平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(上野山親主議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時七分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
28番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 大変長らくお待たせをいたしました。予定どおり質問をでき得ますことを御礼申し上げます。ありがとうございました。お許しを得ましたので、通告順に従って一般質問を行いたいと存じます。
 最初に、有田市の東部地域の開発についてお伺いをいたします。
 有田市の歴史は、縄文式時代にさかのぼることができます。市内に存在する縄文時代中期の遺跡がその歴史を物語っています。「有田」という地名が初めて史実に登場したのは「日本書紀」の「紀伊国阿提郡」として紹介されたのに始まり、その後、「日本後紀」では「紀伊国在田郡」となり、この地名が江戸時代まで使われ、明治に入って現在の「有田」になったと言われています。
 一方、この地域が形成されたのは中世時代で、宮崎、保田、糸我、宮原及び椒の五荘が形づくられ、平安時代に地方豪族によって荘園として治められたと言われています。また、この地方が一躍盛況を来すに至ったのはこの時代で、「蟻の熊野詣」と言われた庶民の熊野参詣の影響が大きかったと思われます。
 このほか、西暦一四○○年から一五八五年までの約百八十年間、畠山一族が栄華を誇った岩室城跡、県の文化財に指定をされ、夏の風物詩として観光客に親しまれているウ飼い、四百年もの歴史を誇る全国一のミカン園等々、数々の伝統と文化を守り続けてきた地方でもあります。
 特に近年、保田、糸我、宮原の東部地域は住宅地として有田市の西部より、市外からの人口流入が顕著であります。関西国際空港の開港とともに、当地も空港周辺への通勤圏としてその位置づけが極めて重要と考えるのであります。そして今、有田市の町づくりの柱として市民から熱望され、有田市の将来をかけ取り組んでいる男浦の埋立事業が着々と促進されております。関西国際空港の開港、マリーナシティの完成に向けて、リゾート、観光の一大拠点として是が非でもやり遂げなければならないプロジェクトでもあります。こうした状況を御理解の上、質問を進めていきたいと存じます。
 道路交通網についてお伺いをいたします。
 まず、国道昇格の問題であります。
 現在、候補路線の調査を進められていると聞きます。その基本的な考え方と調査方法についてお聞かせをいただきたいと思います。また、今後の取り組みについて知事の御所見をお伺いするものであります。
 御承知のとおり、有田市の中央部には母なる清流有田川が東西に流れております。この有田川の南北に通ずる道路網は、下流から申し上げますと有田大橋、安蹄橋、保田橋、宮原橋の四本の橋がかけられておりますが、保田橋、宮原橋は昭和二十八年大水害後、昭和三十一年、三十四年にそれぞれ架設されたもので、老朽化も進み、また幅員も狭いため通行規制等もあり、大型車の通行が不能に近く、国道四十二号線と県道有田高野線の連絡に支障を来している実情であります。
 有田市の東部地域は、平野部が開け、住宅開発が進み、ふるさとの川モデル事業に係る周辺地域整備構想の中で地域の将来の交通需要を勘案するとき、また将来予想される西部地域への観光、リゾート地へのアクセス道路の確立を考えますとき、保田橋、宮原橋の中間において幹線道路を連絡する新橋の架設は欠くことのできないものであります。昭和六十二年十二月定例議会でもこの点について質問を申し上げましたが、再度、土木部長の御見解をお伺い申し上げます。
 続いて、ふるさとの川モデル事業についてお伺いをいたします。
 有田川の治水面、改修工事、河川敷の有効利用については県当局の多大の御尽力をいただいておるところでございますが、有田地方の観光の柱として忘れてはならない一つにウ飼いがあります。
 大正十五年以来、宮原町の人々の血のにじむような御努力によって今日までその伝統が受け継がれてきたのであります。全国に誇れる貴重な文化財を守り、育てる努力を惜しみなく続けていかねばなりません。関西国際空港の開港、高速道路の紀南延伸のインパクトを有田地方に向けるためにも、極めて重要な産業であります。現状では、まだまだその環境整備が十分とは言えません。また、有田市の地理的条件、現在の地価高騰の状況を考えますとき、市民が熱望しているスポーツ広場、公園等の実現はますます困難をきわめています。流域住民にとりまして、有田川の水辺空間の整備は待望久しい事業でもあるわけであります。
