平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(上野山親主議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午後一時五分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 最初に、佐竹交通部長には御逝去されました。心から哀悼の誠をささげる次第であります。
 お許しを得ましたので、通告に従って一般質問を行いたいと思います。
 まず、道路交通網の整備の問題についてお伺いをいたします。
 仮谷県政も四期半ばを迎え、着々と成果を上げられ、深く敬意を表する次第であります。特に道路交通網の整備につきましては、近畿自動車道の紀南延伸、白浜空港のジェット化並びに増便、京奈和自動車道の整備促進、特急くろしおの新大阪乗り入れ等々、その成果は顕著であります。今さら言うまでもありませんが、特に高速道路の充実は、「テクノ&リゾート」を標榜する仮谷県政にとりましても、また本県経済の活性化、県民生活の向上のためにも、一日も早くなし遂げなければならない課題中の課題であります。
 しかし、私は、高速道路の充実だけでは県勢の均衡ある発展は望めないということを申し上げたいのであります。国道四十二号線の整備充実を訴えたいのであります。
 本国道は、本県の最重点道路として、経済、生活、文化面に大きく寄与してまいりました。その機能は、今も重要な役割を果たしております。特に、有田地方、下津地方にとりましては、地理的条件、料金等を考えますときに、生活道路としての近畿自動車道の活用はほど遠い感があります。地域の住民は、かけがえのない道路として国道四十二号線一本に頼っていると言っても過言ではありません。
 最近の本線の混雑ぶりは、目を覆うばかりであります。特に、通勤ラッシュ時ですと、私の自宅から県庁までは約三十キロですが、一時間三十分も要する現状であります。特に下津地域と紀三井寺地域の混雑が顕著であり、事故でもあろうものなら、紀三井寺の交差点から有田市内まで延々と数珠つなぎの状態の日も珍しくありません。国道四十二号線の交通量は、現状を申し上げますと、平日のラッシュ時、午前七時から九時までの二時間、北進の場合、有田市内で約千八百台、海南市内で約二千七百台、紀三井寺地点で約四千台となっております。今や、極限に近い状況なのであります。
 いま一点、私が懸念をいたしますのは、知事初め当局の皆さん、議員各位がその実現に向かって懸命に努力を重ね、県民もひとしく切望しているマリーナシティの建設、そして県立医大が紀三井寺の競馬場跡地を中心に統合移転される、この二つの現実であります。このままでは、国道四十二号線はその機能を確実に、完全に失ってしまうのではないでしょうか。
 マリーナシティの建設は、本県の将来をも決定すると言っても過言ではない大事業であります。県内外はもちろん、国外へもその経済効果を求めることができる大事業なのであります。私はマリーナシティの建設にいささかの疑問も不安もありませんが、交通アクセス問題となりますと、若干、疑問が残ります。
 マリーナシティへの主なアクセスは、当然、近畿自動車道であります。しかし現状では、この近畿自動車道の和歌山インターあるいは海南インターからでは適当な直結道路が見つからないのであります。毛見一号線・二号線の整備は不可欠な条件ではありますが、これだけでは、国際化時代のリゾート・レクリエーション施設として期待されるマリーナシティへのアクセス道路として、その機能を充足できるとは思いがたいのであります。
 また、医大への距離も問題であります。医大は、県民の生命を守る最も大切な施設であります。県民医療の百年の大計を左右する施設でもあります。県民がひとしく、しかも便利に利用できる医大でなければなりません。また、どんな緊急事態にも耐えられる道路網でなければなりません。
 以上の観点から、御提言を申し上げます。国道四十二号線からマリーナシティ、そして毛見一号線・二号線へ、和歌浦湾岸を経て紀三井寺地区への道路網の取り組みを強く要望するものであります。海南市冷水地区周辺が適当と思われますが、国道四十二号線からマリーナシティ間は海上大橋を建設し、和歌浦湾岸の道路開発をすれば、近畿自動車道海南インターから南へ進み、国道四十二号線を経てマリーナシティ、そして医大への道路整備が確立されます。
 今、有田地方では、市議会においても、地域住民の間でも多くの議論を呼び、熱い視線が向けられております。二十一世紀への夢のかけ橋として、マリーナ大橋の建設をぜひ実現していただきたいのであります。全国には数多くの名勝の大橋があります。昨年は日本全国瀬戸大橋ブームに沸き返りました。我が県を代表する観光、リゾートのインパクトとしても大いに価値が生ずるのではないでしょうか。知事並びに土木部長の御所見をお伺いするものであります。
