平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(井出益弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 事前通告制の意義を生かして、当局にも誠意ある明確な答弁をお願い申し上げて、また三番目の質問者でありますので、できるだけ重複を避けて質問をしたいと思いますので、よろしく御清聴をお願いします。
 波乱万丈であった昭和の歴史も昨年で終わりを告げ、新しく平成の時代を迎えました。一九九〇年、この平成二年は、本県和歌山にとりましても飛躍的発展の年にすべきで、本県に関連した重要な各種の事業決定されたものが具体的実現化に向かう年で、予断を許さない情勢下にあります。
 仮谷知事が県行政を担当されて以来、今日まで大変な努力をされてきたその成果が、近年にはまさに実りを見せ始めてきており、その御労苦に心から敬意を感じております。県の立案されたいろいろな基本構想等が送付されてまいるたびに、ぜひ実現、成功をさせなければと、関心と理解をより深めております。時には、議会と行政の立場の違いから見解や取り組み姿勢の異なるときがありますが、県民のより幸福な生涯を追求して、県政治の場においてやまざる努力をしなければならないものであります。
 さて、先日、総合保養地の整備に関する基本構想「燦黒潮リゾート構想」の素案概要を見ながら、和歌山も他府県、諸外国にまさるとも劣らないすばらしいリゾート地を備えたリゾート県にしなければと期待を持つとともに、これを成功させるためには何としても関西新空港の大事業を契機として、リゾート法の適用承認に向かって、三重県、宮崎県、福島県等、十県の基本構想承認よりすぐれた構想をつくらなければ、このリゾートブームの中で成功は至難のことと考えます。
 ここで、公的観光レクリエーション地区、施設の整備とともに、関西国際空港人工島の連絡橋南側ルートの設置について、和歌山県として積極的に建設運動に取り組むべきだと私は考えるのであります。
 これは、我々県議会議員の先輩・同僚でもあった二階先生が、今回、折もよく関西新空港担当の運輸政務次官に着任されたことでもあり、また国会レベルでは、平成元年十一月十五日の運輸委員会議事録によると、二階代議士の質問に対し、当時の運輸大臣も航空局長も、関西新空港南側ルート連絡橋建設について検討をしてもよいとのニュアンスの答弁をしているようにも感じます。また、私も二度ばかりお会いしたことのある泉南市長も、関西新空港南側ルートには大変関心を持っておられるようであります。
 大阪向けの橋が北端に一本あるだけでは、もしその橋に事故があったとき、空港への交通が麻痺しますし、二十四時間空港として、世界の貨物を取り扱うための貨物基地として──企業の倉庫建設用地が和歌山市はもとよりかなり南の方へと、中紀地区まで買収されており、建設準備がされているようであります。
 この関西新空港南側ルート橋建設運動は根本的な空港機能の問題でもありますが、本県がこの運動を起こさなければ実現性は薄く、また、強力に運動を起こして頑張れば、必ず実現は可能なものだと私は考えます。
 仮谷知事、どうかこの御検討をしていただきますよう、御答弁を求めます。
 次に、新南海橋と第二阪和国道の事業促進について、まず進捗状況をお聞きします。
 そして、申し上げたいことがあります。この南海橋ルートについては、以前、和歌山市が都市計画街路として用地買収に着手し、事業としては失敗で中断していたもので、そのときの地区としてのしこりや地区の要望を解決せずに今日まで中断・放置していた状態に近いため、そのことに耳をふさいで、前は前、今は今といっても、今日までの経過と歴史を無視しては県民・市民の協力は得がたいと考えます。
 県、市、地元から聞く話では、第二阪和の地元説明会が、その付近の浸水被害や下水の話に重点が置かれた質問が連発され、毎回、不調に終わっているようであります。これは、和歌山市の下水道、用水路、小河川の整備等のおくれが原因でありますが、大雨が降るとこの第二阪和と新南海橋ルートになっている場所の付近一面が池のようになってしまいます。この付近は、県道粉河加太線、都市計画街路西脇山口線、そして第二阪和国道のランプウエーの合流点付近にまともに位置するため、昨年、楠見地区の各連合自治会長がそろって知事に陳情に行かせていただいたわけでありますが、和歌山市の事業として用地買収したときに協力して立ち退いていただいてから何年もの歳月がたっており、道路ができ、新南海橋がかかるこの機会に地元の下水や排水路対策もやってもらう約束があったこともあり、当時、私も自治会役員や市議会議員として立ち退き者に「公共のため」との大義名分で協力をお願いした経過もあって、その後の対処策と説明に苦慮しているところであります。
