平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 今世紀、人類が最も治癒しがたき病としてがんをとらえ、それを克服するために今日も努力を続けられておりますが、そのがんの次の標的は老人の痴呆症であると言われております。そうしてアメリカでは、がんに取り組んできた学者の一部がこの老人の痴呆症の研究に転向しておるという事実もございます。それほど痴呆性老人というものは二十一世紀における最大の課題となろうとしておるのであります。
 今までの同僚諸兄の御質問にもありましたように、我が県は老人人口の県民に占める順位が全国十二位でありまして、恐らくその順位は、これからも上がろうとも下がることはないと思われます。そういう点では我が県は先進県でありますが、それに伴い、当然、老人対策も先進県でなければならないと思うのであります。
 そういった観点から、昨日も中村千晴議員から質問がございましたが、私は、老人の痴呆症、痴呆性老人対策に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 痴呆症というのは、単なる老化によって物忘れがひどくなっていくというのとは全然違いまして、比較的短期間のうちに脳の器質的な機能が病気、脳障害によって持続的に失われるといった症状を指しておるそうであります。言いかえますと、人間として生まれて、その後、人間らしい知恵・知識というものを修得し、人間社会で住むための生活習慣を身につけていくわけでありますが、そういった後天的に身につけたすべてのものが、あるいは部分的なものが病気、脳障害によって欠落していくという状態を指しておるわけであります。
 よく「ぼけにならない十カ条」とかいうことで、趣味を持つのがよいとか字を書くのがよいとか、頭を使うということがよい、人と交際をし適当な運動をするのがよいなどと言われますが、こういったことは老後を充実して送るための指針とはなっても、痴呆症にかからない予防とはほとんどかかわりがないということであります。
 この特徴は、もちろん寝たきり老人の中にもございますけれども、寝たきりでなくても、徘回をしたり、譫妄──特に夜間譫妄というのが多いわけであります。夜中に何かしなければ気が済まないと。あるいは幻想・幻聴、失禁、また自分の排出した便をもてあそぶと、こういったいろいろな症状があらわれていくわけであります。
 痴呆症には大きな原因が二つありまして、一つは脳血管の障害によるもの、すなわち一番端的なものは脳卒中などによって起こるもので、もう一つは、その原因がいまだにつまびらかにされておらないのでありますけれども、アルツハイマー型痴呆症と呼ばれるものであります。外国ではこのアルツハイマー型痴呆症が六割ほど占めておりますが、我が国は逆で、半分以上は脳血管障害による痴呆症でありまして、その次にアルツハイマー型痴呆症が続いております。
 こういった痴呆性老人への対し方は、欧米に比べて我が国はおくれてまいっております。普通、精神病院というところは、どちらかと言いますと、患者を閉じ込めたり、薬で静かに、穏やかにさせたりする病院が多いわけであります。いわゆる、痴呆症に対応した病院とは言えない精神病院が大部分であります。しかしながら、この痴呆性老人に対しては、閉鎖的に扱ったり抑圧したりするのではなく、逆に開放的にして環境をよくし、看護・介抱の中で医療を加えていかなければならないというのが原則でありますから、今日までとってきた精神病院の一般的なあり方とは大きく異なるわけであります。
 また、大学病院におきましては、研究・教育機関でございますから、なかなか難しいと言われる病気を研究するために必要なベッドは備えますけれども、こういった痴呆性老人に対応するベッドというのはほとんどないと言っても過言ではない現状であります。
 こういったところから、日本の国では、福祉型の対応と申しますか、いわゆる特養といった中で対応をしてまいりました。しかしながら、病気によって脳の器質が障害を起こしていくわけでございますから、当然、医療的な立場というものが、まずなくてはならない。ところが現況はそういうことで、福祉と医療の谷間にあるのが、この痴呆性老人対策であると言われてきたのであります。
