平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(木下義夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番木下義夫君。
 〔木下義夫君、登壇〕(拍手)
○木下義夫君 通告した順番に従いまして、一般質問をさしていただきます。
 まず初めに、田辺湾の総合整備開発についてであります。
 その一として、田辺湾における将来整備ビジョンの策定についてであります。
 田辺市は、本県の中央部に位置する県下第二の都市でありまして、最近では各種の大規模なリゾート開発計画を具体化し、田辺バイパスの整備なども鋭意進めており、さらに新南紀白浜空港の建設や高速道路の南伸等のインパクトも踏まえた、紀南の中心都市であります。そして、田辺市の果たすべき役割はますます重要になってきているのであります。
 現在の田辺市を取り巻く動きを見てみますと、田辺定住圏域の整備方向を国際文化リゾート基地とした県の第四次長期総合計画、この地域を紀南アクティブリゾートゾーンとしている燦黒潮リゾート構想、田辺湾海洋牧場構想などによる水産業振興を目指しているマリノベーション構想、南紀白浜空港ジェット化整備を活用した産業振興やリゾート地の形成を図るとしているジェット計画、地域の活性化を目指す田辺市、南部町、白浜町の長期総合計画等があり、それらの計画に基づいて空と陸の交通施設の整備は順調に進められているものの、本来、半島であるがゆえに有利であるはずの海の関連施設の整備は極めておくれていると言わざるを得ません。これからは海の時代とも言われ、海を取り巻くネットワークづくりが図られつつある現在、田辺市においても大型船舶の停泊できるような港湾づくりが急務であると考えます。
 そこで、田辺市、南部町、白浜町で構成する田辺湾岸地域振興協議会は、本年三月、国際文化リゾート基地を形成するため、交通基盤の整備、田辺湾の浄化などの条件整備を前提に、水産業の振興を含む地場産業等とリゾート地の形成を推進することを柱とする総合利用計画を発表しました。また、田辺市では田辺商工会議所港湾開発特別委員会が設置され、各種関係業界よりアンケートをとりながら、田辺市、田辺市議会とも連携を深め、田辺湾の総合利用を模索している現在であります。
 現在の田辺湾を見ますと、大型船舶の停泊できるような埠頭がないため、輸入された外材は沖合で海上投棄されて工場まで運ばなければならず、このことが港湾貨物の流通を大きく阻害し、さらに田辺港湾汚染の大きな原因となっております。
 田辺湾では、現在、丸紅、東急不動産、シータイガーなどによるマリンリゾート計画が具体化され、また芳養地域でもリゾート開発構想が立てられつつあると聞いていますが、一刻も早く田辺湾全体の将来整備ビジョンを立て、港湾、漁港、マリーナなどの機能がふくそうすることのないよう線引きを行い、大型船舶の停泊できるような港湾整備を核とした具体的な整備計画を策定する必要があると考えますが、この点に対する知事の御所見をまずお尋ねいたします。
 二点目、芳養湾における大型港湾の建設についてであります。
 田辺湾の港湾整備に対する私の考え方を述べさしていただきますと、田辺湾東部地域では鳥の巣地域、滝内地域で既に大型リゾート開発計画が具体化しており、文里港を中心に、基本的にはマリーナを中心とした整備を図り、一方、田辺湾西部地域の芳養地域では、大型船舶の停泊できるような港湾整備を図り、その背後地には地場産業の加工団地、旅客ターミナル、総合卸売市場、各種試験研究機関等の誘致をし、田辺地方を中心とした経済発展振興を図るべきであると考えます。つまり、田辺湾東部はマリーナを中心とし、芳養湾は港湾を中心とした機能分担を図ることが最も望ましい整合性のとれた姿と考えますが、この点につき土木部長の御所見をお尋ねいたします。
 これにより、文里港の製材工場は新しい港湾地域に移転が図られ、大型港湾と一体となった製材業の発展が期待され、また文里港の製材工場跡地にはリゾート関連、あるいは都市再開発関連の機能の誘致を図っていくことにより、田辺市の都市機能は極めて強化されるものと考えております。
 次に、教育行政についてであります。
 まず初めに、国際化時代の教育行政についてお尋ねをいたします。
