平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(渡辺 勲議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 午前十時四分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 質問に先立ちまして、一昨日、痛ましい交通事故の犠牲になられました佐竹交通部長の御冥福を、心よりお祈り申し上げます。
 それでは、順次、質問に移りたいと思います。
 まず最初に、関西国際空港問題につきましてお尋ねをいたします。
 関西国際空港が着工されて以来、本年一月二十六日をもって、はや満二年を迎えたことになります。昨年十二月には空港を縁取る護岸が完成し、多くの県民が熱い期待を抱いてきた関西国際空港の輪郭が泉州沖の海上に浮かび上がってまいりました。また、昨年の暮れには旅客ターミナルのコンぺが実施され、イタリア人の著名な建築家によるデザインに決定されたと聞いております。美しい曲線を描く、いきなスタイリングの旅客ターミナルが、四年後には我々和歌山県民をお隣のよき客人として迎えてくれていることでありましょう。
 今さら申し上げるまでもなく、関西国際空港は、関西の浮揚と我が和歌山県の新たな創造を目指し、官民挙げて推進してきた大プロジェクトであり、私も県議会の一員としてその実現に期待をしてきたものでありますが、幾多の議論を経て、現時点ではその必要性は共通の認識として確立されているものと思います。本年四月には、加太地域からいよいよ埋立土砂の搬出も開始されようとしています。
 これまで和歌山県は、地理的条件による制約上、国土軸から遠く隔たり、和歌山市は中央から一番遠い県庁所在地であるとさえ言われてきましたが、関西国際空港はそんな言葉を過去のものとして追いやってくれる期待が込められております。今、時代は、ハードからソフトへ、効率至上の社会からゆとりと潤いを求める社会へと変革しています。関西国際空港の開港を機に、古き歴史と自然に恵まれた和歌山県の出番がいよいよめぐってきたと申し上げても過言ではないと思います。
 関西国際空港の建設を契機に、第二阪和国道や近畿自動車道の整備に加え、阪和線、紀勢本線の新大阪駅乗り入れによる国土軸との直結、それに府県間道路の整備が進展しております。また、松下電器を初めとする企業誘致や近畿大学の立地が進められています。加太地区の広大な土取り跡地に、コスモパーク加太計画として新しい町づくりが進められようとしています。さらに、民活導入による和歌山マリーナシティや田辺湾の総合リゾート開発が空港開港を目途にその姿をあらわすことになります。
 このように、県勢の活性化を図るため懸命の御努力をいただいている知事初め関係者の皆様には一層の御尽力をお願いする次第であります。
 さて、以上のように関西国際空港の建設を契機に、着実に本県の活性化が図られつつあるところですが、我が和歌山県にとって関西国際空港の波及効果を実りあるものとするために、関西国際空港における大幅な国内便の確保、とりわけ東京を初めとする国内基幹空港との路線の確保が必要であることについて、昨日の鈴木議員の質問に対して知事から「一層積極的に対処してまいる所存である」との答弁がなされておりますが、いま一歩突っ込んで質問をいたしたいと思います。
 ここでお断りしておきたいのは、私は、何も県益のみを追求して国内便の確保を言っているのではありません。関西国際空港が日本のゲートウエーになるためには、国内へのアクセスが極めて重要であります。関西国際空港からどのように国内ネットワークを張るかは、空港の機能を発揮させる上で大きなポイントになるからであります。当国内便の確保の問題につきましては、昭和六十一年九月議会における私からの質問に対して、知事から「全力を傾注する。政治生命をかける」との強い御決意を伺っております。改めて、今日までの国内便確保の具体的な取り組み状況とその見通しについてお聞かせを願います。
 さらに、国内便確保の問題とも関連しますが、全体構想推進の問題でございます。
 まず申し述べたいことは、関西国際空港は第一期工事だけでは完全な空港とは言えません。横風用の滑走路がなければ信頼のおける空港とは言いがたいと思います。滑走路にも余力が必要であり、何らかの非常時に十分対応できる能力が必要であります。三千五百メートルの滑走路一本では不十分と考えます。国際空港としての十分な機能の確保と今後の航空輸送需要の増大に適切に対応し、さらに国内便の路線確保を図るためにも、滑走路三本を有する全体構想を我が県といたしましても積極的に推進していく必要があるものと考えます。
 国及び関西国際空港株式会社では、昨年に引き続き、平成元年度予算において全体構想推進の調査費が計上されております。また大阪府においても、当問題に積極姿勢を見せ、国や会社を上回る調査費を新年度予算に盛り込むとともに、関係自治体や関西財界に呼びかけて全体構想推進協議会を結成する段取りになっております。
