平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会十二月定例会会議録 第 五 号
 
 十二月 十二日 (火曜日) 午前 十時 五分 開議
 午後 二時四十七分 散会
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議 事 日 程 第五号
 平成元年十二月十二日(火曜日)
 午前十時開議
 第一 議案第百三十一号から議案第百四十九号まで及び報第十一号(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第百三十一号から議案第百四十九号まで及び報第十一号(質疑・委員会付託)
 第二 一般質問
 第三 請願付託
 第四 休会決定の件
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出 席 議 員(四十六名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第百三十一号から議案第百四十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず、文化関連の問題で質問いたします。
 これまで余り取り上げたことのない文化の問題でこのたび質問させていただくわけでありますが、それは先日ある会合で先輩に当たるある友人から化石の話を聞かされ、その展示施設について要望を受けたことに始まります。
 その友人は、校長先生を務められた退職教員の方で門田英夫さんと申しますが、教職の傍ら、化石の採集と研究に力を注ぎ、今ではその半生にわたる努力の結晶としての数々の貴重な収集品が家の中に大切に保存されています。その彼が申すには、「有田地方は化石の宝庫であって、学問的に価値の高い化石を求めて、金屋町の鳥屋城山、広川町の天皇山、湯浅町の方津戸、吉備町の水晶山などへは、近畿地方だけではなく東京、鹿児島など全国各地から人がやってくるほど、余りにも有名です。しかも、苦労してこつこつと集めたこの宝物も、私にもしものことがあった場合、子供たちにとっては猫に小判であって、到底大切に守ってくれるとは考えられず、この貴重な財産もいずれは散逸してしまうであろう。それが心配でたまらない気持ちです。史郎さん、何とか有田の地にこの貴重な資料を保存、展示できる資料館のようなものをつくってもらいたい」ということでの強い訴えでした。
 何分私は、化石のことについてはずぶの素人ですので、後日改めてお宅にお伺いして勉強させていただきましたが、この貴重な収集品の値打ちがそこで初めて理解できたわけであります。皆さんは十分御存じかと思いますが、化石とは遠い昔の生物の遺骸であって、これを見れば地球の歴史やその地域の気の遠くなるような大昔の様子がわかってくるのであります。
 話は、中生代──白亜紀という約一億年前の昔にさかのぼるわけでありますが、その当時は日本海はまだ陥没しておらず、日本列島はアジア大陸にくっついていたと言われ、そして有田地方はその南端部分に位置していて、しかも深い入り江のような地形を構成していたがゆえに、この時代の海と陸の生物化石をあわせて数多く残すことができたのだと考えられています。
 この白亜紀という年代は、恐竜など爬虫類の全盛時代であり、海辺ではアンモナイトという貝やウニなどが激しく動き回り、植物界では、シダ類やソテツ、イチョウなどの裸子植物が我が世の春をうたっていました。そして、空を飛ぶ鳥たちの先祖が爬虫類から分かれて初めてこの世の中に出現し始めていた時代でもありました。
 万葉や吉野ケ里古墳のロマンにもすばらしい魅力がありますが、私はそれに劣らず一億年前のこのロマンに心が躍り、心が引きつけられていくのであります。しかも、このロマンは地球の歴史という科学によって裏づけられているだけに、一層その迫力を増します。
 そこで、皆さんにとって少々退屈なことになるかもしれませんが、有田の化石のすぐれた特徴についてお伺いしたことを二、三紹介させていただきたいと思います。
 まず、湯浅町方津戸にある郡民体育館の横の北山ですが、ここが湯浅湾埋立工事の土取り場になった関係で、先ほどの門田さんが工事現場でキカデオイデアというソテツの花の化石を発見しました。このキカデオイデアの幹の部分の化石については、既に金屋町の鳥屋城山で採取されていましたが、この花の化石の発見は日本では初めてということで、当時の学界で注目を集める重要な出来事となりました。そして、このような古いソテツやシダなどの植物化石は、有田地方では有田市高田、広川町天皇、吉備町水尻の水晶山、金屋町の鳥屋城山等で数多く産出されており、しかもこれらの地域では、植物化石だけではなく、トリゴニアというサンカクガイやアンモナイト、イノセラムス、さらにウニやヒトデといった貴重な動物化石が豊富に産出されており、また広川町津木地区から採取されているホウサンチュウの化石は実に八十種類に及び、この中には地質年代を決めるのに役立つ示準化石が数多く含まれています。したがって、有田地方の化石は約一億三千年前の白亜紀を探ることのできる日本における数少ないモデル地域として広く認められているのであります。
 約百年前の明治二十七年には、早くも横山又次郎博士がその著書で「和歌山の南方約七里の町、湯浅を踏査したとき、湯浅湾の北岸水谷で植物化石を十三種発見し、それを記載した」云々と書き、自来、数多くの学者や研究者が有田地方を訪れ、日本列島の地質構造発達史、特に白亜紀を解明していく上で数多くの学術論文がこの有田地方の化石をもとに書かれているのであります。しかも、最近は地質学の研究も一段と飛躍し、今までの知識になかった新事実が化石の採集、研究を通じて次々と発見されつつあり、この中で多くの研究者の間では有田地方についての再検討や研究が一段と進み始めています。
 例えば、西広海岸の名南風鼻や有田川両岸に分布する秩父古生層の問題、また広川町津木から金屋町修理川を経て清水町清水に至る中生代未詳区の問題、さらには湯浅から吉備町奥にかけての有田層や鳥屋城層の問題等についての研究が今大きな関心の的になってきているのであります。そして、こうしたことの反映か、最近は学校や子供会のクラブ活動の一環として鳥屋城山などで化石を採集する現地学習会の例がふえてきています。
 以上のように、私は有田地方の化石の重要性について知ることができましたが、ここでまず考えたことは、本県のこうした化石資料の保存、研究はどうなっているのだろうかという問題でありました。同時に、県外視察のときに見せていただいた秋田などの博物館で、太古の地質時代から現在に至るまでの郷土にかかわる地質と人類の歴史が、会場を一巡するだけで大方に理解できるようになっていた構成が目に浮かびました。
 そこで、県立博物館に化石が保存されているのかなと思い出かけてみましたが、ここは書画骨とうが中心で化石は置いていないということでした。多分、琴の浦の自然博物館にあるのではないかと言われましたので、ここにも伺ってみましたが、アンモナイトの化石を一つか二つ置いているだけでした。念のため紀伊風土記の丘にも行ってみましたが、ここの資料館は古墳関係のものが中心で、化石は全くありませんでした。
 つまり、本県においては、これまで訴えてまいったような有田の化石が持っている学術的意義もその歴史的ロマンも全く評価の対象にすらなっていないということであって、本当に心寒い思いに駆られました。そして、このことは単に化石の評価の問題にとどまらず、本県の博物館行政そのものの基本的な姿勢と申しますか、その底の浅さを映し出していると考えざるを得ませんでした。
 例えば、琴の浦の自然博物館をとってみましても、狭い一室に貝の標本と昆虫の標本が展示されているものの、それ以外はすべて水族館の施設であって、これでは料金を取って子供を遊ばせる動物園の水族館と大変わりがなく、自然博物館という名の看板が泣いてしまうと思いました。
 言うまでもなく、自然博物館というものは、見せるだけのものではなく、貴重な標本の展示を通して県民の自然科学に対する関心を高め、その研究の手助けをする施設だと思います。したがって、他府県の本格的な博物館では、価値ある標本を集めるためには相当な予算をかけますし、その標本、資料を安全に展示、保存するための施設にも金を惜しみません。また、研究のスタッフには大学の教授クラスの専門家を幾人も配置しているところもあり、このための研究予算もそれなりに配分されています。
 ところが、本県の場合、水族館関係を除けば、昆虫と植物の研究職員がそれぞれ一名あるだけです。欲しい標本があってもそれを買い集める予算がほとんどなく、寄付してもらうか研究職員自身が採集に出かける以外に方法がないという実情のようであります。この点について、風土記の丘でもお城公園の県立博物館でも尋ねてみましたが、いずれも同様の状況であって、年々のマイナスシーリングによって義務的に必要な管理費を除く事業予算や研究予算は先細りするばかりで、およそ年間五百万円前後しかないように見受けられました。これでは、看板にふさわしい仕事は到底できないと思います。
 そこで、私は本県の自然博物館の設置条例を見てみましたが、設置目的を規定する第一条には、「自然科学に関する資料を収集し、保管し、又は展示して一般公衆の利用に供するとともに、これに関する調査研究及び事業を行い、もつて学術及び文化の向上に資するため」云々と書いています。
 まず教育長にお尋ねしますが、これまで指摘してきたような現状であっても、この設置目的を十分に満たしているとお考えかどうかを伺いたいのであります。
 御承知のように、本県には紀伊風土記の丘を含めて三つの博物館があって、それぞれが特色を発揮した運営が行われていると言えます。
 例えば、先ほど動物園の水族館と大差がないと酷評させていただいた自然博物館には年間九万人近い児童生徒が訪れていますし、紀伊風土記の丘は史跡公園として県民に親しまれ、年間十万人以上の方が利用されています。また、県立博物館で最近開かれた紀州東照宮特別展が大変好評で六千人近い人を集めたことを聞いて、その地道な努力ぶりに感謝をしているところであります。しかし、この博物館の資料購入などの事業予算が八百万円程度と聞いてびっくりしました。今日では、多少名の通ったつぼを一つ買えば何千万円もかかるわけで、これではとても県民の要望にこたえられそうもありません。
 私は、人をたくさん集めているからといって、即それが特色ある博物館として単純に是認できるものでないと思います。博物館は見せ物でなく、あくまでも学術及び文化の向上に資するためのものである以上、価値ある資料収集への飽くなき執念と専門的研究の積み重ねがその基本姿勢の中に貫かれていなければならないと思います。
 少々くどくなりましたが、以上申し上げてきた問題点について、教育長はどのような認識を持ち、どう改善していくおつもりかを伺いたいのであります。
 続いて、これまで訴えてきた化石研究の重要性についてですが、白亜紀の化石は有田以外にも和歌山市加太や日高郡由良町などにも見られ、白浜町では新生代の化石が多く産出されています。そして、これらはふるさと和歌山の美しい自然がいかに生み出されてきたかを解き明かしていく上で欠かすことのできない材料であります。
 私の生まれ育った吉備町の町誌をひもといてみますと、「氷河時代の吉備町」とか「吉備町にアンモナイトが栄えていた時代」とか「長峰山脈のおいたち」といった見出しのもとに、郷土の代表的な化石の意義についての説明があって、思いを太古の昔に寄せることができるようになっています。その点、県史の場合、大変な労作としてその御苦労を感謝申し上げているのですが、残念ながら考古資料編から始まっていて、化石の時代が対象になっていません。私は、県史の場合はともかく、少なくとも自然博物館の分野では化石研究は絶対に欠落させることのできない課題だと考えるのでありますが、教育委員会としてこの化石研究の位置づけをどのようにされているのか、そして県下の化石資料を収集し、それを展示していく考えがあるのか、今、有田地方へ化石の資料館をという要望が出されているが、これを検討していただけるのか、もしそれができないならば、これら化石の保存、展示、研究のためにどんな対応策が考えられるのか等々について御答弁を願いたいのであります。
 ところで、このことに関連して、二、三の提案を行いたいと思います。
 その一つは、有田への化石資料館建設の問題です。
 県単独で難しいのであれば、有田の一市五カ町と話し合っていただいて、共同のふるさと創生事業の一つとして取り組めるような道を探れないかという提案であります。
 その二つは、化石、古墳時代及びそれ以降の出土品を対象としたいま一つの博物館建設の問題です。
 最近のように県下各地で道路などの開発が進むにつれて、今後も遺跡の発見や出土品の発掘が急速にふえてくることが十分に考えられますが、現在の紀伊風土記の丘の資料館は古墳関係が中心で、その展示能力に限界があります。また、市町村段階でも多くの出土品を抱えてその保管に困っているところも少なくありませんし、県の文化財センターもパンク寸前の状態であります。そこで、こうした膨大な資料を保存、整理し、展示、研究するための第二の博物館を建設することを提案したいと思います。そして、このことが難しい場合、近く移転、新築の話が出ているという新しい博物館建設の中で、この課題をぜひ解決していただきたいのであります。
 その三つは、民間で所有されている貴重な諸資料の調査、登録の問題であります。
 自然博物館にあります植物標本は、そのほとんどが小川コレクションの寄贈によるものと聞いています。私の友人にもすばらしい昆虫の標本をたくさん持っておられる方がおりますが、民間の同好者の中には専門家以上の方も少なくなく、書画骨とうや古文書にしても、動植物の標本にしても、めったに手に入らないような金で買えない立派なものが大切に所蔵されていると思います。
 先日の紀州東照宮特別展の展示品も大部分がお借りしたものではなかろうかと推察いたしますが、これら貴重な展示資料を買い集める予算がないならば、最小限これらの方に寄附をお願いしたり、あるいは一定期間お借りして展示していくということを追求していかなければなりません。そのためには、県下のどこのお寺に何があって、だれそれさんが何の標本を持っているということが一目瞭然にわかるようなシステムが必要でなかろうかと思います。こうしたことの調査は既に実施されているのかもしれませんが、それが部分的であったり不十分であるならば、この際、一定の予算をかけて全面的、総合的な調査事業をやってくださることをお願いしたいと思います。
 提案は以上でございますが、これらのことについて御所見のほどをお伺いしたいのであります。
 次に、新美術館建設の問題でお尋ねします。
 この四月には新美術館建設の基本構想が発表されておりますが、それによりますと、和大教育学部跡地の二万三千平米の敷地に建設面積四千平米の二階建てが建設されることになっています。そして、この内部施設や周辺の環境整備についても相当に論議を尽くされた跡がうかがえて歓迎しているところでありますが、建設に当たっての二、三の要望を申し上げ、教育長の所見を伺いたいのであります。
