平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 五 号
 
 三月 十三日 (月曜日) 午前 十時 十六分 開議
  午後 三時 三分 散会
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議 事 日 程 第五号
  平成元年三月十三日(月曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第八十四号及び議案第八十五号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第三 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第八十四号及び議案第八十五号(知事説明・質疑)
 第二 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第三 一般質問
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出 席 議 員(四十四名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(三名)
 2 番 和 田 正 一 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 花 岡 弘 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 松 永 安 生 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 築 野 政 次 君
 警察本部長 津 和 孝 亮 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 浜 崎 浩 洋 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 荻 野 薫
 議事課主査 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 調査課長 西 村 明
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時十六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) この際、報告いたします。
 お手元に配付のとおり、監査委員から現金出納検査の結果報告がありましたので、報告いたします。
○議長(西本長浩君) 次に、報告いたします。
 知事から、議案の追加提出がありました。
 職員に公文を朗読させます。
 〔職員朗読〕
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   財第201号 
   平成元年3月13日
 和歌山県議会議長 西 本 長 浩 殿
   和歌山県知事 仮 谷 志 良
 和歌山県議会平成元年2月定例会追加議案の提出について
 地方自治法第96条の規定に基づく議決事件について、次のとおり議案を提出します。
  記
 議案第84号 昭和63年度和歌山県一般会計補正予算
 議案第85号 昭和63年度和歌山県用地取得事業特別会計補正予算
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○議長(西本長浩君) 日程第一、ただいま報告いたしました議案第八十四号及び議案第八十五号を一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず知事の説明を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) ただいま上程されました議案につきまして、御説明申し上げます。
 昭和六十三年度予算のうち、用地取得の遅延、その他諸般の事由により本年度内に完了することが困難と見込まれる事業につきまして、一般会計で九十一億二千五百余万円、特別会計で五億八千八百万円を平成元年度に繰り越し使用することについてお願いいたしております。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(西本長浩君) 以上で、知事の説明が終わりました。
○議長(西本長浩君) 次に日程第二、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに報第一号及び報第二号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 33番松本貞次君。
 〔松本貞次君、登壇〕(拍手)
○松本貞次君 おはようございます。
 この後、議会一の元気者・大江先生が登壇いたしますので、至ってスムーズに一般質問をしたいというふうに考えております。
 それでは、通告に従って質問をいたします。
 ビッグプロジェクトに対応、投資重点で県勢浮上ということで三千八百八十三億余万の積極型平成元年度予算を編成され、仮谷知事は二月二十日、新年度予算案について、「念願だった国土軸との接続、すなわち関西国際空港の開港、近畿自動車道紀勢線の接続・南進、南紀白浜空港のジェット化、本年度中に予定される特急『くろしお号』の新大阪乗り入れなどが間近に具体的な形となって見えてきており、平成元年度予算は文字通り『新時代幕開けの予算』と言える」との談話を発表されております。
 確かに平成元年度予算は、和歌山県にとって「新時代幕開けの予算」と言える。ビッグプロジェクト対応に向け、思い切った予算編成、あわせて図書館建設用地の取得費、美術館建設を前提とした美術品取得基金、文化、健康、福祉、リゾート、国際化、オレンジ輸入自由化など、時代の流れに沿った新規事業を各部局にちりばめ、めり張りとバランスを頭に置いた配分としている。和歌山県の今後の方向と、あすの和歌山への大きな夢を期待するものであります。
 だが、若干の不安を抱く一人として、少し質問をいたします。
 「飛躍を目指し積極的予算」などと言われて、少し無理をし過ぎてはいないか。近年にない多額の投資ができたのは、特別な財源を得たからではない。従来の公共事業以外に、今年度よりスタートしたふるさとづくり特別対策事業、半島振興道路整備事業など、自己負担がほぼ半分で済む事業を活用、また公務員の六十歳定年に向け、本年は定年を三年ごとに一歳引き上げるその年に当たり、定年退職者が二百三十八人も減ったために人件費の減、財政調整基金いわゆる貯金二百十四億から八十億円の取り崩し、県債いわゆる借金も昨年同様三百七十億円計上等々、少し中をのぞくと、かなり無理をした部分が見えます。特に、全国最低レベルで低迷する県経済の浮上を図るため大プロジェクトに対応し、「新時代・投資重点型予算」と位置づけて八九年度の予算編成をしたが、県民泣かせ、低所得者や弱者犠牲の予算編成になってはいないか。
 「あすの和歌山」「新時代幕あけ」の創生のためには県民総意の熱がなくてはなりませんが、県の財政状況は好転しておりません。県税の伸びは低迷、県債増発、基金の取り崩し。たまたまことしは退職者の減で何とか財源をひねり出したという印象が強く、来年度は再び退職者がふえ、県財政を圧迫。さらに、美術館や図書館の建設、南紀白浜空港、和歌山マリーナシティなど、総額一千億円以上の事業がメジロ押し。これをどう調整し、どのように財源確保するのか、まず知事に御答弁をいただきたい。
 次に、投資的経費一千三百六十五億と、歳出の三五%の巨額を投じておるわけですが、和歌山県がどのようにこの投資的経費を使い、どのように変貌していくのか、また、この投資的経費一千三百六十五億の投資により、自主財源の柱である八百億の県税をどう伸ばしていくのか、中期的、長期的方向をお示し願いたい。さらに、県民の役割、また県民はどのように対応すればいいのか、行政の努力と工夫はどうしていくのかも示していただきたいと考えます。
 私は、財政調整基金の取り崩しは好ましくないと思います。財政調整基金は県民の貯金と考えるわけですが、本年は基金二百十四億より八十億を取り崩しております。年度途中において交付税の延べ払い分で四十億円を戻し、利子を含めて百八十三億にとめられると言われるが、実質三十一億円の減になります。九○年度も事業推進のかかわりで財源確保のために取り崩しはやむを得ないのか、お答え願いたい。
 また、和歌山県は総世帯数三十三万、総人口百八万ですが、この世帯数、人口をほぼ同じとする沖縄県、香川県の財政調整基金はどうなっておるのか、数字でお示しを願いたいと考えます。
 次に、県債二千二百三十一億円の返済について、九○年度はかなり上昇すると思うが、その現状はどうか。また、他府県における県債の比較で、全国の中で和歌山県はどのような位置にあるのか、お示しを願いたい。さらに、富山県、石川県は人口も和歌山県とほぼ同様でありますが、両県の県債、また県民一人当たりの借金はどうなっておるのか、数字でお示しいただきたいと考えます。
 次に、消費税について少し質問します。
 消費税導入を中心とした税制改革は県予算にも大きな影響を与え、料理飲食等消費税が特別地方消費税に衣がえし、税率が一〇%から三%に下がり、免税点が現在の二倍に引き上がるため税収は四分の一になり、減収額は約三十億。娯楽施設利用税がゴルフ場利用税だけとなり、減収は約五倍。住民税も、所得税減税に連動して約十五億円減少。ところが、消費税の二割を全国の自治体に分配する消費譲与税が新設され、これは約四十億円の増収となる。歳入の面では、差し引き十億円の減。一方、県が発注する工事や備品に消費税がかかり、歳出が約三十四億円増。歳入減、歳出増を合わせた予算への影響は四十四億円の見込み。だが、地方交付税が百五十億ふえる見通しで、消費税の影響をカバー。だから何も消費税導入による県予算への影響はないと、こう当局は説明をされております。私もおおむね理解をするわけですが、どうも、プラス面、マイナス面を考えると、消費税導入の税制改革に戸惑いを持ちます。
 平成元年二月二十三日の読売新聞に、一月二十八、二十九日に実施した、消費税導入を柱とする税制改革について国民はどう受けとめているかという全国世論調査の結果が発表されました。それによると、消費税導入の税制改革は賛成ですか反対ですかという問いがあり、賛成わずか一七%、反対は七一%になっております。また、現在の家計から見て税金の負担感を尋ねたところ、非常に重い三一%、やや重い四八%と、合わせて七九%の人々が税の負担を感じております。さらに、この税制改革で税金の負担が軽くなるのか重くなるのかとの問いには、多少は軽くなる六%、重くなる四七%であります。この数字を見ても、今回の税制改革に対する反発感がにじみ出ているように感じるわけです。このような現状を見て、和歌山県民の感情も同様と考えるが、知事はどう考えておるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 また、消費税に対しての戸惑いと政治への不信感を持っている県民が数多くあります。そこへ、なお拍車をかけるように公共料金への消費税転嫁を進め、県営住宅家賃、県使用料及び手数料条例改正等など関係議案九件が提出されました。東京都を初め大阪、兵庫などは公共料金への消費税転嫁を実質見送っているが、県知事はなぜ強硬に、県民の心を問わず、公共料金への消費税転嫁を心迷わず提案されたのか。他府県はそれぞれの立場で決めた、和歌山県は国に準じて公共料金への転嫁をと、こう言われておりますが、県民の声をどのように聞き、そしてまた県民生活とのかかわりをどのように把握されて今回の決定になったのか、まずお聞かせ願いたいと考えます。
 また、消費税法第六十条においては、国、地方公共団体に対する特例として一項より八項にわたって明記されております。これによると、一般会計に入る消費税は国への納付が免除されると解釈できるわけですが、どのように解釈すればいいのかを聞かせていただきたい。
 私は、この消費税法第六十条をいい方に解釈すれば、公共料金への消費税転嫁は実質見送ってもいいと考えるわけですが、それはどうですか。また、予算編成時における対応として、六十条に対する土木部長の考え、県知事の考えはどうであったのか。さらに、予算折衝における接点はなかったのか。努力はしたが、いたし方なかったという答えになるのか。予算編成時より提案に至るまで、この六十条の解釈をめぐり、土木部長、知事の考えを総括しながら提案になったと考えるが、今日までの協議内容を総務部長からお答え願います。
 私は、公共料金への消費税転嫁反対の立場で申し上げますが、この消費税関係の議案九件を修正し、見送るという考えが知事としてないのかどうか、お聞かせを願います。
 次に、同和行政について質問をいたします。
 ことしは、「自由・平等・博愛」を高々と掲げて戦われた一七八九年のフランス革命、フランス人権宣言から数えて二百年という記念すべき年に当たり、また同和対策事業特別措置法が制定されて二十年という節目の年に当たります。今こそ、すべてを総括し、新しい時代への部落解放の展望を見出さなくてはなりません。
 我が和歌山県は、全国に先駆け、県政の柱として同和行政に取り組んできました。地域の環境改善、いわゆるハード面の事業は一定の成果をおさめ、ソフト面においても、教育、産業等で評価できる部分も大であります。だが、課題も多く残っております。環境改善事業においては、市部を中心とした大規模地区、残事業の完全実施と事業の見直しも、今考えなくてはなりません。またソフト面の事業についても、特に産業就労対策、教育啓発等、数多くの課題が残されており、同和対策審議会答申には、就職の機会均等の権利の完全な保障が同和問題解決にとって非常に重要であると言われております。
 和歌山県下の同和地区の現状を見ると、就業人口のほぼ四割は技能工、生産工程作業者及び労務作業者であり、製造業あるいは建設業の従事者であります。また年間世帯総収入を見ると、三百三十万以下が八二%、中でも百五十万以下が三二・七%にもなっております。さらに、生活保護については七・九%という驚くべき高率であり、こうしたことから同和地区就業者の三分の二が不安定であると言われております。
 そこで、新法・地対財特法の中間年である現在、現行法では有効的な対策に厳しい限界があり、本問題の解決のためにいわゆる基本法が必要と考えるが、知事の考え方をお伺いいたしたい。あわせて、地対協の委員としての今後の動向も示されたい。
 また、今日、特に県内に数多くの悪質な差別事件が多発しております。下津町議会における議員の差別発言、Aタクシー社員による差別文書事件、湯浅町、有田市にかかわる二件の結婚差別事件、医大での差別事件等々、私の知るところでも数件の事件があります。
 八月一日付の朝日新聞の「手紙」欄に、このような記事がありました。
 交際中に部落民だと告白して恋人を失った青年、結婚してすぐに告白した結果、夫婦間に溝ができ、新婚だというのに離婚を考えている青年、また、ある恋人同士は、男性が部落民だと告白した上で、結婚のために二人で積立貯金までしていながら、いざ結納となると、彼女の両親、親類の猛反対の結果、彼女の口から「この話はなかった事にしてほしい。私も苦しいの」と泣いて謝り、破談になりました。
 結婚差別の話をすると、一般の人たちから、きまって、こんなセリフが聞かれます。「結婚前に相手の本当の愛情が分かってよかったじゃない。そんな、部落だと聞いて気持ちが変わるような相手なら、たとえ結婚していても、うまくいかない、きっとその人には、もっといい人が現れる」と。
 そうかも知れません。もっといい人と巡りあうでしょう。でも、ただ部落だというだけで、信じていた人が去っていった事実、この事実だけは心に深く傷として残るのです。
 今、私には、中三と小六の二人の息子がいます。この子にも、いずれ同じように結婚差別に苦しみ、泣く日が来るのでしょうか。親として、何にもしてやれないのでしょうか。
 私は我慢できません。(中略)部落に嫁いだからではありません。人間として生まれたひとりとして、時には命を奪いかねない部落差別を、次の息子の世代に決して残してはならないからです。
 「部落の母として、人間として」──宝塚市の三十九歳の主婦からの投書です。
 また、「八月一日付の『部落の母として、人間として』を読んでペンをとりました」という、二十四歳の女性からの投書があります。
 ちょうど五カ月ほど前、私は結婚差別を受けました。私は、部落で生まれ育ちました。彼は教師で、私が部落であるということを知っていました。彼の父親は現在小学校の教頭先生、母親は元教師です。そんなお二人ですから同和教育、差別のことなどは、勉強しておられるはずです。私と彼は、お互いに口には出さないで結婚したいと思い始めていました。
 そんなころ彼の両親に知られ、彼は私のことを、言ったのでした。彼の父親は「親子の縁をきる」とおっしゃったそうです。そして、彼は自分の親を選び、私から離れてゆきました。
 本当につらく悲しい毎日でした。ただ部落に生まれただけなのに……どうして……。
 私の周りには、たくさんの人が部落差別で、愛する人を失いました。私は、結婚しても子どもはほしくないと思いました。子どもにだけは私と同じ悲しいめにあわせたくないと思ったからです。そして、私の心の中には深い傷が残っています。今、私は人を信じ、愛するという気持ちが欠けています。(中略)世の中にはいろんな差別があります。だけど部落差別がなくならない限り、あらゆる差別はなくならないと思います。
