平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 六 号
 
 三月 十四日 (火曜日) 午前 十時 五分 開議
   午後 二時 九分 散会
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議 事 日 程 第六号
   平成元年三月十四日(火曜日)
   午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十五号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第八十五号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 3 番 町 田  亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本  一 君
 6 番 宗  正 彦 君
 7 番 岡 本  保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本  進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦  武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門  三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森  利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村  博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺  勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
 2 番 和 田 正 一 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口  勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 花 岡  弘 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 松 永 安 生 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
  上 野  寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
  築 野 政 次 君
 警察本部長 津 和 孝 亮 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
  寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
  浜 崎 浩 洋 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 荻 野  薫
 議事課主査 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井  卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 西 村  明
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田  繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時五分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十五号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 39番田中実三郎君。
 〔田中実三郎君、登壇〕(拍手)
○田中実三郎君 平成元年度の当初予算の御提案をいただきました。当初予算の審議に当たりまして、今回は消費税の問題を抜きにして議論をすることができないということぐらいは十分に承知をしておりますけれども、過日来の同僚各位の一般質問を拝聴いたしまして、それぞれの立場で消費税あるいはリクルート問題についての質疑がなされましたので、私は努めて各位の論議と重複しないことに留意をしながら、若干の意見も含めて質問を試みたいと存じます。
 まず、総務部財政課発行の「平成元年度予算の概要」の中で、予算編成の基本的な考え方を述べられている内容の中に、一つは、本年度を和歌山県活性化の「離陸」だと定義づけていらっしゃいます。このことは本県の実情からして正確な定義であるかもしれませんけれども、半島振興法あるいは僻地振興の問題等の視察を主目的として九州方面に行ってまいりましたが、その結果として、大分県、宮崎県、熊本県等、首都東京から距離的に一番離れている九州各県が和歌山県よりも幾つかの先取り行政効果を上げていることに、感嘆というよりもむしろ羨望の念を禁じ得ない実情でありました。他県のことは他県のことだと見逃す以前の問題として、知事以下各部長、各位はこうした実態をどういうふうに分析していらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいのであります。
 知事、企画部長に伺いたいが、大分空港におり立ったとき、これはもちろん地勢的な関係もあろうかとは存じますけれども、その規模と将来性の展望は立派であります。翻って我が和歌山県は、白浜空港のジェット化、千八百メートルの滑走路、臨空農業等々、半島振興法の衣にすがりつくがごとき実態を反省しなくてはならないのではないでしょうか。大分県は、近き将来、国際航路を求め、まず第一はエチオピアとの間に定期便を締結しようとしている。否、今日既に「いたしました」という過去詞になっているかもしれません。企業誘致にいたしましても、きちんとした順番で行政機構の中で組み立てをなされております。来県企業に対する従業員子弟の学校設置構想すら明確に位置づけをしていらっしゃいます。中国でもロサンゼルスでも同じような志向を考慮して、大分県を見習うべきだという一村一品運動の成果もむべなるかなと感じたわけであります。
 さらに、熊本における「日本一運動」。大きな企画でなく、町の中央に三千三百三十三段の日本一の石段を新設することだけで何万という観光客誘致が実現したという。こうしたちょっとした着想とその着想を実現していく方向を的確に示す行政指導力、またこれに対応する住民の意欲充実力の原点は果たしてどこから生まれてくるのか、どうして育成されていくのか。本県から見たお考えを、まず承りたいと存じます。
 二番目、次いで総務部長。
 まず、予算の歳入面と財政的運用の面でお伺いをいたしますが、専門的な表現ではなしに、議員の私たちが御主人である有権者各位の目の前に行って理解していただくための言い方として、「消費税導入によって地方間接税が三十五億減少した。県民税が十五億伸び悩んだ。消費税を導入したかわりにということで四十億の譲与税を国からくれます。消費税の影響額は和歌山県では四十四億ですよ。こういうふうな本県の活力の基礎をつくる施策を実現するためには八十億足りない。ですから、今までこつこつと積み立ててきた基金から引き出して穴を埋めるんですよ。人件費も二%に当たる二十八億を減額して努力しているんだけれども」と話したとしますれば、有権者は、消費税の導入がなかったら八十億の積み立ての引き出しが七十億でよかったんですねと私たちに反問される可能性があると存じますが、そのとき私たちは御主人である有権者にどんな返事をすればよいのか、部長ひとつお教えをいただきたいと思うのです。
 三番目、次いで予算編成の重点二項目に、新美術館、新図書館の本格的事業化、つまりよく言われている三館実現を誓い、四項目には、「健康、福祉、文化等多方面にわたる積極的、かつ、きめ細やかな諸施策を講じ、新しい『ふるさと和歌山』の創生を目指す」とうたっていらっしゃいますが、二項目の三館構想はわかるといたしましても、それらを県民が利用して四項目でうたっていらっしゃる文化に接するべくしても、消費税の転嫁で入館料を値上げしている。住宅料にしても、全国二十一都道府県のとっている転嫁見送り措置と本県の姿との間の矛盾についてはどう理解すべきでありますか、お教えをいただきたいのであります。
 なお、一般財源への投入は県民全体で負担することになるといった意味の御答弁が過日来繰り返しなされましたが、福祉、教育の各費目が他の費目に比して構成比の中での伸び率の鈍化が目立ちますけれども、これについては初日来答えていらっしゃる問題との関連で、総務部長ひとつお答えをいただきたいと思います。
 次に四番目、企画部長。ふるさとづくりについてお伺いをいたします。
 自治省は、自治体の創意工夫で企画した単独事業を、地方債と交付税を使って手厚く財政支援をすると標榜しております。ふるさとづくり特別対策事業というものをスタートさせました。基本計画に示されているのは、北海道のレイクトピア21構想、福島県のヘルシー・スポーツ・ランドプロジェクト、香川県のいきいき祭の里プロジェクト等々、合計二百九十五プロジェクトがあると自治省は言っています。
 そこで、和歌山県下での各種プロジェクトはどんなものが各市町村から出されているのか、県でどういうふうに集約して、力点をどこへ置くか、概況とあわせて県としての指導方向を伺いたいと思うのであります。
 五番目、もう一回企画部長にお伺いいたします。
 部長は、「マリーナ計画やリゾートの実現によって経済波及効果は二次、三次に及ぼし、ひいては雇用の増大を全県下的に及ぼすであろう」と、ある機会に発言をされていらっしゃったと思います。私は、よそのことを判断する資料の持ち合わせはございませんが、かつて中曽根内閣当時に提唱された民活導入運動が、結果的には為政者が期待をするような成果は上がらなかった。その原因はどこにあろうとも、むしろ地方的には失敗したと評価をしなければならないと認識しています。現に、田辺地方においてリゾート企画が公にされた途端に、リゾートの予定当該地域のみでなく、その付近の住宅地として予定されていた土地価格が坪当たり十二、三万円と言われておったところが、発表十日をたたずして二十三万円、二十五万円に急騰いたしました。ある定年退職者は、住宅の建設計画をあきらめて、再度、土地探しからしなければならないという事例すらあります。地価の値上げによって、期待をする雇用拡大なんか吹っ飛んで、地域開発、企業誘致の実すら上げることが不可能になるのではないかと愚考いたしますが、部長の見解及びこれに対する御意見の開陳をいただきたいのであります。
 ここで思い出しますのは、過日どなたかの議員の質問に商工労働部長から、便乗値上げについては独占禁止法をもって取り締まり、指導していく旨のお答えがありました。恐らく、企画部長も同じように法律云々とおっしゃると思いますが、独占禁止法そのものもざる法案であることは、自民党会派の中にも弁護士さんがいらっしゃいますけれども、よく御承知だと思います。何一つとして懲罰規則がないという独占禁止法をもって、便乗やみ値上げを取り締まることができません。
 けさのラジオを聞いていますと、有楽町の映画館の料金が千五百円から千六百円に上がりました。消費税の三%だけではありません。この例からいたしましても、法的な土地価格の取り締まりだけでは実が上がらないことをあえて付言して意見の開陳を求めておきます。
 六番目、次いで、これは知事及び企画部長にお伺いをいたします。
 リゾート計画をしている企業の方々は、その付近に原発設置が予定をされるとどうもまずい、こういう意味の意向を明らかにされていらっしゃいますけれども、そういう事実があります。また、和歌山県出身のある国会議員の方も、「私は、原発には反対だよ」と言われています。かねてから、リゾート及び地域開発と原発とは両立する旨を強調していらっしゃる知事及び企画部長は、今日こういう情勢にあっても、企業誘致、リゾートは原発の誘致を標榜し、推進を企画しても支障がないと判断をしていらっしゃるのか、改めて見解を承りたいと存じます。
 第二に、地方自治法の改正問題についてお伺いをいたします。
 地方自治法と言いますと、県行政を預かっていらっしゃる皆さん方と我々県議会議員には一番肝心な法律であり、その本質を熟知せずして、地方自治をよりよくし、住民と直結する行政、住民の幸福を守る環境確保等の期待ができないことは周知の事実であると思います。もちろん、全国知事会や全国議長会や全国町村議長会等々の地方自治関係会議では、表題の件に関しては最も中心的な議論をなされている事項であろうかとは推測をいたしますが、私の勉強不足であるのか、いかんせん、一向に具体的な検討の機会もありません。今回、議会事務局発行の「議会参考資料」四十三ページの、自治行第九十八号、昭和六十三年十二月二十二日付の自治事務次官通達の形で知らされたのみであります。これとても、通読してみますと、土曜日の閉庁に伴う住民の理解を得るためのことや地方自治体職員の勤務に関する事柄のみであると理解をいたします。
 私はこうした勤務関係のことよりも、機関委任事務の整理合理化、地方自治体の自主性、自律性の強化、ふるさと創生などと地方自治の強化が政府の方針であるかのようにちまたに喧伝されていますけれども、その一方では裁判抜き代執行をねらい、現行法に厳として決められている首長罷免権の廃止、機関委任事務への自治体議会の監査権限の創設などを抱き合わせた姿での改正案であると理解をいたします。このことは、昭和六十一年国会に提出をされたとき、地方自治の根底を揺るがすものだという全国知事会などの猛反対に遭って、二回も廃案になった経過があります。また最近、国会で継続審議とされていることも皆さん御承知だと思います。
