平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浜本 収議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第百三十一号から議案第百四十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 三点にわたって質問をいたします。
 その一つは、串本町を中心にする土木行政なかんずく談合の問題についてであります。その二つは、南紀白浜新空港の用地買収にかかわる問題であります。三つ目には、田辺湾リゾート構想、その一視点、住民の合意をどうするかという、この三つに限って質問をいたします。
 既に新聞紙上を通じて何回か報道されました、串本町内における土木業者間における生コン供給ストップに端を発した、いわゆる談合問題について質問をいたします。
 その原因の第一は、十月四日、串本町建設課による町道浪の浦浜通線災害復旧工事の入札、その第二は、十月五日、和歌山県勝浦漁港事務所による串本漁港改修工事の入札に絡むものであります。
 串本町地区建設業者は、指名競争入札日の前日には串本地区土木協同組合事務所に集まり、工事ごとに希望者を募り、希望者が複数にわたる場合には抽選により組み合わせてトーナメント方式で話し合いを進行させ、話し合いが最終的に二人ないし少人数に絞られるが、話し合いが決着困難または決着のつかないときは、同業者九人で構成する調整委員会の調整に付して決定するという仕組みをとっているが、この二件──先ほど申し上げた二つの工事箇所のことでありますが──については、そのいずれもが調整委員会の裁定に従わず、入札に参加した三業者に対し串本地区土木協同組合と生コン協同組合の一部幹部が工事用の生コン供給をストップするという前近代的な制裁措置に出たために、三業者は人権侵害、名誉棄損、威力妨害、独占禁止法に違反する行為であるとして、十月二十一日、公正取引委員会大阪事務所に提訴に及んだものであります。これを受けた公正取引委員会は、十月三十日、三十一日、十一月一日と現地に入り、これが事情聴取に及んでいるところであります。
 また、去る十一月四日の串本町議会全員協議会におきましては、先ほど述べた調整委員会での話し合いは談合ではないか、一カ月近くも生コンがとまり、町の公共事業に支障を来しているではないか、工期が間に合わないではないかといった意見、また、初めから談合で契約相手がわかっているのなら競争入札するなど意味がないではないか等々、議論が百出したのでありますが、さらに三業者は串本町長に対し、「生コンをとめた関係業者に対しては厳重注意をするとともに、今後このような社会通念上許されない行為をした業者には指名停止の毅然とした態度で臨むこと」と申し入れたところであります。
 以上の概要に立って、次の諸点について土木部長、農林水産部長、総括的に知事に質問をいたします。
 一つ。町当局は、金銭の授受がない談合はいわゆる刑事問題になる談合には当たらないと言明しているが、公正取引委員会広報課によれば、「談合は独禁法第三条と第八条の『不当な取引制限』すなわち『事業者が他の事業者と対価を決定するなどし、公共の利益に反し、競争を制限する』に当たり、金銭の授受のあるなしは関係なし」としているが、串本町における土木業界のいわゆる調整委員会による調整行為は談合ではないかと私は思うが、県の見解を示されたいのであります。
 二つ。串本漁港改修工事をめぐる談合についての一時間十五分に及ぶ生々しい録音テープの一部、すなわち談合の始まりからその調整、落札業者決定までの業者のやりとりが新聞紙上を通じて明らかにされているが、参考までにその一部を紹介いたします。
 「調整の言うことを聞かず、たたいたら──自由競争入札をするということです──どうするのか」、「それは、個人対全業者の形になる」──個人に対してみんなが「いじめる」というか、そういう形になる。「組合の意向に逆らって単独でいくなら、それは結構。わしら、あえて生コン業者に『売るな』とは言わないが、売った場合はその業者と取引停止をする」、「わしは串本の漁港工事一本ももらえない。仕事がないからといって横取りはできない。これが業者のおきてだ」、「土建屋の世界は縄張りがあって、力のない者は幾らいってもだめだ」。
 こんな言い合いが続き、調整委員会は採決の結果、七対一でA社に決め、その後、A・C両社を呼び、会社の継続事業の実績を理由にA社に決定した。「こっちは、失礼やけど、たたかせてもらいます」として、C社はこの決定には従えないことを主張。
