平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(木下秀男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 平成二年度予算編成の重要事業の内容を検討いたしまして、知事初め当局の皆さんに、まずお礼を申し上げたいと思います。
 国際化に対応する諸施策といたしまして、英語指導を行う招致外国青年の大幅増員と、開発途上国からの技術研修員の受け入れ等に積極的な予算の計上をいただきました。新規事業の若年教員の海外派遣は、従来の英語教員の派遣制度とともに、今後の教職の場で大いに役立つものと信じます。
 高校生海外生活体験制度の新設でありますが、私は昨年九月議会でカナダ・アメリカ訪問の報告の折に提言したものでありますけれども、早速に具体化していただきましたことに衷心より御礼を申し上げる次第でございます。私も、日高地方で国際交流に理解のある方々の御協力をいただきながら、海外からの青少年を受け入れるべく組織をつくりつつあるところでございます。
 また、留学生支援の、県内在住の私費留学生に対する国民健康保険料の補助事業は大ヒットであります。留学生にとって、学資はもちろんでございますが、異郷の地での病気やけがに対する医療治療が大きな心配だと言われてございます。今後は、私費留学生だけではなしに、公費留学生や長期滞在の技術研修員にも対象の枠を広げてこそ、国際交流に取り組む和歌山県の姿勢と努力が高く評価されるものと思うものであります。
 これでお礼を申し上げるのは終わりまして、本題の質問に入ります。
 まず、リゾート開発についてでございます。
 日本列島は、今やリゾート基地構想が花盛りで、かつての列島改造論のときよりも大きなうねりが全国津々浦々にまで及んでいるようであります。産業構造の変化で企業誘致が進まない地方自治体にとって、リゾート開発は地域振興になる、過疎地域にとっては村おこしになると、大小さまざまな計画が全国に起こり、既に十三の開発構想が国の承認を受け、承認待ちも十数カ所あると言われてございます。対象地域の面積は大体十五万ヘクタール前後と言われてございますが、この調子で参りますと、日本列島はリゾート地だらけになってしまうでありましょう。
 それ以外に、県内におきましても、リゾート開発に名をかりたレジャー施設を主とした開発計画がメジロ押しでございます。その事業計画を見ると、判で押したように、ゴルフ場、テニスコート、マリーナ等々、投資資金を比較的容易に回収できる施設が主で、どのリゾート計画も似たり寄ったりの計画でございます。今後県が取り組んでいくリゾート開発は、よその計画よりも一味も二味も違う特徴を生かす工夫が必要であると考えるのであります。
 整備対象といたしましては、スポーツ施設はもちろんでございますけれども、リゾートの本来の目的であります教養文化施設、休養施設、集会施設、宿泊施設、交通施設、販売施設、滞在者の利便増進施設等々、均衡のとれた計画を策定すべきであると思います。
 これにつきまして、和歌山県の企画部が出しました総合保養地の整備に関する基本構想(燦黒潮リゾート構想)の素案をもとに、次の点について質問と提言をいたします。
 構想県地域を見ますと、ほとんどが国立公園ないしは県立公園地内が含まれているようでありますけれども、環境問題、自然保護問題等に大きな難問があるのではなかろうかと危惧するものでございます。
 以下、数点申し上げますが、まず、リゾートの定義をお聞かせいただきたいと思います。そして、公園法──国も県もございますが──に縛られることが大変多いように感ずるのでございますが、公園法というものを読んでみますと、ほとんど自然のよさを残すという保護をする意味でつくられた法のように思うのでありますけれども、この公園法と開発しようとすることの関係についてお伺いいたします。
