平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 二 号
 
 三月 八日 (木曜日) 午前 十時四十八分 開議
  午後 三時 九分 散会
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議 事 日 程 第二号
  平成二年三月八日(木曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第六十五号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第六十四号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第三 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第六十五号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第六十四号まで及び報第一号から報第四号まで(質疑)
 第三 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(二名)
 26 番  那 須 秀 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四十八分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査結果の報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、報告いたします。
 過日提出のあった議案第四十一号、議案第四十二号、議案第五十号、議案第五十一号、議案第五十三号及び議案第五十四号は職員に関する条例の改正でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴したところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   和人委第381号
   平成2年3月7日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成2年2月28日付け和議会第343号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
  記
 議案第41号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第42号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第50号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第51号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第53号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第54号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(門 三佐博君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第187号 
   平成2年3月8日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
  和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成2年2月定例会追加議案の提出につ
 いて
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第65号 財産の取得について
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○議長(門 三佐博君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第六十五号を議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。
 議案第六十五号は、南紀新空港の建設事業用地を取得することに伴い、財産の取得について議会の議決をお願いするものであります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第二、議案第一号から議案第六十四号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までをあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 8番鈴木俊男君。
 〔鈴木俊男君、登壇〕(拍手)
○鈴木俊男君 二月定例議会のトップに質問をさせていただく機会を与えていただきまして、まず厚く御礼を申し上げます。
 知事、議長を初め、皆様方に大変御迷惑をおかけいたしました父の告別式も、無事に済ませることができました。ありがとうございました。その疲れでありましょうか、体調が思わしくありませんが、気力を振り絞って質問をしてまいりたいと存じます。
 まず最初に、総選挙を終えて、私の所感を申し上げたいと思います。
 去る二月十八日に、衆議院議員の総選挙が行われました。我が和歌山県における投票率は六十一年の同一選挙を上回り、県民が今回の選挙にいかに関心が高かったかということを物語る結果となりました。皆様御承知のとおりの結果であります。この選挙を通じ、さらに選挙の結果を踏まえての所感であります。
 今回の選挙における争点のうち、最大のものは消費税存廃問題であったことは申し上げるまでもありません。昨年七月の参議院議員選挙においても、やはり消費税が最大の争点でありました。
 昨年四月一日から実施されました、いわば生まれたての税金・消費税がこの一年足らずの間に二回の国政選挙の最大の争点とされ、消費税そのものも立候補者と同様に、あるいはそれ以上に、二回の厳しい試練を受けたと思うわけであります。「新税は常に悪税である」と言われておりますが、生まれたての税金でありますだけに、二回の国政選挙は大変であったというふうに思います。
 昨年七月の参議院議員選挙は、逆風の中で我が自民党が過半数割れという大変厳しい結果となりました。そして、自民党はこの結果を厳粛に受けとめ、我々自民党県議団も消費者の皆さんの生の声をお聞きするとともに、自民党和歌山県連を通じ、党本部に対して積極的な見直し要求を重ねてまいりました。
 党本部は、こうした地方組織からの要求などを積極的に取り入れて見直し作業を精力的に行い、日常の暮らし、命などに直接関連する分野、例えば食料品小売、住宅家賃、入学金、さらに分娩費等について非課税扱いにするといった見直し案をまとめ上げたのであります。
 しかし、その間においても、消費税は国民の反発を受けながらも実施され、現在も、最初実施されたままの姿であります。間接税を導入した諸外国の例では、その定着には五年はかかると言われていることと比較いたしますと、自民党の見直し案をベースにいたしますと、我々の暮らしの中の一部として案外早く定着をしていくのではないかというふうに思っていた次第であります。
 果たせるかな、見直し案を示しながら消費税の存続を訴える我が自民党と消費税廃止を訴える全野党とが真っ向からぶつかり合ったのが、今回の総選挙であります。私は、この消費税については、二度目の国政選挙で、なお消費税廃止を求める声が高いものの、昨年四月からの実施によるなれに加え、自民党の見直し案を加味した消費税が、国民の審判でそれなりの評価を受けたと思うわけであります。
 もちろん、自民党が衆議院で安定多数を確保したからといいましても、参議院では逆転をされておるわけであります。いわゆる衆参ねじれ状態であります。与野党とも、国政の責任を分かち合い、そして今後いかなる政治体制を構築していくのか、いかなる内政、外交を行うのかという大きな視野と展望に立って、各党の真剣な本音の対話が強く望まれており、まず消費税廃止ありきでは本音の対話が始まらないのではないかと思うのであります。
 知事は、今回の総選挙で消費税が国民からどういう審判を受けたとお考えになっておられるのか、お答えをいただけるようでしたらぜひお聞かせをいただきたいと存じます。
 なお、このたびの総選挙で、ついこの前まで同僚でありました貴志八郎君が社会党から立候補し、見事当選をされました。立場こそ違え、ともに県政を論じ合ってきた貴志八郎君の国政での今後の御活躍を御期待申し上げる次第であります。
 国政レベルの議論は一応終わることといたしまして、平成二年は、一九九〇年代の最初の年であるという意味では、節目の年に当たります。今年度の予算は、仮谷知事が第四期県政を担当されて三年目の年に当たり、二十一世紀の和歌山を展望した長期総合計画のもとに、第一次中期実施計画の仕上げの年となる極めて重要な年の予算であります。知事がこれまで推進してまいりました数多くのプロジェクトや構想について、その成果を県民に示しますとともに、より一層明確な形でそのビジョンを明らかにしていかなければならない年に当たると考えます。
 平成二年度の予算編成に当たり、知事は予算の規模を四千億円台の大台に乗せ、対前年比八・九%増の伸び率を示すなど、知事の今回の予算にかける意気込みをひしひしと感じるのであります。そこで、知事が平成二年度の予算編成に当たって特に留意した点をまずお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、予算の全体的な姿についてお尋ねをいたします。
 まず歳入面でありますが、財政の運営に当たって最も重要な財源となるのは、言うまでもなく、税収であります。平成二年度予算を見ますと、税収総額九百四十五億円、対前年度伸び率で一八・一%増と、元年度のそれが二・八%であったのと比較いたしますと、かなりの復調がうかがえるのであります。
 聞くところによりますと、平成二年度の税収の特色といたしまして、従来の鉄鋼関連等のいわゆる大手三法人以外の法人の納税する税金等の伸びが大きいということであります。この点についてはとりあえず喜ばしいことと受けとめておるものでありますが、本県税収の体質が本当に改善されたと考えておられるのか、あるいはその方向にあると考えるのか、今後の財政運営を論ずる上で重要な問題であると考えます。総務部長に、平成二年度における好調な税収の見積もりの根拠と体質改善の問題についてお聞かせいただきたいと存じます。
 また、いわゆる自主財源の比率でありますが、平成元年度では三五・八%となっておりましたが、税収が伸びた割には平成二年度においては三六・一%と、さほど伸びておりません。地方財政としては自主財源のシェアが大きいほどよいと考えられますが、なぜ伸び率が低いのかもあわせてお尋ねをいたしたいと存じます。
 次に、歳出の問題であります。
 歳出全体の特色として、財政当局の説明によりますと、投資的経費への重点配分と人件費等の義務的経費の抑制の二点を挙げております。投資的経費の中でも、特に県単独事業の伸びが対前年度三割強のアップと、大変大きいわけであります。これは、新たな和歌山への飛躍のためにタイミングを失してはならないという知事の並み並みならぬ決意のほどと受けとめるのであります。
 しかし、単独事業の大幅な拡大ということが産業や生活基盤の整備のためにやむを得ないといたしましても、その財源として大きく伸びているのが県債であることを考えますと、果たして大丈夫なのだろうかと気になるところであります。
 大規模な県単独事業については、半島振興道路やふるさとづくり特別対策事業のように、地方交付税という国の財源措置のついた起債が認められており、それを最大限に活用するということでありますが、平成二年度、さらには今後における投資的経費、とりわけ県単独事業に対する知事の基本姿勢をお聞かせいただきたいと存じます。
 また一方、義務的経費についても、特に人件費のシェアが、昭和五十七年以来、知事部局では合計二百七十人の定数削減を行うなどの行政改革の効果もあって、平成二年度において初めて三分の一を割ったということであります。このこと自体は当局の大変な努力を評価するものでありますが、滋賀県や奈良県の元年度予算における数字がそれぞれ三一・三%、三一・四%となっていることを考えますと、まだまだ努力の余地があるのではないかと考えますけれども、総務部長の見解をお尋ねするものであります。
 人件費のほかに注目しなければならない義務的経費として、公債費があります。財政当局の話によりますと、元年度をボトムに今後公債費が累増していくという推計であるようで、平成二年度においては対前年比二・四%増となっています。将来の県財政を運営していく上で財政の硬直性を小さくする努力が必要と考えるのでありますが、県予算がこれだけ大きくなりまして、いわゆるビッグプロジェクト事業がメジロ押しとなっている状況のもとでは、どうしても、何らかの形で中期的な財政展望の上に立った各年度の予算編成という考え方をしていかなければならないと思うのであります。
 そこで、中期的展望を持った財政運営という問題についての知事の御所見、さらに、人件費、公債費等の義務的経費に対する基本的な考え方については総務部長の答弁を求めて、予算全体についての質問を終わらせていただきます。
 次に、土地対策についてであります。
 最近の地価暴騰は異常を通り越して、今やパニック状態を呈していると言っても過言ではありません。本来、土地というのは、限られた資源であり、生活、生産を支える諸活動の基盤となるものであって、公共財としての性格を持つものであります。
 しかし、今の日本の現状を考えてみますと、この限られた資源である土地が投機の対象になって、特定の企業、個人が資金力に物を言わせてこれに群がり、それに金融機関も加わって、地上げ屋とともに公共財としての土地をキャッチボールしているのであります。貴重な資源である土地が本来の需要・供給のメカニズムで取引されず、いわば本来は供給者側にあるべき者たちによってキャッチボールされ、土地転がしをして不当な利益を上げているわけでありまして、彼らこそ地価高騰の元凶であります。
 サラリーマンが退職金だけでマイホームの夢を実現させることが不可能となっておりますし、土地を持つ者と持たざる者との資産格差が拡大し、それが社会的不公平感を増大させております。私は、今や深刻な社会問題となっている土地問題に対して県が何らかの抜本的な対策を立てない場合には、それこそ、現在の体制を揺るがせる要因になるのではないかと危惧をしておるわけであります。
 昨年の臨時国会で、与野党が妥協して土地基本法を成立させました。この法律は、土地についての公共の福祉優先、投機的取引の抑制などといった基本理念を盛り込んでおりますけれども、具体的な、しかも抜本的な施策が手つかずのままとなっております。また、こうした狂乱地価は、道路などの公共事業を進める地方自治体にとっても深刻な問題を引き起こしておるわけであります。
 そこで、知事は、さきの国会で成立した土地基本法を受けて、国に対し、より具体的な施策の確立を全国知事会議等を通じて要望していくべきではないかと考えますが、まず知事の所見をお伺いしたいと存じます。
 次に、国土利用計画法に基づく監視区域制度についてお尋ねをいたしたいと思います。
 近畿では、大阪府、京都府、奈良県で急激な地価上昇が見られると言われておりますが、最近は特に、本県に隣接をしております泉南地域の地価が関空関連事業の影響を受けて、全国的に見ても突出して高い上昇を示していると言われておるのであります。この泉南地域の地価高騰が我が県にも波及をいたしまして、本県での泉南地域の不動産業者による土地買いあさりが地価上昇の原因と言われておるわけであります。
