平成元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(貴志八郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番貴志八郎君。
 〔貴志八郎君、登壇〕(拍手)
○貴志八郎君 まず、消費税の問題について質問をいたします。
 消費税が四月一日より実施されましてから、はや三カ月が過ぎようといたしております。私は、二月定例議会におきましても、逆進性の大衆課税となる消費税の矛盾点をつき、さらに自民党の公約違反あるいは消費税そのものの抱える多くの欠陥について指摘を申し上げるとともに、それがゆえに県当局が提案した当初予算における消費税転嫁をやめるよう強く迫ったのであります。
 しかし、残念ながらこの消費税転嫁は、当局によって修正されることもなく、また、本会議では野党四派の強い反対にもかかわらず、可決・決定を見たのであります。
 そこで、私は以下、消費税実施後三カ月を経た現在、県当局の見解をただしておかなければならない数点にわたって質問しておきたいと思います。
 第一番目は、昨今の消費税反対とこれが是正に関する国民世論の趨勢をどのように受けとめておられるかということであります。
 新聞などの世論調査では、消費税に不満を持つ者は実に九〇%、さらに、廃止・見直しを求める者の声は何と全体の九四%、ほとんど全員と言っていいほどの数字を示し、世論の趨勢はまさに圧倒的に「消費税ノー」という結論を出しておるのであります。本県内の世論の動向は一体どのようになっているのか、お調べになったことがあるか。おそらく、県民世論の動向も全国的趨勢とほとんど変わるところはないと思うのであります。
 こういう世論を聞きながらも、なお、この消費税に対する従来の考え方を変更するお考えはないのかどうか、お尋ねしておきたいと思うのであります。
 次に、具体的な問題として質問をいたします。それは、消費税実施後の物価の動向であります。
 四月以降今日までの消費者物価の動きを、昨年同期と比較しながらお答えをいただきたいのであります。また、心配されている便乗値上げについては、ちらほら私どもも耳にするのでありますけれども、そういったことが県の監視制度の網にどの程度かかっているのか。その監視制度が全きものであるならば、当然に幾ばくかの件数、内容といったものが把握されておると思うのでありますが、その内容と監視の結果についてお答えをいただきたいと思います。
 二番目に、県下の市町村の消費税転嫁実施状況について報告をいただきたいと思います。
 聞くところによりますと、県財政当局は、県下市町村の段階においても県における実施に歩調を合わせて実施するよう、かなり強力な行政指導を行ったというふうなことをお聞きいたしております。それは事実かどうか。また、事実であるとすれば、この種の件に関して各地方団体の独自性を認めないということになりはしないか。そしてそれは、先ほど申し上げた国民世論に反してでも押しつけていかなければならないほど県が指導性を発揮すべき事項であるのか、その辺の見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 第三番目に、消費税に関する県民相談について申し上げてみたいと思うのであります。
 実施前後の三月末から四月初旬にかけての話でありますけれども、県民が電話をかけて消費税の問題について質問をしようと思ったけれども、「ああ、そのことについては税務署に聞いてください。何なら税務署の電話番号を教えてあげます」ということで、便乗値上げの問題などについても相談したかったけれども、結局、相談に乗ってもらえなかった、市役所では交換台の段階で電話を切られてしまったなどとの訴えがございました。
 私は、消費税が国税であることはもちろん、国がその守備範囲になっていることについては疑いを差し挟みませんが、県民がどのような疑問や注文を持っているか、ちゃんと分類して親切に対応する必要があると思います。特に、特別地方消費税の創設を初め、税制改革による消費税の転嫁といったものを含めまして、かなり広い分野にわたって県行政とのかかわりがあるわけでありますから、そういった分野を含めてまで回答のできる窓口というものを強化していただかなければならんと思うのであります。現に窓口ができておるようでありますけれども、その窓口の存在と幅の広さというものを検討しなければならないのではないかと思いますが、いかがでありますか。
