平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(松本貞次議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時十六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(西本長浩君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第201号 
   平成元年3月13日
 和歌山県議会議長 西 本 長 浩 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成元年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第84号 昭和63年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第85号 昭和63年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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○議長(西本長浩君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第八十四号及び議案第八十五号を一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、御説明申し上げます。
 昭和六十三年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で九十一億二千五百余万円、特別会計で五億八千八百万円を平成元年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(西本長浩君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(西本長浩君) 次に日程第二、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに報第一号及び報第二号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 33番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 この後、議会一の元気者・大江先生が登壇いたしますので、至ってスムーズに一般質問をしたいというふうに考えております。
 それでは、通告に従って質問をいたします。
 ビッグプロジェクトに対応、投資重点で県勢浮上ということで三千八百八十三億余万の積極型平成元年度予算を編成され、仮谷知事は二月二十日、新年度予算案について、「念願だった国土軸との接続、すなわち関西国際空港の開港、近畿自動車道紀勢線の接続・南進、南紀白浜空港のジェット化、本年度中に予定される特急『くろしお号』の新大阪乗り入れなどが間近に具体的な形となって見えてきており、平成元年度予算は文字通り『新時代幕開けの予算』と言える」との談話を発表されております。
 確かに平成元年度予算は、和歌山県にとって「新時代幕開けの予算」と言える。ビッグプロジェクト対応に向け、思い切った予算編成、あわせて図書館建設用地の取得費、美術館建設を前提とした美術品取得基金、文化、健康、福祉、リゾート、国際化、オレンジ輸入自由化など、時代の流れに沿った新規事業を各部局にちりばめ、めり張りとバランスを頭に置いた配分としている。和歌山県の今後の方向と、あすの和歌山への大きな夢を期待するものであります。
 だが、若干の不安を抱く一人として、少し質問をいたします。
 「飛躍を目指し積極的予算」などと言われて、少し無理をし過ぎてはいないか。近年にない多額の投資ができたのは、特別な財源を得たからではない。従来の公共事業以外に、今年度よりスタートしたふるさとづくり特別対策事業、半島振興道路整備事業など、自己負担がほぼ半分で済む事業を活用、また公務員の六十歳定年に向け、本年は定年を三年ごとに一歳引き上げるその年に当たり、定年退職者が二百三十八人も減ったために人件費の減、財政調整基金いわゆる貯金二百十四億から八十億円の取り崩し、県債いわゆる借金も昨年同様三百七十億円計上等々、少し中をのぞくと、かなり無理をした部分が見えます。特に、全国最低レベルで低迷する県経済の浮上を図るため大プロジェクトに対応し、「新時代・投資重点型予算」と位置づけて八九年度の予算編成をしたが、県民泣かせ、低所得者や弱者犠牲の予算編成になってはいないか。