 我が和歌山県におきましては、関西国際空港は大阪以上に重大なプロジェクトであるとの認識を持ち、官民挙げての県独自の取り組みが必要であると考えるのであります。当初予算案において、関西国際空港全体構想推進の予算が計上されております。この問題につきましても、昨日の鈴木議員の質問に対する知事の答弁は、「その実現に最大限の努力をする」とのことでございますが、努力の仕方にもいろいろあると思います。具体的にはどのような有効な手段を講じようとお考えになっているのか、お聞かせを願いたいのであります。
 また、以上二つの国内便確保と全体構想推進の問題に間接的にかかわってくる問題ですが、現大阪空港の存廃問題がございます。
 昭和四十九年の航空審答申によれば、「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能をかわって受け持つ能力のあるものとしなければならない」とうたわれていますが、大阪国際空港周辺の自治体で組織する十一市協は、これまでの「撤去」から「存続含み」へと方針を変えており、また最近、関経連の宇野収会長は地元財界の意見として、関西国際空港の全体構想の推進と現大阪国際空港の存続、それに神戸沖空港構想の推進を三点セットで政府に要望していくことを表明しています。
 一方、昨年二月、自民党の渡辺政調会長は、現空港を廃止し、跡地四百ヘクタールを日本の商品市場の中心地にする私案を示しております。最近では、地元の泉佐野市は、運輸省と大阪府に対し現大阪空港の廃止を求める申し入れを行っています。
 このように相反する動きが出ておりますが、本県としてはこの問題についてどのように考えているのか、知事の御所見をお聞かせ願いたいのであります。
 さて、我が国初の二十四時間空港である関西国際空港の波及効果は非常に大きいものでございます。運輸省の調査によれば、建設投資に伴う生産誘発額だけで五兆円を推計されております。本県においては、経済波及効果の導入にとどまらず、広く、人・物・情報の交流を促すために必要な条件整備をさらに進めていく必要があります。中でも、道路等交通アクセスの改善が重要なファクターでございます。
 そこで、関西国際空港関連施設整備大綱に盛られた道路について、現時点における進捗状況とその完成目標年次をお尋ねいたします。
 さらに、これら事業の推進のため隘路となっている問題があればお聞かせを願いたい。
 最後に、関西国際空港と和歌山県の県益についてお伺いをいたします。
 関西国際空港の姿が工事の進捗に伴い実感となって見えてくるにつれ、大阪湾岸の自治体や民間のアイデアが華々しく打ち上げられております。本県におきましても、関西国際空港が我が和歌山県にいかなる県益をもたらすのか、さらに関西国際空港開港後の和歌山県のあすの姿はどうなるのかを県民に明確に示し、県民に夢と希望を与え、本県の活性化に向けての県民みずからの意欲を引き出すことが大切なことではないでしょうか。関西国際空港は、単に経済的な側面のみにとどまらず、文化、社会面でも本県の対応の仕方によって、はかり知れないインパクトを与えるプロジェクトであると考えます。
 そこで、関西国際空港がもたらし、また今後もたらすであろう県益は何か、さらに関西国際空港の波及効果を受けて本県をどのような姿に創造されていこうとするのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成元年度予算案について、最初に全体的見地から見た性格づけについて質問をいたしたいと思います。
 平成元年度は、昭和という激動の時代が終わり、新しい時代を迎える、いわば節目の年であります。私も、県政に携わる者の一人として、心機一転初心に立ち返って努力を惜しまぬ覚悟であり、先日の知事の提案理由説明に感銘を受けた次第であります。特に、「私たち県民の長年の念願でありました国土幹線軸との接続が間近に具体的な形となって見えてまいりました」という知事の言葉に、私も、ここが和歌山県にとって正念場であるとの感を強めたところであります。
 正念場を迎えての予算編成に少なからず期待をいたしておりましたところ、「新時代・投資重点型予算」というキャッチフレーズのもとに、知事の意気込みも感ずる予算案であるとの評価をいたしておきたいと思います。消費税は評価できませんけれども。
 ただ、この「新時代」という言い回し、単に年号が変わっただけで終わらせることはできません。何に取り組み、どこを目指すのかという理念なくして本当の新時代予算とは言えないのであります。その意味で、平成元年度予算、その性格づけは知事の政治的理念の発露でなくてはならないと思うのであります。
 さて、当局の言うところの新年度予算の特色は、一、交通産業基盤整備のための投資的事業への財源重点配分、二、ビッグプロジェクトの本格的事業化、三、産業構造の改善合理化、四、健康、福祉、教育等の新しい「ふるさと和歌山」のための施策ということになっております。
 確かに、投資的経費は土木、農林の一般公共が八・○%増、単独事業が四七・四%増とかなり大幅に伸ばされており、その結果、一般会計全体に占めるシェアは二・二ポイントアップの三五・二%というところまでふえてきております。また、ビッグプロジェクトについても、新白浜空港に五十八億円、和歌山マリーナシティに五十億円、新美術館美術品取得基金に十億円、新図書館用地購入に十億円、これらの投資的事業。問題は、それが二十一世紀に向けて県勢の活性化につながってくれるのか、県民生活の向上に寄与するのかという点であります。基盤が整備されても、その上に築かれる繁栄がなければ意味がありません。
