平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(尾崎要二議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 お許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきたいと思います。
 今回の私の質問は、県内各地に大きな傷跡を残した九月の豪雨災害に対する対応、農山村地域の現状と今後の取り組み、県勢の浮上をかけている関西新空港開港に向かっての県の地域整備計画の進捗状況について、以上の三点であります。
 今回、我が和歌山県に大きな被害を及ぼした、九月二日から七日にかけての秋雨前線による集中豪雨と、九月十九日の台風二十二号の被害の対応についてであります。
 まず、台風二十二号による大雨のために授業が打ち切りとなり、帰宅途中の和歌山市安原小学校五年生の児童が増水した用水路に転落し、とうとい命が犠牲となられました。心より御冥福をお祈り申し上げたいと思います。その他、県内各地で土砂崩れによる家屋の損傷、床上・床下浸水、道路など交通網の寸断、また農業関連等、被害を受けられた皆様に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 また県においても、和歌山土木、海草県事務所の職員が、雨も降りやまぬ中で、睡眠もほとんどとらず災害の対応のため各地域へ出向き熱心に活躍してくれたことに対し、高い評価をしたいと思います。御苦労さまでございました。
 雨が降ると不安で眠れない夜を過ごさなければならない災害箇所もあり、一刻も早く対応して県民の不安を取り除くことが肝心であると思われますので、当局のなお一層の配慮を求め、これに対する所見をお伺いしたいと思います。
 今回の土砂崩れの現場を私も何十カ所か回らせていただきましたが、ふだんよりの水路の管理が災害予防のために特に重要であると感じました。しかし、小さな水路まですべて県や市町村で管理していくのは不可能であると考えますので、この際、「県民の友」などを通じて広く県民の理解・協力を求めてはどうかと思います。あわせて当局の答弁を求めます。
 そして、要望でありますが、県内の危険箇所の一斉点検と、悲劇を繰り返さないためにも、通学路にある県道で冠水の可能性が高い箇所については、水路側にガードレールやそれにかわる目印になるポール等を早急に設置していただきたいと思います。
 それから、教育長にお尋ねをいたします。児童生徒を警報下において緊急下校させる時間の決断が大変難しいように思いますが、教育委員会としてどのような指導をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 次は、農山村地域の現状と今後の取り組みについてであります。
 本県は総面積の八六%が森林及び農地で占められ、農林業、畜産など第一次産業の振興こそ、県勢発展のための最大課題であると考えます。しかし、牛肉、オレンジ等の輸入自由化や国内における産地間での競合により、本県の農山村地域では若者による人口流出のため深刻な過疎化が進み、大変厳しい状況が続いています。現在の都市部に集中する人の流れを食いとめ、県土のバランスある発展と、そして県民の皆さんがそれぞれの市町村を愛し、親と子、おじいさん、おばあさんが自分に合った役割を担いながら、自然の中で自信と誇りを持って農林業に従事していくことができる地域づくりを推進することが、本州最南端に位置し、半島である本県における今日的課題であると思います。
 本県の総面積の中で、標高二百メートル以下の地域の面積は約四割であります。この標高二百メートル以下の四割の土地については、宅地や企業誘致についても可能性が高く、農業においてもハウスなどの施設栽培や露地栽培にも比較的簡単に取り組むことができるわけであります。
 例えば、果樹の栽培について調べてみますと、ミカンの適地については標高二百メートル以下となっており、柿の平核が三百メートル、富有柿が二百メートル、梅も二百メートル以下であり、桃、スモモ、ブドウについては百五十メートル以下が適地と言われております。このことからも、かんきつ再編対策において不適地と農家が判断した多くの果樹園が標高二百メートル以上のところであり、他作物に転換することにも不安を抱きながら悩んでいるのが現実であります。
 これらのことから、県土全体の六割を占める標高二百メートル以上の地域における農林業やその他の産業が問題となってまいります。特に、今後、県土の六割にも及ぶ土地の有効利用について真剣に取り組まなければ、高齢化が進み行く過疎地域、農山村地域の活性化はなお一層厳しくなっていくと言わざるを得ません。
