平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会六月定例会会議録 第 三 号
 
 六月二十七日 (火曜日) 午前 十時 六分 開議
  午後 三時 七分 散会
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議 事 日 程 第三号
  平成元年六月二十七日(火曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第八十六号から議案第九十九号まで並びに報第三号から報第九号まで(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第八十六号から議案第九十九号まで並びに報第三号から報第九号まで(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(二名)
 29 番 平 木 繁 実 君
 39 番 田 中  実三郎   君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 天 谷 一 郎 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 松 永 安 生 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 築 野 政 次 君
 警察本部長 井 野 忠 彦 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 稲 住 義 之 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 高 瀬 武 治
 議事課主任 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 阪 上 明 男
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第八十六号から議案第九十九号まで、並びに知事専決処分報告報第三号から報第九号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 34番浜本 収君。
 〔浜本 収君、登壇〕(拍手)
○浜本 収君 消費税の問題、地価抑制、新学習指導要領なかんずく「君が代」の問題、紀勢本線と観光対策の四点にわたって簡潔に質問をいたします。
 平成元年はリクルート汚染と消費税で明け暮れ、日本全土に国民の不満と怒り、そして政治不信が拡大し、その鎮静化の方向すらも見出せない状態に置かれた不確定な年であります。政治不信と消費税は、小手先の理論や詭弁を弄しても、見通しの明るい一つの決断と実行──だれかが昔言うたようでありますけれども──を政府みずからが国民の前に態度で示さない限り、国民は納得しないと私は思う。
 私はたばこをよく吸うので、アクアフィルターを時々近所のたばこ屋さんへ買いに行くのでありますけれども、A店は四百三十円プラス消費税三%、計四百四十三円。B店は、今も消費税なしの四百三十円。A店へ行きますと、「済みません」と悪びれて頭を下げられるが、私のような人間は、それ以来、B店に行く。つまり、消費税を取らない店に行く習慣になっております。そんな習慣は私だけではなく、人はだれもがそうするであろう。それが庶民の生活感覚であります。
 最近、私のポケットに一円玉がやたらにたまってくる。皆さんもそうでありましょう。恐らく、リクルート汚染にまみれたこの国のお偉いさん方にはこんな生活実感がないと思うが、知事の奥さんはどんなものだろうか。知事の家庭でも一円玉がたくさんたまっているのではないか。もしそうでないとしたら、知事は庶民の生活を知らないまま県政を行っているということになるが、さようなことはないと思う。
 国民大衆は一円玉が毎日ふえても、日本の為政者は百万、五百万、二千万、一億、二億といった単位で懐を肥やしながら政治を行ってきた。そのような人々に政治を任せてはならないとする怒りの中で、リクルート汚染の拒否と消費税撤廃のうねりが全国津々浦々に拡大していく。
 「レシートの 数ほど恨み 覚えとく」──かくて、六月二十五日の新潟参議院議員選挙の結果と相なったのであります。表紙は変わっても、「編集者・中曽根康弘」、「発行人・竹下登」は変わらない中で自民党総裁・宇野総理が誕生したけれども、この「宇野総理」という本は余り売れないし、また買ってはならないのであります。おまけに、「この件は 秘書がしたとは 言えもせず」と、はや、けつまずかんばかりの様相を露呈している。
 それはそれとして、過日の国会での質問や予算委員会での質疑応答を通じて宇野総理は、「税制調査会で十分実情を研究し、適切に対処していきたい」と答弁し、また「来年の五月には見直しをするかもしれない」といった答弁をしたり、さらにもう少し早く見直しをするかのごとき発言をしたりと、そのような態度を示しているが、ここで知事に質問をいたします。
 一、知事は行政者として、一カ月や三カ月もたたないうちに消費税の見直し云々といった政府の行政姿勢についてどのような感想を持っているか。客観的な視点から冷静に答えられたいのであります。
 これを和歌山県に当てはめてみたらどうだろう。二月議会で議決して、そして一カ月もたたないうちに議決したことを直すかもわからないというようなことを言う、そういう行政態度であってはならないと思います。これだけを聞くと、消費税賛成のように聞こえますが、そうではありません。知事は、客観的な視点から、冷静にこのことについて言及されたいのであります。
 二、それにもかかわらず見直し論を早々と口にするのは、今行われている都議選や参議院選挙、来るべき衆議院選挙を前にそのようなポーズをとって、少しでも国民の機嫌をとり、少しでも国民の目を和らげる手段に利用しているのではないかと思うのであるが、これに対する知事の見解もあわせて示されたいのであります。
 三、この消費税導入は、よく例に示されているように、初めにボタンをかけ違えたため終わりまで間違ってくるといったたぐいのように思われるが、知事は行政の長として、政府が行ったこの消費税の手法についてどのような所見を持っているか、ぜひお伺いしておきたいのであります。
 次に、地価抑制の問題に移りたいと思います。
 国土利用計画法は、その基本理念を、「国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ること」としており、土地取引の規制や土地利用を調整するための措置などをすることによって総合的、計画的な国土の利用を図ることを目的としている。また、この国土利用計画法第二十七条の二に、「都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を、期間を定めて、監視区域として指定することができる」としている。
 県は、同法によって、三月一日より五年間、和歌山市の商業地域──詳細は省略いたします──に限って、地価の抑制策として監視区域に指定をしたが、まだ日も浅いものの、その経過なり効果等についてまず質問をいたすものであります。
 御承知のように、リゾート法の制定に伴う燦黒潮リゾート構想や田辺湾岸リゾート構想、さらには幾つかのゴルフ場誘致等々、さまざまな動きの中で、例えば私の町・白浜町内における最近の土地取引を見ると、いずれも予想を上回る価格でなされている。このように土地価格が上昇する中で、新空港建設の用地取得にも波及するおそれのあることも否めないのであります。
 先日、南紀新空港建設事務所長と会い、既に開始されている用地買収について意見を聞いたのでありますが、「とにかく私たちは全力を挙げて仕事に打ち込むのみ」という力強い決意を知り、うれしく思ったのであります。しかし、この土地問題はいろいろな複雑な内容を持っているだけに、地価の適正化や高騰化の抑制という見地から、監視区域の指定を該当市町村──ここでは白浜町、田辺市と相談の上行う必要があるのではないかと思うのであります。ぜひ、その検討を要望し、質問にかえる次第であります。
 次に、新学習指導要領について質問をいたします。
 ここ一年余り日本政治を根底から揺るがせた一番の悪漢は、日本国民ならだれでも知っているリクルート社・前社長の江副浩正であります。そして、このリクルート社に巣くう政・官・財の幹部はもとより、もうこれ以上、献金や譲渡株は出てこないかという質問に対して竹下前首相は、「私は神様ではないから何とも言えないが、これ以上は出てこないと確信しています」と。神様じゃないというのはだれでも知っている。ところが、その舌の根も乾かぬ間に五千万円の借入金があったとマスコミに報道され、その秘書に不幸な出来事が起こり、国民世論の前に退陣を余儀なくされたのであります。
 中曽根氏は「『江副何がしごとき者』など、余り知らない」と発言したり、「控え目に 生きる幸せ 根深汁」と詠んだ文人政治家・藤波元官房長官が起訴されたり、政・官・財界を揺るがせたこの汚職まみれの日本政治の現状は、今日、国民のひとしく知るところであります。
 ところで、これらの人々は、一つ、わからなかったら隠し続けて黙っている、二つ、わかったら秘書がしたと言う、三つ、秘書のない者は妻がしたと言う、四つ、法に触れなかったら構わないと何食わぬ顔をするといった態度をとっております。この政・官・財におけるリクルート汚染が進行する中で日本の政治が行われ、また日本の教育政策が進められてきたのであります。
 文部省は、教育課程審議会のまとめとして新学習指導要領を実施し、しかも臨時教育審議会では、高石前文部事務次官が事務局長を務めた。これは大変重要な職であります。教育課程審議会では次官として振る舞い、江副の同委員就任への便宜を図ってきたことは、今日、教育に関心のある者ならだれでも知っていることであります。
 先ほど述べた例三の「秘書のない者は妻がした」と逃げを打ったのは、紛れもなく、この高石前文部事務次官であります。このようなひきょうな人物が日本の教育や道徳教育などを論じる資格は毛頭ないと思うが、総じて、これら一連の関係者の道徳観というか言動は、うそをつくこと、他人に罪をなすりつけることといったものであります。こういうことが、日本を支配した、しかも教育に関係をした人々の、いわば道徳観でありますが、道徳というのは、心の問題であると同時に、実行、態度の問題であります。
 そこで、今、事例で示した一連の人々のとった態度や内容が国民に与える心理的影響──政治的な問題は選挙であれされますから結構でございます──なかんずく児童、生徒、学生に与える影響についてでありますが、最近では「リクルート遊び」というのがはやっておるようであります。御存じでしょうか。そういう影響について、教育委員会は教育的視点からどのような判断を下し、どのような道徳的見解を持っているのか、まずただしておきたいのであります。
 次に、昨日も質問がございましたが、さきの定例議会でも先輩・森議員から質問があった新学習指導要領についてお尋ねいたします。
 文部省は、三月二十七日、新学習指導要領を告示し、そしてこの六月七日、同指導要領に基づく教師用指導書を公表したところであるが、その中で、「君が代」について初めて踏み込んだ解釈を明記した。すなわち、「君が代」の「君」は象徴としての天皇だとし、その天皇の下──「もと」でと読んでいいのか──で我が国が繁栄するようにとの願いを込めた歌であると解釈をし、そのように児童生徒に指導せよとのことであります。
 また、旧学習指導要領では「国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましい」とあったのを、新学習指導要領では「指導するものとする」と改め、従わない教職員には処分をほのめかしているところであります。
 戦前教育を受けた者ならだれでもが知っているとおり、この「君が代」というのは「天皇の御代」という意味であり、それ以上のものでもなければ、それ以下のものでもありません。
 「君が代」の歌は、戦前の国家行事でのそれぞれの儀式の歌と不離一体のものであり、特に義務教育下の学校では不可欠のものとして扱われてきたのであります。
 「君が みかげにたぐえつつ仰ぐ今日こそ たのしけれ」とか、「高嶺おろしに草も木もなびきふしけん大みよの」、「今日のよき日は 大君の」といったように、すべてこれ、国民が天皇家を崇拝し、それに隷属する立場に立たされ、その地位は国の元首であって、統治権の淵源であり、総攬者であると定められた旧憲法のもとでは、最終的には天皇の御ために命をささげることが日本人としての誇りであり、最上の道徳的支柱でありまして、その中心的役割を果たしたのが、この「君が代」にほかならなかったのであります。
 私も、幼い日からそんな教育を受けた、またそれを信じた一人でもあったし、多くの国民がそのような教育は当たり前のこととして過ごしたことは動かしがたい歴史的事実であります。
 私は、ここで天皇論を持ち出す意思は持ち合わせていないし、現在、私たちは、日本国憲法に示されている「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とする規定を遵守するものであります。ただ、先ほど申し上げた旧憲法・欽定憲法下の「君が代」と主権在民下での「君が代」とでは、その扱いにおいて本質的に異ならなければならないと思うのでありますが、昨今の趨勢は、戦前復帰への方向をたどりつつあるのではないかとさえ思われるのであります。
