平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(井出益弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 平成元年の初めてのこの定例議会において、第三日目に一般質問させていただく機会をいただきましたことを皆様に感謝申し上げます。
 まず、先日亡くなられました、経済警察委員会で一緒に仕事をさせていただき、いろいろ御指導、御鞭撻も賜りました交通部長・故佐竹晋吾様の御冥福をお祈り申し上げます。
 では、通告の順に従って一般質問をさせていただきますが、三日目ともなりますと、諸先輩のすばらしい一般質問、また御答弁をお聞かせいただきました関係上、一部重複する点、あるいはさらにお聞きしたい点等がありまして、当局も答弁に大変苦慮されるかと思いますが、どうかよろしく、誠意のある御答弁をしていただきたいと思います。
 一番目の、関西新空港関連事業についてであります。
 関西新空港より和歌山への交通アクセス及び府県間道路から近畿自動車道へのアクセスの進捗状況と今後の見通し、計画についてであります。これも一部、先日の先輩議員の質問とも重複いたしておりますが。
 まず一点目は、同じく交通問題であります。
 本県から関空へのアクセスについては、六十年十二月の関西国際空港関連施設整備大綱により、近畿自動車道を初め第二阪和国道、県道泉佐野岩出線等の、本県にとっていわば生命線とも言うべき幹線道路が位置づけられ、その整備が進められているところでありますが、既に計画が策定されて丸三年以上を経過し、平成五年の関空開港まで残すところ四年となり、まさに折り返し点に差しかかろうとしている重要な時期でもあり、いま一度ここで質問をさせていただき、県当局の取り組みの意気込みをぜひともただしたいと思うのであります。府県間道路の県内側の整備状況と見通しについては、ここでは別の切り口から、関空並びに京阪神都市圏へのアクセスとしての府県間道路について質問させていただきたいと思います。
 御承知のとおり、大綱に示された府県間道路も、ともすれば県内側あるいは府県境の山間部の整備が議論の対象となり、肝心の関空や大阪市中心部をにらんだトータルなアクセスルートについての議論が余りなされておらないように思うのであります。幾ら府県境界部や県内部が改修されたとしても、大阪府下の交通混雑に巻き込まれるようでは府県間道路の役割は果たせないのであります。やはり、関空並びに京阪神都市圏へのアクセスルートとしては、まず第一に紀泉地域を縦貫する近畿自動車道に最短時間で到達し、これを経由してそれぞれ空港関連道並びに阪神高速、名神高速とつながるルートがあるべき姿だと思うのであります。
 そのためにも近畿自動車道並びにその接続道路の整備が非常に重要になるわけで、現に、打田町に進出が予定されている松下電器についても近畿自動車道及びアクセスルートの整備が進出の条件となっておるようですが、これは松下本社が近畿自動車道沿いの門真市にあることを考えれば極めて当然であり、今後、関空開港をにらんで紀の川沿岸への進出を考えている京阪神都市圏に本社を持つ企業にとって、このトータルなアクセスルートの整備が極めて重要なチェックポイントであると考えます。
 こうした点から、府県間道路の各路線から近畿自動車道等の国土軸への接続についてどのように考えておられるのか、土木部長にお聞きしたい。
 次に、国際的機能の関西新空港として、和歌山県及び和歌山市、リゾート地、その他の受け入れ誘導対策の進捗状況と今後の見通しについてお聞きいたします。
 関西新国際空港は、和歌山が臨空都市とも言える至近距離に位置してのかつてないビッグプロジェクトでもあり、この対応策たるや、和歌山にとっては予知できがたい点もかなりあり、消極的対応となっているのではとの声も県民の間からしばしば聞こえます。
 しかしながら、他府県を見ますと、よその花は赤く見えるのでしょうか、大阪の南海電鉄では難波駅の上への五百五十室のホテル建設に既にかかっており、これは国際会議場等を備えたビジネスセンターで、百四十七メートルの三十六階というマンモスビルであります。球団を売却してまで難波を新空港のターミナルにすることに社運をかけて、球場跡地を中心とした再開発に取り組んでおります。またJRは、南海より二百メートルのJR湊町駅を新空港のターミナルにと、大阪市等が出資の株式会社湊町開発センターを設立し、まさに激しい競争を展開しております。
