平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(宇治田栄蔵議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開会
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第一号から議案第七十号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 18番宇治田栄蔵君。
 〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず、情報公開制度についてお尋ねをいたします。
 情報公開制度につきましては既に先輩議員が何度か質問しておられますが、本県ではいまだ情報公開条例は制定されておりません。そこで私は、ここに改めてその必要性を主張するものでございます。
 情報公開制度につきましては、昭和五十年代前半にはこれに関心を持つ人が少なかったわけであります。しかしながら、昭和五十四年五月、神奈川県が制度化に向けて検討を開始、同年九月、自由人権協会が情報公開法要綱を発表し、翌昭和五十五年三月、情報公開法を求める市民運動が発足すると情報公開はにわかに脚光を浴び、その後の主要な政治課題と言われるようになったわけでございます。先進的自治体は情報公開制度を「住民に信頼される開かれた行政を実現するための制度」と位置づけ、制度化を積極的に推進したのでございます。
 昭和五十七年三月には全国のトップを切って山形県金山町が金山町公文書公開条例を成立させ、小さな町の大きな実験として全国を驚かせました。さらに同年九月に神奈川県が情報公開の制度化に踏み切り、この傾向はその後も拡大し、東京都、大阪府を初めとする多くの自治体が情報公開の制度化を行ったわけでございます。
 平成元年四月一日現在では三十一都道府県、八十四市、二十三町村、十九特別区、すなわち合計百五十七の自治体で情報公開条例等が制定され、制度が運用されるに至っております。自治体における制度化の流れは今後もとどまることはないものと見られます。
 一方、国の方の情勢を見ますと、情報公開法の制定については第二次臨時行政調査会で審議がなされたり野党法案が提出されたりしておりますが、いまだ法律の成立は見ていないのであります。
 このように、自治体では国に先駆けて情報公開の制度化が進行しております。それはなぜでしょうか。これについては次のような理由が考えられるわけであります。
 第一に、首長のリーダーリップが発揮しやすいということ、第二に、地方自治の分野では各種の直接請求、住民監査請求、住民訴訟等の直接参政制度が多く設けられており、住民参加の制度的経験があること、第三に、国のように防衛、外交等公開になじまない情報が少ないこと、第四に、情報量、文書量が比較的少ないため情報管理や文書管理の整備が容易であり、情報公開制度にスムーズに移行できること、第五に、国に比べ官僚制が強固でなく、住民も身近な問題として地方自治行政に関心を有すること、などの理由が挙げられるわけでございます。
 それでは、なぜこのような情報公開が要求されるようになったのでしょうか。その時代的背景を申し述べたいと思います。
 それは、行政情報を公開しなかったために惨禍を招く事例、すなわち薬害、食品公害、産業公害などの問題が多く発生してきたからでございます。
 そこで、薬害の典型的な事例としてサリドマイド事件を御紹介したいと思います。
 合成された化学物質であるサリドマイドが、これを服用した母親の胎内にいた胎児に異常をもたらしました。これについては、西ドイツのレンツ博士が一九六一年十一月十八日にサリドマイドの危険性を警告していたため、西ドイツ、北欧諸国、イギリス等では直ちに薬の回収がなされました。
 レンツ警告は、同年十二月六日、我が国の製薬会社から厚生省に報告されています。しかしながら厚生省はレンツ警告についての情報を一般国民に公表せず、製薬会社に動物実験や文献収集をさせるだけで、サリドマイドの発売停止と回収措置をとらなかったのです。厚生省が回収を指示したのはレンツ警告から十カ月後の六二年九月であり、新聞がサリドマイドの危険性を報道したことがきっかけとなったのであります。
 レンツ警告があってから厚生省が回収を指示するまで十カ月の情報非公開の期間は重大な意味を持ちます。我が国で生まれたサリドマイド児の約四八%は、その母親が、レンツ警告後に、警告を知らずにサリドマイドを服用し胎児に影響したと推定されるからであります。もし、厚生省がレンツ警告を入手した直後にサリドマイドの危険性を国民に公表していたならば、妊婦はサリドマイドを服用せず、被害も最小限に食いとめられたはずであります。このようなサリドマイド事件が引き起こされたにもかかわらず、その後もクロロキン網膜症など同種の問題が起きてきているわけでございます。