 「君が代」は国歌であると定めた法令がないことは国会での政府答弁でも明らかにされているし、また一方、慣習として定着し、一種の慣習法的なものという見解があることも私は承知しておりますが、今、なぜ新学習指導要領で一方的に強制しようとするのか、甚だ理解に苦しむのであります。
 総じて私の考え方を申しますならば、教育活動というのは説得と理解を基本とするものであって、政治的な判断能力がはぐくまれていない小学校の三年生や六年生などの子供たちに儀式を通じて画一的に、しかも強制的に教え込もうとするこの手法は極めて教育的でないと思うが、教育委員会の指導理念と今後の対応についてただすものであります。
 ──場所を間違えたのではないかと言いたい人もあるような演説をして、失礼をいたします。
 次に、紀勢線と観光対策という、私の日ごろ思っていることを少し雑感として述べ、御答弁を仰ぎたいと思います。
 JRにはJRの守備範囲があり、県には県の守備範囲がある。それぞれの機関は、それぞれの垣根を越して、よかれと思って行ったことが批判を受ける場合がある。しかし、それぞれの組織は相連携し、可能な限りいい結果が生まれるよう話し合い、実効ある成果を生み出すべきだと思う。
 そこで私は、次の諸点について所見を述べ、質問を試みるものであります。
 一つ目、指定券の値段について。
 ある日は「三百円いただきます」、また別の日は「五百円いただきます」、さらに別の日は「七百円いただきます」と言って、JRの職員さんは大変きちっと領収書を手渡してくれる。日により月により、三百円、五百円、七百円と指定券の値段が変わるのは、それなりの理由もあってのことだと思うが、他府県から紀南に足を入れ、電車に乗った観光客がそんな場面に出くわしたとしたらどう思うだろうか。全国的にもそんな例はたくさんあるようでございますけれども、その御所見と善処方を望むものであります。
 二つ目、列車から流れるアナウンスについて。
 私は、所属する経済警察委員会で意見を述べたこともありますが、列車からアナウンスされる説明というか宣伝に少し物足りなさを感じるのであります。
 「田辺市は紀伊半島のほぼ中央に位置し、南紀の交通と文化の中心地です。また、伝説で有名な武蔵坊弁慶の生まれたところと言われております。ナショナルトラスト運動で有名な天神崎海岸は、JR紀伊田辺駅から三キロほどの県立公園にあります。春先は海辺の海水もよく澄み、豊富な海洋生物が観察できます」。
 もう少し走りますと、「海の向こうに細長く伸びた岬が見えますが、その一番先のところが白浜温泉です。白浜温泉は、湯崎──私の生まれたところ、今住んでおるところです──東白浜・綱不知・大浦・古賀浦・新白浜を総称して『白浜温泉』と呼んでいます。白浜温泉は、熱海、別府と並ぶ日本の三大温泉の一つで、歴史は古く、日本書記などに『牟婁の湯』として紹介されています。湯の量も豊富で、観光にレジャーに、四季を通じて楽しめる日本を代表する温泉観光地です」。
 以前、私は、前の観光課長に──今、日高の県事務所長をなさっているが──このアナウンスについて、「ちょっとごつごつしてないか。私の聞いたとき、あんまり声のいい人が言うてなかったのか、何かごつごつとしているように思うけど」と言ったところ、課長はすかさず、「素朴な宣伝という意味もあって、それなりにいいのではないか」と答えられました。うまいことを言うな、それもそうやなと思ったのでありますが、その後、JRとの話で、私が言うたからしたんではないでしょうけれども、最近では女性の声が聞かれるようになった。県の方もJRと一生懸命話し合っているなあと、その努力に敬意すら覚えたのでありますが、それでも何かが欠けているという気持ちはぬぐい去ることができないのであります。
 このアナウンスは、先ほど読み上げた文章をとってみても、大変正確である。何の間違いもなく、これだけの短い文章で要領よく田辺市というものをよくまとめられたなあと思うんです。しかし放送されると、何か無味乾燥に陥っているように思う。そう感じるのは私だけかもしれないが、この宣伝には、訴える力、誘う力、また南紀には楽しさや明るさがいっぱいあり、旅に来てよかったなあといった感覚、いわゆる今どきよく言われる「ナウい」感覚が不足しているように思えるのであります。
 まあしかし、「お客さま、ようこそ和歌山・南紀においでくださいました。ありがとうございます」といったことを言うよりも、この素朴なアナウンスの方がいいけれども、一考を要すべしと思うのであります。
 時あたかも新大阪直結の時期を迎え、今日、日本全国に向かって、自信を持ってセンスあふれるアナウンスを行うべしと私は思うのであります。
 最初に申し上げましたように、JR、県、それぞれの機関には守るべき分限があります。その辺のところも十分認識の上、それぞれが相乗効果を上げられるよう期待するものであります。
 三つ目、名古屋─白浜新幹線について。
 「忘却とは忘れ去ることなり」といった言葉が大変流行した時期がありました。たしか、昭和四十五年か四十六年ごろだったように思う。私も、当時の全国的な趨勢の中で、名古屋・新宮・白浜新幹線の建設を県政の重点政策の一つに挙げよと本議場を通じて提言したことがございます。そのとき、たしか仮谷現知事は出納長で、そうだと首を振っておられたように思うのであります。そして、それを裏書きするように時の大橋知事はこの議場で、ぜひとも実現したいという答弁をなさいました。その後、皆さんもよく重点目標を国に上げますが、その項目の中にこれが入れられ、大変胸躍る思いで、感動して読んだことがございます。
 「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」──時の流れは、今、これを提言することもちゅうちょしがちであります。
 昨年、私は、私的なことで三重県へ二回行ってきた。白浜から大阪・鶴橋まで行き、近鉄線に乗って伊勢市へというコースと、白浜から勝浦・新宮・多気・伊勢市へというコースに乗ったが、大阪回りは四時間半、新宮回りは電車の連結時間もあり六時間余り、下手すると七時間かかることもある。地図の上では大阪回りの方がはるかに距離的に遠いことは御承知のとおりであります。
 私は、個人的なことを当議場で申し上げているのではない。これからの南紀の浮上に不可欠のものは、もちろん交通手段のよりよき向上でなければならないと思うし、県政においても高速道路の早期完成に向かって超党派の取り組みをしていることは御存じのとおりであります。また、新大阪─天王寺の直結により、今後さらに観光客数の増加も期待されます。しかし、白浜から南へ向かえば向かうほど、この面が少し忘れられているのでは──忘れてはいないでしょうけれども、そんな感じがする。もしも名古屋・伊勢から新宮・勝浦・白浜といったこの南紀に新幹線が走ったらどうなるだろう。なかんずく紀南の浮上は間違いなしと思うのであります。
 伊勢市、いわゆる「お伊勢さん」というのは説明の要らない観光地である。この地を訪れる人々が新宮・勝浦・串本・白浜に三時間内外で来ることができる交通手段、今申し上げている新幹線が走ったらと夢見る者であります。県政の重要な視点の一つとして、ぜひ検討されんことを切望します。
 以上、紀勢線と観光対策について当局の御所見を伺うものであります。
 以上で終わります。どうもありがどうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの浜本収君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員にお答え申し上げます。
 知事は行政者として、消費税並びにその見直しについてどういう所見を持っているかということでございます。
 きのうも申し上げましたように、消費税は、我が国全体の将来展望に基づく国レベルの問題であると考えておりますけれども、いずれにしても、従前の直接税偏重の税制はサラリーマン等への負担のしわ寄せなどの問題があり、何らかの形でバランスのとれた間接税が必要であろうと理解しているところでございます。
 また、見直しについてでございますけれども、我が国ではなじみの薄い消費税が消費者や事業者の皆さんからどのように受けとめられておるだろうか、手続的にどのように実施されているだろうか、また課税の公平、さらに納税者の義務的負担の問題といった重要な要請をどのように両立させるのかといったことについて勉強したり検討することは必要であろうと感じております。
 税調等、国における対応はもちろんでございますけれども、県当局としましても、物価の問題等、県民の皆さんにとって身近なポイントに最大限の注意を払ってまいりたいと思っているところでございます。
 他の問題については、関係部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、土地対策についての二点の御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、和歌山市の監視区域指定の経過と効果についてでございます。
 監視区域の指定につきましては、従来の国土利用計画法による届け出対象面積を引き下げることにより、より広範囲にわたって価格指導が可能になり、土地の投機的取引防止や地価高騰の抑制が図られる仕組みになってございます。
 和歌山市における監視区域の指定につきましては、届け出件数が昭和六十三年で百六十七件、前年に比べて四・五倍となり、また商業地においては地価の上昇が見られるとともに、さらに引き続き上昇が見込まれたため、本年三月一日から監視区域に指定したところでございます。
 その効果につきましては、定量的には次回の地価公示あるいは地価調査で出てくることとなりますが、現在、監視区域を指定することにより小規模な土地取引にまで価格指導を行い、急激な地価上昇に歯どめをかけるよう努めているところでございます。
 第二点の、監視区域の指定についてでございます。
 この指定につきましては、地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域について指定することができることとなってございます。
 県といたしましては、地価公示、地価調査のほかに、特にプロジェクト関連地域については県単独事業で地価動向の把握に努めているところでございますが、現在、一部地域では地価の強含み傾向も見られますので、今後、該当市町村等、関係機関の意見も聞きながら、監視区域の指定については積極的な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、紀勢線と観光対策に関連して、名古屋─白浜間の新幹線についてでございます。
 紀南地域の観光振興を初めとする産業、文化の発展のためには交通アクセスの整備が極めて重要であると考えてございます。中でも紀勢本線の拡充につきましては、かねてより地元市町村、関係団体とともに全県的に国への働きかけ等に取り組んできたところでございます。
 昭和五十三年には和歌山─田辺間の複線化、和歌山─新宮間の電化が実現いたしました。さらに本年の七月には特急くろしお号の新大阪、京都乗り入れによりまして、長年の懸案であった鉄軌道による国土軸への直結がいよいよ実現する運びとなってございます。
 県の長期総合計画におきましても、高速交通体系の整備を重要課題として位置づけているところでございます。また、リゾート需要の高まりの中で、紀伊半島に熱い視線が注がれている現在、より一層の努力をしていかなければならないと考えてございます。
 このため、紀勢本線田辺─新宮間の複線化について政府要望を行いますとともに、ジェットフォイルによる海上アクセスの整備やヘリコミューターの活用等についても現在検討しているところでございますが、議員の御提言も含め、今後とも総合的な観点から紀南地域の高速交通基盤の整備に鋭意取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 観光問題でございます。
 現在、全国のJR各社の座席指定料金は、閑散期が安く、繁忙期が高く設定をされているようでございます。これは営業面の理由があってのことと思われますが、このことで本県観光のイメージがダウンするようなことがあってはなりませんので、今後十分注意をし、必要があればJRと話し合いたいと存じます。
 それから、特急くろしお号の車内アナウンスでございます。
 現在、ソフトであるとか、わかりやすいというふうな一応の評価を得ているところでございます。しかし、新大阪、京都へ直結し、観光客の層も広くなるであろうこの時期に新しい角度から見直してはどうかとの御提言でございますので、今後、検討課題とさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 新しい学習指導要領の二点についてお答えを申し上げます。
 学校教育における道徳教育は、人間としてのあり方、生き方についての自覚を深め、その実践力を育成するものでございます。教育委員会といたしましては、そういった趣旨を生かすよう指導してまいる考えでございます。
 次に、国歌の指導につきましては、主権在民を規定している日本国憲法の理念に基づいて指導をしなければならないと考えているところでございます。
