平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(那須秀雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後二時五十四分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 後、いろいろ御予定があるそうでございますから、極めて簡潔に一般質問を行いたいと思います。
 きょうも、もう三回目でございますが、プロ野球キャンプを県内に誘致してはどうかということについて質問をいたします。
 一回目は、南海ホークスが田辺へ帰ってくるような手だてをしてほしいという質問をいたしました。二回目は、グリーンピア南紀を充実して、あそこへプロ野球のキャンプを誘致してはどうかという提言をさしていただきました。今度は、さらに具体性、実現性を帯びたことを言わんと、いつまでも同じことじゃないかと言われるので、かなり突っ込んだ質問で誘致談義を行いたいと思います。
 昨年、グリーンピア南紀の施設を充実してプロ球団の誘致に乗り出してはどうかという提言をいたしましたが、福祉事業団等、国との協議やその他で、早急な施設の充実が困難であるように漏れ承り、二年や三年では物にならんのではないかとの感触を持つものであります。経済の流れやテンポの速い今日、四年も五年も先の話より、この種の問題は、現実にできることから始めようと考えるのが常識であります。
 そこできょうは、過去において八年間、南海ホークスがキャンプを張った実績を持つ、さらにそのときの施設が今日もその形をとどめている田辺市に限定して話を進めたいと思います。
 田辺市では、市長を先頭に、市当局も民間も、プロ野球のキャンプ再誘致をインパクトとして活性化の一翼たらしめようと大変熱心であります。既に某球団と接触を図り、球団としても数回に及ぶ調査を開始したと聞き及んでおります。こういう実態ではございますが、現在地の存続運動もかなり激しくやっておるそうであります。また、そのほかにも数カ所の立候補もある中で、実現への道のりになお困難が横たわっていることが予想されるのであります。
 田辺市では、商工会議所、観光協会も誘致運動に乗り出す構えであります。県としても、傍観者の立場でいるべきではないと思うのであります。知事として、この誘致運動の牽引車となって積極的に参画されたいと思いますが、いかがでございましょうか、まずお伺いをさしていただきたいと思います。
 さて、私は、この誘致運動を進める中で、複数の球団関係者の話を聞いてまいったのであります。プロ野球のキャンプと一概に申しましても、すべての条件を満たすキャンプ地はなかなかないそうであります。例えば二月は、沖縄は本州より平均十度も温度が高いそうであります。ところが、この時期、沖縄は、本州より一足早い菜種梅雨になり、それこそ運を天に任せるキャンプになるそうであります。それでは雨のないアメリカ西海岸はいいじゃないかということで、幾つかの球団が西海岸にキャンプを張っております。気象条件は、もう言うことないそうであります。ところが、アリメカにも二十八のメジャーリーグの球団があり、この球団のキャンプが始まるとグラウンドを追い出される。まさに広い原っぱで、それこそ荒野の決闘のごときキャンプになるそうであります。
 さて、今、プロ野球キャンプ地のある静岡県草薙球場を初め、高知、宮崎、あるいは最近千葉県も誘致に乗り出したそうでありますが、それらと南紀と気象条件を比べてみると、大きな変わりはないのであります。そうなりますと、勢い、キャンプの立地条件は、施設、設備の充実にかかるわけであります。この設備についても、雨の日でもバッティングのできる雨天練習場が最低条件だと言われています。これら設備、宿泊等の条件の闘いになるわけでございます。
 かつて南海の野村監督は、田辺の施設は非常によい方だと言われたのでありますが、既にそのときから十数年もたっておるのであります。今日のキャンプ地としての施設を充足させるためには、かなりな整備費が必要となりますが、すべて当該自治体で賄えというのか、あるいはその重要性にかんがみ、県としてその一端を担っていただける気持ちがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
 通常、プロ球団のキャンプは、常時百十名前後のスタッフが必要だと言われております。加えて、大手スポーツ新聞六社、一般大新聞、テレビ・ラジオ等を含めて、これまた常時百五十名から二百名の報道陣が、端境期である二月、二十八日間常泊するわけでありますから、地域経済にとってもいささか活性化の役割を果たすでしょうし、また毎日毎日、「和歌山県田辺」「紀伊田辺」という活字が出るわけであります。
