平成元年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会九月定例会会議録 第 二 号
 
 十月 三日 (火曜日) 午前 十時 六分 開議
  午後 二時四十二分 散会
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議 事 日 程 第二号
  平成元年十月三日(火曜日)
  午前十時開議 
 第一 議案第百三号から議案第百二十号まで及び報第十号(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第百三号から議案第百二十号まで及び報第十号(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
 7 番 岡 本 保 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 磯 村 幹 夫 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長職務代行者
 岩 崎 正 夫 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 築 野 政 次 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時六分開議
○議長(門 三佐博君) これより本日の会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) この際、報告いたします。
 過日提出のあった議案第百九号及び議案第百十号については職員に関する条例改正案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、次のとおり回答がありました。
 職員に回答文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   和人委第214号
   平成元年9月28日
 和歌山県議会議長 門 三佐博 殿
 和歌山県人事委員会委員長 寒 川 定 男
 職員に関する条例の制定に係る意見について
 平成元年9月26日付け和議会第190号で意見を求められた標記のことについて、地方公務員法第8条第1項第3号の規定により下記のとおり回答します。
  記
 議案第109号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例
 議案第110号 和歌山県退職年金及び退職一時金に関する特別取扱条例等の一部を改正する条例
 (意 見)
 上記条例案については、いずれも適当であると認めます。
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○議長(門 三佐博君) 日程第一、議案第百三号から議案第百二十号まで、並びに知事専決処分報告報第十号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 14番橋本 進君。
 〔橋本 進君、登壇〕(拍手)
○橋本 進君 おはようございます。
 平成元年度の九月定例議会におきまして、皆さんの御理解をいただいてトップバッターを承り、質問させていただく機会を与えていただきましたことに対し、まず冒頭、心から厚く御礼を申し上げます。
 さて、先般の知事の御説明をお聞きして、ひしひしと肌に感じるものがございました。仮谷丸の第四期県政の公約である「新しい時代にいどむ力強い地域産業の発展」、「健康で快適な暮らしと生きがいのある福祉社会の建設」、「明日を担う人づくりと魅力ある文化の創造」の施策目標が、昭和六十年に端を発した円高の進展等による構造不況、本県の持つ地理的なハンディ等、数々の外的環境悪を見事に乗り越えられ、今まさに着実に実行されているところでございます。これも、ひとえに仮谷知事の先見性と強い政治力のたまものであると感じ入っている次第でございます。
 一例を挙げてみましても、本県の長きにわたる悲願であった紀勢本線、阪和線の新大阪駅乗り入れについて、知事初め我々議会が一丸となって国及びJRに精力的に働きかけた結果、予定より半年も早く本年の七月二十二日、七往復の直通運転が開始され、うち二便は京都駅まで直結され、しかも非常に好評であると聞き及んでいるところでございます。
 加えて、本県の持つ自然資源を最大限に生かしたリゾートの一層の展開を初め、国土軸に直結したインパクトを生かした新たな展開が可能となり、その波及効果も極めて大きなものとなってくるわけでございます。
 このような大型プロジェクトは、地域への経済波及効果等も大きく、本県の活性化に著しく寄与するものであることから、県では今、多くのプロジェクトの推進に鋭意取り組んでいるところでありますが、これらを中心として県政全般についての私の意見を申し上げるとともに、知事の御所見及び関係部長の御見解をお聞きいたしたいと思います。
 関西国際空港の国内便の確保と全体構想の早期実現について。
 関西国際空港問題については、二月定例会において全体構想の早期実現、六月定例会においては大阪国際空港の廃止について要望決議をいたしたところですが、この点について御質問をいたしたいと思います。
 大阪国際空港廃止の要望決議の根底にある考え方といいますか本心は、関西国際空港により多くの国内便を確保しなければならないということの危機感だと私は考えております。大阪国際空港が存続することになりますと、国内便は関西国際空港と両空港で配分されることになりますし、関西国際空港においても国際線の余った分を国内線にするのであれば、最近の国際航空需要の伸びからすると、現在の滑走路一本の一期計画のみの空港であれば、国際線が優先され国内線の便数を削減していかなければならないのではないでしょうか。そうすると、国内、国際の基幹空港の役割を果たすどころか、成田と羽田のような大変不便な空港になるのは必定でございます。国内線の少ない空港の不便さというものは、成田空港を御利用された方には身にしみておわかりいただけることだと思います。関西国際空港は、絶対に成田のような空港にしてはなりません。
 このことから、全体構想の早期実現と大阪国際空港の存廃問題は本県の重大関心事であり、知事も議会において、全体構想の実現の必要性や大阪国際空港の存廃については、昭和四十九年の航空審議会答申に基づいて対処されるべきだとの答弁をなされておりますし、私もこのことは関西国際空港の関係府県である和歌山県として、国や関係機関にあらゆる機会を通じて申し述べていかなければならないことだと考えてございます。
 大阪国際空港の問題については、この数年間で結論が出されるもであり、運輸省に本県の基本的な考え方を申し入れておく必要があると思いますが、その間の種々の議論に左右されることなく、本県が今取り組むべき最重点課題は、関西国際空港に国内の主要都市と結ぶ大幅な国内便の確保と全体構想の早期実現であると思います。このことは、去る九月二十二日、江藤運輸大臣を迎えて大阪において開催された一日運輸省におきまして、近畿ブロック知事会会長として仮谷知事から強く要望されたと聞いてございます。
 そこで、知事に、本県の最大の重要課題である関西国際空港の国内便の確保と全体構想の早期実現への取り組みの御決意をお聞きいたしたいと思います。
 次に、原子力発電についてお伺いをいたします。
 電気はクリーンで使いやすいエネルギーであることから、冷暖房、テレビや洗濯機といった家庭用電気製品を初め、さまざまな産業分野の動力源として、まさしく私たちの生活を支えており、また情報化時代と言われる昨今、コンピューターの正常な稼働なくして社会は成り立たないとまで言われております。
 最近の新聞報道によれば、昨年度のエネルギー需要は年率五・二%と大幅に増加し、今年度に入ってもGNPの伸び率を上回る増勢傾向が続いていることから、現行の長期エネルギー需給見通しは大幅に上向きに修正する形で見直されるだろうと伝えられてございます。
 こうした中、さきのアルシュ・サミットにおいて、原子力発電が地球の温暖化を抑制する上で重要な役割を果たすとして、原子力発電の推進方針が国際的にも確認されたところでございます。
 一方、県内の候補地の一つである日高町においては、町長が比井崎漁協に対し事前調査の申し入れを行うなど、立地推進に向けて活発な動きが展開されておるところでございます。
 原子力発電については、ソ連のチェルノブイリあるいはアメリカのスリーマイル島事故以来、反対運動が強く、全国的にも新規立地が非常に困難な状態であると聞いておりますが、県としては国の政策に協力するという面と地域の振興を図るという面から、この際この問題に積極的に取り組むべきだと考えますが、改めて当局の基本姿勢をお聞かせ願います。
 続きまして、和歌浦地区全体の将来整備構想について伺いたいと思います。
 古くからの景勝地和歌浦では、現在、和歌山マリーナシティの建設、医科大学の移転、和歌公園の整備、新不老橋の建設等が進められ、将来の和歌浦の発展に明るい見通しが立てられつつあり、非常に喜んでいるところでございます。全国的に名の知れた和歌の浦であり、また最近では新不老橋建設問題にかかわる景観論争で和歌浦の歴史的景観の重要性が改めて多くの人々に認識され、知名度がさらに高まった今こそ、和歌の浦全体の将来ビジョンに基づき、官民一体となり、和歌の浦の総合的な整備を推し進める必要があると考えます。
 北海道の小樽市で、運河の保存か、埋め立てによる道路建設かの大論争を経て、結局は周辺の歴史的景観に十分配慮したデザインの道路が建設され、あわせ運河の浄化、遊歩道の整備、石づくり倉庫の改修等を行い、今や全国から多くの人々が小樽を訪れるようになり、小樽の町も大きく活性化したという話を聞いてございます。
 「和歌山県」という名前の発祥地と言われる和歌の浦についても、今後、現在進められている事業にとどまることなく、駐車場、遊歩道の整備、河川の浄化、歴史的遺産の修復等、総合的な整備を図っていくことが関西国際空港建設に伴う国際化時代にも対応できる、文化あふれる和歌山県の発展、和歌山県のPR等に大きく貢献するものと考えますが、今後の和歌浦地区の整備に関する基本的な見解を知事にお伺いいたしたいと思います。
 また、新不老橋の建設促進及び和歌浦廻線の整備について。
 新不老橋の建設については、いろいろ論争はありましたが、周辺の景観に調和したすばらしいデザインの橋を本年五月に着工され、非常に喜んでいるところでありますけれども、先月二十七日には建設反対グループから監査請求が出されたところでございます。地元住民の圧倒的多数の人々がこの橋の完成を心待ちにし、また和歌浦活性化にこの橋の早期建設は不可欠であることから、一日もおくれることなく、むしろ早く完成していただきたいと考えていますが、現在どのような進捗状況となっているのか、また新不老橋の建設に引き続き、新不老橋と和歌公園との間の拡幅、階段式護岸の設置、和歌公園─新和歌浦交差点間の道路整備を進め、和歌浦廻線の早期完成を図ることが和歌浦地区の交通計画上重要と考えますけれども、和歌浦廻線全体の整備計画、整備スケジュールについて、土木部長の答弁を願いたいと思います。
 マリーナシティ建設に伴う交通アクセスについて。
 第四次和歌山県長期総合計画によると、「二十一世紀を拓く県土づくり」として、その基本方向をテクノ&リゾートと位置づけ、高度な産業とリゾートの誘致育成を推進することとしているところでございます。
 そこで、知事は特に関西国際空港の開港をインパクトとして、和歌浦湾において民間活力を活用し、国際的にも通用する海洋性レクリエーション基地をまず整備し、さらにその効果を紀南へも波及させたいとの考えから、和歌山マリーナシティの建設が、本年五月着工以来、着々と進められているところでございます。この沖合人工島が竣工し、和歌山マリーナシティにマリーナ施設、スポーツ施設、宿泊施設など全施設が完成しますと、利用客など年間入り込み客数は三百万人、ピーク時には日に二万人がこの和歌山マリーナシティにやってくるものと推計されてございます。これに伴い発生する交通量は、アクセス道路となる毛見一号線及び毛見二号線合わせて日に六千台にもなると聞いております。これが現在でも停滞しがちな国道四十二号線に直結することとなって、さらに混雑は避けられないと危惧するところでございますが、これを回避するための対策をどのように考えておられるのか、知事並びに土木部長の御意見を承りたいと存じます。
 南紀白浜空港のジェット化整備に係る事業進捗状況について。
 交通・輸送における高速化時代の今日、空港の整備による航空ネットワークの形成・充実は、国土の均衡ある発展と国民生活の向上にとって不可欠な最重要課題であります。現在の航空情勢については、昭和五十二年度に三千万人台に達した国内の航空旅客輸送は、昭和六十三年度には約五千三百万人台と急伸し、国内の中・長距離輸送の主要な担い手となり、国民生活に身近な交通手段として定着している状況であります。今後、我が国の経済社会の国際化の進展、国民所得水準の向上、高速性志向の高まり等を背景に、交通の高速輸送への期待はますます拡大していくものと考えてございます。