 「あすの和歌山」「新時代幕あけ」の創生のためには県民総意の熱がなくてはなりませんが、県の財政状況は好転しておりません。県税の伸びは低迷、県債増発、基金の取り崩し。たまたまことしは退職者の減で何とか財源をひねり出したという印象が強く、来年度は再び退職者がふえ、県財政を圧迫。さらに、美術館や図書館の建設、南紀白浜空港、和歌山マリーナシティなど、総額一千億円以上の事業がメジロ押し。これをどう調整し、どのように財源確保するのか、まず知事に御答弁をいただきたい。
 次に、投資的経費一千三百六十五億と、歳出の三五%の巨額を投じておるわけですが、和歌山県がどのようにこの投資的経費を使い、どのように変貌していくのか、また、この投資的経費一千三百六十五億の投資により、自主財源の柱である八百億の県税をどう伸ばしていくのか、中期的、長期的方向をお示し願いたい。さらに、県民の役割、また県民はどのように対応すればいいのか、行政の努力と工夫はどうしていくのかも示していただきたいと考えます。
 私は、財政調整基金の取り崩しは好ましくないと思います。財政調整基金は県民の貯金と考えるわけですが、本年は基金二百十四億より八十億を取り崩しております。年度途中において交付税の延べ払い分で四十億円を戻し、利子を含めて百八十三億にとめられると言われるが、実質三十一億円の減になります。九○年度も事業推進のかかわりで財源確保のために取り崩しはやむを得ないのか、お答え願いたい。
 また、和歌山県は総世帯数三十三万、総人口百八万ですが、この世帯数、人口をほぼ同じとする沖縄県、香川県の財政調整基金はどうなっておるのか、数字でお示しを願いたいと考えます。
 次に、県債二千二百三十一億円の返済について、九○年度はかなり上昇すると思うが、その現状はどうか。また、他府県における県債の比較で、全国の中で和歌山県はどのような位置にあるのか、お示しを願いたい。さらに、富山県、石川県は人口も和歌山県とほぼ同様でありますが、両県の県債、また県民一人当たりの借金はどうなっておるのか、数字でお示しいただきたいと考えます。
 次に、消費税について少し質問します。
 消費税導入を中心とした税制改革は県予算にも大きな影響を与え、料理飲食等消費税が特別地方消費税に衣がえし、税率が一〇%から三%に下がり、免税点が現在の二倍に引き上がるため税収は四分の一になり、減収額は約三十億。娯楽施設利用税がゴルフ場利用税だけとなり、減収は約五倍。住民税も、所得税減税に連動して約十五億円減少。ところが、消費税の二割を全国の自治体に分配する消費譲与税が新設され、これは約四十億円の増収となる。歳入の面では、差し引き十億円の減。一方、県が発注する工事や備品に消費税がかかり、歳出が約三十四億円増。歳入減、歳出増を合わせた予算への影響は四十四億円の見込み。だが、地方交付税が百五十億ふえる見通しで、消費税の影響をカバー。だから何も消費税導入による県予算への影響はないと、こう当局は説明をされております。私もおおむね理解をするわけですが、どうも、プラス面、マイナス面を考えると、消費税導入の税制改革に戸惑いを持ちます。
 平成元年二月二十三日の読売新聞に、一月二十八、二十九日に実施した、消費税導入を柱とする税制改革について国民はどう受けとめているかという全国世論調査の結果が発表されました。それによると、消費税導入の税制改革は賛成ですか反対ですかという問いがあり、賛成わずか一七%、反対は七一%になっております。また、現在の家計から見て税金の負担感を尋ねたところ、非常に重い三一%、やや重い四八%と、合わせて七九%の人々が税の負担を感じております。さらに、この税制改革で税金の負担が軽くなるのか重くなるのかとの問いには、多少は軽くなる六%、重くなる四七%であります。この数字を見ても、今回の税制改革に対する反発感がにじみ出ているように感じるわけです。このような現状を見て、和歌山県民の感情も同様と考えるが、知事はどう考えておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 また、消費税に対しての戸惑いと政治への不信感を持っている県民が数多くあります。そこへ、なお拍車をかけるように公共料金への消費税転嫁を進め、県営住宅家賃、県使用料及び手数料条例改正等など関係議案九件が提出されました。東京都を初め大阪、兵庫などは公共料金への消費税転嫁を実質見送っているが、県知事はなぜ強硬に、県民の心を問わず、公共料金への消費税転嫁を心迷わず提案されたのか。他府県はそれぞれの立場で決めた、和歌山県は国に準じて公共料金への転嫁をと、こう言われておりますが、県民の声をどのように聞き、そしてまた県民生活とのかかわりをどのように把握されて今回の決定になったのか、まずお聞かせ願いたいと考えます。
