平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 平成二年の二月定例会におきまして、先輩の議員の皆さんの温かい御高配により初めて質問をさせていただきます。まず最初にお礼を申し上げたいと思います。
 この和歌山県議会におきましては、地方自治の究極の目的であります住民の福祉のため、さまざまな県勢浮揚策が説かれ、激しい議論が展開されてきたことと思います。新しい時代「平成」も二年目を迎え、二十一世紀まであと十年と、すぐ手の届くところまで参りました。これからの十年が、来るべき将来が明るい未来になるかどうかの大切な詰めの時期と考えます。
 子供は恵まれた環境の中ですくすく育ち、近代的な校舎で立派な教育を学びます。多くの若者が、自分の生まれたふるさとで生きがいを持って働いています。病気になっても、安心して治療、入院ができます。会議や催しがあれば、立派な会館が使えます。スポーツをしたいときは、運動公園があります。遊びたいときは、若者のあふれる愉快な町があり、快適なリゾート地があります。どこへでもすぐに行ける広い道路があります。下水道も完備され、あちこちにきれいな公園があります。
 こんなすばらしいふるさとにだれもが暮らし、安心して老後を迎えたいものであります。そして何よりも、政治家として私たちのふるさとをこのようにしたいと思うものであります。
 しかし、幾ら立派な施設があっても、立派な福祉の制度があっても、それを使う人がいなければ何の意味もありません。人が使ってこそ初めて値打ちが出てくるものであります。また、人口がふえて自主財源がふえてこそ、こういう事業もできるのであります。
 みんなでもうけたお金はみんなのために使いましょうというのが財政でありますが、お金をもうける人がたくさんいるところにお金が必要なので、少ないところにはなかなか回ってこないのが現実であります。
 今、和歌山県では、立派な施設や福祉の制度を使う肝心の人、つまり人口が減ってきているのであります。例えば、男の人が一人、女の人が一人いたとします。この二人が結婚しますと、大体二人ぐらいの子供ができます。子供が成人になったとき、家業が農家とか商店であれば子供の一人は家業を継ぐことができますが、もう一人の子供はどこかに就職しなければなりません。この人が県内に就職できた場合を考えてみますと、二人の親から二人の子供ができ、二人とも県内にいるわけですから、人口は減りません。しかし、この人が県内に就職できなかったとき、また二人とも県内に就職できなかったときは、人口は確実に減っていきます。このような光景が県内のあちこちで起きているのではないでしょうか。
 もちろん、志を抱き、ふるさとを離れる人も多くいます。しかし、そういう人ばかりではありません。家庭の事情でどうしても地元に残らねばならない人、ふるさとが好きでふるさとにいたい人も、きっといるはずであります。
 憲法第二十二条に職業選択の自由がうたわれていますが、残念ながら、実際のところ田舎では、自由に選べるというより地元に残るというだけで職業は大体決まってしまうのであります。さらに、より高度な技術や学問を身につければつけるほど、それを生かした仕事が見つけにくくなるのであります。
 何とかこのような現状を打開し、県勢を浮揚させるため、多くの先輩の皆さんが幾多の努力をされてこられたことに敬意を表しますとともに、この「何とかしなければ」という視点に立って、私がさきの補欠選挙で訴えた公約で、しかも日高郡市の県民の皆さんが実現を今か今かと待ち望んでいる政策、すなわち御坊田園テクノタウン構想の実現について、さらにその実現のため必要不可欠の基盤整備である重要港湾日高港の整備、また御坊市における都市計画事業についてお伺いしたいと思います。
 まず最初に、御坊田園テクノタウン構想の実現についてであります。
 昭和四十八年、当時の大橋知事が県勢浮揚のため均衡ある県土の発展を期して提唱された三大プロジェクトとして、かつらぎ山系研究学園ゾーン、紀南福祉エリアとともに御坊田園工業都市構想の名前で産声を上げたのが始まりであります。そして、議会においてもさまざまな議論が尽くされ、仮谷知事も、昭和五十一年、当時の平田地域振興整備公団総裁を現地に案内され、構想を公団事業として採択されるよう要望されるなど積極的に取り組んでいただき、さまざまな調査が行われましたが、当時の日本経済の置かれていた厳しい状況や御坊・日高地域の交通体系の未整備などの理由から事業採択されず、残念な結果に終わったのであります。