 京都府では、新空港までのヘリコミューターによる観光客誘導や交通アクセスを研究しています。ちなみに申し上げますと、京都から関西新空港までの時間と料金は、距離を百キロとして、タクシーで走ると二時間で一万九千円、電車では一時間三十分かかり三千円、ヘリコプターでは二十五分で一万八千五百円だそうです。先日も今議会でヘリコミューターのことが論議されていましたが、和歌山のように山が多く、道路網が完備されるのがいつのことやらめどが立たないような実態では、早期に県内の各地域と調整をとってヘリポート基地を建設することが必要と考えますが、さらに具体的な構想をお聞きするものであります。
 神戸では、高速挺で三十分足らずなので海上ルートに着眼し、ポートアイランドをさらに拡張して航空旅客ターミナルを建設、この秋には、神戸市が二億五千万円を出資しての第三セクター方式の新会社設立が決定しています。
 陸の孤島たる和歌山でなくすためにも、県都和歌山市を初め本県紀北地区を、これからの国際化、情報化等に対応し得る臨空都市にせねばなりません。これも、他府県との知恵比べ、力比べの激しい競争であります。このため本県はどのような施策を考え、取り組んでいるのか、お聞かせいただきたい。
 次に、これも先日の先輩の質問と重複するんですが、紀の川大堰工事と第二阪和道路の進捗状況と本年度計画についてお聞かせいただきたい。
 第二阪和国道、すなわち和歌山市の最も期待している新南海橋早期供用を目指しての早期完成でありますが、以前、和歌山市で、国より五十億という予算を決定していただき、着手したものの、一部用地買収を終わったのみで中断し、終わっております。今度は国のレベルでやっていただくわけでありますが、まず和歌山市駅の近くの鉄道高架が先であると、県からお聞きしました。和歌山市が窓口となっての鉄道高架が終わってからでないと橋の建設あるいは橋への接続道路の用地買収等にはなかなか予算がつかないであろうと。そうなりますと、和歌山市の以前からの状態を考えて、またいつのことになるかわからんような状態になってしまっては申しわけないと思います。これについて私は、毎議会質問させていただきたいというぐらいに思っておりますが、これは、何としても早期に新南海橋が完成し、一日でも早く供用開始ができるようにと、和歌山市民四十万人がこぞって願っているものであるからであります。
 二番目の、医療と老人福祉について質問させていただきます。
 まず、地域医療対策のおくれと対処策、並びに県立医大と医大附属病院の果たすべき機能についてであります。
 先日、宮内庁侍医長が、亡くなられた昭和天皇の医療についてテレビで、「今後、皇室についても宮内庁侍医団の範囲を超えて、高度医療としてすぐれている病院や医療機関について広く門を開き、皇室が受診や治療を受けられるようにすべきであり、また皇室にもその権利がある」と語られていました。
 我々和歌山県民についても、医療体制が過密と言われるような地域と全く不十分な地域があります。県として、今回の県立医大や医大附属病院の移転・再建設を機会に、県民医療について根本的に見直しをし、県民医療に十分対応できる総合的な体制をとっていただきたいものであります。
 医大附属病院、開業医、そして医大以外の日赤病院や労災病院等との連携について、また市民病院機能も果たさねばならない医大附属病院の現状、県民、市民が何でもかんでも大病院へ入院したがる傾向と実態の原因把握、入院時の差額ベッド料に高額な負担金が必要な事実等、いま一度現実をよく見詰め、取り組み、その上で県民医療の中核である医大、医大附属病院のあり方、開業医との連携、各地域より医大病院への転送患者の受け入れ、他の日赤や労災病院との連携システム等を充実し、一次、二次、三次医療体制を確立し、県民がいざというときにはだれもが最高・最善の医療が受けられるものでなければならないと考えます。そのための取り組みの現状、今後の計画、見通し等をお聞きいたします。
 次に、在宅介護の充実について、現状と県としての今後の計画、在宅老人福祉対策の充実についてお伺いいたします。
