平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 政治を行う者にとりまして、また行政に携わる者にとりまして一番大切なことは、過去から現在そして未来へと流れていく時の流れの中で今どういう時点にあるのか、今何をしなければならないかということをはっきりと自覚することであろうと思うのであります。
 今、和歌山県の置かれておる時を考えてみますと、和歌山県の未来を切り開いていく上で、恐らく、今まで紀伊半島が経験してきたことのない極めて大きな変化をこれからの五年、十年で受けようとしておる、そういう大きな要因があるということであります。そのかつてない大きな変化を、未来を切り開くために、県勢の浮上のためにいかに活用するか、そのためには今何をなさなければならないかということをじっくりと考えてみますと──よく私たちは「勝つまでは欲しがりません」ということを小学生のころに言われたわけであります。いわゆる非常体制であります。普通ではないということであります。そういう武器を持った戦いではありませんけれども、和歌山県の未来を切り開いていく上で、今のこの時期、これからの五年間あるいは十年間というものは、今後の和歌山県百年の大計の中でまさに未来を切り開く戦いの時である、こういうふうに断言しても過言ではないと思うのであります。
 戦いの時、非常の時には、非常の体制が必要であります。そういう和歌山県の置かれておる時の位置というものをどのように自覚しておるか、その中で限りある人と物とを使ってどれだけ有効な最大の仕事をすることができるか、これが今我々に課せられた一番大きな問題ではなかろうかと思うのであります。
 個人にとりましても、例えば病気でも、ある時期にちょっとした予防をしておけばよかったものを、ほうっておいたために取り返しのつかないことになるということはよくあります。また商売をしておりましても、ある時期にこの手当てをしておけばもっと大きな収穫を得たであろう、こういうことも多々ございます。しかし、これらは個人の責任に帰すべきもので、その結果もまた個人が受ける。会社でありましても、その法人が受けるということになるわけでございます。
 ところが、「和歌山県」ということになると、その方針と現時点の把握、努力の仕方を間違えば、和歌山県全体が大きな災いを受ける。逆に、この時期を最大限に活用して、苦しくとも我慢をして、今やっておかなければならないことを協力してやり遂げることができるとするなれば、将来、和歌山県民の受け取る果実は極めて大きいものになろうと思うのであります。
 そういった意味で、この時点において何をやるかということを選択することも一つの大切なことであります。そして、選択したものをどのようにして県民に理解してもらい、県民と一緒にその仕事を推し進めていくか。そういったことに関しまして、和歌山県が進めていく事業、特に道路行政について質問をしてまいりたいと思います。
 一般に、公共事業は測量・設計、用地の買収、工事の着手の三つが一体となって行われていくわけでありますけれども、原則として国は、この三点セットとでも言うべき測量・設計、用地買収、工事着手の見通しが全部ついた時点で補助をつけていくというあり方をとっております。これについて、今の和歌山県の体制では、できれば測量・設計の段階から補助をつけていただく──そういうものもありますけれども、すべてそういうふうにしていただければ仕事がやりやすいと職員からも聞いたことがございます。
 私は、今の県の持っておる組織、人員ということを考えてみますと、まさにそのとおりだと思うんです。普通のときならば、議会も一緒になって、現状に合わした国のあり方を陳情していくということもやるべきであろうと思うのでありますけれども、冒頭に申し上げましたように、今は非常事態であるという自覚の上に立ちますとき、国からこの三点セットの見通しを言われておるならば、これを消化してクリアしていく能力を備え、苦しいけれどもこれをクリアすることこそ、この時点において事業を早くやっていくことにつながるのではなかろうかと、このように思うのであります。
 我々が建設省に行ったり個人的に国の役人の方々とお話をさせていただきましても、我々が陳情や県民の熱意をそのままお伝えに行くということは大変大事なことでありますけれども、いわゆる陳情行政ということから、もう少し世の中の動きは変わってきておる、国の本庁の動きも変わってきておるように思います。すなわち、県の持つプロジェクト、計画がどれだけ現実性のある合理的なものであるかということ、そして、それを消化する能力を国に対してどう実感させ得るかということ、県民が熱意を持ってその受け入れ態勢を持っておるかということ、こういうことが国にわかればお金をつけていきましょうという方向に動いてきておると思うのであります。そういった上に立ってこその陳情であり、県選出代議士の諸先生方にもお願いしての県民挙げての運動ではなかろうかと思うのであります。そういった意味におきまして、この非常時における体制の組み方ということについて、特に質問をしてみたいと思ったわけであります。
