平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(那須秀雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 26番那須秀雄君。
 〔那須秀雄君、登壇〕(拍手)
○那須秀雄君 今定例議会は当初予算議会でございまして、初日から大変立派な一般質問を一生懸命聞いてまいりました。まことに聞きごたえのある議会でございました。ここまで参りまして、もう先輩各議員からいろんな御提案、御提言がございましたので、私はいささか毛色の変わった一般質問になろうかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
 「飽食暖衣逸居して教無くばすなわち禽獣に近し」──二千年もの昔、時の権力者、富豪に対して中国の賢人・孟子が戒めた言葉であります。今、二千年の歳月を経て、私たち日本人すべてがこの戒めをかみしめるときではないかと思うのであります。あり余る物質文明の中で人々は物欲に狂奔し、口に文化を唱えながらも、人としての最も大切な本質を忘れ、堕落の潮流に押し流される風潮はないかと、厳しく反省すべきときではないかと思うのであります。少なくとも、政官財界に君臨する人々にとって、まさに心して傾聴すべき重い言葉と言わざるを得ないと思うのであります。
 今、リクルート疑惑の中でうごめいている人たちは、世界的にも恵まれたいわゆる飽食暖衣の階層なのであります。貧しさゆえに罪を犯す、すなわちジャン・ヴァルジャンのようなケースは洋の東西を問わずよくあることでありますが、最高に恵まれた人々がさらにおのれの物欲、権勢欲に目がくらみ、よくもこれほど、ばらまき、危険な金とわかりつつも手を出したものであります。その結果が今のリクルート疑惑とするならば、世の指導者として厳しくおのれを律し、また、人間としての道徳心を忘れ教を怠った禽獣に近い恥ずかしい行為として、責めらるべきことであります。物質の豊かさゆえの堕落と言わざるを得ません。政治不信を招いた今日の風潮は、心の貧困、文化の低さが招いた結果であります。政治改革や倫理綱領などという小手先でぬぐい得るものではありません。けじめをつけ、出直すべきであります。
 さて、和歌山県でありますが、四期十四年、「まごころ県政」を標榜して恩情知事と言われてきた仮谷知事であります。この二年間、知事さんの真正面に座ってお顔を拝見してまいりました。まことに立派な顔であります。これが温顔というのでありましょうか。私も十年たったらこんな顔になりたいなという気をしておるのであります。
 そこで、政治不信で揺れ動く日本国にあっても、少なくとも百八万県民は仮谷志良を信頼し、豊かな心を失うことのない立派な県民性を確立しようではないかと、知事さんのその温顔で呼びかけていただきたいと思うのであります。また、県民の側から見れば高い地位にあるのが県職員の皆さんであります。厳しくおのれを律し、新しい平成の時代を期し、文化の薫りの高い県行政を打ち立てようと職員に対して大号令を発すべきときではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
 「たらい半切りを笑う」という例えがあります。国政に対して厳しい批判をする我々でありますが、少なくとも県政も、また県民からそのそしりを受けるようなことがあってはならないと思うのであります。
 私のおじいさんが教えてくれたことがありました。「カラス黒鳥を責める」という言葉であります。カラスがカラスを見て「お前はカラスと違う。黒鳥や」と言うてつついてつつきまくった。まあ、今の国会における論議を聞いていると、いささかカラスが黒鳥をつついているような気もするのであります。そうあってはならない。我々が国政を責める。その場合、県政は国政とは違う、県民に信頼される立派なものを打ち立てなければならないと思うのであります。
 さて、そこで、おのれ自身を振り返ってみたいと思います。平成元年度の予算案の中では、議会棟の基金の積み立て三億円が上程されております。「議会の権威」──よく言われる言葉であります。議会の権威や議会の品位を高めるのは、入れ物ではなく議員そのものであることを思うのであります。議員としてこの予算を眺めながら、さらにさらに研さんを積まなければならないと思うのであります。