 大阪府では、本年の四月から地価監視のための土地取引の事前届け出を、市街化区域で百平米以上、市街化調整区域で三百平米以上に、それぞれ一律に引き下げることにしております。この大阪府下全域での届け出対象面積の引き下げで、今まで以上に投機マネーが本県に流れ込んで、さらに地価高騰に拍車をかけるのではないかと懸念をしております。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 現在のところ、地価高騰を抑制する施策としては地価監視制度しかありませんが、現在、指定をしております監視区域の面積基準は十分と考えておられるのか、地価高騰の続く地域の届け出対象面積の引き下げを考えるべきではないかと思うのでありますが、お考えをお伺いいたしたいと存じます。
 次に、関西国際空港をめぐる最近の動きであります。
 私たち県議会は、昨年十一月、関西国際空港対策特別委員会のメンバーで全体構想の早期実現、国内便の大幅確保、それに大阪空港の廃止を加えた陳情を運輸省、県選出の国会議員に対して行ってまいりました。大阪空港の廃止については、「今ごろ」あるいは「今さら」という受けとめ方をする国会議員の方もおられました。
 確かに、大阪空港は存続に向けて外堀を埋め、今や内堀も埋められてきておるというのを十分に私どもは承知いたしておるつもりであります。大阪空港の存廃は国が決めることであり、存続に向けての条件づくりが既にでき上がっている感すらございます。
 存続のための第一のハードルは、伊丹周辺十一市協が十三年間にわたり運動方針として盛り込んできた「空港撤去の姿勢」であったと思うのでありますが、それが転換されたのであります。さらに、運輸省が行った平成五年の関西国際空港開港時における近畿圏の航空需要予測、あるいは大阪空港周辺住民の存廃に関する意識調査、大阪空港周辺の騒音対策協議会の「撤去」から「存続」への転換など、存続に向けての条件はすべて整ってきていると言っても過言ではありません。
 そうしたことを百も承知で、なぜ地元でもない和歌山県が大阪空港の廃止にこだわり続けるのか。伊丹周辺の人たちが存続してもらっても結構だと言い出してきているのにであります。
 私たちも、関西国際空港の全体構想が第六次空整で正式に認められ、私たちが期待する大幅な国内便の確保が図られるということになるのでありましたら、大阪国際空港の存続に異論を挟む気など全くありません。しかし、運輸省の行う航空需要予測でも大阪空港の存続を含めた調査を行うなど、大阪空港の存続が関西国際空港の全体構想推進にマイナス要因となっていると考えるからであります。関空の全体構想の推進や国内便の大幅確保のための戦略として、私たちがこだわっているわけであります。
 考えてみますと、国際空港は第一種空港であり、本来、国の責任において建設しなければならないものであります。関西国際空港の建設について、地元同意の段階では、国である運輸省が地元三府県の同意を求めてきたものであり、そしてその当時の関西国際空港計画は「三本の滑走路を持つ日本で初めての二十四時間空港」と説明を受けたのであります。
 しかし、国の財政再建のあおりを受けて、現在のような株式会社方式となり、当面、一本の滑走路でスタートし、二期計画については近畿圏の航空需要を考慮して決めるという段階施工となったものであります。
 日本は空港の後進国と言われておりますが、それは空港の整備が立ちおくれ、経済大国ではあるが空港は二流国並みだと言われているからであります。世界の主要な国際空港で、滑走路一本の空港などありません。本来、国の責任において建設される国際空港が、地方空港と同じように国に陳情して全体構想の推進を訴えなければならないところに、主客転倒の感すら禁じ得ません。
 それはそれとして、ことしは関西国際空港の全体構想にとって、まさに正念場を迎えております。平成三年度から始まる第六次空整に関西国際空港の全体構想が位置づけされるかどうか、大変重要な年でありますが、その見通しをお聞かせいただきたいのであります。
 次いで、国内便の確保についてであります。
 この第六次空整に、近畿では播磨、神戸沖、滋賀がこの計画に位置づけを要望しているようであります。こうした地方空港が六次空整に認められるということになりますと、近畿圏の国内航空需要全体から考えた場合、関西国際空港の全体構想と国内便の確保に影響を及ぼすことにならないかという懸念をいたすものであります。
 全国の高速道路あるいは新幹線、また本四架橋の建設など、大きなプロジェクトはいずれも強力な政治力で日の目を見てきておるわけであります。私たちも行動し、最大限の努力をいたしますが、関空の全体構想の第六次空整での明確な位置づけをかち取るための仮谷知事の力強いリーダーシップを期待し、全体構想の早期実現のための重要な時期を迎えての知事の決意のほどをお聞かせいただきたいのであります。
 次に、世界リゾート博についてお尋ねをいたします。
 最近、地域活性化の起爆剤として、全国的に地方博覧会が話題を集め、さまざまな博覧会が開催されております。本県でも、建設が急ピッチで進んでいる和歌山マリーナシティを主会場とした-ウェルネスWAKAYAMA-「世界リゾート博」が平成五年の夏を目途に開催されることが正式に発表されました。
 最近の余暇時間の増大を背景にして、海洋性レクリエーションの需要が増加、多様化をいたしております。和歌山マリーナシティは、国際的な都市近郊型海洋性レクリエーションの基地として必ず成功するものと信じます。この和歌山マリーナシティを主会場とした世界リゾート博は、世界に開かれた関西国際空港の開港をターゲットにして国内外にアピールしようとするものであり、その企画としてはまことにすばらしいものと考えます。
 そこで、知事並びに企画部長に、この世界リゾート博を開催する意義やそのもたらす効果、規模、内容等のアウトラインについてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 この博覧会が成功するかどうか、そのキーポイントは交通アクセス問題にあると思います。いかに企画、内容がすばらしくとも、来場者をスムーズに交通渋滞なく輸送できなければ、世界リゾート博といいましても、和歌山県のイメージダウンになることは必定であります。そういう観点から、一刻も早い交通対策が望まれるところであります。これに対する当局の答弁を求めます。
 時間がございませんので、取り急いで質問を続けます。
 次に、紀淡海峡トンネル構想についてお伺いをいたします。
 紀淡海峡トンネル構想は、昭和五十四年に仮谷知事が新春の夢として構想を発表されました。昭和五十六年には県独自の調査、五十八年には鉄建公団による四国新幹線ルートの一つとしての調査、また、六十二年には第四次全国総合開発計画において大阪湾環状交通体系として上位計画への位置づけがなされたところであります。仮谷知事の構想から十年、最近の技術革新の進展から見まして、この紀淡海峡についてのさまざまな可能性が指摘されておるのであります。
 私は、先日、新聞でマリーン・エクスプレス構想というのを拝見いたしました。これは、リニア技術を海中に活用しようというもので、水陸両用のリニアが水面下に潜って走る列車システムでありまして、現在、九州大学で既に実験されているということであります。これであればトンネルの必要もありませんし、海中の景色も楽しめるという、極めてリゾートにも役立つ大変おもしろい企画・アイデアであると思うのであります。
 紀淡海峡構想の推進に当たっては、このような技術革新を取り入れて、マリーン・エクスプレスを紀淡海峡にという私の提案を含めて柔軟に対応していく必要があるのではないかと思うのでありますが、知事の所見をお伺いしたいと存じます。
 また、紀淡海峡トンネル構想の推進に当たっては、関西広くは西日本の地方自治体などと手をつなぎまして、国家的なプロジェクトとして位置づけを図っていくことが何よりも重要であります。昨年大分県で開催されました第二国土軸シンポジウムに仮谷知事も出席されたようでありますが、このシンポジウム開催の効果をどのように受けとめておられるのか、またことし和歌山でこのシンポジウムが開催されるということでありますが、それに知事はどのような姿勢で取り組もうとされているのか、お伺いしたいと存じます。
 また、紀淡海峡トンネル構想は、四全総にも位置づけされておりますが、大阪湾環状交通体系としての観点からのとらえ方も重要であると考えます。この点についての取り組み姿勢についてもお伺いをしたいと思うのであります。
 次に、全国スポーツ・レクリエーション祭についてお尋ねをいたします。
 本県開催が内定してはや一年を経過いたしまして、祭典の開催まであと七カ月余りとなりました。仮谷知事は、この祭典を「生涯を通じたスポーツ・レクリエーション活動の振興という時代の要請に基づいて開催される」と位置づけをいたしました。さらに、「この祭典が一過性のものにならないように、我が県を全国にPRする絶好の機会として、先進県よりも立派なスポーツ祭典としたい。そのためには全庁的な体制で取り組んでいきたい」と述べておりますが、この祭典の本県開催を強く訴えてまいりました私にとりましても、知事の考え方に全く同感であります。
 そこで、この祭典の開会式、あるいは種目別大会がそれぞれスムーズに運営されることがもちろん大事でありますけれども、この祭典がスポーツに参加される愛好者だけの交流で終わるのではなくて、これを迎える県民も何らかの形で参加、協力していく、そして県全体の盛り上げを図ることも重要であろうと思います。そこで、この祭典を開催するに当たっての、それにふさわしい準備がもう既にできておるんだろうかということも心配をいたしておりますので、そのことについてお伺いをしておきます。
 次に、全国から参加されるスポーツ愛好者を温かく迎える歓迎態勢づくりもどうなっているのか。また、教育長にお尋ねをしておきたいのでありますが、この祭典は既存の施設を有効活用して行うということでありますけれども、施設の整備状況はどうなっているのか、あるいは宿舎の確保がどうなっているんだろうか。また、開会式の行われる紀三井寺公園の陸上競技場までの輸送体制がどうなっているのか。限られた時間に選手とか役員が一堂に会しなきゃならん、あるいは観客もございますし、そういう意味では大変であります。それについての心配もしておりますので、輸送体制についての教育長の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 時間が限られてまいりましたので、質問を進めます。
 最後になりましたが、天神崎のナショナルトラスト運動についてお伺いをいたしたいと思います。
 私は、率直に言って、天神崎におけるナショナルトラスト運動は心ない開発業者によって大変な危機に直面しているというふうに、まず申し上げなければならないと思うのであります。
 天神崎は、御承知のとおり、田辺市の北西部に位置する夕景色の美しい岬でありまして、広い磯と背後の海岸林が豊かな自然をはぐくみ、古くから市民に親しまれた景勝地であります。この二十ヘクタールの丘陵地とその前面の岩礁部から成る半自然海岸で、市街地に近接しているにもかかわらず、海岸林の動植物と海の動植物が平らな岩礁を挟んで同居し、森、磯、海の三者が一体となって一つの安定した生態系を形づくっていると言われておるのであります。
 この天神崎は、県が昭和四十七年に県立自然公園の特別地域に指定し、国立公園と同等の規制を行った地域でもあります。現に、この自然環境に目をつけて、田辺湾の南岸湾口近くに京都大学の瀬戸臨海実験所が設置され、また湾内の畠島は、海岸生物相を保護する目的で島全体が国有地化されているのであります。
 昭和四十九年、この自然の宝庫・天神崎に別荘地の開発計画が起こり、丘陵地の一部は開発業者に買い占められ、別荘地としての開発申請が提出されたことがございました。そのことを知った市民が、自分たちの手でこの自然を残そうと、天神崎の自然を大切にする会をつくり、署名や募金活動を始め、全国初のナショナルトラストとしての輪が大きく広がり、ついに開発予定地の買い取りに至ったわけであります。その後、天神崎の自然を大切にする会の財団法人化が進められ、昭和六十一年七月、財団法人として県から許可を受け、昭和六十二年一月には全国で初めて自然環境保全法人としての認定をされたのでありました。
 こうした天神崎をめぐる活動は、日本におけるナショナルトラスト運動の先駆けとして、全国的に、いや今ではもう世界的に有名となって、現在も各地に起こっておりますトラスト運動の先駆者として常に注目を浴びているところであります。
 天神崎の自然を大切にする会は、十数年にわたる血のにじむような地道な活動によって、全国から総額約三億三千四百六十二万の寄附を受け、買い上げた土地は約三万七千平米であります。これに田辺市などが買い上げた管理を委託されている土地を加えても、全体で約四万四千六百平米にすぎません。財団法人としての民間の組織であり、全国からの浄財にも限度があります。県でも、第二次買い上げ地域と呼ばれている地域を田辺市が買い上げるに際して、二千五百万円の補助金を出してこの運動をバックアップされております。
 最近のリゾート開発ブームの中で天神崎にも開発の動きが出ていると警戒をしていたやさき、特別地域内の一部がひそかに開発業者二社に転売されていることが明らかになったのであります。これは、天神崎の自然を大切にする会、あるいはこの運動のために寄附をされた全国の協力者の方々、そしてこの運動をバックアップしてきた田辺市や県に対する明らかな挑戦であると思うのであります。このような心ない開発業者に我々は屈するわけにはまいりません。
 そこで、私はこうした開発業者に怒りを持ちながら、今後、この業者からの開発申請がなされる場合、行政としては、これに対してあらゆる法を駆使してでも毅然として開発規制の姿勢を貫くべきであると考えます。なぜならば、それがこの種の開発業者の土地買い占めを阻止する最も有効な手段だと信ずるからであります。知事のこの点についてのお考えをぜひお聞かせいただきたいのであります。
 さらに、地価高騰の中で、民間の組織による特別地域買い上げにも限界があります。県は、これまでのかかわりから考えまして、田辺市とも相談しながら、早急に、せめて特別に保全が必要な地域だけでも、地方自治体がバックアップして買い上げるなどの特別な措置をしなければならないと思うのでありますが、これについても知事の見解をぜひお聞かせいただきたいと存じます。
 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの鈴木俊男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 鈴木議員にお答えいたします。
 第一点、今回の総選挙における消費税についての審判を知事はどう考えるかということでございます。
 お話ございましたように、私は、今度の選挙が国政を論ずる上で大変意義深いものであったと思います。特に消費税につきましては、昨年の四月に導入、七月の参議院議員選挙での結果、その後における見直し論議と、非常に目まぐるしい動きでございました。
 今回の選挙においても、消費税については見直し案等を中心に議論がなされたところでございますけれども、その結果を見ましても、国民の消費税に対する見方も随分変わってきたと感じておるところでございます。
 今後、新しい国会で日本の将来を展望して種々の論議が行われると思いますけれども、県民生活、また経済活動に不測の影響がないようにという観点から、私も注目してまいりたいと思っております。
 次に、平成二年度の予算編成に当たって留意した点、また単独事業に対する基本的な考え方でございます。
 議会冒頭において私が説明申し上げたところでございますけれども、平成二年度というのは、関西空港を大きなインパクトとして飛躍発展するときだと考え、そうした面において、編成に当たりましても、福祉の問題、健康の問題、教育文化等、諸施策の充実はもとよりでございますけれども、時代を先取りした投資的な事業の拡大を図ったところでございます。
