平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従い、質問をいたしてまいりたいと思います。
 折しも、クリーンを売り物に首相に選ばれた宇野宗佑氏の、女性を金で買うという女性べっ視のスキャンダルが、国内はもとより海外にも広く問題を巻き起こしたのであります。また、多くの婦人団体などから首相に対する抗議や声明が出され、新たな怒りが沸き起こってまいりました。
 昨日、県下の我が日本共産党婦人議員団八名は、首相官邸に対し「宇野首相の『女性問題』の真相究明を求める声明」を送付いたし、県政記者クラブにおいて声明を明らかにいたしたところでございます。この問題は、首相だけに限らず、よからぬ全男性に警告を発するよき機会でもありましょう。
 この問題については時間の都合で省略しますけれども、知事は和歌山県の婦人問題企画推進本部の本部長でもありますから、婦人問題について男女平等を本当に大切にする政策を行っていく上で、今後それを十分参考にして励んでいただきたいと、心からお願いをするものです。
 さて、本論に入ってまいります。
 一九八五年、婦人労働者の反対を押し切って保護抜き・平等の労基法改悪をセットにした男女雇用機会均等法が施行されましたが、その後の婦人の実態についてお尋ねをいたします。
 今日、働く女性は年々増加し、専業主婦を七十九万人も上回っております。また、専業主婦の中で働きたいと希望している婦人が四割近くを占めていることも重要な問題であります。さらに、既婚女性の増加と高学歴、高年齢化が進んでいる状況も特徴と言えるでしょう。結婚後も働き続けている女性は、働く女性の中で六五・五%、約三分の二を占めているのであります。
 婦人労働問題研究会の調査によりますと、均等法施行後、労働協約または就業規則が変わった企業で、時間外が三二%、休日労働が一七%、深夜労働が一三%も多くなっています。大手スーパーやデパートなどが営業時間を午後七時までに延長したりしていますし、早朝からサービス業で働くなど、女性の職種も多様化しているのであります。その結果、保育所の送迎が困難となり、ベビーホテルなどの認可外保育施設に頼らざるを得なくなっている実態をつくり出しているのであります。男女平等という名のもとに、「母性保護抜き」平等の労基法が職場に働き続けられない実態をつくり出してきているのも特徴となっています。
 時間外労働、深夜労働の緩和、生理休暇が削除をされました。一方、産前産後の休暇が六週から八週に改善されたものの、賃金保障がボーナス時に差し引かれるなど、働く意欲さえ失いそうな事態が前にも増して増大しているのであります。子供を産むための道具としか思っていない母性に対する思想は、あの戦時中の「産めよふやせよ」の時代を再現させられるような感じさえしてなりません。
 先日、大阪で開かれた「『検証、均等法』知りたい、知らせたい女たちの三年」と題する集いで、さまざまな職場の実態が報告されました。
 関西の女子学生がつくっている婦人問題研究会が毎年行っている就職実態アンケートでは、企業説明会、面接における男女雇用差別の生々しい報告が出されています。
 例えばキッコーマンでは、「我が社は、古いタイプの昔からの歴史ある会社ですので、男女雇用機会均等法など受け入れられない。女の方は結婚したら退職をしてもらいます」、またあの大手建設業の大林組では、「初任給も違うし、女性には手当もつかない。昇給率も男女間全く違うので、どんどん男女の給料の差はついていきますよ」と、あたかも早くやめよと言わんばかりの説明会であったそうです。
 金融機関や証券会社、損保会社では残業は当たり前で、一般職──平コース、総合職──管理職コースと言われ、これらを選択させるコース別人事制度は一五・一六%の企業で実施され、今後さらに拡大される傾向にあると言われています。総合職を女性が選択すると、頻回にわたっての面接が繰り返され、その中で「子供を連れて転勤できるか。あんた、だんなに炊事させる気か。やくざ相手に示談の交渉ができるんか。総合職になったら子供は産むな」と言われ、それでも総合職をと頑張れば、「会社と対立する特殊な活動家とみなす」と言われる。皆さん、この一言一言に、まさしく男女差別の思想が根深く残っていることが明らかではないでしょうか。これは大阪だけの実態ではなく、日本じゅうの職場の実態でもありましょう。