 しかし、この御坊田園工業都市構想は、昭和五十五年、通産省からテクノポリス構想が示されるや否や、御坊田園テクノタウン構想として生まれ変わり、新たに中紀地方、県勢浮揚の大プロジェクトとしてよみがえったのであります。そして、テクノポリス構想調査対象地域として全国二十カ所の中に指定されるに至り、今度こそいよいよ実現かと期待されたのであります。
 当時学生でありました私は、その様子をテレビで見て、自分の生まれ育った御坊市が「テクノポリス」という、中身はよくわからないが名前からすればすごい町に指定されたと、何かうれしくなり、下宿のみんなに自慢したことを覚えております。そのころから政治の道を志していた私にとって、今県議会で質問をさせていただいているということは非常な喜びであります。しかし、あのときの感動は何だったのか。あのときから十年間、依然として「構想」であり続ける御坊田園テクノタウン構想を今私が質問しなければならない現実に、戸惑いを覚えるのであります。
 いずれにしましても、その後、知事初め議会の先輩の皆さん、多くの関係者の御努力で、よい方向に進んでいることは事実であります。具体的には、実現のために必要不可欠であります陸・海・空の交通体系の整備のうち、陸と空はそれぞれ、海南湯浅道路の供用開始、湯浅御坊道路の着工、さらに御坊─田辺間の調査と関西国際空港の建設、南紀新空港の事業化というように、整備されつつあります。また、日本経済も戦後五回目の好況を呈しておりますし、昭和六十年には関西電力御坊火力発電所の操業により、地元のうち御坊市においては、財政力も以前に比べて向上してきております。さらに、日高・御坊地域への企業進出も、県の指導のもと、盛んに行われるようになってまいりました。
 そもそも、高度技術工業集積地域開発促進法、つまりテクノポリス法に基づく地域指定を受ける条件として、一、自然的、経済的、社会的条件から見た一体性の確保、二、高度技術開発企業または高度技術利用企業に成長する可能性のある企業の存在、三、工業用地、工業用水及び住宅用地の確保の容易性、四、都市の存在、五、高度技術に係る教育及び研究を行う大学の存在、六、高速輸送施設の利用の容易性などがありますが、以上のような条件を満たしているところは、殊さらテクノポリス法の指定を受け優遇措置を受けなくても、やる気さえあれば十分に発展していけるところであります。本当は、このような条件になかなか合致しないところにこそ救済の手を差し伸べるのが政治であります。
 名前ばかりが先行する国の金太郎あめ的振興策のよしあしは別にして、採択基準に合わなければ合わないなりの政策、すなわち本県独自の地域振興策としての御坊田園テクノタウン構想の実現を図っていくべきであると考えます。まさにその方向に沿うかのように、新聞等で報じられているとおり、いよいよ平成二年度から御坊市熊野地区において、県企業局が総事業費二十八億円で御坊テクノパークを整備するとのことであります。
 そこで、まず知事の御坊田園テクノタウン構想の実現に対する現時点での考え方、今後への意気込みといったものをお聞かせいただきたいのであります。
 さらに、今日まで県と地元御坊周辺広域市町村圏組合が検討を重ねてこられたわけでありますが、その経過と現在一致している点、つまり事業においての県と地元の責任分担、テクノパーク周辺の環境整備など、具体的にどの程度まで一致しているのか、また今後の課題と進め方について、タイムスケジュールに沿ってお示しいただきたいと思います。
 二点目に、企業誘致についてであります。
 県のお世話で御坊市には現在まで二社進出を決めていただいておりますが、一社が集成材の工場で御坊市の主要産業である製材業のお手本となるもので、もう一社が御坊田園テクノタウンのサブタイトル「きのくに健康テクノタウン」の趣旨に沿った製薬会社であります。
 そこで、テクノパークへ誘致する企業はどういった業種のものを予定しているのか、また、企業は独自の経営方針で事業を展開しておることから、当然、企業進出については秘密裏に交渉していかなければならないし、企業の希望もあると思うが、県が市町村へ進出打診を行う際、どこにするかをどういう基準で選ぶのか、さらに進出に当たっては企業団地のある地元の同意も必要と思うが、どこまで同意を求めるのか、お示しをいただきたいと思います。
 三点目に、来るべき日本の主要産業となる研究所やソフトウエア業など、いわゆる産業の頭脳部分を今後地方にも分散、集積させるための法律「地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律」、通称「頭脳立地法」が成立し、近々地域指定を行い、本県も指定を受ける予定で、本構想の一部地域も含まれていると聞いておりますが、どのような効果が期待できるのか。そして、海南インテリジェントパーク内に平成二年度に設立が予定されている仮称・株式会社和歌山リサーチラボは本県の産業構造の改善に非常に役に立つものであると聞くが、とりわけ本構想にどのような効果が期待できるのか、御説明いただきたいと思います。
