平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(藁科義清議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 今期定例会も、皆さんの貴重な御意見が述べられ、ここに最終の一般質問となりました。
 私は、簡潔に一、二点、知事または部長にお伺いをします。
 まずその一は、御坊田園テクノタウン構想についてであります。
 このことについての始まりは、昭和四十七年、時の大橋知事が、紀北に学園都市構想、紀中に田園工業都市構想、紀南に福祉エリアと提唱をされ、本県の進む一つの方向を示されたわけであります。その後の経過を見ますと、県においては四十九年三月、御坊田園都市構想を策定され、仮谷知事の時代になって、五十年、五十二年にはこれに伴う工業導入基本計画の策定、さらに五十二、五十三、五十四、五十五年ではこれらについての調査報告書などが作成され報告をなされております。国においても、五十五年三月には八○年代の通商産業ビジョンを策定して、その中にテクノポリス構想を織り込み、テクノポリス建設の方向をまとめられております。そこで県では、御坊田園テクノタウン構想を策定して、テクノポリス地域の指定の要請を国に行った次第であります。
 結果は、五十六年六月、県の努力もあって、全国で御坊を含む二十地域をテクノポリス構想調査対象地域として指定されることになったので、五十六年十二月にはテクノタウン構想推進協議会を設置して、五十七年三月、基本構想を策定しました。昭和五十七年八月には、御坊を含む全国十九の調査対象地域のうち御坊以外の地域が開発計画策定対象地域となったわけであります。
 そこで県は、五十八年三月、御坊田園テクノタウン開発構想の策定に取り組んだが、御坊地域を取り巻く諸条件は十分でなかったため、国の承認を受けるまでには至らなかったと聞くのであります。翌五十九年六月二十九日には御坊田園テクノタウン建設促進協議会を設立し、会長に知事、副会長には御坊市長となっております。
 このような中で、御坊地域関係の皆さんが非常な努力をなされていることとは思いますが、その苦労はその衝に当たっている者以外にはわからないと思うのであります。そう言うのは、一般地域住民にとっては、この御坊テクノタウンは今日までの十七年間、目に見える何らの動きもないからであります。
 そこで私は、この際、今までの御坊田園工業都市構想及び御坊田園テクノタウン構想とは一体何であったのか、そういうことを思い返す次第であります。
 当時、御坊田園工業都市構想とそれに続く田園テクノタウン構想は、ともに御坊市、日高郡に工業開発といいますか、工業導入をすることによって地域の開発を図るということではなかったかと思います。しかし、今日までの長い年月の間には、誘致の対象とすべき我が国の工業の姿は、臨海性の装置型工業から内陸型の加工組み立て型産業に、そしてハイテク企業へと高度化の移り変わりを見ております。一方、計画の推進主体である地方自治体を取り巻く情勢にも変化があり、それぞれの地域みずからが努力してこそ国の支援も得られるという状況のようにもあります。
 そこで私は、まことに小さい話で地元のことでありますが、一つこの中に入れたいと思います。
 私は印南町ですが、先日、県議会総務委員会の皆さんが、印南町が先行投資をして造成した、しらこ協栄企業団地にある中紀精機の会社を視察された。この会社は、三十年前から従業員十人程度から始めてただいまは百二十人ぐらいとなり、今回、十四億円で新工場を設立し、さらに二百人を雇用するというのであります。事業内容は電気部品の抵抗器でありますが、メルフ型抵抗器では全国生産シェアは六○%で、二番目はこの工場より大きな松下電器であるとも聞いております。総務委員会の皆さんも、こんな会社が和歌山にあるとは知らなかったと言っておられました。その後、竣工式当日、西口副知事が出席をされ、知事の祝辞を述べられました。その中に、「県が今日まで推し進めている企業立地の理想の姿は、今、ここにこれを見た」、こういう言葉でたたえられておりました。ただいま、この企業団地にも数社が進出予定をされているとのことであります。
 さて、本論の御坊田園工業都市、同じくテクノタウンに話を戻しますが、私たち県政に関与する者にとっても、県の田園工業都市構想、テクノタウン構想を信頼して今日まで経過してまいっておりますが、このままこれといったことがないまま進んでいくものなら、できる可能な事業種目に変えて新しく踏み出すことの方がよいのではないかと思いまするし、そういう声も強くあります。
 そこで質問をいたしますが、県はこの問題にどのように対処されようとしているのか、具体的には御坊田園テクノタウン構想がうまく進まないのはなぜか、また今後、県はこの問題にどう取り組もうとしているのか、さらにまたこの状態で機が熟するのを待つということになるのか、この辺についての御意見をお聞きしたいと思います。これは、ただに御坊市だけの問題ではなく、周辺日高地方の大きな関心の持つ問題であるからであります。
 次に、高速道路の紀南延伸についてであります。
 このことにつきましては、知事初め議会の皆さん方の非常な御努力のおかげで、本年一月三十一日、近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間は基本計画路線に格上げをされました。そのときの発表によれば、標準車線は四車線、設計速度は時速八十キロ、道路等との連結地すなわちインターは御坊市付近、印南町付近、南部町付近、田辺市付近とあります。建設の主体は日本道路公団とある。また、この基本計画路線に格上げされたということは、今後この間の路線、環境アセスメント、開発計画との調整など、その実施のための具体的な調査に入ったということであります。
 そこでお伺いしたいことは、この路線がどこを通るかということはいつごろわかるのかということであります。
 このようなことをお伺いする理由は、御坊までの高速道路や関西国際空港のこれからを考えて、この区間にゴルフ場を初め種々の開発計画の情報等があり、せっかくの本路線の進捗に支障のないよう願うからであり、また関係自治体においてもそのことを心配しているからであります。
 またこの機会に、既に工事が進められております湯浅─御坊間の事業の進捗状況はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。この区間の進みぐあいが御坊─田辺間の整備計画切りかえにも大きく影響すると思いますので、格段の御努力を要望しておきます。
 また、田辺バイパス、西田辺バイパスはただいま工事中でありますが、今後、南部方面に向かって延伸されていくものだとは思いますが、そのように延伸されていくのか、されないのか、国はどのように考えているかについてお伺いしたいと思います。
