平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 四 号
 
 三月 十二日 (月曜日) 午前 十時 六分 開議
  午後 二時三十四分 散会
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議 事 日 程 第四号
  平成二年三月十二日(月曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第六十六号から議案第七十号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第六十五号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第三 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第六十六号から議案第七十号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第六十五号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第三 一般質問
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出 席 議 員(四十名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(六名)
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
 31 番 西 本 長 浩 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時六分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 知事から議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第190号 
   平成2年3月12日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成2年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第66号 平成元年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第67号 平成元年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
 議案第68号 平成元年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第69号 平成元年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算
 議案第70号 平成元年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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○議長(門 三佐博君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第六十六号から議案第七十号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、御説明申し上げます。
 平成元年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で百四十五億千余万円、特別会計で十四億九千五百余万円を平成二年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第二、議案第一号から議案第六十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 きょうはお日柄もよく、大安という吉日でありまして、この大安のよき日にこうして一般質問をさせていただく機会を与えていただきました先輩・同僚の先生方に心からお礼を申し上げたいと思います。きょうは、こうして議場の周りを見渡しますと、大変多くの方が来られておるわけでございます。私のファンクラブの方もあるんですが、「不安クラブ」じゃないかなと。片仮名の「ファン」だったら、知事さん、物すごくいいですね。「ファンクラブ」と言ったら、非常に支えてくれる。しかし、漢字で書けば「不安」です。知事さんいつも「議会を開会する暇がなかったので」と言って専決処分をされておりますが、私もきょうは、「原稿を書く暇がなかったので」ということで原稿なしでやるわけであります。いろいろまた大変なことになるんではないかなというような心配もしておるわけですけれども。
 おかげで知事さん、私もこの議場に立って十一年目です。もう、親子ともども二十七年、この県議会、県庁でお世話になっておるわけであります。知事さん、二十七年のきずなというのは、切ろうと思ってもそう簡単には切れるものではないわけなんです。知事が嫌だと言っても、これは大江康弘を切るわけにはいかんですよ。もう私の先代も亡くなりまして、ことしで十二年であります。知事さんの顔見たら、息子よりもおやじの方がよかったなあというような顔をされておられますけれども、しかし私も自分なりに一生懸命、一年一年の年輪を刻んできたつもりであります。
 政治というのは、特に「継続」という言葉が非常に必要になってくる世界だと思います。まさに「継続は力」。杉やヒノキが一年一年の年輪を刻んで大木として成長していくがごとく、人間社会においても自分が思った道を生涯生き抜き通していくというのは、これまた非常に難しいことであります。特に我々政治家は、四年に一度住民の皆さんの大きな審判を仰がなければいけないわけであります。それだけに、一日一日が我々議会人の積み重ねになってこようかと思うんです。
 知事さん、十一年も県会議員をやらせていただいておりましたら、いろんな肩書をいただくんです。今、私は議会で「文教常任委員長」という非常に名誉ある立場を与えていただいておるんですが、もう一個肩書があるんです。何だとお思いですか。もう衆議院の選挙も終わりました。「元衆議院議員立候補予定者」、これが私の今一番新しい肩書なんです。
 二年前に私は、今は亡き玉置和郎先生の後を受けて、やはり将来は国政へ出てやってみたいという思いの中で、二区の多くの皆さんに御心配をかけ、またいろいろ御支援をいただいたんですけれども。そこでいろんな方から、私を思ういろいろな温かい御意見をいただいたわけであります。人間は、この世に生を受けたときから、天職というのがおのずとそれぞれの人間に与えられておるんではないか。しかし、その天職を見つけることというのも非常に難しいことだろうし、先ほど言いましたように、天職を生涯、自分に与えられた天命としてやり通していくということも、これまた人間社会の中で非常に難しいことだと思うんです。
 十一年間を振り返って、生涯の目標として絶えず向上心は失いたくない、できること、できないことがあっても、一つでも二つでも上の目標を持って進むことが、日々の自分の政治活動や人生生活において物事を大きくとらえることのできるような心の見方が変わってくるんではないかなあということを感じてきたのであります。それだけに、私は生涯、地方議員として自分の与えられた人生をやってみたい。今、与えられておる県会議員というこのポストでさえも自分にとっては身に余るポストであると思うんですけれども、しかし、これも与えられた天命として一生懸命やってみたいなというふうに思っております。
 知事さんが、今、四期目の折り返し点を過ぎた中で、やり残された公約あるいはまたやろうとしておるいろんな思いの中で、あと何期、知事さんこれから続けていかれるかわかりませんが、一生懸命応援しますよ。そして、もしあと何期目かで、「もう大江君、おれもやりたいことやったな。後はひとつ大江君、おまえやれよ」と言ってくれたその時点では、私もまた新たに自分の生き方を考えてみる、そういう心の余裕も持ってこれからの人生をやってみたいなと今思っておるわけであります。
 きょう私は、いろいろとお聞きをしたいことがあったんです。お手元の「質疑及び一般質問予定表」の三番以降に大きく空白があるんです。これは、質問をするということでお願いをしてから、きょうここへ上がるまでに、いかに当局の皆さんとのいろんな葛藤があったかということの証左であります。そういう中でこれだけの空白ができたということは、やはり二十七年間の親子ともどもお世話になったきずながまたならしめたものであろうというふうにも思うわけであります。
 きょうは、こうして三つの質問項目をお願いしておりますが、一生懸命思うままお話をして、人生の先輩、政治家の大先輩としての仮谷知事の胸をおかりしてやってみたいなというふうに思います。同僚の上野山議員が、けさ起きたら、「きょうは、おれこの後できるんか」という心配をしていましたが、後の藤沢先生、上野山先生、藁科先生に御迷惑をかけないように、また議場におられる先輩の皆さんに御迷惑をかけないように、与えられた時間をやってみたいと思います。もう八分過ぎました。あと三十二分ですか。
 まず、総選挙の結果であります。
 最近の新聞を読みますと、「ねじれ現象」という言葉をマスコミの皆さんが使われております。これの意味するところは、我が自由民主党が、さきの六月の参議院選挙で国民の皆さんの民意をいただいて負けた、そして今回の衆議院選挙においては辛くも過半数を超える御支援をいただいて、衆参で与野党がそれぞれ逆転をしておるということの言い回しだということであります。
 知事さん、私は今こうして立っておりますと、自分が二十五歳でこの議場に送っていただいたときの心境を思い浮かべるわけであります。
 「少年、志気を負えば、道を信じて時に従わず」、青年というのは、一たん自分が志を定めたならば、周囲の状況はどうあってもその信じた道へ邁進をしていくという言葉であろうと思います。なかなか、若い時代というのは現実が見えないものであります。理想を追い求める、自分の夢や希望を追い求めていくものであります。これは何も若い人に限ったことではないわけでありますけれども、理想と現実の幅がだんだん縮まっていくというのは、だんだん年がたってくるというような一つのあらわれではないかと思うわけなんです。
 こういうことを考えてみましたときに、鎌倉幕府を開いた源頼朝は、二十年間の流人生活があったものの、反平家の旗上げをして古代社会に終止符を打ったのが三十四歳。そして、古代から中世へと移行していく中で、足利尊氏が後醍醐天皇を破って武家の頭領として室町幕府を開いたのが三十二歳。そして近くは、織田信長が、戦国の群雄割拠する諸国の中で、諸国統一に向けた流れというのは桶狭間の戦いであったと思うんですけれども、ここで今川勢を破ったのが二十七歳。いずれも、閉塞した時代、停滞した時期にあって、時代を揺り動かし、時代を推し進めていく原動力になっておるのは常に若者ではないかな、若者が絶えずそういう時代の節目に重要な役割をしておるというふうに思うわけなんです。
 近くは高杉晋作、幕府に破れた長州藩を、東奔西走して坂本龍馬と一緒になって薩長連合により明治維新の礎を築いたのであります。しかし、高杉晋作は享年二十九歳でこの世を去った。坂本龍馬は、享年三十三歳で世を去った。この二人は、自分に与えられた生涯の使命が済んだかのように亡くなっていっておるわけであります。
 こういうことを思います中で、今回の総選挙の焦点というのは一体那辺にあったのか。消費税だと言う人もあれば、いろんな争点も言われておりますけれども、自由民主党の立場において総選挙中に訴えてきたことは、いろいろと自由民主党に対して国民や県民の皆さんの中に大きな不満はあっても、戦後、日本国の責任政党として大筋において自由民主党が今日までとってきた政策というのは決して誤りではなかった、こういうことを信じておる一人であります。
 政治というのは政治家が行います。そして、その政治家を選ぶのは二十歳以上の国民一人一人に与えられた大きな権利であります。自民党に対するいろんな御批判や御指摘があっても、自由民主党に責任政党の立場を今日まで与えてきてくれたのが大半の国民の皆さんであったと思うんです。日本には、政党を選ぶという自由な体制があります。
 昨年の六月は、先ほども言いましたように、国民の多くの皆さんが自由民主党の政策に対して疑問を持ち、義憤を持った中で自民党が大きく負けた。私も、六月の自民党の全国代表者大会で話もしたんですけれども、自民党の長年にわたる長期政権の中で、政治家というのはもっと謙虚に政治をやらなければいけない、みずからを戒めて政治をやらなければいけないという多くの国民の皆さんの温かい前向きの御批判の声であったと思うんです。それだけに、今回の衆議院選挙の結果を見たとき、改めて自由民主党に政策の担当責任を与えていただいた国民の皆さんに感謝を申し上げるとともに、やはり謙虚になって次の時代に向けて政治をやっていかなければいけないという思いを感じたのであります。
 知事さん、我々のこの自由な社会、自由に行動ができて、自由に物が言えるという今の体制をどう思われますか。
 先ほど明治維新の話に触れましたけれども、あの若い志士たちは、決して大名の子供だとか殿様の子供だとかいう上級武士ではなかったと思うんです。知事さんが角間さんとお話をされているこの本を読んでも、歴史が好きだということを書かれておりますが、彼らが命を捨てても今の体制を破らなければ日本の将来が来ないという行動の理念は何であったのか、私はそこに注目をしたいのであります。
 やはり、決められた身分社会においては活性化は出てきません。徳川幕府がそうであります。士農工商という身分制度をつくった。幾ら弱くても、武士の子は武士であります。幾ら強く生まれても、農民の子は農民であります。こういう生まれながらにして与えられた身分社会の中では、活性化というのは出てこない。そういう閉塞した状況、体制に対して、これではいけないということで立ち上がったのが、まさに日本で初めての革命だと言われるあの明治維新における命を捨てて体制を変えた行動の理念であったと思うんです。我々は、「戦後民主主義」という言葉をよく使いますけれども、今日の民主主義の体制の基というのは、あの明治維新の革命の行動の原点にあったのではないかなと思うのであります。ここらは知事さん、いかが評価をされておるのでありましょうか。
 今、東欧におけるいろんな共産主義国家あるいは社会主義国家を見ても、大きな時代の流れにあって変革を求められておる時期であろうと思います。今、中央において、パーシャル連合だとかいうような新しい政党の枠組みが議論をされておるようでありますけれども、そういう中央の政党政治を受けた今日の地方議会の流れがあっても、これからは我々地方議会が新しい政党のあり方、新しい議会のあり方を求めていかなければいけない時期に来ておるんではないかなと思うのであります。政治家として、行政の長としての仮谷知事は、今回の総選挙の結果を見てどういう御意見を持たれているのか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
 次に、二十一世紀の県の姿についてお尋ねを申し上げます。
 知事さんに期待を申し上げたいのは、時代のスイッチマンになってほしい、時代を転換していくかぎの役目を果たしてほしいということであります。
