平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

 平成元年 和歌山県議会二月定例会会議録 第 三 号
 
 三月 九日 (木曜日) 午前十時 四分 開議
  午後一時三十八分 散会
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議 事 日 程 第三号
  平成元年三月九日(木曜日)
  午前十時開議
 第一 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
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本日の会議に付した事件
 第一 議案第一号から議案第八十三号まで並びに報第一号及び報第二号(質疑)
 第二 一般質問
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出 席 議 員(四十三名)
 1 番 井 出 益 弘 君
 2 番 和 田 正 一 君
 3 番 町 田 亘 君
 4 番 中 村 利 男 君
 5 番 山 本 一 君
 7 番 岡 本 保 君
 8  番 鈴 木 俊 男 君
 9 番 阪 部 菊 雄 君
 11 番 平 越 孝 哉 君
 12 番 大 江 康 弘 君
 13 番 中 西 雄 幸 君
 14 番 橋 本 進 君
 15 番 古 田 新 蔵 君
 16 番 浦 武 雄 君
 17 番  堀 本 隆 男 君
 18 番 宇治田   栄 蔵 君
 19 番 下 川 俊 樹 君
 20 番 石 田 真 敏 君
 21 番 木 下 秀 男 君
 22 番 中 村 隆 行 君
 23 番 藁 科 義 清 君
 25 番 尾 崎 要 二 君
 26 番  那 須 秀 雄 君
 27 番 木 下 義 夫 君
 28 番 上野山 親 主 君
 30 番 尾 崎 吉 弘 君
 31 番 西 本 長 浩 君
 32 番 岸 本 光 造 君
 33 番 松 本 貞 次 君
 34 番  浜 本  収 君
 35 番 和 田 正 人 君
 36 番 浜 口 矩 一 君
 37 番 山 崎 幹 雄 君
 38 番 貴 志 八 郎 君
 39 番 田 中  実三郎   君
 40 番 森 利 一 君
 41 番 村 岡  キミ子   君
 42 番 森 本 明 雄 君
 43 番 中 村 博 君
 44 番 中 村 千 晴 君
 45 番 小 林 史 郎 君
 46 番 渡 辺 勲 君
 47 番 藤 沢 弘太郎 君
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欠 席 議 員(四名)
 6 番 宗 正 彦 君
 10 番 部 矢 忠 雄 君
 24 番 門 三佐博 君
 29 番 平 木 繁 実 君
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説明のため出席した者
 知 事 仮 谷 志 良 君
 副知事 西 口 勇 君
 出納長 梅 田 善 彦 君
 知事公室長 市 川 龍 雄 君
 総務部長 斉 藤 恒 孝 君
 企画部長 川 端 秀 和 君
 民生部長 高 瀬 芳 彦 君
 保健環境部長 尾 嵜 新 平 君
 商工労働部長 花 岡 弘 君
 農林水産部長 安 田 重 行 君
 土木部長 松 永 安 生 君
 企業局長 吉 井 清 純 君
 以下各部次長・財政課長 
 教育委員会委員長
 上 野 寛 君
 教育長 高 垣 修 三 君
 以下教育次長
 公安委員会委員長
 築 野 政 次 君
 警察本部長 津 和 孝 亮 君
 以下各部長
 人事委員会委員長
 寒 川 定 男 君
 人事委員会事務局長
 代表監査委員 宮 本 政 昭 君
 監査委員事務局長
 選挙管理委員会委員長
 浜 崎 浩 洋 君
 選挙管理委員会書記長
 地方労働委員会事務局長
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 山 本 恒 男
 次 長 倉 本 辰 美
 議事課長 栗 本  貞 信
 議事課副課長 中 西 俊 二
 議事班長 荻 野 薫
 議事課主査 松 谷 秋 男
 議事課主事 石 井 卓
 総務課長 神 谷 雅 巳
 調査課長 西 村 明
 (速記担当者)
 議事課主査 吉 川 欽 二
 議事課速記技師 鎌 田 繁
 議事課速記技師 中 尾 祐 一
 議事課速記技師 保 田 良 春
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 午前十時四分開議
○議長(西本長浩君) これより本日の会議を開きます。
○議長(西本長浩君) 日程第一、議案第一号から議案第八十三号まで、並びに知事専決処分報告報第一号及び報第二号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 46番渡辺 勲君。
 〔渡辺 勲君、登壇〕(拍手)
○渡辺 勲君 質問に先立ちまして、一昨日、痛ましい交通事故の犠牲になられました佐竹交通部長の御冥福を、心よりお祈り申し上げます。
 それでは、順次、質問に移りたいと思います。
 まず最初に、関西国際空港問題につきましてお尋ねをいたします。
 関西国際空港が着工されて以来、本年一月二十六日をもって、はや満二年を迎えたことになります。昨年十二月には空港を縁取る護岸が完成し、多くの県民が熱い期待を抱いてきた関西国際空港の輪郭が泉州沖の海上に浮かび上がってまいりました。また、昨年の暮れには旅客ターミナルのコンぺが実施され、イタリア人の著名な建築家によるデザインに決定されたと聞いております。美しい曲線を描く、いきなスタイリングの旅客ターミナルが、四年後には我々和歌山県民をお隣のよき客人として迎えてくれていることでありましょう。
 今さら申し上げるまでもなく、関西国際空港は、関西の浮揚と我が和歌山県の新たな創造を目指し、官民挙げて推進してきた大プロジェクトであり、私も県議会の一員としてその実現に期待をしてきたものでありますが、幾多の議論を経て、現時点ではその必要性は共通の認識として確立されているものと思います。本年四月には、加太地域からいよいよ埋立土砂の搬出も開始されようとしています。
 これまで和歌山県は、地理的条件による制約上、国土軸から遠く隔たり、和歌山市は中央から一番遠い県庁所在地であるとさえ言われてきましたが、関西国際空港はそんな言葉を過去のものとして追いやってくれる期待が込められております。今、時代は、ハードからソフトへ、効率至上の社会からゆとりと潤いを求める社会へと変革しています。関西国際空港の開港を機に、古き歴史と自然に恵まれた和歌山県の出番がいよいよめぐってきたと申し上げても過言ではないと思います。
 関西国際空港の建設を契機に、第二阪和国道や近畿自動車道の整備に加え、阪和線、紀勢本線の新大阪駅乗り入れによる国土軸との直結、それに府県間道路の整備が進展しております。また、松下電器を初めとする企業誘致や近畿大学の立地が進められています。加太地区の広大な土取り跡地に、コスモパーク加太計画として新しい町づくりが進められようとしています。さらに、民活導入による和歌山マリーナシティや田辺湾の総合リゾート開発が空港開港を目途にその姿をあらわすことになります。
 このように、県勢の活性化を図るため懸命の御努力をいただいている知事初め関係者の皆様には一層の御尽力をお願いする次第であります。
 さて、以上のように関西国際空港の建設を契機に、着実に本県の活性化が図られつつあるところですが、我が和歌山県にとって関西国際空港の波及効果を実りあるものとするために、関西国際空港における大幅な国内便の確保、とりわけ東京を初めとする国内基幹空港との路線の確保が必要であることについて、昨日の鈴木議員の質問に対して知事から「一層積極的に対処してまいる所存である」との答弁がなされておりますが、いま一歩突っ込んで質問をいたしたいと思います。
 ここでお断りしておきたいのは、私は、何も県益のみを追求して国内便の確保を言っているのではありません。関西国際空港が日本のゲートウエーになるためには、国内へのアクセスが極めて重要であります。関西国際空港からどのように国内ネットワークを張るかは、空港の機能を発揮させる上で大きなポイントになるからであります。当国内便の確保の問題につきましては、昭和六十一年九月議会における私からの質問に対して、知事から「全力を傾注する。政治生命をかける」との強い御決意を伺っております。改めて、今日までの国内便確保の具体的な取り組み状況とその見通しについてお聞かせを願います。
 さらに、国内便確保の問題とも関連しますが、全体構想推進の問題でございます。
 まず申し述べたいことは、関西国際空港は第一期工事だけでは完全な空港とは言えません。横風用の滑走路がなければ信頼のおける空港とは言いがたいと思います。滑走路にも余力が必要であり、何らかの非常時に十分対応できる能力が必要であります。三千五百メートルの滑走路一本では不十分と考えます。国際空港としての十分な機能の確保と今後の航空輸送需要の増大に適切に対応し、さらに国内便の路線確保を図るためにも、滑走路三本を有する全体構想を我が県といたしましても積極的に推進していく必要があるものと考えます。
 国及び関西国際空港株式会社では、昨年に引き続き、平成元年度予算において全体構想推進の調査費が計上されております。また大阪府においても、当問題に積極姿勢を見せ、国や会社を上回る調査費を新年度予算に盛り込むとともに、関係自治体や関西財界に呼びかけて全体構想推進協議会を結成する段取りになっております。
 我が和歌山県におきましては、関西国際空港は大阪以上に重大なプロジェクトであるとの認識を持ち、官民挙げての県独自の取り組みが必要であると考えるのであります。当初予算案において、関西国際空港全体構想推進の予算が計上されております。この問題につきましても、昨日の鈴木議員の質問に対する知事の答弁は、「その実現に最大限の努力をする」とのことでございますが、努力の仕方にもいろいろあると思います。具体的にはどのような有効な手段を講じようとお考えになっているのか、お聞かせを願いたいのであります。
