平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従いましてお尋ねを申してまいりたいと思います。
 まず、国保問題からお伺いいたします。
 私は、過去二回にわたって国保料(税)滞納を理由とした国民健康保険証未交付問題と国保財政赤字の原因等について、知事及び民生部長の見解やその対応をお尋ねしてまいったところでございますが、今なお国保加入者は、相次ぐ国保料(税)の値上げに、高くて払いたくても払えない、もう限界や、自分が生きていたらみんなに迷惑をかけるばかりだ、いっそ死のうか、こんな叫びが私に訴えられてまいりました。生きる権利、医療を、いつでもどこでも受けられる権利を奪おうとするあり方に再度の質問をいたします。
 御承知のとおり、国保は社会保障の根幹であり、和歌山県下で四十七万九千五百十七人が加入し、全人口の四四%を有しております。低所得者と高齢者の多くを加入者とする、極めて重要な保険であります。国保法が改悪されて六年、特に退職者医療制度の導入による国庫負担率が四五%から三八・五%に切り下げられ、国保財政の赤字をつくり出した最大の原因でもあります。その国保運営をしている多くの市町村は、国保財政が苦しくなり、保険料を値上げしても間に合わない、これ以上の値上げは限界に来ているという事態に置かれています。一方、保険料の相次ぐ値上げとそれによる滞納者の増加、さらに滞納者に対する保険証の未交付が、今大きな社会問題になっているのであります。保険証がもらえないで医療が受けられず、死を招いた痛ましい悲劇が各地で起きていることを重大視しなければならないと思いますし、自治体の今後のあり方が問われる問題でもあろうかと前置きしておきたいと思います。
 本県においても、御承知のとおり、和歌山市を初め四市三町の国保の赤字財政が長期にわたって続いているのであります。保険料の値上げは毎年行われ、この数年間で下津町の七○・一%、新宮市六七・五%、和歌山市の五七・八%、田辺市四二・二%、海南市五二・二%、すさみ町、串本町の三七・三%、三○・七%と、この値上げは、それぞれの市町にとっても市民にとっても耐えがたい状況になっているのであります。私も、被保険者の一人として、いつまで続くかわからない値上げに大きな不安と怒りを感じているのであります。議員の皆様には、よく理解をしていただけるのではないでしょうか。
 二年前、国保料の滞納者への罰則規定を設け、健康に生きたいというごく当たり前な、そしてささやかな願いすら切り捨てられようとしています。幸いにして、本県では具体的に死という事態には至っておりませんが、実態はいつ起こってもおかしくない状況にあろうかと大変心配しているところです。
 厚生省は、市町村の国保予算編成を前にして去る二月三日、平成元年度国保予算編成について各都道府県に通知を行いました。この通知は、国保料の値下げは行わないよう厳しく指示し、保険料の収納率をさらに上げること、保険料の最高額を四十二万に引き上げること、赤字解消計画については単年度分は原因究明と具体的に実行可能な計画を必ずつくること、支出に際し国庫負担金は過大に積算しないことを基本にした、値上げをまたもや提起した内容になっております。滞納者への制裁措置の一層の強化、医療費通知を頻回に行うことやレセプト(保険請求書)の点検強化等によって、受診抑制、保険料の収納率を上げるための具体的予算計画を立てるよう、さらに通知を行いました。計画どおりに赤字解消見込みのない予算には国庫補助金の減額を厳しくするなど、地方自治体への制裁措置も決めております。これは、国の責任を自治体に転嫁する方向さえも感じられる内容になっているのであります。
 この通知の中で、注目しなければならない事項を見逃すわけにはまいりません。その文章は、国保制度に対する理解と協力を得るため、特に保険料による相扶共済制度であることを強調していることです。県下における保険証の未交付実態は、本年一月三十一日現在において百五十八世帯に上っております。この方々は、高い国保税を納めたくても生活が苦しいために滞納を余儀なくされた善意の被保険者ではなかろうかと思うのであります。
 私どもに相談に来られた二つの事例を紹介申し上げます。
 Aさん。家族四人、自営業。経営不況のため仕事なく、収入もなくなってきました。歯科治療を受けたいが、保険証がないため病院に行けず、顔が変形するほど症状が悪化しました。友人に遠慮しながら一万円のお金を借りて保険料を払い、保険証をやっともらって歯科治療を行いました。しかし、その数日後、夜逃げ同様に家族全員が行く先不明になりました。