 次に、切目川の防災対策についてであります。
 このことについては、昨年九月の切目川大水害に対し、県のこの地に対する防災対策について強くお願いをしておきましたが、早速まず調査費を計上いただき、取り組んでおられますことにはお礼を申し上げたいと思います。
 それとともに、私はこのころ、すなわち昨年の十二月、このことについて知事に状況を説明して、よろしく御検討を願いたいと申し上げた折、知事は、つと席を立って、自分で奥の方へ行って地図を持ってこられ、その説明では、日高地方の海岸通りはおいおい発展していくだろう、また南部郷は田辺圏域の影響も受けて逐次発展していく、また御坊と隣接の川辺町も高速なり御坊テクノの影響を受けて発展していくだろう、さらにまた日高奥は椿山ダムの設置などで非常に明るくなってきた、しかし、印南奥地、川辺奥地などは何か手を打たなければ落ち込んでしまう、もしこれらがダムの適地であれば、また地元住民が望むなら、ダムをつくることも一つの手だてだ、その場合は多目的ダムであろうと話してくれました。私は、この知事の言葉を聞きながら、地元であってもそこまで気がつかず過ごしていることを反省するとともに、常に県土の均衡ある発展に細かく心を配っておられる知事の姿に深く敬意を表した次第であります。
 このような中で、切目川の防災につきましては、引き続き手だてをいただき、雨降れば、水出ればと心配することが少なくなりますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 御坊田園テクノタウンについてでございます。
 この開発計画につきましては、お話ございましたように、御坊地域を取り巻く現状、また将来の姿を見るとき、大きく変わりつつあることも事実でございます。ただいまは印南町の話もいただいたわけでございますし、また御坊地域の実情を承るとき、変化が激しくなりつつあるなということを感ずるわけでございます。
 そうした中で、県あるいは地元市町村ができる範囲内において着実にこれを実現していくことがより重要ではないかという考えがございますし、そうした点は私も踏まえます。しかしながら、従来から行っておりますテクノタウンの問題については、現在、関係部局において検討しておるわけでございます。高速道路が御坊までできるという問題をとらえまして、両面をにらみつつやってまいりたい、しかし重点としては御坊田園テクノタウン構想をなお一層進めてまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 御坊田園テクノタウン構想への取り組みにつきましてお答えを申し上げます。
 テクノポリス構想は、高度技術に立脚した工業開発を促進することにより、地域経済の発展を図ることを目的としたものでございまして、現在、全国で二十五地域の開発計画が承認されてございます。
 テクノポリス地域として国の承認を得るためには、工業開発を進めるための基礎的な要件が満たされていなければなりませんが、御坊地域の場合、高度技術企業の存在、高速輸送施設利用の容易性、自然科学系大学の存在という三つの条件が整っていないため承認申請には至っていない状況でございます。
 しかしながら、御坊周辺地域に企業立地を進め、地域経済の自立化、活性化を図ることは、「若者が定住できる町づくり」という目標を達成する上で非常に重要なことでございますので、現在、御坊市内に地元との共同事業で約二十ヘクタール規模の企業団地を造成すべく、関係機関とともに鋭意検討を進めているところでございます。高速道路の御坊延伸にあわせて企業の集積が実現できますよう、地元とともに努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線の紀南延伸のことでございます。
 まず、御坊─田辺間については、本年二月に基本計画が決定されましたので、引き続き、次期国幹審での整備計画決定を強く国に要望しているところでございます。
 現在、建設省において整備計画立案に必要な技術調査、環境アセスメント等の調査が進められておりますが、周辺の開発計画等が本路線建設の支障となるような事態は何としても避けなければならないことは議員御指摘のとおりであります。県といたしましても、関係市町の情報を集め、適切なルート選定がなされるよう建設省と協議しているところであり、今後とも適切な計画が策定されるよう建設省に要望してまいります。
 また、湯浅御坊道路の事業の進捗についてでございます。
 現在、地元関係者の方々の御理解と御協力を得ておおむね予定どおり進んでおりますが、一部の地域で測量の立ち入りができていない状況にあります。議員御指摘のとおり、御坊─田辺間の早期事業化のためにも湯浅御坊道路の円滑な事業執行が重要であると考えます。今後とも、地元の御協力を得て早期に用地取得ができるよう努力してまいります。
 また、田辺市稲成から芳養までの間、通称西田辺バイパスについては、国道四十二号のバイパスとして昭和六十一年に都市計画決定がされました。しかしながら、平成元年二月に御坊─田辺間が国幹道の近畿自動車道の一部として基本計画が策定され、この路線とも関連を有するものであります。したがいまして、今後、国において所要の検討がなされると聞いております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。明十二月十三日及び十二月十四日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十二月十四日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(宗 正彦君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 二 委 員 会 室
 厚生委員会 第 三 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 四 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 一 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会 第 六 委 員 会 室
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○副議長(宗 正彦君) 次会は、十二月十五日再開いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十七分散会

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