 私は、当局が整理した四本柱のうちで重要なものは、三つ目の産業政策、そして四つ目の健康、福祉、教育等の積極的かつきめ細やかな施策によって新しい「ふるさと和歌山」を目指すことにあるものと考える次第であります。
 従来、本県の主産業と言えば、やはりかんきつを中心とする農業ということになるでしょう。それが、輸入自由化という大変厳しい試練を迎えております。また、繊維等の中小企業経営、後ほど議論いたします消費税の影響もあり、その経営にこれまた大変な苦労があるものと思います。我々百八万県民、さらにその子孫が明るく豊かに暮らしていくための産業政策、これこそ真剣に取り組まなければならない重要課題であると考えるものであります。そして、それを支える人づくり、さらに知事の言葉をおかりいたしますと、この和歌山に「生まれてよかった、住んでよかった」と思えるような社会政策、文化政策を推進するのが県政の責務でありましょう。
 やや前置きが長くなりましたが、そこで知事、あなたの編成された元年度予算の性格づけであります。「新時代・投資重点型予算」、これも大切であることはもちろんのことでありますが、知事にとって新しい「ふるさと和歌山」とは何であるのか、この予算が二十一世紀の和歌山を開く足がかりとなり得るのか、その性格について御答弁をお願いいたします。
 次に、予算の内容でありますが、先ほども申し上げたように、元年度において積極的な投資的事業、ビッグプロジェクトの本格的事業化と、大変な金額の事業が展開されるわけであります。そこで、当然のことながら、懸念せざるのを得ないのが財源問題であります。
 まず、県税収入がどうなっているのかを見ますと、二・八%の伸びとなっております。これが全国的に見てどうか。地財計画ベースで一一・一%となっております。かなり大きな格差と言わざるを得ないでしょう。
 そこで、税収の中身ではどうかを調べますと、地方間接税、これは後ほど議論いたします消費税の関係で減収はいたし方ない。また、法人関係税はそれでも一三・八%伸びている。それでは、どこがどうなって全国水準との間に格差が生じているのか、正直言って理解がしにくいのであります。仮に、法人関係税のぐあいが全国に比べ悪いということであれば、先ほど触れたような本県の産業構造の問題が絡んでくるのか、これまた相当真剣に勉強しなければならない問題であります。
 税収がそれほど伸びないにもかかわらず積極型の予算編成が要求される、その辺のところで知事の御苦労をお察しするものでありますが、結局のところ、国からの金を当てにするか借金をするしかない。具体的な手段はないのではないでしょうか。
 特に、医大の統合移転を含めたビッグプロジェクト、試算によりますと総額で事業費千五百億円を超え、しかもそれらの事業はここ十年ぐらいの間に集中してしまうということであります。先ほど申し上げた我が県の税収構造の問題、さらにそれを克服して積極的な財政運営をいかにされていくのか、中長期的視野に立った見通しを総務部長にお尋ねいたします。
 次に、消費税についてお尋ねをいたします。
 昨年十二月二十四日、消費税を柱とする税制改革六法案が自民党を除く各党の反対を押し切って国会を通過し、今四月一日から実施されることになったのであります。
 今回の税制改革は、シャウプ勧告以来の画期的な大改革だと言われておりますが、シャウプ税制創設以来、過去四十年間、毎年のように改正が行われ、総合課税制度の根幹を崩壊させ、いろいろなゆがみ、ひずみ、不公平を生じさせてきた歴史の延長線上にあるにすぎず、画期的な大改革とはとても思えないのであります。
 なぜかならば、今回の税制改革の理念は我が国の経済社会を二つの側面で認識することから出発しています。一つは、国民の所得水準が上昇かつ平準化したということ、もう一つは、社会保障水準が諸外国に比較しても劣らないものになったということ。したがって、国民に広く薄く税を負担させる体系という理念が税制調査会において打ち出されたわけでありますが、所得水準が上がったことと生活水準が上がるのはイコールではありません。地価が高騰し、サラリーマンは住宅ローンに追われ、可処分所得は決して増加しておりません。サラリーマンがまじめに一生働いて家一軒も持てないというゆがんだ社会状況の中で、広く薄くという課税方式が適切なのかどうか、大いに疑問の余地のあるところであります。
 このたびの消費税導入を柱とする税制改革は、我が党が国会審議の過程で厳しく追及したように、もともと消費税には高所得者、資産家優遇の税制となる逆進性の問題、社会的弱者と言われる人たちへの過重負担の問題、中小零細業者の価格転嫁の可能性の問題など、竹下首相みずから掲げた懸念のほか、さまざまな問題があり、今まさにそれが現実の問題として県民に降りかかるのではないかと危惧しているところであります。
 消費税そのものは国税であり、基本的には国がその対策を講じなければならないことは当然のことでありますが、県民生活に与える影響は極めて大きく、また県の財政、税収等への影響に大なるものがあると予想されますので、消費税導入に伴う県及び納税者側の諸問題とその対応について県はどのように考えているのか、以下、お尋ねをいたします。
