平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時三十六分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番下川俊樹君。
 〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 お許しをいただきまして、質問を行います。
 本日私は、交通問題に絞って質問をし、当局の考え方を伺うものであります。私は、これまでも再三、本議場において交通問題を取り上げてまいりましたが、本日はこれを一歩進め、具体的な部分に議論を進めてまいりたいと存じます。
 ある全国紙に「和歌山県ほど『国土軸』という言葉をよく使う県はない」と紹介されておりましたが、言いかえますと、この言葉ほど本県の地域特性及びそこから生じる問題点を的確に表現している言葉はないと思います。すなわち、この言葉は、何とか本県を国土軸に近づけよう、それが本県の将来を支える交通基盤なのだという悲痛とも言える県の本音であり、このエネルギーが近年になって関西国際空港の泉州沖への誘致、南紀白浜空港の拡張計画、近畿自動車道の南北への延伸、特急くろしお号の新大阪駅乗り入れ、さらには関西国際空港における国内便確保運動へと県内世論を統一し、花咲き、実を結ぼうとしております。そのことは衆目の一致するところであり、私も、この点は大いに評価するものであります。
 とりわけ、最近最も高い評価を受けたのが、本議会でも既に何度も取り上げられている特急くろしお号の新大阪駅乗り入れであります。「大変便利になりました。大阪市内での乗りかえの不便がなくなったので子供や孫の顔を見に行きやすくなりました」と、地元でも大好評であります。このことについて、まず、知事初め関係者の皆様方の御努力に対し感謝を申し上げる次第でございます。
 本題に返りまして、これまでは和歌山県と国土軸の関係について申し上げてまいりましたが、次にこのことを県都和歌山市と紀南地方の関係に当てはめて考えてみたいと思います。
 問題点は明白でございます。先ほどの国土軸と和歌山県の関係をそっくり「和歌山市と紀南地方」という言葉に置きかえることができるほど、紀南地方の問題は交通対策に絞られてくるのであります。
 そこで、本日は交通問題に絞って質問を続けてみたいと思います。
 まず、問題点を整理してみたいと思います。
 交通問題を考えるとき、私は二つの面があると考えております。すなわち、一つは地域に住んでおられる人々の生活のための交通であり、いま一つは県外等からその地を訪れる人々のための広域的な交通の二つであります。紀南地方に当てはめますと、前者は、田辺、西牟婁、新宮、東牟婁の約二十二万人の人々の生活の利便性向上のための交通対策であり、いま一つはこの地の観光あるいはリゾート開発のために広く内外から人を呼び込むための交通対策であります。幸か不幸か、交通基盤の弱い紀南地方ではこの二つの問題は結果として同じ結論となりますので、本日はこれまでの広域的な視点から、人々の生活の交通という視点からこの問題を整理して考えてみたいと思います。
 この問題を考えていきますと、結論はまさに県の第四次長期総合計画に行き着くのでございます。県の第四次長計では交通問題について、県内各地をおおむね二時間で結ぶ道路網を確立すると明記されてございまして、私は、現在の県内の交通の実情を見るとき、これは大変立派な目標であり政策判断であると受けとめておりますので、この目標に向かって、道路にこだわらずに交通問題を考えてみたいと思います。
 交通にはその手段としてさまざまなものがございますが、私は紀南地方の特性から、その有効な交通手段を道路、鉄道、ヘリコプターの三つに絞ってございますので、まず道路から始めたいと存じます。
 質問の第一点は、長期計画の三十五ページに描かれております「和歌山県開発図」についてでございます。
 開発図では、県内を結ぶ縦の交通軸として海岸軸、中央軸、山岳軸の三本の道路体系が提案されてございます。このうち海岸軸については、多分、近畿自動車道なり国道四十二号線であることは大方の想像のつくところでございますが、残る山岳軸及び中央軸については具体的にどういう道路網を指しているのか、企画部長にお伺いをいたしたいのでございます。
 質問の第二点は、県の幹線道路である高速道路の紀南延伸についてでございます。
 まずその一部、湯浅御坊道路の現状と見通しを御説明いただき、さらに御坊以南、田辺までの延伸計画、加えて田辺以南、新宮までの延伸の見通しについて、土木部長より御説明を賜りたいと存じます。
 次に、私はこれまでも再三、「山岳ルート」という表現で国道四十二号に対するもう一本の幹線軸の必要性を訴え、高野龍神スカイラインから国道三百十一号に直結するルートの早期具体化を力説してまいりましたので、質問の第三点は、高野龍神スカイラインの南北の取りつけ道路についてお伺いをいたします。