 特に、総合交通体系上、緊急に整備すべき道路等については、半島振興道路、ふるさとづくり特別対策事業道路といった国の財源措置のある起債の活用を図りまして、実質的に公共事業並みの県費負担で県単独事業として事業の推進を図っておるわけでございます。
 また、国の公共事業の導入についても、県勢発展のための産業基盤整備等々を重点にいたしまして、最優先的に獲得に努めてまいったところでもございます。また、市町村の財政の厳しい中でございます。財政負担の軽減に努めまして、二年度では約五億円の市町村負担の軽減を図ったところでございます。
 いずれにいたしましても、国の公共事業を軸に、県費負担を十分念頭に置きながら、単独事業を有機的、体系的に組み合わせて、各般の施策の展開に取り組んでまいったところでございます。
 それから、新年度予算は規模、伸び率ともに大型になったわけでございますけれども、これは、話ございましたように、従来からの構想であった、また計画段階であった種々のビッグプロジェクト、例えば南紀新空港、マリーナシティ、図書館、美術館、医大の統合移転といったプロジェクトが本格的な事業を開始する段階に入ったわけでございまして、これらのプロジェクトが完成するまでの間、毎年度多額の財源が要るわけでございます。そうした中期的展望に立った運営が一層重要であると考えてございまして、特に和歌山県のように国庫依存財源比率の高い団体においては厳しいわけでございます。
 これから始まる第二次中期実施計画の策定に当たっても、事業費の的確な把握と基金の有効な活用により年度間の調整を図ってまいりたいと思っておるわけでございまして、計画的な運営を図ってまいる所存でございます。
 それから、土地対策でございます。
 お話ございましたように、最近の地価の高騰というものは非常に激しいものがございまして、私は、現在の日本における最も重要な社会問題ではないかと考えておるわけでございます。県としても重要な課題でございまして、専任の課を新たにつくって土地対策を進めてまいりたく、現在、検討を進めておるところでございます。
 また、このたび国において成立した土地基本法は、お話のように、土地に対する基本理念や施策の展開方法を定めたものでございます。土地対策の総合的な運用を図るためには、私は個別の法律、制度の活用が必要だと思うわけでございます。
 国においても、昨年の十二月二十一日に土地関係の閣僚会議が開かれ、住宅の問題、宅地供給の促進、土地税制見直しなど、十項目にわたって今後の土地対策の重点的な施策方針が定められてございます。これに基づいて国においても考えられると思いますけれども、県においても、やはり公共事業の実施を行うについても、土地収用法の改正の問題とか、地籍調査の問題とか、税制の問題とか、金融上の問題とか、具体的な諸問題があるわけでございまして、御提言のございましたように、各法律等が制定される際に当たり、知事会等を通じ、またあらゆる機会を通じて、そうした点を盛り込んでいただくよう積極的に提言してまいりたいと思っております。
 それから、大阪国際空港でございます。
 かねてから申し上げておりますように、私なりの主張を運輸省に申し述べてまいっておるわけでございます。私は、この問題の根本は環境問題だと思います。第一義的には国と関係自治体、関係住民の間で結論を出すべきだと認識してございます。
 しかしながら、仮に大阪国際空港の存続が決定されるとしても、国において関西国際空港は国内線、国際線両用の基幹空港として位置づけられておりますので、このことを前提として議論されなければならないと思っておりますし、大阪国際空港は関西国際空港の補完空港としての位置づけでなければならないと私は思っております。
 今後とも、関西国際空港により大幅な国内便の確保がなされるように、県選出の国会議員並びに県議会の皆さん、関係者の皆さんの強い御支援をお願い申し上げるところでございます。
 また、全体構想の実現についてでございます。
 特にありがたいのは、二区選出の二階代議士が運輸省の政務次官になったことでございまして、こうした点から国内便の確保の問題、また全体構想の実現についても、私は大いに意を強くしているわけでございます。
 近く審議会で諮問することになっておりますし、ことしの八月の予算編成期までに中間答申もあろうかと思うわけでございまして、ことしが正念場だと思うわけでございます。
 県内のそうした全体構想実現の協議会、また近畿全体の期成同盟会が相連携を深め、私も近畿知事会の会長もやっておりますし、また近畿の期成会の代表理事もやっておりますので、そうした面で皆さん方の御支援をいただいて、全力を挙げて努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、世界リゾート博の取り組みについてでございます。
 -ウェルネスWAKAYAMA-「世界リゾート博」については、関西国際空港の開港を契機に、リゾート地域としての本県の持つ恵まれた自然、歴史、文化資源や産業など、和歌山の魅力を国内外にアピールするために開催するものであり、経済的な波及効果を初め、地域のイメージアップによる観光客の増加や企業誘致の拡大、また県民の連帯感の醸成、人づくりや町づくり、さらには産業の活性化など、多角的な効果を上げてまいりたいと思います。
 特に、本県が開催する博覧会は、リゾートをテーマにしたものでは日本で初めでございます。それだけに、体験、参加を通じてのおもしろさや楽しさ、また博覧会ならではの夢、未来性などの内容的な問題につきましても、いろいろな面を考えてやってまいりたいと思います。
 ただ、お話ございましたように、前提となる交通対策が大事だということでございます。いろいろな課題がございますけれども、県民の皆様の協力を得ながら努力してまいりたいと思っております。
 それから、紀淡海峡トンネル構想についてのマリーン・エクスプレス構想でございます。
 紀淡海峡トンネル構想については、話ございましたように、第二国土軸、瀬戸内海の環状交通体系、大阪湾環状交通体系といった交通体系の軸上に本県を位置づけていくということが極めて重要でございますので、その線に沿って推進を進めておるわけでございまして、近年、各界の皆さんが強い関心を持っていただいておるということ、非常に心強く思っているところでございます。
 御提案ございましたマリーン・エクスプレス構想も、私も読ませていただいて大変興味深く、一つの可能性であろうと考えます。今後、紀淡海峡トンネル構想の推進に当たり、御提案も含め、さまざまな可能性について広い視野から調査検討を進めてまいりたいと思います。
 それから、紀淡海峡トンネル構想の第二国土軸シンポジウムの開催でございます。
 昨年、大分県で、愛知県から大分県まで関係の十七府県の共催という形で開催されたものでございまして、それなりに私は意義があったと思います。その際に、大分、愛媛、徳島の知事さんと話し合って、このようなシンポジウムを単年度で終わらせることなしに続けてやろうじゃないかということで、ことし和歌山県で開催しようということで合意したわけでございます。その開催に当たって、関係の皆さんの御参加を得て、紀淡海峡トンネル構想の推進に一層の弾みをつけてまいりたいと思っております。
 それから、全国スポーツ・レクリエーション祭でございます。
 これに取り組む姿勢の問題でございますけれども、さきの国体で和歌山県のことを全国の皆さんに十分知っていただいた、またスポーツの振興に大いに役立った、このことが大きな思い出でございます。
 今回の生涯スポーツの祭典においても、和歌山県のすばらしいところを全国の皆さんに知っていただく、そして、関係する皆さんだけではなしに、すべての県民の皆さんが温かく県外の皆さんを迎えて、特に関西空港が近くできようとしておりますし、またリゾート構想が取り上げられておるときだけに、和歌山のよさを十分知ってもらうようにこの大会を進めなければならないと存ずるわけでございます。
 その進め方でございますけれども、昨年の二月に開催が内定して以来、準備委員会を設けました。そして、中央の主催団体及び関係機関と十分協議を重ね、開催期日、実施種目、会場地を決定するなど、諸準備を進めておるわけでございまして、去る二月二十三日には、約五百人の関係の皆さんの御参集を得て実行委員会を設立いたしたところでございます。
 しかしながら、具体的に進めるのはこれからが本番だと思うわけでございます。おっしゃられた趣旨を十分体し、積極的に対処してまいりたいと思います。
 歓迎等の問題については、教育長から答弁申し上げます。
 それから、天神崎のナショナルトラスト運動でございます。
 天神崎については、私も自然保護のシンボルとして非常に重要なことだと考えておるわけでございますし、この関係の皆さん方の御努力に深い感謝と敬意を持っておるところでございます。
 県においても、議会の同意を得て、昭和五十七年に二千五百万円の金を支出して用地の確保に尽くしたところでございますし、保全を図るための開発行為の規制等についても十分注意をしておるわけでございます。また、ナショナルトラスト第一号として全国最初の認定を受けるためにこの運動を支援してまいったところでございます。
 話ございました、この地域を開発しようとする者があるという問題につきましては、県立自然公園の規制を初め、あらゆる手法を使って厳正に対処してまいらなければならないと思っておるわけでございます。また、ナショナルトラスト運動は、民間の純然たる運動でございますので、私たちがその運動をどの程度応援していくかということも十分考えながら、そのトラスト運動が積極的に推進されるよう田辺市ともども考えてまいりたいし、また、その天神崎の地域の保全すべきところはどこかという問題もあろうかと思うわけでございます。岩礁地帯は国有地になっておりますから、基盤的に一番重要なところは保護されるわけでございまして、森林地帯のどの部分、一般地帯のどの部分にするかという規制範囲の問題、そしてまた、保全し守らなければならない地域をトラストの皆さんがどの程度までしておるか、見通しはどうかという問題等々あるわけでございます。そうした問題等につきまして、田辺市、そしてまた守る会の皆さん方の意見を聞きつつ対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 県税の予算計上については、その年度の財政運営に大きな影響を与えることから、適正かつ確実な見積もりに努めているところでございますが、平成元年度は、好景気を反映して、法人二税、県民税利子割、不動産取得税などにおいて当初予算を大幅に上回ったところでございます。
 平成二年度は、このことを踏まえながら見積もりを行い、特に本県の税収に大きなウエートを占める法人二税については、景気の動向等に大きく左右されるため、主要な企業からのヒアリングを行うとともに、数百社を対象にアンケート調査を実施したほか、各税目についても慎重に検討を加えたところでございます。
 その結果、今後の経済動向による点もありますが、法人二税、県民税利子割などについて引き続き順調な税収を期待し、積極的な予算計上を行ったところでございます。
 また、税収の体質改善についてでありますが、昨年の税制改革において、個人県民税、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税が改正され、大幅に縮減された結果、本県の税収に占める法人二税のウエートが若干ふえているところでございます。
 この法人二税の税収構造を長期的に見た場合、昭和五十五年度から六十一年度においては大手三法人だけで四〇%程度のシェアがあったわけですが、近年においてはそのシェアが下がり、二〇%程度になっておるところでございます。このため、大手三法人を除くその他の法人については、法人二税に占める割合は昭和五十五年度の六〇%程度が最近では八〇%程度に上昇しているところでございます。県税収入の基礎となる本県経済の強化のためには、加工組み立て型産業の比率を高めるなど、今後も産業構造の高度化に努める必要があると考えております。
 また、自主財源比率については、御指摘のとおり、平成元年度三五・八%に対して二年度が三六・一%と、ほぼ横ばいでございます。これは、地方交付税や県債といったいわゆる依存財源の伸びが顕著であったことと、自主財源のうちの基金繰入金を元年度に比べ低く抑えることができたこと等によるものでございます。
 自主財源比率の問題については、東京一極集中という現実を踏まえた場合、地方交付税や地方譲与税という手法による地方間の格差是正はやむを得ないという議論も一方ではあるものの、やはり地方財政の運営に当たっては県税収入の元となる税源の涵養が重要であると考えております。このためには、企業誘致はもちろんのこと、安定した税源涵養につながる社会資本の整備、産業構造の高度化等に一層努力してまいらねばならないと考えております。
 また、財政構造の中で、人件費についてはその構成比が近年において毎年減少傾向にございまして、二年度当初予算においては元年度の三四・六%から一・六ポイント低下し、三三・〇%となったところでございます。
 しかしながら、低下したとはいえ、全国平均やただいま御指摘の近隣類似県と比較した場合なお高い水準にあること、また国の給与水準と比較したラスパイレス指数で見て全国第十位にあること等を見るとき、なお一層の努力が必要であると考えております。
 いずれにしても、今後の財政の弾力的な運営、特に県勢活性化のための諸事業を積極的に推進する上でも、人件費を初めとする義務的経費の抑制を図るため、引き続き行政改革に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、公債費の問題についてでございます。
 南紀新空港、図書館、美術館等の事業の本格化等により、県債残高が増加し、財政硬直化につながるという懸念があることも御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、本県の活性化につながる社会資本の整備は本県にとって緊急の課題でございまして、その利益を享受する後世代との負担の公平や将来における税収へのはね返り等の観点から、県債の発行を考えていく必要があると考えております。
 いずれにしても、ふるさとづくり特別対策事業や半島振興道路等、国の財源措置のある起債の活用を図り、将来の公債費の県費負担軽減に努めるべく、今後ともできる限りの工夫を凝らしてまいらねばならないと考えておるところでございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、国土利用計画法監視区域の問題についてでございます。
 監視区域の指定に当たっては、その地域の地価動向、土地取引及び全国の地価動向、社会状況を総合的に判断して指定することとなってございます。
 県においても、県民生活の向上、県経済の活性化、また関西国際空港関連事業を初め公共事業等の実施に当たり、地価の安定は大変重要なことでございますので、地価上昇の見られた和歌山市を初め二市四町について、昨年、監視区域に指定いたしました。また、ことし三月十日から、海南市を初め紀の川流域の二市七町に監視区域を拡大し、土地取引の価格や利用目的について厳しく審査し、指導を行い、地価の安定や投機的取引の防止に努めているところでございます。
 また、監視区域に指定した地域については、詳細調査や地価動向調査を実施し、地価の動向や土地取引の状況の把握に努めているところでございますが、こうした調査結果を踏まえ、今後、届け出対象面積の引き下げ等、土地対策について時宜を失することなく、的確な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、第二点の-ウェルネスWAKAYAMA-「世界リゾート博」の規模及び交通対策についてでございます。
 昨年四月に設置した和歌山地方博覧会準備委員会で検討をしていただいているとともに、庁内においても推進連絡会議で種々検討を重ねているところでございます。
