平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 先日、関西、近畿、大阪湾というのをランドサットから写した写真を拝見いたしました。はるか宇宙の観測船から見た地図でありますけれども、これを眺めますと、紀伊水道の入り口にある和歌山県、淡路島、そうして姫路、神戸、大阪港、堺港、この大阪湾というものは、隣にある琵琶湖と比べ、既に一つの池のような形態を示しております。
 日本文化の発生と最も深い関係を持つ海は瀬戸内海であろうと思いますが、その中でも特にいわゆる大阪湾ベイエリアこそは、日本民族の発生と深いかかわりを持ってまいった地域であろうと思うのであります。これを眺めて思ったのが、尼崎初め、姫路、神戸、大阪と、近畿のあらゆる財産がこの大阪湾に密集をしておるということであります。また、和歌山県の県勢浮上をかけている関西国際空港もこの湾内の泉佐野沖にあるわけでございますが、もしこういった湾内で一たん火災が起こったり、タンカーが燃えるというような大事故があれば大変なことになるのではなかろうかということも思いました。
 また一方、琵琶湖の水の、いつまでも美しくあれと願う滋賀県人の努力も聞いておりますけれども、いつまでも日本民族の親しい水辺環境におることができるかどうかという一番大切なかぎを握っておるのも、この大阪湾ベイエリアではなかろうかと思うのであります。
 こういったことから考えてまいりますと、大阪、大阪港、最近は堺と、いろいろ港湾振興に大変な力を入れておりますけれども、しかし、過密している大阪湾内を何もこれ以上過密にしなくても、紀伊水道の入り口、大阪湾ベイエリアの入り口に位置する和歌山県が近畿の中の一つの大きな役割を担い、将来の大阪湾の発展のために寄与すべきであろうと思った次第であります。
 そこで、知事にお尋ねを申し上げます。
 和歌山下津港の大阪湾ベイエリアにおける現在の位置と将来のあるべき姿についての知事としての見識、大阪湾ベイエリア開発推進協議会の設立に参加をした知事当局の意欲について、まずお伺いをいたします。
 和歌山下津港は、鉄、油、木材をその主たる取扱貨物としておりますけれども、新しいこれからの時代に、これらに加えて何をその主役の中に入れるのか、ターゲットを絞って努力をすべきであると存じますが、それをどのように考えておられるのか、またそのためには今何をなすべきときであると思うのか、お答えを願いたいのであります。
 次に、大阪湾ベイエリア開発推進協議会には、産・官・学の代表が参加しておるわけであります。和歌山県におきましても、知事は官の代表として、民間からは前田商工会議所会頭、学界からは小野和歌山大学学長が参加をしておるとのことであり、当然、これらの民間、学界の方々と連絡を取り合いながら和歌山県としての意見をこの会議の中で主張してもらわなければならないと思いますけれども、民間や学界の主張、意見というものはどんなものであるのか、おおむねわかれば教えていただきたいと思うのであります。
 和歌山下津港、特に物流の拠点としての港湾を、今、県が進めている七プロジェクト・三軸と関連してどのように考えておられるか、どんな関係づけを考えておられるかということをお伺い申し上げます。
 関西・近畿における和歌山県、関東における茨城県というのは大変類似した点を持っております。今まで横浜を中心に関東の物流拠点があったわけでありますが、北関東の拠点たるべき努力を積み重ねておる茨城県と、過密化していく関西の大阪湾ベイエリアにおける和歌山の港の役割は極めて類似した点を持っておると思いますけれども、茨城県の港と比較しながら和歌山県の港の持つ役割をお伺い申し上げたいのであります。
 また、コンテナを扱わずして二十一世紀の港はないとさえ言われておりますが、先ほど御質問申し上げた新しい取扱貨物の主役に何を加えるかということと相まって、コンテナを扱う港としての整備や、上屋、倉庫、配送センターの直面する諸問題に対する対処方、どのようにしていくのかということを具体的にお答え願いたいと思います。
 次に、しばしば質問をしてまいった雑賀崎における機械金属関連の都市再開発用地についてお尋ねをいたします。
 まず、その後の進捗状況についてお知らせください。
 次に、その都市再開発用地の価格の設定でありますが、業者と話をする際に、どうしても価格が問題になってきます。そして当然、本年度中にこの公有水面埋立申請がなされますから、それにも価格の設定を入れなければならないということであります。まあ、ほぼ計算がなされておると思いますが。また私どもとしても、この都市再開発用地が公共部門で十一ヘクタール、お金にして三十五億、企業部分で二十七・五ヘクタール、金にして百二十億、計百五十五億で三十八・五ヘクタールの土地を造成するということから割り出していくと、大体の単価が出てまいるわけであります。もちろん、当然のことでございますけれども、原価主義で値段を設定していくのかどうか、その点についてもお伺いを申し上げます。