 こうした状況の中で、昭和六十二年十二月に全国千二百河川のうち三十九河川が事業指定を受け、三十九河川の一つに有田川が参画でき得ましたことは知事初め県当局の皆様方の御尽力のたまものと、厚く御礼を申し上げる次第であります。その後、県、市それぞれの検討委員会において幾度となく議論がなされ、検討が重ねられ、ほぼその青写真ができ上がったと聞き及んでいますが、事業認可に向けての現状と見通し、事業着手に当たっての県当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
 続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
 一昨年の自由化決定以来、果樹農家は農政への不信と将来への不安を抱きながら、営々として築き上げてきたみずからの園地をみずからの手で、まさに体が切り刻まれる思いで再編対策に取り組んでまいりました。廃園を余儀なくされた人々、手探りで他作物に転換した人々、歯を食いしばって生産活動を続ける人々、その姿はさまざまであります。今、果樹農政は、一つの時代の終えんを迎えたのであります。同時に、新しい戦いが始まったのであります。需給バランスが確立されたから、すべてが解決したということにはなりません。言いかえれば、失われつつある農政への信頼を取り戻せるのは今しかないと思うのであります。農家が何を必要としているのか、農家に必要なのは何なのかを正確に把握し、政治に、行政に反映をしていかねばなりません。今までの農政の流れは、国が制度化し、その制度の流れに地方が乗ってきた、また乗らざるを得なかったのであります。これからは、地方を支えている私たちが行動を起こし、実践し、私たち自身がみずからの考えをただし、農政をつくり上げていかねばならないときではないでしょうか。
 平成元年度の本県のミカン販売実績を見てみますと、県農扱いで平成二年一月二十九日現在、県全体で約十万八千トンとなっています。数量は生産調整のため当然減少しておりますが、金額的には約百七十一億円であり、昨年同期に比べ三十五億円増加し、その比率は二五・七%上昇しています。単価も、キログラム当たり昨年同期の百二十円から百五十八円と、好実績を上げています。また味一ミカンの実績は、生産量は平成元年十二月二十日現在四百八十六トン、販売単価はキログラム当たり三百十三円と、かつてなかった高値で終始しています。味一ミカン以外の一般品の価格も、昭和五十九年の二百円以来百七十八円と、近年にない価格となっています。
 平成元年度の最も大きな収穫は、味一ミカンという和歌山県のブランド商品が確立されたことであります。特に、今まで市場的に弱かった東京市場へPRできたことであります。東京での高級果物店では、一山幾らから一個幾ら、高いときでは一個二百円前後で店頭販売されている現状であります。明らかに、ミカン一個の付加価値を高めることがいかに大切なことであるかの証明でもあると思います。品質のよいミカンとそうでないミカンの価格が二極分化された時代は過去の時代となりつつあります。全国の生産調整がさらに進み、品質のよいミカンでなければ価格のつかない時代、価格面でも一極集中時代を迎えたのではないでしょうか。
 平成元年産の顕著な傾向は、もう一点あります。それは、消費者の志向の偏りであります。おくてミカンよりもわせ、なかてミカンの方が好まれる傾向であります。本年の実績と反省を踏まえ、有田地方では高品質ミカンを生産できる優良園をふやすべく、一つの方向性を見出しました。日本一有田ミカンを目指す運動推進委員会を中心に展開をされております。おくてミカンから、わせ、なかてへの移行等、品種統一へ向けての改植の実施、五十万本間伐推進で密植園をなくそう等々、ミカン王国再興をかけ、立ち上がったのであります。
 私たち、政治、行政に課せられた課題は、農業を、農家を進むべき方向に導き、その実践を促進することにあります。今、ミカン農業の重要課題は、消費者ニーズに合った高品質商品の安定的生産と供給、それに向けての品種の統一、生産のための技術革新、流通革命、消費PRであります。
 そこで、知事にお伺いを申し上げます。
 再編対策後の果樹農政のあり方、いわゆるポスト再編対策をどう展開されるお考えなのか、その政策についてお伺いをいたします。
 また、平成二年度当初予算においてどう対応されているのか、具体的方策について農林水産部長にお伺いをするものであります。