 県工事だけではなしに、例えば高規格道路とか第二阪和国道といったものは国の事業でありますけれども、それを県や市町村がどれだけ助け、率先して進めていく能力があるかということを国は見ておるわけであります。その進め方によって、例えば、京奈和道路が四全総の中で位置づけられておりましても、実施計画としてどれだけ早く実現の運びになっていくかということと極めて大きな関係を持っておることを思いますとき、今持っている県の公共事業を、苦しいけれども的確に消化していくというその能力を、そしてまた、それを一緒に進めていこうという県民の熱意を国に示すことが極めて大切であろうと思うのであります。
 そこで、この三点セットの中で、何と申しましても、この議会でも一番話題になっております用地買収ということが問題でございます。
 先日来の議会で討論がされてまいりましたように、地価の高騰といったことも用地買収の非常に難しい点であります。あるいは、今までにも出てまいりました、用地買収に当たる職員の数の不足も問題であります。それから、公図の乱れというものがございます。公図が乱れておりますために、それを訂正するのに非常な時間がかかる。この公図の乱れを訂正する方法といたしましては、一般的には、後ほど申し上げます地籍調査、あるいは区画整理、そして圃場事業、こういう三つが大きな力を持つものでございますけれども、それ以外に、公共事業の中でも公図の乱れの訂正を行っております。しかし、この公共事業の中で直接公図の乱れの訂正を行うのに時間がかかる。こういった問題を解決していくことは、非常に大事なことであります。あるいは、大江議員の質問にもありましたように、また私も前の議会で申し上げましたように、代替地の確保ということも極めて大切な問題であります。
 こういったことを非常体制の中でどう解決していくか。大変難しいことでありますけれども、私はこの際、経験を持った県庁職員OBや民間活力の活用ということを考えられないであろうかと思うわけであります。幸い、この公図の乱れの訂正という部分につきましては、昨年から五千万円ほどかけて、民間の活力導入と申しますか、民間のお手伝いをいただく手だてを講じておるようであります。しかし、代替地の獲得その他、県庁職員OBの経験や民間のお手伝いをいただける分野を効率的に整理して、法の許される範囲で活用していくという工夫が大切ではなかろうかと思うわけであります。こういったものについての当局の意欲をお伺い申し上げるものであります。
 次に、和歌山県が持っておるそれぞれのプロジェクト、あるいはその道路行政のバランスというものも大切でございますが、非常事態の今何をなすべきかということになると、やっぱり大切さの順序が違うと思うんです。
 一軒の家におきましても、子供の要求があれば奥さんの要求もある。あるいは、おじいちゃん、おばあちゃんの要求がありましょう。しかし、十年後、二十年後にしっかりとした一家の礎を築くためには、こうこういうこともあるけれども今はそれを辛抱してこれをやっておかなければならないぞと、一家の中でもコンセンサスが必要であるのと同じように、まずこの時期に何が大事かということを選択して、それを県民にわかっていただき、県民の世論としてそれが盛り上がってくる上に乗る公共事業でなければならないと思うのであります。
 そうなりますと、選択をするときに、それが未来にとってどれだけの価値があるかということを納得してもらわなければならない。納得してもらって、「よし、それではやろうか」という気を県民に起こしてもらう、これが大切であります。そういう県民世論のあり方についてのお考えをお伺いするものであります。
 そこで、今、例えば四車線の高規格道路という場合には、法律によって環境アセスをすることが義務づけられております。これは、工事中あるいはそれができてからどのように環境と呼応し合うか、環境に影響を与えるかということを調べるわけでございますけれども、私は、環境のアセスをやるのであれば、なぜ経済のアセスメント、文化的なアセスメントをやらないのかと思うのであります。
 例えばの話でございますが、今、皆さん方と一緒に京奈和道路というのを議員連盟をつくって一生懸命やっておりますが、それができる以前に、紀の川高規格道路と名づけて大阪地建によくこの問題で参りました。三回目ぐらいに行ったときに、地建の部長さんが、「なるほど、この道路は非常に大切である。十年か十五年ぐらい前からもっと運動してもらった方がよかったのではないか。これは私個人の意見ですが」という話をしてくれたことがございます。そのときに、大阪と和歌山の府県間道路ができましても、それらを和歌山県側で受けて県都和歌山市につなぐ高速があるのとないのとでは経済効果がまるきり違うというお話をされたことを、今も思い出すのであります。
