平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(大江康弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 松本先生、どうもお疲れさまでございました。
 お許しを賜り、お時間をいただきまして、一般質問をしてまいりたいと思います。
 一昨日、当局にお渡ししました原稿どおりにやらせていただきたいと思いますので、答弁の方も「打ち合わせ」どおり、よろしくお願い申し上げます。
 また、きょうの私の質問は、あす予定をしておられる共産党・村岡先生の露払いという形ででもやらせていただきたい、このように思っております。
 ここに一冊の本があるわけです。「各県別 路地裏の経済学 竹内宏」──竹内さん、私には余りなじみのないお名前なんですが。ここに、いろいろ和歌山県のことについて論評されておる。まあ経済人というのは、政治というものの中に言及をしやすいようで、なかなかしにくい。ここには、いろんな経済人の方の優位性とか頑張ってこられたことも書いておられますが、この激動の時代の中で仮谷知事が今日まで県政に携わってきたことに関しては、一言も評価が出ておらない。そのことに私は非常に憤慨をしておるわけなんです。ただ、知事さん、チェーホフという人が、平らな道でも転ぶときがある、人生とはそんなもんだということを言ったのでありますけれども、人生、お互い長い道のり、それぞれどういうことが待ち受けておるかもわからない。しかし、今の言葉のように、本当に平たんで何もないように思えても、つまずくのが人生。特に我々政治家という公人にあっては、なおさらであります。
 私は、この平成元年度の一般質問を初日からお聞かせいただきましたが、各党のそれぞれの皆さんがそれぞれの立場で論陣を張られた。いいことを言われるなあ、野党の先生も含め、やっぱり私が尊敬する先輩方だなあという感を深くしたわけであります。と同時に、それぞれ党の立場の皆さんが知事を初め当局に厳しく論難をしても──藤沢先生が過日、ここで土木部長をつかまえて怒っておられたが、しかしそのことも、やはり住民の皆さんの意にこたえてのことだと思うし、またそれだけ厳しく言っても、同じ党の中村先生が知事の五選まで心配してくださっておる。私は、非常にありがたいことだなあと思う。これは知事の人徳だ。渡辺先生に対しても、答弁が要らない、質問がなかったことでも知事さんは答弁をされる。この信頼感。あるいはまた、今日問題になっておる日の丸・「君が代」の問題で森先生が厳しく教育委員会をただしても、愛情あふふる、「黙って歌え」と。こういうガス抜きをしてくれるということは非常にありがたいなあと思う。また和田先生にしても、オリンピックを近畿で開けと。これは、政治家としての大切な先見性を持った中での提言だと思う。同時にそのことはまた、知事さん、四期の任期ではやれないんですよ。オリンピックをやれというのは、もう一期、もう二期、知事さんのもとでやってほしいという、仮谷知事待望論の県民の声の代表ではなかろうかなとも思うわけであります。
 そういう中にあって、今申し上げましたように、知事さんが最近いろんな立場で批判をされる。しかし、そのことはむしろ、政治家としてある面において非常に成長されて、政治家・仮谷志良という人間が、自分の持てるものをすべて出そうとしておる結果、そういういい意味の批判として出てきておるんだなあと感じたのであります。
 我々政治家というのは、生涯自分の道を歩む限りにおいて、ああよかったということはなかなか言ってくれません。批判というもの、またいろいろ言われることをどれだけ少なく抑えていくかという、努力、努力の毎日であります。その中にあって、自分がこうだと思った政治信条というものを一人一人に訴えていくことが私たちに課せられた大きな責任ではないかと思うのであります。
 そういうことを考えまして、私は、今回与えていただいた質問の時間において自分の与えられた使命を一生懸命果たしていきたいと思いますので、しばらく御辛抱をいただきたいと思います。
 新しい時代は価値観の変化を生みます。当たり前のことが当たり前でなくなりつつある現在、常識の非常識化等、例えば電車の中で、老人、小さな子供、身体障害者等、弱者の人々に対して席を譲るというのは当然の行為であります。しかし今は、この当然の行為である席を譲るというようなことさえも明文化をし教えなければ守られない。それでも、地下鉄なんかでそういうことを書いておっても、平気な人もたくさんいる状況であります。