 人にも青春時代があるように、日本の国もそうであります。歴史にも青春時代というのがあります。そして、「青春」という言葉を和歌山県に当てはめてみたならば、今まさに和歌山県は青春の時代だと言えると思うんです。お互いの人生を振り返ってみたときに、青春時代というのはるんるん気分で楽しいことばかりではないわけであります。悲しいこともある、つらいこともある、また人をうらやむこともある。しかし、人間の形成期においてこの青春時代をいかに自分が心にとめて目標を持って人生を送っていくかによって、将来大きく変わっていくものだと思うのであります。それだけに、和歌山にとっては、今まさに陣痛の時期であろうと思います。そして、大きく開け行くその前夜であろうと思うわけであります。こういう和歌山の青春時代において、知事さんもいろいろと悩まれ、考えられたことが多かった毎日であろうかと思いますけれども、四期の半ばを越した知事の政治生活を振り返って、県民の皆さんにお訴えをしてきた公約がどれくらい実現をされてきたとお考えでありましょうか。
 そして今、知事さんが中心になって和歌山県が挙げて進めておるいろんなプロジェクトを見てみましても、一年や二年で完成するような計画は見当たらないのであります。しかし、これらの多くのプロジェクトは、知事さん自身が県庁のスタッフの皆さんを信頼してやってきた、知事さん自身が出されたものであります。これを今後、知事さん自身の手でどういうふうにされていかれるのか。私は、政治家・仮谷志良の公約実現に対しての責任を聞いてみたいと思うのであります。
 二十一世紀になればこういう和歌山県になるんだ、県民の皆さんはどうかひとつ希望を持って一緒にやってほしいということで、県民の皆さん一人一人に知事さん自身がお願いをし啓蒙されたことがあるのか。十年後と言えば、今小学校四年生、五年生の子供たちが成人式を迎える年であります。もっと年齢を下げて小学校や中学校の生徒のみんなに、和歌山県は君たちが大人になったらこういう県になるんだ、こういうふるさとになるんだということをもっと理解をしていただくような施策が必要ではないかなと思います。一つ一つのプロジェクトがどうも有機的に結合をしておらなくて、それぞれが単発で進んでおるような気持ちになってやまないのであります。もう少し視点を変えて、和歌山県の二十一世紀のあるべき姿はこうだ、どうかひとつ理解をしてほしいという、県民の皆さんに対してのアピールが必要な時期ではないかなと思うわけであります。この点もあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。
 二番目に移りたいと思います。公共事業と民間事業についてであります。
 地元のことを言って申しわけないんですけれども、私は、白浜空港が大事であります。白浜空港が大切であります。我が県議会におきましても、昭和五十六年に全議員一致で建設促進議員連盟をつくっていただいた。初代の会長は下川先生のお父さんである下川舜三先生、次は松本計一先生、三代目は馬頭哲弥先生、そして今四人目に不肖私が、議員の皆さんの温かい御支援をいただいて会長にさせていただいておるのであります。
 知事が、あの白浜空港を千二百メートルから千八百メートルの滑走路にして、悲願であるジェット航空を飛ばすんだという政治決断の裏には、和歌山県の均衡ある発展こそが県民の幸せにつながっていくという政治家としての判断があったと思うのであります。地元にとってみれば、まさに大きな政治の光を当てていただいたのであります。今は、建設事務所の職員の皆さんが最前線に立って頑張ってくれておりますけれども、今日までの空港の歩みの中で一つ疑問に思うのは、田辺市の丸紅の計画のあの公表の仕方であります。
 二年前の一九八八年八月でありますが、丸紅が田辺市開発構想案共同発表ということで一千億構想を打ち出したのであります。二年前と言えば、御存じのように、空港の事業化が採択になって初めて実行予算がついたのであります。そして、その後どういう動きがあったんか知りませんけれども、去年の七月に二千億円という、我々田舎に住んでおる者にとっては考えられないような巨費を投じて開発をするという新聞発表があったんです。
 たしか、浜本先生もここで御質問をされたと思うんですけれども、一千億円の発表があったときは、朝起きてみれば自分の土地がテニスコートになっておったというような地権者の皆さんの大きな不安の中で、さらに今申し上げましたように二千億円構想。私は、こういうことは田辺市ももっと慎重にやるべきであったなと思うんですけれども、仮谷知事さんや市長の談話を見ても、また丸紅の談話を見ても、「県の指導のもとに進めてきた」とあるわけなんです。
 土木部長、空港の用地というのはなぜ買えないんですか。なぜ、繰り越し額が大きいんですか。一体、この理由は那辺にあるんですか。
 田辺市という、あの紀南の地方自治体の中核都市において、前にもオリムピック構想というものをぶち上げて、業者がやれなかったからと言って帰っていった。今回も、そういう不安を持っておるのであります。それだけに、こういう計画においてまず第一に大事なのは、地域の住民の皆さんの熱い思いであります。その熱い思いを吸い上げて、行政がどういう方向に持っていくかということが行政のあるべき姿だと思うのであります。リゾート法でもそうでありますが、指定をされることがあたかも目的であるがごとくのような地方自治体の動きというものには、私はどうも納得がいかないのであります。
 今の田辺市を見ておりましたら、まるで一企業の営業の窓口のような動きかなという思いさえもするわけであります。こういう一千億だとか二千億だとか──仮谷知事が政治生命をかけ巨費を投じての大きな公共事業をやっておる場所において、あれだけの企業があれだけの計画を本当に真剣にやる気があるならば、少なくとも地権者の皆さんの三分の二以上が賛成をしておらなければいけない。少なくとも、水面下で用地は半分以上取得ができるという事実関係がなければならない。ああいう公表の仕方をさすということは、私は行政の責任であろうと思うんです。いたずらに土地を高騰させる要因の一つになる。まさに、空港用地が買えない。土地が高騰しておる起因は、ひとり丸紅が責任だとは言わないまでも、私はワン・オブ・ゼムになってきておるのではないかなと思うんですが、この点はいかがでありましょうか。
 知事さん、私が非常に残念に思ったのは、いろんな土木行政の施策があっても、紀南において空港建設という大きな事業を進めておられる土木部が、あの計画が発表された時点において、この丸紅の企業誘致に関連をした県当局と言えば商工労働部になるわけですか、庁内において、「ああいうことをされたら困るじゃないか。ああいうことをされて、うちの用地が買いにくくなったらどうするんだ」というような、そういうやりとりがあったんですか。私は、あってしかるべきだと思うんですよ。知事さんもこの本の中で、公務員は自分の与えられた仕事に対して目的意識を持たないとだめだということをはっきり言われておるわけであります。
 そういうことを考えたときに、今後いろんな企業がいろんな形で進出をしてくると思うわけです。そういう場合の一つのルールとして、公表の仕方について今のようなままではだめだと思うんですが、そのあたりの検討は今後どういうふうにされていくのか、お聞かせを願いたいのであります。
 地域の人々の気持ちと大きくかけ離れて、企業がはしゃいで、それへ地方自治体がついていくように見られるような今の状態は県の行政の指導において変えていかなければいけないと思うわけですが、この点もお聞かせを願いたいと思います。
 最後になりました。三番目のランドバンクであります。
 今、二番目の点で触れましたけれども、土地を売る人々は代替地が欲しい、お金なんかは要らないんだ、和歌山県さん、どこかに土地を紹介してくれよという声を聞くわけであります。県の土地開発公社においては、各地域においていろいろと用地を取得されておるわけでありますけれども、もう少し県が先行投資で土地を買って、そういう用地の提供をしてくれる県民の皆さんの中で、できれば代替地にしてほしいという人に対しては、お金よりも、こういう土地がここにありますよというぐらいの手持ちがなければおかしいと思うのであります。今後、高速道路だとか大きな公共事業の推進に当たって避けて通れない道だと思うんですけれども、そういうことも含めて今後の対応をお聞かせ願いたいと思います。
 あと、三分になりました。これで質問を終わりにさせていただきたいと思いますけれども、最後に、県警本部長に所感を申し述べさせていただきたいと思います。
 和歌山の南港ですか、昨年から六件で八名が亡くなられたということ。けさもNHKのニュースでやっておりましたが、亡くなられた皆さんにはここで御冥福をお祈りするわけでありますけれども、本部長のインタビューで気になったのは、あの荷揚げをする滑りどめですか、もう少し高くしないといけないということをおっしゃられていたんです。私がおかしいなと思ったのは、何か本部長のインタビューを聞いておったら──確かにインタビューというのはごく一部でありますから、その前後は何を言われたか定かでないんですけれども──カーブを百キロで回った、そして亡くなった、そしたら百キロで回っても行けるような道にすべきだというような感じに実は受け取られたわけであります。
 遺族の皆さんにとっても、亡くなられたということは悲しいことでありますが、その原因が那辺にあるのかということも大事だと思うんです。行政がいかにあるべきか、警察行政がどうすべきかということも含めて考えていくべきであると思うわけであります。そういうことをこの間うちから二回、テレビの放映で感じましたので、もうこれ以上申しませんけれども、警察行政を自信を持って進めていってほしいということの所感だけを申し述べさせていただきたいと思います。
 以上であります。知事さん、いろいろ嫌なことも申したかと思いますが、私は、きょうは潤滑油のつもりで登壇させていただきました。後、先輩の皆さんがいろいろと御質問をされると思いますので、その点も含めてお願いを申し上げたいと思います。どうも、御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大江議員にお答え申し上げます。
 大江議員が二十五歳で県会へ出られたときの心情を思いつつ、総選挙の結果についての話をされたわけでございます。これについて知事の考え方はどうかということでございます。
 話ございましたように、私は、今度の選挙は二十一世紀を占う重要な選挙であるし、国内問題では消費税、国際問題では日米摩擦とか東欧諸国の大きな変革、こうした大きな時代の流れの中にあって日本がどうあるべきかということの民意を聞く重要な選挙であったと思うわけでございます。
 大江議員も大江議員なりの考え方を持つし、各党自体も今回の民意の反映について十分な分析をやり、この対応を図っておると思います。そうして、こうした大きな時代の流れの中で、これからの国政がいかにあるべきかということを真剣に考えていただいておるだろうと思いますし、また私たち地方政治を行う者においても、政治の厳しさ、そしてこうした大きな移り変わりの激しい時代の中で、なお一層政治というものが大きな使命を持つということを痛切に感ずるわけでございます。これからの新しいやり方について、時代の流れを見詰めつつ、政治の厳しさを感じつつ、私も原点に返ってなお一層努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
 第二点の、二十一世紀を眺めての知事の考え方でございます。
 先ほど話ございましたように、今こそ青春期といいますか、そうした時期にあるんではないかと思うわけでございます。時代的に見ても、二十世紀から二十一世紀へバトンを継ぐときでもございます。また、一九九○年代の最初のときでもございます。私は、長期計画において、抽象的な言葉でございますけれども、和歌山県の将来を「活力と文化あふれるふるさとづくり」ということを目標にしておるわけでございます。そして、それを達成するための柱であり目標であるのは、活力に満ちた産業の発展であり、健康で行き届いた福祉社会であり、そして三点目は人づくりと文化の創造ということにしておるわけでございます。それを進めるためには、和歌山県が紀伊半島に属しておるということが大きな問題でございます。交通基盤の整備が一番重要な課題だと考えておるわけでございます。
 皆さん方の協力を得まして、鉄道網で新大阪駅乗り入れができましたし、空港問題では関西空港が動きつつありますし、白浜空港が動きつつございます。また、高速道路の紀南延長の問題が着々と進みつつある現状でございます。大阪と和歌山を結ぶ高速道路、京奈和自動車道、そしてまた国道、県道、林道、農道と、そうした大規模な道路網の整備を図ることによって産業、文化、福祉を進めていかなければならないわけでございます。公約については、終わりつつある問題もあるわけでございますけれども、これからの問題が非常に大きいわけでございます。こうした重要な時期でございます。
 そしてまた、将来のビジョンをどうするかということ、話ございましたように、もう少し具体的な地域対応、例えば和歌山地内はどうするか、日高地内はどうするか、田辺地内はどうするか、新宮地内はどうするか、主体的な構想、大観的な見地に立ってもっとビジョンを言うべきではないかということ、ごもっともでございまして、こうした重要な時期でございます。県民の皆さんの理解を得ずして和歌山県の大きな発展はあり得ないと思います。時期は今だと思うんです。県民の皆さんの格段の御理解を得るために、私たちがいかになすべきかということを十分考えてまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、公共事業と民間事業の関係でございます。
 話ございましたように、私たちは、紀南地域の活性化のためには何と申しましても白浜空港のジェット化が一番重要だと考えておるわけでございます。そうしたインパクトを大きく生かして、紀南地域の活性化を図るために複合的なリゾート開発、研究開発型の企業誘致、地場産業の高度化等を推進して、あの地域の立派な町づくりをしていきたいと思っておるわけでございます。さまざまな民間事業、公共事業と十分な連携をとり、整合性を持つということが最も重要なことでございます。お話ございました点、十分意を体して、そうした面においてなお一層努力してまいりたいと思います。
 白浜空港の問題について触れていただきました。実際、この用地買収がまだ十分進んでないということ、まことに残念に思っておるわけでございます。お話ございましたように、昭和五十六年に議会において議員連盟をつくっていただいて、議会の皆さんの格段の御努力を得ながら進んでまいりました。六十年に白浜に決定させていただいて、六十一年に五次空港に入れていただいたわけでございます。そうした過程を踏まえながら進みつつあるわけでございますけれども、最近の地価高騰と空港ができたこと、また話ございました田辺の開発の問題等が重なり合って問題点があるわけでございまして、特に大阪付近の皆さんが空港の近くに土地を持っておるのが一番の悩みでございます。
 過日も私、白浜で会議がございました際に、うちの空港の用地担当の皆さんとも懇談会をさせていただいたわけでございます。彼らも、非常に苦労して頑張っていただいておるわけでございます。現在の仕事をなすためには、やはり何と申しましても一番大事なことは用地の確保ということでございます。説得するのにも誠意が一番大事であるし、担当者もあらゆる角度から物事を話し合っていくのが解決する上で一番いいんだということを申しておりました。そうした点、なお一層努力したいと思います。
 それから、ランドバンク創設についてでございます。
 おっしゃいましたように、非常にそうした機会が多うございます。私たちも、それを何とかしなければならんということで、現在、県庁内においても用地取得に関係のある部局長で構成する公共用地取得促進対策委員会というのをつくっておりまして、そこで十分検討させていただいておるわけでございます。