 飲む水がまずく、空気も汚れ、騒音の激しい大都市に人が集中していき、その反面、空気がきれいで、緑が多く、騒音もない清流の町や村から人が出ていく。まだまだすばらしい自然が残っている地域が過疎になり、自然の姿が見受けられないほど開発された地域において特に人口がふえていく。そのような大都市に好んで住む人が、たまに地方に出向いてきてまで開発より自然環境の保護について声を張り上げ、そのすばらしさを叫んでみても、それに背を向けて若者が出ていく現実を見るたびに、政治に携わる一人として深く考えさせられるような次第であります。これらについて、知事の感想を求めたいと思います。
 当局におかれても農道・林道整備や各種の事業について熱心に取り組んでいることはよく承知をしているところでありますが、今なお現実に進んでいく過疎の姿に「何かの方法を考えていかなければ」と思うのは、私一人ではないと思います。
 これから幾つかの例を挙げながら、農山村の現状とそれに対する県行政の対応について、私なりに感想も含めて質問を続けたいと思います。
 果樹の中で、本県において生産量一位である温州ミカンについても、オレンジ果汁等の輸入自由化を迎え、味一和歌山果実ブランドの確立やミカン園等再編整備推進に県も力を入れてくれておりますので、今後の目標は、標高二百メートル以上の地域に合った新品種に力を入れてほしいと思います。
 また、国のかんきつ再編対策の中に「廃園」という対応があります。廃園についてよく考えれば、急に他作物にかえていくといってもすぐには見つからない、それならばとりあえず切ってしまえという考え方であり、余りにも無策であります。ミカン畑の中にある農家に生まれ、ミカンのおかげで育ってきた私にとっても、「廃園」という文字は大変つらい言葉であります。
 野菜については、高原野菜や消費者が望んでいる無農薬栽培にも取り組むよう、また花については既に紀南のカスミソウが全国一位であり、今後、スプレー菊も有力であると聞いていますが、どちらも市場に安定供給できるよう産地化をしていかなければ臨空農業の推進など、とてもおぼつかないと考えます。
 林業センター、畜産試験場、山村産業試験場においても、海布丸太、熊野牛、サンショウの研究など、それぞれ成果を上げつつあります。これまでの実績を踏まえつつも、また今日までの概念にとらわれず、失敗を恐れず、最大限の努力をし、チャレンジしていくことが県の行政姿勢、また市町村、農家などにも必要であると思うようなわけであります。
 今まで、農山村における県の施策について感想などを述べてまいりましたので、ここで私なりに新しい試み、村おこしについて二つの提案をさせていただきたいと思います。
 まず第一番目は、ササユリについてであります。
 この花については、以前より関心があり、私も好きな花であります。小さいころから「ヤマユリ」と呼んでいたもので、六月の中旬から七月中旬にかけて梅雨のころ咲く大変香りのよい花で、優雅で清楚な感じのする花であります。万葉の歌にも「夏の野の百合引き植えて咲く花を出で見るごとに」と詠まれ、都にいる美しい妻に例えられている花であります。
 海草郡においては、野上町の農家で一軒、自生している傾斜地を整備し、熱心に取り組んでいます。人工的な栽培は大変難しく、まだ産地化されたところがないと見られています。六月ごろの市場における市況が一本百円程度となり、今後の研究で人工的な栽培が可能になり出荷時期も調整できれば、山村の大きな収入源にもなると考えられます。
 紀南地方のストックは海の青さとマッチしている姿が大変すばらしいように、オランダで有名ですが、チューリップの球根栽培などにも取り組めば、農業の花づくりと観光の両立にも結びつくように思われます。また、実りの秋になり、先般より観光クリ園、ブドウ狩り、これからのミカン狩りなど、山村農業とリゾートの連携にもつながっていくと思われますので、余り分散しないで一つの地域に集約して考えれば効果も出てくると思います。
 二番目は、シカ牧場においてシカなどを飼育してはどうかと思います。
 シカを飼育するということについて、私も県議会議員になる前、海草県事務所の林務課へ相談に行ったことがあるのですが、一笑に付されてしまい、まともに取り合ってもらえず、苦い経験をしたようなわけです。そのときの担当職員の顔は、「何と変わったことを」と今にも言い出しそうでありました。
 確かに、シカを飼って何をするのかと思われる人が多いと思いますが、今では既に長野県の南アルプスの長谷村や大鹿村においても地域振興対策として昭和六十年度より取り組み、信州大学農学部の協力を得てシカ牧場を開設しており、長崎県口之津町においては畜産農家の八木高人さんという人が既に約六百頭を飼育しています。また、福島県で一カ所、岩手県で三カ所、北海道で四カ所、熊本県においても飼育されています。