 私どもも当然年をとりまして、この在宅介護を受けなければならないときが必ず来るわけでありますが、今の状態では非常に老後が心配であります。今から、老後のために、また現在困っておられる御家庭の方々のために、県としていま一度ぜひ考えていただきたいということであります。
 本県の六十歳以上の人口は十五万三千人、その中で約四千人の方々は在宅で寝たきりの状態にあると言われております。これまで老人福祉対策は、施設を整備してお年寄りを入所させるという、いわゆる施設対策を中心に進められてまいりました。その結果、近年において在宅寝たきり老人の数が減少傾向にあることは事実であり、そのこと自体は施設対策の一つの成果として評価できるのではないかと思います。
 しかし一方において、お年寄りの多くは住みなれた地域で家族や知人に囲まれて終生を全うすることを強く希望しております。私自身の経験から言っても、施設入所に関して抵抗を感ずるお年寄りが少なからずいることも事実であり、また家族についても、何とか自分たちの手で面倒を見ていきたいという心情は多としなければならないのではないかと思います。こうした在宅のお年寄りあるいは家族に対して行政的にしっかりとした支援を行っていくことこそが、これからの老人福祉対策の原点であろうと考えるものであります。
 しかしながら、現状においては、在宅対策の拠点となるデイ・サービスが県内三カ所、ホームヘルパーの数も十分とは言いがたい状態であり、加えてお年寄りやその家族についても制度そのものが十分に周知されていないなど、まだこれから改善、工夫をしていくべき余地が多々残されているように思います。
 幸いにして、国においては今後三年間で在宅対策を飛躍的に向上させていくこととされ、平成元年度の政府予算案においてそのための所要の経費が計上されたところであります。このたびの措置は本県にとっても在宅対策を浮上させていくための千載一遇のチャンスであり、何とか市町村を叱咤激励し、歯を食いしばってでもこの三年間で全国レベルを確保すべく、県当局としても万全の対応を行っていくべきであると考えます。本県における在宅老人福祉対策の現状と今後の充実対策について、民生部長の所見を伺います。
 三番目に、国鉄清算事業団に帰属する用地の清算の進捗状況と今後の見通しについてお聞きします。
 国鉄清算事業団は、昭和六十二年四月、国鉄改革の実施に伴い、旧国鉄が所有していた土地の一部を売却することによって国鉄の長期債務の償還に資するため、発足したものであります。前回の国鉄跡地に関する私の質問への回答から、本県での清算事業団に帰属する土地は七市二十二町に計百六十件、約二十七ヘクタールであることがわかりましたが、その後のこれらの土地の売却状況等はどのようになっておりますか。
 また、和歌山市の和歌山操車場駅は、高度成長に伴う貨物需要の増大を補うため、地元住民の協力を得て昭和四十三年に開設されたものでありますが、このたび、清算事業団の売却対象用地となりました。操車場駅建設に協力するため以前この土地の売却に協力した前地権者は、何とかその土地を買い戻せないものかと、私も何人かの方に御相談を受けております。以前の売却協力の際は、自分の土地の半分を、また多い人では三分の二を国鉄へ譲り渡し、その残りの土地へ住み、あるいは事業を営んでおります。
 これを、操車場駅が廃止となり清算事業が行われるこの機会に他の民間あるいは公共事業に使われるということでは、現在、その地区の道路整備等は大変不備であり地区の皆さんが困っておるのに、前の道路は下水が整備されず、また広くならない、そして後ろは塀が立ってしまう、このようなことになったら本当に気の毒なものであります。何とかこの土地を地域の皆さんに払い戻しができないものか、お返しできないものか。法律では大変難しいと聞いておりますが、協力していただいた以前のことを考えますと、努力すべきではないかと考えます。県としては当該跡地に対しどのような考えを持って取り組まれるのか、お聞きいたします。
 四番目に、土地開発公社及び住宅供給公社の造成販売事業のあり方についてであります。
 地元・鳴滝団地の店舗用として販売された土地についてでありますが、昨年夏より、数軒の家について、家の裏の土手が崩れ始めており、既に傾きかけている家もあり、地面にはひび割れや段差がつき、大変危険な状態となっております。