 平成二年三月一日発行の「市報わかやま」には、「道は国土軸へ」とのタイトルで、一枚目表紙に第二阪和国道完成予想図と計画図が大きく報じられ、第二面には「進む動脈づくり」と題して、西脇山口線や粉河加太線が今まさに工事の推進開始と、和歌山市民に広報されています。
 道路工事をするためでも、大雨が降ったら池になるような場所はその対処も同時に考え、県民に示し、その上で事業の協力を求めなければなりません。先に同意をしてもらって、その他のことは後で方法を考えますからとの交渉論では、今までの経過を見ても、後になると難問となって、焦げついて残されている公共事業が多くあります。
 「近畿自動車道阪南~岸和田間三月二十九日開通 吉備~岸和田間五十分に」、これは「県民の友」平成二年三月号であります。こちらの阪和自動車道は着々と、さらに御坊を目指して進んでおります。関西国際新空港開港時までの開通に間に合いそうで、今まで、また今努力していただいている関係者に深い感謝を申し上げますとともに、第二阪和国道についても、さらに県都・和歌山市の対処についても、難問となって苦慮をしている地元対策に県として何らかの援助、例えば、以前、県職員の派遣等の検討をお願いしたこともありますが、これらを含め、第二阪和と新南海橋の事業促進の現状認識と取り組みについて、当局の見解をお聞かせいただきたい。
 次に、さきの近畿自動車道(阪和自動車道)でありますが、和歌山市北インターチェンジ設置の運動の提案をいたします。
 どんどん開発されていく紀の川北岸の今後の交通対策、京奈和自動車道が紀の川北岸沿いに建設施工されてきている実態等を考えると、紀の川北岸に北インターチェンジを設置しなければ、大阪との通過自動車を現在の一カ所のインターチェンジで処理をするとすれば、将来、必ず処理し切れない事態が予測できます。県当局の見解と取り組みをお聞かせいただきたい。
 第二番目の質問項目に入ります。国土の有効利用についてであります。
 土地に関しての事務諸手続は、財産を保全する立場から慎重に対処していただくのは基本的なもので、その方法として、現地の確認、権利関係者の確認、その他諸手続により問題の発生のおそれがないか等、御苦労なものと考えます。
 しかし、何でもかんでも本人の実印と印鑑証明提出とのことが多く、それをとってあれば県の責任はないようですが、ともすれば本人の意思確認よりも実印と印鑑証明重視の対応方法に、県民から強く改善見直しを求める声があります。また、国土地図とも関係がある質問ですので、続いて国土地図作成事業について質問いたします。
 近年の土地売買の動きは全国的なものとしても、本県についてより大がかりな動きがあるのは周知のことであります。国土法による届け出、監視区域の制定等、県当局も多忙をきわめていることと、御苦労に思います。
 しかし、国土地図の完成市町村が少ない本県として、土地や開発の動きが急増してきた今日、その中でも和歌山市、岩出町、貴志川町等において、国土地図の作成と同じような事務諸手続、労力を費やす際に、いっそ国土地図の作成事業促進を図るか、その前段的なものに生かすことができないかと考えます。そのための予算的な措置や職員の人員的な措置等、現在の状況と今後の取り組みについてお聞かせいただきたい。
 次に、和歌山操車場跡地の利用であります。
 和歌山市手平の和歌山操車場跡地は、昭和六十二年四月の国鉄改革により国鉄清算事業団に帰属することになった土地であり、面積は約六・九ヘクタール、県内の旧国鉄跡地としては最大の面積を有しております。この跡地は、一部国体道路に面し、JR和歌山駅、宮前駅からは最も便利な土地であり、また、市街地では得がたい大規模な土地であります。
 昨年二月の本会議において、県としてこの跡地に対してどのような考えを持っているかという私の質問に対し、企画部長から「地元和歌山市などの意見を聞きながら、周辺地域と整合性を持った有効な土地利用計画になるよう積極的に取り組んでいく」という回答をいただいておりますが、その後、県では和歌山操車場跡地に対しどのような利用を考えておられるのか、お伺いいたします。