 こうしたことから、日本国憲法に定められた天皇の地位についての指導と関連をしながら、我が国が平和で繁栄するようにとの願いを込めた歌であることを理解させることが肝要であると考えてございます。
 学校への対応につきましては、こうした指導理念を持つ学習指導要領に準拠して国歌の指導が行われるよう、県内での講習会等で十分指導してまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 私は知事に、消費税の功罪論とかいうことを聞いたわけではないんです。例えば和歌山県議会で、あることが非常にもめたとします。もめて、二月議会で議決した。そして、一カ月もたたないうちに、非常にもめて決まったそれを手直しするかわからんというようなことを知事は言う道理がない。ところが、国はそれをやっている。宇野さんが、ちょっと言われたら、ふらふらそんなことを言うている。私は、その行政的な態度を言うているのであって、消費税の効果論を言うているのではない。そういうことは、行政上、あってはならんことだ。
 小さな町において、多数決で物事が決まった。それを少数派が、あるいはそれぞれの議員さんが、その決め方がどうであったとか、あるいはその内容をもう一遍考えなければならんとかということは、地方ではどう言おうが勝手なんです。これは当然そうなんです。ところが行政の長が、みずから提案して一カ月もたたない間に、それは変えるかもわからん、来年の五月にするかわからん、もうちょっと早うするかわからん、どうのこうのと。こういう行政態度は、行政者、執行者として不適格であると私は言いたい。
 ここは国会ではございませんから、場所を間違えていると言われるかもしれません。しかし同じように、百万県民の長である和歌山県知事としてどういう所感を持っているかということを申し上げたのであって、消費税のことがどうやとか、何がどうやということは言うてないわけですが、それについてはいかがなものでありましょうか。
 それからJRのことについては、私は大変意を用いて、同じことを二回も言うたつもりであります。JRにはJRの、いわゆる分限があると。私自身も含めて、県の人です。県会議員であっても、県の立場で言うていると、こうなるわけです。しかし、それぞれの分限があるので、それはいいと思って言うたことでも、相手になにした場合は大変よくないんですよと。そういう立場に立って、ごく簡単なことを申し上げたんですが。
 今、商工労働部長の答弁に、聞き違いがあったのか「注意して」というようなことを言われたような気がするが、何に注意するのか。JRに偉そうに注意していくというようなことはしたらいかんのやでということを初めに言うている。
 「注意する」という言葉の意味がちょっとわかりにくいんで、わかりやすく──最近、「わかりやすい政治」というのがはやっているが、わかりやすく御説明を願いたい。
 教育長の答弁ですが、この答弁は、何というのか、全くわからん。世の中には、わかったようでわからん答弁というのがあるが、これはもう全くわからん。
 「リクルート遊び」というのがはやっていると、さっき言った。これは、人に罪をなすりつける遊びです。あなた方も知っていると思う。高石などというのは衆議院議員になりそこねたけれども、指摘されたら、私の嫁さんがしたんやと言う。新聞社に聞くと、嫁さんと夫婦別れするほど大げんかになってと。そんなことがある。これはひきょうでしょう。
 道徳教育と言うたら、正しいことを正しく言えとか、勇気ある発言をせよとか、「勇気」という徳目があるんですね。しかしこれは、ひきょうというやつの最大のものです。この国の支配層──中曽根さんなんかもおかしいと思うんです。「江副ごとき者」と、えらく言うている。そして、秘書がその「江副ごとき者」に金をいっぱいもらってある。人に世話になって、それを「江副ごとき者」とぼろくそに言うというのは──うそに決まってある。
 だから、そういう人たちの道徳観というのはなってないじゃないかと私は申し上げている。それについてあんたはどう思う、あなた方教育委員会はどう思うかということを聞いているんですが、そうすると「道徳ということは」と、わからん答弁をする。私は、道徳教育の徳目とか道徳教育そのものの論陣を張っているんではないんです。そんなことは、だれも聞いてない。道徳というのは心の問題であると同時に態度の問題である、だから態度で示しましょうと、これが道徳教育、道徳である。幾らいいことを思っても、しなかったら価値がない。道徳とは、心と態度の問題や。
 こういった一連の人々の態度について四つの例を言うたでしょう。私は、政治的な視点から言うているんじゃない。大変おもんぱかって質問をしている。私は教育的視点に立って、道徳教育を扱っている皆さんから見て、こういうことについてどう思うかと聞いているんですが、わからん答弁をする。
 それから、もしも浜本という教師が現場にいたとしたら、旧学習指導要領のままだったら、人並みに「君が代」を歌わせている。国旗も掲揚する。ところが新学習指導要領は、「天皇の御世の」という解釈をして、それで教えよ教えよと言う。戦中、戦前派は、嫌やなあと、戦争中のことを思い出す。私の友達が特攻隊へ行った、私たちはそれはいいと思った、そして戦死した、そんなことを思い出す。また、テレビで二・二六事件で「天皇の」というのを見るたびに、そんなことを思い出す。戦争中、私たちはそういう教育を受けた。
 今度の学習指導要領では、教師である浜本が、そんなん嫌やと拒否する。ほうっといてくれたらするのに、「せいせい」と言われて何でせんならんのや。これを子供に教えろと言うけれども、教えられる人は日本国じゅうで一人もおらん。そんなことは教えられんと言われたら、どういう説明をする。子供の知能段階を考えたら、天皇の意味とか、そんなことは教えられない。戦争中なら別ですよ。その上、それをしなかったら処分するとほのめかしている。そういうことについてどう思うかと聞いているけれども、そんなことにはひとつも答えない。
 今の答弁は教育委員会の五人で討議した内容ですか。教育委員長やほかの人たちとそんなことについてきちっと、答弁のためじゃなくて、こういうことだということで協議しているんですか。何か、書いたものを読んでいるような感じがする。自分の血肉として、自分の信念というか教育観あるいは哲学としてあなたは述べていないように私は思う。それは人の心の問題だから言えないが、どうも書いたものを読んでいるような感じがしてならないんです。
 だから、意地悪い質問のようでありますけれども、道徳教育でなく、さっきとったそういう態度についてあなたはどう思うかということをぜひとも答えていただきたい。
 できたら、知事にも、最初申し上げたように、手続論というか行政のあり方としてどういう所見を持っているか、あわせてお答えを願いたいと思います。
 次は、意見でございます──あと三分ある。
 二十三日に串本で大島架橋促進についての大会があり、東西牟婁の県議会議員七名、それから知事はもちろんのこと、国会の先生方も見えていました。そのときに前田先生だったか、皆さん喜んでくださいということで、新聞には出てないけど、けさ、ふるさと特別事業が決まり、串本に十四億の予算が投ぜられることになりましたという話をされ、私も大変うれしかったんですけれども。
 そういう事業が今後できてくる。しかし、あの串本の──紀南は特にそうですけれども、鉄道の便利が大変よくない。交通の便のいいところだったら物すごく人が来るだろうけれども、そんなものができても、ちょっとなあという感じがするわけです。
 だから、先ほど言われたそういう点については意を用いて今後ぜひとも努力をしていただきたい。これは最大の要望といたします。
 三つお答え願いたいと思います。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜本議員の消費税の見直しについてでございます。
 税制改革法の第十七条の第三項におきまして──詳しく読むのはやめますけれども──「消費税の仕組みの定着状況等を勘案しつつ、その見直しを行うものとする」と書いてございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 「注意」と申しましたのは、ちょっと言葉が足りませんで。
 こういう段階的な指定料金の設定を観光客がどう受けるかという、その感じ、意向や動きを注意深く見守りながら、必要があればJRと話し合いをしたいと、こういうことでございます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 道徳教育についての御質問でございましたが、道徳教育は、いかなる時代にあっても、我々の社会を形成するために最も必要な倫理でございますから、いかなる事態があっても教育委員会としては教育の場で推し進めていく決意でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 34番浜本 収君。
○浜本 収君 残された時間はあと一分であります。
 商工労働部長、「必要があれば」と。必要だから私は言うているんです。あんたは必要でないと思っているんでしょうか。なお、所属の委員会がちょうどそこにありますので、またそこでも十分話を進めたいと思います。
 それから教育委員会の、道徳教育はいついかなる場合でも必要と。そんなことはだれも聞いてない。当たり前のことや、それ。古今東西を問わず、その手法の問題とか道徳教育のあり方とか、そんな質的な問題は横へ置いておいて、それは必要であると。そんなこと、だれも聞いてない。
 そういう一連の人々の──例えば高石のことだけでも言うてみよ。一番関係のある中曽根さんのことまで言えとだれも言うてない。高石のことだけでも言うてみよ。「ひきょうやないか、あいつは。こういうやつはあかんのや」というぐらいのことは言えと、それを言うている。もう一遍答弁願いたい。
○議長(西本長浩君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 道徳教育につきましては、先ほど申し上げましたように、学校教育の中で十分な指導をしてまいりたい、このように考えてございます。
 〔「議長、議事進行、38番」と呼ぶ〕
○議長(西本長浩君) 38番貴志八郎君。
○貴志八郎君 議員が議場において具体的に質問したことに対して当局がそれに答えない場合には、当然、議長によって注意をし、質問に対する的確な答弁をさせるべきである。それは、議会の権威に照らしても確実に行わさせるべきであると思います。
 適当な処置を願います。
○議長(西本長浩君) 貴志議員の御発言を旨として今後対処してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 〔「議長、38番」と呼ぶ〕
○議長(西本長浩君) 38番貴志八郎君。
○貴志八郎君 ただいまの教育長の答弁が具体的に質問者の質問に答えていないということを申し上げておりますので。
 今後の問題は議長のおっしゃるとおりで結構でございますが、ただいまの問題について御処置をお願いしたい、このように思います。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) ただいまの貴志議員の発言でございますが、議会運営委員会等を開いていただいて善処いたしたいと思いますので、よろしく御了承をお願いいたしたいと思います。
 以上で、浜本収君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 今世紀、人類が最も治癒しがたき病としてがんをとらえ、それを克服するために今日も努力を続けられておりますが、そのがんの次の標的は老人の痴呆症であると言われております。そうしてアメリカでは、がんに取り組んできた学者の一部がこの老人の痴呆症の研究に転向しておるという事実もございます。それほど痴呆性老人というものは二十一世紀における最大の課題となろうとしておるのであります。
 今までの同僚諸兄の御質問にもありましたように、我が県は老人人口の県民に占める順位が全国十二位でありまして、恐らくその順位は、これからも上がろうとも下がることはないと思われます。そういう点では我が県は先進県でありますが、それに伴い、当然、老人対策も先進県でなければならないと思うのであります。
 そういった観点から、昨日も中村千晴議員から質問がございましたが、私は、老人の痴呆症、痴呆性老人対策に絞って質問をさせていただきたいと思います。
 痴呆症というのは、単なる老化によって物忘れがひどくなっていくというのとは全然違いまして、比較的短期間のうちに脳の器質的な機能が病気、脳障害によって持続的に失われるといった症状を指しておるそうであります。言いかえますと、人間として生まれて、その後、人間らしい知恵・知識というものを修得し、人間社会で住むための生活習慣を身につけていくわけでありますが、そういった後天的に身につけたすべてのものが、あるいは部分的なものが病気、脳障害によって欠落していくという状態を指しておるわけであります。
 よく「ぼけにならない十カ条」とかいうことで、趣味を持つのがよいとか字を書くのがよいとか、頭を使うということがよい、人と交際をし適当な運動をするのがよいなどと言われますが、こういったことは老後を充実して送るための指針とはなっても、痴呆症にかからない予防とはほとんどかかわりがないということであります。