 それから、この問題の最後になりますが、この税が実施されて体験した中でまず取り上げられることは、ずっしりとした不公平感であると思うのであります。
 具体的に申しますと、今回の税制改革では、庶民大衆が親しむアルコール類の中で、しょうちゅうや二級酒は値上がりをし、どちらかといえば高額所得者がたしなむ高級な特級酒などが酒税の見直しで値下がりをした、こういうことに相なっております。
 料理飲食等消費税にいたしましても、これは廃止をされまして、特別地方消費税と改称され、その税率は一〇%から三%へと減額されておりますが、結局は、従来課税されていなかったそば代や弁当、パンに至るまで、一回五千円までの飲食に対しては漏れなく三%の課税がされることになってきた。逆に、五千円以上のぜいたくな料理飲食については一〇%から三%、消費税を入れても六%に減額をされることに相なるのであります。
 物品税の関係で、高級車が値下がりをし、軽自動車や庶民のバイクは値上がりをする、こういう大衆の不公平感がかなり高まっておる、このように理解をしなければならないと思うのであります。高級車に乗り、高級酒を飲み、高級料亭を利用する人には恩恵がある今回の税制改革、これはまさに庶民を愚弄し、庶民を敵に回す税制であったということは既に明確になっておるわけであります。
 特に、昨日開票が行われました新潟県の参議院補欠選挙における結果は、一般の予想をはるかに上回り、我が党候補の圧倒的勝利に終わったわけであります。まさに劇的な幕切れと言わなければなりません。消費税やリクルートに対する国民の怒りや非難の声が、この新潟県における参議院補欠選挙にすべて凝縮されておる、私はそのように見るのであります。
 このような結果を目の当たりにしながらも、なお消費税に対する県当局の考え方は、消費税転嫁の姿勢をいささかも修正されず、また国に対して強い意見を申し述べていくという姿勢を持つことができないのかどうか、私は強くお尋ねをしておきたいと思うのであります。
 次に、観点を変えた課題について申し上げてみたいと思います。
 政治倫理問題が、現在、国においてもかまびすしく論議をされておるところでありますが、これは地方団体においても当然取り上げられるべき問題であります。
 この六月定例会招集の際に開かれた議会運営委員会におきまして、今問題の政治改革の一環として、議員活動の中で最も金のかかるとされておる冠婚葬祭等での虚礼を廃止すべきである、このような観点から全会一致で意見がまとまり、今会期中に厳しい内容でそれを決定しようということで決まったことは、既に御案内のとおりであります。
 私ども和歌山市選出の県会議員では、たしか昭和五十年ごろからだったと思いますが、既に年賀状、暑中見舞い、あるいは葬儀のときのシキミ、供花のたぐいについては一切自粛することを申し合わせており、これが完全に実施されております。私どもはそのようにみずから自覚をいたしまして、それを定着させてまいりました。
 しかしながら、一方では、新生活運動を標榜しながらも、冠婚葬祭や各団体等への心づけや御祝儀、お祝いなどといった虚礼は、姿を消すどころか、ある意味では過熱する傾向すらなかったとは言えないと思います。まあ、私自身も含めまして、こういった点に対する反省が非常に大事であると思います。
 あたかも国会では、こうした問題を含めて、今度のリクルート疑惑に端を発し、政治家の政治姿勢について、冠婚葬祭等での虚礼の自粛といった問題がかなり表面に出て、選挙法の改正や政治改革の実施について論議が交わされておるところであります。
 ところが、肝心の自民党では、派閥解消はおろか、このさなかにあってパーティーを開かれるなどの無神経さで、一体いつになったら政治家が襟を正して政治改革に乗り出すか、霧の中といった感じがいたすわけでありますけれども、幸いなことに、本県の議会におきましては、野党各派はもちろんのこと、中央の手ぬるい対策にしびれを切らしたのでしょうか、与党・自民党県議団も積極的に虚礼廃止の方向を提言されることは、本県の政界浄化のためには大変結構なことであると思うのでございます。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県議会ではこのように一歩も二歩も進んでやろうという態勢でありますが、それに対して県御当局も同じような考えに立って、虚礼廃止等、本当の意味における浄化のために一歩前進をされるお考えはないかということを申し上げたいのであります。