 また、議員歳費のアップも上程されているのであります。百八万県民の中で、県会議員の待遇は決して軽いものではないと思うのであります。その上、与えられた職権、職能、職員の議員に対する気遣い等々、考え合わせると大変なものであります。人は皆、時としておのれを見失うことがあると言われております。多くの県民の負託を受けて県民注視の中で重大な職責を課せられたおのれを思うとき、時としてそら恐ろしくもなるのであります。あふれるばかりの物質文明の中にあって、権力のぬるま湯に浸り、豊かさゆえの堕落に落ち込まぬためには、常におのれの心に警鐘を乱打しつつ、物や金より人としての質の向上に邁進すべきであると、みずから反省するものであります。まさに「飽食暖衣逸居して教無くばすなわち禽獣に近し」と、おのれの心に言い聞かせるべきであると思うのであります。
 そこで、予算案編成に当たって議員歳費アップを上程されたその真意が那辺にあるのか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
 さて、文化であります。
 私は、若いころからたびたび和歌山市を訪れる機会がありました。それは、和歌山市が県都であるからであります。県会議員になって二年間、草深い田辺から和歌山に、言いかえれば、ひなから都に、通い続ける日が多くなりました。ひなから都会へ、都会から田舎へ、人々が文化を求めて移動する中で、私はこの和歌山市で文化の薫りに接することが少し少ないのではないかと思っておるのであります。
 しからば、文化とは一体何なのでありましょうか。ある人は、それは人の幸せをつくることだと言います。ある人は、人々が幸福感を持つことだとも言われております。しかし、人により幸福感というものは、その尺度が異なるものであります。ある人は幸せを物質に求め、ある人は豊かな心に求めるものであります。
 「文化都市の建設」とか「文化国家樹立」とか、耳にさわやかな言葉でありますが、文化とは、一言にして言いあらわせないものであります。文化の定義に思い悩み、幾多、先人の門をたたき、賢人の残した書物を頼ったこともございました。その中で、ある宗教の大家が教えてくれた古い言葉が今も鮮烈に残っているのであります。
 文化とは人がつくり出すものであります。「人は地にのっとり、地は天にのっとり、天は自然にのっとる。自然とは、みずから然あるものなり。その自然から、人から、文化が生まれる。人そのものが文化である」と教えられたことがあります。難しく考えずに単純に考えれば、みずからの態度、立ち居振る舞い、言葉遣いがその人の文化そのものであります。いわゆる「らしさ」というものがその国の、その地方の、その組織の文化を築くものであると思うのであります。すなわち、県会議員らしさというものが、この県議会の文化をつくり出すのであります。県職員らしさというものが、県庁の文化をつくり出すものであります。
 今や飽食の時代、イギリスの服を着、イタリアの靴をはいた紳士、淑女が県庁を右往左往しております。その中でも、やはり「おはようございます」、「こんにちは」という一つのあいさつから文化が生まれるのであります。県庁を訪れる県民やお客に「何々の課はどこにあるんですか」と聞かれたときに「その向こう曲がったらあらいしょ」──これでは、文化の芽生えはないと思うのであります。
 和歌山市の玄関口、JR和歌山駅でタクシーを拾って「三年坂の岡公園の横の議員会館まで行ってよ」と言うたら「おいやん、そこやったら歩いていかんせ」と言われたと、阪部議員が言っております。こんな言葉を耳にしながら、徳川三百年の歴史の殿堂・伏虎の城の偉容もむなしい虚像としか映らないのは、私一人の感想でございましょうか。
 その和歌山で、突如として「万葉の文化を守れ」と新不老橋建設反対の運動が起こるのであります。少し驚いております。むしろそのことより、「望郷五月歌」や「秋刀魚の歌」等、すばらしい歌を残された大詩人・佐藤春夫先生や世界的な学者・南方熊楠先生、合気道創始者・植芝盛平先生、つい先ごろ亡くなられた文学者・有吉佐和子さんなど、偉大な文化人を生み出した土地柄であります。この偉大な先人たちをさらに顕彰し、思い起こす機会を多くすることが本県文化の高揚に欠かせないものでないかと思うのであります。どなたか、文化の高揚、文化についてお教えを願いたいと思いますが、いかがでございましょう。──まあ、文化担当の公室長にお願いをいたします。