 この特徴は、もちろん寝たきり老人の中にもございますけれども、寝たきりでなくても、徘回をしたり、譫妄──特に夜間譫妄というのが多いわけであります。夜中に何かしなければ気が済まないと。あるいは幻想・幻聴、失禁、また自分の排出した便をもてあそぶと、こういったいろいろな症状があらわれていくわけであります。
 痴呆症には大きな原因が二つありまして、一つは脳血管の障害によるもの、すなわち一番端的なものは脳卒中などによって起こるもので、もう一つは、その原因がいまだにつまびらかにされておらないのでありますけれども、アルツハイマー型痴呆症と呼ばれるものであります。外国ではこのアルツハイマー型痴呆症が六割ほど占めておりますが、我が国は逆で、半分以上は脳血管障害による痴呆症でありまして、その次にアルツハイマー型痴呆症が続いております。
 こういった痴呆性老人への対し方は、欧米に比べて我が国はおくれてまいっております。普通、精神病院というところは、どちらかと言いますと、患者を閉じ込めたり、薬で静かに、穏やかにさせたりする病院が多いわけであります。いわゆる、痴呆症に対応した病院とは言えない精神病院が大部分であります。しかしながら、この痴呆性老人に対しては、閉鎖的に扱ったり抑圧したりするのではなく、逆に開放的にして環境をよくし、看護・介抱の中で医療を加えていかなければならないというのが原則でありますから、今日までとってきた精神病院の一般的なあり方とは大きく異なるわけであります。
 また、大学病院におきましては、研究・教育機関でございますから、なかなか難しいと言われる病気を研究するために必要なベッドは備えますけれども、こういった痴呆性老人に対応するベッドというのはほとんどないと言っても過言ではない現状であります。
 こういったところから、日本の国では、福祉型の対応と申しますか、いわゆる特養といった中で対応をしてまいりました。しかしながら、病気によって脳の器質が障害を起こしていくわけでございますから、当然、医療的な立場というものが、まずなくてはならない。ところが現況はそういうことで、福祉と医療の谷間にあるのが、この痴呆性老人対策であると言われてきたのであります。
 日本で初めて痴呆性老人専門の病院というものをつくり、足かけ五年、その経営に努力をしておられるところが岡山県の笠岡市にあるのだということを保健環境部長から聞きました。そうして、五年間にわたり悪戦苦闘し、暗中模索しながら前人未到の地を切り開いてきた経過等、医者や事務長と一緒につぶさに観察をして書いた、朝日新聞の重岡美也さんの──くしくも和歌山県の紀南通信局におられる記者だそうでありますが──「丘の上のエスポアール」という書物を借りまして、先日、南海線、山陽新幹線の中で読みながら、エスポアール病院へ──この病院は医療法人の経営でございますが、勉強に行ってまいりました。また我が県には、特養という形の中で痴呆性老人を専門に預かっておられる福祉施設がただ一つございます。それは第二親和園でございます。この二つを勉強さしていただいたわけでありますが、この二つの施設・病院の方々には、大変お忙しいところ丁寧な御説明をいただきましたこと、まずこの議場をかりて御礼申し上げたいと思います。
 普通、老人の痴呆症というのは、長い間、もう治らないものだというふうに思われてまいりました。ところがエスポアール病院では、昭和五十九年五月一日から平成元年五月三十一日までの間に──百二十床のベッドを持ち、入院患者の延べ人数が九百六十二人(男三百五十五人、女六百七人)、平均年齢は七十三・六歳ということですが、そのうち八百五十四人が退院をしておるんです。この退院の種別、いわゆるどういう形で退院したかということでありますが、自宅で看護・介護できるような状態になり帰ったというのが六〇・九%、病院の中で骨折をしたり、がんなどの悪性腫瘍にかかったりしたために他の病院に変わったというのが七・五%、特養からここに入ってまた特養いわゆる福祉施設に帰ったというのが一九・五%、亡くなった人が一二・一%となっており、実に入院患者の八〇・四%がある程度の治療効果を上げておるのであります。そうして、患者さんの平均入院日数は百七十一日ということであり、延べ人数は、外来患者を含めて二万九千四百二十三人の多きに上っておるのであります。
 いろいろと申し上げたいことがございますが、この事実から見まして、完全に治るということはなくても、ある程度の治療が可能である、あるいは自宅や福祉施設でお世話のできる程度に戻すことができるということを知ったのであります。
 そこで、我が県の痴呆性老人に対する対策をお伺いするものであります。
 現状とこれの対処方法の実態、県としての今後の取り組み方針と、具体的な、できれば年次的計画というものをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 それらの方針の中で重点的にお伺いを申し上げたいのでありますが、この二、三年、厚生省が痴呆性老人対策を重視して、いろいろな施策を打ち出してまいりました。その中に、これに対する医療的な対応が非常に大事であるということから、痴呆性老人の専門治療病棟をつくろうという動きがあります。これは今後極めて重要な役割を果たすものと思われますけれども、厚生省の担当者はある雑誌の中で、専門治療病棟建設の意義というものを次のようにまとめております。この病棟の目標は特に、精神症状や問題行動が著しくても寝たきりでない痴呆老人を対象にする、また、ちょっと難しい言葉でありますけれども、向精神薬──トランキライザーのような種類の薬らしいですが──の投与や抑制ということを極力避けながら、短期集中的に適切な精神科医療と手厚い看護・介護を提供し、痴呆の随伴病状の軽減を図ることによって一般の施設や家庭での処遇を可能にさせるというふうに述べております。
 私は、おくればせとは言いながらも、すばらしい一つの目標を立てられたものだと思うわけでありますけれども、こういった国の方針に対して我が県の取り組み方はどうであるのか。
 この専門治療病棟の建設に対しては、国二分の一、県四分の一、残りは事業主が負担をするという国の施策でありますけれども、和歌山県としてどのように対処しているか。まず設置基準についての御説明をお願いし、進め方についての積極的な御答弁をお願い申し上げます。
 また、当然、医療とともに手厚い看護・介護を必要とするわけでありますけれども、これらを含め、痴呆性専門治療病棟の建設、それから一番大切な運営のための人材育成の確保についてどのように進められているのか。さらに、広く痴呆性老人対策としてのいわゆるマンパワーの確保をどうするのかということも、あわせてお伺いを申し上げます。
 次に、先ほど申し上げましたように、大学病院というものは痴呆性老人に向いておらないというのが今までのあり方でございますけれども、我が県は、県民の中に占める老人の割合が極めて高くなりつつあります。そして、この痴呆性老人症というものは、単一の病気ではなしに、年がいくほど必ずいろいろな病気を併発していきます。いわゆる合併症となってまいります。そういたしますと、痴呆性老人のための病棟が総合病院の中にあるか、近くにあるのが理想的であります。まあ全国に例はございませんけれども。しかし今、和歌山県立医科大学は移転を考えておりますので、その中ででももちろんいいのですけれども、それだけは関連病棟として民間に委託しながら連絡を密にとるようにしても、地域性を持って非常におもしろいのではなかろうかと思うのでありますが、いかがでございましょう。
 また、我が県には五稜病院というのがございます。経営に大変苦しんでおるのは周知のとおりでございます。先ほど申し上げたエスポアールという痴呆性老人専門病院におきましては、大変苦労いたしましたけれども、経営的には、どうやらとんとんのところまでこぎつけてきたということでもございます。まだまだ入院していただく患者はたくさんあるわけでございますから、五稜病院の伝統を生かしながらこういうものを設置する、あるいはまた先ほど申し上げたように、病棟だけを民間に委託して五稜病院との連携をつくるというような方策も考えられないか、お伺いいたします。
 また、厚生省が新しく打ち出しているもう一つの施設に老人性痴呆疾患センターというものがあります。これはどういうものかと申しますと、精神科を有する一般病院に設置して、専門医療の相談とか診断、救急医療に対応できる機能を持たせ、診断の結果、患者さんを診て、入院をさすべきであるか、家で看病・介護をしてもらうか、あるいは福祉施設に入ってもらうのがよいかといったように引き継ぐところを決めていく極めて大切な機関でありますが、こういった厚生省の進め方に対して県はどう対応していこうとしておるのか、お伺いを申し上げます。
 次に、精神保健相談事業として、県立八保健所において月一回か二回、嘱託医による保健相談を行っているとのことでありますが、保健所では相談に来ればそれに乗るということから、老人性痴呆症についてはよくよく困らないと家族も相談に来ないし、また来にくい状況となっています。来たら相談に乗ってやるという行き方ではなしに、来にくいという現状を考え、どうすれば進んで相談に来てくれるか考慮して個々の家庭と直結すべきであると思うが、そういう施策についてお聞かせ願いたいと思います。
 また、湯浅保健所管内では、昭和六十一年から年一回、痴呆性老人についての講習会を開いているということで、その労を多としたいわけでありますが、その結果、どのような反応があり、それをどう生かしていこうとするのか。また、和歌山市保健所の取り組みについてもお伺いいたします。
 さらに、湯浅管区に限らず、全県下で講習会や討論、シンポジウムというものを持つべきであると思うが、どうでありましょうか。
 和歌山県以外の病院や施設に入っている痴呆性老人がかなりおると思うのであります。先ほど申し上げた岡山県のエスポアール病院にも和歌山県の人が入院しておりますが、そういった実態についてお伺いを申し上げたいと思います。
 第二親和園においては大変御苦労され、痴呆性老人専門施設の運営に当たっておられますけれども、五十床しかございませんから、入所希望者のうち適格者をすべて入れるということはなかなかできない、将来はもっと施設が不足してくると思うという話をお聞きしましたが、将来の構想についてお聞かせ願います。
 在宅者に対しまして、県は高齢者サービス調整チームを活用していくとのことでありますが、これの具体的なあり方、進め方についてお伺いをいたします。
 援護を要する老人対策として、県は、老人家庭奉仕員派遣事業、老人日常生活用具給付等事業、要援護老人生活補助用具給付事業、ショートステイ事業、親和園、喜成会、成樹園で行っているデイ・サービス事業、ねたきり・痴呆性老人介護者研修、高齢者総合相談センターの運営を行っておりますが、その具体的な説明と、今後の問題点をどのように把握し、どう対応していくか。特に、今度新規に行うホームケアの促進事業やナイトケア事業をどこの施設で行うのか、県下全域のバランスはどんな状態にあるのかということもあわせてお伺い申し上げます。
 次に、内川問題でございます。
 この問題につきましては、この壇上から何遍も取り上げてまいりました。同じことを繰り返すのは本意ではございません。整理して今までの感想を申し上げますと、内川をきれいにするということは、和歌山県にとっても、もちろん県都和歌山市にとっても最も重要な課題であると思うのでございますが、この重大な課題を自分の課の責任であると考えておる課が県庁の中にはないという事実であります。しかし、内川をきれいにしていくということに関係のある課はたくさんあります。
 まず、河川を預かっておる河川課──資源協会というところにその浄化方法を諮問して答申もいただいております──それから汚水を流れ込まさないという立場で極めて大切な役割を果たす、下水道を考えていく下水道室、都市計画の上でどのように内川を考えていくかということを基本的に示す計画課、これらは土木部であります。また、水質を向上させ、水質汚濁防止法や瀬戸内規制等による法的規制の遵守のみならず、総合的に環境を守り調整する環境調整課、これは保健環境部であります。そして、事業の中で一番大切な水処理をより高度に、より安く排水する能力を持つことにより、初めて未来に生きる中心部の地場産業の育成を考えていく産地振興課、企業とともにいろいろなことを一緒に研究する工業技術センターを持っておる商工労働部。また、マリーナシティ等を核として、関西空港に最も近い快適な観光都市としての拠点をプロジェクトとして推進する企画部。都市文化と内川という極めて重要な命題を持つべき文化振興課を有する知事公室等。すべて内川の浄化に関係があるわけであります。
 今日まで我々の提言もあり、お互いの連絡程度は取り合っておるようでありますけれども、県都の文化バロメーターでもあるこの内川浄化という命題に対して、中心となるところもなく、指令の発信所もないということでは困ると思うのであります。議会で質問する方も困るわけであります。
 一方、県は方針として、内川を魚のすめる川にすると明言をしておるのであります。それにもかかわらず、例えばだれもが指摘をする、川の中にせきをつくるのは不自然だ、そのせきはいつとれるかということを──ことしとれ、来年とれというのではない。中期的に見てもいつごろとれるかということさえ明示することができないというのが実情であります。