 もう一つは、宿泊施設とその設置する地域における既存業者との問題でございますが、これは必ず大きな問題が起こると思います。かつて、和歌山県が那智勝浦町と太地町にまたがる地域に国民年金保養基地の誘致に努力いたしました。今、多くの人の利用施設として活用されてございますけれども、あの構想が練られたときに、今の規模よりも倍以上の構想で、ホテルはもちろんでございますけれども、コテージハウス、バンガローなどで宿泊を多くできるようにという計画でございましたが、地元の猛反対に遭い、時の町長──今は故人でございますが──浦神町長の「わしの首にもかかわる大事なことなんだから、宿泊人数を半分に減らしてほしい」というやりとりもあって、今日に至っております。それらの既存業者との宿泊施設の問題も起こってこようと思います。
 さらに、水質、水でございます。これは川と海に及ぶことでございますが、きれいな海、きれいな山と言われるこの紀州の地の、特に景勝の地と定めた公園地内周辺に対する水質保全の問題にいかように取り組んでいくのかということが一点でございます。
 もう一点は、治山治水の問題でございます。これは、言わずと知れた、造成をすれば必ずこの問題が起こってくるわけでございますけれども、これらの治山治水の点についてもお伺いいたします。
 それと、この議会で再三、皆さん方が取り上げられましたが、開発による自然保護をどのようにしていくか、この問題についてもお伺いいたします。
 和歌山県の海岸は長うございますが、そのほとんどすべての地域に漁業権を設置してございます。海岸にあるほとんどの山、これは魚つき保安林という形で、漁業にとってはなくてはならない保護すべき地域でありますが、この保安林についてどのような取り組みをするか、どのような扱いをするかということでございます。
 現に、公共事業で海岸の道路事業を進めたところで、コンクリを打ち上げたところが白く反射をするためにペンキを塗ってほしいという漁業組合の要請で、県の工事にペンキを塗り上げたようなところもある実情を見るときに、保安林特に魚つき保安林というものに大きな問題が起こってこようと思いますが、この点についてもお伺いいたします。
 最後に、施設周辺の環境整備でございます。
 計画地内は、それぞれの基準に合うようなものはつくるでありましょう。それらの施設を基準に合わす作業は進めると思いますけれども、その施設のすぐ近くにある周辺環境整備はすべて地方自治体にゆだねられることになります。こうなりますと、公共事業でいきますと地元負担金がかかってくるということになります。この施設周辺の環境整備事業についてどのように取り組もうとしておるのか、この点をお伺いいたします。
 次に、関西国際空港に向けてのアクセスについてでございます。
 「幹線直結」を合い言葉に、知事を先頭に我々県議会、市町村関係者が一丸となって取り組んでまいりましたJR特急くろしお号の新大阪駅乗り入れが実現いたしまして、大変便利となり、利用者数も大幅に伸び、JR西日本はもちろん、県民初め和歌山に来るお客さん方も大変喜んでおられることは、県民の一人として喜ばしい限りでございます。
 昨年八月二十日、新大阪乗り入れから約一カ月の利用者状況のまとめを見ますと、新大阪、京都へ乗り入れたくろしお号の利用者は、白浜方面行きは一日平均三百十一人、新宮方面行きは三百十六人と多く、上下線全体で前年度比五・一%の増となっているということであります。
 阪和間の長年の夢でありました近畿自動車道も、阪南─岸和田間がこの三月二十九日、供用開始ということも伺っております。この道路も、幹線につながり、また関西国際空港と結ぶ世界につながる道路でございます。この道路建設計画から竣工・開通に至るまで長い間御苦労をおかけし、御努力いただきました先人の皆さん方に敬意と感謝をささげたいと思います。県内の高速自動車道路が進んでまいりますと、新空港開港時には、私たちの住む紀中からも一時間余りで空港に行けると思います。
 残るは、もう一つの鉄路である南海電鉄であります。
 かつて、昭和六十年六月、この議場で私が質問と提言を申し上げましてから五年を迎えようとしております。南海電鉄和歌山市駅から旧和歌山線を経てJR和歌山駅、貴志川線を結ぶ路線の整備と、JRきのくに線和歌山駅から和歌山市駅を経て南海本線に乗り入れ、関西空港に通じる路線整備の提言を申し上げました。その間、私も関西国際空港対策特別委員として南海電鉄本社に出向き、社長以下、関係者の皆さんと懇談、陳情を重ねてまいりました。
 昭和六十年であったと思いますが、和歌山大学が現在地の栄谷に移転するということに関して、今は亡き玉置和郎先生の御案内をいただいて、時の運輸大臣山下徳夫先生、文部大臣松永光先生に新駅設置の陳情も申し上げました。当時の部長さんからは、関係者の間で検討したいとの答弁をいただきました。