 平成二年度の当初予算の中に、近畿バイオセミナー IN WAKAYAMAの開催が組まれております。近畿地域におけるバイオテクノロジー関係者が一堂に会し、日ごろの研究成果や実用普及手法等について情報の交換や連携の強化を図ることを目的に実施されるようでありますが、まことに意義のあることであろうかと存じます。
 しかし、今、和歌山県の農家が最も不足し、熱望しているものは情報そのものであります。情報化社会の急激な進展の中で、あらゆる企業活動、経営活動が成功をおさめるかそうでないかは、いかに早く多くの正しい情報をフィードバックし、活用するかにあると言っても過言ではありません。農業においても例外ではありません。取り組むべき課題は山積をしております。消費者の志向はどうなのか、若い人たちの考えは、婦人層はどうか、何をつくるべきなのか、生産技術をどうするのか、販売戦略のあり方は、PR活動の方法は等々、枚挙にいとまがありません。産地間競争はますます激しくなり、加えて国際競争力をつけていかねばならないときであります。関西国際空港の開港とともに多くの情報が入り、また出ていくわけです。
 本県は農業県であることは、だれもが認めるところであります。しかし、農業分野における本県の情報能力を見るとき、まだまだの感があります。もちろん、県農業試験場においても、果樹試験場においても取り組まれていることは十分承知しています。その御努力には敬意を表する次第であります。
 しかし、これからの農業は、国際的な視野に立ち、技術面においてもハード面、ソフト面の広範囲にわたった先端技術を導入し、その開発をしなければ、本県の農業のあるべき姿を農家、農民に対して示唆し得ないと思うのであります。農政の果たすべき最大の役割は、あすを展望できる農業ビジョンの確立であります。その意味においても、レベルの高い最先端の情報を収集し、正しい分析を行うことが極めて大切なことであります。農業分野での情報収集、情報分析のための中核的役割を果たす機関、施設と人材の育成が必要と考えます。
 そこで、農家への高度な情報提供のための基本的な施策をどう考えられ、具体的にどう取り組まれているのか、お伺いをいたします。
 また、国立研究施設、研究機関と本県との人事交流に取り組まれていると思いますが、その実態についてお伺いをいたします。
 次に、農協の合併問題についてお伺いをいたします。
 農協の問題について議論をする前に、現在の日本の農業、農村が置かれている現状を整理してみたいと思います。
 まず、農業をめぐる問題では、国際的には環境問題が挙げられます。地球の温暖化現象がそれであります。地球的規模での大気汚染により、温室効果ガスの増加がこのまま続くと、地球の気温は現在より一・五度から三・五度まで上昇すると言われております。FAO(国連食糧農業機関)がまとめたところによりますと、西暦二○○○年には開発途上国の穀物は一億一千万トン不足し、二億五千万人から五億三千万人が飢餓線上をさまよう予測をしております。
 次に、食糧安全保障の問題であります。我が国は、世界の中で食糧輸入大国として農産物貿易に大きく貢献をしてまいりました。一九八八年の農産物の総輸入量は二百七十四億ドルで、前年比三○・一%と、史上最高の水準となっています。そして今、ウルグアイラウンドの農業交渉が山場を迎えようとしています。本年十二月を交渉期限として完全自由化を目指すアメリカ、一定の保護を前提にするEC諸国、そして食糧安全保障を主張する日本とが激しく対立するのは必至であります。言いかえれば、日本の農業基盤の存続が問われる局面を迎えていると言っても過言ではありません。
 次に、農村社会そのものの問題であります。平成元年一月現在の農業人口は千八百九十七万人で、うち六十五歳以上の高齢者は三百六十四万人であり、全体の一九・二%を占めています。この数字を見る限りでも、農家、農村がいかに高齢者を抱えているかを物語っています。こうした状況は今後も急速に進行することが予想され、農業の働き手の減少とともに高齢化が進み、生産力の停滞を招き、農地が荒廃し、後継者問題がますます深刻化します。こうした状況下、農協の存在そのものの意義を考えますとき、その責務は極めて重大なものであろうと存じます。
 もちろん、農家組合員の農協離れ現象が進んでいること、都市化、市街化地域の農協における正組合員と準組合員の逆転現象や農協無用論が現実に議論されていることも事実であります。農協の本質を語るには、この事実は避けて通れないことでもあります。
 今、農協の現状を振り返るとき、大きな課題は二点あると思います。それは、外的要因と内的要因とに分かれます。