 ちなみに関西では、「田辺」と言うたら、「紀州の田辺、いいとこやのう」と、皆さん言ってくれます。関東へ言って「田辺」と言うたら、「あんたとこも、橋できて便利になったですね」と。四国と間違えている。あるいは「滋賀県ですか。京都ですか」と、なかなか田辺と言ってもわかってくれません。「白浜のはたや」「ああ、そうか。白浜やったら一遍行ったことがある」、こういうことであります。京都にも田辺町がある。大阪にも田辺という地名がある。したがって、「田辺」と出ないで「紀伊田辺」「和歌山田辺」というふうに出るわけですから、田辺は和歌山県の一翼を担えるのではないかと思うわけであります。
 したがって、観光立県にかける本県としては、プロのキャンプなんかと言わずに、これこそ力こぶを入れて誘致に邁進すべきであると思うのであります。特にリゾート立地に活路を見出そうとする南紀にとって、また観光地南紀にとっても、全国へただでアピールできる最も得策であると考えるがいかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さて、この問題の最後でございます。プロ野球のキャンプ立地によるメリットをくどくどと申してまいりましたが、本当のメリットは、プロのキャンプが来るんだということをインパクトに、紀南に、田辺地方に、県民総体でも開催できる総合運動場をつくろうではないかという機運が盛り上がってくることであります。
 今、県下第二と言われておりますが、田辺地方には「県営」と呼ばれるスポーツの施設は何もないわけであります。前にも一般質問でお願いを申し上げたことがございます。当時の中川教育長は亡くなられましたが、そのときには高垣教育長はこっちで聞いておられたように思います。高校野球の県予選は隔年ぐらいに田辺で持っていただいたらどうだという提言を申し上げました。そのときには、箕島高校初め新宮に至るまで各高野連の皆さんから、「頑張れ」という激励の声がございましたが、その後、とんと話が進んだということは承っておりません。このままでいくとさらに一極集中が進み、多極分散型すなわち均衡ある県土の発展は、スポーツ施設に限り、望めそうもないのであります。
 幸い田辺では、黒潮国体のおかげで野球場はそこそこ設備が整っておりますが、その他の競技場の施設に乏しいのであります。南部から田辺、白浜、上富田を含む田辺広域圏の中で、都市公園法等の適用をしながらスポーツゾーンの造成に取り組むべきだと思うのでありますが、土木部長、企画部長あたりによい知恵がないか、一遍聞かしていただきたいと思います。
 毎年行われておる県民総合体育大会とても、時には紀南で開催できるよう施設を充実しなければ南紀の県民は行政疎外感を助長することになりはしないか、心配するものでございます。当局のよい知恵を聞かせていただきたいと思います。
 次に、南紀広域農道の問題でございます。
 南紀広域農道は、農林水産部当局の大変な御努力により、ほとんど一〇〇%完成を遂げられておるのであります。この農道の施工により、私どもの住む三栖地区内は、幹線道路が大きく様相を一変したのは言うに及ばないことでございます。さらに、上野、中辺路への通行時間も大幅に短縮され、各地区間の連絡道路として、特に幾つかの谷に分かれた田辺市の中間地帯を結ぶ道路として、その機能を十分発揮しておるのであります。改めて関係者の努力に感謝を申し上げたいと思いますが、ただ一点、大規模農道・救馬線については、私も納得ができないし、県民もひとしく合点のいかないものであります。
 もともと、この地の開発には、亡くなられた当時の牟婁町長・東海良圓さんが極めて熱心であられました。当時の上富田町長・山本万米さんとともに、「この谷に道をつくって上富田町と牟婁町を結ぼうではないか。きっといいところになるぞ」と話し合われて調査をし、これまた今は亡き大江先生、町田先生の熱心な働きによって実現したものであります。言いかえるならば、東海良圓さん最後の夢であり、町田、大江両先生の汗の結晶なのであります。まさに道路は貫通し、朝来─三栖間は五分とかからないのであります。その上、沿線は開発され、西牟婁森林組合の木材市場が立地し、田辺市が開発した企業団地も一〇〇%完売され、紀南地方の重要な地場産業である梅加工のメッカとして生まれ変わろうとしておるのであります。
 上富田町が県の開発公社に委託して開発中の企業団地も、またこの沿線であります。田辺から熊野高校に通う通学道路でもあります。さらに、国道三百十一号線の改修に伴い、三百十一号から田辺バイパスを結ぶ連絡道路として需要は日に増して増大しつつあるのであります。ということは、この路線を決定し、完成させた行政に誤りはなかったということであります。ところが、こうして交通の需要が増大すれば増大するほど、あの間三百メートルの未舗装、未解決の区間が県民の目に触れ、県民の疑惑を生み、行政への不信を募らせる結果になるのであります。