 県の第四次長期総合計画の「二十一世紀を創る人づくり」において、「全面的な国際化時代を迎えるにあたり、その変化を鋭敏な感覚で受け止め、柔軟で創造的に対処できる人づくりを進める」「国際化時代に対応して、諸外国との多様な交流を推進し、本県の国際化を進める必要がある」「国際交流を積極的に進めるため、国際性のかん養を図り、国際化についての県民の自覚と理解を深めるとともに、海外に開かれた意識を培うことが必要である」と述べられている。
 また、今議会で仮谷知事は、西口副知事ともども海外出張して、「海外と技術的、人的な交流を進めることは、本県の発展にとり、大変有意義なことであると考えており、今後とも国際的な視野をさらに広め、国際交流の積極的な展開を図ることが必要であると考えております」と、力強く述べられているのであります。和歌山県の国際化について、いま一度知事の御所見を賜り、その上で次の諸点について教育委員会にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一点、長期総合計画に述べられている国際交流団体の育成についてであります。
 「国際交流活動を積極的に推進するため、国際交流団体の育成を行うとともに、交流団体相互間の連携と協力をはたらきかける」と力強く述べられていますが、国際交流団体育成の現状と県下の高等学校(私立をも含む)に対する留学生の受け入れについてどのように指導しているか、留学生の受け入れが一部の高等学校に偏って、そのことによる弊害が出ているのではないかと心配をしているが、いかがか、教育長にお尋ねいたします。
 また、国際交流団体の育成については、関係の知事公室長にもその御所見を賜りたいと思います。
 次に、六十三年十二月県議会で質問したアシスタント・イングリッシュ・ティーチャー、英語指導助手についてでありますが、現在の和歌山県下のAETの数とその全国水準についてお尋ねをいたし、そのことについての感想を教育長よりお聞かせ願いたいと思います。そして、過去十年間の海外への派遣生徒の人数と海外から受け入れをした人数とをお教え願いたいし、またそれに関する教育長の所見を賜りたいと思います。
 第二点目、二十一世紀に向かって、海を中心に開け行く和歌山県の教育行政についてであります。
 この問題についても、昭和五十八年九月県議会で質問をいたしておりますが、和歌山県における基本的な産業の中で教育の裏づけのないのは水産業だけであり、漁民の子として生まれ育ってきた者としてはまことに残念でなりません。商業には商業高校、農業には農業高校、農業学科があり、林業には林業学科、工業には工業高校があります。二十一世紀に向かって和歌山県は、海を中心として発展していく大きな数々のプロジェクトが組まれておりますが、これらに対する教育の裏づけがありません。
 先日、福井県で全国の水産高校の研修大会があり、大きな成果が得られたようであります。水産高校も時代の進展とともにその学科の編成がえが行われ、例えば福井県立小浜水産高校には海洋漁業科、栽培漁業科、食品工業科、水産経済科があり、現在の和歌山県の水産業の発展のためにもなくてはならない学科ばかりであります。ぜひとも真剣に考えていただき、水産高校の新設または水産関係学科の併設について、知事及び高垣教育長の熱意ある御所見をお尋ねいたしたいと思います。
 昭和五十八年九月県議会でのこの問題に対する当時の高橋教育長の答弁は、次のとおりであります。「水産高校の設置や学科の併設については困難点が多過ぎるように思うわけでございます。しかしながら、御指摘のように、漁業後継者の育成は本県水産業の振興を図る上で重要なことでございます。今後とも関係機関との連携を密にしながら効果的な後継者育成の方途を更に検討してまいるとともに、中学・高校における進路指導に当たっては、水産業への一層の関心を高める指導の徹底を図る所存でございます」とあるが、その後、教育委員会でどのような措置をされたか、お尋ねをいたしたいと思います。
 三点目に、聴覚障害者に対する福祉施策についてお尋ねをいたします。
 この問題についても、昭和六十二年九月定例会で質問いたしましたが、その後の経過を踏まえて再度質問をいたしたいと思います。
