平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浜口矩一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○副議長(宗 正彦君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 ちょっと時間が超過いたしましたが、質問をさせていただきたいと思います。
 私は、原発問題についてこれまで、一般質問のたびごとと申しても過言でないくらい質問を重ね、御所見を伺ってまいりましたが、全国的な「反原発」「脱原発」を求める層の広がりとその高まり、また事故被害の深刻かつ広範さ、被害影響の長年月さ、それに特異性等々より、今や国民ひとしく注視の重要課題となっているとの観点から、きのう同僚・森議員の質問もございましたが、日高町における現状と町政の動き、それに日置川町における現状等々、将来を憂うるの余り、重複を避け、以下、質問いたします。
 原発を語る場合、何よりも大切なのは安全性の問題ですが、その安全性考察の場における一つの中心項目たる事故分析考察に関連して。
 我が国では、依然として事故続発の現状であります。それらの事故検討判断の具体的なよりどころの事実とも申すべき、その後明らかにされているチェルノブイリ事故の実情は、将来を考える場合、教訓とも申すべき重大性を秘めていると考える一人ですが、結論的には破局的な災害の実相を示しているという事実認識の具体的な立証であります。
 具体的事例として、当初、被害は三十キロの範囲と言われておったのが、その後のプラウダ報道によると、自然放射能の七十倍以上に及ぶ放射能汚染は三十キロを優に超えて相当広範囲に及んでいる。例えば、髪の毛が抜けた女の人がいるという事実の示す汚染の広さは、チェルノブイリ事故報告の三倍ぐらいの被害実態である。加えて、一年ぐらい居住すると被曝は倍増するとも言われています。また牛乳の汚染についても、報告は過小評価であり、実態は報告の三倍ぐらいにふえることは確実と見られております。その上、死亡の実相についても、いわゆる外部被曝による死亡は約六千人、内部被曝による死亡は三万四千人の見込みと言われていますが、これも十万人ぐらいの被曝死と見るべきである。その根拠は、被曝後三十七年ぐらいががん死のピークとの事実を現状より類推しての積算結果とのことであります。
 これら、日を追うに従って深刻化している周辺地域の被害の実情に加えて、国境を超えた地球規模とも言える災害との事実。すなわち、直後の四月二十九日にはスウェーデンを襲い、その後南進。これは御承知のとおりであります。事故により外部に放出された放射能の量についても、ソ連の発表では四%ぐらいと言われていますが、これも全放射能の一〇%ぐらいと積算されております。それが大きな影響を与えているわけであります。しかも、これは定説であると私は聞き及んでおる次第でございます。
 次に、このようないわゆる想定不適当事故が相次いで出現したという事実についての考察であります。
 すなわち、一九七九年にスリーマイル島原発で炉心溶融事故、続いて一九八六年にチェルノブイリ原発で原子炉暴走事故が発生した。この二つの大事故発生により、「発生確率が一千万年に一回以下の事故は想定不適当とする」との事故考察についての前提は完全に崩壊しただけでなく、免れない事故の法則として、一、大事故は思いがけない形で発生・進行し、多重防護の壁ももろく崩れて重大事態に至ること、二、一九八七年五月のチェルノブイリ事故についての見解公表──これは、我が国での「このような事故は起こり得ない」との言い分の根拠とされている由、伺っております。また、この見解に関連してハインリッヒの法則、すなわち大事故の前には「その寸前」といった事故が幾つかあり、またその背後には多くの目立たない小事故がある。したがって、大事故が起こった後には、またそうした事故が起こっても当然ということになり、いわゆる共通モード事故が心配されます。この場合、すべてを取りかえるか稼働をとめる以外に道がないことを如実に立証していると考えますとともに、これらの事実認識と関連して、大事故の背景には経済優先と安全過信を招く経済的、社会的要因のあることを憂慮する一人であります。これは過剰な憂慮なのか、その分析をも含めて当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 次に、これらの事故考察と関連して、ソ連チェルノブイリ原発事故に関する我が国原子力安全委員会の見解公表直後から実に十五件に及ぶ、ぞっとするような事故が多発している事実について、安全性確保の観点から事故の概要とその原因について大要を提示し、当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 まず、多発の状況を申し述べますと、第一は、一九八七年七月、高浜一号で原子炉冷却水循環ポンプが異常振動。その原因は、定期検査短縮の違法工事のため。
 第二は、同年十月、敦賀一号で原子炉出力が異常上昇。原因は、運転手順書にない操作のため。