 現在、この都市再開発用地に入ることを希望している企業の数と、その希望の面積をお尋ねいたします。
 次に、それに関連して、和歌山下津港の十年計画の中で予定をされている木材関連用地いわゆるくし型貯木場埋め立てと木材関連都市再開発用地についてお伺いを申し上げます。
 昔、今の木材港が建設されたときには、諸事情からここに木材港をつくらなければならないという観点に立ったわけでありますが、もう一つの埋め立て理由は、和歌山市内の内川に係留している材木をなくしていこうという県民、市民の強い願望の上に立って、係留している材木を木材港に一括して集中しよう、そこで木材の一大団地をつくろうということでありました。
 そういう目的のためにつくられたわけでありますが、いろいろと当時の事情で建設費にも大変苦労されたようであり、株式会社約五十社から建設負担金として四億七千九百三十六万円と、五億円足らずの金額を出してもらっております。県では、そういうお金を出してもらったことに対して、特別な権利を与えていない、権利を発生していないと言っておるわけでありますが、業界では、今度の埋め立ての際に、そのときに建設負担金を出してくれた人と出さなかった人とを平等に扱っていくことはできないということを強く言っております。
 こういったことを考えてまいりますと、このくし型埋め立ての事業主体をどこにするのか、雑賀崎と同じように企業局にやってもらうのか、あるいはこういったところと第三セクター方式をとっていくのかといったことについても基本的な考えをお聞かせいただきたいのであります。
 また、御存じのように、水上貯木から陸上貯木へと大きく時代は変わっていっておりますけれども、現在の時点で調査をしてみたところ、どうしても一部だけ水面の貯木を残してもらいたいという強い声もございます。こういった声にも対応していかなければならないと思いますが、その実情と対応方についてお伺いを申し上げます。
 その次に、このくし型埋め立ての中で木材関連の都市再開発用地をつくるということでありますが、これは、先ほど申し上げましたように、現在の木材港をつくるときに大きな目的であった内川に浮かんでいる材木をなくするという、そのときに果たせなかった役割を今度こそ果たせるかもしれないという唯一の機会でございます。これについて質問をさしていただきたいと思うのであります。
 現在、内川に係留しておる材木はどういう状態であるのか。もちろん、川の流れがスムーズにいかないとか、木の皮が下に沈み、腐敗して川を汚すとか、いろいろの問題が言われておりますけれども、しかし、長い間ここで御商売をされてきた業者の方々の立場に立ってみると大変難しい問題があるということで、今日までそのままになっておるわけであります。
 今度の都市再開発用地というものは、雑賀崎の方もそうでございますが、製材業をしておって、もうちょっと土地が欲しいな、ここも買っておこうというような形で買える土地ではない。都市再開発用地というのは、貯木場も工場も一緒になってそこに全部移る、移った後、都市としてのふさわしい形態にしていくというものであります。
 原価式で計算をすると、雑賀崎で恐らく坪当たり十六、七万円という値段になろうと思いますが、いろいろ工法から考えてくし型の埋立地の方がむしろ安く上がるということ、それよりも高くならないようにということ等考え合わせてみると、今、和歌山市内の坪当たり単価は六十万から八十万もしており、内川に材木を係留し、その川べりにつくっておる工場の敷地の値段も大変高いものでありますから、今こそ都市再開発用地にお移りを願って、そして今の場所を売却し、その差額で新しい機械を購入して新しい場所に移る余裕があるということで業界に働きかけていくには今をおいてほかにない、絶好の機会ではなかろうかと思うわけであります。
 内川の浄化を図っていくことをその仕事の一つにしている河川課、あるいは材木業界の育成を関心を持って見守り指導していく林政課、いろいろな見地からこれに対する積極的な御意見をいただきたいと思うのであります。
 次に、和歌山港の現在の主たる取扱貨物は木材でございますが、最近の好況を反映して輸入材がたくさん入ってまいります。現在は、この材木が岸壁に着いて木をおろすという岸壁取りが約三割、海上に木を落としてそれを取るという海上取りが約七割でありますが、岸壁取りでも、落ちてくる木の皮は膨大なものでございます。
 この間、徳島県小松島沖において和歌山県のそういった処理し切れない木の皮を船上で燃やし、違法性があるということでマスコミにも報道されましたし、築港の万トンバースに積んでいる木の皮が、たばこの不始末かどういうことかわかりませんけれども、火災を起こしたということもあり、非常に残念に思ったわけでございます。