 我が県のように標高二百メートルを超える面積が県土の六割にも達し、傾斜地の多いところにおいて、傾斜地を苦にせず有効利用できる方法の一つがシカなどの飼育であります。シカの飼育の長所は多くあり、傾斜面であっても比較的簡易な施設で対応でき、病気の発生率は極めて低く、えさについても草を主体に残飯やミカンの皮でも食べ、ふんについても今までの家畜と違って悪臭もなく公害の危険性も少なく、肉は淡白で刺身、ステーキ、煮物などになり、そして低コレステロールで消化がよく、小売でキログラム当たり一万円程度になります。角も、柔らかいうちは「鹿耳」と言われ、貴重な漢方薬になり、皮もなめしにして利用できると聞いています。短所については、一年に一頭しか生まれず、素シカの確保が難しいこと、人間になれにくく神経質であることなどがあります。
 既に、美里町の若い人たちが六月末に長野県長谷村を訪れ、飼育について検討していると聞いています。これからも、観光立地などを含めて考えると大きな可能性があるように思われます。
 以上、ササユリ、シカの二点が私の提案であります。
 農山村を取り巻く環境は非常に厳しい状況ではありますが、一番重要な課題は、単なる自然保護だけでなく、やはり働く場であり、安心して生活できる所得の確保であります。特に、農山村地域の産業振興につきましては、大変難しく、地域の取り組む意欲の問題、販売の問題、安定的・継続的な供給の問題、作目選定の問題など、多くの課題があります。
 私が先ほど提案した高原シカ牧場のような方法もあれば、その他いろいろ考えられると思いますが、要は、広く先進事例や技術、ノーハウなどの情報収集、分析、また、将来を見きわめ地域の特性を生かした考え方が必要であり、既成の概念にとらわれず、斬新な発想をすることにより、限りない本県農山村の発展を願うものであります。
 そこで、農林水産部長にお伺いをいたします。
 農山村の今後の取り組みについて、農林関係の各試験場の研究内容の充実について、私の二点の提案に対するお考えについて、以上三点についての答弁を求めます。あわせて、観光も含みますので、私の提案について商工労働部長にもお願いします。
 次は、第三番目の質問である関西国際空港の立地を活用するための本県の地域整備計画についてであります。
 ただいま、先輩・渡辺議員より熱意あふれる質問があったところでありますが、私は、まず県内における地域整備計画についてただしたいと思います。
 関西国際空港の建設は、近畿圏のみならず、県勢発展のために極めて重要なプロジェクトであり、そのために大綱が発表されて丸一年、昭和六十一年十二月には空港開港をにらんだ本県の地域整備計画が発表され、多くの県民に大きな夢と希望を与えたものでありました。
 この計画は、関西国際空港の立地に伴う関連施設の整備に関する国の大綱を踏まえつつ、空港立地の波及効果を県勢の活性化に積極的に活用するため、県において精力的に策定されたものであります。地域整備計画の内容は、紀の川テクノバレー計画、コスモパーク加太計画等、七プロジェクトと国土軸、空港軸、地域軸の三軸を基本とした交通体系の積極的な整備についてであります。
 昭和六十一年末に計画が発表されてからことしの暮れで丸三年になり、平成五年に開港予定でありますので、ちょうど中間点にもなっておりますし、この地域整備計画の進捗状況が県勢浮上のかぎともなりますので、具体的に取り上げて質問を進めたいと思います。
 まず、七プロジェクトの中で、紀の川テクノバレー計画についてであります。
 産業基盤の整備を掲げ、企業立地の受け皿となる産業用地の確保に特段の配慮をされた結果、那賀工業用地にデュプロ製造が進出を決定し、ことしの二月より操業を開始していると聞きます。桃山工業団地には樋上敷物、バンドー化学、打田工業用地には松下電池、長田中工業団地にも永橋染織、ハバジット日本、三菱電機関連四社など、その他のところへも着々と企業誘致が決定していき、大きな成果が上がっていることについて、当局並びに関係者の皆さんの労をねぎらいたいと思うと同時に、大きな期待をしているところであります。
 この流れを今後も強力に推し進めるに当たり、一つ気にかかることがあります。それは雇用の問題であります。
 先般、経済警察委員会の県内調査で中紀のある会社を訪問させていただいたときお聞きした話の中に、「高校卒業予定者の女子について、四十名ぐらい採用したいと考えているんですが、実際の応募は十名ぐらいしかありません」とのことでありました。確かに、ことしの就職戦線は景気の上昇によって例年になく広き門であると言われておりましたが、実際に人が集まらない話を聞かせていただくと、今後の企業誘致に一抹の不安を感じずにはおられなかったわけであります。
 紀の川テクノバレー計画の中にも労働力の確保について述べられておりますが、現在、那賀郡内の高等学校においては工業科もない状況であります。計画にある労働力の確保と研究開発機関の充実について、今後どのような進め方をされていくのか、関係部長にお尋ねしたいと思います。