 現在のように情報社会が発展し、また行政権限が拡大してまいりますと、必然的に行政機関に大量の情報が集まってまいります。この行政情報をひとり行政機関だけが使用するのでなく、広く国民、住民が使い得るものとして行政情報の自由な流通を図ることが国民の健康の保持や社会経済の発展に必要となるのであります。
 そこで次に、今まで述べてまいりました情報公開制度の意義、また「知る権利」という権利が最近言われておりますが、これらの関係について申し上げたいと思います。
 情報公開制度とは、住民からの請求に応じて行政機関等がその保有する情報を開示することを義務づける制度を申します。この制度は、簡単に言えば行政機関等の情報を住民に知らせるという制度でございますが、ただ単に知らせればよいということに力点があるのではなくて、住民からの請求に応じて情報を提供することを行政機関に義務づける、この「義務づける」というところに重点があるわけでございます。
 そして、情報公開制度は国民の知る権利を保障する制度であると言われております。「情報なくして参加なし」と言われるように、憲法が保障する国民主権の原理や国民の参政権を実質的に保障するためには、主権者たる国民が国政について十分に知ることが必要だからであります。
 ここで、知る権利とは、情報を管理している者がその情報の開示を拒否している場合に、その拒否を乗り越えて情報の開示を要求する権利と言うことができます。この知る権利は、「知る権利は保障する」というように憲法上の規定として保障されてはおりませんが、国民の基本的人権として憲法上保障された人権であると考えます。その根拠は、国民主権の原理や個人の尊重、生命、自由及び幸福追求の権利に求めることができます。すなわち、主権者たる国民は政治過程に積極的に参加し自主的に判断を行わなければなりませんが、自主的判断の前提として、多様な情報が自由に獲得できるのでなければなりません。多様な情報の中から国民はみずからの判断を形成し、検証することが可能となるのであります。
 主権者によって監督されるべき国家が、何が国民に知らせるべき情報であり、何が国民から秘匿されるべき情報であるかを決定する権限を持つはずがない。したがって国家は、その保持する情報を国民に対して原則的に開示する義務を負うのであり、逆に国民は、国家がその保持する情報を秘匿するのに対し、その開示を要求する権利があります。
 国家権能のうち、憲法は国会の会議の公開、裁判の公開を原則的に要求していますが、その要求は当然に行政にまで及ぶべきものでなければなりません。また、人間が人間らしく生き、人格を形成するためには多様な情報を獲得できる状況でなければならないからであります。
 このように、知る権利は憲法上保障された基本的人権でありますが抽象的権利であり、これによって直ちに訴訟上の権利救済が得られるような、具体的な権利が認められるものではありません。具体的権利の実現には、法律または条例の制定が必要とされるのであります。そこで、情報公開条例を制定し、情報公開制度を確立することが必要となるのでございます。
 このような情報公開制度の導入により、次のような効果が認められるわけでございます。
 住民の側から見ますと、今まで以上に行政機関等の仕事の内容や仕事ぶりを一人一人の住民の視点から知るチャンスを得ることができるということでありますから、行政が身近なものとなり、真の住民自治を育てる契機となり得るわけでありますし、行政への住民参加が実りあるものとすることができるようになるということでございます。行政の側にとりましても、ともすれば秘密主義に陥りがちな今までの行政のあり方に反省を加え、開かれた民主的な行政を目指して、行政体質を情報化時代にふさわしい効率的なものとすることができるという効果が見られます。
 また、県が行政に関する情報を住民に積極的に公開し、住民の行政への参加を促進して行政をより住民の身近なものにする努力をすることにより県民の県政に対する理解を深め、県民と県との信頼関係をより一層増進することができるということでございます。
 以上述べてまいりましたように、県民の行政参加の促進、民主的で開かれた行政の確立、県民と県との信頼関係のより一層の充実のために情報公開条例の制定が必要であると考えるわけでございます。知事の御見解をお伺いいたします。
 次に、情報の公開ということと関連いたしまして、公務員の守秘義務についてお伺いしたいと思います。
 過日の委員会審議におきまして、「この点については公務員の守秘義務の範囲内であるので答弁は差し控えさせていただきたい」という答弁がございました。また、行政上の事務について「行政の秘密に属することなので申し上げられません」というような答えはよく聞かれるところであります。しかしながら、私たちにとりましては、なぜ秘密にする必要があるのかという疑問を生じることがしばしばあるわけでございます。
 県の事務は、県民の信託を受けて、その監視と批判のもとに執行されることが民主主義国家における基本原則であり、したがって行政はできる限り公開され、いわゆるガラス張りの中で行われるべきもので、行政が秘密裏に執行されることは極力避けなければならないのであります。