 また、以上二つの国内便確保と全体構想推進の問題に間接的にかかわってくる問題ですが、現大阪空港の存廃問題がございます。
 昭和四十九年の航空審答申によれば、「新しい空港は、大阪国際空港の廃止を前提として、同空港の機能をかわって受け持つ能力のあるものとしなければならない」とうたわれていますが、大阪国際空港周辺の自治体で組織する十一市協は、これまでの「撤去」から「存続含み」へと方針を変えており、また最近、関経連の宇野収会長は地元財界の意見として、関西国際空港の全体構想の推進と現大阪国際空港の存続、それに神戸沖空港構想の推進を三点セットで政府に要望していくことを表明しています。
 一方、昨年二月、自民党の渡辺政調会長は、現空港を廃止し、跡地四百ヘクタールを日本の商品市場の中心地にする私案を示しております。最近では、地元の泉佐野市は、運輸省と大阪府に対し現大阪空港の廃止を求める申し入れを行っています。
 このように相反する動きが出ておりますが、本県としてはこの問題についてどのように考えているのか、知事の御所見をお聞かせ願いたいのであります。
 さて、我が国初の二十四時間空港である関西国際空港の波及効果は非常に大きいものでございます。運輸省の調査によれば、建設投資に伴う生産誘発額だけで五兆円を推計されております。本県においては、経済波及効果の導入にとどまらず、広く、人・物・情報の交流を促すために必要な条件整備をさらに進めていく必要があります。中でも、道路等交通アクセスの改善が重要なファクターでございます。
 そこで、関西国際空港関連施設整備大綱に盛られた道路について、現時点における進捗状況とその完成目標年次をお尋ねいたします。
 さらに、これら事業の推進のため隘路となっている問題があればお聞かせを願いたい。
 最後に、関西国際空港と和歌山県の県益についてお伺いをいたします。
 関西国際空港の姿が工事の進捗に伴い実感となって見えてくるにつれ、大阪湾岸の自治体や民間のアイデアが華々しく打ち上げられております。本県におきましても、関西国際空港が我が和歌山県にいかなる県益をもたらすのか、さらに関西国際空港開港後の和歌山県のあすの姿はどうなるのかを県民に明確に示し、県民に夢と希望を与え、本県の活性化に向けての県民みずからの意欲を引き出すことが大切なことではないでしょうか。関西国際空港は、単に経済的な側面のみにとどまらず、文化、社会面でも本県の対応の仕方によって、はかり知れないインパクトを与えるプロジェクトであると考えます。
 そこで、関西国際空港がもたらし、また今後もたらすであろう県益は何か、さらに関西国際空港の波及効果を受けて本県をどのような姿に創造されていこうとするのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成元年度予算案について、最初に全体的見地から見た性格づけについて質問をいたしたいと思います。
 平成元年度は、昭和という激動の時代が終わり、新しい時代を迎える、いわば節目の年であります。私も、県政に携わる者の一人として、心機一転初心に立ち返って努力を惜しまぬ覚悟であり、先日の知事の提案理由説明に感銘を受けた次第であります。特に、「私たち県民の長年の念願でありました国土幹線軸との接続が間近に具体的な形となって見えてまいりました」という知事の言葉に、私も、ここが和歌山県にとって正念場であるとの感を強めたところであります。
 正念場を迎えての予算編成に少なからず期待をいたしておりましたところ、「新時代・投資重点型予算」というキャッチフレーズのもとに、知事の意気込みも感ずる予算案であるとの評価をいたしておきたいと思います。消費税は評価できませんけれども。
 ただ、この「新時代」という言い回し、単に年号が変わっただけで終わらせることはできません。何に取り組み、どこを目指すのかという理念なくして本当の新時代予算とは言えないのであります。その意味で、平成元年度予算、その性格づけは知事の政治的理念の発露でなくてはならないと思うのであります。
 さて、当局の言うところの新年度予算の特色は、一、交通産業基盤整備のための投資的事業への財源重点配分、二、ビッグプロジェクトの本格的事業化、三、産業構造の改善合理化、四、健康、福祉、教育等の新しい「ふるさと和歌山」のための施策ということになっております。
 確かに、投資的経費は土木、農林の一般公共が八・○%増、単独事業が四七・四%増とかなり大幅に伸ばされており、その結果、一般会計全体に占めるシェアは二・二ポイントアップの三五・二%というところまでふえてきております。また、ビッグプロジェクトについても、新白浜空港に五十八億円、和歌山マリーナシティに五十億円、新美術館美術品取得基金に十億円、新図書館用地購入に十億円、これらの投資的事業。問題は、それが二十一世紀に向けて県勢の活性化につながってくれるのか、県民生活の向上に寄与するのかという点であります。基盤が整備されても、その上に築かれる繁栄がなければ意味がありません。
 私は、当局が整理した四本柱のうちで重要なものは、三つ目の産業政策、そして四つ目の健康、福祉、教育等の積極的かつきめ細やかな施策によって新しい「ふるさと和歌山」を目指すことにあるものと考える次第であります。
 従来、本県の主産業と言えば、やはりかんきつを中心とする農業ということになるでしょう。それが、輸入自由化という大変厳しい試練を迎えております。また、繊維等の中小企業経営、後ほど議論いたします消費税の影響もあり、その経営にこれまた大変な苦労があるものと思います。我々百八万県民、さらにその子孫が明るく豊かに暮らしていくための産業政策、これこそ真剣に取り組まなければならない重要課題であると考えるものであります。そして、それを支える人づくり、さらに知事の言葉をおかりいたしますと、この和歌山に「生まれてよかった、住んでよかった」と思えるような社会政策、文化政策を推進するのが県政の責務でありましょう。
 やや前置きが長くなりましたが、そこで知事、あなたの編成された元年度予算の性格づけであります。「新時代・投資重点型予算」、これも大切であることはもちろんのことでありますが、知事にとって新しい「ふるさと和歌山」とは何であるのか、この予算が二十一世紀の和歌山を開く足がかりとなり得るのか、その性格について御答弁をお願いいたします。
 次に、予算の内容でありますが、先ほども申し上げたように、元年度において積極的な投資的事業、ビッグプロジェクトの本格的事業化と、大変な金額の事業が展開されるわけであります。そこで、当然のことながら、懸念せざるのを得ないのが財源問題であります。
 まず、県税収入がどうなっているのかを見ますと、二・八%の伸びとなっております。これが全国的に見てどうか。地財計画ベースで一一・一%となっております。かなり大きな格差と言わざるを得ないでしょう。
 そこで、税収の中身ではどうかを調べますと、地方間接税、これは後ほど議論いたします消費税の関係で減収はいたし方ない。また、法人関係税はそれでも一三・八%伸びている。それでは、どこがどうなって全国水準との間に格差が生じているのか、正直言って理解がしにくいのであります。仮に、法人関係税のぐあいが全国に比べ悪いということであれば、先ほど触れたような本県の産業構造の問題が絡んでくるのか、これまた相当真剣に勉強しなければならない問題であります。
 税収がそれほど伸びないにもかかわらず積極型の予算編成が要求される、その辺のところで知事の御苦労をお察しするものでありますが、結局のところ、国からの金を当てにするか借金をするしかない。具体的な手段はないのではないでしょうか。
 特に、医大の統合移転を含めたビッグプロジェクト、試算によりますと総額で事業費千五百億円を超え、しかもそれらの事業はここ十年ぐらいの間に集中してしまうということであります。先ほど申し上げた我が県の税収構造の問題、さらにそれを克服して積極的な財政運営をいかにされていくのか、中長期的視野に立った見通しを総務部長にお尋ねいたします。
 次に、消費税についてお尋ねをいたします。
 昨年十二月二十四日、消費税を柱とする税制改革六法案が自民党を除く各党の反対を押し切って国会を通過し、今四月一日から実施されることになったのであります。
 今回の税制改革は、シャウプ勧告以来の画期的な大改革だと言われておりますが、シャウプ税制創設以来、過去四十年間、毎年のように改正が行われ、総合課税制度の根幹を崩壊させ、いろいろなゆがみ、ひずみ、不公平を生じさせてきた歴史の延長線上にあるにすぎず、画期的な大改革とはとても思えないのであります。
 なぜかならば、今回の税制改革の理念は我が国の経済社会を二つの側面で認識することから出発しています。一つは、国民の所得水準が上昇かつ平準化したということ、もう一つは、社会保障水準が諸外国に比較しても劣らないものになったということ。したがって、国民に広く薄く税を負担させる体系という理念が税制調査会において打ち出されたわけでありますが、所得水準が上がったことと生活水準が上がるのはイコールではありません。地価が高騰し、サラリーマンは住宅ローンに追われ、可処分所得は決して増加しておりません。サラリーマンがまじめに一生働いて家一軒も持てないというゆがんだ社会状況の中で、広く薄くという課税方式が適切なのかどうか、大いに疑問の余地のあるところであります。
 このたびの消費税導入を柱とする税制改革は、我が党が国会審議の過程で厳しく追及したように、もともと消費税には高所得者、資産家優遇の税制となる逆進性の問題、社会的弱者と言われる人たちへの過重負担の問題、中小零細業者の価格転嫁の可能性の問題など、竹下首相みずから掲げた懸念のほか、さまざまな問題があり、今まさにそれが現実の問題として県民に降りかかるのではないかと危惧しているところであります。
 消費税そのものは国税であり、基本的には国がその対策を講じなければならないことは当然のことでありますが、県民生活に与える影響は極めて大きく、また県の財政、税収等への影響に大なるものがあると予想されますので、消費税導入に伴う県及び納税者側の諸問題とその対応について県はどのように考えているのか、以下、お尋ねをいたします。