 近畿自動車道開通を間近に控え、JR阪和線の新大阪駅への乗り入れ工事も着々と進み、残るはこの南海電鉄のルートだけでございます。
 この五年間に、和歌山市を中心に、コスモパーク加太開発計画に並行して和歌山市が建設中の第四団地造成事業が着々と進み、平成四年度ごろからは一部分譲開始とも言われ、大規模な事業が進められております。面積にして六十六ヘクタール、計画戸数約千六百戸、入居予定の人口が大体五千人と言われてございます。
 また、長年準備をして計画移転いたしました和歌山大学も、既に両学部の移転が完了し、和歌山市北部の高台に学園街が誕生いたしました。さらに、学園街の近くに民間企業の大規模開発事業計画のあることも仄聞いたしております。目下、県の関係課と協議中とも聞くものでありますが、このように関西空港関連の事業が南海電鉄沿線を中心に着々と具体化しつつある現状は、活力和歌山を求めて取り組んでまいった一人といたしまして、まことに喜ばしい限りであります。
 これらを見越して、新駅設置問題も議会で提起され、南海電鉄にも申し入れたことがございます。しかし、南海電鉄の現状を見るとき、何ら進展なきような感もするのでありますが、この点について企画部長に、今日までの南海電鉄に対しての取り組み、南海電鉄の県への対応、見込み等について御答弁をお願い申し上げます。
 ここで一つ、やれば成るという実例を挙げたいと思いますが、和歌山県に日本一小さい鉄道がございます。JR御坊駅から日高川口に至る紀州鉄道が──かつては御坊林交と申しましたが──昭和五十四年に、この鉄道を利用して通学する高校生の便利にと、校門のすぐ隣の用地を買収して新駅を設置いたしました。小さい鉄道会社であってもやればできるという見本でございますが、交通機関というものは、利潤の追求ということもわかりますけれども、公的な輸送機関としての使命があり、沿線住民に対するサービスというものも必要であろうと思います。その意味から、南海電気鉄道のもっと積極的な対応を望むものであります。企画部長の御答弁を願います。
 最後に、リゾートとレジャーを中心とした開発についてであります。
 このことについては、土地問題で前段の議員の多くが取り上げ、提言も申し上げてまいりましたが、私は次の点を申し上げたいと思います。
 「リゾート」という名目は同じでございますけれども、内容はスポーツ・レクリエーションを主としたゴルフ場開発──今、和歌山県内に土地ブームが沸き起こり、都市部はもちろんでございますけれども、山間僻地にも及び、にわかブローカーが横行し、土地値上がりに拍車をかけている現状は目を覆うものがあり、御承知のことと思います。
 高速道路南伸をもくろむもの、地域おこし事業に便乗するもの、田辺市らが計画するリゾート開発に便乗するもの等、いろいろと動きがあり、地価高騰により公共事業を進めていく上に大きな影響を来しておることは紛れもない事実でございます。白浜空港の用地買収しかり、高速道路の用地買収しかりでございます。
 この開発計画については県の指導認可を受けるということになってございますけれども、これはあくまでも開発計画地域内であって、周辺に対する指導というものが少なく、すべて地方自治体が負わなければならないという現状であると思います。
 今、県下を眺めますと、各地にゴルフ場を中心としたリゾート開発が多く聞かれ、一町に二カ所も三カ所も、多いところでは五カ所も六カ所もあるとうわさされ、県全体で四十カ所ほどあると言われてございます。これらの地域を中心に用地を買いあさっておりますが、もしこれらの開発計画が用地買収のときの目的に結びつかなかったときには、土地転がし等によって転売されることがございまして、当初の売り主の意とは全くかけ離れた開発につながらないとは限りません。
 こういう意味で、お隣の兵庫県では、全国一のゴルフ場を持っていると言われてございますが、最近、新聞紙上によりますと、県独自の開発規制条例を持ち、ゴルフ場については大体一自治体一カ所というふうな決めもしたように聞いてございます。県内にありましては、ゴルフ場の開発是か非かということで、住民投票によって賛否をとって反対を決めたという地域もあります。これらのリゾート開発に名をかりたレジャー施設などの動向と現況をどのように認識し、対応しようとするのか、お伺いするものでございます。