 このところ、お葬式なんかに参加をさせていただきますと、時々、知事の花輪が出ておる場合がございます。また、時として三役の花輪も出ておる場合があるわけでございます。これは一方的にけしからんというわけにもいかない、逆に県民の側からそれを出してくれというかなり強い要望があってこたえざるを得ないというケースも間々あるんではないかというふうにも思いますけれども、それでは、決して県議会のこれから行うであろうところの決定に沿った形とは言えないのであります。
 あえて細かいことまで言おうとは思いませんが、それらの供花代は果たして公費なのか、個人のものなのか、個人の後援会のものなのか、そういったことについても当然の疑問が出てくるわけであります。
 行政の立場から言うと、当然のこととして生活改善、虚礼廃止といったことにはリーダーとしてやってもらわなければならないはずでありまして、県下市町村でも県がやればそれに右へならえという傾向があるわけでありますから、県の思い切った率先垂範の態度というものがこの際必要ではないかというふうに思います。
 それだけではございません。具体的に、例えば年賀状、暑中見舞いであります。和歌山市の県会議員はそれを全廃いたしました。既に十数年の実績を持ちまして、そのことによるトラブルなんかはもう今日ございません。県会議員が暑中見舞いや年賀状を出さない、このことが実施されまして、今日どこからも文句は言われません。これは今後、和歌山市の議員だけではなく県下の議員にも広まってくれるであろうと思いますが、当局もやっぱり同じように、他府県やどうしても出さなければならない礼儀上の問題はありましょうけれども、県内でお互いにやる分ぐらいはお互いにきしっとしてはどうかというふうに思うわけです。
 また、知事や県の各部長に至るまで、いろんな団体の長をされている場合があります。我々の手元にもそれぞれの団体の名前で来るわけでありますが、その長は同じ人というのが一シーズンに何枚もあるわけです。むだなことじゃないですか。そんなことをひとつ整理していくということも、具体的な課題として私は提言をし、どう対処するかということを聞いておきたいと思うのであります。
 仮に県当局の指導部がはっきりとした態度を打ち出せれば、県の末端職員に至るまで、上司に対する年賀状や暑中見舞いといったものもやはり上に従って全廃をされていく方向を生み出すのではないか、それが大事な問題ではないかということを私は申し上げたいのであります。知事初め各幹部が姿勢を正し、県民にそれを呼びかけていく、そういう意欲をお持ちになっておるならば具体的な形でお答えをいただきたいと思うのであります。
 最後の課題といたしまして、県勢浮揚にかかわる県内産業の育成という問題の中で、きょうは土木の問題を中心にしながら質問をいたしてみたいと思うのでございます。
 私は、過去何回か、和歌山の経済不況とこれに対して実効ある施策の確立を求めて発言をいたしてまいりました。現状のままでは和歌山は経済的に沈没するしかない、県都和歌山市の人口減がその象徴であるとまで申し上げてまいりました。事実、現在まで四十万人を超えておりました和歌山市の人口が、このところ減少が続きまして、ことしの四月には三十九万八千二百六十二人にまで減ってしまったわけであります。
 一方、本県の鉱工業生産指数が、昭和五十五年を一〇〇として対比いたしますと、昭和六十一年でようやく八一・七とマイナス成長を示しており、全国水準の一二一・四に比較いたしますと、残念ながら三一・七も立ちおくれておる、平均から三割以上も立ちおくれておるということになり、全国順位は当然ながらワーストワンということに相なっておるのであります。
 さらに、六十年を一〇〇として昭和六十二年を見てみましても、やはりマイナスで、九二・一と相変わらず全国四十七都道府県中ワーストワン、四十七位ということであります。
 参考までに、この六十年から六十二年までの間の最高水準をいくのは同じ近畿の滋賀県でございまして、六十年を一〇〇として一四四・六という高い数字を示しておるのであります。驚くなかれ、本県との落差は実に五〇%に達しようといたしておるのであります。