 まず初めに、公共機関へのファックスの設置の問題でありますが、六十二年七月現在で設置していた公的機関は病院を含めて八十九件でありましたが、それ以降、民生部長を初め関係者の努力で、平成元年八月十一日まで六十六件の増加をして、合計百五十五件になりました。警察関係は、本部集中管理になり順調に作動しているとのことで、大変喜ばしい限りであります。県関係、市町村関係、消防関係も大体設置されておりますが、残念ながら、県下で未設置の消防本部が五本部あると聞いています。消防本部は、御存じのとおり、県民の生命財産を守り、幸せな平和な生活を確保するのが本来の任務であり、まして障害を持つ方々の幸せを一層念願し、率先してその設置を図らなければならないものであります。
 そこで、未設置の消防本部名と今までの指導方法、そして経過、未設置の理由等を関係部長から御答弁願いたいと思います。そして、一日も早くファックスを設置して聴覚障害者がより安心して社会生活を送ることができるようにしてあげていただきたいと思います。
 次に、ファックス設置についての維持費(リース代を含む)の公費負担の促進であります。
 先日、新聞紙上に、和歌山市消防局が聴覚障害者からファックスで救急車の出動を依頼され、そして患者の救急活動の演習のことが出ておりましたが、これを見て、一歩前進であると心強く思いました。障害を持つ皆さんは、その障害のために十分な経済活動ができず、残念ながら所得水準が低いので、ファックス設置費用の負担が過重になり、のどから手が出るほど設置したくてもできない現状であります。
 この問題についても昭和六十二年九月に質問いたし、引き続き機会あるごとに担当課である障害福祉課に要望しており、近畿府県障害者福祉担当課長会議を通じて、再三再四、厚生省へ要望しているとのことですが、ファックスは現在では普通の家庭でもかなり普及している現状ですので、障害者の明るいあすを実現するためにもぜひ公費負担をしていただきたいと熱望しておりますが、民生部長の答弁をお願いいたしたいと思います。
 ちなみに、聴覚障害者でファックスの必要な方は、平成元年四月で一級の障害の方が二百十九人、二級の障害の方が千八百九十四名で、合計二千百十三人であります。しかし、平成元年七月末現在で約百三十件のファックスしか設置されておりません。六%であります。百人のうちの九十四人が未設置の状態になっております。いかに聴覚障害者の皆さんが熱望しているか、このことを見てもよくわかると思いますので、一日も早く公費負担が実現するような御努力をお願いしたいと心から念じております。
 四番目は、文里港マリンタウンプロジェクト調査についてであります。
 我が国社会は、国際化、情報化、都市化が進む中で、これからの港湾のあり方を探るべく、今、港湾空間に新しい要請が求められております。運輸省と地元が共同で行うマリンタウンプロジェクトが全国の主な港湾で実施されており、文里港もその対象港湾になると聞いております。このマリンタウンプロジェクト調査により、各地の港湾で新しい二十一世紀に向けた海辺の町づくりのための港湾計画が策定され、その一部は既に事業化に向けて進んでいる現状であります。
 本県の持つすばらしい海洋資源は全国に類を見ないと思いますが、とりわけ、南紀の持つ海岸線は、水辺空間の創造を求められる現在、つまりウォーターフロント時代とも言われる中で文里港を眺めた場合、前述したように、その周辺では丸紅、東急不動産、シータイガー等の民間企業による海洋性リゾート開発計画が具体化されつつあり、地域の活性化の弾みとなっております。こうした時代の要請にもこたえていかなければならないと思います。
 また、田辺市にとって基幹産業である木材、水産業等の地場産業が二十一世紀に向けてより一層の発展を見るためには、港湾、港湾物流機能の充実は欠かせないものであると考えます。さらに、文里港が位置する田辺湾の海域は多くの漁業者が操業する、水産面からも重要な海域であります。このような多様な海域利用が要請される田辺湾の開発を考えるに当たっては、海域利用に対して幅広い視点に立って意見を聞くべきであると考えられるが、調査委員の選任に当たっての考え方、また文里港マリンタウンプロジェクト調査の概要とあわせ、調査に対する取り組みについて土木部長の御意見をお伺いしたいと思います。