 木村行政局長などは早期成立を目指しているようにいろいろな雑誌で拝見をいたしますが、和歌山県総務部長は、地方自治体なかんずく和歌山県の現状をつぶさに御承知のはずであります。和歌山県民の長い将来にわたる幸せのためにも、正しい地方自治権限の存続のためにも、問題点を整理して、自治省の上意下達でなく下意上達の成果を果たす心意気で、改正案に対する見解を部長としてまとめるべきと考えますが、自治省の持っている改正案の方向について、機関委任事務と監査制度の二点だけでも、県の実情に立脚した見解を開陳していただきたいと思います。
 第三に、教育問題について、まず教育長にお伺いをいたします。
 英語学習の問題点について質問を申し上げます。
 この問題は、過日、我が党森議員あるいは藤沢議員が提起をされた学習指導要領の問題にも大きな関連のあることであります。中央の学習指導要領よりも教育現場の実態から要求している事柄の方がいかに正しいかということの証左であります。
 十年前の学習指導要領では一週間に四時間の授業時間であったものを、中央は週三時間に制限をするように定めました。そうして現場におろしてまいりましたが、現場の教員諸公は四時間が正しいと主張したけれども、長い間この主張が入れられずに十年間今日まで経過をしてまいりました。今回、臨教審の第二次答申の中で外国語教育の見直しがなされ、週四時間に再び戻されたのであります。さらに、現外国語学習が文法、読解力に力点を置いているので実践的でないということで、文部省事業として一年間の期限つき契約の更新制をとって、外国人十二名を採用したという経緯があるわけであります。
 私は、外国語の学習に実践的技法を組み入れたことには、それなりの効果はあると思います。しかし、一面また教育の基本的見地からいたしますと、思わぬ欠陥も現場で生まれているということを知らなくてはならないと痛感するものであります。
 教育とは、わざではなく工夫が必要であります。教育上、一番大事にしなくてはならない生徒と教師の相互信頼に、ぬぐえない不信感を助長していることに気がついていらっしゃいますか。もし、これをとらまえていらっしゃるとするならばどんな対応を考えているのか、見解を聞きたいのであります。
 二つ目、学校体育及び部活と対外試合の選手との問題点について質問をいたします。
 これは教育方針の問題でございますから、教育長ではなしに教育委員長から答弁を願います。
 かつて、この議場で最近の学校体育の方向について実例を二つ、三つ申し上げ、四国のある県立医大の研究グループの活動や和歌山県高等学校体育関係の方の基本的な考え方の講座内容等を引用して教育当局の見解を求めたことがありますが、現在、各学校で行われている部活の本来の意義と期待される教育効果、対校試合に対する現場における基本的な対応について、委員会の基本姿勢の見解を求めたいのであります。
 三つ目、就職指導のあり方について、これも教育委員長からお答えをいただきたい。
 その場当たりのおざなりと批判される態度をとっていないかと案じられるのであります。年度年度の卒業生に対するおざなり的な指導に終わっていないか。予算的には六十二年度百九十万円、六十三年度二百四十一万円、本年度予算では二百四十八万円とそれぞれの伸び率が計上されていますが、進路指導が進学面に重点を置かれているのではないか。就職指導については具体的にどんな方向で指導していらっしゃるのか。「それぞれ個人の性格等に応じた」なんてありきたりの見解ではなく、現場で実施している具体的事実の開陳を求めたいのであります。
 なお、特に学校での就職先の企業内容の説明と子供たちが就職をしてみた現実との差異があるという訴えをとみに聞きますが、教育委員会として求人先の実情実態調査はどんな方法でやらせているのか、またこれに要する人員配置と財政的措置はどうなさっていらっしゃるのか、お尋ねいたしたいのであります。
 第四に、監査委員会の監査報告第一号についてお伺いをいたします。
 平成元年一月十二日付、監査報告第一号を拝見いたしました。本来ならば、監査委員の独立性からかんがみ委員各位に御答弁をいただきたいところでありますが、今回は宮本代表監査委員に質問をいたします。
 一、監査報告は、「和歌山県議会議長西本長浩殿」となっていますが、その内容は知事あての報告と全く同一であるのか違うのか、まずお答えをいただきたい。
 二、合計十三カ所の機関における監査を実施された報告でありますが、Aとして、十三カ所の監査を実施して、いずれも「特に指摘をする事項がなかった」と報告されており、注意事項、勧告内容、調査を要する事項が何一つとして載っていない。そういう事実がなかったのかどうか。
 Bとして、指摘事項、特に注意事項等の段階はどの法の定めに従って規定区分をしているのか、お聞かせを願いたい。
 Cとして、一号に記載されているような様式、つまり口頭注意や特に指摘のない場合は、議会あてに報告しなくて、監査委員と現場機関との間で処理することを委員相互間で確認し合った処理方式であるのかどうか、またお互いに了解の確認をいたしたのなら、その確認をなさった年月日はいつか。
 以上、三点について御答弁をいただきたいのでありますが、万一、前任者からの引き継ぎ事項であったとしても、前任者の決めたことで私は関知しない等の答弁は、この際許されるものでないことを申し添えておきます。
 第五に、税制改正に伴う県当局の対応についてお聞きいたします。
 今回の消費税の導入は、直間比率の見直し、課税対象を薄く広くと政府は強調していますが、所得税の減額配分と消費税の課税対象の拡大、均等の問題は、不公平を是正するどころか、むしろ低所得者、弱者に増税を強いる悪法であります。なおかつ、導入に当たっての移行措置や納税事務の煩多、煩雑化は、国税庁が消費税の電話相談を開設したところ、一カ月にたしか三万六千件──これはラジオを聞きながらメモしたんですから、ひょっとしたら件数には聞き違いがあるかもわかりませんが、私の耳には三万六千件と聞きました。若干数字については異なるかもわかりませんけれども、ともかくいかに内容理解に納税者が苦しんでいるかということがわかるわけであります。いわば、こうした全面改正を図るときは、地方自治体として独自財源が乏しい、特に本県などは歳入減で四苦八苦しているのであるから、新しい財源確保のために国税の地方委譲を強く具申すべきではなかったか。
 例えば、本県で考えられることは、下津港では原油の年間約七百九十二万三千六百八十三トンの輸入実績を持っています。これが日本各地で精製され、販売される際に、それぞれの県で消費量に対して課税されるのでありますが、軽油引取税の県税収入は、我が県で四十六億一千九百万と承知をいたします。これは各県同様の性格の歳入であって、輸入港下津を整理している本県の整備費は年間約二十億円を数えます。これに対する国庫支出金は最大に見積もっても半額の十億円と見るならば、本県としては輸入原油に港湾整備目的税等として県税で徴収をしてはどうか。もちろん財政知識の浅い私でありますから、思いつきでこういうことを着想したのでありますが、これと類した本県特有の財政収入を図るよう法改正新機軸等はなきものか、総務部長にお尋ねをいたしたいのであります。
 いま一つ、これも視察に行った途中で、ある県の広報紙を拝見いたしますと、「宝くじは本県でどうぞ」という大きな標語が書かれていました。宝くじを自分の県で売りさばいてどうかいなあと思って考えて、いろいろ調べてみますと、大きな原因がある。
 我が和歌山県も、宝くじの売り上げに対する割り当て、それの消化あるいは売り上げによって交付されている金額が何ぼあるのか。これを伸ばすために県民には迷惑をかけない。私は、宝くじそのものについての論議は別に持っていますが、現在、県民が宝くじを他府県へ行ってまで買っているという実情からして、かつてのたばこ消費税のごとく──本県の中で宝くじの販売をなお増大するならば、和歌山県歳入がふえていくんだと言うならば、これまた問題は別です。
 私の目にとまった県のように、県報の中に「宝くじは県内で」という標語なども一つのいい着想ではないかと愚考いたします。あえて、卑近な例として申し上げました。これにこだわらず、新しい機軸での着想を部長からぜひ御開陳を願うことをお願いいたしまして、演説を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの田中実三郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 田中議員にお答え申し上げます。
 九州各県を視察に回られまして、九州における地域振興についての状態を御披露いただき、また激励をいただいたわけでございますけれども、心から感謝申し上げる次第です。
 私は各県へ余り行かないんですけれども、国民体育大会がある場合など参ります。そういった際、よその県でもいろいろやっておる。そのやっておることがいいことだな、こんな政策はどうかなというふうに、「よそのふり見て我がふり直せ」といいますか、刺激になる点も多いわけでございます。また、「よその花は赤い」といいますか、この県は平野が多いな、土地が安いな、また海岸も静かで埋め立ても簡単にできやすいな、うらやましいなと思うときもあるわけでございます。そのとき、いつも私は自分に言い聞かすことは、よその県にはよその県のいいところがあるんだ、和歌山には和歌山のいい点があるんだと。だから、大分の空港の問題も話ございましたが、関西国際空港は大阪にあるけれども和歌山市から三十分だ、和歌山の空港と同じではないかと。しかし、それをまだ扇風機の裏側だと感ずるか自分の空港と感ずるかという、そうした感じ方の違いがございます。
 半島振興法は、玉置先生を主体にして法制定ができたわけでございますけれども、これをつくる際には、他府県の知事なんかは問題にしてなかった。こんなものができるかと。代議士さんもそうでございました。しかし、和歌山県を中心にしての運動が、あの半島振興法を制定させた。よそから見たら私は驚異だと思っておるわけですけれども、果たして和歌山ではそう見ておるかということも感ずるわけでございます。
 また昨年、文化デザイン会議を行いました。これは、県庁所在地以外の熊野で行ったわけでございます。大分県でも熊本県でも文化デザイン会議を行いました。しかし、そこで開催されたよりも熊野で開催した方が、人も多くて熱心だったということが言われておるわけでございます。
 自分のいいところも見直していく、そうした意味からふるさと運動──我々のふるさとにはすばらしい人材もおった、文化もあった、伝統もあった、そういうことを認識して和歌山県の発展を進めなければならないと思っております。和歌山県の交通は今まで不便であったけれども、白浜にも空港ができる、関西空港ができる、高速道路もできる。絶好の機会を迎えた今ではないか。だから、この機会に和歌山を飛躍さすべきだと。背伸びをせずに、一歩一歩着実にたくましく前進すべきときではないかと思っております。
 もちろん、大分県や熊本県の知事のキャッチフレーズ、イメージアップ作戦、こうした点は勉強させていただかなければならない面が多々あると思っておりますし、そうした面において、県民の皆さんからの御提言なりイメージチェンジについての考えを今後とも指導していただきたいと思っておる次第でございます。
 次に、原子力発電所の立地とリゾート開発は地域開発にとって両立するかという御指摘についてでございます。
 一般的に申しまして、その地域の開発テーマがリゾート開発か原子力発電所の立地を契機とするかは、それぞれの地域が持っております立地条件によって、おのずと手段、方法が異なってくるものと考えますが、ともに豊かな地域開発を目指したものであると認識いたしておる次第でございます。
 他の問題は、担当部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 四点の御質問にお答えさせていただきます。
 まず第一点は、先進県の先取り行政に対する見解についてでございます。
 九州各県の県勢をはかる指標の一つでございます人口や一人当たり県民所得を見てみますと、その伸び率においては本県を超えている県もあることは事実でございます。御指摘の九州各県のユニークな政策が注目を浴びていることは認識してございまして、そうした手法や発想は参考にしてまいりたいと考えてございます。
 本県においても、議員御案内のとおり、昭和六十一年十二月に第四次長期総合計画を策定し、さらに当面する重点事業や各地域に主要プロジェクトを位置づけるなど、事業実施の役割分担等を明らかにした中期実施計画を去年の三月に策定して、新しい時代の潮流を踏まえた県土づくりの目標であるテクノ&リゾート計画を着実に推進しているところでございます。今後は、地元市町村を初め地域住民の自発的な意思による独自性を持った地域振興ともあわせ、県民の理解と協力のもとに、地域の特性を生かした施策づくりに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 第二点は、ふるさと創生についてでございます。
 ふるさとづくり特別対策事業は、地方の創意と工夫により企画・実施する単独事業を国が財政支援しようとするもので、具体的には全国各府県が作成するふるさとづくり基本計画に位置づけられたプロジェクト及び事業の中から、自治省が昭和六十三年度から平成二年度までの三カ年間指定する制度でございます。
 県といたしましては、昨年十一月、市町村と協議しながらこの計画を策定いたしました。各地域の特性を生かした文化、スポーツ、リゾートなど九つのプロジェクトと、これを構成する道路整備、公園整備などの二十二事業を自治省に提出いたしてございます。このうち、昭和六十三年度分といたしまして、高野文化リゾート基地整備、南紀JET計画の推進など、六つのプロジェクトが採択されました。それから、これを構成する道路整備などの県事業が六事業、田辺マリンリゾート開発などの市町村事業が三事業指定されているところでございます。今後とも、市町村指導も含め、関係部局と十分連携をとりながら事業の推進に努めてまいる所存でございます。
 第三点は、リゾート計画と地価対策についてでございます。