 まず、地方財政へ与える影響でありますが、特に問題は、地方自治体の課税権が縮小され、財政面の地方の努力、自立の道を失わせてしまうということであり、その補てんとして消費税の五分の一相当額を消費譲与税として地方に譲与するとともに、地方交付税の対象に消費税を加えることとしていますが、消費税の導入を余りにも急いだ結果、その実施については六カ月の弾力運用を余儀なくせざるを得ないことになり、そのしわ寄せが地方財政を圧迫し、歳入欠陥が生じるのではないかと懸念されるところであります。どのようなお考えか、御答弁を願います。
 次に、消費税導入に伴う地方税制の改正について、所得課税及び既存間接税の調整はどのように図られたのか、またその税収はどうなるのか、主な税目ごとに御説明をいただきたいと思います。
 次に、公共料金への消費税上乗せの問題であります。
 県当局は、公営住宅の家賃、各種県有施設の使用料等について、消費税を最終消費者に転嫁するとの観点から三%一律上乗せするとの方針がとられているが、東京都等他県においては、特に公営住宅家賃を据え置くとのことであります。この問題については、我々公明党は、消費税の導入に係る議論においてその導入自体に厳しい反対姿勢で臨んできたこと、かつ成立を見た後においてもその影響等に重大懸念があることを指摘してきていることから、慎重に対応すべきであるとの立場をとるものであります。
 そこで今日は、問題を整理し再検討を求める観点から、次の三点について質問をしたいと考えます。
 まず第一点は、そもそも公共料金であることから、政策的に低料金にすべきではないかという点であります。当局の説明を信ずるとすれば、公営住宅事業に必要な歳出において県は消費税を負担しており、それが家賃に上乗せされる消費税額と同額とみなされているが、仮に上乗せしない場合には、公営住宅入居者のかわりに県民全体が公営住宅事業に必要な消費税を負担することになるとのことであります。ただ、建設省も「低所得者に低廉な家賃で」との立場をとっている以上、理論的に県民全体の負担となるわけでありますが、政策的見地から弱者にしわ寄せをしないという立場をとるのか、さらに、上乗せすることにより入居者の負担能力を超えるという問題が生じた場合、公営住宅の目的に反することになりますけれども、土木部長の見解を求めるものであります。
 第二には、経営努力等により値下げした上で転嫁を行い、結果として料金を据え置く、つまり東京都のような取り計らいができないのかという点であります。冗費となっているものを今までにも増して厳しく節減し、それによって消費税分を捻出することができれば入居者にとって負担にならないし県民全体の負担にもならないと思うが、その可能性はいかがなものか、土木部長に答弁を願います。
 第三点として、そもそも消費税制度自体、我が国国民、和歌山県民にとって真新しいものであり、いざ実施と言われても、その対応について戸惑うばかりであります。昨年末に成立、そして本年四月一日の実施というのはそもそも性急な取り扱いであり、国民、県民に対する新税制の説明、普及がいかにも不十分であると言わざるを得ません。いわゆる公共料金の値上げについても、何がしかの周知徹底期間を置く必要があるのではないかと考える次第であります。今回の値上げの実施時期を柔軟に考える余地はないのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、消費税には避けて通れない逆進性の問題とその対応についてお尋ねいたしたいと思います。
 政府広報によれば、このたびの改革では所得税、個人住民税の税率引き下げ、各種控除の引き上げにより大幅な減税が行われ、サラリーマンの九割以上を占める年収八百万以下の人にとっては標準的な世帯で二○%以上の大幅な減税、消費税を入れてもサラリーマン世帯の負担は軽くなっていると報じています。しかし、これは比較的恵まれたサラリーマンにとってはある程度言えることかもしれませんが、いわゆる低所得者層、特に非課税世帯にとっては減税の及びようがありません。消費税の負担だけが降りかかる厳しい条件にさらされることになるわけであります。さらに、生活保護世帯、在宅福祉を要する世帯などの真に手を差し伸べるべき人々に対しては、きめ細かい対応策が必要と考えます。
 政府は、社会的弱者と言われる人たちに過重な負担を強いる懸念については政策的歳出の中で中和できるとしていますが、どのような対策が講じられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 次に、消費税が果たして価格に転嫁できるかどうかということについてお尋ねいたします。
 消費税は、消費一般に広く薄く負担を求めることが趣旨である以上、消費者がその最終的な負担者となる間接税であり、スムーズな価格転嫁が前提として成り立つものでありますが、厳しい競争下に置かれている中小零細業者にとって、価格競争力確保のためには必然的に消費税分を自己負担しなければならないことになるのではないでしょうか。これは我慢のできる問題ではない。中小零細業者の存亡をも左右する問題となることであります。どのような対策を講じられるのか、お尋ねをいたします。