 先般、熊野高校の校内マラソン大会がこの路線で行われました。その後で、何人もの生徒たちが私にこういう疑問をぶつけてきたのであります。「おいやん、あの道、なぜあのままほっておくんなよ。もう何年になるんなよ」という、極めて素朴な質問が純真な生徒たちからぶつけられたのであります。この疑問に一体何と答えたらよいのでしょうか。
 私は、昨年九月議会の一般質問で、この問題を要望いたしました。そのときには、「解決のめどがついているから、何とか質問せんと要望にとどめてほしい」ということでございましたから、私は素直に要望にとどめておきました。そして、県民の皆さんの疑問には、「もうちょって待て」と言って一寸ずりでやってきたのでありますが、あれから一年三カ月たちました。その間、ナシのつぶてでございます。何とか納得のいく説明がないと、この際、県民を説得させることはできないのではないでしょうか。今度ははっきりと答弁を求めたいと思います。
 私は、この問題解決のネックは一体那辺にあるのかということをかなり突っ込んで調査をいたしております。当該物件に対して三つの金融機関が融資をしておる。これは、広く県民の知るところであります。かつて、私も信用業務に携わってまいりました。その私の、あくまでも主観をもって言わせていただくならば、この融資の金額は常識から言ってもらち外だと思います。そして、その債権の保全については、甚だ疑問に思う点もあるのでございます。
 この論議については他日に譲りたいと思いますが、県と特に密接な関係にある金融機関であることは事実であります。また、この問題解決の重要なキーを握るのはこの銀行であり、信用組合であることも事実であります。この方々は、一体、県行政に対する協力の姿勢が旺盛なのかどうなのか、あるいは県からの協力要請がなされていないのかどうか。民法との関係もあり、行政指導の限界ということもよくわかった上ではございますが、この銀行や組合が県行政とは無縁ではないということを踏まえてどう対応されるのか、関係当局の見解をお伺いいたしたいと思います。
 約束どおり二十分で終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答え申し上げます。
 プロ野球キャンプの誘致でございます。
 これにつきましては、那須議員もおっしゃいましたように、紀南は気候が温暖なところだからキャンプに非常にいい場所であるし、またスポーツの中でプロ野球というのは一番関心が深いから観光の面でも重要性があるということ、私も同感でございます。
 話ございましたように、今回で三回目でございます。前のグリーンピア南紀につきましては、ミニキャンプ場になるわけでございますが、本年、中日ドラゴンズの主力選手が十二人、十日間来ております。また十一月に、韓国の太平洋ドルフィンズの投手が十人、十四日間、日本IBMから投手が十人、十三日間、また十二月に大阪ガスから三十人、五日間来ているということで、現在利用されておるわけでございます。
 キャンプ場については、屋内練習場等々、非常に施設の充実ということが言われるわけでございまして、先ほど話ございました田辺のキャンプ場については、私、きょう初めて承ったわけでございます。
 地元の熱意、こうした施設をどうするかということが一番大きな問題であり、地元の観光協会がどれほどできるのか、地元市がどれだけできるのかという問題等々があると思います。そうした問題を聞かしていただいて、また各府県の姿勢、市町村が中心になりますけれども、県はどの程度応援をしたらいいのかということについて十分調査してまいりたいと思います。
 私もプロ野球の誘致については賛成でございます。できる範囲のことについての検討をさせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) プロ野球キャンプの誘致についてお答えを申し上げます。
 リゾート整備を進める中で、いつでも、だれでも手軽にできるスポーツ施設の整備が重要であることは認識いたしてございます。その上、議員御提言のプロ野球のキャンプが実現されますと、地域のイメージアップが図られるとともに、地域経済に対する経済波及効果も予想され、地域としては大変魅力のあるテーマであると存じているところでございます。
 しかしながら、プロ野球球団が春季キャンプを張るに際しまして、議員御案内のとおり、その一年間の戦力アップにとって大変重要な時期でございますので、キャンプ地に求める気象等の自然条件やグラウンド、雨天練習場等の施設整備に対する要求は大変質の高いものがあろうと考えられます。また同時に、受け入れする地元の熱意が極めて大きいウエートを占めるとも聞いてございます。