 かくて、十月五日午後一時半、午前中のこの二日間にわたる談合を終えて十三業者参加のもと──うち十業者は形式的参加ということでありますが──競争入札となったが、この入札に当たり、勝浦漁港事務所の二人の担当者が、業者が金額を記入した札と制限価格を記入した敷札を照合した後、「しばらくお待ちください」と言って結果を発表せずに退席。約十五分後に戻ってきたが、また退席。五分後に戻ってきて、「A社が二千七百三十五万円で落札」と発表したが、何のために行ったり来たりしたのか、その間どこで何をしていたのか、答えられたいのであります。
 なお、地方自治法施行令を持ち出すまでもないことだが、かかる入札では、不正がないようその場で直ちに結果発表をするのが鉄則だが、これについての見解をただすものであります。答弁によって、私はこのことをさらに解明してまいりたいと思います。
 三つ目。新聞記事によれば、勝浦漁港事務所長は担当者の退席について「これまでの入札で失格者が出たケースがなく、失格者の発表をどうするか迷って退席した」と弁明しているが、失格者が出たケースがなかったというのはなぜか。今まで一回もなかったんだということを新聞社の方々に報告をしておりますが、それはなぜか。
 四つ目。昭和六十年度以降、串本町内の漁港改修、修築、局部改良工事入札は今回の入札を含め二十五回。うち一部を除いて二十の工事はすべてA社が落札しているが、その工事総額はほぼ十七億であります。さらに漁港事務所長は、「この間(六十年度以降)失格者がなくA社が独占的に落札してきたことを不思議に思ったら仕事ができない」と言っているが、不思議に思うのが当たり前だと私は思う。何のためにそんな弁明をしているのか、あわせてお聞きしたいのであります。
 五つ目。十一月一日、公正取引委員会が同事務所で事情聴取を行った直後、漁港事務所長が落札したA社に、勝浦からわざわざ串本へ「談合の事実を確認したかったので訪れた」とし、「A社は『談合ではなく調整だ』と言っているので、今のところ調査する予定はない」と言明しているが、これだけ大きな問題になっているときにA社を訪ねたり、また相手の言い分をすべて是認する発表をしたりするこの行政態度について、その見解をただしておくものであります。
 六つ目。また、同所長は「談合があったとしても、私がどうこうするの問題でなく、県がそれなりの制裁をするだろう」と言明しているが、「県」とは一体だれか。知事を指すのか。だれを指すのか。現地の責任者は、かかる第三者的な態度であってはならないことはもちろん、体を張っておのれの責任で対応すべしと私は思うが、どうだろうか、あわせて答えられたいのであります。
 以上、数点にわたって具体的な質問を行ったが、この件に限って言うならば、土建業界と県土木行政のなれ合い、緩みといった感を私は持つが、この際、県の毅然たる土木行政への姿勢を明らかにされたいのであります。知事の総括的な見解を求める次第であります。
 次に、南紀白浜空港について御質問をいたします。
 平成二年度政府予算等に関する県の要望書は、南紀白浜空港の平成六年四月のジェット化整備完了に向かって、その大幅なる予算措置に特段の配慮をされたいとしているところであるが、御承知のように、南紀白浜新空港整備計画は、空港用地面積百五ヘクタール、うち民有地七十・四ヘクタール、国・県・町有地三十四・六ヘクタール、地権者百六名、うち県内五十八名、県外四十八名、物件補償対象六十件であります。
 全体面積百五ヘクタールのうち買収必要面積は七十四・六ヘクタールで、民有地は七十・四ヘクタールを占めているが、用地補償費の年度別計画とその実績は、六十三年度で十四・四ヘクタールの計画面積に対してその実績面積は八・一%の五・七二ヘクタール、また平成元年度で三十・五六ヘクタールの計画面積に対してその実績面積は一一・九%の二・六六ヘクタールであり、用地買収の進捗状況は全体の一割にすぎません。
 この用地買収の対象である民有地七十・四ヘクタールはほぼ五種類に分類されるが、まず第一に、七十・四ヘクタールの六割を占める民有地の用地買収を完結させることが先決として関係者は鋭意取り組んでいるところであるが、六割を占めるこの用地は田辺市の三者とK不動産会社であり、その中に六十二年四月に七億五千万──「六十二年四月」と言えば、空港があそこになったと決まったその四月です──で買収した土地が、今では諸般の事情から十五億と町の中で公然たる議論として取りざたされており、白浜町当局並びに町議会においてもこれが対策に苦慮しているところであります。
 その第二点は、対象地の中にモーテルの所有者があり、その方々がすべてに応じてくれるにしても、代替地を商業地域に求め、一戸建て形式をとらなければならないという必要条件は当然であります。
 三つ目には、空港周辺の対象地内における鴨居地区の農業者のための花卉団地移転先の問題があります。この花卉団地移転については、二年間の継続事業として既に三億八千万の予算措置がなされており、今、白浜町当局、町議会ともども懸命の取り組みを行っているところでありますが、住民の合意、納得はまだ得られていない現状であります。