 これらの問題については業界の方々が一生懸命苦労されておるわけでありますけれども、このようにある一定時期に集中して木材が入ってまいる場合に、木の皮の処理ということを港湾管理と同時に考えていかなければ、将来ともいけないのじゃなかろうか。もっとも将来は、外国で製品になって入ってくるだろうし、量もふえてくるだろうと思います。しかし、和歌山下津港の施設整備を考えていきますと、岸壁取りがふえてまいります。今は、岸壁取りが三、海上取りが七でありますが、この逆になってきた場合には、さらに木の皮がふえるということもございます。
 港湾を管理し、港湾を建設していくときに、そこでの仕事がふえていけばいくほど、一軒の家で言えば「便所」という施設が必要になってくることは当然であります。産業廃棄物に係る法律から言えば、業者みずからの責任において処理するわけでありますけれども、しかしながら、業者とその苦悩をともにし、どうしていくかということをお考えいただきたいと思います。
 そこで、他府県では、このような場合、どのような処理方法をしておるのか、また当局の対応方法についてお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、中間処理場についてお伺いいたします。
 和歌山の化学工場、染色工場は、一般的に好況でございます。この原因はいろいろございますけれども、一つは、日本のライバルである西ドイツにおいてライン川の特に厳しい環境規制が出て、それをクリアするために西ドイツの業界が大変苦労しており、国際価格の競争で日本がやや優位に立っておるということもございます。しかしながら、間もなく西ドイツの業者はこれらの規制をクリアし、再び世界市場で日本と争うことになるだろうと思います。一方、日本においては、和歌山県においてもそうでございますけれども、内川を初め水辺の環境浄化を強く望む声が高まっております。
 こういったことを考えてまいりますと、港湾のところでも申し上げましたように、産業を育成していくためには、そこから出てくる廃棄物、これを便所と考えると、そういう便所を立派なものにしていくということと並行しながら進めていかなければ、将来ともに足腰の強い地場産業は育成しないと思うのであります。
 そういった意味から前の議会で、交通の便、そしてまたあたりに人家がないということ等、いろいろ考え、青岸地区などにその用地の候補地を認めてはどうかということを申し上げてきたわけでありますが、その後の検討についてお伺いをいたします。
 また、港湾法の中では、港湾背後地の問題解決に尽力をしていくことも港湾の仕事になっておるわけでありますが、そういった見地からも御答弁を願いたいと思います。
 最後に、和歌山県は山積する公共事業に直面をいたしておりますが、なかなか進みにくく、また二十一世紀における和歌山県の県勢浮上という面から考えても、今やっておかなければ将来後悔をすることが幾つかございます。そのうちの一つに、最近知事もその重要性について特に触れておられる地籍調査がございます。
 人間には戸籍、土地には地籍というものがございます。政治を行う上で一番大切な資料は、人口の動向、そして預かっておる土地がどんな土地で、どれくらいあるかということを正確にすること、その次には、その土地がどんな性質の土地であるかということでございます。中央構造帯が走っておらないか、ボーリングすればどんな地質であるのか等々、面積を正確に知り、土地の性質をしっかりと把握することが行政の基礎であります。その一つが地籍調査であります。もう一つは、地域振興課でやっておられる土地分類調査でございますが、この地味な仕事を営々としてやってこられた数人の職員の方々とお会いし、いろいろと考えさせられ、勉強をさせていただきました。
 きょうは、その二つのうちの地籍調査についてお伺いを申し上げます。
 その重要性について知事はどのように考えておられますか。
 公共事業を進めていく場合にまず一番困るのは、相手と値段が合わないということがございます。その次に、値段が合っても、公図が乱れており、あちこち飛んでおってなかなか取得できないということもたくさんございます。また、公図の訂正には大変時間がかかります。そういったことを前もって正確に把握しておくという意味から地籍調査は大変大事なものでございますが、全国的に見て我が県の進捗状況の順位はどんなものであるか、またこのおくれている理由についてもお伺いをいたします。