 今議会において、いろいろな角度、いろいろな立場から論議をされている国旗・日の丸、国歌「君が代」についても、元来、その民族が自国の長い歴史の歩みの中ではぐくまれた文化、伝統を守って育てていくことは当然の行為であると思うのであります。日の丸も「君が代」も、国旗であり国歌であるということは、日本国民それぞれの心の中で当たり前のこととしてとらえてきたと思うのであります。それを法で明文化をし、義務化をしないと教えられない、守れないということは、私は悲しいことだと思います。
 教育長、こういうことは、文部省からの通達だとか指導だとか、あるいは法制化による義務だとか言われる以前の問題として、本県独自の教育の立場からも、当然、今まで現場で行われていなければならないことであると思うのであります。こういう時代だからこそ、仮谷知事、お互いが基本的な意識をしっかりとらえ、何が正義か不正義か、何が善か悪か、あるいはいいことか悪いことかをはっきりと示し得ることのできる認識感を持つことが大事ではなかろうかと思います。
 その中にあって、今回議論になっている消費税もしかりであります。国の中でもいろんな議論があります。考え方もある。しかし、いろんな状況の中にあっても、国家の絶え間ない発展や国民の恒久的な幸せを政治の使命、責務と考えたとき、時の政府、またそれを支える責任政党、そしてその責任政党は民主主義の基である主権在民による選挙で支持をされ選ばれているという事実の中で、さきの政治的命題の解決にはこれしかないんだという判断をされ決定したということであれば、我々はそれに従ってやっていくこと、またそれに理解をすることは国民的な当然の行為であると思うのであります。
 仮谷知事も、その国家の安定的な発展を目指した基本的政策を受けて、我が和歌山県民の幸せ、本県の発展を考えたとき、時の責任ある為政者として当然の決断であったろうと思います。
 県民の多くは、あなたの政治手腕を信頼し、多くの期待をかけている。今、静かなる大衆は、心の中で、「頑張れ仮谷、しっかり知事」と声をかけていることにあなたはどうこたえていかれるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 昨年は、左に振れた私の振り子でありました。それをことしは、もう少し右に戻した質問をしてみようと思います。
 時計も、振り子が右に左に揺れ動くから絶えず時を刻み、時代が流れていくと思うのであります。振り子が右でとまったままでもいけないし、あるいは左に行き過ぎても、藤沢先生、いけません。また真ん中でとまったままも、渡辺先生、変化がなくて、これも余りおもしろくないことが時にはある。考え方もいろいろあるから世の中が千変万化しながら動いていると思うのであります。
 私は自民党という党が好きなのは、何といっても、すばらしい県連の会長をいただいておること。どこがすばらしいのかと言われれば、指導力がある。なかなか苦しい時代の中にあって、いろんな意見をまとめてやっていく。すばらしい会長です。そして何といっても、層が深い、幅が広い、人材も豊富であるという事実であります。例を出して大変失礼ですけれども、我が議会においても、長老の古田先生が大変お元気で頑張っていただいております。八十歳です。そして、私と尾崎要二先生の三十五歳まで、年齢においても非常に幅が広いということが言えると思うのであります。
 ここで、大変失礼なんですが、我が県議会の平均年齢を調べてみると、五十六歳。自民党が五十四・三四歳、社会党さんが六十六・六歳、県民クラブさんが五十三・六歳、共産党さんが五十九・二歳、公明党さんが、私ども自民党と同じ五十四歳。これはまあ単なる数字の一つでありますけれども、これだけ層が深く幅が広いということは、互いに選ばれるに当たり、その支持層にも大きな違いがあるものの、保守合同以来の長期政権を維持し、信頼を得ることができた最大の基礎的要因ではなかったかと、私自身は理解をしておるのであります。
 仮谷知事、どう思われますか。国民、県民の皆様から我が自民党の政治姿勢に対し、いろんな方面からの御批判なり御意見を今日までいただいてきましたが、どんなときもそれらの声を黙殺することなく真摯な態度で受けとめ、大切にしてきたと思います。そして、党員初め党所属議員は、国政はともかく、地方行政の中心である県政の場において、それぞれが地方議員の一人として、より多く、より広い範囲で聞かれた声を確実に反映してきたことが、現在、県民の皆さんから仮谷県政を支える与党の立場として支持していただいておるものと自負をしてきたのであります。
