平成2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

 平成二年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 一 号
 
 二月二十八日 (水曜日) 午前 十時 三分開会・開議
 午前十一時三十四分散 会
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議 事 日 程 第一号
 平成二年二月二十八日(水曜日)
 午前十時開会・開議
 第一 会議録署名議員の指名
 第二 会期決定の件
 第三 議案第一号から議案第六十四号まで及び報第一号から報第四号まで(知事説明)
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本日の会議に付した事件
 第一 会議録署名議員の指名
 第二 会期決定の件
 第三 議案第一号から議案第六十四号まで及び報第一号から報第四号まで(知事説明)
 第四 休会決定の件
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(二名)
 26 番  那 須 秀 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
〔備 考〕
 38 番 欠 員
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 総務課主事 山 下 正 彦
 総務課主事 平 田 裕 昭
 調査課長 阪 上 明 男
 調査課主幹 岡 山 哲 夫
 調査課主幹 松 尾 健 介
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時三分開会・開議
○議長(門 三佐博君) ただいまから、平成二年二月定例会を開会いたします。
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十時四分休憩
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 午前十時五十分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、13番中西雄幸君、30番尾崎吉弘君、45番小林史郎君の三君を指名いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月二十三日までの二十四日間といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月二十三日までの二十四日間と決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 貴志八郎君から、一月二十六日付で一身上の都合により議員を辞職したい旨の願い出が提出されておりましたが、地方自治法第百二十六条ただし書きの規定により、同日、これを許可しましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、諸般の報告をいたします。
 お手元に配付のとおり、知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び地方自治法第二百二十一条第三項に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査結果の報告及び現金出納検査結果の報告がありました。また執行機関から、去る十二月定例会において採択した請願の処理の経過及び結果の報告がありました。
 以上、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、今期定例会に提出されました議案等について報告いたします。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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  財第183号 
  平成2年2月28日
 和歌山県議会議長 門   三佐博 様
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成2年2月定例会議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
 議案第1号 平成2年度和歌山県一般会計予算
 議案第2号 平成2年度和歌山県農業改良資金特別会計予算
 議案第3号 平成2年度和歌山県林業改善資金特別会計予算
 議案第4号 平成2年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計予算
 議案第5号 平成2年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計予算
 議案第6号 平成2年度和歌山県母子福祉資金特別会計予算
 議案第7号 平成2年度和歌山県寡婦福祉資金特別会計予算