 その一つは、これまでの県民文化会館の間借りの愚を繰り返さないためにも、この際、美術館というものはその周辺環境を含めて美術館であるという理念のもとに、相当思い切った構想を立て、美しい自然に溶け込んだすばらしい美術館をつくってほしいのであります。
 この点で、今度の予定地に何の不満もありませんが、ただ一つ、同じ敷地内に博物館の建設も予定されているという話が心配になります。現在の図書館と博物館が和歌山城公園の片隅にくっついた形で並立しているのを見ますと、広くて美しい周辺の風景と全く切り離されてしまって、何となくせせこましくて、みすぼらしい印象を受けます。今度の予定地は風致地区だけに、スペースをどこでも自由にとれるとは思われず、たとえ計算の上で二つを建てられることになっていても、実際に建ててみれば、現在のようなみみっちい印象のものになる危険が多分にあります。したがって、私はここに建てるのは美術館だけにして、博物館の敷地は別に求めていただきたいのであります。
 その二つは、美術館は単なる画廊ではなくて、あくまでも県民の文化的教養を高め、本県の文化振興に寄与することが目的であることを明確に貫いた運営方針を確立してほしいのであります。
 その三つ目には、この基本構想の策定に当たって、三つの委員会を設置し各界の代表の意見を聞いていただいていることは承知いたしておりますが、今度建てると相当長期間にわたって再建築が考えられないのですから、念に念を入れる立場から、着工までの適当な時期に広く県民の意見を聞くために公聴会のようなものを開くべきだと考えますので、教育長のお考えを伺うとともに、新美術館をいつごろまでに完成させるおつもりかをお答え願いたいのであります。
 次に、古文書の関係です。
 図書館等の建設基本構想によれば、新しい図書館には文書館が設けられ、古文書の調査、収集、整理、保存に努めてくださるようであり、うれしく思います。
 そこで、図書館がこれまで郷土資料として保管していた古文書関係の資料はこの文書館に移管されるのか、また先ほど大変な労作と評価させていただいた県史でございますが、この編さんのためには相当な資料が集められていると推察いたしますので、これらの資料は新しい文書館との関係でどのような扱いになるのかを御報告願いたいのであります。
 この問題の締めくくりとして、知事に質問いたします。
 本県の文化施設行政のあり方について、いろいろと愚見や希望を申し上げてきましたが、これらはすべて予算を伴うものであり、知事の考えておられる文化政策にかかわるところが大きいと思われますので、この機会に、本県文化の振興と文化施設行政の水準を高めるためにどのような姿勢と意欲を持っておられるかをお示し願いたいのであります。
 最後に、広川町に新設される中紀養護学校についてです。
 私たちが長年にわたって要望し続けてきたこの学校も、いよいよ建設の段階を迎えて、その喜びひとしおのものがあり、ここに教育委員会並びに知事の英断に対し厚く御礼申し上げます。
 さて、建設の運びとなりますと、この学校に対する私たちの期待が大きいだけに、より立派な学校にしてほしいという願いから、たくさんの要望が関係者の間から出されてきていますので、それらの点で要望を申し上げ、教育長の御所見を伺いたいのであります。
 その第一点の要望は、この学校は県内で唯一の海辺にある養護学校となり、近くには天皇、白木の浜などのすばらしい景勝の地がありますので、この美しい自然にマッチした校舎をつくっていただくとともに、磯遊びなどを教育に取り入れるため、近隣道路には安全対策を講じた歩道を設置してほしいし、とりわけ入り口の道路は県道御坊湯浅線のバイパスとして新設されたもので、近く広湾の埋立工事も想定されている中で、今後、交通量が飛躍的にふえてくると思われますので、入り口付近に信号灯をつけるなど、校地内の危険箇所を含めてその安全対策に万全を期してほしいのであります。
 要望の第二点は、校舎の床、壁等は最大限に木材を使ってくださること。木の香りは心を和ませ、床のふき掃除は大切な教育活動の教材となります。
 第三点は、スクールバスの問題ですが、通学時間を一時間以内に限っても、広い校区を回り切れるだけの必要な台数を確保していただきたいのであります。また、定数外の介添え職員についても、可能な限り数多く配置してほしいと思います。
 第四点は、寄宿舎の問題であります。家庭からの通学を原則とし、そのためにほぼ郡市単位に養護学校を設置してくださっている経過を承知いたしておりますが、何分にもこの校区は広範囲であり、父母などの病気の折の緊急避難措置としても、また肥満傾向の子供や基本的生活習慣を身につけていない子供への対応のためにも寄宿舎教育の必要性があろうかと思われますので、校舎完成の段階でぜひ寄宿舎の建設を検討していただきたいのであります。
 要望の第五点として、工事入札の以前に、設計図に基づいて現場の教師や父母、地元関係者の意見を聞く場をつくってほしいと思います。
 この学校が、地域に支えられ、地域の教育センターとして発展していくためにも、こうした方向での対応はどうしても必要かと思われますので、よろしくお願いしたいのであります。
 以上で、第一回目の私の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林史郎議員にお答え申し上げます。
 文化施設の運営問題に関連して、知事の文化行政に対する基本姿勢ということでございます。
 私は、常々、地域に密着した文化の高揚に気を配し、文化行政を積極的に推進しているつもりでございます。
 また、県の長期総合計画においても「活力と文化あふれるふるさとづくり」の理念のもとに、創造を目指しての長期計画をつくっておるわけでございまして、現在のような国際化、情報化の激しい時代の中で、これに対応する文化行政を進めなければならないわけでございます。
 ただいま、県の現在の文化施設についての話があったわけでございます。現在、県民の文化に対する要望には非常に大きいものがございます。そうした面から、美術館──相当費用が要るわけでございます。また、現在の国有地もまだ値段が決まっておりませんし、非常に高い値段も言われておりますが、都市公園も兼備した形の美術館の建設ということに十分配意しておるわけでございます。
 また、博物館、さらには図書館を経済学部の跡地につくらなければならないということで、厳しい県の財政状況だけれども、県議会の皆さんの協力を得て、こうしたものを積極的に進めてまいる所存でございます。
 お話ございましたように、県だけの文化行政ではいけないと思います。ことしも有田市において歴史資料館というものができたわけでございまして、各地域においてそうした歴史資料館がつくられつつあり、各地域に根差した文化遺産の発掘は非常にありがたいことだと思います。そうした協力も得なければならないし、特にまた、話ございましたように民間の皆さんの協力ということ、美術館、博物館に寄託していただくということも大事でございます。
 その調査の問題でございます。私も、もう少し和歌山にはあるんじゃないかという感じがするわけでございますけれども、そうした古い文化資産というものが案外目につきにくいのが現状でもあるわけでございます。個人の資産との関連もあるわけでございますが、そうした民間の皆さんの協力を得て、これからの文化行政に努力していかなければならないと思います。
 また、予算の問題については検討してまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 文化施設の運営等の問題、さらにまた中紀での養護学校の問題についてお答えを申し上げます。
 まず、博物館関係についてでございます。
 お話ございましたように、県立博物館、紀伊風土記の丘、自然博物館は、それぞれ領域別の博物館として建設をしたものでございます。特に自然博物館は、黒潮にはぐくまれた海洋生物を中心として、山野の動植物の生態を展示し、自然に親しむ機会と学習の場として県民の利用に供しているところでございます。
 これら三つの館については、それぞれの館の特徴を生かすために、予算を効率的に運用し、創意工夫を凝らして、県民サービスに努めているところであります。
 今後、県民のニーズを踏まえて、生涯学習の観点にも立って、だれもが親しめる館の運営に努めてまいるとともに、さらに専門分野における調査研究を進めまして、幅の広い収蔵品等を収集することがこれからの課題であると考えてございます。
 お話のございましたアンモナイト等の化石については、古生代から新生代に地球上で生息していた生物の進化を知る上で意義があるものと考えてございます。
 現在、この化石の一部を自然博物館において収蔵しておりますので、有田地方で採集された化石を含めて展示等を検討してまいりたいと考えてございます。
 また、民間で収集した貴重な貝類、さらにまた植物の標本については、寄贈等を受けて、現在、収蔵、展示いたしているところでございます。
 今後、総合的な民間の収蔵品調査については、関係者の意思をお聞きしながら調査方法等を研究してまいりたいと考えてございます。
 次に、新博物館の建設についてでございます。
 今後、基本構想を策定する過程で、既存の領域別博物館を生かしながら、御提言をいただきましたことを含め、総合的に研究をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、新美術館建設についてでございます。
 建設に当たっては、学識経験者等で構成する新美術館建設懇談会を設置し、その基本的なあり方について御意見をいただいたところでございますが、その中の主な御意見といたしましては、まず最初に、個性のある特色を持った美術館、二つ目に、文化活動の中心となる場として、そしてまた県民の憩いの場として活用できる美術館、三つ目には、国際化に対応できる美術館などといった内容でございます。
 その基本となる考え方といたしましては、二十一世紀を目指した新しい文化創造の核となるよう位置づけ、本県の文化の振興に寄与することのできる美術館、また広く県民に開かれ、親しまれる美術館を目標としております。
 これらの基本的な考え方をさらに反映させるため、新美術館建設検討委員会を設置し、具体的な基本構想づくりをお願いし、本年の四月に答申をいただきましたが、懇談会でいただきました貴重な御意見が反映された内容であり、今後とも答申の趣旨を尊重してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、現在、平成四年度末完成をめどに、新美術館の建設に向かって内容の具体化を図るための作業を進めている中で、館の運営方法についても十分検討してまいりたいと考えているところでございます。今後は、県民の期待にこたえられる美術館となり得るよう努力をしてまいる所存でございます。
 また、建設用地についてでありますが、近年、他府県で建設されている文化施設の多くが郊外の公園敷地内にあるといった状況でございますが、周辺環境や交通の便など立地条件のよい場所で、都市型の文化施設の用地としては貴重でございますので、この用地の配分等、有効的利用を図るため、設計の段階で具体的に検討をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、図書館の郷土資料と県史編さん事業で収集した資料とのかかわりでございます。
 現在、図書館で保存されている郷土資料には図書資料と古文書としての資料がございますが、今回、新設予定の文書館では、県史編さん事業として集められた古文書等の資料と図書館で保存されている古文書をあわせて継承保存していく考えでございます。
 最後に、中紀養護学校についての御質問でございます。
 広川町に建設を計画しております養護学校については、現在、関係の方々の御意見をいただきながら、いろんな準備を進めているところでございます。
 御要望をいただきました校舎の建設に係る諸点、歩道や信号灯設置等の校舎内外の安全対策、スクールバスの配置、教職員定数の確保などの教育環境の整備については、引き続き関係者と十分話し合い、また通学の方法については、御指摘のとおり自宅からの通学を原則として養護学校の適正配置を進めているところでございまして、現在のところ寄宿舎等の建設については計画いたしてございませんので、御理解をいただきたいと思います。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 誠意のある御答弁をいただき、ありがとうございました。私のいろんな要望をまともに受けとめていただいて、懸命の答弁をいただいたということを感謝申し上げます。
 しかし、まだどこか食い足りない感じもいたします。私が何を尋ね、何を求めているかということについて、もう少し深く受けとめてほしいなという気持ちもあるわけです。
 と申しますのは、化石の問題について、有田に資料館を建ててもらえないか、あるいは自然博物館に展示をしていただけないか、こういうことをお願いしたわけでありますが、そのことの裏には、やはり自然博物館のあり方を本当に変えていってほしいという願いを込めておるわけです。
 そういうことで、単に資料館を建ててほしいということだけではありませんので、資料館ができない、難しいという答えだけでなしに、あるいはいろいろ考えて展示をさせていただきますという答えだけでなしに、本当に博物館のあり方を今後真剣に考えていきたいという積極的な意欲が映るような答弁が欲しかったなという気がいたします。まあ、これは多少ぜいたくかもしれませんが。
 例えばこの化石の問題で、せんだって門田さんに聞きましたら、どんな文化施設か知りませんが、京都の博物館に展示しておるそうです。そこの方が見えられて、大方一日かけてあらゆる角度から写真を撮って、資料をつくって帰られた。余りにも姿勢が熱心であったので、ほだされまして、化石の一つを差し上げて大変喜ばれたと、こう言われておりました。
 私の質問に対して、訴えに対して、門田さんに限りませんけれども、そういう人をとらえて、資料館はできないけれどもどういうふうに保存しようか、展示していこうかというような相談をしに行くというぐらいの姿勢がいただけらなと思っております。
 先ほどちょっと触れました、昆虫の標本を持っておる友人の話ですが、僕はその友人に、「もし、県の自然博物館が立派なものに建てかえられるような場合は、あなたの持っている資料、標本を寄附していただけますか」と聞いたら、「私は、寄附ようせん」と言うんです。「それは、なぜよ」と言うたら、「私たちにとっては、一つ一つの標本が金やダイヤモンドより値打ちがあるもんや。しかし、今の県の博物館行政の姿勢では、これが大切に守られる、保存され通すという信頼をよう持たん。例えば、日本にもすばらしい標本がたくさんあった。しかし、それが第二次世界大戦の戦火の中でほとんど失われてしまった。しかし、ベルリンやロンドンの場合、相当な惨禍を受けたが、こういう標本は現在まで守り抜いておる。そこに価値観の違いがあるんやないか。こういう姿勢が日本の博物館行政あるいは県の行政の中にまだ私たちはよう読み取らんので、今の心境では寄附するとよう言わんよ」と、こういうような話でありました。