 また、消費税法第六十条においては、国、地方公共団体に対する特例として一項より八項にわたって明記されております。これによると、一般会計に入る消費税は国への納付が免除されると解釈できるわけですが、どのように解釈すればいいのかを聞かせていただきたい。
 私は、この消費税法第六十条をいい方に解釈すれば、公共料金への消費税転嫁は実質見送ってもいいと考えるわけですが、それはどうですか。また、予算編成時における対応として、六十条に対する土木部長の考え、県知事の考えはどうであったのか。さらに、予算折衝における接点はなかったのか。努力はしたが、いたし方なかったという答えになるのか。予算編成時より提案に至るまで、この六十条の解釈をめぐり、土木部長、知事の考えを総括しながら提案になったと考えるが、今日までの協議内容を総務部長からお答え願います。
 私は、公共料金への消費税転嫁反対の立場で申し上げますが、この消費税関係の議案九件を修正し、見送るという考えが知事としてないのかどうか、お聞かせを願います。
 次に、同和行政について質問をいたします。
 ことしは、「自由・平等・博愛」を高々と掲げて戦われた一七八九年のフランス革命、フランス人権宣言から数えて二百年という記念すべき年に当たり、また同和対策事業特別措置法が制定されて二十年という節目の年に当たります。今こそ、すべてを総括し、新しい時代への部落解放の展望を見出さなくてはなりません。
 我が和歌山県は、全国に先駆け、県政の柱として同和行政に取り組んできました。地域の環境改善、いわゆるハード面の事業は一定の成果をおさめ、ソフト面においても、教育、産業等で評価できる部分も大であります。だが、課題も多く残っております。環境改善事業においては、市部を中心とした大規模地区、残事業の完全実施と事業の見直しも、今考えなくてはなりません。またソフト面の事業についても、特に産業就労対策、教育啓発等、数多くの課題が残されており、同和対策審議会答申には、就職の機会均等の権利の完全な保障が同和問題解決にとって非常に重要であると言われております。
 和歌山県下の同和地区の現状を見ると、就業人口のほぼ四割は技能工、生産工程作業者及び労務作業者であり、製造業あるいは建設業の従事者であります。また年間世帯総収入を見ると、三百三十万以下が八二%、中でも百五十万以下が三二・七%にもなっております。さらに、生活保護については七・九%という驚くべき高率であり、こうしたことから同和地区就業者の三分の二が不安定であると言われております。
 そこで、新法・地対財特法の中間年である現在、現行法では有効的な対策に厳しい限界があり、本問題の解決のためにいわゆる基本法が必要と考えるが、知事の考え方をお伺いいたしたい。あわせて、地対協の委員としての今後の動向も示されたい。
 また、今日、特に県内に数多くの悪質な差別事件が多発しております。下津町議会における議員の差別発言、Aタクシー社員による差別文書事件、湯浅町、有田市にかかわる二件の結婚差別事件、医大での差別事件等々、私の知るところでも数件の事件があります。
 八月一日付の朝日新聞の「手紙」欄に、このような記事がありました。
 交際中に部落民だと告白して恋人を失った青年、結婚してすぐに告白した結果、夫婦間に溝ができ、新婚だというのに離婚を考えている青年、また、ある恋人同士は、男性が部落民だと告白した上で、結婚のために二人で積立貯金までしていながら、いざ結納となると、彼女の両親、親類の猛反対の結果、彼女の口から「この話はなかった事にしてほしい。私も苦しいの」と泣いて謝り、破談になりました。
 結婚差別の話をすると、一般の人たちから、きまって、こんなセリフが聞かれます。「結婚前に相手の本当の愛情が分かってよかったじゃない。そんな、部落だと聞いて気持ちが変わるような相手なら、たとえ結婚していても、うまくいかない、きっとその人には、もっといい人が現れる」と。
 そうかも知れません。もっといい人と巡りあうでしょう。でも、ただ部落だというだけで、信じていた人が去っていった事実、この事実だけは心に深く傷として残るのです。
 今、私には、中三と小六の二人の息子がいます。この子にも、いずれ同じように結婚差別に苦しみ、泣く日が来るのでしょうか。親として、何にもしてやれないのでしょうか。
 私は我慢できません。(中略)部落に嫁いだからではありません。人間として生まれたひとりとして、時には命を奪いかねない部落差別を、次の息子の世代に決して残してはならないからです。
 「部落の母として、人間として」──宝塚市の三十九歳の主婦からの投書です。
 また、「八月一日付の『部落の母として、人間として』を読んでペンをとりました」という、二十四歳の女性からの投書があります。