 日本で初めて痴呆性老人専門の病院というものをつくり、足かけ五年、その経営に努力をしておられるところが岡山県の笠岡市にあるのだということを保健環境部長から聞きました。そうして、五年間にわたり悪戦苦闘し、暗中模索しながら前人未到の地を切り開いてきた経過等、医者や事務長と一緒につぶさに観察をして書いた、朝日新聞の重岡美也さんの──くしくも和歌山県の紀南通信局におられる記者だそうでありますが──「丘の上のエスポアール」という書物を借りまして、先日、南海線、山陽新幹線の中で読みながら、エスポアール病院へ──この病院は医療法人の経営でございますが、勉強に行ってまいりました。また我が県には、特養という形の中で痴呆性老人を専門に預かっておられる福祉施設がただ一つございます。それは第二親和園でございます。この二つを勉強さしていただいたわけでありますが、この二つの施設・病院の方々には、大変お忙しいところ丁寧な御説明をいただきましたこと、まずこの議場をかりて御礼申し上げたいと思います。
 普通、老人の痴呆症というのは、長い間、もう治らないものだというふうに思われてまいりました。ところがエスポアール病院では、昭和五十九年五月一日から平成元年五月三十一日までの間に──百二十床のベッドを持ち、入院患者の延べ人数が九百六十二人(男三百五十五人、女六百七人)、平均年齢は七十三・六歳ということですが、そのうち八百五十四人が退院をしておるんです。この退院の種別、いわゆるどういう形で退院したかということでありますが、自宅で看護・介護できるような状態になり帰ったというのが六〇・九%、病院の中で骨折をしたり、がんなどの悪性腫瘍にかかったりしたために他の病院に変わったというのが七・五%、特養からここに入ってまた特養いわゆる福祉施設に帰ったというのが一九・五%、亡くなった人が一二・一%となっており、実に入院患者の八〇・四%がある程度の治療効果を上げておるのであります。そうして、患者さんの平均入院日数は百七十一日ということであり、延べ人数は、外来患者を含めて二万九千四百二十三人の多きに上っておるのであります。
 いろいろと申し上げたいことがございますが、この事実から見まして、完全に治るということはなくても、ある程度の治療が可能である、あるいは自宅や福祉施設でお世話のできる程度に戻すことができるということを知ったのであります。
 そこで、我が県の痴呆性老人に対する対策をお伺いするものであります。
 現状とこれの対処方法の実態、県としての今後の取り組み方針と、具体的な、できれば年次的計画というものをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 それらの方針の中で重点的にお伺いを申し上げたいのでありますが、この二、三年、厚生省が痴呆性老人対策を重視して、いろいろな施策を打ち出してまいりました。その中に、これに対する医療的な対応が非常に大事であるということから、痴呆性老人の専門治療病棟をつくろうという動きがあります。これは今後極めて重要な役割を果たすものと思われますけれども、厚生省の担当者はある雑誌の中で、専門治療病棟建設の意義というものを次のようにまとめております。この病棟の目標は特に、精神症状や問題行動が著しくても寝たきりでない痴呆老人を対象にする、また、ちょっと難しい言葉でありますけれども、向精神薬──トランキライザーのような種類の薬らしいですが──の投与や抑制ということを極力避けながら、短期集中的に適切な精神科医療と手厚い看護・介護を提供し、痴呆の随伴病状の軽減を図ることによって一般の施設や家庭での処遇を可能にさせるというふうに述べております。
 私は、おくればせとは言いながらも、すばらしい一つの目標を立てられたものだと思うわけでありますけれども、こういった国の方針に対して我が県の取り組み方はどうであるのか。
 この専門治療病棟の建設に対しては、国二分の一、県四分の一、残りは事業主が負担をするという国の施策でありますけれども、和歌山県としてどのように対処しているか。まず設置基準についての御説明をお願いし、進め方についての積極的な御答弁をお願い申し上げます。
 また、当然、医療とともに手厚い看護・介護を必要とするわけでありますけれども、これらを含め、痴呆性専門治療病棟の建設、それから一番大切な運営のための人材育成の確保についてどのように進められているのか。さらに、広く痴呆性老人対策としてのいわゆるマンパワーの確保をどうするのかということも、あわせてお伺いを申し上げます。