 四点目に、近畿大学青踏女子短期大学の跡地利用についてであります。
 青踏短大が昭和六十一年四月に和歌山市に移転しなければならなかったことは、日高・御坊地域の今置かれている現状を如実に物語る出来事でありました。しかし、昨年、近畿大学が紀北地方に先端技術関係の学部を増設し、その出先機関として跡地を再利用するという発表がありました。郡市民が期待をしておるわけでありますが、今、県ではどの程度把握しているのか、またどのように対応していかれるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
 次に、御坊田園テクノタウン構想の実現に向けて、ぜひやらねばならない重要港湾日高港の整備についてお伺いします。
 日高港は古くから木材、生活物資等の集積場として栄え、時代の変遷とともに交通体系の整備が進む中で、流通拠点としての役割の低下もありましたが、地域の代表的産業である製材業にとっての重要な港であることは今日まで一貫しており、地域を支える重要な基盤であります。県の統計によれば、昭和六十三年には日高港で取り扱われた林産品は四十万トンを超え、和歌山県の港湾で取り扱われる林産品の四分の一近くを占めるに至っておるのであります。
 しかし、現在の日高港は、水深マイナス三・五メートルの物揚げ場しかありません。そこで外材の二次輸送を行っている状況であります。大型岸壁の整備等、港湾機能の拡充は今すぐにでも解決しなければならない課題であります。
 そもそも、日高港の整備は、御坊周辺の製材業者の間から物流の合理化、流通コストの低減を図るため外貿線が直接利用できる係留施設の整備が叫ばれたのが始まりで、当時の高度経済成長期のもとに、地域の発展を願って合理的な荷さばき、保管のための用地や各種産業の立地のための用地を持った大型港湾の整備が構想されたのであります。
 そこで、港湾管理者である県、地元御坊市、多くの関係者の皆さんが検討を重ね、新しい港の計画を取りまとめ、重要港湾への昇格に向け仮谷知事を先頭に関係の皆さんが一丸となって国への強力な運動を展開し、その結果、昭和五十八年に地元の熱意が理解されて念願の重要港湾の指定を受けたことは、御承知のとおりでございます。
 その後も、港湾計画に基づき防波堤、係留施設等の整備について事業化を図り、事業実施に向けた取り組みを行っていただいておりますが、漁業者との調整、事業方式について課題が生じ、まことに残念ながら、今もって着工に至っていないのであります。
 しかしながら、重ねて申し上げますが、御坊市の代表産業である製材業は、自助努力によって経済環境が厳しい中でも業績を伸ばし、今では出荷額が県全体の半分を占めるに至っております。さらに、この数年の好況も反映して木材の取扱量は順調に伸びてきており、現在の港湾施設では全く間に合わなくなってきておるのであります。
 また、平成六年の湯浅御坊道路の完成に伴い、日高港の背後圏が大きく広がり、御坊市の臨海部のポテンシャルも飛躍的に高まってまいります。そして、何よりも日高港の整備は、日高・御坊地方の将来の姿、御坊田園テクノタウン構想の実現に向けての重要な基盤整備であります。
 さらに、今日のウォーターフロント時代を迎え、大阪湾の臨海部には多様な要請が向けられて、今までの港湾機能の一部を周辺の地域に持っていこうとする動きも見られ、そうした面から、今こそ日高港整備の要請が改めて高まりつつあるのであります。
 そのような背景の中で、日高港の整備を段階的に行うことが効果的と考え、まず南埠頭の整備を第一期計画として着工することが国、県、市の間で基本的に合意し、現在取り組んでいただいていると聞いておりますが、一日も早い着工を期待し、質問をさせていただきたいと思います。
 重要港湾日高港の港湾計画は、大阪湾諸港との機能分担を図りつつ、和歌山県中部地域の経済活動を支えるため内外貿機能の整備を図る、背後地域の経済発展に資するため地域産業の基盤としての港湾整備を図ることなどを基本方針とし、昭和五十八年に中央港湾審議会の審議を経て策定されていますが、日高港整備について県は今どう考えておられるのか、また日高港にどのような役割を持たせるべきか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、日高港の整備に関して土木部長に幾つかお尋ねいたします。