 Bさん。無職。家族は母親と娘、父親は家出をして行方不明です。母親は国保を滞納しております。娘が離婚して実家に帰ってきてはいますが、妊娠をしており、実家で出産を行いました。出産給付金をもらいに行きましたが、母親の滞納分があるためにその滞納分を差し引いて出産給付金をもらったと言っております。
 これらは、ほんの一例にすぎません。
 次に資格証明書の発行でありますが、本年一月三十一日現在、四百五十七枚となっております。中でもひどいのは和歌山市の三百四十二枚で、全体の七五%を占めているのであります。また、いずれも届いていない世帯が有田市では百五十世帯に上っております。これらに関する実態調査をどのようになされたのか、またこの実態に基づく対応や指導はどのようにされたのか、民生部長にお尋ねをいたします。
 知事にお尋ねを申し上げます。
 国民健康保険法第一条の「この法律の目的」は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」。さらに、第四条に「国及び都道府県の義務」として、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。  2都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない」と明記しているのであります。すなわち、国保制度とは国の責任において国民の健康、生命を守ることに尽きるのでありまして、現行制度のように国民の負担が増大して支払い能力の限度を超えるものになっているというところに重大な問題があるのであります。
 ですから、前段申し上げましたように、国の責任によって今こそ抜本的な見直しがなされなければなりません。保険証の未交付問題は、市民の生存権の否定につながりかねない重大な事態が起こっているということであり、滞納者への適正な事態調査に基づく減免措置の拡充や地方自治体独自の減免制度、あるいは支払い能力に応じた分割納付方法など、多面的、抜本的な改善が緊急課題だと考えるのであります。と同時に、国に対し積極的に国保に関する国庫補助率をもとに復活させる意見を上げるよう、知事としての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県都和歌山市における国保会計についてお尋ねを申し上げます。
 既に新聞等で報道されて御存じと思いますが、和歌山市の国保会計の赤字は五十七年度から今日まで累積赤字六十六億円を超える額になり、長期にわたっての財政破綻となっているのであります。「全国赤字自治体第五位」という汚名をもらっているのです。国保だけではなく、一般会計においても百億円に近い赤字を出しているのであります。今、国庫負担の削減や医療費の上昇で自治体の財政は大変厳しい状況になっていることは確かでありますが、だからといって市民に高い保険料を押しつけ、国保料の払えない者に医療を受ける権利を奪うやり方は断じて許せません。そうして、保険料を払っている人と払っていない滞納者の「負担の公平」と、よく保険課等で保険証未交付に対する制裁措置の理由として言われる内容でもあります。負担の公平をおっしゃるのであれば、国保の運営を支えている全体をまず見ることが基本であり、そして国、地方自治体及び住民(国保加入者)と三者の間で負担が公平であるかどうか問われるべきであると思うのです。民生部長の所見をお聞かせください。
 ──和歌山市の問題については、若干、後でもう一回やります。
 その前に、ゴルフ場開発の諸問題について質問をいたしてまいりたいと思います。
 私は、今回で三回、ゴルフ場問題の質問を行うわけでありますが、何もゴルフに恨みがあっての質問ではございませんので、まずそのことを申し述べて質問に入っていきたいと思います。
 全国的に社会問題化しているゴルフ場開発に伴うさまざまな問題が明らかになりつつあります。その一つは、今日のゴルフ場を初めとしたリゾート開発ブームの背景に、政府、財界が進めている産業構造の転換政策や貿易摩擦による内需拡大、国民の余暇時間の増大、レジャー志向を見込んだ新たな投資先を大企業がリゾート開発に求めていること、地方自治体の過疎からの脱却、地域振興、税収や雇用の確保への期待などがあります。