 私は、この質問をするに当たり、県下の金融機関で働く婦人労働者や損保で働く数名の労働者に直接お会いをして話を聞いてまいりました。そして、さきに述べた人事問題や職場の実態とまさしく同じことが行われていることがわかりました。私も、女性の一人として怒りを禁じ得ないのであります。
 結局、コース別人事管理制度は新たな男女差別を生み出しているのであります。賃金、昇格などの差別を固定化していくものであり、共働き夫婦には「主人の出世に影響するから」と退職をほのめかしたり、内勤から外勤への配転、これを拒否すれば遠くの支店への配転、産休明けで、さあ働こうと思って頑張って出勤してくれば、これまた遠い支店に配転が強要される。こうなりますと、やめるか転勤に応じるかしかありません。結局は退職へと追い込まれ、そうして自社でつくる派遣事業団へパートとしての登録がされて、働きたければパートでどうぞという人事整理の合理化版が今つくられているのです。幹部登用においても、二千人を超す職員の中でわずか五人だけの幹部です。九百人の職員のところではゼロという実態なのです。また、年休は年に二日から三日とれればいい方です。週休二日制実施によって、月曜日から金曜日で一日二十分、勤務時間が延びています。
 このように、男女雇用機会均等法の実施によって婦人が働き続けるための保障がつらく苦しいものになってきています。
 知事、あなたはこうした県下で働いている女性の実態をどのように把握されているのか、お答え願いたいと思います。
 次に、育児休業、産休明け保育、延長保育についてお尋ねをいたします。
 今日、働くことに楽しみや生きがいを感じる女性もふえてまいりました。共働きでないと暮らせないなど、働く理由はさまざまでありますが、働き続ける女性にとって、産休明けから入所できる保育所があったらという願いは切実になっております。同時に、職場の勤務時間とかかわっての保育時間の問題も入所を困難にしている理由の一つになっていると言えるでしょう。
 働く婦人にとって、育児休業法の法制化は切実さを増していると言えるでしょう。現在、育児休業は、公務員のうち教師、看護婦、助産婦、保健婦、保母に限定されており、本県下の多くの事業所への広がりは皆無と言えるのではないでしょうか。この原因は、育児休業の事業そのものに問題があるわけではありません。働く婦人がふえる中で、労働省が内容的にも不十分なまま発足させた奨励事業、すなわち労働省の「お勧め商品」なのです。これを採用して実施する事業所にはわずかばかりの奨励金を支給して普及しようというのですから、事業所への努力義務だけであって、これでは積極的に取り入れるということにはならないのです。労働省は本年度の予算で、このお勧め商品の奨励金の消化実績が低いためとして減額をしております。新規に、育児休業普及重点使用者会議及び仕事と育児を考えるシンポジウムの開催を組んではおりますが、本年も啓蒙的な普及指導にとどまっており、既に奨励制度は行き詰まりを見ているのです。
 ですから、原職復帰、代替要員の確保、有給(三○%)、選択制の四原則を踏まえ、全産業に義務づけした法制化が必要と考えます。政府への県当局の働きかけを積極的に行っていただきたいのであります。商工労働部長の所見をお尋ねいたします。
 次に、延長保育についてお聞きいたします。
 自民党政府は、一九八五年以降、保育所など福祉施設への国庫負担率を十分の八から十分の五に減らし、三年の期限つきをそのまま恒久化しようという八九年度の予算となっているのです。その結果、地方自治体の負担はふえ、深刻な財政難をもたらし、最終的には保育料の値上げや入所基準の厳正化による保育離れ、定員割れを引き起こしているのであります。母親たちの願いである「ポストの数ほど保育所を」と長く粘り強い運動の中で、全国的にも県下的にも大きな前進を見るに至ってまいりましたが、以前にも増して保育施設の充実、条件整備が急がれなければならないところに来ています。それは、働く婦人の労働実情の変化を見てもよくわかります。週休二日制実施に伴う月曜日から金曜日までの勤務時間の延長、土曜日の半ドン保育や夕方四時ないし五時までの保育時間では働く婦人の勤務の条件に全く合っていないのです。保育所に送迎ができないなど、公的保育所を利用しにくくしている現状が改善されていない実情にあります。もはや、現在の保育要求は延長保育や夜間保育にまで進まなければならないものがありますし、公的責任で急がなければならないところに来ている実態にあります。
