平成元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会十二月定例会会議録 第 二 号
 
 十二月 七日 (木曜日) 午前 十時 十九分 開議
   午後 三時二十七分 散会
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議 事 日 程 第二号
   平成元年十二月七日(木曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第百四十三号から議案第百四十九号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第百三十一号から議案第百四十二号まで及び報第十一号(質疑)
 第三 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第百四十三号から議案第百四十九号まで(知事説明・質疑)
 第二 議案第百三十一号から議案第百四十二号まで及び報第十一号(質疑)
 第三 一般質問
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出 席 議 員(四十六名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田  亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本  一 君
 6 番 宗  正 彦 君
 7 番 岡 本  保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 中 村 裕 一 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本  進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦  武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門  三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森  利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村  博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺  勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(一名)
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口  勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
  岩 崎 正 夫 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  西 本 貫 一 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井  卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時十九分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、全国都道府県議会議長会から永年在職功労者として表彰を受けられました議員に対する記念品の贈呈並びに表彰状の伝達を行うため、このまま暫時休憩いたします。
 午前十時二十分休憩
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 記念品贈呈並びに表彰状伝達式
○事務局長(山本恒男君) ただいまより、全国都道府県議会議長会から永年在職功労者として表彰を受けられました議員に対する記念品の贈呈並びに表彰状伝達の式を行います。
 まず、去る十一月九日、宮崎県で開催されました全国都道府県議会議長会の総会において議員在職三十年以上で表彰を受けられました古田新蔵殿、岡本保殿に対し、記念品の贈呈を行います。
 初めに、古田新蔵殿。
 〔議長から古田新蔵君に記念品を贈呈〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 次に、岡本 保殿。
 〔議長から岡本保君に記念品を贈呈〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 続きまして、議員在職十年以上で表彰を受けられました各議員に全国都道府県議会議長会からの表彰状の伝達を行います。
 浜口矩一殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  浜 口 矩 一 殿
あなたは和歌山県議会議員として在職十年以上に及び地方自治の発展に努力された功績はまことに顕著であります ここに記念品を贈りその功労を表彰します
 平成元年十一月九日
   全国都道府県議会議長会
 〔議長から浜口矩一君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 藤沢弘太郎殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  藤 沢 弘 太 郎 殿
 以下同文です。
 〔議長から藤沢弘太郎君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 宗 正彦殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  宗 正 彦 殿
 以下同文です。
 〔議長から宗正彦君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 中村 博殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  中 村 博 殿
 以下同文です。
 〔議長から中村博君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 中村利男殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  中 村 利 男 殿
 以下同文です。
 〔議長から中村利男君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 浜本 収殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  浜 本 収 殿
 以下同文です。
 〔議長から浜本収君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 中西雄幸殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  中 西 雄 幸 殿
 以下同文です。
 〔議長から中西雄幸君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 橋本 進殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  橋 本 進 殿
 以下同文です。
 〔議長から橋本進君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 中村隆行殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  中 村 隆 行 殿
 以下同文です。
 〔議長から中村隆行君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 木下秀男殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  木 下 秀 男 殿
 以下同文です。
 〔議長から木下秀男君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 町田 亘殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  町 田 亘 殿
 以下同文です。
 〔議長から町田亘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 尾崎吉弘殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  尾 崎 吉 弘 殿
 以下同文です。
 〔議長から尾崎吉弘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 平越孝哉殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  平 越 孝 哉 殿
 以下同文です。
 〔議長から平越孝哉君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) 大江康弘殿。
○議長(門 三佐博君) 
 表 彰 状
  大 江 康 弘 殿
 以下同文です。
 〔議長から大江康弘君に表彰状を伝達〕(拍手)
○事務局長(山本恒男君) なお、平木繁実議員にも在職十年以上で表彰がなされておりますが、本日欠席されておりますので、別途議長から伝達が行われることになっております。
 以上で、記念品の贈呈及び表彰状の伝達が終わりました。
 それでは、次に知事の御祝辞をお願いいたします。
 〔仮谷志良君、登壇〕(拍手)
○知事(仮谷志良君) このたび永年勤続表彰の栄に輝かれました十七名の議員の皆さんに、心からお祝いを申し上げます。
 三十年勤続の表彰を受けられました古田新蔵議員並びに岡本保議員には、長い間、地方自治わけても和歌山県勢発展のために多大の貢献をされました。また、十年勤続の表彰を受けられました浜口矩一議員初め十五名の皆さん、まことにおめでとうございます。
 このたびの受賞は、長年にわたる議員活動の功績に対して贈られたものでございます。今日の和歌山県発展の原動力となられた方ばかりであり、県民を代表して心からお祝いを申し上げますとともに、皆さんを支援していただいた方々のお喜びもさぞかしと存じ、心からお祝いを申し上げる次第でございます。
 また、一度にこんなに多くの皆さんが表彰を受けられましたことは、本県議会の日ごろの地域発展に対する熱意のたまものでございまして、ともにふるさとの発展のために取り組んでいる私としましても、喜びひとしおのものがございます。
 時代の移り変わりのテンポが激しい昨今でございます。人々の価値観も常に変化しております。そうした中で、住民の多様なニーズに十分にこたえながら議員活動を続けていただくことは、並み大抵のことではございません。しかも、政治家には四年に一度の厳しい試練があるわけでございます。そうした試練に打ちかって県政のために努力いただくことは非常にすばらしいことでございまして、また、このことは、人格、識見、手腕、行動がいかにすぐれておられるかということの証左でもあると存ずるのでございます。
 今、国政におきましては、貿易摩擦や税制改革を初め、大きな問題を抱えておりますが、経済の発展とともに我が国の占める地位も非常に重要なものとなっております。本県におきましても、三年余り後に迫った関西国際空港の開港という大きなインパクトを生かして、我が国において、また世界において大きな存在となり得る非常に重要な時期を迎えておるわけでございます。
 どうか、皆さん方におかれましては、健康に御留意をいただき、和歌山県勢の今後の発展のために格段の御尽力を賜りますようお願い申し上げまして、お祝いの言葉にさせていただきます。おめでとうございました。
○事務局長(山本恒男君) 次に、被表彰議員からごあいさつがございます。
 まず、議員在職三十年以上で表彰を受けられました古田新蔵殿。
 〔古田新蔵君、登壇〕(拍手)
○古田新蔵君 一言、御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。
 去る十一月九日、宮崎市において開かれました第九十四回全国都道府県議会議長会におきまして、不肖私が、議員在職三十年に及んだということで表彰をいただきました。全国でその対象者は三十一名でございまして、まことに光栄の至りでございます。
 また本日は、皆様から祝福され、仮谷知事さんからは身に余るお言葉をいただき、ありがとうございました。これは、ひとえに、長い間、何の取り柄もない私を御支援くださった選挙民の温かいお力添えと県当局の皆様、そして同僚各位の御交誼によるものでございまして、改めてここに深く感謝を申し上げる次第でございます。
 さて、今、静かに振り返ってみますと、私の初当選させていただきました昭和三十年ごろは、戦後日も浅く、国民生活はまことに厳しく、加えて昭和二十八年七月の紀中を襲ったあの未曾有の大水害の直後であっただけに、その復旧などで大変な時代でございました。したがって、議会における各議員の発言なども切実な問題ばかりで、こぶしを振り上げ、火を吐くような迫力のある場面も多かったと記憶をいたしております。
 当時の道路は一メートルの舗装もなく、県内視察などは、ジープでほこりまみれになりながら僻地の電話や水道のない村々を見て回るというありさまでございました。あれから三十有余年、今日このように何不自由なき時代を迎え、隔世の感がいたします。
 過ぎにし幾山河、天にも上るほどうれしかった日もあり、また、歌の文句ではないが「泣いて明かした夜もござる」などなど、胸中走馬灯のごとく去来いたします。
 さて、私もいよいよ、読んで字のごとく「古田」──大分古びてまいりました。今後、残された道をどのようにたどり行くかを模索しておる昨今でございますが、ただただ、長い間皆様からいただいたありがたい御恩にお報いせねばと、心にむちうち頑張っているところでございますので、皆様方の一層の御指導をお願い申し上げまして、まことに簡単ですが、御礼のごあいさつといたします。ありがとうございました。
○事務局長(山本恒男君) 次に、同じく議員在職三十年以上で表彰を受けられました岡本 保殿。
 〔岡本 保君、登壇〕(拍手)
○岡本 保君 一言、お礼のごあいさつを申し上げたいと思います。
 ただいま、仮谷知事さんからまことに御丁重な御祝辞をちょうだいいたしまして、心からお礼を申し上げる次第であります。
 古田議員さんのごあいさつもありましたとおり、十一月九日に宮崎市で行われました全国議長会に家内ともども招待を受けまして、三十年の表彰を受け、本当に感激をいたした次第であります。
 振り返ってみますと、私は昭和三十四年に県庁の職員から県会に立候補いたしまして、おかげで当選をさせていただきました。自来今日まで三十有余年の長きにわたり本当に変わらざる御支援をいただきました、選挙民の皆さん方、県民の皆さん方のおかげでございます。同時にまた、先輩・同僚議員、そして知事さん初め当局の皆さん方の御協力のおかげでありまして、この機会に心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、御承知のとおり、いよいよ関西国際空港も着工いたしまして、平成五年には開港の時期を迎えております。まさに和歌山県は夜明けを迎えようとしている今日であります。私も、幸い健康を取り戻しましたので、今後一層、健康に留意しながら、和歌山県が発展のために、また地元進展のために努力をしてまいりたいと思いますので、どうか皆様方には今後ともよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。