 以下、二、四、六番目の項目をまとめて質問いたします。
 線引き、都市計画、いずれも民間レベルより先手、先駆けた対処策をもって取り組まなければ、民間の「乱開発」と呼ばれるものになっていくのであります。
 私の地元では、例えば鳴滝川等について、山の上を開発している企業や進出してくる企業に山の上から紀の川までの改修を企業負担させるというならそんな企業はないと、以前にこの議場で話をした際、県河川や下排水、用水路等については、県が先を見越してもっと積極的に改修に取り組んでほしいと要望しましたが、紀の川北岸の日々市街化されていく姿には、驚きとともに、都市整備が行政サイドとして的確に対応しかねている現状のように考えます。
 関西国際空港の計画が発表された時期には和歌山県は扇風機の裏側になると懸念されていましたが、関西国際空港開港の日が近づくにつれて、また関空のインパクトを受けとめるため先導的に展開されている関連のプロジェクトが着々と進められていくにつれ、本県の持つポテンシャルが評価され、それが現在では大きな開発圧力といううねりとなって押し寄せてきております。
 しかし、実態上、開発できる余地がありながら、それらの開発圧力をまだまだ十分受けとめられていない地区、また開発の意向が望ましくない方向で展開されようとしている地区が出てきているといったことで、問題、課題が新たに生じてきているように感じます。
 まず、開発圧力を十分に受けとめられていない地区として、和歌山市及び海南市があります。両市においては市街化区域及び市街化調整区域の区域区分が行われており、今年度末をめどに見直しがなされると聞いておりますが、依然として残る市街化調整区域における開発について、例えば既存の集落を中心とした地区等で周囲が宅地化されている土地、幹線道路沿いの土地等といったところについては、既にある都市基盤が活用できることから開発を認めてもよいと考えるが、現行の調整地域における開発許可の基準では開発は認められません。土地の有効利用、地域活性化のため新たな法制度の導入、柔軟な開発許可制度の運用等が考えられないかと考えます。
 次に、開発圧力が望ましくない方向で展開されようとしている地区として、特に岩出町については、従来の和歌山市のベッドタウン型都市としてだけでなく、関西国際空港に和歌山県で一番近い町として、開発圧力が県内でも最も強くあらわれているところであります。さらに、現在、都市計画上の土地利用規制が無指定であることから、開発が町じゅう至るところで虫食い状態に展開されております。無秩序な町の形成がなされようとしているのであります。
 したがって、岩出町についてはスプロール的な開発を抑制し、開発すべき地区とそうでない地区を明確にし、秩序ある土地利用を誘導するため、市街化区域と市街化調整区域の区域区分いわゆる線引きを早急に行う必要があるのではないかと考えます。
 さらに、岩出町に隣接する貴志川町、桃山町、南の方では下津町等においても、開発意向が強くなってきていると思われます。これらの地区については、都市計画区域の指定がなされていない等の理由により開発に対して何ら行政指導がなされていないことから、和歌山市、海南市、岩出町を含めた広域的な都市計画区域の指定、また用途地域の指定等を行い、秩序ある町づくりのため先手を打っておく必要があると考えます。
 土地の有効利用の観点よりもう一点、土地利用に対し厳しい規制を課している風致地区並びに河川敷の利用について質問いたします。
 風致地区については、例えば、和歌山市において既に指定されている地区を見ると、現在ではとても良好な緑を備えているとは思われないところについても、相変わらず指定の継続をされている地区が多々見受けられます。風致地区の指定が継続されると、そこに住む人たちに建ぺい率等について建築の厳しい規制のみが行われることから、それら地区については現状を十分踏まえた見直しを行うこと、また指定を継続する地区については緑化に対する補助制度等を創設する必要があるように考えます。
 また、河川敷の利用に関しても、治水面の安全性の観点より非常に厳しい規制が課せられています。流域住民の生命財産を洪水から守るという河川管理者の立場から考えますと理解できなくはありませんが、近年、全国的に都市化が進行する中で、町づくりの一環として水辺の価値が見直され、潤いと触れ合いのある空間として利用していこうという機運が高まってきております。このような状況の中で、紀の川等の広い高水敷を水と緑の快適空間として有効かつ計画的に利用を図っていくべきと考えます。