 このように、部落差別は人の命をもむしばむ悲惨な現状であり、差別事件に取り組む姿勢が最も大切と考えます。
 そこで、具体的問題について県行政の姿勢を示していただくために質問をさせていただきます。
 Aタクシー社員による差別文書事件等に見られるように、差別者がその考えをなかなか改めないという現状があります。特にこのAタクシー差別事件では、差別文書を各タクシー会社に送付し、元従業員の個人名を記して就職活動を妨害するというように、部落差別を利用しています。この文書を書いたB氏が告訴されて和歌山東署に逮捕され、その後、和歌山地方裁判所において罰金刑十万円を科せられているわけです。しかし、B氏本人の考え方は全く改められていないばかりか、いまだに差別的な発言を行っているように聞くが、これに対する取り組みはどうなっておるのか。
 また、B氏の考え方の中には、裁判所において罰金刑を科せられているので本問題は解決しているという認識がある。本来、差別事件の解決は、その本人の持っている差別意識や誤った考え方を改めさせ、同和問題について十分学習を積み重ねて自分自身を変えるという方向が望ましいと考えるが、県行政の差別事件への対応と方向を示していただきたい。また、昨年来の差別事件の件数はどのくらいか、民生部長にお答え願います。
 次に県警本部長にお尋ねをするわけですが、Aタクシー事件で差別文書を書いたB氏に対する取り調べの中で、警察として部落問題について教育的指導を行ったのか否か。また、部落問題に対してどのような考え方を持っているのか。特に、えせ同和行為等に見られるように部落問題を利用した犯罪があるように聞いているが、これらに対する取り組みはどうか、お答えを願います。
 次に、商工労働部長に質問をします。
 映画「遠い夜明け」が昨年に上映されましたが、あの映画を見て多くの日本人が心を打ち、憤りを感じた人も多かったと思います。南アフリカ共和国の人種隔離政策「アパルトヘイト」──今、よく皆さんも耳にすると思います。和歌山県も、関西新空港の開港に伴い、「国際化」「世界に通じる和歌山」とよく言われます。だが、今、日本は世界の中でどのような位置にあり、世界の中で日本人のモラルはどうか、世界の国々から問われております。
 アパルトヘイト(人種隔離政策)を続ける南アフリカ共和国に対し、世界の国々から、アパルトヘイトを廃絶しない限り南アから企業を撤退させ貿易を消滅させるという決定がされた。だが、これをいいことに、日本の企業は差別と人権侵害を踏み台にして利潤のみを追求し、今、対南アフリカ共和国との貿易で世界第一位に躍り出ております。利益を得るためには差別や人権侵害は何のその、これが今日の日本の企業の差別体質であります。
 さきに質問をしたAタクシー差別事件においても、Aタクシー会社関係者の話によると、同和研修等は全くと言っていいほど受けていないという実態があります。県は、企業内同和問題研修推進員を各企業に設置するよう指導しているが、設置の現状はどうか。また、このような実態からすれば啓発のおくれがあると考えるが、商工労働部長の考えはどうか。
 「世界に通じる和歌山」──足元をよくせずして新しい時代を迎えることは不可能と思います。そのためにも県民一人一人が人権意識を高め、新しい和歌山をつくる、こうありたいと私は考えます。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの松本貞次君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 松本議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、予算編成についてでございますけれども、元年度予算は無理をした予算編成ではないかという御意見でございます。
 予算説明で申し上げましたように、本年は本県飛躍の絶好のタイミングであるという観点から、空港、交通網の整備、そしてまたビッグプロジェクト等、積極的に予算編成させていただいたわけでございます。編成につきましては、税収の伸び悩み等、財源面で困難な問題がある中で、行政改革の一層の推進、ふるさとづくり特別対策等の国の財源のついた起債の活用等、大いに工夫を凝らしたところでございます。
 また、新白浜空港、マリーナシティ等のビッグプロジェクトを推進するに当たり、財政の対応力の問題でございますけれども、これらの事業が県経済に好影響を与えるものと考えるとともに、財源面においても、お話にございましたように国の補助、有利な起債、さらには民間活力の活用といった点で効率的な事業推進を図ってまいりたいと思っております。
 それから、県民弱者対策についての御指摘、御質問でございますけれども、県民の皆さんが明るく健やかに暮らせる新しい「ふるさと和歌山」を実現するために、福祉、健康等の分野においても、積極的かつきめ細やかな施策を推進いたします。
 特に福祉については従来からも県政の最重点として取り組んできておりまして、高齢化社会への対応を初め、施設、在宅対策の充実を図るとともに、障害者福祉、児童・母子福祉等の施策にきめ細かな配慮を行い、啓発を初めとして同和対策事業にも最大限の努力を行ったところでありますし、今後とも積極的に努力してまいる所存でございます。
 次に消費税の問題につきまして、県民の声、県民の生活とのかかわりの問題でございます。
 消費税の問題は、国政のライン上において長年にわたって検討された問題であり、そしてまた税制改革の一環として取り上げられた問題でございます。そうした中で生じた消費税につきましては、お話ございましたようにいろいろな意見があるわけでございますけれども、私もこれを計上するについて真剣に考えさせていただいたわけでございます。
 使用料等への消費税の転嫁の問題につきましては、国の指導もあり、法律が通っておる段階でもございますし、制度の趣旨から見て、県が事業者として負担する消費税については、最終の消費者である使用者に御負担をいただく方が、県民全体で肩がわり負担するよりも適当で公平であると考えております。また、消費税が県内経済活動を脅かさないためには、円滑かつ適正な転嫁が重要であると考えられます。そうした点から今回の取り扱いをしたところでございまして、県民全体の利益の観点から御理解賜りたいと思います。また、所得の少ない方に対する知事の減免等の措置もありますし、公営住宅等については、それらを修繕費の方に回すように考えております。
 いずれにせよ、消費税が県民生活、中小企業を含む県内の経済活動を脅かすことのないよう、諸施策を講じてまいる所存でございます。そうした点から、今回、使用料及び手数料条例等、関係案件をお願いしておりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、同和対策でございます。
 同和問題の解決については、今日まで三たびにわたる法律の制定の中で、県としても、皆さん方の協力を得て懸命の行政努力をしてまいったわけでございます。しかしながら、議員御指摘のとおり、幾多の課題が残されているわけでございます。ただいまの段階におきましては、県同和対策総合推進計画に基づき、期限内解決に向けて全力を傾注してまいりますし、また法期限後の問題については時期を見て対応してまいりたいと存じております。
 残りの問題は、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 幾つかの点について御質問いただきましたが、まず第一点目の、予算編成は意欲的であるが、県税増収の方策はどうするのかという点でございます。
 これはひとえに、我が和歌山県の地域経済の活性化、産業構造の高度化、県内への企業の誘導、あるいはリゾート産業の振興等、総合的な施策として取り組むことが必要でありますし、また同時に、県民全体で考え取り組み、工夫を凝らしていくことが重要であると思われます。
 次に県民の役割ということですが、地域経済の活性化という点では、今、技術革新の時代の中にあって、それぞれの企業が技術革新に努めていただいておりますが、それらを含めて地域経済全体を技術革新に近づけていくとともに、一方では、土地や交通体系の問題等もございますが、企業立地のしやすい環境づくりをしていくことが重要と思われます。
 また、行政の努力といたしましては、交通体系の整備はもとより、リゾート開発、企業誘導による雇用の開発等についてさらに努力を重ねていくことが必要であると思われます。
 次に、財政調整基金を取り崩しているけれども、これはやむを得ないのか、また類似の県に比べてその額はどうなのかということでございます。
 財政調整基金の取り崩しは必ずしも望ましくないわけでございますが、税収の伸びが余り高くなかったり、ことしは交付税制度について抜本的な改正が行われており、若干不安定な中でやむを得なかったものでございます。
 人口百十万ちょっとの類似県ということで、沖縄県、香川県との財政調整基金の比較の御質問がございましたが、財調基金で見ますと、沖縄県が六十二年度末で七十一億円、香川県が七十二億円、これに対して和歌山県は百六億円でございます。これが多いのか少ないのか、なかなか財調基金だけで見れないものですから難しゅうございますが、財調基金で見ますと、全国を単純に平均すると一県当たり百四十億ぐらいになっておりますので、まあまあの水準ではないかなというふうに考えております。
 また、県債の返済見通しでございます。
 今後、いろんな県の基盤整備に伴い、新しい建設事業を行いますが、それにより県債も引き続き発行することになりますので、県債の返済については引き続き増加していく見通しとなっております。
 また、富山県や石川県と比べて本県の一人当たり県債残高はどうかということでございますが、六十二年度末で見ますと、和歌山県の県民一人当たり県債残高が十八万五千円であり、富山県が三十一万一千円、石川県が二十六万九千円ということで、富山、石川に比べると本県は若干少のうございます。全国平均は、単純に平均すると十八万四千円となっておりまして、これについても全国水準に近いのではないかと思います。
 次に、消費税法の六十条第六項の解釈でございます。
 要するに、県も一般の事業者と同様、課税されるわけでございますが、この六十条第六項の規定は、県が納税すべき税額は県が負担すべき税額と同額とみなすという規定でございまして、県の使用料等について消費税を上乗せしない、あるいは転嫁をしないということにすれば、仕入れ段階で負担した消費税を最終消費者でない者が負担する結果となり、制度趣旨に反してしまうということを御理解いただきたいと思います。
 次に、この公営住宅の使用料等について土木部とどう調整したかということですが、土木部との間で、この消費税をどのように考えるのかということで検討・協議を行いました。この間、土木部においては、負担能力を超えるものについて家賃の減免、徴収猶予等の措置があることも含め、最終的には県民全体の利害と受益者負担を総合的に検討・協議した結果、転嫁分については、あくまでも公営住宅事業に充てるという考え方から、その維持修繕費の増額を行うということで、先ほどの知事答弁にございましたような選択になった次第でございます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 差別事件の基本的な対応等についてお答えいたします。
 Aタクシーの差別事件に関しましては、和歌山市の同和委員会が主体的に、関係機関と協調しながら取り組んでございます。県としては、早急な解決を図るよう、県の同和委員会の差別事件処理基本方針に基づき、展望のある処理をしていただくようお願いしてございます。中でも本件につきましては、本当の厳しさ、また粘りと忍耐を持って解決するよう、特に指導をしているところでございます。
 なお、処理に関する基本的な考え方としては、差別者個人の意識変革に視点を当てながら、差別者を持つ企業、社会の意識変革とあわせ対応し、県民の理解が得られる解決に努めているところであります。
 また、昭和六十三年の差別事件の件数でございますが、十二件でございます。内容といたしましては、結婚問題等、認識不足によるものが八件、また同和問題の利用差別が三件、その他一件でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 企業内同和問題研修推進員に関する御質問でございます。
 企業内同和問題研修推進員制度につきましては、国の基準は従業員百人以上の企業というふうになってございますが、本県では、従業員三十人以上の企業に対し、昭和五十三年度から研修推進員を設置するよう指導してまいったところでございます。
 平成元年一月末現在の設置状況でございますが、対象事業所千百九十六に対し、九四・一%の千百二十六事業所に設置している現状でございます。
 今回のAタクシー会社の事件を見ましても、従業員三十人未満の小規模事業所に対する啓発のあり方、また研修推進員を設置している企業の傘下にある、いわゆる関連企業に対する対応など、企業等に対する同和問題の啓発がまだ十分でないという認識をいたしているところでございます。
 私どもといたしましては、これを貴重な教訓として、企業等に対する同和問題の啓発推進のあり方についてさらに反省を加え、今後における新たな取り組みについて関係機関とも十分連携をとりながら対処してまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 警察本部長津和孝亮君。
 〔津和孝亮君、登壇〕
○警察本部長(津和孝亮君) お答えいたします。
 同和問題についての考え方でありますが、警察といたしましては、同和問題の解決は行政の責務であるとの認識に立ち、日常業務の中でそれぞれ対応してまいっておるところであります。
 次に、議員御指摘の件につきまして、個々具体的な取り調べの内容についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に申しますと、犯罪捜査は司法手続の一環であり、その活動は、刑事訴訟法等を遵守しつつ適正に行わなければならないものであります。
 警察といたしましては、捜査の過程において、こうした法令を念頭に置きながら、先ほど申し上げた同和問題に対する認識を踏まえつつ、適切に対応してきておることを申し上げたいと思います。
 次に、いわゆるえせ同和行為についてでありますけれども、これは同和問題の啓発の効果を一挙に覆し、同和運動の障害になるという考えを持っておりまして、昭和六十二年、六十三年、それぞれ一件を検挙してまいったところでありますけれども、今後とも厳正に取り締まる所存であります。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 33番松本貞次君。
○松本貞次君 おおむね理解をするわけですが、投資的経費にかかわる県の予算編成のあり方についてちょっと。
 私が、財政調整基金の取り崩しや県債の返済で富山県等の地名を出したのは、特に富山県と和歌山県は県債において非常に類する形で、同じような現状だということを聞いているからであります。そして、県債残高を見てみると、富山県のいわゆる県民一人当たりの借金は三十一万一千円で、全国トップです。それに比べて和歌山県はまだ十八万何がしで、ことしの二千万からすると二十万を超すわけですけれども、数字面から見ると若干まだ幅があるということであります。だから、県の予算編成に当たり、科学的な数字に基づいて和歌山県がどう伸びていくかということを示していかんことには、県民は納得せんと思う。和歌山県はこんな状態で、富山県はこんな状態だ、だから和歌山県は二十一世紀に向かってこういうふうに伸びていくんだということは、科学的な数字で示していただかんと非常に疑惑を持ちます。
 私たちも、考え方によると、仮谷志良が大プロジェクトのために夢を追うているんじゃないか、知事のいわゆるその夢に我々県民が犠牲になっているのと違うかと、こういう感覚を持ちます。政治家・仮谷志良として、ことしは大きな構想を持って進んでおると思うんですが、県民がその犠牲になっておるんではないかという感覚に陥りやすいというふうに考えるわけです。
 だから、そのためにも事細かく科学的数字で示しながら、このことをすることによってこう伸びていくんだというふうに理解をさしていかんと、非常に問題が出てくる。これだけの投資をすることによって八百億の県税がこれだけ伸びていくんだということで中期的、長期的に数字を出していかんと、大きな過ちになるのではなかろうかと考えるわけです。
 具体的に、八百億の県税の伸びはことしはどうなっていく、五年後にはこうなっていく、だからビッグプロジェクトが完成したときにはこれぐらいの県税の税収があるんだ、自主財源が生まれてくるんだというものを謙虚につくり上げていただきたいなと、こう考えます。それは要望としてとどめておきます。
 それから、消費税等の問題についても、知事みずから多くの県民の声を聞ける機会があると考えるわけです。何の事業をするにしても、知事はそうされながら進められると思うけれども、今回の消費税問題、中でも公共料金の消費税転嫁については、非常に強硬に走り過ぎたのではなかろうかなと。もっと、婦人や青年、それから商工業者、中小企業者、零細商人、また商工会議所の会長などから、どんな状況であるかということを聞けなかったのかなと考えるわけです。