 しかし最近、その自負が、甘えとしてのとらえ方か、我が党も反省しなければならない状況を生み出しつつあり、批判も今までとは違っていることも、党員としてまことに遺憾に思っている一人であります。
 リクルート問題も中央、国政の問題ととらえるならば、我が自民党とりわけ地方でその基盤を支えていただいている皆さんに対しても真の反省にはならないであろうし、私たちも決して、関係はなくても逃げるつもりはない。何でも、長く続けばいろんなことが生じてきます。構造の変化が起こり、内部で亀裂もある。それを早く、どのようにして改善をしていくかが大事であり、それ自体、全体を否定し反対したり、壊していくことはすべきでないと思うのであります。
 我が党は、今日まで続いた日本国の繁栄・発展をさらにこれからも維持していくとの方針のもと、今日、国家百年の大計として消費税を導入したことは、今はいろんな声もあり批判もありますが、いずれ、これからの歴史の過程で必ず評価を与えてくれるものと信ずる一人であります。政治家として当然の使命でありますが、その政府の決定を受けて平成元年度予算をつくり上げた知事さん、また当局の皆さんの県政への情熱に対しまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 仮谷知事、私ども自民党はこれからも責任と自信を持って知事さんを御支援申し上げたいと思いますので、どうか、この機会に我が党に対し何かの御提言があれば、あればで結構であります、いただきたいと思うのであります。
 次に、昭和天皇のお手まき記念館について御質問をしたいと思います。──真ん中の方から大分右に寄ってきましたが、ここで一気に右に寄せてみたいと思います。
 昭和天皇と本県並びに本県民とは、大変深いかかわりがございます。いただきました資料によりますと、大正十一年十二月一日に、さきの昭和天皇がまだ摂政の宮殿下であられたとき、初めて御来県をいただいております。自来、数えること六回。仮谷知事さんが就任をされた年からは、今から御質問を申し上げます全国植樹祭に際して昭和五十二年四月十六日から十八日までの三日間、本県に御滞在をいただきました。心温まる御慈愛をいただき、本県発展のためにも、苦しい時代に勇気と力を与えていただいたと信ずる一人であります。
 私が昭和天皇に最も近くでお目にかかれたのは、昭和五十二年、今申し上げた全国植樹祭の折であり、当時は、今は亡き玉置和郎先生の秘書として一緒に来県をし、行事に参加をさせていただいたときでありました。
 日本国民のお互いのアイデンティティーというものは何か。私は、陛下に接したときに、思わず心の底から込み上げてくるものを感じ、自分が日本人であるという意識を持ったものでありました。今は御病気で、また昭和天皇の御崩御で心を痛めておられるでありましょう皇太后様も、当時は大変お元気で、お二人の姿は今も目に浮かんでくる次第であります。さきの大喪の礼における海外百六十余の国々からの多くの弔問は、単に儀礼的なことではなく、亡き天皇様のお人柄、また、「どんな草花でも雑草という名前のものはない。一つずつ名前があるんだ」とのお言葉が示すように、何事にも深い愛情をささげられたことの証左ではないかと思います。
 悲しいことではありますが、今は心から御冥福をお祈り申し上げつつも、現天皇陛下のもと「平成」というすばらしい元号の時代において、亡き天皇様がお残しになられた「昭和」の時代のすばらしさをとどめながら、いつまでも忘れることなく、国民一人一人が一丸となってこの新しい時代をつくり上げていくことができるよう、責任を果たしていきたいと決意をしているところでございます。
 前段でも触れましたが、本県においても昭和天皇ゆかりの地が大変多くございます。そのことは、いかに多くの県民の皆さんと親しまれ、交流されたかを物語っていると思うのであります。それゆえに、お互い県民がひとしくその思い出をいつまでも心に残しておきながら、そのことを広く行政に生かしていかなければならないと思うのであります。とりわけ、紀の国和歌山においてお手まきをされ、木の大切さや緑の必要性を説かれた昭和天皇の御遺徳は、林業県和歌山として深いえにしではなかろうかと思います。
 知事さん、この写真を見て記憶を新たにしていただきたいと思います。(写真を示す)これは、今言いましたように、陛下がお植えになられた杉、皇太后様がお植えになられたヒノキであります。これは今、私の地元である西牟婁郡上富田町の林業センターの中で、このように大切に守っていただいております。