 知事は、今議会の答弁で土地問題は政治の緊急課題であると申されておりますが、まさにそのとおりであります。そこで、私は提言を申し上げますが、リゾート開発等を進める上で最も必要なものは、地元の同意と協力であると思います。地域開発につながり、乱開発を防止し、自然破壊を守り、良好な地域環境を整備するという意味で、これは仮称でございますけれども、和歌山県開発規制条例なるものをつくり、さらに土地利用開発に対する審議会というものをつくってはいかがかと提言申し上げるものでございます。
 そして、この審議会をつくるとするなれば、今日まで多くつくられました審議会とは内容の変わった立派なものをつくってほしいと思うのであります。今日までのような、大学教授の古手や団体の長を網羅したような審議会ではなくて、その道を歩んできた県職のOBの技術者や、地域で指導的な立場にあり県民や地域住民から信頼のある人々をもって組織し、実際にその地域の実情に精通した人々で審議することが本来の姿であろうと思うからであります。
 私は、このリゾートの質問をするに当たりまして、関西大学の教授である荒井政治先生が報告のような形で書きました「イギリスの経験 レジャーの社会経済史」というものを二度読み直してみましたが、そのまとめとしては、当時のイギリスと現在の日本とは内容は大いに違うと思いますけれども、レジャーというものは勤労の余暇から生まれてくるものであり、勤労とレジャーの調和の難しさ、新しいレジャー感の社会的合意にいかに長い時間がかかるかということを書いてございます。そういう意味で、このリゾート開発について提言を申し上げた次第でございます。
 最後に、このリゾートというのは十八世紀にイギリスに起こり、世界に広がったと言われてございますが、一部の投機家による無秩序な観光開発による自然美の破壊とリゾートの膨張による環境汚染から自然を守ろうとする自主的な運動、ナショナルトラスト運動の起こったのもイギリスの国からであります。
 今議会の冒頭に、私ども県議団会長の鈴木先生が田辺市のナショナルトラスト運動を取り上げられました。東洋で初めてと言われるナショナルトラスト運動の起こったのは、田辺市でございます。そのナショナルトラストで、わずかでありますが、民間の皆さん方の御協力を得て買い求めたその周辺を、今またリゾートの名をもって開発しようとされておりますが、これを守らずして、和歌山県民は大きな笑い者になることであると思います。そういう意味で、ただリゾートだけではなしに、地域開発に向けての県の積極的な体制というものの整備を急ぐように心からお願い申し上げる次第でございます。
 以上で、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下議員にお答え申し上げます。
 リゾートにつきまして、御意見なり御質問をいただいたわけでございます。
 その中で、開発規制条例をつくったらどうかという御意見でございますけれども、リゾート開発は和歌山県にとって地域振興の大変有効な施策であるとの認識から、積極的に現在取り組んでいるところでございます。
 お話ございましたように、リゾート整備については、すばらしい自然環境のもとで初めて成り立つものでございまして、こうした意味においても、おっしゃられた保全と開発の調和ということは非常に重要な課題であると認識しておるわけでございます。
 現在、開発許可等については個別の規制法により厳しく対処をいたしておるわけでございますし、また、地元の同意、協力ということが第一の前提条件でもあるわけでございます。
 御提言いただきました開発規制条例の制定については、今後の動向を見ながら、研究課題とし、議会の皆さんの意見も承りながら検討してまいりたいと思っておるところでございます。
 他の問題は企画部長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、リゾート開発についての八つの御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、リゾートの定義についてでございます。