 ある小さな商売人の話を紹介いたします。「政府の広報資料のパンフレットには、『消費税は、簡素で中小企業者の事務負担に配慮した仕組みになっております』という説明がされていたが、税務署の消費税の説明会に出席して説明を聞くと、簡素どころか複雑で、帳簿から簡単に申告書が作成できるようにはなっていない。売り上げについては、消費税の課税対象となる売り上げか、課税対象外となる売り上げか、さらに課税対象売り上げは非課税売り上げか、課税売り上げか等を区別する必要があり、仕入れ等の経費については、簡易課税方式を選択すると不利となる我々の業種については仕入れ税額控除の種々の方法のどの方法を選択するか等々、なかなか簡単には結論を出すのが難しい問題ばかりで、政府が帳簿方式で簡素化したと広報しているのは欺瞞ではないか」と言うのであります。
 このように、中小業者の多くは消費税の納税事務について説明を聞いてかえって不安を感じ、わからなくなったと言っております。どのような対策をお考えになっているのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、関西国際空港についての国内便確保の問題でございます。
 御指摘ございましたように、関西国際空港は、ただ和歌山県の国内便確保というだけではなしに日本の基幹空港としての機能を十分発揮すべきものだということ、もちろんでございまして、そうした点から私たちは国内便の確保について機会あるごとに、関西国際空港会社はもちろんのこと、国に対して強く訴えておるところでございます。県議会の皆さんにも大変御厄介になって、関西国際空港対策特別委員会等においても大変お骨折りをいただいておるところでございます。また近畿の知事会議においても、一致して国内便確保ということについて努力しているわけでございます。
 現在、関西国際空港会社の計画は、国際、国内の基幹空港であるとの空港機能の面から、また採算性の面からも国内線の機能が発揮できる計画になっておると聞いておるわけでございます。今後、国、航空会社等に対して、国内便の大幅な確保が図られるように、なお一層積極的に努めてまいる所存でございます。
 また、お話ございましたように、こうした面からも全体構想の推進がぜひ必要である、ごもっともでございまして、そうした面について十分配慮しておるわけでございます。しからば、その全体構想を推進するについていかなることをするかということでございます。
 昨日も鈴木議員にお答えいたしましたとおり、県外、関西の皆さん方にお願いするとともに、県内においても政府、また関西国際空港会社に対して全体構想をなお一層積極的に進めていただく。現在の関西国際空港に対する対策については、会社に対して責任を持たすような形の国の政策もございます。そうした面を打ち破るために、市町村の議会からの決議、並びに各経済団体からの御支援、そうした面においても格段の御支援をお願いしていかなければならないんではないかと思っておるわけでございます。
 次に、大阪国際空港の存廃問題でございます。
 お話もございましたように、伊丹周辺の協議会がかつては廃止を言っておったわけでございますけれども、現在、軌道修正をしつつある情勢の中でございます。そしてまた、国の航空審議会において、さきに関西国際空港をつくるに当たりまして、廃止を前提として建設するということが盛られておったのでございます。また、大阪空港の存廃については関西国際空港の開港時までに存廃の結論を出すということになっておりまして、現在、大阪国際空港に関する調査が進められておる段階でございまして、非常に重要な時期でございます。私といたしましても、重大な関心を寄せているところでございます。
 それから、関西国際空港と県益、また将来像についての御質問でございます。
 関西国際空港に寄せる本県の期待は、何といいましても、国際化、情報化、臨空圏域化という大きな時代の流れの中で、国際軸、国土軸に直結して半島性を解消していく交通基盤の整備であり、また本県産業構造の高度化、多角化でございます。
 将来の本県の姿は、空港、道路等の交通基盤の整備によって半島性が解消されまして、新規産業の立地、地場産業の高度化、農林水産業の振興などにより均衡のとれた産業構造が実現され、また本県固有の自然や伝統文化を活用したリゾート地として発展した県であると考えておるわけでございます。
 現在、四月搬出を目途に進めている加太の土取り、和歌山マリーナシティの建設、近大の進出、二十数社に上る企業立地、あるいは近畿自動車道に代表される府県間道路の整備などによりまして、空港がもたらす数々の波及効果が現状でもあらわれているところでございます。
 今後、関西国際空港の本県への波及効果をさらに拡大するためにも、先ほど申しました全体計画の実現を図るとともに、県内の数々のプロジェクトの整備をより一層強力に推進しまして、大きな夢の持てる、そしてまた県民が豊かさを享受できる、国内外に誇れる和歌山県を実現するように取り組んでまいる所存でございます。
 次に予算の問題で、知事にとって新しい「ふるさと和歌山」とは何か、今度の予算で実現の足がかりとなり得るかどうかということでございます。
 私にとっての新しいふるさとは、とりもなおさず、県民すべての皆さんが生き生きと暮らせる活力のある和歌山でございまして、その活力の源を育て、確固たるものにするというのが県政の責務であると考えているところでございます。