 さらに、県の地価公示価格を示して県外の土地所有者に懸命の交渉を続ける中で、「もう来てくれなくてもええよ。そんな地価価格、何のために持ってきたんな。もうええよ。皆終わってから来てよ」と、県外へ行くとそういう話がはね返ってくる。そして、もう師走のころともなれば、オーバーの襟を立てながら寂しく帰ってくる。「そんな土地の値段あかんわ。何しに来たんな、あんたら。御苦労やのう。もう来いでもええよ」、こういうことを言われるということであり、全体として用地買収は一進一退の状況にあります。
 詳細は省略するけれども、今ざっと述べたこれらの現状と県が把握している現状をどう打開していくのか、県の確固たる指針を求めるものであります。
 あと一つで終わります。
 当議場を通じ、再三にわたって質問を行ってきました、田辺市における丸紅によるリゾート開発計画について、私は過去のそれを踏まえ、質問を三たびいたします。
 御承知のように、このリゾート計画は、昨年八月、田辺市、県、丸紅の三者によって一千億を投じて行うと発表され、また一年後の本年八月には二千億を投入すると発表されたものであります。
 私は、さきの九月県議会において、特に該当地の内ノ浦地区、鳥の巣地区の住民が、だれよりもこのリゾート構想の意義や、先祖代々から守ってきたこの土地を手放してもいいのだという確信を持たない限り、企業や行政が幾ら力説しても、それは主客転倒ではないかと都度指摘したところであるが、「リゾート開発に暗雲」、「地元反対ののろし第二弾」と報じられた記事を見て、びっくりしたのであります。
 その第一弾は、地元田辺市新庄町鳥の巣十四戸、四十一名の住民は、昨年の十一月、田辺市長に対し、「地元住民の同意がないまま発表された」として、その反対理由を挙げ、要望書を提出していたのでありますが、今回、二度目の要望書となったのであります。
 一年たって十一月十四日、住民の代表は「一年前の十一月十五日、この開発中止の要望を出し、もう計画は進まないと思っていた。しかし、田辺市からその後も協力要請が続いたので」とし、その内容は、「地元住民の同意のないまま公表し、田辺市の活性化とはいえ、一、土地を失い、住民の暮らしが崩壊する。二、開発により自然が破壊され、著しく景観が破壊される。三、開発による土砂の流出により海の汚染が進行する」とし、いかなる交渉にも応じないという態度を示しているのであります。
 ちなみに、この署名者は鳥の巣地区十一戸、内ノ浦地区三戸、計十四戸、四十一人で、特に鳥の巣地区のリゾート計画地に農地、山林などを所有するのは十戸で、計画地の約七割の用地所有者であります。
 これに対し田辺市長は、「田辺市はリゾート開発で新しい町づくりを目指す」として、その必要性、その隘路等々について見識ある理念を開陳しているところであるが、民間を主体とするこの種リゾート開発事業にあっては、やれ一千億や、今度は二千億つぎ込む──また来年になると三千億と言い出すかもわからん──とか、ヨット千五百隻を浮かべるのだとか、また、聞きなれぬ横文字、フランス語を使ったマンションをたくさんつくるのだと並べ立てたところで、該当地の住民との話し合いを先行し、公表した場合には既に大方の合意形成が得られるという状況をつくらない限り、成功することは極めて困難だと私は断言してはばからない。今のままでは必ずつぶれるということを私は公言してはばからないのであります。
 素朴な表現をするならば、第一、他人の住んでいる土地を、一方的に買うのだとか、買ってそこへテニスコートをつくるんだとか、これは大変失礼な話である。知事の官舎のところへテニスコートをつくるんや、あそこはええとこやと、そんなことをそちらの了解もなしに勝手に発表している、これが今のやり方であります。
 また、企業が希望を述べること、これは全く自由である。しかし、本当にその希望を達成したいのならば、発表以前に必要な静かな話し合いを何回も行い、謙虚な依頼を先行させ、その合意に立って実行すべきものと私は思う。また、それらの発表によって付近周辺の地価高騰を促進する役割──白浜町にも、先ほど述べた空港にもかなり影響がある。そういうできもせんことをぽんぽん勝手に発表する。そうして地価高騰をあふっている。そういう現状をどう判断されるのか。
 大変次元の低い、荒くたい質問になったことをおわびをいたしながら、しかしながら、現実はもっとどろどろとした厳しいものであることに思いをいたし、あえて部長の見解を問うものであります。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 串本の県工事等の入札に対する県の姿勢についてでございます。
 県などの公共事業の入札に参加する全建設業者が関係法令を遵守する、これは当然のことだと存じておるわけでございます。