 この造成土地につきましては、約二十年前の造成工事中に、数十メートル離れた地点の田んぼや沼地が数メートルも盛り上がって新聞報道された、地元ではかなり有名な話であります。私も、当時この近所に住んでおりましたので、こんなことってあるのかなと、盛り上がった田んぼを見に行きました。ダンプカーが上で造成の土を捨てるたびに、数十メートル離れた田んぼは、その間までは何も変化がないのですが、そこのところだけポコッポコッと上がっていくんです。突然として盛り上がっている田んぼを見て、驚いたものであります。
 昨年夏、「家の裏の土地が下がり出してえらいことになっておるので一度見に来てほしい」と、地元の商店や開業医の方から連絡があり、行ってみますと、驚きました。何と、かなり厚いコンクリートが割れて、地すべりや五センチから十センチの地盤沈下を起こしているではありませんか。今ではコンクリートの割れ目や地すべりして開いた部分はごみが多くたまって汚れていますが、昨年の夏、私が異常発生を見に行かしていただきました時点では、まさにきのう、きょう起こったひび割れ、地すべりに感じました。また、それに違いないと思います。
 なぜこんなことになったのかと考えますと、宅地造成をされ販売して十何年もたっておりますが、やはりその宅地の下と向こうの田んぼとつながっておるんではないかということであります。と申しますのは、私が以前見たその田んぼのところが、このたび同時に開発工事中なのでありました。それで、工事をするたびに下がっていくということで、私のところへ見に来てほしいということであったのであります。私は、造成当時の状況も、ダンプカーが捨てたら田んぼが盛り上がるのも見ておりましたから、これはやはり関係がある、放っておいてはいかんのじゃないかということを感じたわけであります。
 開発業者も、「県に開発申請手続をして許可を受け、県の許可どおりに工事をしておるんだから責任と言われても困る」とのことでした。そのとおりだと思います。しかし、県の指導があってか、開発業者が、段差・ひび割れ・地すべりのコンクリート部分にセメントを詰めたり、またその割れ目に大量の雨水が流入でもしたらたちまち事故や災害になるんではないかと心配したのか、防水シートをかけておりました。早速、現場の写真を撮り、現像して県に届け、現場を見て善処をお願いしたのでありますが、住宅供給公社と県が責任の所在を明確にしようとせず、今日に至っております。
 このような土地を、開発公社が造成して住宅供給公社に宅地や店舗用として売ってよいものか、また住宅供給公社が宅地や店舗用として民間人に販売してよいものか。県が設立主体たる公社の営業のあり方として、民間の一部に見える悪質業者のようなものならともかく、大変お粗末に思えます。
 私も、宅地建物取引主任として宅地建物取引業の資格も知事より認可をいただいておりますが、このような土地と知っていれば、地上に家を建てたり重量物を設置するような土地としては販売しないでしょう。
 念のためお聞きしておきますが、県の公社として、開発公社と住宅供給公社間の取引については別としても、県民にこのような販売をしても、法的にまた道義的に問題がありませんか。土木部長、明確にお答えください。
 最後に、県が民間より借地している土地の期限切れ、借地返還についてであります。
 これは、県が民間よりお借りしている土地はかなりあると思いますし、また、期限が来ても返さない、返せない状態で民間を困らせている土地がほかにもあると思いますが、通告させていただき、事前にある程度の内容を当局に部分的にお知らせしてありますので、この件についてまず重点的に申し上げます。
 これは、戦後の昭和二十三年から、当時、住宅難にあった県民の姿に心を痛めた地主が、県に協力する、県民を助ける意味で、所有地内に四十戸もの木造県営住宅を許可したものでありますが、県より返していただく期日が過ぎて十数年にもなるのに、十三戸もの未返却県営住宅が残っています。これについては、県当局も十年ほど前から「早期に返す努力をする」と言うばかりで、全く進展する様子もありません。一般的には、県営住宅については県の力で強力に出てもらうこともあるようなのに、おとなしい民間人、地主さんに対しては協力をしてくださっているのと混同してしまい、こんなに長期間、契約不履行で返さない状態でよいものかと考えます。この残りあと十三戸の真砂県営住宅について、重点的にお答えいただきたい。