 議案第8号 平成2年度和歌山県東京事務所宿舎特別会計予算
 議案第9号 平成2年度和歌山県職員住宅特別会計予算
 議案第10号 平成2年度和歌山県物品調達特別会計予算
 議案第11号 平成2年度和歌山県立医科大学特別会計予算
 議案第12号 平成2年度和歌山県印刷事業特別会計予算
議案第13号  平成2年度和歌山県営競輪その他事業特別会計予算
 議案第14号 平成2年度和歌山県営港湾施設管理特別会計予算
 議案第15号 平成2年度和歌山県市町村振興資金特別会計予算
 議案第16号 平成2年度和歌山県自動車税等証紙特別会計予算
 議案第17号 平成2年度和歌山県用地取得事業特別会計予算
 議案第18号 平成2年度和歌山県立五稜病院事業会計予算
 議案第19号 平成2年度和歌山県電気事業会計予算
 議案第20号 平成2年度和歌山県工業用水道事業会計予算
 議案第21号 平成2年度和歌山県土地造成事業会計予算
 議案第22号 平成2年度和歌山県有料道路事業会計予算
 議案第23号 平成元年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第24号 平成元年度和歌山県農業改良資金特別会計補正予 算
 議案第25号 平成元年度和歌山県林業改善資金特別会計補正予算
 議案第26号 平成元年度和歌山県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算
 議案第27号 平成元年度和歌山県中小企業近代化資金特別会計補正予算
議案第28号 平成元年度和歌山県物品調達特別会計補正予算
 議案第29号 平成元年度和歌山県立医科大学特別会計補正予算
 議案第30号 平成元年度和歌山県印刷事業特別会計補正予算
 議案第31号 平成元年度和歌山県営競輪その他事業特別会計補正予算
 議案第32号 平成元年度和歌山県営港湾施設管理特別会計補正予算 
 議案第33号 平成元年度和歌山県市町村振興資金特別会計補正予算
議案第34号 平成元年度和歌山県自動車税等証紙特別会計補正予算
議案第35号 平成元年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
 議案第36号 平成元年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
 議案第37号 平成元年度和歌山県電気事業会計補正予算
 議案第38号 平成元年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
議案第39号 平成元年度和歌山県有料道路事業会計補正予算
 議案第40号 和歌山県職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第41号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第42号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第43号 平成元年4月分から同年7月分までの遺族年金に係る加算の年額等の特例に関する条例
 議案第44号 和歌山県地域振興基金の設置、管理及び処分に関する条例
 議案第45号 和歌山県児童福祉施設設置条例の一部を改正する条例
 議案第46号 へい獣処理場等に関する法律施行条例の一部を改正する条例
 議案第47号 和歌山県地域環境保全基金の設置、管理及び処分に関する条例
 議案第48号 和歌山県立自然公園条例の一部を改正する条例
 議案第49号 和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正する条例
 議案第50号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第51号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第52号 和歌山県地方警察職員定員条例の一部を改正する条例
 議案第53号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第54号 警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第55号 企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
 議案第56号 和歌山県営工業用水道事業条例の一部を改正する条例
 議案第57号 和歌山県使用料及び手数料条例の一部を改正する条例
 議案第58号 平成2年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第59号 平成元年度建設事業施行に伴う市町村負担金について
 議案第60号 和歌山県道路公社の基本財産の額について
 議案第61号 和歌山県立医科大学附属病院看護職員修学資金等の返還免除について
 議案第62号 当せん金付証票の発売について
 議案第63号 財産の取得について