 まず規模についてでございますが、会場としては和歌山マリーナシティの第一工区約二十七ヘクタールを主会場として、パビリオン等の施設を配置いたします。さらに、第二工区の一部を駐車場として活用するとともに、分散会場についても検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、目標入場者数でございますが、他府県で開催された地方博覧会等を参考にしながら、現在、準備委員会で検討をしていただいているところでございます。
 また、交通対策については、来場される方々がスムーズに快適に入退場していただくためにも非常に重要なことであり、関係部局と鋭意検討しているところでございます。
 なお、具体的な対策としては、アクセス道路の整備はもちろんのこと、列車等の大量輸送手段の確保や臨時バス等の運行計画の立案等、ハード面・ソフト面両面について、関係機関、関係部局と十分な連携を図りながら、万全の努力を傾注してまいりたいと考えてございます。また、主会場である和歌山マリーナシティの特性を生かした海上輸送等についても、今後十分検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、第三点の紀淡海峡トンネル構想と大阪湾環状交通体系との関係についてでございます。
 紀淡海峡トンネルについては、先ほどの知事答弁にもございましたが、議員御指摘の大阪湾環状交通体系とともに、瀬戸内環状交通体系や、あるいは大きくは第二国土軸の形成という広域的な意義、役割があると考えてございます。こうした広域交通体系の軸上に和歌山県を位置づけていくことが本県の将来の発展にとって不可欠であると考え、その推進に努めているところでございます。
 大阪湾環状交通体系については、関西国際空港を核とし、和歌山県域を含む大阪湾地域の一体的な開発にとって極めて重要な視点であると考えてございまして、四全総の策定に当たっても国に強く働きかけ、その位置づけを実現してまいりましたし、また大阪府との間で紀淡海峡トンネルを近畿のリーディングプロジェクトとして位置づける等、関係府県との連携にも努めてきたところでございます。また、昨年九月には関西の産・官・学から成る大阪湾ベイエリア開発推進協議会が設立されました。また、国においても各種の調査が進められてございます。
 このように、関係機関の受け皿ができてきてございますので、こうした場へ積極的に参加するとともに、今後、強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 世界リゾート博への交通アクセスについてでございますが、博覧会のような一過性の大量・多様な交通量に対応するには総合的な交通対策が必要なことは、企画部長の答弁のとおりでございます。
 その中で、議員御指摘の博覧会会場となる和歌山マリーナシティへの道路アクセスについては、混雑を避けるため、北及び東の二方向からの進入路として毛見一号線及び毛見二号線を計画し、現在、鋭意事業を進めております。
 京阪神方面等からの阪和自動車道を利用する交通については、海南インターからは直接四十二号を経由して、また海南東インターからは、現在整備中の都市計画道路築地阪井線及び四十二号を経由して毛見二号線に至るルートを考えております。
 また、主要幹線の機能確保という観点から、国道四十二号の紀三井寺─海南間の交通混雑の対策として、県も協力の上、毛見トンネルの事業促進を図るとともに、紀三井寺交差点の渋滞対策の実施を国に強く要望してまいります。特に、紀三井寺交差点については、当面の対策として実施可能な渋滞対策を講ずるよう、国に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 第三回の全国スポーツ・レクリエーション祭の開催に関して、まず歓迎体制等についてお答えを申し上げます。
 このことについては、先ほど知事からその基本的な考え方の答弁がございましたが、御承知のように、関西国際空港の開港を目前に、しかもさらに飛躍的な本県のこれからの進展を考えるときに、全国の皆さん方に本当の和歌山を、そのよさを知っていただく絶好の機会であると私どもは考えてございます。
 県が主催をする各種のイベント及び観光行政とも関連をさせながら、本県の美しい自然に触れていただくとともに、県民の皆様方に御理解をいただき、心温まる接待等ができるように、全庁的な体制で進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、施設の整備状況についてでございます。
 お話のように、基本的には既存の施設の有効活用を図ってまいることになってございますが、特にその中でもメーン会場となる紀三井寺公園陸上競技場については、内装、外装の改修等を行い、開会式会場に本当にふさわしいものになるように、その整備を行うことといたしてございます。
 また、県立体育館については、アリーナ部分の全面改修や室内の照明器具の増設等を加え、さらにまた、体力開発センターについてはオゾンによるプールの浄化装置を新設するなど、必要な改修を行ってまいることになってございます。
 次に、宿泊対応でございます。
 観光シーズンで、ホテルあるいは旅館等の確保が困難であるとも予想がされますため、関連の業者等の全面的な協力をいただき、参加者の宿舎の確保はもちろんのこと、配宿計画、接遇等に十分留意をし、受け入れ態勢に万全を期してまいりたいと考えてございます。
 最後に、開会式に参加をする関係者の輸送についてでございますが、先催県と同様、バスを中心とする計画輸送を行いたいと考えてございます。また、駐車場については、会場周辺の遊休地等を借り上げるなど、その確保に努力をいたしますとともに、マイカー利用の自粛に協力をいただきながら、今後、県警察本部等、関係の機関と十分連携を深め、円滑な輸送ができるよう総合的な輸送体制を講じてまいる決意でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 8番鈴木俊男君。
○鈴木俊男君 多岐にわたる質問をいたしまして、ほぼ期待をしております答弁をいただきました。
 ただ、なおただしたい点もありますが、発言時間がもう二十五秒というふうに言われておりますので、時間がありません。今後の議会活動の中で、これらを明らかにしていきたいと存じます。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) 以上で、鈴木俊男君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時八分休憩
 ──────────────────── 
 午後一時七分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 まず最初に、平成二年度県予算案並びに平成元年度補正予算案にも関連しながらお尋ねを申し上げていきたいと思います。
 知事の御説明によりますと、平成二年度県予算案は「二十一世紀に向けての『和歌山』の新たな離陸のため、エネルギーを充てんし、さらにエンジンを始動させるときにある」として、「新しい時代に挑む力強い地域産業の発展」、「健康で快適な暮らしと生きがいのある福祉社会の建設」、「明日を担う人づくり」、「魅力ある文化の創造」等を県政の重点として、県勢のさらなる伸展に全力を傾注する旨の所信を述べられました。
 果たして平成二年度県予算案そのものが県民の暮らしや福祉の充実、地域産業の発展に向けて均衡のとれた積極的な内容になっているかどうか、検討を重ねてきたところでございますが、残念ながら、歳出予算の款別に見てまいりますと、御承知のように、県民福祉増進のための民生費においては対前年度比で〇・一%、金額ではわずかに三千五百七万六千円の増加しかございません。また、県民の健康を守るための衛生費におきましても対前年度比較で〇・一%、金額では九百八十四万四千円の増加にとどまっています。労働者のための福祉向上につながる労働費に至っては、平成元年度当初予算に比べ六千五百九十八万九千円の減額という状況であります。
 中でも、地場産業や中小企業の振興のための予算であります商工費では、平成元年度当初予算に比べ九億九千六百九十万二千円に上る大幅な減額という状況にありまして、活力ある県づくりの重要な柱となる中小企業、地場産業、商店街の振興策に逆行する予算内容であると申し上げざるを得ません。
 伸び率で最も高いものでは諸支出金の五三%、金額では二十六億円余の増、これは利子割県民税の市町村に対する交付金で二十一億円余がふえたことになろうかと思われます。
 問題点として重視をいたさなければならないのが総務費でございまして、対前年比三三%増、金額では百八億三千万円余という破格的な増加であります。この要因は、県債管理基金積立金として百三十九億三千六百九十一万一千円が予算措置されたことでありまして、当初予算においてこれだけ多額の自主財源が積立金として扱われるところに自主財源の運用のあり方で重大な問題を残しているとして、まず御指摘を申し上げておきたいと存じます。
 続いて伸び率の高いのが土木費で、対前年比一二%増、金額では百五億円余の増加となっています。農林水産業費では対前年比八・四%の伸びとなり、金額では三十五億円余の増加となっています。
 以上が平成二年度県予算案での歳出における款別の状況でありますが、これらの点について、まず知事にお尋ねを申し上げたいと存じます。
 平成二年度の予算編成に当たりましては、御承知のとおり、財源の確保について、県税で百四十四億円余の増収となり、地方交付税においても百億円余の増加が見込まれており、加えて県債についても六十億円余の増加となっている現状からいたしますと、近年に見られない財源確保の状況に置かれているのであります。したがって、各款別におきましてもそれなりに均衡のとれた予算措置ができたものと思料いたしているところであります。
 知事の説明にもありましたように、平成二年度県政の重点である「新しい時代に挑む力強い地域産業の発展」の課題について行政として対応されていく場合には、当然、商工費においてそれなりの積極的な措置がなされなければなりません。予算措置において対前年度比減額という状況では、矛盾したものとなっているのではないでしょうか。どのように把握されているのか。
 また、「健康で快適な暮らしと生きがいのある福祉社会の建設」を進めるとされていますが、このためには民生費、衛生費で十分な対応がなされなければなりません。平成二年度予算で、民生費で老人福祉を初め十三件、予算で一億二千二百九十八万七千円の新規事業が計上されているものの、平成元年度当初予算額と同額程度しか措置されておりませんし、衛生費におきましても、成人病予防特別対策事業費を初め九件の新規事業、金額では九千八百四十九万四千円の予算措置にとどまっており、平成元年度当初予算額と同額程度といった状況にあります。
 このような予算内容からいたしまして、県民の「健康で快適な暮らしと生きがいのある福祉社会の建設」に取り組まれる予算とは到底理解しがたいものと考えるのでありますが、知事の御所見をお伺いするものであります。
 前段でも申し上げてまいりましたように、自主財源百三十九億円余を県債管理基金に積み立てず、これを効果的に財源として運用されれば、地域産業の発展や県民の暮らし、健康福祉増進に向けた均衡のとれた積極的な予算措置が十分可能であると思われますが、御認識のほどをお尋ね申し上げます。
 次に、総務部長にお尋ねをいたします。
 平成元年度補正予算案によりますと、県税収入で七十億九千九百万円の補正、地方交付税で百四億八千二十三万三千円の補正、年度末に至って、自主財源で合わせて百七十五億七千九百二十三万三千円に上る補正になっています。これは平成二年度予算案における自主財源の増加額に近いものでありますが、これらの経緯からいたしまして、これだけの多額に上る財源を年度末に得たとしても、年度内に県民の願いにこたえた執行ができません。
 したがいまして、単年度執行という予算の原則から、地方自治法では総計予算主義の原則が定められているところであります。これらの原則からして、予算措置のあり方について改善を加えるべき点があると考えますが、どのような御認識を持たれておるのか、お答えを願いたいと存じます。また、このような経緯に至った要因についてもあわせお答えいただきたいと存じます。
 年度内執行を建前としている関係から、年度末で得た自主財源がそっくり積立金に回されるような補正内容になっています。財政管理費の積立金の補正額が何と百七十六億二百九十八万円というように、まさしく金余り現象の感がいたしてなりません。
 そこでお尋ねをいたしますが、県債管理基金に八十二億円余積み立て措置がされております。平成二年度分の積み立てを含めますと、平成二年度末では実に四百三十六億円余の積立額となるようであります。このようなことは異例であって、適正な措置で決してありません。斉藤総務部長になられてからなぜこのような事態をつくられるのか、お答えを願いたいと思います。
 条例案の提案もされている地域振興基金制度の問題でありますが、条例そのものを検討いたしましたけれども、運用のあり方等、具体的な規定の整備がなく理解できません。今回の補正で十五億円余措置されておりますが、これらの点にわたって運用のあり方等についても具体的に御説明をいただきたいと思います。
 平成元年度補正予算案についてでありますが、民生費で十七億円余、労働費で二億円余、農水費で二十億円余、商工費で二十億円余、土木費で十九億円余、教育費で二十九億円余、総計で百九億円余が補正減という状況になっています。例年、執行率の向上について御指摘申し上げてきているところでありますが、補正減のかかる現状からいたしまして、平成元年度予算の執行率についてもかなりの問題があるように見受けられます。
 そこでお尋ねをいたしますが、平成元年度予算案における款別の不執行額及び明許繰越額がどのようなことになるのか、執行率向上に向けての所信をも踏まえ、お答えをいただきたいと思います。
 続いて、平成二年度並びに平成元年度補正予算に関連して、県政の重点課題についてお尋ねを申し上げます。
 総務部長にお尋ねをいたしますが、知事説明におきましても、県政の重要な懸案事項であった医科大学の移転整備に当たって紀三井寺競馬場跡地の用地取得等の措置を行った旨の発言がありました。移転問題で長期間にわたって難航を重ねてきた経過からいたしまして、移転用地取得段階にまで進めてこられたことについて多とするところでありますが、何しろ、本県が和歌山市から用地を買収するということでございます。市議会や市民の間に誤解を招くことがあってはならないと思いますので、和歌山市と合意に至った経緯について詳しく御説明をいただきたいと思います。
 三月五日、和歌山市議会の総務委員会で三対八で用地売却議案が承認されたようでありますので、価格三・三平方メートル当たり二十六万円につきましては、私は安い価格であると考えていますが、議論は避けることにいたします。しかし、次の諸点について、この際お聞きをしておきたいと思います。
 まず第一点、競馬場廃止に伴う補償費等について、本県負担分及び和歌山市負担分はどのようにされてきたのか。第二点、競馬場の施設の撤去に伴う費用はどの程度のものになったのか。第三点、排水対策について周辺の農地所有者との合意ができているのかどうか。これに要する経費はどの程度になるのか。今後における排水施設等の管理についてどのようにされるのか。市議会の総務委員会での審議状況からして用地取得のめどがついたことにもなりますけれども、これだけの面積では相当数不足することは明らかであります。したがって、今後の用地確保についてどのように対応していかれるのか、最終的にはどの程度の面積を考えられているのか、お答えをいただきたいと思います。
 なお、用地問題について一つの山を越えたことになりますので、移転完了までの年次計画もできるだけ早いものにしていかなければならないと思います。当局としてどの程度の年次計画を立て、移転完了をさすのか、以上の点にわたってもお答えをいただきたいと思います。
 次に、土木部長にお尋ねをいたします。