 今までの私の質問から、知事の内川浄化に対する意欲のほどは十分承知しております。その知事の意を体して、各課ばらばらの状態でお互い連絡を取り合うというような現状から、副知事をキャップにした政策審議会にぜひとも内川浄化を入れて対策推進を図られるようお願いしたいと思います。これは副知事さんに御質問しようと思っておったんですが、きょうはお休みでございますので、知事にお伺いを申し上げます。
 こういうふうに推進して問題点を浮き彫りにすることにより、内川浄化に一番大きな役割を果たしてもらわなければならない和歌山市と本格的な話し合いをしたり指導したりすることができるようになると思うのであります。和歌山市と県が十分話し合って初めて、民間業者とか一般県民に強力に呼びかける組織が生まれると思うのであります。
 次に、紀の川水源地域対策基金についてお伺いを申し上げます。
 まず、それに入る前に企画部長にちょっとお聞きしますが、企画部は、七プロジェクト三軸という県の発展指針とかいうものを推進しておるところであります。もちろん、この中にはマリーナシティ等を中心としたリゾート構想も含まれておるわけでありますが、そういった県都和歌山市を、産業の中心であると同時に関空に関連して観光、リゾートの拠点としても考えておる企画部として、内川の現状についてどう考えておるかということをお伺い申し上げておきたいと思うのであります。
 奈良県、和歌山県、大阪府の三府県で五千万円ずつ出し合って基金をつくり、大阪府と和歌山県が話し合いして協力金をいただく、しかしそのままではいただけないので、この基金の中に一たん入れて、そしてそれを使わしていただこうということであります。これがいわゆる地域整備協力金というものですが、知事初め当局が努力と汗の結晶で得たこの基金を県勢発展のためにどのように使うかということは大変重要な問題でございます。
 一トン当たりの今までの最高金額は琵琶湖の十五億円でありますが、和歌山が大阪からいただくのは、トン当たりに直すと約四十三億六千万円ぐらいでございます。四トンを上限としておりますが、当面、三トンとして百三十一億円というお金が、一遍には入りませんけれども、昭和七十五年を一つのめどとして入ってくる。それをどのように使うかということは極めて大切なことでありまして、今、企画部では、その基準なり使い方について十分検討してくれておるということであります。
 細かい質問はさておきまして、まず、この基金は、紀の川という我々の祖先が守り育ててきた川によって得たお金であります。ところが、この一級河川・紀の川の一部である内川が──内川も一級河川・紀の川でございます──紀の川に昇格しておる。紀の川によって基金をつくりましたけれども、紀の川そのものの一部に日本一汚染された河川を持っておるという事実に対してどう対応していくのか。もし、紀の川によって得た協力金でこの内川が魚のすめる川としてよみがえるなら、県民、市民の立場から言っても最もすばらしい活用方法であると思うのであります。
 もちろん、先ほど申し上げましたように、この基金の第一の使用目的は紀伊丹生川ダムに係る水特法を補完する──水特法だけではなかなか完全にはいかないわけでありますから、それを補っていくということに当然使っていくと思います。あるいはまた府県間道路を促進するということにも使っていくであろうと思います。その他いろいろある中で、ぜひとも紀の川によって得たこの基金を紀の川みずからをきれいにすること、紀の川をよみがえらせることにお使いいただきたいと願うものであります。
 そのためにどういう努力をしなければならないか。使おうという意図があっても受け皿がなくてはならない。その意味でも、先ほど申し上げた、副知事をキャップとした検討推進会をつくっていただきまして、和歌山市とも相談の上で、どういう部分にどんな使い方をするのが最も有効な使い方であるかということを研究して、協力金を出す企画部と十分話し合いながらお進みいただきたいということを心からお願いし、その意図について御質問申し上げて、第一回目の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 痴呆性老人対策につきましては、民生部長、保健環境部長から答弁させていただきます。
 内川浄化対策でございます。
 お話ございましたように、私も県政の最重点施策として積極的に取り組んでおるわけでございます。これの解決には、第一は河川内の対策、第二は流域内の対策と、大別して二つの対応が必要ではないかと思います。
 河川内の対策としましては、河川内部の浄化を図っていくということで、現在まで紀の川からの導水、そしてまた五十四年には和歌川ポンプ場を設置して海水からの導入等を図っておるわけでございます。
 また、ヘドロのしゅんせつにつきましては、本年度で約二十万立米のしゅんせつを完了することになっております。これによりまして、水質や臭気については相当効果が出ていると存ずるわけでございます。また、本年度着手される有本ポンプ場からの浄化用水導入により、将来は有本川、大門川の一部において水質浄化が促進されることになります。
 残された課題としては、流域内の対策が最も重要ではないかと思うわけでございます。これは主に、産業排水対策及び生活排水対策としての下水道整備ということが最重点的になってきますので、和歌山市を中心にして、県や市、企業、市民が一体となって進めていかなければならないのではないかと思います。
 県内部の組織の問題について御提言がございました。副知事を中心として十分検討させるということになるわけでございますけれども、河川内の事業というのはある程度進みつつあり、これからは流域対策が重要となってきます。この流域対策につきましては、おっしゃいましたように、県も体制を固めるとともに市自体も積極的に取り組み、お互いが協力し合ってまいりたいと思っております。
 それから、紀の川水源地域対策基金の活用については企画部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 老人対策の五点についてお答えいたします。
 まず、痴呆性老人の現状についてでありますが、六十五歳以上の老人人口全体に対する出現率は、全国で四・八%と推計されてございます。このうち、家庭において介護することが困難な方については特別養護老人ホームにおいて保護することとしており、本県の場合、約五百人の痴呆性老人の方々が入所されております。
 また、家庭における介護を支援するために、ホームヘルパーの派遣や日常生活用具の支給、デイ・サービスなど、各般の在宅福祉施策を実施しており、元年度においては新たにナイトケア事業やホームケア事業を開始するとともに、痴呆性老人の家庭介護に必要な用具を支給対象に加えたところでございます。
 今後増加が予想される痴呆性老人への対応の問題は高齢者対策の中でも重要な部門であり、福祉、保健、医療の連携を図りながら、その実態の把握、各種施策の普及推進に努めてまいりたいと存じてございます。
 次に、痴呆性老人の本県以外の施設への措置状況でございますが、県外施設へ痴呆性老人を措置した実績は、福祉事務所の把握では六十三年度中は三件でございますが、いずれも寝たきりのケースであり、痴呆性老人は含まれてございません。
 痴呆性老人のための施設整備でございます。現在、一カ所の専用の施設がございますが、その他の特別養護老人ホームについても一定の入所枠を確保し、専用居室を整備するように指導しているところでございます。今後とも、入所希望者の動向等をにらみながら、適切な施設整備に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、高齢者サービス調整チームは、個々の高齢者のニーズに見合う最も適切なサービスを提供するため、福祉、保健、医療等に係る各種サービスを調整・推進することを目的として設置されるものでございます。具体的には、市町村の関係課のほか、医師、保健婦、ヘルパー等がチームを組み、対象者の健康状態、家庭環境等を踏まえた具体的処遇方策の検討を行うことといたしております。本年度中に県内全市町村への設置ができるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 最後に要援護老人対策についてでございますが、お年寄りが健全で安らかな在宅生活を送ることができるようホームヘルパーを派遣し、介護や家事手伝い等を行っており、現在、百三十五人のヘルパーが千三百世帯を訪問してございます。また、特殊寝台等、二十一の日常生活用具を三百五十人に対して支給してございます。
 また、施設の持つ機能を地域に開放する意味で、お年寄りを老人ホームで短期間保護するショートステイ事業を実施し、約四百人の方々に利用していただくとともに、入浴、食事、リハビリ等のサービスを提供するデイ・サービス事業を三施設で実施し、二百五十人の方々が利用・登録されてございます。
 このほか、お年寄りや家族の心配事に答える高齢者総合相談センターを設置し、六十二年九月の開設以来、約千件の問い合わせに対応してございます。
 こうした各種事業の普及推進が今後の課題であり、とりわけその中でも中心となるホームヘルパー派遣、ショートステイ、デイ・サービスの三事業につきましては、国の三カ年緊急整備の趣旨に沿い、本県としてもその整備充実に努めてまいる所存であります。
 なお、元年度新規事業であるナイトケアについては、当面、和歌山市で、ホームケアについては和歌山市と田辺市の施設で実施を予定しておりますが、なお今後、県下へ普及していくよう検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 痴呆性老人対策についてお答え申し上げます。
 人口の急速な高齢化に伴い、今後、痴呆性老人の増加は必至でございまして、その対策は極めて重要であると認識いたしております。
 痴呆性老人につきましては、病気の原因や治療方法、あるいは予防方法等について未解明の部分が多く、国においても総合的な対策推進の緒についたところでございます。県といたしましては、長寿社会対策推進本部の中で国の施策を取り入れながら、その対策について鋭意検討することといたしております。
 痴呆性老人専門治療病棟につきましては、その設置基準として、病室、観察室、生活機能回復訓練室、浴室、在宅療養訓練指導室等を設けることとなっております。
 現在、本県には専門治療病棟は設置されてございませんが、既存の精神病院あるいは一般病院、さらには昨年より運営を開始している老人保健施設において、痴呆性老人に入院・入所をしていただいて対応しているところでございます。
 専門治療病棟の整備は痴呆性老人対策の柱の一つとなるものと考えておりまして、御指摘の五稜病院等も含め、また県立医科大学にも御意見を聞きながら、施設、マンパワーの確保等について検討してまいりたいと考えております。
 次に、老人性痴呆疾患センターの設置についてでございます。
 本事業は、平成元年度の国の新規事業として整備を進めることとなっております。本センターは精神科を有する一般病院に設置するもので、専門的医療相談や救急医療体制が可能であることが条件となっております。今後、国の基準を参考として、設置の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 精神保健相談事業につきましては、現在、各保健所において、嘱託医による相談事業を実施いたしております。痴呆性老人に係る相談件数は、昭和六十一年度二十二件、昭和六十二年度二十六件、昭和六十三年度三十件となっております。今後、市町村高齢者サービス調整チームの活用により、この相談事業の一層の充実を図ってまいる考えでございます。
 また、県下のモデル事業といたしまして、湯浅保健所において痴呆性老人対策の講習会を開催しておりますが、痴呆性老人を抱える御家族の関心の高さから、この施策の重要性を認識して、今後、他の保健所でも実施してまいるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、和歌山市におきましては、相談事業を中心とした事業を行っているところでございます。
 最後に、県外の病院における入院者の実態についての御質問でございます。
 痴呆性老人の県外病院への入院につきましては、近府県の病院に入院されている方もあると聞いておりますが、その詳細については把握いたしておりません。今後、その内容の把握に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 内川についての認識並びに紀の川水源地域対策基金の活用につきましてお答えを申し上げます。
 基金交付金による地域整備協力費の対象事業といたしましては、水源地域対策特別措置法に準じて、紀伊丹生川ダムに係る水源地域対策事業及び紀北地域と南大阪地域が一体となるための府県間道路の整備等の紀の川流域整備事業となっているところでございます。
 紀伊丹生川ダムに係る地域整備計画につきましては、平成元年度から建設省で実施される実施計画調査の進捗に合わせて策定することにいたしてございますが、紀の川流域整備計画については、流域関係市町、関係団体と協議しながら、早期に策定すべく鋭意取り組んでいるところでございます。