 そこで、県が推し進めようとする三軸、あるいは三─五軸と呼んでおりますけれども、そういう主要な路線についての経済アセスメント、例えば京奈和道路であれば、その道路の価値は数字にあらわすとどうなるのか、それが一つできることによって和歌山県がどう変わるかという具体的なものを出していただく。なかなかこれは県庁では出しがたいと思いますけれども、あらゆる分野の資料を入れて、信頼のできるコンサルタントに試算をしてもらってもいいのではなかろうかと思うのであります。
 例えば、京奈和道路は関西学術研究都市に直結いたしますけれども、そこで、関西学術研究都市と直結することのできた紀の川流域、関空と直結できた和歌山県の価値というものは、おのずからはかれるはずであります。教育的な見地から、農産物の流通の見地から、この道路の価値を予測していただくということができるのではなかろうか。そういう数字でもって県民にお示しをいただきまして、県民とともに、「やっぱりこれはやらねばならん」という世論を盛り上げていき、その中で公共事業を進めていくという姿勢が大切であろうと思うのでございますが、当局の御見解をお伺い申し上げるものであります。
 次に地籍調査につきまして、昨年の十二月議会で質問をいたしましたが、その後の取り組みはどうなっているのか、また、その後の啓発の状況はどうかということであります。
 そのときにいろいろ問題点を指摘いたしました。境界明示に関して人員が足りないとか、忙しくて土木の職員が出ていけないとか、打つくいの費用は所有者が両方で半々ずつ持つのが本当だと思うが国は出さないということである、こういった問題をどうするのかとか、あるいはまた、里道の幅員が和歌山県で統一されておらない、土木事務所ごとに違うという問題があるがどうかとか、いろいろ申し上げたわけであります。これらの解決はそれぞれの理由があってなかなか難しい、ひとり農林部や土木部だけで解決できるものではないから、全県庁的にこの問題を検討する組織をつくってもらいたいということを申し上げてまいりましたが、その後どのように進めておられるのかということについてお伺いをいたします。
 それから、地籍調査は県土全域を早期に調査することが基本でありますけれども、先ほどから申し上げましたように、県勢浮上ということで開発を進めていく、それに合わせた地籍調査や土地分類細部調査をできないかということであります。
 県の進んでいく方向と全く関係なく地籍調査をしていくというのではなしに、県が進めていく方向、県が進めていくプロジェクトや道路の方向に向かって地籍調査や土地分類細部調査をしていくことが極めて効率的であろうと思うのでありますが、その点の御見解をお伺い申し上げます。
 人間の戸籍に対して土地の戸籍とでも言うべき地籍調査でありますが、国土調査の一環として実施されている土地分類細部調査は、その土地がどんな土地であるのか、土はどんな性質であるのか、中央構造帯が通っておらないか等、その土地の持っておる性質を調べるものでありますから、一筆ごとにできた地籍調査と重ねてこの分類調査ができておれば極めて高度な土地利用ができるということになるわけであります。この二つは並行して行うことが望ましいと思うが、どうでございましょう。
 また、土地分類調査の基本調査については全県域にわたって終了していると聞いていますけれども、細部調査も含め、その調査成果のどのような利用を図っているのか、お伺いを申し上げます。
 また、土地にかかわる地図情報は庁内の各部署で作成されておりますけれども、それを集中管理したところがございません。土地利用の高度化を図る上でも、また県民・利用者の側からも不便でございます。幸い平成二年、今議会に電算課の計画型地理情報システム構築調査事業が七百万円余で計上されております。これは時を得た措置であろうと評価するものでございますが、この際に、土地情報の集中管理や地図情報管理といったものについての考え方をお伺いしておきたいと思います。
 次に、かつて和歌山県は、海によって大阪を経由せず直接江戸や全国各地と結びつくことによって、和歌山県の知恵も啓発され、そして和歌山県の産物が江戸でもかなりのシェアを持っておったという時代がございます。ところが、明治時代から鉄道が普及するに従って、必ず大阪を通ってでないと入ってこられないという地域にされてしまった。いわゆる閉鎖された地域になりました。海によって開かれ、そして三方を海に囲まれておることによって閉鎖された、こういう二つの歴史を経験して、そしてまた海によって開かれていこうと、そういう二十一世紀を我々は求めているわけであります。
 長い海岸線を持つ和歌山県は、海を離れて行政は考えられません。そこで、この「沿岸」という部分でありますが、今までは、どうしても海と陸の二つを切り離した考え方しかできなかったようでございます。例えば、地図にいたしましても、海図の一番詳しいものでは、この岩礁のあたりでは水深何メートル、このはなでは何メートルと、全部詳しい地図がございます。ヨットに乗る人なんかは、この地図は非常に大事であります。しかし、それは海だけのもの。海は海、陸は陸という考え方がございます。しかしながら、海と陸を一体としてとらえる、すなわち沿岸域の空間を一体としてどのようにとらえていくかということが極めて大切であろうと思うのであります。