 所期の目的に反してお荷物ともなっている高野龍神スカイラインの利用向上は県政の緊急かつ最重要課題であると認識をいたしている次第でございますが、本日は、この道路が紀南へ通ずる第二の県土軸であるとの位置づけから、この両端の連絡道について具体的にお伺いをいたします。
 すなわち、国道二十四号線の橋本市側から高野山で取りつける、いわば入り口に当たる路線の改修なくして高野龍神スカイラインの再生は望み得ません。現状は、有料道路から一般道路となった県道高野高野口線があり、海南、海草方面からは海南高野線があります。しかし、この両道路ともにカーブが多く、大型化しつつあるバス旅行等に対応できかねているのが実情であります。当局におかれてもその改修に懸命の努力を払われているところでありますが、計画の見通しについて土木部長にお伺いをいたします。
 次に、龍神から国道三百十一号に直結するルート、すなわち出口とも言うべきルートの整備も、これまた入り口同様、大変重要な計画でございます。一日も早い整備を望むところでありますが、現状と今後の見通しを明らかにされたいのであります。
 最初にも申し上げましたように、このルート整備は、紀南への第二県土軸とも言うべき重要な骨格路線であるのと同様、いや、それ以上に高野龍神スカイラインの経営から来る一般財源へのしわ寄せを憂慮する上での私の意見と受けとめていただき、その利用向上に対する早期な対策を伺っているものであり、明確な御答弁をお願いする次第でございます。
 質問の第四点は、国道三百十一号の改修計画についてでございます。
 国道三百十一号の重要性はこれまでも何度か指摘してまいりましたので、この場で再度繰り返すことは避けたいと思いますが、先ほど指摘いたしました高野龍神スカイラインの経営改善という立場からも重要な問題でございます。このルートについては、相当改修が進められて面目一新という姿を見せてきたところもありますが、なお狭隘部分が少なからずと申せます。リゾート開発のため海岸沿いに紀南を訪れた企業の方々が、本宮から川湯、中辺路へといわゆる熊野周遊道路に足を延ばし、この道路を視察するに及んで相当な失望感を持って帰るという話をよく聞きます。栗栖川─本宮間の改修計画について、具体的に御説明をいただきたいのであります。
 道路に関する質問を続けます。紀北と紀南を結ぶルートとして、私はいま一つのルート、すなわち龍神から金屋を経て吉備に至る、いわば県中央横断軸とも言うべきルートに注目をいたしています。先ほど来申し上げてまいりましたように、紀南からの山岳ルートはすべて龍神に集中してまいります。この龍神からスカイラインを経て橋本に出るか、いま一つ国道四百二十五号から四百二十四号を経て県道吉備金屋線で吉備インターチェンジに出るか、県内の道路ネットとして大変重要な意義を持つ道路であると認識いたしてございますが、このことに対する県の取り組みの現状と今後の計画、そしてこれらの路線の整備が完成した暁に、新宮─和歌山間の距離と所要時間がどのくらいになるのかを土木部長よりお示しいただきたいと存じます。
 最後に、道路整備の基本的な考え方につきまして質問をいたします。
 県にあっては、南北に長く、山間部の多い地域的な条件の中で、道路整備については広範囲にガードしなければならないという事情もあり、平素、大変御苦労なされていることと存じますが、道路整備を行う場合、重要路線を絞って、まずそこを完成させるということが県民に目に物を見せるということになり、行政の成果が具体的になると認識いたしてございますが、この点に関する知事の御所見をお伺いするものであります。
 次に、鉄道についてお伺いをいたします。
 冒頭でも申し上げましたように、特急スーパーくろしお号の新大阪駅乗り入れは大変好評でございまして、車中の混雑ぶりを見れば、このことがいかに喜ばれているか一目瞭然でございます。このことに対する知事、関係者の御努力に感謝をいたしつつも、なお紀南地方からの唯一の高速交通機関として、何点かの提言を交え、より一層の改善対策をお願いするところでございます。
 質問のポイントは、スピードアップ、輸送力の強化及びサービスの向上についてでございます。
 スピードアップについてでございますが、話をわかりやすくするために具体的に事例を御紹介いたします。
 今、本宮町あるいは熊野川町の方々が、和歌山、大阪方面へ旅行したといたします。この人たちは、車で新宮に出て新宮から乗り、帰りは新宮でおりて帰るとお思いでしょうか。事実は、このようなコースではないのであります。車で田辺に出て、田辺から車で国道三百十一号を走って帰るというパターンになっております。なぜか。理由は簡単であります。特急が田辺から新宮に着くまでに、既に家に到着するからであります。要するに、田辺─新宮間の時間がかかり過ぎるということであります。このことは、紀南のリゾート開発や産業振興等にとって大きなネックとなってはね返ってきてございます。では、どうするか。考えられる対策を幾つか御提案申し上げ、当局の考え方を伺うものであります。