 続きまして、コスモパーク加太計画についてであります。
 この計画は、関西国際空港の至近にあって自然環境に恵まれた加太地域において、関西国際空港建設の土砂採取事業と相まって、周辺環境と調和のとれた複合的大規模市街地の整備を目的とするとあり、私も最も期待している計画であります。
 ことしの四月七日、県土地開発公社が空港本島の埋め立て用土砂を搬出予定していたところ、関西空港会社と大阪府漁連との調整のおくれによって搬出作業、記念式典も断念せざるを得なくなり、私も残念で、やるせない気持ちになったものでありました。その直後から県当局、県議会一丸となって対応した結果、一カ月おくれで搬出することができ、五月十五日には六千五百万立方メートルの搬出が確約され、一安心したようなわけです。
 この十月三日の新聞報道の件もありますが、六千五百万立方メートルの土砂が和歌山県の責任において、おくれることのないよう、また県民の納得できる価格で進められるように最大限の努力を求め、担当部長の決意をお聞かせいただきたいと思います。
 先般、六月議会中に先輩・下川議員と二人、早朝より大川の積み出し桟橋や土砂採取の現場を見学に行き、百三十六トンダンプが走り回るさまを見、全体のスケールの大きさに大きな感動を覚えたような次第です。そして、その跡地に新しい町ができることを想像したときに、跡地利用がスムーズに進められるよう、一刻も早く事業化が行えるよう求めたいと思います。
 この計画の中に推進機構の設立ということが書かれておりますので、今の状況と今後の見通しについて、担当部長の答弁を求めます。残りの五計画については、次の機会において質問させていただきます。
 地域整備計画において述べられている国土軸など三軸の整備について、本県は関西国際空港から約三十分の臨空に位置することを踏まえ、空港立地に伴う波及効果を積極的に導入するため、交通体系の積極的な整備をうたっております。その中で、国土軸との時間距離を短縮するため、関係各位の努力の結果、既に「くろしお」が新大阪へ乗り入れることができるようになり、県民の念願がかなったわけですが、これからは、本数が多くなっていくよう格段の努力をしていかなければならないと考えています。
 空港軸の第二阪和国道についてでありますが、この国道は空港関連道路としてはもとより、紀の川渡岸の交通渋滞を大きく緩和するとともに、和歌山市中心部の南北幹線軸として、今後の地域開発、発展になくてはならない幹線道路であります。
 この道路は、鉄道高架や移転家屋の多さなどから、今後、地元調整、用地買収の面で他に類を見ない難しさが予想されると思いますので、用地買収等について格段の努力が必要であります。第二阪和国道の事業の現況と今後の見通しについて、土木部長にお尋ねしたいと思います。
 二点目は、空港軸に取り上げられている府県道路泉佐野岩出線についてであります。
 既に昭和五十九年より関係する市や町において府県道路泉佐野岩出線等整備促進既成同盟会が結成され、ことしの総会において大阪府の岸和田土木事務所長が話されるには、「大阪府側の計画では、近畿自動車道より和歌山県県境までの三千八百メートルについて四車線化に着手するのは平成五年より先になり、平成十年までに完成するのはとても難しい」とのことであり、一体いつになったら完成するのか、気が遠くなるようなことでした。
 和歌山県も、岩出町において四車線化に向かって現道の拡幅、一部バイパス化も考えているようですが、これも完成年度のメドがつきにくいようなので、まず大阪府に対しては、紀の川分水の協定の中にも含まれる路線でありますので、強く促進を呼びかけ、和歌山県側についても一日も早い完成を目指してほしいと思います。このことについても当局の答弁を求めます。
 最後に、海南・和歌山両市を結ぶ動脈、国道四十二号線の毛見トンネルについても、地域整備計画の地域軸として取り上げられておりますが、和歌山マリーナシティの建設も進められており、これまで以上に交通量がふえるのは必至であり、早急な改善が望まれております。
 和歌山側から海南に向かっては二車線化しておりますが、海南側から和歌山市に向かってはトンネルとその前後だけが一車線のままであり、このことが先般、大手新聞にも取り上げられ、そのタイトルは「十八年間宙に浮くトンネル工事」「用地買収が難航」であります。関係市町村においても早期着工を望む声が強く、今後、県としてもなお一層、建設省に対して促進を働きかけ、用地交渉においても協力をしていってもらいたいと要望いたします。