 また、この調査は田辺市も加わった共同調査であると伺っておりますが、地元には、先ほど申しましたように、数多くのリゾート開発の提案があり、その中で新しい地域の姿を模索し、そして新しい世紀に向けてどのような港湾の開発が市の活性化につながってくるかが問題となっております。田辺市のそうした実情を認識した場合、マリンタウンプロジェクト調査がどのような形で地元の期待にこたえられるかについて土木部長の御意見を伺いたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの木下義夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 木下義夫議員にお答え申し上げます。
 田辺湾の総合開発、特に田辺湾における将来の整備ビジョンについてでございます。
 お話のとおり、田辺湾は田辺を中心とする広域地域の重要な開発拠点だと思うわけでございます。現在、田辺湾には文里港、それから田辺漁港、芳養漁港、こんな形で構成されまして、広域的な地域の発展のために努力してまいったところでございます。
 田辺湾の総合開発につきましては、田辺市長、南部町長、及び白浜町長、三首長から成る田辺湾湾岸サミットをつくっておりまして、ここにおいて、合意を得ての田辺湾総合利用計画基本調査がまとめられたわけでございます。
 県としては、この計画を基本のベースにいたしまして、田辺湾全域を対象とした総合的な港湾空間のあり方、また海洋の利用と一体となった海辺の町づくりに向けて、港湾整備についてお話ございました文里港マリンタウンプロジェクト調査を運輸省、県、田辺市の合同調査の形で実施してまいる所存でございます。
 また、水産関係でマリノベーション計画もございます。そしてまた、地元においていろいろなプロジェクトが起こってまいっております。こうした諸点を踏まえながら、地元と連携を図って、御提言の趣旨を踏まえて田辺地域の港湾の振興を図ってまいりたいと思っております。
 次に、国際化ということでございます。
 これにつきましては、議会において、議員の皆さんから提言をいただき、指導いただいておるわけでございます。私も副知事も、また県会議長、副議長、他の議員の皆さんと一緒に、このたび海外にも出張させていただいたわけでございます。
 御承知のように、和歌山県は海外へ移住の県でございまして、日本の国際化のために、日本人を理解していただくために、和歌山県の先駆者の皆さんがすばらしい功績を上げておるし、また、今後ともなお一層上げてもらわなければならないわけでございます。
 国際化の問題につきまして、お話ございましたように、人づくりの問題については全力を尽くしてまいりたいし、環境づくりの問題も大事でございます。また、議員の皆さんからいろいろ御提言承っております各国との友好提携、こうした問題等につきましても、今後なお一層積極的に進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に教育の問題で、水産高校を新設したらどうか、また併設したらどうかという問題でございます。
 これについては、水産団体からもかねてから要望もございました。また、議会からの提言もございました。これにつきまして、私は教育委員会に調査をお願いしたわけでございます。しかしながら、生徒や父母の考え方というのは、現在、普通科志向が非常に多いわけでございます。そしてまた、和歌山県の中学卒業者で、例えば鳥羽の水産学校等、県外の水産学校へ行っておる数や就職状況等も調べていただいたのでございます。また、お話ございましたように、よその県の水産高校が編成がえしつつあるといった実情等を踏まえまして、非常に難しいんじゃないかという意見があるわけでございます。
 しかしながら、お話のように、現段階において、漁師の皆さんが自分の子供を本当に漁師にさせるために水産学校へ行かしたいのか、そしてまたそのような希望者が大分あるのか、また水産訓練所が現在ございますけれども、それの活用はどうかという問題について、今後とも教育委員会等において十分検討してもらいたいと思っておる次第でございます。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 芳養湾における大型港湾建設についてでございます。