 リゾートの定義については、いろいろな説があるようでございまして、その語源は「たびたび訪れるところ」という意味であるようでございますが、昭和六十三年三月に策定した県のリゾート開発基本構想では、「自然環境が豊かなところで、滞在してスポーツや芸術、その他に親しみ、生活を楽しむところ」と定義してございます。
 しかしながら、リゾート構想の策定に当たっては、本県の立地条件、地域特性から、観光・レクリエーション開発も含んだ広い意味のリゾートととらえ、多様なリゾート需要に対応した宿泊施設やスポーツ・レクリエーション施設、休養施設等を一体的、総合的に整備し、地域資源を十分に生かした魅力的なリゾート構想としてまいりたいと考えてございます。
 第二点は、公園法との関係についてでございます。
 本県の自然公園は、自然公園法、県立自然公園条例により、すぐれた風致景観の保全が図られているところでございまして、当該地域における開発行為については、国立公園内における各種行為に関する審査指針により一定の規制が行われているところでございます。
 しかしながら、自然はただ単に保護されるだけでなく、一方において人間生活にとって必要な生活、産業、保健、休養の場としての適切な利用も重要なことであり、自然公園の制度においても、保護とあわせて適切な利用の増進を図ることとされてございます。
 したがって、燦黒潮リゾート構想における自然公園の位置づけについても、自然の保全と自然景観を活用し、リゾート整備による地域の振興、活性化と自然公園の保護、利用との調整が十分に図られるよう、関係部局と協議してまいりたいと考えてございます。
 第三点は、宿泊施設と既存業者の問題でございます。
 新たな宿泊施設の立地に際しては、既存事業者の方々と共存共栄していくことが基本であると考えてございます。
 このことから、燦黒潮リゾート構想においては、地元市町、旅館組合等の関係団体で構成する燦黒潮リゾート構想推進連絡協議会で意見交換を実施しているところでございますが、平成二年度からは各重点整備地区を単位に運営することとし、リゾート整備を進める民間事業者も交え、地域の実情に合った検討を加えながら、協調ある発展を図ってまいりたいと考えてございます。
 第四点は、水質保全の問題についてでございます。
 リゾート整備に当たっては、良好な水質の保全と確保は非常に重要な課題でございます。このため、リゾート施設の整備については、関係部局と協議の上、汚水はできるだけ集合させて処理するなど、下流住民の方々の生活に影響を及ぼさないよう対処してまいりたいと考えてございます。
 第五点は、治山治水の問題についてでございます。
 本県の地理的特性から、災害の未然防止については積極的に実施していく必要があると考えてございまして、安全な地域づくりのための公共施設の整備を一体的、計画的に進めていくこととしてございます。
 御指摘の治山治水問題については、安全性の確保の観点から、開発に当たっては法律などに基づく各種の規制、基準を遵守し、原因者である民間事業者に対する厳正な指導を行い、県土保全及び安全対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。
 第六点は、開発による自然保護についてでございます。
 良好な自然環境は、リゾート地を形成する上で重要な要素の一つでございます。本県のリゾート整備は、自然の保全とその景観の活用を基調に推進することとしてございまして、自然景観との調和に最大限の配慮をしてまいりたいと考えてございます。
 リゾート施設の整備に当たっては、周辺の自然環境との適応、調和に努め、自然環境に支障が生じることのないよう十分配慮してまいる所存でございます。
 第七点は、保安林の問題についてでございます。
 リゾート整備を進めるに当たっては、基本的には保安林を避けることとしてございますが、地理的条件、地域の土地利用の状況等から見てやむを得ず保安林を含むこととなった場合には、その指定解除等は必要最小限度とし、開発許可基準を遵守することにより保安林の機能を損なうことのないよう努めるとともに、周辺森林の機能の保持についても配慮してまいりたいと考えてございます。
 第八点は、施設周辺の環境整備についてでございます。