 議案第64号 工事請負変更契約の締結について
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  財第183号 
  平成2年2月28日
 和歌山県議会議長 門   三佐博 様
 和歌山県知事 仮 谷 志 良
 知事専決処分について報告
 平成元年度一般会計補正予算等について、早急に措置する必要が生じたが、臨時県議会を招集する暇がなかったので、やむを得ず地方自治法第179条第1項の規定により専決処分した。
 よって、同法同条第3項の規定により、報第1号から報第4号をもってこれを報告し、その承認を求めます。
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○議長(門 三佐博君) 日程第三、ただいま報告いたしました議案第一号から議案第六十四号まで、並びに知事専決処分報告報第一号から報第四号までを一括して議題といたします。
 議案等はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 平成二年度予算案を初め諸議案について御審議をお願いするため二月定例会を招集いたしましたところ、議員各位には何かとお忙しい中を御参集いただき、厚く御礼申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由を御説明するのに先立ち、県政の運営について私の所信を申し述べたいと存じます。
 本年は一九九〇年代最初の年、未来の代名詞のように言われた二十一世紀を目前にして、昨今の世界の政治経済の動向は言うに及ばず、国際化の波、高度情報化、また高齢化の時代を迎えて、本県を取り巻く社会経済の情勢は大きく変貌しつつあります。
 すなわち、平成五年開港を目指した関西国際空港の建設も着々と進行し、県内各地に企業の立地が大きく進展するなど、県経済に力強いインパクトを与えております。また、本年三月の岸和田─阪南間等、近畿自動車道の接続・南伸や府県間道路の整備促進、さらには二年度より本体工事にいよいよ着手する南紀白浜空港のジェット化事業等、国土幹線軸との直結が間近になるとともに、紀淡海峡トンネルを含めた第二国土軸構想について、この秋、本県でシンポジウムを開催することにいたしております。
 これらは、ひとえに、議員各位を初め、県民の皆様方の御協力と御理解があればこそと、厚く感謝申し上げる次第でございます。さらに半島性からの脱却を図るべく、今後なお一層の努力をいたしてまいります。
 一方、本県の将来を論ずるに当たっては、輸入自由化を控えた本県農業は言うまでもなく、産業の構造改善、経済動向に連動した地価の高騰、さらには人口の高齢化等、積極的に取り組まなければならない幾つかの課題があることも事実であります。
 このような諸情勢のもと、今、本県は、活力ある和歌山へのさらなる飛躍を目前に控え、そのために必要な基盤整備や人づくり等、種々の事業の一層の具体化を行い、例えれば二十一世紀に向けての「和歌山」の新たな離陸のためエネルギーを充てんし、さらにエンジンを始動させるときにあると言えます。
 以上のような認識に立ちまして、平成二年度においては「新しい時代に挑む力強い地域産業の発展」「健康で快適なくらしと生きがいのある福祉社会の建設」「明日を担う人づくり」「魅力ある文化の創造」を柱として、県勢のさらなる伸展に全力を傾注する所存であります。
 まず第一に、新たな離陸にとって何よりも重要であるのは活力ある本県産業の振興であります。
 産業基盤、生活基盤として重要な交通網の整備といたしましては、半島振興道路、ふるさとづくり特別対策道路等、県単独道路事業の充実も含め、着実かつ積極的な道路網の拡充に努める一方、総合交通体系に関連する広域農道の促進を図ったところであります。
 産業政策といたしましては、高度情報化、技術革新、国際化等の大きなうねりの中で迅速に対応していける足腰の強い産業構造へ転換を図っていくことが重要であり、そのために特に二年度においては、工業技術センターの新研究棟の建設、和歌山リサーチラボを含む頭脳立地構想の推進によるソフト関連企業の誘致等、時代を先取りする施策を展開いたします。
 さらに、和歌山マリーナシティの建設促進、地方博覧会「世界リゾート博」の具体的な推進等、余暇時代に対応したリゾート振興にも大いに力を入れてまいります。
 また、本県の豊富な歴史、伝統をもう一度見詰め直し、県内外の人々にも再発見していただくための施策として「古道ピア」の開催や「国際花と緑の博覧会」への参加等を行うことといたしております。
 一方、輸入自由化を目前に控えた本県果樹農業の活性化を図るためには「味一」といった県産物のブランド化等を推進し、産地化のさらなる充実を図ってまいる所存であります。
 第二は、県民の皆様が健康で安心して暮らすことのできる「健康・福祉和歌山」の実現であります。すなわち、医科大学の統合移転、成人病対策、医大附属病院への最新鋭医療機器の導入といった健康対策事業の推進、さらにホームヘルパー等の在宅老人福祉事業、積極的な社会参加の促進等を目指した障害者施策等のきめ細かな福祉施策に最大限の努力をいたす所存であります。