 私は、-ウェルネスWAKAYAMA-「世界リゾート博」というものをやるということを聞いておりましたけれども、これを契機に、沿岸域を一体としてとらえた地図をつくれないものだろうかと思うんです。調べてみますと、そういった本格的な地図は全国にかつてないらしゅうございます。しかしながら、これを契機にそれをつくり、足らないところは補い、二版、三版と繰り返す。そしてそれを県内の人、特に青少年に見てもらう。もちろん、入ってきた国内の人や外国人にも見てもらう。こういうことがどれだけ大きな効果を生んでいくかということを考えますと、ぜひともこの海陸一体となった地図をつくることを提案したいと思うのであります。
 例えば、船が着きますと、船員さんは何を一番先に聞くかといいますと、スーパーマーケットがどこにあるのか、郵便局はどこにあるのかということが一番多いと聞きます。それぞれ、来る人たちによって要求が違うかわからない。そういうものをよく聞き、陸と海とを一体とさせた地図を作成する。これは、沿岸地域の文化を考えるということと同じであります。海と陸、沿岸部分を一体として考える習慣をつけていくということは、海の国・和歌山県にとって特に必要であろうと思うのでございます。
 また、この世界リゾート博の中で「リゾートライフの体験」ということをテーマにしておりますが、これは私は大変すばらしいことだと思うんです。しかしまた、考えてみますと、リゾートライフとは何ぞやと、大変難しいものでございます。リゾートライフとは何かということもお聞きしながら、そのリゾートライフを経験する人に海と陸と一体となったこういう地図を渡すことができれば、恐らくその人のリゾートライフ経験の充実度が変わってくるであろうと思うのであります。
 次に、環境アセスメントについてお伺いを申し上げます。
 物事が開発されていくときというものは、それだけに関心が行く。しかし一方、産業の振興や開発も大切でありますけれども、同時に環境を保全するということが大事だという、常にこの二本立てで考えていかなければならないということを前回から申し上げてまいったわけでありまして、昭和六十三年の九月議会においては適正な開発を進める基本的な方針について質問をいたし、その中で、これからの民間活力導入に対しての環境影響評価制度について伺ったのであります。その際、「国の要綱は既に実施されているが、約百ヘクタール以上の民間開発については県として要綱を整備するなど、所要の対応を検討したい」と答弁をいただいたのであります。
 その後、一年以上の経過もあるわけでありますが、最近では、ゴルフ場開発、住宅団地の造成等、阪和府県境付近はもとより、県内各所でまさしく民間による開発が計画され、実施に移されつつある現況にあります。公共事業の推進のみならず民間活力の導入を望む者として、今こそ県のアセスメント要綱策定を実施する時期に来ていると考えるものであります。
 そこで、次の質問をいたします。
 第一に、環境アセスメントの制度化についてどのように検討しているか、知事の御答弁を願います。
 第二に、保健環境部長にその後の検討状況及び策定のめどはどうなっているのか、明確な答弁をお願いするものであります。
 次に、二月二十三日付の朝日新聞によりますと、大阪府におきましては、四月から、環境の保全と資源保護の観点から庁内で使用するコピー用紙を再生紙──古い紙をもう一遍つくりかえた紙──に切りかえるという方針であることが載せられております。また、ある大手スーパーでは包装用紙や買い物袋に再生紙を使用すると報ぜられております。──この紙も再生紙でございます。
 「紀州木の国」と言われる本県におきましても、他府県におくれることなく再生紙を使用することは、廃棄物の減量化と森林資源を保全していくためにも大変意義あることと考える次第であります。
 そこで、お伺い申し上げます。
 第一点は、再生紙の導入についてどのように考えておられるか、知事の答弁をお願い申し上げます。
 第二点は、国や都道府県の再生紙の導入について具体的な取り組み状況を把握しているのか、保健環境部長の答弁を求めます。
 次に、原子力発電所についてでございます。
 この問題は、今まで長い歴史をもってこの議会でも討論をされてまいりました。難しい問題でございますけれども、電力というものは近代生活になくてはならないものであります。それがなくてはならないという前提に立って物事を進めていかなければならない。同時に、安全性ということが一番大事であります。
 我が国では二十年の長い歴史を持ち、フランスとともに最も高い原子力の技術ノーハウを持っておる国とも言われておるわけでありますが、なおかつ、さらに高い安全度を国に求めておることは御承知のとおりであります。