 まことに簡単でございますが、お礼のごあいさつにかえます。ありがとうございました。
○事務局長(山本恒男君) 次に、議員在職十年以上で表彰を受けられました議員を代表されまして浜口矩一殿。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 まことに僣越でございますが、十年以上在職のゆえをもって今回表彰の栄に浴しました十五名の皆さん中、私、最年長ですので、お許しを賜りまして、代表して一言お礼のごあいさつを申し上げさしていただきます。
 ただいまは、知事さんより身に余る、かつ御懇篤なるお祝いのお言葉をちょうだいいたし、みずからを省み恐縮至極の心情とともに、心から光栄に存ずる次第でございます。ここに謹んで深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 顧みまして、この十年間、果たしてお褒めに値するような十分な役割、責めを果たし得たか、内心じくじたる思いでございますが、とにかく、この十年の間、ただ一筋に、先輩・同僚の議員諸賢の温かくかつ欠くるところなき御指導、御教示、その上、知事さん初め県職の皆さん方の懇ろなる御協力、また地域の皆さん方の心温まるお支え、御鞭撻のおかげで、大過なく今日を迎え、今回の光栄に浴し得たものと存じ、改めて関係の皆様方に謹んで心からなる敬意を表しつつ、衷心より厚く感謝申し上げる次第でございます。
 私どもは、今回のこの表彰をみずからの人生航路の栄誉ある一節目と心得、心を新たにして、駑馬にむちうちつつ研さんにこれ努めるとともに、初心忘るることなく、かつ分をわきまえつつ、山積するもろもろの課題解決に微力を尽くし、明るく展望豊かな二十一世紀を目指しての県勢浮揚活性化と県民福祉の向上のため頑張る決意でございます。今後とも、何とぞよろしくお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。
 まことに簡単、それに粗辞でございますが、心中の一端申し述べ、御礼のごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。
○事務局長(山本恒男君) これをもちまして、記念品の贈呈並びに表彰状伝達式を終わります。
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 午前十時四十六分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(門 三佐博君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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    財第136号
    平成元年12月7日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成元年12月定例会追加議案の提出に
 ついて
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
   記
 議案第 143号  平成元年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第 144号 平成元年度和歌山県立五稜病院事業会計補正予算
議案第 145号 平成元年度和歌山県土地造成事業会計補正予算
議案第 146号 職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 147号 教育職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 148号 警察職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
 議案第 149号 市町村立学校職員の給与等に関する条例の一部を改正する条例
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○議長(門 三佐博君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第百四十三号から議案第百四十九号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、いずれも職員の給与改定に伴う補正予算案及び関係条例の改正であります。
 去る十月十六日、県人事委員会より職員の給与改定に関する勧告を受け、本年四月一日から実施するため所要の措置を講ずるものであります。
 まず予算案件としては、給与関係経費といたしまして一般会計で三十億一千八百余万円、特別会計についても所要の補正予算を計上いたしております。
 次に、給与関係条例につきましては、議案第百四十六号から第百四十九号をもってお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(門 三佐博君) 次に日程第二、議案第百三十一号から議案第百四十二号まで、並びに知事専決処分報告報第十一号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 5番山本 一君。
 〔山本 一君、登壇〕(拍手)
○山本 一君 ただいま永年勤続の功績により表彰を受けられました皆さん方に心からお喜びを申し上げます。
 ただいまより、質問に入らせていただきます。
 早速、第一番目の質問に入ります。県警本部から土木部その他にも警察官の出向や派遣を図られたいということで質問を行いたいと思います。
 今日、住宅難や土地の暴騰等に起因いたしまして、よきにつけあしきにつけ、土地の開発行為が増加の傾向にあります。都計上の違反、開発・転売問題、中止問題、防災、宅建業者の違反、トラブル等々と、件数の増加が見られています。正直に土木部など相手にしていたら成るものも成らないので、強引にやってしまえばそれで済んで目的が果たされていくんだ、こんなことを目撃して、「正直者はばかを見る」というお役所不信の声が伝え聞かされてまいります。
 本県においては、宅地建物取引登録業者に厳しい指導を行っているはずであります。免許制度を実施していますのも、宅地建物取引業が適正に運営され、宅地建物の取引の公正を確保することにあります。取引が正常に果たされるのは、当然のことであります。
 にもかかわらず、宅建業者が特約までつけ加えた買い主の契約不履行に対し、真実お手挙げのような事態まで起きております。宅建業者に迫っても一向に前進いたしません。やむなく売り主が買い主に催促をいたしますと、第三者から売り主に呼び出しがあったということなど、まことに考えられない事々が発生いたしています。
 買い主と宅建登録業者の癒着なども考えられてきます。心外な節々もあるのであります。その上、問題の買い主が問題を起こしているさなかに宅建業者登録の申請を新たに建築課に出している事実があったようであります。
 担当課は、整った書類手続があれば受理せざるを得ないのだと筋を通します。不履行しているのは民事の問題であり、警察に相談するようにと指導されたようであります。契約不履行の問題と登録申請とは別のものであると割り切っておられるであろう気持ちに一つの理はありそうでも、指導に当たっては強固な正義感が望まれるものだと私は存じています。
 「指導」とは申しても、行政職にある担当職員には、次第によりましては身辺にもかかわる不安を感じることもあろうかと推測いたしています。形式に流れざるを得ないこともあろうかと思われます。
 そこで、お尋ねいたします。
 「出向」は任命権者の任命行為の一形態として行っておられます。本県では、行政組織規則に基づいて、民生部青少年保護課には「青少年非行防止対策に関すること」として、警察本部から警視二名、警部一名、警部補一名、計四名の出向職員がおられます。企画部生活交通課には、「交通安全対策の企画及び調整に関すること」と「交通安全運動及び関係団体の指導に関すること」に対処されまして、警部一名、警部補一名の出向職員がおられます。
 以上、私の申し上げました簡潔な事柄でありますが、土木部に加えて、保健環境部も劇物等の問題があります。職員の危機感の解消のため、詐欺、暴力、犯罪予防の上に最大限の効果をおさめていただくために、土木部、保健環境部に、早期に警察と直結する警察官の出向並びに派遣をお考え願って、善良な県民の希望をぜひともかなえられるよう、知事の御理解と御判断のほどを承りたいと存じます。
 次に、年末を控えまして、交通事故非常事態宣言に対する県警本部並びに関係部の緊急対策について質問いたします。
 十二月三日現在の全国の交通事故死亡者数は一万百四十一人となりまして、十三年ぶりに一万人を突破した昨年同期よりも六百五十三人の増加を来たし、「第二次交通戦争」と言われているのも過言ではない極めて厳しい情勢に推移いたしている現況であります。
 本県におきましても、十二月四日現在、交通事故死亡者数百十六人を数えました。昨年同期に比較して九人減少しておりますが、年末の事故多発期を控え、予断を許さない情勢下にあると存じます。
 このような情勢を踏まえ、政府では十一月二十八日、交通対策本部を招集されまして、「交通事故非常事態宣言」を発表され、国の関係行政機関、地方公共団体、交通関係団体との緊密な連携を図りまして、交通事故防止対策を実施することとされています。
 本年の死亡事故の特徴は、若者・高齢者事故及び夜間事故が多発しているようであります。今や交通事故は深刻な社会問題となりまして、これの防止策として、県民の安全を守る観点から、本県では緊急にその対策を講じていられることと存じますが、県警本部長並びに土木部長、教育長から対処策をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、本県にかかわる安値受注の問題について質問をいたします。
 ここ一カ月ほど前、富士通の一円落札問題が発生いたしました。広島市水道局に火がつきまして、埼玉、千葉、和歌山も一円の安値受注が表面に出てまいったのであります。
 富士通・山本卓眞社長は、「外国勢を締め出す不公正な行為として日米交渉のマイナス要因になった。一円という価格は社会通念上非常識な価格、関係者に御迷惑をおかけした」と陳謝いたしています。また、通産省を訪れ、通産省機械情報産業局長から注意を受け、頭を下げ、反省しておられました。
 日本市場は競争原理が働かない特殊な市場であると指摘を受けていますが、こういうことは今日始まったことでなく、入札に参加いたします大手土木建設業者の体質が今日頻々と浮き彫りにされている中の一こまにすぎないと、私は見ているのであります。
 本県では、富士通はその後の一つの入札には参加しましたが、落札できなかったと聞かれます。他の三つの入札には指名を受けていないようでありますが、事は終わっていましても、白紙には戻らないで、想起されて残っていくものが県民の心の中にあると見ています。ほかにも、本県に類似の落札受注がされていることもお聞きいたしていますが、発注した後での申しわけや弁明は、後味のまことに悪いものであります。
 総務部長にお尋ねいたします。富士通の山本社長は、前述のごとく、事の重大性を悟りまして重々陳謝しています。陳謝の言葉の中身をよくよくかみしめていきますと、深い関心を持たざるを得ない本県の姿勢も浮かんでまいります。
 今日、表に出てまいりました一円落札が本県行政上に、法的に触れないのだと仮に申されましても、本県の体質をとやかく品評される資料となることに間違いはないと思っています。総務部長はこのようなことをお考えになったことがおありでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 民主主義を支えるのは法であります。法は正義であります。正義は常に闘ってかち取っていくものであります。私たちもそうですが、行政の中に正義を失ったら何が残っていくでありましょうか。
 その後、問題を調査していた公正取引委員会は、公正な取引に違反するおそれがあるとして、富士通と日本電気に対して厳重注意を行っています。今日と同様の行為を再度行えば独禁法に基づく措置の対象になり得るという趣旨で、厳重注意を行ったということであります。法に触れなくても、正義を忘れたとき、独禁法違反者の片棒を担ぐことになるのであります。
 大分県の平松知事が「私を信用して企業が来る」と豪語しておられるのを直接お聞きいたしましたが、和歌山県仮谷知事は、今日、国内にその名声を博し、県勢を高め、活力増進の起爆の源泉ともなっていると私は確信いたしています。
 かかるとき、総務部長は前進する我が和歌山県という大局に立脚いたされまして、一円玉落札は本県の持つ常識、社会通念に通じる自治体の認識の高低にかかわってこないのか、胸中いかように判断されていられるのか、納得のできます真意のほどをお尋ねいたしたいと存じます。
 土木部には、地方自治法に基づき、和歌山県土木部建設工事請負業者選定地方審議会運営要領を設けられています。附則として、予定価格の決定、最低制限価格について等、定められていますが、準用していないし、総務部にも独自の指針となるべきものがないと見ます。また、「自治法に基づき」と申しましても、その根拠はなく、独善的に総務部の判断で落札額一円がまかり通っていたのだとすれば事はまことに重大であると解しますが、私の説は大げさに過ぎるのか、総務部長よりお教え願いたいと存じます。法の欠陥が事態を招いたものであるとお考えのところがあれば、お教えを願いたいと存じます。
 次に、既決済みの海南港埋め立ての境界問題とマリーナシティの問題について質問いたします。
 第一に、海南港埋め立てに伴う海南市─和歌山市間の既定の境界線を「未確定のもの」と言う海南市当局者の言動に対して、本県は威信にかけて直ちに誤りを正すべきであると考えることで質問いたします。
 去る五月三十一日、毛見二号線のマリーナシティと海南市の間を結ぶ橋梁の海南市側に対する受益者負担金、並びに県単独事業幅員三メートルの歩道の負担金に関して、海南市が事務レベルの協議に入った時点で、「負担金を出したからとて海南市民に利益になるものでもなく、人工島の帰属が海南市に有利に展開するとの見通しも立っていない」趣旨の報道を拝見いたしました。
 担当課にいきさつの説明を求めてみましたところ、「新聞などに発表される段階にあったものではなく、負担金の検討の段階に入ったばかりで、なぜにこんなことになったのか驚いている実情である」ということでありました。なお、六月二十六日には「マリーナシティ人工島の中に海南市の領域が存在していることを信じ、主張を続ける方針である」とも報じられていました。
 昭和六十三年十一月には、海南市長名で、和歌山市長、県知事に対しまして「マリーナシティの公有水面埋立免許願書が出ているが、当該埋め立ては海南市の地先水面に位置し、海南市の行政区域に所属すべき部分が大きく含まれているので、所属は未解決であるという立場を前提として海南市との協議を十分配慮されたい」という公文書を送付されてまいっております。
 これに対し和歌山市は、「和歌山マリーナシティ建設により新たに生ずる土地の所属については、和歌山市は昭和四十六年二月二十六日付の協定書及び貴市から提出された覚書に基づき、当該埋立地は和歌山市の区域に所属するものと把握している」との公文書をもって海南市に返書をしておられるのであります。
 なお、海南市長は本県知事あてに、「地元海南市の意見を徴さない」として代理人弁護士を立て、「和歌山マリーナシティ建設用地には、海南市の行政区域に所属すべき部分が大きく含まれている。計画されているマリーナシティ新埋立地は、海南・和歌山両市の行政区域に編入されるべき位置にあり、将来、両市の境界にわたって存在するものであると考えられ、現在その境界が判明していないことは明白で、その所属は両市になるものと考える。両市間でいまだ話し合いも行っていない状況のもとで、地元市町村は和歌山市のみと判断されたことはまことに遺憾である。当該事業に係るこの認識の上、行政事務を進められたい」と、内容証明郵便物として送付されてきているのであります。