 まず、地方財政へ与える影響でありますが、特に問題は、地方自治体の課税権が縮小され、財政面の地方の努力、自立の道を失わせてしまうということであり、その補てんとして消費税の五分の一相当額を消費譲与税として地方に譲与するとともに、地方交付税の対象に消費税を加えることとしていますが、消費税の導入を余りにも急いだ結果、その実施については六カ月の弾力運用を余儀なくせざるを得ないことになり、そのしわ寄せが地方財政を圧迫し、歳入欠陥が生じるのではないかと懸念されるところであります。どのようなお考えか、御答弁を願います。
 次に、消費税導入に伴う地方税制の改正について、所得課税及び既存間接税の調整はどのように図られたのか、またその税収はどうなるのか、主な税目ごとに御説明をいただきたいと思います。
 次に、公共料金への消費税上乗せの問題であります。
 県当局は、公営住宅の家賃、各種県有施設の使用料等について、消費税を最終消費者に転嫁するとの観点から三%一律上乗せするとの方針がとられているが、東京都等他県においては、特に公営住宅家賃を据え置くとのことであります。この問題については、我々公明党は、消費税の導入に係る議論においてその導入自体に厳しい反対姿勢で臨んできたこと、かつ成立を見た後においてもその影響等に重大懸念があることを指摘してきていることから、慎重に対応すべきであるとの立場をとるものであります。
 そこで今日は、問題を整理し再検討を求める観点から、次の三点について質問をしたいと考えます。
 まず第一点は、そもそも公共料金であることから、政策的に低料金にすべきではないかという点であります。当局の説明を信ずるとすれば、公営住宅事業に必要な歳出において県は消費税を負担しており、それが家賃に上乗せされる消費税額と同額とみなされているが、仮に上乗せしない場合には、公営住宅入居者のかわりに県民全体が公営住宅事業に必要な消費税を負担することになるとのことであります。ただ、建設省も「低所得者に低廉な家賃で」との立場をとっている以上、理論的に県民全体の負担となるわけでありますが、政策的見地から弱者にしわ寄せをしないという立場をとるのか、さらに、上乗せすることにより入居者の負担能力を超えるという問題が生じた場合、公営住宅の目的に反することになりますけれども、土木部長の見解を求めるものであります。
 第二には、経営努力等により値下げした上で転嫁を行い、結果として料金を据え置く、つまり東京都のような取り計らいができないのかという点であります。冗費となっているものを今までにも増して厳しく節減し、それによって消費税分を捻出することができれば入居者にとって負担にならないし県民全体の負担にもならないと思うが、その可能性はいかがなものか、土木部長に答弁を願います。
 第三点として、そもそも消費税制度自体、我が国国民、和歌山県民にとって真新しいものであり、いざ実施と言われても、その対応について戸惑うばかりであります。昨年末に成立、そして本年四月一日の実施というのはそもそも性急な取り扱いであり、国民、県民に対する新税制の説明、普及がいかにも不十分であると言わざるを得ません。いわゆる公共料金の値上げについても、何がしかの周知徹底期間を置く必要があるのではないかと考える次第であります。今回の値上げの実施時期を柔軟に考える余地はないのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、消費税には避けて通れない逆進性の問題とその対応についてお尋ねいたしたいと思います。
 政府広報によれば、このたびの改革では所得税、個人住民税の税率引き下げ、各種控除の引き上げにより大幅な減税が行われ、サラリーマンの九割以上を占める年収八百万以下の人にとっては標準的な世帯で二○%以上の大幅な減税、消費税を入れてもサラリーマン世帯の負担は軽くなっていると報じています。しかし、これは比較的恵まれたサラリーマンにとってはある程度言えることかもしれませんが、いわゆる低所得者層、特に非課税世帯にとっては減税の及びようがありません。消費税の負担だけが降りかかる厳しい条件にさらされることになるわけであります。さらに、生活保護世帯、在宅福祉を要する世帯などの真に手を差し伸べるべき人々に対しては、きめ細かい対応策が必要と考えます。
 政府は、社会的弱者と言われる人たちに過重な負担を強いる懸念については政策的歳出の中で中和できるとしていますが、どのような対策が講じられるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
 次に、消費税が果たして価格に転嫁できるかどうかということについてお尋ねいたします。
 消費税は、消費一般に広く薄く負担を求めることが趣旨である以上、消費者がその最終的な負担者となる間接税であり、スムーズな価格転嫁が前提として成り立つものでありますが、厳しい競争下に置かれている中小零細業者にとって、価格競争力確保のためには必然的に消費税分を自己負担しなければならないことになるのではないでしょうか。これは我慢のできる問題ではない。中小零細業者の存亡をも左右する問題となることであります。どのような対策を講じられるのか、お尋ねをいたします。
 ある小さな商売人の話を紹介いたします。「政府の広報資料のパンフレットには、『消費税は、簡素で中小企業者の事務負担に配慮した仕組みになっております』という説明がされていたが、税務署の消費税の説明会に出席して説明を聞くと、簡素どころか複雑で、帳簿から簡単に申告書が作成できるようにはなっていない。売り上げについては、消費税の課税対象となる売り上げか、課税対象外となる売り上げか、さらに課税対象売り上げは非課税売り上げか、課税売り上げか等を区別する必要があり、仕入れ等の経費については、簡易課税方式を選択すると不利となる我々の業種については仕入れ税額控除の種々の方法のどの方法を選択するか等々、なかなか簡単には結論を出すのが難しい問題ばかりで、政府が帳簿方式で簡素化したと広報しているのは欺瞞ではないか」と言うのであります。
 このように、中小業者の多くは消費税の納税事務について説明を聞いてかえって不安を感じ、わからなくなったと言っております。どのような対策をお考えになっているのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの渡辺勲君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答え申し上げます。
 まず第一点、関西国際空港についての国内便確保の問題でございます。
 御指摘ございましたように、関西国際空港は、ただ和歌山県の国内便確保というだけではなしに日本の基幹空港としての機能を十分発揮すべきものだということ、もちろんでございまして、そうした点から私たちは国内便の確保について機会あるごとに、関西国際空港会社はもちろんのこと、国に対して強く訴えておるところでございます。県議会の皆さんにも大変御厄介になって、関西国際空港対策特別委員会等においても大変お骨折りをいただいておるところでございます。また近畿の知事会議においても、一致して国内便確保ということについて努力しているわけでございます。
 現在、関西国際空港会社の計画は、国際、国内の基幹空港であるとの空港機能の面から、また採算性の面からも国内線の機能が発揮できる計画になっておると聞いておるわけでございます。今後、国、航空会社等に対して、国内便の大幅な確保が図られるように、なお一層積極的に努めてまいる所存でございます。
 また、お話ございましたように、こうした面からも全体構想の推進がぜひ必要である、ごもっともでございまして、そうした面について十分配慮しておるわけでございます。しからば、その全体構想を推進するについていかなることをするかということでございます。
 昨日も鈴木議員にお答えいたしましたとおり、県外、関西の皆さん方にお願いするとともに、県内においても政府、また関西国際空港会社に対して全体構想をなお一層積極的に進めていただく。現在の関西国際空港に対する対策については、会社に対して責任を持たすような形の国の政策もございます。そうした面を打ち破るために、市町村の議会からの決議、並びに各経済団体からの御支援、そうした面においても格段の御支援をお願いしていかなければならないんではないかと思っておるわけでございます。
 次に、大阪国際空港の存廃問題でございます。
 お話もございましたように、伊丹周辺の協議会がかつては廃止を言っておったわけでございますけれども、現在、軌道修正をしつつある情勢の中でございます。そしてまた、国の航空審議会において、さきに関西国際空港をつくるに当たりまして、廃止を前提として建設するということが盛られておったのでございます。また、大阪空港の存廃については関西国際空港の開港時までに存廃の結論を出すということになっておりまして、現在、大阪国際空港に関する調査が進められておる段階でございまして、非常に重要な時期でございます。私といたしましても、重大な関心を寄せているところでございます。
 それから、関西国際空港と県益、また将来像についての御質問でございます。
 関西国際空港に寄せる本県の期待は、何といいましても、国際化、情報化、臨空圏域化という大きな時代の流れの中で、国際軸、国土軸に直結して半島性を解消していく交通基盤の整備であり、また本県産業構造の高度化、多角化でございます。
 将来の本県の姿は、空港、道路等の交通基盤の整備によって半島性が解消されまして、新規産業の立地、地場産業の高度化、農林水産業の振興などにより均衡のとれた産業構造が実現され、また本県固有の自然や伝統文化を活用したリゾート地として発展した県であると考えておるわけでございます。
 現在、四月搬出を目途に進めている加太の土取り、和歌山マリーナシティの建設、近大の進出、二十数社に上る企業立地、あるいは近畿自動車道に代表される府県間道路の整備などによりまして、空港がもたらす数々の波及効果が現状でもあらわれているところでございます。