 まず第一点は、線形の改良でございます。特に、串本─周参見間はカーブが連続し、四十キロメートルから四十五キロメートルに減速しなければならないと言われております。この間を、例えばトンネルにするとか曲がり角度を小さくするといった改良を加えると時速六十キロメートルぐらいまでスピードアップするのではないかと考える次第でございますが、まずこの可能性と見通しについてお伺いをするものであります。
 次に、駅構内の設備改良についてでございます。現在、駅のホームは特急も普通電車もともに同じ条件で待機するという構造になっているわけでございますが、これを阪和線や南海線のように特急列車の通過レールを駅に入る手前から直線化して、減速せずに通過できるようにしてはどうかと考えますが、県当局はいかがお考えでございましょうか。
 スピードアップの三点目は、ダイヤ編成についてでございます。特急くろしおに乗って紀南に旅行された方なら皆様、経験済みのことと思いますが、最もいらいらすることの一つに対向車の時間待ちがございます。単線ゆえの悲劇でもございますが、旅をする人々にとってこれが大変大きないらいらの原因となっておりますので、可能な限りダイヤ編成で修正をお願いいたしたいと思いますのと同時に、必ずしも対向は駅のホームで行われなくてもよいのではないか、駅以外の場所で部分複線にすれば解決すると考えますが、その可能性について県はどうお考えか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、輸送力強化の問題であります。
 伺うところによれば、スーパーくろしおの新大阪駅乗り入れについて、これ以上の増発はもろもろの事情から当面は大変難しいとのことでありますが、あの混雑ぶりを見ておりますと、私は何らかの対策が必要であろうと考える次第でございます。
 そこで提案でございますが、本数をふやさないで車両をふやすというのはいかがかと考え、現在の六両から九両への増両を提案するものであります。いかがお考えでしょうか。
 最後に、サービスの向上対策についてでございます。
 JR和歌山駅構内の切符売り場は、現在のところ、みどりの窓口を入れて二カ所という状態でございます。一日乗降客四万人の和歌山駅としては大変混雑し、苦情も寄せられておりますので、切符売り場の増設を図り、サービスの向上に努めていただきたいと存じますので、要望を兼ねて御見解を伺うものであります。
 次に、ヘリコプターの問題に移りたいと存じます。
 私たちを取り巻く社会は、高速道路や鉄道と並んで、いや、それ以上のスピードで時間の短縮を求めてございます。会議に、ビジネスに、リゾートに、さっそうとヘリコプターでおり立つという姿は、今や外国やテレビで見るだけの世界ではございません。近くは、昨年来、紀南地方で行われた幾つかのイベントに出席された仮谷知事も、大いにヘリコプターを利用されているのでございます。三重県紀伊長島で開催された三県知事会議に出席のときは、名古屋を中心に相当な発行部数を持つ「中日新聞」から、「これからのトップの交通手段はこれだ」と絶賛をいただいたところでございます。また、十一月に本宮町で開催された山村大資源博にも往復ヘリコプターを利用され、片道の所要時間が約十七分であったと聞いております。和歌山から本宮に行くよりも和歌山市内をヘリコプターの乗り場まで行くことの方が時間がかかったという笑い話が出るほど、ヘリコプターの持つスピードの魅力は大きいと言われております。知事の例をまつまでもなく、私はこれからの時代にあって、時間に大変忙しい方あるいは時間がお金にかえられない場合にとって、ヘリコプターは大変重要な交通手段になるものと考えてございます。
 同様の悩みを抱えます三重県でも、この検討が進んでいると聞いております。奈良県も同様ではないかと考える次第でございます。こうした交通不便の地を抱える三県が合同協力して、共通のテーブルで広域的な検討をすることも大変大切なことであると考え、以前、本議場においてその旨当局にもただしたところでございましたが、今日に至り、ますますその必要性と需要が高まりつつあるとの判断をいたしてございますので、その後、企画部で進められておりますヘリコプター導入に関する調査報告書の概要について、現在の進捗と今後の課題に関し御報告をいただきたいと存じます。