 県では、リゾート整備を地域振興方策の柱の一つと位置づけまして、燦黒潮リゾート構想の推進に取り組んでいるところでございます。議員御指摘のように、地価の高騰はリゾート整備の推進はもとより、住民の生活にも重大な影響を与えるものと認識してございます。したがいまして、県としては、プロジェクト開発が予定されている地域を中心に地価動向調査を特に濃密に実施して地価動向の把握に努めているところでございますが、昨年十月一日発表の地価調査結果によりますと、田辺・白浜地域の地価は全用途平均で○・四%の上昇率でございますけれども、その後、やや強含みの傾向ではないかと判断しているところでございます。
 今後とも、地価動向の調査を継続して、地価が急激に上昇し、またはそのおそれのある地域について、国土利用計画法の運用等により、迅速かつ的確に対応してまいりたいと考えてございます。
 最後に第四点は、原発とリゾート開発、地域開発は両立するかということについてでございます。
 基本的には先ほど知事が答弁申し上げましたように、ともに豊かな地域開発を目指すものと認識いたしてございます。県といたしましては、現在、燦黒潮リゾート構想の承認やリゾート開発の具体化に懸命の努力を払っているところでございます。一方、原子力発電所の立地問題につきましても、三原則に基づいて対処しているところでございます。
 この二つのテーマにつきましては、必ずしもなじみがたいテーマではないのではないかと考える次第でございますが、なおリゾート先進地である諸外国なども参考にしながら、調査研究を重ねることが必要であると考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 六項目にわたって御質問をいただきましたが、まず今回の税制改革に伴う本県の予算への影響についてでございます。
 消費税導入に伴って、既存間接税が改組されることによる減収があるわけですが、それは消費譲与税の増収により補てんされております。また、県が最終消費者として負担することになる歳出増については、国の予算や地方財政計画の中で地方交付税などにより、地方団体の財政運営に支障が生じないよう措置されることとなっており、消費税導入自体と財政調整基金の取り崩しとは直接関係はないものと考えております。
 次に消費税の問題ですが、消費税は消費に広く薄く公平に負担を求めるという趣旨から、地方公共団体の会館の使用料等についても原則として課税されることとなっております。
 使用料等に係る消費税の転嫁については、各府県、財政力等の事情が異なる中で判断したものと考えます。本県としては、国の指導もあり、また制度の趣旨から、県が歳出面で負担する消費税については、最終消費者である受益者の皆さんに御負担いただく方が、その分、受益者でない方も含めて県民全体で肩がわり負担するよりも適当であると考えたため、このような措置をとったところでございます。
 次に、民生費、教育費の予算の問題でございます。
 民生費の予算構成比は、六十三年度に老人医療等の福祉医療が保健環境部に移管がえしたことにより構成比が低下しておりますが、平準化した六十三年度と元年度との比較で見ますと、民生費は六・四%の伸びになっておりまして、予算全体の伸び五・七%を上回っているところでございます。
 また、教育費予算についても、今回一・一%と伸び率は大変低うございますが、教育費予算の九割近くを占める人件費がマイナスになっているのが大きな原因でございます。この原因は、生徒減に伴う教職員の減、及び退職年齢が五十九歳から六十歳に延びることに伴う退職者の減によるものでございまして、事業費のみにすると、教育の事業費は九十億から百十九億円と三○%以上の高い伸びになっております。
 次に、地方自治法の改正問題についての所見ということでございます。
 国と地方の関係につきましては、現在、国においても新行革審において検討されているところでございます。もとより、東京一極集中という経済情勢の中で地方の振興を図っていくためには、地方公共団体の自主性、自律性の強化が何よりも重要でございます。このため、国と地方の関係を見直して、国の権限の委譲や機関委任事務の整理合理化が進められるべきものという基本的な考え方を持っております。
 そこで現在、国会で継続審議になっております地方自治法改正案は、いろいろ細かい論点はたくさんありますが、大きく整理しますと五つの点を含んでおります。
 一番目は、機関委任事務について、今まで議会の関与がなかったのを議会の関与をふやす。二番目が、それも含めて監査委員の監査範囲の拡大。三番目が、監査委員の人選について、OBばかりではいけないとか、そういう服務とか任免の関係についての規定が入っております。四番目が、地方議会における参考人制度、及び議会運営委員会制度が法的根拠がありませんのでこれを整備しようというものです。五番目が、地方団体の長の罷免制度の廃止とこれにかわる代執行制度の導入であります。
 このうち一番から四番まで、すなわち機関委任事務と議会、監査委員の問題、地方議会制度の問題については議論は少ないと思うわけでございますが、五番目の問題についていろんな議論が交わされております。
 つまり、現在の地方自治法では地方公共団体の長、すなわち知事や市町村長は、選挙で公選された団体の長であるとともに、国の機関の長を法律上兼ねており、この結果、国の事務について総理大臣ないし主務大臣の指揮に従わない場合は、一定の裁判手続の上、総理大臣が長を罷免できるという規定が現在の地方自治法百四十六条の中に入っております。公選によって選ばれている地方公共団体の長を罷免するというのは、実態にそぐわないからこれを廃止しようとしているわけでございます。その代替措置の制度として、内閣告示をして、それから国による代執行をして、不服がある場合に訴訟制度に移る。現在の訴訟制度を前提において、罷免じゃなくて内閣告示、国による代執行、訴訟手続という改正が考えられているわけでございます。これらについていろんな議論が交わされておりますので、議論の推移について注意深く見守ってまいりたいと存じます。
 また、このような案は臨時行政改革推進審議会、地方制度調査会で審議の上まとめられたものであり、地方六団体としてはこれらの制度改正について全体として賛成しているというふうに聞いているところでございます。
 次に、税制改革に伴って県税収入をもっとふやす方策はないものかという問題でございます。
 これは、基本的には国税を地方委譲するとかいうことが極めて望ましいわけでございます。私どももいろいろとやっておりますが、このたびの税制改正に際しては、地方財源の安定確保を図るために全国知事会から国に要望するとともに、また法人事業税において、分割基準について本県に有利な見直し方法はないのか、いろいろ研究に取り組んだところでございます。
 また、国税の地方委譲等の新しい財源確保については、財源の所在、国と地方の財源配分、国税と地方税を通じた制度上の問題など、複雑で難しい問題がございます。今後とも、本県の財源確保に向けて十分研究を重ね、必要に応じ国に働きかけるよう努めてまいりたいと思います。
 最後に、宝くじの問題でございます。
 今回の予算で、宝くじ収入は一般財源として十一億円程度計上しております。県予算の宝くじ収入が県内での宝くじの販売量に関係し、県の一般財源のために販売量が増加することが望ましいことは御指摘のとおりでございます。
 今後、PRの主体である協議会とも相談しつつ、県民の皆さんに県内で宝くじを御購入いただけるよう努力してまいりたいと思います。
○議長(西本長浩君) 教育委員会委員長上野 寛君。
 〔上野 寛君、登壇〕
○教育委員会委員長(上野 寛君) 御質問の二点にお答えいたします。
 まず、部活動の意義と効果については、一人一人の生徒が自主的にスポーツに親しみ、生涯体育・スポーツの基礎を培うとともに、心身の発達、個性の伸長、社会性の涵養など、人間形成を行うところにあると考え、積極的に取り組んでいるところであります。
 また、対外試合につきましては、日ごろの部活動の成果を発表する場としてとらえ、適切に行われるよう指導しているところでございます。
 次に、高等学校における進路指導は、学校教育活動全体を通じて生徒一人一人が主体的に進路選択できる力を育成することであります。このことから、就職指導については、求人先の実態を把握し、適切な情報資料の収集と提供を図るとともに、予算措置についても努力をしているところであります。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 外国語学習についてでございます。
 現在、外国青年を英語指導助手として採用いたしまして、英語担当教員と共同の授業を行ってございます。そして、多くの生徒たちが英会話や外国の文化を理解し、興味を示すなどの効果が出てまいってございます。授業の実施に当たっては、担当教員が英語指導助手と事前に十分打ち合わせを行いまして、指導法の工夫を図ることが大切であると考えてございます。
 今後とも、英語指導助手と担当教員が一体となって生き生きとした授業を展開し、教師と生徒のお互いの信頼を深める必要がございます。そのために、英語指導助手と担当教員の指導力を高める実技研修や授業研修をさらに充実させてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 代表監査委員宮本政昭君。
 〔宮本政昭君、登壇〕
○代表監査委員(宮本政昭君) 監査報告の内容が知事あてと議長あては同一であるかとの御質問でありますが、監査の結果報告については、地方自治法第百九十九条第八項の規定に基づき、知事及び議会に報告することとなっており、同一の報告内容であります。
 次に、十三機関の監査実施の結果についての三点に御答弁を申し上げます。
 まず第一点として、勧告の内容、注意事項あるいは調査を要する事項はなかったかとの問いでございます。
 監査報告書については、指摘事項のみを対象としておりますが、しかし、指摘に至らなかったものの、注意事項、懸案事項、その他留意すべき事項もあり、それらについては定期監査の場において協議をし、改善に対する意見を聴取する等の指導、監査を行っているところであります。
 第二点として、指摘事項、注意事項等の段階はどの法の定めによって規定区分をしているのかというお尋ねでございます。
 和歌山県監査委員処務規程に基づく監査結果の措置といたしまして、改善または是正を要する事項として、指摘事項、注意事項、懸案事項、その他の事項に基準分類を定めているところであります。
 最後に第三点として、注意事項等については議会報告の必要はないのか、またこれは各委員の協議によるものかとの御質問であります。
 監査結果の報告の様式等、その方法、手法については法令上の規定はございません。仰せのとおり、監査委員は独任制の執行機関でありますが、監査の統一を図る上からも、監査結果の報告、公表及び意見等の提出に当たっては、全委員の合議を得て決定をいたしているところであります。
 なお、本件に係る委員協議会は昭和六十三年七月二十六日であります。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 39番田中実三郎君。
○田中実三郎君 再質問をいたします。
 企画部長も知事も答弁のニュアンスは一緒なんですけれども、ちょっと歯切れが悪いんですな。すごく丁寧に答えていただいているのに、つぼだけちょこっと外れている。
 リゾートと原発が両立するかどうかという私の質問に、とりようによっては、どっちかとってもらってやってもらうんですという言い方や。今までの議会答弁を眺めてみますと、両立するんだ、決して原発はリゾートや地域開発を邪魔しないんだというふうにとれる発言であった。そこをもう一遍、知事からでも部長からでも、一人の方で結構ですから、両立するかどうかという私の焦点へ合わせて答弁をいただきたいと思います。
 もう一つは教育委員会です。
 理想論で答弁をしていらっしゃいますけれども、例えば、言葉じりをとらえるんではないんですが、「就職の財源のために努力をしています」と。ところが、今、当初予算を提案しているんでしょう。予算折衝の段階じゃないんです。今度の予算書の概要を眺めた上で私は質問をしているんです。今ごろ努力されたって──追加予算をとるんですか。そうではなしに、この予算書にあるような形で努力をしていくんだとおっしゃるなら、また別の質問をいたします。予算財源的措置をしていただくために努力をしているんですと言ったら、今、予算折衝をやっているようや。そういう意味の答弁では意味をなさない。
 だから、予算書に書いている内容と、もう一つは体育とスポーツと選手との関係についても、予算説明書の付記欄で書いていることと、あなたの今答弁していらっしゃることとでは、これもニュアンスが違う。この説明書に書いている付記欄では、技術向上、競技向上の方へ重点を置いて書いていらっしゃる。答弁は、私の質問になじますためか、人間形成を重点的に取り上げていらっしゃる。同じ場でのそういう食い違いが、どうも不愉快です。きちっと整理をして、具体的な問題は委員長ではなしに教育長から答えていただきたい。
 英語担当教員の派遣研修についても、新しい予算計上をなさっていらっしゃいます。胸算用で六カ月かいなあ三カ月かいなあというふうに思うんですが、私はこれを重点的に置く方がいいんでないかという概念を持っているんです。外国の青年が十二名や二十四名いらっしゃっても、和歌山県じゅうの中学校や高等学校へ分配してみると極めて短い時間数になるではないか。もちろん、それは本格派の発音であるかもわかりません。先生の資格を持っていらっしゃる方の発音の方が悪いかもわからん。外国へ行って通用せんかもわからん。実践的でないかもわからん。
 ところが、例えば高校なら三年間、中学校からなら六年間ですが、英語の学習だけではなしに、教師と生徒間に強いきずなが生まれてくることこそが教育の本質なんです。単に、わざとして発音がうまくなったということだけではまずい。例えば外国の方が来て、短い間に本格派の発音を生徒に教えたと。今まで習った担任の英語の先生の発音は間違いだったんか、ここで不信感が生まれてきます。
 一つの現象を言いましょうか──再々質問にします。それをもう一遍答えてください。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) リゾートと原発についての再質問にお答えを申し上げます。