 紀南の高速交通の拠点として重要な役割を果たしている南紀白浜空港についても、本年七月に東京─白浜間の一往復増便が実現しました。一方、利用率についても、八月の夏休みということもありましたが、八五%という非常に高い率であったと聞いてございます。この黒潮の影響を受ける豊かな自然環境の中で、牟婁の出湯として万葉の時代から親しまれている白浜の地で進められている南紀新空港の整備により、地域の特性を生かした観光、地域開発及び新規企業立地の推進、さらには農水産業、地場産業等がフライト産業として高付加価値化への進展なども期待されるものがあり、県当局の懸命な努力と県議会を挙げての事業推進運動が展開されているところでございます。この県民の夢と希望を盛り込んだ県のビッグプロジェクトとしての南紀新空港建設の進捗状況について、土木部長にお伺いいたしたいと思います。
 公共事業に伴う用地買収についてお伺いいたしたいと思います。
 道路の整備、河川の改修、公園の造成等、各種の社会基盤整備事業及び和歌山マリーナシティを初めとする各種プロジェクト事業の施行には用地取得が前提となり、用地取得が終わればその事業の九割方は完了したと言われることは御承知のとおりであります。しかし、複雑化する権利関係、過大な権利意識、登記及び地価高騰等により、用地取得進捗状況は芳しくないと聞き及んでいるところであります。当局はこれらに現在どのように対処しているのか、お聞きいたします。
 また、用地取得困難を理由に事業の施行がストップしている箇所も多く見受けられ、事業の進捗に支障を来しているところでもあります。我々、議会が議決した予算の執行においても、その繰り越しは一般会計において九十一億円と多額に上り、実に前年度に比べて五○%以上も増加してございます。これを打破し、経済効果、事業効果を十分発揮するためにも、早い時期に事業認定を行い、土地収用法を適用する時期に来ているのではないかと思うところでございますが、その御所見を知事にお伺いいたしたいと思います。
 先日、知事は先進リゾート地視察をなされ、開会日にその御報告がありました。西ドイツ、フランスの先進リゾート地を視察され、リゾートについての海外事情をつぶさに勉強されてきたと聞いております。
 知事は、みずから本年を「リゾート元年」と位置づけ、リゾートを本県活性化の柱にされているところでありますが、今回のアメリカ、ヨーロッパ諸国の視察もその御熱意のあらわれであり、さぞかし実りの多い有意義な視察であったものと存じております。
 そこで、知事にお伺いいたしますが、これら海外のリゾート地を自分の目でごらんになり、自分の肌で感じられたその率直な感想はいかがなものだったのか、さらにはその貴重な体験を通じ、本県のリゾート開発に生かすべくどのような御決意をされたのか、これらについてもお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、浸水対策について。
 八月末から九月中旬にかけて、台風十七号、二十二号、並びに二度にわたる集中豪雨等は、本県にとって測候所開設以来の記録的な雨量をもたらしたところでございます。その被害は、和歌山市を中心に床上浸水が七百世帯、道路の冠水、河川の決壊等、多大の被害をもたらしました。
 先日、知事から、本格的な災害復旧事業に精力的に取り組んでいく旨、御説明がございました。復旧等の対応が迅速に行われたと思われますが、被害総額は現在、市町村を含め百億円を超える多額に上っており、今後も増加するものと思われ、その復旧を速やかに実施するためにも、何といっても復旧に係る財源の手だてが必要であります。復旧事業の執行に伴う予算措置についての取り組みを総務部長にお伺いいたしたいと思います。
 あわせて、今後の抜本的対策についても関係部長から御答弁を願いたいと思います。また、鳴滝川の改修についても、今回の災害を契機として計画されていると聞いているが、それについてもあわせて御答弁を願いたいと思います。
 以上、県政全般にわたり私が懸念している事項についてお伺いいたしたわけでございますが、そのほか二十一世紀に向けて本格的に展開されているビッグプロジェクトを挙げてみますと、第二国土軸の形成に必要不可欠であり、二十一世紀に向けたリーディングプロジェクトとして、現在、日本鉄道建設公団において鋭意地質調査が進められておる紀淡海峡トンネル構想、府県境に連なる和泉葛城山系の南斜面に位置した岩出町、打田町にまたがる地域に研究開発、居住、先端技術開発機能の集積を図り、県の活性化の先端的役割を目指す南麓サイエンスパーク計画、関西国際空港の機能の積極的な活用にあわせ、紀の川流域が持っている豊かな資源の活性化を図り、臨空型、加工組み立て型先端技術産業等の立地を促進する紀の川テクノバレーの形成、自然環境に恵まれた加太地域において、関西国際空港の土砂採取事業と相まって、周辺環境と調和のとれた複合的な町づくりを進めるコスモパーク加太、和歌山大学跡地において教育学部跡地では美術館等の建設、経済学部跡地では図書館、文書館等の建設を図り、もって県都にふさわしい文化の拠点づくりを目指した文化、健康ゾーンの整備、京阪神大都市地域から南海電鉄で一時間圏域に位置する橋本市において、大規模な住宅地の開発、高付加価値企業、研究開発型産業の誘致を目指した橋本林間田園都市の建設、紀南の中心都市である田辺市が丸紅等とタイアップして大規模なリゾート開発を進めている田辺湾総合リゾート開発計画、さらに那智勝浦町から太地町にまたがる大規模年金保養基地については、グリーンピア南紀として昭和六十一年四月にオープンしたところであるが、引き続き未利用地を開発し、紀南活性化の核的プロジェクトとして、各種スポーツ施設、保養施設等を中心とした国民的保養基地の形成、及び温泉、森林、河川等の豊かな自然資源、歴史資源が集積する奥熊野の地において中核となるクアハウス熊野本宮館が五月三日にオープンされたのを初め、健康温泉プール、バンガロー、つり橋等が概成されるところまで進展している奥熊野レクリエーションエリアの形成など、思いつくままに列挙しても数多くの大規模プロジェクトが県内各地において始動しているところでございます。
 さきにも述べましたとおり、これら数々のプロジェクトの推進に当たっては、私たち県民の理解と協力が絶対条件であります。今、二十一世紀に向けて大きく変化するであろう本県を取り巻く社会経済環境を見きわめ、間近に控えた関西国際空港の開港、急速に進む近畿自動車道の南伸等、フォローの風が吹くこの時期をとらえ、「活力と文化あふれるふるさとづくり」のため、知事を先頭に県民挙げての取り組みが必要不可欠であると考える次第であります。
 知事におかれましては、健康に十分御留意され、県勢のますますの発展に御尽力をいただきますよう切に要望して、私の質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの橋本進君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 橋本議員にお答え申し上げます。
 第一点、関西国際空港の国内便の確保と全体構想の実現でございます。
 御指摘のように、この二点については県政の最重点項目でございまして、議会の皆さんとともに鋭意取り組んでおるところでございます。特に国内便の確保については、関西国際空港、国に対し絶えず強く要望しているところでもございます。また、全体構想の実現については、六月に議会の皆さんや産業界の皆さんと一体になって促進協議会を結成いたした次第でございます。また、本県のみならず、近畿においてもこうした政・官・財界が一体になっての協議会を設けまして、近畿の問題として積極的に取り組んでいるのが現状でございます。
 九月二十二日に一日運輸省が初めて開催されたのでございますけれども、その際には、私は近畿知事会の会長としてこの二点について江藤運輸省大臣に強く要望したわけでございます。大臣から、国内、国際の基幹空港としての関西国際空港の国内便の確保、全体構想の実現はぜひとも必要であるとの回答を得た次第でございます。今後、なお一層、国内便の大幅な確保が得られるように、また全体構想が早期に決定されるように、議会の皆さんと一体になりまして努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、和歌浦地区全体の将来整備構想でございます。
 お話のように、和歌山市は国際空港とともに国際化としての町になるわけでございます。また、和歌浦はかねてからの名所でございます。そうしたすばらしい、文化あふれる個性味豊かな和歌山をつくっていくことが非常に重要なことであると思っておるわけでございます。また、和歌の浦が多くの人々から愛され親しまれる、すばらしい環境を持った整備が必要だと考えておるところでございます。そのために、県のリゾート構想においても、和歌浦を海洋都市型リゾート空間として整備を図っていくことにしておるわけでございます。
 お話のように、現在、マリーナシティの建設、和歌公園の整備、医大の新築等々、さまざまなプロジェクトを進めておるわけでございますけれども、今後とも和歌の浦の自然的、歴史的意義を十分に踏まえながら、多くの人から喜んでいただけるような環境づくりを積極的に進めてまいりたいと思っております。
 次に、マリーナ建設に伴って交通量の増加があるわけでございます。
 マリーナシティを成功させるためには交通アクセスの確保ということが不可欠であるということ、お話のとおりでございまして、当面の問題としては、マリーナシティへの直接進入路である毛見一号線及び毛見二号線の整備に全力で取り組んでおるわけでございます。それとともに、国道四十二号線の整備を進めていかなければならないわけでございます。これらについては、議員の皆さん方からも御指摘をいただいておるわけでございまして、十分検討してまいりたいと考えております。詳細については土木部長から答弁いたします。
 それから、公共事業を行うについての用地買収でございます。
 例を挙げて説明いただいたわけでございますけれども、私たちも公共用地の確保ということが土木行政、県の産業振興のために最も緊要な問題だと考え、これについて積極的に取り組んでいるわけでございますが、土地に対する意識の違い方等、いろいろ難しい問題が重なってまいっておるわけでございます。
 県としても、用地交渉以前に地籍の問題、公図が混乱しておるという問題がございます。それらの環境改善を図るために、公図訂正の予算を計上しておるところでございます。また、用地交渉においては、関係の皆さんの御協力をいただいておるわけでございます。しかし、任意交渉に至らない場合も間々あるわけでございます。土地収用法等の問題について、なお一層仕事が運営化できる、短期間にできるように、国に対しても積極的に改正を申し入れるとともに、土地収用法によらなければならない場合もあるわけでございます。こうした面において、県民の協力を得て、なお一層積極的に進めてまいりたいと存じておる次第でございます。
 それから、海外へ行ってきた感想でございます。
 訪問した国は、カナダ、アメリカ、ドイツ、フランスでございます。短時日で局部的であったため十分なことはわかりませんけれども、こうした国を回りまして、いずれもリゾートに関しては我が国より歴史的、文化的な先進国である事情もございまして、その普及と定着ぶり、さらには国民性の違い等に驚きもし、感心し、かつうらやましくも感じた次第でございます。同時に、我が国も近い将来きっとこうしたときを迎えることになるであろう、また経済大国である日本としては、こうしたリゾートライフを実現することによって真の生活の豊かさや心のゆとりを実現することが、欧米先進国に追いつく大きな課題ではないかとも感じたわけでございます。
 今回の視察を通じて、生活に定着した先進国のリゾートに接して、周辺の自然と調和のとれた開発がなされており、例えば、看板の規制、花木による雰囲気づくり、原石の利用等の現状を見て、より具体的なイメージをつかむことができたわけでございます。
 また、カナダ、アメリカ、南フランスと、ヨットの数が多いのにびっくりしたわけでございます。海洋国であるこれら国民の性格かとも思ったわけでございますけれども、その点を特に感じました。
 いずれにせよ、マリーナシティ、白浜の開発、田辺湾開発等々、数々のリゾート計画があるわけでございまして、今後、十分旅行の結果を踏まえて、これらの参考にさせていただきたいと存じておる次第でございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電問題についてお答えを申し上げます。
 現在の豊かな暮らしを持続的に発展するためには、議員御指摘のとおり、電力を確保することが極めて重要でございまして、国は特別の法律によって電源開発を推進しているところでございます。とりわけ原子力については、電力供給の中核的役割を担うものと位置づけ、安全確保対策を初め、立地地域の振興策、国民的理解を得るための広報事業等、積極的な施策を展開しているところでございます。
 県といたしましては、こうした国の考え方を理解しながらも、あくまでも適地性、安全性、地元の同意、この三原則を堅持しながら、地域の振興を図るという立場で対処しているところでございます。