 県民の多くが期待をしているプロジェクトについても、用地買収の難航により計画がおくれていくケースがよくあるわけです。このことからも、関西国際空港に対する県の地域整備計画につきましても、ちょうどことしが開港までの中間地点になりますので、すべての計画について詳しく取りまとめ、点検をする必要があると思います。この計画については、最初にも申し上げましたが、県勢発展のための極めて重要なプロジェクトでありますので、一度取りまとめてから、毎年すべての進捗状況について検討を加えていくべきであると思いますので、これについて企画部長のお考えをお聞きしたいと思います。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 第一点は、九月の豪雨に対する災害対策でございます。
 ことしの災害は、雨量が非常に多かったということは事実でございます。災害被害額は百億でございまして、金額から言ったらそれほどでないんですけれども、今度の災害の特色は、和歌山市、紀北、また海岸部、有田・御坊地方で非常に大きな災害があったと、これが現実の姿でございます。
 災害の復旧は早急にやれ、そうしないとまた二次災害が出るじゃないかということ、お話のとおりでございます。これが行政にとりましても、政治にとりましても非常に重要な問題でございます。そうした面からも、積極的に進めてまいりたいと思います。
 私も、議会の冒頭で説明申し上げたんでございますけれども、応急工事をすぐにやる、そしてその後で、災害査定も緊急にやってもらうというふうにして災害復旧をさらに進めていくよう関係担当部局を督励いたしまして、なお一層努力してまいりたいと思います。
 それから、地域活性化と開発の問題について、るるお話しいただいたわけでございます。私もその話を聞きながら、過疎対策を進めている過程でございますので、また感慨ひとしおのものがあったわけでございます。
 終戦後におきまして、特に薪炭林──薪も使わず、また炭もおこさないということで、エネルギー革命によって我々の生活が変わった。だから、薪炭林がたくさん山に残っておるのが現状でございます。これはすばらしい自然景観だと思うわけでございますけれども、それらと共存していく形、調和のとれた形、生活との結びつきという点について、特に尾崎議員から話がございました。私も同感でございまして、そうしたすばらしい自然との調和の中で生活できるような郷土づくり、村づくり、県づくりを今後進めていかなきゃならない。
 しかし、そのためには、やはり産業基盤の問題、また交通基盤が非常に大事でございます。また、御提言ございましたいろいろの産業振興対策等々を踏まえてこれからの和歌山県の未来づくりをしていくべきではないか、そしてまた、今その時期ではないかと思っておるわけでございます。そうした趣旨を踏まえまして、今後とも郷土の発展のために努力してまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 九月の豪雨災害に対する対応についてでございます。
 災害復旧事業は、議員御承知のとおり、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づいて実施しております。
 着工までの手順は、被災箇所の現地調査、災害報告、査定設計書の作成、災害査定など、かなりの日時を要するのが実情でございますが、緊急に施行を要する箇所については、応急工事の制度を活用してできるだけ速やかに実施してございます。応急工事以外の被災箇所についても、査定後、速やかに復旧するよう努めておりますが、今後ともなお一層、早期着工に努めてまいります。
 次に、関西国際空港関連地域整備計画の進捗状況でございます。
 第二阪和国道については、建設省において今年度測量調査等を終え、ほぼ設計原案がまとまったと聞いております。今後の予定としては、十月末から現地説明会を開催し、詳細な構造等について協議を行い、地元の協力が得られれば年度内に一部用地測量、用地買収に取りかかりたいとしております。
 また、用地買収及び関連事業については、市が第二阪和国道関連建設事務所を設置して主体的に取り組んでいるところであり、県としても、建設省、和歌山市とも密接な連携をとりつつ、事業の促進に努めてまいります。
 府県道泉佐野岩出線については、紀の川利水に関する協定書に従って的確に整備が進められるよう、大阪府と協議を重ねているところであります。
 和歌山県側については、今年度じゅうに都市計画決定を行うべく地元調整を行っておりますが、一部地域でルートについて同意が得られていない状況であります。今後とも、岩出町、地元関係者の方々の御協力を得ながら、早期に都市計画決定がなされ事業が促進されるよう努力してまいります。
 なお、国道四十二号の毛見トンネルについては、県としても建設省と密接に連携をとりながら事業の促進を図ってまいります。