 まず、着工に向けての現在の県の取り組み方及び御坊市の取り組み、また国の日高港整備についての考え方をお聞かせ願いたい。特に漁業交渉は着工に向けての大きなかぎであり、その現状と取り組み方についてもお聞かせいただきたい。
 また、日高港整備といった大型プロジェクトを進めるには適切な事業方式をもって行うことが重要でありますが、埋立造成事業の事業主体についてはどのように考えているのか、また、港湾整備事業は投資規模も大きく地元財政を圧迫することも考えられるが、その点についてどう考えているのか、お考えをお聞きしたいと思います。さらに、造成した埋立地への企業立地が本事業を推進し地域の活性化を図る上で最も重要なことは明らかでありますが、企業立地についてはどのように考えているのか、お教えいただきたいと思います。
 大きな三番目の質問として、都市計画事業についてお伺いいたします。
 和歌山県は、気候温暖、風光明媚でさらに人情豊かと、大変すばらしいふるさとであります。しかしながら、海からすぐ山へと地形は山ばかりで、紀の川筋と海岸部の少ない可住地に人口の八割が集中しており、さまざまな弊害が生じてきております。さらに、昨今の地価高騰が一層事情を複雑にしているのであります。
 このような状況を打開し、将来に残さないためには、潤いと活力ある都市の基盤づくりを推進すること、つまり機能的で活力ある産業活動の場として、また安全で快適な日常生活の場として、来るべき二十一世紀に向けて都市をどのように計画的かつ総合的に整備していくかということが大切であります。平地の少ない本県にとりまして、適切な土地利用、二十一世紀にたえ得る町づくりを進めることが極めて重要な課題であると考えます。
 都市基盤整備は、道路、公園、下水道、いずれも生活に密着した重要な施設でありますが、特に、都市の骨格を形成し市街地における都市交通を確保する幹線街路の整備は、まず最初に重点的に進めるべき都市計画の基礎であります。しかしながら、本県の幹線街路の整備状況は、全国平均の約四割に対し約三割と立ちおくれた状況にあり、今すぐ何とかしなければならない緊急を要する問題であると思います。
 こうした県の実態の中、日高・御坊地方は、今後、湯浅御坊道路の開通や御坊テクノパークの建設なども相まって、ようやく発展の兆しが見える大切な時期を迎えます。そうしますと、人の流動も活発化し、それを支えるべき交通拠点の整備と都市施設の充実が必要になってくるわけであります。
 日高・御坊地方の交通拠点、表玄関としてJR御坊駅があります。御坊駅前広場は、現在都市計画事業として県が事業主体となって取り組んでいただいておりますが、駅前広場と市内を結ぶ都市計画道路駅前吉原線は、全線七百五十メートルのうち第一工区二百六十メートルに着手して以来十年もたちますが、いまだに道路としての仕事が行われておらず、一体いつになったら全線開通するのかという状況にあります。
 JR紀勢線が新幹線と直結された現在、この駅前吉原線の整備は以前よりもまして急がれるものと、地元御坊市は第一工区の早期供用と第二、第三工区の早期事業採択をお願いしているところでありますが、整備促進を目指しての県当局の取り組みについて、土木部長の御所見を伺います。
 次に、御坊総合運動公園についてであります。
 都市としての潤いを生み出すものとして都市公園がありますが、それはまた、災害時の避難地など防災機能も有する都市の根幹的施設でもあります。しかし、本県の都市公園の整備は全国に比べ決して進んでいるとは思われません。中でも、御坊市における公園整備は大幅におくれているのが現状であります。
 御坊市においては、関西電力御坊発電所土取り跡地に、国庫補助を得て昭和五十八年度より御坊総合運動公園の整備に着手しておりますが、七年経過した今も野球場の完成を見たのみであります。
 そもそも、運動公園の整備は、御坊市が火力発電所を誘致した際の市民同意を得るための条件の一つでありました。その発電所立地が御坊市や県の財政に貢献した役割を考えますと、操業後既に五年も経過した現在、完成していないのは、スポーツをする人のみならず、私を含め御坊市民ならだれしも納得できない事実であります。さらに、御坊市は総事業費のうち市負担分三億円を既に事業協力金として受領しており、国の予算に合わせて幾らでも執行できる状況にあります。また、平成二年九月には全国軟式野球大会の開催会場の一つともなっており、早急に未整備施設の建設に着手し、利用促進をお願いしたいのであります。
 そこで、紀中地域の中心的なレクリエーションの場である御坊総合運動公園の整備促進について、土木部長の御所見はいかがか、お示しいただきたいと思います。