 地方公務員法第三十四条には、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」と規定されております。しかし、ここで「秘密」とはどういう意味を言うのでしょうか。
 秘密には、形式秘すなわち行政官庁が秘密にすべき必要があると判断し、指定権者を通じて秘密と指定したものと、実質秘すなわちその事実、内容を秘匿することが客観的に見て相当の利益があるものとがあります。ここに秘密とは実質秘を言うものと解釈しなければならないのでございます。
 判例を見ましても、「行政機関が、ある事項について形式的に秘扱いの指定をしただけでは足りず、ここに『秘密』とは非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものを言う」と判示してございます。
 そこで、総務部長にお尋ねをいたします。
 地方公務員法三十四条の秘密とは形式秘を言うのか、実質秘を言うのか、そして、後者であるとするなら実質秘の判定はいかなる基準をもってしているのか、また具体的処理についてはどのように取り扱っているかをお示しいただきたいと思います。
 また、情報公開条例が制定されていない本県におきましては、秘密の範囲をより限定的に解し、開かれた行政の確立に努めるべきだと考えますが、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 次に、和歌の浦の観光についてお伺いいたします。
 和歌の浦は万葉の時代から歌人に愛された名勝の地であり、今なお天然の海岸美を長く残し、海水の美しさは県内外に誇れるものがあります。観光地百選・海岸美全国第一位に選ばれ、観光地として隆盛を誇ったものであります。しかし、今の和歌の浦の現況はどうでありましょうか。
 最盛期には二十五軒あった旅館が、現在では十五軒に減少しているのでございます。特に、昨年、昭和天皇が和歌山に行幸された折にお泊まりになられたしにせの旅館が閉館し、ことしまた四月には和歌の浦で最大収容力を誇った旅館がその営業をやめるわけでございます。このように、和歌浦の旅館の経営は大変な危機に瀕しているわけであります。
 また、和歌浦における料飲税の納税額を見ましても、昭和五十七年には約二億五千九百万円、同六十年、約二億三千百万円、同六十三年、約二億一千三百万円というように年々減少しているわけであります。この間の国民一人当たりのレジャーの支出、また物価の上昇などを加味いたしますと、数字以上の落ち込みであることが推測されるわけでございます。
 このように和歌の浦が衰退してきた原因を考えますと、いろいろな要素がございます。そこで、その原因を例示してみたいと思います。
 まず第一に交通網、すなわち鉄道網、道路網、駐車場等の交通基盤の整備がおくれたということが挙げられます。南海電鉄の和歌の浦への乗り入れも、その実現は非常に困難な状況にあります。また、観光バスが交差できない道路事情の悪さもいまだに解消されておりません。第二に、観光宿泊客以外の大きな収入源であった結婚式、パーティー、各種団体の会合などの客が市の中心部にできたホテルなどに奪われたことが挙げられます。第三には自助努力の不足も挙げられましょう。しかし一番大きな原因は、観光客のニーズの変化に対応した魅力ある観光地づくりができなかったということにあると思われます。
 従来の観光形態は団体客の周遊観光が中心でありましたが、これからは若者やファミリー客、少人数の旅行などの個性化された観光が増加傾向にあり、これに対応して個性を明確にした施設の整備充実を図ることが必要であると思われます。
 若者向きであれば体育館、テニスコート等のスポーツ施設の整備が、老人向きであればゲートボール場の整備や温泉の提供が、ファミリー客向きには、ディズニーランドのような遊園地、パンダやコアラのいるような動物園などの施設を整備すること、またグルメの女性観光客が満足できる個性ある飲食、宿泊サービスを提供する体制を整備することも一考に値いたします。また、観光の動機づけを行うため、地域の特色あるイベントの開催を図ることも必要でしょう。例えば花火大会を開催するとか、花見ができるように桜の植樹をするとか、コスモスの公園をつくるなどのことも考えられます。
 和歌の浦は観光地百選・海岸美全国第一位になった景観を有する地でありますから、海を利用した観光地として再生を図ることも一案と思われます。例えば、琵琶湖で成功しているミシガンのような観光船を航行させるとか、和歌浦湾を周回する観光潜水艦を航行させるとか、須磨海岸のように海釣り公園をつくることなどが考えられます。
 官民一体となってこのような施設整備をなし、和歌浦を魅力ある観光地として再生させることが必要であると考えますが、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