 この問題につきましては、ここ五、六年の様子を見ますと、候補地は日高町と日置川町の二地点がありましたが、このうち日置川町では反原発を主張した町長が誕生いたしました。一方、日高町では、過去二十年来、原子力立地による地域活性化を検討してきた結果、これを最善・最短の方途と位置づけ、将来の町の活性化を図るため原子力発電所の誘致問題に真剣に取り組んでおられまして、その判断を下す前提となる事前調査を実施するために、昨年来、町長さんみずから直接町内を回って、町民の理解を求めるための努力をしておると聞いております。こうした現状について県はどのように考えておられるのか、知事のお考えをお聞きするものであります。
 最後に新学習指導要領についてでございますが、この問題も、いろいろと討論をされてまいりました。しかしながら、私は、もう一つ確認をするという意味で質問を許していただきたいと思うのであります。
 平成元年三月に告示された新しい学習指導要領においては、人間の心の問題、物の発展に比しての心の寂しさということ、心の充実が行われておらない、それに対してどうしていくか、自己の教育力をつけていく、すなわち生涯学習していく能力を持たすためにどうしたらよいか、あるいは、そのための基礎学力はしっかりつけておかなければならない、また個性を尊重した教育をやらねばならない、これからの社会は国際社会であるから、国際的な理解を深めていく、そしてその中で日本という自分の国も認識をしていくというところから、国歌・国旗の問題も出てきておるのであります。
 さて、この新しい学習指導要領で国旗の掲揚・国歌の斉唱の指導が入学式などで義務づけられ、平成二年四月から実施されることが昨今問題になっており、この問題は本会議でも取り上げられましたが、次のことをお尋ねいたします。
 学習指導要領は法的にどのように位置づけられておるのか、また、国旗・国歌に係る取り扱いに関し、学習指導要領に準拠しなかったときの処分等その考え方について、そしてまた、文部省はどうしてこの四月からその指導を実施することにしたのか、お聞かせをいただきたいのであります。
 かつて私は、今の教育界にとって必要なものは教育秩序の確立であるということも申し上げましたが、その中で校長の占める位置というものは極めて大きいものであります。この教育秩序の中における校長の位置、その権限、責任、義務というものも、この際、お伺いをしておきたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題は、数々のプロジェクトが山積しておる、また大きい時代の流れの中で和歌山県はかつてない大事なときを迎えておる──きのう大江議員からも話ございましたけれども──そうした中でこれにいかなる体制で取り組んでいくか、そしてまた、いかに県民の皆様の理解と協力を得ながらやっていくかということで、特に道路を中心といたしまして、プロジェクト処理についての御意見を賜ったわけでございます。
 尾崎議員がおっしゃったように、こうしたいろいろなプロジェクトが道路と非常に重要な関係を持っておるし、これからの道路というのは従来のような考え方ではなしに多角的な面から考えていかなければならないんではないかということ、私も同感でございます。そしてまた、公共事業を行う能力があるのか、また地元の熱意はどうなのかということも非常に重要な課題だと考えておるわけでございます。
 そうした面において、特に用地の問題が一番重要でございます。昨日も代替地の問題がございましたが、こうした対策とともに、公図の問題、法務局の登記の問題もあるわけでございまして、これも三、四年前からなお厳しい現実になってきて、工事を進めるのに苦慮しているところでございます。
 そうした公図等の問題においても民間とか県のOBの能力を生かしたらどうかということ、私も同感でございます。数々の事業、道路においてもふるさと事業や半島振興道路もやっておるわけでございまして、こうした皆さんの知識ということが必要でございます。そうした面につきましても努力してまいりたいと思います。
 そしてまた、協力を理解していただくためにはアセスメントの中でもう少し経済的な要素も考えたらどうかということでございます。一応、私たちは道路をつくるに当たっても、主要幹線道路については経済効果というのを測定しておるわけでございます。厳しいものは行っていないわけでございますけれども、そうした問題も考えなきゃなりません。
 特に、道路網については総論賛成、各論反対ということで非常に厳しいわけでございます。総論は賛成をしていただけるんだけれども、各論の問題をいかに説得させるか、協力を得るかということで、各市町村並びに自治会の皆さんの協力を得ておるわけでございます。そうした面において、いかに理解させるか。反対している人の名前をはっきり公表すべきかどうかという問題等もあわせ考えていかなければならないし、土地収用法がこれから検討されますので、そうした面も考えつつやってまいりたいと思っておる次第でございます。
 それから、リゾートの関係において、沿岸域の空間利用の問題でございます。