 特に、法定外公共物と申しますか、里道・水路の境界明示ということに市町村は大変困っております。これは里道・水路を管理する県に立ち会いをしてもらわなければいけないわけでありますが、和歌山県の各県土木事務所も大変お忙しく、仕事に追われて毎日必死の状態であります。そのために、なかなかこの立ち会いがしにくいということがございますが、こういった問題点をどのようにして解決していこうとしておるのか。この解決なくして地籍調査の進展はあり得ません。現在の機構の中で改善していけること、あるいは県庁全体として考えねばならないこと、いろいろとあろうと思いますが、お考えをぜひいただきたいのであります。
 それから、市町村の負担として、くいを打つところの周辺を刈り払いしたり、くいを打ったり運んだりすることが大変重荷となっておるわけでありますが、県としても助けの手を差し伸べるべきだと思うがどうか。また、くい一本の値段についても、常識で考えてもそうですが、所有者両方が半々に持つというのが当然だと思います。県は管理しているものの、所有者ということになると国ということであるらしいのですが、国からはくい代も来ておらんということであります。国に対してそういう補助を要求すると同時に、県としても何とか助けていく方法はないかということをお伺いするものであります。
 また、里道・水路の幅員の問題であります。我が県には八つの土木事務所がございますが、里道・水路の幅員が土木事務所ごとによって違うところもある。例えば和歌山、岩出は水路の最低幅員が一・五メートルとなっておりますが、和歌山県全体を統一していくということが地籍調査の上からは非常に大事なことでございます。実情はいろいろと難しい面があろうと思いますが、こういった面についても御検討いただきたいと思います。御見解をお願い申し上げます。
 次に、事業認定のスピードアップということでお伺いいたします。
 国の補助事業は、いろいろの手続によって、どうしても工事の着手は六月ごろとなっておりますが、どうして四月一日から着工できないのか。四月一日から着工できるようにするにはどうしたらよいか、そのための努力、見通しというものについてお伺いを申し上げます。
 また、認定のスピードアップということに際しまして、土地収用法をかけていくという方法がございますが、今までは、土地収用法という法律はあるものの、それをかけるための準備をしながら工事をしておらないから、なかなかかけられない。そこで、すべての公共事業とは申しませんけれども、今やらなければ和歌山県の県勢浮上に非常に大きなマイナスになるというような公共事業を選定・指定していただき、どの公共事業でもそうでございますが、特に事業にかかる前からいつでも収用法にかけられる体制をとっていく、そしてスピードを上げていただく、認定を早くしていただくという努力をしてもらいたいと思いますが、どうでございましょうか。
 代替地の問題につきましても、最近は替え地が欲しいという希望が多い。これもすべての公共事業には難しいと思いますけれども、しかし、今やらなければ悔いを千載に残すという公共事業、そういう重要性は同じ公共事業でも時というものを考えると多少違うわけでありますから、これなくしてはあすの和歌山県はないという公共事業に際しては、来年度から建設省にも代替地の情報システムというものが導入されるようであり、こういうものの活用も大切でありますが、それを活用しながら関係市町村と話し合って、指定した事業についてはどのようにするか、どのようにして代替地を確保するかという和歌山方式を生み出す努力、知恵をぜひとも出していただきたいと思うのであります。
 以上のことを御質問申し上げまして、第一回目の質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎吉弘議員にお答え申し上げます。
 大阪湾ベイエリア構想についての、参加する知事の考え方と決意ということでございます。
 私、「ベイエリア」という言葉はどうもなじみにくかったのでございますけれども、「『ベイ』と言うたら『港湾』だよ」と言われたので、ちょっとわかってきたわけでございます。
 先ほど話ございましたように、ベイエリアの協議会が発足しましたが、かねてから私も、「関西の復権」と言いながら東京一極集中主義の是正というだけでは意味がないではないか、首都にある機能を関西に持ってくるようにしなければいけないのではないかということで関西の経済界にも意見を申し述べておったわけでございます。
 大阪湾のこうした構想を進めていくことは非常に意義があると思います。特に、産・官・学が一体になってこの計画を進める、そしてまた、大阪湾だけではなしに徳島県、和歌山県も入れてやるというところに大きな意義があると思います。
 私は和歌山県の知事として、このエリアの会議において、港湾、沿岸だけではなしに背後地のことも考えなければいけないではないか、大阪湾の背後地である和歌山県の自然の歴史、資産等をも十分くみ取ってリフレッシュの場所として活用を図っていかなければならないのではないかと考えております。また和歌山下津港は、関西空港ができてまいりますから、物流基地としても重要でございます。さらに、リゾート基地としても効用があります。そうした面において、積極的にこの会議の中で推進してまいりたいと思っております。