 日高町における動向につきましては、今後ともこれを見守りながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 まず、新不老橋の進捗状況については、ことしの五月に着工し、現在、橋脚二基、橋台一基分の基礎工事を終えたところでありまして、予定どおり平成二年度中に完成できる見通しであります。
 和歌浦廻線全体の整備については、新不老橋の完成に引き続き、新不老橋と和歌公園との間の道路の整備を行い、議員御指摘のとおり、和歌浦の景観をゆっくりと親しんでいただけるような道路づくりを図っていきたいと考えています。
 また、和歌公園から新和歌浦交差点までの間についても、新不老橋と和歌公園との間の道路整備の進捗状況等を踏まえながら、和歌の浦の海岸道路にふさわしい道路づくりを行っていきたいと考えております。
 次に、マリーナシティ建設に伴う交通アクセスでございます。
 知事からも申し上げましたが、和歌山マリーナシティへの直接のアクセス道路となる毛見一号線については、平成四年完成を目途に、現在、鋭意用地買収に取り組んでいるところであり、また毛見二号線については、二期工事竣工前に供用できるよう諸手続を進めているところであります。
 なお、国道四十二号の紀三井寺─海南間の交通混雑の状況は把握いたしており、本年一月、国、県で策定した渋滞対策実行計画では、当面は今事業中の毛見トンネルの拡幅を促進し、また紀三井寺交差点の立体化を図ることとしております。
 県といたしましては、周辺地域の各プロジェクトの具体化とともに、今後、地域交通需要の増加が予想されますので、建設省に協力し、毛見トンネルの事業促進を図っていくとともに、紀三井寺交差点の立体化についても早期に事業化されるよう国に対し働きかけてまいります。
 さらに、今後、松島本渡線、布引本渡線等、現国道四十二号の混雑を緩和する機能を持つ道路の整備についても、早期に事業化できるよう整備主体、手法等、検討してまいります。
 南紀白浜空港のジェット化整備に係る事業進捗状況でございます。
 南紀新空港は、紀南の観光産業や地域開発等、活性化の核となるものであり、県政の重要施策として位置づけ、建設に全力を集中しているところでございます。この事業の円滑な推進には、早期の用地取得が必要でございます。現時点では用地の取得について予定よりおくれが生じておりますが、関係市町村と一体となり、全力を挙げて地権者の皆様方の合意が得られるよう、さらに一層の努力をしてまいります。
 続きまして、浸水対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、今回の集中豪雨は県下各地に多大な被害をもたらしました。とりわけ和歌山市内においては、九月二日から三日にかけて三百十五ミリ、九月の月間で八百二十四・五ミリという和歌山地方気象台開設以来の豪雨であり、宮前、内原、雑賀、有功、楠見地区など、多くの地区で人家浸水や道路冠水の被害をこうむりました。
 この浸水対策につきましては、河川の改修、下水道の整備など、和歌山市と一体となって事業を進めてきたところであります。また、宮前、内原、雑賀地区の西浜等についても、従来から対策を講じているところですが、今後とも積極的に対応してまいります。
 鳴滝川の改修についての御質問ですが、地元の熱意も非常に高く、昨日、和歌山市長からも陳情を受けました。このため、鳴滝川の拡幅には早期に着手すべく、国に対し強く要望してまいります。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 災害復旧の予算措置についてでございます。
 本年度当初予算において想定される現年の災害に機動的に対処するため、土木関係で約三十二億円、農林関係で十三億円の予算措置をいたしているところでございます。その範囲で、緊急を要する工事については国と協議の上、応急措置を講ずるとともに、査定終了後は速やかに工事の施行に努めているところでございます。
 今後の予算措置につきましても、国の災害査定の結果を見きわめ、適切に対処してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、橋本進君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 質問をいたします。
 私は、昨年の六月、あの原発問題で激しかった日置川町長選の直後、原発問題について質問をいたしましたが、その質問と関連しながら論を進めてまいりたいと思います。
 ソ連のチェルノブイリ原発の大事故は、三年以上たった今も、半径三十キロにわたる地域は依然として居住禁止であります。人口五万人と言われたプリピャチ市は、人の住めないゴーストタウンと化し、緊急避難した十三万五千人の人々も半永久的に自分の居住地に帰ることができないであろうと言われ、しかも最近の情報によりますと、子供たちの半数が甲状腺に異常を来し、さらに三百キロも離れたモギリョフ地域でも放射能のため避難が必要になったとソ連当局は報じているのであります。
 いずれにいたしましても、チェルノブイリ周辺の十万人以上の人々は今後何十年かにわたって健康管理が必要であり、その中で確実に数万人の人々はがんなどの障害に見舞われるであろう線量の放射能を浴びているということであります。
 きのうの報道によりますと、チェルノブイリ原発のあるウクライナ共和国に隣接する白ロシア共和国の首都ミンスクで、放射能汚染の完全除去を求める一万五千人の無許可デモが行われ、その集会で、放射能降下物の七○%がこの白ロシアへ降下した、ところがその汚染対策費はわずか一○%割り当てられただけである、二つの頭を持つ奇形の子牛が生まれた、私たちの子供は将来どうなるんだ、白血病で死亡した子供が出たなど、当局の対策のおくれを指摘する不信の声が相次ぎ、汚染地区からさらに住民五十万人を避難させる要求を行ったとされているのであります。白ロシア最高会議は、七月、放射能汚染地域から新たに十万六千人の住民を避難させる決定をしたのでありますが、その転出費用が百億ルーブル、日本円にして約二兆二千億円もかかる。こういうことから、今、暗礁に乗り上げているということであります。
 このように、原発事故は一時的な災害ではないのであります。事故の後遺症はこれからますます深刻になり、それが半永久的に続くのであります。
 あの炉心が溶けてメルトダウンに至る大事故を起こしたスリーマイルといい、技術的には起こり得ないとされている原発大事故が原発の先進国であるアメリカとソ連において史上最悪の事故を起こしているのであります。
 こうした状況の中で、原発に頼るエネルギー政策の見直しが世界的に広がり、原子力開発を放棄する国々が次第にふえてきておるのであります。
 世界一の原発保有国を誇るアメリカは、一九七八年以降、新規の原発は一基も発注しておりません。四十九基の原発を抱えるソ連では、チェルノブイリ以後、次第に反対する住民の声が高まり、昨年一月から九月までの間に三基もの原発が中止に追い込められているのであります。西ドイツでも、一九八三年以降、新規の発注はありません。スウェーデンでは、すべての原発を二○一○年までに廃棄することを決議し、イタリアでは、運転中のものも随時廃止していくという方向を国民投票で決めておるのであります。このように世界の潮流は明確に流れを変え、二十一世紀に向けて脱原発に大きく動き出したのであります。
 我が国におきましても、原発に対する不信と不安が高まる中で、放射能に対する恐怖が体質的な危機感となって、原発ノーを言う声が津々浦々に満ちているのであります。ちなみに、昨年の朝日新聞の世論調査によりますと、四六%の国民が原発推進に反対で、賛成する者が二九%、六二%の人が日本での大事故への不安を表明、五九%の人が原発政策の見直しに強い関心を示しているのであります。
 さて、我らがふるさと紀伊半島は、二十数年も前から数カ所が関西電力の建設候補地としてねらわれ、那智勝浦町浦神、古座町荒船が、長い長い賛否の対立の末、住民の強い反対の意思を受けて、那智勝浦・古座町議会ともども誘致反対を決議した。さらに、日高町小浦原発については、昨年三月、比井崎漁協の臨時総会において海上事前調査案が廃案になりました。御承知の日置川原発は、昨年六月、全国的な関心と注視の中で、「私が立候補したのは、この日置川から『原発』の二文字を消したいからだ」と訴えた原発反対の町長が当選し、「紀伊半島に原発に要らない」住民の願いは一応かなった形に相なったのであります。
 私は、権力にも負けず、札束の攻勢にも翻弄されず、かけがえのないこの美しい、不安のない自然環境という財産を子孫に残そうとする紀州人のその根性を大きく評価したいと思うのであります。
 ところが、火の手がおさまったはずの日高原発に、またぞろ煙が立ち始めたのであります。
 ここで私は、ちょっと話の順序を違えますが、昨年の質問のことで確認をしておきたいと思うのであります。
 質問者森議員、「いよいよ三月三十日、そうした中で比井崎漁協臨時総会が開かれ、緊迫と混乱と休憩の続く議場の中で、山下組合長は『事前調査に関する議案は廃案とし理事は総辞職する』と宣言したのであります。 県はこの事態をどのように認識しているのか、今後どう対処されるのか、明確に御答弁をいただきたいのであります」。答弁者企画部長、「比井崎漁協の臨時総会の結果については、提案された事前調査受け入れに関する議案が採決に至らなかったものと受けとめてございます。 今後は役員改選後の漁協の動向を見きわめてまいりたいと考えているところでございます」、という答弁であります。再質問に入り、「議案は廃案になったのではないか」という質問に対する答弁は、「総会の結果に対する判断については先ほど御答弁させていただいたとおりでございまして」──結局、議事の時間切れの都合で念を押していなかったのでありますが、このことは組合長が廃案を宣言したので採決に至らなかった、すなわち事前調査受け入れに関する議案は採決に至らず廃案になり、白紙になったという答弁であると私は受けとめておるのでありますけれども、もしこれに異議がありましたら答弁をいただきたいと思います。
 それから、「今後は役員改選後の漁協の動向を見きわめてまいりたい」という答弁でありますが、あれから一年有余、役員も改選された漁協の動向について、例えば、原発が議題になって論争されたとか、総会の後遺症が残って対立が激しいとか等々、その見きわめてきた動向について報告をいただきたいのであります。
 私の聞き及ぶところでは、あれからは町民も漁民も原発に対する話題は次第に薄れて、漁協では原発問題は一度も討議されたこともなく、以前のような厳しかった反目や対立感情も和んできて、人それぞれの思惑はあるにしても、昔の平和な村に戻りつつあるということであります。
 さて、話を本筋の日高原発の先ほどの「煙」に戻します。
 日高町長は、来年十月に任期が迫るこの時期に、原発問題に決着をつけるという強い姿勢を表明いたしました。すなわち、関西電力が日高町小浦に計画している百二十万キロワット級二基の建設問題で、漁民及び町民の意識調査の実施を計画し、比井崎漁協に事前調査の協力要請を再び始めたのであります。新しい局面を迎えた日高町住民は、関電がこの日高原発を打ち出してから実に二十二年、原発の厳しい賛否の対立に揺れ動き、深刻な骨肉の争いに悩み苦しんだ毎日でありましたが、昨年三月、漁協の廃案宣言によってようやく原発の呪縛から解放され、平和な海を取り戻したのもつかの間、再び海は荒れなんとしてきておるのであります。
 去る八月二十四日付の読売新聞の報道によりますと、日高町の臨時課長会で、町長が原発問題で決着をつける時期が来たと協力を要請し、原発担当の参事が漁協の正組合員の名簿と町職員が受け持つ地域割り当て表を配付、小浦、阿尾など漁協組合員の住んでおる九地区について、課長、係長ら四十一人が訪問班を編成、一人当たり四人から八人を分担して、漁協組合員の原発に対する考え方、反対や中立の組合員については交友、取引関係も情報収集することになったと報じているのであります。
 本来ならば、地方自治体の長というものは、住民や漁民の自主性を尊重し、プライバシーを守らなければならないのであります。しかしながら、このように権力を持つ側からの一方的な押しつけにより住民の人権とプライバシーを侵害し、原発建設という一つの目的のために漁民、住民に対し踏み絵を強要するごとき行為は、まさに脅迫以外の何物でもないと私は考えるのであります。この町当局の考えは、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」とする憲法第十九条の精神を踏みにじった行為と考えるのであり、直ちに中止すべきものと考えるのでありますが、知事はどのように考えておられるのか、その見解を承りたいと思うのでございます。
 次に、お尋ねをいたします。
 比井崎漁協の白井組合長は病気入院中であります。事前調査協力要請は、先ほどからも申し上げておりますとおり、二十数年間町を二分してもめ続けたあげく、昨年の臨時総会において賛否を超えて村の平和のために廃案とされた、まことに重大な案件であります。入院中の白井組合長は旅館に呼び出され、この重大な案件を要請されたとしています。協力要請を受けた組合長は、その責任の重さの余り辞表を理事会に提出したと新聞は報じているのであります。なお、この協力要請は、後日、理事会において町長に返上されているのであります。