 話ございましたように、和歌山県はかつては海の交通網の盛んなところでございました。陸の交通になりましてから、和歌山は半島の厳しさを味わってまいったわけでございます。
 しかしながら、最近、おかげをもちまして海・陸の交通網がともに進みつつあり、空も進みつつある現状でございまして、海もまた見直されつつある現状でございます。そうした海と背後地の活用等、特にリゾート開発が強く叫ばれておる現在でございますので、そうした面においてなお一層、背後地の活用と相まって海の活用を図ってまいりたいと思います。
 また、その地図の問題等についても検討させていただきたいと思います。
 それから、環境アセスメントの制度化について現在どのように検討しているかということでございます。
 さきの議会においても尾崎議員から質問あったわけでございますけれども、開発計画に対する新たなルールを設けるために、平成元年度に入りまして、対象事業、規模、手続方法等、制度の基本的事項につきまして、現在、庁内関係部局に十分研究をさせているところでございます。
 それから、大阪府等で再生紙の導入を図っておるけれども、和歌山県ではどうかということでございます。
 お話のございましたように、地球的規模の環境問題や資源再利用の観点から再生紙の利用について検討を行っておるわけでございますけれども、和歌山県においても、この導入のための諸条件について検討させ、積極的に対応してまいりたいと思っております。
 次に、原子力発電所の立地問題でございます。
 これにつきましては、今までも繰り返し申し上げておりますように、適地性、安全性、地元の同意という三原則を基本として対処しているところでございまして、話ございましたように、日高町において町長を初め町当局の皆さんが合意形成のために努力されている状況にあることは、私もよく認識しているところでございます。
 県としましても、今後ともこうした地元の動向を関心深く見守ってまいりたいと思っております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、事業に取り組む体制についてでございます。
 現在は、本県にとって大きな転換のときとなっております。関西国際空港、和歌山マリーナシティの建設、南紀白浜空港のジェット化整備等の計画とこれらを支える高規格幹線道路の整備促進等、大規模な計画が着々と進んでいるところであります。
 県としては、限られた予算の中で、こうした基盤整備への重点投資が必要であり、事業の優先順位の問題や長期的な視野に立って整備の促進を図っているところであります。
 一方、これらの大規模開発計画の進捗に伴い、地価の高騰、代替地の要求等が多くなり、必要な用地取得が難しくなってきており、その対応策を検討する必要があることは御提言のとおりであります。今後とも円滑な事業執行が図れるよう、用地取得及び公図訂正について、関係部局とも連携をとりながら、関係市町村との連絡を密にし、協力をいただきながら、民間の活用についても検討してまいりたいと考えております。
 県民の理解とその上に立った意欲ある世論の形成のため何をなすべきかということについてでございます。
 本県の道路整備の基本的な考え方としては、近畿自動車道紀勢線及び京奈和自動車道を初め、国道等の骨格となる幹線道路網の重点的な整備とともに、県土の均衡ある発展の見地から、幹線道路網を補完し県民の生活を支える地域道路網についても、調和を図りながら積極的、効率的に進めていかなければならないと考えております。
 このうち、近畿自動車道や京奈和自動車道のような国の大事業については、議員御指摘のとおり、地域の利害を超えた県民の総意としての整備促進要望、用地取得等についての地元の御理解、御協力が何よりも重要であります。県としても、県議会、市町村、促進団体の御協力を得て、さまざまな広報媒体を通じてPRに努力してまいっているところでございます。
 今後、より一層県民の方々の御理解、御協力を得て高規格幹線道路の整備促進を図るため、地域振興の進展や農林水産業の振興など広域的な整備効果について、関係機関の御協力を得ながら各種資料の収集等を行うとともに、類似他府県での事例等も参考の上資料を作成し、これを活用して積極的に整備効果、必要性等についてのPRに努めてまいります。また、県民世論と一体となって早期整備を強く国に働きかけることができるよう努力してまいりたいと考えております。
 なお、資料作成方法等については、御提言の手法も含め検討してまいります。
 それから地籍調査の進め方についてでございますが、地籍調査を行うことは、土木部としても公共事業を推進させるために必要不可欠なものであり、今後とも積極的に協力してまいる所存でございます。
 その一つとして、現在、土木部を初めとする庁内関係部局で構成する公共用地取得促進対策委員会の中において、前回議員御指摘の境界明示に対する職員の立ち会い、くい打設等を基本方向の一項目として位置づけ、全庁的な立場から検討しているところでございます。また、地籍調査推進について積極的に対応を行い、現場土木事務所の意見を十分取り入れ、協力体制をとってまいりたいと存じます。