 私の要望は、一日も早く調査を終え、その内容についての政策判断をするレベルまで提示をしていただきたいということでございます。素人の判断ですが、この報告書では、多分、一人当たりの運賃単価及びそれによる乗降客数、その結果として運営が大変難しいという調査内容になると予想をしていますが、そういう土地条件だからこそ必要な交通手段として議論を起こしているのであり、当然そこには公的セクターから負担をしてかさ上げをしなければならない部分も予想されるわけでございます。
 具体的に言えば、どういう経営体が望ましいのか、その資本金はどういう構成にするのか、すなわち公共体の出資をどの程度にすればよいのか、国の補助金は導入できるのか、経営に対する税制上の優遇措置はあるのか、これらのことは、どのルートの場合どれほどになるのか、具体的なケースとしておまとめをいただきたい。それでこそ、初めてこれを政策として議論ができる土俵まで高めることができると思います。このことは要望として伝え、きょうは、これまでの調査報告書の概要について御報告をいただくにとめます。
 最後に、やや交通からは離れますが、新宮港第二期計画についてお尋ねをいたします。
 申すまでもなく、新宮の基幹産業に製紙工場と木材業がございます。ここに働く人約千人、家族を入れますと約四千人の人たちが直接この製紙工場や木材業に従事し、関連の企業を入れると、大変多くの人々が何らかの関連性を持って生活をいたしてございます。私たちの生活はこうした産業との関係によって成り立ち、今後もこのパターンは変わらないと思います。
 一方、こうした産業は、技術革新といいますか、生産性の向上は日進月歩で、ちょっとよそ見をしていると企業の存続にさえ影響しかねない時代でございます。新宮市の製紙会社や木材業も例外ではございません。工場の設備改善、生産性の向上は、他の企業あるいは他の国々との関係においてもぜひ取り組み、進めなければならない課題でございます。
 新宮港の完成から十年、外国貿易もできるまでに成長しました。これを推進していただきました知事の御厚情に対し、さらにこれを強力に御支援いただきました国会議員初め関係各位にまず厚く御礼を申し上げ、そしてこの新宮港がさらに成長し、地場産業の振興に寄与し、真に紀南地方を代表する港湾となるよう、二期計画の早期具体化をお願いする次第でございます。これに対する知事の御所見をお伺いし、質問といたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 下川議員にお答え申し上げます。
 交通網の整備に重点を絞りまして、道路、鉄道、空の問題から御意見を承ったわけでございます。特に、道路整備の問題においては、長期計画に基づく三-五軸の推進の問題、高速道路の紀南延長を重点に取り上げられ、これを知事は重点的に考えるべきじゃないかという御意見でございました。まことに、ごもっともでございます。
 私たちは、高速道路の紀南延長を最重点に考えております。また、海の道である四十二号線の問題、これについても高速道路が新宮までは簡単に行きにくいということで、両方から着工する方法、バイパスの問題等も考えてまいらなければなりません。また、高野龍神スカイラインを結んでの三百十一号との連携、三百七十一号との連携の問題がございます。また、中央の道として四百二十四号を利用して新宮、本宮を通って金屋まで参る道路、これも私は重要な道と考え、後ほど部長から答弁ございますけれども、積極的に進めておるわけでございます。
 それとともに、幹線道路と県道、市町村道を結ぶ道は生活を支えておりますので、重点的に進めていかなければならないと存じております。これから道路行政を進める上において、なお一層その点を配慮してまいりたいと思います。
 特に、和歌山県は東西線が非常に少ない。三軸だけです。だから、県道、国道だけではなしに林道との連係ということが大事でございますので、本宮の三越から龍神に至る林道の舗装改修をやって進めてまいりたい。そうすることによって新宮から高野山まで三時間余りで来れるんじゃないかと思います。また、水上栃谷線の栃谷から中辺路町の水上に参る林道についてもふるさと運動で進めておりまして、ふるさとづくり特別対策事業、半島振興道路整備事業等を利用して重点的に進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 また、ヘリコプター輸送の問題でございます。
 現在、高速交通体系が整備されつつございます。特に和歌山県のような地域においては、その特性を生かすためにはヘリコプターの活用ということがこれから大きな問題になるわけでございます。特に、関西国際空港ができ上がりつつありますし、白浜のジェット空港もでき上がりつつある現状でございますので、その感を深くしておるわけでございます。