 活力の源の重要な一つとして産業の発展があるのは、議員御指摘のとおりでございます。さらに、社会状況の推移、我が県の特色を活用した新しい産業政策として、リゾート産業の振興に一層力を入れることも大変重要であると考えておるわけでございます。これらの活発な産業活動の中で、豊かさはもちろんのことでございますけれども、生きがいのある暮らしができるものと考え、そのための基盤整備として、投資的事業にも財源の重点配分を行ったところでございます。
 さらに、本当の意味で活力ある和歌山とするためには、県民の皆さんが健康でなければならないのはもちろんのこと、老後の心配もなく、またすべての人が社会参加できるような福祉社会でなければなりません。同時に、潤いのある生活ができる文化的な環境、そしてすべての活力を支える人づくりが新しいふるさとづくりに不可欠であると考えておるわけでございます。
 こうした観点から、本予算において新規を含めて所要の施策を積極的に講じているところであり、この予算が皆さん方、そして我々の今までの努力の成果の上に新しいふるさとを実現する足がかりとなり得るものと確信している次第でございます。
 次に、消費税の問題でございます。
 使用料等の改定時期を柔軟に考える余地はないかという点でございます。
 消費税が本年四月一日から実施されるということは、当然のことながら四月一日から適正な転嫁が行われることを前提としておるわけでございまして、今回の使用料等の改定もこの趣旨に沿うものであります。ただ、議員が御指摘のとおり、我が国にとりましてなじみの薄い消費税が一日も早く普及し、スムーズにその定着が図られる必要がございます。そうした意味から、県としても指導、啓発に努めてまいらなければならないものと考えておるところでございます。
 他の問題については部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港の全体構想推進への取り組みにつきましてお答えを申し上げます。
 全体構想につきましては、国、関西国際空港会社において本年に引き続き平成元年度も調査を進めることになってございますが、先ほど知事答弁にもございましたように、その具体化のためには関西において官民挙げて国、関西国際空港会社を支援していく運動を盛り上げていくことが必要であると考えてございます。そのため県といたしましては、行政だけでなく民間団体等、広い範囲による県内の推進組織を結成いたしまして、本県の一体としての取り組み姿勢を県内外に示すとともに、関西における組織づくりを初め、その推進についても、大阪府等と協力しながら積極的にその役割を果たしてまいる所存でございます。
 今後とも、県議会を初め県民の皆様方の格段の御指導、御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 関西国際空港問題に関連して、整備大綱に盛られた道路の進捗状況と完成目標年次、その達成への隘路となるものは何かということについてお答えを申し上げます。
 関西国際空港関連施設整備大綱に盛り込まれた道路は、県内で九路線あります。このうち、空港開港時を目途に整備を図ることとしているのが三路線あります。まず、国道二十四号の和歌山バイパスの進捗率は現在約七○%となっており、関西国際空港開港時に供用できる予定であります。また、県道岬加太港線及び県道粉河加太線の加太地内については、一部区間で用地買収が難航しており、現在、鋭意交渉中でございます。
 次に、整備を図ることとしているのが四路線あります。このうち県道泉佐野岩出線については、早期に四車線化の都市計画決定を行うべく作業中であり、現在、用地買収にも着手したところでございます。また泉佐野打田線については、昭和六十二年度に概成しました。西脇山口線については、関空開港時までに暫定二車線で供用できるよう用地交渉を鋭意行っております。市駅小倉線については、現在、用地交渉を行っており、関空開港時までにJRの立体交差の完成を目指しております。
 次に、事業の具体化を図る道路として二路線あります。まず第二阪和国道については、県内部分四・七キロメーターのうち二・二キロメーターは和歌山北バイパスとして昭和六十三年度に事業化され、平成元年度から用地買収に着手する予定にしております。また泉大津粉河線については、平成元年度に府県間部分の長大トンネルを含む区間のルートの決定ができるよう調査を進めることとしております。
 次に、事業執行の隘路につきましては、これらの事業を目標どおりに進めるには、まず用地関係者の方々の協力を得ることが何より肝要と考えております。今後とも、地元関係者の協力が得られるよう一層の努力を重ね、早期整備に努めてまいります。
 次に、消費税導入に伴う公営住宅家賃の取り扱いについて、公営住宅法の趣旨と上乗せすることによる入居者の負担能力についてでございます。
 家賃決定に当たっては、従来から公営住宅法の趣旨を踏まえ、入居者の負担限度を超えることのないよう十分な配慮をしてきたところでございます。その結果として、現在の県営住宅の家賃は、公営住宅法に定められている家賃限度額の八五%の水準であります。また、建設省の見解といたしましては、消費税は最終的にはその負担を消費者に転嫁することを予定している税であり、近々改定が予定されているもの以外は四月一日実施は避けられないとしております。