 今後とも、そうした面について格段の御指導、御支援をお願い申し上げたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 田辺市での丸紅の計画についてでございます。
 田辺湾総合リゾート開発事業につきましては、県のリゾート整備促進の一翼を担う、民間資本による主要プロジェクトとして燦黒潮リゾート構想にも位置づけられておりまして、もちろん庁内においても関係部局間で十分協議をされておるところでございます。
 この計画の実現は、田辺市周辺地域、ひいては紀南地域活性化に寄与するものと考えてございます。現在、本事業は基本計画の策定作業並びに用地交渉の準備作業を行っている段階でございますが、県といたしましては、生活環境の向上、地域産業の振興はもとより、公共基盤整備事業との整合性についても、施設計画の策定や用地買収に当たって十分な配慮を行うよう強く指導しておりまして、今後とも公共投資と民間投資が相乗効果を生み出し、地域の発展に大きくつながるよう努めてまいる所存でございます。
 また、御指摘のありました当事業の構想発表の時期につきましては、当事業が非常に大規模かつ総合的な計画であり、都市づくりという側面を持つなど、地域に与える影響も大きいことから、オープンにすることにより、関係者はもとより、広く地域住民の理解と合意を求めながら計画を進めねばならないとの観点から早期に公表されたものでございます。
 今後、議員御指摘の意を十分体しながら対処してまいりたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 代替地の先行取得の方法としましては、土地開発公社の活用や起業地以外の土地も含めた面買収による方法等が考えられますが、金利負担も含めた予算措置や財産管理等、難しい問題がございますので、公共用地取得促進対策委員会の中で議員御提案のランドバンクも含め、検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了しております。
 以上で、大江康弘君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 まず最初に、今日の異常な土地価格の暴騰に関連をしてお伺いをいたします。
 東京二十三区分の土地でアメリカ全土が買えて、まだ三十兆円もおつりが来る。そんなばかな、このようにお考えの方もあるかもしれません。しかし、これは紛れもない事実なのであります。アメリカ全土の面積は東京二十三区の面積の一万五千六百二十一倍、その地価総額はアメリカ全土が四百三兆円、東京が四百三十六兆円推計と言われております。
 政府統計でも、建設省の住宅データ集の八九年度版によると、日本では首都圏で住宅価格は年収の七・五倍、これに比べて西ドイツは四・六倍、イギリス四・四倍、アメリカ三・四倍となっております。今日は、この事態で推しはかることができないほど悪化しつつあります。こうした状態は大都市だけに限られたものではなくて、本県においても例外ではなくなってきております。
 国税庁が、一月十九日発表した一九九○年分の最高路線価──御承知のように路線価とは、主要道路に面した宅地の一平方メートル当たりの評価額のことでありますが、和歌山での最高路線価は和歌山市本町一丁目のブティックJアンドR前、ぶらくり丁通りの百二十八万円で、これを頂点にして周辺の路線価を順次算出いたします。ちなみに、この路線価が、本年一月一日から十二月三十一日までに死亡した人の相続税、あるいはこの期間の贈与税の算定基準になるものであります。しかし、現実はこのような生易しい地価ではありません。
 和歌山市の河西地区で、市当局が坪三十から五十万円で公共用地取得がまとまりかけていたやさき、大阪の業者が隣接地を坪百五十万円で買い取ったために用地取得は御破算になったということを聞いております。また、県道湊神前線に関連し、同和対策事業計画で六十三年度買収、坪三十五万円、本年その継続地の鑑定価格が六十万円、これがその近接地で百万円で買収されたために事業の支障が見込まれていると言われております。
 関西空港建設絡みでの大阪大手不動産グループの進出が、本県の土地高騰に一層の拍車をかけております。毎日の新聞折り込みに不動産売買の広告が入り、その価格も平均三千万円から六千万円という高価。多くの県民にとって、マイホームは夢のまた夢。マイホームを持っている人には、固定資産税の値上げの追い打ちであります。
 大手企業を初め、県外業者の進出の状況はどうでありましょうか。現在、和歌山県内に支店を持ち大臣免許を有する県外業者は三十三業者。和歌山市の二十一支店をトップに、県下に三十六支店の網の目を張っております。
 なぜ、和歌山への進出が急増しているのか。もちろん、関空を初めとする大型プロジェクトとの関連を中心にして、その主な理由の一つは、大阪に比べて県や市の規制が緩いこと。マンション建設や開発のための条件として、大阪では周辺住民の同意が必要であるけれども、和歌山は関係する自治会長の同意だけをとれば近くに住む住民あるいは隣接自治会の同意は必要でないために金や日時がかからないということであります。大阪大手資本の和歌山進出によって、県内中小建設関係業者は手が出せず、倒産さえ出かねない状況になっておると言われております。
 知事、関空関連による活性化なるものは大阪の大手不動産業者が中心であって、本県業者にとっては活性化の風は頭上を吹き抜けていっているのが現状ではないでしょうか。今日の土地狂乱を生み出したのは、土地、不動産を買い占め、投機をめちゃくちゃにやってきた大企業、そして湯水のようにこれら大企業に融資をしてきている金融機関と、何にも増して中曽根元内閣が進めてきた民間活力による高度利用こそ地価つり上げの根源ではないでしょうか。
 そこでまず、知事にお伺いをいたします。
 この異常な土地高騰を生み、県経済の活性化を阻害し、県民生活に困難を生み出している原因はどこにあるとお考えなのか、お尋ねをいたします。
 また、大手不動産会社の不当な土地買いを規制し、金融機関による大手不動産会社などへの融資の規制、あるいは悪質地上げ業者の取り締まり、土地転がしの利益に一○○%課税を行うことが土地投機に対する実効ある措置と考えますが、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、お尋ねをいたします。
 さきに用地買収に関する一例を申し上げましたが、異常な土地高騰のもとで来年度県予算案における投資的事業が計画どおり執行され得るのかどうか、甚だ危ぶまれるのではないかと危惧せざるを得ないのであります。本議会第一日目に我が党の中村博議員が来年度予算問題で指摘をしたように、多額の不執行が起こる可能性が十分考えられるのではないでしょうか。現状を冷静に見て、来年度予算執行で事業計画を遂行し得る確信がおありかどうか、同時に、これに対する具体策などについて、知事からお答えをいただきたいと思います。
 次いで、土木部長及び関係部長にお尋ねをいたします。
 各種事業執行の上で用地取得の困難さは察するに余りがあります。聞くところによりますと、用地交渉が成立をしても相手方の要請は代替地問題が多くて、この点をどう打開するかが今日の地価高騰のもとでの中心の一つだとのことであります。先ほど、この問題につきましては大江議員が質問をされましたが、私はこの点、非常に重要であると思います。
 また、用地取得に当たる担当職員は相手との交渉の七○%近くは夜になると言われ、人員の増加を初め県行政全体の問題として対処するなど、抜本的な対策が必要だと考えます。
 さらに、住民の生活や環境を守るためにも、無謀な開発などを規制するためにも、従来のような弱い姿勢ではなくて、その周辺住民の同意を得ることをより一層重視するなど、手続上においてもより強力な指導を行うことが重要であると考えます。御答弁をお願いいたします。
 次に、土地高騰と関連する地価監視区域制度についてお尋ねをいたします。第一日目に関連した質問がなされておりますので、重複を避けてお尋ねをいたします。
 我々が調査をした和歌山市東部地区における地価高騰は、一カ月平均三%、年間約四○%に及んでおります。新聞報道によりますと、昨年十月一日から本年一月一日までの三カ月間において、海南市の商業地で二○%近く、橋本市紀見地区の住宅地で二○%以上、那賀町で一五%から三○%、粉河町で一五ないし二五%、桃山町で二○%近く、土地の上昇が確認をされたと報じております。
 昨年当初における監視区域指定は、一定の効果を果たしたものと考えます。しかし、今日の異常な高騰に歯どめをかけるためには、届け出制や監視区域の指定というなまぬるい方法ではなくて、国土利用計画法第十二条の規制区域の指定を行い、知事の許可を必要とすべきと考えるわけであります。
 また、県当局は専任の課をつくって対処すると本議会で答弁をされておりましたが、さしあたって和歌山市の商業地域及び近接商業地域の届け出対象面積を現行の三百平方メートルから百平方メートルに引き下げるべきだと考えます。既に、大阪府や奈良県ではこれを実施しております。大阪の大手業者などは和歌山全県を対象に進出をねらっておりまして、御坊、田辺、白浜など紀南方面の土地買いを進めております。特に、国土保全と乱開発防止、自然環境を守るために、欠くことのできない重要な和歌山の海岸線について監視区域に指定をするなどの対処を行うべきと考えます。
 以上の諸点について、企画部長、土木部長の答弁をお願いいたします。
 第二に、米の輸入自由化及び農業問題についてお伺いをいたします。
 昨年の、温州ミカン、中晩柑の改廃園問題は、ミカン農家のみならず、他の果樹農家を初め和歌山県農業に与えた影響ははかり知れないものがあったと思います。年がたつにつれて、この打撃の影響はさらに深刻さを広げるものと推測されます。
 さて、昨年の参院選、本年の衆院選の重要な争点の一つとなった米の輸入自由化問題についてであります。
 改めて言うまでもありませんが、日本の米と稲作は日本国民の主食であり、日本農業の根幹をなすものであります。また、農家の経営と暮らしを支え、地域経済を支え、国土や環境の保全のために、そして伝統文化を生み出す土台でもあります。日本の産業の重要な柱の一つである農業の中で占める米の動向は国家の主権と民族の存立にかかわる問題であることを、まず申し上げておきたいと思うのであります。
 昨年十一月二十八日付の産経新聞の一面トップに、「『コメ』で日米密約 自由化問題総選挙前触れず」との大見出しで、「米国政府が日本の政府・自民党に対し次の──ことし行われた選挙でありますが──総選挙が終わるまでは日米二国間では日本のコメ自由化問題に触れないことを非公式に約束していることが二十七日までに明らかになった」として、次のように報道しております。若干、引用してみます。
 「日米間の貿易交渉にかかわっている米国務省筋が二十七日までに明らかにしたところによると、米政府の『近く予想される日本の総選挙がすむまではコメの自由化要求を持ち出さない』という方針は、ヒルズ通商代表部(USTR)代表から自民党の小沢一郎幹事長に伝えられた。 同国務省筋によると、ヒルズ代表が訪日し、十月十二日に小沢幹事長と会談した際、小沢氏からの『総選挙の前に米国から日本のコメ市場開放を再び要求されると、自民党は選挙できわめて不利になるので、コメについては選挙後までは一言も触れないでほしい』という趣旨の要望に、『了解した』と明言した。ヒルズ代表は(中略)『次の総選挙が終わるまでは米国政府としては、日米との二国間の貿易関連の協議などでコメ市場自由化の問題を改めて持ち出すことはしないようにする』との非公式の約束を伝達したという。(中略)同国務省筋は、ヒルズ代表の小沢氏に対するこの言明が米政府全体の意向であり、非公式の保証と解釈できる、としている」、このように述べております。
 中略したところもありますけれども、以上が産経新聞の昨年十一月二十八日に報道された内容であります。この報道は、まさに日本農業にとって重大な事態を示しているのではないでしょうか。
 本年一月十八日、日本記者クラブにおける「米は一粒たりとも輸入しないという論理は世界に通用しない」と述べた、当時の松永通産相の発言をめぐる農民の抗議と批判の広がりは皆さん方の記憶に新しいところであります。米輸入自由化を容認する閣僚や自民党首脳の発言は、この一年だけを見ても、昨年一月四日の羽田元農水相、八月十一日の当時の高原経済企画庁長官、十月八日の渡辺元自民党政調会長と相次いでおります。
 そもそも米の輸入自由化は、日米安保条約の第二条経済協力条項に基づくアメリカ側の対日要求の強まりの中で、一九八三年、中曽根・レーガン会談で設置が合意をされた日米諮問委員会の最終答申や前川リポートによって推進の方向が確認されてきたものであります。
 経団連初め財界は、一貫してその実行を要求してまいりました。経団連の斎藤英四郎会長は、本年二月二十三日の記者会見で、米の輸入自由化問題について、「対外政策上の大きな問題として取り上げられることを覚悟しておくことが必要だ」、このように述べております。
 さらに、新行政改革審議会いわゆる行革審は本年四月に発表予定の最終答申で、農産物の輸入規制の全面見直し、廃止とともに、食管制度の廃止という米の輸入自由化の条件づくりを打ち出すと言われております。私は、米の輸入自由化は何としても阻止しなければならない国民的課題だと思うわけであります。
 そこで、まず知事にお伺いをいたします。
 昭和六十三年九月県議会におきましても、「コメの市場開放阻止に関する意見書」を全会派一致で関係大臣に提出しております。この国民的課題である米の輸入自由化に対して、知事は反対の立場に立たれるのか、容認する立場に立たれるのか、お考えをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、食糧自給率についてお尋ねをいたします。
 我が国の穀物自給率は、一九五五年に八八%であったものが、今や三○%にすぎません。カロリーベースでは、一九六○年に七九%あった食糧自給率が、七○年には六○%に、さらに八八年には四九%にまで落ち込んでしまいました。人口二千万人以上の国で食糧自給率が五○%を割っている国は、世界じゅうで日本だけであります。
 例えば、フランスは一九八三年で一二八%に、西ドイツは一九八五年で九三%に、同イギリス七七%というところに見られるように、かつては自給率の低かったイギリスや西ドイツが輸入規制や価格保証の保護政策で自給率を高めてきたのとは我が国は全く対象的であり、農業再建にまともに取り組む姿勢でないと言わざるを得ません。食糧自給率の向上、農業の再建は、初めにも述べましたが、農家の暮らしと経営を守り、民族の自立、国民の健康と安全、国土と環境保全のために、まさに全国的な意義を持つ課題であります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 まず、米の輸入自由化問題とも関連をいたしますが、自給率の落ち込みの原因とその高めについて、基本的な考えをお聞かせいただきたいのであります。
 続いて、米作の減反問題に関してでありますが、この問題では我が党の小林史郎議員が再々にわたって質問をされておりますので、私は内容を簡単にいたしまして、減反問題など数点をお伺いしたいと思います。
 私は、この減反問題に関する資料を担当課からいただきまして、農業人口の移り変わり、戸数、耕作面積、作物の種類、農業用資材などを調べているうちに、本当に胸が締めつけられ、調べるのを何度か中断したのであります。