 本県における二百三十九ある保育施設を見てみますと、公営保育所百七十七、私立六十二、人口十万人当たりの全国水準を見ますと第二十一位となっています。県都和歌山市を見てみますと、今年度の入所希望者は六千七十名、入所児数五千八百八十七名で、百八十三名が保育所に入れませんでした。六十名定員の保育所が三カ所不足していることになります。入所できなかった子供たちは、無認可保育所や母親の実家に預けたり、一人十万円も出して個人に預けるなどしています。また、また働くのをあきらめ、やむなく退職をしている方もあります。
 続いて、産休明け保育についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 現在、産休明け保育所の実施は、公立保育所で二施設、定員二十四名、私立保育所で三施設、定員百二十名。このことからも明らかなように、公的責任のおくれと民間依存の強い保育行政を指摘しなければなりません。しかも、公立保育所では昨年九月まで産休明け保育は全く実施されておりませんでしたが、地域のお母さんたちや共産党和歌山市議団の粘り強い運動の中で実現を見ました。父母の勤務、営業時間に見合った延長保育を実施しているのも民間保育所であり、ここにも公的責任のおくれが目立ちます。民生部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、無認可保育所の運営費補助についてお伺いします。
 ゼロ歳児保育を実施している保育所でも、離乳食が完了したら、あるいは早くてもせめて六カ月過ぎていたら受け付けますよという基準によって、父母の希望はかなえられていないのであります。このように、産休明け保育や延長、長時間保育を、厳しい条件の中で父母と保母の必死の努力で続けられているのが、公的補助も援助もない無認可保育所なのです。子育てをしながら働き続けたいと願う母親たちの強い思いから、古い民家を借り、地域住民の大きな励ましと援助を受けながら、父母と保母が協力し合い、積極的にすばらしい、ともに育ち合う保育活動を発展させているのであります。
 県下に十一カ所無認可保育所がございます。このことについては、民生部長もよく御承知のことであります。働く婦人の願っている産休明け保育、安心して預けられる長時間保育所への期待はこれからも大変大きいのでありますが、何しろ認可保育所と違い、全く補助金が出ていないこと、運営にかなり無理があること、保育料がどうしても高くなること、保母の労働条件が厳しく身分保障や厚生面に何の保障も確立できないなど、かなり厳しい実情です。バザーや廃品回収、日用品販売、カンパの訴えなど常に行っております。保育時間は朝七時から夜七時ないし八時と長く、保育内容も毎日の散歩や泥んこ遊びと、多種にわたって工夫を凝らして一生懸命頑張っています。この努力が、今までこの和歌山の本当に働き続けたいと願うお母さんたちを大きく励まし、運営を維持しているのであります。保母の給料も十万円未満、専門職としては考えられないほど低賃金なのです。また、よい保育をしたいという保母さんたちの新しい知識、技術を得るための研修費もままなりません。こうした悪条件のもとで子供たちの発達を保障しようと、働く婦人の労働保障を一生懸命援助している無認可保育所に対する補助金支給を強く私は求めたいと思います。民生部長の答弁をお願いいたします。
 次に、都市児童健全育成事業の拡大と充実についてお伺いをいたします。具体的には、共働き家庭、母子・父子家庭の児童に豊かな放課後を保障する学童保育あるいは共同保育への補助事業の実現についてであります。
 ことしは、国連で子供の権利宣言が採択されて三十周年に当たり、また国際児童年十周年の記念すべき年でもあります。私は、我が家の子供を通して、子供たちの会話について、どうしてかな、変だなと、ふっとしばらく考えさせられた言葉があります。「○○ちゃん、遊べる」「遊べやん」──おかしくありませんか。私たちの小さいころの会話は、「○○ちゃん、遊ぼう」「うん、遊ぼう」「何々してからな」、こういうごく普通の、子供たちの自然な呼びかけであったと思うんです。昨今の子供たちは、おけいこ事や塾という管理社会の中で育っている姿が浮き彫りになった感を強く抱くものです。
 児童・子供たちはたくさんいるけれども、集団で遊ぶには、また友達をつくろうと思えば塾かスイミングスクールに行くしかない。子供たちの遊びも、自然の中での戸外の遊びから、ファミコンや商品を仲立ちにした室内遊びに変わり、仲間遊びから一人遊びへと大きくさま変わりしているのが特徴とも言えるでしょう。