 さて、私が先ほど当局に念を押した昨年の臨時総会の結果につきましては、いかに当局が強弁しても廃案になったことは天下周知の事実であります。組合員も住民もそれを信じて、平静な村に、対立と反目のない平和な町に戻っているのであります。そうした状況のところへ、突如といいますか、またぞろといいますか、不法な意識調査で地ならしをしながら、既に廃案になった同じ案件を再び持ち込むことは、いかにも権力者の強引な非民主的な行為であり、県民本位の県政、住民本位のまごころ県政に大きく背く、憂慮せざるを得ないことであると思うのであります。和歌山県政全般の長である知事として、その所信をお伺いするものであります。
 次の質問をいたします。
 こうした日高町当局の姿勢に対して、県民や民主団体の代表が日高町役場を訪れ、話し合いを求めたのであります。ところが町当局は、「日高町町民とならお会いしますが、町外の方々とはお目にかからない。このことは、町だけでやっているのではなく県と一本で進めていることなので、町外の方は県当局と話し合ってください」と、話し合いを拒否されたのであります。拒否された県民は、やむなく県に話し合いを求めたのであります。すると県当局は、「日高町のことなので、日高町と話し合ってください」と、ここでもまた話し合いを拒否されたのであります。
 こうして、県民の権利も要求も無視されているのでありますが、今後こういうことのないように対処されるよう強く求めるものであり、これに対する答弁をお願いいたします。
 以上をもちまして、私の第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの森利一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 日高町の原発についての意識調査の件でございます。
 地方公共団体が行政を運営するに当たりましては、私は、議会を通じて地域住民の意思を反映させていくことが基本であると思っております。しかしまた、公聴会の制度等を利用して住民の声を聞いて参考にすることがございます。
 御指摘のございました日高町の調査も、こうした公聴の一つであろうと考えてございますけれども、お話ございましたように、実施に際しては住民の基本的人権は守られるべきであると考えてございます。
 また、日高町長が比井崎漁業協同組合長に対して事前調査申し入れを行ってございますけれども、日高町長はかねてから原子力発電所の立地を町の将来発展のために活用しようと考えてございますが、また今回は、日高町区長会の有志、及び日高町商工会等から早期の解決を求める要望書が提出されたこともございまして事前調査の申し入れを行ったものだと、私は認識している次第でございます。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 日高原発についての三点の御質問にお答え申し上げます。
 まず第一点は、昨年の比井崎漁協臨時総会についてでございます。
 昭和六十三年三月三十日に開催された比井崎漁協総会の結果については、会場の混乱により組合長が一方的に廃案の意思表示をして流会となったものでございまして、海上事前調査受け入れの議案については採決するに至っていないものと判断しているところでございます。
 次に第二点は、昨年の総会以後の動向についてでございます。
 比井崎漁業協同組合については、昭和六十三年三月三十日開催の総会の後、組合長以下の理事全員が総辞職されましたので、五月十一日、白井明氏を組合長とする執行部が新しく選出されたところでございます。電源立地については、漁業協同組合としての特段の取り組みがなされていなかったものと受けとめてございます。
 今回、新たに町長からの申し出がなされたところでございますが、組合長の病気による辞任という事態を迎えてございますので、新しい組合長が選出され、その組合長のもとでの対応がなされるものと考えてございます。
 最後に第三点は、県民の話し合いの場についてでございます。
 県の三原則の一つでございます地元の同意については、事前調査の段階では立地町の町長及び議会、建設の段階では立地町及び隣接市町村、それぞれの市町村長及び議会の同意が必要であると考えてございます。
 県におきましては、県民の声を代表される県議会を通じて御意見を承ってございます。また、公聴制度等も活用してございまして、今後もそのように対応してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 再質問をいたします。
 知事の答弁でありますけれども、まことに型のとおり、まことにそっけなく教えていただいて、どうもありがとうございます。
 日高町政のことなので県はまともに答えられないというふうに聞こえるわけでありますが、まあ私が反対の立場から質問をいたしているので、これ以上の答弁を要求することは無理というものでありましょう。
 それで私は、先ほど比井崎漁協の臨時総会の結果について再度質問をいたしましたが、県の態度は依然として「採決に至らなかった」ということであります。しかし、漁業協同組合はその定款に従って臨時総会を招集して成立した。重大な問題だけに相当議場の混乱があったことは事実でありますが、その中で組合長は、理事の一任を取りつけ、議長の了解のもとに、壇上で「廃案」の宣言を行ったのであります。このことは、賛成の組合員も反対の組合員も認めたことであります。そして、マスコミはもとより、天下周知の事実であります。その後、日高町の大半の人々は、もう原発はなくなったんだと考えて反目も対立もなくなったという事実を見ても、これが廃案になったということは認めていると思うのであります。
 「廃案」ということは、その後、組合長の言葉にもありましたけれども、これ以上の混乱は将来の村の平和のために避けなければならないと、こういう願いであります。遠い昔から、地縁、血縁で結ばれ、この海を宝の海として育ってきた者が、隣近所同士あるいは親戚同士が反目し合って物も言わないという毎日の生活は、全く大きな苦痛であり、不幸なことであります。こうした状況の中で、子孫にかかわる重大な原発の問題を数の力で押し切ろうとする、そういうこと自体に既に無理があるのであります。
 私は、そういう意味で、本当に「廃案」ということは最高の裁き方であったと思うのであります。ところが、県は「採決に至らなかった」と何回も繰り返しますが、廃案を認めないということは、何かの意図があるのではないかと考えるのであります。
 「採決に至らなかった」ということは、採決をしたら勝てるんだという願望が伏線にあるのではないか。そうして、「採決に至らなかった」という窓口を残しておいて、いつの日かきっと採決に至らしてみせるという、そういうことで、今度日高町長が協力要請をした、これとつながっているのではないかと私は勘ぐるのでありますけれども、勘ぐり過ぎでありましょうかどうか。質問をしてもまた同じことが返ってくると思いますけれども、意見として申し述べておきます。
 それから、ちょっとくどいので恐縮ですが、今、世界のどこの国でも新規の原発の建設はやっていない。むしろ、廃止の方向に進んでいるのであります。我が国でも、資源エネルギー庁の公表によりますと、危険な事故が八八年で四十八件にも及んでいるのであります。そうして、日本の原発もだんだんと老朽化してまいっております。私は、本当に今、紀伊半島に原発は要らない時代になってきたと思うのであります。
 観光地の白浜町議会は、日置川町原発反対請願を満場一致で決定いたしております。また、その南隣のすさみ町議会もそういう方向で検討を進めておるということを聞いております。今、この紀伊半島には、県が進めている燦黒潮リゾート構想、国際リゾート基地の形成が現実のものとして脚光を浴びてきておるのであります。
 知事は、いつか、「原発もリゾートも地域活性化という共通点がある。安全性の確保と自然環境の調和を考えるならば、原発とリゾートは必ずしもなじまないものではない」という意味のことを言われたことを私は記憶しておるのであります。しかしながら、私は子孫まで危険と同居をしなければならない原発の代償として──危険だからお金をたくさんくれるのでありますが、その危険の代償としての地域の活性化、そして平和と豊かな時代を象徴するリゾートの活性化、これほど矛盾した相入れないものはないと考えるのであります。
 県は、もっと高い、大きな立場に立って、もっと柔軟な姿勢で、新しい発想のもとに、二十一世紀へ向けてこの紀伊半島を見直すときが来ている。原発よりもリゾート、原発よりも高速道路であります。もう原発の時代は去ったと、私は考えているのであります。意見として申し述べておきます。あれば、答弁をやってください。
 次に、企画部長。
 「県民の話し合いの場」ということについて、「県においては、県議会を通じて意見を承っておる。公聴制度もある」という答弁でありますが、もっと具体的に、日高町へ行ったら県へ行け、県へ行ったら日高町へ行けと言われた県民は今度はどうするんだということを明確に答弁していただきたい。
 以上。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 県民の話し合いの場についての再質問にお答えを申し上げます。
 先ほど、県民の御意見は県議会を基本にしながら公聴制度等を活用するとの御答弁を申し上げましたが、状況に応じまして、県民の御意見や御質問を直接お伺いする場にも対応させていただいてございます。
 今回お申し入れの件につきましては、町独自の判断でなされたことでございますので、県としてはその間の状況に応じた対応がしがたいということを申し上げているわけでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(門 三佐博君) 以上で、森利一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(門 三佐博君) この際、暫時休憩いたします。
 午前十一時二十六分休憩
 ──────────────────────
 午後一時五分再開
○議長(門 三佐博君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 質問に入ります前に、去る九月十九日、台風二十二号による大雨で水の悲しい犠牲になられた安原小学校の前村有美ちゃんの御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、浸水被害に遭われた皆さんに、この場をおかりいたしまして心からお見舞いを申し上げたいと思います。大切な子供たちの安全な通学路が確保されるよう、早急な対策を心から強く要望しておきたいと思います。
 まず、消費税問題についてお尋ねをいたします。
 さきの参議院選挙は自民党の大敗に終わり、戦後の日本の政治史に新しい局面を開きました。和歌山県でも、選挙区の自民党候補が前回の得票を大きく下げ、大きく後退いたしました。こうした後退は、かつてないことであります。このことは、公約違反の大型間接税である消費税を国民の圧倒的多数の反対の声を押し切って実施したことに対し、国民が明確な審判を下したと言えます。この間、知事は、消費税の導入問題について一貫して支持する立場を貫かれてまいりました。
 一円が足りないためお菓子が買えなくて店先で泣いた子供、買い物をするたびにレシートの消費税に見入り、家計のやりくりに悩む主婦、税務署にかわっての税金集めは御免だと怒る業者の方々、知事はこうした県民の生の声を聞いたことがあるでしょうか。余りにも国民の消費税に対する批判が厳しいために、現在、政府・自民党は消費税見直し作業を進めているようでございまして、今、修正の内容として浮上しているのは、一つは税額表示の内税への一本化、二つ目は非課税品目の拡大、そして三つ目に福祉目的税化などが挙げられておりますが、これらのどれをとってみても消費税の基本点をあくまで堅持し、部分修正で目先を変えて定着をねらったものであります。全くの焦点そらしにほかなりません。国民は、さきの参議院選挙で消費税廃止の審判を下したのであります。もう、消費税は廃止する以外にはないわけです。今また、全国各地で消費税廃止を求める署名運動や全国的規模の集会が開かれ、大きな国民的運動のうねりが広がり始めていることは承知のとおりです。
 今、代替財源が論議されているようでありますが、我が党は、そんな心配をしなくても大企業や大資産家に対する不公平税制を是正し、軍事費などの不要不急の経費を整理すれば消費税の財源を十分賄うことができることを明らかにしております。消費税にかわる財源とセットでなければ廃止すべきでないという国民の声はないわけですから、代替財源など心配する必要もないわけです。総務庁の家計調査によりましても、消費税実施後、実質消費支出は四月、五月の二カ月連続で前年同月比マイナスを記録し、六月にプラスに転じたものの、七月には再び減少と、低迷を続けております。また、特に消費税の導入で個人消費は一・三%減と大きく落ち込んでおり、県民生活もますます苦しくなっているのであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 さきの参議院選挙の結果をどのように受けとめられたのか、またこの結果を踏まえて、知事は消費税に対する認識を改められる考えをお持ちかどうか、お聞かせください。
 次に、公共料金への消費税転嫁の問題について質問いたします。