 このことに端的にあらわれていますように、飽くなき執念というんですか、価値観というんですか、いまひとつ踏み込んだ姿勢でこの博物館行政の問題について検討していただきたい。このことを要望申し上げておきます。
 それから調査事業については、そのやり方について研究していただくということでございます。それほど金のかかる問題でもないと思いますので、やり方は難しい面があろうかと思いますが、ぜひこれを実現していただくようお願い申し上げておきます。
 特に、こういう資料とか展示、あるいは学問的な研究について、執念のようなものを持ってほしいというのが僕の願いなんです。そうでなければ、財政課から、今度おまえとこはシーリングで何割減やと言われたら、けんかをようせんのやないかと思います。絶対シーリングはどうもならん、ふやしてもらわんならんというけんかをやるのは、執念がなければできんと思うんです。そういう点でひとつお願いしておきたいと思います。科学を愛し、真理を愛する心を求めておるのでございます。よろしくお願いいたします。
 それから、上野教育委員長に特にお願いしたいんですが。
 上野教育委員長は有田の出身でございますので、この有田の化石についていろいろ関心も御理解もいただいておると思うわけですが、県の文化行政の中でこうした問題について、価値にふさわしいような取り扱いができる対応策をいろいろと考えてくださることをお願い申し上げておきます。特に、有田の一市五カ町の資料館の建設等の問題について、できる限りのお力添えを賜りたいと思っておるわけでございます。
 それから、知事へ御要望申し上げたいと思います。
 紀伊風土記の丘へ行かしてもらって、立派な史跡公園が残されたということに本当にうれしく思いました。
 あれは大橋知事の時代だったと思うんですけれども、六十万平米あると聞きましたが、あの広大な土地を買うてなかったら、今あの辺はもう開発され、住宅団地がいっぱい建っておるようなことになっておるんやないかと思います。そうした意味で、文化に理解を持った英断というのは後世に非常に大事な役割を果たすということを感じるわけです。
 美術館の問題で、知事も相当積極的に構想を考えてくださっておるようですが、先ほど申し上げましたように、いい場所であるけれども、二つ建ってみみっちいな、みすぼらしいなという感じが絶対ないように、「いろいろと効果的な敷地の配分」という表現の答弁でございましたが、その辺、最大限に考えていただいて、こうしておけばよかったなあという悔いが後世へ残らないように万全を期していただくことをお願い申し上げておきます。
 最後に、養護学校の寄宿舎の問題です。
 こういう予定がないということ、計画に入っていないということはわかっておるわけです。経過もあってそういうことになっておることはわかっておるわけです。しかし、完成して運営が始まった段階で、もし必要が感じられる──多分そういう問題が出てくるんじゃないかと思うんです。そうした場合にはこれについて十分検討していただくことをお願いして、要望ばかりでございますが、私の再質問を終わらせていただきます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言はすべて要望でありますので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 質問に先立ち、事務局へ届け出をしている質問要項を、皆さん方に御迷惑をかけない範囲で順序変更させていただいて質問いたしますことを御了承願います。
 まず一番目、新行革審の地方小委員会から報告書が出されましたが、これと関連して県当局の見解について二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 地方の行革審の方向については、形は若干変わるものの、地方自治法の改正の面を柱として取り上げたのが一回、また道州制の問題と権限委譲の面を元中山郵政大臣の閣議の中での発言と関連して関西経済界の動向をも取り上げ、全国知事会の論議内容について知事にただしたのが第二回、つまり地方小委員会の問題については今回で三回目の質問だと記憶をいたしますが、新行革審地方小委員会から最終報告として過日発表されましたので、若干、和歌山県の現況といった立場での見解をお伺いいたしたいと思います。
 まず一つ目。特別地方公共団体として、都道府県、郡市、市町村の各段階で連合制度が発足するということ。このことは、古く町村合併促進法が施行された際、小さな一村では国の助成も少なくなる、町村合併をしなくては将来運営できないんだと、俗に言うあめとむちを振りかざした中央の行政指導からであったというのは周知のことでありますし、広域行政の長所も若干あったことは事実かもしれませんけれども、また一面、考え方によっては下意上達の道が阻まれたことも否定できないと存じます。新しい境界に起因する経済圏と行政区画の矛盾と混乱が生じたことも、我々は十分体験をしてまいったところであります。
 この連合制度を柱にして、事務権限を大幅委譲し、消費譲与税に譲与制限を導入し、国庫補助負担率に格差を設けることもきつく示唆しているし、歳出規模の伸び率を名目成長率以下に規制することも明らかに提言をされています。さらには、補助金の整理統合等を含んだ百四十二項目の改善事項も明確に打ち出されたと聞きます。細部にわたる説明はつまびらかでありませんけれども、今月二十日には首相に答申をするとのことなので、過去に繰り返されたように、知事会で反対をするとか全国議長会で修正案を検討する等の作業は非常に難しくなるのではありますまいか。
 そこで、府県連合制度に対しては、伊丹飛行場存廃問題、今和歌山県の置かれている実情の論議過程や分水問題などの大阪との関係の経験に基づいて知事はどんな見解を持っているのか、知りたいのであります。
 総務部長からは、地財計画の伸び率と名目成長率との関係、自治省と大蔵省の過去数度にわたる地方交付税の前借り、過去の返済、減率の問題、権限委譲等での県別立地の得失問題等の経緯から、百四十二項目の改善提示について、全国的立場つまり自治省派遣という立場でなく和歌山県総務部長として現状の立場でどう考えるか、承りたいのであります。
 次に、農林水産部関係でお伺いをいたします。
 農業問題に関する過日の石田議員の質問を承って、社会党へ籍を置いてあったんかいなあと思うぐらい高邁な御意見を拝聴して、これは私も原稿を書き直さないかんなと、実は考えました。同僚・石田議員の質問も十分頭に浮かべながら、今日まであらゆる角度で討議をされてきた輸入自由化やら休耕田の問題はさておいて、今回、第十九回日本農業賞の和歌山県代表として決定された南部川村の山本茂氏の農業経営に関する問題、打田農協のイチジク栽培に関し、和歌山県農業団体からの推薦文の内容を拝見しながら、頭に浮かんだ事柄をも含めて農林水産部長に質問をいたしたいと思います。
 一番目、かんきつから梅への転換について。
 ミカン対策は、単に木を切り捨てた畑に対して反当たり二十万だとか三十万だとかの助成ということで行政の責任を果たしたとは申されないのではないでしょうか。つまり、過去、数年にわたって和歌山県の生産増、国民の消費見込み量等々を、農業経営者を含め和歌山県民に、長期計画の中で単に農林水産部ではなしに、和歌山県行政の方針として標榜し、その植栽なりミカンの方向を指導してきた行政としては、今日の時代の流れ、中央政情の方向転換とだけの弁解で済ましていいのでしょうか。
 一、自由化に対応して県が今までとってきた方策の実績と成果を、生産と販売の二面に区分してお答えをいただきたいのであります。
 二、また、和歌山県の農業経営者は、自由化に伴うかんきつ類の将来に対する期待薄れから、一つの逃げ道とでもいいますか、梅への転換にといちずに望みをかけています。これまた、梅の先行き不安が各方面で話題になっています。既に、本年産の梅干しの売れ行きが悪く、生産者の手持ち増大になっていることにかんがみ、県はこの農業経営者の不安を解消し解決するためにどう指導していくのか。
 例えば、梅の受精交配の重要性から、現地においては品種を混植しているというふうな措置もしていますが、梅の品種別に、これは青取り用、これは小梅、これは干し梅用というふうに区分する植栽指導をし、労働力の配分と価格の安定化を図るなどの全県的な行政措置なり指導をしないと、梅の仲介人あるいは梅の商売人の助言を今後の方針のよりどころにしているとも考えられる農業経営者は、近き将来また今日のかんきつ類の実情の繰り返しになるのではないでしょうか。部長の見解と方針を承りたいのであります。
 二番目、農業経営者は、終戦当時、まずは国民の食糧確保が先決との国是で、巨額の投資をして──これもみんなの税金ですが、海を埋め、湖を埋めて稲作に拍車をかけ、反当たり生産の奨励をして日本一と褒めそやし、稲づくりに農家を駆り立てていた。それが、いつの間にか工業立国の方向に政策転換し、田中総理の日本列島改造論、中曾根総理の民活導入の土地政策、またこれらの政策立案当時、すべて番頭役を務めたのが竹下総理であり、さらには竹下総理のふるさと創生政策も土地問題に大きな影響を持つ政策を提起しており、リクルート事件の発端も、考えてみれば川崎市の土地転がしに似た事件から拡大したものと言って差し支えないと思います。こうした中央の流れからして、部長に二点お聞きをいたします。
 一、農協が、事業の一部として宅地等供給事業を行っていますが、農業経営者は幾ら自分の持っている土地が値上がりしても、土地を手放すということは生産基盤を手放すことになりますから、本来、農業経営者を守る立場の農協の姿勢として受けとめがたいのであります。部長は、県下農協のこの種不動産業の拡大についてどんな見解を持つのか、答えられたいのであります。
 二、過去における海南のジュース工場、田辺のバークミン工場等、農業振興のためにという標榜で実施した施設が、今日、いずれも幾つかの問題点を抱いています。販売面の事情が共通の問題点だというふうにも承っています。開設当時の決算施策の成果表に県が記載をされているような農業振興にこの二つの工場はどう役立っているか、これの問題解決にはどう対処しているのか、お伺いをいたしたいのであります。
 知事提案の予算説明書雑一ページの債務負担行為の案件とこの二つの工場との関連はあるのかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
 三番目、近畿農政局の策定した二十一世紀へ向けての近畿農政の基本方向と和歌山県農業行政の方向についてお伺いをいたします。
 一、農政局の基本方向は、その前段に明確に示されているように、農政審議会の報告を基本方向にしているのでありますが、その内容を通読いたしますと、中国自動車道、北陸自動車道、全国の高速道路網、瀬戸大橋、関西新空港の交通体系の整備により、京阪神市場への出荷増加となり、伝統的産地と振興産地との競争が激しくなると定義づけをしています。
 かつて、四国の輸送実情と和歌山県の輸送の実情とを比較し、具体的には、「農産物を積んだトラックが高松の港で毎朝何台フェリーを待っている」ということまで引例して、紀淡トンネルの促進を重要施策にしている和歌山県行政の点を質問したことを思い浮かべますが、この和歌山県の施策が及ぼす農業経営者への影響については当時の知事答弁と変わりはないか、またこの質問のときに農林部が約束をしたその後の和歌山県の状況について、和歌山県の農行政への影響をどういう点で掌握しているか、おわせてお答えをいただきたいのであります。
 二、量や価格よりも食料品の安定性や鮮度、本物等への関心が高まるので、このニーズへの対応を京都農政局は提起していますが、全国的に起きている有機農業等との関連で、和歌山県の農行政の方向を部長からお答えいただきたいのであります。
 次いで、放射性同位元素の輸送についてお伺いをいたします。
 議案第百四十一号決算承認の資料の中で、「昭和六十三年度主要施策の成果」の総務部関係の十五ページに、消防学校教育訓練実施事業で四百五十八万四千円が記載をされ、報告されています。「市町村消防職団員等に対して教育訓練を実施した」と、解説を加えています。
 これを拝見いたしまして、私の脳裏になぜか三年前の大きな出来事であるソ連チェルノブイリの事故報告を読んだときの印象が浮かんでまいりました。それは、最初に事故現場に駆けつけたのは発電所職員と消防士であって、二十八人のうち六人が当日死亡したという記事であります。負傷人員数は別といたしまして、日本でも消防士が事故突発時には常に第一線に立っていますし、一一九番の救急車も消防署の所管であったと連想いたしますと、日本には放射性同位元素を扱っている企業などが約五千カ所あると聞き及んでいますし、私も調査いたしましたが、大阪府の最南端に位置する熊取、つまり和歌山県に一番近いところには京大実験用の原子炉五千キロワットの中性炉がたしかあるはずです。そして、そこでは医療を含む諸実験をやっているとも聞きますし、たしか去年の秋、重水漏れの事故があったとも聞き及んでいます。いろいろと資料を集めてみると、輸送については警察が窓口になっていて、発送元で届け出を出すように規定されています。
 では、和歌山県ではこの輸送がなかったのかということが心配になったので県警に調査を依頼いたしますと、平成元年には田辺市国立病院で発送、到着二件があります。いずれもコバルト60、十七・八五グラム、BU型と報告を聞きました。
 そこで総務部長、この種の問題について消防法の救助に関する基準についても、例えば人口十万人以上の都市における云々という条項も存じていますけれども、消防防災の取り組み面での今までの実績と将来計画についてお答えをいただきたいのであります。
 付言いたします。関西空港も進んでいます。単に、この輸送の国で決めている幹線が和歌山県を経由していないといたしましても、指定をされている滋賀県なり大阪なり京都なりに、万一、交通網の阻害をする事故があったとするならば、空路輸送、海上輸送あるいは国道の和歌山県への迂回路等々も考えられます。つまり、白浜空港なり関西空港を使ってくる場合には航空法で規制をされる、あるいは海上輸送の場合には海上保安法規で規制される、こういう面等も考慮に入れながら、将来計画についての御意見をお聞きいたしたいのであります。
 次に、消費税の問題についてお伺いをいたします。
 消費税の税制設立の不当性については、いみじくも、きのう参議院で廃案が通過をいたしました。過ぐる七月の参議院選挙の結果や十二月一日に発表された政府の大幅見直しと称する見直し案の内容等からいたしましても、今さらちょうちょうと議論するまでもなく、この税制改革は、拙速のそしりが国民の不平不満となり政治不信の世論がほうはいとわき出たことについては、まことにむべなるかなと申さなくてはなりますまい。
 さて、中央での論議は論議といたしまして、県段階における消費税転嫁に伴う問題点を二つ三つ提起し、総務部長の見解を求めたいと思います。
 一番目、県が発注する諸事業に関する設計段階では、設計指数の中に消費税を加算しなくて、落札価格に押しなべて三%を加算するという方向をとっていることは、本来、消費税を加算すべきでない労務費、つまり労賃とか労働者の時間外勤務にも三%を加算していることにあると思いますが、この点については総務部長はどう思っていらっしゃいますか。また、私の発言どおりの事実があるか、お答えをいただきたい。