 第三は、同十月から判明した、美浜二号ほかの制御棒の損傷。原因は、予想より早い老朽化によるとか。
 第四は、翌八八年二月、浜岡一号で発生の、無停電電源の停電による再循環ポンプ停止。これも、予想より早い老朽化が原因とか言われております。
 第五は、同年三月より判明の、大飯一号ほかの原子炉冷却水循環ポンプのボルトのひび割れ。原因は、設計ミスと過信。
 第六は、同年六月発生の、伊方一、二号の原子炉から約一キロの地点に米軍大型ヘリ墜落。これは、米軍の飛行制限無視によるとのこと。
 第七は、同年六月の、玄海一号における大口径原子炉配管にひび、蒸気漏れ。原因は、設計、検査の不備。
 第八は、その後六月発生の、伊方一、二号からわずか一・五キロの地点に米軍ヘリコプターの墜落事故発生。原因は、米軍の飛行制限無視とか。
 第九は、続く八月判明の、高浜二号における蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これは原因不明。
 第十は、翌九月発生の、浜岡一号における原子炉底部貫通配管にひび割れ、漏水。原因は、溶接管理の不備と老朽化。
 第十一は、翌十月、大飯一号で判明の、前々回の高浜二号と同じく蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これも原因不明。
 第十二は、今年一月発生の、福島第二、三号炉の原子炉冷却水再循環ポンプの大破損事故。原因は不明だが、原子炉の運転継続の優先が事故を拡大したとのことであります。
 第十三は、本年三月、福島第一、五号炉で再循環ポンプの回転軸にひび。原因は、温度差による熱応力。
 第十四は、続く翌四月発生の、島根二号での再循環ポンプの回転数急低下。原因は、制御回路リレーに砂粒。
 第十五は、同月発生の、玄海一号における蒸気発生器内の伝熱用配管の多数が損傷。これも原因は不明です。
 以上のとおりでございますが、考えなければならないそれらの事故の特徴として、第一に、予期しない事故の発生であること。その上、第二点として、同型炉に共通の事故であること。このような観点から申し上げますと、無理な運転が事故原因の例としての福島第二、三号、同様事故寸前の敦賀一号の事例も注目に値すると思います。加えて第三点として、予想以上の老朽化の進行が事故原因と見られるものが三件あるということでございます。
 私は、これらと関連して、一九八八年八月、米原子力規制委員会ロジャース委員の原発の老朽化に関するシンポジウムにおける発言に見られる、同規制委員会の憂慮事項とも解されかねない内容について、前述の事故・故障の事実検討と絡め、問題視の要ありと考えますので、若干時間をいただき、発言内容を申し述べたいと思います。
 それは、「原発の重要な安全系は単一故障に対応するよう設計されており、プラント全体を高水準品質の部品でつくってある。しかし、原発のプラントの劣化や老化の進行で一つの出来事が多数のつまずきを同時に引き起こす、いわゆる共通モード故障・事故のことを案じている。この種の事故は、同一部品の多数、例えば蒸気発生器細管が同じように劣化していて、そろって突然に破損するといった場合に起こる。劣化によって安全余裕が減少しているから、我々が弾丸を詰めた銃を持ち歩いているように、事故が突然起こるのを待っている状況である」云々との言であります。
 私は、この考え方に立って、先ほどの十五件に及ぶ国内事故を考えたとき、言われる「今度の大事故は日本」との国際的な発言とも絡めて、重大事の到来を──これは国際的に言われていることであります──真剣に考えなければいけないという思いとともに、当然の措置である、すべての部品を取りかえるか稼働をとめることの必要の緊急性を痛感する次第でありますが、現にすべてが稼働しており、部品取りかえの措置も、遺憾ながら聞いておりません。これらの現状認識について、県当局はどのように考えておられるか。あわせて、以上の事故続発にもかかわらず、それでも言われる「我が国原発の安全性は確立されている」との現状把握であれば、その判断の具体的な根拠をも含めてお答え願いたいと思います。
 次に、関連する国内関係機関、電力会社等の対応の実例として、現在、欠陥明白で後続同型炉でも採用されていないものを「それなりに安全」として放置している一例を挙げれば、中性子照射による脆化を受けやすいとされている原子炉圧力容器をそのまま使用している美浜一号炉、また原子炉格納容器の小型化のために一次冷却材喪失事故時の耐圧性が低いと指摘されながらそのままの沸騰水型十九基中十二基と、加圧水型では大飯一、二号炉、緊急炉心冷却装置関係では、硼酸析出のため不作動の危険性指摘の美浜一、二号、玄海一号と二号の三、伊方一、二号炉等々、関係学者や専門家が指摘しておるとおり、これが「常識化の放置」の実例であります。この件に関しては今後の対応に注目することといたしたいと思います。
 最後に、県内における原発立地をめぐる日高町町政の場での対応、また日置川町での一部推進側の動き等の問題について。
