平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 四 号
 
 三月 十日 (金曜日) 午前 十時 六分 開議
  午後 一時五十三分 散会
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議 事 日 程 第四号
  平成元年三月十日(金曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
 第三 休会決定の件
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出 席 議 員(四十五名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 6 番 宗 正 彦 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 24 番 門 三佐博 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(二名)
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 花 岡 弘 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 松 永 安 生 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員 玉 置 英 夫 君
 警察本部長 津 和 孝 亮 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 浜 崎 浩 洋 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 荻 野 薫
 議事課主査 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 西 村 明
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時六分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕(拍手)
○藤沢弘太郎君 通告に基づきまして、質問をいたします。
 最初に、教育問題についてお伺いをいたします。
 二月十日、文部省は重大な内容を持つ幼稚園の教育要領、小・中・高校の学習指導要領の改訂案を公表、三月十五日、告示すると見られます。この「告示」という手続で教育現場、研究者、父母といった人たちとの討議なしに新教育指導要領が強行されるということは、まさに教育の反動化と言うほかはないと思います。
 この学習指導要領の改訂がつくられてきた背景には、自民党・中曽根前首相が「戦後政治の総決算」を呼号して一九八四年八月につくった臨時教育審議会、すなわち臨教審があります。臨教審は、現場の教師、父母の意向を反映する気はなく、財界や大企業、アメリカに追随する政府の意向を受けて、憲法、教育基本法の原則に反した答申を出しました。
 昨年の臨時国会で消費税法案が竹下内閣によって強行されましたが、この国会で臨教審答申を実行するために出された六法案のうち、教育公務員特例法、教育職員免許法、学校教育法、国立学校設置法の四法案が成立をいたしました。これらの法案は、民主教育の原点に反し、日本の教育や学術研究体制を財界や政府の思うままに支配することをねらった日米軍事同盟の人づくりとして、一方では消費税法案がその財源づくりとして出されてきたものであります。
 学習指導要領改訂の骨子は、道徳教育の強化、小学六年の社会科で東郷平八郎ら四十二人の人物を指定、小学社会科で天皇、国旗、国歌への敬愛の強要、入学式などでの国旗、国歌の強要など、八項目にわたるものであります。
 さて、一般質問初日の自民党鈴木議員の新学習指導要領案の質問に対して教育長は、「学習指導要領に準拠して、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導してまいる所存であります」というように答弁をされましたが、かつての天皇制や軍国主義の象徴でもあった日の丸・「君が代」を教育の現場に強制的に持ち込むことは、教育基本法の根本的な理念に反するものであり、断じて容認するわけにはまいりません。
 したがって、学習指導要領の改訂が公表された直後の二月十二日の全国紙は、きのう森利一議員が紹介をされていましたように、その社説で日の丸・「君が代」問題への提起をしております。森議員との重複を避けまして、私は読売新聞の社説を紹介したいと思います。
 それによりますと、「(前略)今回の改訂で目を引くのは、国旗・国歌の扱いを明確にしたことだ。(中略)問題は『入学式などで掲揚、斉唱するよう指導するものとする』としたことだ。現行の『望ましい』からさらに踏み出したわけだが、国旗や国歌に対する国民の合意は、まだ十分でない面がある。一律に強制して、教育上のマイナスや混乱を招くことのないよう弾力的な運用を望みたい」としております。
 日の丸・「君が代」問題をめぐっては、今日でも国民の世論は分かれております。このように国民世論が分かれている問題を公教育の場に持ち込むことは正しくありません。教育は、国民全体に直接責任を負い、子供の成長を助け、人格形成を目指すものであります。
 去る六十年九月県議会において故中川昭・前教育長が、日の丸・「君が代」の問題については「強制、命令ではなく、納得させ理解させて」と答弁をされましたが、この答弁で大切なことは、強制、命令に反対の意思を表明されたことであります。したがって、法的根拠を持たず、しかも国民世論の大きく分かれている日の丸・「君が代」を強要すべきでないと考えますが、教育長の答弁をお願いいたします。
 次いで、学習指導要領の性格について考えてみたいと思います。
 教育基本法第一条の「教育の目的」にありますように、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と明記をしているところであります。
 したがって、学校の教員は全体の奉仕者であって、その教育内容の決定も学校や教員が子供や地域の実情に即して自主的、主体的につくり上げていくものであって、これは教員の権利と責任にかかわるものであります。よって、学校教育が行政などからの不当な支配のもとに置かれることのないように、学校の自主性や専門職としての教員の身分の尊重、教育活動の自由が認められているのであります。すなわち、教育行政は教育内容に関与しないという原則が法律によって打ち立てられているのであります。こうした立場からも、日の丸・「君が代」を強要できないと考えますが、教育長の見解を伺いたいのであります。
 次に、今回の学習指導要領改訂とリクルート疑惑とのかかわりの問題であります。
 臨教審の推進者である中曽根前首相の二人の秘書を初め、臨教審の委員、専門委員ら多数がリクルート株の譲渡に名を連ねておりますし、コスモス株一万株を譲り受けた高石邦男・前文部事務次官は、教育課程審議会や指導要領作成に深くかかわり、リクルート社の江副浩正元会長自身、学校法人運営調査委員、教育課程審議会委員、大学審議会委員と、教育関係の三つのポストを手に入れております。三月七日の新聞報道によりますと、江副に教育課程審議会委員への就任を直接働きかけていたのが高石前文部事務次官であったと報じております。
 本議会の初日の質問で我が党の中村博議員が指摘いたしましたように、本県でもリクルート社による学生の進路にかかわる情報資料の提供問題が明らかにされてまいりました。まさに臨教審そのものが政・官・財ぐるみの温床となっている現状を直視するならば、彼らに子供の未来と日本の将来にかかわる教育の方向について語る資格はないのであります。このような臨教審による学習指導要領の改訂を許すことはできません。
 以上の基本的立場とともに、以下、具体的な内容三点についてお尋ねをしてまいります。
 第一に、初任者研修についてであります。
 初任者研修制度は、教育公務員特例法を改悪し、教員の自主的研修権を否定することをねらって出されてきたものと考えます。しかし、初任者研修をも含め、教員の研修については、本来、憲法や教育基本法に基づいて、教育の専門家にふさわしい力量向上の保障である自覚的、自主的なあり方が基本と考えますが、教育長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、今次学習指導要領改訂による差別と選別のより一層の強化の問題と関連をしまして、中途退学者問題についてお尋ねをいたします。
 六十二年度県立高校の中途退学者は、全日制で五百三十二人、在籍生徒数の一・三%、定時制で百四十七人、在籍生徒数の九・三%にもなっております。今度の学習指導要領改訂によって、詰め込み教育は一層強まろうと思います。しかし、義務教育段階の詰め込み教育できちんとした基礎学力が身についていない子供が学校での教育を理解することは困難であり、これが中途退学者増大の一つの原因でもあると考えます。
 さらに、学区制と高校間格差がこれに一層拍車をかけると思います。高校間格差は、さきの臨時国会で強行された学校教育法「改正」により定時制・通信制高校を四年制から三年制へと低水準に落とすことによって広がり、また、単位制高校をつくることによってより広がるものと考えます。
 教育長は、このように中途退学者の多い原因がどこにあると考えておられるのか、お示しいただきたいのであります。
 第三に、少年非行といじめの問題についてであります。
 六十三年における県下の少年非行の概況によりますと、非行の低年齢化が引き続き進行しておりまして、十五歳以下が九百十五人で、十九歳以下の全体から見て五六%にも達しております。また、児童生徒が非行の七〇・五%を占めるというゆゆしき事態にあります。
 非行やいじめは、子供たちが本来備えている力を信頼し、学校、教師、父母、地域の力を集めれば一定克服できるものと思います。しかし、非行やいじめがふえる一端として今の教育のあり方が厳しく問われており、詰め込み教育や進学競争をなくすことが何よりも重要と考えます。学習指導要領改訂はますますそれを助長していくのではないかと考えますが、教育長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、知事と総務部長にお尋ねをいたします。
 二月定例会に、私立高等学校新設補助として国際海洋高校の和歌山校新設に対する補助二億五千万円が計上されております。この高校の開校予定は来年四月で、生徒総定員は三百六十名予定となっております。設立予定の日高郡川辺町では地域活性化につながるとして歓迎をされているようでありますし、町では予算計上も行われているやに聞き及んでおります。
 ここに学校案内がありますが、この学校の基本となるべき「教育の目的」については、次のように書かれております。「三恩十徳の精神に学べ 人間やる気だ ガッツだ 根性だ 海のように大きく育て そして世に一つの光を与えよ」、これが教育の目的であります。
 端的にお尋ねをいたしますが、この学校の位置づけをどのようにして二億五千万円の補助金を決められたのか、この二億五千万円の補助がどういう内訳を持っているのか、知事並びに総務部長からお聞かせをいただきたいと思います。
 この学校法人の役員、顧問には、和歌山県選出の一区、二区の衆議院議員一名ずつが就任をしておられます。私が特に重大問題と考えますのは、この顧問の中にリクルート疑惑の渦中にあると言われている人々、すなわち、この「学校法人役員」という名簿から見てみますと、竹下登、愛知和男、小渕恵三、加藤紘一、羽田孜、山口敏夫、小沢一郎各氏らの名前が連ねられていることであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 予算案の知事査定のときには、既にリクルート疑惑は大きく広がり、特定の名前も挙げられていたはずであります。この経過などについて明確にお答えをいただきたいと思います。また、この学校新設に当たって、だれの紹介で県へ申請があったのか、あわせてお答えいただきたいのであります。
 第二に、紀伊丹生川ダムについてお尋ねをいたします。
 この問題については、我が党の中村博議員が再々の質問を行い、特に昨年九月本会議におきまして、本県と大阪府の間で交わされた紀の川利水に関する協定書を初め、地元対策などについてただしてまいっております。また、大阪分水と関連して、多くの議員からの質問も出されております。私は、こうした経過を踏まえながら、今回は地元住民の立場から切実な問題についてただしてまいりたいと思います。
 まず紀伊丹生川ダム計画についてでありますが、建設省案によりますと、予備調査から実施計画調査に四ないし六年、ダム建設に五ないし六年、補償交渉に二ないし三年かかるということであり、西暦二〇〇〇年に完成という計画と聞いております。
 建設省は、昭和六十一年度と六十二年度において九度山町柿平で予備調査としての六カ所のボーリングを行い、六十三年度も引き続いてこの調査を行っております。建設省が一九八九年度予算案に一億円を計上したことと関連をいたしまして、本年度県予算案に紀伊丹生川ダム水源地域整備計画構想策定事業として三百六十万余円の予算計上を行っております。説明によると、この策定事業はダム建設促進のための周辺地域の生活環境、産業基盤等の整備による地域活性化の方策を検討するために要する経費となっております。