 以上で一回目の質問を終わりますが、どうか明確な誠意ある答弁を期待いたします。
○議長(西本長浩君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 関西空港関連事業の問題で、特に交通アクセスの問題について重要性を力説されたわけでございます。
 この問題については過日からも論議されておりまして、私としても最重点的にやらなければならない問題ではないかと思ってございます。府県間道路の問題について、臨空都市としての問題等々の面からなお一層積極的に進めてまいりたいし、また、御提案ございましたヘリポートの問題についても十分検討させていただきたいと思います。
 それから、地域医療の問題でございます。
 おっしゃいますように、地域医療は極めて重要な問題でございます。和歌山県は、お医者さんの数は全般的に多いわけでございますけれども、地域においていろいろな差異がございます。そうした意味において、地域医療計画というのを現在つくっておるわけでございます。後ほど保健環境部長から答弁申し上げますけれども、そうした面になお一層これから配慮するとともに、お話ございました、医大の統合移転、附属病院と諸施設並びに医院との関係等について、今後ともなお一層十分配慮してまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港関連についての二点の御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、関西空港への交通アクセスについてでございます。
 何種類かの交通手段のうち、御質問の海上アクセスの確保につきましては、民間事業者に対して要望しているところでございます。その中で企業において具体的な検討もしていただきましたが、現在のところ、運営上の採算性が課題となってございます。今後も引き続き、関係方面へ要望してまいりたいと考えてございます。
 また、ヘリコプターにつきましては、先ほど知事答弁もございましたが、現在、近畿ブロック知事会の共同事業として、近畿各主要都市から関西国際空港へのアクセスという意味も含め、近畿圏におけるヘリネットワークについて調査を進めているところでございます。また、本県独自でもヘリコプター輸送についての調査を行っているところでございます。
 今後も引き続き、県議会の御指導、御支援をちょうだいしながら、関西国際空港への交通アクセスの確保を図るため、あらゆる機会をとらえて関係機関に強く働きかけてまいる所存でございます。
 関空関連の第二点は、臨空都市圏としての整備についてでございます。
 県が策定している関西国際空港関連地域整備計画において、紀北地域での紀の川テクノバレー計画、南麓サイエンスパーク計画、和歌山臨空都市計画など、七つのプロジェクトを展開することにより、泉州地域と相まち、南近畿の拠点地域としての紀泉臨空都市の形成を図っていかなければならないと考えてございます。特に、和歌山・海南地域をその中核都市とするために、国際化、情報化等に対応した都市基盤及び都市機能の整備を行うことといたしてございます。
 国際都市としての整備につきましては、コスモパーク加太や和歌山マリーナシティなどの建設を進めるとともに、和歌山市、海南市における土地区画整理事業、あるいは海南駅連続立体交差事業、公共下水道の整備、内川浄化、電線の地中化等々の都市基盤の整備、あわせて美術館、図書館等の文化施設の整備を図ることとしているところでございます。また、ことしの一月に、高度情報基盤の整備を一体的に進めるということで、和歌山市が国のインテリジェントシティモデル地域の指定を受けたところでございます。海南市を中心としたニューメディアコミュニティーの推進と相まち、情報化もその具体化が図られるものと考えているところでございます。
 関西国際空港の開港に向けて、今後とも国際化、情報化等に対応した臨空都市の整備を、関係機関と協調しながらより一層推進してまいる所存でございます。
 次に、国鉄清算事業団に帰属する用地の清算進捗状況等についてお答えを申し上げます。