 その原因はさまざまあるでしょう。大阪経済圏との道路問題や地場産業の育成あるいは企業誘致のおくれ、若者の流出、大学の問題、数え挙げれば切りがございません。本県としては、この鉱工業産指数全国ワーストワンからいかにして脱出するか、なりふり構わずはい上がっていかなければならないほどの危機感を持って対応と努力をしていかなければならん、このように思います。
 そこで私は、先ほど申し上げたように、本日のところは地場産業の育成という課題の中で、一つの課題として土木工事の発注姿勢について問題を指摘しながら、本県の地元業者育成にどれほどの意欲をお持ちになっておるのかということを確かめてまいりたい、このように思うわけでございます。
 まず、私が最近のデータとして当局からお示しをいただきたいのは、六十二年度及び六十三年度の両年度にわたって議会に報告された知事専決処分による土木工事の発注、あるいは議会議決を行いました三億円以上の土木関係、港湾関係の工事契約の内容についてでございます。これらについて、この際、公表を願っておきたいと思うのでございます。
 事前に通告の中で漏れておりましたのであれでございますが、農林関係や通信設備の関係などを入れるとこれ以外にもたくさんあると思うのですが、きょうのところは土木部関係に絞ってまず出していただきたいと思うのであります。
 そういう資料をお知らせいただければ、おのずから質問をすべき内容が明確になってくると思うのでございます。いかに県内業者がこういった部門でも立ちおくれているか、極めて明快になってくると思うのであります。答弁の後に、これらの問題について若干詰めてみたいと思うのであります。
 続いて、私は具体的な課題として申し上げますが、企業局が先般行いました、仮谷県政が県勢浮上をかけた最大のプロジェクトとも言うべきマリーナシティの人工島造成の入札状況は一体どのようなことであったか、その結果はどのようなことになっておるのかを御報告いただきたいと思うのであります。
 私の手元にある資料によりますと、企業局関係では三つのジョイントベンチャー(JV)、港湾課関係では「マリコン」と呼ばれる大手業者の落札となっておるようでありまして、ここでも本県内業者は一名も顔を出していないのであります。
 そこで、ちょっと申し上げてお聞きをしたいのでありますが、同じ近畿の兵庫県では、県内の工事入札に当たって、五百万円以上の納税、営業所の確固とした実態、県への貢献度、地元業者との協調などが県外業者を指名に入れる絶対条件と、かなり厳しくその条件の線を引いておるというふうにお伺いをいたしておりますけれども、本県の場合はどのような原則を確立し、どのような運営をなされておるのか。この場合、私は企業局というよりも土木部が一体どういうふうな姿勢をもって臨んでおるのかということについて、しかとお聞きをしておきたいと思うのであります。
 また、もし原則があるとするならばその運用について、監視やチェック機能はちゃんと果たされているのか、こういうこともぜひ明確にお答えをいただかなければなりません。
 ここまで申し上げてまいりますと、本県経済の低迷を嘆く以前に、今申し上げたように、本県の発注する工事、すなわち県民の税金の使途が大手企業にかなり吸い取られておる、このことに注目をしなければならんということにお気づきをいただいておると思います。何が原因で、そして今日まで地元業者育成のために何をやってきたか。その結果、県内業者は近府県と比較してどれほど成長したとお考えになるか。まあ、数字を挙げてそれを言えといってもなかなか具体的にはまいりませんでしょうが、本県の関係業者が近畿各府県の業者の実態に比べてかなり低レベルで泣いておるということぐらいは知ってもらわなければならんと思うのであります。
 次に、今度はまたマリーナシティの問題に移ります。
 聞くところによりますと、このマリーナシティの造成に対して、県内業者のうち九社と、なぜか県外業者一社を、先ほど申し上げた三つの元請業者に対して推薦をしたということであります。この下請業者推薦の基準、さらに十業者の工事金額の配分について一体どなたがお決めになったのか、その内訳はどうなっているのか、お知らせをいただきたいと思うのであります。そして、推薦から外れた県内業者や工事配分の極端な落差は、和歌山県挙げてのこのプロジェクトに暗い影を落とすことになりはしないかということについて質問をいたします。