 二番目、消費税が一番国民に受け入れられなかった点は、もちろん逆進性、不公平是正が満足していない等の諸点もありましたけれども、根強く不満を感じているのは消費者が負担をした税金が実際に国庫に納まっているかどうかの問題、つまり簡易課税方式の問題点あるいは税そのものの機構の仕組みに対してより強い関心があったと私は考えています。
 十一月二十日過ぎ、ふとテレビのスイッチを入れました。画面いっぱいに旧知の方の顔がクローズアップされました。頭こそ私同様しらがになっていましたけれども、面影は残っておって、確かに旧国鉄の田辺で勤務をしていらっしゃった宮路君であります。忘れもしないこの方は、非常な好青年で頑張り屋でありました。たしか、現在座っていらっしゃる寒川人事委員長とも交友のあった方です。何でも、そのテレビの放映を見ていますと、今回の消費税の運用で来年三月までに八百万円ばかりもうかるそうです、税金で。テレビで宮路君が言っていた金額と十二月一日付で新聞に載った活字とで若干数字が違いますから活字の方の数字を申し上げると、八百万円です。年商五十億だそうです。東京で電器商をやっていらっしゃいます。テレビではもっと大きな金額だったんですが、活字のとおり言いますと、八百万円ばかりの利益を生むので、その分を還元してバーゲンをやるんだ、こういうことです。アナウンサーが、「よその店はどうですか」とマイクを持っていったら、「よその店もうまくやってましょうかい」というのがその方の答弁。また、新聞記事によりますれば、NTTのこの種運用利益金は三カ月で五億円だと言われています。
 こうした事実関係からいたしますと、県下の法人関係では運用利益金は相当額になると思われますが、Aとして、法人県民税はどのぐらいを想定していらっしゃるのか。
 また、この確定判断は単に書類上だけの申告制度でありますけれども、申告だけを信用するということではまずいと思う。今までの税金の例から言って不正確と思考されますから、Bとして、部長はどんな方策でこれの課税相当額を把握する方策を現在検討していらっしゃるのか、見解を示されたいのであります。
 次いで、議案の六十三年度決算について若干お伺いをいたします。
 一番目、「議会参考資料」の三ページの表によると国庫支出金が相当減額になっていますけれども、分担金及び負担金がなぜ増額になっているのか。もちろん、その内容に種々凹凸のあることは十分心得ていますけれども、概念的に国庫支出金、分担金及び負担金との相関関係からすれば不審に思いますので、これをお伺いいたします。
 二番目、同じく同表によりますと、財産収入が予算額に比して増額をしております。売却予定の箇所がふえたのであるか、あるいは一件物件の増額売却であるのか、予定箇所の増加であるならばどこが予定よりも増加したのか、お教えをいただきたい。
 三番目、決算成果表の十四ページの財産管理費の決算における減額は、世に言われる「和歌山県一円入札」との関連があるのかどうか、お伺いをいたします。
 四番目、十五ページの消防防災関係のことについては、別途の質疑の中でお答えを下さい。
 五番目、十七ページの消費者教育の実施事業で、特に消費生活に重要な関係を持つ消費税実施を目前にした六十三年度でありますから、県が常に標榜している「賢くなる消費者」ということから、消費税に関して賢くなる消費者となるよう教育をしたのか。また、その成果の具体的なものを説明していただきたいと思うのです。
 六番目、二十ページの電源立地地域振興事業として、日高町、日置川町に対する事業補助は具体的にどんな事業であったのか、またその両地域における価値判断についてお伺いをしたいのであります。
 七番目、四十ページの身体障害者連盟に対する補助で、内部障害者の取り扱いについて連盟の中で若干問題があると理解をしていますが、これについては御承知をしているのか。また、二項目の合計よりも「その他」の項目の方が支出金額が上回っています。明確に出す二項目よりも「その他」項目の方が多いというのはどういった意味合いを持つのか。
 以上、決算書作成者あるいは担当部長の方から答弁をお願いいたします。
 次に、庁内電話回線工事設計入札の件、世に言う「一円入札問題」についてお伺いをいたします。
 昭和三十三年、皇室御所の改築の際、某業者が一万円で応札をして世上で問題になりました。この問題は、少なくとも入札業務にかかわる人々の間ではいろんな角度から意見があり議論を呼んだところでありますが、事皇室に関する問題でもあったせいか、表面では比較的穏やかな論議であったと記憶をいたします。ともかく、いいことではないと結論づけられたことは事実でありましょう。その当時、たしか落札下限価格が設けられたのも一万円入札は妥当でないという世論からであったと、私は理解をしています。
 今回の事案は、この一万円応札とはその主因が大きく異なっています。次回の工事請負を有利にと申すよりも、独占をしたいための業者の布石であったと理解すべきです。和歌山県では、富士通が基本設計を一円落札し、次回の本体は日本電気が競争入札でなしに随意契約でなされたようであります。
 新聞発表などによりますと、県は、法的に問題はない、自治省の指導もいただいた等々、弁解がましく言っていらっしゃいます。去る一般質問の第一日目、山本議員の質問に対しても、総務部長は、質問者からの今後にわたる県政に対する体質論議については何ら答弁をされていらっしゃいません。
 私は、「社会通念上から見ても必ずしも妥当とは言えないと考えておりまして、今後は公正な取引の秩序を乱すことのないよう努めてまいりたい」との部長答弁の部分を重要に考えていますが、この答弁どおりの理解に立つと、当然、指名競争入札等参加者登録要綱の第七条「指名競争入札等参加者が登録期間中次の各号の一に該当する場合は、直ちに登録を解除し、その事実があった後二年間指名競争入札等に参加させないことができる」と規定し、その二項には「指名競争入札等において、その公正な執行を妨げた者又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合した者」と定めており、富士通の応札態度は、当然「公正な価格の成立を害した」と私は考えます。したがって、登録解除、指名停止は当然と考えていますが、これの適用についてはどうなっているのか、明らかにされたい。
 もう一点は、よその県はともかくとして、和歌山県は一円入札を二回やっています。部長のおっしゃるように、悪かったんだ、秩序を乱したんだというのが反省の言葉であるとするならば、なぜ二回もやったのかということが浮かんでまいりますが、二回施行したそれぞれの入札月日と金額について、この際明確にしていただきたい。
 以上、私の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 新行革審の地方小委員会の報告の問題でございます。
 話ございましたように、地方自治にとって最大の論点は、中央集権化を是正し、地方の活性化を図っていくことではないかと存じまして、これまでも権限委譲について強く国へ働きかけてまいったところでございます。
 今回発表されました小委員会の報告は、都道府県の区域を超えた広域的な行政について自治体間の関係において新しい提案がなされておりますけれども、私はまず第一点に、地方への権限委譲等、地方自治の強化ということで検討されるべきではないかと考えております。そしてまた、御指摘のあった連合制度は重要な問題でございますけれども、権限とか組織等、具体的な内容は示されておりませんので、今後、国における検討を見守りながら対処してまいりたいと存じております。
 それから、近畿農政局発表の資料と紀淡トンネル構想について、私がさきに申し上げた問題について変わりはないかということでございます。
 私が当時申し上げましたのは、紀淡トンネルができるときは、もう四国からの橋は四本できておる、交通体系は大きく変わっておる、それゆえに農業においてそれほどの変化はないということでございました。
 先月でしたか、東海南海連絡道関係の都道府県等が寄りましてシンポジウムを開催いたしました。その際に、四国と中国との橋はできたけれども、四国だけでは農業のみで他の産業において活発味がない、だから豊予海峡もやるべきではないかという意見があったわけでございます。
 紀淡トンネルは、単なる和歌山と淡路、徳島を結ぶ線だけではなしに東海南海連絡道としての道路的性格も持っておるわけでございまして、愛知から九州まで及ぶ道をつけるということが産業の面において大きな前進があるし、農業においてさしたる影響はないんではないかと思っております。競合する分野はあるけれども、また発展する分野もあると存じておる次第でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 多岐にわたって御質問いただいたわけでございますが、まず新行革審の地方小委員会の報告でございます。
 国と地方の関係につきましては、かねてから国の地方に対する関与、規制等の整理や地方財源の充実など、地方自治の拡充強化のために既存制度の徹底した見直しを行うよう強く要請してきたところでございます。
 例えば、地財計画の伸びと名目成長率の関係については、簡素で効率的な行政を実現する必要はありますが、一方で、都市、生活環境など社会資本の現状からその整備を進めていく必要があり、また個々の地方団体によっては基盤整備等の地域間格差があることも事実であり、これを一概に原則的に伸び率をいかにするというようなことを言うのはいかがなものかと考えております。
 また、権限委譲等について、今回の小委員会報告では比較的小さな項目について百四十二項目にわたる個別改善事項が挙げられておりますが、本県の活性化を図っていく上では農地転用や都市計画など地方の自主性を強化することが重要であり、かねて知事会でまとめていた改革案に比べてなお十分でなく、検討が必要と考えております。
 二番目に、放射性同位元素の輸送についての問題でございます。
 御指摘の放射性物質については、原子力施設等で使用される核燃料物質と、それとは別に医療や検査に用いられる放射性同位元素いわゆるラジオアイソトープというものがございます。
 本県には核燃料物質はございませんが、医療や検査等に利用されるラジオアイソトープが約三十カ所あり、これは科学技術庁の方へ直接、許可または届け出がなされております。
 ただいま御指摘の東京と国立田辺病院間で輸送されたコバルト60は、がん治療用に使用される医療用のものでございまして、平成元年中の輸送は県下においてこれだけであります。このようなラジオアイソトープの輸送に関しては、国の安全基準により規制されており、届け出の必要なものについては関係の公安委員会へ輸送ルート等が届け出られておりまして、万が一、輸送中に交通事故等が発生しても漏えい等が起こらないよう厳重な対策が講じられているものでございます。
 また、消防機関に対しても、国の定める輸送時消防対策マニュアルを配付して指導を行っているところでございますが、今後とも講習会等の機会を通じて知識の普及に努め、防災対策が図られるよう検討してまいりたいと思います。
 三番目に、消費税の問題につきまして、県が発注する工事費の労務費について御指摘をいただきました。
 県が発注する工事費等にかかる消費税につきましては、御指摘のように、その落札金額に三%を上乗せして契約金額としているところでございます。県の工事等を受注する事業者にとりましては、その契約全体として消費税の課税対象となりまして、資材費等の課税仕入れにかかる税額は控除されますけれども、労務費や利益にかかる分については、いわば付加価値ということで課税され、税務署へ納税がなされるということになるわけでございます。
 次に、消費税の運用利益の問題について御指摘がございました。
 御指摘のように、現金取引の場合は消費者から預かった消費税を納税期限まで運用することが可能になりますが、取引によっては掛け売りの場合、また手形取引の場合もありますので、このような個々の状況を勘案して、運用益及びそれに対する法人県民税の額を推計することは困難でございます。
 なお、運用益が生じた場合については、それぞれの法人においてその法人全体の利益金としてまとめて計算されまして、国税及び地方税それぞれの法人関係税が課税されることになっているわけでございます。
 次に、六十三年度決算につきまして、国庫支出金と分担金の関連が若干でこぼこしているではないかというお話がございました。
 国庫支出金の決算額が予算額を三十六億円余下回っているのは、主に事業が翌年度に繰り越された場合に国庫支出金の収入も翌年度となるため、当該年度には収入とならないことによるわけでございます。
 一方、地元負担金等の財源は、繰り越しの場合も原則として当該年度内に収入済みとなり、財源として翌年度に繰り越されるという取り扱いになりますので、決算額が予算額を下回るということにはならないところでございます。
 また、この六十三年度決算につきまして、財産収入が予算額に比べて多いのではないかということでございます。
 御質問の財産収入のふえているうちの主なものは、一般土地家屋で国立高等専門学校に貸し付けている土地のうちの一部を四十二号の歩道工事のために建設省紀南工事事務所に対して歩道用地として売却したもの、及び廃川廃道敷地を売却したもの等でございます。
 次に、財産管理費の決算については備品購入費等の執行残でございまして、一円入札との関連はございません。
 次に、指名競争入札等参加者登録要綱というものを県が定めているんではないか、これとせんだっての入札との関係はどうなのかという御質問でございます。
 ただいま御指摘の要綱は、定型的契約が反復して行われる物品購入の契約に関するものでございまして、今度のディジタル回線網の基本計画の委託設計に適用できるものとは性質が違っておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。
 また、一円入札について二回あったではないかということでございます。
 それぞれ必ずしも妥当な額とは言えないと考えましたが、関係機関と協議の上、法律的には何ら問題がないとの結論に達しまして契約したところでございます。
 なお、入札の月日でございますが、ディジタル通信の方が六十二年八月十二日、コピー機の方が六十三年五月十六日、それぞれ一円で契約しております。
 今後は、これまでの論議を踏まえた対応を関係者へ要請してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 ミカン対策について、行政の責任という観点から自由化への対応として県がとってきた方策、実績、成果、これを生産、販売別々にという御質問であったかと思います。
 温州ミカンについては、これまで本県の基幹品目として需要に見合った産地の拡大に取り組み、農業経営の安定向上に大きく貢献をしてきたところでございますが、その後の急激な消費構造の変化の中で需給の調整を図ることを余儀なくされるに至ったものでございます。