 ちょうど五カ月ほど前、私は結婚差別を受けました。私は、部落で生まれ育ちました。彼は教師で、私が部落であるということを知っていました。彼の父親は現在小学校の教頭先生、母親は元教師です。そんなお二人ですから同和教育、差別のことなどは、勉強しておられるはずです。私と彼は、お互いに口には出さないで結婚したいと思い始めていました。
 そんなころ彼の両親に知られ、彼は私のことを、言ったのでした。彼の父親は「親子の縁をきる」とおっしゃったそうです。そして、彼は自分の親を選び、私から離れてゆきました。
 本当につらく悲しい毎日でした。ただ部落に生まれただけなのに……どうして……。
 私の周りには、たくさんの人が部落差別で、愛する人を失いました。私は、結婚しても子どもはほしくないと思いました。子どもにだけは私と同じ悲しいめにあわせたくないと思ったからです。そして、私の心の中には深い傷が残っています。今、私は人を信じ、愛するという気持ちが欠けています。(中略)世の中にはいろんな差別があります。だけど部落差別がなくならない限り、あらゆる差別はなくならないと思います。
 このように、部落差別は人の命をもむしばむ悲惨な現状であり、差別事件に取り組む姿勢が最も大切と考えます。
 そこで、具体的問題について県行政の姿勢を示していただくために質問をさせていただきます。
 Aタクシー社員による差別文書事件等に見られるように、差別者がその考えをなかなか改めないという現状があります。特にこのAタクシー差別事件では、差別文書を各タクシー会社に送付し、元従業員の個人名を記して就職活動を妨害するというように、部落差別を利用しています。この文書を書いたB氏が告訴されて和歌山東署に逮捕され、その後、和歌山地方裁判所において罰金刑十万円を科せられているわけです。しかし、B氏本人の考え方は全く改められていないばかりか、いまだに差別的な発言を行っているように聞くが、これに対する取り組みはどうなっておるのか。
 また、B氏の考え方の中には、裁判所において罰金刑を科せられているので本問題は解決しているという認識がある。本来、差別事件の解決は、その本人の持っている差別意識や誤った考え方を改めさせ、同和問題について十分学習を積み重ねて自分自身を変えるという方向が望ましいと考えるが、県行政の差別事件への対応と方向を示していただきたい。また、昨年来の差別事件の件数はどのくらいか、民生部長にお答え願います。
 次に県警本部長にお尋ねをするわけですが、Aタクシー事件で差別文書を書いたB氏に対する取り調べの中で、警察として部落問題について教育的指導を行ったのか否か。また、部落問題に対してどのような考え方を持っているのか。特に、えせ同和行為等に見られるように部落問題を利用した犯罪があるように聞いているが、これらに対する取り組みはどうか、お答えを願います。
 次に、商工労働部長に質問をします。
 映画「遠い夜明け」が昨年に上映されましたが、あの映画を見て多くの日本人が心を打ち、憤りを感じた人も多かったと思います。南アフリカ共和国の人種隔離政策「アパルトヘイト」──今、よく皆さんも耳にすると思います。和歌山県も、関西新空港の開港に伴い、「国際化」「世界に通じる和歌山」とよく言われます。だが、今、日本は世界の中でどのような位置にあり、世界の中で日本人のモラルはどうか、世界の国々から問われております。
 アパルトヘイト(人種隔離政策)を続ける南アフリカ共和国に対し、世界の国々から、アパルトヘイトを廃絶しない限り南アから企業を撤退させ貿易を消滅させるという決定がされた。だが、これをいいことに、日本の企業は差別と人権侵害を踏み台にして利潤のみを追求し、今、対南アフリカ共和国との貿易で世界第一位に躍り出ております。利益を得るためには差別や人権侵害は何のその、これが今日の日本の企業の差別体質であります。
 さきに質問をしたAタクシー差別事件においても、Aタクシー会社関係者の話によると、同和研修等は全くと言っていいほど受けていないという実態があります。県は、企業内同和問題研修推進員を各企業に設置するよう指導しているが、設置の現状はどうか。また、このような実態からすれば啓発のおくれがあると考えるが、商工労働部長の考えはどうか。
 「世界に通じる和歌山」──足元をよくせずして新しい時代を迎えることは不可能と思います。そのためにも県民一人一人が人権意識を高め、新しい和歌山をつくる、こうありたいと私は考えます。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 松本議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、予算編成についてでございますけれども、元年度予算は無理をした予算編成ではないかという御意見でございます。