 先ほどもお答え申し上げましたとおり、県といたしましては、現在、燦黒潮リゾート構想の承認に向けて懸命に取り組んでいるところでございます。一方、原発の立地問題につきましては、かねてから三原則に基づいて対応しているところでございます。
 この二つのテーマについては、必ずしもなじみがたいテーマではないのではないかと考える次第でございますが、さまざまな意見があることも承知いたしてございますので、リゾート先進地の外国なども参考にしながら、今後さらに調査研究を重ねてまいる必要があると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、英語学習についてお答えをいたします。
 御承知のように、特に現在では聞くこと、そして話すことが極めて重要な課題になってございます。そういったことで、私どもといたしましては、国内における研修はもとより、従前、海外派遣による研修を行っているところでございます。平成元年度においては、海外派遣事業をさらに充実して、従前の二カ月の短期のほかに六カ月の短期の研修を実施していきたいと考えてございます。
 次に、部活動の関係でございます。
 これも、平成元年度からお願いをしております。特に部活動の育成に当たっては、従前に加えて中学校生徒スポーツ水準向上対策事業、さらにまた運動部の活動に関しましては、平成元年度から同じような新しい事業の実施をお願いしてございます。そういったことで、御質問の点については、これからも十分配慮してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(西本長浩君) 以上で、田中実三郎君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番村岡キミ子君。
 〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 お許しをいただきましたので、通告に従いましてお尋ねを申してまいりたいと思います。
 まず、国保問題からお伺いいたします。
 私は、過去二回にわたって国保料(税)滞納を理由とした国民健康保険証未交付問題と国保財政赤字の原因等について、知事及び民生部長の見解やその対応をお尋ねしてまいったところでございますが、今なお国保加入者は、相次ぐ国保料(税)の値上げに、高くて払いたくても払えない、もう限界や、自分が生きていたらみんなに迷惑をかけるばかりだ、いっそ死のうか、こんな叫びが私に訴えられてまいりました。生きる権利、医療を、いつでもどこでも受けられる権利を奪おうとするあり方に再度の質問をいたします。
 御承知のとおり、国保は社会保障の根幹であり、和歌山県下で四十七万九千五百十七人が加入し、全人口の四四%を有しております。低所得者と高齢者の多くを加入者とする、極めて重要な保険であります。国保法が改悪されて六年、特に退職者医療制度の導入による国庫負担率が四五%から三八・五%に切り下げられ、国保財政の赤字をつくり出した最大の原因でもあります。その国保運営をしている多くの市町村は、国保財政が苦しくなり、保険料を値上げしても間に合わない、これ以上の値上げは限界に来ているという事態に置かれています。一方、保険料の相次ぐ値上げとそれによる滞納者の増加、さらに滞納者に対する保険証の未交付が、今大きな社会問題になっているのであります。保険証がもらえないで医療が受けられず、死を招いた痛ましい悲劇が各地で起きていることを重大視しなければならないと思いますし、自治体の今後のあり方が問われる問題でもあろうかと前置きしておきたいと思います。
 本県においても、御承知のとおり、和歌山市を初め四市三町の国保の赤字財政が長期にわたって続いているのであります。保険料の値上げは毎年行われ、この数年間で下津町の七○・一%、新宮市六七・五%、和歌山市の五七・八%、田辺市四二・二%、海南市五二・二%、すさみ町、串本町の三七・三%、三○・七%と、この値上げは、それぞれの市町にとっても市民にとっても耐えがたい状況になっているのであります。私も、被保険者の一人として、いつまで続くかわからない値上げに大きな不安と怒りを感じているのであります。議員の皆様には、よく理解をしていただけるのではないでしょうか。
 二年前、国保料の滞納者への罰則規定を設け、健康に生きたいというごく当たり前な、そしてささやかな願いすら切り捨てられようとしています。幸いにして、本県では具体的に死という事態には至っておりませんが、実態はいつ起こってもおかしくない状況にあろうかと大変心配しているところです。
 厚生省は、市町村の国保予算編成を前にして去る二月三日、平成元年度国保予算編成について各都道府県に通知を行いました。この通知は、国保料の値下げは行わないよう厳しく指示し、保険料の収納率をさらに上げること、保険料の最高額を四十二万に引き上げること、赤字解消計画については単年度分は原因究明と具体的に実行可能な計画を必ずつくること、支出に際し国庫負担金は過大に積算しないことを基本にした、値上げをまたもや提起した内容になっております。滞納者への制裁措置の一層の強化、医療費通知を頻回に行うことやレセプト(保険請求書)の点検強化等によって、受診抑制、保険料の収納率を上げるための具体的予算計画を立てるよう、さらに通知を行いました。計画どおりに赤字解消見込みのない予算には国庫補助金の減額を厳しくするなど、地方自治体への制裁措置も決めております。これは、国の責任を自治体に転嫁する方向さえも感じられる内容になっているのであります。
 この通知の中で、注目しなければならない事項を見逃すわけにはまいりません。その文章は、国保制度に対する理解と協力を得るため、特に保険料による相扶共済制度であることを強調していることです。県下における保険証の未交付実態は、本年一月三十一日現在において百五十八世帯に上っております。この方々は、高い国保税を納めたくても生活が苦しいために滞納を余儀なくされた善意の被保険者ではなかろうかと思うのであります。
 私どもに相談に来られた二つの事例を紹介申し上げます。
 Aさん。家族四人、自営業。経営不況のため仕事なく、収入もなくなってきました。歯科治療を受けたいが、保険証がないため病院に行けず、顔が変形するほど症状が悪化しました。友人に遠慮しながら一万円のお金を借りて保険料を払い、保険証をやっともらって歯科治療を行いました。しかし、その数日後、夜逃げ同様に家族全員が行く先不明になりました。
 Bさん。無職。家族は母親と娘、父親は家出をして行方不明です。母親は国保を滞納しております。娘が離婚して実家に帰ってきてはいますが、妊娠をしており、実家で出産を行いました。出産給付金をもらいに行きましたが、母親の滞納分があるためにその滞納分を差し引いて出産給付金をもらったと言っております。
 これらは、ほんの一例にすぎません。
 次に資格証明書の発行でありますが、本年一月三十一日現在、四百五十七枚となっております。中でもひどいのは和歌山市の三百四十二枚で、全体の七五%を占めているのであります。また、いずれも届いていない世帯が有田市では百五十世帯に上っております。これらに関する実態調査をどのようになされたのか、またこの実態に基づく対応や指導はどのようにされたのか、民生部長にお尋ねをいたします。
 知事にお尋ねを申し上げます。
 国民健康保険法第一条の「この法律の目的」は、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」。さらに、第四条に「国及び都道府県の義務」として、「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。  2都道府県は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるように、必要な指導をしなければならない」と明記しているのであります。すなわち、国保制度とは国の責任において国民の健康、生命を守ることに尽きるのでありまして、現行制度のように国民の負担が増大して支払い能力の限度を超えるものになっているというところに重大な問題があるのであります。
 ですから、前段申し上げましたように、国の責任によって今こそ抜本的な見直しがなされなければなりません。保険証の未交付問題は、市民の生存権の否定につながりかねない重大な事態が起こっているということであり、滞納者への適正な事態調査に基づく減免措置の拡充や地方自治体独自の減免制度、あるいは支払い能力に応じた分割納付方法など、多面的、抜本的な改善が緊急課題だと考えるのであります。と同時に、国に対し積極的に国保に関する国庫補助率をもとに復活させる意見を上げるよう、知事としての御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、県都和歌山市における国保会計についてお尋ねを申し上げます。
 既に新聞等で報道されて御存じと思いますが、和歌山市の国保会計の赤字は五十七年度から今日まで累積赤字六十六億円を超える額になり、長期にわたっての財政破綻となっているのであります。「全国赤字自治体第五位」という汚名をもらっているのです。国保だけではなく、一般会計においても百億円に近い赤字を出しているのであります。今、国庫負担の削減や医療費の上昇で自治体の財政は大変厳しい状況になっていることは確かでありますが、だからといって市民に高い保険料を押しつけ、国保料の払えない者に医療を受ける権利を奪うやり方は断じて許せません。そうして、保険料を払っている人と払っていない滞納者の「負担の公平」と、よく保険課等で保険証未交付に対する制裁措置の理由として言われる内容でもあります。負担の公平をおっしゃるのであれば、国保の運営を支えている全体をまず見ることが基本であり、そして国、地方自治体及び住民(国保加入者)と三者の間で負担が公平であるかどうか問われるべきであると思うのです。民生部長の所見をお聞かせください。
 ──和歌山市の問題については、若干、後でもう一回やります。
 その前に、ゴルフ場開発の諸問題について質問をいたしてまいりたいと思います。
 私は、今回で三回、ゴルフ場問題の質問を行うわけでありますが、何もゴルフに恨みがあっての質問ではございませんので、まずそのことを申し述べて質問に入っていきたいと思います。
 全国的に社会問題化しているゴルフ場開発に伴うさまざまな問題が明らかになりつつあります。その一つは、今日のゴルフ場を初めとしたリゾート開発ブームの背景に、政府、財界が進めている産業構造の転換政策や貿易摩擦による内需拡大、国民の余暇時間の増大、レジャー志向を見込んだ新たな投資先を大企業がリゾート開発に求めていること、地方自治体の過疎からの脱却、地域振興、税収や雇用の確保への期待などがあります。
 今や政府は、ゴルフ場をも含んだリゾート開発を国土開発の戦略的重点として強力に推進していることなども、ブームをつくり出す要因になっていると思います。県や市町村段階においても、テンポの速いリゾート開発ブームに乗りおくれまいとして活発な動きすら見られます。こうした財界、政府の積極的リゾート開発姿勢に不安を抱く人々もあることを忘れてはなりません。
 それは、今日のリゾート開発は、米作減反、農産物の自由化、食糧の七○%海外依存、林業の破綻といった私たち人間としての生存権基盤である第一次産業の崩壊を促進する国家政策の中で進められていることでございます。地域の活性化を期待しながらも、風格ある地域づくりと住民に豊かで安らぎのある生活が実現できるのか、それとも地域に対する責任を何ら考えない事業体が横行し、利益は中央に吸い上げられ、荒れ果てた郷土を後世に残すことになるのではと、複雑な気持ちでいる人々も少なくないと思うのです。
 開発に伴う自然破壊や生活環境の変化、悪化、災害の危険の増大、水資源の破壊と水質汚染など、さまざまな問題が地域で発生し、社会問題になっているのであります。これからは、ゴルフ場開発などは、地域住民の生活や権利、それに環境や経済にかかわる重大な政治問題として、地方行政のレベルでも積極的対応が求められることになるでしょう。
 本県でも、ゴルフ場開発は既設の二十カ所と昨年二ゴルフ場の開発許可が認可され、工事着手に入っていると聞き及んでいます。今、事前協議の意見書通知も七開発業者に行われ、本申請許可準備が進められているのでありますが、すべてのゴルフ場ができますと二十九となり、地域的には紀南地域よりも有田地区から北部地区に集中する傾向になります。地域によっては、特に和歌山市には七ゴルフ場が開発される、まさにゴルフ場ラッシュを招く状況が具体化しつつあります。二町にまたがってのゴルフ場も数多く見られます。
 開発は地域住民にとってどんな影響があるのか、そして住民の生活や権利が守られ、自然環境保全にもいろいろな角度から住民サイドに立った条件整備が重視されなければなりません。そのためにも、ゴルフ場開発要綱やゴルフ場を安易にふやす開発推進を規制する総量規制を確立することがどうしても行政の責任として考えられるのですが、関係部長の所見をお聞かせ願います。
 次に、事前協議段階における地域周辺住民への説明についてであります。
 開発を行おうとする業者は、地域住民に目的や規模等の説明を行い、そして住民の納得と合意、町づくり策定への住民の実質的参加を前提に進め、さまざまな不安や疑問、要望、反対意見を大切にして、住民とともに開発計画を進めるべきであろうかとも思うのです。自治体と業者は多くの計画を秘密的に進め、住民が知ったときは何にも言えない状況にまで進められており、住民は不安と不信のみが増大するという、つまり住民への説明は形式のみというやり方はもうやめるべきです。
 ゴルフ場の農薬問題は十二月議会で申し上げましたので、ここでは農薬検査体制の具体的計画及びゴルフ場への立入調査の実施計画について農林水産部長にお尋ねをいたします。