 第三は本県の将来を担う「人づくり」でありますが、国際化、情報化時代に対応する人材育成のための高校生の海外派遣や、田辺工業高校への生産システム科の新設に伴う施設整備、さらには生涯スポーツ振興のための第三回全国スポーツ・レクリエーション祭の開催等、ハード、ソフトの広範な面での教育の振興、充実に努めてまいります。
 第四は「魅力ある文化」の創造であり、これなくしては真の「ふるさと和歌山」とは言えません。そのため、平成四年度完成を目指し、新美術館、新図書館の建設に向けた実施設計等の事業推進や国際交流を促進するための国際交流協会の設立等の諸施策を展開することといたしております。
 「躍動の時代、豊かな和歌山の創造」という県政の基本目標のもと、以上述べた重点政策を着実に実行し、真に豊かさを実感できる社会の形成を目指して全力を傾注してまいる所存であり、県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 以下、予算の具体的な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、歳入の概況といたしましては、過去低迷を続けてまいりました税収が伸び率でかなり復調の過程にありますが、その水準についてはいまだ十分なものとは言えず、また国庫支出金につきましても、国の予算における伸び悩みや国庫補助負担率の引き下げ措置という事情から、その獲得に最大限の努力を払ってまいりますが、多くを望み得ない状況にあります。
 このような財源面での問題がある中、単なる経費節減のみならず、引き続き行政改革の一層の推進を図り、人件費等の義務的経費の抑制に努める一方、半島振興事業やふるさとづくり特別対策事業といった国の財源措置のある起債の活用等、できる限りの工夫を凝らしたところであります。
 以下、各分野における歳出予算の概要について御説明申し上げます。
 第一の柱は、「活力ある産業の振興」であります。
 まず最初に、空、そして陸の交通基盤の整備であります。
 関西国際空港第一期工事が進捗する中、全体構想の早期実現、国内便の確保に向けて最大限の努力を行っているところでありますが、二年度においても関西国際空港と本県経済との関係について調査することにより、その理論的な根拠を強化いたします。
 さらに、南紀白浜空港ジェット化整備計画につきましては、三年目として九十一億八千二百余万円を投じ、本体工事に着手するとともに、用地買収についても年度内にはほぼ完了いたすこととしております。
 また、有力な高速交通手段であるヘリコプターの活用についても、その発着場の適地性等について調査し、その具体化に向け一歩前進いたします。
 道路網の整備についてでありますが、湯浅御坊道路や京奈和自動車道の事業促進のほか、国直轄事業として国道二十四号和歌山バイパス、二十六号和歌山北バイパス、そして四十二号田辺バイパス等の事業促進が図られます。一方、県事業といたしましても、橋本市内の国道三百七十一号四車線バイパスに本格的に着手し、また南北交通のかなめとなる四百二十四号の白馬トンネルに着工するなど、国道、県道の整備を図ってまいります。
 さらに、半島振興道路やふるさとづくり特別対策の県単独道路事業を大幅に充実したところであり、道路予算としては、公共事業、単独事業、国直轄事業負担金合わせて五百十二億四百余万円を計上し、なお一層の道路整備を推進することといたしております。
 一方、総合交通体系に関連する広域農道としても、紀の川広域農道伊都工区の全線供用開始等、その進捗を図っているところであります。
 なお、県土の保全、治水関係につきましては、県下主要河川の改修や海岸等の整備促進、特に昨年九月の集中豪雨被害により採択されました和歌山市の鳴滝川激甚災害対策事業につきましては、元年度に引き続き促進を図ってまいります。
 また、一級河川である紀の川、新宮川の直轄河川改修、大滝ダム及び紀の川大堰の建設、紀伊丹生川ダム建設の実施計画調査に対する負担金を計上しております。
 第二に、地場産業、工業の振興といたしましては、産業技術のハイテク化、融合化に対応するため、工業技術センターを開放型機能、技術交流型機能、研究開発型機能を備えた地域産業の中核的研究開発施設とするため、新しい研究棟を建設するとともに、先端技術関連機器の整備充実を図ることといたしております。
 また、漆器試験場においては、新商品の開発力を高めるため、産・官共同でコンピューターによる漆器デザイン開発事業に取り組んでまいります。
 さらに、情報関連産業の発展性にかんがみ、いわゆる頭脳立地法の事業として、二年度においては研究開発、人材育成、情報提供等の機能を備えた中核的施設・和歌山リサーチラボの設立に向け第三セクターを設立するとともに、地域振興整備公団によるソフト関連企業の進出用地の造成が行われます。
 次に、将来の本県にとって基幹産業に成長するリゾート産業についてであります。
 その中核的な施設の一つとなる和歌山マリーナシティは、ケーソンの設置等、その建設が着々と進んでおり、二年度は人工島に通じる二本目の橋、毛見二号橋の着工等、平成五年春の一部供用開始を目指し、精力的に取り組んでまいります。