 新聞は、その国、その地方の文化のバロメーターだと言われております。「文藝春秋」では日本の新聞に対して手厳しい批判を加えておるのも見聞きしておるのでありますが、総じて、日本の新聞は世界的にも立派だと思っております。特に文化面、スポーツ面で果たしてきた役割は、あの朝日新聞の高校野球を世界的なイベントにまで定着させるほどの力があるのであります。
 地方においても同じであります。私は、県下の他の地方のことは余り詳しくは存じませんが、例えば田辺地方には、戦後、早川崇先生を社主として復刊された、長い歴史を持つ紀伊民報社があります。これは、田辺地方の文化とともに歩んできたと言っても過言ではないと思うのであります。
 ちなみに、同社が文化・スポーツ面で主催・後援している事業について拾ってみたのであります。例えば、紀南地方で既に定着した紀南八高校春季・秋季野球リーグ戦、中国書画名宝展、和歌山独立美術クラブ展、近畿剣道大会──これはもう三十六回の歴史があります──映画「火垂の墓」、わんぱく祭「雪の祭典」など、昨年一年間で三十一の文化事業をしておるのであります。
 また、一昨年創刊された紀州新報社も非常に意欲に燃えております。田原総一朗先生を迎えての市民文化講演会、是川銀蔵講演会、全国経営者大会──これは東京でやっています──平和を考える映画と講演の夕べ、市民健康講座──これは年に十六回やっています──これらすべてで二十三回。これら両方合わせますと四十四回の文化事業がこの二つの新聞社によってやられておるのであります。まさにこの二つの新聞は、田辺地方の文化を守る灯であります。
 それにいたしましても、県都を中心としたこの地方に、文化事業を主催し、後援し、地方文化の高揚に貢献できる県紙的な存在のないことはまことに寂しい至りであります。関西国際空港の開港を迎えて、和田先生は国際都市への脱皮を大きく訴えておられます。マリーナシティの建設で文化都市・和歌山への脱皮をしようとしているところであります。非常に優秀なジャーナリストが大勢おられるのに、なぜ県を代表する県紙がないのでしょうか。
 私は、今こそ、和歌山、和歌山市の文化のルネッサンスのときだと考えるべきであります。ルネ新聞、ルネ文化と、私は思います。「あっしにはかかわりのねえことでござんす」というふうな顔をして済ませていいのでありましょうか。政界人、財界人、ここで立ち上がる人があることを心から期待いたしたいと思うのであります。これは、答弁せえと言うても無理やと思います。答弁は要りません。言いっ放しであります。
 さて、次に参ります。次も、文化であります。
 知事は、本県政策の大きな柱としてリゾート開発による県勢の活性化を目指し、燦黒潮リゾート開発に向けてまっしぐらに進んでおられますが、その中で一つ気にかかる点があるのでございます。日本列島総リゾート化の熱の中で、論議されているメリットの大部分は経済浮揚であり地域活性であります。ややもすると、文化の高揚、豊かな心の涵養ということが忘れられているのではないかということであります。
 リゾートとは、もともと、物質文明に飽き足らず、都会の喧騒を逃れて地域の文化や歴史、風土、心のぬくもりに接することを求める場を提供することではないかと考えるのであります。その目的が経済浮揚、地域活性の一点に絞られておると、リゾートを求める人々に後から「こんなはずじゃなかったのに」と言わせることになりはせぬかと心配するのであります。
 田辺市では、丸紅リゾート構想の実現を目指すとともに、学術文化ゾーンの設置の構想に取りかかっているのであります。リゾートの成功は、学術文化ゾーンの並立にこそ負うところが大であると考えている田辺市の方針は誤っていないと思うのでありますが、当局としてはどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 また、学術文化ゾーンの目玉として大学の誘致を考えておられるのであります。大学は大都市、地方都市──まあ田辺あたりはせいぜい高校やのというような古い発想を一大転換して、魅力あるリゾート地・田辺に大学の誘致を目指す心構えはないか、お聞きいたしたいと思います。学生の都会志向や教授陣の充足の困難さ等、いろいろな問題が山積しておる中ではありますが、考えようによっては、リゾートなればこそ立地が可能なものもあるのではなかろうかと思います。
