平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(尾崎吉弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時六分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 産業廃棄物については、最近、特に各議員の関心の深いところとなっておりますことは御承知のとおりでございます。
 産業というものは生き物でございますから、エネルギーを出して産業として企業として活動する。当然その排出物というものが出てくるわけでありまして、産業廃棄物を企業活動そのものとして、あるいは不可分のものとしてとらえなければならないと思うのであります。もちろん、産業廃棄物に関しては、企業の責任においてこれを処理するということになっておるわけであります。この法に定められておる趣旨は企業も十分認識をしておらなければならないし、その認識の上に立った行政でなければならないということは当然のことであります。
 企業がどの場所で企業活動をするか、どの場所が自分の製品をつくり出す工場としてふさわしいかということは、もともと企業が独自で自由に決めるべきものであります。しかし、我々は企業誘致ということをやっておるわけであります。企業が、みずからの責任において場所を決める。その企業に対して和歌山県は、あなたの企業活動をするのには我が県は適しておりますよ、同じ企業活動をするのならば我が県に来てくださいというのが企業誘致でございます。そこで、企業の生産活動や営業活動の中から排出される産業廃棄物についても、先ほど申し上げた産業廃棄物は企業みずからの責任において処理をするということを十分に踏まえながらも、その処理をする責任を感じた企業が責めを果たせるような機構をつくる、責任を果たすことができるような和歌山県にしていくと、こういう努力は当然あってしかるべしだと思うのであります。言いかえますと、種類は違っても企業活動に産業廃棄物は大なり小なりつきものである。したがって、企業を誘致したり地場産業の足腰を強くするということは、産業廃棄物の処理に強い県にするということと同じであると私は思うのであります。
 こういった点から考えまして、産業廃棄物の処理に強いノーハウを蓄積した県はそれだけ企業誘致に力を発揮することができますし、地場産業の足腰を強くすることもできると思う観点から、今後、産業廃棄物のあり方をどのようにしていくか、まずこの大きな課題に対して、知事及び関係部長のそれぞれの立場におけるお考えをお示しいただきたいと思うのであります。
 さて、我が県においても、こういった時代の流れに即応した産業廃棄物の重要さを認識していただきまして、今までもいろいろと御努力をしていただいてきておるわけでありますけれども、今回、クリーン・ジャパン・センターというところに調査を委託いたしました。これからの対策はどうあるべきかと、こういう観点から委託調査をしておるようであります。まず、このクリーン・ジャパンに調査を委託した項目をできるだけ具体的にお教えいただきたいのと、もう既に回答がほぼでき上がっておると思いますので、この回答の概略などお聞かせいただければと思うのであります。
 次に、御存じのように、我が和歌山県には産業廃棄物の上で大きな役割を果たしているものがございます。それは、環境保全公社であります。この環境保全公社を通じて、住友金属の埋立地に一般廃棄物、産業廃棄物の基準に合致するもののみを廃棄して埋め立てておるという事実は、皆さん方御存じのとおりでございます。住友金属と環境保全公社、こういう形の中で和歌山の廃棄物が処理をされてまいっておりますけれども、この両者の契約というものは平成八年八月で切れることになっておるわけであります。そういたしますと、当然それ以後はどうなるのかということになるわけでありまして、平成八年八月以降の最終処分のあり方について、ここでお伺いをするゆえんであります。
 クリーン・ジャパンから出てきた回答、当然こういうものを参考にして当局はこれからのあるべき姿の検討に入っていくことであろうと思うのであります。この未来への対処の前に、まず現状の把握ということが極めて大切でございますけれども、今、産業廃棄物は企業、産業の中でどのように扱われているのか、その実態をどのように把握しているか、また時代とともに廃棄物はどのような変化の仕方をしていくのか、その予測をお伺い申し上げるものであります。
 次に、環境保全公社の果たしておる役割は大変大きく重要でございます。ここに受け入れ基準というのがございまして、この受け入れ基準に合致しないものは受け入れてくれませんから、当然、住金の埋立地に持っていくことができない。そういった、持っていくことのできない、基準に合わないものをどうするのかということでございます。