○議長(門 三佐博君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 防災意識の啓発につきましては、従来から「県民の友」あるいはテレビ、ラジオなどを通じて行ってきたわけでございますけれども、議員お話しございました災害予防のための日常的な点検、管理の必要性という点についても、災害シーズンを迎える時期に行う防災啓発の機会をとらえ、県民の意識の啓発、理解協力が得られるよう効果的な啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 議員言われるように、農山村の地域は県土の大変大きな部分を占めてございます。その広大な森林や温暖な気候等、自然の資源に恵まれ、今後の県勢浮揚の重要な、しかも新たな役割を担っているものと考えてございます。
 この地域の発展のために積極的に諸施策を推進して、特に議員お話しの産業振興については、可能な限り国庫補助事業を導入し、足らざるところは県単独の事業など諸事業により、基盤整備、生産加工施設、集出荷所、産品直売所等の整備、また軽企業誘致などを推進してまいりました。今日、ふるさと産品が各地域で定着しつつございまして、相当の成果を上げているところでございます。
 今後、議員お話しの御趣旨を十分踏まえ、高冷地野菜、花卉花木、特用林産物等、産業振興への取り組みについて、関係機関と力を合わせ、道路網の整備等と相まって、さらに産地化形成を目指して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、農林水産関係各試験場の研究内容の充実の問題でございます。
 本県の農林水産業の振興にとって、その果たす役割は極めて大きいものと考えます。チェリモヤ等の新しい作物の栽培試験、熊野牛等の肉用牛の受精卵移植技術の開発、木材加工や県産材の高付加価値化の技術、アユの染色体操作による全雌アユ生産技術等、新技術の開発に取り組んでいるところでございます。
 また、特に昨年、果樹園芸試験場において近赤外線による果実の非破壊検査技術の確立、さらに本年度、農業試験場で高度環境制御温室の設置による優良種苗の育成に取り組むなど、新しい発想での研究開発に努めているところでございます。
 今後とも、バイオテクノロジー等、革新技術の導入や情報収集、さらに各試験場との有機的な連携を図り、積極的に研究内容の充実に努めてまいりたいと存じてございます。
 次に、御提案のございました二つの問題に対する部長の考え方でございます。
 一つには、ササユリでの村おこしということでございます。
 ササユリについては、東海地方から近畿地方の山野に自生する香りの高い優雅な花でございまして、本県では六月ごろに紀北・紀中地域にかけて山どり出荷され、消費者からこれが好評を得ているところでございます。
 議員御提案のササユリの栽培化については、お話のとおり、繁殖や肥培管理上、大変技術的に難しい問題がございます。このようなことから、まず暖地園芸総合指導センターにおいて、中山間地域における産地化に向けて、バイオテクノロジー技術による球根の繁殖技術の開発、安定栽培などの技術開発に鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、御提案の二つ目のシカ牧場の問題でございます。
 本県の高地における畜産の状況は、大中家畜を合わせて三十六戸、千八百頭で、全体の約一割を占めてございます。議員仰せのとおり、シカは、高地でしかも急傾斜地でも十分飼育できるものと考えます。また、御提案にもございますシカ牧場は、新しい試みとして私も非常に関心を持ってただいま聞かせていただいたところでございますので、地域より具体的なお話等がございましたら、先進地の調査等を行い、家畜保健衛生所とも連携をとりながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、二つの御提案でございます。
 観光産業は、御承知のとおり、第一次産業から第三次産業まで関係する総合的なすそ野の広い産業でございます。議員から御提言のございました、自然の豊かさを生かした農山村資源の活用としてのササユリやチューリップの花栽培、またシカ牧場など、観光農業の面での新たな掘り起こしは重要な課題でございますので、今後、関係部局とも十分協議をしてまいりたいと存じております。
 次に、労働力の確保と研究開発機能の充実でございます。
 最近では、業種によっては技術・技能労働者を中心に人手不足の状況も見られ、特に新規学校卒業者を中心とする若年労働力の確保については厳しい状況にあるものと認識をしてございます。このため県としては、新規学卒者について、各学校との連携を深め、最近立地したなじみの薄い企業をも含め、県内企業の求人情報提供の充実を図るなど、県内就職の促進に努力しているところでございます。
 また、公共職業安定所をコンピューターネットワークで結ぶ総合的雇用情報システムの活用や、求人の年齢要件の緩和による中高年齢者の活用により、求人充足率を高めるよう指導しているところでございます。