 和歌の浦に近接してマリーナシティの建設が、今、進行しております。マリーナシティは和歌浦湾を国際的な海洋レクリエーション基地と位置づけている県長期総合計画にのっとって企画されたものであり、リゾートの時代を迎え、和歌山県発展のためのビッグプロジェクトとして県民の期待するところ大なるものがあります。マリーナシティ建設により観光客の大幅増が見込まれ、観光和歌山の核となることが期待されます。このときに当たり、隣接観光地としての和歌の浦にどのような影響があるか考えておくことが必要であります。
 マリーナシティの建設によって観光客が増加し、パイが大きくなることによって和歌の浦も潤うことになり、これとともに発展する期待もありますが、反対にマリーナシティに客をとられてしまい、ますます衰退するかもしれないという危険もあるわけであります。だれもが前者であることを望むものであります。
 そこで、和歌の浦の観光旅館とマリーナシティが共存できる施策を今から考えておく必要があると考えますが、県当局のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、企業立地とその対応についてお伺いいたします。
 企業誘致については、本県が東京や大阪において企業立地説明会を初めて開催した三年前には、本県への誘致を説明しても和歌山県と奈良県の位置関係を取り違えられたり、交通の不便な場所、山と海だけのところといったイメージで企業立地の有力な候補地という回答が得られなかったと聞いております。しかし、関西国際空港の開港を平成五年に控え、また阪和間の交通網の整備という交通アクセスの進展、さらには好景気の持続という経済環境の好転のもと、毎年開催されている企業立地説明会や全国の企業に本県立地を呼びかける企業立地意向調査の実施、さらには各金融機関や各経済団体等への本県誘致施策の浸透等、県の誘致努力が実り和歌山県への企業進出が増加していることは本県経済活性化にとってまことに喜ばしい限りであり、県当局の努力に対し敬意を表するものであります。
 さて、昭和五十七年に企業立地対策室が設置されて以来、現在まで四十一企業の誘致実績と約千人の雇用増加を生み出しております。このような企業進出により、現在、県段階の企業用地については、今月六日に進出協定の行われた吉備工業団地をもって紀北ではすべて分譲済みとなり、また西牟婁郡上富田町で造成中の上富田企業団地についてもほとんど分譲内定していると聞いております。
 さらに本県への進出意向を持つ企業が増加しつつある中で、この千載一隅のチャンスを逃してはなりません。これらの企業を本県へ一つでも多く誘致しなければならないと考えるものでありますが、そのためには緊急の課題として用地の確保が必要でございます。当局はどのように対応しようとしているのか、商工労働部長にお伺いをいたします。
 次に、地場産業の育成についてお尋ねをいたします。
 地場産業の育成については現在まで種々の施策を展開されているところでありますが、今日における本県活性化のためには、企業誘致はもちろんのこと、機械、化学、繊維、皮革、木材等の地場産業のより一層の活性化が必要不可欠であります。そのためには、地場産業の集団化、協業化を促進し、生産体制の強化等を図るため適正な用地を確保・提供することが必要であると考えます。
 そこで、まずお尋ねいたします。
 本年より雑賀崎地区の一部を埋め立てて機械工業団地を建設することはまことに時宜を得たものと考えますが、この建設について、規模、完成時期を含めて全体計画はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、和歌山県の地場産業の主要なものである化学、繊維関係の企業についても、より協業化、工業団地化を進める努力をお願いしたいわけでございます。
 特にこれらの企業は、和歌山市周辺において、ほとんどが住宅地に近接しており、工場拡張等の計画を行うにしても現地開発は不可能な状態にありまして、現にある化学会社では用地確保が困難であるために和歌山県から出ていって他府県へ工場を建設したというような例もあるわけでございます。
 せっかく県内に育ったこれらの企業を今後も発展させるために、また県内に存続させるためには緊急に工業用地の確保、団地化の施策が必要であります。このような点について県当局はどのように取り組んでおられるのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
 以上、三点について質問を申し上げました。当局の答弁をお願いする次第でございます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 宇治田議員にお答え申し上げます。
 情報公開制度の制定についてでございます。
 宇治田議員から情報公開についての必要性の問題、国民の知る権利の問題、また効果の問題等について御意見を承ったわけでございますけれども、私も開かれた県政を推進する上においてなお一層努力すべきであると感じておりまして、これまでも庁内に情報公開調査研究会を設置し、情報公開に関する基本的な事項について調査研究に取り組んできたところでございます。また昨年の十一月に、制度化を推進するために、全庁的な体制として情報公開推進委員会を設置してまいったところでございます。