 例えば、堀本議員の提唱のように、白浜・田辺地域の実情に合致したユニークなもの、例えばリゾート産業大学などというものを考えたらどうかということを提唱いたしたいと思うのでありますが、知事の所見を承りたいと思うのであります。
 最後に、農政についてであります。
 農政問題につきましては、先輩各議員より多くの意見が出され、集中されたように思いますので、私は二点だけ提言申し上げたいと思います。
 ミカンの改植については、県議会の果樹議連や農林水産常任委員さん、知事初め農林水産部当局の大変なお骨折りで改植助成金の予算を獲得されました。その御労苦には心から感謝を申し上げたいと思います。──ここから向こうは言うなと言われてあるんやけども。
 ミカンの改植補助金制度。私はやっぱり、ここへ来るまでに解決するのが農政だと思っておるのであります。せっかく生産意欲に燃えてつくり出した作物を、切ったらお金を上げます、お金を上げますから切ってくださいなどというのは、およそナンセンスであります。それから見れば、貿易赤字という言いがかりをつけて他国に自国のオレンジを押しつけてくるアメリカの農政の方が正しいと思うわけであります。国の農政としては正しい。
 それにしても、本県は我が国でも最も古いミカンの産地であります。紀伊国屋文左衛門の昔から聞こえたミカンの国であります。老木園の不良品種から優良品種への転換に対して県単独事業でもって助成をされている措置は、ミカン王国紀州を守る気骨に満ちております。高く評価するものであります。
 紀南地方(南部、田辺、西牟婁)でミカンの改植が進む中で、転換作物のほとんど、南部などは一〇〇%、梅への改植が進んでおるのであります。改植転換で梅に転換されるものが、三地区合わせておよそ三百町歩あると考えられております。この地方の梅は、世界一優秀な梅干しができるのであります。しかし、梅干しにも需要に限度があると思います。ここ三年、不作続きで梅干しの引き合いは続いておるのでありますが、ミカン転作の梅が成木となり、梅の習性である何年か続けての豊作が続くと、生産過剰になるのではなかろうか。
 そこで、ジュース等への加工研究の取り組みが必要であると思うのであります。また、ジュース会社やドリンク会社等、企業が既に食指を動かしているということも聞き及んでおります。ジュース工場を生産地に誘致することは、雇用の拡大でもあり、地場産業の育成でもあります。これは、地場産業ということになりますと商工労働部の方ですが、産業対策としてこのジュース工場の産地への誘致についていかがお考えか、お聞かせを願いたいと思うのであります。
 次に、「ことしも梅は不作やよ」、こういう声が聞かれます。暖冬異変で花が早く咲いた、あるいは花しんがなかった、ハチの飛ぶのが遅かったとか、いろんなことが言われておりますが、梅という作物はまことに難しいものであります。ミカンは、神奈川県から沖縄に至るまで既に産地化されておる作物でありまして、その研究、肥培技術は既にでき上がったものであります。
 梅は、これからの産業であります。したがって、この技術確立が必要ではなかろうかと思うのであります。農林水産部として、この梅の技術の確立、生産安定のために何とか、県、農協の指導者、生産者でお互いに持ち寄った技術、知識をもって生産安定を確立するための対策はないものでありましょうか。
 例えば、実験圃場。お金はそんなにかかりません。実験圃場をつくり、人の交流の中で確立していくという気構えはないのか、農林水産部長にお伺いをいたしたいと思います。
 本日用意をいたしましたテーマは、これだけであります。知事は、少年のころに学んだ学校にこんな歌があったのを思い出していただきたいと思います。「浮世の風は荒くとも、世も揺るがしな我が心、花は都に美なりとも、実るまことはひなにあり」──日本国でリクルートのあらしが吹き荒れておりましても、和歌山県では立派にまごころ県政が実るんだという、ひとつ確信を持って、自信を持って御答弁をお願いいたしたいと思います。