 去年のミカンの改廃園政策の中で、チェーンソーを買いながら、とうとう自分の手でミカンの木を切ることができなかったというお年寄りもおられます。また減反政策でミカンに転作した土地、今度はこれをつぶして他の作物を植える、こんな繰り返しが農業生産につきまとっている。農業の行く末に不安と絶望めいた気持ちがあって、どうして農業を国の重要な産業の柱と言えるでありましょうか。
 そもそも、政府による減反政策が開始されたのは一九六九年、昭和四十四年、ことしで二十一年目になります。減反開始の翌年から昭和六十三年までに本県の耕地面積は樹園地を中心に増加したものの、田んぼは一万九千七百七十二ヘクタールから一万五千ヘクタールへと四千七百七十二ヘクタールも減少しております。一方、農家戸数も六万六千五百九十一戸から五万三千六百四十戸へと、一万二千九百五十一戸も減少しております。また、農地、田畑の転用は、昭和五十九年から六十三年までの間に九百五十四・五ヘクタール減少、うち六三%が田んぼであります。その柱となっている水田農業確立対策実績いわゆる米減反の実績は、本県が消費県であるにもかかわらず、達成率は一○○%を毎年超過しております。担当者も言うに言えない苦労と悩みをお持ちと思いますが、本県の稲作農業をどのようにしていこうとされているのか、まず農林水産部長からお聞かせください。
 かんきつ園地再編対策転換についてお尋ねをいたします。
 ミカン、中晩柑の改廃園によって、梅、柿を初めとする他果樹を中心に、他作物や植林などへの転換が行われた一九八八年度の第一期の実績についてどのようにとらえておられるのか。
 第二期、第三期計画が組まれておりますが、第二期はこの三月までとなっております。これらの計画が今日直面しているかんきつの改廃園の二の舞が起こらない、いや起こさないという展望を持つものとして、どのように対処されようとしているのか。
 次に、後継者問題に関連をしてお尋ねをいたします。
 一九八九年一月一日現在の基幹的農業従事者状況によりますと、全体で四万八千七百九十人のうち、十六歳から十九歳までが二十人、二十歳から二十九歳までが千五百四十人、三十歳から三十九歳までが五千五百三十人で全体の一四・五%、六十歳以上が二万七百三十人で四二・五%であります。
 近畿における農業後継者数は本県がトップとなっておりますけれども、昨年における高校卒の新規就農者は七十人中四十四人で、うち他産業からのUターン青年十六人が含まれております。これらの指標は、後継者問題がいかに深刻であるかを示していると同時に、農業を産業の重要な柱と位置づけての抜本的で具体的な対策が緊急に求められている問題でありますので、部長からお答えをいただきたいと思います。
 最後に、紀の川用水問題について、昨年十二月議会に引き続き簡潔にお伺いします。また、本会議二日目に岸本光造議員が本問題で質問をされておりますので、要点のみお尋ねをいたしてまいります。
 十二月議会における「紀の川用水農業水利事業地元負担金の軽減に関する意見書」に基づく政府への働きかけ、及び県としての本事業に対する予算編成に積極的対応をされたことにお礼を申し上げます。
 この用水事業の完成は一九九二年度と聞いておりますが、事業の現状と今日の時点における課題及び今後の対応と見通しについて、とりわけ創設をされる償還事業はどのような内容であるのか、あわせて本事業の最終地点となる和歌山市の山口西地区への完成に至る年度計画等について、農林水産部長から答弁をお願いします。
 以上で、私の第一回の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 土地問題について、現在の地価高騰を生み出した原因等についてでございます。
 昭和六十年代に入りまして、東京都心の商業地に端を発した地価高騰は次第に周辺部へ参りまして、大都市圏へ移り、また地方都市へと波及してまいったわけでございます。これは、我が国の経済の国際化、情報化等の構造変化に伴って東京への集中がさらに進みまして需給のアンバランスを生じ、都心部でのビル用地売却者による買いかえ需要が増加したこと、さらにこれらの需要を当て込んだ一部業者等による手当て買い、投機的土地取引が活発化したことや金融緩和状況がこれらに拍車をかけたものだと感じております。本県においても、特に昨年から関西空港関連を初めとして地価が上昇しておるということ、まことに遺憾に思っておるわけでございます。この対策に苦慮しているところでございます。
 これらを規制するための実効ある措置についてでございます。
 土地問題につきましては、過日、鈴木議員初め皆さんからもいろいろお話がございました。この対策については、総合的な対策が必要だと思っております。土地基本法ができましたけれども、それを具体化する各種法律等の制定ということが大事でございます。また国におきましても、昨年の十二月に基本理念を定めた基本法が発効するに伴いまして土地閣僚会議が開催されまして、税制の問題、金融の問題、宅地供給の問題等、十項目についての今後の土地対策の重点的な施政方針が定められておるわけでございます。こうしたものを積極的に推進していただかなければならないし、また過日も話ございましたように、知事としても、そうしたものについての意見具申もやっていかなければならないと思います。特にまた最近の新聞論調を見ましても、土地問題が各分野において取り上げられております。だから、各政党においても、この土地対策についての具体的諸施策をも推進していかなければならないと思います。県においても、改正が予定されております国土利用計画法を厳正に運用することにより、投機的な取引の排除により一層努めてまいりたいと思います。
 次に、こうした異常な高騰の中で、来年度の予算の執行についてでございます。
 お話ございましたように、これについても私たちは大変苦労しておるわけでございます。社会基盤の整備を図る投資的事業の執行は県民の福祉向上と活力ある産業振興のために最も重要なことでございますけれども、最近の急激な地価高騰によりまして、用地取得の難航に加えて災害による事業量の増加等により繰り越し事業も生じておるわけでございます。これが解決のためには公共用地の先行取得の充実、先ほども大江議員に申し上げましたように、こうしたやり方の問題と同時に用地取得の体制づくりを図り、計画どおりの事業推進に全力を傾注してまいる所存でございます。
 次に、農業問題について、米の輸入自由化に対する知事の態度でございます。
 お話ございましたように、米は国民の基本食糧であり、農業の根幹をなすものでございますので、輸入自由化に対しまして、昨年の県議会でもお答えしましたように反対してまいるわけでございます。一昨年九月の衆参両院の決議、また十月の本県議会においても国に対して反対意見書が提出されているところから、今後とも自由化反対に向けて強く働きかけてまいりたいと存じております。
 次に、食糧自給率の低下の問題でございます。
 これは、国民の生活水準が向上する中で、とりわけ食糧消費の多様化が進んでまいっておるわけでございます。穀物需要の形態が変化したことが大きな原因だと思うんです。議員御指摘のように、飼料用穀物を含めた現状の自給率は三○%でございますけれども、主食用穀物自給率では六八%でございます。しかし、基礎的食糧の確保の上からも、一定の自給率の維持はぜひ必要であると考えております。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、用地取得のための問題点についてでございます。
 最近の地価高騰や地権者の土地に対する権利意識の高揚などによりまして、用地取得が非常に困難になっている状況は十分認識してございます。近年、金銭補償にかえ、代替地を要求される事例が多く、さらに公図訂正に伴う登記事務の複雑化等、用地をめぐる諸問題については非常に厳しいものがございます。
 これに対応すべく用地担当職員につきましては日夜頑張っているところであり、これが解決の方策として、先般、庁内関係部局において公共用地取得促進対策委員会を発足させたところでございます。今後は、関係部局と密接な連係を保ちながら、人員の確保と事業の遂行を図ってまいりたいと存じます。
 次に、無謀な開発などを規制するため周辺住民の同意を得ることについてでございます。
 開発許可申請の審査に当たっては、関係部局の間で調整を図るともに、技術基準に基づき、申請者に対し計画内容について具体的に指導しているところでございます。
 議員御指摘の周辺住民の同意については、市街化調整区域において開発行為を行う場合、開発申請者に対し許可申請に先立って、隣接土地所有者、関係地元自治会に十分説明、調整を行い、同意を得るよう今後とも指導してまいります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 地価対策につきまして、規制区域指定と監視区域対象面積の引き下げと区域拡大についてお答えを申し上げます。
 地価の異常な高騰は、県民生活や公共事業等の実施にとりまして大きな影響を及ぼすものと認識をいたしているところでございます。そうした中で、まず規制区域の指定についてでございますが、今回の東京都を初め異常とも言うべき地価高騰においても、規制区域制度によることなく、まず監視区域制度により対応されているところでございます。本県といたしましても、今後とも規制区域制度をも十分認識しつつ、監視区域の厳正な適用を図りながら地価対策に臨んでまいりたいと考えてございます。
 また、監視区域制度における届け出対象面積の引き下げでございますが、過日、鈴木議員にもお答え申し上げましたように、監視区域に指定した地域については詳細調査や地価動向調査を実施いたしまして、地価動向や土地取引状況の把握に努めているところでございます。こうした調査結果を踏まえまして、今後、届け出対象面積の引き下げ等、時宜を失することなく的確な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、紀南地域の海岸沿いの監視区域の指定については、既に地価上昇の見られました田辺市、白浜町で昨年指定しているところでございますが、その他のプロジェクト関連地域等、地価上昇のおそれのある地域につきましては、今後もプロジェクトの進捗状況や地価動向等を見守りながら的確な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 稲作農業の展望、稲作をどうしようとするのかという御質問でございます。
 本県の稲作規模は一戸平均三十アールで、全国の六十四アールに対しまして大変規模が零細でございます。十アール当たりの生産コストは、全国平均よりも約四○%高くなってございます。稲作に依存する農業経営は至難なことと考えております。
 こうしたことから、消費者の良質米志向が高まる中で、うまい米づくり運動を推進する一方、恵まれた自然環境を巧みに利用し、地域の特色を生かした、稲作だけに頼らない水田農業の展開、確立に取り組んでいるところでございます。
 次に、かんきつ園地再編対策後の展望の問題でございます。
 この事業は、需給の均衡と産地の再編整備を図るために農家の自主性を尊重しながら実施をしているところでございまして、第一期の転換の実施率は温州ミカンで全体計画の四九%、中晩柑で六七%と順調に進んでおり、地域の特色を生かした落葉果樹の導入を初め、果樹、野菜、花の施設栽培など、収益性の高い経営への取り組みが見受けられているところでございます。
 議員御指摘の、二の舞にならないように、今後とも適地適産を基本とし、全国的な需給動向を勘案しながら、産地間競争の激化、国際化の進展に対処して、コストの低減や高品質生産を基本とした知識集約型農業の一層の推進を図るなど、生産者の積極的な取り組みを促しながら、関係団体と一体となって明るい展望を切り開いてまいりたいと存じてございます。
 次に、過疎化の振興、特に後継者問題でございます。
 農業後継者の減少は深刻な問題として受けとめておりまして、若者が農業に残れるような生産性の高い、魅力のある農業の確立を目指して、生産基盤の整備、地域の特色を生かした活力ある産地づくり、農村の生活環境の整備を図り、担い手養成の特別事業や就農相談活動、海外派遣研修、都市や地域の女子青年との交流会など生産と生活の両面にわたりまして、総合的な施策を市町村、また関係団体ともども積極的に推進し、後継者の確保とその定着に努めているところであります。
 今後とも、後継者育成のために、県農業大学校の充実や農業高校等、学校教育との連携を深めながら、農業に対する関心を高めるとともに、農村社会に対する理解を深めて農業後継者対策に取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、紀の川用水の問題についてでございます。
 おおむねにつきましては、さきの岸本議員の御質問に知事が御答弁を申し上げたとおりでございます。
 土地改良負担金総合償還対策事業、これは平成二年度から五カ年で一千億円の資金を造成して、この資金の活用によりまして負担金の償還が困難な地域について助成措置を講ずることとなってございます。対象地域は、ピーク時の年償還額が十アール当たり三万円以上、または農家一戸当たりが二十万円以上の地区となってございます。現在、採択要件や特認措置の適用条件等々について、その制度の運用事項について国において検討をいたしておるところでございます。
 なお、紀の川用水土地改良事業のうち和歌山市山口西地区の団体営の事業についてお尋ねでございますが、昭和六十三年度から総事業費二億三千七百万円で総延長二千二百メートルを実施いたしております。平成二年度末で五○%の進捗率となる予定でございまして、地元の強い要望もございますので、平成四年度末に完了できるよう鋭意努力をしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましてので、再質問をさせていただきます。
 特に質問申し上げましたように、本年度の県予算案の執行という問題が非常に重要であるし、その中でも土地高騰というのは大変深刻な事態になっていると思うわけであります。知事もそのように答弁しておられましたが。
 私は、こういった予算化の問題ともあわせながら、私が得た資料で若干見てみますと、ことしの二月から三月、和歌山市の杉ノ馬場、ここは宅地で商業地でありますけれども、坪単価が千六百五十万円です。市駅の周辺であります。また、吉田の祓戸というところ、これも商業地で更地になりまして一千万円。九○年の二月であります。吉礼におきましては、これは調整区域でありますが、八十万円。さらには小雑賀、これは現在、農地で準工業地でありますけれども、百万円。こういうような形で、売買の実例を見てみますと大変な状況であります。
 私、去年とことしの問題も調べてみましたけれども、これらの事態については時間的な問題もあるので略します。しかし同時に、このような中で業者間においてどういったような実態が出ておるかと言いますと、例えば東洋台においては、今まで坪四十から五十万円であったのが今百五十万円。岩出の紀泉台でも県が分譲した当時は約十六万円、それが去年の三月で二十万円、ことしはもう百五十万円になっている。六十谷のニュータウンにおきましても、昨年六月で二十八万円のところが今八十万円から百万円。日によって違うわけであります。だから値がつけられないというのが現状であります。和歌山県の建設業者の中では、とにかく商業地は値段がつけられないと言われています。大阪業者の間では、大体、商業地は三千万、宅地が三百万、こういうようなところが天として来るんじゃないだろうかというようなことまで言われている状態であります。
 そういったような状況でありますので、先ほど知事からも答弁をいただきましたけれども、こういう現状の中で県の事業をやっていく場合、非常に深刻さを通り越した状況だと思うわけであります。