 今や政府は、ゴルフ場をも含んだリゾート開発を国土開発の戦略的重点として強力に推進していることなども、ブームをつくり出す要因になっていると思います。県や市町村段階においても、テンポの速いリゾート開発ブームに乗りおくれまいとして活発な動きすら見られます。こうした財界、政府の積極的リゾート開発姿勢に不安を抱く人々もあることを忘れてはなりません。
 それは、今日のリゾート開発は、米作減反、農産物の自由化、食糧の七○%海外依存、林業の破綻といった私たち人間としての生存権基盤である第一次産業の崩壊を促進する国家政策の中で進められていることでございます。地域の活性化を期待しながらも、風格ある地域づくりと住民に豊かで安らぎのある生活が実現できるのか、それとも地域に対する責任を何ら考えない事業体が横行し、利益は中央に吸い上げられ、荒れ果てた郷土を後世に残すことになるのではと、複雑な気持ちでいる人々も少なくないと思うのです。
 開発に伴う自然破壊や生活環境の変化、悪化、災害の危険の増大、水資源の破壊と水質汚染など、さまざまな問題が地域で発生し、社会問題になっているのであります。これからは、ゴルフ場開発などは、地域住民の生活や権利、それに環境や経済にかかわる重大な政治問題として、地方行政のレベルでも積極的対応が求められることになるでしょう。
 本県でも、ゴルフ場開発は既設の二十カ所と昨年二ゴルフ場の開発許可が認可され、工事着手に入っていると聞き及んでいます。今、事前協議の意見書通知も七開発業者に行われ、本申請許可準備が進められているのでありますが、すべてのゴルフ場ができますと二十九となり、地域的には紀南地域よりも有田地区から北部地区に集中する傾向になります。地域によっては、特に和歌山市には七ゴルフ場が開発される、まさにゴルフ場ラッシュを招く状況が具体化しつつあります。二町にまたがってのゴルフ場も数多く見られます。
 開発は地域住民にとってどんな影響があるのか、そして住民の生活や権利が守られ、自然環境保全にもいろいろな角度から住民サイドに立った条件整備が重視されなければなりません。そのためにも、ゴルフ場開発要綱やゴルフ場を安易にふやす開発推進を規制する総量規制を確立することがどうしても行政の責任として考えられるのですが、関係部長の所見をお聞かせ願います。
 次に、事前協議段階における地域周辺住民への説明についてであります。
 開発を行おうとする業者は、地域住民に目的や規模等の説明を行い、そして住民の納得と合意、町づくり策定への住民の実質的参加を前提に進め、さまざまな不安や疑問、要望、反対意見を大切にして、住民とともに開発計画を進めるべきであろうかとも思うのです。自治体と業者は多くの計画を秘密的に進め、住民が知ったときは何にも言えない状況にまで進められており、住民は不安と不信のみが増大するという、つまり住民への説明は形式のみというやり方はもうやめるべきです。
 ゴルフ場の農薬問題は十二月議会で申し上げましたので、ここでは農薬検査体制の具体的計画及びゴルフ場への立入調査の実施計画について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 現在、ゴルフ場に係る用地買収が地権者と業者との間で行われているところですが、業者は、何としてでも交渉を成立させるために、地権者の生活条件も考えず、朝に夕に一日何回となく訪れ、売ることをきっぱり断っているにもかかわらず訪問する。その上、農用地変更申請書まで協力するように入院先まで押しかけてくるというやり方に、住民の大きな怒りが起こっています。こうした行き過ぎた行為は異常であり、地権者への人権侵害にも発展しかねません。行政的指導が必要かとも思いますが、御所見をお聞かせください。
 次に、私の居住するところにフォレストシティという、和泉山脈の三百二十五ヘクタールにわたる大規模開発が計画をされております。このフォレストシティについてお尋ねをいたします。
 このフォレストシティは、和興開発株式会社が設立者となって、東急建設が工事を行うこととしております。ゴルフ場を初め千五百戸の分譲住宅、ホテル、野外ステージを備えたスポーツ広場、テニスコートなど、居住人口五千七百人、幼稚園、小学校、保育所を兼ね備えた公共施設を有する一つのシティー計画であります。