 さらに、いわゆる「海土協」──聞きなれない言葉でありますが、このところ新聞をにぎわしております。この海土協が談合によるやみカルテルを認めて自主解散したとの報道があったわけでありますが、本県ではこれに対してどのような対応をしておるのか。さきに述べたマリーナシティ人工島に関する受注企業がこの中に何社含まれておるのかも、お答えをいただきたいと思います。
 この海土協の問題についてはお答えをいただいた後にさらに詰めてまいりたい問題があることを申し添えまして、私の第一回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの貴志八郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 貴志議員にお答え申し上げます。
 消費税の問題でございます。
 消費税についての県民の声、世論に対する知事の見解等でございます。
 お話ございましたように、消費税が実施されて三カ月になるわけでございますが、直接税減税との関連等について説明の普及が足らない点もありますし、また、直接税の減税が実感を覚えない、幅広くかつ薄い負担を重点にした消費税についてなじみが薄いということもございまして、負担感、ひいては不満、不安が消費者や事業者の皆さんの中にあるものと受けとめておるわけでございます。
 政府におきましても、税制調査会等において検討するということを言明しているわけでございます。県としても、物価の問題など、県民の皆さんにとって身近で切実な事情、御意見をいろいろなチャンネルを通じてお聞きしているわけでございまして、十分反映してまいる所存でございます。
 次に、虚礼廃止に対する県当局の姿勢でございます。
 お話ございましたように、県議会において虚礼廃止について検討していただいておるわけでございます。私たちも、信頼される行政を確立するため、虚礼廃止になお真剣に取り組まなければならない。従来のやり方について、やはり反省すべき点も多々あるわけでございまして、現在、検討を重ねているところでございます。
 議会の取り組みと歩調を合わせて、私たちも虚礼廃止について努力してまいりたいし、また綱紀粛正の問題については、職員に対して副知事通達や部長会等において絶えず注意しているところでございます。
 他の問題は部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 消費税実施後の消費者物価の動向等について、お答えを申し上げます。
 まず、四月の消費者物価指数は、総合では昭和六十年を一〇〇として一〇三・〇となりまして、前月比二・一%、前年同月比二・三%の上昇となってございます。
 例年、四月は年度がわりのため上昇する傾向にございまして、昨年四月は前月比〇・八%の上昇となってございます。本年一月から三月の前年同月比が一・〇から一・三%の上昇となっていることなどから、本年四月の前月比二・一%、前年同月比二・三%のうち、一・〇%から一・三%程度が消費税の影響によるものと推測いたしてございます。
 なお、経済企画庁の試算によると、その影響は一・二%程度となってございました。また、五月の消費者物価指数は総合で一〇三・二%で、前月比〇・二%、前年同月比二・二%の上昇でございますので、物価はおおむね安定状況にあると考えてございます。
 次に、県が消費者からの相談窓口として設置した物価ダイヤルには、四月百七十七件、五月二十三件、合計で二百件の相談が寄せられました。その内容は、便乗値上げ関係で七十七件、税の仕組み関係で四十六件、端数処理関係で十六件等でございました。
 傾向としては四月下旬から少なくなってございまして、六月に入りますと、六月二十四日現在で三件というふうに少なくなってございます。
 相談のあった事項については、早速、事実確認等を行い、その結果を回答いたしてございます。その中で便乗値上げと疑われるものについて調査した結果、全体的にはほぼ適正に転嫁されているものと受けとめてございます。
 なお、県としては、消費者からの相談内容や意見を国へ報告し、国の施策に反映できるよう対応するとともに、便乗値上げが行われないよう、関係部局を通じ、所管業界への要請をしてきたところでございます。
 なお、生活関連物資についての便乗値上げを監視するため、物価モニターの増員及び調査の品目や回数の増加を実施し、物価上昇の抑制に努力をしてまいりましたが、現在のところ、特に物価モニターから「問題がある」との報告はございませんでした。