 私は、過日、昭和天皇の御生誕日が「みどりの日」として国の祝日と決定されましたことも、悲しい中ですが、喜ばしいことと思ったのであります。この機会に、お手まきをされた林業センターの中に、多くの県民が緑と触れ合い、また木を理解しながら勉強のできる場としてお手まき記念館をつくられてはどうか。また、第一回の「みどりの日」を来月に控え、昭和天皇の御功績を思い出しながら、本県として来る四月二十九日をどのような形でお迎えするのかをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、白浜─東京便の増便についてでありますが、その前に仮谷知事に、本年度もジェット化に伴う建設予算を国、県合わせて五十八億余円つけていただき、具体的な工事建設の着手ができることになりましたこと、心からお礼を申し上げる次第であります。また、名古屋便廃止以来、悲願であり念願でもありました東京便が一便増便され、現在の二便と合わせ、この四月一日から三便となり、これが実施される見通しとなりましたこと、これも仮谷知事さんが東京へ行かれるたびにJASへ陳情に行ったり、また運輸省へもお願いに行っていただいたたまものと存じます。同時に、側面から御援助をいただいた本県選出の国会議員の先生方や市町村の関係団体の皆さんに対しましても、厚く御礼を申し上げる次第であります。
 ただしかし、かつて名古屋便が利用客の減少を来して廃止を余儀なくされたとき、これもまた陳情を重ね、隔日運航や季節運航を設けてきてもらったわけですが、どうしても利用率を高めることができず、ついに名古屋便は廃便となったことが、今、改めて反省として思い出すのであります。今度、この今回の増便が減便になることがあるならば、ジェット化の推進をおくらすばかりか、将来の新路線計画も難しいものとなってくると予想されます。
 そこで、今回は前轍を踏むことのないよう、利用率の向上、維持対策が必要と思われます。私どもは、用事や陳情で上京の際は、でき得る限り飛行機を利用しているわけですが、もっと幅の広い、持続性を持った利用の仕方でないと、利用率を維持し高めていくことはなかなか難しいと思われます。
 例えば、県におきましても、せめて御坊以南の県関係の出張や地方自治体、各団体の上京時には原則として空の便を利用するという行政指導ができないものか。また、承りますと、航空会社でも「クーポン」と呼ばれる割引航空券が出されているようであります。商工労働部長、知っておりますか。それを購入して利用するとか、また観光客の導入も含め、今後、対応策をどのように考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、ただいま質問をいたしました白浜空港の関連でありますが、ジェット化後、また平成四年に完成する国立病院や周辺の開発に伴う交通網の整備とアクセス道路についてであります。
 白浜・田辺地方の道路問題を語るとき、どうしても避けて通れない、また今まで観光、産業、生活道路としてその役割を十二分に発揮してきてくれた白浜有料道路に触れないわけにはいかないと思います。この質問をすると、吉井局長は嫌がるんです。おれに答弁をさすな、大概いろんな整備をしてやっているじゃないかということを言われるんですけれども、しかし政治家として、時にはこういう場でお聞きをしなければいけない悲しい立場にあることも、吉井局長、御理解をいただきたいと思います。
 県営有料道路では唯一の黒字路線であり、京阪神から来て、白浜温泉という観光地を最も近く結ぶという利便性もさることながら、吉井局長の「打てばすぐ響く」という行政手腕と──ちょっと褒め過ぎですか──地元の職員の皆さんの努力により、立派な道路として育ってきたと思います。心から感謝を申し上げたいと思うのであります。
 ただ、もうここ数年来言われてきたこと、そして避けて通れないこととして、御存じのとおり、休祭日や観光シーズン時には恒常的に渋滞するという実情があります。現在、その解消のため、部分的な工事に着手していただいておりますが、将来のジェット空港の開港や周辺地域のリゾート計画、また国立病院の統合等々を考えたとき、交通量は確実に増大をすることは予測されるところであります。これらの将来予測の展望に立ったとき、早急な現有料道路の整備ということは私たち地元住民にとっても最大の政治課題でありますが、企業局としての考え方はいかがかをお聞かせ願いたいと思います。
 また同時に、このすぐそばを県道堅田新庄線が通っております。私は、単にこの白浜─田辺の脈路を一有料路線にゆだねても抜本的な解消にはつながっていかないと思うのであります。土木部としても、一般道路の必要性を考えたとき、早急に白浜─田辺の第二直結道路の建設に取りかかるべきだと思います。