 これらをその基準に合うように処理をして、そうして基準内におさめたものを環境保全公社を通じて埋立地に持っていくということにしなければならないわけでありますけれども、その基準に合わせるための処理をするところがない。すなわち、中間処理場というものが我が県にはないわけでありまして、やむなく収集運輸業者に委託して、岡山県とか広島県あるいは隣の奈良県に持っていっておるというのが事実であります。
 そこで、こういった我が県の現状にかんがみまして、実は過去にもこうした中間処理場をぜひとも我が県につくらなければならない、こういう民間の自主的な動きもあったわけでありまして、海南市の藤白に中間処理場をつくろうと試みたことがございました。ところが、これがうまくいかなかった。私なりにその理由も調べてみたわけでありますが、この中間処理場がどのような過程でうまくいかなかったのか、今後のためにできるだけ詳しくお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 そしてまた最近では、進んだ県は、そのリサイクル、汚泥の減量化、エネルギーの再利用、こういった一連のことをやっておるわけであります。
 いずれにいたしましても、産業廃棄物は企業みずからの責任において処理するということになってはおりますし、その責任を果たせるように県や市も一緒に考えてあげる、こういう態度がどうしても必要な時代になってまいっておりますけれども、その認識はどのように持たれておるのか、そして中間処理場施設の緊急的な必要性についてどう考えておられるか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 先ほど、海南の藤白で中間処理場を建設しようとしたがうまくいかなかった、こういうお話をさせていただきました。この中心となられた方は非常に気の毒であったと思うのであります。多額の投資をされた。ですから、将来の和歌山県の中間処理場建設の計画の中で、かつて試みをしようとした人たちの善意を生かしてあげるような工夫もしなければならないと思うのでございます。
 このうまくいかなかった理由の一つとして、数字の上では各企業の実態を調べて中間処理に回さなければならないものはどれくらいあるだろうということを計算いたします。そうすると、このぐらいあるから処理場としての採算が十分合うであろうということで始めたけれども、その二割、三割しか集まってこない。それでは、実際それだけなかったのかというとそうではない。量としては予測どおりあるのだけれども、それを即、我が県内の中間処理場に持ってくることができなかったことがその大きな原因であったと思うのでございます。
 なぜ、そういう結果になったのか。これは、いろいろと言われておりますけれども、いわゆる収集運搬業者と企業とのしがらみとでも申しましょうか、長い間「非常に困る、これを何とかしてくれ」という中で、収集運搬業者と企業との間に両者でないとわからないような秘密──と申し上げると語弊があるかもわかりませんけれども、よい意味ではお互いに助け助けられつつ築いてきた関係というものがある。今ここに中間処理場ができたからと言って、これをやめてすぐそっちへ持っていくというようなことはちょっとおかしいのではなかろうかと、当然こうなってくるわけであります。
 こういった収集運搬業者と企業とのしがらみというものは大変難しい問題でございまして、その間に、暴力団や暴力団的関係があるといううわさも聞いたりいたします。そうだとすれば、そういった背後関係を清算して、安心して中間処理場に持っていける背景というものをつくり出していかなければ、設備、機械をいかに立派につくっても機能することができないと、こういうことになってくるわけであります。
 海南でやろうとして試みを立てられた方によりまして──その方が失敗されたことは大変残念でございますけれども、うまくいかなかったおかげで、なぜうまくいかなかったかという理由がわかったわけであります。その理由は大変難しいですけれども、中間処理場ができればみんなで協力をしてそこに安心して持っていけるようにしなければならない。ただしその場合も、産業廃棄物の処理は企業みずからの責任において行うという原則を尊重しながら、行政のバックアップを考えてもらいたいと思うのであります。
 先ほど申し上げましたように、他府県では中間処理施設の活用によって、集まってくる泥の量を少しでも少なくする、廃プラスチックの再利用、リサイクル系統の確立、熱エネルギーとしての有効利用というものがもう既に実施されております。こういう他府県の実態について、この際、勉強されておればお教えをいただきたいと思います。