 次に、鉄道交通についてお伺いをいたします。
 本県の経済は、重化学工業主導で発展をしてまいりましたが、時代の変遷とともに、石油ショック以降、深刻な構造不況の波にのまれ、今やその低迷状況から脱し切れない感があります。企画部統計課が中心となって作成をいただきました「一〇〇の指標からみた和歌山」にもその傾向が著しくあらわれています。県内総生産額は二兆二千億円でありますが、全国三十八位、鉱工業生産指数は八一・七%で全国四十七位、就業率四五・七%で全国四十二位、商業販売額一千九百五十万円で全国四十四位、そして老年人口割合一三・四六%で全国十位、等々となっております。
 仮谷県政には、こうした状況を打破するために企業誘致等それぞれの施策を計画し、実践されているところでありますが、何といいましても、最大の経済効果が期待されるのは関西国際空港のビッグプロジェクトであります。
 私は、ふるさとの活性化の第一条件は、若者たちがふるさとで住み、生活することに尽きると思います。今、このビッグプロジェクト完成に向けて、刻々とその周辺地域は目まぐるしく変動しつつあります。近い将来、泉南地方あるいは本県の紀北地域を中心に臨空都市が形成されることは明らかであります。当然、若者たちの雇用の場も日々増してくるでしょう。
 そこで、関西国際空港開港までに鉄道交通の整備を図る必要があります。今や、関東地方、首都圏では、片道二時間の通勤時間は常識であります。少なくとも、中紀、有田地方、日高地方から臨空タウン、臨空都市に通勤でき得る鉄道網の整備をお願いしたいのであります。
 空港への、空港からの時間的距離を縮小すればするほど、その効果は増大するのではないかと存じます。そうすることによって、若者たちが県内に定着し、ふるさとで生活できる可能性も一段と高まるものと確信をいたします。また、関西国際空港からの本県への経済効果も、数々の国際的な情報も、大いに期待できるのではないでしょうか。
 このままでは、関西国際空港を利用する人、物、情報は、その大半が大阪、神戸、京都方面へ吸収されてしまうことは確実であります。現在、開港時を目途に空港連絡鉄道として阪和線日根野駅、南海線泉佐野駅の整備を計画検討されていると聞きますが、以上の観点から、関西国際空港開港に向けての鉄道網の整備について、企画部長の御見解とその取り組み状況についてお聞かせを願いたいと思います。
 続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
 我が国の農業にとって、また本県農業にとって、昨年来より内外ともに重要な問題が続いたことは、御案内のとおりであります。内では、米価を初めとする農産物の価格の引き下げ、食管制度改革論議、食糧自給率の低下、外では、牛肉・オレンジの自由化、米市場開放問題等々、次から次へとメジロ押しであります。国際貿易の急激な進展が、日本のすべての産業、すべての国民生活にかつてない大きな影響を与えていることは確かであります。そして、産業界や国民生活の変化が農業そのものへはね返っているのも事実であります。
 つい最近まで考えられなかった、考えもしなかった米市場の開放が現実の問題となってきつつあります。また、オレンジ・牛肉の輸入完全自由化が現実化されました。国際化の波が、農産物の価格、流通、生産体制にまで影響を及ぼしてきたのであります。我が国そして本県の農業経営は、意識するとしないとにかかわりなく、外国のことを念頭に置いて経営計画を立てなければならないのではないでしょうか。
 とりわけ、私たちは国際化の影響を避ける構えであってはなりません。避けようとしても避けられないものであるならば、この潮流へ乗ることを考えなければなりません。一言で言えば、意識改革が必要なのであります。それは生産者も消費者も、同じように必要なのであります。もちろん、私は手放しで自由貿易あるいは競争原理を肯定するわけではありません。我が国の農業がこれからの国際社会へ船出していくために、避けられない課題であると訴えたいのであります。
 総理府の「経済構造調整に関する世論調査」によりますと、農産物自由化問題については次のような結果が出ています。「米などの基本食糧以外は自由化を進めよう」という意見が三四・四%で最も多く、「これ以上自由化を進める必要はない」という意見が二七・七%で二番目、「自由化を積極的に進めよう」という意見は二六・四%であります。これらの数字から推測いたしますと、国民の大多数は、米など主要食糧の自由化には反対であり、外国の言いなりになるような自由化の進め方にも賛成できないという意思表示と理解できるわけであります。