 始めから終わりまで、海南市と和歌山市の境界問題に関与し実態に接してまいりました私には、海南市の今日申していることが奈辺にあるのかしれませんが、理解も想像すらもできないのが私の素直な感じであります。
 故大橋知事は、両市長にも両市議会にも非常に御苦労なされました。和歌山市は等距離方式で関電火力の十万坪匹敵を主張され、海南市は、陸上見通し線で全埋立地は当方であるが、一千坪は和歌山市領が含まれていることを認めつつ主張していたのであります。
 大橋知事も何とか早期に問題解決を図るべく、境界問題審議会を設置いたされまして、県議会から妙中正一氏、渡辺淳吉和歌山行政監察局長、東京の堀家嘉郎弁護士に委員を委嘱されたのであります。発足は昭和四十四年八月十五日でありまして、昭和四十六年二月二十六日に解散いたしています。
 これに先立ち、ついに昭和四十六年二月二十一日、両市間の調印が行われました。重要ですからちょっと申し述べますが、協定書並びに覚書は次のとおりであります。
 協定書
 海南港第二工区埋立地等に関する協定書
 海南港第二工区埋立地等に関し、知事あっせんに基づいて和歌山市及び海南市は下記事項について協定する。
   記
一 第二工区埋立地の中に和歌山市の区域が潜在的に存在す ることを認めるが、現時点においては和歌山市の所属とす ることを留保し、この埋立地の全域を海南市の行政区域と すること。
二 第二工区埋立地の地先に将来新たな埋め立てが計画され 実施に着手するときは、両市の留保関係を解くものとする こと。
三 第二工区埋立地の地先に新たな埋め立てが行われたとき、 和歌山市は積極的にこの地域の開発に取り組むこと。
四 この地域(現在の第二工区埋立地はもちろん、将来の新 たな埋立地を含む。)に公害問題が生じた場合には、この 境界問題にとらわれることなく、両市は友好的に協議の上 適切な措置を講ずること。
 この協定の証として本書四通を作成し、当事者及び立会人署名押印の上、各自一通を保管する。
 昭和四十六年二月二十六日
  和歌山市長 宇治田省三
  海南市長 明楽光三郎
 立会人 和歌山県知事 大橋正雄
 立会人 境界審議委員代表 妙中正一
 覚書
 海南港第二工区埋立地等に関する協定のうち、第二工区埋立地の先端地先に新たな埋め立てが行われた場合の当該埋立地(以下「新埋立地」という。)の所属関係等について、将来論争のないよう下記のとおり海南市の意思を明確にする。
   記
一 海南市は、新埋立地の実現について反対しない。
二 新埋立地は、和歌山市の区域に所属するものとする。
 昭和四十六年二月二十六日
  海南市長 明楽光三郎
 立会人 和歌山県知事 大橋正雄
 立会人 境界審議委員代表 妙中正一
  海南市議会議長 筈谷愿正
 以上によりまして、和歌山市・海南市間の境界問題の結実を見たのであります。大橋知事には、両市長、両市議会に、審議会に、県民各位に対して、万感胸に迫るものを感じておられたことと存じます。
 こんな注目すべき現市長の発言があります。県当局に対して「海南市と和歌山市との境界問題は県には関係ないことで、両市間の問題である」という内容であります。まことに理解に苦しむ私であります。今日、法的に無効、法的に根拠なしというがごとき言動は、信義誠実の原則を全く覆したものであると私には思われてならないのであります。
 協定書及び覚書というものは、二以上の当事者の自治体間の合意を証するもので、契約と同様のものであると考えております。上位法である民法第一条の基本原則、すなわち信義誠実の原則により協定は契約説をとるのが妥当との判決を聞かされているのであります。
 海南港の埋め立ては、県の直轄事業であります。故吉岡県会議員は、本県議会議場において三度にわたり、問題に触れ質問をいたしております。「海南市は見通し方式を主張し、海南市民は一日千秋の思いで待っている。知事裁定で早期の解決をされたい」の発言や、終盤には審議会の答申に触れる発言をしておられます。
 故大橋知事答えられまして、「自治省からもいろいろ聞いているので、審議会の答申、意見をいただけば、勘案して早期に解決を図りたい」と申されているのであります。
 以上は、県議会議事録からの端的な抜粋であります。現在の海南市長も当時県議会議員であり、よく御承知のことと存じます。
 そこで、以上私がはしょって申し述べました事々から大方の御理解をいただきまして、質問に入ります。
 一番に、市長と申される公人がさきに述べましたようなことを発言されますと、市民に誤解や心の惑いを誘うことは事実であります。両市の境界問題の解決は、知事をおいて結実するものではありません。和歌山市と海南市の二自治体だけで決まったものでもありません。上級官庁・和歌山県知事が法的職責からしても、指導し、助言し、あっせんの役割を果たされ、公正な境界線を定められたものにほかならないと存じます。
 本会議場において、知事のすっきりとした言葉を、本県市町村自治体の行政のあり方の上からでも、海南市民に対してはっきりとしたお答えをいただきたいと存じます。
 二番といたしまして、知事は、海南市長名でも、また市長代理の弁護士からでも、内容証明郵便の郵送を受けておられます。しかし、この回答はしておられないようでありますが、県民の信頼の上に確固として指導責任を果たしておられる知事には、この際、本会議場を通じ、本県の威信にかけて厳然とした所信のほどをお聞かせいただきたいと存じます。
 海南港問題のその二といたしまして、質問いたします。
 マリーナシティと結ぶ橋梁や歩道が海南市に利するものでないので地財法からして負担金支出の要なしということは、県の方針が間違っているのか。市町村に及ぼす影響が大きいだけに、これにつきましての質問をいたします。
 海南港埋め立ての境界未確定という海南市当局者の一方的な主張は海南市民にとって見過ごせない問題であることは前段申し上げましたが、和歌山マリーナシティは、国、本県、民間が一体となって日本で初めての人工島方式によるリゾートづくりに成果をおさめ、マリーナを核として国際的都市近郊型のレクリエーション基地を創生しようと努力を重ねられているところであります。そうして、和歌山県が二十一世紀に向けて飛躍の柱と考えているリゾート振興の先導的役割をも果たそうとしているものであると私は思っています。
 国際的に位置づけられるマリーナシティ建設は、一九九二年度末の二十四時間終日開港される関西国際空港に直結するものでありまして、県民待望の国土軸、国際軸に密着していく可能性をはらんだものであると存じています。ひとり和歌浦湾の活性化にとどまるものでなく、県下の産業、経済の変化を招き、新たな産業構造の形成が求められなければならない好機に到来していると見ています。
 こういうさなかに、県は毛見二号線という名称でマリーナシティと海南市を橋梁で結び、海南市の活力にも資したいとしていますが、「いまだ両市の境界も判明していない」、また「マリーナシティの中に海南市の領域がある」と申すだけで、「海南市に利するところなし」と地元負担金に応じないとした主張に本県が執拗に説明会等を重ねられ、このことに対しましては心から感謝をいたしております。にもかかわらず、去る九月二十二日、海南市の方から本県に対して「負担金を持つことができません」という電話での確答があったとのことであります。
 十一月二十日ごろまで、なお幹部職員段階での説得合議等を続行されましたのも、海南市の将来を思い、土木部の職責を果たすための誠意であったと考えています。県幹部にも大変に心配をいただいたところであります。
 負担額の概算は、橋梁が海南市の陸地に入ったところからの工事額と県単独事業歩道の工事額の合計、推定額二十九億円の中で二億一千万円程度が海南市の現段階の負担金額であると私は見ています。
 毛見二号線は、マリーナシティのためにとどまるものでなく、隣接する海南市や市民にとって多角的に直結するものであり、海南市の地場産業にもかかわりは深く、国際化されていくシティーより海南市が導入していく施策にはまことに価値あるものがあると存じます。海南市議会の議長が、「知事さんは財団法人温山荘の理事さんをしておられるが、海南鋼管と温山荘の間に橋を渡したら温山荘の名声も高まるし、海南市の町への扇のかなめになるしな」と申しておりました。これもまた、しかりのことと私は存じています。
 地方財政法の第二十七条に「都道府県の行う建設事業に対する市町村の負担」として、「都道府県の行う土木その他の建設事業でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる」とあります。
 海南市の方は「市民に利するものではないので、地財法に基づき負担金を出す必要なし」と割り切られておられますが、本年度中に予備設計、本設計ともに完成したい本県としては十二月議会に予算の上程を図られなければならないところから、担当部課は議会運営委員会の開会日の前日までに是が非でも理解を取りつけるため、精力的に行動協議の結果、ついに了承の連絡があったようであります。いずれにしろ、了承の返事を海南市が申し出たことは、市民のためにまことに喜ばしいことであると私は存じます。
 そこで、お尋ねいたします。毛見二号線は、海南市当局の申すように、海南市にとって利するものではないのですか。本県の身勝手、御都合によるものでありましょうか。海南市民にとって当然知り得たい大切な事柄でありますので、率直なお答えを、御苦労願った土木部長からお聞かせ願いたいと存じます。
 次いで、マリーナシティの海南市や本県に及ぼす効果、影響力について、企業局長から本県の心を御開陳いただきたいと存じます。
 以上をもちまして、私の質問は終わらせていただきます。再質問が必要ないように、御親切な御答弁を願いたいと存じます。
○議長(門 三佐博君) ただいまの山本一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 山本一議員にお答え申し上げます。
 第一番の問題は、県警察本部から土木部その他にも警察官の出向や派遣を図られたらどうかという問題でございます。
 現在、警察官の知事部局との人事交流については、話ございましたように、青少年保護課と生活交通課に派遣を受けておるわけでございまして、これは青少年の育成と交通対策を警察と一体になって推進していくために行っているところでございます。
 さらにその他にも警察官を配置したらどうかということでございますが、お話ございましたように、土木部の用地関係等において職員は大変苦慮しておるというのが現況でございます。しかし、職員は毅然たる姿勢で厳正に職務を遂行していかなければならないと存じておるわけでございます。ただ、業務の遂行に当たってそうした事象が生じた場合においては、警察と十分に連携を密にし、違法行為の排除について協力を得ながら断固として排除していくように今後とも指導してまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、海南港の埋め立てに伴う海南市と和歌山市間の境界の問題でございます。
 新しい埋立地の帰属につきましては、議員からも御説明ございましたが、昭和四十六年二月に和歌山市と海南市との間で協定書、覚書が交わされております。それによりますと、今回の埋立地は和歌山市に所属するということが合意されているわけでございます。
 この協定は、御承知のとおり、県があっせん案を提示し、両市で合意の上、知事並びに関係者が立会人となって締結されたものでございます。県としましても、また両市におきましても、本協定、覚書が十分尊重さるべきものと考えておるわけでございます。
 なお、お話ございましたように、昭和六十三年十一月八日に海南市長代理人弁護士から内容証明郵便を受理しておりますが、県の考え方はただいまお答え申し上げたとおりでございます。
 他の問題については関係部長から答弁させていただきます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) まず、土木部での交通事故防止の緊急対策でございます。
 県が管理している国道、県道につきましては、関係機関と連携のもとに、交通安全施設等を整備し、事故防止に努力しているところでありますが、事故が増加傾向にある状況にかんがみ、現在、事故多発箇所についての詳細な分析、検討を行っているところでございます。
 年末の事故多発期を控えての緊急的対策としては、視線誘導標、区画線等の応急的な措置を行うとともに、道路パトロールによる道路工事箇所の点検等、安全対策に努めてまいります。
 また、今後の抜本的な対策として、歩道、交差点改良等の交通安全施設のより一層の整備促進を図り、事故防止に万全を期したいと考えております。
 次に、毛見二号線橋梁は海南市を利するかどうかという点についてでございます。
 マリーナシティと海南市が直結することにより、海南市民にとっての雇用の場や余暇活動の大幅な拡大等が見込まれ、また、マリーナシティを訪れ利用する人の盛んな交流は、地域物産品などの物資流通を促し、商業活動を初め地場産業の振興につながるものと考えております。
 毛見二号橋の建設はこうした効果を幅広く生み出すものと言え、マリーナシティと海南市が直結することにより、観光資源ほか海南市が有する資質を大いに高めるものと考えております。また、海南市におかれても、市の目指す長期計画「生活文化と産業のまち海南」の実現に本プロジェクトを大いに活用していただくことを期待しているところであります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) ただいま御指摘の入札の問題につきましては、社会通念上から見ても必ずしも妥当とは言えないと考えておりまして、今後は公正な取引の秩序を乱すことのないよう努めてまいりたいというふうに考えております。
 法的には、地方自治法施行令の第百六十七条の十の第二項によりまして、工事または製造の請負契約を締結しようとする場合においては最低制限価格を設けることができるわけでございますが、設計業務や物品購入については最低制限価格の規定がございませんので、最低額で入札された者と契約しているのが従来からの取り扱いでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたとおり、法的には触れなくとも、常識的な価格で入札が行われるよう今後要請してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) マリーナシティの海南市や本県に及ぼす効果や影響についてお答えをいたします。
 和歌山マリーナシティは、二十一世紀の新しい県土づくりの一つの柱となるリゾート整備の先導的な役割を果たすものであると考えてございます。
 開発効果としては、建設投資に伴う直接的な経済効果のほか、完成後の事業運営による新たな生産誘発や雇用の創出がなされることになります。
 さらに、このマリーナシティが国際的にも通用する魅力あるリゾートとして誕生することによって、本県の新しいイメージをつくり出すこととなり、県としての観光ポテンシャルを高めることはもちろん、国際化への対応や新規企業の立地誘導など、多方面にわたって波及効果をもたらすものと存じます。
 また、マリーナシティには和歌山コーナーやフィッシャーマンズワーフ、水際を活用した特色あるショッピングモールの形成など、地場産業のPR、消費の拡大や地元商工業の参画とあわせ、直接的な産業活動や経済効果が期待できるものと考えてございます。
 とりわけ海南市については、ただいま土木部長からも答弁したとおり、マリーナシティの至近距離に位置し、議員の御意見にもございました温山荘や藤白神社の名勝とともに、漆器産業を初めとするすぐれた地場産業を擁し、また市街地の商店街など、最も密接なかかわりを持つものと存じます。
