めているところでございますが、これを中心として健康づくりネットワークの形成に努めてまいりたいと考えております。
 また、保健医療情報システムの整備につきましても、関係方面の御理解を得ながら検討いたしておるところでございます。
 今後、県民へのきめ細かい保健医療サービスを提供していくために、開発すべきシステムづくりを検討していく中で、御提言いただいた点も踏まえ、県民の健康管理に役立つ保健医療情報システムの開発について検討してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 紀の川の護岸工事による小豆島地区の農業用井戸の水がれ問題につきまして、建設省は現在、農業用井戸六十四カ所のうち二十九カ所の井戸対策を完了しており、残りの井戸についても急ぐ箇所から順次対応していくよう鋭意努力しております。
 県といたしましても、残りの箇所について、今後の農作物の作付に支障が生じないよう、建設省に早期に対策を実施すべく申し入れてまいります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) まず、三ない運動についてであります。
 高校生の交通事故は、いわゆる三ない運動が実施された昭和五十五年以降大幅に減少しており、事故の未然防止の意味から効果があったことは認められるところであります。しかしながら、ここ数年はわずかながら増加傾向に転じているところであり、本年に入っても去る二月二十四日と三月五日、いずれも死亡事故が発生したところであります。
 また、昨年一年間の全交通死亡事故の約半数は若者が関係しているところから、これら若者ドライバー対策の見地からも、将来、車社会の一員となる高校生に対する交通安全教育は必要不可欠であると考えております。
 三ない運動そのものについては国や県の動向を踏まえていかなければなりませんが、警察といたしましては、既にこれまでも学校当局の要望等に応じて交通安全教育に協力しているところであり、今後とも積極的に協力してまいる所存であります。
 次に、昨年末の西ドイツの交通対策についての報道は警察としても学ぶところが多く、先般、警察庁も調査団を派遣したと聞いているところであります。そのポイントは、各種資料の収集、分析、提供、及びこれらを統括する総合的な体制づくりの問題にあると考えております。
 警察といたしましては、これまでもそのような観点から交通事故の分析資料を県、市町村初め道路管理者、救急医療機関、その他交通関係団体等に提供するとともに、高齢者対策、若者対策、運転者対策及び交通安全施設の整備等の面において、それぞれの関係機関、団体との連携、協力を強化しながら諸施策を講じてきたところであります。
 しかしながら、最近の交通事故の発生状況は第二次交通戦争とも言うべき極めて深刻な事態となっており、こうした事態に対しより強力な対策を推進するためには、議員御指摘のとおり、交通安全教育や交通安全施設の整備充実を図るための大幅な財源確保の問題、原付免許の実技試験の導入の問題、さらには車両構造に関する安全対策や事故が起きた場合の救急医療体制の整備等、総合的な見地からの対策が必要であり、今後、警察としても、これらのことについて国と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、薬物事犯に対する取り締まり状況の実態と対策についてであります。
 昨年中、覚せい剤事犯の検挙は三百二人、覚せい剤の押収量百八十七グラムとなっており、ほかに大麻事犯の検挙三人、大麻の押収量十六グラムとなっております。このように、薬物事犯のほとんどは覚せい剤事犯であります。その内訳を見ますと、暴力団百二十五人、女性四十四人、少年八人などとなっております。
 次に対策についてでありますが、昭和五十九年から覚せい剤犯罪の根絶を県警察の重点目標に掲げ、組織を挙げて徹底した取り締まりと広報啓発に取り組んでいるところであります。
 特に取り締まり面では、税関等の協力を得ながら、暴力団を中心とする密輸、密売事犯に対する取り締まり、末端乱用者の検挙の徹底などにより供給ルートの遮断と需要の根絶に努めているところであります。
 警察は、覚せい剤等薬物問題を治安上の重要な問題として受けとめ、その根絶に向けてこれらの諸対策を一層強力に推進していく所存であります。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、交通安全教育に係る三ない運動についての御質問でございます。
 御承知のように、若者の交通事故は全国的には増加の傾向となっておりますが、高校生に対する交通安全教育のあり方については非常に重要な課題であると認識をいたしてございます。
 県教育委員会におきましては、二輪車による交通事故からとうとい命を守るという観点に立ち、高校生の運転免許取得に係る指導として県高等学校PTA連合会が提唱したいわゆる三ない運動に歩調を合わせ、昭和五十五年度から全県的に実施をしてまいってきているところでございます。この結果、本県の高校生の二輪車による交通事故は減少をし、一定の成果を上げてまいったところでございます。