 子供たちにとって、体を動かし、遊びは生活そのものです。遊びを通して豊かな想像力を膨らませ、お互いへの思いやりやルールを自覚し、精神的、肉体的に発達していくものです。しかし、都市部の高層住宅、密集地域で子供たちの遊び場所も制限される環境では、いや応なく室内遊びへと変化せざるを得ないのであります。だからこそ、子供たちが思い切り、感情や怒り、喜びをぶつけ合える、発散することのできる状況をつくらなければなりません。子供たちの放課後をどのように安全にするか、より豊かな生活を保障するかが今問われているのではないでしょうか。また、就労する母親も半数を超える実情になっていますから、母親の就労を保障する上でも施策が急がれなければなりません。
 さて、児童福祉法第二条は、「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」ことを明確にうたっております。この法の立場から、今日発生している幼い子供や児童の相次ぐ誘拐、そして悲しい事件に発展している現実に、新たな怒りを感じるのであります。
 学校が終わって両親が帰るまで、児童の安全でしかも豊かな生活を保障し得るかが問われます。その具体的事業が学童保育であり、共同保育であると思うのです。学童保育では、今日、欠けている、異年齢の子供たちが生き生きと遊び、学び、仕事をしているのです。
 政府もその必要性を認め、一九七六年以来、都市児童健全育成事業として児童クラブすなわち学童保育の補助事業を進めてまいりました。現在その数は六千百を数え、和歌山県下にも不十分ながらも二十九カ所つくられているのであります。和歌山市の場合を見てみますと、五十一小学校に二十三の学童保育──若竹学級を設置しております。担当は和歌山市の厚生課、事業主体は委託となっております。対象児童は母子、父子、両親のいない家庭の子供と枠の制限があるため、共働き家庭の子供が置き去りにされているのであります。田辺市や南部町にそれぞれ一カ所、教育委員会、学校敷地内に設置され、対象も共働き家庭の児童を保障しているのです。一方、新宮、上富田、湯浅、和歌山市に五つの共同保育所が、父母たちの並み並みならぬ努力で、古くは十一年前から開設をされ、今日まで続けられているのであります。五つの共同保育所の中で自治体からの補助金が支給されているのは和歌山市を除く全部で、金額の差はあるにせよ助成援助が行われています。

 本県の学童保育の設置数は近畿各府県とは比較にならないほど少なく、全国でも最もおくれているだろうと思われます。全国的に児童の絶対数が減っているにもかかわらず、学童保育の希望者は年々増加しているのです。その証拠に、現に学齢期が近づいてきますと学童保育のある地域に引っ越していく共働き家庭も少なくありません。多くの共同保育所は、場所の確保に頭を痛め、運営維持に大変な努力をし、また指導員の確保においても賃金を初めとして労働条件の不安定が大きな原因となって難しいなど、深刻な悩みを持ちながら頑張っています。こういった実態を直視していただきたいと思うのであります。
 ここで、教育長及び民生部長にお尋ねをいたします。
 第一に、県下の小学生の共働き家庭、父子・母子家庭の実態をどのように把握しているのか、お聞かせください。
 第二に、滋賀県の大津市などは公設民営で年次計画を立て、学童保育の設置を進めている自治体もあるようですが、本県においても、子供たちの放課後の生活保障と父母の就労の保障をする立場で、一小学校区に一カ所以上の学童保育所を設置されることを心から願うものです。そして、学校の空き教室の積極的な活用などの方法も検討されることをお願いいたします。
 第三に、あわせていまだ学童保育の制度が、文部省や厚生省の拒否する態度によって確立されておりません。国に対し制度確立を要請していただきたいと思うのであります。御所見をお伺いいたします。
 学童保育は子守ではありません。ここに、共同保育での子供たちの変化を紹介し、学童保育に対する理解を深めていただきたいと思うのであります。
 四年生の男の子。一年生から入所し、二年生の一学期ごろまで目に余る乱暴をやっていました。だれかれとなく殴る、ける、つばを吐きかけるなど、自分の気持ちを言葉に表現できず、暴力に訴える毎日、彼の暴力のたびに児童全員で話し合いを繰り返し、父母とも多くの話し合いを繰り返して、一定の前進を見ることができました。また、登校拒否をしている子供たちが、指導員の話しかけや訪問などによって、心をわずかずつ開き始めていること、いたずらで手をやいている子供の入所で、子供たちがみんなで話し合い、自分の存在、人格が認められたことによっていたずらも少なくなり、生き生きして勉強にも意欲が見られるようになったことなど、この事例から学び取ることができるのではないでしょうか。