 予算説明で申し上げましたように、本年は本県飛躍の絶好のタイミングであるという観点から、空港、交通網の整備、そしてまたビッグプロジェクト等、積極的に予算編成させていただいたわけでございます。編成につきましては、税収の伸び悩み等、財源面で困難な問題がある中で、行政改革の一層の推進、ふるさとづくり特別対策等の国の財源のついた起債の活用等、大いに工夫を凝らしたところでございます。
 また、新白浜空港、マリーナシティ等のビッグプロジェクトを推進するに当たり、財政の対応力の問題でございますけれども、これらの事業が県経済に好影響を与えるものと考えるとともに、財源面においても、お話にございましたように国の補助、有利な起債、さらには民間活力の活用といった点で効率的な事業推進を図ってまいりたいと思っております。
 それから、県民弱者対策についての御指摘、御質問でございますけれども、県民の皆さんが明るく健やかに暮らせる新しい「ふるさと和歌山」を実現するために、福祉、健康等の分野においても、積極的かつきめ細やかな施策を推進いたします。
 特に福祉については従来からも県政の最重点として取り組んできておりまして、高齢化社会への対応を初め、施設、在宅対策の充実を図るとともに、障害者福祉、児童・母子福祉等の施策にきめ細かな配慮を行い、啓発を初めとして同和対策事業にも最大限の努力を行ったところでありますし、今後とも積極的に努力してまいる所存でございます。
 次に消費税の問題につきまして、県民の声、県民の生活とのかかわりの問題でございます。
 消費税の問題は、国政のライン上において長年にわたって検討された問題であり、そしてまた税制改革の一環として取り上げられた問題でございます。そうした中で生じた消費税につきましては、お話ございましたようにいろいろな意見があるわけでございますけれども、私もこれを計上するについて真剣に考えさせていただいたわけでございます。
 使用料等への消費税の転嫁の問題につきましては、国の指導もあり、法律が通っておる段階でもございますし、制度の趣旨から見て、県が事業者として負担する消費税については、最終の消費者である使用者に御負担をいただく方が、県民全体で肩がわり負担するよりも適当で公平であると考えております。また、消費税が県内経済活動を脅かさないためには、円滑かつ適正な転嫁が重要であると考えられます。そうした点から今回の取り扱いをしたところでございまして、県民全体の利益の観点から御理解賜りたいと思います。また、所得の少ない方に対する知事の減免等の措置もありますし、公営住宅等については、それらを修繕費の方に回すように考えております。
 いずれにせよ、消費税が県民生活、中小企業を含む県内の経済活動を脅かすことのないよう、諸施策を講じてまいる所存でございます。そうした点から、今回、使用料及び手数料条例等、関係案件をお願いしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、同和対策でございます。
 同和問題の解決については、今日まで三たびにわたる法律の制定の中で、県としても、皆さん方の協力を得て懸命の行政努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、幾多の課題が残されているわけでございます。ただいまの段階におきましては、県同和対策総合推進計画に基づき、期限内解決に向けて全力を傾注してまいりますし、また法期限後の問題については時期を見て対応してまいりたいと存じております。
 残りの問題は、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 幾つかの点について御質問いただきましたが、まず第一点目の、予算編成は意欲的であるが、県税増収の方策はどうするのかという点でございます。
 これはひとえに、我が和歌山県の地域経済の活性化、産業構造の高度化、県内への企業の誘導、あるいはリゾート産業の振興等、総合的な施策として取り組むことが必要でありますし、また同時に、県民全体で考え取り組み、工夫を凝らしていくことが重要であると思われます。
 次に県民の役割ということですが、地域経済の活性化という点では、今、技術革新の時代の中にあって、それぞれの企業が技術革新に努めていただいておりますが、それらを含めて地域経済全体を技術革新に近づけていくとともに、一方では、土地や交通体系の問題等もございますが、企業立地のしやすい環境づくりをしていくことが重要と思われます。
 また、行政の努力といたしましては、交通体系の整備はもとより、リゾート開発、企業誘導による雇用の開発等についてさらに努力を重ねていくことが必要であると思われます。
 次に、財政調整基金を取り崩しているけれども、これはやむを得ないのか、また類似の県に比べてその額はどうなのかということでございます。