 今後、関西国際空港の本県への波及効果をさらに拡大するためにも、先ほど申しました全体計画の実現を図るとともに、県内の数々のプロジェクトの整備をより一層強力に推進しまして、大きな夢の持てる、そしてまた県民が豊かさを享受できる、国内外に誇れる和歌山県を実現するように取り組んでまいる所存でございます。
 次に予算の問題で、知事にとって新しい「ふるさと和歌山」とは何か、今度の予算で実現の足がかりとなり得るかどうかということでございます。
 私にとっての新しいふるさとは、とりもなおさず、県民すべての皆さんが生き生きと暮らせる活力のある和歌山でございまして、その活力の源を育て、確固たるものにするというのが県政の責務であると考えているところでございます。
 活力の源の重要な一つとして産業の発展があるのは、議員御指摘のとおりでございます。さらに、社会状況の推移、我が県の特色を活用した新しい産業政策として、リゾート産業の振興に一層力を入れることも大変重要であると考えておるわけでございます。これらの活発な産業活動の中で、豊かさはもちろんのことでございますけれども、生きがいのある暮らしができるものと考え、そのための基盤整備として、投資的事業にも財源の重点配分を行ったところでございます。
 さらに、本当の意味で活力ある和歌山とするためには、県民の皆さんが健康でなければならないのはもちろんのこと、老後の心配もなく、またすべての人が社会参加できるような福祉社会でなければなりません。同時に、潤いのある生活ができる文化的な環境、そしてすべての活力を支える人づくりが新しいふるさとづくりに不可欠であると考えておるわけでございます。
 こうした観点から、本予算において新規を含めて所要の施策を積極的に講じているところであり、この予算が皆さん方、そして我々の今までの努力の成果の上に新しいふるさとを実現する足がかりとなり得るものと確信している次第でございます。
 次に、消費税の問題でございます。
 使用料等の改定時期を柔軟に考える余地はないかという点でございます。
 消費税が本年四月一日から実施されるということは、当然のことながら四月一日から適正な転嫁が行われることを前提としておるわけでございまして、今回の使用料等の改定もこの趣旨に沿うものであります。ただ、議員が御指摘のとおり、我が国にとりましてなじみの薄い消費税が一日も早く普及し、スムーズにその定着が図られる必要がございます。そうした意味から、県としても指導、啓発に努めてまいらなければならないものと考えておるところでございます。
 他の問題については部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) 関西国際空港の全体構想推進への取り組みにつきましてお答えを申し上げます。
 全体構想につきましては、国、関西国際空港会社において本年に引き続き平成元年度も調査を進めることになってございますが、先ほど知事答弁にもございましたように、その具体化のためには関西において官民挙げて国、関西国際空港会社を支援していく運動を盛り上げていくことが必要であると考えてございます。そのため県といたしましては、行政だけでなく民間団体等、広い範囲による県内の推進組織を結成いたしまして、本県の一体としての取り組み姿勢を県内外に示すとともに、関西における組織づくりを初め、その推進についても、大阪府等と協力しながら積極的にその役割を果たしてまいる所存でございます。
 今後とも、県議会を初め県民の皆様方の格段の御指導、御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 関西国際空港問題に関連して、整備大綱に盛られた道路の進捗状況と完成目標年次、その達成への隘路となるものは何かということについてお答えを申し上げます。
 関西国際空港関連施設整備大綱に盛り込まれた道路は、県内で九路線あります。このうち、空港開港時を目途に整備を図ることとしているのが三路線あります。まず、国道二十四号の和歌山バイパスの進捗率は現在約七○%となっており、関西国際空港開港時に供用できる予定であります。また、県道岬加太港線及び県道粉河加太線の加太地内については、一部区間で用地買収が難航しており、現在、鋭意交渉中でございます。
 次に、整備を図ることとしているのが四路線あります。このうち県道泉佐野岩出線については、早期に四車線化の都市計画決定を行うべく作業中であり、現在、用地買収にも着手したところでございます。また泉佐野打田線については、昭和六十二年度に概成しました。西脇山口線については、関空開港時までに暫定二車線で供用できるよう用地交渉を鋭意行っております。市駅小倉線については、現在、用地交渉を行っており、関空開港時までにJRの立体交差の完成を目指しております。
 次に、事業の具体化を図る道路として二路線あります。まず第二阪和国道については、県内部分四・七キロメーターのうち二・二キロメーターは和歌山北バイパスとして昭和六十三年度に事業化され、平成元年度から用地買収に着手する予定にしております。また泉大津粉河線については、平成元年度に府県間部分の長大トンネルを含む区間のルートの決定ができるよう調査を進めることとしております。
 次に、事業執行の隘路につきましては、これらの事業を目標どおりに進めるには、まず用地関係者の方々の協力を得ることが何より肝要と考えております。今後とも、地元関係者の協力が得られるよう一層の努力を重ね、早期整備に努めてまいります。
 次に、消費税導入に伴う公営住宅家賃の取り扱いについて、公営住宅法の趣旨と上乗せすることによる入居者の負担能力についてでございます。
 家賃決定に当たっては、従来から公営住宅法の趣旨を踏まえ、入居者の負担限度を超えることのないよう十分な配慮をしてきたところでございます。その結果として、現在の県営住宅の家賃は、公営住宅法に定められている家賃限度額の八五%の水準であります。また、建設省の見解といたしましては、消費税は最終的にはその負担を消費者に転嫁することを予定している税であり、近々改定が予定されているもの以外は四月一日実施は避けられないとしております。
 県といたしましては、これまで知事が答弁いたしました消費税の趣旨から、県営住宅家賃のみを例外とすることは考えられませんが、消費税導入により家賃負担能力を超える入居者の方々につきましては、和歌山県営住宅管理条例の規定に準じ、個別に家賃の減免、徴収猶予の措置を講ずることも検討してまいることとしております。
 次に、経営努力等によって現行家賃を下げることにより、家賃の値上げをしないで転嫁する方策についてでございます。
 県営住宅は県民の貴重な財産であり、良好な状態で次の代に引き継がれるべきであり、本県としても最大限の経費節減に努め、機能の低下につながらないよう緊急度の高い住宅から計画的補修を実施してきたところでございます。今後とも快適な住環境づくりを推進していくためには、これ以上の歳出の減は住宅管理に支障を来すものと考えられることから、入居者に御負担をお願いするものであります。
 今後とも、入居者の方々に満足していただけるような適正な管理を行うとともに、良質な住宅の確保のために一層の努力をしてまいる所存でございます。
○議長(西本長浩君) 総務部長斉藤恒孝君。
 〔斉藤恒孝君、登壇〕
○総務部長(斉藤恒孝君) 本県の税収構造の問題についてでございます。
 当初予算における県税の伸びが、今回の地方間接税の制度改正等による影響はあるものの、地方財政計画に比べ、極めて低いものとなっております。我が国の産業構造は急激に変化しておりまして、加工組み立て型産業や住民の生活に密着した第三次産業のウエートが上昇しているところでございます。ところが本県においては、例えば製造業の中に占める加工組み立て型産業の構成比を見ますと、全国平均は四○・八%となっておりますが本県は八・七%というわけで、産業構造の高度化がおくれている現状にございます。今後は、これら加工組み立て型産業の積極的な導入を図るなど、地域経済構造の高度化、多角化に向けて努力していく必要があるものと考えております。
 このため、今回の予算編成においても重要課題への重点投資に努めたところでございますが、今後とも事務事業の見直し等、行財政改革にも積極的に取り組み、より一層効率的な財政運営が図れるよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、消費税の弾力運用による影響がどの程度あるのかという御質問でございます。
 この弾力運用の内容については、一つは、平成元年三月三十一日までに税務署へ提出することとされている書類を九月三十日までに期限延長すること、例えば、非課税業者、免税業者の選択等について届け出書類の期限を延長する、二番目に平成元年九月三十日までは現在の勘定科目のままで消費税を計算し得るような措置、三番目にことしの九月三十日までに申告期限が到来する事業者、つまり決算終了後二カ月となっておるわけですが、それについては例外を設けてその申告期限をこの九月三十日まで延長するという措置になっておるわけでございます。
 これらの措置によりまして、消費税の税収に大きな影響が生じるものではございませんので、地方譲与税や地方交付税については地方財政計画で予定された歳入は確保できるものと考えておりまして、弾力運用による歳入欠陥のおそれはないものと考えているところでございます。
 二番目に、消費税導入に伴う地方税制の改正内容という御質問でございます。
 消費税導入に伴う所得課税と既存間接税の調整については、まず県税について主な内容を申し上げますと、個人県民税について税率構造の緩和と基礎控除、配偶者控除の引き上げによる所得課税が減税されております。また、今までございました間接税の娯楽施設利用税については、課税対象をゴルフ場だけにし、マージャン、パチンコ等を廃止し、かつ税率を下げました。したがいまして、名前がゴルフ場利用税に変わります。大体千百円程度だったものが八百円程度に下がるというような改正になっております。