 この点で、予算実施の上でどのようにしていくのか。支障を来さないのか来すのか。来さないということを知事も言っておられましたが、私は用地の先行取得であるとか、国の土地あるいはまた公共用地については安い値段でこれを取得するということが大事じゃないかと思うわけであります。
 それともう一つは、先ほど大江議員も言っておられましたけれども、代替地の問題です。
 この代替地の問題につきましても、こうした安い土地を確保していくということが非常に重要だと思います。この点は知事から答弁をいただきましたけれども、これらの問題については恐らく大変深刻な事態が来ると思います。そういう点については、十分な態勢をもってこうした土地の値上がりの問題については直ちに手を打っていくことが大事だと思いますので、この点は要望として申し上げておきたいと思います。
 二つ目に、実効ある措置の問題であります。
 実効ある措置の問題ということで私申し上げましたけれども、一体、実効ある措置というのはどういうことなのか。これは、「総合的な対策」だという答弁がありました。私は、この問題につきましても、例えば土地規制の問題についてどうであるとか、金融機関による大手不動産会社などへの融資の規制とか、あるいは悪質地上げ業者の取り締まりの問題、こういった例を挙げてまいりました。知事の言う「総合的な対策」という中の一部かもわかりませんが、知事から具体的にこのような事態について一体どのようにするのかということについてもう少し答弁をいただきたい、このように思うわけでございます。
 それから、監視区域の問題であります。
 私は、こういったような土地の規制を行うべきだと、規制地域の指定ということを言いました。これは国土利用計画法に基づく問題であって国との関係でありますが、これについても積極的に県の方から強力な要請をしていくということがないと、国の問題だということで放置をしておってはならないと思うわけであります。歴史的にも国土庁がこの問題について首を縦に振らなかったというようなことがありますけれども、ぜひこういったような実情について強力に国に対する働きかけも行っていただきたい。これも、要望として申し上げておきます。
 次に農業問題で、輸入自由化問題について申し上げます。
 知事も輸入自由化反対を表明されました。以前からもそのような態度でありますけれども。
 このような点から非常に心配なのは、政府や自民党がグレープフルーツの自由化に当たってアメリカとの合意をひた隠しにしてきたこと、そして自由化はしないという公約を掲げて六九年の総選挙、それから七一年の参議院選挙を行ったわけでありますけれども、この参議院選挙の投票の三日前に自由化を強行したという歴史的経過があるということでございます。また、一九八八年──一昨年の牛乳、オレンジの輸入自由化の際にも、ちょうど四月に行われた参議院の佐賀県の補欠選挙で、当時の竹下首相が県下の農協組合長あてに檄を飛ばしながら、選挙後の六月には自由化を強行している。
 最初の質問でも述べましたけれども、一九八三年、中曽根・レーガン会談での合意に基づいて設置された日米諮問委員会が一九八四年に発表いたしました最終報告書では、米、大麦、小麦などは広大な農地規模を必要とするとして、平均一ヘクタール程度の農地規模の日本では米の生産を事実上やめるよう提唱しているという事実があるのであります。
 知事、私の質問はこうした根拠の上に行ったものでありますので、そういった点を踏まえながら、この輸入自由化反対の問題については一番最初に質問申し上げたヒルズ国務長官と政府当局との会談という現実もありますし、具体的にこの反対の立場をどうすべきと考えられているのか。例えば、知事会議で国会決議をするように要請するとか、あるいは国の基本方針として明確にするよう政府と国会に要請をするとか、そういったような点、具体的な反対の内容についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。
 私は、こういったようなことは県の段階でもできるんじゃないかと思います。今年度の農林水産予算は四百五十七億でありますが、松下興産一社のためにほぼこれに匹敵するような四百二十二億円という金を支出されておる。「エンジンを始動させる」ということを知事は冒頭の説明で言われましたけれども、県民生活に密着した道路や交通、教育、ここにこそ力を注がなければならないのではないかと考えますので、こういった点についてもぜひひとつ知事の見解をお聞かせいただきたい。
 以上で、私の再質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 国の土地対策に対する積極的な提言等といった対応の問題でございます。
 さきに私も申し上げたわけでございますけれども、我々が公共用地を推進する場合、一番の問題点は土地収用法をもう少し改正してほしいということでございます。日本の土地収用法は世界の中でも一番難しいのではないかと思います。だから、これを早期にできるような形にもう少しすべきじゃないかという感じがするわけでございます。これについては、我々地方団体としては是が非でも第一にやってほしいと思います。
 次に、土地税制の問題が言われておるわけでございます。国際的な土地税制の中で日本の税制がいかにあるべきか。話ございましたように、土地問題が一番の緊急な政治課題だと思うんです。だから、こうした問題について具体的な形を考えていただきたい。
 また、金融における取り扱いに関して監視の問題もございます。そしてまた、宅地供給を促進する方法を考えていただくということ。さらに、土地を開発した場合の開発利益の還元の問題。そしてもっと大事な問題は、土地に対する意識の改革について国全体として考えていただかなければならないんではないかと思います。私有権絶対という問題をどの程度まで考えるべきかと、使用権との問題で。これは、国民意識の問題として全般的に国会等において検討すべき問題ではないかと、こうしたことについても意見を述べさせていただきたいと思っております。
 それから、米の具体的な反対の問題についでございます。
 米の問題は、私は国政で論ずべき問題だと思います。さきに、反対決議を議会でもやっております。それに基づいて、知事としても反対を表明しております。国政の分野において十分検討すべき問題だと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 簡単に申し上げます。
 知事、国政の問題ではありますけれども、そういったところへ県内の農業の実情を十分に反映していくといことがやっぱり国政の中でそういったような実現を推し進めていく重要な柱だと思いますので、その点を要望しておきます。
 同時にまた土木部長──土木部長だけではなく県全体の問題でありますけれども、用地の取得というのは点買いではだめなんです。やっぱり面を買っていくという、そういう点も十分に考えてもらいたい。
 以上で、再々質問を終わります。要望です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
 ──────────────────────
 午後一時七分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
28番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 大変長らくお待たせをいたしました。予定どおり質問をでき得ますことを御礼申し上げます。ありがとうございました。お許しを得ましたので、通告順に従って一般質問を行いたいと存じます。
 最初に、有田市の東部地域の開発についてお伺いをいたします。
 有田市の歴史は、縄文式時代にさかのぼることができます。市内に存在する縄文時代中期の遺跡がその歴史を物語っています。「有田」という地名が初めて史実に登場したのは「日本書紀」の「紀伊国阿提郡」として紹介されたのに始まり、その後、「日本後紀」では「紀伊国在田郡」となり、この地名が江戸時代まで使われ、明治に入って現在の「有田」になったと言われています。
 一方、この地域が形成されたのは中世時代で、宮崎、保田、糸我、宮原及び椒の五荘が形づくられ、平安時代に地方豪族によって荘園として治められたと言われています。また、この地方が一躍盛況を来すに至ったのはこの時代で、「蟻の熊野詣」と言われた庶民の熊野参詣の影響が大きかったと思われます。
 このほか、西暦一四○○年から一五八五年までの約百八十年間、畠山一族が栄華を誇った岩室城跡、県の文化財に指定をされ、夏の風物詩として観光客に親しまれているウ飼い、四百年もの歴史を誇る全国一のミカン園等々、数々の伝統と文化を守り続けてきた地方でもあります。
 特に近年、保田、糸我、宮原の東部地域は住宅地として有田市の西部より、市外からの人口流入が顕著であります。関西国際空港の開港とともに、当地も空港周辺への通勤圏としてその位置づけが極めて重要と考えるのであります。そして今、有田市の町づくりの柱として市民から熱望され、有田市の将来をかけ取り組んでいる男浦の埋立事業が着々と促進されております。関西国際空港の開港、マリーナシティの完成に向けて、リゾート、観光の一大拠点として是が非でもやり遂げなければならないプロジェクトでもあります。こうした状況を御理解の上、質問を進めていきたいと存じます。
 道路交通網についてお伺いをいたします。
 まず、国道昇格の問題であります。
 現在、候補路線の調査を進められていると聞きます。その基本的な考え方と調査方法についてお聞かせをいただきたいと思います。また、今後の取り組みについて知事の御所見をお伺いするものであります。
 御承知のとおり、有田市の中央部には母なる清流有田川が東西に流れております。この有田川の南北に通ずる道路網は、下流から申し上げますと有田大橋、安蹄橋、保田橋、宮原橋の四本の橋がかけられておりますが、保田橋、宮原橋は昭和二十八年大水害後、昭和三十一年、三十四年にそれぞれ架設されたもので、老朽化も進み、また幅員も狭いため通行規制等もあり、大型車の通行が不能に近く、国道四十二号線と県道有田高野線の連絡に支障を来している実情であります。
 有田市の東部地域は、平野部が開け、住宅開発が進み、ふるさとの川モデル事業に係る周辺地域整備構想の中で地域の将来の交通需要を勘案するとき、また将来予想される西部地域への観光、リゾート地へのアクセス道路の確立を考えますとき、保田橋、宮原橋の中間において幹線道路を連絡する新橋の架設は欠くことのできないものであります。昭和六十二年十二月定例議会でもこの点について質問を申し上げましたが、再度、土木部長の御見解をお伺い申し上げます。
 続いて、ふるさとの川モデル事業についてお伺いをいたします。
 有田川の治水面、改修工事、河川敷の有効利用については県当局の多大の御尽力をいただいておるところでございますが、有田地方の観光の柱として忘れてはならない一つにウ飼いがあります。
 大正十五年以来、宮原町の人々の血のにじむような御努力によって今日までその伝統が受け継がれてきたのであります。全国に誇れる貴重な文化財を守り、育てる努力を惜しみなく続けていかねばなりません。関西国際空港の開港、高速道路の紀南延伸のインパクトを有田地方に向けるためにも、極めて重要な産業であります。現状では、まだまだその環境整備が十分とは言えません。また、有田市の地理的条件、現在の地価高騰の状況を考えますとき、市民が熱望しているスポーツ広場、公園等の実現はますます困難をきわめています。流域住民にとりまして、有田川の水辺空間の整備は待望久しい事業でもあるわけであります。
 こうした状況の中で、昭和六十二年十二月に全国千二百河川のうち三十九河川が事業指定を受け、三十九河川の一つに有田川が参画でき得ましたことは知事初め県当局の皆様方の御尽力のたまものと、厚く御礼を申し上げる次第であります。その後、県、市それぞれの検討委員会において幾度となく議論がなされ、検討が重ねられ、ほぼその青写真ができ上がったと聞き及んでいますが、事業認可に向けての現状と見通し、事業着手に当たっての県当局の考え方をお示しいただきたいと思います。
 続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
 一昨年の自由化決定以来、果樹農家は農政への不信と将来への不安を抱きながら、営々として築き上げてきたみずからの園地をみずからの手で、まさに体が切り刻まれる思いで再編対策に取り組んでまいりました。廃園を余儀なくされた人々、手探りで他作物に転換した人々、歯を食いしばって生産活動を続ける人々、その姿はさまざまであります。今、果樹農政は、一つの時代の終えんを迎えたのであります。同時に、新しい戦いが始まったのであります。需給バランスが確立されたから、すべてが解決したということにはなりません。言いかえれば、失われつつある農政への信頼を取り戻せるのは今しかないと思うのであります。農家が何を必要としているのか、農家に必要なのは何なのかを正確に把握し、政治に、行政に反映をしていかねばなりません。今までの農政の流れは、国が制度化し、その制度の流れに地方が乗ってきた、また乗らざるを得なかったのであります。これからは、地方を支えている私たちが行動を起こし、実践し、私たち自身がみずからの考えをただし、農政をつくり上げていかねばならないときではないでしょうか。
 平成元年度の本県のミカン販売実績を見てみますと、県農扱いで平成二年一月二十九日現在、県全体で約十万八千トンとなっています。数量は生産調整のため当然減少しておりますが、金額的には約百七十一億円であり、昨年同期に比べ三十五億円増加し、その比率は二五・七%上昇しています。単価も、キログラム当たり昨年同期の百二十円から百五十八円と、好実績を上げています。また味一ミカンの実績は、生産量は平成元年十二月二十日現在四百八十六トン、販売単価はキログラム当たり三百十三円と、かつてなかった高値で終始しています。味一ミカン以外の一般品の価格も、昭和五十九年の二百円以来百七十八円と、近年にない価格となっています。
 平成元年度の最も大きな収穫は、味一ミカンという和歌山県のブランド商品が確立されたことであります。特に、今まで市場的に弱かった東京市場へPRできたことであります。東京での高級果物店では、一山幾らから一個幾ら、高いときでは一個二百円前後で店頭販売されている現状であります。明らかに、ミカン一個の付加価値を高めることがいかに大切なことであるかの証明でもあると思います。品質のよいミカンとそうでないミカンの価格が二極分化された時代は過去の時代となりつつあります。全国の生産調整がさらに進み、品質のよいミカンでなければ価格のつかない時代、価格面でも一極集中時代を迎えたのではないでしょうか。
 平成元年産の顕著な傾向は、もう一点あります。それは、消費者の志向の偏りであります。おくてミカンよりもわせ、なかてミカンの方が好まれる傾向であります。本年の実績と反省を踏まえ、有田地方では高品質ミカンを生産できる優良園をふやすべく、一つの方向性を見出しました。日本一有田ミカンを目指す運動推進委員会を中心に展開をされております。おくてミカンから、わせ、なかてへの移行等、品種統一へ向けての改植の実施、五十万本間伐推進で密植園をなくそう等々、ミカン王国再興をかけ、立ち上がったのであります。
 私たち、政治、行政に課せられた課題は、農業を、農家を進むべき方向に導き、その実践を促進することにあります。今、ミカン農業の重要課題は、消費者ニーズに合った高品質商品の安定的生産と供給、それに向けての品種の統一、生産のための技術革新、流通革命、消費PRであります。
 そこで、知事にお伺いを申し上げます。
 再編対策後の果樹農政のあり方、いわゆるポスト再編対策をどう展開されるお考えなのか、その政策についてお伺いをいたします。