 「自由化を進めよう」という意見よりも「これ以上自由化を進める必要はない」という意見の方が上回っているのがとりわけ目を引きますが、これは、過去数年間にわたって激しく展開された日米農産物貿易問題を通して、自由化の意味や内容が国民の間に次第に理解された結果ではないでしょうか。少なくとも、国内生産者の立場や気持ち、農業の大切さが以前よりは理解されてきているように思います。
 いずれにいたしましても、米の市場開放問題を中心とする一連の農産物の自由化問題は、生産者のみならず、消費者との相互理解の上に立って進めていかなければならない国民的課題であります。
 今、日本農業の最大の問題は、何といっても米の市場開放問題であります。新ラウンドの農業交渉は、四月の高級事務レベル交渉に向けて妥協点を見出す努力が始められました。昨年の十二月にカナダのモントリオールで開かれた中間見直し会合の決裂以来初めて持たれた主要国による農業の非公式会合は、二月十三日から三日間、ジュネーブで討議が続けられました。また、アメリカとECの閣僚級による協議が、二月十七、十八の両日にわたって持たれております。
 ガットの新ラウンドの最大の争点は、アメリカとECが長期目標の設定をめぐって対立していることにあります。アメリカの提案は、一九九〇年妥結の場合、二〇〇〇年までにはすべてのガット加盟国が農産物貿易の障害になっているあらゆる保護措置を完全に撤廃する完全自由化を主張しています。これに対しECは、短期措置として一九九〇年までに農業保護水準の凍結・削減を主張しています。
 新ラウンドの農業交渉の最大の特徴は、単に関税の引き下げや一部品目の自由化交渉にとどまらず、各国の農業政策の手足を縛るところまで及んでいることであります。米価の水準や国内農業補助金まで国際交渉の対象になっているととらえることができます。新ラウンドの結果次第では、日本の米市場問題がガットの場で論議される危険性も十分に考えられます。事実、ヤイター農務長官は、上院農業委員会に送った書面回答の中で、「新ラウンドが終了すると見られる一九九〇年末までに長期的な農業貿易改革で合意が達成すれば日本の米の市場開放が実現できる」と、見解を示しております。
 我が国は、世界の中でも農産物の超輸入国であります。今や、食料品の輸入額は石油を追い抜いたとも言われております。また、農林水産省発表の昭和六十二年度食糧需給表によりますと、我が国の食糧自給率はカロリーベースで二ポイント低下し、初めて五〇%を切って四九%となっております。穀物自給率も一ポイント低下して三〇%となり、食用農産物総合自給率は二ポイント低下して七一%となっております。これは、国民の栄養供給の半分を海外に依存しているということであります。
 我が国の食糧事情は、ぎりぎりのところまで追い詰められています。また、最近、地球的規模で異常気象、地球環境の研究議論がされ始めました。私は、食糧問題は国の安全保障にかかわる重大な問題でもあると存じます。私たちは、何としてでも国民的大運動に発展させなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。米の市場開放問題についての御所見並びに日本の現在の農業政策、食糧問題のあるべき姿をどうお考えなのか、お伺いいたします。
 本県農業は、長い間の歴史の中で、先人が山地・傾斜地が多い本県の土地条件等を克服しながら今日の地位を築いてきたのであります。それを継承する私たちに課せられた役割は、産地をいかに守り育てていくかであります。このためには、問題の本質を把握し、地域農業の将来像を想定する中で対策を樹立し、農家が希望を持って農業に取り組める環境を築いていくことが重要と考えます。
 現在、県は二〇〇〇年つまり平成十二年を目標年次とした第四次長期総合計画を基本指針にその施策を展開されており、農業につきましては、総合計画を効率的に進めるための各部門の計画を策定され、長期的視点に立った見通しのもとで、高品質果実生産や施設園芸を初めとする土地生産性の高い知識集約型農業の振興を図ることとされております。本県農業の特徴を考えればこの部門計画の考え方には同感するものでありますが、今回の一連の農産物自由化問題は、計画策定後に生じたものであります。自由化いわゆる国際化の問題として、長期計画の中にも重要課題の一つとして挙げられており、十分考慮されているものと考えますが、進度の点では想定外のことと思われるわけであります。