 県民の声、生活とのかかわりというのは、そういう中で知事みずから聞けると考えるわけですが、それをせずして予算編成に踏み切った。なぜ慌て込んでしたんかなと。こういう経過があって、こういう話を聞いた、だから、こういう形でこういうふうにしたんだということがないようにも思うわけですけれども、今後そういうところを十分進めていただきたいと考えます。
 以上、要望としてとめ置いて、質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松本貞次君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番大江康弘君。
 〔大江康弘君、登壇〕(拍手)
○大江康弘君 松本先生、どうもお疲れさまでございました。
 お許しを賜り、お時間をいただきまして、一般質問をしてまいりたいと思います。
 一昨日、当局にお渡ししました原稿どおりにやらせていただきたいと思いますので、答弁の方も「打ち合わせ」どおり、よろしくお願い申し上げます。
 また、きょうの私の質問は、あす予定をしておられる共産党・村岡先生の露払いという形ででもやらせていただきたい、このように思っております。
 ここに一冊の本があるわけです。「各県別 路地裏の経済学 竹内宏」──竹内さん、私には余りなじみのないお名前なんですが。ここに、いろいろ和歌山県のことについて論評されておる。まあ経済人というのは、政治というものの中に言及をしやすいようで、なかなかしにくい。ここには、いろんな経済人の方の優位性とか頑張ってこられたことも書いておられますが、この激動の時代の中で仮谷知事が今日まで県政に携わってきたことに関しては、一言も評価が出ておらない。そのことに私は非常に憤慨をしておるわけなんです。ただ、知事さん、チェーホフという人が、平らな道でも転ぶときがある、人生とはそんなもんだということを言ったのでありますけれども、人生、お互い長い道のり、それぞれどういうことが待ち受けておるかもわからない。しかし、今の言葉のように、本当に平たんで何もないように思えても、つまずくのが人生。特に我々政治家という公人にあっては、なおさらであります。
 私は、この平成元年度の一般質問を初日からお聞かせいただきましたが、各党のそれぞれの皆さんがそれぞれの立場で論陣を張られた。いいことを言われるなあ、野党の先生も含め、やっぱり私が尊敬する先輩方だなあという感を深くしたわけであります。と同時に、それぞれ党の立場の皆さんが知事を初め当局に厳しく論難をしても──藤沢先生が過日、ここで土木部長をつかまえて怒っておられたが、しかしそのことも、やはり住民の皆さんの意にこたえてのことだと思うし、またそれだけ厳しく言っても、同じ党の中村先生が知事の五選まで心配してくださっておる。私は、非常にありがたいことだなあと思う。これは知事の人徳だ。渡辺先生に対しても、答弁が要らない、質問がなかったことでも知事さんは答弁をされる。この信頼感。あるいはまた、今日問題になっておる日の丸・「君が代」の問題で森先生が厳しく教育委員会をただしても、愛情あふふる、「黙って歌え」と。こういうガス抜きをしてくれるということは非常にありがたいなあと思う。また和田先生にしても、オリンピックを近畿で開けと。これは、政治家としての大切な先見性を持った中での提言だと思う。同時にそのことはまた、知事さん、四期の任期ではやれないんですよ。オリンピックをやれというのは、もう一期、もう二期、知事さんのもとでやってほしいという、仮谷知事待望論の県民の声の代表ではなかろうかなとも思うわけであります。
 そういう中にあって、今申し上げましたように、知事さんが最近いろんな立場で批判をされる。しかし、そのことはむしろ、政治家としてある面において非常に成長されて、政治家・仮谷志良という人間が、自分の持てるものをすべて出そうとしておる結果、そういういい意味の批判として出てきておるんだなあと感じたのであります。
 我々政治家というのは、生涯自分の道を歩む限りにおいて、ああよかったということはなかなか言ってくれません。批判というもの、またいろいろ言われることをどれだけ少なく抑えていくかという、努力、努力の毎日であります。その中にあって、自分がこうだと思った政治信条というものを一人一人に訴えていくことが私たちに課せられた大きな責任ではないかと思うのであります。
 そういうことを考えまして、私は、今回与えていただいた質問の時間において自分の与えられた使命を一生懸命果たしていきたいと思いますので、しばらく御辛抱をいただきたいと思います。
 新しい時代は価値観の変化を生みます。当たり前のことが当たり前でなくなりつつある現在、常識の非常識化等、例えば電車の中で、老人、小さな子供、身体障害者等、弱者の人々に対して席を譲るというのは当然の行為であります。しかし今は、この当然の行為である席を譲るというようなことさえも明文化をし教えなければ守られない。それでも、地下鉄なんかでそういうことを書いておっても、平気な人もたくさんいる状況であります。
 今議会において、いろいろな角度、いろいろな立場から論議をされている国旗・日の丸、国歌「君が代」についても、元来、その民族が自国の長い歴史の歩みの中ではぐくまれた文化、伝統を守って育てていくことは当然の行為であると思うのであります。日の丸も「君が代」も、国旗であり国歌であるということは、日本国民それぞれの心の中で当たり前のこととしてとらえてきたと思うのであります。それを法で明文化をし、義務化をしないと教えられない、守れないということは、私は悲しいことだと思います。
 教育長、こういうことは、文部省からの通達だとか指導だとか、あるいは法制化による義務だとか言われる以前の問題として、本県独自の教育の立場からも、当然、今まで現場で行われていなければならないことであると思うのであります。こういう時代だからこそ、仮谷知事、お互いが基本的な意識をしっかりとらえ、何が正義か不正義か、何が善か悪か、あるいはいいことか悪いことかをはっきりと示し得ることのできる認識感を持つことが大事ではなかろうかと思います。
 その中にあって、今回議論になっている消費税もしかりであります。国の中でもいろんな議論があります。考え方もある。しかし、いろんな状況の中にあっても、国家の絶え間ない発展や国民の恒久的な幸せを政治の使命、責務と考えたとき、時の政府、またそれを支える責任政党、そしてその責任政党は民主主義の基である主権在民による選挙で支持をされ選ばれているという事実の中で、さきの政治的命題の解決にはこれしかないんだという判断をされ決定したということであれば、我々はそれに従ってやっていくこと、またそれに理解をすることは国民的な当然の行為であると思うのであります。
 仮谷知事も、その国家の安定的な発展を目指した基本的政策を受けて、我が和歌山県民の幸せ、本県の発展を考えたとき、時の責任ある為政者として当然の決断であったろうと思います。
 県民の多くは、あなたの政治手腕を信頼し、多くの期待をかけている。今、静かなる大衆は、心の中で、「頑張れ仮谷、しっかり知事」と声をかけていることにあなたはどうこたえていかれるのか、お答えをいただきたいと思うのであります。
 昨年は、左に振れた私の振り子でありました。それをことしは、もう少し右に戻した質問をしてみようと思います。
 時計も、振り子が右に左に揺れ動くから絶えず時を刻み、時代が流れていくと思うのであります。振り子が右でとまったままでもいけないし、あるいは左に行き過ぎても、藤沢先生、いけません。また真ん中でとまったままも、渡辺先生、変化がなくて、これも余りおもしろくないことが時にはある。考え方もいろいろあるから世の中が千変万化しながら動いていると思うのであります。
 私は自民党という党が好きなのは、何といっても、すばらしい県連の会長をいただいておること。どこがすばらしいのかと言われれば、指導力がある。なかなか苦しい時代の中にあって、いろんな意見をまとめてやっていく。すばらしい会長です。そして何といっても、層が深い、幅が広い、人材も豊富であるという事実であります。例を出して大変失礼ですけれども、我が議会においても、長老の古田先生が大変お元気で頑張っていただいております。八十歳です。そして、私と尾崎要二先生の三十五歳まで、年齢においても非常に幅が広いということが言えると思うのであります。
 ここで、大変失礼なんですが、我が県議会の平均年齢を調べてみると、五十六歳。自民党が五十四・三四歳、社会党さんが六十六・六歳、県民クラブさんが五十三・六歳、共産党さんが五十九・二歳、公明党さんが、私ども自民党と同じ五十四歳。これはまあ単なる数字の一つでありますけれども、これだけ層が深く幅が広いということは、互いに選ばれるに当たり、その支持層にも大きな違いがあるものの、保守合同以来の長期政権を維持し、信頼を得ることができた最大の基礎的要因ではなかったかと、私自身は理解をしておるのであります。
 仮谷知事、どう思われますか。国民、県民の皆様から我が自民党の政治姿勢に対し、いろんな方面からの御批判なり御意見を今日までいただいてきましたが、どんなときもそれらの声を黙殺することなく真摯な態度で受けとめ、大切にしてきたと思います。そして、党員初め党所属議員は、国政はともかく、地方行政の中心である県政の場において、それぞれが地方議員の一人として、より多く、より広い範囲で聞かれた声を確実に反映してきたことが、現在、県民の皆さんから仮谷県政を支える与党の立場として支持していただいておるものと自負をしてきたのであります。
 しかし最近、その自負が、甘えとしてのとらえ方か、我が党も反省しなければならない状況を生み出しつつあり、批判も今までとは違っていることも、党員としてまことに遺憾に思っている一人であります。
 リクルート問題も中央、国政の問題ととらえるならば、我が自民党とりわけ地方でその基盤を支えていただいている皆さんに対しても真の反省にはならないであろうし、私たちも決して、関係はなくても逃げるつもりはない。何でも、長く続けばいろんなことが生じてきます。構造の変化が起こり、内部で亀裂もある。それを早く、どのようにして改善をしていくかが大事であり、それ自体、全体を否定し反対したり、壊していくことはすべきでないと思うのであります。
 我が党は、今日まで続いた日本国の繁栄・発展をさらにこれからも維持していくとの方針のもと、今日、国家百年の大計として消費税を導入したことは、今はいろんな声もあり批判もありますが、いずれ、これからの歴史の過程で必ず評価を与えてくれるものと信ずる一人であります。政治家として当然の使命でありますが、その政府の決定を受けて平成元年度予算をつくり上げた知事さん、また当局の皆さんの県政への情熱に対しまして、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 仮谷知事、私ども自民党はこれからも責任と自信を持って知事さんを御支援申し上げたいと思いますので、どうか、この機会に我が党に対し何かの御提言があれば、あればで結構であります、いただきたいと思うのであります。
 次に、昭和天皇のお手まき記念館について御質問をしたいと思います。──真ん中の方から大分右に寄ってきましたが、ここで一気に右に寄せてみたいと思います。
 昭和天皇と本県並びに本県民とは、大変深いかかわりがございます。いただきました資料によりますと、大正十一年十二月一日に、さきの昭和天皇がまだ摂政の宮殿下であられたとき、初めて御来県をいただいております。自来、数えること六回。仮谷知事さんが就任をされた年からは、今から御質問を申し上げます全国植樹祭に際して昭和五十二年四月十六日から十八日までの三日間、本県に御滞在をいただきました。心温まる御慈愛をいただき、本県発展のためにも、苦しい時代に勇気と力を与えていただいたと信ずる一人であります。
 私が昭和天皇に最も近くでお目にかかれたのは、昭和五十二年、今申し上げた全国植樹祭の折であり、当時は、今は亡き玉置和郎先生の秘書として一緒に来県をし、行事に参加をさせていただいたときでありました。
 日本国民のお互いのアイデンティティーというものは何か。私は、陛下に接したときに、思わず心の底から込み上げてくるものを感じ、自分が日本人であるという意識を持ったものでありました。今は御病気で、また昭和天皇の御崩御で心を痛めておられるでありましょう皇太后様も、当時は大変お元気で、お二人の姿は今も目に浮かんでくる次第であります。さきの大喪の礼における海外百六十余の国々からの多くの弔問は、単に儀礼的なことではなく、亡き天皇様のお人柄、また、「どんな草花でも雑草という名前のものはない。一つずつ名前があるんだ」とのお言葉が示すように、何事にも深い愛情をささげられたことの証左ではないかと思います。
 悲しいことではありますが、今は心から御冥福をお祈り申し上げつつも、現天皇陛下のもと「平成」というすばらしい元号の時代において、亡き天皇様がお残しになられた「昭和」の時代のすばらしさをとどめながら、いつまでも忘れることなく、国民一人一人が一丸となってこの新しい時代をつくり上げていくことができるよう、責任を果たしていきたいと決意をしているところでございます。
 前段でも触れましたが、本県においても昭和天皇ゆかりの地が大変多くございます。そのことは、いかに多くの県民の皆さんと親しまれ、交流されたかを物語っていると思うのであります。それゆえに、お互い県民がひとしくその思い出をいつまでも心に残しておきながら、そのことを広く行政に生かしていかなければならないと思うのであります。とりわけ、紀の国和歌山においてお手まきをされ、木の大切さや緑の必要性を説かれた昭和天皇の御遺徳は、林業県和歌山として深いえにしではなかろうかと思います。
 知事さん、この写真を見て記憶を新たにしていただきたいと思います。(写真を示す)これは、今言いましたように、陛下がお植えになられた杉、皇太后様がお植えになられたヒノキであります。これは今、私の地元である西牟婁郡上富田町の林業センターの中で、このように大切に守っていただいております。
 私は、過日、昭和天皇の御生誕日が「みどりの日」として国の祝日と決定されましたことも、悲しい中ですが、喜ばしいことと思ったのであります。この機会に、お手まきをされた林業センターの中に、多くの県民が緑と触れ合い、また木を理解しながら勉強のできる場としてお手まき記念館をつくられてはどうか。また、第一回の「みどりの日」を来月に控え、昭和天皇の御功績を思い出しながら、本県として来る四月二十九日をどのような形でお迎えするのかをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、白浜─東京便の増便についてでありますが、その前に仮谷知事に、本年度もジェット化に伴う建設予算を国、県合わせて五十八億余円つけていただき、具体的な工事建設の着手ができることになりましたこと、心からお礼を申し上げる次第であります。また、名古屋便廃止以来、悲願であり念願でもありました東京便が一便増便され、現在の二便と合わせ、この四月一日から三便となり、これが実施される見通しとなりましたこと、これも仮谷知事さんが東京へ行かれるたびにJASへ陳情に行ったり、また運輸省へもお願いに行っていただいたたまものと存じます。同時に、側面から御援助をいただいた本県選出の国会議員の先生方や市町村の関係団体の皆さんに対しましても、厚く御礼を申し上げる次第であります。
 ただしかし、かつて名古屋便が利用客の減少を来して廃止を余儀なくされたとき、これもまた陳情を重ね、隔日運航や季節運航を設けてきてもらったわけですが、どうしても利用率を高めることができず、ついに名古屋便は廃便となったことが、今、改めて反省として思い出すのであります。今度、この今回の増便が減便になることがあるならば、ジェット化の推進をおくらすばかりか、将来の新路線計画も難しいものとなってくると予想されます。
 そこで、今回は前轍を踏むことのないよう、利用率の向上、維持対策が必要と思われます。私どもは、用事や陳情で上京の際は、でき得る限り飛行機を利用しているわけですが、もっと幅の広い、持続性を持った利用の仕方でないと、利用率を維持し高めていくことはなかなか難しいと思われます。
 例えば、県におきましても、せめて御坊以南の県関係の出張や地方自治体、各団体の上京時には原則として空の便を利用するという行政指導ができないものか。また、承りますと、航空会社でも「クーポン」と呼ばれる割引航空券が出されているようであります。商工労働部長、知っておりますか。それを購入して利用するとか、また観光客の導入も含め、今後、対応策をどのように考えておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
 次に、ただいま質問をいたしました白浜空港の関連でありますが、ジェット化後、また平成四年に完成する国立病院や周辺の開発に伴う交通網の整備とアクセス道路についてであります。
 白浜・田辺地方の道路問題を語るとき、どうしても避けて通れない、また今まで観光、産業、生活道路としてその役割を十二分に発揮してきてくれた白浜有料道路に触れないわけにはいかないと思います。この質問をすると、吉井局長は嫌がるんです。おれに答弁をさすな、大概いろんな整備をしてやっているじゃないかということを言われるんですけれども、しかし政治家として、時にはこういう場でお聞きをしなければいけない悲しい立場にあることも、吉井局長、御理解をいただきたいと思います。