 しかしながら、先ほど御指摘ございました串本漁港改修工事の執行について問題が提起されておるということは、まことに遺憾であると存じておるわけでございます。業界みずからがその使命を自覚し、襟を正されることは望むところでございますし、今回の入札執行について、お話ございました点について詳細は担当部長から答弁申し上げますけれども、県としては、県工事の発注については、当然のことながら、さらに一層厳正な入札執行に努めてまいる考えでございます。
 白浜空港、リゾート等については担当部長から答弁させます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、串本町における土木業者の調整行為についての見解でございます。
 刑法上のいわゆる談合罪と独占禁止法の私的独占または不当な取引制限の規定について、議員御質問の調整行為がそれぞれの法律に違反するかどうかは、公正取引委員会等、関係機関によるべきところであると考えます。
 県としては、公正で公平な入札を執行する意味からも、去る十一月十七日付で、串本地区土木協同組合に対し、文書による警告を行ったところであります。
 いずれにしても、現在提訴中であり、公取委より談合であるとの判断が出た場合には、関係者に対し、指名停止等、厳正な処分で臨む所存であります。
 次に南紀新空港建設事業につきましては、県政の重要施策であり、土木部としても積極的な取り組みをしているところであります。
 この事業の促進については、去る十一月十七日、白浜町において新空港建設促進議員連盟主催の空港建設促進の集いが開催され、まことに心強く存じているところであります。県としても、早期開港に向けさらに一層の努力をしてまいります。
 本事業は昭和六十三年度から事業化し、以来用地買収に取り組んでまいり、現在までの状況は、百六名の地権者のうち三十一名の方から、また買収面積は八・七ヘクタールで、買収予定の一一・六%の実績でございます。
 用地交渉に当たっては、県内外地権者、モーテル所有者等の対応について、関係機関と一体となって種々検討を重ねて取り組んできたところであり、今後とも粘り強く交渉に当たってまいる所存であります。
 また、花卉団地移転については、新空港建設に関連して計画されたものであり、関係部局との調整を図るなどして、花卉団地事業の具体化に向け、支援をしてまいりたいと考えております。
 なお、用地の取得に当たり、今後とも一層精力的に交渉を進めてまいる所存であります。今後とも、何分の御支援をお願いいたします。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 入札中の担当者の離席・退席の問題でございます。
 十月五日の漁港事務所での入札において失格者が出ましたので、その結果の発表方法について、当該失格者だけにわかるように通告すべきなのか、その場で参加者全員にわかるように通告すべきなのか、事務的に確認をするために、入札担当職員二人のうち一人が入札会場に残り、もう一人が漁港事務所長にその指導を得るため退席すなわち離席をしたものでございます。しかし、当日はあいにく所長が病気欠勤をしておりましたために、電話連絡等に若干の時間を要したものでございます。なお、入札会場に残った一人の担当職員は、入札書、予定価格表等、関係書類一切は厳重に保管管理をしておりました。
 いずれにしても、事務処理上の不手際で関係者に誤解を招いたことについてはまことに遺憾であると存じてございます。
 次に、入札で失格者が出ないことについて不思議と思わないのかということでございますが、これまでの入札で失格者が出なかったことは、入札参加者が適正な見積もりを行ったものと判断しております。
 次に、記者の取材を受けたときの漁港事務所長の「A社が独占的に落札したことを不思議に思っていたら仕事にならない」云々という発言の真意でございますけれども、おのおのの入札に関しては正常に行われていると考えているということを申し上げたかったものでございます。
 次に、漁港事務所長がA社を訪問したのは、十一月一日付の新聞記事の中で串本漁港改修工事の件が触れられておりましたので、状況把握のためにA社を訪問したものでございます。
 勝浦漁港事務所長の業者への制裁云々の発言についてでございますが、所長としての責任を回避しようとしたものではなく、仮に談合があったとしても、現場の一漁港事務所長の判断や権限で行えるものではないということを申し上げたかったものでございまして、これが真意でございます。
 いずれにせよ、記者のインタビューに対してもう少し慎重な発言をすべきではなかったかというふうに思っております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 田辺湾総合リゾート計画についてでございます。