 終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの那須秀雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 那須議員にお答えいたします。
 近年、経済優先、物質の時代から心の時代へと移りつつあるわけでございますが、そうした中での県職員に対する姿勢の問題等でございます。
 お話のように、物が豊富になり生活も安定してきた反面、心が貧しくなっている点、私も同感でございます。私は常々、文化を初めとして産業、健康、福祉、あすの和歌山の創造は、何といっても人材、人にあるんではないかと思っておるわけでございます。また、県政を行う場合においても、県の指導力を発揮しなければならないという点からも、県庁職員の占める比重というものは非常に重要なことでございます。
 そうした面から、県政を行う者の心構えをはっきり持つように申しておるわけでございまして、まごころ県政をもって、県民の立場になって県政をともに推進していくという気概を持っていかなければならないと思います。
 特に、国際化、技術革新、長寿化といった変化の激しい時代でございますから、研修を積み重ね、自己を革新し、未来を先取りする能力がより一層県職員に求められていると思うわけでございます。そうした意味において、現在、県職員打って一丸となって努力しているところでございますけれども、なお一層そうした面について、自重自戒しつつ県政の推進に努めてまいりたいと思います。
 それから、議員の報酬でございますけれども、議員としての活動、社会的役割の重要性、また県の財政状況、物価水準の動向等を総合的に勘案したものでございます。昨年の二月に特別職報酬等審議会から答申を受けたんでございますけれども、本県の諸情勢にかんがみ、実施を延期してきたところでございます。しかし、その後の諸情勢の変化もありましたので、今回、新年度から答申のとおり改定をお願いしているところでございます。
 次に、文化とリゾートの問題でございます。
 お話ございましたように、リゾートとは、一般に「自然環境が豊かなところで滞在してスポーツや芸術その他に親しみ、より生活を楽しむところ」と言われており、リゾート法もそうした観点に立っているわけでございまして、田辺が現在進めつつあるリゾートについても、私は敬意を表するところでございます。
 したがいまして、リゾート地域と芸術・文化機能との一体の問題も考えられるわけでございまして、お話ございました大学誘致の問題等、リゾート地域で何をするかという問題もあるわけでございます。
 ただ、大学誘致ということは非常に厳しい問題であって、私の知事在任中も、近大の誘致、短大を御坊から和歌山へお願いして持ってきた程度で、相当いろんな難しい点がございます。やはり地元の市町村の熱意ということが大きな影響を持つと思うわけでございまして、そうした面において市町村ともども、大学誘致について、田辺市等においてございましたならば努力してまいりたいと思っておるところでございます。
○議長(西本長浩君) 知事公室長市川龍雄君。
 〔市川龍雄君、登壇〕
○知事公室長(市川龍雄君) 文化とは何か、偉大な先人たちを顕彰することが文化の高揚に欠かせないと思うがという質問でございます。
 御指摘のように、文化を定義づけることは非常に難しく、人々の価値観の相違により千差万別でございます。しかし一般的には、人間が心豊かな人間として、安定・快適な生活を営む上で必要なものを文化と言うのではなかろうかとも考えてございます。
 本県は、熊野、高野などの伝統文化を有しており、また伝統産業、豊富な文化財、南方熊楠翁、華岡青洲先生などに見られる人材など、すぐれた文化や産業を生み出してございます。このような風土、伝統を守り育てていくことが私どもに課せられた責務でもございます。
 中でも、本県が生んだ偉大な先人を顕彰することは極めて大切でございます。現在、本県が生んだ世界的偉人・南方熊楠先生を顕彰するために白浜町に記念館を設置し、その偉業を紹介してございます。また、新宮市においても佐藤春夫記念館の建設が進められ、さらに田辺市においては、昨年八月、植芝盛平先生の功績をたたえる国際合気道大会が盛大に開催されまして、その顕彰像が建立されたところでございます。