 このために、全国に先駆けて昭和五十年度から温州ミカン百万本改植事業を実施するなど生産体制の強化を図るとともに、高品質ブランドとして味一あるいは完熟果実の生産、販売に取り組み、その成果を見ているところでございます。
 さらに、オレンジ果汁の輸入自由化の決着問題に伴って今回のかんきつ園地の再編対策がなされるわけでございますが、議員が言われるように、木を切ればいい、そうすれば金を出すということで済む問題であるとはゆめゆめ考えてございませんけれども、オールジャパンで二割の生産調整を、しかも適地適産を主体にやることがこの再編対策の大きなねらいでございます。したがいまして、これを積極的な発想で、絶好の機会というふうにとらまえまして、生産面においては、基盤整備はもとより地域特産果樹、野菜、花卉、施設園芸の導入、また販売面においては、品質を重視したブランド商品の確立、マスメディアを通じた消費拡大の推進等に努めているところでございます。
 次に、梅への転換が多いが、ミカンの二の舞にならないのかという御質問でございます。
 梅の生産指導についてでございますが、さきに、かんきつ産地対策推進本部が示した地域別地帯別転換先品目指標に基づき、適地適産を基本として農家が自主的に選択導入することにいたしてございます。
 梅は、健康志向の高まりによる旺盛な需要に支えられて価格が堅調なことから、転換先品目として多く導入されており、このため労力の配分に配慮しながら、南高、古城、小梅等、品種構成を考えた指導推進を図っているところでございます。また、需給の不均衡が生じることのないよう、平成二年に公表予定の国の果樹農業振興基本方針の見直しに当たり、過剰植栽とならないような配分を国に対して強く申し入れているところでございます。
 次に、農協の宅地の取り扱いで、不動産事業拡大の問題でございます。
 農協の宅地等の取り扱いについては、農業協同組合法の規定によって宅地等供給事業を行うことができることになってございます。これは、組合員農家の生活の安定に資するために農協と組合員が主体となって農業との調和のとれた計画的な地域開発を進めるのがこの事業の趣旨でございます。
 本県五十農協のうち、この事業を定款の中に定めているのは四十二農協でございますが、実際に事業活動を行っている農協は三農協と把握をいたしてございます。
 県といたしましては、事業実施に当たりまして、いずれにせよ農協法の精神を逸脱しないように、今後とも適正な事業の運営が図られるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 海南のジュース工場、田辺のバークミン工場等の問題あるいは補正予算の問題でございます。
 県農協連の果汁工場は、昭和四十六年にミカンの需給調整と需要拡大を図る目的で建設されたものであり、生産量の急増により一時は過剰在庫を抱えたこともありましたが、その後、近代的な施設整備と先進的な技術を導入し、自社ブランドの販売努力に加えて、大手ボトラーの委託加工により安定した工場経営を維持しているところでございます。生果の価格安定とミカン農家の経営安定に大きく貢献いたしてございます。
 今後とも、消費者ニーズに即応した高品質果汁の製造販売、新製品の開発にさらに一層取り組んで、農家経営の安定に寄与するよう指導してまいりたいと考えてございます。
 田辺のバークミン工場については、昭和四十四年に操業を開始以来、土づくり対策の一環として高品質生産を図る上で農家の経営に大きく寄与いたしており、現在では生産、販売ともバランスがとれておりまして安定した内容となってございます。
 次に、今回十二月補正予算でお願いをいたしております債務負担行為については、輸入自由化に関連して、本年七月、特定農産加工業経営改善臨時措置法が制定されたことに基づいて国の制度創設がありました。それに伴って農産物の加工業者の体質強化に対処するためのものでございますが、お話の果汁工場とは直接関係はございません。
 次に、紀淡トンネルの関係でございます。
 知事から基本的に御答弁がございました。高速道路網等の整備によって産地間の競争が激化することは、田中議員御指摘のとおりでございます。
 紀淡トンネルとの関係を特に申し上げますと、輸送条件や四国の農産物の生産状況から本県農業へのマイナスの影響はないと考えてございますが、長期的な展望に立って、今後とも他産地に負けない競争力のある産地づくりは強く目指していかなければならないと考えてございます。
 最後に、有機農業との関係でございます。
 最近の健康食品や味、鮮度を重視した本物志向等、消費者ニーズの高まりに対応して、施設園芸や味一果実など高付加価値型農業の確立を目指しているところでございます。有機農業も、こうしたものの一つであると考えております。
 有機農業には、病害虫防除や販売システム等、解決をしなければならない問題がございますので、現在は有機農業の成立条件調査、特産野菜病害虫防除技術確立などの技術開発に鋭意取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 昭和六十三年度決算書についての二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、消費者教育についてでございます。
 消費者を取り巻く環境が複雑、多様化する中で、消費者行政といたしましては、従来の消費者被害の防止にとどまらず、判断力を持った賢い消費者の育成が必要であると考えてございます。
 昭和六十三年度消費者教育事業といたしましては、消費生活に関する一般知識についての各種講座を充実させるとともに、「くらし号」による移動消費生活センターとして出張講座も開催いたしてございます。また、テレビ、ラジオ、リーフレット等によりまして、悪徳商法等に関する消費者啓発にも努めているところでございます。
 特に、消費税法の成立から施行までの間、物価行政の一環として物価情報提供紙等に掲載するとともに、講演会を開催するなど、消費者一人一人が物価と消費税との関連等について理解を深めていただき、消費税導入後の価格への転嫁が適正に行われているかどうか、消費者自身も監視していただくよう啓発してまいったところでございます。
 第二点は、電源立地地域振興事業補助についてでございます。
 電源立地地域振興事業に基づく地元市町村への補助は、重要電源等立地推進対策補助金と電源立地地域温排水対策費補助金の二つがございまして、全額が国庫補助金でございますが、昭和六十二年度からは県を通じて間接補助をいたしてございます。
 重要電源等立地推進対策補助金は、発電所立地の候補地を有する自治体が行う住民への広報、連絡等の活動に対する助成でございます。
 電源立地地域温排水対策費補助金は、発電所の温排水に関連する影響や有効利用等、漁業振興にかかわる調査等に対する助成でございます。
 この二つの補助事業は、発電所の立地についての地域住民の理解を進めることを目的として、それぞれの市町村で実施されているものでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 昭和六十三年度決算関係の二点についてお答えしたいと思います。
 まず、県身体障害者連盟における内部障害者の取り扱いについてでございます。
 当連盟の組織は、各郡市にある身体障害者連盟が構成団体となってございまして、内部障害者の方についてもその構成団体に加入していただいております。
 なお現在、連盟の内部組織として、視覚、聴覚、肢体不自由の三部会がございますが、近年、内部障害者が増加しつつある傾向にございます。県身体障害者連盟において、現在、内部障害者部会の設置について検討をしていただいているところでございます。
 次に、身体障害者福祉振興事業のうち、その他一千二十七万九千円につきましては、重立ったものとしては、県身体障害者スポーツ協会運営補助金や本県で開催された全国盲人施設大会、近畿聾唖婦人研修会等に対する補助金のほか、身体障害者相談員研修会開催経費並びに啓発資料の印刷製本に要する経費等でございます。その項目を「その他」としてまとめさせていただいたものでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 段々の御答弁をいただきました。気に入らん点が多過ぎます。
 総務部長。まず、放射性物質の輸送の今後の考え方なり対処方針ですが、まるで、うまいことやっているのや、これからも同じようにやっていくのやというふうに聞こえてならん。
 私の心配しているのは、法的にどういう規制があろうとも、消防法で決められている、公安委員会なり警察本部へ届け出をしなければならないという規制の中にあることは事実です。それが一回も県下で輸送経路の中に入っていないんならともかく、元年の間に二回ある。しかも、それが国立田辺病院を発送元ととし到着としている。そういうあたりは、私は特に考えたいんです。しかも、和歌山に一番近い熊取に京大の試験炉がある。
 えてして放射能と言うたら──たしか笹野議員らと一緒に敦賀や美浜へ行ったときも、電力関係の方の説明は、「放射能って心配せんといてよ。テレビからも出ていますよ。腕時計の夜光文字からも出ていますよ。あるいは、空中にも無数にあるんですよ」。いかにも、ほんそこらに転がっていて害がないんだという言い方をする。害がないけれども、ただいまの日本の、あるいは世界の批准の中では、危険だから輸送経路まで届け出をさす、取り扱いを厳に十分させていくというふうに規定されているんですから、そのことに対応する姿勢を失ってもらっては、どっち向いた行政かわからん。つまり、県民の知らない間に危険物が動いている。
 じゃ、消防防災の中で平成元年に二回あったことを知っていましたか。私が、きょう言うまで知らなかったでしょう。警察で特別に認可をしているこういう輸送が現に行われているということすら、消防防災では知らなかった。こういう取り扱いをやっているということも知らなかったというあたりが私は問題だと思う。
 私の調べたところによると、探知器が和歌山市に二台あります。その他なし。もちろん、消防法の中では人口十万人以上と規制をしていますけれども、十万人以下であっても危険なことは危険なんです。和歌山市だけで探知器が二台だということでは大変だと思う。
 それから、消防の──私ははっきり専門語を知らないんですが。宇宙服のようなぎらぎら光る服を着ないといかんそうですね。じゃ、その服が消防団の中に何着既配されているのかということが全然関知されていないところに問題がある。
 こんなもの、まだ危険物──原子炉用の燃料が運搬されていないから大丈夫やというあたりが私はいけないと思う。危険物であるということについては同じことです。コバルト60ですか──専門語は私は得手悪いんやけれども。警察自体が重要視して、経路まで認可をしなければならんという面の対策がなってないということが問題です。
 時間がないので急ぎますが、将来対策、現在の配置、装置、それを答えてほしい。
 それから、一円入札問題です。
 お聞きしますと、六十二年八月十二日に一回やっているんですね。これがよかったと思ったから、もう一遍、六十三年の五月にやったんですか。そして、指摘をされ、世論がやかましいから、いけなかったことです、公正な価格じゃないんです、社会通念上問題があるんですと、今つくったんですか。
 私の言いたいのは、六十二年八月十二日にやったことはやった。しかし、法規では問題ないけれども、社会通念上、適正な価格を決めるための秩序を乱した行為だと理解をしたからやめたと言うんならわかる。しかし、やめないで六十三年五月十六日に再度やっているところに問題がある。そこに、和歌山県の欠陥があるんじゃないかというふうに心配をします。よかったんや、法律に準じてやったから間違いないんや、税金を一銭でも安く使って効果を上げていると言っているような気がしてならない。
 思い出すのは、年は忘れましたが、当本会議場において私は一般質問の中で、予算の中に卸値より安い価格で二輪車が二十何台計上されていたことを指摘した。地場産業の育成だと言いながら、卸値より安い値段で和歌山県の行政の中で二輪車をこれだけ買うてどういうことになるんや、何か原因があるのと違うかという追及をした。安いだけが能じゃない、適正価格を決めることが行政の一つの大きな使命だということを力説した。日ならずして、ほかの県でこれと同じ形で、盗難品だということで摘発をされた。和歌山県の二十何台が盗難品であったかどうかは県警本部しか御存じないことだけれども、何にしても、私が本会議で質問をやって、一週間を経ずしてほかの県で摘発をされて、同じように盗難品の二輪車を各地方自治体へおさめておったという事実があった。
 こういうことは、私はいけないと思う。反省がないじゃないか。口では、山本議員にもお答えがあったように、公正な価格を決める秩序を乱したんだ、反省をしていますと言いながら──反省をしたとおっしゃるならば、私が言ったように、指名競争入札等参加者登録要綱の七条の二項に「その公正な執行を妨げた者」──妨げてないんですか、あの業者は。一円で入札したことは「公正な執行を妨げた者」でしょう。「又は公正な価格の成立を害し」──公正な価格の成立を害してないんですか。一円で入札しておいて、一生懸命に試算をして入札した者の公正価格の成立を邪魔しているでしょう。ですから、七条の二項に違反をしていることは厳然たるもの。厳然たる違反行為をやっているのに再度指名入札をやらしているところに問題があるということを指摘している。この点を、もう一回答えてください。
 農政問題も若干ありますけれども、再々質問のときに言います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) まず一点目の、放射性同位元素の輸送に関する問題でございます。
 放射性物質の規制については、その法的な権限が国の方に一元化されておりまして、現在の法体系が組み立てられております。医療に用いるもの、あるいは検査等に用いるものにつきましては、御指摘のように公安委員会という体系でございます。しかし、核燃料物質の輸送という事態になりますと、これはまた法体系が違います。
 そういう今後の可能性があるのかどうかという御指摘でございますが、そこらの点も含め、今後、研究検討してまいりたいと思います。
 それから、第二点目の適正な価格の形成ということでございます。
 私ども、入札して執行している場合に、まあそういうものが出るとは予想しないで執行したわけでございますが、結果的に六十二年と六十三年に、一つは委託契約で、一つはコピー機の問題で出ているわけでございます。
 この指名競争入札等参加者登録要綱についてもいろいろ検討したわけでございますが、第七条の二号の「指名競争入札等において、その公正な執行を妨げた者又は公正な価格の成立を害し、若しくは不正の利益を得るために連合した者」と、若干、価格の妥当性という意味では議論の余地があるわけでございますが、直ちにこれに当てはまるものではないという判断をいたしまして、その時点で契約をしたものでございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 極めて不満ですが、時間がないので、これはまた機会を改めてやります。