 したがって、このマリーナシティの開発効果を最大限に取り込んでいただくためにも、ぜひ海南市の皆様方自身、知恵をお出しいただき、官民挙げての積極的な取り組みを期待しているところでございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 年末を控えまして、交通事故多発についてお答えをいたします。
 政府から初めての「交通事故非常事態宣言」が発令をされましたことは、教育委員会といたしましても厳しく受けとめているところでございます。
 交通安全教育は、自他ともにその生命の尊重という観点から、従前から副読本の配布、高校生の運転免許取得に係る指導の問題、管理職や担当の教員を対象とした各種研修会の開催、また学校、保護者が一体となった街頭での交通安全指導や高齢者学級での啓発等、学校教育、社会教育両面にわたり、総合的な交通安全教育の推進に努めているところでございます。
 今後、特に年末年始を控え、交通事故が起きないように、文部省の指導も踏まえつつ、関係機関、団体の協力のもとに、従前から行っている施策をさらに充実させるため、校長会あるいは教育事務所長会、通達等で重ねてその徹底を図ってまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) 警察としては、議員御指摘のとおり、厳しい情勢を踏まえて鋭意交通事故防止施策を講じてきたところでありますが、今回の非常事態宣言を受けて、緊急かつ総合的な交通事故防止対策を推進するため、去る十二月一日、県警総合対策本部を設置し、各警察署に緊急通達を発出したところであります。
 県下における交通事故による死者は昨日現在百十六人でありますが、これを年齢別で見ますと、若者の死者四十三人、高齢者の死者三十六人となっておりまして、これらで全体の六八%を占めております。
 次に、原因別に見ますと、スピード違反二十三件、飲酒運転二十件、無免許運転六件等となっておりまして、この三つの違反で全体の四五%を占めております。
 また、昼・夜間の死者別の状況を見てみますと、昼間四十九人、夜間六十七人となっておりまして、夜間の死者が全体の五八%を占めております。
 このようなことから、若者の交通マナーの向上と高齢者に対する注意喚起、及び夜間事故の防止を図るための交通安全施設の整備が重要であると考えております。
 したがって、当面の具体的対策として、一つはスピード違反、飲酒運転、無免許運転等、悪質危険な違反行為に対して徹底した取り締まりを行う一方、できる限りの警察官を街頭へ進出させ、高齢者等の交通弱者の保護、誘導活動を強化しております。
 その二つは、交通関係団体と協力して、高齢者を初めすべての県民の交通安全意識を高めるための広報啓発活動を強化しております。
 今後とも、県、市町村を初め、関係機関や団体等との連携を密にして、警察としてできる交通安全諸対策を強力に推進してまいる所存であります。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、山本一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時三十八分休憩
 ──────────────────── 
 午後一時五分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番貴志八郎君。
 〔貴志八郎君、登壇〕(拍手)
○貴志八郎君 私にとりまして、県議会最後の本会議での登壇に多分なるだろうと思いますので、質問の部分についてはできるだけ要点を絞って申し上げまして、あと若干の意見なども申し上げてみたいと思うわけでございます。
 まず第一番目の質問は、県営事業に対する市町村の負担金の問題でございます。私は、この問題を大きく二つに絞ってみたいと思います。
 その一つは、地方財政法第二十七条の二で都道府県の実施する事業で市町村に負担をさせてはならない経費の定めがありますけれども、この部分についての質問と、この地方財政法の定めの枠の中に入っていない部分における県営事業あるいは県単独事業の市町村負担金の問題について、私は質問しなければならないと思います。
 第一番目に、法の規制外の問題ということで質問をしなければなりません。
 私の手元にある資料によりますと、和歌山県の県下市町村に課するところの負担金の比率は大変高いのではないかというように思われるのでございます。例えば、道路であります。改良一種の道路工事の負担率は、全国の最低のところでは十分の〇・三でありまして、本県は全国最高で十分の一、一割ということでありますから、最低の府県と比べますと大体三・三倍を徴しておる。また、特殊改良二種の場合は、全国最低で十分の〇・五、本県は十分の一ということで二倍。特殊改良四種で、最低が十分の〇・三、本県は十分の一、三・三倍。都市計画では、道路改良二種で、全国最低の負担率のところは十分の〇・五、本県は四分の一でございますから大体五倍。海岸の高潮対策を見てまいりますと、全国で一番低いのが十分の〇・五、本県は十分の一で二倍であります。これまた全国最高位にあるわけであります。海岸環境整備も同じく十分の〇・五に対して十分の一。その他、港湾関係の資料を見ますと、海岸環境整備、全国の低いところでは十分の〇・五しか負担金を課しておりませんが、本県では十分の三、実に六倍に達しておりまして、もちろん全国最高位であります。このほか、海岸保全でも二倍、浸食対策も二倍、あるいは局部改良でも二倍というふうに、かなりの部分で負担金が高く目立っておるのであります。
 しからば、県単独の部分はどうなっておるかということであります。私の手元にあるところで見ますと、道路改良で全国の一番低いところは十分の一の負担でありますが、本県の場合は四分の一でありますから二・五倍であります。あるいは道路環境整備におきましても、全国最低で十分の一・五、本県が十分の三・五でありますから、二・二、三倍になるでしょうか。河川の堤防改修につきましては、本県では十分の二の負担を各市町村にやってもらっておりますが、これはどうやら、私の見落としでなければ、和歌山県だけがこの部分で負担金を取っておるということに相なるわけであります。
 そこで、私が質問をしなければならないのは、なぜ和歌山県が市町村に対して課する負担金の比率が他府県に比べて高いのか、その理由と根拠について明確にしていただかなければならないと思います。
 続いて、財政力の問題であります。
 本県の財政は、きょうの新聞によりますと、歳入のうち県税の伸びは二年連続最下位というふうに報道をされておるところを見ますと、恐らく県下の市町村も財政力は全国レベルよりもかなり落ち込んでおるのではないかという心配をいたすのであります。特に、本県が県下の市町村に負担金を課するに当たって他府県より高い率を課しておる理由のうちに財政力の高さがあるのであれば結構でありますけれども、全国レベルから見て和歌山県下の市町村の財政力は一体どのようなレベルにあるのかということを、この際お尋ねしておかなければならないと思います。
 続いて申し上げなければなりませんし、ぜひお答えをいただきたいのは、恐らく、私が予測いたしておりますように、県下の市町村の財政力は大変低い状態にあるのではないかと思いますが、この低い財政力の中で高い比率の負担金を仰せつかるということになってまいりますと、他の一般的な事業を市町村が執行するに当たって財政的に支障を来すおそれはないかどうかということが私の心配する第三番目でございます。
 第四番目の質問といたしましては、例えば、当該市町村で、大体十二月段階あるいは九月議会を過ぎた段階で決算の見込みをお立てになるのではないかと思いますが、どうしても赤字を出したくない、どうしても赤字の限度をこれ以上ふやしたくないという場合に、予定していた事業を辞退して負担金を免れようとする地方団体があるのではないか。具体的に「金が足らないから」という理由での辞退はなかろうと思います。他の理由をつけてはおるんじゃないかと思いますけれども、結果的には財政的にそうせざるを得ない形に追い込んでおる実績はないだろうか、ぜひお伺いをいたしておきたいのであります。
 第五番目に私がお尋ねをいたしたいのは、市町村によって財政力の格差があります。隣の町とこの町とで財政力に格差がある場合に、同じように事業をしたいと思っても、地元負担金を負担する能力のない町村はその分だけ仕事ができなくなるおそれはないだろうか。要するに、この負担金制度で行政格差を生む心配はないのかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。
 さらに、聞き及ぶところによりますと、本年一月十一日、七市の市長会の席上で、口頭ではありますけれども、この種の地元負担金の問題について知事に対して申し入れがあったということであります。その当時、検討されるとお答えになったようでありますけれども、一体どのように受けとめられ、検討され、その結果はいかがなっておるのかということをお尋ねいたしておきたいと思います。
 次に、冒頭申し上げましたように、地方財政法第二十七条の二項に、いわゆる県が行う事業で市町村に負担をさせてはならないという定めがございます。これは、行政実例によりますと、大規模かつ広域的な事業を行うに当たって往々にして市町村財政を圧迫する実例があった、また大規模かつ広域にわたる、例えば河川や海岸など、その一町村の受益に限らない面があるから市町村に負担をさせない、そのための法律であるというふうに解釈が下されておるのであります。
 私は、この法律に違反しているようなことはよもや県政の中ではなかろうと思いますけれども、問題は、この法律の精神を県当局はどのように受けとめておるかというところをしっかりとお伺いをいたしたいのであります。
 すなわち、市町村の財政を圧迫してはならないとする地方財政法の精神であります。いま一つは、広域的に考えなければならない河川や海岸、あるいは道路、また、国全体で計画する道路の一部として考えられておる道路といったものに対して負担金を課するということは、国の地方財政法でこれを禁じておるのであります。この地方財政法の精神をどのような見識でもって見ておるのか、この辺のところをひとつぜひお答えいただきたいと思うのであります。
 次に、消費税の問題についてお尋ねをいたします。
 去る七月二十三日の参議院議員選挙で、国民の審判が下りました。この参議院議員選挙の争点は、消費税でございます。この消費税を争点として戦われた参議院の選挙で、全国的には与野党が逆転をいたしました。消費税に対してイエスかノーかを問う選挙で国民大衆は「ノー」とこれに答えたと、私どもは判断をいたしております。また、大方の国民もそのような理解をいたしておると思うのであります。
 そこで私は知事にお伺いをいたしたいのでありますけれども、こうした全国的な傾向──和歌山においても、選挙区の戦いは消費税を推し進めた自民党の議席の勝利に終わりましたけれども、比例代表区におきましては社会党が十七万九千余票、和歌山県下で第一党の得票をさせていただいておるのであります。
 こういった現状認識の上に立って、今和歌山県が行っているところの消費税転嫁をなお知事は続けていくおつもりであるのかどうか、現状認識を含めましてお答えをいただきたいと思います。
 さらに、間もなくことしも暮れます。来年度の予算編成が目睫に迫っておるわけであります。この来年度予算編成に当たって消費税の転嫁を従来どおり行っていくつもりであるかどうか、知事の政治姿勢を含め、この点についてのお考えを示していただきたいと思うのであります。
 次に、私は若干の県議会の問題について申し上げてみたいと思います。
 まず第一番目は、本年度の当初予算におきまして県議会議会棟建設のための基金が設置をされましたが、ちなみに申し上げますと、全国四十七都道府県中、独立棟を持つ都道府県議会は三十四、庁舎内に併設されておるものが十三ということに相なっております。このうち、五つの府県においては庁舎内で明確な区画を行っておりますから、いわば県議会としてちゃんとしたコーナーを持っていないのは極めて少数派になるわけであります。一体、議会棟はいつ完成するのだろうか。
 現状の和歌山県議会は、「北別館」と称せられる棟の三階部分だけが県議会専用となっておりますが、四階は当局との一部混住であります。こういった状態の中で、いわゆる県政の常道として「当局と県議会は車の両輪である」と言われてきたけれども、果たして車の両輪として県議会が位置づけられておるだろうかどうか。少なくとも、形の上だけ見ましたら、県議会は北別館の中で当局と混住の状態で、例えば私どもの会派の中で会合を開こうと思いましても、お客さんに退席を願わなければ会合を開くこともできない。議員面会室もなければ、応接室も手狭であります。こういったことは、本県の将来のために一刻も早く解消をしてもらわなければならない問題であるというふうに思います。
 さらに申し上げたいのは、現在の県議会であります。後で私は少しだけ感想を申し上げたいと思いますけれども、現在の県議会と当局とのあり方はどこかかみ合っていないところがないだろうか。当局の皆さん方は議員を指して「先生」という呼び方をされております。なぜだろうか。心のうちから、当局に対しての、知事に対しての「議員」と見ておるんだろうか、そういう議会尊重の気持ちと個人を指して「先生」と言う気持ちと果たして重なっているんだろうかということを思う節が、私は各所にあるわけであります。
 振り返りまして、私どもは、過去この議場において何遍か火を吐くような論戦を体験してまいりました。しかし、このところそういった議論のかみ合った論戦というものが、議会の中でも、議場の中でも出てこないというのは、「この県議会にはセレモニーがあってもドラマがない」と嘆いた議員諸公の今の気持ちは、やっぱり現在の県勢の活性化に連なっておる一つの側面ではないか、私はそのようなことを大変心配するのであります。
 どうか、そういう心配をも払拭してすばらしい和歌山県政を築いていくために、ぜひ当局におきましても、議会との関係の正常化、形の上でも、内容、中身の上においてもそんなものができるように、ぜひ御努力を賜ることをお願い申し上げたいのであります。
 私の第一回目の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの貴志八郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 貴志議員にお答え申し上げます。
 第一点は、県営事業に対する市町村負担金の問題でございます。
 県営事業につきましては、市町村から負担金をいただきながら市町村ともども事業を推進しているわけでございますけれども、これについての負担区分の問題でございます。
 お話ございましたように、地方自治法に基づく法律の基準がございます。そうした法律の許す範囲内において、種々の要素を勘案しながらその水準を設定いたしまして、実際に負担を求める場合には議会の議決を得ているところでございます。
 具体的な点につきましては、総務部長から答弁申し上げます。
 次に消費税の問題については、お話のように、国において一番の大きな問題でございます。現在、国においてそのあり方を論議されておるわけでございまして、今後、政府案の検討、さらに国会での議論が行われると考えております。
 私たち知事会においても、参議院議員選挙前に消費税の見直しについての緊急提案を行ったところでございます。また、これからの問題、特に平成二年度の予算編成についての考え方でございますけれども、国での論議が行われておるわけでございます。こうした点を踏まえながら、予算編成に適切に対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