 次に、和歌山マリーナシティ等、沿岸域を対象とした地図の作成についてでございます。
 海洋リゾートの形成を図るに当たっては、港湾もその一翼を担うものであり、和歌山マリーナシティ等、港湾整備に積極的に取り組んでいるところであります。これらマリーナ、人工海浜、港湾緑地等、人々が交流する場の整備により、港湾空間に船を使って海から、また自動車等により陸から人々が訪れる機会がふえ、一方、多様な人々が港で働くこととなると考えられます。
 このように、これまでの港湾の利用者に加え、多様な人々により海と陸との結節点である港湾が多様に利用される時代には、港湾を海と陸とが一体となった空間としてとらえることが特に重要になると考えられ、議員御提言の点に関して、海を利用する立場、陸を利用する立場でともに利用できるものについて、関係部局と協力しながら調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 地籍調査の進め方についての御質問でございます。
 県勢浮揚につながる地域開発をも踏まえた地籍調査の推進が必要であると考えてございまして、未着手の市町村に対する促進啓蒙についても、地籍調査専門技術者運用連絡会議においてそうした方向づけをして、重点市町村を選定し、県並びに地籍調査専門員が一体となって啓蒙推進している状況でございます。こうした取り組みの中で、開発との関連で平成二年度から新たに着手する町も出てございます。しかしながら、市町村の事情もございまして、なかなか一概にはまいらないところがございます。
 また、さきの県議会で議員から御要望のございました庁内全体の問題としての取り組みについては、既に関係部課の打合会を開催し、本県地籍調査の現状認識を深めるとともに、今後の課題について意見の交換をしているところでございます。今後とも、市町村への重点啓蒙と体制の整備に努め、地籍調査の一層の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、沿岸域を対象とした地図の作成の問題でございます。
 沿岸域は、水産業を初めとする一次産業が営まれておる重要な地域でもございますので、このことを踏まえ、議員御提言については関係部局と協議し、対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、土地分類細部調査と地籍調査に関する御質問にお答えを申し上げます。
 議員御指摘のとおり、これらの調査は各種プロジェクトの企画立案や事業推進のために必要であると考えてございます。その調査を進めるに当たっては、地籍調査により作成された地籍図に土地分類細部調査による自然条件等の調査成果図を重ね合わせることにより的確な土地の諸条件を判断できることから、一体的に調査を進めることが望ましいと考えてございます。
 本県における土地分類細部調査は、昭和六十一年度に岩出町が完了いたしました。これに引き続き、昭和六十二年度からは田辺市、六十三年度からは貴志川町が地籍調査と並行して実施しているところでございまして、今後も並行しながら進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、土地分類調査の活用についてでございます。
 土地分類調査については、基本調査は既に全県域にわたって終了してございまして、有効利用を図るために関係機関に配布して利用いただいているところでございます。また、市町村事業である土地分類細部調査についても、完了後は土地利用等の計画策定に際し有効利用を図っていただけるよう指導してまいりたいと存じます。
 なお、土地に関する情報の集中管理についてでございますが、行政の今後の課題として検討することが重要なことと考えてございます。また、行政の意思を決定するに当たっては、土地等に関する情報が極めて重要な要素の一つであるとの認識のもとに、コンピューターの高度利用を図り、地域の特性を地図やグラフにより把握できる機能を備えた計画型地理情報システムの調査研究を進めてまいりたいと考え、今議会に予算をお願いしているところでございます。
 次に、世界リゾート博を契機に、和歌山マリーナシティ等、沿岸域を対象とした地図の作成についてでございます。
 現在、本県では六百キロメートルに及ぶ海岸線を生かした海洋リゾートの形成を図るために燦黒潮リゾート構想を策定し、実現化に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 こうしたことから、本県でも今後海を活用したレジャーなどが増加するものと考えられますので、ハード面の整備はもとより、利便性、安全性等、ソフト面にも十分配慮していかなければならないと考えてございます。