 要するに、今、県や市町村が何を大切にするかが問われています。将来、和歌山を支える子供たちを地域と県行政がともに守り育てるため、学童保育(共同保育)があることをもっと認識する必要があります。和歌山に住みたいという県政にするのか、それともゴーストタウンにしてしまうつもりなのか、しっかり見きわめてほしいと思うのです。運営に行き詰まりながら一生懸命続け、発展させようと頑張っている、大きな役割を果たしている現存する五つの共同保育所に対し、思い切った運営費補助の支給と増額を措置されることが必要と考えます。積極的な答弁をお願いいたします。
 次に、安心して渡れる交差点対策を中心に交通事故対策についてお伺いいたします。
 私の調査によりますと、昨年・一九八八年の和歌山県下の交通事故による死亡者数は、一九七五年以降で最高の百四十一人という悲しい記録を残しました。中でも若者の交通事故による死亡が多く、お年寄りや子供など弱者の犠牲も多くあったことも重視しなければなりません。「一○○の指標からみた和歌山」によりますと、昭和六十二年の交通事故死亡者数は全国第十一位、交通事故発生件数はワースト八位であります。この発生件数のうち車両同士が圧倒的多数を占めておりますが、人対車両が八・四%、約一割近くになっていることは大きな問題であります。こうした人対車両事故の中心はどこにあるのかを見てみますと、昭和六十三年中の交差点による事故件数は三千五十四件で、交通事故全体の四七%を占め、死亡者数は三十二人、全死亡者数の二二・六%、負傷者数三千七百八人、四五%となっております。道路別に交差点事故を見てみますと、国道の交差点が七百三十七件、二四%、県道の交差点が九百十一件、二九・八%、市町村道の交差点が千三百六十二件、四四・五%となっております。
 そこで、県警本部長にお尋ねをいたします。
 昨年、本県の交通事故による死者数は最悪の百四十一名、六月二十七日の産経新聞によりますと、二十六日までの県下の交通事故は三千四十九件、昨年の同期は三千十四件で、事故件数でも三十五件増、うち死亡者数五十八件で六十二人、昨年同期五十二件、六十二人、六件増で死者数は同じに達したと報道されています。皮肉にもこの二十六日、六十一、六十二人目の十八歳の若者の事故死がありました。本当に心痛にたえないのであります。
 こうした重大事態を踏まえ、その問題点を含め、原因と今後の対応策をお聞かせください。同時に、交差点事故を防ぐ上で、各交差点における対策についてお答えをお願いするものです。
 続いて、交通安全施設整備についてお尋ねを申し上げます。
 一九八六年から一九九○年までの第四次五カ年計画は、あと二年を残すだけとなりました。過去三年間の取り組みと実績、残された二年間における計画、実践について、具体的に土木部長及び県警本部長にお答えいただきたいと思うのであります。
 最後に、健全な青少年の育成についてお尋ねをいたします。
 最近、青少年を取り巻く社会的環境は青少年たちに決してよい影響を与えているとは言えません。そこで、青少年のシンナー乱用についてお伺いをしたいと思います。
 本県の六十三年の少年非行の概況で見てみますと、薬物乱用非行のうちシンナー乱用が大多数であることを知り、改めて驚いております。
 私の居住する地域で起こっているシンナー問題にかかわり、子供たちの健康と将来を大変心配しているのであります。
 昨年四月か五月ごろだったでしょう。知り合いの方から、神社の境内で中学生と思われる子供たちが五、六人シンナー遊びをしているように思う、どうしたらよいだろうかと相談を受けたのであります。子供たちが帰った後、境内に行ってみますと、シンナーを吸うのに使ったであろうと思われる幾つものビニール袋が散らばっていました。場所は振興住宅地の一角にある神社でありますが、近くに家は一軒しかなく、人目につかない、こんもりした木に囲まれた絶好の場所だったのでしょう。学校の終わった四時ごろから夕方にかけて、集団のときもあれば、二人から三人のときもあったようです。中学校にもそれとなく連絡をとり、先生方の巡回もお願いをいたしました。私どもも、時々、境内に二人ないし三人連れ立って状況把握に行ってもまいりました。子供たちは、毎日神社に来るわけではありません。警察への連絡も行いましたが、なかなか私たち住民の期待にはこたえていただけなかったのです。七月ごろまで続いていたのでありますが、その後、子供たちの姿も見えなくなり、喜んでいたのです。