 平成元年度補正予算案によりますと、南紀白浜空港ジェット化整備事業に伴う空港建設費で十二億四千百万円余減額されており、中でも公有財産購入費では九億六千四百万円余の減額ということであります。こういう経過からいたしまして、用地買収がうまくいっていない事態を心配するものであります。
 平成二年度予算案では九十一億八千二百万円余の予算措置がなされ、平成二年度中に用地買収を完了さすとともに本体工事にも着手するとのことで、工事請負費四十三億円余、公有財産購入費三十九億円余と積極的な姿勢につきましては了とするところでありますが、何しろ、平成元年度での用地買収が計画どおり進んでいない事態や白浜町での土地価格の上昇などの要因からいたしまして、相当難航するのではないかと見ているところであります。
 そこで、次の諸点についてお答えをいただきたいと思います。
 第一点、平成元年度まででどの程度用地買収が完了しているのか。平成二年度では残余の買収が果たして完了できるのかどうか。第二点、地価高騰の影響で全体計画の事業費の増高は避けられないのではないのか。完成の目標年度は何年になるのか。以上の点でお答えを願います。
 政府の統計資料によりますと、本県での公共下水道の普及率は四十七位、全国最下位の状況にあります。そこで、本県が進めている紀の川流域下水道事業についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 平成元年度補正予算案で下水道事業費で当初予算額二十二億円余のうち、今回の補正で五〇%以上の十二億円余が不執行として減額されています。この主なものは、処理場用地購入費の九億円余の問題であります。紀の川流域下水道の処理場用地としてかつらぎ町笠田西部地区に計画決定をされ、十年の歳月が経過していると思います。いまだ用地買収に至っていない事態を考えますときに、計画変更を余儀なくされるのではないかとも思料いたすところでありますが、特に橋本市における人口急増の事態を考えますときに、下流域における五十万人の飲料水の水質向上に密接に関連する事業でありますので、工事の遅延は絶対に許されません。したがって、県行政の責任が大きく問われてきていますので、そうした責任の所在にも留意していただき、現状での問題点を初め、今後の事業の対応策について具体的にお答えを願いたいと思います。
 第二の質問に移ってまいります。
 県経済センターの会場の使用問題について、管理の最高責任者でもあります知事にお尋ねをいたします。
 県経済センターなるものの財産の性格は、公の施設になろうかと思われます。かかる公の施設の使用について、和歌山県教組が十一月に教育要求県民集会開催のためにホールの使用申し入れを行い、また十二月には県教委との労働条件改善交渉の会場使用の申し入れを行った際、県経済センターの担当者が、いずれの会場も先約がないにもかかわらず「既に先約があるので会場使用ができない」などとうそを言って、いずれの会場使用をも断っていたようでございます。ところが、こうした裏には、県経済センターの関係者らが右翼団体の行動を恐れ、会場使用を断っていたという事実関係が新聞報道で明らかにされる事態に至ったのであります。
 事の起こりは、昨年十月十九日、県教組の臨時大会が県経済センターで開催されたときに、右翼団体の宣伝カーが十台前後ビルを取り巻き、スピーカーのボリュームを上げて騒ぎ立てたために、入居者の方々からセンターに苦情が相次いだようであります。こうした事態についてセンターの当事者は、警察に適切な措置を求めることもなく、うそでごまかし、公の施設の会場使用を拒否するということは、まさに言語道断、民主主義を否定する行為と申し上げざるを得ません。
 長崎市長が史実に基づき当然のことと言える「天皇に戦争責任がある」という立場をとったことに対し、右翼団体の一員がピストルで長崎市長を狙撃するという事件がつい最近に起こりましたが、言論を暴力によって抹殺しようとする行為を絶対に許してはならないのであります。言論の自由、民主主義を守るために、右翼団体の暴挙に対して恐れることなく毅然たる態度をとることが極めて重要なことになってきているのでありまして、知事におかれましてもこうした認識には変わりないと思われますので、まずこれらの点について知事の御認識のほどをお伺い申し上げておきたいと思います。
 新聞報道によりますと、県経済センターの担当者が次のような談話を行っております。「右翼や警備で異様な雰囲気になり、テナントの業務に支障が出る。業者に対する責任もあるし、一切の使用を遠慮してもらう」ということで、これでは右翼団体の妨害を恐れる余りに県教組の集会を否定する態度で、公の施設を管理している責任者の発言として絶対に容認することができないのでございます。
 そこで、重ねて知事にお尋ねをいたしますが、三月一日から京都市で開催されていた全日本教職員組合協議会の教育研究集会の会場使用をめぐって京都府が右翼団体の妨害問題で会場使用を拒否したことについて、京都地裁は「反対勢力の違法な実力行使を規制して集会が平穏に行われるようにすることが民主制社会の治安を維持する国、地方公共団体の責務」として、会場の使用を許すべきだという裁定が出されました。また、大阪高裁も京都地裁の裁定を決定とする措置がとられてきたことは御承知のとおりであります。
 かかる裁定をまつまでもなく、地方自治法二百四十四条による「公の施設」について住民が利用することを拒否してはならないとしていることや不当な差別をしてはならないとする規定からいたしましても、適切な対応がなされていなければならなかったと思います。
 県経済センターの管理最高責任者として、京都地裁の決定及び地方自治法の規定に基づき、かつ憲法二十一条の集会・結社及び言論を保障するという基本理念をも踏まえ、経済センター担当者のとってまいりました措置をどう改めるのか、また、今後におけるこれらの問題についてどのように対処していかれるのか、お答えをいただきたいと存じます。
 警察本部長にお尋ねをいたします。
 十月十九日の右翼団体の行動について、認知されていたのかどうか。また、いかなる対処をとられてこられたのか。今後、京都地裁の決定内容についていかに認識をされ、どのように警察行政をとられていかれるのか。以上の点について、本部長のお答えをいただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 平成二年度の予算、また元年度補正についての均衡ある予算措置の問題でございます。
 お話ございましたように、私も、今年度の予算につきましては、関西空港を大きなインパクトとした飛躍の年でございまして、「新しい時代に挑む力強い地域産業の発展」、「健康で快適な暮らしと生きがいのある福祉社会の実現」、「明日を担う人づくり」、「魅力ある文化の創造」を柱として、県勢のさらなる発展に努めてまいったところでございます。
 お話のございました、予算の款項目における差、増減の問題でございます。
 民生部において減ったのは、南紀療育園の新築経費が減少したわけでございます。保健所においては、古座保健所の新築が終わりました。また、高等看護学院の大規模施設などの建設事業の動向が大きな要因でございます。商工関係では、最近の金融事情の実績等による預託等の貸出状況の大きな変化といったものが大きな要素でございまして、私は予算を款別に区別して形式的に論ずることは必ずしも適当でないと思っております。
 それから、基金の積み立てについてでございます。
 先ほど鈴木議員にも答弁申し上げましたけれども、数々のプロジェクトが現実化しつつあります。お話ございました県立医科大学やマリーナシティ、南紀白浜空港といった問題は、多年にわたって継続して事業を遂行していかなければならないわけでございます。これらの用意なくしては県の財政運営はできにくい、和歌山県のような国費に非常に依存しなければならない県においてはその難しさがあると、先ほど申し上げたとおりでございます。そうした点で、中期財政運営の観点から、こうした形で積んで全きを期してまいりたいと思っております。
 具体的な事情につきましては、後ほど部長から答弁いたします。
 それから、経済センターの会場使用問題についての御意見でございました。憲法で保障されている言論・集会の自由は民主主義の根幹であると、私もさように考えておるわけでございます。
 これにつきましては、担当の商工労働部長から答弁させます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 多岐にわたって御質問いただいたわけでございますが、まず平成二年度の当初予算の款別の増減について申し上げます。
 商工費については、実績の減となった金融等の特別の要因が大きいわけでございます。一方、地場産業・工業の活性化を図る、あるいは産業技術のハイテク化等に対応するための工業技術センターの新棟の建設、先端技術関連機器の整備充実、観光振興の面では古道ピアを熊野古道関連市町村で開催するなどの施策に取り組んでいるところでございます。
 また、民生費については、ただいまの知事答弁にもございましたように、南紀療育園の新築経費の減という特別の事情がある一方で、在宅福祉事業の大幅な充実や老人措置費、老人施設建設補助の増額、さらに県単の母子家庭修学費助成の新規導入等、きめ細かな福祉施策を展開したところでございます。
 衛生費についても、同じように古座保健所の新築経費の減や高等看護学院の大改修の減という事情がある一方で、検診率向上を図る健康づくり特別対策、あるいは成人病予防のための特別事業の新規計上など、積極的な健康対策にも取り組んでいるところでございます。
 また、二月補正について、補正額が大きいではないかというお話でございます。
 二月補正においては、県税で七十億余、地方交付税で百億余の増額補正をしているところでございます。県税については、年度途中における予想外の景気の回復等による税収増に支えられたものでございます。地方交付税については、現在国会で審議中の補正予算において交付税で一兆六千億円に近い増額補正が講じられており、これに伴う本県の補正が主な要因でございます。
 いずれにしても、元年度当初においては財政調整基金、県債管理基金から合計八十億円の取り崩しを行っているところでございまして、今回の補正の財源により、まず最初にその取り崩しを埋めることとしたところでございます。さらに、図書館、新美術館の建設に備えて文化施設等整備基金の充実を図る等、後年度負担を念頭に置いた、できる限りの財源の有効活用に努めたところでございます。
 なお、県債管理基金への積み立ての問題ですが、積立額のうち、元年度で七十四億円、二年度で百三十億円、合計二百四億円の積み立てについては、過去に本県が発行した財源対策債の償還財源として、本来であればその償還時点において地方交付税で措置されるところを繰り上げて平成元年度及び二年度にまとめて交付されることになりましたので、これを将来の償還に備えて県債管理基金に積み立てておくということにされているものでございます。これを除いた実質ベースの基金残高は、横ばいとなっているものでございます。
 また、今回、国の補正予算で措置された分の中に地域振興基金というものがございまして、この県分については、同じく国の補正予算に計上されている中小商業活性化基金、地域環境保全基金等に対応する県負担分及び広域的に市町村等と一体となって地域の振興を図るために県が負担する経費について、包括的に財源措置が講じられたものでございます。この趣旨を生かし、和歌山県地域振興基金の活用策については、広域市町村圏の活性化等、市町村の意見を十分聞きながら具体化に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、二月補正の款別の減額要因を具体的に申し上げますと、民生費での扶助費については、福祉対策という意味もあって需要に最大限対応できるよう予算の措置を講じていたところでありますが、施設への入所者の確定等により減額となったところでございます。また、民生費、労働費、商工費の貸付金については実績の推移、繰り上げ償還等により、また、農林水産業費、土木費の公共事業等国庫補助事業については最終的な国庫の確定等により、また、教育費における退職手当については退職者数の減が見込まれたため、それぞれ減額したものでございます。
 明許繰り越しについては、できるだけ早く県議会に追加提案すべく計数の取りまとめを急いでいるところでございます。鋭意適正な予算の執行に留意しているところでございますが、一方では、六十三年度、平成元年度とも災害が多く、また用地取得の困難性が高まっているという事情もございまして、かなりの額の明許繰り越しとなる実情ではないかと思っております。
 次に、競馬場跡地の購入については、和歌山市と種々協議の上、取得価格、条件等についてこのたび合意に至ったところでございます。用地価格については、和歌山市としても、医科大学の移転用地であること、また紀三井寺地区への移転決定の経緯等も踏まえ、市の条例に基づく減額譲渡となったところでございます。県としても、公共用地としての一団のまとまった土地の取引であり、また地盤改良等、基礎工事にも若干の経費がかさむこと等を考慮の上、合意に至ったものでございます。
 また、県営競馬の廃止に伴う補償費については、予算総額で二十八億二千八百万余となっており、この県・市の負担割合は、過去の開催回数の比等により、県が四三%の十二億一千六百万円余、市が五七%の十六億一千二百万円余となっております。この県負担額については、県営競輪その他事業特別会計から支出したところでございます。
 スタンド等の撤去費用という御質問でございますが、この用地については更地で引き渡すという和歌山市との合意に基づき、市で撤去工事が実施されたもので、その経費については約四千六百万円と和歌山市から聞いておるところでございます。
 また、競馬場跡地とその周辺の排水問題については、用地取得に伴う県と市の話し合いの中で協議を行ってきたところでございます。和歌山市では、周辺の住宅団地や農地等も含め、公共下水道事業の一環として早期に整備する方向で年次計画及び事業費の検討に取り組んでいるところでございます。また、これに伴い、その費用の一部を県で負担することといたしております。
 なお、下水道施設については市の事業として実施されるものであり、その管理は市が行うものでございます。
 また、移転用地の面積については、今回の競馬場跡地約八万八千三百平方メートルを中心に、県民医療の中核施設並びに医師の育成機関として周辺所有者の御理解を得、今後必要な土地の確保に努めてまいりたいと考えております。
 また、この移転整備の年次計画については、紀三井寺地区への決定の経緯等も踏まえ、できるだけ早期に移転が実施できるよう計画の具体化に取り組んでいるところでございます。しかし、大学の施設規模等から見ても、計画段階で相当の期間も必要であると考えられますが、できるだけ早期に完成するよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 南紀新空港建設事業については、県政の重要施策であり、積極的な取り組みをしているところであります。
 本事業は昭和六十三年度から事業化し、以来用地買収に取り組んでおり、現在までの状況は、百六名の地権者のうち四十二名の方から用地提供を受けておりまして、買収予定面積七十四・六ヘクタールのうち、今議会に追加議案として提出させていただいている公有財産購入も含め買収面積は三十五・五ヘクタールで、四七・六%の買収実績となります。
 用地の取得については予定よりおくれが生じておりますが、関係機関と一体となって、今後とも粘り強く地権者の皆様との合意が得られるよう一層の努力をいたします。
 本事業は平成六年四月を開港の目途としており、そのためには平成二年度中の用地取得の概成が不可欠であります。議員御指摘のとおり、近年の地価高騰の影響もございますが、安易な妥協は他に影響を及ぼすおそれがあり、慎重に対処しているところであります。
 次に、紀の川流域下水道終末処理場の用地買収についてでございます。