 自由化の時期が明確になった現時点で、本県農業の新しいビジョンを明確にし、特にかんきつ産地対策や生産性向上、農家所得の確保に必要な諸施策を前倒しして重点的に実施し、農家が希望を持って農業に取り組める環境を整える必要があるのではないかと存じます。このことについてどのような御所見をお持ちなのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
 現在、県は、緊急対策として総力を挙げてミカン園の転換等の自由化対策を推進されていますが、こうした対策を進めれば、当面、農家の所得低減は避けられないところであります。幸いにも、関西国際空港の開港や白浜空港の整備、さらには高速道路網の整備など、本県農業に大いに寄与するプロジェクトが着実に現実化されつつあります。こうした新たな流通戦略が展開できる環境を利用して、果樹の施設栽培による高級果実生産や野菜、花卉などの施設園芸いわゆる臨空農業を推進し、早期に農家所得の回復を図る必要があると思います。
 今、大阪府では関西国際空港に向けて数々のフライト農業ビジョンが計画されております。ハイテク農産物を世界各国へスピード輸出するバイオ基地、機内食やホテル、レストランなど大量の需要に対してのコンピューター管理の野菜工場、地方卸売市場の統合等々であります。この点についてどのような施策を考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
 最後に、果樹農業の転換政策についてお伺いをいたします。
 昨年のオレンジ・オレンジ果汁の自由化交渉の敗北──私はあの結果を敗北と受けとめております。以来、農家の苦悩と不安を考えますときに、言葉では言いあらわせない悔しさと憤りを感じるのであります。完全自由化が現実化された今、その対策の樹立と実践が急務であります。当然、アメリカのみならず、中南米、東南アジア、中国等々、多くの国から品質のよい安い果実、果汁が流入してくることは覚悟しなければなりません。いや応なく国際競争に引きずり込まれていきつつあるというのが、厳しい現実の姿なのであります。
 オレンジ自由化の国内対策として、一千六十億円の補正予算が計上されました。先輩・同僚議員並びに知事初め県当局の大変な御尽力、御努力には感謝と敬意を表する次第であります。今、それぞれの産地では、涙をのみながらその対応に追われているのであります。この予算は、国内の需給バランスを適正化するのが主な内容となっています。当然、現状を考えますとき、生産量を調整することは重要なことではあります。しかし、昭和三十年代、政府の政策により果樹生産を促進してきたのも事実であります。
 今、農家は暗やみの中で、手探りで生きる道を模索しているのであります。身を削られる思いでミカンの木を切ったところで、次に何を栽培していいのか、全く計画が立てられない現状も否めない事実であります。全国的に梅と柿の苗木が引っ張りだこだと聞きます。このままでは、数年先にはミカンの二の舞になるのではないでしょうか。背筋が寒くなる思いであります。この現実を私たちは注視し、一日も早く、新しい和歌山県に合った特産品を見出さなければなりません。この点について知事の御所見をお伺いするものであります。
 最近、下津地方、有田地方、日高地方の農家、特に若い層の中で注目をされている果物があります。チェリモヤであります。(現物を示す)これは、今、百貨店で買いますと一個三千五百円します。チェリモヤは、南アメリカのペルー、エクアドルの高原や谷間に自生する亜熱帯果樹であります。世界の主な生産地域は、原産地であります南アメリカ、スペイン南部のマラガ地方に千六百ヘクタールの産地があるほかは、カリフォルニア南部サンタバーバラ地方に存在するだけであります。
 現在、日本に輸入されているチェリモヤは、そのほとんどがカリフォルニア産であります。輸入量は増加しているものの、量的には一九八七年に五万キログラムと、微々たるものであります。最近の輸入量が増加しているトップはイチゴでありますが、その量は一九八七年で二百六十五万キログラムであります。これと比較しても、その量の少なさがおわかりいただけると思います。
 また、輸入時期は十二月から五月にほとんど集中しております。その味は、作家のマーク・トゥエーンをして「美味そのもの」と表現させるほどで、アイスクリームのようで、ジュースにしても、シャーベットやミルクセーキなどにしてもおいしいことから、若い世代を中心に、将来、その消費はかなり増加するものと予測されます。