 今ある県道を生かすのも、また別ルートを新たに設定するのもいいと思うのであります。ただ、ひとつ御理解をいただきたいのは、平成四年に国立病院が統合され、現白浜温泉病院も合併吸収されるということです。現在、外来患者や入院患者の方々の利便性を考えたとき、また既得権を思うとき、なぜ有料道路を通って、ということはお金を払って病院へ行かなければならないのかという疑問は、当然残ると思うのであります。
 田辺の病院へ行くのに、今まではお金がかからなかった。しかし統合されれば、当然、そこを通らなければならない。私は、もっと住民の皆さんに選択の余地という、選べる行為に幅を持たせていただきたいし、また当然そうあるべきだと思うのであります。
 先ほど申し上げましたように、周辺環境の推移とあわせ、第二白浜田辺道路の建設についてお聞かせをいただきたいと思います。
 また、あの有料道路の償還期間が平成六年という予定をされていますが、それよりも早まるということを聞いております。同時に、住民の皆さんから、早く無料開放化してくれないかという声もあるわけであります。
 私は一つの提言をさしていただきたいと思うのでありますけれども、今、償還金額が四億円残っております。その四億円は、今言った年月の間に払えるだろうという予定であるんですけれども、過日、白浜の町長にお会いしたときに私は、もうあそこを白浜町と田辺市で買えという話もした。四億円ですから、二億円ずつ出しても安いものだ。そして同時に、今また丸紅が一千億構想で田辺周辺にリゾートをつくるということであるならば、やはりもっと企業に協力をさすべきである。今の計画を見ていると、丸紅があの有料道路の周辺をほとんど開発するというようなことになっておりますが、白浜町と田辺市と丸紅の三者で四億円を出してあの有料道路を買い上げて県道へ払い下げ、払い下げというよりも、また県でそれを新たに見てもらうということも一つの案ではなかろうかと思うんですが、この点はいかがでありましょうか。
 それから、高速道路の紀南延長でありますが、一月三十一日の国幹審で御坊─田辺間が認められました。我が議会におきましても、古田先生を先頭に高速道路の紀南延長促進議員連盟をつくって今日まで御苦労いただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。そしてまた同時に、関係の皆さんにも感謝を申し上げたいと思うのであります。
 ただ、今回予定から除外をされる田辺─新宮間につきましては、今後、国に対しての運動をどのように展開していくのか、お聞かせいただきたいと思います。そして、それまでの間、基幹道路である国道四十二号線において整備が急がれている箇所についても、今後積極的に対応されることを要望しておきたいと思います。
 最後に、県職員及び警察職員、そして学校職員等々、公務員の皆さんの処遇改善について要望だけを申し上げておきます。
 また、この機会に、長年にわたり本県勢発展のために歴代知事及び仮谷知事を支え頑張ってこられ、この四月に勇躍退職をされる皆様方に、心から長年の御労苦に感謝を申し上げますとともに、県民の一人として、厚く厚く御礼を申し上げたいと思います。
 自分が若きころ志した目標に向かって人生を生き抜いていくということは、大変なことであると思います。公務員という職責も、私たち政治家と同様に、公私の「公」に対して非常に厳しい見方があり、それだけ自分という存在をどこに位置づけるのかということで大変制限をされるようにも思われます。仕事の内容も、時には地味なものもあり、結果についての評価も時間がかかったり、本当に御苦労なことだと思うのであります。私は、この機会に、心から改めて感謝を申し上げるとともに、本県におけるこれら公務員の方々の処遇というものを改めて見直していただき、その改善に向けて、それぞれの立場の職責に対してさらなる評価を与えてあげていただきますように、このことは要望として申し上げ、私の質問といたします。
 ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大江議員にお答え申し上げます。お答えするというより、お教えいただいた点の方が多いわけでございますけれども、新しい時代、移り変わる時代の中にあっていろいろな考えが出てくる、価値観が変わってくる、時代の変遷が激しいと、そうした中での知事の対処でございます。