 県営有料道路では唯一の黒字路線であり、京阪神から来て、白浜温泉という観光地を最も近く結ぶという利便性もさることながら、吉井局長の「打てばすぐ響く」という行政手腕と──ちょっと褒め過ぎですか──地元の職員の皆さんの努力により、立派な道路として育ってきたと思います。心から感謝を申し上げたいと思うのであります。
 ただ、もうここ数年来言われてきたこと、そして避けて通れないこととして、御存じのとおり、休祭日や観光シーズン時には恒常的に渋滞するという実情があります。現在、その解消のため、部分的な工事に着手していただいておりますが、将来のジェット空港の開港や周辺地域のリゾート計画、また国立病院の統合等々を考えたとき、交通量は確実に増大をすることは予測されるところであります。これらの将来予測の展望に立ったとき、早急な現有料道路の整備ということは私たち地元住民にとっても最大の政治課題でありますが、企業局としての考え方はいかがかをお聞かせ願いたいと思います。
 また同時に、このすぐそばを県道堅田新庄線が通っております。私は、単にこの白浜─田辺の脈路を一有料路線にゆだねても抜本的な解消にはつながっていかないと思うのであります。土木部としても、一般道路の必要性を考えたとき、早急に白浜─田辺の第二直結道路の建設に取りかかるべきだと思います。
 今ある県道を生かすのも、また別ルートを新たに設定するのもいいと思うのであります。ただ、ひとつ御理解をいただきたいのは、平成四年に国立病院が統合され、現白浜温泉病院も合併吸収されるということです。現在、外来患者や入院患者の方々の利便性を考えたとき、また既得権を思うとき、なぜ有料道路を通って、ということはお金を払って病院へ行かなければならないのかという疑問は、当然残ると思うのであります。
 田辺の病院へ行くのに、今まではお金がかからなかった。しかし統合されれば、当然、そこを通らなければならない。私は、もっと住民の皆さんに選択の余地という、選べる行為に幅を持たせていただきたいし、また当然そうあるべきだと思うのであります。
 先ほど申し上げましたように、周辺環境の推移とあわせ、第二白浜田辺道路の建設についてお聞かせをいただきたいと思います。
 また、あの有料道路の償還期間が平成六年という予定をされていますが、それよりも早まるということを聞いております。同時に、住民の皆さんから、早く無料開放化してくれないかという声もあるわけであります。
 私は一つの提言をさしていただきたいと思うのでありますけれども、今、償還金額が四億円残っております。その四億円は、今言った年月の間に払えるだろうという予定であるんですけれども、過日、白浜の町長にお会いしたときに私は、もうあそこを白浜町と田辺市で買えという話もした。四億円ですから、二億円ずつ出しても安いものだ。そして同時に、今また丸紅が一千億構想で田辺周辺にリゾートをつくるということであるならば、やはりもっと企業に協力をさすべきである。今の計画を見ていると、丸紅があの有料道路の周辺をほとんど開発するというようなことになっておりますが、白浜町と田辺市と丸紅の三者で四億円を出してあの有料道路を買い上げて県道へ払い下げ、払い下げというよりも、また県でそれを新たに見てもらうということも一つの案ではなかろうかと思うんですが、この点はいかがでありましょうか。
 それから、高速道路の紀南延長でありますが、一月三十一日の国幹審で御坊─田辺間が認められました。我が議会におきましても、古田先生を先頭に高速道路の紀南延長促進議員連盟をつくって今日まで御苦労いただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。そしてまた同時に、関係の皆さんにも感謝を申し上げたいと思うのであります。
 ただ、今回予定から除外をされる田辺─新宮間につきましては、今後、国に対しての運動をどのように展開していくのか、お聞かせいただきたいと思います。そして、それまでの間、基幹道路である国道四十二号線において整備が急がれている箇所についても、今後積極的に対応されることを要望しておきたいと思います。
 最後に、県職員及び警察職員、そして学校職員等々、公務員の皆さんの処遇改善について要望だけを申し上げておきます。
 また、この機会に、長年にわたり本県勢発展のために歴代知事及び仮谷知事を支え頑張ってこられ、この四月に勇躍退職をされる皆様方に、心から長年の御労苦に感謝を申し上げますとともに、県民の一人として、厚く厚く御礼を申し上げたいと思います。
 自分が若きころ志した目標に向かって人生を生き抜いていくということは、大変なことであると思います。公務員という職責も、私たち政治家と同様に、公私の「公」に対して非常に厳しい見方があり、それだけ自分という存在をどこに位置づけるのかということで大変制限をされるようにも思われます。仕事の内容も、時には地味なものもあり、結果についての評価も時間がかかったり、本当に御苦労なことだと思うのであります。私は、この機会に、心から改めて感謝を申し上げるとともに、本県におけるこれら公務員の方々の処遇というものを改めて見直していただき、その改善に向けて、それぞれの立場の職責に対してさらなる評価を与えてあげていただきますように、このことは要望として申し上げ、私の質問といたします。
 ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの大江康弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 大江議員にお答え申し上げます。お答えするというより、お教えいただいた点の方が多いわけでございますけれども、新しい時代、移り変わる時代の中にあっていろいろな考えが出てくる、価値観が変わってくる、時代の変遷が激しいと、そうした中での知事の対処でございます。
 御指摘ございましたように、政治家はそれぞれの信念に基づいて勇断を持って政治を行っていくことが今一番大事なことではないかと、話を聞きながらつくづくと感じたわけでございまして、「平成」という新しい時代を迎えた現在、和歌山県の新たなる発展に大きな期待と希望が県民の皆さんにあるのをひしひしと感ずるのでございます。
 こうした転換期において、県政を担当する者といたしまして、もう一度初心に立ち返り、そして県民の小さな声にも耳を傾けることはもちろん、新しい時代の洞察と未来を切り開く勇気とを持って今後なお一層努力してまいる所存でございますので、議会の皆さんの格段の御支援をお願いする次第でございます。
 それから、自民党に対するお話がございました。先日、鈴木議員からも、自民党が政権を担当してまいった、そして今日の我が国の繁栄をもたらしたという話がございました。しかし、そうした反面、現在、リクルート問題が国会等において取り上げられておりますが、それについて提言があればということでございます。非常に難しゅうございますが、一応お答えさせていただきます。
 自民党和歌山県連には大変お世話になっており、現在、知事の座につかせていただいておるわけでございます。また、県政の分野においても大変お世話になっておりまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
 しかしながら、話ございましたように、先ほどのリクルート問題を中心にして、国において自民党についてのいろいろな御意見がございます。そうした中で、党の大会でも曽野さんがおっしゃったように、より慎み深く、より謙虚にいかなければならないんではないかと思いますし、またこれを一つのばねとして、過去の歴史が示すように大きな発展をしていただきたいし、そして総理がおっしゃっておるように、政治改革を行って政治への不信というものを取り除いていただきたいと思っております。
 他の問題は、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 昭和天皇と行幸啓を記念した本県の林業施設は、御在位五十年を記念して国の補助事業で実施した県植物公園緑花センターに隣接する昭和の森や、昭和五十二年四月に那智高原で開催した第二十八回全国植樹祭会場及び上富田町生馬の県林業センターのお手まき行事会場がございます。
 議員御提案の行幸啓の記録や木の国の林業展示をあわせた記念館の問題につきましては、大切な資源である緑や林業に対し、広く県民の理解をいただく立場から検討をしてまいりたいと存じてございます。
 次に、「みどりの日」の取り組みについてお答えを申し上げます。
 本年から四月二十九日が「みどりの日」に制定をされたのに伴いまして、ただいま林野庁において、全国みどりいっぱい運動などの関連行事が具体的に検討されているところでございます。県といたしましても、従来より、この時期はみどりの月間に当たり、広く県民の皆さんの参加のもと、緑化推進のためのフェスティバルなどを実施してまいりましたが、「みどりの日」が新しく制定された趣旨に沿い、今後さらに積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 南紀白浜空港の東京便増便後の利用、維持対策についての御質問でございます。
 南紀白浜空港の東京便につきましては、議員のお話にございましたように、先月末に一便増便の決定を見たところでございます。この増便は、他の航空路線との激しい競争の中で獲得されたものでございますが、東京と直結するパイプが一層太くなり、人、物、情報の流れを活発化させ、本県の発展に欠かせぬものでありますだけに、この夏に予定されている往復三便体制における安定した利用者確保が強く要請されるところでございます。
 このため、先日、県下の市町村初め、主たる約三百五十団体に対しまして、この東京便を積極的に利用されるよう、協力の呼びかけをいたしたところでございます。また、県職員あるいは周辺地域の地方自治体の職員の出張に際し、議員御提言のございましたように、例えば日高以南に在勤、在住する人は極力利用するよう、関係部局に協力を要請してまいりたいと考えてございます。同時に、議員のお話にございました宿泊とセットになったクーポン券等の積極的な利用などの啓発を図り、利用率を高めてまいりたいと考えてございます。
 また、白浜町、白浜観光協会等、地元関係団体と相協力いたしまして、利用促進のためのポスターやパンフレットによる宣伝活動、また関東地域での観光キャラバン活動、旅行業者とタイアップした南紀旅行セット商品の設定などによる団体客の誘致、さらには各種全国大会の南紀への誘致など、いろいろと利用者の拡大策を展開し、東京便の安定利用を積極的に図ってまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 白浜─田辺間の道路に関して三点の御質問がございましたけれども、関連がございますので、まとめてお答えさせていただきます。
 白浜有料道路の周辺には総合リゾート開発等の地域振興プロジェクトが数多く計画されており、今後、交通需要の増大が見込まれます。また白浜有料道路は、南紀白浜空港のジェット化と高速道路の南伸により、高速交通体系を補完する重要な路線となります。南紀白浜空港への主要なアクセスとしては、この白浜有料道路と、これに接続する県道南紀白浜空港線によることになります。
 こうした状況を踏まえ、議員から御提案がありましたように、田辺─白浜間の新たな交通体系の整備についての検討が必要であると考えております。今後、関係機関と協議をしながら検討してまいりたいと存じております。
 また、南紀白浜空港線の整備につきましては、現県道は急勾配が連続しており、現道沿いの改良が困難であるため、別ルートでの整備を検討しているところであります。この路線の整備に当たっては、現道の交通緩和や空港アクセス等に効果の高い区間から順次改良していくことを検討しております。
 また、国立病院の統合移転に伴う道路についてでございますが、地元の方々の利便という面からその必要性が理解できますので、今後、関係する市、町とともに調整を図りながら検討してまいります。
 次に、今後の高速道路の紀南延伸運動についてでございますが、このたび、議会を初め多くの関係の方々の御支援を得て、御坊─田辺間二十九キロメートルが国幹道の基本計画として決定され、着工に向けて本格的に路線の調査が進められることになりました。今後は、本区間の整備計画への格上げ、さらには田辺から新宮に至る区間の基本計画への組み入れと整備への早期着手について、県議会各位の一層の御支援を賜りながら努力してまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 白浜有料道路の混雑状態の解消についてお答えをいたしたいと思います。
 白浜有料道路の夏季及び連休時における混雑状態については議員御指摘のとおりでございまして、当面の解消策の一つとして、本年度は田鶴交差点の田辺方面の左折車線の延長工事を施行しているところであり、引き続き元年度予算では、現在の料金所を拡幅し、簡易ブースを四カ所に増設すべく、所要の経費を計上しているところであります。
 また、抜本的な解消策といたしましては、高速道路の紀南延伸にあわせ、白浜へのアクセス道路の必要性から幾つかの課題も残されていますが、道路拡幅のための調査費も計上しているところであります。その調査実施に当たりましては、土木部とも十分協議し、検討してまいりたいと存じます。
 なお、地元自治体への払い下げにつきましては、御提言として受けとめさせていただくとともに、各方面の御意見も賜ってまいりたいと存じます。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 12番大江康弘君。
○大江康弘君 簡単に。この前から「県議会だより」を見ていたら、再質問のときの方がテレビによく映っているんで、本当はするつもりはなかったのですが、ちょっとだけやっておきます。
 今、花岡部長から答弁をいただいたんですけれども、和歌山県というのは、生むのがうまい。しかし、それを育てていくという面ではもうひとつという感がします。どうもお互いの県民性というものが理由かなんかわかりませんが、いろんな産物をとってみても、そうであるわけなんです。今、部長がいみじくも申されましたが、いろんな空港からの陳情合戦があって、枠をとるのに非常に競争の厳しかった東京の一便増便であります。
 私は、単に商工労働部だけが観光という点のみでとらえることなく、これはどこにお願いをしたらいいのか──過日、知事さんは、私もまた一生懸命あの飛行機に乗るよと言うてくれていましたが、やはり各部局がお互い横の連絡を取り合って、どうかひとつこの三便へのきっかけになった七〇%という乗降率を落とすことのないように、それぞれの部局において今後とも努力をしていただきたいということを要望して、終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大江康弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時四分休憩
 ────────────────────
 午後一時六分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浜口矩一君。
 〔浜口矩一君、登壇〕(拍手)
○浜口矩一君 私は、これまで再三にわたり、原発問題について、事故などの事例を提示し、また放出放射能被害の実情と特異性などを述べて、廃棄物処理問題も含めた安全性に関する問題、また言われる地域活性化、経済浮上等の経済波及効果、エネルギー論としての原発推進の是非等々について質問してまいりました。
 特に安全性に関しましては、事、生存にかかわる重大問題との認識から、設備や機器の安全性だけでなく、運営・管理のあり方、関連する管理運転員の人的な問題をも含めて、ただ一度の失敗をも許されないとする企業対応の基本姿勢、またエネルギーシステムの問題等々について問題点を指摘し、御所見をお伺いしてまいりました。それに対する当局の御答弁は、安全確保は一義的には国の責任であり、国が安全だと言い、また安全確保に万全を期して慎重な対応をされているので安全と信じる、ただしかし、安全性は県の原発立地三原則の中でも最重点課題ゆえ、可能な限り県独自の立場からも追及する云々、おおむね以上のとおりですが、原発立地をめぐる県内情勢、なかんずく日高町、日置川町における動きは傍観を許さない重大事と案ずるの余り、重ねて原発問題について、以下数点、事実を述べて質問いたします。
 去る二月二十八日、朝日新聞報道の「高浜原発の運転管理を評価」との見出し記事によると、関西電力は二十七日、国際原子力機関(IAEA)の専門技術者チーム運転管理調査団が、昨年十月、関電高浜三、四号機を調査し、このほど通産省に提出の報告書を発表した。同調査団は、昭和五十八年、韓国を皮切りに、世界十五カ国、延べ二十五回の調査をしたが、日本での調査は初めてとのこと。また、受け入れの関電の要請で、運転を開始して約三年半と、比較的新しい両原発が調査先となった由。その結果、「安全の重要性がしっかりと認識されており、運転の質は高い。高浜三、四号機は世界の原発の中でもトップグループの位置を確保した」との結論づけに対して、反原発グループは、「美浜一号機など老朽化した原発を調査してほしかった。これでは、原発推進、安全PRの意図が見え見えだ」と反発。それに対し関電は、「美浜一号機であっても、満足のいく結果が得られたと思う」と報道されております。