 田辺地域の発展のためには、港湾の持つ役割が今後一層重要性を増すものと考えられ、船舶の大型化、物流形態の変化等に適切に対応しつつ、港湾背後の都市活動とも整合のとれた港湾の整備が求められているところでございます。
 議員御提案の、芳養湾における大型港湾の建設に関してでございますが、県の長期総合計画とも連動させながら、田辺湾全体が調和のとれた総合的な開発計画を策定する必要があります。現在、こうした視点に立ち、その調査研究に取り組み、マリンタウンプロジェクト調査を進めているところであります。マリーナを含む港湾整備、とりわけ大型岸壁の整備につきましては、気象、海象、水域利用、さらには地元ニーズなどの把握に努め、総合的な見地から検討してまいりたいと存じます。
 次に、マリンタウンプロジェクト調査でございます。
 これは、現況分析、将来動向の把握、基本方針の策定、基本構想の策定等について検討を行い、さらに実現化に向けての今後の課題を整理し検討するものであります。調査の実施に当たっては、議員御指摘のとおり、海域利用について幅広い視点に立つことが必要であると認識しており、その方向で調査に取り組んでまいるとともに、その意味からも、計画分野の学識経験者を初め地元財界、水産業を含む関係業界の方々や関係機関で構成する調査委員会の指導を受けつつ進めることといたしております。
 また、この計画の田辺市における意義でございますが、田辺湾を含む周辺における大型開発プロジェクトは数多くありますが、これらのほとんどが海域の利用を含んだもので、水辺が注目されていると言えます。
 そうした中で、古くから港湾を中心に栄えた田辺市に新しい時代の要請にこたえた地域整備が求められています。木材や水産加工業などを中心とした伝統的な地場産業や、田辺湾を含む周辺の新しい開発にも対応した秩序ある海域利用が今後の田辺市の発展を左右するものと考えられます。海からの発想を原点としたマリンタウンプロジェクト調査は、田辺市の将来を考える際に重要な位置を占めるものと考えられるところであります。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 御質問の国際交流団体の育成についてでございます。
 国際交流団体は、現在、県内に四十団体ございます。それぞれ、各分野で国際交流の推進に積極的に活動いただいてございます。
 県としては、これらの団体に対して情報の提供や交流事業への参加の呼びかけなどを行ってございますし、また運営費の助成も行っている団体もございます。
 今後、県内各地域における国際化へのニーズにこたえるとともに、国際交流団体相互のネットワーク化を図る中核的な組織として、和歌山県国際交流協会──仮称ではございますが──の設置を検討するなど、国際交流活動の積極的な、また新たな展開を図ってまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 消防本部へのファックスの設置については、かねてより御指摘もございまして、その促進に努力しているところでございます。
 現在、本県では消防本部が二十一ございますが、そのうち十五消防本部で既に設置がされております。また、一消防本部においては今年度中に設置を予定しているところでございます。
 残り、未設置の五消防本部は、橋本市、高野町、白浜町、大辺路消防組合及び串本町の各消防本部であり、それぞれ役場と共用しているのが現状でございます。
 このうち、幾つかの本部においては近く設置する方向で検討が進められていると聞いておりますが、残りの幾つかの本部についても、障害を持つすべての人々への対策も必要ということもあって、ファックスの設置も含めた広い角度から総合的な対策を検討中というふうに聞いております。
 今後とも、鋭意、設置促進について協力を要請し、指導してまいりたいと考えているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) ファックスの設置の問題についてでございますが、聴覚障害者にとっては、非常に重要なものと認識してございます。
 議員御質問の公共機関へのファックスの設置の促進でございますが、関係機関に協力を要請し、病院、警察、消防署等の公共機関への設置に努めてまいりましたが、未設置の消防署等については、総務部と協調しながら対処してまいりたいと考えてございます。