 きのう同僚・森議員の質問ですべてが尽きたと考えるわけでございますが、なおかつ伝えられる報道のとおりの事実であるとすれば、住民の思想・信条の自由と町政とのかかわり、また水協法に基づく漁協の取り組みとの関連等々、民主主義の基本にもかかわりかねない問題点を含む重大事である。それゆえ、県民からの話し合いの要請、拒否の件も含めて、当然のこととして県対応が求められるべきと存じますが、もしこれについての県の御見解があれば、あえてお尋ねいたしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
○副議長(宗 正彦君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 私から浜口議員に、日高町における原発立地海上事前調査の受け入れをめぐる町政への対応について説明させていただきます。
 原子力発電所につきましては、かねてから申し上げておりますように、適地性・安全性・地元の同意の三原則を堅持していることは御承知のとおりでございまして、このたびの日高町の件に関しても、この原則に基づいて今後対処してまいりたいと思っております。
○副議長(宗 正彦君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電所問題に関する五点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、ソ連チェルノブイリ原発事故被害の実態についてでございます。
 昭和六十二年五月二十八日付、原子力安全委員会・ソ連原子力発電所事故調査特別委員会発行のソ連原子力発電所事故調査報告書によりますと、一九八六年四月二十六日の事故発生により、二百三名が急性放射線障害で入院、うち二十九名が死亡、ほかにやけど、行方不明等を合わせて死者三十一名、避難した人々は発電所周辺三十キロメートル圏内の住民十三万五千人、西ヨーロッパ諸国では飛散した放射能の影響から植物摂取制限等の防護対策がとられた等の概要報告がなされてございます。
 なお、その後の影響等については政府としても注目をいたしてございまして、既に電力会社と合同で現地調査を行うなど、その成り行きに大きな関心を寄せていると聞いてございます。
 県といたしましても、こうした政府の取り組みを見守りつつ、調査結果等、情報収集に努めてまいりたいと考える次第でございます。
 第二点は、想定不適当の事故の考え方についてでございます。
 大事故は起きないと言われていたにもかかわらず、チェルノブイリ事故とスリーマイル島事故が起きたじゃないかという御質問でございます。
 スリーマイル島事故は、万一の事故の際に原子炉を冷やすために設けられている非常用炉心冷却装置が作動したにもかかわらず、運転員の誤った判断により切られてしまったために発生した、主として運転員の規則違反が原因の事故であります。
 チェルノブイリ事故は、安全設計上の基本的な欠陥に加え、意図的に重大な運転規則違反が行われたことによるものであるとされてございます。
 いずれも、我が国では起こり得ない事故であるとされてございますが、さらにこれらの事故を教訓として生かす意味から、スリーマイル島事故の際には国内の原子力発電所の総点検が行われ、新たに五十二項目にわたる安全審査上の事項が摘出され、現在までにほとんど措置されてございます。また、チェルノブイリ事故の際には、人と機械とのかかわりや事故時における通報連絡などの防災計画の重要性が再認識されてございます。それぞれが我が国の原子力発電所に着実に反映された結果、安全性の向上が一層図られたと聞いてございます。
 県といたしましては、このような想定し得ない事故が、我が国はもとより世界じゅうにあってはならないと考えてございますので、政府の対応、国際的な動向を注意深く見守りながら安全の確保を強く求めているところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、昨年八月二十二日に資源エネルギー庁長官及び関西電力株式会社社長に対し、より一層の安全確保を申し入れたところでございます。今後も、引き続きこの姿勢で対処してまいりたいと考えてございます。
 第三点は、免れない事故の法則についてでございます。
 一つの事故は、同時に同様の事故を引き起こし、結果として大事故につながるという「免れない事故の法則」についてどう考えるかとの御質問でございますが、特に我が国の場合、初期段階における事故・トラブルについても、これが発生した段階にあっては技術的に適切な対策を講じ、事故防止のために万全を期すことになってございますので、必ずしも大事故につながることはないとされてございます。また、こうした際には、いささかなりとも経済性を優先させることなく、安全性の追求を最優先して対処すべきものと考える次第でございます。
 第四点は、我が国における続発する事故の分析と安全性についてでございます。