 そこで、まず土木部長と企画部長から、その予算案内容について、また今後の計画と見通しについて、できる限り詳しくお答えをいただきたいのであります。
 次に、紀伊丹生川ダムが建設された場合、湖底に沈むと言われている九度山町北又の刀祢智枝満さんほか四千八百十三人による「紀伊丹生川ダムの設置に反対する請願書」が昨年九月の九度山町議会に提出をされ、継続審査になっております。この請願書には、ダム予定地にある玉川峡が県立自然公園地域内にあり、九度山町町民憲章にも「緑ふかく水きよい」等々とうたわれていること、ダム建設工事が住民にあまたの犠牲を強いるものであり断じて容認できないなど、五項目の理由が挙げられております。
 また、昨年十一月十二日、「紀伊丹生川ダム設置計画の実情調査に関する請願」が刀祢智枝満さんほか三十八人から衆参両院に提出をされております。請願書には、「行政当局から水没予定の地域住民に対して何らの具体的な説明もないまま」にダム設置計画が進行し、和歌山・大阪両府県知事が大阪分水の公式調印を行っているが、「これは水源地域の地元住民の基本的人権、生存権、環境権、財産権を無視した不当な行為であり、このような住民不在のやり方は法治国家日本の法制下では考えられないことであり、民主主義をないがしろにするものと思われる」として、国政による実情調査の請願となっております。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 県当局が、今までの議会答弁で繰り返し、「昭和六十一年度から地元関係者の理解と協力をいただき、ボーリング等の地質調査を中心に建設省が予備調査を行っています」とか、「ダム事業は地域に及ぼす影響が大きく、関係住民の方々の御心配の状況も承知しているところでございます」とか、「関係部局と連携を密にしながら、地元の理解と協力が得られるよう努めてまいります」等と述べておりますが、水没予想地域の住民に対して一度も説明をされていないと聞き及んでおります。なぜ、水没地域の住民の人たちに説明がなされていなかったのか、お答えをいただきたいのであります。このことは、橋本市の水没が予想される宿地域についても同様、お答えいただきたいと思います。
 以上で、私の第一回目の質問を終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの藤沢弘太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 まず第一点の、和歌山国際海洋高校についてでございます。
 現在、静岡県において高等学校を設置し運営しておる学校法人の国際海洋学園が本県へ二番目の高校を設置する計画がございまして、地域の活性化の見地から川辺町が積極的に誘致を図り、県へも協力要請があったわけでございます。県といたしましても、地域の活性化、また教育の問題等から、一部助成を行うことを県議会にお願いしている次第でございます。
 この学校法人の理事、顧問の中には、新聞社社長、大学教授、医学博士のほか、多数の国会議員が含まれていると承知している次第でございます。
 次に、紀伊丹生川ダムについてでございます。
 紀伊丹生川ダムは、かねてから申し上げておりますように、治水対策、そしてまた水資源の活用を図る上で必要な事業でございます。
 この事業につきましては、建設省が施行するダムでございますけれども、県政を担当する者として地元の意見を十分拝聴することは、藤沢議員御指摘のとおり、当然でございます。私も、九度山町議会の皆さんと二回にわたり懇談して、地元の意見を伺っておる次第でございます。
 今後、地元地域の発展についていかにすべきかという問題、また県勢の発展、活性化を図っていくため、関係の皆さんの御理解、御協力を得るように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 和歌山国際海洋高等学校の教育の目的につきましては、全寮制による知・徳・体三育の調和のとれた全人教育を行い、日本人としての深い自覚を持ち、豊かな国際性を身につけた人材を養成しようとするものであると承知いたしております。
 このたびの学校建設に約十二億円の費用が見込まれておりまして、その一部を助成することといたしたところでございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 紀伊丹生川ダムについての二点の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一点は、水源地域整備計画構想策定事業についてでございます。
 紀伊丹生川ダム水源地域整備計画構想策定事業につきましては、昭和六十三年度より関係の市や町と協議検討を重ねているところでございまして、平成元年度においても、水源地域の活性化を図るため、基本となる整備構想を国、地元市町と協議しながら調査検討することとして、予算をお願いしているところでございます。
 今後、平成元年度から着手される予定の紀伊丹生川ダム実施計画調査の進捗に合わせ、先ほど申し上げた構想に基づく地域整備計画の策定に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 第二点は、関係地域住民に対しての説明等の対処についてでございます。
 ダムの建設については、先ほどの知事答弁にもございましたように、地元関係者の理解と協力をいただくことが基本であると考えてございます。
 企画部としては、建設省及び関係部局とともに、地元関係者の御理解をいただくべく努めてまいったところでございますが、今後とも、地元の意向を踏まえた水源地域整備計画構想策定事業を進める中で、地元関係地域の方々に御理解いただくよう、なお一層努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 紀伊丹生川ダムにつきまして、二件お答え申し上げます。
 紀伊丹生川ダムについての建設省調査についてでございますが、建設省における平成元年度政府予算案で、予備調査のときの次の段階となる実施計画調査が認められました。
 国の予算が決定してなくて、その調査内容についてはまだ具体的な説明がありませんが、実施調査の一年目の調査として、予備調査の精度を上げるための地質調査、測量、概略設計等が行われるものと思われます。今後の調査が具体化することによって、地元により具体的な説明ができることになると考えております。
 次に、関係住民への説明についてでございます。
 計画が定まっていない時点では的確に対応できない面もございますが、予備調査に際し、昭和六十一年五月の丹生川ダム建設促進協議会発足を皮切りに、最近では昭和六十三年十二月以来、建設省は県の協力を得て丹生川ダム建設対策協議会、橋本市議会全員協議会、九度山町丹生川ダム調査特別委員会、丹生川ダム情報連絡会等に調査概要、ダムの仕組み等を説明してまいりました。実施計画調査になれば、調査の進捗に合わせて関係住民へ建設省から説明されることになります。
 土木部といたしましては、関係地元公共団体等と連携を密にして、関係住民と建設省の間の意思疎通が図られるよう努力してまいります。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) まず、国旗、国歌についての御質問でございますが、自国の国旗、国歌を大切にする態度を養うということは、また諸外国の国旗、国歌を尊重することにもつながるわけでございます。
 日の丸が国旗であり「君が代」が国歌であるということは、国民の間に慣習として定着してきているものと理解をいたしてございます。
 今回の学習指導要領案では、従前の「望ましい」ということから「指導するものとする」と改められてございます。この学習指導要領は、法にのっとって公教育の普遍性を確保するために一定の基準を設け、ある限度において国全体として統一性を保つために定められたものでございます。
 本県といたしましても、この指導要領に準拠して指導してまいる所存でございます。
 次に教員の研修についてでございますが、教員には、その職務を果たすため、教育者としての高い理念、専門的知識に基づく実践的な指導力、さらにまた、教育に対する使命感などが求められてございます。こうした観点から、教員は自覚を持って日々研さんに努めなければならないものと考えてございます。
 次に、中途退学についてでございます。
 中途退学の主な原因は、学校生活になじめないこと、また学業についていけないこと、さらにまた、目的意識のないことなどから進路変更をするというふうなことになってございます。
 こうした問題を解決するために、中学校と高等学校の連携による適切な進路指導はもとより、生徒の心を揺さぶる指導方法の工夫や魅力ある学校づくりを行ってまいる必要があると考えてございます。
 また、定時制・通信制課程の修学年限の短縮や単位制高等学校につきましては、生涯学習の観点から、高校教育の機会を保障することはもちろん、多様化している生徒に弾力的に対応すべきものと受けとめてございます。
 最後に、少年非行といじめの問題についてでございますが、その原因、背景としては、家庭、地域における教育力の低下、物質的な豊かさの中での心の荒廃、さらにまた高学歴志向の風潮等が見られるところでございます。
 こうしたことから、学校においては一人一人の個性、特性を伸ばし、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図ることが必要でございますので、この実現のために、家庭、学校及び地域社会がそれぞれの機能を十分果たす中で相互の連携を一層密にしていくことが大切であると考えてございます。
 以上のとおりでございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
 〔藤沢弘太郎君、登壇〕
○藤沢弘太郎君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 まず、知事に。
 知事、私が質問をいたしましたのは、先ほど申しましたように、国際海洋高校の建設について、いわゆる「教育の目的」の問題からこの学校の位置づけをどのようにされたのかということを尋ねてきたわけでありますが、それは川辺町からの積極的な誘致による云々だということだけでありました。このような教育目的で、いわゆる学校法人として二億五千万円という補助が出される、こういう問題について一体知事はどのように考えておられるのかということも尋ねたわけでありますが、この御答弁がありませんでしたので、重ねて答弁を求めます。
 それから、知事はこの役員や顧問などにつきまして、学者や文化人、大学の云々とか国会議員とか、いろいろ言われました。私がそこで尋ねたのは、こういうことであります。改めてもう一回申し上げます。
 「この顧問の問題について私が特に重大な問題だと考えますのは、この顧問の中にいわゆるリクルート疑惑の渦中にあると言われている人々がおられる。そこで、知事にお尋ねいたします。予算案の知事査定時には、既にリクルート疑惑は大きく広がり、特定の名前も挙げられていたはずであります。この経過などについて明確にお答えください」、このように言っているんです。
 知事、予算を組んでいく上で、このような疑惑のある人たちが学校法人の顧問の中に入っている、そういうことについて知事は査定の中で検討をされておったのか、あるいはされておらなかったのか。もしも検討された上でこの高校への補助を予算計上されたということになってくると、これはまた問題が違ってまいりますので、この点、改めて──と申しますよりも、知事から私の質問に対する具体的、的確な答弁をいただいておりませんので、この問題についてお答えをいただきたい。
 それから、この学校の新設に当たって、だれの紹介で県へ申請があったのかということもお尋ねしておりますけれども、これは、あったもなかったも、知事、お答えになってないんです。あったなら「あった」、どなたからあったのか、なかったなら「なかった」、このようにはっきりお答えいただきたいのでありますが、その答弁もされておりませんので、あわせてこの問題について知事から答弁をいただきたいと思います。
 次に、企画部長と土木部長から紀伊丹生川ダムの答弁をいただきました。
 私は、三月二日、紀伊丹生川ダムの水没地域と言われます九度山の北又地区、橋本市の宿地区へ行きまして、住民の方々と懇談をさせていただいてまいりました。
 そこで、企画部長や土木部長は、「地域住民のなお一層の御理解をいただくために努力をしてまいりたい」とか、あるいは土木部長は、「計画が定まっていない時点で」ということを前置きしながら、それでも、地域の協議会発足を皮切りに、市とか九度山町といったところについてはダムの仕組みというような問題を伝えてまいったと言っておるわけです。
 私は、この前の紀の川大堰の問題のときにも、企画部長や土木部長と「住民合意」とは一体どういうことなのかということで大分論戦をしてまいりました。しかし、そのときにも、いわゆる「住民」の問題については、市町村当局とかこういった問題でつくられている協議会とかいうような域を出ていないんです。今回もそうであります。これは、根本的に「住民合意」、「住民」という位置づけが違う。