 適地性につきまして、吉備町にある果樹試験場において三年前から栽培研究がされております。その研究によりますと、「夏には比較的乾燥ぎみで冬には寒害を受けないところが望ましい。夏の好適気温は二十一度から三十度であり、比較的高温なほど果実の肥大がよくて生産量は多くなる。冬には多少の低温が必要で、零度から七度ぐらいの温度の継続時間が五十から百時間ぐらいと推定される。しかし耐寒性は、短時間であればマイナス二度ぐらいの低温には耐えられるが、長時間にわたってこのような低温に遭うと枝枯れを起こす。本県でのチェリモヤの栽培は、紀中から紀南地方の沿岸部の無霜地帯で一部露地栽培の可能性も残しているが、原則としてハウス栽培が必要となる」とあります。
 以上のことから、若干技術的な問題は残るにしても、適地性、市場性は将来的に極めて明るい見通しが持てるのではないかと存じます。
 今、果樹農家は、わらにもすがりたい心境なのであります。特に、若い人たちが情熱を持って、将来の希望を持ってこのチェリモヤ栽培にかけています。私は、国際化時代での産地間競争は、ただつくれば売れる時代ではないと思います。売れる物を売れる時期に生産して売る、そしてその必要な情報を早く、絶えず収集する、この姿勢が大事なのであります。
 我が国では、このチェリモヤに注目しているところはまだわずかであります。どうか、いち早くチェリモヤ栽培に取り組まれんことを提言申し上げます。また、台木及び苗木の確保、そして技術研究の充実、研究員の養成をあわせてお願い申し上げます。農林水産部長の御答弁をお伺いいたすものであります。
 以上で、第一回目の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(山本 一君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 第一点、道路交通網の整備でございます。
 お話ございましたように、マリーナシティや県立医科大学などのプロジェクトがございまして、そういう関係から特に四十二号線とその周辺道路の交通量がふえるということについて、同感でございます。
 県としても、これらの諸計画を有効に活用するためには四十二号対策や周辺の道路網の整備が必要と考えて、現在進めつつあるわけでございまして、詳細につきましては土木部長から答弁させていただきます。
 なお、議員から提案のあったマリーナシティへのかけ橋の問題でございますけれども、非常に雄大な構想でございます。承らせていただきたいと思っております。
 次に、農業政策でございます。
 食糧問題並びに米市場問題について厳しい食糧安保のお話を承ったわけでございまして、私も同感でございます。
 我が国の農業は、食糧の安定的供給、また活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全といった役割を担っておると私は思うわけでございます。そうした観点から、農業政策を進めるに当たっては、基本食糧である米の自給を柱に、移り変わる国際情勢や消費者のニーズといったものを十分踏まえながら、農産物の安定供給と、また産業として農業が自立できるように育成を図っていくことが極めて重要なことだと考えておるわけでございます。
 米の市場開放問題につきましては、御指摘のように、米は農業の基本をなすものでございます。そしてまた、国民の基本食糧でもあるわけでございます。輸入自由化には私も絶対反対でございまして、その阻止については、全国の知事会においても昨年の十月に決議をし、強く国に対しておるわけでございますし、また本県議会からも意見書を出されておるところでございまして、今後とも相ともに、引き続き阻止に向けて働きかけてまいりたいと存ずる次第でございます。
 次に、果樹農業の問題でございます。
 ミカン園の転換問題でございますけれども、本県の農業にとっても、また地域経済にとっても影響が非常に大きく、私たちもこれを深刻に受けとめ、これからの農政の最重点として考えていかなければならないと、覚悟を決めておるわけでございます。
 現在までも、地域の特性を生かした味一ミカンを初め落葉果樹、野菜、花卉、施設園芸等、特色ある農業の実現を目標にして、活力のある産地づくりに努力してきたところでございます。
 今年度から実施のミカン対策につきましても、生産者はもとより、関係団体の皆さんや農協等の御協力をいただきながら、適地適作を基本として地域別の振興方向を考えるべきではないか、また転換先品目の指標を示していくべきではないかと、円滑に推進できるよう努めてまいる所存でございます。
 今後とも、県内産地の高い技術力を生かしながら、適地性を見きわめつつ地域の特産品の産地化を図ることとしておるわけでございまして、迫り来る国際化の大きな波の中で、本県のすばらしい果樹をなお一層立派なものにしていくために努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 国道四十二号の機能回復とマリーナシティ、医大への道路網の確立についてでございます。