 そういったものやクリーン・ジャパンの回答を参考にしながら、そしてまたこれからつくる公害対策本部というものの中で十分な議論をしながら、産業廃棄物への対処方を検討してまいると思いますけれども、担当部長にその意欲のほどをお聞かせいただきたい。また、そのためにどのような組織をつくろうとしているのか、お教えをいただきたいと思うのであります。
 現在、社団法人和歌山県産業廃棄物協会というのがございます。この社団法人和歌山県産業廃棄物協会というものがせっかくあるのだから、ここをしっかりと充実していただいて、来るべき中間処理場の建設あるいは産業廃棄物全体の対処の中で、民間として大きな役割を果たしてもらうような団体になっていただけるように、今から社団法人そのものも努力をしていただかなければならないし、行政の方も指導、助力をしていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、この社団法人和歌山県産業廃棄物協会の結成の動機、組織、メンバー、役員、現在やっておる事業内容、こういったことについてお教えをいただきたいと思います。また将来、中間処理場を建設していく場合に、この社団法人がどのような位置づけになってくるのか、こういうこともお教えをいただきたいと思うのであります。
 次に、ちょっと具体的な話に入ってまいりますが、先ほどから申し上げておりますように、中間処理場というものは他府県でもやっておりますが、これから出てくる二次公害はどの程度のものであるのか、お聞かせをいただきたい。私の聞いたところでは、そのものからはほとんど公害は出ないと聞いておりますが、それは事実かどうか。
 しかしながら、この場所をどこに設定するかとなると大変難しい。まず、場所を探す前に、どれぐらいの面積が要るのかということを教えていただきたい。これも、いろいろな形でどんな組み合わせでやるのかケース・バイ・ケースによって違うと思いますけれども、海南の藤白でやろうとされておったような規模であれば、まずどのぐらいの面積が必要であるのかということを教えていただきたいのであります。
 私は和歌山市におりますが、こういったものはなかなか、よっしゃ、うちの地区に持ってこいと言うてくれるところが少ないわけでありますが、実際に二次公害がないものとすれば──いろいろと苦労しながら、住民の方の御協力もいただいて青岸にできた和歌山市清掃工場は、住民の方々の御理解の上に立って、あの地区から他の地区へ移っていただいた。大変な御協力をいただいたわけであります。ああいった場所について、和歌山市とも十分話し合う、あそこに残っている南海化学とも十分話し合う、そういう中でいろいろな面に活用していくということもこれからの対策の中に入れてはどうかと思うのでありますが、御意見をお伺い申し上げたいと思います。
 次に、紀の川利水について。
 紀の川利水については、仮谷志良和歌山県知事の大変な決断、勇断によって協定が交わされたわけであります。しかしながら、この水問題ほど県民の間に理解されにくい、また理解されておらない問題はないのではなかろうか。タクシーに乗りましても、「紀の川の水、大阪へ持っていって、なんか和歌山にいいことあるんかい」と、こういうような式で、なかなかこれが本当にこれからの和歌山県発展の礎になるという理解が得られないわけであります。それだけに、地味な問題でございますけれども、正しい理解をしてもらうために、県行政の県民へのPRが一番大切ではなかろうかと思っております。
 まず一つは、大阪に分水するとかしないとかにかかわらず、治水の上から紀の川大堰というものは絶対に必要であるんだ、そうして和歌山市水道局の水の安定のためにも必要であるのだ、こういった最初の認識すら市民、県民の方に持っていただいておらない。その上に大阪への分水というものがあるということ。こういった非常に基礎的な問題についても、「県民の友」その他いろいろな機会を通じて十分御理解をいただくように努める義務がある。少なくとも、我々の祖先が営々として守ってきた紀の川、その紀の川の水の一部を流域外に出すわけでありますから、そのことによって和歌山県の発展の大きな礎ができておるんだということをしっかりとわかっていただくことが非常に大切であります。
 私どもの議会といたしましても、当時、水資源対策特別委員会において、水を渡す方の側が衰えて、もらった方が栄えるというようなことは許されない、水を渡したところも、もらったところもともに繁栄をしていかなければならない、むしろ、もらったところは、自分たちだけがよくなったのではないかという反省をしながら、渡したところの発展のために協力をしてもらうという基本的な姿勢がなくてはだめである、こういった主張をいたしました。