 三番目に、料理飲食等消費税については、従前一○%の税率だったわけですが、これを百分の三──三%の税率に下げまして、免税点を宿泊については五千円から一万円に、一万円以下の宿泊については免税にする、それから飲食についても、従前、免税点が二千五百円だったんですが、五千円に引き上げて全業種に適用し、名称を特別地方消費税に変更するなどの調整を図ったところでございます。
 この結果、税収につきましては、平成元年度で個人県民税で約十五億円の減、娯楽施設利用税で約五億円の減、料理飲食等消費税で約三十億円の減というように、合計で五十億円の減税となっているところでございます。
○議長(西本長浩君) 民生部長高瀬芳彦君。
 〔高瀬芳彦君、登壇〕
○民生部長(高瀬芳彦君) 消費税の導入に伴う生活保護世帯等への対策についてお答えいたします。
 まず生活保護につきましては、国民の生活動向、社会経済状況を勘案して生活保障の基準が設定されるものでございます。今回の消費税の導入に際し、被保護世帯への影響を十分に留意の上、最低生活を保障すべき基準は、昨年は一・二%の上昇でございましたけれども、従来の物価上昇等を加味し、来年度から新たに導入される消費税も含めて四・二%アップの改定がなされることとなってございます。
 また、社会福祉施設入所者の費用負担については、消費税の導入によりコストアップが生じますが、これを理由とした自己負担額の費用徴収基準額の増額は行わないことになってございます。
 なお、消費税の導入に伴う低所得者層の方々に対する対策でございますが、生活保護受給者や老齢福祉年金、児童扶養手当、特別障害者手当などの受給者に対し一万円、さらに在宅寝たきり老人の方々には五万円をそれぞれ支給するため、現在、事務作業を進めているところであります。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 商工労働部長花岡 弘君。
 〔花岡 弘君、登壇〕
○商工労働部長(花岡 弘君) 消費税導入に伴う中小企業対策についてお答え申し上げます。
 御質問の小規模事業者の消費税関係については、昨日、貴志議員にもお答え申し上げたところでございますが、課税売上額三千万円以下の免税事業者でありましても、仕入れ段階で転嫁されている消費税については次の売却先に転嫁する必要がございます。こうした小規模事業者の消費税の転嫁については、転嫁しやすいように転嫁カルテルを結成して行うことができるようになってございます。
 さらに、下請中小企業者の消費税の転嫁に伴いまして、下請代金の減額や買いたたきなど下請代金法に違反するおそれのある行為、親企業からの仕入れ価格の一方的な設定あるいは値引きなど独占禁止法に違反するおそれのある行為を防止するために、現在、公正取引委員会の指導のもとに周知徹底を図っているところでございます。
 消費税の実施に当たりましては、これは新しい税制でありますので、事業者にとっても疑問や不安があるのは当然でございます。したがいまして、このための講習会や研修会の開催など、啓発活動を県下各地で実施をいたしまして、その周知徹底を図っているところでございます。
 また、消費税の転嫁に関する課税計算、会計処理、簡易課税方式など、事業者の疑問点に答えるために専門相談事業を実施することといたしてございます。
 今後とも、小規模事業者の消費税の転嫁が円滑に行えるよう、関係機関と連携をとりながら対応してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 46番渡辺 勲君。
○渡辺 勲君 時間がございませんので、簡単に再質問をいたしたいと思います。
 まず、国内便の確保問題でございますけれども、この問題に対しては現大阪国際空港の存廃問題に重要な関連性がございます。この問題に対する各界の現段階の動きを見ておりますと、既に政治的な綱引きの状況の中に至ってきたというふうに見るべきであろうかと思うんです。
 ただいま知事の方から、国や近畿知事会議において国内便確保の積極的な発言をされておるというふうな御答弁があったわけでございますけれども、事ここに至りました段階では、やはり県民の世論を背景にして和歌山県の立場というものを明確に示さなければならない時期に来ているんじゃなかろうかと私は思うんです。
 ただいま、航空審議会の答申で一定の方向が示されていると認識しておると、こういう御答弁でございました。私は、現大阪国際空港の廃止を前提とすることが関西国際空港を建設する大前提であると、これは「一定の方向」ではなくて「基本的な方向」であるというふうに認識をしてきたわけでございます。
 したがって、現大阪国際空港が存続されることになりますと、物理的に関空の国内便の確保が難しくなるということはもう周知の事実ではないかと思うんです。ですから、その動向を見きわめながら適切な対処をするということですが、その動向が見きわめられたときにはもう遅いんじゃないか、私はこのように思うんです。開港時までに結論を出すということを待っておっては遅いんではないか、今、和歌山県は国内便確保のためのアクションを起こさなければならない時期に来ているんじゃないか、こう思うんです。
 そこで、昨年の十二月二十八日に、泉佐野市の向江市長が国と大阪府に対して「新空港の建設は、現在の大阪国際空港の廃止が大前提のはずである。現空港が存続すれば新空港の利用客は半減し、地元は通過都市になってしまう」、こう申し入れております。この泉佐野市長の向江さんの発言を支持されますかどうですか、再答弁をお願いいたします。
 次に、消費税の問題でございます。
 一方で、県の活性化を主張し、積極的な予算を求めながら、歳入の部分で消費税が入っているから反対だと。これ、こちらも多少矛盾を感じながら質問をしておるわけでございますけれども。
 新しい制度あるいは政策というものは、今、善でも十年後に悪になる、また今、悪でも十年後に善になるという場合もありますから断定できない部分もありますが、現時点ではこの消費税は大悪税というふうに世論が巻き起こっております。国に対して抗議をする意味において、反対を明確に表明しておきたいと思います。
 時間が来ましたので、終わります。
○議長(西本長浩君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 渡辺議員にお答えします。
 大阪国際空港の存続問題についての和歌山県の考え方、同感でございまして、私もそのための重要な認識を持っておるわけでございます。泉佐野市長の答弁と私は同感でございまして、かねてから機会あるごとにそのことを私も申しております。
○議長(西本長浩君) 発言時間が終了いたしましたので、以上で渡辺勲君の質問が終了いたしました。
○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番岸本光造君。
 〔岸本光造君、登壇〕(拍手)
○岸本光造君 ありし日、那賀の地でお元気に御活躍をいただきました佐竹部長に心から御冥福をお祈りして、質問を始めさせていただきたいと思います。
 平成元年度予算案の中で、農林関係は四百四十七億余、これの伸び率は七・四%であります。今回の予算案は、知事が農林業対策に本腰を入れ、知恵を絞られたものと高く評価をいたしますとともに、試験研究機関の整備や自由化対策などに感謝を申し上げます。
 さて、ただいまは、農村にとりましてはまさに有史以来の大転換期を迎えていると思います。本県の農業粗生産高の五割に近い生産を誇ってきたミカンを中心にしたかんきつ類が、廃園、改植を余儀なくされ、後に何を植えるかという、農家にとっては生か死かの選択を迫られているからであります。
 御案内のとおり、平成二年度までに、ミカンにあっては全国百八十万トン体制を目指し、国際化競争に打ちかつ農村づくりが求められております。ミカンやハッサクの後に何をつくれば過剰にならないのか。桃に集中したり柿に偏ると、再びミカンの二の舞になりかねません。そのことを、本県はもとより全国の農家が心配をしております。
 全体の改植の進みぐあいとその内容を、農家は今、必死になってキャッチしようとしております。国の農政に不信を持ちながらも、なお生きるために、豊かな情報と県の強力な行政指導を求めているのが農家の現実であります。過剰にならないよう、バランスのよい指導ということであります。
 国際化に対応した新しい農政は一体いかに展開すればいいのか、知事の所見をまず求めます。
 さて、国の農政を総論とするならば、本県農政は各論であります。国で大枠が定められましても、何事においても具体化するのは各府県であります。大分や熊本の農政が突出しているような報道に時々接しますが、私は本県の農政も決してこれに負けてはいないと考えます。非破壊の糖度査定やアグリバイオ研究所の設立など、先端部門ではむしろ日本一であります。
 しかし、高齢化、国際化の荒波の中で、あるいは工業に駆逐され行く農業という図式の中で、農家のためにも、県勢伸展のためにも、和歌山県の農業はこうだと言える指針、方針が今こそ必要であろうと考えます。和歌山県の農業に対する独自の施策やカラーを出して苦悩する農村を救うことが、今こそ切実なときであります。これに関して知事の考え方をお伺いいたします。
 今、社会の中で何もかもが「高度○○化社会」と総称される時代に、農業は一体どう位置づけられるのか。国際分業と言われるとき、日本は農業を捨ててコンピューター立国になればいいのか。厳しい農山村の現実を見るとき、依然として「農こそ国の基なり」という信念を持つ私ですら、一抹の不安を覚えるときがあります。
 しかし、冷静に考えますと、我が和歌山県の農業、畜産、林業、水産の第一次産業こそは、本県県勢伸展のバックボーンであろうと信じます。農林、畜産、水産の各分野が活気にあふれ、充実し、それらに従事する人々が豊かであればあるほど、和歌山県も充実し、県勢にも馬力がつくというものであります。
 これから、どんな時代になりましても、いかに時代が進んでも、人間が決して機械になれない限り、食糧を必要とするわけであります。食糧を生産するこれら第一次産業を、何としても本県にあっては成功させなければなりません。とれたての新鮮さ、防腐・防カビ剤や禁止農薬、ホルモン剤などの入った外国産品にはない安心と安全さ、直販するという安さ、研究を重ねたうまさ、天候もいい、そして産地の形成、これらを兼ね備えた和歌山県の農畜産物、水産物などは、全国一になるのが当然であります。