 次に、先ほど申し上げましたように、大学病院というものは痴呆性老人に向いておらないというのが今までのあり方でございますけれども、我が県は、県民の中に占める老人の割合が極めて高くなりつつあります。そして、この痴呆性老人症というものは、単一の病気ではなしに、年がいくほど必ずいろいろな病気を併発していきます。いわゆる合併症となってまいります。そういたしますと、痴呆性老人のための病棟が総合病院の中にあるか、近くにあるのが理想的であります。まあ全国に例はございませんけれども。しかし今、和歌山県立医科大学は移転を考えておりますので、その中ででももちろんいいのですけれども、それだけは関連病棟として民間に委託しながら連絡を密にとるようにしても、地域性を持って非常におもしろいのではなかろうかと思うのでありますが、いかがでございましょう。
 また、我が県には五稜病院というのがございます。経営に大変苦しんでおるのは周知のとおりでございます。先ほど申し上げたエスポアールという痴呆性老人専門病院におきましては、大変苦労いたしましたけれども、経営的には、どうやらとんとんのところまでこぎつけてきたということでもございます。まだまだ入院していただく患者はたくさんあるわけでございますから、五稜病院の伝統を生かしながらこういうものを設置する、あるいはまた先ほど申し上げたように、病棟だけを民間に委託して五稜病院との連携をつくるというような方策も考えられないか、お伺いいたします。
 また、厚生省が新しく打ち出しているもう一つの施設に老人性痴呆疾患センターというものがあります。これはどういうものかと申しますと、精神科を有する一般病院に設置して、専門医療の相談とか診断、救急医療に対応できる機能を持たせ、診断の結果、患者さんを診て、入院をさすべきであるか、家で看病・介護をしてもらうか、あるいは福祉施設に入ってもらうのがよいかといったように引き継ぐところを決めていく極めて大切な機関でありますが、こういった厚生省の進め方に対して県はどう対応していこうとしておるのか、お伺いを申し上げます。
 次に、精神保健相談事業として、県立八保健所において月一回か二回、嘱託医による保健相談を行っているとのことでありますが、保健所では相談に来ればそれに乗るということから、老人性痴呆症についてはよくよく困らないと家族も相談に来ないし、また来にくい状況となっています。来たら相談に乗ってやるという行き方ではなしに、来にくいという現状を考え、どうすれば進んで相談に来てくれるか考慮して個々の家庭と直結すべきであると思うが、そういう施策についてお聞かせ願いたいと思います。
 また、湯浅保健所管内では、昭和六十一年から年一回、痴呆性老人についての講習会を開いているということで、その労を多としたいわけでありますが、その結果、どのような反応があり、それをどう生かしていこうとするのか。また、和歌山市保健所の取り組みについてもお伺いいたします。
 さらに、湯浅管区に限らず、全県下で講習会や討論、シンポジウムというものを持つべきであると思うが、どうでありましょうか。
 和歌山県以外の病院や施設に入っている痴呆性老人がかなりおると思うのであります。先ほど申し上げた岡山県のエスポアール病院にも和歌山県の人が入院しておりますが、そういった実態についてお伺いを申し上げたいと思います。
 第二親和園においては大変御苦労され、痴呆性老人専門施設の運営に当たっておられますけれども、五十床しかございませんから、入所希望者のうち適格者をすべて入れるということはなかなかできない、将来はもっと施設が不足してくると思うという話をお聞きしましたが、将来の構想についてお聞かせ願います。
 在宅者に対しまして、県は高齢者サービス調整チームを活用していくとのことでありますが、これの具体的なあり方、進め方についてお伺いをいたします。
 援護を要する老人対策として、県は、老人家庭奉仕員派遣事業、老人日常生活用具給付等事業、要援護老人生活補助用具給付事業、ショートステイ事業、親和園、喜成会、成樹園で行っているデイ・サービス事業、ねたきり・痴呆性老人介護者研修、高齢者総合相談センターの運営を行っておりますが、その具体的な説明と、今後の問題点をどのように把握し、どう対応していくか。特に、今度新規に行うホームケアの促進事業やナイトケア事業をどこの施設で行うのか、県下全域のバランスはどんな状態にあるのかということもあわせてお伺い申し上げます。
 次に、内川問題でございます。
 この問題につきましては、この壇上から何遍も取り上げてまいりました。同じことを繰り返すのは本意ではございません。整理して今までの感想を申し上げますと、内川をきれいにするということは、和歌山県にとっても、もちろん県都和歌山市にとっても最も重要な課題であると思うのでございますが、この重大な課題を自分の課の責任であると考えておる課が県庁の中にはないという事実であります。しかし、内川をきれいにしていくということに関係のある課はたくさんあります。