 次は、農林部です。
 御答弁をいただきまして、一つ思い当たるんですが、販売面での対策が抜けていたように思うんです。答弁は結構ですので、そのつもりで聞いていただきたい。販売面で、もっと和歌山県全体の中で考えなならんのではないか。
 一つの例を言います。この間、実はリンゴのうまいのを食いたいなあと思って青森県へ注文した。三回注文しました。送ってくるリンゴの中に、きちんとこのぐらいのパックに入れて、これはリンゴジュースでつくったものですと。ラッキョウがある、ニンニクがある、大豆がある、これを食べてくださいということで、試食品を一緒に入れて送ってきた。リンゴを注文したのに、そういうものを一緒に入れて送ってくる。いいですね。非常に関心を持ちますし、県全体で販売に取り組んでいる熱意をひしひしと感じる。私の推測ですが、青森ではリンゴの木の下で大豆をつくったり、ラッキョウをつくったり、あるいはニンニクをつくったりして生産しているんじゃないかと思うんです。工場が青森県内ですから。
 和歌山県では、例えば潮岬のハナラッキョウがある、あるいは梅の加工も随分出ています。そういうものをミカンの注文を受けたときに取り入れて宣伝をするぐらいの心構えがなければ、農行政全体と言えない。
 いろいろ考えていくと、和歌山県の農行政の中で一つ欠けているのは、販売面が手薄だということ。熊本のミカンブランデーも拝見してきました。販売ルートも非常にうまい。静岡の有機農業も拝見したが、非常に立派だ。こういう面を、単なる他府県の例とせずに取り入れるべきではないかというふうに私は思う。
 もう一つ、梅の多産に備えて、国立規模ぐらいの梅の加工試験場を田辺周辺に置くべきだ。
 四国では、今、入院食に使う梅を研究しているらしい。これが成功すれば、四国でつくっている梅が全部そっちで使われてしまう。何も、和歌山県の梅を四国へ送ってこいとは言わん。だから、和歌山県の中でそういう食品加工の面で、特に田辺周辺へ梅の工場を──これは農協も田辺市長も乗り気です。県が動き出すなら一緒に動くでしょう。そういう面の対応をし、将来、多産になってミカンの二の舞をせんように、今から販売面で努力していただくことを、これは要望しておきます。
 総務部関係については宿題にします。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で田中実三郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時八分休憩
 ──────────────────────
 午後一時三十六分再開
○副議長(宗 正彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番下川俊樹君。
 〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 お許しをいただきまして、質問を行います。
 本日私は、交通問題に絞って質問をし、当局の考え方を伺うものであります。私は、これまでも再三、本議場において交通問題を取り上げてまいりましたが、本日はこれを一歩進め、具体的な部分に議論を進めてまいりたいと存じます。
 ある全国紙に「和歌山県ほど『国土軸』という言葉をよく使う県はない」と紹介されておりましたが、言いかえますと、この言葉ほど本県の地域特性及びそこから生じる問題点を的確に表現している言葉はないと思います。すなわち、この言葉は、何とか本県を国土軸に近づけよう、それが本県の将来を支える交通基盤なのだという悲痛とも言える県の本音であり、このエネルギーが近年になって関西国際空港の泉州沖への誘致、南紀白浜空港の拡張計画、近畿自動車道の南北への延伸、特急くろしお号の新大阪駅乗り入れ、さらには関西国際空港における国内便確保運動へと県内世論を統一し、花咲き、実を結ぼうとしております。そのことは衆目の一致するところであり、私も、この点は大いに評価するものであります。
 とりわけ、最近最も高い評価を受けたのが、本議会でも既に何度も取り上げられている特急くろしお号の新大阪駅乗り入れであります。「大変便利になりました。大阪市内での乗りかえの不便がなくなったので子供や孫の顔を見に行きやすくなりました」と、地元でも大好評であります。このことについて、まず、知事初め関係者の皆様方の御努力に対し感謝を申し上げる次第でございます。
 本題に返りまして、これまでは和歌山県と国土軸の関係について申し上げてまいりましたが、次にこのことを県都和歌山市と紀南地方の関係に当てはめて考えてみたいと思います。
 問題点は明白でございます。先ほどの国土軸と和歌山県の関係をそっくり「和歌山市と紀南地方」という言葉に置きかえることができるほど、紀南地方の問題は交通対策に絞られてくるのであります。
 そこで、本日は交通問題に絞って質問を続けてみたいと思います。
 まず、問題点を整理してみたいと思います。
 交通問題を考えるとき、私は二つの面があると考えております。すなわち、一つは地域に住んでおられる人々の生活のための交通であり、いま一つは県外等からその地を訪れる人々のための広域的な交通の二つであります。紀南地方に当てはめますと、前者は、田辺、西牟婁、新宮、東牟婁の約二十二万人の人々の生活の利便性向上のための交通対策であり、いま一つはこの地の観光あるいはリゾート開発のために広く内外から人を呼び込むための交通対策であります。幸か不幸か、交通基盤の弱い紀南地方ではこの二つの問題は結果として同じ結論となりますので、本日はこれまでの広域的な視点から、人々の生活の交通という視点からこの問題を整理して考えてみたいと思います。
 この問題を考えていきますと、結論はまさに県の第四次長期総合計画に行き着くのでございます。県の第四次長計では交通問題について、県内各地をおおむね二時間で結ぶ道路網を確立すると明記されてございまして、私は、現在の県内の交通の実情を見るとき、これは大変立派な目標であり政策判断であると受けとめておりますので、この目標に向かって、道路にこだわらずに交通問題を考えてみたいと思います。
 交通にはその手段としてさまざまなものがございますが、私は紀南地方の特性から、その有効な交通手段を道路、鉄道、ヘリコプターの三つに絞ってございますので、まず道路から始めたいと存じます。
 質問の第一点は、長期計画の三十五ページに描かれております「和歌山県開発図」についてでございます。
 開発図では、県内を結ぶ縦の交通軸として海岸軸、中央軸、山岳軸の三本の道路体系が提案されてございます。このうち海岸軸については、多分、近畿自動車道なり国道四十二号線であることは大方の想像のつくところでございますが、残る山岳軸及び中央軸については具体的にどういう道路網を指しているのか、企画部長にお伺いをいたしたいのでございます。
 質問の第二点は、県の幹線道路である高速道路の紀南延伸についてでございます。
 まずその一部、湯浅御坊道路の現状と見通しを御説明いただき、さらに御坊以南、田辺までの延伸計画、加えて田辺以南、新宮までの延伸の見通しについて、土木部長より御説明を賜りたいと存じます。
 次に、私はこれまでも再三、「山岳ルート」という表現で国道四十二号に対するもう一本の幹線軸の必要性を訴え、高野龍神スカイラインから国道三百十一号に直結するルートの早期具体化を力説してまいりましたので、質問の第三点は、高野龍神スカイラインの南北の取りつけ道路についてお伺いをいたします。
 所期の目的に反してお荷物ともなっている高野龍神スカイラインの利用向上は県政の緊急かつ最重要課題であると認識をいたしている次第でございますが、本日は、この道路が紀南へ通ずる第二の県土軸であるとの位置づけから、この両端の連絡道について具体的にお伺いをいたします。
 すなわち、国道二十四号線の橋本市側から高野山で取りつける、いわば入り口に当たる路線の改修なくして高野龍神スカイラインの再生は望み得ません。現状は、有料道路から一般道路となった県道高野高野口線があり、海南、海草方面からは海南高野線があります。しかし、この両道路ともにカーブが多く、大型化しつつあるバス旅行等に対応できかねているのが実情であります。当局におかれてもその改修に懸命の努力を払われているところでありますが、計画の見通しについて土木部長にお伺いをいたします。
 次に、龍神から国道三百十一号に直結するルート、すなわち出口とも言うべきルートの整備も、これまた入り口同様、大変重要な計画でございます。一日も早い整備を望むところでありますが、現状と今後の見通しを明らかにされたいのであります。
 最初にも申し上げましたように、このルート整備は、紀南への第二県土軸とも言うべき重要な骨格路線であるのと同様、いや、それ以上に高野龍神スカイラインの経営から来る一般財源へのしわ寄せを憂慮する上での私の意見と受けとめていただき、その利用向上に対する早期な対策を伺っているものであり、明確な御答弁をお願いする次第でございます。
 質問の第四点は、国道三百十一号の改修計画についてでございます。
 国道三百十一号の重要性はこれまでも何度か指摘してまいりましたので、この場で再度繰り返すことは避けたいと思いますが、先ほど指摘いたしました高野龍神スカイラインの経営改善という立場からも重要な問題でございます。このルートについては、相当改修が進められて面目一新という姿を見せてきたところもありますが、なお狭隘部分が少なからずと申せます。リゾート開発のため海岸沿いに紀南を訪れた企業の方々が、本宮から川湯、中辺路へといわゆる熊野周遊道路に足を延ばし、この道路を視察するに及んで相当な失望感を持って帰るという話をよく聞きます。栗栖川─本宮間の改修計画について、具体的に御説明をいただきたいのであります。
 道路に関する質問を続けます。紀北と紀南を結ぶルートとして、私はいま一つのルート、すなわち龍神から金屋を経て吉備に至る、いわば県中央横断軸とも言うべきルートに注目をいたしています。先ほど来申し上げてまいりましたように、紀南からの山岳ルートはすべて龍神に集中してまいります。この龍神からスカイラインを経て橋本に出るか、いま一つ国道四百二十五号から四百二十四号を経て県道吉備金屋線で吉備インターチェンジに出るか、県内の道路ネットとして大変重要な意義を持つ道路であると認識いたしてございますが、このことに対する県の取り組みの現状と今後の計画、そしてこれらの路線の整備が完成した暁に、新宮─和歌山間の距離と所要時間がどのくらいになるのかを土木部長よりお示しいただきたいと存じます。
 最後に、道路整備の基本的な考え方につきまして質問をいたします。
 県にあっては、南北に長く、山間部の多い地域的な条件の中で、道路整備については広範囲にガードしなければならないという事情もあり、平素、大変御苦労なされていることと存じますが、道路整備を行う場合、重要路線を絞って、まずそこを完成させるということが県民に目に物を見せるということになり、行政の成果が具体的になると認識いたしてございますが、この点に関する知事の御所見をお伺いするものであります。
 次に、鉄道についてお伺いをいたします。
 冒頭でも申し上げましたように、特急スーパーくろしお号の新大阪駅乗り入れは大変好評でございまして、車中の混雑ぶりを見れば、このことがいかに喜ばれているか一目瞭然でございます。このことに対する知事、関係者の御努力に感謝をいたしつつも、なお紀南地方からの唯一の高速交通機関として、何点かの提言を交え、より一層の改善対策をお願いするところでございます。
 質問のポイントは、スピードアップ、輸送力の強化及びサービスの向上についてでございます。
 スピードアップについてでございますが、話をわかりやすくするために具体的に事例を御紹介いたします。
 今、本宮町あるいは熊野川町の方々が、和歌山、大阪方面へ旅行したといたします。この人たちは、車で新宮に出て新宮から乗り、帰りは新宮でおりて帰るとお思いでしょうか。事実は、このようなコースではないのであります。車で田辺に出て、田辺から車で国道三百十一号を走って帰るというパターンになっております。なぜか。理由は簡単であります。特急が田辺から新宮に着くまでに、既に家に到着するからであります。要するに、田辺─新宮間の時間がかかり過ぎるということであります。このことは、紀南のリゾート開発や産業振興等にとって大きなネックとなってはね返ってきてございます。では、どうするか。考えられる対策を幾つか御提案申し上げ、当局の考え方を伺うものであります。
 まず第一点は、線形の改良でございます。特に、串本─周参見間はカーブが連続し、四十キロメートルから四十五キロメートルに減速しなければならないと言われております。この間を、例えばトンネルにするとか曲がり角度を小さくするといった改良を加えると時速六十キロメートルぐらいまでスピードアップするのではないかと考える次第でございますが、まずこの可能性と見通しについてお伺いをするものであります。
 次に、駅構内の設備改良についてでございます。現在、駅のホームは特急も普通電車もともに同じ条件で待機するという構造になっているわけでございますが、これを阪和線や南海線のように特急列車の通過レールを駅に入る手前から直線化して、減速せずに通過できるようにしてはどうかと考えますが、県当局はいかがお考えでございましょうか。
 スピードアップの三点目は、ダイヤ編成についてでございます。特急くろしおに乗って紀南に旅行された方なら皆様、経験済みのことと思いますが、最もいらいらすることの一つに対向車の時間待ちがございます。単線ゆえの悲劇でもございますが、旅をする人々にとってこれが大変大きないらいらの原因となっておりますので、可能な限りダイヤ編成で修正をお願いいたしたいと思いますのと同時に、必ずしも対向は駅のホームで行われなくてもよいのではないか、駅以外の場所で部分複線にすれば解決すると考えますが、その可能性について県はどうお考えか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、輸送力強化の問題であります。
 伺うところによれば、スーパーくろしおの新大阪駅乗り入れについて、これ以上の増発はもろもろの事情から当面は大変難しいとのことでありますが、あの混雑ぶりを見ておりますと、私は何らかの対策が必要であろうと考える次第でございます。
 そこで提案でございますが、本数をふやさないで車両をふやすというのはいかがかと考え、現在の六両から九両への増両を提案するものであります。いかがお考えでしょうか。
 最後に、サービスの向上対策についてでございます。
 JR和歌山駅構内の切符売り場は、現在のところ、みどりの窓口を入れて二カ所という状態でございます。一日乗降客四万人の和歌山駅としては大変混雑し、苦情も寄せられておりますので、切符売り場の増設を図り、サービスの向上に努めていただきたいと存じますので、要望を兼ねて御見解を伺うものであります。
 次に、ヘリコプターの問題に移りたいと存じます。