 県といたしましては、これまで知事が答弁いたしました消費税の趣旨から、県営住宅家賃のみを例外とすることは考えられませんが、消費税導入により家賃負担能力を超える入居者の方々につきましては、和歌山県営住宅管理条例の規定に準じ、個別に家賃の減免、徴収猶予の措置を講ずることも検討してまいることとしております。
 次に、経営努力等によって現行家賃を下げることにより、家賃の値上げをしないで転嫁する方策についてでございます。
 県営住宅は県民の貴重な財産であり、良好な状態で次の代に引き継がれるべきであり、本県としても最大限の経費節減に努め、機能の低下につながらないよう緊急度の高い住宅から計画的補修を実施してきたところでございます。今後とも快適な住環境づくりを推進していくためには、これ以上の歳出の減は住宅管理に支障を来すものと考えられることから、入居者に御負担をお願いするものであります。
 今後とも、入居者の方々に満足していただけるような適正な管理を行うとともに、良質な住宅の確保のために一層の努力をしてまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 本県の税収構造の問題についてでございます。
 当初予算における県税の伸びが、今回の地方間接税の制度改正等による影響はあるものの、地方財政計画に比べ、極めて低いものとなっております。我が国の産業構造は急激に変化しておりまして、加工組み立て型産業や住民の生活に密着した第三次産業のウエートが上昇しているところでございます。ところが本県においては、例えば製造業の中に占める加工組み立て型産業の構成比を見ますと、全国平均は四○・八%となっておりますが本県は八・七%というわけで、産業構造の高度化がおくれている現状にございます。今後は、これら加工組み立て型産業の積極的な導入を図るなど、地域経済構造の高度化、多角化に向けて努力していく必要があるものと考えております。
 このため、今回の予算編成においても重要課題への重点投資に努めたところでございますが、今後とも事務事業の見直し等、行財政改革にも積極的に取り組み、より一層効率的な財政運営が図れるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、消費税の弾力運用による影響がどの程度あるのかという御質問でございます。
 この弾力運用の内容については、一つは、平成元年三月三十一日までに税務署へ提出することとされている書類を九月三十日までに期限延長すること、例えば、非課税業者、免税業者の選択等について届け出書類の期限を延長する、二番目に平成元年九月三十日までは現在の勘定科目のままで消費税を計算し得るような措置、三番目にことしの九月三十日までに申告期限が到来する事業者、つまり決算終了後二カ月となっておるわけですが、それについては例外を設けてその申告期限をこの九月三十日まで延長するという措置になっておるわけでございます。
 これらの措置によりまして、消費税の税収に大きな影響が生じるものではございませんので、地方譲与税や地方交付税については地方財政計画で予定された歳入は確保できるものと考えておりまして、弾力運用による歳入欠陥のおそれはないものと考えているところでございます。
 二番目に、消費税導入に伴う地方税制の改正内容という御質問でございます。
 消費税導入に伴う所得課税と既存間接税の調整については、まず県税について主な内容を申し上げますと、個人県民税について税率構造の緩和と基礎控除、配偶者控除の引き上げによる所得課税が減税されております。また、今までございました間接税の娯楽施設利用税については、課税対象をゴルフ場だけにし、マージャン、パチンコ等を廃止し、かつ税率を下げました。したがいまして、名前がゴルフ場利用税に変わります。大体千百円程度だったものが八百円程度に下がるというような改正になっております。
 三番目に、料理飲食等消費税については、従前一○%の税率だったわけですが、これを百分の三──三%の税率に下げまして、免税点を宿泊については五千円から一万円に、一万円以下の宿泊については免税にする、それから飲食についても、従前、免税点が二千五百円だったんですが、五千円に引き上げて全業種に適用し、名称を特別地方消費税に変更するなどの調整を図ったところでございます。
 この結果、税収につきましては、平成元年度で個人県民税で約十五億円の減、娯楽施設利用税で約五億円の減、料理飲食等消費税で約三十億円の減というように、合計で五十億円の減税となっているところでございます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 消費税の導入に伴う生活保護世帯等への対策についてお答えいたします。
 まず生活保護につきましては、国民の生活動向、社会経済状況を勘案して生活保障の基準が設定されるものでございます。今回の消費税の導入に際し、被保護世帯への影響を十分に留意の上、最低生活を保障すべき基準は、昨年は一・二%の上昇でございましたけれども、従来の物価上昇等を加味し、来年度から新たに導入される消費税も含めて四・二%アップの改定がなされることとなってございます。
 また、社会福祉施設入所者の費用負担については、消費税の導入によりコストアップが生じますが、これを理由とした自己負担額の費用徴収基準額の増額は行わないことになってございます。