 なお、この報道に加えまして、「東電福島第一原発また異常」との見出しで、同五号機で冷却水送水再循環ポンプ電気回路の保護用検知機作動によるポンプ停止、原子炉を手動で停止し、原因調査中との報道がなされていたこともあわせ申し上げ、後刻提示の問題例とともに御検討を願いたいと存じますが、この前段の事実報道から考えられる、いわゆる原発の安全性に関する評価について、果たして関電側の言い分をそのまま受け取ってよいのかどうか。私は、次の事実を述べて御検討を請いたいと存じます。
 それは、一昨年九月二日、安全性にかかわる重大な変更工事であるにかかわらず、安全審査も経ずに定検中に若狭の五原発──いずれも加圧水型軽水炉です──で改造を行ったとして、原発反対福井県民会議が関西電力を福井地検に告発したという事実内容についてであります。
 私は、この事実内容から、次の問題二点を指摘いたしたいと存じます。その第一は、原発の重大な危険性が、運転中だけでなく、定検を隠れみのにした、その定検中にも潜んでいるということ、その第二は、現在の原発行政では設置から運転中に対しては一定の規制下に置いているものの、停止中の定検については無法地帯として野放しにされていたことが明らかにされた告発内容であるという点であります。もちろん、この取り扱いは法の手にゆだねられるとしても、十分注目に値する重大事と存じますので、若干具体的な事実を付加いたしたいと思います。
 定格出力で運転中の高浜一号において、一昨年七月十一日午前零時、B蒸気発生器で一次冷却材ポンプ振動大の警報が発信され、約二時間後、手動で緊急停止。振動原因は、蒸気発生器内に無許可で取りつけていた重さ七・八キログラムの金具二個が脱落して一次冷却材ポンプの羽根に衝突し、それをかみ込んだためであった。また、脱落金具はポンプの回転翼と主軸受け蒸気発生器細管管板を損傷しただけでなく、部品の一部は原子炉にまで達しており、約二カ月間の運転停止に追い込まれたという重大事故。加えて、同県民会議の調査の中で判明した驚くべき事実、すなわち構造上必要でもない金具の取りつけ工事が、定検期間短縮のため、一昨々年十月から一昨年二月にかけての定検中に、何らの法的手続も経ずに定検作業の仮設工事ゆえ運転に影響のない行為としてまかり通っていたとのこと。
 念のため、この工事内容を申し上げますと、原子炉内で行われる核燃料取りかえ作業と並行して蒸気発生器での点検作業をするため、原子炉につながるパイプに仮設のふたを取りつけて原子炉からの水の流入を防ぐものであり、仮ぶたは運転中は外されるが、それを支える金具はボルトで固定され、運転中も蒸気発生器水室仕切り板に常設されていたとのこと。また、同種の工事が一昨々年から一昨年にかけて大飯一、二号、美浜二、三号でも、工事申請も届け出もないまま行われていたという事実。加えて、脱着自由な仮設ぶたの取りつけ工事とはいえ、作業員と原発自体の安全性に重大な結果をもたらすところの蒸気発生器隔離装置において蒸気発生器の構造に重大な変更を加え、さらに核燃料取りかえ設備の一部をなす重要工事の上、核燃料取りかえ作業自体危険な作業であり、原子炉設置申請の安全審査でも原子炉及び炉心に次ぐ重要項目として位置づけられていることなどを考え合わせるとき、定検中の使用済み核燃料取りかえ手順の変更は、当然、安全審査の対象となります。
 また、核燃料取りかえ作業はすべて水中で行われ、空気中に燃料が露出しないよう、格納容器内のキャビティーに硼酸水が満たされます。このとき、水位の関係で、原子炉のパイプから硼酸水が蒸気発生器内に流入する。それゆえ、蒸気発生器内の作業は同時にできない構造になっていたのを同時にするための簡易ぶたが、蒸気発生器隔離装置であります。さらに、この簡易ぶたには、原子炉を経てキャビティー内の水圧がまともにかかっていると言われますゆえに、もし隔離ぶたが破損された場合、水は一気に蒸気発生器内に流入し、作業中は外部に通じているマンホールから硼酸水が外部に流出。また、キャビティー内の水位は低下して、取りかえ中の燃料はむき出しになりかねない。それゆえ、この場合、崩壊熱による燃料溶融、作業員の被曝は避けられません。そのような危険増幅の作業実態の告発とも解さざるを得ないのであります。
 もう一つ申し上げます。東京電力福島第二、三号機において、去る二十八日朝、再循環ポンプの破損で行方不明の金属片の一部が圧力容器内の炉心底部で発見された。また、水中テレビカメラによる調査で、死の灰の詰まっている核燃料体の一部にも付着していることが判明。加えて、この再循環ポンプの故障で原子炉を停止した五日も前から異常警報が出ていたにかかわらず、運転が強行されていた事実も明らかにされています。
 私は、これら二件を総合して、言われる「設備利用率向上」という稼働優先の企業体質をかいま見た思いであります。また多重防護云々についても、小さな故障が大事に至らないためのもの、したがって潜在的危険の存在は当初から認められていること等から、異常の早期発見、的確な対応が何よりも大切であるにかかわらず、それがおろそかにされている。加えて、運転管理専門官常駐制度も形だけで、機能されていない実例の一つと申さざるを得ません。
 以上の企業対応について、安全確保の観点からどのような御見解をお持ちか、お伺いいたします。
 次に、これも朝日新聞一月七日報道の「原発稼働率急落 昨年七〇% 事故などで長期検査」との実態について、その原因の考察をも含めて当局の御見解をお伺いします。
 集計によりますと、昨年一月から十二月にかけての我が国原発商業炉三十五基の設備利用率は、先ほど指摘の経済性優先の企業体質にもかかわらず七〇・四%で、前年の七九・四%より大幅に低下しております。資源エネルギー庁は、定検の偏りが主因と弁明されていますが、その事実は一応認めるとしても、見過ごしてならない大きな原因である事故、トラブルの事実内容について注目すべきと存じ、若干その点に触れたいと思います。
 なるほど、原発の稼働率がここ数年間異常に高かったのは事実ですが、それは、言われる「原発の信頼性向上の結果」では決してなく、電力会社が高稼働率達成に無理をしたためで、その何年かの無理が限界に来て稼働率低下を招いたのではないか。
 例えば、定検が長引いたという言い分についても、それは事故や部品の損傷が深刻化したせいである。事実、浜岡一号炉では、定検と称してはおりますが、実情は、中性子計測器の収納管の穴あきで強いられた長期の運転停止であった。また、高浜二号炉なども、蒸気発生器細管のひび割れで定検期間が延長されました。
 他は省略いたしますが、さらに事故は依然として多発という現象も昨年の傾向の一つです。これも、何年かの定検短縮による手抜きの結果という識者の批判に加えて、その事故、トラブルの内容についても、ごく最近の例を見ると、例えば先述の百キログラムのリングが脱落、座金四個まだ不明という福島第二、三号炉事故、さらに昨年十月二十七日、大飯一号機で発生の、放射能を含む一次冷却水が二次冷却水側に漏れた事故。この原因は蒸気発生器細管一本の横割れで、蒸気発生器製造時に細管を内部から広げる際、工具の一部欠損のため細管内部に不規則な力が加わり、円周に沿って水平方向に金属疲労が起き、細管に極めてまれな横割れが生じたらしいとの分析。なお、まれな横割れであったがために、三カ月前の定検でも見落としていたという事実。
 また、定検中の発見ですが、美浜二号機で、一次冷却材ポンプから冷却材を原子炉に送り込むための変流翼取りつけボルト四十八本中、実に十八本に応力腐食割れがあり、それが原因でひび割れが発生。
 東海一号炉では、炭酸ガス温度測定用ケーブルの鉄製カバーの一部が腐食して炉心の上に落ちているのが定検で見つかったと一月十三日発表されていましたが、このことは前回の定検時から判明していたトラブルで、完全に直しようのないまま運転を強行、今回も完全修理は期待できない由であります。
 そこで、これらのことをつぶさに検討したときに、すべてが安全性に直接かかわる重大問題としての問いかけを事実として投げかけていると思料いたしますが、それでもなおこれまでの、政府が安全云々ゆえ安全との御説明をされるのかどうか、明快な御見解をお伺いいたします。
 次に、原発低コスト論についてお伺いいたします。
 先月十三日申請の電力会社十社における電気料金値下げ内容を一べつしますとき、まず最初に言えることは、関西電力の、原子力比率が高いので安い電気供給という「低料金全国一、それは原発」との言い分は、数字の上からも論拠が崩れ、経済性の上からも疑問が深まったということであります。
 加えて、昨年度運転開始の発電所をモデルにした、昨年暮れ、資源エネルギー庁発表の一キロワット当たり平均発電コスト試算によると、原発は九円程度、これに対して石油火力、LNG火力は十円ないし十一円、石炭火力十円程度、水力十三円程度と、辛うじて原発の経済的な優位さを示しているとは申せ、この試算には放射性廃棄物の最終処分、廃炉処分費用は含まれていません。しかも、為替レートを今回の料金改正での想定より一ドル五円安の百二十九円と算定し、また紀元二〇〇〇年には石油価格は現在の倍近い値上がり、一方、ウラン燃料は加工費、再処理費用を含めて年○ないし一%しか上がらないと仮定しての平均コストであり、消費者はもちろん、学者間にも批判が出ている事実を考えましたとき、経済性についても多角的な論議の必要性があり、将来展望を含めた原発の経済的優位さはその論拠を失いつつあると解する一人ですが、御見解をお尋ねいたします。
 最後に、このような情勢下、しかも当然とも言える反原発の高まりという世論の中で、県内における、例えば日高町を中心とした推進としか解しようのない原発講演会の開催、日置川町の行政の筋を無視した同漁協の動きなどは、明らかに原発立地を目指すものと考えられます。
 そこで、このような動きは御承知と存じますが、これらはすべて政府機関との関係でなされているもの、県は関知せずとお考えか。そして、どのような御見解を持って対処されたのか、また対処されるお心づもりか。今後の見通しも含めた明確な御見解をお伺いし、私の原発に関する第一回の質問を終わります。
 次に漁業問題について、その現状、将来展望、振興策についての方向と当面の課題等の観点から、求められる基本姿勢にかかわるであろうと思われる問題一点について質問いたします。
 なお、私、農林水産委員会に所属していますが、事、将来の地域漁業存続にもかかわりかねない要因を秘めている重要問題と考えますので、あえてこの場をおかりして御見解をお伺いいたしたいと存じます。また、残り少ない時間でございますので、ごくかいつまんで申し上げることをお許し願いたいと思います。
 さて、数日前、私たちの漁協にイワシ──私たちは「ヒラゴ」と呼んでいる一種ですが、大敷網で大量水揚げされました。そしてその値段は、浜値キロ当たり三円。大量ゆえ全部の水揚げが同日かなわず、翌日に相当量持ち越されたが、それは全部網の外に放ち捨てて処理いたしました。また先月、サンマが大量水揚げされたが、値段はキロ当たり十円。サバコも同様の実情でございます。これでは漁業経営の好転が望めないのは当然の事と存じます。ただ、少量ながら他の値の張る魚の水揚げもあり、経営カバーの状況でございます。
 私は、今や大漁型漁業の時代は既に過ぎ、沿岸・近海を含めた漁業振興というより、今後は消費の動向、需要に見合った必要な魚介を必要量だけ漁獲する、いわゆる管理型漁業指向以外に生き残りの道なしと極論する一人です。
 このような観点から、水産試験場、その他の研究機関、試験機関、また栽培漁業センター等、中間育成場をも含めてその充実を切に願うとともに、漁業生産基盤の向上を目指した熊野灘海域総合開発事業実施に対して心から敬意を表しつつ、大きな期待を寄せてまいりました。その計画も七〇%達成と伺い、喜んでいる一人ですが、関連して、昭和五十七年策定と伺う、今後の漁場利用を含めた管理経営計画第二項「漁場利用計画」の存在にもかかわらず、最近、私たちの地先沖合では、まき網と一本釣り漁業の免許漁業間でたびたび海上トラブルとの現状を仄聞し、心を痛めている次第です。
 その実情をかいつまんで申し述べますと、黒潮の流れも影響して、今期はブリ、カツオ、マグロの水揚げが不振でしたが、ことしになってマグロ類が一時水揚げ、一本釣り、その他を含めて期待を寄せたのもつかの間、まき網、きんちゃく網が入って操業、漁獲期待は空振りの始末。以前、ブリの場合も同様であった由。しかも、定置網近くまで来て操業、また那智湾の入り口までの事例もあったと伺っております。これでは保護区域もなきに等しい現状と思います。
 御承知のとおり、まき網等は、使用集魚灯の燭光の大きさ、また一網打尽の漁獲漁法であるということなどから、その影響は単に定置だけでなくすべてにわたり、しかも甚大な被害を与える。それゆえ、思い余っての取り締まり善処の漁民の求めに対しても早速の行動は期待できず、また一部漁民代表の陳情も効果なし。具体例は後日に譲るとしても、事態改善の希望すら持てない現状と聞いています。
 申し上げるまでもございませんが、例えば二百海里問題、魚介類の輸入増大、またそれによる魚価の低迷等々、厳しさ倍加の中でこれに耐えて苦境を克服し、これ努めて漁業に精励している、それも昼夜をいとわない若者たちの、家業を守り、海を生活のよりどころとする貴重とも言えるひたむきな心にこたえるためにも、水産県和歌山の将来展望を認識され──これは申し上げるまでもなく御対応と存じますが、そのためにも関係漁協の陳情や要請にこたえられる対応は緊急の課題と存じ、必須の条件たる漁業秩序確立のため現在までとられた措置、また今後の対応について明快な御所見をお伺いし、私の第一回の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○副議長(山本 一君) ただいまの浜口矩一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 浜口議員にお答え申し上げます。
 原子力発電所の問題については企画部長から答弁申し上げますが、私から、安全性に関する企業対応のあり方について述べさせていただきます。
 原子力発電所を運転・管理する電力会社は、安全確保を何よりも最優先すべきであるし、またそのように対応すべきであると考えております。
 それから、熊野灘の漁業秩序維持の問題につきましては、農林水産部長から答弁させていただきます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電所についての四点の御質問にお答え申し上げます。
 まず第一点は、安全性に関する企業対応のあり方についてでございます。
 一昨年七月十一日に高浜発電所一号機で発生した事故は、定期検査の能率を向上するために蒸気発生器水室の仕切り板に取りつけていた金具が外れ、一次冷却ポンプの羽根に衝突し、かみ込んだというものでございます。その後、関西電力株式会社は、同様のトラブルの再発防止のために、美浜発電所二、三号機、大飯発電所一、二号機にも取りつけていたこの金具を定期検査時にすべて撤去したと聞いてございます。
 ことしの一月に福島第二発電所で発生した事故は、以前から損傷の可能性があるとして定期検査の際に点検・改修の予定であった再循環ポンプの水中軸受けが破損して羽根車に衝突、金属片や金属粉が原子炉圧力容器内に入り込んだというものでございます。
 国の見解によりますと、これらの事故は安全上問題となるものではなかったとされてございますが、いずれも蒸気発生器なり原子炉圧力容器といった安全上重要な設備の中に金属片が入り込んでいることから、蒸気発生器細管や燃料棒を損傷する可能性も否定できないという見方もあると聞いてございます。
 現在、福井地方検察庁は、福井県の原発反対県民会議の告発を受け、調査中とのことでございます。
 また、東京電力株式会社に対しましては、原子力安全委員会委員長らが「安全の配慮に慎重さを欠いた」と指摘しておりまして、今後、国の厳しい指導監督のもとに原因が究明され、適切な措置が講じられるべきものと考えてございます。
 県といたしましては、電力会社がこうした事故を教訓として生かし、安全確保の第一歩である故障、トラブルの未然防止のために最大限の努力を払うよう求めるとともに、厳しく見守ってまいりたいと考えてございます。
 第二点は、昨年中の稼働率低下の原因考察と安全性についてでございます。
 昭和六十三年度の設備利用率は前年より下回ってございますが、この要因として、通産省資源エネルギー庁の見解によりますと、定期点検の時期に当たった発電所が多かったことに加え、故障、トラブルによる停止期間の長引いたプラントが数基あったことが響いているとのことでございます。
 なお、原子力発電所の安全性は、第一に異常の発生を防止すること、第二に、万一発生してもその拡大を防止し、事故に至らぬよう措置すること、第三に、万一事故が発生しても周辺への放射性物質の放出を防止することという三段構えの考え方で確保が図られていると聞いてございます。
 異常を早期に発見し、事故に至らぬうちに停止することが安全確保にとって重要でございますので、そういうことから設備利用の低下が直ちに安全性の低下を示すものではないと考えておりますが、安全確保の第一歩である異常発生の防止になお一層の努力が求められるものと考えてございます。
 第三点は、原発低コスト論についてでございます。
 昭和六十二年十二月に発表された資源エネルギー庁の試算による新規電源の発電単価は議員御紹介のとおりでございまして、この試算には再処理費用は含まれておりますが、原子炉の廃止措置及び放射性廃棄物の最終処分費用は含まれてございません。