 この問題については、我が党は二月及び六月議会でも取り上げてまいりましたが、県民生活に大きく影響し、情勢の新しい局面も開かれていますので、三たび取り上げたいと思います。
 消費税導入直前の二月議会でも公共料金に対して全面的に消費税の転嫁を決めたのは、近畿では我が和歌山県だけでした。全く県民の願いに逆行した姿勢であり、県民にとっては大変不幸なことでもあります。参議院選挙後は全国のあちこちで公共料金への消費税の転嫁が見送られ、また既に転嫁しているところでも撤回する自治体が出てきているのであります。
 例えば横浜市では、この九月議会に細郷道一横浜市長から提案された消費税関連転嫁条例撤回議案が、自民党を除く賛成多数で可決をいたしました。我が党の議員が質問に立ち、「撤回」は消費税廃止を求める広範な市民世論の勝利であり、当然であると主張しています。消費税廃止を求める意見書が全国の議会で相次いで上げられていることから見ましても、まさにこれが現在の国民の声であり願いでありましょう。県内でも、一般会計と公営企業会計両方に消費税を転嫁していないところが白浜町、太地町と、二つあります。
 そこで知事に伺いますが、このような全国的な動きをどうとらえておられますか。また、この消費税の転嫁を今こそ撤回することが県民の願いに沿うものであると思うのです。知事の御所見をお聞かせください。
 次に、去る七月二十日に開かれた全国知事会について質問を申し上げます。
 この全国知事会では、政府に対して消費税の見直し、政治改革の断行、地方自治体への権限委譲などを要望することを緊急決議しました。全国知事会での緊急決議は極めて異例のことでもあります。この決議である「消費税の見直しに関する要望」によりますと、「消費税は新しい方式の間接税であるため、一般的になじみが薄いことなどから、国民の間にこの税に対するもろもろの不満と疑問が生じている」とし、「積極的に必要な見直しを行い、その適正化を図れるよう要望する」となっております。
 そこで知事、国民にもろもろの不満と疑問が生じているということについて、具体的にどのように認識しておられるのか、ここで言う「見直し」の中身は、消費税が欠陥税であることから公共料金への転嫁の見直しという意味も含まれているのかどうか、お答えください。
 次に、教育長にお尋ねをいたします。
 国税庁が全国の小学六年、中学三年、高校一年を対象に、税の仕組みや消費税を柱とした税制改革について説明した副教材用パンフレットを四百四十万部配付していることが明らかになりました。中でも、特に中学三年、高校一年のパンフレットの中身を見てみますと、中学三年生向けのパンフレットでは、「税制改革」について、大まかに言うと云々、直接税の税金を軽くして云々、消費に広く薄く公平に負担してもらう消費税ができたんだとし、時代の変化に合った公平な税制にしたわけなんだと消費税の公平性を殊さら強調し、また高校一年生向けのパンフレットでは、「国税の内訳」の中で消費税について言及し、「だれでも使ったお金の大きさに応じて公平に負担を求める消費税が導入されました」など、政府・自民党の言い分に沿った言い方で、一方的に見解を述べているのであります。
 国民の厳しい批判を受けている消費税を一方的な立場から教育の副教材として配付することは学校教育の政治利用であり、余りにも無神経きわまることとして批判の声が上がっているのです。
 そこで、教育長にお聞きいたします。
 県としてこの問題にどのようにかかわってこられたのか、このようなパンフレットは配付を中止させるべきであったと考えますが、教育長の御所見を伺いたいと思います。
 次に、リゾート開発問題についてお尋ねいたします。
 このリゾートについては、これまで毎議会、多くの同僚議員や我が党も質問を重ねてまいったところです。法成立後、リゾートフィーバーに一層拍車がかけられ、リゾート本来のあり方が国や大資本企業によってねじ曲げられているという念を強く抱くのです。「バスに乗りおくれてはならない」、「今や遅し」とばかり、日本列島はリゾート開発ブームが巻き起こされております。
 八六年六月施行の総合保養地域整備法に基づく大規模リゾート基地構想は全国三十四道府県でつくられており、既に国に基本構想の承認を得たところは十四道県に上っております。ほか全国すべての都道府県でリゾート開発計画が検討されており、重点整備の対象とされる特定地域の面積は、発表されている主要四十地域だけで六百四十万九千ヘクタール、日本の総面積の約一七%、総事業費は公表されている二十地域だけで何と五兆九千億円という規模に達していると、野村総合研究所出版の「二○○○年のリゾート産業」は言っております。しかし、リゾート法適用地域以外でも、ホテル、リゾートマンション、ゴルフ場を初め、さまざまなリゾート関連開発の波が押し寄せている現状から、今後これらを合わせたリゾート開発は全国土の三○%に及ぶとさえ言われているのです。
 リゾート法第一条の、リゾート基地が国民の要求にこたえて、全国民が利用しやすい条件、すなわち低料金でだれでも気軽に利用できる公共施設で、しかも自然と文化環境が保全されているものとして全国的に整備提供されるならば、国民の生活にとって、また日本社会発展のための不可欠な構成部分として喜ばれることでありましょう。私どもも大いに歓迎し得るものであります。
 ところが、今日のリゾート開発ブームは、このような国民の要求や願いに沿った国家的事業として出発しているのではなく、専ら民間能力の活用、内需拡大と銘打った大企業の金余り現象から来る過剰資本の新市場開拓を目指す投資戦略として始められているところに最大の問題点があることを、まず指摘せねばなりません。かつて、高度成長期の大企業本位の地域開発が行われた経験が私たちに本質的な教訓を与えてくれました。この経験は、住友金属などの横暴なやり方に見られたように、知事にも痛いほどおわかりのはずであります。私はこの点、殊さら住金労働者の家族としても肌身をもって感じているわけです。再び大企業に頼る地域振興とリゾート開発に求めるならば、ますます地元の産業や経済の発展は望めない状況をつくり出す結果になりましょう。リゾート開発の危険性を再考する必要があろうかとも思うのであります。
 ここでもう一度、リゾート法に基づく開発は私たち国民に何をもたらすのかを見てみたいと思うのです。
 第一に、大規模な自然破壊と環境悪化であります。リゾート開発という目的からすれば、辛うじて残された良好な自然環境に重大な影響を及ぼし、採算性確保上、各種規制を緩和したことからも明らかです。特に今、リゾートの主要事業であるゴルフ場開発による自然破壊や農薬公害、二次災害が社会問題になっているように、各地で建設反対の住民運動が起きているのが何よりもその証拠であります。
 第二は、再び土地買い占めや地価上昇を招かざるを得ないことです。本リゾート法では、地価の安定ということが配慮事項となっておりますが、その前に確実に進行するでありましょう土地の買い占めに対して全く無力ではないかということです。
 第三に、関係自治体に多大な財政負担を押しつけ、現在でさえ困難な地方財政をより深刻なものとすることです。言わずとも知れたこのリゾートは大規模な土地開発なのですから、道路や上下水道などの公共施設整備を必要とするものであります。しかも、対象地域の多くが財政力の乏しい自治体であることが十分予想されるにもかかわらず、このことについて国の特別な財政援助が全く定められておりません。片や企業に対しては、税制上の特別措置を初め援助策も十分過ぎるほど定められているのであります。まさに、徹頭徹尾、民間大企業のもうけを国と自治体の奉仕で増大させるものであることが十分過ぎるほど理解できましょう。
 同時に、我が国の良好な自然条件が重大な破壊の脅威に直面することは明白であります。利用する労働者は長時間労働で年休もとれず、過密労働などによる過労死の増加、週休二日制は遅々として進まず、農業や中小商工業者の経営もますます深刻の度を加えています。観光地のホテルや保養所、公共施設の国民宿舎などの運営も四苦八苦の状態ではありませんか。こうした問題は、既に承認された多くの地域で現実のものとなりつつあるのです。
 具体例を申し上げますと、成功例と言われている北海道の占冠村トマムでは、村の町並みを統一する景観条例に基づき景観形成基準が設けられ、ホテルアルファトマムが使用しているれんが、タイル焼きつけの茶褐色のアルファグリック色一色に統一、そのため小学校や中学校、その上、役場の増改築にまで他の色、他の材料は使用できません。そして、一平方メートル当たり一万円以上もの割高な値段になっているのであります。また、周辺農家と連携して計画された北海道特産のジャガイモの選別貯蔵施設も、リゾート景観になじまないと企業側が一方的に強引に中止をさせているのです。
 沖縄県の宮古島下地町では、ホテルやリゾート施設で税収は伸びたものの、国からの交付税も差し引かれ、期待したほどの増収にならず、最も地元が期待していた地元農産物のホテルへの納入も、高級品をと言うホテル側の注文で、宮古産の納入はわずかに七・六%という状況なのです。
 あの川端康成の小説「雪国」の舞台になった新潟県湯沢温泉町では、人口九千人のところにリゾートマンション八十棟、二万戸に達し、町の税収は大きく膨れ上がったものの、地下水の枯渇、マンションの排水による水質汚染、交通混雑、し尿・ごみ処理、高層ビルに届くほどのはしご消防車の欠如、そして地価高騰と、多くの難問が生じております。地元の旧旅館、民宿の廃業と、数千万円から一億円にも上ると言われる借金や離郷が続いているのであります。まさに「企業栄えて民滅ぶ」という言葉がぴったりです。
 また、ゴルフ場開発に絡んだ利権、汚職の横行、子供たちの非行などへの影響があらわれてきています。こうした事例からも、リゾート開発の地域にもたらす多大な危険性は十分おわかりいただけたと思うのであります。本県のリゾート計画がこのようなことになってはいけないと、大変心配をいたしております。
 燦黒潮リゾート基本構想推進のため熱意を傾けておられる関係職員のひたむきな仕事ぶりには敬意を示したいと思うのでありますが、ここで一緒にちょっと考えていただきたいのであります。
 知事に、お尋ねをしてまいりたいと思います。
 知事、あなたは、燦黒潮リゾート基本構想そのものが県民生活に密着した、県民の願いにこたえた計画であると確信をお持ちかどうか、お答えください。
 十六万二千ヘクタールというスケールの大きい、パンフレットから知る範囲では、華々しくバラ色の幻想を与えています。県民の現実と余りにもかけ離れたものになっているように思えて仕方がないのです。この構想の中からは、県民の日々の暮らしや願いなど、どこを探してもその姿が見えてこないのです。こんな構想は、マリーナシティにしても大きな需要予測のもとに確信を持って計画されていると思うわけでありますが、莫大な県民の税金を投資する以上、実際に利用する県民が気軽に施設を利用し、余暇を楽しめねばなりません。果たしてそうなるかどうか、非常に疑問に思うところです。御答弁をお願いいたします。
 商工労働部長にお尋ねをいたします。
 労働者の権利としての余暇保障でありますから、当然、需要予測を立てるに当たって、労働者あるいは県民の労働条件の実情や余暇の確保の状況、そしてその余暇利用をどのように望んでいるのかを調査され、構想に盛り込まれてまいりましたか。県民のためのリゾート構想という限りは、その前提として少なくとも基礎調査を十分に行い、把握されていなければならないはずです。いつ、どのような形で調査をされたのか、そしてどんな結果が得られたのかを明確にお答えください。
 二つ目は、環境問題について、二次災害等を含め、保健環境部長にお尋ねをいたします。
 本県は、全国的にも自然環境に恵まれた県の一つでありますから、それは本県の最大の魅力でもあります。このすばらしさをさらに生かすべきであって、リゾートブームに乗った乱開発で自然を破壊するようなことがあってはなりません。ところが和歌山県は、新空港にあわせて開発構想が先行し、環境行政が後手に回り、軽視される傾向にあるように感じているんです。
 例えば、大規模な山林開発にしても、アセスメントを義務づけるような条例も要綱もありません。公有水面の埋め立てならば五十ヘクタール以上はそれなりのアセスメントが義務づけられているのに、これでは乱開発を見て見ぬふりをしているということになりかねません。
 例えば、和歌山市の和泉山脈に見られるように、二万人を超える人々が生活する新興住宅地の真上に、和興開発や東急建設によって三百二十五ヘクタールに及ぶゴルフ場を含む大規模なリゾート関連開発が計画されているではありませんか。開発による地すべりや雨による鉄砲水が平地での水害を起こします。こういった二次災害。さらには、ゴルフ場の農薬公害などの不安が広がっているにもかかわらず、適正な環境アセスメントを義務づけるような法律も条例もないのです。これでは、関係住民はたまったものではありません。
 最近、多くの府県でゴルフ場開発の総量規制条例やゴルフ場開発指導要綱などが、不十分な内容でありながらも作成が進められています。本県の場合、いまだに規制措置の具体策が示されていないのです。リゾートだ開発だと言う前に、本県の恵まれた自然環境を積極的に守り、住民を二次災害の危険から守る、具体的でかつ実行力ある適正な環境アセスメントを義務づける条例が、リゾート計画を含むあらゆる開発についてぜひとも必要であり、急がれなければなりません。保健環境部長、お答え願います。