 また、産業の高度化等、技術革新の進展に対応できる人材を育成するため、和歌山高等技能学校に情報理工学科を本年度開設するとともに、工業技術センター等、公的研究機関については、従来からも新鋭機器の導入を図るなど充実に努めているところでございますが、今後、施設の拡充整備についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 企業誘致も進んでいる現在、今後、労働力確保は大変重要な課題でございますので、その効果的な確保対策について、関係部局ともより一層協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港関連の四点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、地域整備関連の研究開発機能の充実と労働力の確保についてでございます。
 紀の川テクノバレー計画を実現させるためには、研究開発機能の充実、労働力の確保は、議員御指摘のとおり、ぜひとも必要でございます。研究開発機能の充実については、本年度から和歌山大学において教育学部に生産科学課程が新設され、また近畿大学の用地についても造成工事が始まるなど、着実に進展をしているところでございます。
 今後は、さらに研究開発機能、人材育成機能のより一層の充実を図るために、和歌山大学の産業科学部構想の実現、近畿大学の理工系学部及び総合研究所の設置などについて、国、近畿大学等に従前にも増して積極的に働きかけてまいる所存でございます。
 第二点は、土砂採取事業の今後の進め方についてでございます。
 本年五月から土砂搬出を開始して以来、徐々に搬出量をふやしながら稼働しており、九月末現在においては約四百七十五万立方メートルの土砂を搬出しておりますが、諸般の理由もございまして、計画搬出土量より下回っている現況でございます。
 今後は、六千五百万立方メートル全量を搬出できるよう、配船、作業時間の延長等について、関西国際空港株式会社等に強く要請を行うなど、懸命の努力をいたす所存でございます。
 また、土砂単価の問題でございますが、現在、関空会社と早期決着を目指して鋭意交渉を進めているところでございます。価格決定要因については、生産原価、市況価格、その他特殊事情を踏まえ協議しているところでございますが、本県としては生産原価を主体とするよう強く主張しているところでございまして、今後とも懸命の努力を重ねてまいる所存でございます。
 第三点は、加太の土取りの今後の進め方とコスモパーク加太計画に伴う推進機構の問題等についてでございます。
 コスモパーク加太に先立つ事業である土砂採取事業の第二期工事については、跡地造成工事にできるだけ手戻りがないよう配慮しながら、円滑、効率的に行ってまいりたいと考えてございます。
 コスモパーク加太計画については、民間の開発ノーハウ等を生かす企業の参加も含めた推進組織を検討するなど、事業化に向けてその推進を図っているところでございます。
 第四点は、地域整備計画の進行管理についてでございます。
 関西国際空港関連地域整備計画については、昭和六十一年の計画策定以降、それぞれの事業についてその推進が図られているところでございます。第四次長期総合計画、中期実施計画の主要プロジェクトでもございますので、議員御指摘のとおり、地域整備計画の個々の事業について詳しい進捗状況、問題点等、地域整備計画の進行管理を行っているところでございます。今後は、この進行管理に基づき、関連事業のより一層の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 二点につきまして、お答えを申し上げたいと思います。
 まず、児童生徒のいわゆる下校時における、特に警報発令下の問題につきましてお答えをいたしたいと思います。
 去る九月十九日、大雨洪水警報発令下において、和歌山市内の小学生が緊急下校をする際にそのとうとい命を失われましたこと、心から哀悼の意を申し述べさせていただきたいと存じます。
 このような警報発令下の児童生徒の指導については、非常災害緊急時における生徒の措置の問題、あるいはまた出水期における防災態勢の強化について、各市町村教育委員会、さらにまた各学校に対して従前から指導をしてまいったところでございます。
 その内容でございますが、学校が人命の保護を第一義として、正確な情報の収集、迅速な伝達、そして避難態勢の強化等に適正を期することがその中心となってございます。この指導に基づき、各学校においては地域の状態に応じてその措置を講じているところでございます。
 県教育委員会としては、今回の事故を教訓として、従前から開催している学校における管理職を対象とした学校安全講習会の充実をさらに図り、児童生徒の安全の確保について、市町村教育委員会並びに各学校に対してさらに指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