 まず、河川を預かっておる河川課──資源協会というところにその浄化方法を諮問して答申もいただいております──それから汚水を流れ込まさないという立場で極めて大切な役割を果たす、下水道を考えていく下水道室、都市計画の上でどのように内川を考えていくかということを基本的に示す計画課、これらは土木部であります。また、水質を向上させ、水質汚濁防止法や瀬戸内規制等による法的規制の遵守のみならず、総合的に環境を守り調整する環境調整課、これは保健環境部であります。そして、事業の中で一番大切な水処理をより高度に、より安く排水する能力を持つことにより、初めて未来に生きる中心部の地場産業の育成を考えていく産地振興課、企業とともにいろいろなことを一緒に研究する工業技術センターを持っておる商工労働部。また、マリーナシティ等を核として、関西空港に最も近い快適な観光都市としての拠点をプロジェクトとして推進する企画部。都市文化と内川という極めて重要な命題を持つべき文化振興課を有する知事公室等。すべて内川の浄化に関係があるわけであります。
 今日まで我々の提言もあり、お互いの連絡程度は取り合っておるようでありますけれども、県都の文化バロメーターでもあるこの内川浄化という命題に対して、中心となるところもなく、指令の発信所もないということでは困ると思うのであります。議会で質問する方も困るわけであります。
 一方、県は方針として、内川を魚のすめる川にすると明言をしておるのであります。それにもかかわらず、例えばだれもが指摘をする、川の中にせきをつくるのは不自然だ、そのせきはいつとれるかということを──ことしとれ、来年とれというのではない。中期的に見てもいつごろとれるかということさえ明示することができないというのが実情であります。
 今までの私の質問から、知事の内川浄化に対する意欲のほどは十分承知しております。その知事の意を体して、各課ばらばらの状態でお互い連絡を取り合うというような現状から、副知事をキャップにした政策審議会にぜひとも内川浄化を入れて対策推進を図られるようお願いしたいと思います。これは副知事さんに御質問しようと思っておったんですが、きょうはお休みでございますので、知事にお伺いを申し上げます。
 こういうふうに推進して問題点を浮き彫りにすることにより、内川浄化に一番大きな役割を果たしてもらわなければならない和歌山市と本格的な話し合いをしたり指導したりすることができるようになると思うのであります。和歌山市と県が十分話し合って初めて、民間業者とか一般県民に強力に呼びかける組織が生まれると思うのであります。
 次に、紀の川水源地域対策基金についてお伺いを申し上げます。
 まず、それに入る前に企画部長にちょっとお聞きしますが、企画部は、七プロジェクト三軸という県の発展指針とかいうものを推進しておるところであります。もちろん、この中にはマリーナシティ等を中心としたリゾート構想も含まれておるわけでありますが、そういった県都和歌山市を、産業の中心であると同時に関空に関連して観光、リゾートの拠点としても考えておる企画部として、内川の現状についてどう考えておるかということをお伺い申し上げておきたいと思うのであります。
 奈良県、和歌山県、大阪府の三府県で五千万円ずつ出し合って基金をつくり、大阪府と和歌山県が話し合いして協力金をいただく、しかしそのままではいただけないので、この基金の中に一たん入れて、そしてそれを使わしていただこうということであります。これがいわゆる地域整備協力金というものですが、知事初め当局が努力と汗の結晶で得たこの基金を県勢発展のためにどのように使うかということは大変重要な問題でございます。
 一トン当たりの今までの最高金額は琵琶湖の十五億円でありますが、和歌山が大阪からいただくのは、トン当たりに直すと約四十三億六千万円ぐらいでございます。四トンを上限としておりますが、当面、三トンとして百三十一億円というお金が、一遍には入りませんけれども、昭和七十五年を一つのめどとして入ってくる。それをどのように使うかということは極めて大切なことでありまして、今、企画部では、その基準なり使い方について十分検討してくれておるということであります。