 下水道終末処理場が必要であることは、地元では認識されてございます。しかしながら、現在まだ一部に賛成の得られない方も残ってございます。昨年から精力的に対応してまいりました結果、地元と話し合える状態になってございます。今後さらに用地取得について地権者の方々と積極的に交渉を進め、一日も早い解決に努めてまいりたいと存じます。
 一方、終末処理場設置に伴う周辺地域の振興策についても要望があり、地元の方々と相談しながら、その実現に向かって全力を尽くしてまいります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 経済センターについてでございます。
 県の機関が二、三、入居しておりますけれども、その部分を除き、社団法人経済センターと県有財産使用貸借契約を締結している普通財産でございまして、地方自治法第二百四十四条に規定する「公の施設」には該当いたしません。
 このセンターの中には五十余の団体や企業等が入居してございます。したがって、入居している方々に快適な執務環境等を提供していかなければなりません。今回、経済センターから実情を聴取したところ、これらの現況を踏まえ、日常業務に支障が予想される会議、催し等については他の会場等を利用していただくようお願いしたとのことであります。
 一方、京都地裁の判決に係る京都府立勤労会館は行政財産であり、本県に例をとると、県民文化会館とその性格等が類似をしております。したがって経済センターとは事情が異なりますが、今後この判決をも十分検討の上、経済センターと協議を行ってまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) 右翼団体の行動等についての御質問でありますが、十月十九日の右翼団体の動きについては事前に把握しておりましたので、必要な警備措置をとったところであります。
 京都地裁の決定については、報道内容を承知しております。
 警察は今後とも、いかなる立場からするものであれ違法行為は看過しないとの基本方針のもとに厳正な取り締まりを行ってまいる所存であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 それでは、重ねて質問をいたします。
 いずれも重要な問題でありますが、まず経済センターの使用問題からお尋ね申し上げていきたいと思います。
 私は、知事からすべてお答えいただけるものという認識でおったんです。なぜかというと、知事も御答弁になりましたように、集会あるいは結社、言論の自由を保障するという憲法の規定は大変な課題でありますので、長崎市長の事件等を考え合わせまして、右翼の暴挙に対して知事としてどんな認識を持つのか、また、みずからが管理をする経済センターについてどのような具体的な対処の仕方をされるのか、そういうことをすべて知事からお答えいただけるものと考えておったんでありますが、残念ながら、知事からお答えいただきましたのは「憲法で規定されている集会・結社・言論の自由の保障は民主主義の根幹である。以下、答弁については部長からさす」と、こういうことです。
 それで、今、部長から答弁をいただきましたが、言いわけなんですよ。「公の施設でない」、つまり普通財産であると。しかし、貸した以上は責任があるんです。しかも、この経済センターの管理の最高責任者は知事なんですから。この右翼の暴挙に対して、いやしくも知事からお答えがあったように民主主義の根幹にかかわるような重大な問題が今現実に起こっているならば、当然、まず現場の管理者は警察に対しても要請すべきであったと思うんです。これは要請したんですか。どういう認識でおったのか。これはひとつ部長から答えてください。
 知事に重ねてお尋ねをいたしますが、長崎市長の事件という民主主義の根幹が問われる暴挙がつい最近に起こって、それ以前でありますけれども、あなたが最高の管理者である経済センターの使用を認めておきながら、入居者の方々が仕事ができないほどまでに右翼の宣伝カーがあの周辺を取り巻き騒ぎ立てる。これはまさに、力でもって集会を押さえ込んでいこうとするもの。こういうものに対して和歌山県の最高の責任者としてどういう認識を持つんだ、知事は毅然たる態度をとれないのかどうか、こういうことを憲法の理念あるいはまた地方自治法の規定ということからお尋ねをしたんです。
 だから、知事としては今後、こういう右翼の暴挙がまさに違法な行為に当たるような場合、どんな認識を示すのか、どういうような考えを持つのか、ここをもうひとつはっきりお答えいただきたいと思います。
 次に、総務部長。
 あなたから今いただいた答弁は、全く私の質問に答えておらないんです。そこで再度申し上げますが、県債管理基金の積み立て問題ですけれども、そりゃ自治省はそういうことを言うでしょう。しかし、少なくとも和歌山県でありますから、自主的にその自主財源の運用について考えるべきじゃないでしょうかと申し上げているんです。また、あなたは「百三十九億を除けば通例の県債の積み立て状態になる」と。四百三十億になるんですよ。まさに異例じゃないですか。ここをきしっとあなたの方からお答えいただきたい。自主財源の運用について、我々にもわかるように、本来、和歌山県としてもう少し自主的な判断があってしかるべきじゃないかと、ここを申し上げているわけでありますから、そういう点でお答えをいただきたいと思います。
 それから、補正予算との関連でありますが、不執行がどの程度になるのか、款別に明らかにしてくださいと言っているんです。これは款別にひとつ明らかにしてください。明許繰り越しが幾らになるのか、どんな事業になるのか。これは、あなたの方ではもう既に整理ができているはずなんです。十二日に明許繰り越しの議案を提案したいということはちょっと聞きましたが、概数でいいんです。款別でいいですから、事業別にわたらなくてもいいから、民生費でしかじかの明許繰り越しが何ぼと、こういうようにお答えを願いたいと思います。
 それから、医大用地の買収問題でございます。
 今お答えいただいた中で、私は和歌山市議会の皆さんはこういう意見を持つだろうと。つまり、競馬場をやめるために──これは行政として行ってきたのでありますので、したがって特別会計の方でこの十六億円の予算的な執行はされたと思います。しかし、この十六億円、あるいはまた撤去のための四千六百万円というような費用を今回の六十億円から差し引いてまいりますと、二十六万円が本当に和歌山市として正当な価格になるのかどうか、これはまたかなり議論が分かれるところだろうと思うんです。非常に難しい点もあろうと思います。そういう点で、私は議論は避けたいと思います。こういう意見だけ申し上げておきます。
 なお、せっかくこれだけの用地問題をまとめ上げてきたんでありますから──したがって、これでは足りないんだから、将来の医科大学を立派なものにしていくための大体の計画目標を持ってもらわないと、この土地を買うこともできない。まずは土地を買い、それから目標を立てるというんじゃないでしょう。あの紀三井寺跡地に知事が異例の裁定をしたんですから、それがどの程度の面積を持つのかぐらいはあなたたちは既に決めているはずであります。したがって、少なくともかくかくしかじか、何平米程度のものを目標として持ちたいというぐらいの答弁はしてもらわないと、私は後へ下がりませんぞよ。
 それから、平成元年度予算で、知事からも部長からもいろいろお答えがありましたが、私はこれは言いわけにすぎないような気がしてならないんです。なぜこういう質問をしたかと言いますと、今まであなたたちは予算枠の設定をして、一応抑制してきたんです。ところが、平成二年度は今までの抑制策を若干手直しをしてきたわけです。したがって、平成二年度の予算は款別にもかなりの変化は出るだろうという期待をしてきたんです。ところが結果はそうじゃなくて、県民の暮らしや福祉、あるいは中小企業や地場産業にとって非常に大事な款が、今申し上げたような結果に終わる。知事は「款別に言うのは形式的だ」と言うが、款別を原則にやらないと予算は組めないでしょうが。何も形式を申し上げているんじゃないんです。そういう認識が非常に欠けているように思います。
 平成三年は、ちょうど知事選挙もあろうかと思います。県債管理基金はそういうための一定の財源調整の役割もするんじゃないかと、これは私の考えであります。したがって、それらについてまた平成三年で改めて論議をしていきたい。
 もうあと四分しかありませんので、以上の再質問についてそれぞれお答えください。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 経済センターの問題でございます。
 京都の府立勤労会館の裁判は、詳しい内容は知らないんですけれども、私も新聞で拝見いたしました。先ほども部長が答弁いたしましたように、あれは行政財産でございます。中村議員は法律に非常に詳しい。また市役所にもおられた。だから、行政財産と普通財産の区別は十分わかっておられると思います。行政財産の使用については条例の規定があるわけでございます。そうした面において、経済センターは社団法人の団体でございます。
 ただ、組合の皆さんから十分理解されにくい点のあるのは、現在の勤労福祉会館、国体道路のところにあるプラザホープができるまでは、経済センターの九階と十階を勤労福祉協会が管理しておりまして、そこで会議などをやる場合に開催の許可をしていました。しかし、現在はあそこに移りまして、経済センターが管理することになっておるわけでございます。そうした形で、専務等が私の命を受けて、この管理運営を行っているわけでございます。
 また、これからの問題についても、先ほど部長から答弁申し上げましたように、協議を進めていくということでございます。私も、知事としていかなる圧力にも屈しないという立場で、先ほど申しました言論・集会の自由を民主主義の根本と考えて進んでまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 経済センターとしては、警察が事前に右翼団体の動きを把握していたこともございまして、出動要請はしていないとのことでございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) まず、県債管理基金は交付税で措置されたものではあるけれども、県としてもっと自主的に考えてもいいのではないかという御指摘でございます。
 確かに、交付税は依存財源とはいえ一般財源でございますので、県としてもいろいろ考えたわけでございます。また、この財源対策債は今回大変異例の事態ではないかという御指摘でございますが、元年度、六十三年度の国税三税の伸びにより交付税額が増加したわけでございます。それを、補正予算については五十六年度、二年度の当初予算については五十八年度、五十九年度に財源対策債──要するに五十六年、五十八年、五十九年に地方交付税が不足を来した、あるいは国庫補助金のカットが継続された。それらについて財源対策債という形で措置をされ、その償還については交付税の基準財政需要でカウントして将来交付するという予定だったものが、国の一兆六千億近い補正により繰り上げて措置されることになったわけでございます。これは、国の補正予算で昨年の暮れに急遽方針が決められたものでございますので、本県としても一応その考え方に沿って県債管理基金として積み立てたものでございます。
 次に、不執行額が款別にどのぐらいになるのかという御質問でございます。
 二月補正で、農林水産業費二十億円、商工費二十億円、土木費十九億余という減額補正を立てております。また、教育費についても二十九億円程度の減額補正を立てております。これは、二月補正の予算編成時に見込み得る執行見込みを洗い出し、できる限り不執行額が出ないように二月補正で計上したものでございます。
 残りの執行については、これからの問題でございますので現段階ではわからないわけでございますが、私どもとしては、予算の執行率が極力上がるようさらに努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、繰越明許費について、できれば十二日に提案したいということを申し上げており、現在、その作業を急いでいるところでございます。昨年は九十一億円という繰越明許費が出ておりますが、本年についても、年度途中から関係各部ともいろいろ協議しながら繰越明許費が多くならないように努力したところでございますけれども、災害等もございまして、道路、港湾等、土木費を中心にして総額で百四十億円を超える繰越明許費が出るのではないかと、現在、最終的な数字の詰めを行っているところでございます。今後、繰り越しが出ないよう、関係各部と連携をとって努力したいと考えております。
 次に、医大用地の確保の問題でございます。
 関係の地主の方の御協力、御理解のもとに、必要な土地を確保できるように努力してまいりたいと思っております。
 また、予算は款別に構成されておるので、重点施策についても一応そういう枠の中で考えていくべきではないかという御指摘、確かにごもっともでございます。その中で、諸収入による融資の問題とか、あるいは年度による大規模施設のでこぼこ等もございますが、県民福祉が総合的な意味で向上するよう全体からバランスよく眺めていくということも、さらに努力してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 質問を重ねます。
 知事の経済センター管理の問題でありますが、後段はしっかりしているんです。いかなる圧力にも屈しない、憲法の基本理念を守り抜くと。これは、私も大いに多としたいと思う。
 したがって、この枠の中で知事が、普通財産であろうと、管理の最高責任者でありますから、集会が平穏裏に行われるようにするというのが一番大事なことじゃないでしょうか。それは、申し上げておきます。
 それで、天谷さん、あなたの答弁ですが、これは非常に矛盾するんです。警察へは言うてない、警察は知ってくれてあったと。これは、管理者の側の答弁ではありませんぞ。知事がそういうしっかりした答弁を後段にしたんだから、少なくとも経済センターの管理を所管する部署として、今後そういう憲法の基本的な理念に合致するような問題が出た場合、当然、安心して使っていただけるように私たちはしていかなきゃならん、こう答弁してもらわなきゃいかんと思うが、あなたはどんなに考えるかな。
 それともう一つ。これは「つかえてある」と言ったんですよ。ところが、つかえてないんですよ。うそを言っているじゃないか。民主主義の根幹にかかわる問題をうそでごまかしたじゃないかと、こう申し上げたんです。余り責める気はないけれども、これは非常に大事な問題ですよ。そこの問題について、ひとつもう一遍重ねて、みんながわかるように、県民が納得するようにお答えくださいね。
 それと、総務部長。
 あなたの答弁は大変な問題なんですよ。いいですか。私は不執行の問題を聞いているんですよ。減額を聞いているんじゃないですよ。いいですか。ごまかしたらあかんよ。プラス・マイナスあるんだ。だから三角だけは百九億あると申し上げたんだ。その中にはプラスもあるんですから、どれだけあるかわからないんですよ。不執行を聞いているんだ。ごまかしたらあかんよ、総務部長。
 そして、意外にも百四十億円の明許繰り越しがある。皆さん一生懸命していることはわかるんですよ。多とするんです。しかし、こんなに百四十億も来年度に繰り越さなきゃならんということは、県行政の中に重大な問題を持っているんですよ。これは何なんだ。何が原因だと思うか。それはやっぱりあなたは掌握していただいて、これは地価高騰による問題だとか、我々にわかるようにしてもらわなきゃならんじゃないか。何のために予算議決するんだ。そして、何で当初予算は華々しく説明するんだ。最後になったらしりすぼみじゃ、知事もかわいそうじゃないか。
 したがって、総務部長、その意のあるところをひとつお聞かせ願いたい。もうあと一分ですから。
○議長(門 三佐博君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) お答えいたします。