 情報公開の制度化に当たってまず第一に、基本方針の策定の問題、また文書管理の改善、充実等の基本的な前提条件を計画的に整備していくということが必要でございます。
 現在、情報公開制度に向けて積極的に取り組んでおりまして、その過程において条例制定ということを進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、和歌の浦の観光開発については後ほど部長から答弁いたしますけれども、お話ございましたように、私もその低迷状況について非常に関心を持っておりまして、是が非でも和歌の浦を魅力ある地域にしなければならないと考えております。
 片男波海水浴場の問題、和歌公園の問題、また雑賀崎から田の浦へ通ずる道の問題、そしてまた魚釣り公園の問題等々についても検討を進めているところでございます。
 企業誘致についても部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 地方公務員法第三十四条第一項では、職員が職務上知り得た秘密について、在職中はもちろん、退職後においても漏らしてはならないと規定されているところでございます。
 ここで秘密に当たる事項としましては、行政実例では、一般に知らされていない事実であって、それを一般に知らせることが一定の利害の侵害になると客観的に考えられるものとされているところでございます。
 行政上、秘密扱いが必要と考える例を具体的に申しますと、一つには、地方税法や統計法等で見られるような法律上の特別の規定によるもの、二番目に、生活保護の決定調書などのようにプライバシー保護のためのもの、三番目に、入札予定価格や入学試験の問題等に見られるような公益的観点から秘密を要する事項などが挙げられるわけでございます。
 いずれにいたしましても、地方公務員法第三十四条の守秘義務を念頭に置きながら、一方では行政情報の原則公開という開かれた行政を推進するとの観点に立ち、個別具体的なケースごとに対処していく必要があると考えておるところでございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、和歌の浦の観光についてでございます。
 和歌の浦の旅館街につきましては、近年、低迷傾向にあり、憂慮いたしているところでございます。地元の旅館組合においてもこういった状況に対処するため、温泉の試掘、桜の苗木の植樹、モニュメントの設置などを行うこととしており、県としても助成するなど、和歌山市とともに協力しているところでございます。
 今後、交通基盤の整備により京阪神及び外国からの観光客の増加が期待でき、海浜リゾートとして各種施設の整備や和歌の浦の歴史的な観光資源の整備を図っていくことが必要だと考えております。
 ちなみに、最近、片男波海水浴場の開設により、観光客の増加もやや見受けられるところでございます。
 また、雑賀崎、田の浦漁港の整備とその一環としての連絡道路が新設されますが、その中で美観を考慮した橋梁や田の浦海水浴場、駐車場の設置等について、関係部局等も観光面に十分配慮した事業執行を行っているところでございます。
 議員御提言も含め、地元の観光関係者や和歌山市、また庁内関係各課室で組織している観光振興推進会議の場などを通じて調整を図ってまいりたいと考えております。
 次に、マリーナシティとの共存共栄の関係でございます。
 マリーナシティにつきましては、全国で初めての人工島による海洋性レクリエーション基地であり、このマリーナシティと新和歌浦とはわずか三・五キロの海上直線距離にあります。したがいまして、こうした至近距離にある和歌浦に一体化している両地域がそれぞれ特色を出し合い、共存共栄を図りつつマリーナシティに滞在する観光客の和歌の浦への誘致を図ることが必要であると考えてございます。
 特に、漁協とタイアップした新鮮な魚料理、心温まるサービス、桜祭りなどのイベントの積み重ねが大切であり、関係部局とも協議してまいりたいと考えております。
 以上の事柄につきましては、機会あるごとに和歌の浦観光協会、観光旅館組合の皆さんとも話し合い、検討しているところでもございます。
 次に、企業立地でございます。
 企業誘致につきましては、県の重要施策として推進しているところでありますが、お話のとおり、好景気の持続や交通アクセスの進展等、企業立地条件の向上と企業誘致施策の浸透により本県への立地希望を持つ企業が急速に増加しつつある中で、用地確保が重要かつ緊急な課題となっております。
 この対応として具体化しておりますものは、桃山町において企業局を事業主体とする桃山第二工業用地、打田町において県土地開発公社を事業主体とする北勢田工業団地が、いずれも平成二年度から造成に着工される予定でございます。
 また、市町村を事業主体とする企業用地につきましても、連絡を密にしながら、その事業化を強力に指導しているところでございます。
 しかし、最近の地価高騰により用地確保はますます困難となっておりますが、今後とも企業局、県土地開発公社等、県関係機関や各市町村と協力しながらこの課題に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、地場産業の育成でございます。