 ところが、本年五月、今度は十八歳前後と思われる子供たちが同じ神社の境内に時折来るようになりました。子供たちが来なくなってほっとしていたのに、確実にシンナーを吸っているとは言い切れないけれども、シンナーが入っていたと思われる瓶を持っている、一日二回も乗用車や単車、自転車で来ている、来るたびに見る顔は青白く、まるで元気がない、子供たちが来ている日は胸が痛くなる、また来るのではないかと気が気ではないと、知り合いの方は不安な日々を過ごしておられます。
 私どもの自治会、役員会においても、早く何とかしなければ大変なことになるのでは、地域でできることは何なんだろうと、心配をいたしている現状であります。警察の方々の巡回の強化を図っていただいてはおりますが、警察の定期的な巡回や住民によるシンナーから子供を守る積極的な運動があったとしても根本的解決にはならないと思うのです。現在の社会情勢の中で、青少年の生きがいに対する背景の反映が大きいと思うのです。
 子供たちは、友人関係や単純な好奇心から吸う気になるのでしょうが、一度経験するとやめられなくなり、ついに常習者となってしまいます。常習者の骨はもろくなり、細く、やせこけてしまうと言われています。すぐ息切れがし、やたらにつばを吐き、食欲もなくなり、体もやせてしまう、そして、ラリる状態になると見境がなくなり、繰り返すうちに精神状態もおかしくなり、廃人化し、死に至る事例もございました。以前、大阪茨木市の中学校の音楽室の戸棚でシンナーを吸った生徒二人が窒息死したショッキングなニュースも報じられていました。このような事態に達しない早い時期に発見することが大切ですし、早期対策の具体的取り組みが打ち出されなければなりません。
 県警本部長に伺います。
 シンナー事犯についての現状と、ここ数年間の推移及び特徴とその対策をお聞かせください。シンナーの入手経路についてもお聞かせください。
 最近の状況を聞きますと、暴力団あるいはシンナー生産者などから大量に入手しているということも聞いているのです。何といってもその入手経路を断つこと、これが根本問題だと思うのです。県警本部長、シンナーの主たる入手経路の調査は行われているのでしょうか。そして、事犯をなくしていく対策はどのようにされてきたのか、お聞かせ願いたいと思います。
 これで、質問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 県下に働く女性の実態をどのように把握しているかという点でございます。
 働く女性は年々増加しており、我が国の経済社会の発展に大きな役割を果たしていただいているわけでございます。本県においても、女性の有業者は農林業を含めて二十一万一千人ございます。うち、十一万九千人が雇用されて働く女性でございます。
 お話ございましたように、女子労働者の地位向上の問題、また福祉の向上については、本県にとっても大変重要な課題であると考えておるわけでございます。男女雇用機会均等法等の趣旨を踏まえまして、国と十分な連絡をとりながら制度の普及等を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
 具体的な数値等については、担当部長から答弁いたします。
○副議長(山本 一君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 具体的な数値でございます。
 県内の女子有業者は、就業構造基本調査によりますと二十一万一千人で、全有業者の四一%を占めている状況にございます。また、この二十一万一千人のうち、三十五歳以上の中高年齢層が七二%を占めており、女子有業者の増加とともに、中高年齢化が進んでいる状況にあり、また近年、特に女性のパート、アルバイト労働者が増加の傾向にございます。
 今後とも、働く女性のための育児休業制度、女子再雇用制度等の普及促進はもちろんのこと、パートタイム労働者の労働条件の明確化、労働時間、雇用管理の適正化等、国との連携を深めながら啓発等を進めてまいりたいと考えてございます。
 それから、育児休業制度の法制化の問題でございます。
 昭和六十一年施行の男女雇用機会均等法において、育児休業制度の実施について努力するよう事業主に対し求めてございます。県といたしましては、国と十分連携をとりながら、当面はこの制度の普及について積極的に啓発指導を行ってまいりたいと存じます。