 最後に、消費者物価に関する相談窓口については、生活交通課、消費生活センター、同紀南支所の三カ所に物価ダイヤルを設置して対応するとともに、テレビ、ラジオ、「県民の友」を通じて広く県民に広報をしてまいりました。
 なお、寄せられた相談については、事情を調査して回答するとともに、適正な転嫁がなされるよう努めてきたところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 本県市町村の現時点における消費税の転嫁状況でございますが、普通会計の使用料等については四十八市町村が転嫁を決定し、また、公営企業会計の料金等については、該当団体四十八市町村中、四十四市町村が転嫁を決定しているところでございます。
 市町村の財政運営については、県としても各団体の自主性を尊重しながら、健全化、合理化のための助言、指導を行っているところでございますが、今回の消費税導入に際しても、消費税法上、地方公共団体は納税義務者の一人であり事業者として適正に転嫁すべき立場にあること、また、税制改革法においても税制改革の趣旨の周知を図りその円滑な推進のための環境整備を行う責務があることなどについて、説明を行っているところでございます。
 言うまでもなく、市町村における転嫁についての決定は各団体において自主的に決定されるものであると考えております。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 和歌山県の土木事業と県勢浮揚に関連いたしまして、まず最近の土木工事の発注状況の県内外の別、件数等についてお答えいたします。
 建設工事の発注については従来から県内業者優先の方針をとっており、土木工事の発注は、昭和六十二年度の発注件数四千六百二十六件のうち、県内業者は四千五百六十一件で九八・六%、県外業者は六十五件の一・四%となっております。また発注の金額では、約四百六十九億円のうち、県内業者は三百八十八億円で八二・六%、県外業者は八十一億円で一七・四%となっております。
 昭和六十三年度では、発注件数四千九百件のうち、県内業者は四千八百三十七件で九八・七%、県外業者は六十三件で一・三%となっております。また発注金額では、三百九十四億円のうち、県内業者は三百六十億円で九一・四%、県外業者は約三十四億円で八・六%となっております。
 土木部における知事専決処分は、昭和六十三年度は一件で、もとの契約金額七億二千四百三十万円を五百七十二万二千円増額して七億三千二万二千円に変更する契約であり、相手方は県内業者でございます。
 なお、昭和六十二年度は知事専決処分はございませんでした。
 また、昭和六十二年度、六十三年度に議決していただいた工事請負契約は四件で、二十一億五千九百万円、もとの契約を増額したものが四件で増額金額は一億三千六万五千円、合計八件の二十二億八千九百六万五千円となっております。
 これらの契約の請負業者は、県外業者または県外業者で構成する共同企業体でございます。
 次に、マリーナシティの人工島の入札はどのような方法で行われ、どのような結果に終わっているかということでございます。
 港湾工事における指名については、特殊な工事であり、その内容に合った特殊船舶の保有、港湾工事の施工技術等を勘案して決定しております。
 現在までのマリーナシティでの工事の発注件数は四件で、その内訳は、特殊技術の必要な工事について県外業者一件と県内業者三件となっております。
 次に、県外業者の指名基準があるかということでございます。
 特に指名基準は作成しておりませんが、建設業の許可を得た県内に営業所を持った者、特殊な技術等を要する工事でその施工技術力を有した者、過去において本県の振興に協力的であったかどうかなどを総合的に考慮しながら選定しております。
 県内業者育成について何をやってきたかという御質問でございますが、建設工事の発注に際しては、地元業者の発注機会を確保するため、できるだけ分離発注し、発注後の対策として前払い金に対する前払い率等の改正を行い、地元業者育成に努めてまいったところでございます。
 最後に、海土協のやみカルテル報道に対する本県の対応でございますが、公正取引委員会の調査結果を見た上で対処してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 貴志議員にお答えをいたしたいと思います。
 マリーナシティ造成事業に係る入札の執行状況でございますが、企業局における入札の執行については、県建設工事等指名競争入札執行要領及び発注基準に基づき実施いたしてございます。