 例えば、私が北又地域へ行った中で、こういうお話があるんです。これは、土木部長、企画部長から明確にお答えいただきたいと思うんでありますが。
 先ほど私が紹介をいたしました国会に対する請願が出された後、昨年は臨時国会が年末ぎりぎりまで行われましたが、私が聞くところによりますと、年末ぎりぎりの十二月二十三日ごろ、土木部、企画部──私は名前を聞いておりますが、申し上げません。皆さん方の胸にあることだと思いますけれども──そういった幹部の方々が七、八人、北又地域へ行かれておるんです。しかも、そこでどんな話をされたのか。どんな話をされましたか。
 住民の方によりますと──この国会請願についての話でありました。夜、何の予告もなしに、その北又の地域へ幹部が来た。そして、どんなことを言ったか。「ダムの問題についてどうでありますか」というようなことと違うんです。だしぬけであります。こんなことを言っている。「国への請願を取り下げていただきたい」──もってのほかじゃないですか。こういう問題で「住民合意」とか「住民の意見を聞く」とかいうようなことを言っておりますが、全くの詭弁じゃないですか、それは。明確な答弁を土木部長、企画部長からいただきたい。それによりまして、私はさらに住民の方からの意見も聞いておりますので、この問題の徹底した追及をやっていきたい、このように思います。
 しかも、橋本の宿でもそうであります。宿地域の水没がありますけれども、そこの住民にも何ら聞きに行ってないじゃないですか。こういうような問題で何の住民合意がとれるか。しかも、「計画が定まっていない時点でありますので」と。何を言うんです。それならばそれとして、なぜ行政当局とかそういった協議会へ行って話をしておるんですか。水没の問題で祖先伝来の土地を手放すかどうかというところに迫られている肝心の住民に対してそのことを言わずに行政に対して言う。このことは「知らしむべからず、よらしむべし」、こういった昔からの考え方そのものではないですか。住民に対する考え方、これが全くやられていない。これが行政の姿ですか。この問題について厳しく私は追及をしたいし、明確な答弁をいただきたい、このように思います。(「あんまり興奮したらあかんぞ」と呼ぶ者あり)──大丈夫。怒っておるんです。
 次に、教育長にお尋ねをしてまいりたいと思います。
 教育関係の方々がこの学習指導要領などの問題についていろいろな対処をされておるということを聞いておりますけれども、教育長、学習指導要領とか、日の丸・「君が代」といったような問題は、いわゆる心や意識の問題です。こういった、その個々人の心や意識の問題を拘束すること自体おかしいんです。だから、憲法で思想や信条の自由を保障しているのであります。未発達の状態にある子供に日の丸・「君が代」を認めよというような教育の強制力を持たすことは、絶対あってはならないのであります。
 道徳教育を口にする者が、皆さん──先ほど、私はリクルート問題でも紹介いたしました。教育の中枢的な分野に入ってきているんです。そしてあの一大疑獄が行われておる。道徳教育の問題を口にする者が一番大きなうそをついておる。何千万円もの金を、ぬれ手でアワをつかむようにポッポへ入れておる。文部官僚や臨教審などの教育関係の重要な役割を担う者が、リクルート問題の渦中にあるんです。これらの人たちの言うことをそのまま子供たちに強制するのですか。この問題についても教育長の見解をお尋ねしたいと思います。
 私は、先ほど紹介をいたしました中川前教育長の答弁について、教育理論から言っても、前教育長の見解は非常に大事であると思うんです。現在、その見解が変わっているのか変わっていないのか。中川前教育長の言ったことを信頼して、教育の現場では教育がやられているわけであります。それを変えるのは一体どういうことなのか。県民に対する教育の責任者としての立場からどのように考えられるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
 それから、天皇の葬儀をめぐって国際的な批判が起こったことは御承知のとおりであります。私は今、改めてここで言うつもりはございません。しかし、天皇の戦争責任や日本が侵略戦争をやったんだというようなことの国際的な批判が多く出ておったじゃないですか。竹下首相も、当初は「あの戦争は侵略ではありません」ということを言っておりましたが、国際的な世論に押されて侵略であるということを認めざるを得なかった。これは歴史の事実であります。
 その中で、戦時中、日本のシンボルが日の丸であり「君が代」であった。これによってむしろ、日本の教育に対する批判が出たのであります。日の丸や「君が代」は、今日、国民の合意がなく、国際的にも批判の中にある。国際社会において信頼されるようにというような教育長の答弁、私はおかしいと思うんです。
 公教育とは、政治的中立であるべきであります。世論を二分する日の丸や「君が代」を公教育の場に持ち込むことは誤りだ、これは政治的中立を侵すものだと思いますので、この点につきましても教育長の答弁をお願いいたしたいと思います。
 以上で、再質問を終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 藤沢議員にお答え申し上げます。
 海洋高校の件でございますけれども、この学校の目的でございます。
 先ほど、総務部長が答弁申し上げました。全寮制による知・徳・体三者の調和のとれた全人教育を行い、日本人としての深い自覚を持ち、豊かな国際性を身につけた人材を養成しようとするものであるということを申しておるところでございます。
 私も、学校教育、高校教育におきまして、私立学校が和歌山県にとって重要であるということをかねてから申してきておるわけでございます。また、県立高校の卒業者が、和歌山県は全国の中でも沖縄、徳島に次いで三番目でございます。そうした意味において、皆さん方の御支援をいただいて、私立学校についても努力させていただいておるところでございます。
 補助を出した理由ということでございますが、これも先ほど総務部長が答弁させていただきました。
 また、申請をするのにだれが紹介したかということです。先ほども申しましたように、この問題につきましては川辺町が非常に熱心でございまして、土地等の提供等もございました。そうした形で、校長も参りましたが、地元の町長並びに議員の皆さんもついて参ったわけでございます。地元が土地を形成しないところではできないわけでございます。そうした意味において、申請を承ったわけでございます。
 顧問の問題につきましても、多数の人がおるわけでございます。
 この学校は、静岡県において認知された私立学校でございます。だから、先ほど申しましたように、この高校に補助すべきかどうか、その目的がどうか、内容はどういうことをやっておるかということについても、総務学事課が静岡へ行って状況等について調査してまいっております。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 地元への説明の問題でございます。
 昭和六十一年から何回かにわたり、建設省や関係部局とともに、ダム事業あるいは予備調査、その内容等について御説明をしてきたところでございます。
 御指摘の請願の問題につきましては、国会に対して「紀伊丹生川ダム設置計画の実情調査に関する請願」が提出されている事実については承知いたしているところでございます。
 そういうことも踏まえ、今後とも、建設省や関係部局ともども地元の御理解、御協力が得られるよう努力してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 請願の取り下げの問題でございます。
 地元でどういう話し合いがあったかは、私、正確には承知しておりませんが、内容といたしまして、まだ予備調査の段階であり、したがってダムの実態が不明確な段階である状態の中で、請願を出す時期ではないじゃないかということだろうと判断しております。
 実施計画調査費がつき、具体的にダムについて地元の住民の方々と話し合いができるようになって、それが済んだ後でそういった請願の問題が議論されるんじゃないかというふうに考えます。
 それで、まず平成元年に実施計画調査費をつけてもらって、話し合える具体的な調査を行うということが先決であるということで、そういった話があったんじゃないかというふうに考えます。
○議長(西本長浩君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学習指導要領は、御承知のように、教育基本法に基づいて学校教育法が制定され、そして、これに基づいて文部大臣に委任をされてつくられたものでございます。したがって、この学習指導要領は、法的に確立をされたものと考えてございます。
 したがって、今回の改訂によりまして、県教育委員会としてはその線に沿って指導を進めていきたい、このように考えてございます。お話がございましたが、そのことが教育基本法の第十条の精神には反しないものと考えてございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 47番藤沢弘太郎君。
○藤沢弘太郎君 自席から質問をいたします。
 まず、知事に。
 知事、この高校は全寮制なんですよね。そういったものができることによって、全寮制ということで、野菜とか、いろいろと活性化に通じるんじゃないかという期待を地元の住民の皆さんが持っておられる。これは、その地域の実情としてそれなりのことがあると思います。
 ところが、私は目を一歩転じまして、全寮制ということで思い出すのは、あの戸塚ヨットスクールの問題であります。戸塚ヨットスクールで、ありましたね。あの問題であります。しかも、私どもも静岡の方へ実情を聞きましたが、今度のこの学校の基本方針の柱は、やっぱりスパルタ教育なんです。
 それだけに、この高校の問題につきましては、教育の目的に「ガッツ」というようなことだけで──それだけではありませんが、そういったことが教育の目標に掲げられている、このような学校の問題については、私はもっと検討を深くしなければならないという立場から先ほど申し上げたわけであります。
 こういったような問題で、今、知事や総務部長から答弁をいただきましたけれども、私は疑問が残ったままでありますので、この点については調査検討をする必要がある、こういう意見だけ申し上げておきたい、このように思います。
 それから、企画部長と土木部長であります。
 私が質問をした問題について、まだお二方ともスコンと入ってないんじゃないかというように思うんです。何というんですか、住民合意という問題の柱が違うんですね。私は、お二方の話はやっぱり「知らしむべからず、よらしむべし」ということが行政の柱になっておるように思うんです。
 それならば、その北又の地域へ行かれた方、なぜ請願を出したのか、これがおわかりですか。皆さん、行かれた方はおわかりなんですか。自分の住んできた土地が埋没するかもわからない、この土地を離れなければならないかもわからないという切実な問題のもとで、こういった請願をやむなく出しておるんです。なぜ国会へ調査の請願を出さないかんのか。それは、県当局や建設省あたりが来てないからなんですよ。市とか町の行政の方へ行くよりも、まずその地元の住民の皆さんに、例えば、「あなたのところはこういったことで水没になりますよ。具体的な状況はまだわかりませんけれども、この問題については私たちも極力、皆さん方の意見を聞きながらこうやります」、こう言うたら、地元の皆さんというのは一定の納得をされると思うんです。
 そういうような一番基本の問題を踏んでいない。そこに、今の県当局自身の対処に問題があるんだ、私はこのように指摘しているんです。この点がまだ今の再答弁の中ではおわかりになっていないように思いますので、代表してというとなにですが、主にこの問題はもう建設省関係に入っておりますので、土木部長から改めて答弁をいただきたいと思います。
 それから、教育長に。
 やっぱり私は、こうした新学習指導要領の問題に対する見解というのは違うと思います。これはまた、私、委員会にも所属をしておりますので、そこらあたりでまた具体的にこの問題の討論をやっていきたい。時間的な関係もありますので、この問題は教育長には要望だけにとどめておきたい、このように思います。
 終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 今後、元年度から実施計画調査が始まりますので、具体的に住民の方と話し合いができるようになると思います。
 県としては、こういった住民合意に対して最大の努力をしてまいります。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、藤沢弘太郎君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番井出益弘君。
 〔井出益弘君、登壇〕(拍手)
○井出益弘君 平成元年の初めてのこの定例議会において、第三日目に一般質問させていただく機会をいただきましたことを皆様に感謝申し上げます。