 まず外的要因は、三つの自由化が挙げられます。第一は、農産物の自由化であります。当然、農家は、付加価値の高い農産物を生産するとともに、それに伴う高度な技術を身につけなければなりません。
 第二は、金融の自由化であります。スーパーMMC等に見られるように、高金利商品、自由金利商品の競争が激化し、業務の規制緩和は、銀行と保険会社、証券会社との垣根をますます低くさせる結果となっています。そして、金融機関の大型合併による再編も急進展しています。農協運営の大半を信用事業に頼っている現状では、農協の形態そのものが危ぶまれようとしています。
 第三は、流通の自由化であります。大店法の規制緩和で大型スーパー、大手商社との競合は避けられない現状であり、産地直売や無店舗販売の促進を強力に進めていかねばなりません。こうした外的な要因により、農協の運営が一段と困難をきわめています。
 続いて、内的要因であります。農協の存立基盤でもある組織そのものの問題であります。
 農協法では、農協の社会的役割は、農業生産力の増進と地域農業の振興、そして農民の経済的、社会的地位の向上とあります。これが農協が存在する意義であり理念であることは、今さら言うまでもありません。しかし、農協法が制定された時代と今日の時代とでは、経済的にも社会的にも生産環境、生活環境がそれぞれ著しく変化しております。農協がスタートした時代は正組合員を家長的にとらえ、一家族、一組合員を旨としてきました。今なお、その形態は実質ほとんど変わらず、その結果、組合員の高齢化が進み、加えて農協離れ、農協無関心派を増加させることになったと思うのであります。このことが、農協役員の高齢化現象をもたらし、環境変化に対応した農協運動の活性化や意識革命をおくらせ、世代交代がなされない最大要因になっているのではないでしょうか。そして、特に都市化され市街化された農村地域では、農地が宅地化され、地域全体が開発され、農村社会の仕組みが大きく変貌し、その混住化とともに、農協組合員の構成も設立当時とはかけ離れた状況下に置かれているのであります。今、農協は、経済の急速な発展により、農村社会の急激な変化に対応し切れないまま今日に至ってきたと思うのであります。今日の農協を分類してみますと、三つに分けることができます。
 都市化され、市街化され、ほとんど農業の振興をよりどころにできない農協。この型の農協の経営内容は、ほとんど信用組合との区別がつかないほど、その形態は類似しています。一つは農村社会と都市化された地域が混在している農協、一つは純農村地域で過疎化現象と戦っている農協であります。以上から、今日の農協の姿は設立当時と全くその姿を変えて存在しているのであります。
 しかし、農協法という法律に守られ、規定され、社会的にも極めて責務の重い組織であることはだれもが認めるところであります。これからの農協の責務は、地域農業の振興と農家の経済的、社会的地位の向上という大原則のみならず、地域社会に根差した新しい農協運動を展開することにあります。そのためには、農協組織が今最優先に取り組むべきことは、みずからの組織の再構築と組合員が自主的に参加できるシステムづくりであります。慣習化された役員選出方法から脱皮し、もっと民主化しなければなりません。若い人材を確保し、組織化しなければなりません。農協の職場そのものを活力あるものにしなければなりません。文化、教育活動を通じて、地域社会との触れ合いの場をつくっていかねばなりません。子供からお年寄りまで、家族ぐるみ、地位ぐるみで参加できる農協組織の確立こそが唯一残された道であるのではないでしょうか。
 今、全国の農協系統組織挙げて取り組んでいる事業に農協合併があります。二十一世紀を展望する農協の基本戦略が決議され、二十一世紀までに一千農協を目指す推進目標を掲げ、運動を展開することとされております。合併によって、地域の農業を組織的、計画的に振興していくために、農協の機能を強め、組合員の営農活動、生活、文化活動に関する期待にこたえるための事業機能を強め、農協の規模をそろえることによって系統農協全体の事業の効率化を促進し、将来にわたり事業活動が安定して行えるよう経営基盤を強くすることを目指しています。
 具体的には、営農指導体制を専門化し、そのことによって農産物の品質、規格の統一、一元集荷等が実施され、有利な販売が可能となる。また、共同育苗施設、選果施設など、小規模農協では難しかった農業施設の設置が可能となり、生産、流通の合理化が図られる等々のメリットがあるとしています。本県も、県下八農協構想を目指し、県農協中央会を中心に取り組んでいます。