 また、平成二年度当初予算においてどう対応されているのか、具体的方策について農林水産部長にお伺いをするものであります。
 平成二年度の当初予算の中に、近畿バイオセミナー IN WAKAYAMAの開催が組まれております。近畿地域におけるバイオテクノロジー関係者が一堂に会し、日ごろの研究成果や実用普及手法等について情報の交換や連携の強化を図ることを目的に実施されるようでありますが、まことに意義のあることであろうかと存じます。
 しかし、今、和歌山県の農家が最も不足し、熱望しているものは情報そのものであります。情報化社会の急激な進展の中で、あらゆる企業活動、経営活動が成功をおさめるかそうでないかは、いかに早く多くの正しい情報をフィードバックし、活用するかにあると言っても過言ではありません。農業においても例外ではありません。取り組むべき課題は山積をしております。消費者の志向はどうなのか、若い人たちの考えは、婦人層はどうか、何をつくるべきなのか、生産技術をどうするのか、販売戦略のあり方は、PR活動の方法は等々、枚挙にいとまがありません。産地間競争はますます激しくなり、加えて国際競争力をつけていかねばならないときであります。関西国際空港の開港とともに多くの情報が入り、また出ていくわけです。
 本県は農業県であることは、だれもが認めるところであります。しかし、農業分野における本県の情報能力を見るとき、まだまだの感があります。もちろん、県農業試験場においても、果樹試験場においても取り組まれていることは十分承知しています。その御努力には敬意を表する次第であります。
 しかし、これからの農業は、国際的な視野に立ち、技術面においてもハード面、ソフト面の広範囲にわたった先端技術を導入し、その開発をしなければ、本県の農業のあるべき姿を農家、農民に対して示唆し得ないと思うのであります。農政の果たすべき最大の役割は、あすを展望できる農業ビジョンの確立であります。その意味においても、レベルの高い最先端の情報を収集し、正しい分析を行うことが極めて大切なことであります。農業分野での情報収集、情報分析のための中核的役割を果たす機関、施設と人材の育成が必要と考えます。
 そこで、農家への高度な情報提供のための基本的な施策をどう考えられ、具体的にどう取り組まれているのか、お伺いをいたします。
 また、国立研究施設、研究機関と本県との人事交流に取り組まれていると思いますが、その実態についてお伺いをいたします。
 次に、農協の合併問題についてお伺いをいたします。
 農協の問題について議論をする前に、現在の日本の農業、農村が置かれている現状を整理してみたいと思います。
 まず、農業をめぐる問題では、国際的には環境問題が挙げられます。地球の温暖化現象がそれであります。地球的規模での大気汚染により、温室効果ガスの増加がこのまま続くと、地球の気温は現在より一・五度から三・五度まで上昇すると言われております。FAO(国連食糧農業機関)がまとめたところによりますと、西暦二○○○年には開発途上国の穀物は一億一千万トン不足し、二億五千万人から五億三千万人が飢餓線上をさまよう予測をしております。
 次に、食糧安全保障の問題であります。我が国は、世界の中で食糧輸入大国として農産物貿易に大きく貢献をしてまいりました。一九八八年の農産物の総輸入量は二百七十四億ドルで、前年比三○・一%と、史上最高の水準となっています。そして今、ウルグアイラウンドの農業交渉が山場を迎えようとしています。本年十二月を交渉期限として完全自由化を目指すアメリカ、一定の保護を前提にするEC諸国、そして食糧安全保障を主張する日本とが激しく対立するのは必至であります。言いかえれば、日本の農業基盤の存続が問われる局面を迎えていると言っても過言ではありません。
 次に、農村社会そのものの問題であります。平成元年一月現在の農業人口は千八百九十七万人で、うち六十五歳以上の高齢者は三百六十四万人であり、全体の一九・二%を占めています。この数字を見る限りでも、農家、農村がいかに高齢者を抱えているかを物語っています。こうした状況は今後も急速に進行することが予想され、農業の働き手の減少とともに高齢化が進み、生産力の停滞を招き、農地が荒廃し、後継者問題がますます深刻化します。こうした状況下、農協の存在そのものの意義を考えますとき、その責務は極めて重大なものであろうと存じます。
 もちろん、農家組合員の農協離れ現象が進んでいること、都市化、市街化地域の農協における正組合員と準組合員の逆転現象や農協無用論が現実に議論されていることも事実であります。農協の本質を語るには、この事実は避けて通れないことでもあります。
 今、農協の現状を振り返るとき、大きな課題は二点あると思います。それは、外的要因と内的要因とに分かれます。
 まず外的要因は、三つの自由化が挙げられます。第一は、農産物の自由化であります。当然、農家は、付加価値の高い農産物を生産するとともに、それに伴う高度な技術を身につけなければなりません。
 第二は、金融の自由化であります。スーパーMMC等に見られるように、高金利商品、自由金利商品の競争が激化し、業務の規制緩和は、銀行と保険会社、証券会社との垣根をますます低くさせる結果となっています。そして、金融機関の大型合併による再編も急進展しています。農協運営の大半を信用事業に頼っている現状では、農協の形態そのものが危ぶまれようとしています。
 第三は、流通の自由化であります。大店法の規制緩和で大型スーパー、大手商社との競合は避けられない現状であり、産地直売や無店舗販売の促進を強力に進めていかねばなりません。こうした外的な要因により、農協の運営が一段と困難をきわめています。
 続いて、内的要因であります。農協の存立基盤でもある組織そのものの問題であります。
 農協法では、農協の社会的役割は、農業生産力の増進と地域農業の振興、そして農民の経済的、社会的地位の向上とあります。これが農協が存在する意義であり理念であることは、今さら言うまでもありません。しかし、農協法が制定された時代と今日の時代とでは、経済的にも社会的にも生産環境、生活環境がそれぞれ著しく変化しております。農協がスタートした時代は正組合員を家長的にとらえ、一家族、一組合員を旨としてきました。今なお、その形態は実質ほとんど変わらず、その結果、組合員の高齢化が進み、加えて農協離れ、農協無関心派を増加させることになったと思うのであります。このことが、農協役員の高齢化現象をもたらし、環境変化に対応した農協運動の活性化や意識革命をおくらせ、世代交代がなされない最大要因になっているのではないでしょうか。そして、特に都市化され市街化された農村地域では、農地が宅地化され、地域全体が開発され、農村社会の仕組みが大きく変貌し、その混住化とともに、農協組合員の構成も設立当時とはかけ離れた状況下に置かれているのであります。今、農協は、経済の急速な発展により、農村社会の急激な変化に対応し切れないまま今日に至ってきたと思うのであります。今日の農協を分類してみますと、三つに分けることができます。
 都市化され、市街化され、ほとんど農業の振興をよりどころにできない農協。この型の農協の経営内容は、ほとんど信用組合との区別がつかないほど、その形態は類似しています。一つは農村社会と都市化された地域が混在している農協、一つは純農村地域で過疎化現象と戦っている農協であります。以上から、今日の農協の姿は設立当時と全くその姿を変えて存在しているのであります。
 しかし、農協法という法律に守られ、規定され、社会的にも極めて責務の重い組織であることはだれもが認めるところであります。これからの農協の責務は、地域農業の振興と農家の経済的、社会的地位の向上という大原則のみならず、地域社会に根差した新しい農協運動を展開することにあります。そのためには、農協組織が今最優先に取り組むべきことは、みずからの組織の再構築と組合員が自主的に参加できるシステムづくりであります。慣習化された役員選出方法から脱皮し、もっと民主化しなければなりません。若い人材を確保し、組織化しなければなりません。農協の職場そのものを活力あるものにしなければなりません。文化、教育活動を通じて、地域社会との触れ合いの場をつくっていかねばなりません。子供からお年寄りまで、家族ぐるみ、地位ぐるみで参加できる農協組織の確立こそが唯一残された道であるのではないでしょうか。
 今、全国の農協系統組織挙げて取り組んでいる事業に農協合併があります。二十一世紀を展望する農協の基本戦略が決議され、二十一世紀までに一千農協を目指す推進目標を掲げ、運動を展開することとされております。合併によって、地域の農業を組織的、計画的に振興していくために、農協の機能を強め、組合員の営農活動、生活、文化活動に関する期待にこたえるための事業機能を強め、農協の規模をそろえることによって系統農協全体の事業の効率化を促進し、将来にわたり事業活動が安定して行えるよう経営基盤を強くすることを目指しています。
 具体的には、営農指導体制を専門化し、そのことによって農産物の品質、規格の統一、一元集荷等が実施され、有利な販売が可能となる。また、共同育苗施設、選果施設など、小規模農協では難しかった農業施設の設置が可能となり、生産、流通の合理化が図られる等々のメリットがあるとしています。本県も、県下八農協構想を目指し、県農協中央会を中心に取り組んでいます。
 農産物の自由化、金融の自由化、流通の自由化の吹き荒れるあらしの中で、農協の機能を整備し、拡大し、高度化を目指さなければならないのは確かであります。しかし、やみくもに規模のみを拡大する方法をとるのではなしに、あくまでも組合員を中心に、地域の特性を生かし、農協の独自性を発揮できる合併でなければなりません。農協の広域合併は、本県の農業振興の面でも、また社会的にも大きな影響を持つ大切な事業であります。もちろん、系統組織の責任において進めていくべき課題ではありますが、行政当局もその指導的立場から参画をしていくべきであろうと考えます。
 農協の将来のあるべき姿を知事はどうお考えになるのか、また農協合併のあり方についてどのように行政指導されるのか、農林水産部長にお伺いをするものであります。
 以上で、第一回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 第一点の問題は、国道の昇格の問題でございます。国道の昇格についての今後の対応と取り組みについてでございます。
 本県においても、有田高野線初め国道昇格を国に陳情しておるわけでございますけれども、現在、全国で一万キロメートルの要望が出されておるような状況でございまして、非常に厳しい状況であるということを聞いておるわけでございます。昨年の十一月から国も調査を進めておるわけでございますけれども、その調査の進展を見きわめながら、国道昇格について積極的に努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、農業問題でございます。
 再編対策後の今後の農業の政策でございます。
 再編対策は、オレンジ・果汁の自由化に対応いたしまして、一昨年から需給の均衡と産地の再編整備を図るために現在実施しておるわけでございまして、県下各地において意欲ある農家を中心にして、地域の特性を生かした果樹への転換を初め、果樹、野菜、花の施設化など、収益性の高い経営に取り組んでおるのが見受けられるわけでございます。
 中でも有田地方では、味一など高品質ミカンの生産拡大を中心にして産地の強化が図られるとともに、バラやカーネーションなどの花卉部門への施設化が進むなど、新しい動きが出ている現況でございます。こうした動きを大切にいたしながら、今後とも地域の特性を生かした農業の推進をしていくこと、紀の川筋は紀の川筋としての農業の生き方、有田は有田、日高は日高、そうした本県の農業の進むべき方向を考えてございまして、なお一層そうした方面に向かって推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、農協の将来のあるべき姿についてでございます。
 上野山議員が、現在置かれておる農業の国際的な立場、そしてまた社会的な立場、経済的な立場と、農業の現実の姿を分析していただいたのでございまして、そうした中での農業をいかにやっていくべきかということが一番重大な問題だと思うんです。
 農協が現在まで社会的、経済的な地位の向上を目指して進んでまいった役割は、非常に大きな効果があったと思います。しかし、話ございましたように、国際化の波、金融化の波、自由化の波、そうした農業を取り巻く環境が変転する中で、農協自体も多様化せざるを得ない現実に立ち至っていることは事実でございます。こうした中でいかに活路を開くべきか、これは極めて重要なことであると考えておるわけでございます。農協自体もこれを真剣に受けとめまして、二十一世紀を展望する農協の基本戦略を策定し、組織を挙げて現在検討を進めておるのが現状でございます。
 こうした中で農協というものは、本来の趣旨である農家から信頼される農協、そしてまた農業者の立場に立った農協を基本にして、時代に対応した営農指導について、農協本来の事業活動になお一層積極的に取り組んでいただいて、話ございましたように、その地域地域に密着した個性のある農協、場所場所によっても、純農業的な地域、過疎地域、また市街化地域等いろいろな農協があるわけでございます。そうした農協本来の結びついた形においてのあり方を考えるべきじゃないか、そしてまたそうした面において合併問題も真剣に取り組んでいくべきじゃないかと考えておるところでございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 国道昇格の基本的な考え方はまだ国より明確にされておりませんが、現在、国においては幹線道路網の全体のあり方の検討も含め、高規格幹線道路網との調整、国道ネットワークの再編成等を行う必要があり、これらの作業を経て第十次道路整備五箇年計画期間内──これは昭和六十三年度から平成四年度まででございますが──に昇格路線を選定する予定と聞いております。
 調査の方法につきましては、建設省の依頼に基づいて前回の昇格国道の整備状況、今回の昇格要望路線の道路現況、経過地、通過市町村の人口及び面積等、基礎資料の収集及び整理を行っているところであります。
 次に、新橋の架設についてでございますが、有田市は、市のほぼ中央を東西に流れる有田川によって南北に分断された地形となっており、有田市の道路網を考えるとき、有田川にかかる橋梁は非常に重要なものであります。
 現在、有田市内約九キロメートルの間には、国道、県道の橋梁が四橋ありますが、いずれの橋梁も老朽化の状況については構造的に安全であると判断しております。
 このうち宮原橋は、橋梁上に三カ所の待避所を設け、大型車両の通行の便を図るとともに、歩道添架もなされておりますが、保田大橋については大型車の通行規制が行われており、また宮原橋についても自動車交通の増加や車両の大型化等には対応できないことも考えられますので、御質問の架橋につきましては、今後、周辺地域の開発の進展状況や交通の状況を見守りながら、適切な検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、ふるさとの川モデル事業についてでございます。
 御承知のとおり、ふるさとの川モデル事業とは、市町村にとって町の顔として誇れる河川で、周辺の自然的、社会的、歴史的環境の中で、良好な水辺形成を治水対策の一環として、市町村が行う区画整理や公園整備等の町づくりと一体となって川づくりを行う事業でございます。