 現在は、野鳥などの鳴き声もさまざまで、春には山桜が美しく、いながらにして花見もできます。初夏には、山菜、目にしみるほどの青葉を楽しむこともできます。秋の深まりとともに、もみじも楽しめます。そして、一年じゅうハイキングを楽しめる唯一の山々でもあります。はかり知れない自然の恵みを住民に与えている最大の山でもあります。開発によってこうした自然が破壊されてしまうことに大きな不安を持つものであります。この開発範囲は、東部に千手川、西部に鳴滝川があり、両河川にまたがる状況になっています。
 そこで、地元周辺住民の合意の範囲でありますが、地図上から推察いたしますと、有功地区全域及び直川地区に及ぶ範囲です。有功地区の単位自治会は三十六、直川地区単位自治会が二十八ございます。住民合意の範囲としてどの範囲を必要とするのでありましょうか、お聞かせください。
 このフォレストシティに係る問題としても、県道粉河加太線は、住宅や人口増に伴って、かねてから拡幅要求の強い道路でもあります。交通量は、県道粉河加太線の園部地点における昨年秋の調査を見ますと、午前七時から午後七時の十二時間に一万一千十七台、一時間に九百十八台です。この周辺地域の世帯数は、有功、直川地区で七千百世帯、人口二万六千二百七十人となっております。下水対策は、いまだに何ら具体的計画が和歌山市から示されておりません。ゴルフ場や分譲住宅開発に伴う排水は、鳴滝川に五○%、千手川に二○%、そして農業用水として長い間培われてきた有功農業用水路に三○%放流される計画が示されております。雨水及び洪水時の対策や千手川及び鳴滝川の改修計画があるのでしょうか。なお、両河川は重要水防箇所になっております。
 最後に、和歌山市側から出された意見はこの意見書の中に十分盛り込まれていると思うのでありますが、念のためお聞かせ願いたいと思います。
 このフォレストシティは、既に事前協議の意見書通知も業者に発送され、本格的な開発許可申請への準備が進められていると聞き及んでいるところでございますが、地域における道路を初めとした基盤整備が開発そのものよりも地域の住民生活のために優先的に必要かとも思われます。開発許可に当たっては、こういった地域住民のさまざまな問題に慎重に対処されて、そして町づくりを住民がともに進められるような開発許可であってほしいと思うのであります。
 最後に、和歌山市の国保問題について、改めて御質問を申し上げてまいりたいと思います。
 和歌山市の赤字の原因は、大きく分けて二点あると考えるのであります。
 その第一点は、昭和五十九年の退職者医療制度導入に伴う国庫支出金が大幅に削減され、その目減り分の補てんが極めて不十分なままになっています。和歌山市におけるこの三年間、昭和六十一年度から六十三年度の見込み状況を見てみますと、医療給付は一○・八六%ふえているものの、国庫支出金は総額において逆に七・一%も減っているのであります。この間、和歌山市は実質的に三○%以上の国保料引き上げをしており、六十三年度決算見込み額では保険料収入が国庫支出金を上回るという、考えられないような状況になっているのであります。
 第二点は、六十一年度から六十三年度にかけて実質三○%を超える国保料値上げをしました。その被保険者の実態を見てみますと、非課税世帯が全体の三七・八六%、年間所得百万円未満が二一・六四%、二百万円未満が二二・七二%あります。つまり、被保険者の実に八二%が二百万円以下の低所得階層となっているのであります。保険料は平均して月収の一五%から一六%にも達し、月収二十万円程度の世帯でも一カ月二万五千円から三万円と、非常に高い保険料を払うことになっています。今のような状況で値上げだけ続けていけば、被保険者に払えない人がふえるのは当然と言えるでしょう。こういった実態そのものも、赤字の大きな要因であろうかとも思います。
 本県として、和歌山市に係る赤字の原因は既に分析をされていると思いますが、今までの分析結果とその指導及び今後の対応について、民生部長の御所見をお伺いしたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。大変見苦しい質問になりましたことを皆様におわびします。
○議長(西本長浩君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国保事業における国と県の責任の問題でございます。
 国保制度は、お話ございましたように、国民の社会保障と健康増進を目的とするものであり、国としては国民健康保険制度の運営が健全に行われるように努力すべきものでございまして、県としましては健全化のために必要な指導をするということになっておることは、お話のとおりでございます。