 まず、先日亡くなられました、経済警察委員会で一緒に仕事をさせていただき、いろいろ御指導、御鞭撻も賜りました交通部長・故佐竹晋吾様の御冥福をお祈り申し上げます。
 では、通告の順に従って一般質問をさせていただきますが、三日目ともなりますと、諸先輩のすばらしい一般質問、また御答弁をお聞かせいただきました関係上、一部重複する点、あるいはさらにお聞きしたい点等がありまして、当局も答弁に大変苦慮されるかと思いますが、どうかよろしく、誠意のある御答弁をしていただきたいと思います。
 一番目の、関西新空港関連事業についてであります。
 関西新空港より和歌山への交通アクセス及び府県間道路から近畿自動車道へのアクセスの進捗状況と今後の見通し、計画についてであります。これも一部、先日の先輩議員の質問とも重複いたしておりますが。
 まず一点目は、同じく交通問題であります。
 本県から関空へのアクセスについては、六十年十二月の関西国際空港関連施設整備大綱により、近畿自動車道を初め第二阪和国道、県道泉佐野岩出線等の、本県にとっていわば生命線とも言うべき幹線道路が位置づけられ、その整備が進められているところでありますが、既に計画が策定されて丸三年以上を経過し、平成五年の関空開港まで残すところ四年となり、まさに折り返し点に差しかかろうとしている重要な時期でもあり、いま一度ここで質問をさせていただき、県当局の取り組みの意気込みをぜひともただしたいと思うのであります。府県間道路の県内側の整備状況と見通しについては、ここでは別の切り口から、関空並びに京阪神都市圏へのアクセスとしての府県間道路について質問させていただきたいと思います。
 御承知のとおり、大綱に示された府県間道路も、ともすれば県内側あるいは府県境の山間部の整備が議論の対象となり、肝心の関空や大阪市中心部をにらんだトータルなアクセスルートについての議論が余りなされておらないように思うのであります。幾ら府県境界部や県内部が改修されたとしても、大阪府下の交通混雑に巻き込まれるようでは府県間道路の役割は果たせないのであります。やはり、関空並びに京阪神都市圏へのアクセスルートとしては、まず第一に紀泉地域を縦貫する近畿自動車道に最短時間で到達し、これを経由してそれぞれ空港関連道並びに阪神高速、名神高速とつながるルートがあるべき姿だと思うのであります。
 そのためにも近畿自動車道並びにその接続道路の整備が非常に重要になるわけで、現に、打田町に進出が予定されている松下電器についても近畿自動車道及びアクセスルートの整備が進出の条件となっておるようですが、これは松下本社が近畿自動車道沿いの門真市にあることを考えれば極めて当然であり、今後、関空開港をにらんで紀の川沿岸への進出を考えている京阪神都市圏に本社を持つ企業にとって、このトータルなアクセスルートの整備が極めて重要なチェックポイントであると考えます。
 こうした点から、府県間道路の各路線から近畿自動車道等の国土軸への接続についてどのように考えておられるのか、土木部長にお聞きしたい。
 次に、国際的機能の関西新空港として、和歌山県及び和歌山市、リゾート地、その他の受け入れ誘導対策の進捗状況と今後の見通しについてお聞きいたします。
 関西新国際空港は、和歌山が臨空都市とも言える至近距離に位置してのかつてないビッグプロジェクトでもあり、この対応策たるや、和歌山にとっては予知できがたい点もかなりあり、消極的対応となっているのではとの声も県民の間からしばしば聞こえます。
 しかしながら、他府県を見ますと、よその花は赤く見えるのでしょうか、大阪の南海電鉄では難波駅の上への五百五十室のホテル建設に既にかかっており、これは国際会議場等を備えたビジネスセンターで、百四十七メートルの三十六階というマンモスビルであります。球団を売却してまで難波を新空港のターミナルにすることに社運をかけて、球場跡地を中心とした再開発に取り組んでおります。またJRは、南海より二百メートルのJR湊町駅を新空港のターミナルにと、大阪市等が出資の株式会社湊町開発センターを設立し、まさに激しい競争を展開しております。
 京都府では、新空港までのヘリコミューターによる観光客誘導や交通アクセスを研究しています。ちなみに申し上げますと、京都から関西新空港までの時間と料金は、距離を百キロとして、タクシーで走ると二時間で一万九千円、電車では一時間三十分かかり三千円、ヘリコプターでは二十五分で一万八千五百円だそうです。先日も今議会でヘリコミューターのことが論議されていましたが、和歌山のように山が多く、道路網が完備されるのがいつのことやらめどが立たないような実態では、早期に県内の各地域と調整をとってヘリポート基地を建設することが必要と考えますが、さらに具体的な構想をお聞きするものであります。
 神戸では、高速挺で三十分足らずなので海上ルートに着眼し、ポートアイランドをさらに拡張して航空旅客ターミナルを建設、この秋には、神戸市が二億五千万円を出資しての第三セクター方式の新会社設立が決定しています。
 陸の孤島たる和歌山でなくすためにも、県都和歌山市を初め本県紀北地区を、これからの国際化、情報化等に対応し得る臨空都市にせねばなりません。これも、他府県との知恵比べ、力比べの激しい競争であります。このため本県はどのような施策を考え、取り組んでいるのか、お聞かせいただきたい。
 次に、これも先日の先輩の質問と重複するんですが、紀の川大堰工事と第二阪和道路の進捗状況と本年度計画についてお聞かせいただきたい。
 第二阪和国道、すなわち和歌山市の最も期待している新南海橋早期供用を目指しての早期完成でありますが、以前、和歌山市で、国より五十億という予算を決定していただき、着手したものの、一部用地買収を終わったのみで中断し、終わっております。今度は国のレベルでやっていただくわけでありますが、まず和歌山市駅の近くの鉄道高架が先であると、県からお聞きしました。和歌山市が窓口となっての鉄道高架が終わってからでないと橋の建設あるいは橋への接続道路の用地買収等にはなかなか予算がつかないであろうと。そうなりますと、和歌山市の以前からの状態を考えて、またいつのことになるかわからんような状態になってしまっては申しわけないと思います。これについて私は、毎議会質問させていただきたいというぐらいに思っておりますが、これは、何としても早期に新南海橋が完成し、一日でも早く供用開始ができるようにと、和歌山市民四十万人がこぞって願っているものであるからであります。
 二番目の、医療と老人福祉について質問させていただきます。
 まず、地域医療対策のおくれと対処策、並びに県立医大と医大附属病院の果たすべき機能についてであります。
 先日、宮内庁侍医長が、亡くなられた昭和天皇の医療についてテレビで、「今後、皇室についても宮内庁侍医団の範囲を超えて、高度医療としてすぐれている病院や医療機関について広く門を開き、皇室が受診や治療を受けられるようにすべきであり、また皇室にもその権利がある」と語られていました。
 我々和歌山県民についても、医療体制が過密と言われるような地域と全く不十分な地域があります。県として、今回の県立医大や医大附属病院の移転・再建設を機会に、県民医療について根本的に見直しをし、県民医療に十分対応できる総合的な体制をとっていただきたいものであります。
 医大附属病院、開業医、そして医大以外の日赤病院や労災病院等との連携について、また市民病院機能も果たさねばならない医大附属病院の現状、県民、市民が何でもかんでも大病院へ入院したがる傾向と実態の原因把握、入院時の差額ベッド料に高額な負担金が必要な事実等、いま一度現実をよく見詰め、取り組み、その上で県民医療の中核である医大、医大附属病院のあり方、開業医との連携、各地域より医大病院への転送患者の受け入れ、他の日赤や労災病院との連携システム等を充実し、一次、二次、三次医療体制を確立し、県民がいざというときにはだれもが最高・最善の医療が受けられるものでなければならないと考えます。そのための取り組みの現状、今後の計画、見通し等をお聞きいたします。
 次に、在宅介護の充実について、現状と県としての今後の計画、在宅老人福祉対策の充実についてお伺いいたします。
 私どもも当然年をとりまして、この在宅介護を受けなければならないときが必ず来るわけでありますが、今の状態では非常に老後が心配であります。今から、老後のために、また現在困っておられる御家庭の方々のために、県としていま一度ぜひ考えていただきたいということであります。
 本県の六十歳以上の人口は十五万三千人、その中で約四千人の方々は在宅で寝たきりの状態にあると言われております。これまで老人福祉対策は、施設を整備してお年寄りを入所させるという、いわゆる施設対策を中心に進められてまいりました。その結果、近年において在宅寝たきり老人の数が減少傾向にあることは事実であり、そのこと自体は施設対策の一つの成果として評価できるのではないかと思います。
 しかし一方において、お年寄りの多くは住みなれた地域で家族や知人に囲まれて終生を全うすることを強く希望しております。私自身の経験から言っても、施設入所に関して抵抗を感ずるお年寄りが少なからずいることも事実であり、また家族についても、何とか自分たちの手で面倒を見ていきたいという心情は多としなければならないのではないかと思います。こうした在宅のお年寄りあるいは家族に対して行政的にしっかりとした支援を行っていくことこそが、これからの老人福祉対策の原点であろうと考えるものであります。
 しかしながら、現状においては、在宅対策の拠点となるデイ・サービスが県内三カ所、ホームヘルパーの数も十分とは言いがたい状態であり、加えてお年寄りやその家族についても制度そのものが十分に周知されていないなど、まだこれから改善、工夫をしていくべき余地が多々残されているように思います。
 幸いにして、国においては今後三年間で在宅対策を飛躍的に向上させていくこととされ、平成元年度の政府予算案においてそのための所要の経費が計上されたところであります。このたびの措置は本県にとっても在宅対策を浮上させていくための千載一遇のチャンスであり、何とか市町村を叱咤激励し、歯を食いしばってでもこの三年間で全国レベルを確保すべく、県当局としても万全の対応を行っていくべきであると考えます。本県における在宅老人福祉対策の現状と今後の充実対策について、民生部長の所見を伺います。
 三番目に、国鉄清算事業団に帰属する用地の清算の進捗状況と今後の見通しについてお聞きします。
 国鉄清算事業団は、昭和六十二年四月、国鉄改革の実施に伴い、旧国鉄が所有していた土地の一部を売却することによって国鉄の長期債務の償還に資するため、発足したものであります。前回の国鉄跡地に関する私の質問への回答から、本県での清算事業団に帰属する土地は七市二十二町に計百六十件、約二十七ヘクタールであることがわかりましたが、その後のこれらの土地の売却状況等はどのようになっておりますか。
 また、和歌山市の和歌山操車場駅は、高度成長に伴う貨物需要の増大を補うため、地元住民の協力を得て昭和四十三年に開設されたものでありますが、このたび、清算事業団の売却対象用地となりました。操車場駅建設に協力するため以前この土地の売却に協力した前地権者は、何とかその土地を買い戻せないものかと、私も何人かの方に御相談を受けております。以前の売却協力の際は、自分の土地の半分を、また多い人では三分の二を国鉄へ譲り渡し、その残りの土地へ住み、あるいは事業を営んでおります。
 これを、操車場駅が廃止となり清算事業が行われるこの機会に他の民間あるいは公共事業に使われるということでは、現在、その地区の道路整備等は大変不備であり地区の皆さんが困っておるのに、前の道路は下水が整備されず、また広くならない、そして後ろは塀が立ってしまう、このようなことになったら本当に気の毒なものであります。何とかこの土地を地域の皆さんに払い戻しができないものか、お返しできないものか。法律では大変難しいと聞いておりますが、協力していただいた以前のことを考えますと、努力すべきではないかと考えます。県としては当該跡地に対しどのような考えを持って取り組まれるのか、お聞きいたします。
 四番目に、土地開発公社及び住宅供給公社の造成販売事業のあり方についてであります。
 地元・鳴滝団地の店舗用として販売された土地についてでありますが、昨年夏より、数軒の家について、家の裏の土手が崩れ始めており、既に傾きかけている家もあり、地面にはひび割れや段差がつき、大変危険な状態となっております。
 この造成土地につきましては、約二十年前の造成工事中に、数十メートル離れた地点の田んぼや沼地が数メートルも盛り上がって新聞報道された、地元ではかなり有名な話であります。私も、当時この近所に住んでおりましたので、こんなことってあるのかなと、盛り上がった田んぼを見に行きました。ダンプカーが上で造成の土を捨てるたびに、数十メートル離れた田んぼは、その間までは何も変化がないのですが、そこのところだけポコッポコッと上がっていくんです。突然として盛り上がっている田んぼを見て、驚いたものであります。
 昨年夏、「家の裏の土地が下がり出してえらいことになっておるので一度見に来てほしい」と、地元の商店や開業医の方から連絡があり、行ってみますと、驚きました。何と、かなり厚いコンクリートが割れて、地すべりや五センチから十センチの地盤沈下を起こしているではありませんか。今ではコンクリートの割れ目や地すべりして開いた部分はごみが多くたまって汚れていますが、昨年の夏、私が異常発生を見に行かしていただきました時点では、まさにきのう、きょう起こったひび割れ、地すべりに感じました。また、それに違いないと思います。