 経済センターは普通財産とはいえども公的な性格を持っていると考えておりますので、今後、経済センターの利用者の方々や入居者の皆さん方に安心して使用いただけるよう配慮しつつ対処してまいりたいと考えます。
 二点目の件でございますが、私が事情聴取したところによると、十月十九日の十日ぐらい後に電話で申し込みがあり、そういう騒ぎがあった後のことでもありましたので、他の会場を探していただきたいということでお断りしたと聞いてございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 二月補正で増減いろいろございまして、トータルでは八十五億のプラスの補正になっているわけでございます。これは、各部各課と一月末に協議し、二月上旬に最終的に元年度予算を締め切るまでに不執行になる見込みのものについては極力減額補正をするという方針のもとで整理したものでございます。
 その後、二月、三月、それから出納整理期間が四月、五月とあるわけでございますが、この間に各部各課ごとにどの程度の不執行が出るかというのは現段階ではわからないわけでございます。用地に伴うものとか、災害に伴うものとか、いろいろ要因はあるわけでございますが、いずれにしても、不執行が少なくなるよう、また繰越明許費が大きくならないよう、庁内各部と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、中村博君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 事前通告制の意義を生かして、当局にも誠意ある明確な答弁をお願い申し上げて、また三番目の質問者でありますので、できるだけ重複を避けて質問をしたいと思いますので、よろしく御清聴をお願いします。
 波乱万丈であった昭和の歴史も昨年で終わりを告げ、新しく平成の時代を迎えました。一九九〇年、この平成二年は、本県和歌山にとりましても飛躍的発展の年にすべきで、本県に関連した重要な各種の事業決定されたものが具体的実現化に向かう年で、予断を許さない情勢下にあります。
 仮谷知事が県行政を担当されて以来、今日まで大変な努力をされてきたその成果が、近年にはまさに実りを見せ始めてきており、その御労苦に心から敬意を感じております。県の立案されたいろいろな基本構想等が送付されてまいるたびに、ぜひ実現、成功をさせなければと、関心と理解をより深めております。時には、議会と行政の立場の違いから見解や取り組み姿勢の異なるときがありますが、県民のより幸福な生涯を追求して、県政治の場においてやまざる努力をしなければならないものであります。
 さて、先日、総合保養地の整備に関する基本構想「燦黒潮リゾート構想」の素案概要を見ながら、和歌山も他府県、諸外国にまさるとも劣らないすばらしいリゾート地を備えたリゾート県にしなければと期待を持つとともに、これを成功させるためには何としても関西新空港の大事業を契機として、リゾート法の適用承認に向かって、三重県、宮崎県、福島県等、十県の基本構想承認よりすぐれた構想をつくらなければ、このリゾートブームの中で成功は至難のことと考えます。
 ここで、公的観光レクリエーション地区、施設の整備とともに、関西国際空港人工島の連絡橋南側ルートの設置について、和歌山県として積極的に建設運動に取り組むべきだと私は考えるのであります。
 これは、我々県議会議員の先輩・同僚でもあった二階先生が、今回、折もよく関西新空港担当の運輸政務次官に着任されたことでもあり、また国会レベルでは、平成元年十一月十五日の運輸委員会議事録によると、二階代議士の質問に対し、当時の運輸大臣も航空局長も、関西新空港南側ルート連絡橋建設について検討をしてもよいとのニュアンスの答弁をしているようにも感じます。また、私も二度ばかりお会いしたことのある泉南市長も、関西新空港南側ルートには大変関心を持っておられるようであります。
 大阪向けの橋が北端に一本あるだけでは、もしその橋に事故があったとき、空港への交通が麻痺しますし、二十四時間空港として、世界の貨物を取り扱うための貨物基地として──企業の倉庫建設用地が和歌山市はもとよりかなり南の方へと、中紀地区まで買収されており、建設準備がされているようであります。
 この関西新空港南側ルート橋建設運動は根本的な空港機能の問題でもありますが、本県がこの運動を起こさなければ実現性は薄く、また、強力に運動を起こして頑張れば、必ず実現は可能なものだと私は考えます。
 仮谷知事、どうかこの御検討をしていただきますよう、御答弁を求めます。
 次に、新南海橋と第二阪和国道の事業促進について、まず進捗状況をお聞きします。
 そして、申し上げたいことがあります。この南海橋ルートについては、以前、和歌山市が都市計画街路として用地買収に着手し、事業としては失敗で中断していたもので、そのときの地区としてのしこりや地区の要望を解決せずに今日まで中断・放置していた状態に近いため、そのことに耳をふさいで、前は前、今は今といっても、今日までの経過と歴史を無視しては県民・市民の協力は得がたいと考えます。
 県、市、地元から聞く話では、第二阪和の地元説明会が、その付近の浸水被害や下水の話に重点が置かれた質問が連発され、毎回、不調に終わっているようであります。これは、和歌山市の下水道、用水路、小河川の整備等のおくれが原因でありますが、大雨が降るとこの第二阪和と新南海橋ルートになっている場所の付近一面が池のようになってしまいます。この付近は、県道粉河加太線、都市計画街路西脇山口線、そして第二阪和国道のランプウエーの合流点付近にまともに位置するため、昨年、楠見地区の各連合自治会長がそろって知事に陳情に行かせていただいたわけでありますが、和歌山市の事業として用地買収したときに協力して立ち退いていただいてから何年もの歳月がたっており、道路ができ、新南海橋がかかるこの機会に地元の下水や排水路対策もやってもらう約束があったこともあり、当時、私も自治会役員や市議会議員として立ち退き者に「公共のため」との大義名分で協力をお願いした経過もあって、その後の対処策と説明に苦慮しているところであります。
 平成二年三月一日発行の「市報わかやま」には、「道は国土軸へ」とのタイトルで、一枚目表紙に第二阪和国道完成予想図と計画図が大きく報じられ、第二面には「進む動脈づくり」と題して、西脇山口線や粉河加太線が今まさに工事の推進開始と、和歌山市民に広報されています。
 道路工事をするためでも、大雨が降ったら池になるような場所はその対処も同時に考え、県民に示し、その上で事業の協力を求めなければなりません。先に同意をしてもらって、その他のことは後で方法を考えますからとの交渉論では、今までの経過を見ても、後になると難問となって、焦げついて残されている公共事業が多くあります。
 「近畿自動車道阪南~岸和田間三月二十九日開通 吉備~岸和田間五十分に」、これは「県民の友」平成二年三月号であります。こちらの阪和自動車道は着々と、さらに御坊を目指して進んでおります。関西国際新空港開港時までの開通に間に合いそうで、今まで、また今努力していただいている関係者に深い感謝を申し上げますとともに、第二阪和国道についても、さらに県都・和歌山市の対処についても、難問となって苦慮をしている地元対策に県として何らかの援助、例えば、以前、県職員の派遣等の検討をお願いしたこともありますが、これらを含め、第二阪和と新南海橋の事業促進の現状認識と取り組みについて、当局の見解をお聞かせいただきたい。
 次に、さきの近畿自動車道(阪和自動車道)でありますが、和歌山市北インターチェンジ設置の運動の提案をいたします。
 どんどん開発されていく紀の川北岸の今後の交通対策、京奈和自動車道が紀の川北岸沿いに建設施工されてきている実態等を考えると、紀の川北岸に北インターチェンジを設置しなければ、大阪との通過自動車を現在の一カ所のインターチェンジで処理をするとすれば、将来、必ず処理し切れない事態が予測できます。県当局の見解と取り組みをお聞かせいただきたい。
 第二番目の質問項目に入ります。国土の有効利用についてであります。
 土地に関しての事務諸手続は、財産を保全する立場から慎重に対処していただくのは基本的なもので、その方法として、現地の確認、権利関係者の確認、その他諸手続により問題の発生のおそれがないか等、御苦労なものと考えます。
 しかし、何でもかんでも本人の実印と印鑑証明提出とのことが多く、それをとってあれば県の責任はないようですが、ともすれば本人の意思確認よりも実印と印鑑証明重視の対応方法に、県民から強く改善見直しを求める声があります。また、国土地図とも関係がある質問ですので、続いて国土地図作成事業について質問いたします。
 近年の土地売買の動きは全国的なものとしても、本県についてより大がかりな動きがあるのは周知のことであります。国土法による届け出、監視区域の制定等、県当局も多忙をきわめていることと、御苦労に思います。
 しかし、国土地図の完成市町村が少ない本県として、土地や開発の動きが急増してきた今日、その中でも和歌山市、岩出町、貴志川町等において、国土地図の作成と同じような事務諸手続、労力を費やす際に、いっそ国土地図の作成事業促進を図るか、その前段的なものに生かすことができないかと考えます。そのための予算的な措置や職員の人員的な措置等、現在の状況と今後の取り組みについてお聞かせいただきたい。
 次に、和歌山操車場跡地の利用であります。
 和歌山市手平の和歌山操車場跡地は、昭和六十二年四月の国鉄改革により国鉄清算事業団に帰属することになった土地であり、面積は約六・九ヘクタール、県内の旧国鉄跡地としては最大の面積を有しております。この跡地は、一部国体道路に面し、JR和歌山駅、宮前駅からは最も便利な土地であり、また、市街地では得がたい大規模な土地であります。
 昨年二月の本会議において、県としてこの跡地に対してどのような考えを持っているかという私の質問に対し、企画部長から「地元和歌山市などの意見を聞きながら、周辺地域と整合性を持った有効な土地利用計画になるよう積極的に取り組んでいく」という回答をいただいておりますが、その後、県では和歌山操車場跡地に対しどのような利用を考えておられるのか、お伺いいたします。
 以下、二、四、六番目の項目をまとめて質問いたします。
 線引き、都市計画、いずれも民間レベルより先手、先駆けた対処策をもって取り組まなければ、民間の「乱開発」と呼ばれるものになっていくのであります。
 私の地元では、例えば鳴滝川等について、山の上を開発している企業や進出してくる企業に山の上から紀の川までの改修を企業負担させるというならそんな企業はないと、以前にこの議場で話をした際、県河川や下排水、用水路等については、県が先を見越してもっと積極的に改修に取り組んでほしいと要望しましたが、紀の川北岸の日々市街化されていく姿には、驚きとともに、都市整備が行政サイドとして的確に対応しかねている現状のように考えます。
 関西国際空港の計画が発表された時期には和歌山県は扇風機の裏側になると懸念されていましたが、関西国際空港開港の日が近づくにつれて、また関空のインパクトを受けとめるため先導的に展開されている関連のプロジェクトが着々と進められていくにつれ、本県の持つポテンシャルが評価され、それが現在では大きな開発圧力といううねりとなって押し寄せてきております。
 しかし、実態上、開発できる余地がありながら、それらの開発圧力をまだまだ十分受けとめられていない地区、また開発の意向が望ましくない方向で展開されようとしている地区が出てきているといったことで、問題、課題が新たに生じてきているように感じます。
 まず、開発圧力を十分に受けとめられていない地区として、和歌山市及び海南市があります。両市においては市街化区域及び市街化調整区域の区域区分が行われており、今年度末をめどに見直しがなされると聞いておりますが、依然として残る市街化調整区域における開発について、例えば既存の集落を中心とした地区等で周囲が宅地化されている土地、幹線道路沿いの土地等といったところについては、既にある都市基盤が活用できることから開発を認めてもよいと考えるが、現行の調整地域における開発許可の基準では開発は認められません。土地の有効利用、地域活性化のため新たな法制度の導入、柔軟な開発許可制度の運用等が考えられないかと考えます。
 次に、開発圧力が望ましくない方向で展開されようとしている地区として、特に岩出町については、従来の和歌山市のベッドタウン型都市としてだけでなく、関西国際空港に和歌山県で一番近い町として、開発圧力が県内でも最も強くあらわれているところであります。さらに、現在、都市計画上の土地利用規制が無指定であることから、開発が町じゅう至るところで虫食い状態に展開されております。無秩序な町の形成がなされようとしているのであります。
 したがって、岩出町についてはスプロール的な開発を抑制し、開発すべき地区とそうでない地区を明確にし、秩序ある土地利用を誘導するため、市街化区域と市街化調整区域の区域区分いわゆる線引きを早急に行う必要があるのではないかと考えます。
 さらに、岩出町に隣接する貴志川町、桃山町、南の方では下津町等においても、開発意向が強くなってきていると思われます。これらの地区については、都市計画区域の指定がなされていない等の理由により開発に対して何ら行政指導がなされていないことから、和歌山市、海南市、岩出町を含めた広域的な都市計画区域の指定、また用途地域の指定等を行い、秩序ある町づくりのため先手を打っておく必要があると考えます。
 土地の有効利用の観点よりもう一点、土地利用に対し厳しい規制を課している風致地区並びに河川敷の利用について質問いたします。
 風致地区については、例えば、和歌山市において既に指定されている地区を見ると、現在ではとても良好な緑を備えているとは思われないところについても、相変わらず指定の継続をされている地区が多々見受けられます。風致地区の指定が継続されると、そこに住む人たちに建ぺい率等について建築の厳しい規制のみが行われることから、それら地区については現状を十分踏まえた見直しを行うこと、また指定を継続する地区については緑化に対する補助制度等を創設する必要があるように考えます。
 また、河川敷の利用に関しても、治水面の安全性の観点より非常に厳しい規制が課せられています。流域住民の生命財産を洪水から守るという河川管理者の立場から考えますと理解できなくはありませんが、近年、全国的に都市化が進行する中で、町づくりの一環として水辺の価値が見直され、潤いと触れ合いのある空間として利用していこうという機運が高まってきております。このような状況の中で、紀の川等の広い高水敷を水と緑の快適空間として有効かつ計画的に利用を図っていくべきと考えます。
 以上、関係部長の答弁を求めます。
 三番目の質問項目に入ります。
 道徳教育と個性を尊重した教育について、国歌・国旗の認識と教育実践について、ほかであります。
 本県の教育界のリーダーとして最高峰にある教育委員会の見解として、文部省が昨年三月に全面改訂した新学習指導要領の中で、それまで「望ましい」という表現にとどまっていた国旗の掲揚等について、「入学式や卒業式等では(中略)国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」と明記し、この部分はことし四月から先取り実施する移行措置を打ち出していますが、文部省の昨春の卒業式と入学式での実施率調査では、小・中・高校の入学式の三割から四割で国歌斉唱が行われていないところがあるということであります。「日の丸・君が代問題をめぐって教職員組合を中心に現場の抵抗がなお強い」と、大手新聞の平成二年一月十九日の三十ページ第二社会面に、福岡県立伝習館高校の教師が教科書を使わないで生徒に授業をしていた、また、国が教育内容、方法の基準を定める必要を認めた上で、教師に認められるべき裁量にもおのずから制約があると指摘し、指導要領は法規的性質を持つとして、指導要領に従わない教師三名の懲戒免職を認める判決を最高裁第一小法廷で、その前日に──一月十八日です──申し渡した記事と並行して記載されておりました。