 「川は国を分かち、水は人を結ぶ」と言います。川があることよって、向こう岸との連絡がなかなか難しい。しかし、水によって人は結ばれる。大阪と和歌山県という県境はありますけれども、水によって結ばれた大阪の南部・泉南地区と紀の川流域は経済的にも一体である。水を渡したところの力が衰えていって、もらったところがだんだん元気になってくるというようなことが、万に一つもあってはなりませんぞということが私たち委員会の主張したところでございます。
 実は、この理念に貫かれて、紀の川大堰、紀伊丹生川、紀の川水源地域対策基金、府県間道路の促進、加太岬スカイライン構想というものがあったと思うのであります。そうして、大阪と交わしたいろいろな約束が確実に着実に守られているかということを見守りながら、なおかつ大阪南部と紀の川流域が一体となって発展していくために何をしなければならないか。少なくとも、お互いに足を引っ張るようなことがあってはならない。例えば、マリーナシティを和歌山で計画しておるのに、よく似たものを大阪の南の方でやる。それが、お互いに相乗効果を持って一体化して大きくなり、関東や他の地区に対抗できるものであればいいですけれども、足の引っ張り合いになるようなものをつくられては困る。
 ですから、この大阪南部と紀の川流域は、お互いの役割を十分話し合って、それぞれの持つプロジェクトがどうすれば相乗効果を生み出すことができるかということを話し合っていく組織をつくらねばならないということについて、協定以前に大阪の水対策特別委員長さんと両当局を交えた中で約束をしたわけであります。そうして、そのための組織を遅くとも昭和六十五年──昭和の代から平成に変わりましたけれども──平成二年までには発足するようにするという約束を交わしております。聞くところによりますと、その準備会が昨年の年末からできておるようでございます。
 これを、仮に紀泉地域総合整備に係る組織と呼ぶといたしますと、この組織づくりのための今日までの当局の努力の経過、今、私が申し上げたように、紀の川利水を通して一貫している理念をこの場所でどのように実現していくか、そこで何をするのか、泉南と紀の川流域が持つそれぞれのプロジェクトが相乗効果を生むのには何が必要であるのか、こういったことについて、リードしていく側である和歌山県としての考え方をお話しいただきたい。
 なぜかと申しますと、これは損得でいくならば大阪側は金の面だけでいくと得にならない、和歌山の熱意によって引き出した約束でありますから、和歌山側の主体的な意欲、見識というものが必要であるからお伺いをするわけであります。
 次に、財団法人紀の川水源地域対策基金についてであります。
 これは、二億五千万というお金をもって基金としておるわけであります。国からは五千万円、大阪、和歌山、奈良三府県で二億円を出しておるわけであります。そうして、和歌山と大阪との間に交わされた基金百七十億円はここに入って、ここを通して和歌山に入ってくる。このお金を、紀の川流域の発展ということに焦点を当てて、どのように使っていくかということは大変重要な問題であります。それだけに、当局としてもいろいろと検討されておるようでありますから今回は質問をすることは避けたいと思いますが、この基金の使用範囲はどんなところに使えるのか。
 と申しますのは、これは県民の皆さん方にも御理解をいただかねばならんと思いますけれども、大体、基金というものは、十年以上前までのを調べてみると一億とか二億とか三億とかという、今から言いますと見舞い金程度のようなお金で片がついておりまして、それらを飛び越えてぐっと大きく伸びたのは琵琶湖であります。琵琶湖では一トン当たり十五億円ということで非常に注目され、新聞にも報道されたわけであります。
 我が県の場合は四トンで百七十億ですから、トンに直しますと四十二億五千万という金額になるわけであります。百七十億というと当たり前のように思うかもわかりせんけれども、それを大阪側と交渉してきた当局の並み並みならぬ努力というものは、特に我々特別委員会に籍を置いておった者はよく知っておると思うのであります。それだけに、この基金をどのように活用していくかということは非常に大切な問題であります。今まで、基金というものはごく限られたことにしか使われておらない。しかし、これを自主財源と同じような使い方をさしてもらえれば、そのお金を国やいろいろな協力を得て二倍にも三倍にも使える。こういうふうな使い方のできる工夫をしてもらわなければならない。百七十億が三倍に使えると、大変大きな力を持つわけであります。