 議員御指摘の国道四十二号の紀三井寺─海南間の交通混雑の状況は把握しており、さらに地域の各プロジェクトの具体化とともに、今後、地域の道路交通需要の増加が予想されます。
 先般、建設省と県で策定した渋滞対策緊急実行計画では、当面は今事業中の毛見トンネルの拡幅を促進し、新たに紀三井寺交差点の立体化を図ることとしております。さらに、今後、松島本渡線、布引本渡線等、現国道四十二号の代替的な機能を持つ道路整備を促進することとしております。
 議員御提案の海南市冷水からマリーナシティへの連絡橋については、このルートは大型タンカー等の通航する海南航路をまたぐため、橋の高さ及びスパン長等について大きな制約を受けることになり、技術的に可能かどうかの検討も必要であり、また建設費も膨大なものとなります。今後、地域の土地利用や地域整備の動向を見定めながら、将来の検討課題としてまいりたいと存じます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 鉄道網の整備について、お答え申し上げます。
 関西国際空港と本県を結ぶ交通アクセス、とりわけ大量輸送と定時性を備えた鉄道は、県民の利便性のみならず、本県活性化のために重要な役割を果たすものと認識をしてございます。
 中でも本県の鉄道の中心である紀勢本線の占める役割はまことに大きく、県としても、ダイヤ改正ごとに増便並びに時間短縮が図られるようJR西日本に対して要望を重ねてきたところでございまして、このたびの三月十一日のダイヤ改正でも特急くろしおや快速の増便を行う等、改善される予定になってございます。今後とも、議員御発言の趣旨を十分踏まえ、泉南方面への利便性確保に努力してまいる所存でございます。
 また、関西国際空港に乗り入れする鉄道につきましては、関西国際空港株式会社と南海電鉄が建設をし、その運営をJR西日本と南海電鉄が行うことになってございまして、現在、大阪府の都市開発公社が用地買収を進めているところでございます。
 県としては、これまで関西国際空港株式会社やJR西日本、南海電鉄に対して、阪和線の日根野駅、南海本線の泉佐野駅でのスイッチバック方式による空港乗り入れ、あるいは同一ホームでの乗りかえについて協議し、要望してまいったところでございまして、需要等の課題もございますが、現在、スイッチバック方式による設計等も検討されているところでございます。
 今後も引き続き、本県と関西国際空港を結ぶ鉄道アクセスの時間的短縮等、利便性確保を図るため、あらゆる機会をとらえ、関係機関に強く働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 本県農業の新しいビジョンづくりの問題でございます。
 県の長期総合計画では、国際化への進展や健康食品、安全食品への要請の高まりの中で、高品質、個性化産品への消費者ニーズなど、二十一世紀に向け、長期的な展望に立って、活力ある産地づくり、優良農地づくり、技術革新、担い手の育成を農業振興の柱として作成しているものでございます。
 しかし、議員御指摘のように、今日、オレンジ・牛肉等輸入自由化の時期が明確になり、ミカン園の大幅な再編整備が余儀なくされ、こうした中で緊急対策を実施する必要が生じてございます。議員御指摘のとおり、農家が夢と希望を持って農業に取り組める環境を築き上げていくことが緊要の課題であると認識してございます。
 そのために、広域農道や圃場整備、流通機構の近代化等、農業基盤の整備拡充を図り、先端技術の導入、さらには個性化商品の開発などに急いで努めているところであり、今後とも、国内外の競争に打ちかつことのできる産地の形成に向けて、生産者ともども努力をしてまいりたいと存じてございます。
 次に、農産物自由化と農家所得の問題でございます。
 施設園芸、臨空農業の積極的な推進については、議員お話しのように、農家所得の早期安定につながるものであり、今後の本県農業の発展を図る面からも非常に重要であると考えてございます。中紀の市町村では、施設園芸と梅等、地域の特産品目による複合経営を行っている農家の生産農業所得は既に全国平均の二倍以上も上げており、農家の経営努力の成果を見ているところでございます。
 これまでも、県では空の時代に対応し、トマト、イチゴ等の養液栽培、軽量で高単価なカスミソウ、バラ等の高級切り花、さらに完熟果実などの施設栽培の推進とあわせ、バイテク技術を駆使した優良品種の育成に努めてきたところでございます。また、流通販売対策についても、特需センターや花卉流通センターを核に集出荷体制の整備を図るとともに、本県青果物のマーケティング等についても現在、検討を深めているところでございます。