 しかし、今は厳しいわけであります。関西空港の開港や白浜空港のジェット化でいよいよ臨空農業の展開だという明るさと、ミカン、ハッサクを切って転換を迫られる辛さ、明暗が同居する状況から、いかにすればさらなる展望を切り開くことができるでありましょうか。本県においてこれら第一次産業が占める位置について知事はどのようにお考えか、御意見を賜りたいと思います。
 さて、二十一世紀もいよいよ射程距離に入り、「情報化」、「国際化」といった言葉もいよいよ重みを持つようになってまいりました。本県農業も、日本一、世界一を目指して、もう待ったなしで具体的施策を展開すべきときに至ったと考えます。農業情勢は厳しい厳しいと言われますが、考えよう、やりようによっては、農業ほど金もうけのできる産業はないと思います。二、三、私見を申し上げたいと存じます。
 今や、農業は単なる農業にあらず、先端産業の一部分になりつつあると思います。例えば、アメリカのトウモロコシを初めとする農産物は、大地に根を張ってつくられはしますが、産品つまり商品になるプロセスはまさに工場製品と同じであります。機械はもとより、バイテク、ハイテクの技術を駆使してやって来るアメリカの農業にどう対応すればいいのか。それにまさるとも劣らない組織を我々が持つ必要があります。
 日米では、条件は全く違います。日本の場合、これからは育種の競争であると言われています。バイテク、ハイテクの技術で、消費の要求に合った、または需要を喚起する産品をつくるために、育種の競争に打ちかつ必要があります。同時に、新しい種をつくり出す必要があります。種の更新は日々新たであります。これに成功しないと、農家は大手の種屋さんの下請屋にされてしまいます。バイテク、ハイテクの技術農業の確立が、生産面から見てまず第一であります。
 次に販売体制のあり方ですが、生産も含めて、情報の収集とそれの農家への伝達が不可欠であります。市場や客が何を求めているかの分析、どこで何が値高く売れているかの情報、県下のどこでそれらに見合うものがつくれるのか、またできているのかなどなど、農産物をいかに高く売りさばくかはこれからの大きな課題であり、生産農家、集出荷体制、市場の三点を結ぶ組織は、和歌山県で頭脳部分として一点に集中すべきであります。言いかえれば、本県の農産物のすべてをコントロールできる組織が必要だと考えます。
 個々ばらばらの出荷・生産体制では全国に太刀打ちができません。これからは、普及所、試験研究機関、県農、そして単協など、官民一体になって全体の農産物が把握でき、コントロールできる頭脳部分が必要だと思います。アメリカ式ではありませんが、本県も農産物を組織的商品として扱える部隊が必要であります。いいものをつくっても、集約するこの頭脳がないと競争では勝負にならないと考えます。今、グリーントピアの構想が練られていますが、きっとこの構想は頭脳部分の一部になるものと確信をいたします。
 さて、三つ目は、農産物に高付加価値をつけることであります。あるいは、高付加価値農業の展開と言いかえてもいいかと思います。安全、新鮮、そしておいしい無農薬有機栽培も一つの付加価値農業でありましょうが、加工物も多様化する必要があると思います。
 十年ほど前、本議場でミカンワインの提案をしたことがありますが、今では、イチゴワイン、イチジクのジャム、ハッサクのジュース、柿の多様な食べ方など、その可能性は無限に広がっています。ハウス物の花卉、ミカンなども付加価値の高いものでありましょう。
 以上、数点、農政の将来展望について私見を申し上げましたが、さきの質問に対する知事の答弁を求めます。
 さて、以下に、今、農山村が抱えている諸問題について農林水産部長にお伺いをいたします。
 まず、臨空農業についてであります。
 数年前から農林水産部に臨空農業に対するプロジェクトが設置され、いろいろと研究をしていただいておりますが、いよいよあと五年で関西新国際空港がオープンされます。五年ぐらいはあっという間に過ぎ去ってしまうでしょう。我々がもう一回選挙をして全員当選すれば、今のこのメンバーで一番機をお祝いするということになるでしょうし、知事が善政を続けて五選されるなら──多分そうなるだろうとは思いますが──仮谷知事がテープカットするということになります。それほど、時間的には近くにあるわけでございます。まさに、月日は流れ、我々が残るであります。本県農業がいかに新空港を活用するか、具体的なプランがいよいよ差し迫った課題となってまいりました。
 今、軟弱野菜を例にとりますならば、大阪府下全体で消費される野菜の七割が府下で生産されており、その約八割は泉南地方から出荷されています。空港開港に伴って泉南地方には巨大な空港都市が拡大され、したがって農地が減少すると予想されます。そうなりますと、軟弱野菜は勢い本県から、空港はもとより大都市・大阪へ持ち込めるわけであります。
 あるいは、関空をにらんで、花卉には将来性があると言われておりますが、和歌山県のバラやカーネーション、菊やユリなど、どうして海外へ送り出すのか、今から具体化する必要があります。大阪花博には、黒潮フラワーラインの成果をぶつけて「花は和歌山」の名をとるべきであります。
 「空港ができたら農業もよくなる」では、絵にかいたもちに終わってしまいます。花の輸出をパリへ、ニューヨークへというのなら、今から集出荷のためのターミナルづくりや国際販売公社ぐらいは県が主導してつくる必要がありますが、いかがでありましょう。
 軟弱野菜についても、具体性ある計画をつくらない限り、叫び声だけで終わってしまいます。ホウレンソウなら、ゆでてパック詰めするところまで頑張る必要があると思います。そうでないと、農業を工業化しているJRや住友に追い越されてしまうと思います。
 次に、ミカン対策では五億八千万余の予算を計上していただき感謝をいたしておりますが、幾つかの現時点での問題点をお伺いいたします。
 まずその一、中晩柑類の改植全国割り当て面積四千ヘクタールに対して、全国的には五、六千の申し込みがあったと聞きますが、これへの対応であります。
 その二、ミカン廃園に伴う補償金に税金がかかるというばかげた話がありますが、これへの対応をいかにいたしますか。
 その三、ミカンの適地にいいミカンをつくることは、本県農業の中でこれからもやはり主流となるでありましょう。味一や手づくりのうまさを売り出すためには、いいものだけを出荷する選果体制、つまり手づくりの選果体制が大切になると考えますが、現状の大規模選果では問題を残しておるのではないでしょうか。
 その四、本県産ミカンの輸出枠拡大について、アメリカ、カナダ向けを特に重点に、あと二年の間にいかに体制をつくられるのか。
 その五、県営畑総事業などで償還期に入っているものはかなりあると思います。離農または廃園などで償還が不可能な地域や、かなり高い金利での償還もあるようであります。今回新設されますリリーフ資金の活用は、個々の農家にはありがたいわけでありますが、改良区や委員会制度の団体ではこれを制度上利用することができず、運営費も捻出できない状態であります。行き詰まり状態にある県営事業へは、資金借りかえなどの利子補給を県単でお願いできないものでありましょうか。
 以上で、農政を終わります。
 次に、紀の川分水と紀の川用水でございます。
 紀の川の水、大阪分水について幾つかの質問を行います。
 新空港と泉州地方へ紀の川の水を送るという知事の決断は、まさに歴史的な決断であったと私も思います。当初、紀の川大堰の完成と十二年後の紀伊丹生川ダムの水資源開発ダムの完成を見て、南大阪方面へ最大毎秒四トンの分水であったかと存じます。私どもの受けとめ方としては、関空を含む泉南、南大阪方面でありましたが、昭和六十三年十月に大阪府が、紀の川分水の水を淀川水系とドッキングする意向を表明しています。
 それによりますと、今まで淀川の水を一定方向にしか送れなかった送水ポンプを逆方向にも送れるものに切りかえ、紀の川と淀川の二系統の水を大阪府全体に給水しようというものであります。淀川に事故あるときは淀川系送水管のポンプを南流から北流に切りかえることで、紀の川の水を大阪中・北部まで送ろうというものであります。二系統の水の状況はセンサーからマイクロ回線で枚方市村野浄水場に集約して、分配方法はコンピューターで計算し、バルブやポンプは自動操作にするという、これが大阪府の計画のあらましであります。
 紀の川からの当初の予定水量は、日量二十五万トンであります。今、淀川取水は日量二百万トンであります。紀の川分水協定調印以来二年余のこれらの出来事のあらましを念頭に置いて、以下の質問をいたします。知事並びに関係部長の答弁を求めます。
 まず第一に、紀の川水系と淀川水系のドッキング計画について、事前に大阪府から相談があったのかどうか。
 第二点目、いずれにしましても、二水系の結合によって、当初予定の上限毎秒四トン分水が、将来、大幅にアップされることが琵琶湖やそのほかの諸般の状態を見れば十二分に予想されますが、それほどの水資源を和歌山がそれまでに開発することができるでありましょうか。
 第三点、予定や計画はしばしばおくれます。今の時点で、分水の大前提となる紀の川大堰の完成の見通しと紀伊丹生川ダムの完成の予定はどんなぐあいでしょうか。紀の川大堰は別にしましても、肝心の水資源開発の丹生川ダムの完成は十年以内に見通しが立つのでしょうか。
 その四、五年後に開港される新空港へは毎秒〇・二九トンの送水が本県から予定されていますが、この分水の方法、経路などはどうされますか。
 紀の川の水を初め、県下の各河川の水とこれから開発される水資源は、財源に乏しい本県にとって天賦の宝であり、資産であります。県勢発展のために余剰水は大いに活用すべきであります。そして大阪府民にも喜んでいただく、こんないいことはないじゃないですか。一石二鳥であります。かかる観点から以上の質問をいたしましたが、四点に対する答弁を求めます。
 引き続いて、水の問題について質問をします。
 紀の川用水、そのほか四、五十に上るだろうと見られる土地改良区の農業用水についてであります。