 なぜこんなことになったのかと考えますと、宅地造成をされ販売して十何年もたっておりますが、やはりその宅地の下と向こうの田んぼとつながっておるんではないかということであります。と申しますのは、私が以前見たその田んぼのところが、このたび同時に開発工事中なのでありました。それで、工事をするたびに下がっていくということで、私のところへ見に来てほしいということであったのであります。私は、造成当時の状況も、ダンプカーが捨てたら田んぼが盛り上がるのも見ておりましたから、これはやはり関係がある、放っておいてはいかんのじゃないかということを感じたわけであります。
 開発業者も、「県に開発申請手続をして許可を受け、県の許可どおりに工事をしておるんだから責任と言われても困る」とのことでした。そのとおりだと思います。しかし、県の指導があってか、開発業者が、段差・ひび割れ・地すべりのコンクリート部分にセメントを詰めたり、またその割れ目に大量の雨水が流入でもしたらたちまち事故や災害になるんではないかと心配したのか、防水シートをかけておりました。早速、現場の写真を撮り、現像して県に届け、現場を見て善処をお願いしたのでありますが、住宅供給公社と県が責任の所在を明確にしようとせず、今日に至っております。
 このような土地を、開発公社が造成して住宅供給公社に宅地や店舗用として売ってよいものか、また住宅供給公社が宅地や店舗用として民間人に販売してよいものか。県が設立主体たる公社の営業のあり方として、民間の一部に見える悪質業者のようなものならともかく、大変お粗末に思えます。
 私も、宅地建物取引主任として宅地建物取引業の資格も知事より認可をいただいておりますが、このような土地と知っていれば、地上に家を建てたり重量物を設置するような土地としては販売しないでしょう。
 念のためお聞きしておきますが、県の公社として、開発公社と住宅供給公社間の取引については別としても、県民にこのような販売をしても、法的にまた道義的に問題がありませんか。土木部長、明確にお答えください。
 最後に、県が民間より借地している土地の期限切れ、借地返還についてであります。
 これは、県が民間よりお借りしている土地はかなりあると思いますし、また、期限が来ても返さない、返せない状態で民間を困らせている土地がほかにもあると思いますが、通告させていただき、事前にある程度の内容を当局に部分的にお知らせしてありますので、この件についてまず重点的に申し上げます。
 これは、戦後の昭和二十三年から、当時、住宅難にあった県民の姿に心を痛めた地主が、県に協力する、県民を助ける意味で、所有地内に四十戸もの木造県営住宅を許可したものでありますが、県より返していただく期日が過ぎて十数年にもなるのに、十三戸もの未返却県営住宅が残っています。これについては、県当局も十年ほど前から「早期に返す努力をする」と言うばかりで、全く進展する様子もありません。一般的には、県営住宅については県の力で強力に出てもらうこともあるようなのに、おとなしい民間人、地主さんに対しては協力をしてくださっているのと混同してしまい、こんなに長期間、契約不履行で返さない状態でよいものかと考えます。この残りあと十三戸の真砂県営住宅について、重点的にお答えいただきたい。
 以上で一回目の質問を終わりますが、どうか明確な誠意ある答弁を期待いたします。
○議長(西本長浩君) ただいまの井出益弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 井出議員にお答え申し上げます。
 関西空港関連事業の問題で、特に交通アクセスの問題について重要性を力説されたわけでございます。
 この問題については過日からも論議されておりまして、私としても最重点的にやらなければならない問題ではないかと思ってございます。府県間道路の問題について、臨空都市としての問題等々の面からなお一層積極的に進めてまいりたいし、また、御提案ございましたヘリポートの問題についても十分検討させていただきたいと思います。
 それから、地域医療の問題でございます。
 おっしゃいますように、地域医療は極めて重要な問題でございます。和歌山県は、お医者さんの数は全般的に多いわけでございますけれども、地域においていろいろな差異がございます。そうした意味において、地域医療計画というのを現在つくっておるわけでございます。後ほど保健環境部長から答弁申し上げますけれども、そうした面になお一層これから配慮するとともに、お話ございました、医大の統合移転、附属病院と諸施設並びに医院との関係等について、今後ともなお一層十分配慮してまいりたいと思っております。
 他の問題は関係部長から答弁いたします。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、関西国際空港関連についての二点の御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、関西空港への交通アクセスについてでございます。
 何種類かの交通手段のうち、御質問の海上アクセスの確保につきましては、民間事業者に対して要望しているところでございます。その中で企業において具体的な検討もしていただきましたが、現在のところ、運営上の採算性が課題となってございます。今後も引き続き、関係方面へ要望してまいりたいと考えてございます。
 また、ヘリコプターにつきましては、先ほど知事答弁もございましたが、現在、近畿ブロック知事会の共同事業として、近畿各主要都市から関西国際空港へのアクセスという意味も含め、近畿圏におけるヘリネットワークについて調査を進めているところでございます。また、本県独自でもヘリコプター輸送についての調査を行っているところでございます。
 今後も引き続き、県議会の御指導、御支援をちょうだいしながら、関西国際空港への交通アクセスの確保を図るため、あらゆる機会をとらえて関係機関に強く働きかけてまいる所存でございます。
 関空関連の第二点は、臨空都市圏としての整備についてでございます。
 県が策定している関西国際空港関連地域整備計画において、紀北地域での紀の川テクノバレー計画、南麓サイエンスパーク計画、和歌山臨空都市計画など、七つのプロジェクトを展開することにより、泉州地域と相まち、南近畿の拠点地域としての紀泉臨空都市の形成を図っていかなければならないと考えてございます。特に、和歌山・海南地域をその中核都市とするために、国際化、情報化等に対応した都市基盤及び都市機能の整備を行うことといたしてございます。
 国際都市としての整備につきましては、コスモパーク加太や和歌山マリーナシティなどの建設を進めるとともに、和歌山市、海南市における土地区画整理事業、あるいは海南駅連続立体交差事業、公共下水道の整備、内川浄化、電線の地中化等々の都市基盤の整備、あわせて美術館、図書館等の文化施設の整備を図ることとしているところでございます。また、ことしの一月に、高度情報基盤の整備を一体的に進めるということで、和歌山市が国のインテリジェントシティモデル地域の指定を受けたところでございます。海南市を中心としたニューメディアコミュニティーの推進と相まち、情報化もその具体化が図られるものと考えているところでございます。
 関西国際空港の開港に向けて、今後とも国際化、情報化等に対応した臨空都市の整備を、関係機関と協調しながらより一層推進してまいる所存でございます。
 次に、国鉄清算事業団に帰属する用地の清算進捗状況等についてお答えを申し上げます。
 国鉄清算事業団に帰属する土地で、平成元年二月末現在で既に売却されたものは九件ございます。その内訳は、公開競争入札によるものが七件、公共団体との随意契約によるものが二件というふうに把握をいたしてございます。
 和歌山操車場駅跡地につきましては、原則として公開競争入札により売却されることになってございます。しかしながら、地方公共団体が公共用地として利用計画がある場合にのみ、当該公共団体と協議の上、随意契約による売却が可能でございます。なお、和歌山操車場駅跡地は一万平方メートルを超える大規模用地でございますので、清算事業団の諮問機関である資産処分審議会において利用計画に対する承認がなければ処分することができません。そういう仕組みになってございますので、今後、清算事業団において、県など関係機関を含めた中で利用計画が検討されることとなってございます。
 県としては、当該跡地が和歌山市に残されたまとまった土地でございますので、周辺地域と整合性を持った有効な利用計画になるよう、今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) まず関西国際空港関連事業につきまして、関西国際空港と府県間道路から近畿自動車道へのアクセスについてお答え申し上げます。
 府県間道路から近畿自動車道へのアクセスに関しては、県内側についてはさきに渡辺議員にお答えいたしましたので、大阪府側の道路整備についてお答えいたします。
 まず第二阪和国道については、大阪府側では阪南町から岬町間九キロメーターが事業化されております。現在、測量調査が進められており、今後、その整備促進と残りの未着手区間の事業化について、大阪府とともに国に強く働きかけてまいりたいと存じます。
 次に泉佐野岩出線については、現在事業中の金熊寺男里線を介して泉南インターへの接続がされることになっており、関西国際空港開港時までにこのバイパスが供用され、府県境部の未改良区間について、隘路部の整備を行うこととしております。
 泉佐野打田線については、平成元年度完成予定の土丸バイパスを経て国道百七十号から近畿自動車道貝塚インターへ、あるいは既に完成している市道を経て関西国際空港線の上の郷インターへの二つのルートによる接続を図ることとしております。
 泉大津粉河線については、国道百七十号を介して岸和田インターへ接続を図ることとしております。
 今後は、これらの各路線の未整備区間の早期整備を図り、円滑な接続ができるよう、大阪府側に働きかけてまいります。
 次に、紀の川大堰と第二阪和国道の進捗状況でございます。
 まず、紀の川大堰工事の進捗状況でございます。
 平成元年度の工事予定についてでございますが、建設省では現在、工事着手に向けて地元の漁業、水利、周辺自治会等の関係者と協議中でございます。平成元年度は、政府予算案で二十億円が認められ、関係者の理解を得ながら工事用道路、護岸の一部を施行することとしております。
 第二阪和国道については、先日、渡辺議員にお答えしたとおりでございますが、県内部分四・七キロのうち特に南海橋の架橋を含む二・二キロメーターは六十三年度に事業化され、平成元年度から周辺の用地買収に着手する予定にしております。
 次に、県土地開発公社及び住宅供給公社の造成販売事業に関連してでございます。
 議員御質問の用地は、県住宅供給公社が鳴滝団地ショッピングセンター用地として、昭和四十年から経営者に賃貸をしていたものです。その後、経営者からの強い要望により、昭和五十二年四月に、平たんな店舗用地とのり面部分を含め、現況有姿により譲渡いたしました。
 この土地は宅地造成工事規制区域内でありますが、その後、一部個人において無許可でのり面に土どめ擁壁を設置し、新たに宅地を造成したため、県としては、六十三年十月一日に宅地造成等規制法に基づき、その改善の勧告をしているところでございます。この土地は宅地造成工事規制区域であり、所有者において保全の措置を講ずることが必要と考えております。
 次に、民間よりの借用期限切れ土地の借地返還についてでございます。
 県が民間より借地した県営住宅用地の返還でございますが、昭和二十年代建設の木造住宅は老朽化が進み耐用年数を経過している実情にかんがみ、県では、私有地でかつ小規模団地については、建てかえが困難であることから用途廃止が良策と考え、昭和四十八年度から現在まで八団地、二百二十六戸の用途廃止を終え、さらに今年度も湊団地十六戸についてその用地を地主に返還する予定でございます。
 議員御指摘の真砂団地については、建設戸数四十戸のうち、昭和五十三年度までに二十七戸の用途廃止を行い、地主に返還を見たところでございます。残る十三戸の入居者については、再三にわたり他の県営住宅等への住みかえを要請してきたところでございますが、土地に対する愛着、高齢であるなどの理由から、同意が得られない実情でございます。
 今後とも、早期に土地を返還すべく努力を行ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 地域医療についての御質問にお答え申し上げます。
 地域医療の確保につきましては、その整備充実に努めてまいったところでございますが、医療機関や医療従事者の地域的偏在等の是正に引き続き努力していかなければならないと認識をいたしております。また、県民に対して適切な医療を提供するためには、医療資源の適正配置とあわせ、診療所と病院がそれぞれの機能を分担し、医療機関相互の連携を図る必要があると考えております。