 まず、昭和六十三年度において護岸用ケーソンブロック等の製作工事として六件、金額にして五億九千四百万円を発注してございますが、指名業者はすべて県内業者でございます。
 また、平成元年度で執行した主なものとしては、護岸工事二件、地盤改良工事一件、その他附帯工事三件の総額二十二億五千三百万円でございます。
 なお、護岸工事及び地盤改良工事三件の発注に当たっては、それぞれ大規模工事であり、かつ特殊な地盤改良工事、捨て石、大型ケーソン据えつけ等の多岐にわたる技術的難度の高い工事であるため、特殊作業船の所有状況及び技術力等を考慮し、県内外業者二十四社を選定し、二企業構成による十二共同企業体により入札を実施いたしました。
 なお、今回の請負業者の中に海上埋立土砂建設協会いわゆる海土協でございますが、これに加盟しているのは四業者でございます。
 続いて、下請業者についての御質問でございます。
 県内業者を育成するという観点から、下請業者の選定に当たっては県内業者を積極的に採用するよう、口頭ではございますが強く要請を行ったところでございますけれども、議員御指摘のように、特定の業者、受注金額等については誤解を生ずるおそれもあるという気持ちから、この問題について深く関与すべきではないという観点に立ち、一切行ってございません。
 なお、元請・下請業者の正常な関係の確立についても、今後とも十分留意してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 38番貴志八郎君。
○貴志八郎君 まず、知事の消費税に対する答弁がありましたが、ついに立場を超えた答弁をいただくことができなかったような感じでありますけれども、県民が受けとめておるこの消費税に対する重圧感、不満、怒りといったものについては、やはり県知事として的確な把握をされ、国に対しても要求すべきは要求していく、そういう立場をとってもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 虚礼廃止あるいは信頼される行政という課題につきましては、知事の積極的な意思表明をいただきました。それを信頼して、実施の速やかに進められることをお願いしておきたいと思います。
 企画部長から答弁をいただきました。せっかく物価ダイヤルを設置したのに最近は相談が少ないと、相談の減少をかこっていらっしゃるようでありますが、それは一体どういうところに原因があるのか。もう幾ら言うてもあかんとあきらめたのかどうかわかりませんが、あるいは、この消費税実施後、まあ自分がさきに仕入れたやつにはもうかけないでおこうと。しかし、三カ月以上経過してまいりますと、これから先もそれを業者自身が負担するということが困難になってくる、どうしても転嫁させなければならんということで、数字合わせのために便乗値上げが行われていく可能性が極めて大きい時期に入ってくると思いますので、そういった点をぜひひとつ考慮に入れて、特に物価監視の制度を機能させるように努力をいただきたいと思うんです。
 先ほどの部長答弁では余り便乗値上げがなかったようなお答えをいただいておりますが、一般の消費者の中では、確かに便乗値上げがあったという実感がかなり強いのであります。果たして企画部が設置をいたしました物価モニターによる監視制度が十分機能しておるのかどうか、もう一遍点検をしてもらう必要があるのではないかというふうなことを感じとして持ちますので、その点はぜひ点検をして機能するようにやっていただきたいということを注文しておきたいと思います。
 総務部長から答弁がありましたが、よく聞いておりますと、適正転嫁の責務についてきちんと説明をしたまでだということであります。しかし、私どもから言わすと、それはかなり強力に「このとおりやってもらわなければならん」という行政指導をやられたというふうに聞こえますし、事実、有田郡のある町などは、最初考えていた転嫁取りやめの方向が転嫁をさせられたというふうなうわさすら耳にするのであります。この辺のところは見解の相違もありましょうが、やはり地方自治団体の自主性を尊重するというところに重点を置くのか、決まったんだからそれは実施しなければならんとする法に重点を置くのかというのが、これからの論議の的になっていくだろうと思います。
 土木部長に再質問をいたします。