 これら土地改良区の事業については、農業情勢の変転によって、ただいまでは地元負担、水利費負担、維持管理運営資金など、大変厳しい状況にあります。紀の川用水を例にとりますならば、御承知のとおり、十津川紀の川総合開発事業として食糧増産──「食糧増産」ですよ──を目的として、昭和二十五年に和歌山・奈良両県で合意し、計画され、昭和三十九年から五十九年までの二十年間がかりで国営事業部分は完了いたしました。
 県営、団体営部分では今も工事が進められ、通水はしたものの、ポンプアップ不可能で利用できない地域も二、三あります。長い期間の工事のために、事業費も当初の二十八億円が百十五億円にも膨張しています。当然、これに従って農家負担も増大しております。
 何よりも大変なことは、農業情勢の変転であります。水田のために計画された紀の川用水は、水田転作に遭い、その後、果樹への水やりなどと理由づけをしていましたが、その果樹も今ではばっさりであります。この間、耕地面積の減少、農家人口の減少など、専業農家へのしわ寄せはふえるばかりであります。収入のないところでどうして水利費初め諸経費を支払っていけるでありましょうか。
 この窮状を見かねて、さきに県並びに関係市町村の援助で受益者負担の軽減を図っていただきました。また、さきの十二月の和歌山県議会でも、負担金の償還条件の緩和と土地改良施設管理運営の助成措置に関する意見書を国に提出していただいたところであります。
 今、切実なお願いとしては、農家が実際に支払える負担金にしていただきたいし、水を利用できない地域、工事を希望しないところは中止するなり、早急に対策を講じていただきたいと考えます。紀の川用水のみならず、県下のすべての土地改良区で多かれ少なかれ、何らかの負担に耐えかねているのが現実でありますから、これもあわせて抜本的な対応をお願いいたします。
 「抜本的対応」といっても、現行制度ではなかなか難しいと思います。今、水はまさに「血の一滴」と表現されるくらい貴重なものであります。毎秒一トンの水は、百億円とも、工費が高くなって今では二百億円とも言われております。ピンチにあえぐ土地改良区には終末でかなりたくさんの余剰水が放流されており、その総計は毎秒五トンとも十トンとも言われております。私は、これらの余剰水を集約して農業用水から絶縁し、有効に活用してはどうかと考えます。いかがでしょうか。法の規制やその他の制約もあって非常に困難ではありましょうが、高度な政治的技術を発揮して解決をしていただきたいものであります。それ以外に農家負担の軽減を図る方法がないのではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
 次に、道路網の整備について。
 道路整備も、紀北から紀中へ、紀中から紀南へと、かなり進んでまいりました。来年度予算にもその意気込みが見られます。高速議連の活動や林道あるいは「ふる特事業」の道路であったりはしますが、いずれにしましても、道路整備は本県発展のためには不可欠であります。
 県内道路の整備は知事初め我々の議連、市町村長らの努力でかなり成果を上げつつあることは喜ばしい限りでありますが、紀南から紀中へ、そして紀北へと参りますと、これを受けとめる背骨的役割を担うのが国道二十四号であります。
 ところが、二十四号線のバイパスは打田町で切れています。これを橋本まで延伸していただくことが今後の差し迫った大きな課題であります。さらに、京奈和、第二阪和もできる限り速やかに完成させるべく、最大の努力を行うべきであります。
 また、和歌山市から橋本市までの間、二市六町がありますが、この八自治体から大阪へ、最低一本ずつの幹線道路を通す必要があると思います。本県発展のポイントの一つは、大阪と和歌山を隔てる葛城山系の克服にあります。葛城山系に縦横無尽に道路網をつくることが葛城山というびょうぶを克服する第一歩であり、南麓山地の開発にもつながります。
 貴重な水を分水するわけですから、これらの道路の整備は大阪府主導でやっていただくべきであります。知事初め当局の関係者の政治力に期待をし、答弁を求めます。
 最低八本の府県間道路を通すことは、紀北はもとより、紀南、紀中からも国土幹線軸へより早くつなぐことになります。かかる立場から、阪和府県間道路については阪和協でぜひとも強力なイニシアチブをとられますようお願い申し上げます。
 次に、リゾートでございます。
 週休二日制の実施に伴う自由時間の増大、リゾート法の制定と、「遊び」が大手を振ってまかり通る生活様式の普及などによって、いよいよ日本も本格的な余暇の時代を迎えようとしております。勤勉さを美徳としてこつこつ働くことが日本を世界一の金持ちの国にしたわけで、国民にはその実感がないにしろ、ヨーロッパ流のバカンスが果たして日本に定着するだろうかという疑問を私個人は抱くわけでありますが、西欧のコピーでない日本流の余暇時代を模索する時期がいよいよ到来したと考えます。
 既にレジャー市場は六十兆円に上り、民間の最終消費支出の三〇%を占めると言われております。川端企画部長もさきの田辺のリゾート討論会にパネラーとして出席し、「リゾートこそは我が和歌山県勢浮上のために不可欠である、大きな影響を与える」と論じておりましたと、テレビニュースが報じておりました。うまく成功すれば、私もそのとおりになるだろうと思います。
 さて、本県は人情厚く、温暖な気候に恵まれた山と海は最高のリゾート地形成の要素を持っていると思います。
 山のリゾートについて申し上げます。新空港が使用開始されますと、国際便が毎日一便以上の国は六十七カ国、一週間に一回の国は百三カ国に上ると見られています。乗客は別にしましても、搭乗員の総計は年間でほぼ百万人と言われています。これら搭乗員は、人命を預かる仕事ですから、完全な休養と英気を養う必要があります。したがって、各国ともホテル以上のハイクラスの「オオサカハウス」を求めていると聞きます。
 つきましては、ゴルフ場、テニスコート、プール、野球場など、あらゆるスポーツ施設を兼ね備えた山のリゾートを関空に近い葛城山系に構想されてはいかがなものでありましょうか。トップ級のホテルや保養設備を配し、世界の軽井沢を目指して民活を利用すれば不可能ではないと考えます。
 あと五年で、世界の乗客が和歌山へ立ち寄る必然性を何としてもつくり出す必要があります。葛城山系森林レクリエーションゾーンの整備事業として、県では三十一億円余りを計上していただき、高原スカイラインの整備等、また、ふれあいエリア整備を那賀・粉河の両町からもお願いしてあります。この事業なども山の大規模リゾートの周辺整備につながると存じますが、この事業の採択の見通しはいかがでありましょうか。
 次に海のリゾートについてでありますが、和歌山マリーナシティは、空港開港までにはどれくらいの進捗状況であるのか、その予定をお教えいただきたい。
 また、マリーナシティには年間三百万の客の来場を予定しているようでありますが、今の進入路計画だけではパンク状態になることは火を見るより明らかであります。関空から直接の湾岸道路をつくるなど、これまた抜本的対策がなければなりません。また、公共部門は三二・五%と聞いておりますが、本県としてはこれでいいのでしょうか。またこのエリアはどのように使用されるのか、お答えをいただきたいと思います。
 和歌山マリーナシティが完成すれば、商店街を初めさまざまなビジネスが展開されます。レストランやショッピング街など、できる限り本県の入店希望者を優先していただきたい。聞くところによりますと、大阪の商人が松下興産の方へかなり激しくアタックしているとか、この件に関してさらに海外見学をも行っているとのことであります。本県の地元の人々の間にかかる動きがあるのかどうかも、あわせてお教えをいただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの岸本光造君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 岸本議員にお答え申し上げます。
 第一点、農業問題でございまして、国際化に対応した新しい農政でございます。
 御指摘のように、本県にとりましても非常に厳しい状況でございます。特に、オレンジ、牛肉等の自由化を控え、農家の不安を私もひしひしと感じるのでございまして、自由化、国際化に対応できる農業の構造改善に積極的に取り組み、安定した農政の展開を図らなければならないと考えております。県としても、これに対応すべく、消費者のニーズに応じた農業生産の再編に努め、国内外の競争に打ちかつことができる産地形成に向けて、生産者ともども積極的に努力してまいる所存でございます。
 次に、いかなる方向で本県独自の農政を展開すべきかということでございます。
 私は、消費者に「和歌山県の農産物は味と鮮度でどこよりもまさっている」と言ってもらえるようなものをつくり出していくことが必要であるし、また、若い人にとって魅力ある産業として農業を育成していくことが農政の基本ではないかと思うわけでございます。
 このためには、農政の地域別対策においても、紀北地域においては他産業との共存の中で施設園芸を核とした高収益農業の展開を、有田地域ではかんきつを主体とした高品質果実生産の推進を、また日高以南の地域では、野菜、花卉の施設栽培に加え、梅を重点に振興を図るなど、それぞれの地域のふるさとの顔となる個性化商品の開発に努めているところでございます。
 さらに、バイオテクノロジー等、先端技術の導入や新時代に対応できる流通システムの整備を図りまして、本県独自の知恵を生かした付加価値の高い産品づくりに努めてまいります。
 それから、県勢に占める第一次産業の位置ということでございます。
 農林水産業は、お話もございましたように、本県にとって地域経済を担う重要な産業でもございます。また、その存立基盤である農山漁村は、県土の保全や県民への憩いと安らぎの空間提供など、多面的な役割を果たしておるわけでございますし、また地域の活力を生み出す源でもございます。こうした観点に立ちまして、今後とも、他産業との調和を図りながら農林水産業の一層の推進に努めてまいる所存でございます。