 以上、関係部長の答弁を求めます。
 三番目の質問項目に入ります。
 道徳教育と個性を尊重した教育について、国歌・国旗の認識と教育実践について、ほかであります。
 本県の教育界のリーダーとして最高峰にある教育委員会の見解として、文部省が昨年三月に全面改訂した新学習指導要領の中で、それまで「望ましい」という表現にとどまっていた国旗の掲揚等について、「入学式や卒業式等では(中略)国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と明記し、この部分はことし四月から先取り実施する移行措置を打ち出していますが、文部省の昨春の卒業式と入学式での実施率調査では、小・中・高校の入学式の三割から四割で国歌斉唱が行われていないところがあるということであります。「日の丸・君が代問題をめぐって教職員組合を中心に現場の抵抗がなお強い」と、大手新聞の平成二年一月十九日の三十ページ第二社会面に、福岡県立伝習館高校の教師が教科書を使わないで生徒に授業をしていた、また、国が教育内容、方法の基準を定める必要を認めた上で、教師に認められるべき裁量にもおのずから制約があると指摘し、指導要領は法規的性質を持つとして、指導要領に従わない教師三名の懲戒免職を認める判決を最高裁第一小法廷で、その前日に──一月十八日です──申し渡した記事と並行して記載されておりました。
 国歌・国旗についても、ことしからは、「軍国主義復活のためのものだ」と教えたり、全く何も教えなかったり、学校によって教える学校と教えない学校ができることのないよう、今までのように学校長の判断に任せたりすることのないよう、県教育委員会から学校長に指導をしていただきたい。
 ことし入学する一年生からということでは、一年生は卒業するまでには国歌が歌えるようになると思うが、中学や高校の二年生についても、式典等できちんと胸を張って歌えるように教えてやっていただきたいと思います。どのように対処されるのか、具体的にお聞きをいたします。
 先進国と言われる今日の日本人として諸外国との交流の場が多くなってきた昨今、国歌の交換から始まるセレモニーの機会に多く遭遇します。国歌が歌えない日本の青少年ではかわいそうではありませんか。お互いに起立をして国歌を歌い、国旗を掲揚をするのは礼儀、マナーであります。マナーと道徳とは共通点もあれば別な面もありますが、このような点についても教育の実践的なものとして重要なものと考えます。
 今、教育の内容で、道徳やマナーについて社会常識に欠ける受験学力優等生人間も多いようであります。その一例として、これは昨年の末のことでありますが、学生が──校章を見ますと、大変すばらしい名門の校章がついておりました。電車の中で、妊婦の方が風邪を引いてぐずる子供を置いたり抱いたりしながら大変つらそうにしておる。その前で二人の名門校の学生が本を読んでおって、知っておるんですけれども、全く席をかわろうとしない。私は、このような名門の生徒がこのような形で大きくなって、将来、国を担うような名士となっていかれるのでは、非常に──日本の現在の教育のやり方について、道徳やマナーについていろいろ考えなければならない時期に来ているんではないかと考えるわけであります。
 日々見ても、なかなか大変なことがあります。自転車で二列、三列になって狭い場所や道路を一群となってくる学生。それらについてもやはり──もちろん、これは家庭でも教育すべきものであるとは思いますが、教育のやり方として、あるいは道徳を教える立場として、何らかの措置を講じなければならないんじゃないかと考えるわけであります。
 次に、伝習館判決も、教育現場の受験実態から見ると「指導要領どおりやっていたら入試に対応できない」との本音も理解できないこともないので──といって、教師が自分の考えで何を教えてもよいというのではありませんが──考えてみてはと思うのは、年々人気が上昇してきた私学を見ると、人それぞれの個性を伸ばす勉強に切りかえてきているのが現状で、またこれは世界各国にも見られる風潮であります。入試科目について、五教科のうち選択受験ができたり傾斜配点を考えたり、入学後、幾つかは自由選択科目として個性を伸ばしてやるための手段を検討するなど、県立高校の近代的な改革が必要な時期に来ていると考えます。当局の本県としての見解をお伺いいたします。これは教育長に御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の南ルートについてでございます。