 議会への御意見等の問題につきましては、本日も多数の皆さんが永年在職で表彰をされ、私は和歌山県政にとってすばらしいことだと思うわけでございます。
 話ございました議会棟の問題等につきましては、基金を設定させていただいて、これから皆さんとともに検討を進めていかなければならないと思っておるわけでございます。
 また、この県議会においては、貴重な御意見、活発な御意見をいただいておるわけでございますし、また県民の代表機関といたしまして、議会の皆さんから議決決定等をいただいて県政を推進しているわけでございます。そうした点を踏まえ、執行機関として、その趣旨を踏まえまして、車の両輪としてなお一層努力してまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 県営事業に対する市町村の負担金について、御質問をいただいたわけでございます。
 県営事業については、その建設事業による受益の及ぶ範囲、本県の財政事情や事業量の確保ということを総合的に勘案し、現在の負担率を決めているところでございます。
 何点か御指摘をいただいたんですが、まず、本県がほかの県に比べて若干高いんではないかというお話でございます。
 確かに、県単独の道路改良等が二五%ということで若干高い傾向はあるわけでございますが、各県いろいろ工夫を凝らして負担率を定めておるわけでございます。我が県の長い伝統と歴史の中でこのような負担率になってきておりますのは、一つには事業拡大への要望が大変強い、それからそれに対してなかなか事業規模が拡大できなかったということもありますし、あるいは各市町村間の負担の公平、均てん化という趣旨もあったかと思います。
 最近、半島振興道路とかふるさとづくり特別対策事業とか、いろんな国の施策を導入して事業量の拡大に努力しておりますので、そこらも踏まえて今後検討していく必要があるかと思っております。
 二番目に、市町村の財政力の問題がございました。
 市町村の財政を財政力指数で単純に見ますと、全国平均が市町村平均で〇・四五のところ本県は〇・三四と、若干低うございまして、また多額の地方債現在高に苦しんでいる町村もございます。
 そういう中で財政的支障はないのかということでございますが、県の負担金について、起債の充当あるいは県の貸付金の貸し付けというような手だてを講じております。
 四番目、五番目として、事業の辞退がないのか、あるいは負担力のないところに行政格差を生むことにならないのかという御質問でございます。
 確かに、県道として一本全体を整備する必要がある場合に、市町村により、その道路が通過交通的な面を持っていて積極的でないという面もございます。そういう弊害も全くないわけではございませんので、そこらも踏まえて今後議論していく必要があるのかなという感じがいたしております。
 また、負担金の要望を受けてどういう検討をしているのかということでございます。
 市町村から負担金軽減の要望はいただいておりまして、常々検討しているところでございますが、元年度当初予算においては半島振興道路、港湾事業の一部について若干の見直しをし、負担ルールを改めたところでございます。
 最後に、大規模かつ広域にわたる特定の土木事業について市町村から負担を取っていないのかということでございますが、これは地方財政法第二十七条の二とこれに基づく政令の第十六条で、道路法等に基づく事業等、大規模なものについては負担をさせてはならないと決められておりまして、この規定に従い、従来よりこの大規模かつ広域にわたる特定の土木事業については市町村の負担は求めていないところでございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番貴志八郎。
 〔貴志八郎君、登壇〕
○貴志八郎君 ただいまの答弁の中で、はっきりわからなかったのは、来年度の予算に消費税の転嫁を行うのか行わないのか。答弁は「いろんな情勢を分析しながら適切に処置したい」ということでありますが、私はやっぱり、この時期、見識として消費税をどうするんだと、地方の立場からでも意見が言えるような──「地方の時代」でありますから──県政であってほしい、このように強く思うわけであります。
 部長から答弁のありました幾つかの問題でありますが、やはり部長の答弁の中でも、どうしても苦悩を隠すことができないのは、市町村の貧困な財政にかなりの負担をかけておるという事実。市町村の行政にやはり影響を及ぼしている、私はそのように断ぜざるを得ないのであります。
 私が地方財政法第二十七条の問題を持ち出しましたのは、この二十七条の中に含まれておる法の精神を当局はどのように理解をしておるのかということ。地方に分担させるところの負担金の額が地方行政を圧迫することのないようにというのが、法の指し示す一つの方向であります。ですから、この負担金を軽減させていく方向で考えていくとか、そういうことでなければ市町村の皆さん方は納得しないと私は思う。
 ただ、現状としてはやむを得ないとか、格差が生じても根本的に解決してやるだけの力が県にない限りは、やはり負担金を軽減して、その方向で市町村の振興を図っていくという基本的な姿勢がここで見られなければうそである、私はこのように思うわけであります。ぜひ、その辺のところのはっきりとした見解を求めておきたいと思います。
 さて、この機会でありますから、私は若干の考えを申し上げて、私の質問を終結いたしたいと思います。
 顧みまして、昭和四十二年五月、臨時県会が行われましたときに初めてこの壇上に立たしていただいて、胸のときめく思いで質問をさせていただいたわけであります。自来二十有余年、私は議会が開かれるたびごとに、この演壇に立たせ続けさせていただいてまいりました。時として、私の取り上げた問題の中には的を外れたり、あるいは資料不足で十分に意を尽くせなかったことも間々あったのではないかと反省をいたしておりますけれども、しかし、それはそれなりに、私は和歌山県政の中でこれこそ大事な問題だと思う諸案件について申し上げてまいったつもりでございます。
 私の大先輩の的場鹿五郎さんは、私どもが議員であるときによく言われました。「議場は戦場だよ。議員の戦場は本会議場にあるんだ」と言って叱咤激励をいただいたことがございます。まさに議場を戦場と心得た議会活動をやらなければ、私自身、議員としての資格を失うんだということを肝に銘じながらやってまいったつもりでございます。
 さて、世界の情勢は今、東ヨーロッパの問題、あるいは米ソの冷戦から対話・協調の時代へと、急角度に世界の政治そのものが変わっておりますし、国内の政治もまた、この世界の動きの中で、従来の枠組みにとらわれない、環境の変化に対応する新しい政治というものが求められておると私は思います。我々の県政も国政も、脱皮していかなければならないと思います。環境の変化に応じて脱皮していかなければ、これから先、発展は望めないと思うのであります。そういう意味で、私はこれからの我が愛する郷土和歌山の発展のために、脱皮した県政をひたすら求めてやまないのであります。
 平成五年には関西新国際空港からその第一機が飛び立とうというのであります。今日、和歌山県の経済状態や人口の動態、産業の状態、ありとあらゆる角度から見まして、大変残念な位置にございます。しかし、これを逆手にとって、和歌山県が今関西における飛躍の目になっていかなければならない、私どもはそのような気持ちでおるわけでございます。
 私は、本日これをもって本会議における私の最後の登壇となろうと思います。今日まで御支援、御鞭撻を賜りました県民の皆さん、先輩・同僚の県議会の皆さん並びに知事初め県当局の皆さん方の心温まる御支援と御鞭撻に重ね重ねお礼を申し上げまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 平成二年度の当初予算については、まだ地方財政対策が決まっておりませんし、地方財政計画の概要も出ておりませんので、ここらの動向を見ながら、先ほどの知事の答弁に従い、私どもでも事務的にいろいろと取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、法の精神を生かした考え方が必要だと言われるのは大変ごもっともな点でございまして、県と市町村は県民福祉の向上にとって車の両輪という点も、御指摘のとおりだと思います。県民全体の福祉の向上の見地からいろんな事業に取り組み、その場合の負担金をどのようにしたらいいのか、今後またいろいろ検討に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、貴志八郎君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕(拍手)
○中村 博君 それでは、一般質問を申し上げてまいりたいと存じます。
 まず最初に、関西空港問題についてお尋ねを申し上げます。
 当局におきましては、平成二年度政府予算要望事項の冒頭で、関西空港問題について全体構想の早期着工及び大幅な国内便の確保等を取り上げられておりますが、議会の関西空港特別委員会が去る十一月十三日、十四日の両日にわたりまして、同様の問題で国会関係者や運輸省に陳情いたしてまいりましたので、この機会に、陳情の経過を踏まえ、知事にお尋ねをいたしたいと存じます。
 本県の主張について念のため明らかにしておきますと、航空審議会の答申並びに本県が同意した三点セットに基づき、第六次空港整備五カ年計画で全体計画の位置づけを行い早期着工を図られたい、また国内便の大幅な確保については、航空審議会答申すなわち伊丹空港の廃止を前提とする立場を尊重し、三点セットの同意に基づき国内線の基幹空港とすべきである、以上が本県の主張の要旨であります。
 そこで、議会の関西空港特別委員会におきましても、こうした本県の主張の線に沿って前段で申し上げたように陳情いたした次第でございますが、残念ながら、いずれにおきましても難しい課題で、実現の見通しは極めて困難な状況に置かれているように感じられたのであります。
 何が困難であるかという点について若干申し上げておきますと、航空審議会の答申に記述されております伊丹空港廃止を前提として関西空港の位置を泉州沖とするということが──運輸省といたしましては、当時、伊丹空港における航空機騒音問題で訴訟にまで発展している状況のもとで、公害のない空港づくりを目指す以上、当然、関西空港の供用開始と相まって伊丹空港が廃止の方向に進められるものと思料いたしておったところでありますが、今回の陳情により、運輸省の考え方としては、航空審議会の審議の段階で伊丹空港について廃止・存続の両論があり、意見集約に基づいて廃止を前提とする表現となったので、廃止あるいは存続のいずれをも決めたものではなく、今後の調査や地元の意見を聞きながら決定することになるということで、運輸省としては踏み込んだコメントが全く出されなかったのであります。
 関西空港が滑走路一本で事業が進みつつあることと、大阪府を初め伊丹空港周辺の十一市が存続の方向に固まりつつある状況の中で、先般、周辺住民の存続問題のアンケート調査でも存続の意見が多数を占める結果も出されている事態を考え合わせてみますと、大勢としては伊丹空港が存続される方向に流れつつあるように見ざるを得ないのであります。
 伊丹空港が存続されることになりますならば、国内線の基幹空港に伊丹空港はなるでしょうし、関西空港は国際線の基幹空港に、国内線については主として西日本における地方空港との接続程度のものとして、それぞれ機能分担されていくことは確かなことであります。加えて、平成五年ごろには成田空港の二次計画完了ともなれば、伊丹、関西空港ということで航空需要の伸びをも賄えるということになろうかとも思われます。
 本県が主張する、関西空港の全体計画の早期着工及び伊丹空港廃止を前提とする国内便の大幅な確保の問題につきましては、運輸省の態度と大阪府下の現状からして、現実は極めて困難な課題であるということを申し上げたのであります。
 そこで、知事にお尋ねを申し上げます。
 十二月議会の開会あいさつにおいて本問題について特に触れられ、国に対し強く要望された旨の発言がございましたが、国とのやりとりの状況の中身の問題については全く言及されておりません。どのようなやりとりがなされたのか、詳しく御説明していただくとともに、国に強く要望された結果、困難な課題だと見ておられるのかどうか、御認識の点にまで触れて御答弁をいただきたいと存じます。
 あなたは、これらの問題に関連して、実現に向かって知事として政治生命をかける旨の発言がございましたが、この機会に改めてお尋ねをいたします。「政治生命をかける」などということになりますならば、常識的に考えまして、知事としての公職をも辞しかねないという極めて異例の決意だと思われるのでございますが、そのように受けとめてよいのかどうか、御所見のほどを承りたいと存じます。
 関西空港問題の今日までの経過の中で、若干、大筋について申し上げてみたいと思います。
 昭和四十九年八月、航空審議会が泉州沖が適当と答申を行いました。昭和五十年七月に、航空審議会の空港部会で埋立工法が決定されました。同年九月、航空審議会が事業費二兆三千億円の空港設置計画を答申。この中身は、空港面積千二百ヘクタール、滑走路三本、滑走能力二十六万回。昭和五十五年十一月、運輸省は二十五カ年計画による五段階施行を発表。昭和五十六年四月、第一期工事六百ヘクタール、滑走路一本、滑走能力十六万回とする空港本体計画を発表。昭和五十六年五月、運輸省は三府県副知事会議を開催、三点セットを提出。昭和五十七年八月、知事、三点セット同意回答。その後、関西国際空港株式会社法が国会で成立をいたしました。第三セクター方式によって、現在のような空港づくりが進められているのであります。
 以上申し上げた経過の中から重要と思われる点を申し上げますと、運輸省は、航空審議会の答申に基づく空港設置計画を二十五カ年計画による五段階施行として、第一期工事六百ヘクタールとした空港本体計画を本県に提示してまいったものであります。そして、知事はこれに同意を行ったものであります。
 こういうような経過から見てみますと、今日に至って全体計画の早期着工を強く要望する事態はまさに整合性に欠けるもので、何ゆえ三点セットの回答に当たって、航空審議会答申による全体計画の早期着工を求めなかったのかと申し上げざるを得ないのであります。
 三点セットの回答時点においては事業主体について明確にされていなかったことは御承知のとおりでありますが、知事は関西空港の事業主体について、「第一種空港と位置づけている。第一種空港は一義的には国の責任で、国が負担すべきであると認識している」と議会でも答弁されてきたのであります。しかし、残念ながら、三点セットの回答に当たってもこうした正論の主張のないまま本県として関西国際空港株式会社に所要の出資を行い、大事なところで、国の責任を求めるという知事の主張がなされていないのであります。
 伊丹空港の存廃問題や全体計画の早期実現問題が本県の県益を求める上で不可欠の問題とされるならば、本県として当然、整合性のある主張を展開しなければなりません。本県の視点からではなく、航空審議会答申の基本理念及び国の責任による航空行政のあり方などの視点から理論を固めないと説得力がないように思われますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 なお、全体計画の早期着工の問題についてでありますが、航空審答申による空港設置計画は二兆三千億円。これが今日では、第三セクター方式による一兆円事業に大幅に縮小されてまいりました。その背景には、臨調行革絡みで大蔵省の主導によるものであったことは御承知のとおりであります。一兆三千億円以上の事業費の復活は、関西空港の採算の見込みも立たない中で不可能に近い問題と考えていますが、どのように判断されるのか、あわせお答えを願います。