 次に、公共事業を推進するについての地籍調査でございます。
 私も、土木事業を行うに当たりまして、道路一つを行うについても地籍調査ということが非常に重要であると、特に最近ひしひしと感ずるわけでございます。
 最近の法務局における土地の取り扱い等の状況から考えましても、なおさら地籍調査を進めていかなければならないということで、本年度、地籍調査専門員を配置して体制の整備を図っております。
 今後、これは市町村の事業でございますので市町村を督励しながら、県としての体制を整備しつつ努力してまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 大阪湾ベイエリア開発推進協議会に関する御質問にお答えを申し上げます。
 ただいま、取り組み姿勢などについての知事答弁がございましたので、本協議会の組織等についてお答えを申し上げます。
 推進協議会の代表委員は、和歌山県、大阪府、兵庫県の各府県知事並びに大阪市、神戸市の市長、そして大阪、京都、神戸各大学の学長、さらには関西経済連合会会長、和歌山、大阪、神戸の各商工会議所の会頭等から成ってございます。このほか、委員といたしまして、和歌山経済同友会、和歌山大学を初め、京都府、奈良県、滋賀県、徳島県、京都市の産・官・学の各代表が参画をいたしてございます。また、このもとには、各代表府県市の企画担当部長等から成る幹事会がございます。
 大阪湾ベイエリアの開発推進についての今後の作業といたしましては、グランドデザインの作成に向け、開発の基本的方向、戦略的プロジェクトの検討、ベイエリア開発全体から見た広域的な課題、またインフラ整備の推進など、平成三年度末を目途にまとめ、一体となって国初め関係機関に対して実現に向け取り組んでいくスケジュールで進んでいるところでございます。
 その中で、議員御指摘の、特に物流拠点としての和歌山下津港の認識を高めるためには、関西国際空港の立地を県勢の発展に積極的に活用することを目的とした関西国際空港地域整備計画における七プロジェクト・三軸構想のより一層の促進を図る必要があると考えているところでございます。
 これらを踏まえまして、今後とも関係部局と十分連携を図りながら積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 大阪湾ベイエリア構想についてでございます。
 大阪湾ベイエリアにおきましては、各種のプロジェクトが展開され、同地域は大きく飛躍するものと考えられますが、そこにおいて港湾は大きな役割を果たすものと言えます。この大阪湾の入り口に位置する和歌山下津港は、背後地域における広域幹線道路網の整備等により、今後、広域的な流通拠点及び国際的なリゾート基地としてのポテンシャルが大きく高まるものと考えられます。
 議員の御発言にもありましたように、茨城県の港湾はその整備が進みつつあり、背後地域の幹線道路の整備とも相まって、東京湾内の港湾で取り扱われてきた貨物の一部が茨城県の港湾を経由するなど、機能の分担がなされていると聞いております。
 和歌山下津港におきましても、大阪湾内の港湾との適切な機能分担を図りつつ、その地理的条件等を生かした大阪湾ベイエリアにおける新しい流通拠点、国際リゾート基地港湾として、機能の拡充強化を図っていきたいと考えています。その際、和歌山下津港でどんな貨物を取り扱うべきかを見定めることが重要であることは議員御指摘のとおりでありまして、我が国の産業構造、貿易構造の変化、物流革新の進行等に的確に対応すべく研究を進めてまいります。
 それから、港湾の新しい対応についてでございます。
 近年、コンテナ化の進行、荷姿の変化等、物流革新が進みつつあり、和歌山下津港においても年間十四万トンの内貿コンテナが取り扱われております。また、上屋を必要とする貨物の伸びも大きく、本年度新たに一棟の上屋を建設することといたしております。その他、倉庫や配送センターなどについても、関係業界などの動向を見つつ、このような新しい時代に対応した港としての整備について、関係者の意見交換など、その調整も踏まえて検討していきたいと思っております。
 和歌山下津港についてでございます。
 和歌山下津港における現在の木材港は、昭和三十年代に木材輸入が急増し、また市内の各河川に不法係留の木材が多くなるなどし、これに対処するため、昭和四十二年に、現在、西浜地区と呼ばれる地区に県営の貯木場施設として建設されたものであります。
 近年の木材の荷役形態の変化等に対応するため、この貯木場を埋め立て、陸上貯木場の整備を計画しており、またあわせて木材関連企業を想定した都市再開発用地等も計画されているところであります。