 なお、内川浄化対策は、県都和歌山市のアメニティー豊かな町づくりにとっても、また質の高いリゾートの環境づくりにとっても、まことに重要な課題であると認識をいたしているところでございます。
 現在、関係部局や和歌山市において事業が推進されているところでございますが、今後の対策につきましては、先ほどの知事答弁に基づき、また議員御提言の趣旨を踏まえ、関係機関等と協議して対処してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 痴呆性老人対策につきましては、老人人口を多く抱える我が県にとって大変重大な問題になってくるであろうと思います。そういった観点から、厚生省が打ち出した専門治療病棟、そして、病院に入るべきか、福祉施設に入るべきか、自宅で療養するのがよいかといったことを示す疾患センターの設立ということは極めて大切なことでございますけれども、現状では非常に難しいと拝察をいたしたわけであります。
 設置基準を聞いておりますと、まず人材の確保、いわゆる精神科の医者の確保が必要でありますから、そういったところから始めなければならない。こういう点につきましても、県立医科大学あるいは県内の精神科医等の意見も十分聞きながら、早急に人材確保を図っていただきたいということを要望申し上げたいと思います。
 また、紀の川によって得た基金で紀の川みずからをよみがえらすことが可能なように──知事の答弁にもございましたけれども、一番中心になる和歌山市を立てて、県も意思を統一して、和歌山市の相談に乗りながら指導しながら、このお金が有効に活用できるように強力に推進していただきますことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 正午休憩
 ────────────────────
 午後二時三分再開
○議長(西本長浩君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、申し上げます。
 午前中の浜本議員の質問に対する答弁に関し、教育長から発言の申し入れがありますので、この際、これを許可いたします。
 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 浜本議員に再度お答えを申し上げます。
 御指摘の件につきましては、文部省の元事務次官が刑事訴追を受けたことは事実でございまして、重大なことと受けとめてございます。
 今後、道徳教育を進めるに当たりましては、人間としてのあり方、生き方の自覚の問題として進めなければならないと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 まず、去る六月四日、北京において起きた血の武力弾圧に関連して、本県の今後の日中交流運動のあり方の問題で質問いたします。
 本県の日中交流運動は、日中共同声明を受けて大橋知事が昭和四十八年五月に訪中して以来、五十九年には中国山東省との間で提携関係の議定書が交わされるなど、今日まで各分野で相互の交流が発展してきました。私たちはこれまでも、このような交流関係のあり方について一定の意見を申し上げてきたところでありますが、それは、あくまでも真の友好運動を発展させる立場でありました。したがって、今度の流血の惨事に直面するに及んで、もし真に日中友好運動を発展させる立場に立つならば、今こそよき隣人として必要な発言をしていくべきときでないかと考えるのであります。
 六月四日の日曜日の朝から、私たちはあの画面にくぎづけになりました。人民解放軍と名のる軍隊が、学生や市民や労働者に平気で武器を向ける。その惨状は、テレビを通じて全世界に放映されました。そして現在、まるで暗黒の中世か封建時代さながらの状況で活動家たちの人相書きがテレビで放映されており、密告が奨励され、密告した者には賞金が与えられています。こうして逮捕された者には、即決的な裁判で、次から次へと見せしめのための死刑判決が行われています。
 今、中国の党や政府の一部の指導者たちは、反革命の暴動を鎮圧したのだ、正義は我にありなどと言っていますが、皆さんもそう思われますか。
 北京の市民や学生や労働者たちが掲げた要求は、言論の自由、報道の自由、集会の自由、結社の自由、そして汚職・腐敗の政治を一掃しようという、ごく当たり前の民主主義の初歩的なものであります。しかも、学生たちの最高の形態としてとった戦術も、ハンガーストライキという無抵抗、非暴力の最も平和的な運動であり、素手で戦車に立ち向かった学生や市民の運動がどうして「動乱」や「暴乱」になるのでしょうか。私は不思議でなりません。
 中国の今の憲法は、その三十五条で言論・出版・集会・結社・行進・示威の自由をすべての公民に保障していますし、その三十七条で公民の人身の自由を不法に剥奪または制限することを禁止し、またその四十一条では、いかなる国家機関や国家公務員に対しても批判及び提案する権利を有すると規定しています。したがって、このような憲法を守れというぎりぎりの要求を掲げた学生や市民の平和的な運動に対し、いきなり虐殺の武力を行使するという、こんな言語道断なやり方は絶対に許せないのであります。
 そして、まことに残念ではありますが、今の中国は、かつての毛沢東による文化大革命のときのように、民主主義のかけらもない、専制的な軍事独裁体制のもとに置かれているように思えてなりません。
 私はかねがね、「最高実力者・とう小平」という言葉を奇異に感じていました。それは、国家主席でもなく党を代表する総書記でもない人物が何で最高の実力者であるのかという疑問でありますが、今の中国の体制のもとでは、憲法上の責任者である国家主席も、党規約上の責任者である中国共産党の総書記も、軍事委員会主席として軍隊を握っているとう小平のもとに全く従属させられてしまっているということ、そして、もしこのような人物と仕組みによって軍隊が動員され、自分の気に入らない民主運動を弾圧していたとするならば、これはまさに民主主義と無縁な軍事独裁体制と言わねばなりません。
 我が党は、このような事態の深刻な展開とその背景をはっきりつかんでいたがゆえに、六月四日即日、「社会主義的民主主義を踏みにじる中国の党・政府指導部の暴挙を断固糾弾する」という声明を発表するとともに、「赤旗」号外を発行して広く国民に訴えたのであります。
 当然、この流血の惨事は世界じゅうに大きな衝撃を与えました。米国のブッシュ大統領は、週末の静養先で、直ちに「再び中国政府が平和的方法に立ち戻るよう求める」という非難声明を行うとともに、制裁措置についても発表しました。フランスのミッテラン大統領は「若者に銃を向けるような国に未来はない」と批判し、イギリスのサッチャー首相は「民主主義的な権利を求めていた人々に向かっての無差別発砲に激しい反感と憤怒を感じる」と怒り、西ドイツのコール首相は「自由の要求が戦車の重さによって押しつぶされることは決してない」と警告を発しています。
 ところが、日本政府の場合、四日に「これ以上、事態が悪化しないことを強く望む」という外務省の報道官談話を発表しただけで、翌五日になって宇野首相は「憂慮にたえない。平穏になることを祈っている」という感想を述べるにとどまり、国会の所信表明でもこのことに触れることを避けました。
 宇野総理は、その理由として、日中戦争と在留邦人への配慮によるものと説明していますが、我が党は国会において、それは全く逆さまの議論であり、過去の侵略戦争に対する本質的な反省がもしあるならば、かつての日本の侵略軍隊と同様とも思われる今回の虐殺行為に対してもっと厳しい警告ができたはずであると追及してきました。
 こうしたことをとらえ、評論家の藤原弘達氏はテレビ朝日の番組で、「今度の中国問題における正義のあり方、人権のあり方、人命の尊重という点において、いかなるマスコミ、各政党以上に一番筋が通っているのは日本共産党だ」と解説しています。また、経済同友会の石原代表幹事も六月六日の定例記者会見で、「宇野首相が『憂慮する』という声明を出しただけという点が気にかかる。欧米各国の反応と余りにも違う。事は人道問題であり、もっときちんと対応すべきでなかったかと思う」と、このように発言をしています。
 加えて、近ごろ中国政府は、天安門広場で軍隊は発砲しなかったし、ここで一人の死者も出なかったと強弁する始末で、その一方では、見せしめのための大量の死刑執行を行うなど、あからさまな恐怖政治をやっています。しかも、初公判から死刑執行までが、上海の三人は一週間、北京の七人はわずか十二日間というありさまで、人間の命を奪う手続をこんな短時日に済ませてよいのでしょうか。まさに中世的な人命軽視の思想が色濃く残されていると言わねばなりませんし、当然のこととして、激しい国際的な非難が沸騰してきています。これに対し李鵬首相は「外からのいかなる圧力にも屈伏しない」などと言っているようでありますが、人権問題はあくまで国際問題であります。このことは世界人権宣言に高らかにうたい上げられていますし、人種差別のアパルトヘイト政策をとる南アフリカ政府が全世界の糾弾の的になっていることを見ても明白であります。したがって、今回の民主化運動を弾圧する恐怖政治の一連の動きを中国の内政問題として見過ごして、これ以上あいまいな態度を取り続けるような姿勢は絶対に許されません。
 以上の立場を踏まえまして、知事に質問いたします。
 新聞報道によりますと、山東省済南市で十七名という大量の死刑執行が行われています。これは、北京の武力弾圧に抗議して立ち上がった済南市民や学生に対して百八名を逮捕し、その第一次分として、死刑を含む四十五名に実刑判決を言い渡したものだと言われています。しかも、十七名という大量の死刑執行は、上海の三名、北京の七名に比べて異常に多い数であり、私たちは友好提携先のこのような状況に対して重大な関心を持たざるを得ないのであります。
 そこで、知事として、今日の中国の事態に対して、今、最大の国際問題になっているこの人権問題に対処するためにどのような姿勢と考え方を持っておられるのか。我が党としては、この際、断固抗議すべきだと考えていますが、少なくとも中国政府と提携先の山東省に対して何らかの見解表明や申し入れを行って、よき隣人としての諌言をする考えがあるかないか、知事の所信のほどを伺いたいのであります。
 続いて、知事公室長より、山東省との提携関係を従前どおり続けられる方針か、それとも何らかの見直しを行う考えであるのかについてお答え願いたいのであります。
 さらに、本県がかかわる本年度の交流行事について、民間交流を含めてどのようなものが予定されているのか。それらのうち中止または延期されるものがあるならば、お示し願いたいのであります。
 次に、農業関連の問題で質問いたします。
 まず米の問題でありますが、農政審議会企画部会は、この五月に「今後の米政策及び米管理の方向」なるものを発表しました。この報告の主な内容は、一、政府買い上げ米を流通量の四割程度とする、二、買い上げ価格は大規模経営のコストで決める、三、消費者米価は米市場動向で決める、四、米管理に必要な経費は消費者負担の方向をとる、五、自主流通米の流通規制を緩和する、六、自主流通米の価格は市場で決める、七、減反は生産者団体の責任で行う、八、低価格の加工原料米をふやす等でありますが、これらの中身は、ここ数年来、経団連など主な財界団体が提唱してきた食管解体論、部分管理論とほとんど同じであります。つまり、政府は財界と一体となって今の食管制度を骨抜きにし、部分管理制に移行させようとしていることが、この報告によってはっきりしたわけであります。
 その後、東京、大阪などへ米の取引所を設置する動きも出ているようでありますし、もしこの報告書の内容が実施に移されるようなことになれば、本県の生産者にも消費者にも次のような点で大変な影響が出てくると心配されますので、農林水産部長のお考えを伺いたいのであります。
 第一点として、大部分の米の生産・流通価格を自由競争のもとに置くことになるが、消費者は果たしていつでも安定した値段で米を買えるのか、今まで政府が負担していた食管経費の一部を負担しなければならなくなり、さきの自由価格形成の問題とともに、現在の家計米価格水準よりもかなり高い値段で買わなければならなくなるのではないかという不安であります。
 第二点として、生産者にとっては、作況によって豊作貧乏に襲われる危険性がないのか、また販売価格はどうなるかという見通しとの関連で、買い控えや買いたたきに見舞われることにならないかという不安であります。
 第三点として、政府買い上げ価格が大規模経営のコスト基準で決められるようになれば本県の稲作農民のほとんどがつぶれてしまうと思われるが、この報告の関連施策の項に「生産性の向上の困難な中山間地域対策について幅広い観点から検討する」とあるが、一体どのようなことが想定されているのか、また本県として、この対策に対してどんな検討が行われているのかという問題であります。
 第四点として、減反政策の実施を民間主体に移す場合、減反についての国の責任がほとんどなくなることになりますが、このことによって米の輸入自由化をガットの場で拒否する根拠を失うことにならないかという心配であります。
 そこで、農林水産部長より、以上のような不安に答えていただくとともに、県として、この報告に対してどのような立場から政府に意見を出しているのかをお示し願いたいのであります。
 続いて、本県農業の今後の問題について質問いたします。