 しかしながら、昭和六十年七月に提出された総合エネルギー調査会原子力部会の報告書によりますと、百十万キロワット級の原子力発電施設を密閉管理の後に解体撤去する場合の廃止措置による単価増は約一割程度と見込まれ、これによって原子力発電の経済性が大きく損なわれるものではないとの目安が報告されてございます。
 また、火力発電との比較におきましては、現在の原油価格が大変安いという背景がございますが、長期的には、埋蔵量に対する不安や輸入先の偏在性、あるいは工業用製品の原料としての需要の高まり等から、一九九〇年代半ばまでには原油価格の大幅な引き上げが予想されるといった指摘もあり、施設による発電コストの比較には長期的な見通しを含めた検討も必要であると考える次第でございます。
 最後に第四点は、県の原発取り組みのあり方についてでございます。
 豊かな国民生活を維持・発展させるためには、長期的な観点からのエネルギー政策が必要であるということは理解しているところでございます。しかしながら、その具体的な方法、とりわけ原子力発電による電気エネルギーの確保につきましては、県内はもとより、全国的にも賛否さまざまな意見があることもまた事実でございまして、このため、地元の方々があらゆる機会を利用してこのことに関する知識を高め、理解を深めていくことは大変重要なことではないかと考えている次第でございます。
 また、日置漁協が実施している電源立地地域温排水対策補助事業につきましては、関係する漁業者の方々が検討の結果、選択された方策であると認識いたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、県としては、県が独自に定めている三原則に基づいて対処してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 熊野灘海域における一本釣りとまき網漁業の問題でございますが、両者が同一漁場で操業するためトラブルが多発し、その解決のために、県及び海区漁業調整委員会の調整により、昭和五十四年六月に操業についての協定が関係十一漁業協同組合の間で合意・締結されたところでございます。しかし、その後もトラブルが生じており、その都度、みずからの協定を守るように指導をしてまいったところであります。
 御承知のように、五十七年度から実施している熊野灘海域総合開発事業のその後の進捗により新たな人工礁漁場も造成されていることでもあり、従来の天然礁を含め、今後、円満な漁場の利用が図られるよう、さらに漁業調整委員会との連携をとりながら積極的に関係漁業協同組合の指導を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 安全確保についての企業対応に対する県の御答弁は、事実に対する認識対応については大体そのとおりと存じますが、私が問題にしておりますのは、安全性にかかわる重大工事であるにかかわらず、安全審査、法的な手続もなしに工事がなされたという企業対応のあり方、それを定検中のゆえをもって許していたという国の規制についてどう受けとめられるかということでございます。それとともに、その工事目的はいわゆる定検期間短縮にあり、事実、仮設ぶたのために定検は六日間短縮されたということを聞いてございますが、このことが経済性優先の結果だと、このように申し上げておるわけでございます。この点につきましては、福井地検の調査に待つとのことですが、それは手続として一応認めるとしても、それらの措置を企業体質として見るか、一つの偶発的な事実として見るか、これが非常に大切だと思います。もし、その点について御見解があればお伺いいたしたいと思います。
 また、福島の件につきましては、先日の新聞に、いわゆる安全な措置がなされたというような報道がありましたので、この点も申し上げたいと思います。
 次に、設備利用率と安全性の問題につきましては、昭和六十三年に設備利用率が低下したことについて、資源エネルギー庁の言い分、また安全性に関する考え方を述べられ、設備利用率の低下は即安全性の低下を示すものではないという旨の御答弁がございました。もちろん、異常発生の防止はなお一層の努力が求められるとしておりますが、大体、以上の結論でございました。
 また、定検の申し上げた実情、あるいは事故やトラブルで運転停止が長引いたことにつきましても、つぶさに検討したとき、以前から無理をして運転を続行した結果招いたのが今回のトラブルであり低下であるという見方は、各方面から寄せられておる批判でございます。私も同感でございますが、そのことは裏を返せば、ただ事故さえ起こさなければいいと、こういうその場しのぎに似た考え方によっておるのではないかと考えます。もう一度、一歩踏み込んだ検討が必要と存じます。このことにつきましては、そのような厳しいとらまえ方が必要であるという私見を申し上げ、要望にとどめたいと思います。
 次に、原発のコスト優位性につきましては、総合エネルギー調査会の報告内容を示されて、原発の経済性の優位さは損なわれておらないという御答弁でございました。しかし、例えば廃炉費用は一割増の見込みということではございますが、試算では九円、それの一割増は約十円。そうすると、石炭火力の十円とほぼ匹敵するわけなんです。
 また、それだけでなしに原油価格にしても、一九九〇年代半ばまでに大幅引き上げが予想されるゆえ長期的な検討が必要との御答弁ですけれども、資源エネルギー庁の試算によると、二〇〇〇年には石油価格は倍近い値上がりをすると見込んであるわけなんです。しかも、この資源エネルギー庁の試算自体が多くの批判を受けておるという事実。加えて、太陽熱やその他のソフトエネルギーの開発の見通し等から考えたら、原発の優位性は今日失われつつあると断定する一人です。それでありますので、一般質問でも申し上げたように、多角的な論議の必要性ということを十分御検討願いたいと思います。もしこの点について県の見解がございましたら、御開陳をお願いいたします。
 それから、地元に対する県対応につきましては、原発による電気エネルギー確保については賛否さまざまな意見があるので、あらゆる機会を利用して知識を高め、理解を得ることが重要との御見解ですが、そのことは一応認めるとしても、その前段としての正しい理解を求めることは、特に原発について必要だと思います。理解だけでなしに、正しい理解です。その点について、県行政のあり方として、行政の筋は筋として私は心得ますが、少なくとも県民の立場に立った視点でいろいろなことを選択し、あるいは考える、また中庸的な立場に立って対処することの姿勢が必要であり、一方に偏するように誤解されるような行動は厳に慎むべきだと申し上げておきます。
 関連いたしまして、今議会に提出された電源立地地域整備事業費二千四百万──前年度は四千万計上されておったと思うんですが、これについての執行内容も、県の対応あるいは姿勢というものに関連すると思いますので、そのことも含め、今後の対応について十分に注目していきたいと考える次第です。もし補足回答がございましたら、お願い申し上げます。
 最後に、漁業問題につきましては、五十四年の六月に操業協定が結ばれた、しかしトラブルが現実に起こっており、その都度指導しておる、今後も強く漁協を指導すると、こういうようなことについては基本的に了解いたしたいと思いますけれども、具体的にどのように徹底さしていくか、あるいは時宜を得た対応としてどのように取り組んでいくか、このことが非常に大事だと思います。
 この点につきましては、私、農林水産委員会の委員に属しているので、また後刻、委員会でも御質問をしてお願いすることもあり得るということを申し上げ、今回はそれのみにとどめておきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 以上です。
○副議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、企業への対応の問題でございますが、先ほどの知事答弁にもございましたとおり、原子力発電所を運転・管理する電力会社は安全確保を何よりも最優先すべきであり、またそのように対応すべきものであると考えてございます。
 それから、関連する予算の執行も含めての県の姿勢でございますが、県が独自で定めている三原則に基づいて対応してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 36番浜口矩一君。
○浜口矩一君 ただいまの企画部長の再答弁につきまして。
 企業対応については何よりも安全確保を最優先にするという御答弁でございますが、その点については現実にきちっと県民にわからせるような行動を、これはそれがあっての行動でございますけれども、お願い申し上げます。
 それから、県の対応につきましては、三原則を堅持するということでございます。安全性、適地性、地元合意の三原則は、もちろん堅持してもらわなならんのですが、私は、その三原則の具体的な対応のあり方として県の御見解をお伺いしたんです。けれども、具体的なものにはなかなか答えにくいと思いますので、今後注目していきたい。これはもう要望だけにしておきますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上で終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浜口矩一君の質問が終了いたしました。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕(拍手)
○小林史郎君 お疲れのことと思いますが、今しばらく御辛抱、お願いいたします。
 初めに、昨年九月二十五日の日高地方における集中豪雨に係る椿山ダムの操作問題で質問いたします。
 このことについては、さきの九月議会において木下秀男議員も取り上げ、当日のダム管理体制に疑問を投げかけておられましたが、この日の放水によって、中津村での四ヘクタールの耕地冠水を初め、下流各地にかなりの被害が出ています。
 聞くところによりますと、中津村新田橋では、前夜来の雨によって午前十時には三・五メートルの水位となり、その後、雨がやみ、正午には二・八メートル、午後一時には二・五メートルまで下がっていたとのことであります。ところが、午前八時ごろから始まったダム放水の影響が本格的に出始めた午後二時ごろからは、一時間に一メートルの割で急上昇し始め、午後五時には、その付近の冠水水位を一メートルも上回る五・六メートルに達しています。これは、明らかに大量のダム放水を一挙に行った結果であります。つまり、午前八時という放水開始時刻が余りにも遅過ぎたために放水量が膨大な流入量に追いつかない事態となり、やむなく規則を超える異常放水を行ったのだと思います。
 三年前の二川ダムのときも、この放流開始時刻のおくれが下流災害の決定的要因になっていましたが、今回も同じ過ちが繰り返されているように思えてなりません。
 例えば、二十四日午後二時半には、気象台から大雨洪水注意報が出ています。そして、その夜の十一時には、龍神地区の降雨量が六十二ミリに達し、そのまま上昇を続ける中で、二十五日午前零時には七十八ミリ、午前二時には洪水雨量である百二十ミリを超えるという激しい雨になっています。
 このような状況のもとでは、当然、二十四日午後二時半の注意報の時点で洪水警戒体制に入り、龍神の降雨量が六十ミリを超えた午後十一時ごろより予備放流を始めて、ダム水位を百八十四メートルの限度まで下げるなどの措置をとっておくべきであったと言えます。
 それはそれとして一歩譲るにしましても、最も理解に苦しむのは、龍神の降雨量が百二十ミリを超え、しかも洪水注意報が警報に切りかわった午前二時の時点で、なぜ放水体制に入らなかったかということであります。もし、それをやっておれば、関係機関への連絡や住民への周知徹底に一時間を要したとしても、午前三時から放水を開始できたはずであって、実際の運用との間に、実に五時間という時間差が出てくるわけであります。そして、この五時間の余裕があれば、異常放水をしなくとも、三千五百万トンの洪水調整容量を有効に生かしながら、また下流水位に気を配りながら、もっと余裕のあるダム操作が可能であったのでなかろうかと考えるのであります。
 以上のような状況認識の上に立って、五点にわたって土木部長に質問いたします。
 まず第一点として、二十五日午後二時三十分の大雨洪水注意報の時点で洪水警戒体制に入ったのか。もし、そうであれば、規則第十四条及び細則第三条第二項に基づいて、そのときどのような措置と職員配置が行われたかをお示し願いたいのであります。
 第二の問題として、二十五日の午前零時の時点では、その後の洪水予測についてどのような状況判断をしていたのか、ゲート放水を決意したのは何時であったのか、午前三時から放水を開始できなかった要因としてどのようなことがあったかをわかりやすく御説明願いたいのであります。
 第三点として、細則によれば、放水量を三十トンから六百トンに引き上げるためには五時間五十分かかる勘定になりますが、今度の場合、細則の第八条に基づく土木部長承認を求めてきたのは何時であったのか。また、この承認は、一定の下流災害を予測した上で行ったのか。もし、そうでないならば、どのような状況判断で承認を出したかについてお答え願いたいのであります。
 第四点は下流災害への配慮の問題でありますが、椿山ダムは、たとえ発電を伴う多目的ダムであったとしても、まず防災目的が優先するものと考えられます。ところが、ダム操作の規則や細則を読んでみますと、発電のための水量確保については至れり尽くせりの条文規定がありますが、洪水時における下流災害防止のための規定、つまり、そのときの下流雨量や下流水位によって洪水時の放水量を規制する条文は、規則第二十三条の一般的な努力規定以外にほとんど見当たりません。これでは発電優先の操作規則と言わざるを得ませんが、今後、これらの点について改善を検討する考えがあるのか、また、洪水時の放水量を決めるに当たって下流の雨量や水位をどのように配意していくつもりかを具体的にお示し願いたいのであります。
 第五点として、このたびのダム操作に関する細則第二十五条に基づく諸記録について、その主な特徴をお知らせいただくとともに、これらの資料からどんな教訓と対策が得られたかを御報告願いたいのであります。
 御承知のように、このたびの放水は、異常放水とはいえ、その最大量は毎秒千百二十五トンにすぎず、もしこのダムが予定している最大放水量の二千八百六十トンが流された場合、大変な下流災害が起きるのではないかと心配になります。この点、京都の天ケ瀬ダムでは、下流にたくさんの雨量計や水位計を設置して下流災害の防止に万全を期しているように思えますが、椿山ダムの場合、中津村だけでも膨大な流域面積を持つことを考えれば、下流地区にただ一つの水位計しかないということは、下流災害への配慮が足りないことのあらわれのように思えてなりません。
 そこで、こうした下流の雨量計、水位計を増設する考えがないのか、また川辺町以西に警報局を設置する必要がないのかについてお答え願いたいのであります。
 続いて、ダム関連の問題としまして、二川ダムの渇水対策について質問いたします。
 このことについて、私は昭和五十四年十二月議会と五十八年六月議会で取り上げていますが、このたび、清水町及び関係住民から陳情書が出てきています。すなわち、ダム直下の二川地区では、自然流水が全く流れなくなったために河川は汚水のたまり場で、蚊やハエの発生源となり、夏ともなれば砂漠のような熱風が吹き上げてくるなど耐えがたい生活環境になっているので、常時、最低限の放水を行ってほしいという趣旨のものであります。
 ここに生涯定住しようとする者にとって、これは極めて久しい間の切実な要求でありますので、このたび、住民がこぞって参加する二川地区有田川常水確保促進会なる住民組織をつくって立ち上がっているのであります。
 先日、岩倉発電所の所長さんに、「必要最低限の放水を常時行うとして、年間発電量にどれほどのマイナスが出るのか。そのような放水が技術的に可能であるのか」とお尋ねしたところ、「毎秒〇・六八四トンの放水を実施するとして、売電料換算で、年間約三千二百三十万円のマイナスが生じる。技術的には、サイホン式方式や送水路方式を考えればできると思う」というお答えでした。
 そこで、まず知事に伺いますが、地域福祉に貢献するという公営企業の建前から言っても、いつまでも地域住民を泣かし続けるのではなく、多少の犠牲を払っても、この際、清水町の陳情書をお取り上げくださることをお願いしたいのでありますが、御所見のほどをお伺いしたいのであります。
 ところで、昭和五十四年の私の質問に対し、当時の企業局長から、ダム建設の時点でこの問題を含めて既に解決済みであるが、前々からの地元要望であるので引き続き関係機関と十分検討したいという趣旨の答弁をいただいていますが、もしそのような協定書があるならば、それをお示しいただけるのかどうかについてお伺いしたいのであります。
 二川地区としては、その当時、役場支所の建てかえ以外、何も補償してもらっていないという不満もあって、この企業局長の答弁をそのままに受け取りにくい状況もありますし、またダム設置に伴う防災面等で幾つかの要望事項もあるようでございますので、この際、清水町並びに二川地区代表と誠意ある話し合いを持っていただきたく、関係部長の御所見を伺いたいのであります。