 五月に紀伊半島知事会議がございましたが、その会議においても三県の交通交流のためにヘリコプターの重要性ということで合意したわけでございます。また、十一月に近畿の知事会議を白浜で開催しましたけれども、近畿の知事会議においても現在調査を進めておりまして、今年度で二年目に入るわけでございます。まだ十分な検討はできておらないわけでございますけれども、近畿全体でヘリコプターの活用を図ろうじゃないかと。ただ、その発進地の問題──現在、大阪でも朝日新聞の屋上と八尾の二カ所しかないという現状でございます。そうした発進地をどうするかという問題、現在の航空規制の問題等もあるわけでございます。そうした問題もあわせ検討してまいらなければならないんじゃないかと思っておるわけでございます。
 ヘリコプターの輸送、ヘリポート整備については、現在、採算等いろいろな課題もございますけれども、先ほど申しました関西国際空港の開港に伴って充実を図ってまいる所存でございます。
 しかし、そのためにはそれぞれの地域がヘリポートの整備の仕方等いろいろな知恵を出し、地元の協力や理解も含めての諸条件を整えてもらわなければならないんではないかと思っております。そうした点を勘案しつつ、建設の方向で対応してまいりたいと思っております。
 次に、新宮港の二期工事への着工でございます。
 供用開始十周年の記念式典が行われまして、私も出席させていただいて、産業基盤、また物流の中心として活躍しつつある姿を見てうれしく感じたのでございます。その際にも、二期工事の話があったわけでございます。
 ただいま下川議員からも話ございましたように、巴川製紙も積極的でございます。ただし、どのような手法でやるか、地元産業の動向等々の問題がございますので、地元の意見調整も図りながら、少なくとも来年ぐらいに県費の調査費をつけて進めてまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 幹線道路に関する御質問にお答えいたします。
 まず、和歌山県長期総合計画の中で三-五軸、広域幹線道路網構想が打ち出されておりますが、この三-五軸は道路網の概念を表現したものでございまして、必ずしも一軸と一路線が一対一に対応するものではないと考えております。
 一般的に、海の道は国道四十二号と近畿自動車道紀勢線等、山の道は国道四百二十四号と国道三百七十一号の一部区間等、空の道は国道三百七十一号の一部区間と三百十一号、百六十八号等と考えております。
 次に、近畿自動車道紀勢線の紀南延伸についてでございます。
 まず、湯浅御坊道路の現状と見通しについてであります。
 平成六年度完成を目途に鋭意事業の促進を図っているところでございます。御坊─田辺間につきましては、本年二月に基本計画が決定され、現在、整備計画の策定に必要な諸調査を建設省において実施しているところでございます。今後、着工に至るまでには、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て整備計画が決定され、その後、日本道路公団に対する建設大臣の施工命令という手順を経ることになります。
 田辺─新宮間につきましては、まず基本計画に組み入れられることが必要でありますが、有料道路の採算性等の問題もあり、早期に事業化できるよう、整備手法も含めて関係機関とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、高野龍神スカイラインの関連道路のうち、北からの主なものとしては、現在、国道三百七十一号、県道高野高野口線、県道那賀高野線の三路線があり、それぞれ大型車の通行は可能となっております。しかし、各路線とも大型車の対向ができない区間が相当残されております。
 このうち、国道三百七十一号につきましては、紀伊丹生川ダム建設にあわせて整備する必要があります。ダム計画と調整を図りながら、計画的な整備を行ってまいりたいと考えております。
 また、県道につきましては、交通の隘路区間等の整備を促進しているところでございます。また、龍神から三百十一号に直結する道路としては国道三百七十一号を考えており、かねてよりこの区間の整備を進めてまいりました。このうち、中辺路町と龍神村を隔てる峠部の笠塔トンネルの工事につきましては本議会に契約の議決をお願いしているところでありまして、この区間の早期供用に向け一層の努力をしてまいります。
 次に、国道三百十一号の栗栖川─本宮間においては、現在、五カ所で公共道路改良工事を行っておりまして、このうち新逢坂トンネルを含む中辺路三工区及び皆地トンネルを含む本宮二工区の両箇所が平成二年には供用できる予定であります。残る三箇所につきましては、整備の促進を図るとともに、未着手区間についても早期に事業化できるよう国に働きかけてまいります。
 続きまして、本宮町から吉備インターに至る最短ルートについてであります。
 当該路線としては、国道三百十一号、三百七十一号、四百二十五号、四百二十四号、県道吉備金屋線を利用し、中辺路町川合、龍神村柳瀬、美山村川原河、金屋町修理川、吉備町徳田を経て吉備インターに至るルートと思われます。