 この開発計画は、紀南地域活性化の重要施策であると考えてございます。リゾート整備の核となるプロジェクトであり、また、これまでにない大規模かつ長期的な事業でございます。
 このため、地元住民の皆様にとっては大きな期待を抱かせるとともに、また不安もあり、さまざまな御意見があるのは当然のことと思います。リゾート整備の推進においては、こうした地元の皆様、すなわちその地域で生活する人々の立場に立って、生活環境の保全や向上、地域産業、文化の発展などに十分な配慮がなされ、将来の生活設計に貢献し、親しまれるものとすることが最も重要なことだと考えてございます。
 いずれにしても、計画の推進等には地元の方々の合意が必要不可欠でございます。こうした要望について、計画の進め方、内容等、十分な検討を行い、田辺市において関係の方々とより一層話し合いを進め、合意を得るよう努力をしたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 私の質問が数点にわたった関係で、答えられたのが何か事務的な感じがしたような、そういう答弁に終始しているようであります。したがって、今の答弁に関係してもう一遍、幾つかを質問してみたいと思います。
 昨年、ここの話ではないんですけれども、例のリクルートの事件に関しまして、楢崎代議士がビデオの公表を行い、それが本問題の大きな導火線になったことは今なお記憶に新しいところであります。それほどの大きな問題ではないにしても、残念ながら「調整」という名の談合を裏づける録音テープがございます。私もそれを聞かしてもらいました。そして、そのコピーを全部入手してございます。既に、公正取引委員会にもこの録音テープを付しての調査ということに相なっております。そして、幾つかの現地の新聞記者の皆さん方も公然とそれを入手した。録音テープはこれだと、録音の機械まで写しておる新聞社も幾つかございました。
 そんな中で、県の土木部として「今、公正取引委員会に預けたままだから、その見解を待って私どもは対処していきたい」というのは、いわば行政をどうただしていくかという態度にいささか欠けているのではないかという気がしてならないのであります。
 だから、公正取引委員会でそういうことがあろうがなかろうが、こういう問題が起こったときには直ちに現地に飛んで、そして現地の業者、関係の人々を集めて、こういうことがあったんか、これはどういうことなと、そういう立場に立って県独自の調査をすべきであるということを私は強く要求して、そのことをするのかどうか、再質問といたします。
 二つ目には、農林水産部長が勝浦漁港事務所長の新聞記者会見その他談話について、いわば弁明をして、上司としてそれを保護するというか、そういう立場に立っての説明に終始しておりますけれども、私が幾つか触れたそれらの談話の一つ一つが、ことごとく、どこかピントが狂っているというように思えてならないのであります。
 主観的には、県の職員である皆さん方は一生懸命職務に励んでおられるということは私もそう思います。しかし、長い間の惰性というか、あるいはつくられた慣習というか──大体、おかしいでしょう。二十件ある漁港の工事の全部をある会社だけがやる。先ほどから「名前を言え」と言っていますけれども。三年間で二十件、全部一社だけがやっていく。こんなことは普通考えられない。これは私の勘ぐりですが、ひょっとしたら額も知ってるのと違うかと。入札の額も知っていて、手打ち式もちゃんと済んで、あしたの入札はこうやと。ところが、たまたま今度は革命児が出て、どないもできんようになってしまった。そういうことではないかなと、普通の者だったらそう考えるんです。
 そういう惰性というか長い慣習というか、そんな流れの中で、末端における土木行政あるいは漁港のそういう入札に絡む行政は弛緩しているんではないか。この談話とか、この間から串本に直接行ったり、いろいろの賛成者、反対者の意見も聞く中で、そういう弛緩の実態があるのではないかということを私は見るのであります。せっかくの答弁にもかかわらず、あえて意見を述べ、今後かかることがあってはならないということを強く要求しておくものであります。要望にとどめたいと思います。
 現場の所長がこういう問題を判断するものではないと言われたが、だれが判断するかという質問、「それは知事がするのか。農林水産部長、ひょっとしたらもうちょっと下の課長さんか」と、正確ではありませんが、さっきそこで質問申し上げたことについて、もう一度答弁を願いたいと思います。
 それと同時に、どうも所長と農林水産部長の答弁は──私はやっぱり、和歌山県というこれだけ大きな機構、その頂点に知事がおる。そして漁港事務所長がおる。そして、そこで今のようなことがある。別に知事をかばうんではないが、知事がそんなこと一々知っているわけがない。後で聞くだけの話。現地に派遣しているということは、現地の司令官でなければならない。現地に勤務している人々は、上司の皆さんを煩わすことなく、自分が体を張ってそのことに対処する、これが私は公務員の厳正なる立場であらねばならないと思う。