 昨年、医療計画の必要的記載事項である医療圏と必要病床数について公示いたしましたが、現在、任意的記載事項について検討をしており、御指摘の県立医科大学附属病院等いわゆる三次医療機関と二次医療機関や診療所との機能分担と連携、僻地医療対策、救急医療対策等を内容とする医療供給体制の整備について、まとめの作業を進めているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 新たに建設する医科大学につきましては、将来の医学の発展に対応できる教育研究機関として、また高度医療等の機能の充実した本県地域医療の中核施設として、さらには県下医療機関等とも協力し、有機的な連携のもとに県民の期待と信頼にこたえられるよう、基本構想、基本計画を策定する中で十分検討してまいりたいと存じております。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 在宅老人福祉対策の現状と今後の方針についてお答えいたします。
 お年寄りの地域での生活を支援するための在宅老人福祉対策の充実は、高齢化の進む本県にとって重要な課題でございます。
 その中心を占めるデイ・サービスは、現在、県下に三カ所、ホームヘルパーは百三十五人、ショートステイの利用人員は年間四百人という現状でございます。これらの主要事業については、なお今後、量的に拡大を図っていかなければならないと考えてございます。
 このたび国において、デイ・サービス等の在宅事業について今後三カ年で大幅な整備拡充を図っていくこととされてございます。その初年度分として、政府予算案において、デイ・サービスについては現状の水準の一・七倍──予算額にすると九十二億でございます──ホームヘルパーについては一・二倍、ショートステイについては二・二倍ということで予算計上が現在なされてございます。
 なお、今後国から具体化な通知があることとなってございますので、本県にとっても在宅対策の拡充を図る絶好の機会でもあり、この方針に沿って市町村とも協議しながら考えてまいりたいと考えてございます。
 また、各種の在宅対策の活用普及につきましては、民生委員等を通じて対象世帯に周知徹底を図りたい、また手続の簡素化についても現在検討を進めておるところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 質問が重複しておるにもかかわらず、知事初め大変御丁寧に答弁をいただきました点は、本当に申しわけないと思っています。
 しかし、土木部長、例の鳴滝団地の土砂崩れをしかかっておるところの件について、私は、念のためにお聞きしますということで、一層詳しくというか突っ込んで、県民にこのような土地販売の仕方をして法的問題とか道義的責任を感じないか明確に答えてほしいと質問いたしましたが、ちょっとさあっといったような感じの御答弁でしたので、この一点、まず答弁をいただきたい。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 販売当時としては、別に欠陥はない状況でございました。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 1番井出益弘君。
○井出益弘君 今のはまた、本当にさあっと答弁をいただいて。
 土木部長は主管の建築課の部長でもあり、また土地分譲等に関する宅地建物取引業の講習会などでいろいろと講師をする建築課の最高指導者でもあります。講師として建築課から講習会にお越しいただいたときには、非常に問題のあるような土地は、その問題を解決して、あるいは問題の発生するおそれがないような形でなかったら売ってはならんと、たしか教えていただきました。
 県のようなところが、こういう土を捨てたら田んぼが盛り上がるような軟弱な、私が考えてもおかしな場所を普通の宅地として売る。せいぜい、重量物のかからない広場とか駐車場──駐車場でも何台も置くような駐車場になったらやっぱり下がると思う──というような場所ならともかく、人間が住む民家や人がたくさん入る商店のようなところに売ってこのようなことになっておるということは、私は非常におかしいと思います。
 また、これも答弁は非常にさらっとでしたけれども、真砂団地の件。これは本当にもう、「出てもらえやん」、「努力しておる」と言いながら、この十何軒という軒数は十年ほど前から一軒も変わっていない。地主の人は県へ「返してほしい」と言っておる。県は、「出てもらえやんから返せやん」と。入っておる人らは「県から借りてあるんや」と。地主じゃなくて──当然そうです。
 そういうような状態でずっと来ておる。これは、温厚な人柄の人だけにこれでいいと思っておったらいかんと思います。この十年ほどの間に一軒も出ていないような状態では、やっぱり努力していないと思う。あるいは、努力の仕方を変えないとあかんと思う。そうでなかったらおかしい。ちょっと努力しただけでも結果がよかったら大変努力しておるのと同じやけど、百遍足を運んでもひとつも進まなんだら努力してないのと同じ──と言うたら、まあきついかわからんですけど、結果はそうです。
 ですから、まとめとしまして──この鳴滝団地のところについては、二百三名の地元民の知事あての陳情書を私が預かって、弱っておるんです。知事のところへ持っていっても困るやろなあと思うんですが、これ、後で持っていきます。二百三名、私の近所の方ばかりで、また、崩れかけておるところもしょっちゅう通りますのでね。
 それで、土木部長もこの場所を──私、きのうも夕方、暗くなるまで課長さんや主幹の人に現地を見に行ってもらったんですが、どうですか。この場所に行って、段差がついたり崩れておる状態を見たら、やっぱり関係があるかなと。前の工事をやったところを見たり近所の人などの意見を聞いたら、やっぱり関係があるかわからんな、ないとも言えやんなと。
 ちょっとしたひび割れどころじゃないんです。ずっと下がっています。こういうようなことになっておるのに、部長がまだ一回も現地を見ていない。これは、「報告によると異常はないと言うておる」とか「問題がないと言うておる」といった報告のみで通り過ぎられる問題じゃないと思います。ぜひ現地へ行ってもらいたい。行って見たら、これはひょっとしたら関係あるかな、県に責任があるかもわからんなと必ず感じると思います。ですから、ぜひ部長は現地へ足を運んでいただきたい。
 いずれにしても、これは知事が最高責任者として──この真砂団地の件も、借り主は知事でございます。一日も早く貸し主にお返しすべく努力をしていただきたい。また、鳴滝団地の件についても、開発公社の理事長、売り主の住宅供給公社の理事長、そして問題の工事をやったら下がったというその開発工事を許可されたのも、知事であります。どうか──我々も仮谷知事が「まごころ県政」と本当によく頑張っておられるのはわかりますので、温かい心で、一度現地を認識していただきたい。先月、奈良県で判決がおりましたが、これと同じようなケースです。奈良県のように災害に至ってから県の責任と補償命令判決により被災者に償うのではなく、早急に善処していただくことを強く要望して、終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で井出益弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時五分休憩
 ──────────────────── 
 午後一時五分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 28番上野山親主君。
 〔上野山親主君、登壇〕(拍手)
○上野山親主君 最初に、佐竹交通部長には御逝去されました。心から哀悼の誠をささげる次第であります。
 お許しを得ましたので、通告に従って一般質問を行いたいと思います。
 まず、道路交通網の整備の問題についてお伺いをいたします。
 仮谷県政も四期半ばを迎え、着々と成果を上げられ、深く敬意を表する次第であります。特に道路交通網の整備につきましては、近畿自動車道の紀南延伸、白浜空港のジェット化並びに増便、京奈和自動車道の整備促進、特急くろしおの新大阪乗り入れ等々、その成果は顕著であります。今さら言うまでもありませんが、特に高速道路の充実は、「テクノ&リゾート」を標榜する仮谷県政にとりましても、また本県経済の活性化、県民生活の向上のためにも、一日も早くなし遂げなければならない課題中の課題であります。
 しかし、私は、高速道路の充実だけでは県勢の均衡ある発展は望めないということを申し上げたいのであります。国道四十二号線の整備充実を訴えたいのであります。
 本国道は、本県の最重点道路として、経済、生活、文化面に大きく寄与してまいりました。その機能は、今も重要な役割を果たしております。特に、有田地方、下津地方にとりましては、地理的条件、料金等を考えますときに、生活道路としての近畿自動車道の活用はほど遠い感があります。地域の住民は、かけがえのない道路として国道四十二号線一本に頼っていると言っても過言ではありません。
 最近の本線の混雑ぶりは、目を覆うばかりであります。特に、通勤ラッシュ時ですと、私の自宅から県庁までは約三十キロですが、一時間三十分も要する現状であります。特に下津地域と紀三井寺地域の混雑が顕著であり、事故でもあろうものなら、紀三井寺の交差点から有田市内まで延々と数珠つなぎの状態の日も珍しくありません。国道四十二号線の交通量は、現状を申し上げますと、平日のラッシュ時、午前七時から九時までの二時間、北進の場合、有田市内で約千八百台、海南市内で約二千七百台、紀三井寺地点で約四千台となっております。今や、極限に近い状況なのであります。
 いま一点、私が懸念をいたしますのは、知事初め当局の皆さん、議員各位がその実現に向かって懸命に努力を重ね、県民もひとしく切望しているマリーナシティの建設、そして県立医大が紀三井寺の競馬場跡地を中心に統合移転される、この二つの現実であります。このままでは、国道四十二号線はその機能を確実に、完全に失ってしまうのではないでしょうか。
 マリーナシティの建設は、本県の将来をも決定すると言っても過言ではない大事業であります。県内外はもちろん、国外へもその経済効果を求めることができる大事業なのであります。私はマリーナシティの建設にいささかの疑問も不安もありませんが、交通アクセス問題となりますと、若干、疑問が残ります。
 マリーナシティへの主なアクセスは、当然、近畿自動車道であります。しかし現状では、この近畿自動車道の和歌山インターあるいは海南インターからでは適当な直結道路が見つからないのであります。毛見一号線・二号線の整備は不可欠な条件ではありますが、これだけでは、国際化時代のリゾート・レクリエーション施設として期待されるマリーナシティへのアクセス道路として、その機能を充足できるとは思いがたいのであります。
 また、医大への距離も問題であります。医大は、県民の生命を守る最も大切な施設であります。県民医療の百年の大計を左右する施設でもあります。県民がひとしく、しかも便利に利用できる医大でなければなりません。また、どんな緊急事態にも耐えられる道路網でなければなりません。
 以上の観点から、御提言を申し上げます。国道四十二号線からマリーナシティ、そして毛見一号線・二号線へ、和歌浦湾岸を経て紀三井寺地区への道路網の取り組みを強く要望するものであります。海南市冷水地区周辺が適当と思われますが、国道四十二号線からマリーナシティ間は海上大橋を建設し、和歌浦湾岸の道路開発をすれば、近畿自動車道海南インターから南へ進み、国道四十二号線を経てマリーナシティ、そして医大への道路整備が確立されます。
 今、有田地方では、市議会においても、地域住民の間でも多くの議論を呼び、熱い視線が向けられております。二十一世紀への夢のかけ橋として、マリーナ大橋の建設をぜひ実現していただきたいのであります。全国には数多くの名勝の大橋があります。昨年は日本全国瀬戸大橋ブームに沸き返りました。我が県を代表する観光、リゾートのインパクトとしても大いに価値が生ずるのではないでしょうか。知事並びに土木部長の御所見をお伺いするものであります。
 次に、鉄道交通についてお伺いをいたします。
 本県の経済は、重化学工業主導で発展をしてまいりましたが、時代の変遷とともに、石油ショック以降、深刻な構造不況の波にのまれ、今やその低迷状況から脱し切れない感があります。企画部統計課が中心となって作成をいただきました「一〇〇の指標からみた和歌山」にもその傾向が著しくあらわれています。県内総生産額は二兆二千億円でありますが、全国三十八位、鉱工業生産指数は八一・七%で全国四十七位、就業率四五・七%で全国四十二位、商業販売額一千九百五十万円で全国四十四位、そして老年人口割合一三・四六%で全国十位、等々となっております。
 仮谷県政には、こうした状況を打破するために企業誘致等それぞれの施策を計画し、実践されているところでありますが、何といいましても、最大の経済効果が期待されるのは関西国際空港のビッグプロジェクトであります。
 私は、ふるさとの活性化の第一条件は、若者たちがふるさとで住み、生活することに尽きると思います。今、このビッグプロジェクト完成に向けて、刻々とその周辺地域は目まぐるしく変動しつつあります。近い将来、泉南地方あるいは本県の紀北地域を中心に臨空都市が形成されることは明らかであります。当然、若者たちの雇用の場も日々増してくるでしょう。