 二川ダム関連で、いま一つ、濁水対策について質問します。
 かつて、濁水対策でいろいろ御要望申し上げたとき、たしか発電用水の取水口に試験的に遮へい装置をつくっていただいたかと思いますが、その後の試験的運用の中でデータ的に一定効果が上がっているようであれば、企業局長より御報告をお願いしたいのであります。
 続いて、先ほどの二川地区住民の要望する常時放水の問題に関連して、電気事業会計についてお尋ねいたします。
 私は、昭和五十四年の質問のとき、二川地区の河川汚染はダム建設の結果起きたものであり、これを解消するために部分的放水が絶対的に必要であるとするならば、このために起きるであろう発電量のマイナス分は当然売電原価に算入すべきだと主張し、これを要請しました。この発電量のマイナス分は、先ほどの発電所の所長さんの試算によれば年間三千二百三十万円となるわけでありますが、歴代の企業局長の御努力にもかかわらず、いまだにこの原価算入は実現を見ていません。
 それというのも、現行の電気事業法に基づく売電料金の算定要領なるものは、通産省の主導のもとに電力資本への奉仕型になっていて、こうした地域福祉につながる経費算定を一切認めようとしていないからであります。しかも、施設の年数が経過すればそれだけ売電価格が安くなるなど、需給関係による市場価格という経済のイロハを無視したシステムになっています。その結果、本県の売電価格は、六十二年度契約で見れば一キロ当たり八円十六銭となり、現行の関西電力の平均料金である十八円四十九銭に比べ、送電費用の問題があるとしても、余りにも安過ぎます。その上に腹の立つことには、この電気事業で幾ら収益を上げても、それをすべて減債積立金や開発改良積立金などに回し、地域福祉への還元、つまり一般会計への繰り出しを一切認められていません。
 そもそも、すべての公営企業は、地方公営企業法第三条の示すように、「その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」のであります。この点、公営電気事業は、水道や病院事業と違って、それ自体で地域福祉に貢献する分野が少なく、またその利益の直接的な受け取り手が専ら電力資本であるところに大きな特徴があります。したがって、さすがの自治省も我慢ができなくなってか、資源エネルギー庁に対し、一九八一年六月二十九日付で、「公営電気事業は卸供給事業であり、他の地方公営企業とは異なり、地域住民に直接サービスの提供を行うものでないことにかんがみ、公営電気事業が地域の振興に寄与するために必要な他会計への繰り出し金を料金原価に織り込むこととされたい」という申し入れを行っています。
 私は、通産省と電力資本との結びつきは並み大抵のものでないと考えますので、自治体側の声をよほど大きくしていかない限り事態は改善されないと考えています。
 そこで、企業局長に対して、二川地区住民など多くの県民の要望にこたえるためにも、この自治省申し入れの実現を目指して格別の御努力をお願いいたしたいのでありますが、これらの点でお考えがあれば伺いたいのであります。
 この問題の最後に、流水占用料の問題で質問します。
 御承知のように、この占用料も、先ほど申し上げた通産省と電力資本の強い結びつきのもとで不当な軽減措置がとられ、低く抑えられています。そして、自治省もまた、毎年八月の概算要求の際、資源エネルギー庁に対し、この軽減措置の廃止と原価算入を申し入れているところでありますが、このことに対する本県の取り組みの現状と今後の見通しをお示し願いたいのであります。
 次に、原子力発電の問題でお尋ねいたします。
 チェルノブイリ原発事故は、原発の途方もない危険性を改めて示しました。当初、二千万キュリーぐらいの放射能が出たのでないかと話されていましたが、実際には三億キュリーであったことが確認されるなど、とにかく大変な事故でした。周囲三十キロ圏は人の住めない、「死の町」化したばかりか、この四日のタス通信によると、ウクライナ共和国の五つの村の住民を別の場所へ移動させるよう勧告したと言われています。ここでは、がん発生率が倍増しているばかりか奇形の家畜が続出していて、いずれの村もチェルノブイリ原発の西の方にあって、事故当時、風下に当たっていたところと言われています。
 また、南欧を除く欧州の全域で、放射能に汚染されたシカ、イノシシ、羊、トナカイなどの肉の廃棄処分が今も続いていますし、日本にもセシウムで汚染されたイタリアのスパゲティーやジャム、チョコレートなどが入ってきて問題になっています。
 このチェルノブイリ原発事故を契機にして、原発に対する国民の反応はかなり急激に変わってきているという感じがします。総理府の調査でも、原発に不安を持っているという人が八六%に及んでいます。本県でも、比井崎漁協総会で海上事前調査が廃案にされ、日置川で原発反対町長が誕生するなど、明らかな変化が出てきています。
 国外でも、同じく原発離れが進み、スウェーデンやイタリアでは、二〇〇〇年から二〇二〇年までにすべての原発を廃止することを決めたのを初め、アメリカでは、完成直後のショーラム原発を廃棄し、ソ連でも、先ほど大地震に見舞われたアルメリアでは、大事をとって原発を廃棄しています。日本原子力産業会議の年次報告によっても、世界的には、昨年中にイタリアとソ連で各四基、スイスで二基など、計十三基が建設中止や延期になり、計画中の原発も、八五年には百三十基もあったのに八七年には九十二基に減るなど、明らかな減少傾向を示しています。
 ところが、我が国においては、こうした世論動向を全く無視し、原発を基軸エネルギーと位置づけて、原発建設にばく進しています。すなわち、原子力ビジョンでは二〇三〇年までに九千万キロワット、一番低目の原子力開発利用長期計画によっても、二〇〇〇年までに現在の二倍以上の五千三百万キロワットの目標が設定されています。そして、これが達成されれば、二〇〇〇年で三七%、二〇三〇年には六〇%の電力が原子力発電になってしまうわけであります。
 皆さん、ここで、何ゆえに日本の政府と電力資本がこれほどまでに原発に固執し、原発にすがりつくのかをよく考えてみてほしいのであります。そして、この問題を解明するに当たっては、日米原子力協定によって深く結びつけられているアメリカとの関係に目を向ける必要があります。
 皆さんも御存じかと思いますが、そもそも原子力発電は、アメリカやソ連において、原子爆弾や水爆をつくる軍事目的の中から副次的に生まれてきたものであります。つまり、濃縮ウランから原子爆弾をつくるために必要なプルトニウムを取り出す過程で発生する熱を発電に利用しているのが原子力発電であります。したがって、ウラン鉱石から濃縮ウランをつくる技術は厳しい軍事機密であって、日本にはこの技術が許されてなく、原子力発電に必要な濃縮ウランの精錬作業は、ほとんどアメリカに頼んでやってもらっています。
 一方、世界一の核大国であるアメリカにとって、核兵器開発上必要なウラン濃縮能力を平時においても維持することが軍事上の要請であるため、常に過剰なウラン濃縮能力を持っていなければなりません。例えば、現在の世界全体のウラン濃縮能力は、それぞれの国の軍事的必要性から四万二千トンに達していますが、平和的な原子力発電に必要な能力は、このうち二万二千トン程度で、かなりの過剰になっています。普通なら、日本としては自主外交で、ひもつきでない濃縮ウランを購入することは容易であるわけでありますが、日米原子力協定により、アメリカのウラン濃縮の過剰能力を利用することを強要されています。
 この実態を示すものとして、先ほどの原子力開発利用長期計画による、二〇〇〇年に少なくとも五千三百万キロワットという目標数字は、ぴったり二〇〇〇年におけるアメリカのウラン余剰濃縮能力に一致しています。言いかえれば、核兵器増強というアメリカの軍事目的を果たすためには、どうしても日本での原子力発電の推進が必要であるという関係にあります。極端な言い方をすれば、日本の原発推進政策は、技術が特別に優秀で安全性に自信を持っているから突出的に推進されているのではなく、自国の国民の生命・財産を危険にさらすことを知りながら、あえてアメリカの核戦略による要請に従っているというのが真の姿でないでしょうか。もちろん、このことで、電力資本や日立一社だけでも三百億円近い売り上げがあると言われる原子力産業の方々はぼろもうけをしているわけで、こうした国内的要因も複雑に絡み合っていることも現実であります。
 ともあれ、日本の原発推進政策は、今申し上げましたように、国内的要因のみで動いていないことだけは確かであります。だから通産省は、チェルノブイリ事故を教訓として運転基準をより厳しくし、安全性を向上させていくことよりも、安全神話で国民をごまかし、いかに原発の数量をふやしていくかということに熱心にならざるを得ないのだと思います。そして、こうした政府の腹の底を見抜いている電力資本は、必然的に国の規制を甘く見る体質を身につけ、すきさえあれば安全軽視の無謀運転に走る傾向を強めています。昨年の伊方発電所の出力調整実験もそうでしたし、ことしに入っての福島第二原発三号機の事故に対する対応の仕方などは、その最たるものであります。
 先ほども浜口議員から指摘がありましたが、この福島原発の事故は、原発の心臓部に当たる再循環ポンプに起きた重大な事故であって、一月一日に既に異常振動の警報ランプが出ていたのに、これを無視して六日まで無謀運転を続けていたことが我が党調査団の追及の中で初めて明らかになりました。しかも、そのために破損した部品の破片が原子炉内に入り、燃料棒を傷つけている危険性が高いにもかかわらず、池亀東電原子力部長は、「未回収でも運転を再開する」と発言する始末でした。これでは、幾ら国や電力会社から安全神話を聞かされても、よほどのお人よしでない限り、だれも信用しないのではないでしょうか。
 前置きが少し長くなりましたが、こうした立場から企画部長に質問します。
 第一の問題は、昨年七月四日付の電気事業連合会の意見広告です。一面全部を使っての広告でございますが、主なところだけ申し上げますと、「まず『チェルノブイリ原子力発電所のような事故が日本では起きないのか』というご質問についてお答えします」という見出しで、「事故はこうして起こりました」という中見出しをつけて、こう書いています。中心部だけ読みます。
 「チェルノブイリ型の原子炉は、ソ連が独自に開発したもので、低出力では原子炉の状態が不安定であり、何かのはずみで出力が上がって原子炉内の蒸気量が増えると出力が急上昇してしまうなど、安全設計上の基本的な欠陥がありました」と、原子炉の欠陥を指摘しております。日本ではどこが違うのかということで、「ここが違う日本の原子炉 私たち日本の原子力発電所はどうでしょうか。 まず、日本の原子炉は出力の急上昇を自然に抑える『自己制御性』を持っていることが、基本的に違います。どのような出力で運転しても原子炉の状態は安定しており、何かのはずみで出力が上がっても、自然にその上昇が抑えられる特性を原子炉に持たせていますので、出力の急上昇は起こり得ません」──大丈夫です、と書いています。
 ここでの説明のポイントは、日本の原発は自己制御性を持っておるんだということですが、この「自己制御性」とはどういうことかということを細かく説明しております。
 その要点を読ませていただきますと、まず、核分裂のときどういうことになるかという説明といたしまして、「核分裂のとき、二、三個のスピードの速い中性子が出てきます。このままの速さでは中性子はウランの原子核にあたらず、連続的な核分裂は起きません。そこで中性子のスピードを遅くする必要があります。その役割を果たすのが水や黒鉛で、これらを減速材といいます。また、核分裂によって発生した熱を取り出す役割を持っているのが水で、これを冷却材といいます」という説明を先にしておいて、「日本の原子炉は、減速材に水を使い、この水が冷却材も兼ねています。ウランの核分裂で出てきた中性子は、水により減速されて遅い中性子になり、核分裂を連続して起こしますが、一部は水などに吸収されてしまうものもあります。 このタイプの原子炉では、出力が上がり、水が蒸気になって水が減ると、中性子は減速されにくくなります──水がないのでスピードが速くなり、そのまま飛んでいってしまうということです──その結果、核分裂を起こす遅い中性子が減少しますので、核分裂の連鎖反応が自然と抑制され、出力の上昇が抑えられます」。これが、いわゆる自己制御性です。
 そして、「一方、チェルノブイリ発電所は、冷却材には水を、減速材に黒鉛を使っています。出力が上昇すると、蒸気が増え、水が減るため、中性子が水に吸収されにくくなります」、そして急上昇すると、こういうぐあいに書いており、だから日本の原発は安全であるという広告をやっております。二億円かけてやっておりますが、これは三回目で、去年十回近くやっているそうです。
 それで企画部長にお尋ねするわけですが、この広告の宣伝内容には非常にごまかしがあると思うんです。科学的なものに耐えないと思うわけですが、御所見を承りたいと思います。答弁いかんによっては、その点を指摘したいと思います。
 第二の問題は、自主・民主・公開の三原則であります。先ほど来申し上げてきた我が国の原子力発電の特性から言って、この三原則を貫くことが格別に重要であり、しかも、これを守る力は住民世論しかないというのが現状ですが、こうした視点からすれば、公開の原則が特に大切だと考えます。そこで、これらのことについて企画部長の御見解を承るとともに、私がさきに質問したサリー原発のギロチン事故関連の通産省調査結果について、その後わかっておれば御報告願いたいのであります。
 第三の問題として、先日、毎日テレビの報道特集番組で行われた原発災害保険の話でありますが、電力会社では、事故を想定してか、それぞれその保険に加入しているようであります。私として特に関心を持ったのは、チェルノブイリ事故以後、この保険料率が十倍にはね上がったという話であります。資本主義社会においては、損得勘定に伴うこうした問題は最も鋭敏に左右するものと考えますので、企画部長として、この保険料率が上がったことについて、安全神話との関係でどのような分析をお持ちかを伺いたいのであります。
 次に、県庁本館と東別館にエレベーターをつけていただきたいというお願いでありますが、さきの十二月議会における我が党の村岡議員に対する答弁では、その実現への意欲が余りにも薄いように思えましたので、この機会にあえてお尋ねしたいのであります。
 と申しますのは、ある県身体障害者連盟の役員の方のお話でありますが、昨年十月、御坊市における中紀地方の身体障害者相談員の研修会に百人近くが集まった席上、最後に要望や意見があれば聞かしてほしいということになって、そのときに、この県庁のエレベーターのことが出たようであります。しかし、そのときの担当職員のお答えは非常に冷たいもので、みんながその余りの冷たさにいきり立ったわけです。口々に、三年先でもあかんのか、十年先でもあかんのかと訴えたそうですが、その方は黙り通したと、こういうことを聞いております。
 こんなことが本当にあったのか、真偽は確かめておりませんけれども、昨年十二月議会での村岡議員に対する総務部長の答弁と考え合わせますと、これが当局の本音かなとも思いますし、今の率直な心境として、技術的に困難であると幾ら言われても、その答弁だけでは信用できん、そういう気持ちでございますので、今後どんな努力をしてくれるのか。また、その技術的困難を打開するための検討会に、ぜひ身体障害者連盟の役員や議会の代表も加えていただきたいと思いますが、御所見を承りたいと思います。
 最後に、歩道の段差解消の問題でございますが、車いすを使われている方から、「四、五年前に、知事さんが私たちに、県道の段差を逐次解消していくことを約束をしてくれたはずだのに、有田周辺では一向に実現してくれないので、歩道をほとんど利用できないのが現状だ。何とかならないか」という訴えを聞かされました。その人の話では、国道では漸次改善が進んでいるようでございますが、有田地方の県道のこれらの段差解消についてどのような対策と方針をお持ちか、伺いたいのであります。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの小林史郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
 二川ダムの常時放流を求める陳情書についてでございます。
 二川ダムは、話ございましたように昭和四十一年度に完成いたしました。今日まで、洪水の調節、用水の確保及び発電等、多目的効果を十分に発揮してまいりまして、流域市町村住民の生命・財産はもちろんのこと、生活の安定と向上に寄与してきておる現状でございます。
 御質問の、渇水区間の常時流水の確保となりますと、二川ダムの構造上の制約や水利権の問題があるので難しいところでございます。ただ、減水区間の河道の問題につきましては、現在、家庭排水がよどまぬように河川環境を考慮した河床整理を行うこととしており、こうした面において、地域の皆さんのためにも今後とも河川環境の整備に努力してまいりたいと存じております。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 椿山ダムの放水に関連して、五点について順次お答え申し上げます。
 昨年の九月二十五日の出水は、二十四日午前二時から二十五日の午前十時までの三十三時間に累計雨量三百十九ミリを記録し、そのうちの約半分の百五十八ミリが二十五日午前五時から九時までの四時間に集中した豪雨でございます。