 財政調整基金の取り崩しは必ずしも望ましくないわけでございますが、税収の伸びが余り高くなかったり、ことしは交付税制度について抜本的な改正が行われており、若干不安定な中でやむを得なかったものでございます。
 人口百十万ちょっとの類似県ということで、沖縄県、香川県との財政調整基金の比較の御質問がございましたが、財調基金で見ますと、沖縄県が六十二年度末で七十一億円、香川県が七十二億円、これに対して和歌山県は百六億円でございます。これが多いのか少ないのか、なかなか財調基金だけで見れないものですから難しゅうございますが、財調基金で見ますと、全国を単純に平均すると一県当たり百四十億ぐらいになっておりますので、まあまあの水準ではないかなというふうに考えております。
 また、県債の返済見通しでございます。
 今後、いろんな県の基盤整備に伴い、新しい建設事業を行いますが、それにより県債も引き続き発行することになりますので、県債の返済については引き続き増加していく見通しとなっております。
 また、富山県や石川県と比べて本県の一人当たり県債残高はどうかということでございますが、六十二年度末で見ますと、和歌山県の県民一人当たり県債残高が十八万五千円であり、富山県が三十一万一千円、石川県が二十六万九千円ということで、富山、石川に比べると本県は若干少のうございます。全国平均は、単純に平均すると十八万四千円となっておりまして、これについても全国水準に近いのではないかと思います。
 次に、消費税法の六十条第六項の解釈でございます。
 要するに、県も一般の事業者と同様、課税されるわけでございますが、この六十条第六項の規定は、県が納税すべき税額は県が負担すべき税額と同額とみなすという規定でございまして、県の使用料等について消費税を上乗せしない、あるいは転嫁をしないということにすれば、仕入れ段階で負担した消費税を最終消費者でない者が負担する結果となり、制度趣旨に反してしまうということを御理解いただきたいと思います。
 次に、この公営住宅の使用料等について土木部とどう調整したかということですが、土木部との間で、この消費税をどのように考えるのかということで検討・協議を行いました。この間、土木部においては、負担能力を超えるものについて家賃の減免、徴収猶予等の措置があることも含め、最終的には県民全体の利害と受益者負担を総合的に検討・協議した結果、転嫁分については、あくまでも公営住宅事業に充てるという考え方から、その維持修繕費の増額を行うということで、先ほどの知事答弁にございましたような選択になった次第でございます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 差別事件の基本的な対応等についてお答えいたします。
 Aタクシーの差別事件に関しましては、和歌山市の同和委員会が主体的に、関係機関と協調しながら取り組んでございます。県としては、早急な解決を図るよう、県の同和委員会の差別事件処理基本方針に基づき、展望のある処理をしていただくようお願いしてございます。中でも本件につきましては、本当の厳しさ、また粘りと忍耐を持って解決するよう、特に指導をしているところでございます。
 なお、処理に関する基本的な考え方としては、差別者個人の意識変革に視点を当てながら、差別者を持つ企業、社会の意識変革とあわせ対応し、県民の理解が得られる解決に努めているところであります。
 また、昭和六十三年の差別事件の件数でございますが、十二件でございます。内容といたしましては、結婚問題等、認識不足によるものが八件、また同和問題の利用差別が三件、その他一件でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 企業内同和問題研修推進員に関する御質問でございます。
 企業内同和問題研修推進員制度につきましては、国の基準は従業員百人以上の企業というふうになってございますが、本県では、従業員三十人以上の企業に対し、昭和五十三年度から研修推進員を設置するよう指導してまいったところでございます。
 平成元年一月末現在の設置状況でございますが、対象事業所千百九十六に対し、九四・一%の千百二十六事業所に設置している現状でございます。
 今回のAタクシー会社の事件を見ましても、従業員三十人未満の小規模事業所に対する啓発のあり方、また研修推進員を設置している企業の傘下にある、いわゆる関連企業に対する対応など、企業等に対する同和問題の啓発がまだ十分でないという認識をいたしているところでございます。
 私どもといたしましては、これを貴重な教訓として、企業等に対する同和問題の啓発推進のあり方についてさらに反省を加え、今後における新たな取り組みについて関係機関とも十分連携をとりながら対処してまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 警察本部長津和孝亮君。