 そこで、関西国際空港開港までに鉄道交通の整備を図る必要があります。今や、関東地方、首都圏では、片道二時間の通勤時間は常識であります。少なくとも、中紀、有田地方、日高地方から臨空タウン、臨空都市に通勤でき得る鉄道網の整備をお願いしたいのであります。
 空港への、空港からの時間的距離を縮小すればするほど、その効果は増大するのではないかと存じます。そうすることによって、若者たちが県内に定着し、ふるさとで生活できる可能性も一段と高まるものと確信をいたします。また、関西国際空港からの本県への経済効果も、数々の国際的な情報も、大いに期待できるのではないでしょうか。
 このままでは、関西国際空港を利用する人、物、情報は、その大半が大阪、神戸、京都方面へ吸収されてしまうことは確実であります。現在、開港時を目途に空港連絡鉄道として阪和線日根野駅、南海線泉佐野駅の整備を計画検討されていると聞きますが、以上の観点から、関西国際空港開港に向けての鉄道網の整備について、企画部長の御見解とその取り組み状況についてお聞かせを願いたいと思います。
 続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
 我が国の農業にとって、また本県農業にとって、昨年来より内外ともに重要な問題が続いたことは、御案内のとおりであります。内では、米価を初めとする農産物の価格の引き下げ、食管制度改革論議、食糧自給率の低下、外では、牛肉・オレンジの自由化、米市場開放問題等々、次から次へとメジロ押しであります。国際貿易の急激な進展が、日本のすべての産業、すべての国民生活にかつてない大きな影響を与えていることは確かであります。そして、産業界や国民生活の変化が農業そのものへはね返っているのも事実であります。
 つい最近まで考えられなかった、考えもしなかった米市場の開放が現実の問題となってきつつあります。また、オレンジ・牛肉の輸入完全自由化が現実化されました。国際化の波が、農産物の価格、流通、生産体制にまで影響を及ぼしてきたのであります。我が国そして本県の農業経営は、意識するとしないとにかかわりなく、外国のことを念頭に置いて経営計画を立てなければならないのではないでしょうか。
 とりわけ、私たちは国際化の影響を避ける構えであってはなりません。避けようとしても避けられないものであるならば、この潮流へ乗ることを考えなければなりません。一言で言えば、意識改革が必要なのであります。それは生産者も消費者も、同じように必要なのであります。もちろん、私は手放しで自由貿易あるいは競争原理を肯定するわけではありません。我が国の農業がこれからの国際社会へ船出していくために、避けられない課題であると訴えたいのであります。
 総理府の「経済構造調整に関する世論調査」によりますと、農産物自由化問題については次のような結果が出ています。「米などの基本食糧以外は自由化を進めよう」という意見が三四・四%で最も多く、「これ以上自由化を進める必要はない」という意見が二七・七%で二番目、「自由化を積極的に進めよう」という意見は二六・四%であります。これらの数字から推測いたしますと、国民の大多数は、米など主要食糧の自由化には反対であり、外国の言いなりになるような自由化の進め方にも賛成できないという意思表示と理解できるわけであります。
 「自由化を進めよう」という意見よりも「これ以上自由化を進める必要はない」という意見の方が上回っているのがとりわけ目を引きますが、これは、過去数年間にわたって激しく展開された日米農産物貿易問題を通して、自由化の意味や内容が国民の間に次第に理解された結果ではないでしょうか。少なくとも、国内生産者の立場や気持ち、農業の大切さが以前よりは理解されてきているように思います。
 いずれにいたしましても、米の市場開放問題を中心とする一連の農産物の自由化問題は、生産者のみならず、消費者との相互理解の上に立って進めていかなければならない国民的課題であります。
 今、日本農業の最大の問題は、何といっても米の市場開放問題であります。新ラウンドの農業交渉は、四月の高級事務レベル交渉に向けて妥協点を見出す努力が始められました。昨年の十二月にカナダのモントリオールで開かれた中間見直し会合の決裂以来初めて持たれた主要国による農業の非公式会合は、二月十三日から三日間、ジュネーブで討議が続けられました。また、アメリカとECの閣僚級による協議が、二月十七、十八の両日にわたって持たれております。
 ガットの新ラウンドの最大の争点は、アメリカとECが長期目標の設定をめぐって対立していることにあります。アメリカの提案は、一九九〇年妥結の場合、二〇〇〇年までにはすべてのガット加盟国が農産物貿易の障害になっているあらゆる保護措置を完全に撤廃する完全自由化を主張しています。これに対しECは、短期措置として一九九〇年までに農業保護水準の凍結・削減を主張しています。
 新ラウンドの農業交渉の最大の特徴は、単に関税の引き下げや一部品目の自由化交渉にとどまらず、各国の農業政策の手足を縛るところまで及んでいることであります。米価の水準や国内農業補助金まで国際交渉の対象になっているととらえることができます。新ラウンドの結果次第では、日本の米市場問題がガットの場で論議される危険性も十分に考えられます。事実、ヤイター農務長官は、上院農業委員会に送った書面回答の中で、「新ラウンドが終了すると見られる一九九〇年末までに長期的な農業貿易改革で合意が達成すれば日本の米の市場開放が実現できる」と、見解を示しております。
 我が国は、世界の中でも農産物の超輸入国であります。今や、食料品の輸入額は石油を追い抜いたとも言われております。また、農林水産省発表の昭和六十二年度食糧需給表によりますと、我が国の食糧自給率はカロリーベースで二ポイント低下し、初めて五〇%を切って四九%となっております。穀物自給率も一ポイント低下して三〇%となり、食用農産物総合自給率は二ポイント低下して七一%となっております。これは、国民の栄養供給の半分を海外に依存しているということであります。
 我が国の食糧事情は、ぎりぎりのところまで追い詰められています。また、最近、地球的規模で異常気象、地球環境の研究議論がされ始めました。私は、食糧問題は国の安全保障にかかわる重大な問題でもあると存じます。私たちは、何としてでも国民的大運動に発展させなければなりません。
 そこで、知事にお伺いをいたします。米の市場開放問題についての御所見並びに日本の現在の農業政策、食糧問題のあるべき姿をどうお考えなのか、お伺いいたします。
 本県農業は、長い間の歴史の中で、先人が山地・傾斜地が多い本県の土地条件等を克服しながら今日の地位を築いてきたのであります。それを継承する私たちに課せられた役割は、産地をいかに守り育てていくかであります。このためには、問題の本質を把握し、地域農業の将来像を想定する中で対策を樹立し、農家が希望を持って農業に取り組める環境を築いていくことが重要と考えます。
 現在、県は二〇〇〇年つまり平成十二年を目標年次とした第四次長期総合計画を基本指針にその施策を展開されており、農業につきましては、総合計画を効率的に進めるための各部門の計画を策定され、長期的視点に立った見通しのもとで、高品質果実生産や施設園芸を初めとする土地生産性の高い知識集約型農業の振興を図ることとされております。本県農業の特徴を考えればこの部門計画の考え方には同感するものでありますが、今回の一連の農産物自由化問題は、計画策定後に生じたものであります。自由化いわゆる国際化の問題として、長期計画の中にも重要課題の一つとして挙げられており、十分考慮されているものと考えますが、進度の点では想定外のことと思われるわけであります。
 自由化の時期が明確になった現時点で、本県農業の新しいビジョンを明確にし、特にかんきつ産地対策や生産性向上、農家所得の確保に必要な諸施策を前倒しして重点的に実施し、農家が希望を持って農業に取り組める環境を整える必要があるのではないかと存じます。このことについてどのような御所見をお持ちなのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
 現在、県は、緊急対策として総力を挙げてミカン園の転換等の自由化対策を推進されていますが、こうした対策を進めれば、当面、農家の所得低減は避けられないところであります。幸いにも、関西国際空港の開港や白浜空港の整備、さらには高速道路網の整備など、本県農業に大いに寄与するプロジェクトが着実に現実化されつつあります。こうした新たな流通戦略が展開できる環境を利用して、果樹の施設栽培による高級果実生産や野菜、花卉などの施設園芸いわゆる臨空農業を推進し、早期に農家所得の回復を図る必要があると思います。
 今、大阪府では関西国際空港に向けて数々のフライト農業ビジョンが計画されております。ハイテク農産物を世界各国へスピード輸出するバイオ基地、機内食やホテル、レストランなど大量の需要に対してのコンピューター管理の野菜工場、地方卸売市場の統合等々であります。この点についてどのような施策を考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。
 最後に、果樹農業の転換政策についてお伺いをいたします。
 昨年のオレンジ・オレンジ果汁の自由化交渉の敗北──私はあの結果を敗北と受けとめております。以来、農家の苦悩と不安を考えますときに、言葉では言いあらわせない悔しさと憤りを感じるのであります。完全自由化が現実化された今、その対策の樹立と実践が急務であります。当然、アメリカのみならず、中南米、東南アジア、中国等々、多くの国から品質のよい安い果実、果汁が流入してくることは覚悟しなければなりません。いや応なく国際競争に引きずり込まれていきつつあるというのが、厳しい現実の姿なのであります。
 オレンジ自由化の国内対策として、一千六十億円の補正予算が計上されました。先輩・同僚議員並びに知事初め県当局の大変な御尽力、御努力には感謝と敬意を表する次第であります。今、それぞれの産地では、涙をのみながらその対応に追われているのであります。この予算は、国内の需給バランスを適正化するのが主な内容となっています。当然、現状を考えますとき、生産量を調整することは重要なことではあります。しかし、昭和三十年代、政府の政策により果樹生産を促進してきたのも事実であります。
 今、農家は暗やみの中で、手探りで生きる道を模索しているのであります。身を削られる思いでミカンの木を切ったところで、次に何を栽培していいのか、全く計画が立てられない現状も否めない事実であります。全国的に梅と柿の苗木が引っ張りだこだと聞きます。このままでは、数年先にはミカンの二の舞になるのではないでしょうか。背筋が寒くなる思いであります。この現実を私たちは注視し、一日も早く、新しい和歌山県に合った特産品を見出さなければなりません。この点について知事の御所見をお伺いするものであります。
 最近、下津地方、有田地方、日高地方の農家、特に若い層の中で注目をされている果物があります。チェリモヤであります。(現物を示す)これは、今、百貨店で買いますと一個三千五百円します。チェリモヤは、南アメリカのペルー、エクアドルの高原や谷間に自生する亜熱帯果樹であります。世界の主な生産地域は、原産地であります南アメリカ、スペイン南部のマラガ地方に千六百ヘクタールの産地があるほかは、カリフォルニア南部サンタバーバラ地方に存在するだけであります。
 現在、日本に輸入されているチェリモヤは、そのほとんどがカリフォルニア産であります。輸入量は増加しているものの、量的には一九八七年に五万キログラムと、微々たるものであります。最近の輸入量が増加しているトップはイチゴでありますが、その量は一九八七年で二百六十五万キログラムであります。これと比較しても、その量の少なさがおわかりいただけると思います。
 また、輸入時期は十二月から五月にほとんど集中しております。その味は、作家のマーク・トゥエーンをして「美味そのもの」と表現させるほどで、アイスクリームのようで、ジュースにしても、シャーベットやミルクセーキなどにしてもおいしいことから、若い世代を中心に、将来、その消費はかなり増加するものと予測されます。
 適地性につきまして、吉備町にある果樹試験場において三年前から栽培研究がされております。その研究によりますと、「夏には比較的乾燥ぎみで冬には寒害を受けないところが望ましい。夏の好適気温は二十一度から三十度であり、比較的高温なほど果実の肥大がよくて生産量は多くなる。冬には多少の低温が必要で、零度から七度ぐらいの温度の継続時間が五十から百時間ぐらいと推定される。しかし耐寒性は、短時間であればマイナス二度ぐらいの低温には耐えられるが、長時間にわたってこのような低温に遭うと枝枯れを起こす。本県でのチェリモヤの栽培は、紀中から紀南地方の沿岸部の無霜地帯で一部露地栽培の可能性も残しているが、原則としてハウス栽培が必要となる」とあります。
 以上のことから、若干技術的な問題は残るにしても、適地性、市場性は将来的に極めて明るい見通しが持てるのではないかと存じます。
 今、果樹農家は、わらにもすがりたい心境なのであります。特に、若い人たちが情熱を持って、将来の希望を持ってこのチェリモヤ栽培にかけています。私は、国際化時代での産地間競争は、ただつくれば売れる時代ではないと思います。売れる物を売れる時期に生産して売る、そしてその必要な情報を早く、絶えず収集する、この姿勢が大事なのであります。