 次は、企業誘致と労働力の確保に関して、教育委員会としてのお答えを申し述べさしていただきたいと思います。
 企業誘致といわゆる人材確保についてでございますが、御承知のように、生徒の急減期が進んでおる中で、時代の進歩と社会の要請にこたえた高校の職業教育の充実、そして地域の実情を踏まえた特色のある学校づくりの推進等を行うとともに、優秀な教員の確保を図りながら、有為な人材の育成と確保に努めることが極めて肝要であると考えてございます。
 お話のございましたように、那賀地方を初めとして、各地域における学科編成は、職業教育を含む県下全体の状況等を考慮しながら、学科改編を含めて総合的に検討をさらに行ってまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 25番尾崎要二君。
○尾崎要二君 まず、加太の土取りについてでありますが、本年の四月に一度、諸般の事情により土砂搬出が中断された。また、その後、五月十五日に県と空港会社との間で覚書が調印されて、その時点でやっと一安心をしたようなわけでありますが、それもつかの間、十月二日の県土地開発公社の土砂搬出状況の発表ということの中で、今、物理的に量を確保するのが大変難しい、厳しいというような見方で、新聞には悲観的であるとまで記されているようなわけであります。
 実際に減少することが確実ならば、これは大変な問題であると考えます。特に、この後のコスモパーク加太の計画について、開発面積の縮小や土砂販売において売上金の減少につながっていくというような結果になるからであります。
 このことについてどう考えておられるのか。すなわち、土砂搬出量とコスモパーク加太計画の問題について、さらに、今課題となっている土砂販売単価をも絡めた土砂売上金とこの土砂採取事業の採算性について、詳しく再度企画部長にお聞かせをいただきたいと思います。
 その他につきましては、今、知事の方からも災害復旧における強い決意を聞かしていただき、大変心強く感じるようなわけであります。
 また、教育長の方からも、生徒児童の警報下における緊急下校についての御説明がありました。これは、私もいつも感じることでありまして、相手が自然ということで、間違いのない正確な情報を収集するのは大変難しいようには思いますけれども、最終的には各学校において校長先生の判断で下校時間を決めるというように私も理解しているところでありますので、校長先生並びに学校側が正確な情報を収集し、またそれを助けるためにも県教育委員会、県消防防災課、そして気象台と常に緊密な連絡を取り合って、できましたら、今一時間に一回ぐらいの情報収集を三十分に一回ぐらいずつ何とか情報を得られないものかと考えるようなわけであります。その点で、またひとつ格段の努力をしていただきたいことを要望させていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 土取り問題についての再質問にお答えを申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、本県の搬出計画土量は六千五百万立方メートルでございますが、遺憾ながら、九月末累計では当初計画より約百二十万立方メートルの減となっている現況でございます。
 平成三年十二月末までの期間内に全量搬出するためには、関空会社による配船計画の整備、作業時間の延長などが必要と考えてございますが、とりあえず効率的配船計画等によりこのおくれを取り戻し、全量搬出に努めてまいりたいと考えてございます。
 したがって、コスモパーク加太計画への影響も来さないよう対策を講じてまいる所存でございます。
 なお、土砂販売収入については、現在、鋭意、関空会社と土砂単価について交渉中でございますが、議員御指摘のとおり、事業採算がとれるよう、今後とも懸命の努力をいたす決意でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 25番尾崎要二君。
○尾崎要二君 今、企画部長の方からお答えを賜ったわけでありますが、このペースで少しずつおくれていって、最終的に六千五百万立米の土砂について計画量の搬出の確保が難しいという事態になりますと、これは大変な県の損失というような形になってあらわれてくると思いますので、この点を十分心して、計画量の確保に最大限の努力をしてほしいということを要望申し上げ、そして、我々議員もこのことについて全面的に協力をしていきたい、私自身もその考えであるということを最後に申し添えて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時四十九分休憩
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