 「それは、わしらよう判断せんけど、だれかするやろう」──こんな態度であっては知事が十人ほど必要や。問題を起こすごとに「それは知事さんがするやろう」、「だれかするやろう。わしら、あんまり関係ないんや」と。──「関係ない」とは言わないが、そのようにしか思えないから、このことについてもう一度答弁をされたいのであります。
 商工労働部長、そつのない御答弁、大変ありがとうございます。実は、ありがたくないのであります。
 私は、先ほど申し上げたとおり、この田辺湾リゾート問題については三度目の質問であり、その都度、優等生の答弁をいただきました。問題はしかし、そういういわば字面でのやりとり、字だけの美しい言葉で「住民の要求にこたえ、そういう合意の上に立って私ども県が督励してまいります」と、こんなことを幾ら言うてもだめや。問題は、実践的な答弁が欲しいのであります。
 あなたは、そういった現地に行ったことがあるか。鳥の巣へ行ったことがあるか。私は行っております。そして、そういう人々の意見を聞いた。「まあ聞いてよ。勝手やないか。わしの土地や。金持ちか何か知らんけど、その人らがそこへテニスコートつくるんや、何をつくるんやと、勝手なこと言うな。大体そのことが気に食わない」、そういうことを皆さんが申し上げている。そういう前提を踏んだ上での話し合い、そのことも今はないんです。そして今ごろになって、どうだとかこうだとかそんなこと言うてる。
 だから、私はここであえて再質問をいたしますが、住民の合意というのは一体何なのか。住民の知らない間に勝手に、県であろうが市であろうが、まして業者であろうが、住民の知らない間にどこへ何するというようなことを──人の住んでないところやったらいいですよ。無人島へ何かをする、これは結構であります。関係法令に照らし合わせてそれが合法的であったらそれでいい。しかし、人の住んでいるところで、住民の知らないままに勝手に何かを発表する、公表するというようなことは今後一切あってはならないし、そういうことをする場合は、直ちに県が見届けて中止命令を出すべき。勝手にそんなことを発表してはだめと、中止命令を出せということを私は──この問題について今せよと言うんじゃなくて、今後そういうことが起こった場合に必ず中止命令を出せということ。人の知らん間に、人の土地へテニスコートをつくるんだ、何をつくるんだというようなことを、しかも麗々しく二千億が三千億、もうじき五千億ぐらいになると思う。そしてそのあたりの土地の値段をばんばん上げることの役立ちしかしていない。このことについて答えよとは言わないが、今申し上げた視点について検討を約束するということを答弁されたいのであります。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 談合のことについてお答えいたします。
 県としては、かねてから談合予防等の見地に立ち、入札回数の見直し、あるいは入札の経緯、最終結果の公表などを行ってきております。
 県への入札参加者に対する業者への対応についても、県内土木事務所単位で開催する入札参加説明会等の場での意識づけや、機会あるごとに、県の建設業協会を初め各建設業者団体に対する通達等を通じて行っているところであります。
 今回のこの串本漁港改修工事の執行に伴う疑惑については、既に公正取引委員会に指名業者の一部が提訴をしたため発覚した問題でありまして、この件については最終的な判断は公取委の結果を待たざるを得ない状況であります。
 そういうことでございますが、公正で公平な入札を執行する意味からも、先ほど申し上げたように、県としては十一月十七日付で串本地区の土木協同組合あてに文書による警告を行ったところでありますし、また同じ日付で県内各建設業協会あてにも注意を喚起する通達文を発送しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 明らかに談合があった場合には、和歌山県の請負工事の指名審査委員会においてその処分を決めることになってございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) ただいまの、今後の問題ということでございます。
 今後のそういう計画等については、先生の言われる趣旨に沿って十分検討させていただきます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「あるけど、なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、浜本収君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