 〔津和孝亮君、登壇〕
○警察本部長(津和孝亮君) お答えいたします。
 同和問題についての考え方でありますが、警察といたしましては、同和問題の解決は行政の責務であるとの認識に立ち、日常業務の中でそれぞれ対応してまいっておるところであります。
 次に、議員御指摘の件につきまして、個々具体的な取り調べの内容についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しますと、犯罪捜査は司法手続の一環であり、その活動は、刑事訴訟法等を遵守しつつ適正に行わなければならないものであります。
 警察といたしましては、捜査の過程において、こうした法令を念頭に置きながら、先ほど申し上げた同和問題に対する認識を踏まえつつ、適切に対応してきておることを申し上げたいと思います。
 次に、いわゆるえせ同和行為についてでありますけれども、これは同和問題の啓発の効果を一挙に覆し、同和運動の障害になるという考えを持っておりまして、昭和六十二年、六十三年、それぞれ一件を検挙してまいったところでありますけれども、今後とも厳正に取り締まる所存であります。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番松本貞次君。
○松本貞次君 おおむね理解をするわけですが、投資的経費にかかわる県の予算編成のあり方についてちょっと。
 私が、財政調整基金の取り崩しや県債の返済で富山県等の地名を出したのは、特に富山県と和歌山県は県債において非常に類する形で、同じような現状だということを聞いているからであります。そして、県債残高を見てみると、富山県のいわゆる県民一人当たりの借金は三十一万一千円で、全国トップです。それに比べて和歌山県はまだ十八万何がしで、ことしの二千万からすると二十万を超すわけですけれども、数字面から見ると若干まだ幅があるということであります。だから、県の予算編成に当たり、科学的な数字に基づいて和歌山県がどう伸びていくかということを示していかんことには、県民は納得せんと思う。和歌山県はこんな状態で、富山県はこんな状態だ、だから和歌山県は二十一世紀に向かってこういうふうに伸びていくんだということは、科学的な数字で示していただかんと非常に疑惑を持ちます。
 私たちも、考え方によると、仮谷志良が大プロジェクトのために夢を追うているんじゃないか、知事のいわゆるその夢に我々県民が犠牲になっているのと違うかと、こういう感覚を持ちます。政治家・仮谷志良として、ことしは大きな構想を持って進んでおると思うんですが、県民がその犠牲になっておるんではないかという感覚に陥りやすいというふうに考えるわけです。
 だから、そのためにも事細かく科学的数字で示しながら、このことをすることによってこう伸びていくんだというふうに理解をさしていかんと、非常に問題が出てくる。これだけの投資をすることによって八百億の県税がこれだけ伸びていくんだということで中期的、長期的に数字を出していかんと、大きな過ちになるのではなかろうかと考えるわけです。
 具体的に、八百億の県税の伸びはことしはどうなっていく、五年後にはこうなっていく、だからビッグプロジェクトが完成したときにはこれぐらいの県税の税収があるんだ、自主財源が生まれてくるんだというものを謙虚につくり上げていただきたいなと、こう考えます。それは要望としてとどめておきます。
 それから、消費税等の問題についても、知事みずから多くの県民の声を聞ける機会があると考えるわけです。何の事業をするにしても、知事はそうされながら進められると思うけれども、今回の消費税問題、中でも公共料金の消費税転嫁については、非常に強硬に走り過ぎたのではなかろうかなと。もっと、婦人や青年、それから商工業者、中小企業者、零細商人、また商工会議所の会長などから、どんな状況であるかということを聞けなかったのかなと考えるわけです。
 県民の声、生活とのかかわりというのは、そういう中で知事みずから聞けると考えるわけですが、それをせずして予算編成に踏み切った。なぜ慌て込んでしたんかなと。こういう経過があって、こういう話を聞いた、だから、こういう形でこういうふうにしたんだということがないようにも思うわけですけれども、今後そういうところを十分進めていただきたいと考えます。
 以上、要望としてとめ置いて、質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。

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