 私たちを取り巻く社会は、高速道路や鉄道と並んで、いや、それ以上のスピードで時間の短縮を求めてございます。会議に、ビジネスに、リゾートに、さっそうとヘリコプターでおり立つという姿は、今や外国やテレビで見るだけの世界ではございません。近くは、昨年来、紀南地方で行われた幾つかのイベントに出席された仮谷知事も、大いにヘリコプターを利用されているのでございます。三重県紀伊長島で開催された三県知事会議に出席のときは、名古屋を中心に相当な発行部数を持つ「中日新聞」から、「これからのトップの交通手段はこれだ」と絶賛をいただいたところでございます。また、十一月に本宮町で開催された山村大資源博にも往復ヘリコプターを利用され、片道の所要時間が約十七分であったと聞いております。和歌山から本宮に行くよりも和歌山市内をヘリコプターの乗り場まで行くことの方が時間がかかったという笑い話が出るほど、ヘリコプターの持つスピードの魅力は大きいと言われております。知事の例をまつまでもなく、私はこれからの時代にあって、時間に大変忙しい方あるいは時間がお金にかえられない場合にとって、ヘリコプターは大変重要な交通手段になるものと考えてございます。
 同様の悩みを抱えます三重県でも、この検討が進んでいると聞いております。奈良県も同様ではないかと考える次第でございます。こうした交通不便の地を抱える三県が合同協力して、共通のテーブルで広域的な検討をすることも大変大切なことであると考え、以前、本議場においてその旨当局にもただしたところでございましたが、今日に至り、ますますその必要性と需要が高まりつつあるとの判断をいたしてございますので、その後、企画部で進められておりますヘリコプター導入に関する調査報告書の概要について、現在の進捗と今後の課題に関し御報告をいただきたいと存じます。
 私の要望は、一日も早く調査を終え、その内容についての政策判断をするレベルまで提示をしていただきたいということでございます。素人の判断ですが、この報告書では、多分、一人当たりの運賃単価及びそれによる乗降客数、その結果として運営が大変難しいという調査内容になると予想をしていますが、そういう土地条件だからこそ必要な交通手段として議論を起こしているのであり、当然そこには公的セクターから負担をしてかさ上げをしなければならない部分も予想されるわけでございます。
 具体的に言えば、どういう経営体が望ましいのか、その資本金はどういう構成にするのか、すなわち公共体の出資をどの程度にすればよいのか、国の補助金は導入できるのか、経営に対する税制上の優遇措置はあるのか、これらのことは、どのルートの場合どれほどになるのか、具体的なケースとしておまとめをいただきたい。それでこそ、初めてこれを政策として議論ができる土俵まで高めることができると思います。このことは要望として伝え、きょうは、これまでの調査報告書の概要について御報告をいただくにとめます。
 最後に、やや交通からは離れますが、新宮港第二期計画についてお尋ねをいたします。
 申すまでもなく、新宮の基幹産業に製紙工場と木材業がございます。ここに働く人約千人、家族を入れますと約四千人の人たちが直接この製紙工場や木材業に従事し、関連の企業を入れると、大変多くの人々が何らかの関連性を持って生活をいたしてございます。私たちの生活はこうした産業との関係によって成り立ち、今後もこのパターンは変わらないと思います。
 一方、こうした産業は、技術革新といいますか、生産性の向上は日進月歩で、ちょっとよそ見をしていると企業の存続にさえ影響しかねない時代でございます。新宮市の製紙会社や木材業も例外ではございません。工場の設備改善、生産性の向上は、他の企業あるいは他の国々との関係においてもぜひ取り組み、進めなければならない課題でございます。
 新宮港の完成から十年、外国貿易もできるまでに成長しました。これを推進していただきました知事の御厚情に対し、さらにこれを強力に御支援いただきました国会議員初め関係各位にまず厚く御礼を申し上げ、そしてこの新宮港がさらに成長し、地場産業の振興に寄与し、真に紀南地方を代表する港湾となるよう、二期計画の早期具体化をお願いする次第でございます。これに対する知事の御所見をお伺いし、質問といたします。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 下川議員にお答え申し上げます。
 交通網の整備に重点を絞りまして、道路、鉄道、空の問題から御意見を承ったわけでございます。特に、道路整備の問題においては、長期計画に基づく三-五軸の推進の問題、高速道路の紀南延長を重点に取り上げられ、これを知事は重点的に考えるべきじゃないかという御意見でございました。まことに、ごもっともでございます。
 私たちは、高速道路の紀南延長を最重点に考えております。また、海の道である四十二号線の問題、これについても高速道路が新宮までは簡単に行きにくいということで、両方から着工する方法、バイパスの問題等も考えてまいらなければなりません。また、高野龍神スカイラインを結んでの三百十一号との連携、三百七十一号との連携の問題がございます。また、中央の道として四百二十四号を利用して新宮、本宮を通って金屋まで参る道路、これも私は重要な道と考え、後ほど部長から答弁ございますけれども、積極的に進めておるわけでございます。
 それとともに、幹線道路と県道、市町村道を結ぶ道は生活を支えておりますので、重点的に進めていかなければならないと存じております。これから道路行政を進める上において、なお一層その点を配慮してまいりたいと思います。
 特に、和歌山県は東西線が非常に少ない。三軸だけです。だから、県道、国道だけではなしに林道との連係ということが大事でございますので、本宮の三越から龍神に至る林道の舗装改修をやって進めてまいりたい。そうすることによって新宮から高野山まで三時間余りで来れるんじゃないかと思います。また、水上栃谷線の栃谷から中辺路町の水上に参る林道についてもふるさと運動で進めておりまして、ふるさとづくり特別対策事業、半島振興道路整備事業等を利用して重点的に進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 また、ヘリコプター輸送の問題でございます。
 現在、高速交通体系が整備されつつございます。特に和歌山県のような地域においては、その特性を生かすためにはヘリコプターの活用ということがこれから大きな問題になるわけでございます。特に、関西国際空港ができ上がりつつありますし、白浜のジェット空港もでき上がりつつある現状でございますので、その感を深くしておるわけでございます。
 五月に紀伊半島知事会議がございましたが、その会議においても三県の交通交流のためにヘリコプターの重要性ということで合意したわけでございます。また、十一月に近畿の知事会議を白浜で開催しましたけれども、近畿の知事会議においても現在調査を進めておりまして、今年度で二年目に入るわけでございます。まだ十分な検討はできておらないわけでございますけれども、近畿全体でヘリコプターの活用を図ろうじゃないかと。ただ、その発進地の問題──現在、大阪でも朝日新聞の屋上と八尾の二カ所しかないという現状でございます。そうした発進地をどうするかという問題、現在の航空規制の問題等もあるわけでございます。そうした問題もあわせ検討してまいらなければならないんじゃないかと思っておるわけでございます。
 ヘリコプターの輸送、ヘリポート整備については、現在、採算等いろいろな課題もございますけれども、先ほど申しました関西国際空港の開港に伴って充実を図ってまいる所存でございます。
 しかし、そのためにはそれぞれの地域がヘリポートの整備の仕方等いろいろな知恵を出し、地元の協力や理解も含めての諸条件を整えてもらわなければならないんではないかと思っております。そうした点を勘案しつつ、建設の方向で対応してまいりたいと思っております。
 次に、新宮港の二期工事への着工でございます。
 供用開始十周年の記念式典が行われまして、私も出席させていただいて、産業基盤、また物流の中心として活躍しつつある姿を見てうれしく感じたのでございます。その際にも、二期工事の話があったわけでございます。
 ただいま下川議員からも話ございましたように、巴川製紙も積極的でございます。ただし、どのような手法でやるか、地元産業の動向等々の問題がございますので、地元の意見調整も図りながら、少なくとも来年ぐらいに県費の調査費をつけて進めてまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 幹線道路に関する御質問にお答えいたします。
 まず、和歌山県長期総合計画の中で三-五軸、広域幹線道路網構想が打ち出されておりますが、この三-五軸は道路網の概念を表現したものでございまして、必ずしも一軸と一路線が一対一に対応するものではないと考えております。
 一般的に、海の道は国道四十二号と近畿自動車道紀勢線等、山の道は国道四百二十四号と国道三百七十一号の一部区間等、空の道は国道三百七十一号の一部区間と三百十一号、百六十八号等と考えております。
 次に、近畿自動車道紀勢線の紀南延伸についてでございます。
 まず、湯浅御坊道路の現状と見通しについてであります。
 平成六年度完成を目途に鋭意事業の促進を図っているところでございます。御坊─田辺間につきましては、本年二月に基本計画が決定され、現在、整備計画の策定に必要な諸調査を建設省において実施しているところでございます。今後、着工に至るまでには、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て整備計画が決定され、その後、日本道路公団に対する建設大臣の施工命令という手順を経ることになります。
 田辺─新宮間につきましては、まず基本計画に組み入れられることが必要でありますが、有料道路の採算性等の問題もあり、早期に事業化できるよう、整備手法も含めて関係機関とも協議してまいりたいと考えております。
 次に、高野龍神スカイラインの関連道路のうち、北からの主なものとしては、現在、国道三百七十一号、県道高野高野口線、県道那賀高野線の三路線があり、それぞれ大型車の通行は可能となっております。しかし、各路線とも大型車の対向ができない区間が相当残されております。
 このうち、国道三百七十一号につきましては、紀伊丹生川ダム建設にあわせて整備する必要があります。ダム計画と調整を図りながら、計画的な整備を行ってまいりたいと考えております。
 また、県道につきましては、交通の隘路区間等の整備を促進しているところでございます。また、龍神から三百十一号に直結する道路としては国道三百七十一号を考えており、かねてよりこの区間の整備を進めてまいりました。このうち、中辺路町と龍神村を隔てる峠部の笠塔トンネルの工事につきましては本議会に契約の議決をお願いしているところでありまして、この区間の早期供用に向け一層の努力をしてまいります。
 次に、国道三百十一号の栗栖川─本宮間においては、現在、五カ所で公共道路改良工事を行っておりまして、このうち新逢坂トンネルを含む中辺路三工区及び皆地トンネルを含む本宮二工区の両箇所が平成二年には供用できる予定であります。残る三箇所につきましては、整備の促進を図るとともに、未着手区間についても早期に事業化できるよう国に働きかけてまいります。
 続きまして、本宮町から吉備インターに至る最短ルートについてであります。
 当該路線としては、国道三百十一号、三百七十一号、四百二十五号、四百二十四号、県道吉備金屋線を利用し、中辺路町川合、龍神村柳瀬、美山村川原河、金屋町修理川、吉備町徳田を経て吉備インターに至るルートと思われます。
 このうち、三百七十一号の中辺路─龍神間と四百二十四号の美山─金屋間については交通不能区間となっておりますが、交通不能区間の解消と交通隘路区間の改良促進を図っております。
 このうち、国道三百七十一号の中辺路─龍神間につきましては、先ほどお答えいたしたとおりであります。また、国道四百二十四号の美山─金屋間の白馬トンネルについては平成二年度に着工する予定であり、平成六年度供用を目途に鋭意工事を進めているところであります。今後とも事業の促進に努力してまいりたいと考えております。
 これらの道路が完成すれば、新宮から和歌山までは約百五十キロとなります。三時間程度で到達できることになるかと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、JRくろしおについての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 第一点は、スピードアップについてでございます。
 JRきのくに線の列車の時間短縮、増便、増結等、輸送力の増強につきましては、県民の利便性の向上や、とりわけ紀南地方の観光、産業振興を図る上からも、かねてから機会あるごとにJR西日本に要望を重ねてきているところでございます。
 特急くろしおのスピードアップについてでございますが、議員御提言のトンネル化等により曲線を緩やかにする線形改良や駅構内における特急列車の通過レールの直線化などの設備改良、さらには駅以外の場所での部分複線についても、いずれも多額の投資を必要とするための経営上の問題や地形上の問題等があるものの、技術的には可能ということでございますので、強くJR西日本へ要望してまいりたいと考えてございます。
 次に、対向列車の時間待ちの問題につきましては、列車ダイヤの調整により、可能な限り時間待ち停車を解消するよう強く申し入れるとともに、駅以外の場所で部分複線にして対向する方法については、時間短縮のため有効な方策であると考えられますので、今後も引き続き働きかけてまいりたいと考えてございます。
 第二点は、輸送力強化におけるくろしお号の増結についてでございます。
 関係の皆様の御尽力、御協力を得て本年七月に実現いたしましたくろしおの新大阪・京都駅乗り入れについては、議員御指摘のとおり大変好評でございまして、座席指定がとれないほど混雑している現状を踏まえて、早速、増便、増結をJR西日本に要望しているところでございます。JRでも、この実態を認識する中で、現在、車両の改造、設備改良等を含めて検討していただいてございますので、早期実現に向け、引き続き強く働きかけてまいる所存でございます。
 第三点は、サービス向上についてでございます。
 和歌山駅切符売り場の混雑解消につきましては、利用客のサービス向上のため、売り場の増設や窓口職員の増員などを図るようJR和歌山支社と話し合ってまいります。
 次に、ヘリコプター導入調査の結果概要及び今後の方針についてお答えを申し上げます。
 ヘリコプター輸送に関しましては、昨年度、今年度の二カ年にわたって調査を進めているところでございます。昨年度は、和歌山県におけるヘリコプター輸送システム導入の役割とネットワークのあり方等について調査をいたしました。今年度においては、ヘリコミューターの需要分析、事業運営のあり方、ヘリポートの適正配置等について調査を進めているところでございます。