 例えば、府県間道路。これも、紀の川の水が大阪に行くということによって交わされた大阪とのかたい約束であります。これも県民の方々は余り知ってくれておらないんですけれども、ほうっておくと大阪側の整備は二十年かかるというものを、この水をてこにして半分の十年でいけと、簡単に言うと、そういうような約束がなされてきたわけであります。この府県間道路の整備の部分は大阪側の方がはるかに長く、面積も広いわけなんですが、それでも和歌山側も幾分あるんですね。大阪に比べるとはるかに少ない和歌山県側ですけれども、自主財源力の少ない我が県にとっては大変痛い。
 そこで、府県間道路の和歌山県側の部分にも、こういった基金を三倍にして使えるような形になっておるのかどうかお伺いをしたいのであります。
 最後に、この議会でも、紀の川利水によって生み出された加太岬スカイライン構想について質問がされたわけであります。
 平成元年で、大阪と共同で調査を進めていくという予算が組まれておる。調べてみますと、今回の予算に三百万円計上されているようであります。したがって、大阪側も当然三百万円組まれておるだろうと思います。合計六百万円で調査をするということであります。恐らく、どこかに一括して委託することになると思うのでありますが、そういう形になるのかどうかということと、どんな調査をするのか、その調査の具体的な手法について一歩踏み込んでお教えをいただきたい、かように思うわけであります。
 産業廃棄物、紀の川利水協定のその後ということで、今回の質問をさせていただきました。第一回目の質問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 産業廃棄物の処分のあり方の問題でございます。
 お話ございましたように、産業廃棄物は、原則として排出業者の責任において適正に処理すべきと存じておるわけでございます。
 本県は、南北に細長い県でございます。また、地域によっての業種に差がございます。そうした点を踏まえるとともに、おっしゃいました排出業者の責任においてということを根本に置いて、県として、地域、産業に応じての指導体制をとってまいりたいと思っております。
 現在、話ございましたように環境保全公社がございまして、紀北地域の産業廃棄物処理を行っております。そしてまた、フェニックス計画というのがございます。これは、大阪湾において廃棄物を埋め立てようとする計画でございます。紀南においても廃棄物の問題があるわけでございますけれども、地元の市、業者等と十分相談させていただいて、今後ともその対策を進めてまいりたいと思っております。
 次に、紀の川の利水協定については、議会の皆さんに大変御厄介になりまして締結したわけでございます。
 先ほども話ございましたように、この紀の川の水についてもう少し理解を得るために方策を講じなければならないということ、まことにごもっともでございます。私たちも、そうした点においてなお一層努めていかなければならないと存じておるわけでございます。
 協定の締結後において、紀の川大堰の建設が図られることになったわけでございます。この紀の川大堰についても、水をやるためにつくるんじゃないかというふうな意見もありますが、これは治水上のためにできたわけです。
 けさほども村岡議員から話ございましたように、二十七年のあの大災害は何で起こったのか。あれがあったために紀の川大堰をつくらなければならなかった。そうしたことがまだ十分理解されておらない。また、紀の川には災害が起きた場合、遊水地帯として水につかって沈む田畑があったわけでございます。そうした遊水地帯が、今度はなくなろうとしております。
 紀の川大堰問題についても、私たちも責任を感じておるわけでございますけれども、建設促進が決まりました。また、丹生川ダムの実施調査、これも本年から計画されているわけでございます。
 そしてまた、紀の川水源地域対策基金が昨年の十一月に発足いたしました。お話ございましたように、この基金をいかに使うかということでございます。
 現在、紀の川流域の発展のために、府県間道路の問題、農業問題、環境整備の問題等、流域の発展のために進めていかなければならない事業があるわけでございます。そうした事業を、この基金をもとにして何倍もの効果を発揮するようにせよということでございます。そうした形において進めなければならないわけでございます。
 そしてまた、お話ございましたように、特に特別委員会の皆さんの大変なお骨折りによって大阪府と和歌山県とで協定を結んだ紀泉地域の一体的な開発を図るための組織を積極的に進めております。水をやる方、もらう方のお互いが、その地域の発展をいかにするかということで、現在、内部で先行的に進めておるわけでございまして、近くそれを組織してまいりたいと存じておる次第でございます。