 リゾートの形成は、単に施設の整備をすることだけでなく、リゾート地にふさわしい周辺環境を保護、保全するとともに整備していくことが重要であると認識してございます。
 そのため、リゾート整備にあわせ、商業、医療、文化等の都市機能の充実や道路、下排水施設等の生活環境基盤整備を進めるとともに、特に災害と安全対策についても十分配慮し、地域の居住環境を向上していくことが必要であると認識してございます。
 次に、南海電鉄に関連する三点の御質問にお答え申し上げます。
 まず、南海本線と南海貴志川線を連結して関西国際空港への鉄道アクセスにという問題でございます。
 議員御提言のとおり、本県の地域交通網整備の問題として検討しなければならない課題であると認識し、南海電鉄に申し入れしてまいりました。
 しかし、現在の貴志川線の車両幅、列車とホームとの間隔、JR線や南海本線との使用電圧の違い、さらには列車通過頻度が多い阪和線や紀勢本線を横切ることになるなど、問題点が多く、極めて困難な事情がございますが、長期的な視点に立ってさらに話し合ってまいりたいと考えてございます。
 第二点は、JRきのくに線と南海本線との相互乗り入れについてでございます。
 JRの車両幅が南海に比べて若干大きいため、南海本線のホームに入るのが危険という問題等がございます。そのほかにも、列車運行の安全確保に必要なATS(自動列車停止装置)の種類の違いや車両構造上の違い等、ハードの設備改良、設備投資を要する問題等、大変厳しい現状でございます。
 県としては、関西国際空港への鉄道アクセスの利便性確保や在来線の輸送力増強等に取り組んでおり、今後とも、本県の交通体系の整備に努力してまいりたいと考えてございます。
 第三点は、南海の新駅「大学駅」の新設についてでございます。
 新駅の設置は、住民の利便性、地域の活性化を図る上で重要な問題であり、県議会総務委員会を初め、和歌山大学整備促進協議会、県、和歌山市及び和歌山大学から南海電鉄に対し要請を重ねてまいってきてございます。
 和歌山大学周辺地域は、急勾配、急な曲線を初め、地形、地質上の問題のほか、線路の構造基準を定めた普通鉄道構造規則による技術的な問題や膨大な投資が必要など、極めて厳しい課題がございます。
 しかし、県としては和歌山大学の総合大学化を含む周辺地域の発展のためにも必要と考えてございまして、現在、周辺の民間も含む地域開発計画のある中で、幅広く研究しているところでございます。今後、さらに南海電鉄に対して強く申し入れるとともに、関係機関、関係団体等と力を合わせ、粘り強く対応してまいりたいと考えてございます。
 次に、ゴルフ場に係る県内の動向と現況の認識及びその対応についてでございます。
 県下のゴルフ場の状況は既存二十カ所でございまして、県土面積に占める割合は〇・三一%となってございます。また、工事中は三カ所、事前協議中等は十五カ所で、これらがすべて完成をしても県土面積に占める割合は〇・七五%でございまして、近畿では最も低い状況でございます。一方、市町村単位で見てみますとアンバランスも見受けられます。
 今後は、こうしたことを十分認識しつつ、秩序ある開発や地域間バランスを勘案し、市町村とも十分協議しながら対応してまいりたいと考えてございます。
 最後に、和歌山県開発規制条例と土地利用開発審議会の御提言についてでございます。
 燦黒潮リゾート構想においては、海岸域に沿って約十六万二千ヘクタールを特定地域として指定し、このうち重点的にリゾート開発を図ろうとする地域は、一地区おおむね三千ヘクタールを重点整備地区として七カ所を設定しているところでございます。
 個々のケースにかかわる開発基準の審査については、現在、例えば都市計画区域内における大規模開発については、和歌山県大規模開発計画調整協議会、あるいは森林地域の場合には和歌山県林地開発調整協議会を設置するなどにより、個別規制法でそれぞれ対応しているところでございます。
 御提言の和歌山県開発規制条例の制定及び土地利用開発審議会の設置については、先ほど知事からのお答えもございましたとおり、今後の動向を見ながら、研究課題として検討させていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十二分散会

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