 次に、こうした開発と大きくかかわる問題として、特に下排水、浸水問題についてお尋ねしたいと思います。
 例えば、私の住む有功、楠見地区でありますが、先ほどもお答えがありましたように、せんだっての水害で大きな被害を受けました。十数年前から紀泉山脈一帯に宅地造成が続き、その開発面積も約百九十二・九ヘクタール、住宅だけで四千七百八十四戸、ほかに小・中学校、高校、短大合わせて五校が建設され、紀の川に並行して走る東西の幹線道路、県道粉河加太線の南側は、かつて田畑であった農地がミニ宅地開発化されて、さらに住宅建設が今も進められているのです。まさに、ベッドタウンの様相を呈しているのであります。
 道路は、朝夕の通勤ラッシュの混雑、渋滞はそれはひどいものです。ここ十数年、集中的に、しかも短期間の雨でさえ決まって浸水するオークワ六十谷店前周辺は、店を閉め、シャッターをおろして雨水のくみ出しをする作業が続いているのです。店をあけていようものなら、車の通行で増水はますますひどくなり、被害は甚大です。平常時でさえも、このように浸水する実情であります。今回のように一たび大洪水になりますと、県道粉河加太線沿線は至るところで交通遮断や農業用用水路からのはんらんによる床上・床下浸水が起き、山林開発による高台の新興住宅地から流れ落ちる大量の雨は容赦なく平地に流れてくるのです。昔ながらの農業用水路の許容量をはるかに超えた排水量で、満潮時とも重なると、紀の川の流排水は困難をきわめます。平地におきましても、今まで遊水地の役割を果たしていた田畑が消え、水の逃げ場がなくなって、すべて小さな農業用水路に集中してたまってしまうことが被害地域を広げているとも言えるのではないでしょうか。
 今回の大雨は和歌山市全域に大きな被害をもたらしました。私たちの有功・楠見地区は、ここ数年間経験しなかった浸水被害の状況でもありました。こうした被害の原因は、現在、民間開発に対し適正な開発規制指導要綱のないままミニ造成開発を進めてきたことや、市街化区域でありながらも都市基盤整備の道路、下水計画のおくれなどが無秩序の中で、開発だけを先行させてきた結果、引き起こされたものであります。まさに人災であり、行政の責任が問われなければなりません。適切な改善が行われていたならば、冒頭申し上げた前村有美ちゃんの悲しい事故は防げていたのではないでしょうか。
 こうした現状を素直に見詰めて、住民生活に身近な都市基盤整備にも力を注ぐべきであります。都市下水や道路整備は基本的には市町村になりますが、開発許可は県知事の仕事であり、しかも基盤整備は広域的な性格を帯びておりますから、市町村にゆだねるばかりでなく、指導性を発揮して積極的に取り組んでほしいものであります。
 そこで、こうした問題にかかわり、具体的にお尋ねいたします。
 有功地区を流域面積とする鳴滝川、千手川が排水機能を十分果たしているのかどうか、また、今回の水害の状況から見て両河川の改修計画が急がれるべきと考えます。具体的な計画そのものを土木部長の方からお答え願います。
 ところで、私は、浸水問題について私の住む和歌山市の一地域に限定した話をしてまいりましたが、こうした状況は、多かれ少なかれ全県的にも共通する問題も少なくないと考えます。
 そこで、総務部長及び関係部長にお尋ねいたします。
 過日の大雨による県下の水害状況はいかがでしたか。当局としては、こうした被害を生む原因はどのようにお考えでしょうか。さらに、今後どのような対策をお考えなのでしょう、御所見をお聞かせ願います。
 最後に、リゾート開発ブームの中で開発が先行しますと、土地買い占めが非常に進み、地価も上昇していることをリアルに把握し、監視を強める必要があります。そして、買い占めや地価高騰を抑制するための具体策も当然必要です。もはや、和歌山市では地価高騰で労働者はマイホームを求めようにも求められず、貴志川など周辺部に求めざるを得なくなっております。リゾートブームはさらに追い打ちをかけるでありましょう。開発業者から不動産業者、そしてさらに不動産業者へと売買されるたびに値はつり上げられ、結果的に労働者が買うときにはびっくりするほどの値段で手が出せない実態があると聞いています。一般的な監視ではなく、あわせて抑制策が必要と思います。当局の具体的方策をお聞かせください。企画部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、第一回の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員に答弁申し上げます。
 まず最初に、参議院選挙結果についての受けとめ方の問題でございますけれども、リクルート不信の問題、消費税の問題等についての厳しい反発というものをひしひしと感じております。
 消費税の問題でございますけれども、日常的な税負担感や納税計算事務等の点から、県民に種々の戸惑いや疑問が生じておると存じておるわけでございます。国は、参議院選挙や最近の世論調査の結果を踏まえて見直しの作業に取り組んでおるわけでございまして、現在開かれている国会において検討中でございます。私としましては、県民生活への影響や地方財政の安定等の見地から、国における動きを注意深く見守りつつ対処してまいりたいと思っております。お話ございましたように、先般も全国知事会を通じて、国民の理解と協力を得ながら、この税の仕組み並びに運用について積極的に必要な見直しを行うように要望しているところでございます。
 また、消費税の公共料金への転嫁につきましては、制度の趣旨に沿って実施したところであり、利用者等の皆さんにも御理解をお願いしているところでございます。
 次に、リゾート開発問題でございます。
 本県の燦黒潮リゾート構想は、県民の置かれている状況や暮らしの願いに根差した計画であるかどうかという点でございます。
 本県におけるリゾート整備は、恵まれた自然景観、文化資源、伝統等を活用することが、私はまず第一に基本であると考えておるわけです。そして、その構想を策定していく過程におきましては、地元市町、地元関係団体の代表から成る協議会を設置いたしまして、連絡調整に努めながら構想をつくり、国の承認を目指しているところでございます。
 こうしたリゾート整備には、県民の皆さんの豊かな暮らしに資することが最も重要な問題でございまして、民間事業者の活力を活用しつつ、地元の皆さんの参画を得ながら、地域の農林業、地場産業などを活性化し、地域の振興を図ることとしておるわけでございます。また同時に、若者が定着できる雇用の場の拡大、そしてまた県民が楽しめる文化活動やスポーツ、レクリエーション活動の施設の整備を行いまして、潤いと安らぎのある生活ができるよう目指しているところでございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) まず、労働時間の問題でございます。
 昭和六十三年の県内企業対象の調査によりますと、過去三年間に労働時間を短縮した企業が二六・五%あります。そのうち、週休二日制の実施による時間短縮のケースが最も多くございます。現在、県内企業の四七・四%が何らかの形で週休二日制を導入しております。
 また、県民がリゾートについてどのような意識を持っているか、昭和六十二年に無作為抽出による調査を実施しておりますが、その結果を見ますと、約七割強の人々が欧米型リゾート時代の到来を予測しておりまして、半数以上の人々がリゾートとして望ましい場所としては海浜、海洋地帯を挙げております。また、リゾートとして望ましい基本活動の型は、保養、休養を主体にというのが半数以上を占める調査結果が出ております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 環境アセスメントの制度化についての御質問にお答え申し上げます。
 大規模な開発事業の実施に当たって環境影響評価を実施することは、公害の防止及び自然環境の保全のために重要であると認識いたしております。現在、公有水面埋立法などの個別法や国の環境影響評価実施要綱に基づきまして、既に環境アセスメントを実施しているところでございます。また、これらの対象事業以外につきましても、大規模開発計画調整協議会などの事前協議の段階で、規模に応じて環境アセスメントの実施を指導いたしているところでございます。
 県としての制度化につきましては、現在、庁内関係課室による検討会を設け、その必要性、対象事業、手続等を鋭意検討しているところでございまして、今年度中を目途にできるだけ早くその検討の取りまとめを行いたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 有功地区の早急な浸水対策、とりわけ鳴滝川、千手川の河川改修についてでございます。
 先ほど橋本議員にお答え申し上げたとおり、鳴滝川につきましては、用地取得の面で地元の方々の全面的な協力を得ながら天井川の解消を図るべく、おおむね五カ年で紀の川の合流点より千二百メーターを完了する予定としております。
 千手川につきましては、人家連檐地区を含む県管理区間の改修は昭和六十二年に完了したところでございます。この九月の集中豪雨による出水状況から見ましても、その効果は相当あったものと考えております。
 それから、八月末から九月にかけての県下の水害状況は、後ほど総務部長より申し上げます。
 その対策でございますが、公共土木施設の被災箇所につきましては早急に災害査定を受け、二次災害を受けないよう速やかに復旧してまいります。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) このたびの秋雨前線は局地的に豪雨をもたらしまして、九月の月間総雨量が和歌山市で過去最高の八百ミリ以上を記録し、県下各地に多大の被害をもたらしました。
 人的被害としては、和歌山市で児童が下校中に転落するという痛ましい事故が発生したことはまことに残念なことでございます。また住宅被害は、全壊二棟、一部破損三棟、床上浸水約七百棟、床下浸水約一万二千棟を数えるに至りました。農林施設は約四千二百カ所で六十五億九千万円余、土木施設は約千七百カ所で八十二億円余、そのほか農林水産物は二億七千万円余の被害が見込まれております。
 今後は、この豪雨を教訓といたしまして、関係各部局と連携をとりまして、防災対策により一層努力してまいりたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答えを申し上げます。
 農林水産関係の被害でございますが、農作物関係二億七千万、農地・農業用施設関係で五十六億八千万、林地・林道関係で九億一千万、合計六十八億六千万円となってございます。
 その対策につきましては、緊急を要するもの、細かく言いますと被災件数にして約四千三百件が対象となってございますが、応急工事を実施するとともに、災害復旧事業計画の作成に鋭意努めているところでございます。準備が整った箇所から既に国の災害査定に入っておりまして、早期復旧に向けて精いっぱいの努力をいたしてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート開発問題に関連いたしまして、地価抑制対策についてお答えを申し上げます。
 土地の投機的取引や地価の高騰を抑制いたしまして、乱開発などを未然に防ぐために国土利用計画法第二十三条の規定に基づきまして、一定面積以上の土地取引については価格及び利用目的を知事に届け出ることになってございますが、最近の地価上昇に伴う対策の一つといたしまして、本年の三月一日から和歌山市の商業地、さらに九月十六日からは和歌山市、貴志川町、岩出町の全区域について、そして田辺市、打田町、白浜町については都市計画区域内を、それぞれ監視区域に指定いたしたところでございます。
 リゾート法に基づく重点整備地区につきましても、こうした制度を十分活用いたしまして、地価の安定と土地の有効利用が図れるよう対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 国税庁発行に伴う税制改革関連の学校へのパンフレットにつきましてお答えを申し上げます。
 税に関するパンフレットは、国税庁が納税の義務の理解に役立てるため、全国社会科研究協議会等の協力を得て、学習指導要領に準拠して作成し、既に二十数年前から税務署を通じて全国の小・中・高等学校に対して、社会科の授業の参考資料として配付をされてきたものでございます。
 租税の意義と役割について、学習指導要領では児童生徒の発達段階に応じて指導することになっておりまして、県教育委員会といたしましてはこれらの資料が租税学習を進める上での参考資料となるものと考えてございます。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、知事及び各関係部長から御答弁をいただいたわけですけれども、知事の答弁はもう一貫して、今後も県民の皆さんのために続けていくといったことで、まさしく県民の願いに逆行する立場を貫かれるということでありまして、知事会での緊急決議にも劣るような答弁であったような感を私は強く抱きます。