 この用地は、内川の周辺に立地している製材業者の中で移転の意向のある業者を含め、希望者が立地可能なものであります。このことは内川の浄化にも大変大きな効果を及ぼすものと考えております。
 大変難しい課題もいろいろとありますが、そのために関係部局等と協議しながら努力をしてまいりたいと思います。
 港湾再開発に当たりましては、利用者、財産等に関し、多くの調整が必要とされ、本地区の再開発に関しても、事業化に当たり、諸事情を勘案しつつ事業主体等を検討してまいりたいと考えております。
 また、水面貯木を残してもらいたいという事業者もいることは承知しているところでありまして、木材の荷役形態の将来動向を踏まえながら、これらも含めて事業者との意見交換を行いつつ適切な対応を図ってまいります。
 次に、和歌山下津港での木材取り扱いに伴い生ずる木皮についてでございます。
 本年に入って木材の輸入が増加したことに加え、その時期が燃料需要の少ない夏季に集中したことから処分し切れず、一時的に滞荷し、議員御指摘の問題が生じたもので、今後こうした問題が生じないよう、事業者の指導も含め対処すべきと考えております。
 木皮の処分につきましては、他の木材港の例を見ますと、港湾管理者あるいは事業者が焼却施設を設置している港湾もあり、一方で輸入木材の製材への転換等により焼却施設が不要となったところもあります。
 和歌山下津港におきましても、港湾管理者として港湾環境の整備の観点からも地元との調整を図りつつ、木材の取扱動向や施設の運営等に関して関係者とも協議し、対応について検討してまいりたいと存じます。
 次に、産業廃棄物中間処理場についてでございます。
 港湾は、物流のみならず、多様な機能が複合し、高度な機能を発揮する総合的な港湾空間として整備することが求められており、港湾背後地の都市活動との調和を図ることがますます重要となってきております。
 背後地の活動に伴って生ずる廃棄物の処理につきましても、そうした観点での検討が必要と言えますが、廃棄物の処理処分と港湾の開発利用との間で調整すべき点も多く、議員御指摘の青岸地区への中間処理場用地の確保については今後の検討課題として取り組んでいくこととしたいと存じます。
 次の御質問に入ります。
 公共事業促進における地籍調査の重要性は十分認識しており、今後とも積極的に関係機関に協力してまいりたいと存じます。
 まず、里道・水路等の法定公共物の境界確定業務につきましては、近年、開発の増加に伴い、境界確定に係る仕事量が増大している現状にあります。したがいまして、地籍調査に伴う境界確定業務が増加した場合、さらに計画的、効率的に対応していかなければならないと存じます。
 次に、地籍調査実施に伴うくい代等市町村の負担は十分理解しておりますが、国有財産管理に伴う予算措置がない現状においては、対処する方法は難しいと存じます。しかし、土木部といたしましても、どのような協力ができるかということについて検討してまいりたいと存じます。
 また、里道・水路の幅員についてでございますが、原則的に現状主義をとっております。地元慣行を尊重して境界確定業務を行っておりますが、今後の取り扱いについては、過去の経緯を考慮し、関係者の皆様と協議しながら検討してまいりたいと存じます。
 続きまして、公共事業の事業認可についてでございます。
 国庫補助事業の事業実施までの経緯につきましては、おおむね、国会で予算成立後、内定通知があり、四月から六月までの間において事業実施認可申請、補助金交付申請の手続を行って決定されるもので、通常の工事着手は六月ごろとなります。しかし、継続事業で早期に着手する必要のあるものは、本省と協議の上、三月中に工事協議等手続を行い、四月早々着工ができるよういたしております。
 事業認可のスピードアップについては、それぞれの省庁の方針もありますが、早期着工できるよう努力してまいりたいと存じます。
 次に、事業認定のことでございます。
 公共事業に係る用地の確保につきましては、関係の皆様方の御協力を得ながら積極的に進めているところでございます。しかし、任意交渉で解決に至らない場合もあるわけでございます。そのため、収用手続の前提となる事業認定を直ちに受けられるよう事業計画段階から十分な連絡調整を行うとともに、重要かつ緊急を要する事業については早期に事業認定の作業を進め、建設省と緊密な連絡をとりながら事業認定のスピードアップを図るなど、なお一層土地収用法の活用を生かしてまいる所存でございます。
 次に、代替地の確保についてでございます。
 近年、公共用地の提供者が代替地を要求する事例が多くなってまいっております。土木部といたしましても、重要な事業については代替地対策が欠かせないものと認識しております。