 議員御提言の地図については、今後、リゾートライフにも役立つものと考えますので、関係機関、関係部局と連携しながら調査研究等を進めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、リゾートライフについての考え方についてでございます。
 リゾートは、本来、その地へ行って滞在し、体験することによって楽しさを享受して、その結果として心身をリフレッシュすることであろうかと存じます。
 本県は、そのための豊かな自然、歴史、文化など貴重な資源を有してございますので、今回の世界リゾート博を契機に、和歌山マリーナシティを初め県下各地のリゾート地において、体、心の健康づくりなど、これからのリゾートライフを和歌山ならではの形で体験していただけるよう考えてまいる所存でございます。
 なお、平成二年度に策定を予定している世界リゾート博の実施計画の中で明らかにしてまいりたいと考えてございますが、基本的には、休養、安らぎ、学び、レクリエーション、スポーツなどの体験ができるような組み合わせなり構成なりを検討してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 国際観光やマリンリゾートの時代を迎えつつある本県にとって、議員御提言の海と陸を一体とした地図を作成することは観光振興の面でも大きな効果があると考えますが、何分、広い範囲の検討を要するものと思われますので、今後、関係部局と十分協議を進めてまいりたいと存じます。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 第一点の、環境アセスメントの検討状況と策定のめどについてお答えを申し上げます。
 知事からもお答えをいたしましたが、平成元年度に関係課室による環境影響評価制度検討会を設け、国の要綱と重複しないこと、環境への影響が著しいと考えられる事業を中心とすることなどを基本にし、鋭意検討を進めているところでございます。
 策定の時期等についてはまだ明確に申し上げる段階には至っておりませんが、できるだけ早い時期に庁内での取りまとめができるよう進めてまいりたいと考えております。
 二点目の、再生紙の都道府県等での導入状況についてでございます。
 国においては、環境庁を初め通産省で試験的に実施をされており、厚生省では本年四月からの導入を決定したというふうに聞いております。
 他府県の状況でございますが、厚生省の平成元年十二月現在における調査結果によると、十一の都道府県が全庁的に使用しており、十五の府県では一部の部局で使用をしているということでございます。また、百八十一の市町村においても再生紙を導入しているという状況でございます。
 なお、部においては、コピー用紙は原則として再生紙を使用すること、印刷物は支障のない範囲で使用することなど、再生紙の導入に向け、本年三月より試験的に実施をしておる状況でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 新しい学習指導要領について御質問をいただきましたので、お答えをいたします。
 学習指導要領は、憲法、教育基本法の精神にのっとり、学校教育法並びに同法の施行規則の定めにより、学校における教育課程編成の基準として文部大臣が告示をするものでございまして、法的な拘束力を有してございます。
 学校長は、学校運営の責任者として公務をつかさどり、所属職員を監督する立場にあり、教育課程の編成を初め学校運営全体にわたる権限と責任を与えられているものでございます。
 したがって、学校長は、学習指導要領に準拠し、児童生徒の心身の発達段階や特性、あるいは学校や地域の実態などを考慮し、教育課程を編成する義務が課せられているところでございます。
 お尋ねの国旗・国歌の取り扱いに関しては、新しい学習指導要領では「入学式や卒業式などにおいて、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と、明確にされておるところでございまして、移行措置として平成二年四月から実施をされることになってございますので、学校長はそれらの趣旨に沿って実施をいたすことになるわけでございます。
 こうした学校長の権限に基づいて計画され実施される方針に反して、その遂行を拒むことがあるとすれば、それは処分の対象になります。
 移行措置についてでございますが、教科書を使用しないで行う道徳や入学式などの特別活動について、平成二年度から実施をするように現行の指導要領の特例として告示をされたものでございます。これは、新しい学習指導要領の趣旨内容が円滑に実施をされるための措置でございます。県教育委員会としては、今後とも円滑に実施をしていけるように指導してまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時五十九分休憩
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