 細かい質問はさておきまして、まず、この基金は、紀の川という我々の祖先が守り育ててきた川によって得たお金であります。ところが、この一級河川・紀の川の一部である内川が──内川も一級河川・紀の川でございます──紀の川に昇格しておる。紀の川によって基金をつくりましたけれども、紀の川そのものの一部に日本一汚染された河川を持っておるという事実に対してどう対応していくのか。もし、紀の川によって得た協力金でこの内川が魚のすめる川としてよみがえるなら、県民、市民の立場から言っても最もすばらしい活用方法であると思うのであります。
 もちろん、先ほど申し上げましたように、この基金の第一の使用目的は紀伊丹生川ダムに係る水特法を補完する──水特法だけではなかなか完全にはいかないわけでありますから、それを補っていくということに当然使っていくと思います。あるいはまた府県間道路を促進するということにも使っていくであろうと思います。その他いろいろある中で、ぜひとも紀の川によって得たこの基金を紀の川みずからをきれいにすること、紀の川をよみがえらせることにお使いいただきたいと願うものであります。
 そのためにどういう努力をしなければならないか。使おうという意図があっても受け皿がなくてはならない。その意味でも、先ほど申し上げた、副知事をキャップとした検討推進会をつくっていただきまして、和歌山市とも相談の上で、どういう部分にどんな使い方をするのが最も有効な使い方であるかということを研究して、協力金を出す企画部と十分話し合いながらお進みいただきたいということを心からお願いし、その意図について御質問申し上げて、第一回目の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 痴呆性老人対策につきましては、民生部長、保健環境部長から答弁させていただきます。
 内川浄化対策でございます。
 お話ございましたように、私も県政の最重点施策として積極的に取り組んでおるわけでございます。これの解決には、第一は河川内の対策、第二は流域内の対策と、大別して二つの対応が必要ではないかと思います。
 河川内の対策としましては、河川内部の浄化を図っていくということで、現在まで紀の川からの導水、そしてまた五十四年には和歌川ポンプ場を設置して海水からの導入等を図っておるわけでございます。
 また、ヘドロのしゅんせつにつきましては、本年度で約二十万立米のしゅんせつを完了することになっております。これによりまして、水質や臭気については相当効果が出ていると存ずるわけでございます。また、本年度着手される有本ポンプ場からの浄化用水導入により、将来は有本川、大門川の一部において水質浄化が促進されることになります。
 残された課題としては、流域内の対策が最も重要ではないかと思うわけでございます。これは主に、産業排水対策及び生活排水対策としての下水道整備ということが最重点的になってきますので、和歌山市を中心にして、県や市、企業、市民が一体となって進めていかなければならないのではないかと思います。
 県内部の組織の問題について御提言がございました。副知事を中心として十分検討させるということになるわけでございますけれども、河川内の事業というのはある程度進みつつあり、これからは流域対策が重要となってきます。この流域対策につきましては、おっしゃいましたように、県も体制を固めるとともに市自体も積極的に取り組み、お互いが協力し合ってまいりたいと思っております。
 それから、紀の川水源地域対策基金の活用については企画部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 老人対策の五点についてお答えいたします。
 まず、痴呆性老人の現状についてでありますが、六十五歳以上の老人人口全体に対する出現率は、全国で四・八%と推計されてございます。このうち、家庭において介護することが困難な方については特別養護老人ホームにおいて保護することとしており、本県の場合、約五百人の痴呆性老人の方々が入所されております。
 また、家庭における介護を支援するために、ホームヘルパーの派遣や日常生活用具の支給、デイ・サービスなど、各般の在宅福祉施策を実施しており、元年度においては新たにナイトケア事業やホームケア事業を開始するとともに、痴呆性老人の家庭介護に必要な用具を支給対象に加えたところでございます。
 今後増加が予想される痴呆性老人への対応の問題は高齢者対策の中でも重要な部門であり、福祉、保健、医療の連携を図りながら、その実態の把握、各種施策の普及推進に努めてまいりたいと存じてございます。