 以上、このふるさとを本当に何とかしなければ自分たちの将来が開けてこないんだと思う若い世代の代表として、質問をさせていただきました。どうか、将来の希望に明かりをともしてくださるような積極的な御答弁を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村裕一議員にお答え申し上げます。
 御坊田園テクノタウン構想の実現でございます。
 お話ございましたように、御坊地域の振興につきましては、御坊田園工業都市構想及び御坊田園テクノタウン構想により、若者が定住できる地域開発を目指してさまざまな取り組みを行ってまいったわけでございますけれども、まだ十分でないということ、まことに遺憾に思っておるわけでございます。
 しかし、話ございましたように、現実問題としてこれを着実に具体化するために、現在、企業局において熊野地区で計画を進めつつあるわけでございます。これは、今後、湯浅御坊道路の開通を目途として企業立地を進める計画をいたしておるわけでございまして、このためには、とりわけ地元の用地買収の協力が必要でございます。そうした面において市当局も非常に熱心に取り組んでいただいておりまして、場所等についてもいろいろ配慮していただいておるわけでございます。
 また、最近、高速道路の紀南延伸に伴い、有田までの企業誘致が成功しつつあるわけでございまして、御坊までの企業誘致がなお一層の重要性、必要性を持っておりますので、そうした面になお一層積極的に取り組んでまいりたい、そして所期の目的達成のための一助にしたいと思っておるわけでございます。
 それから日高港湾について、基本的な考え、また日高港湾はどんな役割を持つのかということでございます。
 お話ございましたように、和歌山県の中紀地区の物流の基地である、また産業を立地するための基地でもあるということで、港湾機能、そしてまた産業基盤の基地という形で見ておるわけでございます。
 この地域の発展というのは、産業振興やテクノタウン構想実現のための基盤整備といった重要な役割を持っておると考えてございまして、こうした面からも県が現在まで積極的に取り組んでまいったのでございますけれども、お話ございましたように、まだ御坊市側については着工できていないのが現況でございます。しかし、私は段階的な整備により効果的に事業を進めていかなければならないんではないかと思っておるわけでございます。
 当面の問題である漁業交渉、事業の進め方等、いろいろな問題があるわけでございますけれども、御坊市並びに地元町と十分に話し合い、お互いが一体となって事業を積極的に推進するように強く指示しているところでございまして、これについてはなお一層の努力をしてまいりたいと思います。
 残りの問題は担当部長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、御坊田園テクノタウン構想の現況及び今後の具体的取り組み等についてお答えを申し上げます。
 昭和四十七年の御坊田園工業都市構想以来、昭和五十七年以降は国のテクノポリス法に基づく計画承認を得るべく、地元の御坊周辺広域市町村圏組合とともに全力を挙げて取り組んでまいりましたが、その後定められた地域指定要件の中に高度技術企業の存在、高速輸送施設利用の容易性、自然科学系大学の存在という当地域が満たしていない条件が含まれたため、現在、承認申請には至ってございません。
 ところが、近年、湯浅御坊道路の計画が具体化するなど、企業の進出条件が改善されつつございますので、この機会をとらえ、県と地元が共同で、当初の目的であった工業導入による若者が定住できる町づくりを実質的、着実に達成していくことが重要であると考え、その方向で検討を進めているところでございます。
 先ほどの知事答弁にもございましたように、現在、御坊市内に約二十ヘクタール規模の工業用地を造成し、企業誘致を進める考えでございますが、これを核として当地域の振興が図れますよう、地元と力を合わせて取り組んでまいる所存でございます。
 次に、頭脳立地構想についてでございます。
 頭脳立地構想は、情報、研究等の機能を有する民間企業を誘致し、その集積を地域産業の高度化に活用しようとする施策でございまして、テクノポリス法を補完する施策でもあり、ハイテク産業の地方立地に対する支援も期待されるところでございます。
 したがって、頭脳立地構想に基づく集積を活用して、ハイテク産業を中心とした企業誘致に努め、テクノタウン構想の具体化に取り組んでまいりたいと存じます。
 最後に、青踏女子短期大学の跡地利用についてでございます。
 現在、近畿大学では地元の強い要望を受け、バイオテクノロジー研究所を設置する方向で学内に委員会を設け、検討を進められていると聞いてございます。