 最近の国保制度は、老人の加入率が非常に高うございますし、また低所得者の占める割合が高いという構造的な問題を抱えておるわけでございまして、機会あるごとにこの制度の根本的改革、そしてまた国庫補助金増額要求等、国に対して、知事会においても毎回取り上げ、強く国に要望をしているところでございます。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 国保問題の三点についてお答えいたします。
 まず、国保事業の実態等についてお答えしたいと思います。
 議員御指摘のとおり、平成元年一月末現在における被保険者証未交付世帯が一部現存していることは承知しているところでございます。また、資格証明書も四百五十七件交付されてございます。資格証明書に関しましては、いわゆる支払い能力があるにもかかわらず支払わないと当該市町村長が判断し、やむを得ず執行したものと考えてございます。
 また、被保険者証未交付問題でありますが、納付相談の上、被保険者証を交付したい旨、御連絡をいたしましても、一向に連絡がないためと承知してございますが、いずれにいたしましても、個々の被保険者の実態把握のため家庭訪問を実施する等、積極的な市町村の努力により、法に即した適正な取り扱いを実施するよう再三再四指導しているところでございます。
 今後とも、適正な運営をさらに積極的に指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、国保料を払っている人と滞納者の負担の公平の問題でございます。
 国民健康保険は、公平で適正な負担の原則に基づき、健全な事業運営をすることが最大の主眼となってございます。県下の状況を見ましても、昭和六十二年度で約九五%の収納率となってございます。
 保険料を払える方と払えない方の問題でございますが、国保制度にありましても、一定の所得以下の方に関しましては法定の軽減措置がございますし、また市町村の条例に基づく減免措置も実施されてございます。
 昭和六十二年度における法定軽減額は五万一千九百十六世帯、十三億三千四百万円、条例減免額は四千九百六十七世帯、二億一千万円余でございます。
 なお、滞納の実態を見ますと、大半の方々は国保本来の趣旨を御理解賜り、分納の方法で納入していただいているところであり、今後とも被保険者間に不公平が生じぬよう、個々の完全な実態把握を行うとともに、公平で適正な事業運営を市町村に対し指導してまいる所存でございます。
 なお、昨年六月の法律改正におきまして、被保険者の負担軽減、市町村財政安定の観点から、県におきましても、昭和六十三年度に引き続き平成元年度にも、国保制度充実対策事業として六億三千六百万円をお願いしているところでございます。
 最後に、和歌山市の赤字の原因と県の指導についてでございます。
 和歌山市の国保財政は、御指摘のとおり、昭和五十七年度に赤字が発生して以来、本年度末におきまして約六十五億円前後の赤字額になるものと予想されます。
 赤字の原因でございますが、保険料の引き上げが十分でなかったこと、また収納率が低かったこと等でございまして、医療費に見合う保険料の確保が十分でなかったことが最大の要因であろうと考えてございます。
 退職者医療による影響額につきましては、地方公共団体が要求しておりました特別交付金の配分により一定の補てんがなされてございます。
 また、市としての低所得者に対する対策でありますが、昭和六十二年度を見ましても、法定軽減が一万三百十九世帯、二億六千万余、条例減免が二千五百六十一世帯、一億四千六百万余の実施がなされてございます。
 県といたしましては、課税方法のあり方を含め、従来にも増して収支両面にわたる経営努力を促してまいるとともに、国に対しましても、財政再建の一助として特別調整交付金の配分等に今後も努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) ゴルフ場開発に当たっての開発要綱及び総量規制につきまして、お答えを申し上げます。
 ゴルフ場開発につきましては、リゾート整備の主要な施設の一つであると認識しているところでございます。ゴルフ場開発による地域開発効果につきましては、建設投資に伴う地域経済への波及効果を初め、雇用機会の増大や地域産品の販売の拡大等、地域の活性化につながるものと考えてございます。