 次に、ファックスの維持費公費負担の促進についてでございますが、利用者の負担軽減を図るよう、国に対して強く要望してきたところでございます。厚生省において、平成二年度の概算要求の中で、利用者である聴覚障害者が無料でファックスの貸与を受けられるように検討されているところでございます。その内容を見きわめながら対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 教育行政に関する御質問について、お答えをいたします。
 まず、国際交流団体の関係でございます。
 国際交流団体を育成することは、国際交流を円滑に推進するための基盤づくりという観点から大切なものであるということをまず考えてございます。
 現在の留学生の派遣、受け入れでございますが、主として高校生国際交流協会を通じて行っており、その育成については県費補助を行うとともに、留学生との交流会の持ち方等について指導助言を行っているところでございます。
 過去十年間の海外への留学生は、期間が一年以上の派遣総数については百五十六名でございまして、一方、海外からの受け入れ総数は八十四名ということになってございます。
 この派遣に対する受け入れの割合でございます。
 これは全国に比べると高い数値になってございますが、議員御指摘のとおり、受け入れ高校に偏りが見られるわけでございまして、問題点もございます。国際理解教育推進の観点から、こうした問題点を踏まえ、広く留学生を受け入れる体制づくりをするよう、県立の学校長に対してさらに指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、いわゆる英語圏からの英語指導助手についての御質問でございます。
 昭和六十二年度は三名、六十三年度が十二名、本年度十六名と、年々その増員を図っていただいておるところでございますが、全国的な状態を見ますと、なお課題も残されているところでございまして、この事業の重要性にかんがみ、今後とも一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、先ほど知事から答弁ございましたように、水産高校における全国的な状況について見てまいりますと、全国のいわゆる単独の水産高校の多くが商業の科目を履修する科目に転換をしている現状でございます。
 本県においても、高校卒業後、水産関係に従事する者が極めて少ない状態でございます。さらに、生徒の急減期を迎える現状から、水産高校の新設、さらにまた水産学科の設置については困難な状況でございますし、我々としてはなお検討をすべき問題であることは十分理解をしてございまして、今後検討もさしていただきたいと思いますが、今申しましたように、そういった現状の中からは極めて難しい問題でありますことを御理解いただきたいと存じます。
 しかしながら、御指摘のとおり、後継者問題を含め、水産関係への理解教育は大切であると考えてございまして、農林水産部や県の漁業協同組合連合会などの関係機関と共同し、小学校五年生用の社会科参考資料、いわゆる「わかやまの農林水産業」を作成するとともに、啓発テレビ「串本の漁業」等を通じ、水産業への関心を高める指導の推進を図っているところでございますが、今後ともこうしたことについて一層努力をしてまいりたいと考えてございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 27番木下義夫君。
○木下義夫君 幾つか答弁をいただいたわけですけれども、まず聴覚障害者に対するファックスの問題です。
 これは総務部長、六十二年の九月に質問したんですよ。きのうやきょう、したのと違うんです。もう二年たっているんです。僕は、日ごろから総務部長を非常に尊敬しておる。それも、心から尊敬しておる。大変な手腕やと思っているのやけど、これだけなぜせんのかと。
 特に警察は、やっぱりすぐやった。警察も消防も、同等か、ひょっとしたら消防の方が日常生活に密着している。──ある面ではですよ、全体ではないです。