 詳細については関係部長から答弁させていただきます。
○副議長(山本 一君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 産業廃棄物の処理に関する御質問にお答えを申し上げます。
 まず、クリーン・ジャパン・センターでの調査項目と結果概要でございます。
 六十三年度において、財団法人和歌山環境保全公社がクリーン・ジャパン・センターに委託して調査を実施いたしております。調査項目は、県下の産業廃棄物の排出状況及び処理状況、排出実態を踏まえた今後の処理対策についてでございます。また、その結果については、現在、最後の取りまとめをしているところでございますが、産業廃棄物の排出状況及び処理状況については、県の長期計画に合わせて定住圏別に集計、推計及び将来予測を行っているところでございます。また、今後の処理対策については、かなり理想的なものでございますが、処理、処分、再資源化に対する基本構想、環境保全公社の今後のあり方などについて取りまとめを行っているところでございます。
 次に、平成八年以降の廃棄物の最終処分場確保対策についての御質問でございます。
 議員お話ございましたように、現在、和歌山北港埋立地を利用して環境保全公社が廃棄物の最終処分業務を実施しております。県といたしましては、現在、産業廃棄物処理の基本となる和歌山県産業廃棄物処理計画の見直しを行っておるところでございます。県の公害対策審議会に諮問を行いまして、近々答申を受けることとなっております。
 御指摘の八年以降の処分場の確保については、この答申をいただきました後、庁内の公害対策本部会議において鋭意検討を行ってまいるとともに、環境保全公社に対してもその対策について検討するように指導してまいりたいと考えております。
 三点目の、産業廃棄物処理の実態についてでございます。
 処理の現状については、排出事業者において脱水、破砕等の中間処理を行い、そのほとんどは財団法人和歌山環境保全公社の方で処分をされております。
 なお、環境保全公社の受け入れ基準に合致しないもののうち、有機性の汚泥などについては他府県の許可業者に処分委託をしている現状でございます。
 産業廃棄物は、時代とともに質量とも変化していくものと考えられますが、今後は発生量の抑制、有効利用の促進等が図られていくものと考えております。
 次に、中間処理施設の必要性等についての御質問でございます。
 環境保全公社の受け入れ基準に合致しない、今お話し申しました有機性汚泥等については他府県で処理をされておりますが、県内の産業廃棄物を県内で処分するという理想論から見ますと、中間処理場の県内設置は必要であると考えておるところでございます。
 過去の例についてのお話でございますが、無公害汚泥のコンクリート固化を目的とした中間処理場を昭和五十九年一月に許可をいたしまして、六十年十月から操業を開始した例がございますが、経営上の種々の問題により昭和六十二年一月に和歌山地方裁判所から破産の宣告を受け、操業が停止している状況でございます。その後、当該工場敷地の土地所有者から破産管財人に対して土地明け渡しの要求が出され、現在、コンクリート固化施設は当該土地所有者が保管していると聞いております。なお、この中間処理業の許可については、本年の一月十二日に許可期限が満了しております。
 また、収集運搬業者と排出事業者とのしがらみについては、私どもの方では具体的に把握できていないのが現状でございます。
 そのことにより、収集運搬業者の発言力が強く、排出事業者が弱い立場にあるのであれば、産業廃棄物の適正処理の面や経済原則である自由競争の面からも問題があると考えられますので、関係機関と連携をとりながら処分の実態を十分把握し、産業廃棄物の適正な処理が図られるよう努めてまいる考えでございます。
 次に、中間処理施設の活用等についてでございます。
 中間処理は、減量化、安定化等を図るのが目的でございますが、その処理方法により有価物を回収し、御指摘の再資源化を実施しているケースも承知しておりますけれども、そのほかにも、一つの工場で不要になったものを他の工場で原料として利用する廃棄物の交換制度といったものがございます。
 今後、他府県の例を参考にして、産業廃棄物の有効利用の方法、組織等について、また交換制度については、他府県との協力体制も必要となりますので、これらを含め検討してまいりたいと考えております。
 次に、社団法人和歌山県産業廃棄物協会についてでございます。
 本協会については、昭和六十二年十月に設立許可されたものでございます。当時、県内には産業廃棄物処理業者の団体が事実上ございませんで、国からの団体設立指導について通知が出され、検討していたところ、県下の処理業者から業者が中心となった団体を設立したいという動きがあり、事業内容、定款等審査いたしまして許可したものでございます。