 我が国では、このチェリモヤに注目しているところはまだわずかであります。どうか、いち早くチェリモヤ栽培に取り組まれんことを提言申し上げます。また、台木及び苗木の確保、そして技術研究の充実、研究員の養成をあわせてお願い申し上げます。農林水産部長の御答弁をお伺いいたすものであります。
 以上で、第一回目の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○副議長(山本 一君) ただいまの上野山親主君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 上野山議員にお答え申し上げます。
 第一点、道路交通網の整備でございます。
 お話ございましたように、マリーナシティや県立医科大学などのプロジェクトがございまして、そういう関係から特に四十二号線とその周辺道路の交通量がふえるということについて、同感でございます。
 県としても、これらの諸計画を有効に活用するためには四十二号対策や周辺の道路網の整備が必要と考えて、現在進めつつあるわけでございまして、詳細につきましては土木部長から答弁させていただきます。
 なお、議員から提案のあったマリーナシティへのかけ橋の問題でございますけれども、非常に雄大な構想でございます。承らせていただきたいと思っております。
 次に、農業政策でございます。
 食糧問題並びに米市場問題について厳しい食糧安保のお話を承ったわけでございまして、私も同感でございます。
 我が国の農業は、食糧の安定的供給、また活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全といった役割を担っておると私は思うわけでございます。そうした観点から、農業政策を進めるに当たっては、基本食糧である米の自給を柱に、移り変わる国際情勢や消費者のニーズといったものを十分踏まえながら、農産物の安定供給と、また産業として農業が自立できるように育成を図っていくことが極めて重要なことだと考えておるわけでございます。
 米の市場開放問題につきましては、御指摘のように、米は農業の基本をなすものでございます。そしてまた、国民の基本食糧でもあるわけでございます。輸入自由化には私も絶対反対でございまして、その阻止については、全国の知事会においても昨年の十月に決議をし、強く国に対しておるわけでございますし、また本県議会からも意見書を出されておるところでございまして、今後とも相ともに、引き続き阻止に向けて働きかけてまいりたいと存ずる次第でございます。
 次に、果樹農業の問題でございます。
 ミカン園の転換問題でございますけれども、本県の農業にとっても、また地域経済にとっても影響が非常に大きく、私たちもこれを深刻に受けとめ、これからの農政の最重点として考えていかなければならないと、覚悟を決めておるわけでございます。
 現在までも、地域の特性を生かした味一ミカンを初め落葉果樹、野菜、花卉、施設園芸等、特色ある農業の実現を目標にして、活力のある産地づくりに努力してきたところでございます。
 今年度から実施のミカン対策につきましても、生産者はもとより、関係団体の皆さんや農協等の御協力をいただきながら、適地適作を基本として地域別の振興方向を考えるべきではないか、また転換先品目の指標を示していくべきではないかと、円滑に推進できるよう努めてまいる所存でございます。
 今後とも、県内産地の高い技術力を生かしながら、適地性を見きわめつつ地域の特産品の産地化を図ることとしておるわけでございまして、迫り来る国際化の大きな波の中で、本県のすばらしい果樹をなお一層立派なものにしていくために努力してまいりたいと存じておる次第でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 国道四十二号の機能回復とマリーナシティ、医大への道路網の確立についてでございます。
 議員御指摘の国道四十二号の紀三井寺─海南間の交通混雑の状況は把握しており、さらに地域の各プロジェクトの具体化とともに、今後、地域の道路交通需要の増加が予想されます。
 先般、建設省と県で策定した渋滞対策緊急実行計画では、当面は今事業中の毛見トンネルの拡幅を促進し、新たに紀三井寺交差点の立体化を図ることとしております。さらに、今後、松島本渡線、布引本渡線等、現国道四十二号の代替的な機能を持つ道路整備を促進することとしております。
 議員御提案の海南市冷水からマリーナシティへの連絡橋については、このルートは大型タンカー等の通航する海南航路をまたぐため、橋の高さ及びスパン長等について大きな制約を受けることになり、技術的に可能かどうかの検討も必要であり、また建設費も膨大なものとなります。今後、地域の土地利用や地域整備の動向を見定めながら、将来の検討課題としてまいりたいと存じます。
○副議長(山本 一君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 鉄道網の整備について、お答え申し上げます。
 関西国際空港と本県を結ぶ交通アクセス、とりわけ大量輸送と定時性を備えた鉄道は、県民の利便性のみならず、本県活性化のために重要な役割を果たすものと認識をしてございます。
 中でも本県の鉄道の中心である紀勢本線の占める役割はまことに大きく、県としても、ダイヤ改正ごとに増便並びに時間短縮が図られるようJR西日本に対して要望を重ねてきたところでございまして、このたびの三月十一日のダイヤ改正でも特急くろしおや快速の増便を行う等、改善される予定になってございます。今後とも、議員御発言の趣旨を十分踏まえ、泉南方面への利便性確保に努力してまいる所存でございます。
 また、関西国際空港に乗り入れする鉄道につきましては、関西国際空港株式会社と南海電鉄が建設をし、その運営をJR西日本と南海電鉄が行うことになってございまして、現在、大阪府の都市開発公社が用地買収を進めているところでございます。
 県としては、これまで関西国際空港株式会社やJR西日本、南海電鉄に対して、阪和線の日根野駅、南海本線の泉佐野駅でのスイッチバック方式による空港乗り入れ、あるいは同一ホームでの乗りかえについて協議し、要望してまいったところでございまして、需要等の課題もございますが、現在、スイッチバック方式による設計等も検討されているところでございます。
 今後も引き続き、本県と関西国際空港を結ぶ鉄道アクセスの時間的短縮等、利便性確保を図るため、あらゆる機会をとらえ、関係機関に強く働きかけてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答え申し上げます。
 本県農業の新しいビジョンづくりの問題でございます。
 県の長期総合計画では、国際化への進展や健康食品、安全食品への要請の高まりの中で、高品質、個性化産品への消費者ニーズなど、二十一世紀に向け、長期的な展望に立って、活力ある産地づくり、優良農地づくり、技術革新、担い手の育成を農業振興の柱として作成しているものでございます。
 しかし、議員御指摘のように、今日、オレンジ・牛肉等輸入自由化の時期が明確になり、ミカン園の大幅な再編整備が余儀なくされ、こうした中で緊急対策を実施する必要が生じてございます。議員御指摘のとおり、農家が夢と希望を持って農業に取り組める環境を築き上げていくことが緊要の課題であると認識してございます。
 そのために、広域農道や圃場整備、流通機構の近代化等、農業基盤の整備拡充を図り、先端技術の導入、さらには個性化商品の開発などに急いで努めているところであり、今後とも、国内外の競争に打ちかつことのできる産地の形成に向けて、生産者ともども努力をしてまいりたいと存じてございます。
 次に、農産物自由化と農家所得の問題でございます。
 施設園芸、臨空農業の積極的な推進については、議員お話しのように、農家所得の早期安定につながるものであり、今後の本県農業の発展を図る面からも非常に重要であると考えてございます。中紀の市町村では、施設園芸と梅等、地域の特産品目による複合経営を行っている農家の生産農業所得は既に全国平均の二倍以上も上げており、農家の経営努力の成果を見ているところでございます。
 これまでも、県では空の時代に対応し、トマト、イチゴ等の養液栽培、軽量で高単価なカスミソウ、バラ等の高級切り花、さらに完熟果実などの施設栽培の推進とあわせ、バイテク技術を駆使した優良品種の育成に努めてきたところでございます。また、流通販売対策についても、特需センターや花卉流通センターを核に集出荷体制の整備を図るとともに、本県青果物のマーケティング等についても現在、検討を深めているところでございます。
 さらに、今回の輸入自由化の決定に対応して、今議会で、味一果実の生産拡大や特産果実づくりを目指した果樹産地活性化推進モデル事業、菊、バラ、カーネーションなどの三大切り花の産地育成を核とした黒潮フラワーエリア産地化推進事業等々、施設園芸団地の拡大を図る自由化対策予算に加え、チコリ、小ネギ等の生産流通技術開発など、臨空関連予算をお願いしているところでございます。
 ますます国際化の進む中で、関係団体と連携を深め、力を合わせて生産性の高い知識集約型農業の展開を図り、農家経営の安定にさらに努力してまいるつもりでございます。
 最後に、新しい特産品の創造で、チェリモヤの問題でございます。
 チェリモヤの栽培については、県としても新しい高級果実特産品となり得るものとして目をつけ、御指摘のように、現在、既に果樹園芸試験場において栽培試験を実施し、優良品種の選別や結実特性など、栽培技術の確立に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。また、生産農家の要望にこたえて苗木の供給を実施しており、試験研究とあわせて農家の試作栽培を進めているところでございます。さらに、今回のミカン対策においても地域特産品の産地化育成を図ることとしており、チェリモヤ等の地域特産果実の種苗母樹園設置事業を実施してございます。
 今後、技術員の養成を初め、試験研究の拡充強化、技術研修会、市場調査を実施するなど、栽培技術の早期確立及び本県独自の特産果樹の産地化へ向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 28番上野山親主君。
○上野山親主君 御答弁、どうもありがとうございました。
 数点だけ、ちょっと要望しておきたいと思います。
 まず企画部長にお願いをしたいのでありますが、JRと南海電鉄の和歌山駅での相互乗り入れを研究していただきたいと思います。
 それと、このままでいきますと空港関連企業が紀北地域にかなり誘致されると思いますが、そうなると雇用の場もふえてきます。今、紀勢線と和歌山線との連絡がかなり不便ということで地元の方からも要望がございますので、和歌山線と紀勢線との接続を研究いたして取り組んでいただきたい。この二点、企画部長にお願いをしておきたいと思います。
 それから、農林水産部長には、今、ミカン転作の中で全国的に梅や柿や桃の苗木が引っ張りだこだということでございますが、これはいずれも本県の一番の中心になる作物でもあります。これ、数年たてば、ことしミカンの転作で植えた梅が数年先に生産されてくるということになると、今度は非常に過剰生産になる危険性もございます。梅がそういうあおりを受けてまたミカンの二の舞ということにもなりかねませんから、ここらの政策も今から打っていっていただきたいというふうに思います。
 そして、あわせて知事には、生産府県の知事会議、あるいはあらゆる機会をとらまえて、そういう生産府県との話し合い、協議、取り組みをお願いしておきたいと思います。
 最後に、土木部長にお願いをしておきたいんですが。
 昨日から、このマリーナシティあるいは医大関連の道路整備の問題について、和田先生や岸本先生も質問されておりましたけれども、その答弁を聞いておりますと、土木部長の認識、どうも少し甘いようにも思います。紀三井寺周辺あるいは高速道路から市内での道路を整備するだけでは、これだけの大きなプロジェクトであるマリーナシティ、あるいは医大への道路整備が十分に行えるというようなことにはならないと私は思います。もっと抜本的に、前向きな姿勢で、基本的なことをとらまえて取り組んでいただきたいというふうに要望しておいて、再質問にかえたいと思います。
○副議長(山本 一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で上野山親主君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
○副議長(山本 一君) 次に、お諮りいたします。明十一日は、議事の都合により休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山本 一君) 御異議なしと認めます。よって、三月十一日は休会とすることに決定いたしました。
○副議長(山本 一君) 次会は三月十三日再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時五十三分散会

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