 御指摘ございましたように、政治家はそれぞれの信念に基づいて勇断を持って政治を行っていくことが今一番大事なことではないかと、話を聞きながらつくづくと感じたわけでございまして、「平成」という新しい時代を迎えた現在、和歌山県の新たなる発展に大きな期待と希望が県民の皆さんにあるのをひしひしと感ずるのでございます。
 こうした転換期において、県政を担当する者といたしまして、もう一度初心に立ち返り、そして県民の小さな声にも耳を傾けることはもちろん、新しい時代の洞察と未来を切り開く勇気とを持って今後なお一層努力してまいる所存でございますので、議会の皆さんの格段の御支援をお願いする次第でございます。
 それから、自民党に対するお話がございました。先日、鈴木議員からも、自民党が政権を担当してまいった、そして今日の我が国の繁栄をもたらしたという話がございました。しかし、そうした反面、現在、リクルート問題が国会等において取り上げられておりますが、それについて提言があればということでございます。非常に難しゅうございますが、一応お答えさせていただきます。
 自民党和歌山県連には大変お世話になっており、現在、知事の座につかせていただいておるわけでございます。また、県政の分野においても大変お世話になっておりまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
 しかしながら、話ございましたように、先ほどのリクルート問題を中心にして、国において自民党についてのいろいろな御意見がございます。そうした中で、党の大会でも曽野さんがおっしゃったように、より慎み深く、より謙虚にいかなければならないんではないかと思いますし、またこれを一つのばねとして、過去の歴史が示すように大きな発展をしていただきたいし、そして総理がおっしゃっておるように、政治改革を行って政治への不信というものを取り除いていただきたいと思っております。
 他の問題は、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 昭和天皇と行幸啓を記念した本県の林業施設は、御在位五十年を記念して国の補助事業で実施した県植物公園緑花センターに隣接する昭和の森や、昭和五十二年四月に那智高原で開催した第二十八回全国植樹祭会場及び上富田町生馬の県林業センターのお手まき行事会場がございます。
 議員御提案の行幸啓の記録や木の国の林業展示をあわせた記念館の問題につきましては、大切な資源である緑や林業に対し、広く県民の理解をいただく立場から検討をしてまいりたいと存じてございます。
 次に、「みどりの日」の取り組みについてお答えを申し上げます。
 本年から四月二十九日が「みどりの日」に制定をされたのに伴いまして、ただいま林野庁において、全国みどりいっぱい運動などの関連行事が具体的に検討されているところでございます。県といたしましても、従来より、この時期はみどりの月間に当たり、広く県民の皆さんの参加のもと、緑化推進のためのフェスティバルなどを実施してまいりましたが、「みどりの日」が新しく制定された趣旨に沿い、今後さらに積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 南紀白浜空港の東京便増便後の利用、維持対策についての御質問でございます。
 南紀白浜空港の東京便につきましては、議員のお話にございましたように、先月末に一便増便の決定を見たところでございます。この増便は、他の航空路線との激しい競争の中で獲得されたものでございますが、東京と直結するパイプが一層太くなり、人、物、情報の流れを活発化させ、本県の発展に欠かせぬものでありますだけに、この夏に予定されている往復三便体制における安定した利用者確保が強く要請されるところでございます。
 このため、先日、県下の市町村初め、主たる約三百五十団体に対しまして、この東京便を積極的に利用されるよう、協力の呼びかけをいたしたところでございます。また、県職員あるいは周辺地域の地方自治体の職員の出張に際し、議員御提言のございましたように、例えば日高以南に在勤、在住する人は極力利用するよう、関係部局に協力を要請してまいりたいと考えてございます。同時に、議員のお話にございました宿泊とセットになったクーポン券等の積極的な利用などの啓発を図り、利用率を高めてまいりたいと考えてございます。