 農産物の自由化、金融の自由化、流通の自由化の吹き荒れるあらしの中で、農協の機能を整備し、拡大し、高度化を目指さなければならないのは確かであります。しかし、やみくもに規模のみを拡大する方法をとるのではなしに、あくまでも組合員を中心に、地域の特性を生かし、農協の独自性を発揮できる合併でなければなりません。農協の広域合併は、本県の農業振興の面でも、また社会的にも大きな影響を持つ大切な事業であります。もちろん、系統組織の責任において進めていくべき課題ではありますが、行政当局もその指導的立場から参画をしていくべきであろうと考えます。
 農協の将来のあるべき姿を知事はどうお考えになるのか、また農協合併のあり方についてどのように行政指導されるのか、農林水産部長にお伺いをするものであります。
 以上で、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題は、国道の昇格の問題でございます。国道の昇格についての今後の対応と取り組みについてでございます。
 本県においても、有田高野線初め国道昇格を国に陳情しておるわけでございますけれども、現在、全国で一万キロメートルの要望が出されておるような状況でございまして、非常に厳しい状況であるということを聞いておるわけでございます。昨年の十一月から国も調査を進めておるわけでございますけれども、その調査の進展を見きわめながら、国道昇格について積極的に努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、農業問題でございます。
 再編対策後の今後の農業の政策でございます。
 再編対策は、オレンジ・果汁の自由化に対応いたしまして、一昨年から需給の均衡と産地の再編整備を図るために現在実施しておるわけでございまして、県下各地において意欲ある農家を中心にして、地域の特性を生かした果樹への転換を初め、果樹、野菜、花の施設化など、収益性の高い経営に取り組んでおるのが見受けられるわけでございます。
 中でも有田地方では、味一など高品質ミカンの生産拡大を中心にして産地の強化が図られるとともに、バラやカーネーションなどの花卉部門への施設化が進むなど、新しい動きが出ている現況でございます。こうした動きを大切にいたしながら、今後とも地域の特性を生かした農業の推進をしていくこと、紀の川筋は紀の川筋としての農業の生き方、有田は有田、日高は日高、そうした本県の農業の進むべき方向を考えてございまして、なお一層そうした方面に向かって推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、農協の将来のあるべき姿についてでございます。
 上野山議員が、現在置かれておる農業の国際的な立場、そしてまた社会的な立場、経済的な立場と、農業の現実の姿を分析していただいたのでございまして、そうした中での農業をいかにやっていくべきかということが一番重大な問題だと思うんです。
 農協が現在まで社会的、経済的な地位の向上を目指して進んでまいった役割は、非常に大きな効果があったと思います。しかし、話ございましたように、国際化の波、金融化の波、自由化の波、そうした農業を取り巻く環境が変転する中で、農協自体も多様化せざるを得ない現実に立ち至っていることは事実でございます。こうした中でいかに活路を開くべきか、これは極めて重要なことであると考えておるわけでございます。農協自体もこれを真剣に受けとめまして、二十一世紀を展望する農協の基本戦略を策定し、組織を挙げて現在検討を進めておるのが現状でございます。
 こうした中で農協というものは、本来の趣旨である農家から信頼される農協、そしてまた農業者の立場に立った農協を基本にして、時代に対応した営農指導について、農協本来の事業活動になお一層積極的に取り組んでいただいて、話ございましたように、その地域地域に密着した個性のある農協、場所場所によっても、純農業的な地域、過疎地域、また市街化地域等いろいろな農協があるわけでございます。そうした農協本来の結びついた形においてのあり方を考えるべきじゃないか、そしてまたそうした面において合併問題も真剣に取り組んでいくべきじゃないかと考えておるところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 国道昇格の基本的な考え方はまだ国より明確にされておりませんが、現在、国においては幹線道路網の全体のあり方の検討も含め、高規格幹線道路網との調整、国道ネットワークの再編成等を行う必要があり、これらの作業を経て第十次道路整備五箇年計画期間内──これは昭和六十三年度から平成四年度まででございますが──に昇格路線を選定する予定と聞いております。