 国鉄清算事業団に帰属する土地で、平成元年二月末現在で既に売却されたものは九件ございます。その内訳は、公開競争入札によるものが七件、公共団体との随意契約によるものが二件というふうに把握をいたしてございます。
 和歌山操車場駅跡地につきましては、原則として公開競争入札により売却されることになってございます。しかしながら、地方公共団体が公共用地として利用計画がある場合にのみ、当該公共団体と協議の上、随意契約による売却が可能でございます。なお、和歌山操車場駅跡地は一万平方メートルを超える大規模用地でございますので、清算事業団の諮問機関である資産処分審議会において利用計画に対する承認がなければ処分することができません。そういう仕組みになってございますので、今後、清算事業団において、県など関係機関を含めた中で利用計画が検討されることとなってございます。
 県としては、当該跡地が和歌山市に残されたまとまった土地でございますので、周辺地域と整合性を持った有効な利用計画になるよう、今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) まず関西国際空港関連事業につきまして、関西国際空港と府県間道路から近畿自動車道へのアクセスについてお答え申し上げます。
 府県間道路から近畿自動車道へのアクセスに関しては、県内側についてはさきに渡辺議員にお答えいたしましたので、大阪府側の道路整備についてお答えいたします。
 まず第二阪和国道については、大阪府側では阪南町から岬町間九キロメーターが事業化されております。現在、測量調査が進められており、今後、その整備促進と残りの未着手区間の事業化について、大阪府とともに国に強く働きかけてまいりたいと存じます。
 次に泉佐野岩出線については、現在事業中の金熊寺男里線を介して泉南インターへの接続がされることになっており、関西国際空港開港時までにこのバイパスが供用され、府県境部の未改良区間について、隘路部の整備を行うこととしております。
 泉佐野打田線については、平成元年度完成予定の土丸バイパスを経て国道百七十号から近畿自動車道貝塚インターへ、あるいは既に完成している市道を経て関西国際空港線の上の郷インターへの二つのルートによる接続を図ることとしております。
 泉大津粉河線については、国道百七十号を介して岸和田インターへ接続を図ることとしております。
 今後は、これらの各路線の未整備区間の早期整備を図り、円滑な接続ができるよう、大阪府側に働きかけてまいります。
 次に、紀の川大堰と第二阪和国道の進捗状況でございます。
 まず、紀の川大堰工事の進捗状況でございます。
 平成元年度の工事予定についてでございますが、建設省では現在、工事着手に向けて地元の漁業、水利、周辺自治会等の関係者と協議中でございます。平成元年度は、政府予算案で二十億円が認められ、関係者の理解を得ながら工事用道路、護岸の一部を施行することとしております。
 第二阪和国道については、先日、渡辺議員にお答えしたとおりでございますが、県内部分四・七キロのうち特に南海橋の架橋を含む二・二キロメーターは六十三年度に事業化され、平成元年度から周辺の用地買収に着手する予定にしております。
 次に、県土地開発公社及び住宅供給公社の造成販売事業に関連してでございます。
 議員御質問の用地は、県住宅供給公社が鳴滝団地ショッピングセンター用地として、昭和四十年から経営者に賃貸をしていたものです。その後、経営者からの強い要望により、昭和五十二年四月に、平たんな店舗用地とのり面部分を含め、現況有姿により譲渡いたしました。
 この土地は宅地造成工事規制区域内でありますが、その後、一部個人において無許可でのり面に土どめ擁壁を設置し、新たに宅地を造成したため、県としては、六十三年十月一日に宅地造成等規制法に基づき、その改善の勧告をしているところでございます。この土地は宅地造成工事規制区域であり、所有者において保全の措置を講ずることが必要と考えております。
 次に、民間よりの借用期限切れ土地の借地返還についてでございます。
 県が民間より借地した県営住宅用地の返還でございますが、昭和二十年代建設の木造住宅は老朽化が進み耐用年数を経過している実情にかんがみ、県では、私有地でかつ小規模団地については、建てかえが困難であることから用途廃止が良策と考え、昭和四十八年度から現在まで八団地、二百二十六戸の用途廃止を終え、さらに今年度も湊団地十六戸についてその用地を地主に返還する予定でございます。