 構成は、県または和歌山市の許可を持つ産業廃棄物処理業者が中心で、二十社が入ってございます。役員は、理事七名、監事二名となっております。
 事業内容といたしましては、廃棄物の適正処理による生活環境等の保全、技術の研さん、調査研究、情報収集などを行い、産業廃棄物処理業者の健全な育成と廃棄物の適正処理、環境保全の重要性の啓発を行うこととなっております。
 今後とも、当協会の組織率の拡充と産業廃棄物の中間処理など、適正な処理事業について本組織を活用するように指導してまいりたいと考えております。
 最後に、中間処理の施設関係の御質問でございます。
 中間処理については、中和、固形化、焼却等、いろいろな方法がございますが、議員も御指摘ございましたように、その方法によって必要な面積等が変わってまいります。
 例えば、コンクリート固化処理でございますと、およそ一千平米程度の土地が必要かというふうに考えられます。このため、今後、中間処理の方法、設置場所、事業主体等について、御指摘のございました中間処理施設立地の適地選定調査などを行いながら、過去の経緯を生かして多面的に検討するとともに、事業者の指導に当たってまいりたいと考えております。
 また、中間処理場から発生する二次公害については、適正な施設で維持管理が十分行われる場合には問題はないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 地場産業並びに誘致企業の産業廃棄物の現況等についての御質問でございます。
 議員お話しのとおり、産業の発展を図る上で産業廃棄物の適正な処理、処分については、大変重要なことであると考えてございます。
 産業廃棄物の排出現況については、ただいま保健環境部長から答弁申し上げましたように、現在、環境保全公社が委託調査をいたしており、取りまとめ中ということでございます。
 商工労働部といたしましては、中小企業振興策の資料とするために、主たる地場産業の廃棄物のうちの一部について把握をいたしております。それを申しますと、漆器、和雑貨関係では、ウレタン、プラスチック、化学塗料などで四千五百六十トン、ボタン関係では、ポリエステル、ユリア樹脂等で七百七十トン弱、繊維関係では、裁ちくずなどで三千トン、家具、建具等では、おが粉、不用材などで一万トン、それから木材──これは和歌山地区だけでございますが、おが粉、木皮等で二十二万八千立米程度となってございます。
 これらの廃棄物のうち、繊維等については再生資材として、また、おが粉、不用材等は燃料として再利用されているところもございますが、そのほかは自社処理並びに廃棄物専門業者に依頼をして処理をしている状況でございます。
 なお、工業試験場において、廃棄物の再利用の方法並びに製造工程について、生産コストの低減を図るためにも、原材料の効率的な利用について各業界を指導しているところでございます。
 産業廃棄物の最終処理については、議員お話しのとおり、排出事業者の責任となってございますが、これまた保健環境部長の答弁にもございましたように、公害対策本部会議において産業廃棄物処理計画が検討されることになろうかと存じますので、その中で産業活動の行いやすい環境づくりについて、商工労働部といたしましても努力してまいりたいと考えてございます。
 また、誘致いたしました企業については、誘致の主眼を加工組み立て型企業に置いておりますので、産業廃棄物の量は一部を除いてそれほど多くないと見てございますが、各企業はそれぞれ適切な処理をしていると考えてございます。
 今後とも、企業立地に際しまして、所管の保健所等、関係機関ともども、その適正な処理についての指導に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業用ビニール等の廃プラスチック排出量は年々増加しており、現在、年間約二千トン程度排出されてございます。
 県といたしましては、地域の特性を生かした施設園芸の推進を図る上からも処理対策は重要な課題と認識をいたしてございます。今後、転作の推進に加えて、オレンジ自由化対策やフライト農業の育成等による施設園芸化の伸展に伴って、さらに排出量の増加が見込まれてございます。農林水産部といたしましては、これまでも適正処理啓発推進や実験プラントの設置等、対策について検討を重ねてきたところでございます。
 今後とも、現在、実施しております県産業廃棄物処理計画の見直しを踏まえて、農業分野においては、県、市町村、農業団体等、関係機関が一体となって適正処理に向けて農家の意識啓発を図りながら、回収処理方法や運営管理等、推進体制の整備について鋭意努力を重ねるとともに、これら施設に対する補助事業の創設について、国に対して強く働きかけてまいる所存でございます。