 調査の方法につきましては、建設省の依頼に基づいて前回の昇格国道の整備状況、今回の昇格要望路線の道路現況、経過地、通過市町村の人口及び面積等、基礎資料の収集及び整理を行っているところであります。
 次に、新橋の架設についてでございますが、有田市は、市のほぼ中央を東西に流れる有田川によって南北に分断された地形となっており、有田市の道路網を考えるとき、有田川にかかる橋梁は非常に重要なものであります。
 現在、有田市内約九キロメートルの間には、国道、県道の橋梁が四橋ありますが、いずれの橋梁も老朽化の状況については構造的に安全であると判断しております。
 このうち宮原橋は、橋梁上に三カ所の待避所を設け、大型車両の通行の便を図るとともに、歩道添架もなされておりますが、保田大橋については大型車の通行規制が行われており、また宮原橋についても自動車交通の増加や車両の大型化等には対応できないことも考えられますので、御質問の架橋につきましては、今後、周辺地域の開発の進展状況や交通の状況を見守りながら、適切な検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、ふるさとの川モデル事業についてでございます。
 御承知のとおり、ふるさとの川モデル事業とは、市町村にとって町の顔として誇れる河川で、周辺の自然的、社会的、歴史的環境の中で、良好な水辺形成を治水対策の一環として、市町村が行う区画整理や公園整備等の町づくりと一体となって川づくりを行う事業でございます。
 本県では、昭和六十二年十二月に有田川がこの趣旨に該当するものとしてモデル河川の指定を受け、その後、各分野より成る検討委員会での協議を経て、平成元年度で計画づくりの作業がほぼ完了しております。この計画に基づきまして、平成二年度当初に建設省の認定を受けるべく作業を進めているところでございます。整備計画が認定されれば、低水護岸の一環として、有田地方の観光の柱となっているウ飼いの船着き場等の整備を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 平成二年度の、特に果樹振興に対する県の具体的な方策の問題でございます。
 オレンジの自由化を来年に控えまして、かんきつ園地再編対策の最終年度でもございますので、高品質、低コスト生産を基本として産地の体質強化をさらに積極的に行う必要がございます。
 端的に申し上げますと、生産コストを下げ、品質を高め、年間を通して出荷できるような周年供給の産地づくりが必要でございます。このため、生産基盤の整備、流通施設の整備、優良品質系統への更新、地域特産果樹の産地化、都市の消費者と農村の交流触れ合い事業等々に取り組むことといたしてございます。
 さらに、新技術の開発においては、六十三年度から実施いたしております近赤外線利用による味の自動選別機の開発促進、ミカンの結果期を早める早期成園化の技術確立、また多様化する消費者ニーズに対応した流通戦略の展開に向けて生産者団体と一体となって取り組むなど、国際化時代の産地間競争に打ちかつ果樹振興対策を行ってまいる所存でございます。
 次に、高度な情報収集、農家への情報提供の具体的な方策の問題でございます。
 技術開発や情報収集により得られた貴重な成果は、速やかに農業改良普及所や農業協同組合等を通じ、技術研修会、産地での実証展示、テレホンサービスなどあらゆる手段を用いて技術情報の伝達を行っているところでございます。今後とも、幅広い情報の収集と伝達を図り、その成果が農業経営に生かされるよう、生産者団体ともども情報システムの充実強化に努めてまいる所存でございます。
 国立研究機関、研究施設と本県との人事交流の実態の問題でございます。
 これまでも、農業試験場及び果樹園芸試験場から筑波研究学園都市に設置されている国立の農業研究センターや野菜試験場などへ毎年、職員を長期に派遣をいたしまして、バイオテクノロジー技術、ウイルス病無毒化対策技術等々、大変高度な技術の習得と情報の収集に努め、他府県にも劣らない成果をおさめていると信じてございます。さらに、的確な情報を得るために、全国レベルの園芸学会、技術交換会など、機会あるごとに参加をして技術交流に努めるとともに、国際的な情報把握のために米国等、海外調査研修も行ってございます。また、農産物加工研究所等の団体においても、研究会等を通じ、流通、加工等の新技術開発、情報の入手に鋭意努力しているところでございます。
 次に、農協合併に対する行政指導の問題でございます。