 このように、県内各地で偉大な先人を顕彰する機運が大いに盛り上がってきてございますが、こうした動きが本県の文化の向上、ひいては本県の活性化につながるものと認識いたしまして、今後ともそのための施策推進に、また町づくりや人づくりに、市町村、各界ともども協力しながら、さらに努力をしてまいりたいと考えてございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 果樹生産地へのジュース工場などの誘致についての御質問にお答えします。
 議員のお話にもございましたように、ジュース工場などを生産地に誘致することにつきましては、地域の一次産品を原材料とする産業振興あるいは雇用開発の面から大変有効な施策と考えられますので、これまでも企業誘致等に努力をしてきたところでございます。
 最近でも、有田地方に食品工場を誘致し、また西牟婁地方においても食品工場の立地を見ているところでございまして、このほかにもジュース工場等、食品関連企業の引き合いもなお現在あるところでございます。
 しかし、この果実等の加工については、原材料の定量確保、ある程度決まった量をコンスタントに確保できるかといった問題、あるいはその工場が一年を通じての操業ができるかどうかといった問題、あるいは生産の調整などのいろいろな課題もあるところでございますが、こうした企業の誘致については、地元関係団体等の受け入れ態勢、原材料の供給体制等を十分に見きわめるとともに、企業誘致による工場設置が適切なのか、あるいはまた地元の農家、農協等によるいわゆる地場工場の育成方式が適切なのか、そういったことについて農林水産部とも十分な連携をとりながら、地元市町村ともども検討の上、地場産業創設のためにも適切な対応をしてまいる必要があると考えているところでございます。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 議員お話しのとおり、梅はまだまだ研究課題の多いことも事実でございます。そのため、これまでも果樹試験場において、生産の安定向上のために、ミツバチによる受粉や結実の安定技術の開発及び青梅の鮮度保持のための予冷技術の確立を図ってまいったところでございます。さらに、昭和六十二年六月に御坊市に開設をした県暖地園芸総合指導センターに新たに梅の研究部門を設置するとともに、実験園で栽培技術の確立に鋭意取り組んでいるところでございます。今議会には、緊急度の高い新技術としての人工授粉技術の確立やバイオテクノロジーによる優良台木の育成などを研究する経費をお願いしているところでございます。
 なお、技術指導については、農林水産技術会議果樹部会で研究機関を初め普及所、農協技術員等、関係者による検討を行い、取り組みに努めているところでございます。
 議員お話しの実験圃場については、暖地園芸総合指導センターを核として、産地の圃場を活用して今後取り組んでまいりたいと存じているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 26番那須秀雄君。
○那須秀雄君 文化論議というのはもうこんにゃく問答みたいなものでありまして、できたらもっとこう、肩凝らんと、リラックスしていろいろ話を伺いたかったなと思いますけれども、これはもうやむを得んと思います。無理な注文やと思います。また後で教えてください。
 そこで、知事さん、これはけさの読売新聞の和歌山版です。ふるさと創生基金一億円の第一号ですが、南部川村が梅研究センターをつくるということが発表されております。すばらしいことやと思います。やはり梅の産地、梅で生きる村の心意気が感じられて、大変立派なことやと思うわけであります。
 ここらをやはり、南部川村だけに任せて放っておかんと、和歌山県もお手伝いをしながら──これはもう一つの村のことだけではありませんから、紀南の産業のために県も力を入れて一緒になってやっていったらどうだろうかなと、こういう提案でございます。これだけ申し上げて、終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で那須秀雄君の質問が終了いたしました。

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