 現在、ゴルフ場に係る用地買収が地権者と業者との間で行われているところですが、業者は、何としてでも交渉を成立させるために、地権者の生活条件も考えず、朝に夕に一日何回となく訪れ、売ることをきっぱり断っているにもかかわらず訪問する。その上、農用地変更申請書まで協力するように入院先まで押しかけてくるというやり方に、住民の大きな怒りが起こっています。こうした行き過ぎた行為は異常であり、地権者への人権侵害にも発展しかねません。行政的指導が必要かとも思いますが、御所見をお聞かせください。
 次に、私の居住するところにフォレストシティという、和泉山脈の三百二十五ヘクタールにわたる大規模開発が計画をされております。このフォレストシティについてお尋ねをいたします。
 このフォレストシティは、和興開発株式会社が設立者となって、東急建設が工事を行うこととしております。ゴルフ場を初め千五百戸の分譲住宅、ホテル、野外ステージを備えたスポーツ広場、テニスコートなど、居住人口五千七百人、幼稚園、小学校、保育所を兼ね備えた公共施設を有する一つのシティー計画であります。
 現在は、野鳥などの鳴き声もさまざまで、春には山桜が美しく、いながらにして花見もできます。初夏には、山菜、目にしみるほどの青葉を楽しむこともできます。秋の深まりとともに、もみじも楽しめます。そして、一年じゅうハイキングを楽しめる唯一の山々でもあります。はかり知れない自然の恵みを住民に与えている最大の山でもあります。開発によってこうした自然が破壊されてしまうことに大きな不安を持つものであります。この開発範囲は、東部に千手川、西部に鳴滝川があり、両河川にまたがる状況になっています。
 そこで、地元周辺住民の合意の範囲でありますが、地図上から推察いたしますと、有功地区全域及び直川地区に及ぶ範囲です。有功地区の単位自治会は三十六、直川地区単位自治会が二十八ございます。住民合意の範囲としてどの範囲を必要とするのでありましょうか、お聞かせください。
 このフォレストシティに係る問題としても、県道粉河加太線は、住宅や人口増に伴って、かねてから拡幅要求の強い道路でもあります。交通量は、県道粉河加太線の園部地点における昨年秋の調査を見ますと、午前七時から午後七時の十二時間に一万一千十七台、一時間に九百十八台です。この周辺地域の世帯数は、有功、直川地区で七千百世帯、人口二万六千二百七十人となっております。下水対策は、いまだに何ら具体的計画が和歌山市から示されておりません。ゴルフ場や分譲住宅開発に伴う排水は、鳴滝川に五○%、千手川に二○%、そして農業用水として長い間培われてきた有功農業用水路に三○%放流される計画が示されております。雨水及び洪水時の対策や千手川及び鳴滝川の改修計画があるのでしょうか。なお、両河川は重要水防箇所になっております。
 最後に、和歌山市側から出された意見はこの意見書の中に十分盛り込まれていると思うのでありますが、念のためお聞かせ願いたいと思います。
 このフォレストシティは、既に事前協議の意見書通知も業者に発送され、本格的な開発許可申請への準備が進められていると聞き及んでいるところでございますが、地域における道路を初めとした基盤整備が開発そのものよりも地域の住民生活のために優先的に必要かとも思われます。開発許可に当たっては、こういった地域住民のさまざまな問題に慎重に対処されて、そして町づくりを住民がともに進められるような開発許可であってほしいと思うのであります。
 最後に、和歌山市の国保問題について、改めて御質問を申し上げてまいりたいと思います。
 和歌山市の赤字の原因は、大きく分けて二点あると考えるのであります。
 その第一点は、昭和五十九年の退職者医療制度導入に伴う国庫支出金が大幅に削減され、その目減り分の補てんが極めて不十分なままになっています。和歌山市におけるこの三年間、昭和六十一年度から六十三年度の見込み状況を見てみますと、医療給付は一○・八六%ふえているものの、国庫支出金は総額において逆に七・一%も減っているのであります。この間、和歌山市は実質的に三○%以上の国保料引き上げをしており、六十三年度決算見込み額では保険料収入が国庫支出金を上回るという、考えられないような状況になっているのであります。
 第二点は、六十一年度から六十三年度にかけて実質三○%を超える国保料値上げをしました。その被保険者の実態を見てみますと、非課税世帯が全体の三七・八六%、年間所得百万円未満が二一・六四%、二百万円未満が二二・七二%あります。つまり、被保険者の実に八二%が二百万円以下の低所得階層となっているのであります。保険料は平均して月収の一五%から一六%にも達し、月収二十万円程度の世帯でも一カ月二万五千円から三万円と、非常に高い保険料を払うことになっています。今のような状況で値上げだけ続けていけば、被保険者に払えない人がふえるのは当然と言えるでしょう。こういった実態そのものも、赤字の大きな要因であろうかとも思います。
 本県として、和歌山市に係る赤字の原因は既に分析をされていると思いますが、今までの分析結果とその指導及び今後の対応について、民生部長の御所見をお伺いしたいと思います。
 これで、第一回の質問を終わります。大変見苦しい質問になりましたことを皆様におわびします。
○議長(西本長浩君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 村岡議員にお答え申し上げます。
 国保事業における国と県の責任の問題でございます。
 国保制度は、お話ございましたように、国民の社会保障と健康増進を目的とするものであり、国としては国民健康保険制度の運営が健全に行われるように努力すべきものでございまして、県としましては健全化のために必要な指導をするということになっておることは、お話のとおりでございます。
 最近の国保制度は、老人の加入率が非常に高うございますし、また低所得者の占める割合が高いという構造的な問題を抱えておるわけでございまして、機会あるごとにこの制度の根本的改革、そしてまた国庫補助金増額要求等、国に対して、知事会においても毎回取り上げ、強く国に要望をしているところでございます。
 他の問題は、部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 国保問題の三点についてお答えいたします。
 まず、国保事業の実態等についてお答えしたいと思います。
 議員御指摘のとおり、平成元年一月末現在における被保険者証未交付世帯が一部現存していることは承知しているところでございます。また、資格証明書も四百五十七件交付されてございます。資格証明書に関しましては、いわゆる支払い能力があるにもかかわらず支払わないと当該市町村長が判断し、やむを得ず執行したものと考えてございます。
 また、被保険者証未交付問題でありますが、納付相談の上、被保険者証を交付したい旨、御連絡をいたしましても、一向に連絡がないためと承知してございますが、いずれにいたしましても、個々の被保険者の実態把握のため家庭訪問を実施する等、積極的な市町村の努力により、法に即した適正な取り扱いを実施するよう再三再四指導しているところでございます。
 今後とも、適正な運営をさらに積極的に指導してまいりたいと考えてございます。
 次に、国保料を払っている人と滞納者の負担の公平の問題でございます。
 国民健康保険は、公平で適正な負担の原則に基づき、健全な事業運営をすることが最大の主眼となってございます。県下の状況を見ましても、昭和六十二年度で約九五%の収納率となってございます。
 保険料を払える方と払えない方の問題でございますが、国保制度にありましても、一定の所得以下の方に関しましては法定の軽減措置がございますし、また市町村の条例に基づく減免措置も実施されてございます。
 昭和六十二年度における法定軽減額は五万一千九百十六世帯、十三億三千四百万円、条例減免額は四千九百六十七世帯、二億一千万円余でございます。
 なお、滞納の実態を見ますと、大半の方々は国保本来の趣旨を御理解賜り、分納の方法で納入していただいているところであり、今後とも被保険者間に不公平が生じぬよう、個々の完全な実態把握を行うとともに、公平で適正な事業運営を市町村に対し指導してまいる所存でございます。
 なお、昨年六月の法律改正におきまして、被保険者の負担軽減、市町村財政安定の観点から、県におきましても、昭和六十三年度に引き続き平成元年度にも、国保制度充実対策事業として六億三千六百万円をお願いしているところでございます。
 最後に、和歌山市の赤字の原因と県の指導についてでございます。
 和歌山市の国保財政は、御指摘のとおり、昭和五十七年度に赤字が発生して以来、本年度末におきまして約六十五億円前後の赤字額になるものと予想されます。
 赤字の原因でございますが、保険料の引き上げが十分でなかったこと、また収納率が低かったこと等でございまして、医療費に見合う保険料の確保が十分でなかったことが最大の要因であろうと考えてございます。
 退職者医療による影響額につきましては、地方公共団体が要求しておりました特別交付金の配分により一定の補てんがなされてございます。
 また、市としての低所得者に対する対策でありますが、昭和六十二年度を見ましても、法定軽減が一万三百十九世帯、二億六千万余、条例減免が二千五百六十一世帯、一億四千六百万余の実施がなされてございます。
 県といたしましては、課税方法のあり方を含め、従来にも増して収支両面にわたる経営努力を促してまいるとともに、国に対しましても、財政再建の一助として特別調整交付金の配分等に今後も努力をしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) ゴルフ場開発に当たっての開発要綱及び総量規制につきまして、お答えを申し上げます。
 ゴルフ場開発につきましては、リゾート整備の主要な施設の一つであると認識しているところでございます。ゴルフ場開発による地域開発効果につきましては、建設投資に伴う地域経済への波及効果を初め、雇用機会の増大や地域産品の販売の拡大等、地域の活性化につながるものと考えてございます。
 本県における現在のゴルフ場は二十カ所でございまして、県土面積に占める割合は○・三一%となってございまして、全国順位では二十九位、近畿では最もゴルフ場の少ない県でございます。
 現時点で、県土面積対比で総量規制を行っているのは数県でございます。県といたしましては、各種の開発を進めるに当たっては、自然環境の保全を図りつつ、総合的かつ計画的に県土利用を進めることが基本であると認識してございます。ゴルフ場開発につきましても、個別法による対応とともに、この点を十分配慮しながら、今後の動向を把握し、的確な対応を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 事前協議における地域住民への説明についてでございます。
 大規模開発の事前協議においては、県関係部局の間で調整を図り、申請者に対し計画内容について総合的に指導するものであります。
 地域住民への説明につきましては、開発申請者に対し許可申請に先立って地元説明会等を行うとともに、隣接地所有者、地元自治会等の同意を得るよう指導しているところでございます。
 次に、用地買収における開発業者の異常な実態についてでございます。
 一般常識を超えるような特に行き過ぎた行為があると認められるときは、関係部局と連携しつつ業者指導を進めてまいりたいと存じます。
 次に、フォレストシティに関連しまして、五点の御質問に順次お答えさせていただきます。
 まず、県道粉河加太線の対策につきましては、将来は都市計画道路西脇山口線の四車線の整備を考えておりますが、当面の対策といたしましては、現在事業中の国道二十四号和歌山バイパスの完成により、岩出方面よりの交通量の大半をカットすることができると考えております。また、県道有功天王線との交点である六十谷交差点に右折車線の設置等の渋滞対策を行うこととしております。
 次に、地域住民の合意の範囲についてでございます。
 開発者に対して、開発区域の隣接自治会等の合意を得るよう指導しているところでございますが、隣接自治会以外についても、特に大きな影響を受けると考えられる場合がありましたら、別途指導してまいりたいと存じます。
 次に、下水道対策についてでございます。
 この周辺地域は都市化が急速に進んでいるため、下排水計画の早急な策定が必要であると考えております。
 現在、和歌山市では、紀の川右岸市街化区域全域約二千七百ヘクタールの区域について下水道整備のための基礎調査を行っているところでございます。
 洪水対策及び河川改修についてでございます。
 大規模開発を行うことによって生じる流出増につきましては、調整池等の防災施設を開発者の責任において設けるよう指導しているところでございます。
 一方、近年、紀の川右岸地域の市街化が急速に進んでいる状況にあります。
 そこで、県といたしましては、関連河川の治水安全度を見直すこととし、既に千手川につきましては、人家連檐地区を含む県管理区間の改修はほぼ完了いたしたところでございます。
 鳴滝川につきましては、昭和三十七年に一次改修が完了しておりますが、さらに治水安全度を高めるべく、平成元年度より改修計画策定に着手することとしております。
 最後に、和歌山市から出された意見書についてでございます。
 和歌山市から十数項目にわたって提出されていますが、その意見につきましては的確に対応するよう、指導事項として申請者に指示しておるところでございます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 ゴルフ場に関連しての農薬の検査体制、立入調査の問題でございます。
 農薬の安全・適正な使用は、防除の基本として大変重要なことと認識をいたしてございます。これから新たに開発されるゴルフ場に対しましては、開発事前調整協議会の中で、農薬等の年間使用計画書による指導や、また既設のゴルフ場に対しましては、先般、支配人、グリーンキーパーを対象に研修会を開催するなど、安全使用や危被害防止対策についての徹底を図ってまいっておるところでございます。
 また本年一月より、業界におきましても、安全使用に関しての九項目から成る農薬取扱注意事項を定めて、自主点検、自主管理が実施されておるところでございます。