 特に、障害者に対しては消防の方が密着している中で、ファックスの設置ができんというのは不思議でかなわん。それも、大きな費用が要るんじゃないんです。普通の家でも、もうファックスはついてるんですよ。そういうふうな中でこういうふうに時間をとっているというのは、多少どこか熱意に欠けるところがあるんじゃなかろうかと、こういうふうに懸念をいたしますので、ひとつそこらを、もし欠けるところがあればそれを埋め合わせいただいて、やはり障害者の皆さんに明るいあすを与えていただきたい、このように思いますので、その点、もう一度、部長から答弁をお願いいたしたいと思います。
 それから、国際交流の基盤は国際交流団体の育成であると教育長は言われましたけれども、この国際交流団体の基盤育成がどのように行われているか。今、県費補助をしているというふうな話なんですけれども、まあ、ここで余り大きな声で言えんようなものでもあります。
 そして、行政の基本は何であるか。僕は、時代の要請、時代の流れの先取りをしたところに行政があるんであって、時代の後からちょろちょろついて行くようなことでは行政ではない、このように思っておるんです。
 今申しましたように、過去十年間に留学したのが百五十六人、留学生の受け入れが八十四人という数字を挙げられましたけれども、この均整のとれた教育施策が行われているかどうかという質問は、本当に行政と民間のボランティアの方々との間でも均衡がとれているかどうかということ。今、見ますと、ほとんどボランティアへしわ寄せがいっている。
 ところが、長計を見ると立派なことを書いてある。そういうふうな中で、もっと、本当に時代が国際化を目指している──AETの問題でも、六十二年は三名、六十三年は十二名、六十四年は十六名と言いますけれども、これは全国水準から見たらまことに恥ずかしい水準であります。特に、我が県は関西国際空港の十五キロ以内で、関西国際空港を利用、活用して世界に開かれた和歌山県をつくると言っている。その関係県のAETの数を見てみますと、大阪は五十三人ですよ。兵庫県が八十七人。ちょいちょい開かれている紀伊半島三県サミットの関係を見てみますと、奈良県が二十五人、三重県が三十二人です。和歌山県は市町村の二人を入れて十八人なんです。どこを見ても、これで本当に心から国際化を願っているかどうかということになると、僕はどうも懸念を持つ。
 その辺のところを、まあ、教育長は余り健康がすぐれませんので、答弁をいただくとちょっとなにやと思いますので、要望にいたしますけれども、ひとつ関係者の意のあるところを酌んでいただいて、今後の行政に反映していただきたい。余り言いわけのせんようにしていただきたいと思います。
 それから、水産高校、水産学科の問題ですけれども、これもやっぱり時代がそういうふうになってきている。和歌山県はこれから何を中心にしていくか。今までは、いわゆる高速道路、新幹線から外れていることが和歌山県のおくれた原因であるということになっている。ところが、もう新幹線はリニアモーターカーに変わろうとしている。リニアモーターカーを紀伊半島へ引っ張ってこいと言うても、幾ら仮谷知事が偉くても引っ張ってこれませんよ。
 そうしますと、やっぱり海を中心にして生きていくというふうな、長計にあるようなことを中心にして行政を展開してもらわないかん。発想の転換というのが非常に大事である。今までこうだったからこうやというのではなしに。それと、やっぱり行政の指導性というのを発揮してもらわなならん。アンケートをとったらこうやと言うだけで終わりだったら、しようがない。そこはひとつ、教育長、健康に留意されて頑張っていただきたい、こういうふうに思います。
 それでは、総務部長、代表してひとつ再質問に対する答弁を願います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 消防本部へのファックスの設置につきまして、警察の場合は県の機関でございますが、消防本部なり広域組合が市町村ということもありまして、私どもその趣旨を理解してもらえるものと期待していたわけですが、御指摘のような結果でございます。
 さらにもう一度、指導を強化したいというふうに思っております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、木下義夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十四分休憩
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