 議員御指摘のとおり、農協合併は全国的な認識の高まりとともに、組合規模格差の是正と質的な転換、また地域ごとの特色ある農協活動など、組合員の期待と信頼にこたえるための合併でなければならないと考えております。
 県といたしましては、県農協中央会が設置しております農協合併推進本部や各地方の地区推進協議会の委員として参画をいたしておりまして、広域的営農指導体制を確立するために財務健全化対策事業を通じて指導、助言をいたしておるところでございます。今後も、変動する社会情勢、流通問題等をも含め、組合員の意向と農協の自主性、合併決議の趣旨などを十分尊重しながら、将来を展望しつつ積極的に支援をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番上野山親主君。
○上野山親主君 御答弁ありがとうございました。
 一点要望と、一点、もう一度質問をさせていただきたいと思います。
 今、ポスト再編対策について知事から御答弁をいただきましたが、知事の御認識も将来のビジョンに向かって取り組んでいかれるということでございます。
 ただ一つ、再編対策の後どうするのかという問題の中にいろいろあろうかと思いますが、今まで国の方針は、生産調整のために、あるいは需給バランスを確立するために、ミカンからミカンへという制度は余り積極的に取り組んでくれなかった。しかし、これから再編整備がなされた後は、特に和歌山県のミカン産地はミカンからミカンへという制度を国につくってもらわないといけない。今、県で取り組んでいただいているところでありますけれども、もっともっと大規模な政策を打っていかねばならないと思います。
 そういう考え方のもとにこれから知事にお願いをしておきたいんですが、全国みかん生産府県知事会議の中で今までも取り組んでいただいているとは思いますが、特にことし、来年にかけては自由化に対しての一番の山場でもあります、ミカンからミカンへの制度、切りかえる制度、例えば改植事業あるいは間伐事業、そういったものに対する国の制度を知事会議の中で検討していただく、制度そのものも会議の中で検討していただきたいと思います。ただ制度をつくってくれということじゃなしに、現場に合った制度をつくっていただいて国の方に要望していただきたい。そういう活動を知事に強く要望しておきたいと思います。
 それから、情報収集の問題でございます。
 私がこの質問をするときに、当局の皆さん方といろいろお話をさせてもらったんですけれども、部長から御答弁いただいたように、今、県で真剣に取り組んでいただいておりますのは評価もできますし、それはよく理解できるんですけれども、私の質問の中で申し上げましたように、これからまだまだ国際的な視野の中で農業のビジョンをつくっていかなければならないということでもございますので、もっとレベルの高いものを求めていただきたいと思います。
 残念ながら、当局の人とお話をさせてもらっている中では、そういう話は一向に出てまいりませんでした。あげくの果てに、私の質問が企画部へ飛んだり、教育委員会にまで波及をしたという経過がありました──前農林部長が今教育長をやられていますので、そういうことで飛んだんかどうかはわかりませんけれども。取り組む姿勢、認識がちょっと低いんじゃないか、そのように考えます。どうか、これからもっともっとレベルの高いものを求めていっていただきたい。そうするために、農業の情報においてもっと高度なものを農家に広く与えていく必要があるんではないだろうか。
 こういう観点に立って、今、農林水産部長御自身の取り組むべき姿勢といいますか、この点について御見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 産業構造が大きく、高度に国際化の中で変革をしております。情報収集、しかも高度な技術を含めた情報収集がいかに大事であるかということについて言をまたないし、議員のおっしゃるとおりでございます。
 我々といたしましては、現時点で組織を挙げて一生懸命にやっているつもりでございますが、特に自由化を来年に控えて、農業の国際化、しかも産業として、企業としての農業の時代を迎えてまいったわけでございます。肝に銘じて、新しい情報収集のために万全を期するべく、関係機関とも十分検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、上野山親主君の質問が終了いたしました。

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