 御承知のとおりに、昨年九月以降は農薬取締法に基づきゴルフ場の指導を行っておりますが、さらに農薬安全指導対策事業を拡大強化して指導体制の整備充実を図るとともに、適正を欠くゴルフ場に対しましては、関係部局と連携のもと、厳しく立入指導検査等を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 41番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 今、それぞれの関係の皆さんから御答弁をいただきました。
 国保問題については、今、全国的にも大変危機的状況にあると理解をしているわけです。和歌山でも、その寸前の状況がもう来ていると思っております。
 今、民生部長からお話がありましたけれども、保険証の未交付者や資格証明書発行者については、民生部長のおっしゃったような部分もあると思います。しかし、納付相談に来ないといった中には、自分は今健康だから、保険料が高いから要らないよということでみずから拒否をする人たちも数多く出始めているということを私は聞き及んでおります。
 国民皆保険という状況の中で、そして今、民間の生命保険等が進んできている中で、受益者としてはどちらが得策なのかということを選ばざるを得ない。国民健康保険そのものの性格が変わってきているんではないか。この国民健康保険のあり方について、社会保障の一環である医療保険といった基本にもう一回立ち返ることが今一番求められているんじゃないかと思います。
 そういった点で、未交付者なり資格証明書を発行されている人たちについて、もっと細かな調査が必要であろうと思いますので、この点については十分指導をしていただきたい。そして、適切かつ柔軟な方法で対処をしていただきたいと思います。
 そして、後追いの対策ということをやめていただきたい。事故が起こってから改善策をつくっていくといったことはやっていただきたくないと思いますので、要望をしておきたいと思います。
 それから、民生部長の公平論には若干異議がありますが、これは常任委員会で論議をすることにいたします。
 ゴルフ場の問題です。
 今、いろいろと御説明をいただきました。この事前協議における地域住民への説明というのは、どうしても地域住民が後に置かれるという実態があります。業者は土地を買収することにのみ一生懸命になっていて住民の人たちのことが忘れ去られているといった実態を、私はたまたま幾つか経験いたしました。
 私どもの団地自治会も、もちろんこのフォレストシティに直接かかわりがあります。人口も非常に増加し、山の斜面に向かって大きく開発をされていく地域でもあります。そういった点から見ても、今もう、二次災害が起こり得るであろうということが想定できます。
 県道粉河加太線、特に今この開発が進められようとしているところはその取りつけ道路もいまだに明確になっていないといった問題、また、現在開発されている部分だけでも、四十九ミリの雨が降っただけで有功用水路等で県道粉河加太線への浸水が既に出ているといった問題がございます。こういった状況が全く改善されないまま開発が進められるならば、その周辺住民が大変な災害に遭うだろうということは、もう目に見えるようにわかります。
 鳴滝川や千手川は一定の改修計画も行い、もう済んだというふうに言われております。しかし、昭和二十七年当時のあの大洪水については、知事も覚えていらっしゃるでしょうし、六十歳ぐらいの方たちは、和歌山県全域、関西全域がこの大洪水に見舞われて大変な被害をこうむったということは記憶に残っていらっしゃると思うんです。
 あのときの状況については、私も図書館に行って新聞から拾ってみたり、直川地区や有功地区の古老の方にも聞いてまいりましたが、やっぱりこれは物すごかったと。水だけではなくて、山の土から、石から、岩から、全部転がってきて、家の中まで土石流が流れ込んできて大変な状況であったようです。
 そのとき、分娩月を迎えていた妊婦さんが自分の家の外に押し流され、庭の柿の木につかまっていたけれども、その土石流のために約二百メーターぐらい流されてタマネギ小屋にひっかかって死んでいたということや、また神戸沖で和歌山の方が死体で見つかったといった報告も聞かされました。
 その当時、この山はまだ開発されていなかったし、保水力も十分ある状況の中で起こった問題です。今、その開発される周辺には二万人を超す住民が住んでおります。そうした人たちに大きな被害が起こらないためにも、開発許可をするための慎重な準備をしていただきたいことをお願いしておきたいと思います。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時三分休憩
 ───────────────────────
 午後一時六分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番尾崎吉弘君。
 〔尾崎吉弘君、登壇〕(拍手)
○尾崎吉弘君 産業廃棄物については、最近、特に各議員の関心の深いところとなっておりますことは御承知のとおりでございます。
 産業というものは生き物でございますから、エネルギーを出して産業として企業として活動する。当然その排出物というものが出てくるわけでありまして、産業廃棄物を企業活動そのものとして、あるいは不可分のものとしてとらえなければならないと思うのであります。もちろん、産業廃棄物に関しては、企業の責任においてこれを処理するということになっておるわけであります。この法に定められておる趣旨は企業も十分認識をしておらなければならないし、その認識の上に立った行政でなければならないということは当然のことであります。
 企業がどの場所で企業活動をするか、どの場所が自分の製品をつくり出す工場としてふさわしいかということは、もともと企業が独自で自由に決めるべきものであります。しかし、我々は企業誘致ということをやっておるわけであります。企業が、みずからの責任において場所を決める。その企業に対して和歌山県は、あなたの企業活動をするのには我が県は適しておりますよ、同じ企業活動をするのならば我が県に来てくださいというのが企業誘致でございます。そこで、企業の生産活動や営業活動の中から排出される産業廃棄物についても、先ほど申し上げた産業廃棄物は企業みずからの責任において処理をするということを十分に踏まえながらも、その処理をする責任を感じた企業が責めを果たせるような機構をつくる、責任を果たすことができるような和歌山県にしていくと、こういう努力は当然あってしかるべしだと思うのであります。言いかえますと、種類は違っても企業活動に産業廃棄物は大なり小なりつきものである。したがって、企業を誘致したり地場産業の足腰を強くするということは、産業廃棄物の処理に強い県にするということと同じであると私は思うのであります。
 こういった点から考えまして、産業廃棄物の処理に強いノーハウを蓄積した県はそれだけ企業誘致に力を発揮することができますし、地場産業の足腰を強くすることもできると思う観点から、今後、産業廃棄物のあり方をどのようにしていくか、まずこの大きな課題に対して、知事及び関係部長のそれぞれの立場におけるお考えをお示しいただきたいと思うのであります。
 さて、我が県においても、こういった時代の流れに即応した産業廃棄物の重要さを認識していただきまして、今までもいろいろと御努力をしていただいてきておるわけでありますけれども、今回、クリーン・ジャパン・センターというところに調査を委託いたしました。これからの対策はどうあるべきかと、こういう観点から委託調査をしておるようであります。まず、このクリーン・ジャパンに調査を委託した項目をできるだけ具体的にお教えいただきたいのと、もう既に回答がほぼでき上がっておると思いますので、この回答の概略などお聞かせいただければと思うのであります。
 次に、御存じのように、我が和歌山県には産業廃棄物の上で大きな役割を果たしているものがございます。それは、環境保全公社であります。この環境保全公社を通じて、住友金属の埋立地に一般廃棄物、産業廃棄物の基準に合致するもののみを廃棄して埋め立てておるという事実は、皆さん方御存じのとおりでございます。住友金属と環境保全公社、こういう形の中で和歌山の廃棄物が処理をされてまいっておりますけれども、この両者の契約というものは平成八年八月で切れることになっておるわけであります。そういたしますと、当然それ以後はどうなるのかということになるわけでありまして、平成八年八月以降の最終処分のあり方について、ここでお伺いをするゆえんであります。
 クリーン・ジャパンから出てきた回答、当然こういうものを参考にして当局はこれからのあるべき姿の検討に入っていくことであろうと思うのであります。この未来への対処の前に、まず現状の把握ということが極めて大切でございますけれども、今、産業廃棄物は企業、産業の中でどのように扱われているのか、その実態をどのように把握しているか、また時代とともに廃棄物はどのような変化の仕方をしていくのか、その予測をお伺い申し上げるものであります。
 次に、環境保全公社の果たしておる役割は大変大きく重要でございます。ここに受け入れ基準というのがございまして、この受け入れ基準に合致しないものは受け入れてくれませんから、当然、住金の埋立地に持っていくことができない。そういった、持っていくことのできない、基準に合わないものをどうするのかということでございます。
 これらをその基準に合うように処理をして、そうして基準内におさめたものを環境保全公社を通じて埋立地に持っていくということにしなければならないわけでありますけれども、その基準に合わせるための処理をするところがない。すなわち、中間処理場というものが我が県にはないわけでありまして、やむなく収集運輸業者に委託して、岡山県とか広島県あるいは隣の奈良県に持っていっておるというのが事実であります。
 そこで、こういった我が県の現状にかんがみまして、実は過去にもこうした中間処理場をぜひとも我が県につくらなければならない、こういう民間の自主的な動きもあったわけでありまして、海南市の藤白に中間処理場をつくろうと試みたことがございました。ところが、これがうまくいかなかった。私なりにその理由も調べてみたわけでありますが、この中間処理場がどのような過程でうまくいかなかったのか、今後のためにできるだけ詳しくお聞かせをいただきたいと思うのであります。
 そしてまた最近では、進んだ県は、そのリサイクル、汚泥の減量化、エネルギーの再利用、こういった一連のことをやっておるわけであります。
 いずれにいたしましても、産業廃棄物は企業みずからの責任において処理するということになってはおりますし、その責任を果たせるように県や市も一緒に考えてあげる、こういう態度がどうしても必要な時代になってまいっておりますけれども、その認識はどのように持たれておるのか、そして中間処理場施設の緊急的な必要性についてどう考えておられるか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 先ほど、海南の藤白で中間処理場を建設しようとしたがうまくいかなかった、こういうお話をさせていただきました。この中心となられた方は非常に気の毒であったと思うのであります。多額の投資をされた。ですから、将来の和歌山県の中間処理場建設の計画の中で、かつて試みをしようとした人たちの善意を生かしてあげるような工夫もしなければならないと思うのでございます。
 このうまくいかなかった理由の一つとして、数字の上では各企業の実態を調べて中間処理に回さなければならないものはどれくらいあるだろうということを計算いたします。そうすると、このぐらいあるから処理場としての採算が十分合うであろうということで始めたけれども、その二割、三割しか集まってこない。それでは、実際それだけなかったのかというとそうではない。量としては予測どおりあるのだけれども、それを即、我が県内の中間処理場に持ってくることができなかったことがその大きな原因であったと思うのでございます。
 なぜ、そういう結果になったのか。これは、いろいろと言われておりますけれども、いわゆる収集運搬業者と企業とのしがらみとでも申しましょうか、長い間「非常に困る、これを何とかしてくれ」という中で、収集運搬業者と企業との間に両者でないとわからないような秘密──と申し上げると語弊があるかもわかりませんけれども、よい意味ではお互いに助け助けられつつ築いてきた関係というものがある。今ここに中間処理場ができたからと言って、これをやめてすぐそっちへ持っていくというようなことはちょっとおかしいのではなかろうかと、当然こうなってくるわけであります。
 こういった収集運搬業者と企業とのしがらみというものは大変難しい問題でございまして、その間に、暴力団や暴力団的関係があるといううわさも聞いたりいたします。そうだとすれば、そういった背後関係を清算して、安心して中間処理場に持っていける背景というものをつくり出していかなければ、設備、機械をいかに立派につくっても機能することができないと、こういうことになってくるわけであります。
 海南でやろうとして試みを立てられた方によりまして──その方が失敗されたことは大変残念でございますけれども、うまくいかなかったおかげで、なぜうまくいかなかったかという理由がわかったわけであります。その理由は大変難しいですけれども、中間処理場ができればみんなで協力をしてそこに安心して持っていけるようにしなければならない。ただしその場合も、産業廃棄物の処理は企業みずからの責任において行うという原則を尊重しながら、行政のバックアップを考えてもらいたいと思うのであります。
 先ほど申し上げましたように、他府県では中間処理施設の活用によって、集まってくる泥の量を少しでも少なくする、廃プラスチックの再利用、リサイクル系統の確立、熱エネルギーとしての有効利用というものがもう既に実施されております。こういう他府県の実態について、この際、勉強されておればお教えをいただきたいと思います。