 さらに、この和歌山マリーナシティを主会場にする地方博覧会「-ウェルネスWAKAYAMA-『世界リゾート博』」の平成五年夏の開催に向けて実施計画策定などを積極的に推進し、関西国際空港の開港を契機に本県の魅力を内外にアピールし、地域の活性化を図ってまいります。
 第四に、観光対策であります。
 本県の有する豊かな歴史、伝統をもう一度見詰め直し、県内外の人々に知っていただくため、一昨年より「ふれあい紀州路歴史の道」キャンペーンを展開してまいりましたが、二年度においては、その総仕上げとして、日本三大古道の一つである熊野古道を中心とした「古道ピア」を開催するとともに、本年四月に開幕いたします「国際花と緑の博覧会」において七月二十六日を「和歌山県の日」と設定し、郷土色豊かなイベント等を実施することにより、本県のより一層のイメージアップを図ることといたしております。
 第五に、農林水産業の振興についてであります。
 オレンジ等の輸入自由化対策につきましては、果樹産地の一層の体質強化を図るため、生産基盤の整備、高品質の果実生産のための種苗供給センター、さらに施設園芸等の高収益農業の確立に努力するとともに、花卉栽培についても黒潮フラワーエリアの形成を目指し、フラワーロードの整備等、その産地化を推進いたします。
 また、中山間地域活性化のための生産性技術の向上や生活環境基盤の整備促進等の諸施策を実施いたすこととしております。
 一方、試験研究施設の充実等により、高品質作物の技術開発や「味一」ブランドの新しい流通技術の開発及び肉用牛の受精卵移植技術の実用化を進め、また「近畿バイオセミナー IN WAKAYAMA」を開催し、近畿地域のバイテク関係者の情報交換により本県農業の一層の高度化を進めてまいります。
 さらに林業の振興につきましては、基幹林道等の整備、県産材の需要拡大に努める一方、新たに地域林業の中核となる人材の育成確保事業を行い、また水産業の振興についても、魚礁、増養殖漁場の造成を進め、つくり育てる漁業の推進に努めてまいります。
 第一の柱の締めくくりとして、産業行政を含めた県行政の究極の目的は、各地域それぞれの人々が考え、それぞれの特色を生かした「ふるさと」創生、地域振興であります。
 このような趣旨のもと、市町村財政の現状や事業の促進という見地から、県単独道路事業等を中心とした約五億円の市町村負担金の軽減や、市町村の地域振興事業に対する支援として、補助、低利貸し付けを内容とする「さきがけ」支援事業を実施するとともに、地域総合整備資金貸付、いわゆる「ふるさと財団」貸付事業を導入してまいります。
 また、地域振興を図る上で重大な影響を及ぼす地価の高騰に対処するために、新たに紀の川流域全域に監視区域を指定するなど、厳しい態度で臨む所存であります。
 第二の柱は、県民が健康で安心して暮らすことのできる生きがいのある「健康・福祉和歌山」の実現であります。
 まず、健康の増進でありますが、県立医科大学の統合移転については、元年度補正予算及び二年度当初予算において総額六十七億六千余万円により紀三井寺競馬場跡地を移転用地として購入し、その推進に努めてまいります。
 また、「自分の健康は自分で守る」、すなわち疾病の予防と早期発見、早期治療の大切さを認識していただくための啓発運動、健康診査等の施策を一層推進するとともに、看護学生修学資金の拡充等、看護婦充足のための諸施策や腫瘍等疾病の早期発見・治療に大きく貢献する最新鋭画像診断装置・MRIの医大附属病院への導入など、診療用機器の一層の充実を図ったところであります。
 さらに、児童生徒の心身の健全な育成を図るため、定期的健康診断及び安全教育の趣旨を徹底し、また最近増加傾向にある高校生の突然死の防止を図るため、新たに高等学校新一年生を対象に心臓検診を行うことといたしております。
 次に、福祉の充実であります。
 まず老人福祉関係につきましては、在宅介護を支援するため、国の「高齢者保健福祉推進十カ年戦略」に沿ってホームヘルパー、デイ・サービス、ショートステイの在宅三事業を大幅に拡充するとともに、地域における介護の専門相談機関として「在宅介護支援センター」を新規設置いたします。
 また、昨年、全国に先駆けて設立した財団法人和歌山県いきいき長寿社会センターの行う事業を一層充実するほか、新たに老人活動の拠点となる「地域高齢者コミュニティホーム」の整備や過疎地域におけるひとり暮らし老人の不安を解消するための「過疎高齢者生活福祉センター」を設置することとしております。
 さらに障害者対策といたしましても、精神薄弱児福祉施設「南紀療育園」が設備整備を含め本県初の精神薄弱児者併設施設として完成するほか、「有功ケ丘学園」の大規模施設整備を行うことといたしております。
 また、小規模授産施設や障害者グループホームに対する補助制度の充実を図るとともに、新たに精神薄弱児者スポーツ大会の開催や在宅重度身体障害者ミニ・デイサービス事業を行うなど、障害者の社会参加の推進に努めてまいります。
 児童福祉対策といたしましては、保育所、児童館の改築等に助成を行うほか、僻地保育所に対する障害児保育の助成や情緒障害児を対象にした療育キャンプを実施することといたしております。