 我が国では、原子力発電所が事故を起こさないようにするために、まず第一に、設計において、機器の故障・破損といった事故の原因となるような異常を極力防止するための対策が講じられてございます。運転を開始した後においては、定期的に機器の分解点検を行ってございます。異常が発生した場合のため、自動監視装置や原子炉緊急停止装置が設置されてございます。万一、事故が発生した場合には、多重防護措置等により、周辺の人々に影響を及ぼすような大事故に至ることはないとされてございます。
 最後に第五点は、日高町における海上事前調査をめぐる町政の対応についてでございます。
 原発立地に関する県の基本姿勢については先ほどの知事答弁のとおりでございますが、日高町の意識調査につきましては、昨日、知事が森議員にお答え申し上げましたように、実施に際し、住民の基本的人権は守られるべきであると考えてございます。
 また、比井崎漁協への事前調査の申し入れにつきましては、町長が町の将来を考え、また地元からの要望を受けてのことであると考えてございます。
 なお、県の対応につきましても、昨日、森議員にお答えいたしましたように、日高町の独自の判断でなされたことでありますので、県としては、その間の状況に応じた対応をしがたいと御説明を申し上げたところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 まず、チェルノブイリ事故の被害実態についてでございます。
 昭和六十二年五月二十八日付の被害の概要報告によると死者三十一名云々、その後の調査あるいはまた情報収集を待って慎重に検討を加えておるというような企画部長の答弁でございますが、被害が非常に広範囲にわたっている。例えば、先ほども申し上げたように、毛の抜けた女の人の事実から考えても、常識的に報告の三倍ぐらいの被害ではないか。さらに、一年ぐらい居住すると被害は倍増する。また死亡の実相についても、今後ますますふえていくということ。これは、がん死のピークを見てもわかると思います。
 そういうようなことを考えますと、非常に膨大な数に上ることは必至だと私は自信を持って考えるわけでございますけれども、この問題は重要な問題でございますので、今後より一層注意深く見守り、御検討を要望したいという形で、今後の課題といたしたいと思います。
 次に想定不適当の事故の考え方についても、大事故であるスリーマイル島、チェルノブイリでの事故原因、またスリーマイル島事故後の五十二項目にわたる措置、チェルノブイリ事故後の安全確保対策が着実に施行されているに加えて、これら二つの事故はあってはならない事故との考え方に立って政府が対応しておる、また国際的な動向をも注意深く見守っているとともにそれぞれ一層の確保を申し入れた旨、さらに今後も引き続いて安全確保に向かって対処していきたいとの御答弁でございます。私は、そのことは一応認めるといたしましても、想定不適当の事故が起きているという現実、その認識に立っての周到な対応が必要であり、またそれゆえに二度とこういう事故を起こしてはならないという認識に立った対応が何物にも優先しなければならないと考えますが、これも将来の問題でございますので、県の対応を注目いたしながら要望といたしたいと思います。
 第三番目の免れない事故の法則については、我が国では初期段階の事故・トラブルも発生の段階で技術的な対策等万全を期しているので必ずしも大事故につながらないとのことですが、国外の事故例を見ても、既にハインリッヒの法則が立証されている。私は、これを重視すべきだと思います。この問題についても、前の問題と同じように将来の課題としたいと思います。
 あわせて、経済性よりも安全性優先とのお考え、これは評価いたしますが、このことについて、ぜひ政府なり企業側に十分な対応を要望していただくよう、お願い申し上げたいと思います。
 続いての、我が国における続発事故の分析と安全性の質問については、機器の設計や運転員の定検、異常発生の場合の各種の措置等々で事故には至らないとの御答弁ですが、私が先ほど提示した十五件の特例、これも提示申し上げたと思いますけれども、その中には無理な運転で三件の事故例がある。予想以上の老朽化も三件。これが現実に指摘されておるんです。これも、欠陥は明白にかかわらず「安全」として放置されている実情であります。さらに、配管溶接部の応力腐食とか旧式格納容器の欠陥。加えて、老朽化が著しく実質耐用年度を超過し、現実に廃炉要求が高まっておるところの高浜一号、美浜一号、玄海一号。これに関連しての安全過信の実情。それに法的な廃炉基準の問題等々。
 もう一つ申し上げます。これはアメリカの例でございますけれども、御承知のスリーマイル島大事故の一年半前に、同じ型のデービスベッセ原発でスリーマイル島とそっくりの事故が起こっております。しかし、これをただバルブの故障によるものとして見過ごした結果、スリーマイル島大事故が起こったんだと。これも学者の常識でございます。
 こういうようなことを考えましたときに、これらをどのように検討した中で「大事故の危険性がなし」と結論づけたのかお伺いいたしたいと思いますが、これも時間の都合もありますので、もし御答弁がございましたらお願い申し上げ、残余のことについては将来の課題にいたしたいと思います。