 なお、ジュース加工等で排出されるミカンの搾りかすについては、現在、飼料、肥料等に有効利用されてございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀の川利水協定後のあり方についての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、紀泉地域総合整備に係る組織についてでございます。
 紀泉地域総合整備に係る組織設立については、現在、両府県の担当課室長をメンバーとする組織検討会において、組織の事業内容、対象地域等について鋭意検討しているところでございます。その詳細については今後なお協議し、詰めてまいりたいと存じますが、基本的な考え方といたしましては、紀北、南大阪両地域がそれぞれの特性を生かした機能分担を図りながら一体的に発展することを目標といたしてございます。
 両地域には、例えば、コスモパーク加太、阪南丘陵新住宅市街地開発事業など都市環境整備や交通体系の整備、さらにはリゾート開発等さまざまなプロジェクトがございますが、議員お話しのとおり、この組織によってこれらの構想を有機的に結びつけ、両地域の資源が最大限に活用され、また相乗効果を生むよう調整を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に第二点は、紀の川流域整備計画についてでございます。
 紀の川利水に伴う紀の川流域を対象とした地域整備計画については、現在、関係機関と協議を行っているところでございます。議員御提言のとおり、協定に基づく主要な府県間道路については早期に整備を図らねばならない事業であると認識してございまして、今回、特に基金においてその対象事業に取り上げられるよう対応しているところでございます。今後、早期に地域整備計画を策定すべく取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に第三点は、加太岬スカイラインについてでございます。
 加太岬スカイラインは、コスモパーク加太のみではなく、本県北西部にとって関西国際空港方面、さらには大阪都市圏へのアクセスとして重要なルートであると考えてございます。
 この構想の具体化への取り組みについては、紀の川利水に関する協定締結に至る経緯の中で、議員お話しのとおり、平成元年度から和歌山、大阪両府県で共同して委託調査をすることといたしてございます。
 まず、加太、岬地域の経済及び輸送の現況と将来展望などを把握し、概略路線の検討から順次、道路計画、全体事業費など調査検討を推し進めたいと考えてございます。
 今後は、関係機関の協力を得ながら、大阪府とも十分協議の上、できるだけ早く事業化が図られるよう努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 産業廃棄物については、最近は農業において、知識集約型農業、施設栽培、フライト農業、こういった言葉が近代農業の象徴かのように言われておるわけでありますが、こういった農業形態からは必ず産業廃棄物が出てくる。フライト農業や施設栽培を盛んにするということは、その排出物の処理に強くなるということと同じであります。また、地場産業に強くなる、企業誘致に強くなるということは、企業が出す排せつ物いわゆる産業廃棄物の処理に強くなるということであります。
 したがって、先ほどから申しておりますように、あくまでも企業みずからの責任において処理をするというこの法的な意味は、十分企業者の方にも認識をしてもらわなければならないし、行政も認識をしなければなりませんけれども、今申し上げましたような時代的な背景、この中で企業の自覚を促しながら、行政としてできるバックアップ、感じた責任を果たせるような処理の仕方、こういった方向に向かって御努力いただくことを心から要望するものであります。
 また、水の問題につきましては、知事の答弁にもございましたように、少なくとも紀の川分水については、紀の川の水が大阪に行く限り、大阪に流れ続ける限り、水をもらうところよりも渡したところが衰えるということがないような具体的な組織の持ち方を、紀泉地域総合整備というこの共同地域を一体とした開発の中でお考えをいただくように、万全の御努力をいただきますことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時九分散会

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