 昭和五十七年一月、大阪府知事は伊丹空港のアクセスとなるモノレールの運輸省への認可申請に際して伊丹空港存続を打ち出したことは御承知のとおりで、運輸省は既に認可を行い、モノレールの建設はかなり進んでおります。こうした事態にある大阪府と本県との関係について、伊丹空港存続問題で意見の一致が見られることは不可能と考えられますが、知事の御認識はいかがなものでありましょう。また、大阪府への対応はどのようにされていくのか。最近開催された近畿府県知事会議においても本県は孤立しているようにも思われますので、それらの状況についてもお答えを願いたいと存じます。
 加太の土取り事業について、お尋ねをいたします。
 先般の関西空港特別委員会の政府陳情の際に、思わぬところから大蔵省の公共事業担当主計官のコメントを聞くことになったのであります。担当官の言明によりますと、「和歌山県の関西空港埋め立ての土取り事業は設備投資に金がかかり過ぎて高いものになっている。淡路島は非常に安い」ということでありました。
 先般、関西空港会社がターミナルビルの設計をフランス、イタリーの専門家に委託し、設計が完了した際に大蔵省から大き過ぎるというクレームがついたことが報道されておりましたが、国際的な問題にまでわたってクレームをつける事態でありますから、本県の土砂採取事業などにクレームをつけるなどはいとも簡単なことでありましょう。それだけに、現在の暫定価格一立方メートル当たり千円に知事がどれだけ努力をして上乗せをしていくのか、非常に重要な問題に差しかかっております。しかし残念ながら、先ほど申し上げましたように、今、本県にとりましては非常に厳しい状況にあるんではないか。
 本年四月十九日でございましたが、関西空港特別委員会で加太土取り事業の価格問題で関西空港会社の竹内社長と折衝いたした経過があります。土砂搬出を直前にしていたときでありましたが、会社側から価格問題について具体的な説明が全くない状態で、私どもとの間で大変な激論になった場面もありました。今からこうした点を考えてみますと、大蔵省の「和歌山は高い」という認識のもとで関西空港会社に対し非常に厳しい対応をしていた、そういうせいではないかと考えざるを得ません。
 土砂搬出から七カ月も経過した今日において、前段で申し上げたように、暫定価格のままで、まだ単価問題に決着がついていないということは大変大きな問題であります。早急に決着をつけなければならない問題であります。
 御承知のように、商売をしていく場合、当然、値段が決まります。しかし、今日、開発公社と関西空港会社との間におきましては、正式な値段も決まらないまま商取引を続けていることになります。どこの世界を探しても、こういうことはありません。したがって、大蔵省への対応も重要であるということを強調いたしたいと思います。
 御承知のとおり、土砂採取事業に要した二百億円に上る投資がこうしたことで回収できないとなる場合、開発公社といたしましては多大の損害を受けることになるのでありますから、関西空港会社はもとより、大蔵省に対しましても早期に強力な折衝が重要であります。
 かねがね、知事に土取り事業での価格問題の重要性について御指摘申し上げてきたところでありますが、先ほど申し上げたように、七カ月も経過しながらまだ価格が決まっていない、こういう現状について知事としてはどのように現在把握されておられるのか。開発公社の理事長でございますから。
 本県として、暫定価格──今決まっているのは千円でありますが──をどの程度上積みしていくのか。開発公社の非公式な話によりますと千五百円というように我々聞いておりますが、これを大蔵省との対応も踏まえていただき、関西空港会社といつごろまでにどういう決着を知事はつけられようとするのか、その点をお尋ねいたしたいと存じます。
 土木部長にお尋ねを申し上げます。
 関西空港立地に伴う地域整備の問題でありますが、運輸省は三点セットの一つに地域整備についての「考え方」なるものを示しては来ましたが、国としての具体的な裏づけがないまま今日に至っています。現時点において、「考え方」で示された内容について建設省との折衝により内容的にどの程度にまで固まっているのか、この際、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 なお、大阪府との関連道路におきまして、相互間の協議がなされ、ある程度内容的にも詰まってきているのではないかと思われますので、これらの道路整備計画について、計画終了時点をも含め、具体的に御説明願いたいと思います。
 御承知のように、土木部にありましては関空関連の地域整備について、その果たす役割は非常に大きいものがあります。本県においては大阪府の紀の川広域利水計画に同意を与えてまいっておりますが、このことが、大阪府として十分理解を深め、府県間の道路整備などの問題において有効に機能しているのかどうか。折衝の過程で感じられることもあろうかと存じますので、その点も含め、重ねてお尋ねをいたしたいと存じます。
 次に、住民監査請求についての結果措置の問題で、代表監査委員にお尋ねをいたしたいと存じます。
 和歌の浦の歴史的景観保全及び関係住民の日常生活の上から、本県が進めている都市計画街路事業和歌浦廻線に係る新不老橋建設に伴う事務執行について、不法不当な行為があったものとして、本年九月二十七日に関係住民の方々から地方自治法二百四十二条第一項に基づく請求が行われ、この請求を受理いたしました本県監査委員は、本年十一月十三日付をもって請求人の方々に結果を通知いたしております。
 本県が行う事務について住民監査請求が出され、結果通知を出すに至りましたことは前例のないことで、現在、請求関係者の方々がこの結果を不服として、和歌山地裁に行政訴訟を提起される準備を進めているということであります。したがいまして、この機会にお尋ねをいたす次第であります。
 請求人の請求の趣旨を申し上げてみますと、知事に対し、昭和二十一年十月三日、都市計画道路決定(昭和四十八年十一月二十六日、都市計画決定変更)に基づく和歌浦廻線の車道橋建設工事の即時中止、原状回復、工事請負契約の解除及び工事代金の支払いの停止、並びに右工事に関連して県に生じた損害の賠償をするよう措置を求めるとのことでありました。これに対し本県監査委員は、この和歌山県職員措置請求に該当する工事、昭和六十三年度街臨海改第三号の三、都市計画道路和歌浦廻線道路改良工事施行について、誤りなく適正に行っていたということで請求を退けているのであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、本事業は都市計画法に基づくものでありますから、法の目的、基本理念などについて的確に踏まえていただくことが重要と考えます。
 参考までに、この点について触れておきますと、目的といたしましては、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることにあるとされております。理念におきましては、健康で文化的な都市活動を確保すべきであるとされているのでありまして、この基本的立場から、都市計画の内容及び決定手続、都市計画制限など、適正な制限のもとに土地の合理的な利用を図るために都市計画法が整備されているのであります。したがいまして、本請求に対する監査に当たりましては、以上の基本的立場から慎重な審議が行われ、結果において請求された方々を納得さすものでなければならないと思います。
 そこで、不整合と思える点について申し上げ、見解をただしたいと存じます。
 御承知のように、和歌浦廻線なる街路事業は昭和二十一年十月の計画決定であります。戦後四十三年を経過しながら事業決定の手続がなされないまま本県の事務が推移している事実関係、同計画線が昭和四十八年十一月に計画変更されているが、これは同計画線上に都市計画公園を設置したためのものでありまして、これがために計画線が行きどまりのままで廻線としての変更手続がなされていない事実関係、不老橋から片男波にかけての間の道路幅員が六メーターないし八メーターで計画幅員が十一メーターとなっている関係から、当然、建物の移転、除去、用地買収が必要であります。
 しかるに、この間の事業決定もなされていないために、利害関係人に法的手続もし得ないまま新不老橋の建設に着手している事実について、法にいう「秩序ある整備」とは言いがたく、手続上においても整合性に欠ける事務執行となっている事実関係。和歌浦地区における車の通過の上からも和歌浦廻線の必要性を主張しておりますが、現在、廻線としての計画決定がないままの状態で、新不老橋を架設し、夏場、海水浴に車が殺到した場合、交通渋滞はもとより、付近住民の生活環境にも重大な支障が生じるおそれがあるとしている請求理由については、法でいう「秩序ある整備」が行われないために、関係人は健康で文化的な都市活動が保障されないことになるのであります。
 かかる点について、現地での状況調査や当局に対しどのような対処がなされてきたのか、また、法でいう「秩序ある整備」に係る事務執行と考えているが、どうであるのか、詳しく御説明を願いたいと存じます。
 和歌浦の歴史的景観の問題に関連してお尋ねをいたします。
 監査委員においても、本請求に当たり十分調査されたことだと思いますが、本県は、和歌の浦につきましては明治二十二年、五十五ヘクタールを県立公園とし、大正十四年には本県史蹟名勝天然記念物保存顕彰規程によって名勝地に指定を行ったという経緯がありますが、こうした関係からいたしまして、現在では都市計画法に基づく都市公園に指定されていると聞き及んでおります。こうした点について十分承知の上で結果を出されたのかどうか、お答えを願いたいと存じます。
 そこで、重ねてお尋ねを申し上げますが、和歌公園なるものの区域及び面積についてどのように把握されてきたのか。観海閣という建物がございますが、これらの管理は本県にあると聞き及んでいますけれども、どこの所管になっているのか。これらの状況からして、名勝の地として重要な役割を果たしている不老橋、三断橋などの建造物についても、観海閣同様、本県の管理に係るのではないかと見ているのでありますが、どのように精査されたのか。
 なお、都市計画公園内における開発行為については法的に何らかの制限があるかと思われますが、審査の対象として検討がなされたのかどうか。多岐にわたる質問を申し上げましたが、具体的にお答えをいただきたいと存じます。
 お聞きするところによりますと、十二月十一日ごろに、本件監査請求の結果について不服であるとして、請求人の方々が地方自治法二百四十二条の二による住民訴訟の申し立てを和歌山地裁に行うようであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 千数百年にわたる歴史の重みを重ねてまいりました天下の景勝地・和歌の浦の景観保全への十分な配慮に欠けた本県行政の結果が、今日の事態を生み出したものと考えております。和歌の浦が持つ千数百年の歴史的景観を何としても保存し、後世に残したいと願う多くの有識者の方々には、小手先のような行政では妥協は許さないとする気持ちから、あえて住民訴訟の道を選ばれたものと思料いたしているところであります。
 新不老橋問題の行政の対応におきましても、果たして和歌浦廻線として整備がされていくのか、明確な手順が全く示されておりません。また、マリーナシティとのアクセス道路問題も俎上に上りつつある状況のもとで、本問題が法廷での争いになろうといたしているのであります。
 以上申し上げました事柄を十分踏まえていただきまして、本県行政のあり方から、申し上げてまいりましたように、住民訴訟に発展しようとしている事態は極めて重大だと考えます。これらの事態に対応していく知事としてどのような所見を持たれるのか、ひとつこの機会にお尋ねを申し上げておきたいと存じます。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの中村博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 第一点、関西国際空港の全体構想と国内便確保についてでございますけれども、これにつきましては機会あるごとに要望しておるわけでございまして、先月八日にも運輸省に出向いてまいったところでございます。
 まず全体構想につきまして、運輸省から示された関西国際空港計画案等の三点セットに対する回答時の問題でございますが、国家プロジェクトとして早期に計画の具体化を図られるように回答してございますし、その後も、本県は一貫してその実現を求めてまいっておるところでございます。
 国の財政状況とか航空需要、さらには関西空港会社の採算など、その早期実現について困難な課題も多うございますけれども、過日の話し合いの中で、運輸省においても全体構想実現の必要性を十分認識しておるわけでございまして、現在、国と関西国際空港会社において、平成三年度からスタートする第六次の空港整備計画に向けて調査を行っているところでございます。また運輸大臣も、全体構想を早期に明らかにしなければならないと言っておるわけでございます。
 全体構想早期実現のためには、議員が指摘した航空行政のあり方等の視点、あるいは国土の均衡ある発展のための基盤整備という観点から、関西がまず一丸となって、我が国の基幹空港である関西国際空港の全体構想の実現に取り組んでいる現状でございますし、来る十四日には、東京において関西の政財界の代表が一堂に会しまして、全体構想の東京アピールを行うなど、今後とも、関西国際空港全体構想早期実現期成会の代表理事でもございますので、六空整への位置づけを目指して全力を傾注してまいる考えでございます。
 次に、国内便の確保の問題でございます。
 関西国際空港が国内線の基幹空港として十分な国内便を確保するようにかねてから主張してきているところでございますけれども、運輸省においても関西国際空港は国内線、国際線の基幹空港として明確に位置づけておるとのことでございますし、また、関西空港会社の採算面からも国内便の確保を図っていくとの考え方をお聞きしている次第でございます。
 この問題につきましては、昭和六十一年の九月議会におきまして、私は「国内便がなくなるということであれば、私の政治生命の問題である」と答弁を申し上げましたが、現在もそのような決意で取り組んでいるところでございます。
 また、関西国際空港の全体構想の推進、国内便の確保につきましては、大阪府あるいは近畿の各府県と一致して取り組んでおりまして、先日の阪和開発協議会、また近畿の知事会議においても、政府に対して力を合わせて要望していく合意決定がなされたところでございます。
 大阪国際空港の存廃問題につきましては、私なりの主張を申し上げてきているところでございます。現在、国においてそのあり方調査が行われている段階でございまして、地元の意見を聞いた上で国の責任において決定されるものでございます。
 しかし、その決定に先立ちまして、我が国初の二十四時間空港である関西国際空港の全体構想と国内便の確保について明らかにすべきであると、運輸省に対して強く主張してまいっているところでございまして、今後とも関西国際空港の全体構想の第六次空港整備計画への明確な位置づけ、国内便の大幅確保に積極的に取り組んでまいる所存でございますので、中村議員もひとつよろしくお願い申し上げたいと、かように存ずる次第でございます。
 それから、土砂単価の問題でございます。
 土砂搬出開始に際して覚書を締結して以来、関空会社との間で、価格決定要因とされる生産原価、開発利益、残存価格等、各項目にわたりまして、県益を図る立場で現在交渉を重ねているところでございます。
 価格については、本県としまして、和歌山で土砂を取るという過去の経緯がございます。跡地利用に支障の生じない、納得し得る価格で合意が図られるように、強く交渉してまいる所存でございます。時期につきましては、お話ございましたように、できるだけ早期決着を図りたいと考えております。
 それから、和歌浦の件でございます。