 見直しそのものが、今、本当に問われています。国民の願いは廃止であると、もう審判が下っている。そこに対して何ら反省の気持ちがないということに、私は厳しく批判をしておきたいと思います。
 リゾート問題についてお尋ねをいたします。協議会なるものができているというふうに今答弁をいただきましたけれども、この協議会の性格そのものは一体何を示しているのかということをお聞きしたいと思います。そして、その協議会に加わるメンバーはどういった人たちなのかをお聞かせいただきたいと思います。
 商工労働部長にお尋ねいたしますけれども、アンケートをとった結果を見てみると週休二日制について県内企業の四七・四%がもう何らかの形で実施をしていると報告されました。こういったことで時間短縮が図られていると理解するわけですけれども、和歌山県内で週休二日制が実現できるところというのは本当に少ないと思うわけです。四七・四%の週休二日制、二六・五%の時間短縮、これは県庁を初めとして行われていると思いますが、従業者が一人から四人のところというのが和歌山県は大変多いわけですね。全国で第四番目ですから、いかに中小の零細企業が多いかということを物語っていると思うんです。こういった一人から四人の従業者で頑張っているところの時間短縮や労働条件、休暇のとり方は一体どうなっておりますか、わかれば教えてください。
 それから、アンケートの結果から、こういうリゾートを非常に喜んでいると言われました。どんなものを望むかというと、海洋型がいいということですけれども、今、労働者の願いがそうであったとしても、それを整えるための環境整備をどういうふうにつくられようとしているのか、具体的に説明をしてください。
 そこで、具体的にお尋ねをいたしますけれども、例えば県庁の職員がリゾート地へ連続して一週間の休養をとりに行きたいと言ったときにこれは可能なのかどうか。現在、夏休みが一週間あると聞いております。しかし、これも連続してとれているのかどうか非常に危惧をいたすところですが、その実態はどうなのか、そして県庁の職員が連続してとっている年休の実態はどうなのか、これもお聞かせください。
 保健環境部長から、現在、できるだけ早急に環境アセスをつくるべく各関係部局との連携をやっているというお答えをいただきました。これから、リゾートあるいはそれに関連する開発が進むであろうと思います。既に三つのゴルフ場が造成を始めていますし、新たに八つか九つの事前協議が行われているわけですけれども、こういったところに民間企業が進出してきて、そこに環境アセスが今適用されていない。これは非常に急がなければなりません。
 そういった点で、本当に効力あるものを一日も早くつくっていただくように、そしてできれば来年の二月議会あるいは六月議会には提案できるように頑張っていただきたいと要請をいたしておきます。
 土木部長。鳴滝川の改修の問題ですけれども。
 質問の中では触れませんでしたけれども、昨日、知事や土木部長、公室長、出納長に対して、有功地区連合自治会を初めとして六十谷、園部、各自治会長、水利組合等の各種団体の皆さんから、市長とともに陳情があったとお聞きいたしました。私も地元の人たちから、きょうの議会でこの問題について積極的に対応をしていただきたいという要望もされてまいりました。
 今、土木部長から非常に大まかな、しかも簡潔過ぎるほどの答弁をいただいたわけですけれども、既にあの水害対策について激甚何とか事業というのに県は取り組みを始めていて、そしてあしたですか、和歌山市長あるいは知事を含めて建設省へ陳情にお行きになるということまで私は聞いております。にもかかわらず、その具体例が示されない、どういうふうな方向で解決しようかということ自体が報告されないということは非常に不満であります。その部分について、具体的にお答えください。
 以上で、終わります。
○議長(門 三佐博君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 消費税の見直しの問題でございます。
 知事会で緊急提言があったのにという話でございましたけれども、私も知事会の幹部でございまして、選挙前の二十日に見直しの提言を行ったところでございます。先ほども申しましたように、現在、国において見直しを審議中でございます。その結果を踏まえて、今後とも対処してまいりたいと思っております。
 それから、リゾートの協議会の性格ですけれども、これは各地域ごとにリゾート構想を推進して地域の発展を図るということでつくっておるわけでございます。内容等については、部長から答弁させていただきます。
○議長(門 三佐博君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾート構想推進協議会についての基本的な性格につきましては、ただいま知事答弁のとおりでございますが、若干詳しく申し上げさせていただきます。
 燦黒潮リゾート構想を推進し、もって地域の振興発展を図ることを目的といたしてございます。メンバーにつきましては、地元の自治会、労働界、婦人団体を初めといたしまして、農業、漁業、観光業、商工業等々、各界の代表者をもって構成いたしているものでございます。
 以上でございます。
○議長(門 三佐博君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 労働時間等の実態調査につきましては、常用の従業員三十人以上の企業、約千二百五十社を対象に三年ごとに実施しております。三十人未満の企業につきましては、現在、調査の資料がございません。
○議長(門 三佐博君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 県職員の年次休暇でございますが、事務に支障がない範囲で年次有給休暇の消化に努めているところでございますが、職場によっては連続してとれない場合もあるというのも実態でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) 鳴滝川の今回考えている改修でございますが、ただいまお示しありましたように、激特事業ということで特別の枠をいただいて事業をしようと考えておりまして、現在、国へ向けて要望をしている最中でございます。
 中身につきましては、計画の規模を五十年確率で計画しておりまして、それに合うような河道計画をしていきたい、それと河床の切り下げをやるということで、約五年ほどの期間でし遂げたいと考えております。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 総務部長。これは要望ですが、職場によっては職務上の関係でとれないときもある──「ときもある」ですね。これは、一週間連続してとれているというふうに理解をいたしますが、後でその実際の消化状況を教えてください。私は、決してとれているというふうには思えないのであります。
 それから、土木部長。鳴滝川の問題について努力をしていただくわけですけれども、地域の人たちが一日も早く本当に安心して暮らせるように、やっぱり暮らしと命を守っていただきたいと思うわけです。
 その中で、和歌山市が行うポンプアップの問題も出てくるでありましょう。今、鳴滝川や千手川の流域面積で十分にはけるというふうにおっしゃいましたけれども、今度の水害そのものは全くそこへ流れ出ないようなところから出てきていますので、その部分をポンプアップするなり、農業用水路を十分活用できるようなものに改修していかないと大変な事態になると思うんです。
 そういった点から見ても、県の仕事じゃありませんけれども、広域的事業として積極的に財政の確保のためにも努力をしていただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 以上です。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
○議長(門 三佐博君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番木下秀男君。
 〔木下秀男君、登壇〕(拍手)
○木下秀男君 私は、去る八月末から九月上旬にかけてカナダからアメリカ西海岸を回ったその視察報告と、先ほど来質問されている集中豪雨の災害について、三、四項目の質問をいたします。
 今回、原稿は持っておりませんが、今申し上げましたように九月の上旬にはカナダからアメリカを視察、そして帰ってまいって災害地の視察ということで原稿を書く時間がなかったこともありますけれども、原稿を欲しい、ここを抜いてほしいという煩わしさもございましたので、今回は原稿を持っておりません。数字を間違ったら悪いので、ここに資料だけ持ってきておりますが。
 八月三十一日、知事並びに門県会議長、それに岸本議員と私、そして知事の秘書さん等、一行七名で、成田空港経由で第一の目的地であるバンクーバーへ参りました。バンクーバーでは、ブラジルから回ってこられた先発の橋本議員、小林議員、松本議員、那須議員、そして事務局の職員ともども空港で出迎えをいただき、現地時間で八月三十一日の十時過ぎに合流しました。これが正規なカナダ訪問団でございますが。
 それから、第一の目的地である、今を過ぐる百年前にカナダの地に新天地を求めてまいった工野儀兵衛翁が第一歩をしるされたフレーザー河畔に立てられている日本式庭園の碑に参り、その工野儀兵衛翁の雄飛というか大志というか、百年前にカナダに渡った遺徳をしのんでまいりました。さらに、そのフレーザー河畔からほど近いところにある、日本のお寺の分院のような形で落慶した東漸寺という、できて間もないお寺に参詣いたし、御案内いただいた県人会の皆さん方ともども、先人物故者の慰霊法要を行いました。
 明けて一日には、知事、議長は州都の首相に表敬訪問され、残った我々一行は、いろいろの目的を持っておりますが、まず海岸を中心としたリゾート開発、そしてバンクーバーを中心とする学園の中でも中心的なコロンビア大学、さらに山岳の公園地帯と、一日かけて各地を観光視察という名目で参りました。一日の晩には、日本人の一番多いブリティッシュ・コロンビア州に参り、ここの和歌山県人会の皆さん方からカナダ移住百年の記念式典に招かれました。知事、議長からいろいろと記念品を贈り、また向こうから記念品をいただきという温かい交流を深める中で、今日まで百年の長きにわたって営々と今の地位を築かれた先人はもちろんのこと、今おられる皆さん方の御苦労をたたえ、今後一層の友好と交流を深める意義ある催しでありました。
 そして二日目、この日は移動日で、朝早くバンクーバーからトロントを経てナイアガラまで参りました。トロントからナイアガラまでの間、約百六十キロはバスで移動しました。それこそ八車線、十車線という高速道路を走るわけでございますが、左手には湖岸のウォーターフロントと申しますか、海と陸を開発したすばらしい地域を眺め、また右側にはカナダで一番腐葉土が多いと言われている農業地帯を眺めることができました。さすがソ連に次ぐ世界第二の大陸だけあって、走れども走れども同じような広々とした風景で、約一時間半余りでナイアガラに参りました。ナイアガラは、さすが「世界の観光地」と言われるだけあって、言葉に言いあらわせないほど豪壮な滝でございました。そして、その周辺の観光施設も見てまいりました。ここはお国も違いますから、日本と比べるということは少し無理があるかもしれませんが、一つ橋を渡ればアメリカという、そういう地域にあるカナダの観光地のあり方というものも勉強してまいりました。
 そして、三日目にはもとのところに引き返し、トロントの東部県人会──婚姻等の関係から他府県の皆さんも和歌山県人会へ入られておりますが、ここの皆さん方からも渡加百周年記念祝賀式典に招かれました。同じような催しではありましたけれども、やはりバンクーバーとトロントとは幾分差のあることを参加者一同、感じました。
 目的である両都市の記念祝賀式典も無事終了いたしまして、四日に、先ほど申されましたように一行は日本へ帰られ、知事ら三人はアメリカからヨーロッパへ、そして私と岸本議員の二人はロサンゼルスへ参りました。案内者も通訳も予定しておりませんでしたが、アメリカ生まれ、アメリカ育ちという私の友人にお願いいたし、二日間お世話になりました。
 私ども二人が参った目的は、アメリカの実情というよりも、今、日本が一番頭を痛め、特に果実を産出している和歌山県が頭を痛めているというどころか、頭にきておるミカンの問題について、何とか逆に輸出できないものだろうかという気持ちから各地を見てまいりました。
 日本がまねをしたのでございましょうが、あのような形のスーパーへも入り、不必要なものを買いながらも、そのスーパーの中も見てまいりました。そんな中で、邦人が中心でございますけれども、できれば日本のミカンが欲しいという生の声も聞いてまいりました。そして、これからが大変であろうけれども、日本として、果実を産出する和歌山県として、この問題に取り組んでいかなければならないと強く感じたものでございます。
 ここで、まとめとして、まずカナダを中心に申し上げたいと思います。現在、全国で二十四の市、区、町がカナダと姉妹提携を結んでございますけれども、和歌山県内では和歌山市とブリティッシュ・コロンビア州にあるリッチモンドとの、ただ一カ所でございます。和歌山市は、新聞等の報道を見ますと、市会議員の皆さんや各種団体の皆さんも交流を深める中で、最近は特に中高校生を中心としたサマースクールといった形でも交流が行われていると聞いておりますが、これをさらに強めていくべきであろうということも感じたわけでございます。