 本県では、昭和六十二年十二月に有田川がこの趣旨に該当するものとしてモデル河川の指定を受け、その後、各分野より成る検討委員会での協議を経て、平成元年度で計画づくりの作業がほぼ完了しております。この計画に基づきまして、平成二年度当初に建設省の認定を受けるべく作業を進めているところでございます。整備計画が認定されれば、低水護岸の一環として、有田地方の観光の柱となっているウ飼いの船着き場等の整備を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 平成二年度の、特に果樹振興に対する県の具体的な方策の問題でございます。
 オレンジの自由化を来年に控えまして、かんきつ園地再編対策の最終年度でもございますので、高品質、低コスト生産を基本として産地の体質強化をさらに積極的に行う必要がございます。
 端的に申し上げますと、生産コストを下げ、品質を高め、年間を通して出荷できるような周年供給の産地づくりが必要でございます。このため、生産基盤の整備、流通施設の整備、優良品質系統への更新、地域特産果樹の産地化、都市の消費者と農村の交流触れ合い事業等々に取り組むことといたしてございます。
 さらに、新技術の開発においては、六十三年度から実施いたしております近赤外線利用による味の自動選別機の開発促進、ミカンの結果期を早める早期成園化の技術確立、また多様化する消費者ニーズに対応した流通戦略の展開に向けて生産者団体と一体となって取り組むなど、国際化時代の産地間競争に打ちかつ果樹振興対策を行ってまいる所存でございます。
 次に、高度な情報収集、農家への情報提供の具体的な方策の問題でございます。
 技術開発や情報収集により得られた貴重な成果は、速やかに農業改良普及所や農業協同組合等を通じ、技術研修会、産地での実証展示、テレホンサービスなどあらゆる手段を用いて技術情報の伝達を行っているところでございます。今後とも、幅広い情報の収集と伝達を図り、その成果が農業経営に生かされるよう、生産者団体ともども情報システムの充実強化に努めてまいる所存でございます。
 国立研究機関、研究施設と本県との人事交流の実態の問題でございます。
 これまでも、農業試験場及び果樹園芸試験場から筑波研究学園都市に設置されている国立の農業研究センターや野菜試験場などへ毎年、職員を長期に派遣をいたしまして、バイオテクノロジー技術、ウイルス病無毒化対策技術等々、大変高度な技術の習得と情報の収集に努め、他府県にも劣らない成果をおさめていると信じてございます。さらに、的確な情報を得るために、全国レベルの園芸学会、技術交換会など、機会あるごとに参加をして技術交流に努めるとともに、国際的な情報把握のために米国等、海外調査研修も行ってございます。また、農産物加工研究所等の団体においても、研究会等を通じ、流通、加工等の新技術開発、情報の入手に鋭意努力しているところでございます。
 次に、農協合併に対する行政指導の問題でございます。
 議員御指摘のとおり、農協合併は全国的な認識の高まりとともに、組合規模格差の是正と質的な転換、また地域ごとの特色ある農協活動など、組合員の期待と信頼にこたえるための合併でなければならないと考えております。
 県といたしましては、県農協中央会が設置しております農協合併推進本部や各地方の地区推進協議会の委員として参画をいたしておりまして、広域的営農指導体制を確立するために財務健全化対策事業を通じて指導、助言をいたしておるところでございます。今後も、変動する社会情勢、流通問題等をも含め、組合員の意向と農協の自主性、合併決議の趣旨などを十分尊重しながら、将来を展望しつつ積極的に支援をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番上野山親主君。
○上野山親主君 御答弁ありがとうございました。
 一点要望と、一点、もう一度質問をさせていただきたいと思います。
 今、ポスト再編対策について知事から御答弁をいただきましたが、知事の御認識も将来のビジョンに向かって取り組んでいかれるということでございます。
 ただ一つ、再編対策の後どうするのかという問題の中にいろいろあろうかと思いますが、今まで国の方針は、生産調整のために、あるいは需給バランスを確立するために、ミカンからミカンへという制度は余り積極的に取り組んでくれなかった。しかし、これから再編整備がなされた後は、特に和歌山県のミカン産地はミカンからミカンへという制度を国につくってもらわないといけない。今、県で取り組んでいただいているところでありますけれども、もっともっと大規模な政策を打っていかねばならないと思います。
 そういう考え方のもとにこれから知事にお願いをしておきたいんですが、全国みかん生産府県知事会議の中で今までも取り組んでいただいているとは思いますが、特にことし、来年にかけては自由化に対しての一番の山場でもあります、ミカンからミカンへの制度、切りかえる制度、例えば改植事業あるいは間伐事業、そういったものに対する国の制度を知事会議の中で検討していただく、制度そのものも会議の中で検討していただきたいと思います。ただ制度をつくってくれということじゃなしに、現場に合った制度をつくっていただいて国の方に要望していただきたい。そういう活動を知事に強く要望しておきたいと思います。
 それから、情報収集の問題でございます。
 私がこの質問をするときに、当局の皆さん方といろいろお話をさせてもらったんですけれども、部長から御答弁いただいたように、今、県で真剣に取り組んでいただいておりますのは評価もできますし、それはよく理解できるんですけれども、私の質問の中で申し上げましたように、これからまだまだ国際的な視野の中で農業のビジョンをつくっていかなければならないということでもございますので、もっとレベルの高いものを求めていただきたいと思います。
 残念ながら、当局の人とお話をさせてもらっている中では、そういう話は一向に出てまいりませんでした。あげくの果てに、私の質問が企画部へ飛んだり、教育委員会にまで波及をしたという経過がありました──前農林部長が今教育長をやられていますので、そういうことで飛んだんかどうかはわかりませんけれども。取り組む姿勢、認識がちょっと低いんじゃないか、そのように考えます。どうか、これからもっともっとレベルの高いものを求めていっていただきたい。そうするために、農業の情報においてもっと高度なものを農家に広く与えていく必要があるんではないだろうか。
 こういう観点に立って、今、農林水産部長御自身の取り組むべき姿勢といいますか、この点について御見解をひとつお聞きしておきたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 産業構造が大きく、高度に国際化の中で変革をしております。情報収集、しかも高度な技術を含めた情報収集がいかに大事であるかということについて言をまたないし、議員のおっしゃるとおりでございます。
 我々といたしましては、現時点で組織を挙げて一生懸命にやっているつもりでございますが、特に自由化を来年に控えて、農業の国際化、しかも産業として、企業としての農業の時代を迎えてまいったわけでございます。肝に銘じて、新しい情報収集のために万全を期するべく、関係機関とも十分検討を進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、上野山親主君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 これより数点についてお伺いをいたしますので、知事または関係部長からお答えをいただきたいと思います。
 初めに、平成二年度予算についてであります。
 平成二年度の一般会計当初予算は総額四千二百二十八億円、対前年度八・九%増と、最近では例を見ない積極的な予算であり、新年度にかける知事の並み並みならぬ意欲が感じられるところであります。それは、新しい時代に向けて我が和歌山が一層飛躍するために、企業誘致、観光、リゾートを初めとして本県の活性化につながる諸事業はもちろんのこと、福祉や教育の面においても積極的に取り組んでいこうとするあらわれだと思います。しかし、これら諸事業を支える財政状況については、自主財源の水準はいまだ十分ではないが、県税収入の伸びがかなりの復調過程になり、徐々にではあるがそのシェアも拡大してきていることは幸いであります。
 一方、本県の市町村財政についても、県にも増して厳しい状況にあるということですが、真に活力あるふるさと和歌山を建設するためには県と市町村が車の両輪となって取り組んでいくことが重要であるということで、このたび五億円に上る市町村負担金の軽減、さらに市町村の地域振興事業に対するさきがけ支援事業の導入などを図られたことは、長年の懸案に対する大変な配慮をなされたものと思います。その知事の努力に対しては、改めて敬意を表する次第であります。
 さて、平成二年度における重要事業については、知事説明にも述べられておりますが、関西国際空港の建設も着々と進行する中で、県内各地において企業が立地し、また府県間の交通も整備促進され、紀淡海峡トンネル、そしてこれに関連して本年秋ごろに本県において第二国土軸シンポジウムを開催するとのことでございます。また重点事業としては、まず第一に産業振興であり、交通網の整備であり、そのような観点から、工業技術センターの新研究棟の建設、和歌山リサーチラボを初めとする頭脳立地構想の推進により関連企業の誘致、和歌山マリーナシティの建設促進、世界リゾート博、また南紀の空の玄関口に当たる南紀白浜空港の本格的な着工など、意欲的に取り組まれようとする姿は、いよいよ始動するのだなあということを強く感ずるものであります。
 そのような中で、全体については先日来の質問にもございましたので、この際私は、日高地方の展望というか、これからについて知事のお考えをお聞かせいただければ、一層心強く思う次第であります。
 言うまでもなく日高地方は、県の中央部にあって県下第二の日高平野を有し、温暖な気候など恵まれた自然を生かした野菜、花卉の産地として、あるいは奥地においては林業生産、また沿岸漁業など一次産業を中心に発展してきております。また、周辺には白崎海岸、煙樹海岸、道成寺、興国寺など、景勝地や歴史・文化遺産にも恵まれております。しかしながら、京阪神の大都市からは遠く離れ、人口、産業の集積度が低く、工業については臨海部を中心に木材等の零細企業が多く、雇用力の低下が見られるほか、道路交通網の整備は今なお十分とは言えない状況であります。また、農業を初めとする農林水産業の状況も芳しくないことは御存じのとおりであります。
 このため、県第二次長期総合計画で御坊田園工業都市構想が打ち出され、その後、知事初め関係の方々のさまざまな行政努力は了知しておりますが、依然として御坊市初め周辺町村の人口流出が続き、地域の発展が重要な課題であります。また、紀北と紀南の間にあって本格的なプロジェクトも少なく、新たな活性化対策が問われても不思議ではないものと考える次第であります。
 このようなことから、地域的な状態をお考えいただいた上で、日高地方の展望というか、さきにも申し上げましたように、これからについて知事の意欲的な御所見をお伺いいたしたいと思います。
 なお、この機会にお伺いしたいその一は、ただいまこの日高地方に新しい企業があちこちに立地されております。これは、県の非常な御努力のおかげであろうと思います。しかし、今後、産業構造の転換とともに地域のバランスのとれた企業立地を促進するためにも、本県の中央部、ここ中紀において今後さらに企業導入を図っていかなければならないと考えていますが、最近の企業の進出傾向、企業の進出動機、また今後の中紀における企業導入促進問題について、県としてどのように考えておられるのかをお伺いしたいと思います。
 その二は、日高郡内、印南町を初め各地に多くのゴルフ場の開発計画が起こっております。これは、小規模の企業立地と異なり、大変、広大な面積を要し、時にはいろいろな意見をも聞くのでありますが、関係業者が用地を求め、届け出ればそれでよいのか、関係市町村また住民の意見についてはどうか、ゴルフ場開発計画に対する県の考え方についてお伺いをしておきたいと思います。
 次に、平成二年度農林水産部の主要施策についてお尋ねをいたします。
 本県の農林水産業は、何といっても地域の基幹産業として地域の発展に大きく貢献してきたところであり、今後とも地域経済活性化に重要な役割を果たしていくものであると思います。
 知事は、二年度予算編成の柱の一つとして「新しい時代に挑む力強い地域産業の発展」をうたわれ、農林水産予算については前年に比べ八・四%の高い伸び率の予算を計上されております。このことは、地域の発展を願い、農林水産業を重視する知事の姿勢をあらわしているものだと思います。
 そこで、まず農業の振興についてお伺いします。
 日高地方では、ハウスエンドウから花卉への転換が盛んに行われています。これは、収穫、労働力の問題もございますが、輸入エンドウが高値を抑えているからだという意見もあります。そして現在は、オレンジの問題であります。このように、農業分野においても国際化が進み、適地性を地球レベルで考える必要がある時代を迎えていると言っても過言ではございません。
 知事は、当初予算の県政の重点として、農林水産関係では「輸入自由化を目前に控えた本県果樹農業の活性化を図るためには『味一』といった県産物のブランド化等を推進し」と述べられましたが、品質が問われる果樹を基幹品目とする本県農業を考えるとき、まことに重要なことであります。輸入自由化を目前にして、品質を重視した果樹対策を重点に施策の展開を講じられている姿勢には賛同するものでありますが、既存産地を考えるとき一抹の不安を感じているところであります。それは、自由化もかんきつ園地再編対策も、品目によっては既存産地にとって新たに競合する産地が生まれるということであります。県内の既存産地と新産地が、ともに発展することが肝要であります。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをします。
 一つは、農業振興の主要施策でありますが、施策の基本的な考え方をまずお示し願います。
 二つ目は、かんきつ園地再編対策では、転換先作物として梅が非常に多く、花や野菜もあると聞いております。これらの品目は本県農業の主要品目であり、自由化対策の推進による増産の影響を最も心配する品目でもあります。
 そこでお伺いいたしますが、産地対策について具体的な産地を例に挙げて御説明いただいた方が理解しやすいと思いますので、果樹、野菜、花など、多様な品目を産する日高農業に対する施策をお示しいただくとともに、重点施策とされている高品質対策について、日本一の梅など、味一果実以外のふるさと産品への対応もお聞かせ願いたいと思います。
 次に、林業の振興対策についてであります。
 県下の面積の七七%を占めております森林は、戦時中は戦争資材として、戦後は復興資材の供給のために伐採をされ、その後、営々と国、県、民間が一体となって植林を進め、今日、緑の濃い山々が造成されたところであります。林業は、農業に比較し息の長い産業であり、今日、その長い育林の時代から収穫の時期を迎えようとしているところであります。
 このように、地域の重要な資源であるところの森林、林業の重要性について知事も述べられておりますが、具体的に林業振興施策を平成二年度の当初予算の中でどのように展開していくのか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 次に、水産業の振興についてであります。
 昨年発生した冷水塊は熊野灘に居座る気配を見せており、この影響かどうかはわかりませんが、中紀地方の漁港を回りますと、潮のかげんか、最近、魚がとれないという話を耳にするのであります。