 農林水産統計では、本県農家の一戸当たり生産農業所得について最近の変化状況を見てみますと、昭和五十六年に九十三万六千円であったものが、六十年には八十五万七千円、六十一年には六十五万円、六十二年には五十五万八千円と減少を続け、特にここ二、三年の減り方はひどく、六十二年度の五十六年対比は実に六〇%と、半分近いまでの落ち込みとなっています。この間の粗生産額で比較的に減少度の高いものとして米、ミカン、畜産などが考えられますが、一戸当たり生産農業所得の落ち込みの要因は何か、またそのこととの関連において、この一戸当たり農業所得を引き上げるためにどのような対策が考えられているのかを農林水産部長よりお答え願いたいのであります。
 続いて、ミカン再編対策の問題であります。
 先日、何かの会合のときお伺いしたのですが、ある農家の方が、「一たん廃園を決意して申請したものの、いざチェーンソーを持ってその畑に入ってみると、このミカンの木のおかげで何人もの子養いができたのだという思いがふつふつと沸いてきて、とうとう病気にかかっている木以外は一本もよう切らなんだ」と述懐していました。
 こうした形で取り消しになった申請も少なくないと思われますが、昭和六十三年度再編事業の実績が廃園・転換園別や郡市別でどのようになっているのか、その中に何か特徴や問題点があればお教え願うとともに、転換作物においてどのような品目が多く選択されているかについても御報告を願いたいのであります。
 続いて、農業用廃ビニール類の処理対策の問題であります。
 きのうも木下議員から質問がありました。先ほども触れましたように、オレンジの輸入自由化と零細稲作農民の切り捨て政策は本県農業を深刻な事態に追い詰めつつありますが、ここからの生き残り策の一つとして、施設園芸農業に取り組む農家が急激にふえてきています。ミカンどころの有田でも周年栽培と所得拡大を目指すハウスミカンがだんだんとふえてきていますし、県下の施設栽培の七〇%を占める野菜の場合、昭和五十年に二百十ヘクタールであったのが六十一年には約六百ヘクタールと三倍化するなど、急成長してきています。
 このような状況の中で社会問題になっているのが、ここで使われた廃ビニール類の後始末の問題であります。高熱、有毒ガスを発生するため一般のごみ焼却場で引き受けてもらえず、海洋投棄で漁業被害を起こすなど、さまざまな社会問題が起きており、農家の悩みの種になっているわけでありますが、このままでは施設農業発展の足を引っ張るおもしになりかねません。当局におかれても、この対策に一定の努力をされていることはわかっているのですが、その具体化が余りにも遅過ぎると思います。
 農林水産常任委員会の県内視察で御坊市名田に設置されている廃プラスチック処理機のテストプラントを見せてもらってから、もう四、五年はたつような気がしますし、高知県の農業用プラスチック処理公社を視察してからでも三、四年はたちます。しかも、この間、農業情勢の変化のもとで施設農業の比重がだんだんと高まってきているのに、きのうの木下議員への答弁にもありましたように、対策の具体化が一向に進んでいません。ほんまにやる気があるのかと、しかりたくなる心境でありますが、それはそれなりに難しい問題のあることはわかります。
 きのうの答弁にもありましたように、施設建設の財源問題、公社運営の赤字問題、業者委託による再生利用の問題や廃品回収のためのシステムづくりの問題等、解決しなければならない課題が多いようであります。しかし、具体化のために大きく踏み出していかない限り、机の上で幾らやきもきしていても問題は解決しないと思います。
 聞くところでは、日高地方で農協や市町村関係者を含めた対策委員会がつくられ、ここでの検討に基づく一定の提言も行われているようであります。
 そこで農林水産部長にお尋ねしますが、この処理対策の総合的検討のためにいたずらに日時を浪費するのではなく、たとえ最善の策を選択できない場合があっても、本県としてこれらの課題をどう解決し、どう乗り切っていくかという方針を明確に打ち出していただきたい。そして、これをどんな手順でいつまで完成させていくつもりかをお示し願いたいのであります。
 最後に、年金生活者の問題で質問いたします。
 先日、ある年金生活者の方は、こう語っていました。「なぜ生活に困っている年寄りを救おうとしないのか。純粋に年金で生活できる人はわずかですよ。私の場合、昨年の年金アップは月千円でした。ところが、消費税で月四千五百円、年間で五万円以上も取られることになる。これは、一・五カ月分の年金に相当する。消費税が高齢化社会のためなどというのは全くのうそですね」と。
 全国で老齢年金を受給している人は一千四百万人と言われ、その六割以上が月平均三万円にも満たない国民年金の受給者であります。民間企業などの退職者を対象にした厚生年金受給者は約三百二十万人で、その平均月額は十二万円、公務員などが対象の共済年金受給者は約百七万人で、その平均月額は十六万五千円と言われています。ところが政府の家計調査報告によれば、六十歳以上の世帯の消費支出は平均月額二十六万円以上となっており、現在の年金では、高齢者が長生きしてよかったと言える社会にはほど遠い状態であります。
 このような我が国の年金制度は国際的にも劣悪な水準でありますが、これまでも臨調行革路線のもとで保険料金の引き上げ、給付の切り下げが行われてきました。この上に、今度の通常国会に新たな年金改悪法案が提出され、現在、継続審議となっていますが、それは、一、厚生・共済両年金の支払い開始年齢を六十歳から六十五歳に繰り延べる、二、厚生年金、国民年金の保険料をそれぞれ引き上げる、三、国民年金に任意加入の二十歳以上の学生を強制加入させ、月額八千四百円の保険料を本人または親に負担させるなどという、ひどい内容であります。
 例えば、年金支給開始年齢を六十歳から六十五歳におくらせるだけで、政府のモデル年金額十九万七千四百円で計算しても、この五年間の損失額が実に一千万円になります。これでは老後の生活設計が狂ってしまいますし、年金受給者はもとより、これから年金をもらう四十歳代、五十歳代の人たちにとっても深刻な問題であります。
 先ごろ、「消費税収入は福祉に充てるんだ」と大見えを切った宇野首相の発言が、もしうそでないならば、今ごろこんなひどい改悪案が出てくるはずはありません。当然、今度の改悪案に対して、高齢者ばかりでなく、労働組合、学生、青年団体などを巻き込む多様な反対運動が広がってきています。そして、いま一つ大きな特徴は、年金生活者が組合をつくり、みずからの生活を守ろうとする動きが始まっていることであります。
 本県においても、去る六月十七日に、一、公的年金を改善し、健康で文化的な生活のできる年金額に引き上げること、二、働きたい高齢者にその意欲、経験、能力に応じて就労を公的に保障することなどの要求を掲げて和歌山県年金生活者組合が結成されています。
 まず、知事にお尋ねいたします。
 今度の年金改悪案は、先ほど来申し上げてきたように、多くの県民の老後生活に重大な影響を及ぼしますので、知事より国に対してこの改悪案の撤回を求めていただきたいのでありますが、お考えを伺いたいのであります。
 続いて、関係部長にお尋ねします。
 年金生活者を初めとする高齢者の方々は、かつて郷土の発展のために力を尽くされた方ばかりであろうかと思われますが、この御労苦に感謝し、激励申し上げる気持ちを込めて、県民文化会館などで行われる文化行事等の割引券を差し上げることなどについて検討していただきたく思いますので、お考えのほどをお聞かせ願いたいのであります。
 また、働く意欲のある高齢者に対し、雇用や仕事のあっせん、資金の貸し付けなどの面でどのような制度や施策があるのかについて、その手続を含めてお示し願いたいのであります。
 最後に、高齢者のための施策は民生部、保健環境部、商工労働部などの多方面にわたりますので、先ほどの年金者組合等の要求に対応すべく窓口を設置していただけないかどうか、お伺いしたいのであります。
 以上で、第一回目の私の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
 お話ございました中国問題や中国政府の対応につきましては、私もいろいろな報道機関等を通じて承知しておりますし、また関心も持っております。
 中国は政治体制や経済体制も日本と違いますし、詳しい状況等はつまびらかでございません。ただ言えますことは、多くのとうとい人命が失われたことは、人道上、まことに遺憾であると存じており、一日も早く平常な状態に戻ることを望んでおる次第でございます。
 この問題につきましては、中国の国内の問題でございますので、今後とも事態の推移を見守りながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
 次に、年金制度の改正について反対すべきではないかということでございます。
 今回の年金制度の改正案は、世界に類を見ない速さで高齢化社会が進展している中で、老後の生活の支柱としての年金制度を長期的に安定的に運営していくためのものであると承知しております。
 この議案は、国会において継続審議になっております。老後を安心して暮らせるように、将来の老後のあり方を見詰めて、国会において十分審議していただきたいと思います。
 将来、年金支給者が六十歳から六十五歳に引き上げられますので、この法とともに雇用問題について最大限の配慮を払っていただくことが最も肝要なことではないかと考えております。
 また、十年たったならばどうする、二十年後にはこのようにするということを規定している法でございますけれども、老後の生活設計に支障が生じないよう準備期間を十分設け、段階的に実施することが最も緊要ではないかと存じておる次第でございます。
○議長(西本長浩君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 御質問の友好提携の今後のあり方につきましては、本県と中国山東省とは友好提携の締結以来、教育、文化、経済等の各分野における交流を通じ、相互理解、友好親善を深めてまいったところでございます。これからも友好関係を続けてまいりたいとは考えておりますが、あわせて今後の中国情勢、また国の外交方針も十分踏まえて慎重に対処してまいりたいと考えてございます。
 今年度の事業についてでございますが、派遣は経済、医学関係等、また受け入れについては中小企業、経済関係等、相互の交流が予定されておりましたが、状況を見守ってまいりたいと考えております。
 なお、中止になった事業につきましては、第十回近畿青年洋上大学がございます。また、山東省から受け入れる予定の海外技術研修員につきましては、来県が延期になる見込みでございます。
 次に、県民文化会館主催の文化行事などに高齢者割引をしてはどうかということでございますが、県民文化会館は県民文化の振興と向上に努めているところでございます。
 県民文化会館主催による各種の舞台芸能や講座、講演等の文化事業でございますが、入場料を設定して実施している舞台等の催し物につきましては、多くの県民の方々に鑑賞していただくために、できるだけ入場料金を安価に設定してございます。
 現在のところ、高齢者に対しての割引はいたしておりませんが、高齢者向けの催し物につきましては、昭和五十二年以来、健康問題を初め、福祉、趣味、文化等を内容とした寿講座を移動文化講座として県内各市町村において無料で実施し、多くの年寄りの方々から好評を得ているところでございます。
 この問題につきましては、今後、高齢者社会を迎える中で、各施設の対応を十分見守りながら検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 今回の農政審の報告は、今後の米政策及び米管理についての基本的な考え方と改善の方向を示されたものでございます。その概要につきましては、最近の米及び稲作をめぐる厳しい状況の中で、引き続き国内自給を基本に食管制度の役割を維持しつつ、米流通の主体を民間に移行させ、市場原理の導入による品質の評価、生産調整については生産者団体の主体的な取り組みなどが方向づけられたものでございます。
 これが実施された場合、生産者、消費者両者の立場からの問題点として、いずれも大変難しい問題でございますが、四点の御指摘がございました。
 市場原理が導入された場合、財政負担はもとより、消費者負担も考えられるところでございます。また、豊作による価格の低落が予想されますが、米の果たす機能の重要性から、別途これの対策があわせて検討されることとなっております。
 中山間のいわゆる生産が困難な地域については厳しい事態を招くことも考えられますが、一方では、地域の特性を生かした有機栽培や自然乾燥の米、あるいは現今の安全健康志向の消費者ニーズに合った付加価値の高い米づくり等が考えられます。いずれにせよ、別途、必要な施策の検討があわせてされることになってございます。
 また、外圧、自由化の問題についてでございますが、稲作は日本農業の根幹をなすものであり、国内自給を基本に食管制度をあくまでも維持するということになっておりますので、これによって自由化問題は左右されるものではないと考えてございます。しかし、いずれにいたしましても、本県のような零細規模農家にとっては厳しい状況になるものと受けとめております。