 国家間におきましては、御承知のとおり海部総理大臣が誕生いたし、これは歴代総理大臣のなさっておることでございますが、アメリカ訪問の後に次いで選択したのがカナダでございました。このように、国においてもカナダ国に重きを置いているということを知り、我々も意を強くしたわけでございます。
 ちょうどトロントにおるときに、オタワで海部総理夫妻がカナダ首相と会見するためにこちらに到着する旨のニュースが流れておりました。日本もそうでございますけれども、カナダも日本に対して大きなウエートを置いているあらわれを目の当たりに見たわけでございます。
 今のカナダというのは、深くは知りませんけれども、日本に対する貿易がアメリカに次いで二番目であるということは事実でございます。大きな自動車工場もございましたが、アルミ軽金属、そして世界で一番多いと言われる木材を利用したパルプが最重要な産業となっており、これらはほとんど天然資源活用型の産業でございます。そのエネルギーはと申しますと、「水の国」と言われるほど水が多うございますから水力発電もその一つでありますが、今一番注目されているのは、アルバータ州の無尽蔵と言われる天然ガス、さらに石油と砂がまざったタールサンドでございます。これにはまだ手をつけておりませんが、今の世界の石油量に換算すると三千億バレルはあるであろうということでございます。三千億バレルと申しますと、今世界で確認されている石油の埋蔵量よりもはるかに上回っている数字でございます。そして、タールサンドの開発も間近であろうと予想されますが、その一例をとってみても、カナダという国はこれからであるということを強く感じたわけでございます。
 今、国際交流と言われている中で、先ほど申し上げました和歌山市も取り組んでおりますけれども、工野儀兵衛翁が百年前に結んでこられた和歌山とカナダとのきずなを、紀州人の血と心でつながっているカナダとの交流をこれから深めていくことが大事であろうし、大きくは日本にとっても必要なことであろうと感じたものでございます。
 そしてロサンゼルスでございますが、これは特に農林水産部長にお伺いいたしたいと思います。
 今まで日本はクリスマス用にとミカンを送ってはきておるけれども、クリスマス前にほんの少し来るだけであって、いつも食べられるものではない非常に貴重なもののようであり、邦人の間では、ぜひ送ってほしいという強い希望のあったことを申し上げておきたいと思います。
 ちなみに、帰ってきてから、果実生産県と言われる、主として神奈川県から南について調べてみますと、六十三年度に一番多く出ておるのが静岡県の五千九百八十トン、次には神奈川県の千八百トン、徳島県の千三百五十トンで、和歌山県はと言いますと二百十トンでございます。生産県として重きをなしており、国においても中心的な立場にある和歌山県の出荷数量とすると大変寂しい感じがするのでありますが、農林水産部長、このことに対するお考えについて、ごく簡単で結構ですので、お聞かせ願いたいと思います。
 今までのあり方、そして農産物の自由化という中から、今後、新しい出荷販売体制というものに積極的に取り組んでいかなければならないということをつぶさに感じたわけでございますが、部長の見解を伺います。
 続いて、これは総務部長さんの所管かと思いましたが、きのうの担当との打ち合わせで土木部長にお伺いいたします。
 ことしの三月三十一日の官報によると、法第十二号租税特別措置法の一部を改正する法律が成立し、ことし一年限りということで実施されております。その内容は、公共用地の買収に係る税制優遇の問題でございます。
 今まで三千万まで無税とされていたのが、この法律の施行により五千万までを無税とするというもので、この期限が平成元年十二月三十一日となっております。そこで、これを何とか延ばしてもらうよう手だてをすべきではないかと申し上げたいのでございます。
 特に、我々紀南に住む者が悲願として取り組んでいる高速自動車道路については、広川町から川辺町、御坊市に至る地域が、今、測量を完了し、ようやく用地交渉に入ろうとしてございます。しかし、今のままでまいりますと、なかなか法の恩典に浴することができないんではないかという心配をするわけでございます。もしこれが適用されるといいけれども、きのうまで恩典にあずかりながら、今になってあずかれないということであればということで用地交渉に困難を来すようなことになると、この建設促進にも大きな支障を来すのではないかと心配するがために申し上げるわけでございます。
 県としては、ことしの四月に御坊市において高速道路御坊事務所を設置していただき、県の職員、関係市町村の職員の合同で事務所を運営し、用地交渉専門に当たっていただいておりますけれども、これらの職員についても、今申し上げた優遇税について大きなつまずきのあろうことが予想されますので、これを国に向けて、もちろん所管の大蔵省にも申し上げていただきたいと思います。
 もう一点、先ほどから皆さんがいろいろと質問された災害についてでございます。
 私ども、カナダからアメリカへと回る中で水災害のあったことは国際電話を通じて承知しておりましたが、よもやこのような大きな災害になるであろうとは予測もしなかったわけでございます。
 県全域にわたって秋雨前線や台風の被害に遭ってございますが、その中で、私の出身地である日高地方の特に北部において、一週間に二度も床上まで浸水したという被災者もありますので、災害復旧を急いでやっていただきたいと思います。
 今、至るところで開発、開発ということを言われてはいるものの、その支流となる河川の改修がほとんどされておらないために、この前のようないっとき水が出ればあのような水災害に遭うということを如実に物語っております。
 その開発計画についていろいろ協議もされておるようでございますけれども、林地は農林水産部、計画は企画部、工事は土木部とばらばらになっていて統一した事業がされないままに物事が進んでおるためにこのようなことになるんではなかろうかと、その現場に立って感じたわけでございます。
 各省庁のいろいろの決まりというものもあることはわかりますけれども、被災者の立場に立って、それらの枠を超え、災害を二度と繰り返さないためにもこの災害復旧工事に取り組んでいただきたいと申し上げたいのでございます。
 もう一点、昨日、現場の写真もお見せしておりますけれども、中紀にある煙樹ケ浜海岸の浸食が大変激しゅうございます。この前の台風災害も大きな原因の一つでありましょうけれども、特に日高側の右岸は目に余る浸食状態でございます。
 私ごとき素人が申してどうかと思いますけれども、以前は日高川には豊富な水量がございました。しかし、ダムの湛水により水量が調整されておりますから水そのものの力がなく、沖から打ち寄せる風波により堆積することが間々あるわけでございますが、それが逆に浸食をされて海岸が変化してきておるということで、これが周辺住民の大きな心配の種となってございます。大きく言えば、「県立公園」と言って宣伝はしておりますけれども、その内容たるや被害惨たんたるさまでは、来ていただくお客さんに申しわけないことでもございます。自然の力のあることは重々承知でございますし、難しい問題であるということも十分聞いてございますけれども、これに対する積極的な調査が必要であろうと思います。この点について土木部長の見解を求めるものでございます。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(門 三佐博君) ただいまの木下秀男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 ただいま木下議員のアメリカ視察報告の中で、特にミカン問題に関して大変貴重な御意見を承り、喜んでおるところでございます。具体的に十分に生かしていきたいと考えてございます。
 国際化が進む中で、特に農産物の自由化を控え、攻めの農政の一環としてミカン等果実の海外市場の開拓に努めてまいらなければなりませんし、それがまた本県農業の振興にとって大変重要な意味があるというふうにも考えてございます。このため、本年八月に果樹の技術職員をカリフォルニアに派遣いたし、かんきつの技術開発あるいは普及状況を調査してまいりました。
 また、特に新規の県単事業として輸入自由化対策海外調査事業を本年から知事に認めていただき、来年一月、県職員を中心とした本県独自の調査団をアメリカに派遣することにしてございます。
 今後とも、ミカン等の海外市場の開拓について、あらゆる機会をとらまえて関係生産者団体ともども調査研究し、対処してまいりたいと存じてございます。
 次に、災害の対策でございます。
 このたびの秋雨前線及び台風による農林水産関係の被害についてでございますけれども、紀北から紀中を中心とした県下全域に、農産物、農林地、農林業用施設を合わせて六十八億六千万円に及ぶ大きな被害をこうむったところでございます。
 早速、関係市町村とともに現地調査を行い、緊急を要するものについては応急工事を実施するとともに、現在、災害復旧事業計画の作成に全力を挙げているところでございます。
 議員御指摘のとおり、農林業情勢の非常に厳しい中、まず迅速な復旧が肝要かと考え、国に対して早期災害査定を要請いたし、既に実地査定に入っているところでございまして、激甚災害の適用について強く国に働きかけながら、一日も早い復旧に努めてまいる所存でございます。
○議長(門 三佐博君) 土木部長磯村幹夫君。
 〔磯村幹夫君、登壇〕
○土木部長(磯村幹夫君) お答えいたします。
 租税特別措置法期限延長についてでございます。
 公共事業に係る譲渡所得の特別控除額は、平成元年十二月三十一日までの期限つきで三千万円から五千万円に引き上げられ、今日に至っているところであります。
 この特別措置法については、公共事業の円滑な促進を図るため、国等の関係機関に対して延長を要望してきたところでありますが、大変厳しいところがございます。しかし、公共事業の用地取得の円滑な促進を図るため、今後とも国等の関係機関に強く働きかけてまいります。
 次に、ことしの公共土木施設災害についてでございます。
 異常気象は八回を数え、県下市町村を合わせて、被害件数で二千百件余、約百億円で、昨年と同程度の大きな被災となりました。これらの被災箇所のうち、既に三百四十四件、十七億六千万円の査定の決定を見ております。残りにつきましては、十一月から十二月にかけて災害査定を受けることとしております。
 今後、二次災害を受けないよう、速やかに復旧してまいります。また、再度の災害を防止するために、災害関連事業等の改良復旧事業を積極的に活用していくことにしております。
 日高港湾海岸浸食対策についてでございます。
 議員御質問の煙樹ケ浜から塩屋にかけての海岸のうち、第一点目の煙樹ケ浜海岸につきましては、昭和六十二年度から学識経験者等の意見を聞きながら浸食対策調査を行っております。今後とも継続して調査を進めてまいります。
 二点目の塩屋の海岸につきましては、議員御指摘のとおり海岸変化が見られ、現地調査により、その結果を承知しているところであります。今後、海岸変化の状況を見守りつつ、国土保全上、対応が求められるような場合には、その対策を考えてまいります。
○議長(門 三佐博君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 21番木下秀男君。
○木下秀男君 どうもありがとうございました。
 これは農林水産部長に要望でございますが、知事にはミカンを持っていっていただき、私どもは梅を持っていったわけでございます。今、その視察報告書のようなものを写真も入れた形でまとめておりますので、また後刻見ていただきたいと思いますが。
 この前、帰ってきて知事にも申し上げたんですが、向こうでは九月にミカンを食べられるというのが理解できないほど「珍しい」という感覚がございますので、出す時期がよければ可能性があるのではなかろうかとも感じております。
 梅干しにつきましては、既にそれを食べた人から、レッテルが入ってございますから、こちらにおる身内を通じて、あの品物を買って送ってほしいと──これは商取引にはなりませんけれども、既にそういう反応が起こっております。
 そういうことも十二分に考慮した上で、私どもも資料は十分提供いたしますから──これは県を責めているわけではなく、農家の代表は農協ですので農協とも十分な連携をとり、先ほどの答弁のように年明けにアメリカに調査団を派遣するというのであれば、農協の職員もそれぞれの専門がありましょうから、そういう皆さんとともども取り組むよう、強く要望して終わります。
○議長(門 三佐博君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で木下秀男君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(門 三佐博君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時四十二分散会

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