 昭和六十年八月に策定した和歌山下津港港湾計画に基づいて雑賀崎地先の港湾施設の整備を図るとともに、その背後地に都市再開発用地を造成し、和歌山市内で操業中の機械金属製品製造業を集団で移転させ、地場産業の活性化を図ってまいりたいと考えてございます。
 今回の計画は、埠頭用地として六ヘクタール、都市再開発用地として二十九ヘクタール、緑地として四ヘクタール、合計三十九ヘクタールを整備するもので、平成二年度から工事に着手し、平成七年度完成予定でございます。
 今後、商工労働部といたしましては、関係部局と一層の連携を図りつつ、周辺環境と調和した理想的な工場団地の建設を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、その他の地場産業用の工業用地の確保でございます。
 地域経済の担い手として大きな期待をかけられている地場産業の多くは主に和歌山市内に集積をしておりますが、工場敷地の狭隘化という問題に直面し、新たな設備投資が著しく制約されている状況でございます。このため、業界ぐるみの工業用地の確保と各分野にわたる共同化、協業化を図ることは産業の活性化を図る上で重要であると考えてございますので、今後、関係機関ともども十分連携をとりながら、工業団地の確保に向けて鋭意努力してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 18番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 開かれた行政に対する理解ある知事の答弁をいただきまして、まことに心強い感じがいたします。今後は、条例制定に向け、より一層積極的に取り組んでいただくことを要望いたしておきます。
 次に、総務部長の答弁について再質問させていただきたいと思います。
 部長の答弁を聞いておりますと、先ほど例を挙げた厚生省における秘密主義というものを私は感じたわけでございます。答弁の中では原則公開だということをおっしゃっていたのですが、何かそこのニュアンスの中には「原則秘密主義」というふうな感じを受けたわけでございます。ですから、もっと開かれた行政のためにも明確な基準、そしてより開かれた行政の実現のためにも、秘密主義、守秘義務というものをもっと限定されたような形でまず運用していくということが大事であると思います。その辺のところについてもう少し突っ込んだ御答弁をいただきたい、これをお願いいたします。
 次に和歌浦につきましては、答弁をお願いしたのは商工労働部長であったのでございますが、あえて知事も御発言いただきましたこと、知事の関心の深さというものについて敬意を表します。行政当局におかれても、和歌浦の現在の落ち込み状況について憂慮され、また取り組んでおられることがよくわかったわけでございます。
 今まで自助努力の不足ということもございますが、最近になってワカメ料理の提供、そしてこの四月から雑賀崎漁港とれとれシャコエビ祭りという企画もしております。そしてまた、温泉の試掘に乗り出そうというふうな自助努力もしているわけでございます。そういう中で、自助努力ということは大切なのでありますけれども、民間だけの力──特に中小企業でありますと、やはり力の限界があるわけでございます。行政、特に県、市の強力なバックアップを要請いたしたいと思います。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 先ほどは地方公務員の守秘義務の範囲について申し上げたわけでございますが、御指摘をまつまでもなく県行政は県民参加のもとの開かれた県政であるというのは、知事の答弁にもありましたように基本原則でございます。したがいまして、地方公務員法の行政上の秘密保持という問題があるわけでございますけれども、結局のところ、民主主義に基づく行政公開という一般原則と、社会公共の一定の範囲で利益を保護する、すなわち秘密を保護するという公共の福祉とその要請との調和、調整の問題であると思います。
 御指摘のように県政全体を開かれた県政として前進させるために、この趣旨を踏まえながら、情報公開の制度化の実施過程において各部局とも十分相談し、県民の知る権利についてできる限り実質的な体系ができ上がるよう努力してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 18番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 総務部長の若干進んだ答弁をいただいたわけでございますが、ただいまの答弁のように開かれた行政をより推進されることを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。

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