 なお、法制化の問題については、今後の課題として、県と労働省の出先機関とで構成している労働者福祉対策連絡協議会の場において協議を重ねてまいりたいと考えてございます。
○副議長(山本 一君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) まず、保育所の問題についてお答えしたいと思います。
 保護者の就労形態の多様化に対する保育ニーズにこたえるため、障害児保育、乳児保育の充実を図るとともに、本年度から特に長時間保育促進事業を実施することといたしております。そういうことで、保育時間の延長の改善により、今後、かなりの保育ニーズにこたえられると考えてございます。今後とも努力をしていきたいと考えてございます。
 また、保育に欠ける児童は、従来より認可保育所で保育するものであると考えてございます。現在、これらの児童の措置については、現在の認可保育所の中で対応できるものと考えてございます。
 なお、無認可保育所については、認可保育所に適用なるよう措置権者である関係市町村を指導しているところでございまして、現時点では助成することは考えてございません。
 次に、小学生の共働き家庭、父子・母子家庭の実態把握の問題でございます。
 昭和六十年国勢調査時点で、夫、妻ともパート、内職等を含め就業している家庭数は十万九千二百三十世帯、夫、妻とも雇用されている世帯は五万一千十世帯でございます。母子家庭数は、昭和六十二年の実態調査時点で九千七百十一世帯、うち小学生を持つ世帯は二千八百三、父子家庭は、昭和五十六年の実態調査では千五百世帯、うち小中学生を持つ世帯は六百十五となっています。なお、父子家庭の実態調査については検討中でございます。
 次に、学童保育の問題でございます。
 働く女性の増加、核家族化に伴い、今後、留守家庭児童の増加が予想されてございます。民生部といたしましては、関係諸機関と連携の上、学童保育の実態把握に努めるとともに、施策の検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 当面は、厚生省が実施している都市児童健全育成事業の周知徹底を図るため、今後も指導を強力に進めてまいりたいと考えてございます。なお、補助条件の拡大充実を国に要望していきたいと思います。また、子供のための地域組織である母親クラブの組織強化も同時に図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 安心して渡れる交差点の対策のうち、交通安全施設整備の三カ年の実績と今後の計画についてお答えいたします。
 昭和六十一年に策定された第四次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画において、本県の総事業費は七十億八千百万円で、その主な内容は自歩道整備七十一キロメートル、交差点改良二十五カ所、その他、道路標識、道路情報板の設置等でございます。六十三年度までの事業実績は、事業費四十二億一千七百万円をもって、自歩道整備三十一・二キロメートル、交差点改良六カ所、その他、交通安全施設の整備を行ってまいりました。
 平成元年度以降の主な残事業としては、自歩道三十九・八キロメートル、交差点改良十九カ所がございます。こうした残事業は、自歩道では人家が連檐している地域などであり、また交差点改良ではいずれも家屋の移転を伴うことなどから、用地の確保が大変難しいという問題を抱えておりますが、今後とも歩行者の安全確保のため一層の努力をしてまいりたいと存じます。
○副議長(山本 一君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学童保育の拡大と充実につきましてお答えを申し上げます。
 本県における共働き家庭等の実態については、ただいま民生部長からお答えをしたとおりと、私どもも把握をいたしてございます。
 子供にとりまして、遊びというものは、学習とともに成長発達する要件でございます。また、子供の心と身体を生き生きとはぐくむためには安全な場所の確保が必要であります。
 学童保育の必要性については、私どもも理解をいたしているところでございまして、今後、教育の観点から実態の把握に努めるとともに、関係機関とも十分連携をとってまいりたいと考えているところでございます。