 第一点の、洪水警戒体制に入った時刻とそのときの措置及び職員の配置についてでございますが、洪水警戒体制に入った時刻は二十五日午前四時三十分であり、その後、直ちにダム操作に必要な機器の点検、整備、関係機関への通知を開始する一方、職員を所定の持ち場に配置いたしました。
 第二点の、午前零時での状況とその後の判断、及び三時から放流ができなかったかという点についてでございますが、この時点では通常の降雨の状況であり、水位も制限水位より下回っていたため、通常の体制で臨んでいたものでございます。その後、制限水位に到達し、なお水位の上昇が予想されたので、午前五時にゲートの放流を決定いたしたものでございます。
 第三点の、土木部長の承認時刻と状況判断でございますが、県下全域に大雨洪水警報が発令された六時十五分以降の降雨状況から、ダムの水位の急激な上昇が予想されたため、ダム操作規則にある「放流の原則」に従っての放流では適切でないと判断した結果、七時十分に初期放流の承認を行ったものでございます。
 第四点の、今後の放流に当たっての下流災害及び下流の水位と雨量の配慮についてでございますが、ダム操作は、上流域の雨量をもとに、ダムへの流入量を下流へ調節して放流する仕組みになっております。しかしながら、放流によって下流域への急激な水位の上昇など下流に対してのインパクトを和らげ、また下流の未改修区間の水害を軽減させるために配慮したダム操作規則を定めており、これに従ってまいることとしております。
 第五点の、雨量計等の増設及び今回の教訓についてでございますが、洪水調節における放流量はダム流入量から一義的に定まるものでありますから、ダム下流の残流域における雨量・水位データについては、本河川のように、単一河川では現状の施設で十分だと考えております。また、水位上昇により起こる影響を少なくするため、警報車によるパトロールや標示板等の広報により周知徹底を図っているところでございます。
 一方、日高川下流の水防体制につきましては、現在、美山村、中津村、川辺町、御坊市の四カ所で洪水時の水位観測を行っておりますが、こうした水位観測により敏速、的確な対応が図られることが必要と考えており、今後、テレメーター化などに努めてまいりたいと存じます。
 最後に、今回の出水において、ダムによる効果は、例えば中津村の高津尾橋の地点で最高一・二メーターの水位を下げることができ、災害防除に役立ったものと考えております。
 一方、ダム操作において初期の対応が十分でなかった面があり、今後、こうした経験を教訓にして、ダムの管理に万全を期してまいる所存でございます。
 次に、二川ダム建設時の協定書があれば示せないか、二川地区住民と話し合えないかという点でございます。
 ダム建設当時における減水問題の協定書はございません。地元より要望のある防災面の対策については、河道の整備、ダム周辺環境整備を含め、山間部河川であることによる地形的制約条件もありますが、実施に際しては、地元の意向も伺いながら、可能なものより順次実施してまいりたいと存じております。
 次に、障害者のための県道における歩道の段差解消でございます。
 御質問の段差解消につきましては、昭和六十一年に作成された障害者等の住みよい生活環境整備指針に基づいて歩道を設置するようにしております。また、六十一年以前に設置された歩道についても、この整備指針に合わないものについては改善を進めておりますが、有田地方においても順次改善を図ってまいることとしております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 電気事業に関する四点の御質問にお答えをいたしたいと思います。
 まず、濁水対策としての取水口の遮へい装置の効果についてでございます。
 濁水対策装置でございますが、昭和五十九年三月に発電取水口に濁水吸い込み防止仮装置を設置し、表面取水を図り、濁水軽減に努めておるところでございます。その結果、全般といたしましては、上流の水源地域の地表の安定とも相まって、下流の濁水が軽減されつつあるものと判断してございます。
 なお、現状の仮装置の効果のなお一層の向上を図るため、平成元年度において装置の改良を行い、さらに濁水の軽減に努めてまいりたいと存じます。
 次に、河川維持流量分の減収経費の売電原価への算入についてでございます。
 河川維持流量分の減電による減収を経費として売電料金の原価に算入することにつきましては、機会あるごとに国に要望してきたところでありますが、議員御指摘のとおり、壁は非常に厚く、いまだ認められるに至ってございません。今後とも引き続き、公営電気事業経営者会議等を通じ、実現できるよう強く要望してまいりたいと存じます。
 公営電気事業の売電単価に地域福祉のための経費を算入することについてでございます。
 電気事業に係る地域還元対策につきましては、国有資産等所在市町村交付金法及び電源開発促進対策特別会計法の交付金がございますが、さらに公営電気事業者として地元還元対策経費を料金原価へ算入するよう、強く要望しているところでございます。
 なお、今回、県の独自の施策として、平成元年度から地域福祉の向上を図るため、教育関係施設や小規模な地域の振興に寄与する事業を助成すべく、予算の計上をお願いしているところでございます。
 最後に、流水占用料軽減措置の廃止と売電原価算入についてでございます。
 流水占用料の二分の一の軽減措置につきましては、議員御指摘のとおり、現在、自治省から通産省に対して、軽減措置を廃止するよう申し入れていると聞いてございます。
 公営の電気事業者といたしましては、軽減措置の廃止は望ましいものと考えてございます。今後とも引き続き、その実現に努力いたしたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 原子力発電所についての四点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、新聞広告等に見られる安全神話PR作戦をどうとらえているかということについてでございます。
 六十三年七月四日付の新聞広告は、電気事業連合会がチェルノブイリ事故について、市民からの質問に答えるという形で紹介をし、原子力安全委員会の報告書の内容を説明しているものでございます。その中で、議員御指摘のとおり、日本の原子炉との違いや自己制御性等について説明しているものであると認識をしているところでございます。
 次に原発についての広報活動でございますが、原子力発電所の立地は、広く国民の理解と協力のもとに推進されなければならないことは当然のことであり、このために原子力発電所の安全運転を積み重ねることが何よりも重要な要因でございますが、これとともに、国策として、原子力発電の必要性や安全確保の仕組み等について積極的に広報し、理解を求めていくことも、また重要なことであると認識をいたしてございます。
 第二点は、自主・民主・公開の三原則についてでございます。
 原子力政策の根本とも言える原子力基本法第二条において、原子力の研究・開発及び利用に関する基本方針が明記されているところでございます。これによりますと、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」こととされてございまして、あらゆる原子力政策はこの精神に基づいて実施されていかなければならないものと考える次第でございます。
 こうした観点からも、事故や故障に関する情報につきましては、原子力基本法の精神にのっとり、迅速かつ的確に公表されるべきものと考える次第でございます。
 第三点は、さきのサリー原発事故質問に関連する通産省の調査についてでございます。
 昭和六十一年十二月にアメリカのサリー原子力発電所で発生した事故につきましては、六十二年の六月県議会で小林議員に、国の見解についてお答えをいたしたところでございます。その後、我が国の原子力発電所を調査した結果につきましては、資源エネルギー庁発行の一九八八年版「原子力発電─その必要性と安全性─」という広報誌を通じて公表されているところでございます。
 これによりますと、我が国では、設計段階における配管の材質等の問題、製造段階における曲げ応力集中の問題、運転段階における水質管理の問題など、事故の原因となったすべての問題について当初から適切に措置されていることが確認され、我が国ではこうした事故は起こり得ないとされてございます。
 第四点は、安全神話と原発災害事故との関係についてでございます。
 議員御紹介の原子力災害保険について現時点で把握している範囲内では、一昨年、アメリカにおいて賠償額が十倍に引き上げられたとのことでございますが、我が国の場合、昭和三十六年に制定された原子力損害の賠償に関する法律と原子力損害賠償補償契約に関する法律、この二つの法律により、政府の補償のもとに、我が国では無限の賠償責任を負うこととなっているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 県庁舎が狭隘のため、県民の皆様に御不便をおかけしていることは十分認識しているところでございます。この狭隘な状態の改善を図るため、新年度予算におきまして、和歌山市における出先機関の総合庁舎の建設について検討することにしております。
 御指摘のエレベーターの設置につきましても、スペースの問題や技術的に困難な問題もございますので、その中で慎重に検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 45番小林史郎君。
 〔小林史郎君、登壇〕
○小林史郎君 はしょって再質問させていただきます。
 椿山ダムの問題でございますが、規則十四条では、警報または注意報が出た場合には洪水警戒体制に入らなければならないとなっております。私が気象台で確認したところでは、注意報の出された時点は、先ほど申し上げたように二十四日午後二時半です。この時点で警戒体制に入らなければ規則違反になると思いますが、その点、いかがなことか。
 また、零時時点では平常の降雨状況と判断したと言っておりますが、午前二時には──龍神で百二十ミリ以上降ったら洪水になるということはわかっているんです。だれでも常識であるわけですが、それが百二十八ミリになっておる。それでもなお「平常時」と判断したんか。四時半まで警戒体制に入らなかったというのはどういう理由であるんか。その点をさらにもう一度明確にしていただきたいと思います。
 それから、知事、答弁そっけないのう。もっと味のある答弁がいただけるんかと思ったんですが。
 僕がお願いしておるのは、電気事業というものの性格から言うて──地域へ大変被害を与えておる。被害だけ与えていいものじゃないと、こう言うているんです。ダムそのものが地域に役立っておるということは認めるわけです。しかし、発電のために常時放水ができないとするならば、当然、まずもって常時放水をやって、わしとこはこんなに犠牲を払っているんや、何とか通産省は考えるべきやないかと、こう言うて迫る姿勢があってしかるべきだと思うんですが、知事、それないですか。ひとつ全国知事会等にも呼びかけてこれを何とかしようとか、わしは一遍やってみる、できるかできんかわからんけど全力を尽くしてみる、こういうぐらいの答弁が欲しかったんですが、もう一度その辺のところをお聞かせ願いたいと思うんです。
 企業局長にもお願いしたいんですが、ただ会議でお願いするとか要望するというだけじゃなしに、机たたいてけんかするぐらいの、どなり合いするぐらいの決意を持って言うていかんと通らんと思いますので、ひとつその点を要望申し上げておきます。
 それから、原子力発電の広告の問題です。
 あの広告、水があったら自己制御性があると。それは一つの事実なんです。しかし、水が減ってくると、かまの空炊きになり、発生した熱を冷やすことできず、スリーマイルみたいな事故が起きるんです。スリーマイルの事故は、約二メートルにわたって燃料棒が溶融する炉心溶融事故であったということが後ほどわかってきておるわけです。
 そういう点から見た場合に、そういう可能性のあることを隠して、チェルノブイリの黒鉛型だけが事故を起こして軽水型は起きないんだと、ああいうごまかしの宣伝の仕方というのはありますか。二億円も金を使って、あんなうそをついて国民をだますという、そういうやり方に対してどういう所見を持つのか。もう一度はっきり聞かしていただきたいと思います。
 あとの、エレベーターの問題あるいは道路の問題というのは、障害者たちにとって非常に大事な問題です。もう質問時間が一分しかございませんので、再々質問に時間を残し、終わります。
○副議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 小林議員にお答え申し上げます。
 知事の答弁、そっけないじゃないかということですけど、決してそういうことではございません。
 ただ、ダムをつくるときに、防災オンリーのダムにするか、また発電を兼ねてのダムにするかということがあるわけでございますが、有田川のダムは防災と発電を兼ねるということでやっております。そうした点から、発電については、何年間でどれだけするというアロケーションがございますし、小林議員がおっしゃったように、改善したらいけるかどうかということについては私も研究させていただきますけれども、ちょっとわかりにくい点もあるわけでございます。
 そうしたものを国へ要望せよという問題等については、例えば熊野川の電源開発のダムにおいてもいろんな問題点がありますし、そうした面も考えて、おっしゃられた点を十分研究させていただきたいと思っております。
 ただ、渇水区間における河道の整備については、当然やらなければなりません。ああしたダムをつくっておると、市町村への交付金があるわけです。その交付金で町村も地域振興をしなければならないし、また企業会計としてもできるだけの努力をするということでございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 警戒体制に入った経緯でございますが、警戒体制に入る段階までは担当ダム所長の判断にゆだねられておりますが、当時の現地での降雨と水位の状況から、通常の状態と判断したものでございます。
 〔「答弁になってないやないか。答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 新聞広告に関する再質問にお答え申し上げます。
 新聞広告では、日本の原子力発電所の安全確保対策の一つである自己制御性について解説したものであると考えてございますが、この中で、瞬間的に一次冷却水が喪失するというふうに、自己制御性が機能しないような事故が万一発生した場合には、緊急炉心装置等で外部への放射性物質の異常放出を防止するシステムになっているというような説明をなされているものと認識をいたしてございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 〔「議長、議事進行。答弁漏れ」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山本 一君) 当局はないようでありますので、再々質問でお願いします。
 〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山本 一君) 45番小林史郎君。
○小林史郎君 僕が再質問でお尋ねしたのは、洪水注意報が二十四日に午後二時半に出ておる、規則十四条では、注意報が出たら警戒体制に入らなければならないとなっておる、しかし警戒体制に入ったのは二十五日午前四時半や、これでは規則違反と違いますか、それを確認してくださいと、こう尋ねておるのですが、その答弁がありません。
○副議長(山本 一君) 当局、答弁願います。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 規則では、議員御指摘のとおりでございます。
 警戒体制に入る段階では、ある程度、管理事務所長の判断にゆだねておりますので、当時としては管理事務所長がそのように判断したものでございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 45番小林史郎君。
○小林史郎君 時間ありませんけれども、知事に一言要請しておきます。本当に全力を挙げてやってくださることを頼んでおきます。
 土木部長、答弁、納得できません。
 るる申し上げておりますように、規則ではそうなっておる、しかも午前二時にはもう洪水量の雨量が出てきておる。それでもなお、適切な判断であった、所長の裁量の範囲であったと、こう申すんですか。あったかどうかだけ、はっきり答えてください。
○副議長(山本 一君) 当局の答弁を求めます。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 先ほどの答弁でも申し上げましたように、初期の段階で不備なところもあったと思っております。(「さっぱりわからん。もう一遍言うてくれ」と呼ぶ者あり)初期行動の段階におきまして不満足な点もあったと認識しております。
○副議長(山本 一君) 以上で、小林史郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時三分散会

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