 このうち、三百七十一号の中辺路─龍神間と四百二十四号の美山─金屋間については交通不能区間となっておりますが、交通不能区間の解消と交通隘路区間の改良促進を図っております。
 このうち、国道三百七十一号の中辺路─龍神間につきましては、先ほどお答えいたしたとおりであります。また、国道四百二十四号の美山─金屋間の白馬トンネルについては平成二年度に着工する予定であり、平成六年度供用を目途に鋭意工事を進めているところであります。今後とも事業の促進に努力してまいりたいと考えております。
 これらの道路が完成すれば、新宮から和歌山までは約百五十キロとなります。三時間程度で到達できることになるかと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、JRくろしおについての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、スピードアップについてでございます。
 JRきのくに線の列車の時間短縮、増便、増結等、輸送力の増強につきましては、県民の利便性の向上や、とりわけ紀南地方の観光、産業振興を図る上からも、かねてから機会あるごとにJR西日本に要望を重ねてきているところでございます。
 特急くろしおのスピードアップについてでございますが、議員御提言のトンネル化等により曲線を緩やかにする線形改良や駅構内における特急列車の通過レールの直線化などの設備改良、さらには駅以外の場所での部分複線についても、いずれも多額の投資を必要とするための経営上の問題や地形上の問題等があるものの、技術的には可能ということでございますので、強くJR西日本へ要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、対向列車の時間待ちの問題につきましては、列車ダイヤの調整により、可能な限り時間待ち停車を解消するよう強く申し入れるとともに、駅以外の場所で部分複線にして対向する方法については、時間短縮のため有効な方策であると考えられますので、今後も引き続き働きかけてまいりたいと考えてございます。
 第二点は、輸送力強化におけるくろしお号の増結についてでございます。
 関係の皆様の御尽力、御協力を得て本年七月に実現いたしましたくろしおの新大阪・京都駅乗り入れについては、議員御指摘のとおり大変好評でございまして、座席指定がとれないほど混雑している現状を踏まえて、早速、増便、増結をJR西日本に要望しているところでございます。JRでも、この実態を認識する中で、現在、車両の改造、設備改良等を含めて検討していただいてございますので、早期実現に向け、引き続き強く働きかけてまいる所存でございます。
 第三点は、サービス向上についてでございます。
 和歌山駅切符売り場の混雑解消につきましては、利用客のサービス向上のため、売り場の増設や窓口職員の増員などを図るようJR和歌山支社と話し合ってまいります。
 次に、ヘリコプター導入調査の結果概要及び今後の方針についてお答えを申し上げます。
 ヘリコプター輸送に関しましては、昨年度、今年度の二カ年にわたって調査を進めているところでございます。昨年度は、和歌山県におけるヘリコプター輸送システム導入の役割とネットワークのあり方等について調査をいたしました。今年度においては、ヘリコミューターの需要分析、事業運営のあり方、ヘリポートの適正配置等について調査を進めているところでございます。
 ヘリコプター輸送につきましては、議員御指摘のとおり、半島性等、地理的制約を有する本県にとって大きな役割を果たす可能性を持っているものと考えてございます。ほかの地域の状況等を見まして、本県においてヘリコプターにおける二地点間輸送いわゆる定期便を飛ばすことは、当面、採算性等の面でかなり難しいのではないかと考えられますが、広域的なネットワークの形成、効率的な事業推進方策等の検討を通じてその可能性を追求いたすとともに、さらにヘリポート整備について、こうした二地点間輸送とは別の角度から、例えば救急医療、防災等の公共利用のほか、観光、産業振興等、幅広い観点から現在、調査を進めているところでございます。
 また、実際にヘリポートの建設を進めてまいる場合、用地の確保、騒音等、環境対策などの面で地元の方々の御理解と御協力が不可欠でございます。また、ヘリポートの建設、管理、その利用促進等、いろいろな面で関係市町村と緊密な連携を図っていく必要があると考えられますので、こうした観点も含めて、今後、鋭意検討を進め、ヘリコプター輸送、ヘリポート整備の具体化に向け、関係部局ともども最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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