 また、今後の生徒減少に伴う、いわゆる空き教室等の利用につきましては、法的な制約も一方ではあるわけでございますけれども、必要が生じた場合には文部省等、関係機関とも十分協議をしてまいる所存でございます。
○副議長(山本 一君) 警察本部長井野忠彦君。
 〔井野忠彦君、登壇〕
○警察本部長(井野忠彦君) まず、本年の交通死亡事故の状況であります。
 昨日現在六十三人を数え、昨年同期を一人上回る結果となっております。昨年は百四十一人の死亡事故が発生したわけでありますが、このように近時、死亡事故が増加している背景には、運転免許保有者数や車両の増加、社会経済活動の活発化等が考えられ、全国的にも事故が増加しているところであります。
 また、その直接の原因は、飲酒、無免許、スピードのいわゆる交通三悪と言われるものが全事故の約六○%を占めているほか、信号無視、居眠り運転、わき見運転等も目立つのであります。中でも、若者の無謀運転による死亡事故が特に目立っております。
 このような現状を踏まえ、警察といたしましては事故抑止のため各種の対策を積極的に推進しているところであります。主な対策として、一つは、若者の安全運転意識向上のための組織化や、運転者に酒を勧めない交通安全新生活運動の推進等、地域に根差した啓発活動を進めております。その二は、悪質、危険性の強い違反に対する取り締まり等、街頭活動を強化しているところであります。
 次に、交差点事故を防ぐための具体的な対策であります。
 歩行者用信号灯機の新設、バイク等の二段停止線の設置、主要交差点における街頭監視活動等を行っているところであります。
 続いて、交通安全施設等整備事業五箇年計画については、交通弱者の保護、都市交通機能の確保等を基本方針として推進中であり、過去三年間に二十二億円余を投じ、信号機の系統化、高度化、交通管制エリアの拡大等の整備を図ってきたところであります。今後、引き続き、計画事業の目標達成を目指し努力してまいる所存であります。
 次に、シンナー事犯についてであります。
 まず現状でありますが、昨年中に検挙、補導した少年は四百六十一人であります。ここ五年間の推移を見ますと、一番多い年は六百八十人、少ない年は四百三十三人で、その平均は五百二十七人となっており、昨年は平均を下回っている状況にあります。
 昨年の特徴を見てみますと、有職、無職少年が全体の七六%、中学生、高校生等の学生が二四%であります。学生の中では中学生が減少傾向にあります。男女別では男子が七九%、女子が二一%となっております。乱用の形態では、グループによるものがほとんどでありますが、最近、吸入用具としてビニール袋にかわってジュースの空き缶を使用する者が多くなっております。
 次に防止対策といたしましては、シンナーの有害性、危険性の啓発活動や相談活動を進めているほか、シンナー遊びが予想される場所等に対して街頭補導活動を強化しているところであります。
 次にシンナーの入手先については、これまでに検挙、補導した都度追及しておりますが、それによりますと、大型量販店などシンナー販売店からの購入、自宅や勤務先からの無断持ち出しなどとなっております。
 こうした入手先に対する対策でございますが、シンナーは工業用品として日常生活の中で広く使用されており、難しい問題もありますが、警察といたしましては違法な販売行為、いわゆる事情を知った販売行為でありますが、これに対する取り締まりを強化しているところであります。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 五秒という残り時間ですので、民生部関係については改めて厚生常任委員会で追及をさせていただきたいと思います。
 私は文教委員会に所属をいたしませんので、一つだけ要望としてお願いをしておきたいと思います。
 学童保育の問題ですが、留守家庭児童もやっぱり学校の子供だということを認識してほしい。そして、一人一人の放課後の子供の生活実態を把握して、一人一人の子供たちに今何を保障していかなければならないのかをお母さんやお父さんたちとともに考えて追求する学校であってほしいと願っています。生活を保障するため、民生部と連携を深め、学童保育を確立するために積極的に努力をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。

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