 議員御指摘の真砂団地については、建設戸数四十戸のうち、昭和五十三年度までに二十七戸の用途廃止を行い、地主に返還を見たところでございます。残る十三戸の入居者については、再三にわたり他の県営住宅等への住みかえを要請してきたところでございますが、土地に対する愛着、高齢であるなどの理由から、同意が得られない実情でございます。
 今後とも、早期に土地を返還すべく努力を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 地域医療についての御質問にお答え申し上げます。
 地域医療の確保につきましては、その整備充実に努めてまいったところでございますが、医療機関や医療従事者の地域的偏在等の是正に引き続き努力していかなければならないと認識をいたしております。また、県民に対して適切な医療を提供するためには、医療資源の適正配置とあわせ、診療所と病院がそれぞれの機能を分担し、医療機関相互の連携を図る必要があると考えております。
 昨年、医療計画の必要的記載事項である医療圏と必要病床数について公示いたしましたが、現在、任意的記載事項について検討をしており、御指摘の県立医科大学附属病院等いわゆる三次医療機関と二次医療機関や診療所との機能分担と連携、僻地医療対策、救急医療対策等を内容とする医療供給体制の整備について、まとめの作業を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 新たに建設する医科大学につきましては、将来の医学の発展に対応できる教育研究機関として、また高度医療等の機能の充実した本県地域医療の中核施設として、さらには県下医療機関等とも協力し、有機的な連携のもとに県民の期待と信頼にこたえられるよう、基本構想、基本計画を策定する中で十分検討してまいりたいと存じております。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 在宅老人福祉対策の現状と今後の方針についてお答えいたします。
 お年寄りの地域での生活を支援するための在宅老人福祉対策の充実は、高齢化の進む本県にとって重要な課題でございます。
 その中心を占めるデイ・サービスは、現在、県下に三カ所、ホームヘルパーは百三十五人、ショートステイの利用人員は年間四百人という現状でございます。これらの主要事業については、なお今後、量的に拡大を図っていかなければならないと考えてございます。
 このたび国において、デイ・サービス等の在宅事業について今後三カ年で大幅な整備拡充を図っていくこととされてございます。その初年度分として、政府予算案において、デイ・サービスについては現状の水準の一・七倍──予算額にすると九十二億でございます──ホームヘルパーについては一・二倍、ショートステイについては二・二倍ということで予算計上が現在なされてございます。
 なお、今後国から具体化な通知があることとなってございますので、本県にとっても在宅対策の拡充を図る絶好の機会でもあり、この方針に沿って市町村とも協議しながら考えてまいりたいと考えてございます。
 また、各種の在宅対策の活用普及につきましては、民生委員等を通じて対象世帯に周知徹底を図りたい、また手続の簡素化についても現在検討を進めておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 質問が重複しておるにもかかわらず、知事初め大変御丁寧に答弁をいただきました点は、本当に申しわけないと思っています。
 しかし、土木部長、例の鳴滝団地の土砂崩れをしかかっておるところの件について、私は、念のためにお聞きしますということで、一層詳しくというか突っ込んで、県民にこのような土地販売の仕方をして法的問題とか道義的責任を感じないか明確に答えてほしいと質問いたしましたが、ちょっとさあっといったような感じの御答弁でしたので、この一点、まず答弁をいただきたい。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 販売当時としては、別に欠陥はない状況でございました。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 今のはまた、本当にさあっと答弁をいただいて。