 さらに母子福祉の推進につきましても、社会的、経済的に不安定な立場に置かれている母子及び寡婦家庭に対し、各種資金の貸し付け、児童扶養手当の支給を行うほか、新規事業として、満十八歳で資格喪失となる児童扶養手当受給者に対し、高等学校等の修学生を対象に県独自の修学費助成を行うことといたしております。
 次に、同和対策であります。
 本年は現行法の四年目を迎え、有効期限が残すところ二年となっておりますが、重点施策として、教育、啓発活動や産業就労対策を積極的に推進してまいります。
 また環境整備事業等につきましても、法期限内での完全実施に向けて積極的に取り組んでまいる所存であります。
 また、快適な環境づくりといたしまして、歴史と景勝の地・和歌浦に建設中の健康運動公園「和歌公園」について、園地内の植栽等、その整備を進めるとともに、串本町橋杭園地の整備や田辺市ひき岩群周辺の「ふるさと自然公園国民休養地」整備事業を行うことといたしております。
 さらに、県民の皆様の暮らしの安全を守るため、災害対策上、極めて重要な通信連絡体制の確保のために従来から進めてまいりました防災行政無線は、平成二年七月からの運用開始を目指しているところであります。
 また警察関係では、新宮警察署において運転免許証の即日交付を実施することとし、県民の方々へのサービスの向上を図るほか、広域化、スピード化する犯罪に迅速、的確に対処し、事件の早期解決を図るため、捜査、鑑識用資機材を導入し、科学捜査力の強化に努めてまいります。
 第三の柱は、将来の和歌山を支える「明日を担う人づくり」でありますが、小中学校における「四十人学級」の推進や初任者研修の本格的実施等による一般的な教育水準の向上はもとより、本県の将来を論ずるに当たっては、国際化、技術革新といった時代の流れに即した人材育成がぜひとも必要であります。
 まず、国際化の進展に対応するため、語学指導外国青年の増員や若手教員の海外研修を行い、また新たに県内の高校生の国際的視野を広め相互の親善を深めるため、高校生海外生活体験事業を実施いたします。
 さらに、特色ある教育の場として、平成三年四月に橋本市内に開校予定の国際科や体育科を持つ初芝橋本高等学校の校舎等施設整備に対し助成することといたしております。
 一方、情報化、高度技術化という時代に対応した教育を推進するため、県立高等学校職業科等における情報機器の整備を行うほか、施設面におきましても、田辺工業高校に新設した生産システム科の校舎の建設等を行います。
 次に、養護学校の地域的な適正配置を図るため、本年四月に開校する「みくまの」養護学校の建設に加え、二年度には有田・日高地方養護学校の建設に着工するとともに、盲学校寄宿舎の新築やみはま養護学校のプールの設計等、きめ細かな教育の推進にできる限りの努力をしてまいります。
 また、スポーツの振興といたしましては、生涯を通じたスポーツ・レクリエーション活動の振興という時代の要請に基づき、第三回全国スポーツ・レクリエーション祭を本年十月十三日から十六日にかけて開催し、全国から約二万人の御参加を得てスポーツ愛好者の友好を深め、本県の美しい自然と風土に接していただくこととしております。
 一方、社会教育につきましては、生涯学習の意欲をさらに伸展させるため、二年度より生涯学習の人材や施設についての情報提供をパソコンを通じ行うとともに、本年は国際識字年に当たり、これを契機に広く県民に識字問題についての啓発活動をするなど、識字教育の一層の充実を図ることといたしております。
 さらに、教育面のみならず、社会情勢の多様化する今日、次代を担う青少年を健全に育てる社会環境をつくることも地域社会の責務であり、県勢発展の基礎となるものであります。
 このような観点から、二年度は、和歌山に生まれ育ったすばらしい先覚者を紹介する人物誌を作成し、子供たちに読んでいただくほか、「青少年問題を考える女性の集い」や将来を担う青年たちが「明日の和歌山」を語る青年議会の開催等の事業を実施いたします。 第四の柱は「魅力ある文化の創造」でありますが、生活水準の向上に伴って最近とみに叫ばれているのが心の豊かさであります。特に、活力ある新しい和歌山にふさわしい新しい文化拠点がぜひとも必要であります。
 かねてより計画を進めてきました新美術館については、平成三年四月建設開始のため用地取得及び実施設計を進めることとし、さらに新美術館の館蔵品の購入のため、昨年度に引き続き、さらに十億円の基金造成を行うことといたしております。
 また新図書館につきましても、平成三年四月建設開始のため実施設計等を進めるとともに、蔵書の充実やコンピューターによる図書館管理システムの開発を行ってまいります。
 一方、本年、和歌山県民文化会館が開館二十周年を迎えるに当たり、県民に親しまれる会館づくりのため、その大改修を終えて、「けんぶん20」と題し、特別文化事業を実施することといたしております。
 また、新しい本県の文化を語る上で欠かせない国際交流、ひいては和歌山の国際化を進展させるため、国際交流の中核組織として、市町村、民間の活力も導入して財団法人和歌山県国際交流協会を設立する等、諸施策を推進してまいります。