 ヘリコプター輸送につきましては、議員御指摘のとおり、半島性等、地理的制約を有する本県にとって大きな役割を果たす可能性を持っているものと考えてございます。ほかの地域の状況等を見まして、本県においてヘリコプターにおける二地点間輸送いわゆる定期便を飛ばすことは、当面、採算性等の面でかなり難しいのではないかと考えられますが、広域的なネットワークの形成、効率的な事業推進方策等の検討を通じてその可能性を追求いたすとともに、さらにヘリポート整備について、こうした二地点間輸送とは別の角度から、例えば救急医療、防災等の公共利用のほか、観光、産業振興等、幅広い観点から現在、調査を進めているところでございます。
 また、実際にヘリポートの建設を進めてまいる場合、用地の確保、騒音等、環境対策などの面で地元の方々の御理解と御協力が不可欠でございます。また、ヘリポートの建設、管理、その利用促進等、いろいろな面で関係市町村と緊密な連携を図っていく必要があると考えられますので、こうした観点も含めて、今後、鋭意検討を進め、ヘリコプター輸送、ヘリポート整備の具体化に向け、関係部局ともども最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番藁科義清君。
 〔藁科義清君、登壇〕(拍手)
○藁科義清君 今期定例会も、皆さんの貴重な御意見が述べられ、ここに最終の一般質問となりました。
 私は、簡潔に一、二点、知事または部長にお伺いをします。
 まずその一は、御坊田園テクノタウン構想についてであります。
 このことについての始まりは、昭和四十七年、時の大橋知事が、紀北に学園都市構想、紀中に田園工業都市構想、紀南に福祉エリアと提唱をされ、本県の進む一つの方向を示されたわけであります。その後の経過を見ますと、県においては四十九年三月、御坊田園都市構想を策定され、仮谷知事の時代になって、五十年、五十二年にはこれに伴う工業導入基本計画の策定、さらに五十二、五十三、五十四、五十五年ではこれらについての調査報告書などが作成され報告をなされております。国においても、五十五年三月には八○年代の通商産業ビジョンを策定して、その中にテクノポリス構想を織り込み、テクノポリス建設の方向をまとめられております。そこで県では、御坊田園テクノタウン構想を策定して、テクノポリス地域の指定の要請を国に行った次第であります。
 結果は、五十六年六月、県の努力もあって、全国で御坊を含む二十地域をテクノポリス構想調査対象地域として指定されることになったので、五十六年十二月にはテクノタウン構想推進協議会を設置して、五十七年三月、基本構想を策定しました。昭和五十七年八月には、御坊を含む全国十九の調査対象地域のうち御坊以外の地域が開発計画策定対象地域となったわけであります。
 そこで県は、五十八年三月、御坊田園テクノタウン開発構想の策定に取り組んだが、御坊地域を取り巻く諸条件は十分でなかったため、国の承認を受けるまでには至らなかったと聞くのであります。翌五十九年六月二十九日には御坊田園テクノタウン建設促進協議会を設立し、会長に知事、副会長には御坊市長となっております。
 このような中で、御坊地域関係の皆さんが非常な努力をなされていることとは思いますが、その苦労はその衝に当たっている者以外にはわからないと思うのであります。そう言うのは、一般地域住民にとっては、この御坊テクノタウンは今日までの十七年間、目に見える何らの動きもないからであります。
 そこで私は、この際、今までの御坊田園工業都市構想及び御坊田園テクノタウン構想とは一体何であったのか、そういうことを思い返す次第であります。
 当時、御坊田園工業都市構想とそれに続く田園テクノタウン構想は、ともに御坊市、日高郡に工業開発といいますか、工業導入をすることによって地域の開発を図るということではなかったかと思います。しかし、今日までの長い年月の間には、誘致の対象とすべき我が国の工業の姿は、臨海性の装置型工業から内陸型の加工組み立て型産業に、そしてハイテク企業へと高度化の移り変わりを見ております。一方、計画の推進主体である地方自治体を取り巻く情勢にも変化があり、それぞれの地域みずからが努力してこそ国の支援も得られるという状況のようにもあります。
 そこで私は、まことに小さい話で地元のことでありますが、一つこの中に入れたいと思います。
 私は印南町ですが、先日、県議会総務委員会の皆さんが、印南町が先行投資をして造成した、しらこ協栄企業団地にある中紀精機の会社を視察された。この会社は、三十年前から従業員十人程度から始めてただいまは百二十人ぐらいとなり、今回、十四億円で新工場を設立し、さらに二百人を雇用するというのであります。事業内容は電気部品の抵抗器でありますが、メルフ型抵抗器では全国生産シェアは六○%で、二番目はこの工場より大きな松下電器であるとも聞いております。総務委員会の皆さんも、こんな会社が和歌山にあるとは知らなかったと言っておられました。その後、竣工式当日、西口副知事が出席をされ、知事の祝辞を述べられました。その中に、「県が今日まで推し進めている企業立地の理想の姿は、今、ここにこれを見た」、こういう言葉でたたえられておりました。ただいま、この企業団地にも数社が進出予定をされているとのことであります。
 さて、本論の御坊田園工業都市、同じくテクノタウンに話を戻しますが、私たち県政に関与する者にとっても、県の田園工業都市構想、テクノタウン構想を信頼して今日まで経過してまいっておりますが、このままこれといったことがないまま進んでいくものなら、できる可能な事業種目に変えて新しく踏み出すことの方がよいのではないかと思いまするし、そういう声も強くあります。
 そこで質問をいたしますが、県はこの問題にどのように対処されようとしているのか、具体的には御坊田園テクノタウン構想がうまく進まないのはなぜか、また今後、県はこの問題にどう取り組もうとしているのか、さらにまたこの状態で機が熟するのを待つということになるのか、この辺についての御意見をお聞きしたいと思います。これは、ただに御坊市だけの問題ではなく、周辺日高地方の大きな関心の持つ問題であるからであります。
 次に、高速道路の紀南延伸についてであります。
 このことにつきましては、知事初め議会の皆さん方の非常な御努力のおかげで、本年一月三十一日、近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間は基本計画路線に格上げをされました。そのときの発表によれば、標準車線は四車線、設計速度は時速八十キロ、道路等との連結地すなわちインターは御坊市付近、印南町付近、南部町付近、田辺市付近とあります。建設の主体は日本道路公団とある。また、この基本計画路線に格上げされたということは、今後この間の路線、環境アセスメント、開発計画との調整など、その実施のための具体的な調査に入ったということであります。
 そこでお伺いしたいことは、この路線がどこを通るかということはいつごろわかるのかということであります。
 このようなことをお伺いする理由は、御坊までの高速道路や関西国際空港のこれからを考えて、この区間にゴルフ場を初め種々の開発計画の情報等があり、せっかくの本路線の進捗に支障のないよう願うからであり、また関係自治体においてもそのことを心配しているからであります。
 またこの機会に、既に工事が進められております湯浅─御坊間の事業の進捗状況はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。この区間の進みぐあいが御坊─田辺間の整備計画切りかえにも大きく影響すると思いますので、格段の御努力を要望しておきます。
 また、田辺バイパス、西田辺バイパスはただいま工事中でありますが、今後、南部方面に向かって延伸されていくものだとは思いますが、そのように延伸されていくのか、されないのか、国はどのように考えているかについてお伺いしたいと思います。
 次に、切目川の防災対策についてであります。
 このことについては、昨年九月の切目川大水害に対し、県のこの地に対する防災対策について強くお願いをしておきましたが、早速まず調査費を計上いただき、取り組んでおられますことにはお礼を申し上げたいと思います。
 それとともに、私はこのころ、すなわち昨年の十二月、このことについて知事に状況を説明して、よろしく御検討を願いたいと申し上げた折、知事は、つと席を立って、自分で奥の方へ行って地図を持ってこられ、その説明では、日高地方の海岸通りはおいおい発展していくだろう、また南部郷は田辺圏域の影響も受けて逐次発展していく、また御坊と隣接の川辺町も高速なり御坊テクノの影響を受けて発展していくだろう、さらにまた日高奥は椿山ダムの設置などで非常に明るくなってきた、しかし、印南奥地、川辺奥地などは何か手を打たなければ落ち込んでしまう、もしこれらがダムの適地であれば、また地元住民が望むなら、ダムをつくることも一つの手だてだ、その場合は多目的ダムであろうと話してくれました。私は、この知事の言葉を聞きながら、地元であってもそこまで気がつかず過ごしていることを反省するとともに、常に県土の均衡ある発展に細かく心を配っておられる知事の姿に深く敬意を表した次第であります。
 このような中で、切目川の防災につきましては、引き続き手だてをいただき、雨降れば、水出ればと心配することが少なくなりますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの藁科義清君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藁科議員にお答え申し上げます。
 御坊田園テクノタウンについてでございます。
 この開発計画につきましては、お話ございましたように、御坊地域を取り巻く現状、また将来の姿を見るとき、大きく変わりつつあることも事実でございます。ただいまは印南町の話もいただいたわけでございますし、また御坊地域の実情を承るとき、変化が激しくなりつつあるなということを感ずるわけでございます。
 そうした中で、県あるいは地元市町村ができる範囲内において着実にこれを実現していくことがより重要ではないかという考えがございますし、そうした点は私も踏まえます。しかしながら、従来から行っておりますテクノタウンの問題については、現在、関係部局において検討しておるわけでございます。高速道路が御坊までできるという問題をとらえまして、両面をにらみつつやってまいりたい、しかし重点としては御坊田園テクノタウン構想をなお一層進めてまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 御坊田園テクノタウン構想への取り組みにつきましてお答えを申し上げます。
 テクノポリス構想は、高度技術に立脚した工業開発を促進することにより、地域経済の発展を図ることを目的としたものでございまして、現在、全国で二十五地域の開発計画が承認されてございます。
 テクノポリス地域として国の承認を得るためには、工業開発を進めるための基礎的な要件が満たされていなければなりませんが、御坊地域の場合、高度技術企業の存在、高速輸送施設利用の容易性、自然科学系大学の存在という三つの条件が整っていないため承認申請には至っていない状況でございます。
 しかしながら、御坊周辺地域に企業立地を進め、地域経済の自立化、活性化を図ることは、「若者が定住できる町づくり」という目標を達成する上で非常に重要なことでございますので、現在、御坊市内に地元との共同事業で約二十ヘクタール規模の企業団地を造成すべく、関係機関とともに鋭意検討を進めているところでございます。高速道路の御坊延伸にあわせて企業の集積が実現できますよう、地元とともに努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 近畿自動車道紀勢線の紀南延伸のことでございます。
 まず、御坊─田辺間については、本年二月に基本計画が決定されましたので、引き続き、次期国幹審での整備計画決定を強く国に要望しているところでございます。
 現在、建設省において整備計画立案に必要な技術調査、環境アセスメント等の調査が進められておりますが、周辺の開発計画等が本路線建設の支障となるような事態は何としても避けなければならないことは議員御指摘のとおりであります。県といたしましても、関係市町の情報を集め、適切なルート選定がなされるよう建設省と協議しているところであり、今後とも適切な計画が策定されるよう建設省に要望してまいります。
 また、湯浅御坊道路の事業の進捗についてでございます。
 現在、地元関係者の方々の御理解と御協力を得ておおむね予定どおり進んでおりますが、一部の地域で測量の立ち入りができていない状況にあります。議員御指摘のとおり、御坊─田辺間の早期事業化のためにも湯浅御坊道路の円滑な事業執行が重要であると考えます。今後とも、地元の御協力を得て早期に用地取得ができるよう努力してまいります。
 また、田辺市稲成から芳養までの間、通称西田辺バイパスについては、国道四十二号のバイパスとして昭和六十一年に都市計画決定がされました。しかしながら、平成元年二月に御坊─田辺間が国幹道の近畿自動車道の一部として基本計画が策定され、この路線とも関連を有するものであります。したがいまして、今後、国において所要の検討がなされると聞いております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 以上で、藁科義清君の質問が終了いたしました。
○副議長(宗 正彦君) お諮りいたします。質疑及び一般質問は、以上をもって終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に、ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百四十一号昭和六十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に日程第三、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
○副議長(宗 正彦君) 次に、お諮りいたします。明十二月十三日及び十二月十四日は、常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(宗 正彦君) 御異議なしと認めます。よって、十二月十三日及び十二月十四日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(宗 正彦君) この際、各常任委員会の会場をお知らせいたします。
 職員からこれを申し上げます。
 〔職員朗読〕
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 総務委員会 第 二 委 員 会 室
 厚生委員会 第 三 委 員 会 室
 経済警察委員会 第 四 委 員 会 室
 農林水産委員会 第 一 委 員 会 室
 建設委員会 第 五 委 員 会 室
 文教委員会 第 六 委 員 会 室
 ──────────────────────
○副議長(宗 正彦君) 次会は、十二月十五日再開いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十七分散会

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