 県としては、この計画の早期実現に向けて地元とともに働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 現在計画中の御坊テクノパークへの企業誘致に係る導入業種としては、先端技術産業や農業関連産業、また健康産業等を想定いたしております。
 次に、企業の本県への進出意向に伴う受け入れ市町村の選定でございますが、これについては企業の立地希望地域と各市町村の導入希望業種、対応可能な用地等々を勘案し、企業及び各市町村の調整を行った上、対処しているところでございます。
 また、進出に当たっての地元同意については、最終的には受け入れ市町村の判断にゆだねておりますが、通常、市町村及び企業用地の所在する地元の同意を原則として求めることといたしております。
 いずれにしても、地域の活性化のため、今後より積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 重要港湾日高港湾の整備についてでございます。
 まず、国、県、市の取り組み状況と漁業補償交渉についてでございますが、日高港湾の整備については、着工に向けて運輸省第三港湾建設局、県、御坊市とが一体となって課題の解決に取り組んでいるところであります。
 当面の最大の課題は漁業補償と認識しており、関係漁業協同組合との話し合いを進めてきております。本事業の海域には三つの漁業協同組合が漁業権を有しており、それぞれの漁業協同組合で事情が異なるところもありますが、御坊市等、地元が努力しておりますので、それらと協力して早期妥結に向け努力してまいります。
 運輸省においても、日高港湾の整備が地域開発に果たす役割の重大性を理解し、本事業について支援するとの考えを示していただいておりますが、事業促進のための環境整備についての地元の努力を求められております。
 次に、御坊市の負担率についてでございます。
 地元負担金の割合については、昭和四十八年以前は補助事業については三〇%、直轄事業については二〇%でありましたが、その後軽減を行い、昭和六十年度から事業費の一八%までになっております。平成元年度には直轄事業について事業費の六分の一に軽減し、さらに平成二年度にはこれを一五%に軽減するとともに、補助事業に対しても六分の一に軽減を図るべく、今議会に提案いたしてございます。
 日高港湾整備に当たり、御坊市の財政力、負担能力に配慮した上で、工期を分けて、当面、一期計画において南埠頭を整備することで国、県、御坊市において合意を見ております。
 次に、整備の事業主体とその理由についてでございます。
 防波堤、係留施設などの公共施設については国、県の公共事業により実施することとしており、埋立事業については県と市が共同で実施することとし、具体的な内容について市と調整、検討しているところであります。
 日高港については、物資、流通拠点としての性格、地域産業基盤としての性格を有するもので、市及び県がそれぞれの立場で主体的に取り組むことが適当と考え、県、市の共同事業と考えているところでございます。
 次に、進出企業については、現在九社で日高港進出企業協議会が設立されており、それらの企業から進出の意向が示されているところであります。
 次に、駅前吉原線、御坊総合運動公園の整備促進についてでございます。
 まず、都市計画道路駅前吉原線は、御坊駅と市街地を結ぶとともに、御坊駅前広場を含む重要な幹線街路であります。本路線は昭和五十六年度に事業に着手し、その整備に鋭意努めてまいりましたが、駅前でもあり、移転物件も多く、事業期間が長期化してまいりました。用地買収の見通しも好転してきましたので、駅前広場を含む本路線の早期完了に向けて事業を積極的に推進してまいります。
 次に御坊総合運動公園の整備についてでございますが、都市公園は多様な機能を有する都市の根幹的な施設であり、整備を積極的に進める必要があります。
 御坊市が整備を進めている御坊総合運動公園は、昭和五十八年度に事業着手し、平成元年十月には野球場を供用するに至っております。平成二年度には多目的グラウンドの整備着手が予定されており、引き続きテニスコート、駐車場等の整備が予定されております。
 県としては、公園事業を推進するため国庫補助金の確保に努力するとともに、御坊市の事業執行を指導してまいります。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。

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