 私がかねがね申し上げておりますように、空港対策としてまず第一になさなければならないのは第一期工事の完成ということで、本県を初め関西が一丸となって全力を注いでおるところでございます。また、滑走路三本を備えた全体構想の実現に向かって邁進しております。
 本県にとって最も重要な問題は全体構想の早期実現でございまして、平成三年度から始まる第六次空港整備五箇年計画に着工のための明確な位置づけをさせるということ、先ほども鈴木議員にお答え申し上げたとおりでございます。
 井出議員から話のあった南ルート連絡橋については、政府において予算委員会、運輸委員会等においても検討されておるわけでございまして、地元の皆さんも熱心でございますし、和歌山の皆さんも熱心でございます。そうした点を私も十分理解しているわけでございまして、今後、関係の皆さんと協議しながら、積極的に対処してまいりたいと考えております。
 以下、関係部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、南海橋と第二阪和国道の事業促進についてでございます。
 第二阪和国道の一環である和歌山北バイパスについては、昭和六十三年度に事業化し、その後、地元の御協力を得て、測量調査、概略設計等を実施し、現在、建設省及び市の第二阪和国道関連建設事務所において、地元自治会と道路計画について了解を得るため、鋭意協議中であります。
 地元協議の中で沿道環境についての意見、要望が多く出されておりますが、このほかに、楠見地区等で地域の浸水対策についての強い要望が出されております。
 今後、こうした問題について、地元市及び地元地区の御理解と御協力を得ながら、平成二年度に用地買収に着手し、事業を促進するよう建設省に働きかけてまいります。
 なお、県・市の協力体制については、市の主体的な取り組みに対し、県として今後とも密接な連携をとりながら、事業の促進に努力していきたいと考えております。
 新南海橋については、現在、紀の川を渡る各橋梁が交通混雑を呈しており、この解消が市内の交通対策上、大きな課題となっており、新南海橋の早期整備が必要であると考えておりますが、新南海橋を供用するためには前後の関連する区間について用地の取得が不可欠であり、その見通しがついた時点で、橋梁本体についても整備がおくれることのないよう建設省に働きかけてまいります。
 次に、和歌山北インターチェンジの新設については、現行制度上は開発インターとなり、技術上の諸基準に適合することはもとより、建設費は開発者の負担となります。また、新設するインターチェンジにおける料金収入、維持管理費等を考慮した採算性の確保等、厳しい条件があり、新たなインターチェンジの設置は極めて困難な状況であります。
 しかしながら、現在、紀の川右岸において国道二十四号和歌山バイパスが事業中であり、平成四年度末には暫定二車線で供用される予定でございますので、このバイパスによって紀の川右岸地域から和歌山インターへの接近性が向上することにより、円滑な交通が確保できると考えております。なお、今後とも地域の開発及び交通の状況を見きわめながら、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、土地に関する諸手続の合理化についてでございますが、諸規定の許される範囲で事務の合理化を図りながら、申請者に対する公平を確保し、事務処理の適正化、効率化にさらなる努力を重ねてまいりたいと存じます。
 次に、市街化調整区域内の開発許可についてでございますが、市街化調整区域は道路、下水、公園等の整備が十分でなく、都市的土地利用を図ることは、無秩序な市街化を抑制する観点からふさわしくないと考えます。
 御指摘の、周囲が宅地化されている、あるいは幹線道路沿いにあって道路、下水等の整備が活用できる土地の区域については、都市化の実情に合わせて一定の規模、用途の開発行為について許可できるよう運用改善を図ってまいります。
 なお、近年、紀の川の右岸地帯では市街化が急速に進行している状況にあり、県としても、これに対応するため、関連河川の治水安全度の見直しに着手してございます。