 最後に、日高町における県の対応については、知事は、三原則を堅持、この原則に基づいて対処する、また企画部長も、きのうの森議員に対する答弁と同じような御答弁ですが、行政論における立場論だけでは済まされない、重大問題に発展するおそれがある。例えば、廃案の問題その他について。これは、森議員も、思想・信条の自由の侵害というような形で指摘しておりました。私は、今後の成り行きについて、ただ日高町のことだから対応に注目しているということでなしに、それに従うところの、対応するところの周到な県の措置というものをぜひお願い申し上げたい。これも要望にとどめて、一点だけ、もしあったらお願い申し上げたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 事故に対する認識の問題についてでございます。
 我が国の原子力発電所で発生している事故・故障は、幾つかの分類がされると思います。一つは、運転員が異常を見つけ、点検のために原子炉を手動停止したもの、また一つは、異常信号をキャッチして自動停止したもの、あるいは定期点検中に異常な兆候を見つけて修理したもの等々ございます。しかし、大事故に至るものではないとされてございます。
 また、定期検査の際、劣化等の兆候が発見された場合や、国内外の事故・故障の情報に基づいて予防保全の措置が必要であると判断された場合は、部品を取りかえるなど、常に健全な状態に修復していると聞いてございます。
 しかし、安全性は何にも増して重要と存じますので、昨年、資源エネルギー庁長官、関電社長にも申し入れたところでありますが、今後とも引き続き、こういう安全重視の姿勢で対応してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──再々質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 御答弁によると、我が国の原発での事故は、異常をキャッチして自動停止したとか原子炉を手動で停止した、あるいは定期点検中で見つけたとか、それで大事故に至るものでないとされているということでございます。しかし、アメリカで起こりソ連で起きた、次は日本だと、これは世界の原発を考える人たちの常識とも言える言であると、私はそのように聞いている。
 それから、先ほど申し上げたような事故、あるいはこれまで私が逐一申し上げた事故については、原因不明とか老化によるというようなものもあるし、あるいは手順書にない運転操作というのがある。
 もう一つ申し上げます。昨年夏の反原発行動で、私たち代表がそれぞれ関係官庁と交渉を持ちました。通産省に参った県の代表、名前も申し上げましょう、汐見氏の奥さんが通産省との交渉で、「皆さんは原発は絶対安全だと思いますか」とお尋ねしたところが、「絶対安全だと思わないけれども、運転員その他、安全に配慮しておるから安全が保たれると思います」と、このように答えられているんです。その運転員が誤操作をしているんです。あるいは、老朽化とわかっておりながら、これも先ほど申し上げたのでもう申し上げませんが、わかっておりながらそのままにしているんです。そういうような事実をもって、果たして事故が起こらないと結論づけられるのかどうか。
 皆、事故が起こると思って今までやってきたんじゃないんですよ。事故が起こらないと思ってやってきたんだけれども、大事故が起こった。しかも、国際的な世論としては、もう申し上げませんが、スウェーデン、オーストリア、その他の西欧諸国、あるいはアメリカでも、「脱原発」の方向に動いているという事実もあるわけなんです。それは、いわゆるエネルギー提供の費用の問題ではなしに、やはり安全性の問題からである。そういうようなことを考えたときに私は非常に心配するわけなんですが、それでも絶対に大事故は起こらないと確信していらっしゃるのかどうか。もし御見解があれば、お答えいただきたいと思います。
○副議長(宗 正彦君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ソ連、アメリカで大きな事故がございましたが、そういう反省のもとにいろいろ反映した結果、我が国の原子力発電所は一層安全性の向上が図られたというふうに聞いてございます。しかし、県といたしましては、想定し得ない事故が、我が国はもとより世界のどこでもあってはならないと考えてございますので、政府の対応、国際的な動向など注意深く見守りながら、安全性の確保を強く求めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(宗 正彦君) 答弁漏れありませんか。──以上で、浜口矩一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(宗 正彦君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後四時四十二分散会

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