 代替地対策は、起業者が努力するのはもちろんのことでありますが、地元の実情に精通している市町村の協力もお願いしなければなりません。また、議員もお話ありましたように、来年度、建設省が代替地情報システムを導入する予定とも伺っておりますので、それをもとに検討するとともに、市町村と情報を密にして代替地の確保に努めたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 雑賀崎地区都市再開発用地へ移転を希望する企業は、本年十一月末現在、二十社で、その希望面積は二十六ヘクタールであります。
 今後は、土地価格等、売り渡し条件がある程度具体化する時点から移転希望企業に対し、関係部局と一体となって、売り渡し条件、立地条件、企業移転計画、跡地利用計画等、都市再開発用地造成の趣旨を踏まえ、十分な指導を行って所期の目的に沿うよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、内川周辺に立地する木材関連企業の移転が具体化されるならば、商工労働部としても、その機会により一層企業の体質改善を図り、健全な企業経営に資するため、高度化事業を初め、各種融資制度の活用も含め、関係部局と連携をとりながら指導してまいりたいと存じます。
 産業廃棄物の中間処理場の件でございますけれども、本県の染料中間物製品は、現在、円高基調の中でも価格面でヨーロッパ製品より優位に立ち、好調に推移してございます。しかし、議員お話しのライン川の例や本県地場産業の化学、染色等産業廃棄物処理の現状を思うとき、このままでは安心できないのも、また事実でございます。
 将来ともに足腰の強い産業を育成するためにも、近くに安心して任せられる産業廃棄物の中間処理場なり最終処分場のあることが不可欠要件と考えますので、今後、商工労働部としても、業界の意向を踏まえつつ、港湾背後地の問題も含め、関係部局等と連携をとりながら協議してまいりたいと考えております。
○副議長(宗 正彦君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 雑賀崎都市再開発用地造成についての進捗状況と価格設定についてお答えをいたします。
 雑賀崎土地造成事業の現状につきましては、四季にわたる環境の現況調査を終え、環境アセスメント、基本設計及び公有水面埋め立て等の法的手続の準備を進めているところであり、今後、地元関係者の御理解を得ながら埋立出願を行う予定にしてございます。
 造成工事は平成二年度に着手し、七年度の完成を目指して取り組んでまいる所存でございます。
 なお、譲渡価格につきましては、事業目的にかんがみ、可能な限り安い価格で販売できるよう努めたいと存じますが、基本的には、先生の御意見にありましたように原価方式をとる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 木材の係留と内川浄化との関連でございます。
 市内の河川の面積から見ますと、現在はピーク時の二〇%で、八〇%の減となってございます。しかし、内川浄化との関連が大いにございます。したがいまして、農林水産部としては、港湾整備の機会をとらまえ、木材業界を通じて木材関連都市再開発用地の活用による内川の浄化を強く業界に働きかけていく所存でございます。
 次に、和歌山港の木皮の問題でございます。
 木皮の八〇%は燃料やバーク堆肥に有効利用され、残りの二〇%については、御指摘のように野積み状態になっております。火災が懸念されるところから、その処理について業界を強く指導しているところでございます。
 将来にわたって生ずる木皮につきましても、産業廃棄物処理に関する法律に基づき、業界において近々適正に処理されることになってございます。
 原木の輸入増加、半製品輸入動向等、予測は困難でございますが、関係部局と連携をとり、適切な指導をしてまいりたいと考えてございます。
 他府県の木材輸入港の状況についてでございますが、山形県の酒田港、宮城県の仙台港等、四港湾を調査した結果、それぞれ国庫補助事業による港湾施設として焼却炉を建設いたしてございます。
 また、処理方法はすべて焼却処理を行っており、その能力は日量十二立方メートルから二十五立方メートルとなってございます。
 次に、地籍調査の問題でございます。
 先ほど知事から御答弁を申し上げました。大変重要な課題であると認識をいたしてございます。
 平成元年度に地籍調査の推進事業を創設していただき、その推進に努めているところでございます。既に下津町が完了、印南町が一部完了、現在、県下十一市町村で地籍調査を実施中でございます。
 全国的な着手率はどうかということでございます。四十二位と低うございますけれども、最近十カ年で見ますと、全国の一府県の平均が九市町村に対して和歌山県は十一市町村であり、平均を上回ってまいりました。さらに平成二年度には、新規に二町が着手することになってございます。