 本県における現在のゴルフ場は二十カ所でございまして、県土面積に占める割合は○・三一%となってございまして、全国順位では二十九位、近畿では最もゴルフ場の少ない県でございます。
 現時点で、県土面積対比で総量規制を行っているのは数県でございます。県といたしましては、各種の開発を進めるに当たっては、自然環境の保全を図りつつ、総合的かつ計画的に県土利用を進めることが基本であると認識してございます。ゴルフ場開発につきましても、個別法による対応とともに、この点を十分配慮しながら、今後の動向を把握し、的確な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 事前協議における地域住民への説明についてでございます。
 大規模開発の事前協議においては、県関係部局の間で調整を図り、申請者に対し計画内容について総合的に指導するものであります。
 地域住民への説明につきましては、開発申請者に対し許可申請に先立って地元説明会等を行うとともに、隣接地所有者、地元自治会等の同意を得るよう指導しているところでございます。
 次に、用地買収における開発業者の異常な実態についてでございます。
 一般常識を超えるような特に行き過ぎた行為があると認められるときは、関係部局と連携しつつ業者指導を進めてまいりたいと存じます。
 次に、フォレストシティに関連しまして、五点の御質問に順次お答えさせていただきます。
 まず、県道粉河加太線の対策につきましては、将来は都市計画道路西脇山口線の四車線の整備を考えておりますが、当面の対策といたしましては、現在事業中の国道二十四号和歌山バイパスの完成により、岩出方面よりの交通量の大半をカットすることができると考えております。また、県道有功天王線との交点である六十谷交差点に右折車線の設置等の渋滞対策を行うこととしております。
 次に、地域住民の合意の範囲についてでございます。
 開発者に対して、開発区域の隣接自治会等の合意を得るよう指導しているところでございますが、隣接自治会以外についても、特に大きな影響を受けると考えられる場合がありましたら、別途指導してまいりたいと存じます。
 次に、下水道対策についてでございます。
 この周辺地域は都市化が急速に進んでいるため、下排水計画の早急な策定が必要であると考えております。
 現在、和歌山市では、紀の川右岸市街化区域全域約二千七百ヘクタールの区域について下水道整備のための基礎調査を行っているところでございます。
 洪水対策及び河川改修についてでございます。
 大規模開発を行うことによって生じる流出増につきましては、調整池等の防災施設を開発者の責任において設けるよう指導しているところでございます。
 一方、近年、紀の川右岸地域の市街化が急速に進んでいる状況にあります。
 そこで、県といたしましては、関連河川の治水安全度を見直すこととし、既に千手川につきましては、人家連檐地区を含む県管理区間の改修はほぼ完了いたしたところでございます。
 鳴滝川につきましては、昭和三十七年に一次改修が完了しておりますが、さらに治水安全度を高めるべく、平成元年度より改修計画策定に着手することとしております。
 最後に、和歌山市から出された意見書についてでございます。
 和歌山市から十数項目にわたって提出されていますが、その意見につきましては的確に対応するよう、指導事項として申請者に指示しておるところでございます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 ゴルフ場に関連しての農薬の検査体制、立入調査の問題でございます。
 農薬の安全・適正な使用は、防除の基本として大変重要なことと認識をいたしてございます。これから新たに開発されるゴルフ場に対しましては、開発事前調整協議会の中で、農薬等の年間使用計画書による指導や、また既設のゴルフ場に対しましては、先般、支配人、グリーンキーパーを対象に研修会を開催するなど、安全使用や危被害防止対策についての徹底を図ってまいっておるところでございます。
 また本年一月より、業界におきましても、安全使用に関しての九項目から成る農薬取扱注意事項を定めて、自主点検、自主管理が実施されておるところでございます。