 次に、痴呆性老人の本県以外の施設への措置状況でございますが、県外施設へ痴呆性老人を措置した実績は、福祉事務所の把握では六十三年度中は三件でございますが、いずれも寝たきりのケースであり、痴呆性老人は含まれてございません。
 痴呆性老人のための施設整備でございます。現在、一カ所の専用の施設がございますが、その他の特別養護老人ホームについても一定の入所枠を確保し、専用居室を整備するように指導しているところでございます。今後とも、入所希望者の動向等をにらみながら、適切な施設整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、高齢者サービス調整チームは、個々の高齢者のニーズに見合う最も適切なサービスを提供するため、福祉、保健、医療等に係る各種サービスを調整・推進することを目的として設置されるものでございます。具体的には、市町村の関係課のほか、医師、保健婦、ヘルパー等がチームを組み、対象者の健康状態、家庭環境等を踏まえた具体的処遇方策の検討を行うことといたしております。本年度中に県内全市町村への設置ができるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に要援護老人対策についてでございますが、お年寄りが健全で安らかな在宅生活を送ることができるようホームヘルパーを派遣し、介護や家事手伝い等を行っており、現在、百三十五人のヘルパーが千三百世帯を訪問してございます。また、特殊寝台等、二十一の日常生活用具を三百五十人に対して支給してございます。
 また、施設の持つ機能を地域に開放する意味で、お年寄りを老人ホームで短期間保護するショートステイ事業を実施し、約四百人の方々に利用していただくとともに、入浴、食事、リハビリ等のサービスを提供するデイ・サービス事業を三施設で実施し、二百五十人の方々が利用・登録されてございます。
 このほか、お年寄りや家族の心配事に答える高齢者総合相談センターを設置し、六十二年九月の開設以来、約千件の問い合わせに対応してございます。
 こうした各種事業の普及推進が今後の課題であり、とりわけその中でも中心となるホームヘルパー派遣、ショートステイ、デイ・サービスの三事業につきましては、国の三カ年緊急整備の趣旨に沿い、本県としてもその整備充実に努めてまいる所存であります。
 なお、元年度新規事業であるナイトケアについては、当面、和歌山市で、ホームケアについては和歌山市と田辺市の施設で実施を予定しておりますが、なお今後、県下へ普及していくよう検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 痴呆性老人対策についてお答え申し上げます。
 人口の急速な高齢化に伴い、今後、痴呆性老人の増加は必至でございまして、その対策は極めて重要であると認識いたしております。
 痴呆性老人につきましては、病気の原因や治療方法、あるいは予防方法等について未解明の部分が多く、国においても総合的な対策推進の緒についたところでございます。県といたしましては、長寿社会対策推進本部の中で国の施策を取り入れながら、その対策について鋭意検討することといたしております。
 痴呆性老人専門治療病棟につきましては、その設置基準として、病室、観察室、生活機能回復訓練室、浴室、在宅療養訓練指導室等を設けることとなっております。
 現在、本県には専門治療病棟は設置されてございませんが、既存の精神病院あるいは一般病院、さらには昨年より運営を開始している老人保健施設において、痴呆性老人に入院・入所をしていただいて対応しているところでございます。
 専門治療病棟の整備は痴呆性老人対策の柱の一つとなるものと考えておりまして、御指摘の五稜病院等も含め、また県立医科大学にも御意見を聞きながら、施設、マンパワーの確保等について検討してまいりたいと考えております。
 次に、老人性痴呆疾患センターの設置についてでございます。
 本事業は、平成元年度の国の新規事業として整備を進めることとなっております。本センターは精神科を有する一般病院に設置するもので、専門的医療相談や救急医療体制が可能であることが条件となっております。今後、国の基準を参考として、設置の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 精神保健相談事業につきましては、現在、各保健所において、嘱託医による相談事業を実施いたしております。痴呆性老人に係る相談件数は、昭和六十一年度二十二件、昭和六十二年度二十六件、昭和六十三年度三十件となっております。今後、市町村高齢者サービス調整チームの活用により、この相談事業の一層の充実を図ってまいる考えでございます。