 議員のお話にもございました南海ホークスの田辺キャンプの経験も踏まえ、先ほどの知事答弁のとおり、こうしたプロ野球誘致に対し、全国的な誘致合戦の中で、今、何が課題か、何が必要な条件か等々について整理し、多方面から検討する必要があろうと考える次第でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 議員御提言のプロ野球キャンプ地整備及び都市公園法の関係についてお答えいたします。
 御承知のとおり、都市公園法に基づき設置される運動公園は、都市住民全体のスポーツレクリエーションの場として、市町村の都市計画に基づいて設置されるものでございます。したがいまして、日常的な市民のスポーツ活動に支障のない範囲でプロ野球のキャンプ地として公園を利用することも可能かと考えられます。
 議員御提言の構想につきましては、紀南各市町からの具体的なプランの提出があれば、県としてどのような御協力ができるか、市町とともに検討を進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 南紀広域農道の救馬線三百七十五メートルが未舗装になっておるのは、議員御指摘のとおりでございます。
 なぜ、長い間、舗装ができないかということでございます。
 まず、公図の大変な混乱があったわけでございます。田辺市字奥山の四十数筆の土地全体が、この道路用地の買収対象地一筆の中に混乱をした形で内在するというような複雑な公図になっておったわけでございます。こうしたことから土地の分筆が容易にできないということで、所有権者の同意を得て道路工事を始めましたが、舗装する時期と同じような時期に本件用地を含む周辺地域一帯の山林が第三者に次々と権利移転がなされたことにより、事業実施が難航をいたしたものでございます。このため、交通需要の増大する中で地域住民の皆さん方に大変な御迷惑をおかけいたしていることについては申しわけなく、今後、早期に解決できるよう、鋭意努力をしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 広域農道に係る金融機関のうち、信用組合への取り組みでございます。
 商工労働部といたしましては、信用組合の金融機関としての公共性にかんがみ、協同組合による金融事業に関する法律の規定に基づき、金融業務の健全な経営を確保できるよう指導しているところでございます。
 なお、この問題につきましては、従来から関係部局とも連携を保ちながら信用組合の指導等を行ってまいったところでございますが、事態解決に向け、今後より一層適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕
○那須秀雄君 プロ野球の誘致につきましては、全く知事と同意見だと思います。知事も同じ意見で前向きに取り組んでいただくということで、了解をいたしたいと思います。
 ただし、広域農道の問題ですが、あなたは、次々に転売されたと申しましたけれども、その次々に転売されたのが平成元年六月二十九日に移転しているんですよ。それまでに金融機関として何らかの債権保全の手が打たれなかったのかどうか、おかしいじゃないかというのが私の疑問であります。ここができれば、次々に転売されることも防げたんではなかろうか。また、信用組合だけと言いましたが、一番かぎを握っておられる銀行さんは県金庫でございますから、この点では行政の対応というのをもう少し考えてしかるべきではないかということの指摘だけ申し上げたいと思います。
 最後に、お許しをいただき、一言つけ加えさしていただきたいと思います。
 本日は、午前中、古田先生、岡本先生の三十年勤続表彰を初め、多くの先輩議員諸賢が永年勤続表彰を受けられて心温まる思いをいたしました。午後に至りまして、極めて寂しい思いをいたしております。それは、二十数年間、県勢浮揚に情熱を燃やして、その弁舌を振るってこられた貴志議員が、きょうを最後にこの演壇から去られることであります。
 あなたは、青年団の昔から弁舌さわやかで、まさに論客と言われるにふさわしい人でありました。この議場から、論客一人去る寂しさをかみしめながら一般質問をやらしていただきましたが、貴志さんは、次への飛躍の戦いにこまを進められるということであります。立場の異なる私は、塩を贈ることも水を贈ることもできませんが、ともに弓矢持って立つもののふであります。貴志八郎先生のせっかくの御健闘をお祈りいたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時二十七分散会

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