 この調査の問題点は、地権者の境界同意等に人員と時間が大変かかること、かつ長期にわたるために市町村の財政負担が大きく、着手を困難にいたしておるところであります。
 県としては、さらに推進するため、関係部局との連絡会議を強化しつつ国有地、里道・水路等に係る問題解決を図るとともに、未着手の市町村に対する啓発に努めるほか、三十五市町村で組織をする推進協議会と連携を密にして進度アップに積極的に取り組む所存でございます
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 木くず等産業廃棄物の中間処理場に関する御質問にお答え申し上げます。
 産業廃棄物の処理は、一般的に中間処理と最終処分がございまして、中間処理施設は最終処分場の受け入れ基準に合致させるために必要な施設であると考えております。
 木くず等産業廃棄物処理は、御指摘がございましたように、第一義的には排出事業者の責務であり、したがって、これらの中間処理についても排出事業者の積極的な努力と協力によって事業の推進を図ることが重要であると考えております。
 今後とも、業界の動向をも十分踏まえ、関係部局との連携を密にしながら積極的な対応を図ってまいりたいと考えております。
 二点目の、処理場用地の確保問題についてでございます。
 青岸地区につきましては、近くに民家がないということなどから見れば適地と認識されるのでございますが、現在、その他内陸部も含め、調査を行っているところでございます。
 今後、中間処理につきましては、推進母体の組織化の推移を見守りながら、処理の方法、事業主体、経営方針等もあわせ指導を行い、関係方面の理解と協力を得て、可能な限り用地確保について支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 和歌山下津港の大阪湾ベイエリアにおける役割というものの認識が、これからの和歌山県の港湾振興を決めるかぎになってくるだろうと思います。
 人は飛行機で、かさの大きいものと重たいものは船で──飛行機で来た技術者が船で来た機械を組み立てる、こういう時代が間もなくやってこようとしておるのであります。この時代に、国際空港を近くに控えた国の重要特定港湾としてのあり方をしっかりと吟味していただきたいと思います。
 かつて、奈良県の県議会議員とお話をさしていただいた際に、海のない県という立場、「海があったらなあ」という強い切望にも似た気持ちを聞きまして、我々は、海の恵みを忘れておるのではなかろうかと考えたことがございます。
 どうか、国際空港と同時に、和歌山県の物流拠点としての港湾の大切さを今後とも忘れずに進めてもらいたいと思います。
 それから、和歌山下津港内のくし型埋立地にできる木材関連用地、都市再開発用地についてでありますが、そのうちの都市再開発用地を活用するものでなければ、二度と和歌山市内の内川に浮かぶ材木を取り除くことはできないであろうと思うのであります。その唯一の機会が近づいてこようとしておりますが、関係各部局は一致してこのための努力をしていただくようにお願いを申し上げるものであります。
 それから、木材港における木の皮につきましては、何か業者任せで、業者を指導するとかということばかりのような感じがするわけでありますが、他府県においては、行政が深く関与して、それが県や港湾のみならず市も中心になって関与しているところがあります。いろいろの形態はございますけれども、業者と一緒になってこの問題を考えておるという他府県の姿勢をぜひとも参考にして、我が県においても業者の悩みをみずからの悩みとして解決していただきたい。もちろん、その根底には、企業みずからの責任において産業廃棄物を処理するという原則を尊重しながらのことではございますけれども。そういった観点から御努力を願いたいと思うのであります。
 最後に地籍調査についてでございますが、この重要性については、ただいま知事から十分お聞かせをいただいたわけであります。和歌山県の農林水産部耕地課の中に、小崎専門官、あるいは若い米沢君、中村君という、先端で仕事をしている方の御意見を聞き、その苦労のほどに感心をさせられたわけであります。また、それと関係する和歌山県土木部監理課の、何とか耕地課の悩みを一緒になって解決していこうとするその姿勢にも感心をさせられました。しかしながら、これらの問題はこの二つのところの苦労では解決しない、そういうものが多いと思うのであります。地籍調査の苦労を担当官だけの苦労にせずに、我が県庁全体の問題として取り上げていただきたい。このことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時十二分散会

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