 なお、消費税の導入に伴う低所得者層の方々に対する対策でございますが、生活保護受給者や老齢福祉年金、児童扶養手当、特別障害者手当などの受給者に対し一万円、さらに在宅寝たきり老人の方々には五万円をそれぞれ支給するため、現在、事務作業を進めているところであります。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 消費税導入に伴う中小企業対策についてお答え申し上げます。
 御質問の小規模事業者の消費税関係については、昨日、貴志議員にもお答え申し上げたところでございますが、課税売上額三千万円以下の免税事業者でありましても、仕入れ段階で転嫁されている消費税については次の売却先に転嫁する必要がございます。こうした小規模事業者の消費税の転嫁については、転嫁しやすいように転嫁カルテルを結成して行うことができるようになってございます。
 さらに、下請中小企業者の消費税の転嫁に伴いまして、下請代金の減額や買いたたきなど下請代金法に違反するおそれのある行為、親企業からの仕入れ価格の一方的な設定あるいは値引きなど独占禁止法に違反するおそれのある行為を防止するために、現在、公正取引委員会の指導のもとに周知徹底を図っているところでございます。
 消費税の実施に当たりましては、これは新しい税制でありますので、事業者にとっても疑問や不安があるのは当然でございます。したがいまして、このための講習会や研修会の開催など、啓発活動を県下各地で実施をいたしまして、その周知徹底を図っているところでございます。
 また、消費税の転嫁に関する課税計算、会計処理、簡易課税方式など、事業者の疑問点に答えるために専門相談事業を実施することといたしてございます。
 今後とも、小規模事業者の消費税の転嫁が円滑に行えるよう、関係機関と連携をとりながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 46番渡辺 勲君。
○渡辺 勲君 時間がございませんので、簡単に再質問をいたしたいと思います。
 まず、国内便の確保問題でございますけれども、この問題に対しては現大阪国際空港の存廃問題に重要な関連性がございます。この問題に対する各界の現段階の動きを見ておりますと、既に政治的な綱引きの状況の中に至ってきたというふうに見るべきであろうかと思うんです。
 ただいま知事の方から、国や近畿知事会議において国内便確保の積極的な発言をされておるというふうな御答弁があったわけでございますけれども、事ここに至りました段階では、やはり県民の世論を背景にして和歌山県の立場というものを明確に示さなければならない時期に来ているんじゃなかろうかと私は思うんです。
 ただいま、航空審議会の答申で一定の方向が示されていると認識しておると、こういう御答弁でございました。私は、現大阪国際空港の廃止を前提とすることが関西国際空港を建設する大前提であると、これは「一定の方向」ではなくて「基本的な方向」であるというふうに認識をしてきたわけでございます。
 したがって、現大阪国際空港が存続されることになりますと、物理的に関空の国内便の確保が難しくなるということはもう周知の事実ではないかと思うんです。ですから、その動向を見きわめながら適切な対処をするということですが、その動向が見きわめられたときにはもう遅いんじゃないか、私はこのように思うんです。開港時までに結論を出すということを待っておっては遅いんではないか、今、和歌山県は国内便確保のためのアクションを起こさなければならない時期に来ているんじゃないか、こう思うんです。
 そこで、昨年の十二月二十八日に、泉佐野市の向江市長が国と大阪府に対して「新空港の建設は、現在の大阪国際空港の廃止が大前提のはずである。現空港が存続すれば新空港の利用客は半減し、地元は通過都市になってしまう」、こう申し入れております。この泉佐野市長の向江さんの発言を支持されますかどうですか、再答弁をお願いいたします。
 次に、消費税の問題でございます。
 一方で、県の活性化を主張し、積極的な予算を求めながら、歳入の部分で消費税が入っているから反対だと。これ、こちらも多少矛盾を感じながら質問をしておるわけでございますけれども。
 新しい制度あるいは政策というものは、今、善でも十年後に悪になる、また今、悪でも十年後に善になるという場合もありますから断定できない部分もありますが、現時点ではこの消費税は大悪税というふうに世論が巻き起こっております。国に対して抗議をする意味において、反対を明確に表明しておきたいと思います。
 時間が来ましたので、終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答えします。
 大阪国際空港の存続問題についての和歌山県の考え方、同感でございまして、私もそのための重要な認識を持っておるわけでございます。泉佐野市長の答弁と私は同感でございまして、かねてから機会あるごとにそのことを私も申しております。
○議長(西本長浩君) 発言時間が終了いたしましたので、以上で渡辺勲君の質問が終了いたしました。

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