 まず、お答えの中にありましたが、大きな工事、要するに議会議決を行ったものが、六十二年度、六十三年度の合計で八件あるわけでありますが、その中で、私が調べたところでは和歌山県内に本社を持つ企業は一つもございません。数字の上でいろいろと和歌山に重点を置いているんだと言われておりますけれども、大きな工事については特にそういうことであります。
 そこで、具体的な再質問をするわけですが、共同企業体であります。大手同士の共同企業体が目につくのでありますが、本県内の企業と県外業者との共同企業体の組み合わせ、かつてはあったんですね。龍神スカイラインの当時だとか。よかれあしかれあったわけですが、それがどうも今はないような感じがする。
 それから、海土協について。極めてさらりとやられましたが、海土協は大変問題があって、きのうの新聞ですか、何か関空臨海タウンの六つの工区について全部海土協で仕事を独占してしまった問題が報道されております。
 公正取引委員会から注意を受けたのはきのうきょうではなしに、昨年の話だというじゃありませんか。なぜこれを呼び出して事情を聞くぐらいの神経を持たないのか、そこら辺が私どもが最も憂慮をする点でありまして、県外業者には甘いという風評をここらあたりでぴしっと断ち切るだけのことがなければならんと思いますが、いかがでありますか。
 それから、大手の工事の中でもトンネル工事などは全部県外業者でやります。県内の業者に新しく開発された機械を持たせるように、幾組かの団体をこしらえて協業化をさせてそこで機械を持たすとか、技術者を派遣させて技術者の養成をさせるとか、そういう具体的な取り組みをやって和歌山県内の業者を少しでも育成をして、トンネル工事も大手でなければできんというふうな常識を破らせるというようなことをなぜやろうとしないのか、こういうことを私は強く申し上げておきたいと思うのであります。そのことに対するお答えもいただきたいと思うのであります。
 それから、県内企業で落札させて県外企業へ下請させるというふうな手もあるではないかと私は思うのでありますけれども、そういったことについてお考えを持ったことがないのかどうか。中央官庁からの要請などがあって、こういう大手を特に採用しなければならんというふうな事情もあるのかどうか、そういった点についてもお答えをいただきたいと思います。
 以上。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 最初の方、ダブってお答えさせていただきたいと思います。
 大規模工事でかつ技術難度の高い特定建設工事においては、直面する多くの課題があるわけですが、これを解決しつつ円滑に進めていく必要がございます。そのために、工事を施工するための企画から施工管理、さらに安全管理まで、一貫して高度な技術力あるいは下請に対する指導力が要求されるわけでございます。
 こうした中、技術力の差が大きく開いた者が共同したり、あるいは御提案ありました下請と元請を逆転するというような発注にいたしますと、技術者の適正配置の問題から、県民が求めるだけの立派な公共物として成果物が上がるかどうかという問題がございます。
 また、技術者を大手業者と下請業者がダブって勉強のために配置するということになりますと、採算の面から業者がそういうことを行わなくて、実態としてはペーパー企業の発生を引き起こすことにもなりかねないという問題があるわけでございます。そういうことから慎重に対処する必要があろうかと考えております。
 こうした中、土木部としては可能な限りの分離・分割発注に努めてまいりました。一方で、企業自体としての技術力の向上に努めてもらい、共同化さらには企業合同へと馴致していただくというふうな、技術的により高度な工事への施工能力を上げてもらうということが必要かと思いますが、そのために一層の業者の指導育成に努めてまいりたいと考えております。
 やみカルテルにつきましては、まだ公正取引委員会の結論が出ておりませんので、出次第、対処したいと考えます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──発言時間が終了いたしましたので、以上で貴志八郎君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時十四分休憩
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