 御承知のとおりに、昨年九月以降は農薬取締法に基づきゴルフ場の指導を行っておりますが、さらに農薬安全指導対策事業を拡大強化して指導体制の整備充実を図るとともに、適正を欠くゴルフ場に対しましては、関係部局と連携のもと、厳しく立入指導検査等を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、それぞれの関係の皆さんから御答弁をいただきました。
 国保問題については、今、全国的にも大変危機的状況にあると理解をしているわけです。和歌山でも、その寸前の状況がもう来ていると思っております。
 今、民生部長からお話がありましたけれども、保険証の未交付者や資格証明書発行者については、民生部長のおっしゃったような部分もあると思います。しかし、納付相談に来ないといった中には、自分は今健康だから、保険料が高いから要らないよということでみずから拒否をする人たちも数多く出始めているということを私は聞き及んでおります。
 国民皆保険という状況の中で、そして今、民間の生命保険等が進んできている中で、受益者としてはどちらが得策なのかということを選ばざるを得ない。国民健康保険そのものの性格が変わってきているんではないか。この国民健康保険のあり方について、社会保障の一環である医療保険といった基本にもう一回立ち返ることが今一番求められているんじゃないかと思います。
 そういった点で、未交付者なり資格証明書を発行されている人たちについて、もっと細かな調査が必要であろうと思いますので、この点については十分指導をしていただきたい。そして、適切かつ柔軟な方法で対処をしていただきたいと思います。
 そして、後追いの対策ということをやめていただきたい。事故が起こってから改善策をつくっていくといったことはやっていただきたくないと思いますので、要望をしておきたいと思います。
 それから、民生部長の公平論には若干異議がありますが、これは常任委員会で論議をすることにいたします。
 ゴルフ場の問題です。
 今、いろいろと御説明をいただきました。この事前協議における地域住民への説明というのは、どうしても地域住民が後に置かれるという実態があります。業者は土地を買収することにのみ一生懸命になっていて住民の人たちのことが忘れ去られているといった実態を、私はたまたま幾つか経験いたしました。
 私どもの団地自治会も、もちろんこのフォレストシティに直接かかわりがあります。人口も非常に増加し、山の斜面に向かって大きく開発をされていく地域でもあります。そういった点から見ても、今もう、二次災害が起こり得るであろうということが想定できます。
 県道粉河加太線、特に今この開発が進められようとしているところはその取りつけ道路もいまだに明確になっていないといった問題、また、現在開発されている部分だけでも、四十九ミリの雨が降っただけで有功用水路等で県道粉河加太線への浸水が既に出ているといった問題がございます。こういった状況が全く改善されないまま開発が進められるならば、その周辺住民が大変な災害に遭うだろうということは、もう目に見えるようにわかります。
 鳴滝川や千手川は一定の改修計画も行い、もう済んだというふうに言われております。しかし、昭和二十七年当時のあの大洪水については、知事も覚えていらっしゃるでしょうし、六十歳ぐらいの方たちは、和歌山県全域、関西全域がこの大洪水に見舞われて大変な被害をこうむったということは記憶に残っていらっしゃると思うんです。
 あのときの状況については、私も図書館に行って新聞から拾ってみたり、直川地区や有功地区の古老の方にも聞いてまいりましたが、やっぱりこれは物すごかったと。水だけではなくて、山の土から、石から、岩から、全部転がってきて、家の中まで土石流が流れ込んできて大変な状況であったようです。
 そのとき、分娩月を迎えていた妊婦さんが自分の家の外に押し流され、庭の柿の木につかまっていたけれども、その土石流のために約二百メーターぐらい流されてタマネギ小屋にひっかかって死んでいたということや、また神戸沖で和歌山の方が死体で見つかったといった報告も聞かされました。
 その当時、この山はまだ開発されていなかったし、保水力も十分ある状況の中で起こった問題です。今、その開発される周辺には二万人を超す住民が住んでおります。そうした人たちに大きな被害が起こらないためにも、開発許可をするための慎重な準備をしていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
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