 その一つとして、鳴滝川の改修を平成二年度より着手すべく考えておりましたが、昨年九月の浸水被害を契機に、建設省との協議により、平成元年度事業として昨年十月に激甚災害対策特別緊急事業として採択されました。この事業区間は、紀の川合流点より上流千二百メーターとなってございます。現在、地元の有功・楠見両地区より成る促進委員会と協議しながら、諸問題の解決に当たっているところでございます。
 次に、都市計画、市街化区域、市街化調整区域についてでございます。
 岩出町については、秩序ある都市の整備開発及び保全を行うため、市街化区域及び市街化調整区域の指定、いわゆる線引きを行うべき都市とされております。
 しかしながら、まだ市街化区域及び市街化調整区域の指定がなく、土地利用の混乱を起こしているため、現在、線引きの準備を進めております。関係機関との調整を行った上、線引きの原案づくりについて岩出町を指導し、都市計画決定を行ってまいりたい。
 また、貴志川町、桃山町については、議員御指摘のとおり、現在、都市計画区域の指定がなされておりませんが、最近の開発の波は両町にも及んでいるのが現状であります。今後、両町における都市的土地利用の動向を踏まえ、都市計画区域を指定するよう検討を進めてまいります。
 また、和歌山市の風致地区は、昭和十六年十二月に良好な風致が存在する地区を対象に指定されたものであります。風致地区全体を見れば現在も依然としてその良好な環境は十分維持されており、都市における良好な自然環境保全のため、今後とも継続していくことが重要と考えております。
 しかしながら、指定後、年月も経過しており、土地利用の変化が著しいところについては見直しの検討が必要と考えております。現在、和歌山市全体における緑のあり方についてのマスタープランの策定を行うこととしており、その中で風致地区の検討を行ってまいりたい。
 また、緑化に関する補助制度としては、和歌山市において生け垣に対する補助制度があり、風致地区においてもその制度を活用するよう、市を指導してまいりたい。
 次に、河川敷の利用についてでございます。
 従来より、河川の管理については、治水利水機能を重視した機能追求型の河川整備が進められてまいりました。近年では、これらに加え、議員御指摘のように、河川空間固有の水と緑の貴重なオープンスペースの環境機能が重要視され、その整備に流域住民の期待が高まってきております。
 このような状況の中で、河川管理者として計画的、総合的にその保全と利用を図るための指針として、学識経験者、国、県、流域市町村から成る協議会を設置し、その意見を聞きながら、河川環境管理基本計画の策定を行っているところでございます。
 平成元年度では一級河川の紀の川、新宮川の二河川がまとまりつつあり、順次、主要な二級河川の策定を行ってまいる予定としております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 地籍調査の促進の問題でございます。
 土地行政の基礎となる公図を正確なものにするための地籍調査事業が、全国的に実施をされてございます。非常に重要な事業と認識をしておりますが、最近、とみにその感が深まってまいってございます。
 本県においても、これまでも担当課、出先機関挙げて推進をしてきておりますが、さらにそれを進めるべく、元年度に全国唯一の地籍調査専門員を配置し、事業主体となる市町村に対し強く啓蒙を重ねてまいりました。
 現在、県下五十市町村のうち十三市町が事業着手をしてございますが、平成二年度には新規に二つの町が着手することになってございます。続く三年度にも着手する市町が見込まれており、着実な進捗が図られつつございます。
 なお、予算措置の問題でございますけれども、市町村に対する助成に要する経費として、今議会に一億二千百六十五万六千円を、対前年比一五九%と積極的な対応をいたしたく、お願いいたしているところでございます。
 今後、さらに一層の促進に努めてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 和歌山操車場跡地の利用につきまして、お答えを申し上げます。
 和歌山操車場駅の跡地については、議員御指摘のとおり、国鉄清算事業団に帰属する土地でございまして、本県における旧国鉄跡地としては最大のものでございます。また、和歌山市の市街地に残された貴重な土地でございまして、周辺地域の活性化の核となるよう、この跡地の利用を促進していかなければならないと考えてございます。