 したがいまして、国に対しては、去る六月一日、近畿管内の農林水産部長会議において本県農業の実情を強く訴えてまいったところでございますが、引き続き、今後も国の動向を見守りながら対処してまいらなければならないと考えております。
 次に、本県の生産農業所得の落ち込みの要因とその対策でございます。
 議員御指摘のとおり、農家一戸当たりの生産農業所得は、昭和五十六年以降、減少傾向にございます。これは主に、本県農業の基幹作物であるミカン、ハッサク等、かんきつ類の市況動向の低迷によるものと受けとめてございます。
 特に、議員御指摘の五十六年度対比の大幅な落ち込みにつきましては、五十六年度に限りミカン市況が突出し、前後の年度よりもよかったといった統計上における計数の問題もございます。しかし、県下でも高度集約農業を展開している中紀の市町村では、農家一戸当たりの生産農業所得が全国平均を大きく上回っております。したがいまして、ミカン園地再編対策を機に、これをプラス要因になるよう、さらに高品質農産物の生産、また野菜、花卉、果樹の施設農業や技術開発を積極的に推進するなど高収益農業の展開に鋭意努め、農家所得の向上を図ってまいる所存でございます。
 次に、ミカン再編対策の現況と、その問題点はどうかということでございます。
 かんきつ園地の再編対策につきましては、昨日、木下秀男議員にお話をいたしましたように、昭和六十三年度を初年度として三カ年で実施するものであり、生産者団体、関係団体が一体となって推進してまいったところでございます。
 六十三年度の実績につきましては、現在、最終段階のチェック、集計を行っているところでございますが、その概要は、温州ミカンでは、本県の三カ年の目標面積二千四百二十ヘクタールに対して初年度で全体の五〇%の千二百ヘクタール、ハッサク等中晩柑では、初年度で七百八十ヘクタールが実施されたところでございます。これを態様別に見た場合も、温州ミカン、中晩柑を合わせ、他果樹へは全体の五五%と最も多くなっており、廃園が三一%、他作物九%、植林四%の順でございます。
 次に転換先品目でございますが、紀の川流域では落葉果樹の柿、梅、桃への転換が主でございます。有田地域では、転換面積が少ないけれども、梅、野菜、花卉、また紀南地域では、梅を主体に野菜、花卉ということになっております。
 その問題点でございますが、これだけの事業でありますので、少なからず問題点があるわけでございます。二年目、三年目の転換品目は農家の自主選択ということで国、県は一定の目標指示を出しておりますけれども、何を選択していくかということが大きな問題でございます。
 一つには、きのうも木下議員にお答えいたしましたように、転換先については近い将来二の舞になってはならんということも十分考慮していかなければなりませんし、同時に廃園という問題が出てきておりますので、他の優良園に影響を与えないような廃園の善良な管理の問題もございます。
 今後は、全国的な実施状況、あるいは需給動向、生産者の意向を踏まえ、本対策の円滑な推進に努めてまいりたい所存でございます。
 次に、廃ビニールの問題でございます。
 この点についても、きのう木下議員にお答えをいたしましたように、基本的には排出者みずからが処理することとなっておりますが、施設面積の増加が大幅に見込まれる中で、処理対策が極めて重要であると認識しております。このため、これまでも適正処理の啓発推進、あるいは他府県における処理状況の実態調査に努めてきたところでございますが、処理施設の設置については運営等に問題があり、今後も引き続き十分検討する必要があると考えてございます。
 県といたしましては、本県に見合った対応を図るために、排出者、生産者団体、関係市町村、県等関係団体が一丸となり、できるだけ早い時期に適正処理に向けての組織づくりを進めたい、そして関係者のコンセンサスを求めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長天谷一郎君。
 〔天谷一郎君、登壇〕
○商工労働部長(天谷一郎君) 高齢化社会の到来を迎えまして、高年齢者の雇用就業対策はますます重要な課題となってきてございます。県といたしましては、六十歳定年を基盤として、六十五歳程度までの継続雇用が促進されるよう事業主指導に努めながら、高年齢就職者に対しては公共職業安定所や高年齢者職業相談室における職業紹介機能の強化を図るとともに、各種雇用援護措置を活用し、再就職の促進に努めているところでございます。
 さらに、六十歳代前半層を中心とした生きがい対策として、臨時的、短期的な就業の場を提供するためシルバー人材センターを設置するほか、婦人等就業援助センターでの内職あっせんなど諸対策の推進に努め、高年齢者の雇用の促進と安定が図られるよう一層努力をしてまいりたいと存じます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 年金生活者組合に対する窓口の設置についてでございますが、当該組合の事業内容が多くの部課にわたっておりますので、関係部課で協議してまいりたいと存じます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「農林水産部長に答弁漏れがあるように思うんですが。もう再質問でやります」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) 再質問を許します。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕
○小林史郎君 それでは再質問させていただきます。
 まず、中国問題でございます。
 遺憾の意を表明されましたけれども、事態を見守るだけで、申し入れとか諌言といった積極的な対応をやらない。現状を見守り続ける、提携運動の見直しもやる考えはない、こういうように受け取れたわけですが、この御答弁、いささか残念に思います。
 と申しますのは、けさ議員会館でテレビを見させていただいたんですが、中国は近く常務委員会を開き、デモ・集会を禁止する措置をとるというような話がありました。デモ・集会を禁止するというようなことは、二百年前のフランス革命以前に時代を逆戻りさせることになるんじゃないかと思います。こういうようなことは、資本主義社会であれ社会主義社会であれ、絶対許されないことだと思うんです。
 本来、社会主義というのは、資本主義よりもより民主的で、人間が大切にされ、しかも自由が保障されなければならない、より自由でなければならないと私は思います。しかるに、残念ながら中国やソ連の現状は、決して肯定できるような状況ではございません。
 中国やソ連において何でこんな否定的な問題が起きてくるかという点につきましては、私たちは、いわゆる資本主義的なデモクラシーを経ることなくして封建的な独裁体制、専制体制から直ちに社会主義へ入っていったため、人権問題で本当に苦労していない、人権を闘い取っていないというところに大きな原因があるのかと思います。そして、社会主義が始まって百年と、人類史から見た場合、歴史はまだ短く、いろんな誤りが出てきておる。これは決して見逃すことができないけれども、将来は必ず克服するだろうと確信を持っております。しかし、将来は克服されるであろうとも、現状を許すわけにはいきません。
 こうした人権無視のやり方、民主主義否定のやり方に対して、積極的に発言なり行動をしていかなければならない。人権問題は国際問題である以上、国際世論の力によってこうした不当なやり方を抹殺していかなければならない、また変えていかなければならないと感じます。しかし、現状を見た場合、我が国の対応というのは、そうした観点に立っておりません。
 これもきょうのテレビ報道でございますが、ECがアメリカに次いで、一致して中国のこういう現状に対して制裁措置を加えていくようです。その一つとして、経済協力も中止するというようなことが出ておったように思います。しかし、我が国を見てみると、今、ビジネスマンがどんどん北京へ帰っておるそうです。そうして、この間からの新聞論調などを見ると、日本は火事場泥棒でもうけようとしておる、もうけばっかりじゃないか、こういう国際的な非難も集まってきておるのが現状でございます。
 かつて、南アのアパルトヘイト政策に対する対応の仕方はけしからん、手ぬるいということで国連において名指しの批判を受けたのも日本であります。こうした点から見た場合に、中国に対して、民主主義のいろんな点で経験を蓄えてきておる我々からもどんどん隣人としての発言をしていくことが非常に大事かと思うわけでございますが、残念ながら、先ほどの知事答弁も公室長答弁も、そうした観点では非常な弱さがあるという感じがいたします。
 再度お尋ねしても積極的な答弁は期待できませんので、こちらの見解を申し上げておくだけにいたしますけれども、この点を十分取り上げて今後検討くださることを要望しておきます。
 次は、農業問題でございます。
 行政的にいろいろ努力してくれている、対応を考えてくれておる、その姿はよくわかります。しかし全体として、政策課題の対応の仕方というのは、非常に受け身的である、消極的であるという感じがします。
 例えば、和歌山県の農家一戸当たりの生産農業所得が非常に減少傾向にあるということでミカンの問題を挙げられましたが、いわゆる自然的な、経済的な環境面を言うだけで、これが自由化圧力──グレープフルーツなどの果物がいろんな形でどんどん我が国に入ってきておる。こういう現状との関連で、自由化対策としての取り上げ方や視点が弱いのではないか。また、最近の農産物の価格引き下げ政策についても、自由化との関連で、米価を初めいろんな農産物の価格がどんどん引き下げられていく中で本県の農家が非常な苦境に立たされているが、これに対し、積極的に農家の立場に立って政策の変更を迫っていくという視点が弱いような感じがいたします。
 私は、もっとそうした点に力を注いで、言うべきことはどんどん政府に対しても物申していく、そういう姿勢を強くお願いしておきます。
 一つ答弁漏れのような感じがしたのは、食管制度の改悪の問題で、政府が管理責任も放棄する、あるいは減反政策も生産者団体に任せて責任をとらないということになれば、米は国家が管理・規制している品目であるから自由化ができないという、いわゆるガットで主張する根拠がなくなるのではないかというお尋ねをしたわけですが、ガットの場でそういうことはあり得ないと言うんか、あると言うんか、その答弁がなかったように思うんです。そこをもう一度はっきり答弁していただきたいと思います。
 それから、廃ビニールの処理の問題であります。
 一生懸命いろいろ考えてくださっておることはわかりますけれども、しかし言い出してから、もう相当時間がたっておる。しかも、具体的な解決の見通しも立っていない。部長の答弁では、生産者団体や関係者で組織をつくってこれから対応を決めていくということでございますが、いつまでもだらだらと相談ばかりしておるんじゃなしに、何年間ぐらいをめどにしてやり上げていくんだという決意があってしかるべきでないかと思うんです。こういった点、部長として考えておられるのかどうかも御答弁願いたいと思います。
 以上で再質問を終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) 小林議員の再質問にお答えを申し上げます。
 今回のこの報告は、市場原理を強く導入するということでございます。しかし一方では、食管制度という格好の中においては国が厳然と維持管理をしていく、したがって政府米四〇%を持っていくということでございますので、自由化や外圧についてはそれだけで左右されるものではないというふうに考えておるところでございます。
 それから、廃ビニールの処理に対する行政としての時期の明示でございますが、ただいま、きのうもお答えいたしましたように、できるだけ早い時期に適正処理ができる組織づくりをしたい、そして関係者のコンセンサスをつくっていきたいと御答弁をさせていただいたわけでございます。時期の明示ができればいいんですが、残念ながら現時点で県としては、いつどうするかということの御回答は申し上げられません。そういうことを含めたコンセンサスをつくっていくということでございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 農林水産部長に要望しておきます。廃ビニールの問題です。
 できるだけ早くということでございますが、私は、一年以内、二年以内にやれと、こういう時期を明示せえと言っているのではないんです。少なくとも、その取り組む姿勢として、一応の目標を設定してこの間にやり上げてしまおうという──それは十年であろうと五年であろうと、そういうものは明確に持つべきではないかと申し上げておりますので、その点、十分受け取っていただいて、できるだけ早く実現していただくことを要望申し上げておきます。
 以上で終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小林史郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(西本長浩君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時七分散会

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