 国歌・国旗についても、ことしからは、「軍国主義復活のためのものだ」と教えたり、全く何も教えなかったり、学校によって教える学校と教えない学校ができることのないよう、今までのように学校長の判断に任せたりすることのないよう、県教育委員会から学校長に指導をしていただきたい。
 ことし入学する一年生からということでは、一年生は卒業するまでには国歌が歌えるようになると思うが、中学や高校の二年生についても、式典等できちんと胸を張って歌えるように教えてやっていただきたいと思います。どのように対処されるのか、具体的にお聞きをいたします。
 先進国と言われる今日の日本人として諸外国との交流の場が多くなってきた昨今、国歌の交換から始まるセレモニーの機会に多く遭遇します。国歌が歌えない日本の青少年ではかわいそうではありませんか。お互いに起立をして国歌を歌い、国旗を掲揚をするのは礼儀、マナーであります。マナーと道徳とは共通点もあれば別な面もありますが、このような点についても教育の実践的なものとして重要なものと考えます。
 今、教育の内容で、道徳やマナーについて社会常識に欠ける受験学力優等生人間も多いようであります。その一例として、これは昨年の末のことでありますが、学生が──校章を見ますと、大変すばらしい名門の校章がついておりました。電車の中で、妊婦の方が風邪を引いてぐずる子供を置いたり抱いたりしながら大変つらそうにしておる。その前で二人の名門校の学生が本を読んでおって、知っておるんですけれども、全く席をかわろうとしない。私は、このような名門の生徒がこのような形で大きくなって、将来、国を担うような名士となっていかれるのでは、非常に──日本の現在の教育のやり方について、道徳やマナーについていろいろ考えなければならない時期に来ているんではないかと考えるわけであります。
 日々見ても、なかなか大変なことがあります。自転車で二列、三列になって狭い場所や道路を一群となってくる学生。それらについてもやはり──もちろん、これは家庭でも教育すべきものであるとは思いますが、教育のやり方として、あるいは道徳を教える立場として、何らかの措置を講じなければならないんじゃないかと考えるわけであります。
 次に、伝習館判決も、教育現場の受験実態から見ると「指導要領どおりやっていたら入試に対応できない」との本音も理解できないこともないので──といって、教師が自分の考えで何を教えてもよいというのではありませんが──考えてみてはと思うのは、年々人気が上昇してきた私学を見ると、人それぞれの個性を伸ばす勉強に切りかえてきているのが現状で、またこれは世界各国にも見られる風潮であります。入試科目について、五教科のうち選択受験ができたり傾斜配点を考えたり、入学後、幾つかは自由選択科目として個性を伸ばしてやるための手段を検討するなど、県立高校の近代的な改革が必要な時期に来ていると考えます。当局の本県としての見解をお伺いいたします。これは教育長に御答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 関西国際空港の南ルートについてでございます。
 私がかねがね申し上げておりますように、空港対策としてまず第一になさなければならないのは第一期工事の完成ということで、本県を初め関西が一丸となって全力を注いでおるところでございます。また、滑走路三本を備えた全体構想の実現に向かって邁進しております。
 本県にとって最も重要な問題は全体構想の早期実現でございまして、平成三年度から始まる第六次空港整備五箇年計画に着工のための明確な位置づけをさせるということ、先ほども鈴木議員にお答え申し上げたとおりでございます。
 井出議員から話のあった南ルート連絡橋については、政府において予算委員会、運輸委員会等においても検討されておるわけでございまして、地元の皆さんも熱心でございますし、和歌山の皆さんも熱心でございます。そうした点を私も十分理解しているわけでございまして、今後、関係の皆さんと協議しながら、積極的に対処してまいりたいと考えております。
 以下、関係部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、南海橋と第二阪和国道の事業促進についてでございます。
 第二阪和国道の一環である和歌山北バイパスについては、昭和六十三年度に事業化し、その後、地元の御協力を得て、測量調査、概略設計等を実施し、現在、建設省及び市の第二阪和国道関連建設事務所において、地元自治会と道路計画について了解を得るため、鋭意協議中であります。
 地元協議の中で沿道環境についての意見、要望が多く出されておりますが、このほかに、楠見地区等で地域の浸水対策についての強い要望が出されております。
 今後、こうした問題について、地元市及び地元地区の御理解と御協力を得ながら、平成二年度に用地買収に着手し、事業を促進するよう建設省に働きかけてまいります。
 なお、県・市の協力体制については、市の主体的な取り組みに対し、県として今後とも密接な連携をとりながら、事業の促進に努力していきたいと考えております。
 新南海橋については、現在、紀の川を渡る各橋梁が交通混雑を呈しており、この解消が市内の交通対策上、大きな課題となっており、新南海橋の早期整備が必要であると考えておりますが、新南海橋を供用するためには前後の関連する区間について用地の取得が不可欠であり、その見通しがついた時点で、橋梁本体についても整備がおくれることのないよう建設省に働きかけてまいります。
 次に、和歌山北インターチェンジの新設については、現行制度上は開発インターとなり、技術上の諸基準に適合することはもとより、建設費は開発者の負担となります。また、新設するインターチェンジにおける料金収入、維持管理費等を考慮した採算性の確保等、厳しい条件があり、新たなインターチェンジの設置は極めて困難な状況であります。
 しかしながら、現在、紀の川右岸において国道二十四号和歌山バイパスが事業中であり、平成四年度末には暫定二車線で供用される予定でございますので、このバイパスによって紀の川右岸地域から和歌山インターへの接近性が向上することにより、円滑な交通が確保できると考えております。なお、今後とも地域の開発及び交通の状況を見きわめながら、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、土地に関する諸手続の合理化についてでございますが、諸規定の許される範囲で事務の合理化を図りながら、申請者に対する公平を確保し、事務処理の適正化、効率化にさらなる努力を重ねてまいりたいと存じます。
 次に、市街化調整区域内の開発許可についてでございますが、市街化調整区域は道路、下水、公園等の整備が十分でなく、都市的土地利用を図ることは、無秩序な市街化を抑制する観点からふさわしくないと考えます。
 御指摘の、周囲が宅地化されている、あるいは幹線道路沿いにあって道路、下水等の整備が活用できる土地の区域については、都市化の実情に合わせて一定の規模、用途の開発行為について許可できるよう運用改善を図ってまいります。
 なお、近年、紀の川の右岸地帯では市街化が急速に進行している状況にあり、県としても、これに対応するため、関連河川の治水安全度の見直しに着手してございます。
 その一つとして、鳴滝川の改修を平成二年度より着手すべく考えておりましたが、昨年九月の浸水被害を契機に、建設省との協議により、平成元年度事業として昨年十月に激甚災害対策特別緊急事業として採択されました。この事業区間は、紀の川合流点より上流千二百メーターとなってございます。現在、地元の有功・楠見両地区より成る促進委員会と協議しながら、諸問題の解決に当たっているところでございます。
 次に、都市計画、市街化区域、市街化調整区域についてでございます。
 岩出町については、秩序ある都市の整備開発及び保全を行うため、市街化区域及び市街化調整区域の指定、いわゆる線引きを行うべき都市とされております。
 しかしながら、まだ市街化区域及び市街化調整区域の指定がなく、土地利用の混乱を起こしているため、現在、線引きの準備を進めております。関係機関との調整を行った上、線引きの原案づくりについて岩出町を指導し、都市計画決定を行ってまいりたい。
 また、貴志川町、桃山町については、議員御指摘のとおり、現在、都市計画区域の指定がなされておりませんが、最近の開発の波は両町にも及んでいるのが現状であります。今後、両町における都市的土地利用の動向を踏まえ、都市計画区域を指定するよう検討を進めてまいります。
 また、和歌山市の風致地区は、昭和十六年十二月に良好な風致が存在する地区を対象に指定されたものであります。風致地区全体を見れば現在も依然としてその良好な環境は十分維持されており、都市における良好な自然環境保全のため、今後とも継続していくことが重要と考えております。
 しかしながら、指定後、年月も経過しており、土地利用の変化が著しいところについては見直しの検討が必要と考えております。現在、和歌山市全体における緑のあり方についてのマスタープランの策定を行うこととしており、その中で風致地区の検討を行ってまいりたい。
 また、緑化に関する補助制度としては、和歌山市において生け垣に対する補助制度があり、風致地区においてもその制度を活用するよう、市を指導してまいりたい。
 次に、河川敷の利用についてでございます。
 従来より、河川の管理については、治水利水機能を重視した機能追求型の河川整備が進められてまいりました。近年では、これらに加え、議員御指摘のように、河川空間固有の水と緑の貴重なオープンスペースの環境機能が重要視され、その整備に流域住民の期待が高まってきております。
 このような状況の中で、河川管理者として計画的、総合的にその保全と利用を図るための指針として、学識経験者、国、県、流域市町村から成る協議会を設置し、その意見を聞きながら、河川環境管理基本計画の策定を行っているところでございます。
 平成元年度では一級河川の紀の川、新宮川の二河川がまとまりつつあり、順次、主要な二級河川の策定を行ってまいる予定としております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 地籍調査の促進の問題でございます。
 土地行政の基礎となる公図を正確なものにするための地籍調査事業が、全国的に実施をされてございます。非常に重要な事業と認識をしておりますが、最近、とみにその感が深まってまいってございます。
 本県においても、これまでも担当課、出先機関挙げて推進をしてきておりますが、さらにそれを進めるべく、元年度に全国唯一の地籍調査専門員を配置し、事業主体となる市町村に対し強く啓蒙を重ねてまいりました。
 現在、県下五十市町村のうち十三市町が事業着手をしてございますが、平成二年度には新規に二つの町が着手することになってございます。続く三年度にも着手する市町が見込まれており、着実な進捗が図られつつございます。
 なお、予算措置の問題でございますけれども、市町村に対する助成に要する経費として、今議会に一億二千百六十五万六千円を、対前年比一五九%と積極的な対応をいたしたく、お願いいたしているところでございます。
 今後、さらに一層の促進に努めてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 和歌山操車場跡地の利用につきまして、お答えを申し上げます。
 和歌山操車場駅の跡地については、議員御指摘のとおり、国鉄清算事業団に帰属する土地でございまして、本県における旧国鉄跡地としては最大のものでございます。また、和歌山市の市街地に残された貴重な土地でございまして、周辺地域の活性化の核となるよう、この跡地の利用を促進していかなければならないと考えてございます。
 県としては、こうした基本的な考え方をもとに、公共公益的な利用を図るべく、現在、国鉄清算事業団に対して強く働きかけているところでございます。
 今後とも、この跡地の利用について、県として積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、国旗・国歌についての御答弁を申し上げます。
 御承知のように、国際化が進展している昨今、国際社会に生きる日本人としての自覚を養うとともに、お互いの国を尊重し合うということが大切でございまして、そういった観点から、児童生徒に対して国旗・国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を培うことが極めて肝要であると考えてございます。
 新しい学習指導要領では、まず国歌については、小学校の音楽で、低学年では聞かせて徐々に親しみを持たせること、中学年では歌詞や楽譜を見て歌えるように指導をすること、高学年においては歌詞やリズムを教えて正しく歌えるようにすることなど、子供の発達の段階に応じて指導を行うことになってございます。
 また、社会科においては、六年生ではそれの意義についての指導が新たに取り扱われて、さらに学校行事でも指導していくことになってございます。
 中学校においては、学校行事を重ねていく間に歌えるようにするような指導をしていくということになってございます。
 こうした趣旨、内容について、昨年から伝達講習会あるいはまた校長会、さらにまた市町村の教育長会議などを通じて、研修によりその周知徹底を図ってまいったところでございますが、これらのことは、従前から議会でお答えを申し上げておりますとおり、新しい学習指導要領に準拠して指導していく所存でございます。
 次に、道徳教育についてでございます。
 近年、科学技術の発達は目覚ましく、物質的に豊かな社会になってございます。しかし、その反面、他人に対するいわゆるいたわり、あるいは思いやりといった点では、心の貧しさが問われているところがございます。こうしたときに当たり、人間形成の上で、児童生徒に対して心の教育を充実させることは極めて大切なことであると考えてございます。
 県教育委員会としては、道徳的実践力を身につけさせるために、研究学校の指定をし、あるいはまた推進地域の設定をするとともに、学校における道徳教育をすべての教育活動の中で位置づけ、指導しているところでございます。
 今後とも、心の教育の充実に当たっては一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、高等学校の入学選抜についての御質問でございますが、現在、御承知のように、五科目の学力検査、そして中学校から提出をされてくる調査書等により総合的に判断をする方法で実施をしてきてございます。
 また、個性を生かし伸ばすという観点から、明確な目的意識を持った生徒を入学させるために推薦入学制度を導入し、現在、六十二年度、さらに六十三年度と、その内容の充実を図っているところでございます。
 一方、社会の変化に対応して、生徒の適正、興味、関心等に応じるために、電子機械科や国際交流科などの新しい学科を設置してまいったところであります。また、各高等学校においても、生徒一人一人の特性等に応じた教育を行うために、選択科目をなお一層多く取り入れて工夫をしているところでもございます。
 今後、生徒の個性を生かして、そしてまた伸ばすために、そういった観点から、特色のある学校づくりをさらに一層推進してまいりたいと考えございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 関西新空港南側連絡橋ルート建設運動については、知事から積極的に取り組んでいただけるとの御答弁をいただきましたので、ありがとうございます。
 当初、連絡橋が二本との構想があったようにも聞いておりますが、和歌山の飛躍的発展のためにも、全体構想に絡ませて南ルートの必要性の位置づけをしなければ、一度空港が動き始めてからでは遅いと考えますので、ぜひ今から関西新国際空港南側ルート構想の運動と取り組み推進を強力にしていただくよう、いま一度よろしくお願いして、私の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時九分散会

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