 また、県下のモデル事業といたしまして、湯浅保健所において痴呆性老人対策の講習会を開催しておりますが、痴呆性老人を抱える御家族の関心の高さから、この施策の重要性を認識して、今後、他の保健所でも実施してまいるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、和歌山市におきましては、相談事業を中心とした事業を行っているところでございます。
 最後に、県外の病院における入院者の実態についての御質問でございます。
 痴呆性老人の県外病院への入院につきましては、近府県の病院に入院されている方もあると聞いておりますが、その詳細については把握いたしておりません。今後、その内容の把握に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 内川についての認識並びに紀の川水源地域対策基金の活用につきましてお答えを申し上げます。
 基金交付金による地域整備協力費の対象事業といたしましては、水源地域対策特別措置法に準じて、紀伊丹生川ダムに係る水源地域対策事業及び紀北地域と南大阪地域が一体となるための府県間道路の整備等の紀の川流域整備事業となっているところでございます。
 紀伊丹生川ダムに係る地域整備計画につきましては、平成元年度から建設省で実施される実施計画調査の進捗に合わせて策定することにいたしてございますが、紀の川流域整備計画については、流域関係市町、関係団体と協議しながら、早期に策定すべく鋭意取り組んでいるところでございます。
 なお、内川浄化対策は、県都和歌山市のアメニティー豊かな町づくりにとっても、また質の高いリゾートの環境づくりにとっても、まことに重要な課題であると認識をいたしているところでございます。
 現在、関係部局や和歌山市において事業が推進されているところでございますが、今後の対策につきましては、先ほどの知事答弁に基づき、また議員御提言の趣旨を踏まえ、関係機関等と協議して対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 痴呆性老人対策につきましては、老人人口を多く抱える我が県にとって大変重大な問題になってくるであろうと思います。そういった観点から、厚生省が打ち出した専門治療病棟、そして、病院に入るべきか、福祉施設に入るべきか、自宅で療養するのがよいかといったことを示す疾患センターの設立ということは極めて大切なことでございますけれども、現状では非常に難しいと拝察をいたしたわけであります。
 設置基準を聞いておりますと、まず人材の確保、いわゆる精神科の医者の確保が必要でありますから、そういったところから始めなければならない。こういう点につきましても、県立医科大学あるいは県内の精神科医等の意見も十分聞きながら、早急に人材確保を図っていただきたいということを要望申し上げたいと思います。
 また、紀の川によって得た基金で紀の川みずからをよみがえらすことが可能なように──知事の答弁にもございましたけれども、一番中心になる和歌山市を立てて、県も意思を統一して、和歌山市の相談に乗りながら指導しながら、このお金が有効に活用できるように強力に推進していただきますことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
 ────────────────────
 午後二時三分再開
○議長(西本長浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、申し上げます。
 午前中の浜本議員の質問に対する答弁に関し、教育長から発言の申し入れがありますので、この際、これを許可いたします。
 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 浜本議員に再度お答えを申し上げます。
 御指摘の件につきましては、文部省の元事務次官が刑事訴追を受けたことは事実でございまして、重大なことと受けとめてございます。
 今後、道徳教育を進めるに当たりましては、人間としてのあり方、生き方の自覚の問題として進めなければならないと考えてございます。
 以上でございます。

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