 土木部長は主管の建築課の部長でもあり、また土地分譲等に関する宅地建物取引業の講習会などでいろいろと講師をする建築課の最高指導者でもあります。講師として建築課から講習会にお越しいただいたときには、非常に問題のあるような土地は、その問題を解決して、あるいは問題の発生するおそれがないような形でなかったら売ってはならんと、たしか教えていただきました。
 県のようなところが、こういう土を捨てたら田んぼが盛り上がるような軟弱な、私が考えてもおかしな場所を普通の宅地として売る。せいぜい、重量物のかからない広場とか駐車場──駐車場でも何台も置くような駐車場になったらやっぱり下がると思う──というような場所ならともかく、人間が住む民家や人がたくさん入る商店のようなところに売ってこのようなことになっておるということは、私は非常におかしいと思います。
 また、これも答弁は非常にさらっとでしたけれども、真砂団地の件。これは本当にもう、「出てもらえやん」、「努力しておる」と言いながら、この十何軒という軒数は十年ほど前から一軒も変わっていない。地主の人は県へ「返してほしい」と言っておる。県は、「出てもらえやんから返せやん」と。入っておる人らは「県から借りてあるんや」と。地主じゃなくて──当然そうです。
 そういうような状態でずっと来ておる。これは、温厚な人柄の人だけにこれでいいと思っておったらいかんと思います。この十年ほどの間に一軒も出ていないような状態では、やっぱり努力していないと思う。あるいは、努力の仕方を変えないとあかんと思う。そうでなかったらおかしい。ちょっと努力しただけでも結果がよかったら大変努力しておるのと同じやけど、百遍足を運んでもひとつも進まなんだら努力してないのと同じ──と言うたら、まあきついかわからんですけど、結果はそうです。
 ですから、まとめとしまして──この鳴滝団地のところについては、二百三名の地元民の知事あての陳情書を私が預かって、弱っておるんです。知事のところへ持っていっても困るやろなあと思うんですが、これ、後で持っていきます。二百三名、私の近所の方ばかりで、また、崩れかけておるところもしょっちゅう通りますのでね。
 それで、土木部長もこの場所を──私、きのうも夕方、暗くなるまで課長さんや主幹の人に現地を見に行ってもらったんですが、どうですか。この場所に行って、段差がついたり崩れておる状態を見たら、やっぱり関係があるかなと。前の工事をやったところを見たり近所の人などの意見を聞いたら、やっぱり関係があるかわからんな、ないとも言えやんなと。
 ちょっとしたひび割れどころじゃないんです。ずっと下がっています。こういうようなことになっておるのに、部長がまだ一回も現地を見ていない。これは、「報告によると異常はないと言うておる」とか「問題がないと言うておる」といった報告のみで通り過ぎられる問題じゃないと思います。ぜひ現地へ行ってもらいたい。行って見たら、これはひょっとしたら関係あるかな、県に責任があるかもわからんなと必ず感じると思います。ですから、ぜひ部長は現地へ足を運んでいただきたい。
 いずれにしても、これは知事が最高責任者として──この真砂団地の件も、借り主は知事でございます。一日も早く貸し主にお返しすべく努力をしていただきたい。また、鳴滝団地の件についても、開発公社の理事長、売り主の住宅供給公社の理事長、そして問題の工事をやったら下がったというその開発工事を許可されたのも、知事であります。どうか──我々も仮谷知事が「まごころ県政」と本当によく頑張っておられるのはわかりますので、温かい心で、一度現地を認識していただきたい。先月、奈良県で判決がおりましたが、これと同じようなケースです。奈良県のように災害に至ってから県の責任と補償命令判決により被災者に償うのではなく、早急に善処していただくことを強く要望して、終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時五分休憩
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