 水産に限らず、一次産業は自然の制約を受けやすいということはある程度やむを得ないことであろうと思いますが、だからといってこれをあきらめていては漁業の進歩も発展も望めません。当初予算の知事説明で知事は、「魚礁、増養殖漁場の造成を進め、つくり育てる漁業の推進に努めてまいります」と水産振興の方針を述べておられます。このことは、一に自然環境の前に敢然と立ちはだかって漁業を振興するのだという決意であろうと理解するのでありますが、平成二年度水産業振興の主要施策について、中紀地方を中心にして農林水産部長からお答えいただきたいと思います。
 次に、高齢者福祉の問題についてであります。
 この問題は、私たちがこの世に生きる限りは、いずれ、だれもが年をとるんだ、そういう意味からお伺いをするのでありますが、本県の六十五歳以上の老年人口は年々着実に増加し、平成元年では十五万八千人余りで県全体の一四・五%を占めており、今後もこの比率は全国平均を十年先取りした水準で推移するものと予測されております。来るべき高齢化社会を豊かで活力あるのものとするためには、高齢者が生きがいのある充実した生活を送ることができる条件整備が必要であります。県では本年一月、長寿社会総合対策指針を策定し、雇用、教育、福祉、医療など各般の分野にわたる総合的な取り組みの具体策を示されました。
 そこでまず第一に、生きがい対策について伺います。
 県が実施した調査によれば、高齢者の八割の方が「自分は健康である」と答えられています。大切なのは、こうした高齢者の方々に、引き続き健康で生きがいを持って暮らしていただくことであると考えます。本来、健康とか生きがいとかいったことは個人個人の日常の心構えによるところが大きく、県民一人一人が自分自身の問題として考えていかなければならないことではありますが、現在、高齢者の方々の中には、健康づくりや社会活動に参加したくとも取っかかりが見出せないでいる人も相当おられると思いますので、このような中で生きがい対策をどのように進められているのかをお尋ねいたしたいと思います。
 第二に、要援護老人対策であります。
 老年人口の増加、特に今後、予測される後期老年人口の増加は、寝たきりや痴呆性などの介護を要する高齢者の増加をもたらすことも十分予測されるところであり、施設対策とともに在宅福祉対策の一層の充実を図っていかなければならないと考えます。
 施設対策については、本県は比較的高いレベルにあるようですが、現在、施設入所人員はどのくらいで、さらに今後どのくらいの方が施設入所を望んでおられるのか、また高齢者の多くが住みなれた家庭や地域で暮らしていくことを希望されており、県でも昨年度から家庭奉仕員、デイ・サービス、ショートステイの在宅福祉三事業の大幅な拡充に取り組まれておりますが、国が新たに高齢者保健福祉推進十か年戦略の中でこれら三事業の一層の充実を打ち出したことでもあり、本県における今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
 次に、道路整備についてであります。
 まず、国道三百七十一号線のバイパス、中辺路から殿原までの延長はどのくらいで、これをいつごろまでに完成させようとしているのか、お伺いしたいと思います。
 また、龍神村・旧四村合併の最も大きな条件であり村民の悲願であった柳瀬トンネルも、仮谷知事の英断で三十五年ぶりにこの秋には開通する予定となっておりますが、深くかかわってきた私たちにとっても、何とも言えない喜びであります。
 なお、これに関連する国道四百二十四号線も、おおむね本年度をもって完成と聞くのでありますが、そのとおりであるのかどうかお伺いしたい。
 さらに、郡内主要道路、国道四百二十四号線(旧龍南線)、国道四百二十五号線(真妻線、稲原線)、主要県道御坊美山線、印南南部川線の改修についても一層の促進を図られるよう要望いたします。
 なおこの機会に、さきの国道昇格に取り残された田辺十津川線の寒川地区の早期改修をも図っていただきたいと思います。
 町村合併以前の旧村で出入りするところが一本の道しかないというのがこの寒川地区で、いまだに大型バスの通れない状態であると聞く。従来よりこれを早くやっていただくようお願いをしておりますが、今の調子では相当な年月がかかるんではないかと思います。一層の御努力を願いたい。
 またこの際、たかの金屋線の青木─田尻間についても、調査の上、改修について促進されるよう要望しておきます。
 次に、高速道路御坊─田辺間はいつごろ通過路線が決定されるのか、確定でなくても大方のめどはいつごろか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 日高地方の展望についてでございます。
 お話ございましたように、日高地方は、地理的にも機能的にも紀北と紀南を結ぶ重要な地域でございますし、また県下第二の平野地帯でもございます。そうした関係から第四次長計においては、その基本方向として、産・学・住の調和のとれた定住圏づくりということを目指して進んでおるわけでございます。特に、御坊市を中心とする周辺の町村を一体的にとらえ、地域の自発的な創意と工夫を支援していくことはもちろんでございますけれども、既に事業化された湯浅御坊道路の早期完成、さらには近畿自動車道紀勢線の南伸に伴うインパクトを生かして、まず第一次産業については、現在においても日高地方が施設園芸などの高収益農業が非常に盛んでございますが、暖地園芸総合指導センターを設置して、それを中心として今後なお一層、花卉の品種改良等、バイオテクノロジーなどによって付加価値を高めるべく、鋭意取り組んでおるところでございます。また、山間地帯の林業の問題等については、話ございました国道、県道、林道等の整備を進めておるわけでございます。そうした面において、林業資源の開発を進めてまいります。また水産については、後ほど部長から答弁いたしますけれども、つき磯等を中心とした日高沿岸の開発を進めてまいりたいと思います。
 また第二次産業については、御坊田園テクノタウンの一環としての工業団地・御坊テクノパークを造成し、これを拠点に先端技術産業の導入を促進するとともに、地域産業の高度化を進めることによって企業の集積を図ってまいりたいと思っております。最近まで高速道路網等において交通面が幾らか不便でございましたので、日高地方への企業進出が非常に厳しい中でございましたけれども、最近の高速道路の南伸の進みぐあい等によって日高地方に対する関心は非常に高まりつつあるわけでございます。こうした面においても、企業局において企業誘致、団地の問題について、なお一層地元と連絡をとりつつ進めてまいりたいと考えております。
 また第三次産業については、由良町を初めとして各地にゴルフ場なりリゾートホテル等の進出が計画されておるわけでございます。そのすばらしい自然景観を生かした第三次産業の発展にも努力していかなければならないと思っております。
 今後とも、日高地方の振興については、従来にも増して基盤整備の充実に努めるとともに、工業団地の形成や企業誘致等を進めて、バランスのとれた各産業の振興を着実に進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
 その他の問題は、関係部長から答弁いたします。
○副議長(宗 正彦君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 日高地方における企業誘致の問題でございます。
 最近の企業立地の傾向は、好景気の持続による製造業の旺盛な投資意欲を背景に、都市部から地方への進出が顕著になりつつあります。本県においても、関西国際空港建設や道路整備を中心とする交通アクセスの進展、大都市部と比較しての地価の安さ、労働力の供給が比較的安易である等により、進出希望企業が増加しつつあります。このような状況において、特に高速道路の南伸が進む中で日高地方においても企業進出がしやすくなり、徐々にその成果が上がっているところであります。
 今後、さらに地域のバランスのとれた企業立地を促進するためには、受け皿の整備や供給可能な労働力の把握等、地元の受け入れ態勢が最も重要であり、各市町村と連携を密にしながらこれらの整備に努め、企業誘致を積極的に推進し、地域の振興に努めてまいりたいと存じております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) ゴルフ場の開発についてお答えを申し上げます。
 ゴルフ場の開発は、国民的な余暇活動志向に対応した地域振興策の一つであると考えてございまして、この開発による地域開発効果については、建設投資に伴う地域経済への波及効果を初め、雇用機会の増大や地域産品の販売拡大等、地域の活性化につながるものと考えてございます。
 本県における現在のゴルフ場は二十カ所で、工事中は三カ所、事前協議中等十五カ所となってございますが、県といたしましては、ゴルフ場の開発については、自然環境の保全を図りつつ、総合的かつ計画的に県土利用を進めるため窓口を一元化して、関係市町村長の意向を踏まえて取り組んでいるところでございます。
 なお、開発許可に当たりましては、各個別法により対応しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 議員お話しのとおり、農林水産業は地域の基幹産業であり、その活性化に努めることが地域発展の重要な活力となっていくものと存じます。知事から基本的な答弁がございましたが、特に平成二年度の主要施策について御説明を申し上げます。
 農業振興の主要施策については、オレンジの自由化を目前に控えて、高品質、低コスト生産を推進し、高収益農業の実現を図るために、基盤整備、施設園芸の推進、味一果実等、高品質果実の生産拡大、チェリモヤ等、地域特産品の開発普及などを柱に、活力ある産地づくりを推進することといたしてございます。
 こうした中で、本県農業の主要産地である日高地方では、広域農道を初めとする農道整備や相当規模の大きい圃場整備、農地開発などの基盤整備づくりを重点に進めるとともに、野菜、花卉園芸の一層の振興や暖地園芸総合指導センターを核とした技術対策を講じているところでございます。
 また、本物志向の消費者ニーズに対応し、梅等、地域特産品の品質向上を図り、消費拡大に努めるため、ふるさと認証食品品質表示推進事業を新年度より実施してブランドの確立を進め、二十一世紀につなぐ先進農業産地を目指して振興を図ってまいりたいと存じます。
 次に、林業の振興についてでございます。
 本県は、杉、ヒノキの蓄積量は全国五位、中でもヒノキは全国一位の蓄積となってございます。来るべき国産材時代に備え、県産材の需要拡大を引き続き推進するとともに、低コスト林業の確立に向けて、密度の高い林道整備、基幹作業道、集落林道等の基盤整備を図ることといたしてございます。
 森林は、国土の保全や水源の涵養、触れ合いの場としても国民生活に不可欠な資源となってございます。このため、都市の人々との交流を図って山村林業の活性化に資するため、緑の交流空間整備事業等を行い、より健全な森林の造成を図ることといたしております。
 山村地域においては、若年層の減少と高齢化が進む中で、林業従事者の雇用の場の確保や就業の安定化を図るために、森林組合林業労働力確保対策事業や紀州備長炭振興館建設事業等を実施してまいる所存でございます。
 最後に、水産振興についてでございます。
 つくり育てる漁業の推進を基本に、魚礁の設置、増殖場の造成を行い、マダイ、ヒラメ、アワビ等の種苗を放流することといたしてございます。また、漁業の近代化、合理化を図るために、新沿岸漁業構造改善事業の推進、第八次漁港整備長期計画に基づく漁港及び漁港関連道の整備を計画的に進めてまいります。特に中紀地方においては、魚礁設置五カ所、増殖場造成一カ所、新沿岸漁業構造改善事業一カ所、漁港整備十六カ所及び漁港関連道一カ所を推進整備する予定といたしてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 高齢者福祉の三点についてお答えいたします。
 初めに、高齢者の生きがい対策についてであります。
 高齢者の持っている豊かな経験と知識を地域社会に生かしていけるような工夫が必要であると考えております。
 昨年五月、全国に先駆け、いきいき長寿社会センターを設置し、各種のスポーツ大会を初め長寿大学の開催、地域指導者の養成、健康セミナーの実施など、幅広い事業を実施しているところであります。
 また、老人クラブの活動を活発化させるため、従来から各種の助成を行っているところでありますが、平成二年度において新たに健康づくりや友愛訪問等の社会活動を促進するための補助制度を新設することといたしてございます。
 次に、施設対策でございます。
 現在、特別養護老人ホームに約二千人、養護老人ホームに約一千人の方々が入所しておられます。今後の老年人口の増加は、特に特別養護老人ホームへの入所を希望される高齢者の増加をもたらすことも十分考えられますので、引き続き、入所希望者の状況を的確に把握しながら整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 平成二年度では、特別養護老人ホームの新増設をそれぞれ一カ所、三十人定員の小規模特別養護老人ホームの新設一カ所、及び過疎高齢者生活福祉センターの新設などの施設整備を予定しております。今後とも、地域の実情を十分考慮に入れた施設整備を行っていきたいと考えてございます。
 最後に、在宅福祉についてであります。
 家庭奉仕員、デイ・サービス、ショートステイのいわゆる在宅三事業については、既に元年度を初年度とする大幅な拡充を進めているところでございます。平成二年度においては、引き続き三事業の充実に努めていきたいと考えてございます。新たに、地域活動の拠点となる在宅介護支援センターや地域高齢者コミュニティホームの設置を図ることといたしてございます。
 昨年暮れに策定された国の高齢者保健福祉推進十か年戦略においても、こうした在宅老人福祉対策の充実強化が重要な柱とされておりますので、今後ともこの線に沿って在宅介護の促進に力を入れてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、国道、県道の整備促進についてでございます。
 国道三百七十一号の中辺路町小松原から龍神村殿原間は、計画延長が約十・八キロメートルあります。このうち、中辺路町小松原から約七・七キロメートルの地点で、さいの谷林道に接続しますので、この間については平成五年に供用を開始する予定であります。残る三・一キロメートルについては、平成元年度に事業着手したところでありますので、今後とも事業の促進を図ってまいりたいと考えております。
 国道四百二十四号の丸滝工区は、平成二年度に完成する予定といたしております。
 また、現在事業中の国道四百二十四号、四百二十五号、県道御坊美山線並びに印南南部川線についても事業の促進に努めてまいりたいと考えております。
 また、県道田辺十津川線の美山村寒川地内については、特改一種事業及び県単道改一種事業で整備の促進を図っており、今後とも寒川地内まで早期に整備ができるよう努力してまいります。
 次に、近畿自動車道紀勢線御坊─田辺間については、平成元年二月に基本計画が決定されたところであります。今後の手続といたしましては、整備計画の決定、さらに日本道路公団に対する施工命令、実施計画策定を経て路線発表されることになります。県といたしましては、早期に整備計画が決定されるよう、引き続き国に強く要望してまいります。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時三十四分散会

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