 県としては、こうした基本的な考え方をもとに、公共公益的な利用を図るべく、現在、国鉄清算事業団に対して強く働きかけているところでございます。
 今後とも、この跡地の利用について、県として積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、国旗・国歌についての御答弁を申し上げます。
 御承知のように、国際化が進展している昨今、国際社会に生きる日本人としての自覚を養うとともに、お互いの国を尊重し合うということが大切でございまして、そういった観点から、児童生徒に対して国旗・国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を培うことが極めて肝要であると考えてございます。
 新しい学習指導要領では、まず国歌については、小学校の音楽で、低学年では聞かせて徐々に親しみを持たせること、中学年では歌詞や楽譜を見て歌えるように指導をすること、高学年においては歌詞やリズムを教えて正しく歌えるようにすることなど、子供の発達の段階に応じて指導を行うことになってございます。
 また、社会科においては、六年生ではそれの意義についての指導が新たに取り扱われて、さらに学校行事でも指導していくことになってございます。
 中学校においては、学校行事を重ねていく間に歌えるようにするような指導をしていくということになってございます。
 こうした趣旨、内容について、昨年から伝達講習会あるいはまた校長会、さらにまた市町村の教育長会議などを通じて、研修によりその周知徹底を図ってまいったところでございますが、これらのことは、従前から議会でお答えを申し上げておりますとおり、新しい学習指導要領に準拠して指導していく所存でございます。
 次に、道徳教育についてでございます。
 近年、科学技術の発達は目覚ましく、物質的に豊かな社会になってございます。しかし、その反面、他人に対するいわゆるいたわり、あるいは思いやりといった点では、心の貧しさが問われているところがございます。こうしたときに当たり、人間形成の上で、児童生徒に対して心の教育を充実させることは極めて大切なことであると考えてございます。
 県教育委員会としては、道徳的実践力を身につけさせるために、研究学校の指定をし、あるいはまた推進地域の設定をするとともに、学校における道徳教育をすべての教育活動の中で位置づけ、指導しているところでございます。
 今後とも、心の教育の充実に当たっては一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、高等学校の入学選抜についての御質問でございますが、現在、御承知のように、五科目の学力検査、そして中学校から提出をされてくる調査書等により総合的に判断をする方法で実施をしてきてございます。
 また、個性を生かし伸ばすという観点から、明確な目的意識を持った生徒を入学させるために推薦入学制度を導入し、現在、六十二年度、さらに六十三年度と、その内容の充実を図っているところでございます。
 一方、社会の変化に対応して、生徒の適正、興味、関心等に応じるために、電子機械科や国際交流科などの新しい学科を設置してまいったところであります。また、各高等学校においても、生徒一人一人の特性等に応じた教育を行うために、選択科目をなお一層多く取り入れて工夫をしているところでもございます。
 今後、生徒の個性を生かして、そしてまた伸ばすために、そういった観点から、特色のある学校づくりをさらに一層推進してまいりたいと考えございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 関西新空港南側連絡橋ルート建設運動については、知事から積極的に取り組んでいただけるとの御答弁をいただきましたので、ありがとうございます。
 当初、連絡橋が二本との構想があったようにも聞いておりますが、和歌山の飛躍的発展のためにも、全体構想に絡ませて南ルートの必要性の位置づけをしなければ、一度空港が動き始めてからでは遅いと考えますので、ぜひ今から関西新国際空港南側ルート構想の運動と取り組み推進を強力にしていただくよう、いま一度よろしくお願いして、私の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時九分散会

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