 そういったものやクリーン・ジャパンの回答を参考にしながら、そしてまたこれからつくる公害対策本部というものの中で十分な議論をしながら、産業廃棄物への対処方を検討してまいると思いますけれども、担当部長にその意欲のほどをお聞かせいただきたい。また、そのためにどのような組織をつくろうとしているのか、お教えをいただきたいと思うのであります。
 現在、社団法人和歌山県産業廃棄物協会というのがございます。この社団法人和歌山県産業廃棄物協会というものがせっかくあるのだから、ここをしっかりと充実していただいて、来るべき中間処理場の建設あるいは産業廃棄物全体の対処の中で、民間として大きな役割を果たしてもらうような団体になっていただけるように、今から社団法人そのものも努力をしていただかなければならないし、行政の方も指導、助力をしていかなければならないと思うわけであります。
 そこで、この社団法人和歌山県産業廃棄物協会の結成の動機、組織、メンバー、役員、現在やっておる事業内容、こういったことについてお教えをいただきたいと思います。また将来、中間処理場を建設していく場合に、この社団法人がどのような位置づけになってくるのか、こういうこともお教えをいただきたいと思うのであります。
 次に、ちょっと具体的な話に入ってまいりますが、先ほどから申し上げておりますように、中間処理場というものは他府県でもやっておりますが、これから出てくる二次公害はどの程度のものであるのか、お聞かせをいただきたい。私の聞いたところでは、そのものからはほとんど公害は出ないと聞いておりますが、それは事実かどうか。
 しかしながら、この場所をどこに設定するかとなると大変難しい。まず、場所を探す前に、どれぐらいの面積が要るのかということを教えていただきたい。これも、いろいろな形でどんな組み合わせでやるのかケース・バイ・ケースによって違うと思いますけれども、海南の藤白でやろうとされておったような規模であれば、まずどのぐらいの面積が必要であるのかということを教えていただきたいのであります。
 私は和歌山市におりますが、こういったものはなかなか、よっしゃ、うちの地区に持ってこいと言うてくれるところが少ないわけでありますが、実際に二次公害がないものとすれば──いろいろと苦労しながら、住民の方の御協力もいただいて青岸にできた和歌山市清掃工場は、住民の方々の御理解の上に立って、あの地区から他の地区へ移っていただいた。大変な御協力をいただいたわけであります。ああいった場所について、和歌山市とも十分話し合う、あそこに残っている南海化学とも十分話し合う、そういう中でいろいろな面に活用していくということもこれからの対策の中に入れてはどうかと思うのでありますが、御意見をお伺い申し上げたいと思います。
 次に、紀の川利水について。
 紀の川利水については、仮谷志良和歌山県知事の大変な決断、勇断によって協定が交わされたわけであります。しかしながら、この水問題ほど県民の間に理解されにくい、また理解されておらない問題はないのではなかろうか。タクシーに乗りましても、「紀の川の水、大阪へ持っていって、なんか和歌山にいいことあるんかい」と、こういうような式で、なかなかこれが本当にこれからの和歌山県発展の礎になるという理解が得られないわけであります。それだけに、地味な問題でございますけれども、正しい理解をしてもらうために、県行政の県民へのPRが一番大切ではなかろうかと思っております。
 まず一つは、大阪に分水するとかしないとかにかかわらず、治水の上から紀の川大堰というものは絶対に必要であるんだ、そうして和歌山市水道局の水の安定のためにも必要であるのだ、こういった最初の認識すら市民、県民の方に持っていただいておらない。その上に大阪への分水というものがあるということ。こういった非常に基礎的な問題についても、「県民の友」その他いろいろな機会を通じて十分御理解をいただくように努める義務がある。少なくとも、我々の祖先が営々として守ってきた紀の川、その紀の川の水の一部を流域外に出すわけでありますから、そのことによって和歌山県の発展の大きな礎ができておるんだということをしっかりとわかっていただくことが非常に大切であります。
 私どもの議会といたしましても、当時、水資源対策特別委員会において、水を渡す方の側が衰えて、もらった方が栄えるというようなことは許されない、水を渡したところも、もらったところもともに繁栄をしていかなければならない、むしろ、もらったところは、自分たちだけがよくなったのではないかという反省をしながら、渡したところの発展のために協力をしてもらうという基本的な姿勢がなくてはだめである、こういった主張をいたしました。
 「川は国を分かち、水は人を結ぶ」と言います。川があることよって、向こう岸との連絡がなかなか難しい。しかし、水によって人は結ばれる。大阪と和歌山県という県境はありますけれども、水によって結ばれた大阪の南部・泉南地区と紀の川流域は経済的にも一体である。水を渡したところの力が衰えていって、もらったところがだんだん元気になってくるというようなことが、万に一つもあってはなりませんぞということが私たち委員会の主張したところでございます。
 実は、この理念に貫かれて、紀の川大堰、紀伊丹生川、紀の川水源地域対策基金、府県間道路の促進、加太岬スカイライン構想というものがあったと思うのであります。そうして、大阪と交わしたいろいろな約束が確実に着実に守られているかということを見守りながら、なおかつ大阪南部と紀の川流域が一体となって発展していくために何をしなければならないか。少なくとも、お互いに足を引っ張るようなことがあってはならない。例えば、マリーナシティを和歌山で計画しておるのに、よく似たものを大阪の南の方でやる。それが、お互いに相乗効果を持って一体化して大きくなり、関東や他の地区に対抗できるものであればいいですけれども、足の引っ張り合いになるようなものをつくられては困る。
 ですから、この大阪南部と紀の川流域は、お互いの役割を十分話し合って、それぞれの持つプロジェクトがどうすれば相乗効果を生み出すことができるかということを話し合っていく組織をつくらねばならないということについて、協定以前に大阪の水対策特別委員長さんと両当局を交えた中で約束をしたわけであります。そうして、そのための組織を遅くとも昭和六十五年──昭和の代から平成に変わりましたけれども──平成二年までには発足するようにするという約束を交わしております。聞くところによりますと、その準備会が昨年の年末からできておるようでございます。
 これを、仮に紀泉地域総合整備に係る組織と呼ぶといたしますと、この組織づくりのための今日までの当局の努力の経過、今、私が申し上げたように、紀の川利水を通して一貫している理念をこの場所でどのように実現していくか、そこで何をするのか、泉南と紀の川流域が持つそれぞれのプロジェクトが相乗効果を生むのには何が必要であるのか、こういったことについて、リードしていく側である和歌山県としての考え方をお話しいただきたい。
 なぜかと申しますと、これは損得でいくならば大阪側は金の面だけでいくと得にならない、和歌山の熱意によって引き出した約束でありますから、和歌山側の主体的な意欲、見識というものが必要であるからお伺いをするわけであります。
 次に、財団法人紀の川水源地域対策基金についてであります。
 これは、二億五千万というお金をもって基金としておるわけであります。国からは五千万円、大阪、和歌山、奈良三府県で二億円を出しておるわけであります。そうして、和歌山と大阪との間に交わされた基金百七十億円はここに入って、ここを通して和歌山に入ってくる。このお金を、紀の川流域の発展ということに焦点を当てて、どのように使っていくかということは大変重要な問題であります。それだけに、当局としてもいろいろと検討されておるようでありますから今回は質問をすることは避けたいと思いますが、この基金の使用範囲はどんなところに使えるのか。
 と申しますのは、これは県民の皆さん方にも御理解をいただかねばならんと思いますけれども、大体、基金というものは、十年以上前までのを調べてみると一億とか二億とか三億とかという、今から言いますと見舞い金程度のようなお金で片がついておりまして、それらを飛び越えてぐっと大きく伸びたのは琵琶湖であります。琵琶湖では一トン当たり十五億円ということで非常に注目され、新聞にも報道されたわけであります。
 我が県の場合は四トンで百七十億ですから、トンに直しますと四十二億五千万という金額になるわけであります。百七十億というと当たり前のように思うかもわかりせんけれども、それを大阪側と交渉してきた当局の並み並みならぬ努力というものは、特に我々特別委員会に籍を置いておった者はよく知っておると思うのであります。それだけに、この基金をどのように活用していくかということは非常に大切な問題であります。今まで、基金というものはごく限られたことにしか使われておらない。しかし、これを自主財源と同じような使い方をさしてもらえれば、そのお金を国やいろいろな協力を得て二倍にも三倍にも使える。こういうふうな使い方のできる工夫をしてもらわなければならない。百七十億が三倍に使えると、大変大きな力を持つわけであります。
 例えば、府県間道路。これも、紀の川の水が大阪に行くということによって交わされた大阪とのかたい約束であります。これも県民の方々は余り知ってくれておらないんですけれども、ほうっておくと大阪側の整備は二十年かかるというものを、この水をてこにして半分の十年でいけと、簡単に言うと、そういうような約束がなされてきたわけであります。この府県間道路の整備の部分は大阪側の方がはるかに長く、面積も広いわけなんですが、それでも和歌山側も幾分あるんですね。大阪に比べるとはるかに少ない和歌山県側ですけれども、自主財源力の少ない我が県にとっては大変痛い。
 そこで、府県間道路の和歌山県側の部分にも、こういった基金を三倍にして使えるような形になっておるのかどうかお伺いをしたいのであります。
 最後に、この議会でも、紀の川利水によって生み出された加太岬スカイライン構想について質問がされたわけであります。
 平成元年で、大阪と共同で調査を進めていくという予算が組まれておる。調べてみますと、今回の予算に三百万円計上されているようであります。したがって、大阪側も当然三百万円組まれておるだろうと思います。合計六百万円で調査をするということであります。恐らく、どこかに一括して委託することになると思うのでありますが、そういう形になるのかどうかということと、どんな調査をするのか、その調査の具体的な手法について一歩踏み込んでお教えをいただきたい、かように思うわけであります。
 産業廃棄物、紀の川利水協定のその後ということで、今回の質問をさせていただきました。第一回目の質問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの尾崎吉弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 尾崎議員にお答え申し上げます。
 産業廃棄物の処分のあり方の問題でございます。
 お話ございましたように、産業廃棄物は、原則として排出業者の責任において適正に処理すべきと存じておるわけでございます。
 本県は、南北に細長い県でございます。また、地域によっての業種に差がございます。そうした点を踏まえるとともに、おっしゃいました排出業者の責任においてということを根本に置いて、県として、地域、産業に応じての指導体制をとってまいりたいと思っております。
 現在、話ございましたように環境保全公社がございまして、紀北地域の産業廃棄物処理を行っております。そしてまた、フェニックス計画というのがございます。これは、大阪湾において廃棄物を埋め立てようとする計画でございます。紀南においても廃棄物の問題があるわけでございますけれども、地元の市、業者等と十分相談させていただいて、今後ともその対策を進めてまいりたいと思っております。
 次に、紀の川の利水協定については、議会の皆さんに大変御厄介になりまして締結したわけでございます。
 先ほども話ございましたように、この紀の川の水についてもう少し理解を得るために方策を講じなければならないということ、まことにごもっともでございます。私たちも、そうした点においてなお一層努めていかなければならないと存じておるわけでございます。
 協定の締結後において、紀の川大堰の建設が図られることになったわけでございます。この紀の川大堰についても、水をやるためにつくるんじゃないかというふうな意見もありますが、これは治水上のためにできたわけです。
 けさほども村岡議員から話ございましたように、二十七年のあの大災害は何で起こったのか。あれがあったために紀の川大堰をつくらなければならなかった。そうしたことがまだ十分理解されておらない。また、紀の川には災害が起きた場合、遊水地帯として水につかって沈む田畑があったわけでございます。そうした遊水地帯が、今度はなくなろうとしております。
 紀の川大堰問題についても、私たちも責任を感じておるわけでございますけれども、建設促進が決まりました。また、丹生川ダムの実施調査、これも本年から計画されているわけでございます。
 そしてまた、紀の川水源地域対策基金が昨年の十一月に発足いたしました。お話ございましたように、この基金をいかに使うかということでございます。
 現在、紀の川流域の発展のために、府県間道路の問題、農業問題、環境整備の問題等、流域の発展のために進めていかなければならない事業があるわけでございます。そうした事業を、この基金をもとにして何倍もの効果を発揮するようにせよということでございます。そうした形において進めなければならないわけでございます。
 そしてまた、お話ございましたように、特に特別委員会の皆さんの大変なお骨折りによって大阪府と和歌山県とで協定を結んだ紀泉地域の一体的な開発を図るための組織を積極的に進めております。水をやる方、もらう方のお互いが、その地域の発展をいかにするかということで、現在、内部で先行的に進めておるわけでございまして、近くそれを組織してまいりたいと存じておる次第でございます。
 詳細については関係部長から答弁させていただきます。