 お話のように、和歌浦は古くから全国に知られた名所でございますし、また、文化あふれる個性味豊かな町づくりが非常に重要だと存ずるわけでございます。
 和歌浦の整備につきましては、和歌浦の持つ自然的、歴史的な意義を十分に踏まえながら、多くの人から喜んでいただけるような環境づくり、すなわち和歌公園の整備について、積極的に全力投球で頑張っている現状でございます。
 お話ございました和歌浦廻線につきましては、和歌浦地区の交通環境改善を図るために、新しい橋の建設に引き続き、地元の御協力をいただきながら整備を進めてまいる考えでございます。
 話ございました住民訴訟について、現在、所見を申し述べる段階ではございません。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 関西国際空港の地域整備につきましては、昭和五十六年五月、運輸省より示された「関西国際空港の立地に伴う地域整備の考え方」を受けて、昭和六十年十二月に関係閣僚会議において「関西国際空港関連施設整備大綱」が決定されております。国及び関係地方公共団体が協力して関連施設の整備を進めることとなっておりまして、現在、この大綱に示された空港アクセス道路等の関連施設の整備が重点的に進められているところでございます。
 このうち、近畿自動車道紀勢線を初め、第二阪和国道、主要府県道泉佐野岩出線、泉佐野打田線、泉大津粉河線、岬加太港線等の府県間道路については、空港開港時までに大綱に示された整備目標を達成するため、大阪府と緊密な連携を図りながら、鋭意、整備促進に取り組んでいるところでございます。
 泉佐野岩出線については、四車線化の事業に取り組んでおります。都市計画道路金熊寺男里線及び樽井男里線については、空港開港時までに暫定二車線で概成することとなっております。また、泉佐野打田線については、今年度、全線の概成を目途に整備を促進しております。さらに岬加太港線については、空港開港時までに大川─深山間のトンネルを完成させるべく取り組んでおりますが、用地交渉が難航しており、進捗がおくれております。
 今後とも、紀の川利水の問題を踏まえ、より一層両府県が協力して、府県間道路等の整備促進に努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 代表監査委員宮本政昭君。
 〔宮本政昭君、登壇〕
○代表監査委員(宮本政昭君) 住民監査請求の結果についての御質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに、住民監査請求の対象となる事項は、地方自治法第二百四十二条第一項に定められている財務会計上の違法、不当な行為、またはその事実に限られるものでありまして、御承知のように、財務の伴わない一般行政上の行為は対象とならないものであります。
 しかし、財務会計上の行為が適正であっても、一般行政上の行為が重大かつ明白な瑕疵を有するときはその違法性が財務会計に及ぶことになり、監査請求の対象とすることができ得る場合もあります。こうした範囲も踏まえ、監査を実施したところでございます。
 したがって、今回の住民監査請求については、都市計画法に基づき計画決定されたもののうち、事業認可を受けて施行している新不老橋の工事関係を対象として監査を実施いたしました。
 議員御指摘の昭和二十一年十月に決定された都市計画道路和歌浦廻線が現在まで事業認可されていなかったこと、及び昭和四十八年十一月に計画変更がなされた際に計画線の一部が保留されていること等につきましては、承知をいたしてございます。
 また、新不老橋建設区間は、現在、事業認可を受けて工事を実施しているものであり、新不老橋から片男波への道路については、今後、事業実施に当たって事業認可等、所定の法手続がなされるという当局の説明を受けてございます。
 次に、交通渋滞、違法駐車、騒音公害により環境が悪化するとの不当性については、和歌浦地区全体の都市計画の中での都市計画道路整備事業が完了をしていない現在、その不当性は判断できないものであるといたしております。
 以上のような観点から、監査委員全員による現地調査を実施するとともに、当局に対しても詳細な資料の提出を求めて調査し、一、工事の施行については誤りなく適正に行っていた、二、知事に対して措置を求める要件はなかった、という監査結果を監査委員全員の合意を経て決定し、請求人に通知をしたところであります。
 最後に、和歌公園に関する御質問でございますが、和歌公園は都市公園法に基づく都市公園に指定されていることは承知をいたしております。その区域は、権現山、奠供山、妹背山、片男波等、八地区で構成されており、都市公園面積は四十・〇五ヘクタールとなってございます。
 また、観海閣、三断橋については、公園施設であり、行政上県の管理施設でありますけれども、県有財産ではありませんので、地方自治法第二百四十二条第一項の規定により監査の対象外といたしたところでございます。
 なお、不老橋は、都市公園施設ではなく、かつ行政上の県の管理施設でもございません。また、新不老橋の工事区域は都市公園区域外でありますので、都市公園法の規制を受けないものと判断をいたしました。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 43番中村 博君。
 〔中村 博君、登壇〕
○中村 博君 答弁をいただきましたので、重ねてお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず、関空問題であります。
 非常に多岐にわたる質問で申しわけなかったと思いますが、関空特別委員会が、その都度、それぞれの機関なりお互いの会議等で検討を深めてまいっておりますので、今回の質問もそういう点を踏まえて申し上げてまいったわけであります。
 この問題を重視いたしましたのは、一つには、和歌山県が関西空港の立地そのものによって本当に県益を拡大できるものとなるのかどうかということ。わかりやすく申し上げますと、宝船となり得るのかどうか、あるいはまた扇風機の裏側になるのかどうか、こういう例えもありました。
 こういうような問題について、各論が詰まってまいりますと、かなり的確に判断できる内容も出てまいっております。特に、先般の関西国際空港特別委員会においては、副知事の出席をいただきまして、そこで大阪府と本県の対応、あるいは国等の対応について、現在、我々特別委員会として把握している状況では余り県益が大きく拡大されていきそうにもないといった条件等もございまして、大阪への分水について一つの重大な問題提起がされたわけです。和歌山の県益が余り拡大されないならば、もう大阪への分水は中止してはどうか、こういうもっともな意見も出たような次第であります。知事もこれは十分御承知いただいていると思いますし、それだけに関西国際空港問題をめぐる本県の環境は厳しいということ、これは皆さんが受けとめていることだと思います。
 そこで、知事から所要の御答弁をいただいたわけでありますが、大阪府との間で矛盾がないのかという点について、知事は具体的にお答えになってないんです。私の考えでは、伊丹空港の存廃問題は全体構想の計画実現に向かってもかなり大きな要素になるでしょうし、あるいはまた関西空港の機能の問題にも大きく影響してまいります。これは質問でも申し上げたとおりであります。
 伊丹空港の現状というのは、御承知のとおり、大阪府知事は存続をすると言っているし、モノレール建設の認可申請を運輸省に出しているんです。知事もごらんになって──もう大分できているでしょう。十一市協の問題を考えても、もうそういう方向に固まりつつある。アンケートの住民自体もそうです。そういう現況にありますから、必ずしも我が県と大阪府との間で利害が共通しないんです。
 この伊丹空港問題は、かねがね他の先生方の御発言もありましたように、非常に重大な問題として対応をしてきたと思いますが、この御認識が余り明確に示されていないんです。知事の答弁ではこの問題について大阪府との間で矛盾がないと考えておられるのか、共通する課題として一緒に提携していけるのかどうか、そういう点が非常に不明確でございますので、この機会にもう一度その点についてお答えをいただきたい。
 それと同時に、紀の川の広域──つまり、大阪府側から言いますと、紀の川の広域利水計画なんです。和歌山県から言うと大阪への分水なんですが、知事はかねがね、本議場におきまして「県益を拡大していくための大きなばねになるんだ」とおっしゃってこられました。こういう問題。また、県民もそう思っていらっしゃるかもわかりません。しかし、今日の事態を見る限り、県政の展開はそうなっていない、県政だけじゃない、国の対応も、大阪府との矛盾を考えても、そうなっていない、そう感じるがゆえに、大阪への分水は見合わせてはどうかというような意見も県議会では出ているわけでございますので、知事としてこういうような──恐らく勇断のある発言であったと思いますが、知事、これは黙視するわけにいかないでしょう。
 したがって、これらの問題とも関連いたしますので、この機会にひとつぜひとも知事の御認識を承りたい。
 さらに、関西空港の加太土取り問題です。
 お金の問題でしょうから、なかなかお答えにくいのはわかりますが、私が質問でも申し上げましたように、今の千円のままでいきますと経常経費でも赤字が出るんじゃないかと思います。開発公社は一平米当たり千五百円と考えているようですが、これが関空会社との間でうまく契約できたとしても──私は厳しいだろうと思いますよ。千円からこの五百円の上積みが非常に困難であろうと思う。
 知事から「よろしく頼む」と言われましたが、私は飛行場部長にも申し上げたんです。この現状について、運輸省は関空会社に対して行政指導権を持っていらっしゃるのだから、和歌山県が損をしないように、こういう問題にまできちんとしていただきたい、こういうことも飛行場部長にも申し上げたんです。非常に心配しているんですよ。
 知事は理事長でもあり知事でもあるんですから、二役でございますよ。大蔵省のあの御発言に対してどう見ていらっしゃるのか。これ、軽視しますか。私は軽視できないと思うんです。だから、大蔵へも所要の対応をしてもらわなきゃならんし、千五百円を割った場合には大変なことになるんです。仮に五千万立方メートルとすると、五百円上積みされることによって二百五十億円入るんです。つまり、この二百五十億円は設備投資の二百億円を償却できることになるんです。
 関西空港会社や大蔵省は、「あんたたちは土地がうまくできるんだ。そんな償却まで見れない」という考え方じゃないでしょうか。経常経費だけでひとつ商売しようと。だから、「淡路島は安いんだ」と。淡路島では投資に対する償却まで見ていないから。私はこう考えているんですが、知事はどう認識されていらっしゃるでしょうか。これは大変な問題です。もう年末、もうちょっとで正月ですよ。ことしじゅうに決着がつかないと大変だと思います。重ねてお尋ねを申し上げます。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 中村博議員にお答え申し上げます。
 大阪の伊丹空港の存廃についての大阪府と和歌山県の意見の食い違いの問題、中村議員おっしゃいましたように、外から見ても空気がある程度わかると思います。
 ただ、大阪府の知事として、果たして現在の段階で正式見解が出せるかどうか。共産党にも共産党の考え方があるし、各政党にも考え方がありますように、大阪府でも泉南地域と北部でも考え方の違いがあります。
 だから、そうした大阪府の考え方と和歌山の考え方と一致しない点もあるけれども、全体構想の実現と国内便の確保ということを共同でやろうじゃないかということで進めておるのが現状でございます。また、中村議員から見られた大阪市民の意見、また党なりの意見があったならばいろいろお教えいただいたらありがたいと思います。
 それから、価格の問題についてもお教えいただいたわけでございます。
 私たちも、大蔵省に対してもいろいろ説明しておるし、また、先ほども申しましたように、私たちが加太に土取り場を持ってきたのは砂を売るだけの問題ではない、和歌山県の発展も考えたんだと、そうしたいろんな要素があるわけでございます。
 しかし、和歌山県の開発公社に負担をかけないように、残存物件をいかにするかという問題等もあるわけでございます。そしてまた、値段の決める時期が早い方がいいのか、いつがいいのかということも慎重に考えておるわけでございまして、言われた趣旨を十分に踏まえまして、今後とも全力を尽くしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「もうよろしい。あと三十五秒ですから」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、中村博君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) この際、十分間程度休憩いたします。
 午後二時四十二分休憩
 ──────────────────── 
 午後二時五十四分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 後、いろいろ御予定があるそうでございますから、極めて簡潔に一般質問を行いたいと思います。
 きょうも、もう三回目でございますが、プロ野球キャンプを県内に誘致してはどうかということについて質問をいたします。
 一回目は、南海ホークスが田辺へ帰ってくるような手だてをしてほしいという質問をいたしました。二回目は、グリーンピア南紀を充実して、あそこへプロ野球のキャンプを誘致してはどうかという提言をさしていただきました。今度は、さらに具体性、実現性を帯びたことを言わんと、いつまでも同じことじゃないかと言われるので、かなり突っ込んだ質問で誘致談義を行いたいと思います。
 昨年、グリーンピア南紀の施設を充実してプロ球団の誘致に乗り出してはどうかという提言をいたしましたが、福祉事業団等、国との協議やその他で、早急な施設の充実が困難であるように漏れ承り、二年や三年では物にならんのではないかとの感触を持つものであります。経済の流れやテンポの速い今日、四年も五年も先の話より、この種の問題は、現実にできることから始めようと考えるのが常識であります。
 そこできょうは、過去において八年間、南海ホークスがキャンプを張った実績を持つ、さらにそのときの施設が今日もその形をとどめている田辺市に限定して話を進めたいと思います。
 田辺市では、市長を先頭に、市当局も民間も、プロ野球のキャンプ再誘致をインパクトとして活性化の一翼たらしめようと大変熱心であります。既に某球団と接触を図り、球団としても数回に及ぶ調査を開始したと聞き及んでおります。こういう実態ではございますが、現在地の存続運動もかなり激しくやっておるそうであります。また、そのほかにも数カ所の立候補もある中で、実現への道のりになお困難が横たわっていることが予想されるのであります。
 田辺市では、商工会議所、観光協会も誘致運動に乗り出す構えであります。県としても、傍観者の立場でいるべきではないと思うのであります。知事として、この誘致運動の牽引車となって積極的に参画されたいと思いますが、いかがでございましょうか、まずお伺いをさしていただきたいと思います。
 さて、私は、この誘致運動を進める中で、複数の球団関係者の話を聞いてまいったのであります。プロ野球のキャンプと一概に申しましても、すべての条件を満たすキャンプ地はなかなかないそうであります。例えば二月は、沖縄は本州より平均十度も温度が高いそうであります。ところが、この時期、沖縄は、本州より一足早い菜種梅雨になり、それこそ運を天に任せるキャンプになるそうであります。それでは雨のないアメリカ西海岸はいいじゃないかということで、幾つかの球団が西海岸にキャンプを張っております。気象条件は、もう言うことないそうであります。ところが、アリメカにも二十八のメジャーリーグの球団があり、この球団のキャンプが始まるとグラウンドを追い出される。まさに広い原っぱで、それこそ荒野の決闘のごときキャンプになるそうであります。