 また、白浜町、白浜観光協会等、地元関係団体と相協力いたしまして、利用促進のためのポスターやパンフレットによる宣伝活動、また関東地域での観光キャラバン活動、旅行業者とタイアップした南紀旅行セット商品の設定などによる団体客の誘致、さらには各種全国大会の南紀への誘致など、いろいろと利用者の拡大策を展開し、東京便の安定利用を積極的に図ってまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 白浜─田辺間の道路に関して三点の御質問がございましたけれども、関連がございますので、まとめてお答えさせていただきます。
 白浜有料道路の周辺には総合リゾート開発等の地域振興プロジェクトが数多く計画されており、今後、交通需要の増大が見込まれます。また白浜有料道路は、南紀白浜空港のジェット化と高速道路の南伸により、高速交通体系を補完する重要な路線となります。南紀白浜空港への主要なアクセスとしては、この白浜有料道路と、これに接続する県道南紀白浜空港線によることになります。
 こうした状況を踏まえ、議員から御提案がありましたように、田辺─白浜間の新たな交通体系の整備についての検討が必要であると考えております。今後、関係機関と協議をしながら検討してまいりたいと存じております。
 また、南紀白浜空港線の整備につきましては、現県道は急勾配が連続しており、現道沿いの改良が困難であるため、別ルートでの整備を検討しているところであります。この路線の整備に当たっては、現道の交通緩和や空港アクセス等に効果の高い区間から順次改良していくことを検討しております。
 また、国立病院の統合移転に伴う道路についてでございますが、地元の方々の利便という面からその必要性が理解できますので、今後、関係する市、町とともに調整を図りながら検討してまいります。
 次に、今後の高速道路の紀南延伸運動についてでございますが、このたび、議会を初め多くの関係の方々の御支援を得て、御坊─田辺間二十九キロメートルが国幹道の基本計画として決定され、着工に向けて本格的に路線の調査が進められることになりました。今後は、本区間の整備計画への格上げ、さらには田辺から新宮に至る区間の基本計画への組み入れと整備への早期着手について、県議会各位の一層の御支援を賜りながら努力してまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 白浜有料道路の混雑状態の解消についてお答えをいたしたいと思います。
 白浜有料道路の夏季及び連休時における混雑状態については議員御指摘のとおりでございまして、当面の解消策の一つとして、本年度は田鶴交差点の田辺方面の左折車線の延長工事を施行しているところであり、引き続き元年度予算では、現在の料金所を拡幅し、簡易ブースを四カ所に増設すべく、所要の経費を計上しているところであります。
 また、抜本的な解消策といたしましては、高速道路の紀南延伸にあわせ、白浜へのアクセス道路の必要性から幾つかの課題も残されていますが、道路拡幅のための調査費も計上しているところであります。その調査実施に当たりましては、土木部とも十分協議し、検討してまいりたいと存じます。
 なお、地元自治体への払い下げにつきましては、御提言として受けとめさせていただくとともに、各方面の御意見も賜ってまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番大江康弘君。
○大江康弘君 簡単に。この前から「県議会だより」を見ていたら、再質問のときの方がテレビによく映っているんで、本当はするつもりはなかったのですが、ちょっとだけやっておきます。
 今、花岡部長から答弁をいただいたんですけれども、和歌山県というのは、生むのがうまい。しかし、それを育てていくという面ではもうひとつという感がします。どうもお互いの県民性というものが理由かなんかわかりませんが、いろんな産物をとってみても、そうであるわけなんです。今、部長がいみじくも申されましたが、いろんな空港からの陳情合戦があって、枠をとるのに非常に競争の厳しかった東京の一便増便であります。
 私は、単に商工労働部だけが観光という点のみでとらえることなく、これはどこにお願いをしたらいいのか──過日、知事さんは、私もまた一生懸命あの飛行機に乗るよと言うてくれていましたが、やはり各部局がお互い横の連絡を取り合って、どうかひとつこの三便へのきっかけになった七〇%という乗降率を落とすことのないように、それぞれの部局において今後とも努力をしていただきたいということを要望して、終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時四分休憩
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