 以上が、予算案の主な内容であります。この結果、一般会計の総額は四千二百二十七億九千五百余万円、対前年度八・九%増となったところであります。
 最初に申し上げたように、この予算は九○年代最初の予算であり、予算執行を通じ、活力のある「ふるさと和歌山」への新たな離陸に向けてエンジン始動に全力を傾注する所存でありますが、大変盛りだくさんな事業であり、その実行に向けて、議員各位を初め県民の皆様の御理解、御協力をお願い申し上げる次第であります。
 なお、同時に御提案申し上げている特別会計予算は総額六百六十九億五千三百余万円、企業会計予算は総額百二十五億四千七百余万円と相なります。
 次に、平成元年度補正予算案の主なものについて御説明申し上げます。
 まず、一般会計の補正総額は八十五億千三百余万円の増額となりますが、その主な内容としては、広域的な市町村等と一体となって地域の振興を図るための十五億円の新規基金設置、新美術館、新図書館の本格化する建設経費の所要に備えるための四十億円の文化施設等整備基金積み立て等であります。
 また、特別会計につきましては八十九億七千余万円の増額となりますが、その主な内容としては、先ほど申し上げたように、医科大学の移転整備のための紀三井寺競馬場跡地の用地取得経費として、医科大学特別会計及び用地取得事業特別会計において、債務負担行為を含め、総額六十七億六千余万円を計上いたしております。
 また、新図書館建設のための用地取得費といたしまして、用地取得事業特別会計に二十億円を計上いたしております。
 なお、企業会計においては二億九千六百余万円の増額となっております。
 続きまして、条例案件について御説明申し上げます。
 本議会に提出いたしました条例案件は十八件でありますが、以下、その主なものについて御説明申し上げます。
 まず、議案第四十号、四十九号及び五十二号は、それぞれ知事部局及び教育委員会事務局の職員、県立学校等職員、警察本部事務職員の定数、定員を定めるものであります。
 次に、議案第四十一号、五十号、五十一号、五十三号及び五十五号は、それぞれ職員、教育職員、市町村立学校職員、警察官及び企業職員の単身赴任手当の新設を定め、議案第四十二号及び五十四号は滞納処分従事手当等職員の特殊勤務手当の額の改定を行い、議案第四十三号は遺族年金の加算額の引き上げを平成元年四月分から適用するものであります。
 基金設置条例としては、議案第四十四号は広域的な市町村等と一体となって地域振興を図るために要する経費の財源に充てる基金、議案第四十七号は地域環境を保全するための基金を、それぞれ設置するものであります。
 また、議案第四十五号は盲児施設六星寮を有功ケ丘学園へ併設することに伴う名称の変更など、議案第四十六号はへい獣処理場等に関する法律の改正に伴う規定の整備、さらに議案第四十八号は、県立自然公園にふさわしい利用施設を集団的に整備する地区を指定するための規定の整備であります。そして議案第五十六号は、臨時に給水を必要とする者に対し工業用水を供給するための規定の整備であります。
 議案第五十七号は、高等学校の入学金等の改正を本年四月一日より実施するとともに、公営住宅等の使用料について、平成二年十月より消費税転嫁に係る調整を行うものであります。
 次に、その他案件といたしましては七件でありますが、議案第五十八号及び五十九号は建設事業施行に伴う市町村負担金について議決をお願いし、議案第六十号は県道路公社の基本財産の額の変更についてであります。
 また、議案第六十三号は県立医科大学の整備を図るため紀三井寺競馬場跡地を和歌山市より購入するものであり、議案第六十四号は工事請負変更契約の締結であります。
 このほか、知事専決処分報告四件をお願いしておりますが、いずれも時期等の関係からやむを得ず専決処分したものであります。
 なお、諸報第一号は地方自治法第百八十条第一項の規定による知事専決処分報告であります。
 最後に、法人の経営状況を説明する書類を別途提出いたしております。
 以上で、提出議案に対する私の説明を終わります。何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 以上で、知事の説明が終わりました。
 御参考までに、ただいまの知事説明要旨を配付いたします。
 〔「知事説明要旨」配付〕
○議長(門 三佐博君) 配付漏れはありませんか。──配付漏れなしと認めます。
○議長(門 三佐博君) 次に、お諮りいたします。明三月一日から三日まで、及び三月五日から七日までを議案調査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 御異議なしと認めます。よって、三月一日から三日まで、及び三月五日から七日までを休会とすることに決定いたしました。
○議長(門 三佐博君) 次会は三月八日再開し、質疑及び一般質問を日程といたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午前十一時三十四分散会

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