○副議長(山本 一君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 産業廃棄物の処理に関する御質問にお答えを申し上げます。
 まず、クリーン・ジャパン・センターでの調査項目と結果概要でございます。
 六十三年度において、財団法人和歌山環境保全公社がクリーン・ジャパン・センターに委託して調査を実施いたしております。調査項目は、県下の産業廃棄物の排出状況及び処理状況、排出実態を踏まえた今後の処理対策についてでございます。また、その結果については、現在、最後の取りまとめをしているところでございますが、産業廃棄物の排出状況及び処理状況については、県の長期計画に合わせて定住圏別に集計、推計及び将来予測を行っているところでございます。また、今後の処理対策については、かなり理想的なものでございますが、処理、処分、再資源化に対する基本構想、環境保全公社の今後のあり方などについて取りまとめを行っているところでございます。
 次に、平成八年以降の廃棄物の最終処分場確保対策についての御質問でございます。
 議員お話ございましたように、現在、和歌山北港埋立地を利用して環境保全公社が廃棄物の最終処分業務を実施しております。県といたしましては、現在、産業廃棄物処理の基本となる和歌山県産業廃棄物処理計画の見直しを行っておるところでございます。県の公害対策審議会に諮問を行いまして、近々答申を受けることとなっております。
 御指摘の八年以降の処分場の確保については、この答申をいただきました後、庁内の公害対策本部会議において鋭意検討を行ってまいるとともに、環境保全公社に対してもその対策について検討するように指導してまいりたいと考えております。
 三点目の、産業廃棄物処理の実態についてでございます。
 処理の現状については、排出事業者において脱水、破砕等の中間処理を行い、そのほとんどは財団法人和歌山環境保全公社の方で処分をされております。
 なお、環境保全公社の受け入れ基準に合致しないもののうち、有機性の汚泥などについては他府県の許可業者に処分委託をしている現状でございます。
 産業廃棄物は、時代とともに質量とも変化していくものと考えられますが、今後は発生量の抑制、有効利用の促進等が図られていくものと考えております。
 次に、中間処理施設の必要性等についての御質問でございます。
 環境保全公社の受け入れ基準に合致しない、今お話し申しました有機性汚泥等については他府県で処理をされておりますが、県内の産業廃棄物を県内で処分するという理想論から見ますと、中間処理場の県内設置は必要であると考えておるところでございます。
 過去の例についてのお話でございますが、無公害汚泥のコンクリート固化を目的とした中間処理場を昭和五十九年一月に許可をいたしまして、六十年十月から操業を開始した例がございますが、経営上の種々の問題により昭和六十二年一月に和歌山地方裁判所から破産の宣告を受け、操業が停止している状況でございます。その後、当該工場敷地の土地所有者から破産管財人に対して土地明け渡しの要求が出され、現在、コンクリート固化施設は当該土地所有者が保管していると聞いております。なお、この中間処理業の許可については、本年の一月十二日に許可期限が満了しております。
 また、収集運搬業者と排出事業者とのしがらみについては、私どもの方では具体的に把握できていないのが現状でございます。
 そのことにより、収集運搬業者の発言力が強く、排出事業者が弱い立場にあるのであれば、産業廃棄物の適正処理の面や経済原則である自由競争の面からも問題があると考えられますので、関係機関と連携をとりながら処分の実態を十分把握し、産業廃棄物の適正な処理が図られるよう努めてまいる考えでございます。
 次に、中間処理施設の活用等についてでございます。
 中間処理は、減量化、安定化等を図るのが目的でございますが、その処理方法により有価物を回収し、御指摘の再資源化を実施しているケースも承知しておりますけれども、そのほかにも、一つの工場で不要になったものを他の工場で原料として利用する廃棄物の交換制度といったものがございます。
 今後、他府県の例を参考にして、産業廃棄物の有効利用の方法、組織等について、また交換制度については、他府県との協力体制も必要となりますので、これらを含め検討してまいりたいと考えております。
 次に、社団法人和歌山県産業廃棄物協会についてでございます。
 本協会については、昭和六十二年十月に設立許可されたものでございます。当時、県内には産業廃棄物処理業者の団体が事実上ございませんで、国からの団体設立指導について通知が出され、検討していたところ、県下の処理業者から業者が中心となった団体を設立したいという動きがあり、事業内容、定款等審査いたしまして許可したものでございます。
 構成は、県または和歌山市の許可を持つ産業廃棄物処理業者が中心で、二十社が入ってございます。役員は、理事七名、監事二名となっております。
 事業内容といたしましては、廃棄物の適正処理による生活環境等の保全、技術の研さん、調査研究、情報収集などを行い、産業廃棄物処理業者の健全な育成と廃棄物の適正処理、環境保全の重要性の啓発を行うこととなっております。
 今後とも、当協会の組織率の拡充と産業廃棄物の中間処理など、適正な処理事業について本組織を活用するように指導してまいりたいと考えております。
 最後に、中間処理の施設関係の御質問でございます。
 中間処理については、中和、固形化、焼却等、いろいろな方法がございますが、議員も御指摘ございましたように、その方法によって必要な面積等が変わってまいります。
 例えば、コンクリート固化処理でございますと、およそ一千平米程度の土地が必要かというふうに考えられます。このため、今後、中間処理の方法、設置場所、事業主体等について、御指摘のございました中間処理施設立地の適地選定調査などを行いながら、過去の経緯を生かして多面的に検討するとともに、事業者の指導に当たってまいりたいと考えております。
 また、中間処理場から発生する二次公害については、適正な施設で維持管理が十分行われる場合には問題はないと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 地場産業並びに誘致企業の産業廃棄物の現況等についての御質問でございます。
 議員お話しのとおり、産業の発展を図る上で産業廃棄物の適正な処理、処分については、大変重要なことであると考えてございます。
 産業廃棄物の排出現況については、ただいま保健環境部長から答弁申し上げましたように、現在、環境保全公社が委託調査をいたしており、取りまとめ中ということでございます。
 商工労働部といたしましては、中小企業振興策の資料とするために、主たる地場産業の廃棄物のうちの一部について把握をいたしております。それを申しますと、漆器、和雑貨関係では、ウレタン、プラスチック、化学塗料などで四千五百六十トン、ボタン関係では、ポリエステル、ユリア樹脂等で七百七十トン弱、繊維関係では、裁ちくずなどで三千トン、家具、建具等では、おが粉、不用材などで一万トン、それから木材──これは和歌山地区だけでございますが、おが粉、木皮等で二十二万八千立米程度となってございます。
 これらの廃棄物のうち、繊維等については再生資材として、また、おが粉、不用材等は燃料として再利用されているところもございますが、そのほかは自社処理並びに廃棄物専門業者に依頼をして処理をしている状況でございます。
 なお、工業試験場において、廃棄物の再利用の方法並びに製造工程について、生産コストの低減を図るためにも、原材料の効率的な利用について各業界を指導しているところでございます。
 産業廃棄物の最終処理については、議員お話しのとおり、排出事業者の責任となってございますが、これまた保健環境部長の答弁にもございましたように、公害対策本部会議において産業廃棄物処理計画が検討されることになろうかと存じますので、その中で産業活動の行いやすい環境づくりについて、商工労働部といたしましても努力してまいりたいと考えてございます。
 また、誘致いたしました企業については、誘致の主眼を加工組み立て型企業に置いておりますので、産業廃棄物の量は一部を除いてそれほど多くないと見てございますが、各企業はそれぞれ適切な処理をしていると考えてございます。
 今後とも、企業立地に際しまして、所管の保健所等、関係機関ともども、その適正な処理についての指導に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 農業用ビニール等の廃プラスチック排出量は年々増加しており、現在、年間約二千トン程度排出されてございます。
 県といたしましては、地域の特性を生かした施設園芸の推進を図る上からも処理対策は重要な課題と認識をいたしてございます。今後、転作の推進に加えて、オレンジ自由化対策やフライト農業の育成等による施設園芸化の伸展に伴って、さらに排出量の増加が見込まれてございます。農林水産部といたしましては、これまでも適正処理啓発推進や実験プラントの設置等、対策について検討を重ねてきたところでございます。
 今後とも、現在、実施しております県産業廃棄物処理計画の見直しを踏まえて、農業分野においては、県、市町村、農業団体等、関係機関が一体となって適正処理に向けて農家の意識啓発を図りながら、回収処理方法や運営管理等、推進体制の整備について鋭意努力を重ねるとともに、これら施設に対する補助事業の創設について、国に対して強く働きかけてまいる所存でございます。
 なお、ジュース加工等で排出されるミカンの搾りかすについては、現在、飼料、肥料等に有効利用されてございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀の川利水協定後のあり方についての三点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、紀泉地域総合整備に係る組織についてでございます。
 紀泉地域総合整備に係る組織設立については、現在、両府県の担当課室長をメンバーとする組織検討会において、組織の事業内容、対象地域等について鋭意検討しているところでございます。その詳細については今後なお協議し、詰めてまいりたいと存じますが、基本的な考え方といたしましては、紀北、南大阪両地域がそれぞれの特性を生かした機能分担を図りながら一体的に発展することを目標といたしてございます。
 両地域には、例えば、コスモパーク加太、阪南丘陵新住宅市街地開発事業など都市環境整備や交通体系の整備、さらにはリゾート開発等さまざまなプロジェクトがございますが、議員お話しのとおり、この組織によってこれらの構想を有機的に結びつけ、両地域の資源が最大限に活用され、また相乗効果を生むよう調整を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に第二点は、紀の川流域整備計画についてでございます。
 紀の川利水に伴う紀の川流域を対象とした地域整備計画については、現在、関係機関と協議を行っているところでございます。議員御提言のとおり、協定に基づく主要な府県間道路については早期に整備を図らねばならない事業であると認識してございまして、今回、特に基金においてその対象事業に取り上げられるよう対応しているところでございます。今後、早期に地域整備計画を策定すべく取り組んでまいりたいと考えてございます。
 最後に第三点は、加太岬スカイラインについてでございます。
 加太岬スカイラインは、コスモパーク加太のみではなく、本県北西部にとって関西国際空港方面、さらには大阪都市圏へのアクセスとして重要なルートであると考えてございます。
 この構想の具体化への取り組みについては、紀の川利水に関する協定締結に至る経緯の中で、議員お話しのとおり、平成元年度から和歌山、大阪両府県で共同して委託調査をすることといたしてございます。
 まず、加太、岬地域の経済及び輸送の現況と将来展望などを把握し、概略路線の検討から順次、道路計画、全体事業費など調査検討を推し進めたいと考えてございます。
 今後は、関係機関の協力を得ながら、大阪府とも十分協議の上、できるだけ早く事業化が図られるよう努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 30番尾崎吉弘君。
○尾崎吉弘君 産業廃棄物については、最近は農業において、知識集約型農業、施設栽培、フライト農業、こういった言葉が近代農業の象徴かのように言われておるわけでありますが、こういった農業形態からは必ず産業廃棄物が出てくる。フライト農業や施設栽培を盛んにするということは、その排出物の処理に強くなるということと同じであります。また、地場産業に強くなる、企業誘致に強くなるということは、企業が出す排せつ物いわゆる産業廃棄物の処理に強くなるということであります。
 したがって、先ほどから申しておりますように、あくまでも企業みずからの責任において処理をするというこの法的な意味は、十分企業者の方にも認識をしてもらわなければならないし、行政も認識をしなければなりませんけれども、今申し上げましたような時代的な背景、この中で企業の自覚を促しながら、行政としてできるバックアップ、感じた責任を果たせるような処理の仕方、こういった方向に向かって御努力いただくことを心から要望するものであります。
 また、水の問題につきましては、知事の答弁にもございましたように、少なくとも紀の川分水については、紀の川の水が大阪に行く限り、大阪に流れ続ける限り、水をもらうところよりも渡したところが衰えるということがないような具体的な組織の持ち方を、紀泉地域総合整備というこの共同地域を一体とした開発の中でお考えをいただくように、万全の御努力をいただきますことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎吉弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後二時九分散会

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