 県教育委員会といたしましては、さらに交通安全教育の充実を図るために、毎年、管理職及び指導者を対象とした研修会を開催するとともに、各種の通知、あるいはまた校長会等でその趣旨を図っているところでございます。
 さらに、学習指導要領の改訂に伴い、高等学校の保健の授業においても交通安全について取り扱うこととなっており、従前の指導に加え、一層深まりのある指導が推進されるものと考えているところでございます。
 今後につきましては、国及び他府県の動向を踏まえながら、三ない運動を含めたよりよいあり方について関係機関、団体と協議をし、総合的な交通安全教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
 次に、麻薬や覚せい剤の乱用防止についてでございます。
 議員御指摘のように、この恐ろしさは単に乱用者自身の心身をむしばむことにとどまらず、憂慮すべき大きな社会問題として取り上げられており、教育の場においても重大な課題として考えているところでございます。そのため、覚せい剤についての正しい知識を与え、その恐ろしさを理解させるとともに、人間として自分自身を大切にするという考え方を育てることが肝要であると考えてございます。
 こうした観点に立ちまして、薬物乱用等については中学校、高等学校の保健の授業において健康問題として取り扱うことになっており、また特別活動の中においても啓発用映画の上映やパンフレットの配布、講演会等を開催してその指導に取り組んでいるところでございます。
 また、県が主催をしている覚せい剤乱用防止推進員講習会に学校長を初めとして市町村の教育委員会関係の職員なども積極的に参加するように呼びかけ、さらに一層の連携と協力を図っているところでございます。さらに社会教育の分野においても、PTAの研修会など、機会あるごとにその啓発に努めているところでございます。
 今後とも、学校教育並びに社会教育の両面にわたり、関係機関の御協力をいただきながらさらに啓発を図ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 42番森本明雄君。
 〔森本明雄君、登壇〕
○森本明雄君 関空問題につきまして。
 国内便確保について質問をカットいたしましたが、御親切に御答弁をいただき、まことにありがとうございます。
 まず地盤沈下の問題でございますが、地盤沈下に伴う埋立土砂の増加ということになりますと、危ぶまれていた和歌山県の土砂搬出量の確保がさらに増大という思わぬメリットが考えられるわけでございます。
 ただ、予測を数メートル上回る──数メートルという根拠は何もわかりませんが、会社の幹部の発言が仮に事実とするならば、同時に不同沈下がどうあらわれてくるかの問題もあるわけでございます。
 運輸省の予測では、滑走路の水平距離二百メートルに対して最大五十ないし六十センチ。これは、滑走路の勾配の許容限度が一千分の八に対して一千分の二・五ないし三・〇に当たるわけでございますが。まあ予測を超えた地盤沈下というものは、同時に不同沈下も予測を超えたものにならないという保証はないわけでございます。
 また、地盤沈下に伴う工期の延長がもしありとするならば、開港のおくれと事業費増大というのはさらに収支採算性悪化の見通しとなり、土砂価格への影響は避けられない問題となってくると思うのであります。
 また、空港能力の問題でございますが、第一期の能力はアッパーリミットが十六万回の計画でございましたが、関空の滑走路とターミナルの受け入れ能力は、当初の計画どおり建設が進められていたならば、搬出による摩擦の問題だとか、さらに風の強さの問題等を加味しても、現段階において空港会社が運用している運用率というのは約九九%であります。
 こうした基準から計算していきますと、開港時点における二千五百万人というのは十分に受け入れのできる数でございます。しかしながら、空港、周辺自治体、さらに諸団体が存廃の最終結論を出していない段階での国内用ターミナル受け入れ能力の縮小計画変更というものには当初より大阪空港存続の運輸省の意図がありありとうかがえるのであります。
 最後に大阪空港存廃についてでありますが、大阪空港は補完空港として位置づけるべきであるとの先日来の知事の答弁には全く同感でございます。したがって、関空は国内会社の基幹空港として、また大阪空港は超短距離路線を中心として都市圏内のセカンドあるいは補助空港として位置づけることが最良の方法だと考えるわけでございます。
 以上、意見を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は御意見でありますので、以上で森本明雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十七分休憩
 ────────────────────

このページの先頭へ