 さらに、今回の輸入自由化の決定に対応して、今議会で、味一果実の生産拡大や特産果実づくりを目指した果樹産地活性化推進モデル事業、菊、バラ、カーネーションなどの三大切り花の産地育成を核とした黒潮フラワーエリア産地化推進事業等々、施設園芸団地の拡大を図る自由化対策予算に加え、チコリ、小ネギ等の生産流通技術開発など、臨空関連予算をお願いしているところでございます。
 ますます国際化の進む中で、関係団体と連携を深め、力を合わせて生産性の高い知識集約型農業の展開を図り、農家経営の安定にさらに努力してまいるつもりでございます。
 最後に、新しい特産品の創造で、チェリモヤの問題でございます。
 チェリモヤの栽培については、県としても新しい高級果実特産品となり得るものとして目をつけ、御指摘のように、現在、既に果樹園芸試験場において栽培試験を実施し、優良品種の選別や結実特性など、栽培技術の確立に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。また、生産農家の要望にこたえて苗木の供給を実施しており、試験研究とあわせて農家の試作栽培を進めているところでございます。さらに、今回のミカン対策においても地域特産品の産地化育成を図ることとしており、チェリモヤ等の地域特産果実の種苗母樹園設置事業を実施してございます。
 今後、技術員の養成を初め、試験研究の拡充強化、技術研修会、市場調査を実施するなど、栽培技術の早期確立及び本県独自の特産果樹の産地化へ向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番上野山親主君。
○上野山親主君 御答弁、どうもありがとうございました。
 数点だけ、ちょっと要望しておきたいと思います。
 まず企画部長にお願いをしたいのでありますが、JRと南海電鉄の和歌山駅での相互乗り入れを研究していただきたいと思います。
 それと、このままでいきますと空港関連企業が紀北地域にかなり誘致されると思いますが、そうなると雇用の場もふえてきます。今、紀勢線と和歌山線との連絡がかなり不便ということで地元の方からも要望がございますので、和歌山線と紀勢線との接続を研究いたして取り組んでいただきたい。この二点、企画部長にお願いをしておきたいと思います。
 それから、農林水産部長には、今、ミカン転作の中で全国的に梅や柿や桃の苗木が引っ張りだこだということでございますが、これはいずれも本県の一番の中心になる作物でもあります。これ、数年たてば、ことしミカンの転作で植えた梅が数年先に生産されてくるということになると、今度は非常に過剰生産になる危険性もございます。梅がそういうあおりを受けてまたミカンの二の舞ということにもなりかねませんから、ここらの政策も今から打っていっていただきたいというふうに思います。
 そして、あわせて知事には、生産府県の知事会議、あるいはあらゆる機会をとらまえて、そういう生産府県との話し合い、協議、取り組みをお願いしておきたいと思います。
 最後に、土木部長にお願いをしておきたいんですが。
 昨日から、このマリーナシティあるいは医大関連の道路整備の問題について、和田先生や岸本先生も質問されておりましたけれども、その答弁を聞いておりますと、土木部長の認識、どうも少し甘いようにも思います。紀三井寺周辺あるいは高速道路から市内での道路を整備するだけでは、これだけの大きなプロジェクトであるマリーナシティ、あるいは医大への道路整備が十分に行えるというようなことにはならないと私は思います。もっと抜本的に、前向きな姿勢で、基本的なことをとらまえて取り組んでいただきたいというふうに要望しておいて、再質問にかえたいと思います。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(山本 一君) 次に、お諮りいたします。明十一日は、議事の都合により休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山本 一君) 御異議なしと認めます。よって、三月十一日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(山本 一君) 次会は三月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十三分散会

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