 さて、今、プロ野球キャンプ地のある静岡県草薙球場を初め、高知、宮崎、あるいは最近千葉県も誘致に乗り出したそうでありますが、それらと南紀と気象条件を比べてみると、大きな変わりはないのであります。そうなりますと、勢い、キャンプの立地条件は、施設、設備の充実にかかるわけであります。この設備についても、雨の日でもバッティングのできる雨天練習場が最低条件だと言われています。これら設備、宿泊等の条件の闘いになるわけでございます。
 かつて南海の野村監督は、田辺の施設は非常によい方だと言われたのでありますが、既にそのときから十数年もたっておるのであります。今日のキャンプ地としての施設を充足させるためには、かなりな整備費が必要となりますが、すべて当該自治体で賄えというのか、あるいはその重要性にかんがみ、県としてその一端を担っていただける気持ちがあるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
 通常、プロ球団のキャンプは、常時百十名前後のスタッフが必要だと言われております。加えて、大手スポーツ新聞六社、一般大新聞、テレビ・ラジオ等を含めて、これまた常時百五十名から二百名の報道陣が、端境期である二月、二十八日間常泊するわけでありますから、地域経済にとってもいささか活性化の役割を果たすでしょうし、また毎日毎日、「和歌山県田辺」「紀伊田辺」という活字が出るわけであります。
 ちなみに関西では、「田辺」と言うたら、「紀州の田辺、いいとこやのう」と、皆さん言ってくれます。関東へ言って「田辺」と言うたら、「あんたとこも、橋できて便利になったですね」と。四国と間違えている。あるいは「滋賀県ですか。京都ですか」と、なかなか田辺と言ってもわかってくれません。「白浜のはたや」「ああ、そうか。白浜やったら一遍行ったことがある」、こういうことであります。京都にも田辺町がある。大阪にも田辺という地名がある。したがって、「田辺」と出ないで「紀伊田辺」「和歌山田辺」というふうに出るわけですから、田辺は和歌山県の一翼を担えるのではないかと思うわけであります。
 したがって、観光立県にかける本県としては、プロのキャンプなんかと言わずに、これこそ力こぶを入れて誘致に邁進すべきであると思うのであります。特にリゾート立地に活路を見出そうとする南紀にとって、また観光地南紀にとっても、全国へただでアピールできる最も得策であると考えるがいかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
 さて、この問題の最後でございます。プロ野球のキャンプ立地によるメリットをくどくどと申してまいりましたが、本当のメリットは、プロのキャンプが来るんだということをインパクトに、紀南に、田辺地方に、県民総体でも開催できる総合運動場をつくろうではないかという機運が盛り上がってくることであります。
 今、県下第二と言われておりますが、田辺地方には「県営」と呼ばれるスポーツの施設は何もないわけであります。前にも一般質問でお願いを申し上げたことがございます。当時の中川教育長は亡くなられましたが、そのときには高垣教育長はこっちで聞いておられたように思います。高校野球の県予選は隔年ぐらいに田辺で持っていただいたらどうだという提言を申し上げました。そのときには、箕島高校初め新宮に至るまで各高野連の皆さんから、「頑張れ」という激励の声がございましたが、その後、とんと話が進んだということは承っておりません。このままでいくとさらに一極集中が進み、多極分散型すなわち均衡ある県土の発展は、スポーツ施設に限り、望めそうもないのであります。
 幸い田辺では、黒潮国体のおかげで野球場はそこそこ設備が整っておりますが、その他の競技場の施設に乏しいのであります。南部から田辺、白浜、上富田を含む田辺広域圏の中で、都市公園法等の適用をしながらスポーツゾーンの造成に取り組むべきだと思うのでありますが、土木部長、企画部長あたりによい知恵がないか、一遍聞かしていただきたいと思います。
 毎年行われておる県民総合体育大会とても、時には紀南で開催できるよう施設を充実しなければ南紀の県民は行政疎外感を助長することになりはしないか、心配するものでございます。当局のよい知恵を聞かせていただきたいと思います。
 次に、南紀広域農道の問題でございます。
 南紀広域農道は、農林水産部当局の大変な御努力により、ほとんど一〇〇%完成を遂げられておるのであります。この農道の施工により、私どもの住む三栖地区内は、幹線道路が大きく様相を一変したのは言うに及ばないことでございます。さらに、上野、中辺路への通行時間も大幅に短縮され、各地区間の連絡道路として、特に幾つかの谷に分かれた田辺市の中間地帯を結ぶ道路として、その機能を十分発揮しておるのであります。改めて関係者の努力に感謝を申し上げたいと思いますが、ただ一点、大規模農道・救馬線については、私も納得ができないし、県民もひとしく合点のいかないものであります。
 もともと、この地の開発には、亡くなられた当時の牟婁町長・東海良圓さんが極めて熱心であられました。当時の上富田町長・山本万米さんとともに、「この谷に道をつくって上富田町と牟婁町を結ぼうではないか。きっといいところになるぞ」と話し合われて調査をし、これまた今は亡き大江先生、町田先生の熱心な働きによって実現したものであります。言いかえるならば、東海良圓さん最後の夢であり、町田、大江両先生の汗の結晶なのであります。まさに道路は貫通し、朝来─三栖間は五分とかからないのであります。その上、沿線は開発され、西牟婁森林組合の木材市場が立地し、田辺市が開発した企業団地も一〇〇%完売され、紀南地方の重要な地場産業である梅加工のメッカとして生まれ変わろうとしておるのであります。
 上富田町が県の開発公社に委託して開発中の企業団地も、またこの沿線であります。田辺から熊野高校に通う通学道路でもあります。さらに、国道三百十一号線の改修に伴い、三百十一号から田辺バイパスを結ぶ連絡道路として需要は日に増して増大しつつあるのであります。ということは、この路線を決定し、完成させた行政に誤りはなかったということであります。ところが、こうして交通の需要が増大すれば増大するほど、あの間三百メートルの未舗装、未解決の区間が県民の目に触れ、県民の疑惑を生み、行政への不信を募らせる結果になるのであります。
 先般、熊野高校の校内マラソン大会がこの路線で行われました。その後で、何人もの生徒たちが私にこういう疑問をぶつけてきたのであります。「おいやん、あの道、なぜあのままほっておくんなよ。もう何年になるんなよ」という、極めて素朴な質問が純真な生徒たちからぶつけられたのであります。この疑問に一体何と答えたらよいのでしょうか。
 私は、昨年九月議会の一般質問で、この問題を要望いたしました。そのときには、「解決のめどがついているから、何とか質問せんと要望にとどめてほしい」ということでございましたから、私は素直に要望にとどめておきました。そして、県民の皆さんの疑問には、「もうちょって待て」と言って一寸ずりでやってきたのでありますが、あれから一年三カ月たちました。その間、ナシのつぶてでございます。何とか納得のいく説明がないと、この際、県民を説得させることはできないのではないでしょうか。今度ははっきりと答弁を求めたいと思います。
 私は、この問題解決のネックは一体那辺にあるのかということをかなり突っ込んで調査をいたしております。当該物件に対して三つの金融機関が融資をしておる。これは、広く県民の知るところであります。かつて、私も信用業務に携わってまいりました。その私の、あくまでも主観をもって言わせていただくならば、この融資の金額は常識から言ってもらち外だと思います。そして、その債権の保全については、甚だ疑問に思う点もあるのでございます。
 この論議については他日に譲りたいと思いますが、県と特に密接な関係にある金融機関であることは事実であります。また、この問題解決の重要なキーを握るのはこの銀行であり、信用組合であることも事実であります。この方々は、一体、県行政に対する協力の姿勢が旺盛なのかどうなのか、あるいは県からの協力要請がなされていないのかどうか。民法との関係もあり、行政指導の限界ということもよくわかった上ではございますが、この銀行や組合が県行政とは無縁ではないということを踏まえてどう対応されるのか、関係当局の見解をお伺いいたしたいと思います。
 約束どおり二十分で終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答え申し上げます。
 プロ野球キャンプの誘致でございます。
 これにつきましては、那須議員もおっしゃいましたように、紀南は気候が温暖なところだからキャンプに非常にいい場所であるし、またスポーツの中でプロ野球というのは一番関心が深いから観光の面でも重要性があるということ、私も同感でございます。
 話ございましたように、今回で三回目でございます。前のグリーンピア南紀につきましては、ミニキャンプ場になるわけでございますが、本年、中日ドラゴンズの主力選手が十二人、十日間来ております。また十一月に、韓国の太平洋ドルフィンズの投手が十人、十四日間、日本IBMから投手が十人、十三日間、また十二月に大阪ガスから三十人、五日間来ているということで、現在利用されておるわけでございます。
 キャンプ場については、屋内練習場等々、非常に施設の充実ということが言われるわけでございまして、先ほど話ございました田辺のキャンプ場については、私、きょう初めて承ったわけでございます。
 地元の熱意、こうした施設をどうするかということが一番大きな問題であり、地元の観光協会がどれほどできるのか、地元市がどれだけできるのかという問題等々があると思います。そうした問題を聞かしていただいて、また各府県の姿勢、市町村が中心になりますけれども、県はどの程度応援をしたらいいのかということについて十分調査してまいりたいと思います。
 私もプロ野球の誘致については賛成でございます。できる範囲のことについての検討をさせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) プロ野球キャンプの誘致についてお答えを申し上げます。
 リゾート整備を進める中で、いつでも、だれでも手軽にできるスポーツ施設の整備が重要であることは認識いたしてございます。その上、議員御提言のプロ野球のキャンプが実現されますと、地域のイメージアップが図られるとともに、地域経済に対する経済波及効果も予想され、地域としては大変魅力のあるテーマであると存じているところでございます。
 しかしながら、プロ野球球団が春季キャンプを張るに際しまして、議員御案内のとおり、その一年間の戦力アップにとって大変重要な時期でございますので、キャンプ地に求める気象等の自然条件やグラウンド、雨天練習場等の施設整備に対する要求は大変質の高いものがあろうと考えられます。また同時に、受け入れする地元の熱意が極めて大きいウエートを占めるとも聞いてございます。
 議員のお話にもございました南海ホークスの田辺キャンプの経験も踏まえ、先ほどの知事答弁のとおり、こうしたプロ野球誘致に対し、全国的な誘致合戦の中で、今、何が課題か、何が必要な条件か等々について整理し、多方面から検討する必要があろうと考える次第でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 議員御提言のプロ野球キャンプ地整備及び都市公園法の関係についてお答えいたします。
 御承知のとおり、都市公園法に基づき設置される運動公園は、都市住民全体のスポーツレクリエーションの場として、市町村の都市計画に基づいて設置されるものでございます。したがいまして、日常的な市民のスポーツ活動に支障のない範囲でプロ野球のキャンプ地として公園を利用することも可能かと考えられます。
 議員御提言の構想につきましては、紀南各市町からの具体的なプランの提出があれば、県としてどのような御協力ができるか、市町とともに検討を進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 南紀広域農道の救馬線三百七十五メートルが未舗装になっておるのは、議員御指摘のとおりでございます。
 なぜ、長い間、舗装ができないかということでございます。
 まず、公図の大変な混乱があったわけでございます。田辺市字奥山の四十数筆の土地全体が、この道路用地の買収対象地一筆の中に混乱をした形で内在するというような複雑な公図になっておったわけでございます。こうしたことから土地の分筆が容易にできないということで、所有権者の同意を得て道路工事を始めましたが、舗装する時期と同じような時期に本件用地を含む周辺地域一帯の山林が第三者に次々と権利移転がなされたことにより、事業実施が難航をいたしたものでございます。このため、交通需要の増大する中で地域住民の皆さん方に大変な御迷惑をおかけいたしていることについては申しわけなく、今後、早期に解決できるよう、鋭意努力をしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 広域農道に係る金融機関のうち、信用組合への取り組みでございます。
 商工労働部といたしましては、信用組合の金融機関としての公共性にかんがみ、協同組合による金融事業に関する法律の規定に基づき、金融業務の健全な経営を確保できるよう指導しているところでございます。
 なお、この問題につきましては、従来から関係部局とも連携を保ちながら信用組合の指導等を行ってまいったところでございますが、事態解決に向け、今後より一層適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕
○那須秀雄君 プロ野球の誘致につきましては、全く知事と同意見だと思います。知事も同じ意見で前向きに取り組んでいただくということで、了解をいたしたいと思います。
 ただし、広域農道の問題ですが、あなたは、次々に転売されたと申しましたけれども、その次々に転売されたのが平成元年六月二十九日に移転しているんですよ。それまでに金融機関として何らかの債権保全の手が打たれなかったのかどうか、おかしいじゃないかというのが私の疑問であります。ここができれば、次々に転売されることも防げたんではなかろうか。また、信用組合だけと言いましたが、一番かぎを握っておられる銀行さんは県金庫でございますから、この点では行政の対応というのをもう少し考えてしかるべきではないかということの指摘だけ申し上げたいと思います。
 最後に、お許しをいただき、一言つけ加えさしていただきたいと思います。
 本日は、午前中、古田先生、岡本先生の三十年勤続表彰を初め、多くの先輩議員諸賢が永年勤続表彰を受けられて心温まる思いをいたしました。午後に至りまして、極めて寂しい思いをいたしております。それは、二十数年間、県勢浮揚に情熱を燃やして、その弁舌を振るってこられた貴志議員が、きょうを最後にこの演壇から去られることであります。
 あなたは、青年団の昔から弁舌さわやかで、まさに論客と言われるにふさわしい人でありました。この議場から、論客一人去る寂しさをかみしめながら一般質問をやらしていただきましたが、貴志さんは、次への飛躍の戦いにこまを進められるということであります。立場の異なる私は、塩を贈ることも水を贈ることもできませんが、ともに弓矢持って立つもののふであります。貴志八郎先生のせっかくの御健闘をお祈りいたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時二十七分散会

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