 次に、農業用水の余剰水の活用でございます。
 農業用水は、主にかんがい期に取水しているものでございます。量としては大きいものの、その余剰水については下流に設置されているそれぞれの頭首工で取水し、再度農業用水として利用される現状でございまして、下流地域への影響等、複雑な問題があるわけでございます。
 しかし、議員御指摘のとおり、厳しい農業情勢を考えますとき、紀の川流域の農業用水については、農業用のみならず、貴重な水資源としての有効な利活用方策は最も大事なことだと考えておりまして、今後、関係の市、町、また関係の農業団体等の協力を得て、将来の水需要等も含めた総合的観点から十分検討していかなければならない重要課題だと考えておるわけでございます。
 なお、紀の川用水事業に係る県営あるいは団体営の残事業実施につきましては、農家の意向を十分尊重するとともに、今後の農業情勢、園地再編実施計画等についても十分検討し、慎重に対処してまいりたいと思います。
 それから、葛城山系森林レクリエーションゾーンの整備でございます。
 地元も非常な熱を入れているわけでございます。国の指定については非常に難しいところもありますけれども、全力を尽くしてまいりたいと思っておる次第でございます。
 他の問題は、関係部長から答弁させていただきます。
○議長(西本長浩君) 農林水産部長安田重行君。
 〔安田重行君、登壇〕
○農林水産部長(安田重行君) お答えを申し上げます。
 まず、臨空農業に関連しての御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、調査研究をしてきたプロジェクトチームにおいて、空港立地をインパクトに、輸送機能を生かした販路の拡大や周辺の人口増に伴う需要増への対応のため、生産流通体制の整備を図ることが本県農業の活性化にとって非常に重要であるとされてございます。
 こうしたことを踏まえ、関西国際空港地域整備計画の中で、平成四年を目途に、紀の川流域に果実、野菜、花卉等による百二十ヘクタールの施設園芸タウンの育成を計画してございます。フライト施設営農団地育成対策事業あるいは都市近郊型ミニ産地育成事業等を活用して、空輸に適した軽量で高単価なカーネーション、イチゴに加え、泉南地域の代替産地としてミツバ、シュンギク等、軟弱野菜の周年供給ができる施設栽培に取り組むなど、積極的な推進に努めているところであり、既に現在、五十ヘクタールの産地化がなされておるところでございます。
 また、県下全域にわたる黒潮フラワーラインの成果が上がってまいりましたので、平成元年度からこれを黒潮フラワーエリア推進事業に拡大してまいりたいと考えてございます。
 一方、流通販売対策でございますが、目下、産・官・学の実務専門家の代表で構成されたきのくに流通フォーラムの中で今後の本県青果物のマーケティング等について検討を進めてございまして、議員お話しの花の万博についても、関係者の御協力を得ながら、受注等の取り組みを強化いたしてございます。
 今後も引き続き、消費者ニーズへの対応を初め、航空輸送機能の活用を基本とした生産流通体制の整備を図るため、関係団体との連携を深めながら、既存の特需センターあるいは花卉流通センターを核とした情報のネットワーク化に努め、国際化時代に対応した活力ある産地づくりを進めてまいる所存でございます。
 次に、ミカン対策全般についての御質問の中で、中晩柑の転換の問題でございます。
 国は四千ヘクタールを目標面積として、温州ミカンのように各府県に配分をいたしてございません。これに対して各府県は、ナツミカン、ハッサク産地においては今回の自由化の影響が最も懸念されることから目標面積を超える転換の希望が出てございまして、しかも、初年度である六十三年度に集中をしておる実情にございます。
 本県においては、ハッサク産地を中心に全国の目標面積の四分の一を超える実施希望が出てまいっており、転換先品目の規制や需給計画、国の特別予算措置など、大変難しい問題がございますけれども、今後とも農家の希望に沿えるように最善の努力をしてまいる所存でございます。
 次に、廃園、改植の助成金に税金がかかる問題でございます。
 現在、水田農業確立助成補助金は、水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律というものができまして、課税の軽減措置がとられてございます。したがって、今回実施されるミカン対策の課税については県としても同様の軽減措置を強く国に求めてございまして、国も目下、この問題については具体的に検討をしておるところでございます。今後とも、県議会の力添えをいただきながら、国に対して強く働きかけてまいる所存でございます。
 次に、選果体制についてでございます。
 県の果樹農業振興計画に即して、地域の実態を踏まえ、集出荷施設の適正な配置と体制の整備を進めているところでございます。
 議員お話しのように、最近の消費者ニーズは高級化、多様化が進み、高品質でしかも個性化商品が強く求められているところでございます。県としては、関係機関と一体となって、園地の登録制度の充実、家庭選別、適期採取を初め、既存施設の有効利用に努めながら味一ブランドの拡大を進めてございますが、さらにこれらに対応すべく、県の果樹園芸試験場において近赤外線による味の選果機の新技術開発に努めているところでございまして、新しい時代の選果体制の確立に鋭意取り組んでまいることといたしてございます。
 次に、県産ミカンの輸出振興の問題でございます。
 今回の輸入自由化に対応して、これをチャンスに積極的に攻めの農政を推進すべく、輸出振興も大変重要であると考えてございます。これまで、韓国、カナダへのミカンを初め、東南アジアへの柿などの輸出を図ってございます。議員御承知のように、この十三日にも、フランス国農務省及びフランスの流通業者から成る二十五名の青果調査団が県へ参り、産地視察を行って農業関係者との意見交換を実施することになってございます。こうした機会もとらえ、海外市場の開拓に積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 特に対米輸出については、自由化の決定に伴い、アメリカにおいて輸入解禁州が六州から今日三十八州へと拡大をされるとともに、潰瘍病に係る検疫条件の緩和がなされたところでございます。今回、これを受けて県では、対米向けの輸出地域の拡大を図るために輸出みかん検疫条件緊急整備事業を計画いたしまして、今議会に事業予算をお願いいたしているところでございます。
 また、国においても、国内対策として海外市場の情報収集を行うアンテナショップの設置を盛り込んだ海外市場開拓推進事業を実施することとなっており、今後、県としてもこれら施策の積極的な活用を図りながら、海外の消費者ニーズの把握に努め、生産者団体はもちろんのこと、関係機関一体となって輸出の振興に取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、県営畑総事業とリリーフ資金、利子補給の問題でございます。
 農業情勢の厳しい中にあって、畑地帯総合土地改良事業等、土地改良事業に関して地元負担金の円滑な償還が困難な事例もあり、加えてオレンジ等の自由化を控えての廃園、改植問題により、一層深刻な事態が懸念されるところでございます。
 そのため、国に対して償還円滑化特別対策事業の拡充強化、融資制度の創設等について強く要望してまいりましたが、その結果、平成元年度政府予算案において特別対策予算が増額されるとともに、償還期間の延期、利子補給期間がそれぞれ延長されることとなっております。
 また、融資制度においては、いわゆるリリーフ資金制度が新しく創設されたところでございます。この制度は、既往借入金の償還負担の軽減が緊急の課題となっていることにかんがみ、専業的農業者のうち農業経営の継続の見込みのあるものの中で知事の認定を受けたものに限って、償還期の到来する制度資金等の元利返済金に相当する額が低利で融資され、償還期間も二十年、その他一定の貸付条件のもとに融資されるものでございます。
 したがって、県単独の利子補給制度の創設等については、今後の償還状況、状況類似県の対応等、その推移を見きわめつつ検討するとともに、国に対し、これら制度のなお一層の拡充強化について強く要望してまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず、紀の川の水問題に関する三点の御質問にお答え申し上げます。
 第一点は、紀の川と淀川両水系のドッキングについてでございます。
 分水に伴う導水管の布設につきましては、協定後、阪和水問題検討会において協議検討してきたところでございます。泉南地域には現在、大阪府水道部により淀川水系からの送水管が布設されてございまして、今回の利水協定に基づく紀の川からの導水は、新たに設置予定の阪南浄水場で浄化され、泉佐野浄水池にポンプアップした後、自然流下により既存の送水管に連結することとなってございます。また、紀の川からの分水量は当分毎秒三トンで、これは岸和田市から岬町までの需要量に対応する量であり、浄水池の高さや構造上の関係から、和泉浄水池以北には給水できないことになってございます。
 第二点は、分水量と開発可能性についてでございます。
 大阪府との利水協定では当分の分水量は毎秒約三トンとし、上限については、当面、毎秒四トンということで合意しているところでございます。将来の水資源開発等、長期的な問題については、現時点での開発予定量を含めた紀の川の水の利用率は約四〇%であり、将来、開発の余地はあると判断してございますが、開発に当たっては県内の水需給動向等を見きわめながら対処してまいりたいと考えてございます。
 第三点は、関西国際空港への送水についてでございます。
 関西国際空港への送水については、大阪府営水道において、利水協定に基づく分水量の毎秒三トンの内数として対応することになってございます。その方法、経路については、先ほど御答弁申し上げましたように、紀の川大堰から阪南浄水場を経て泉佐野浄水池から給水されることになってございます。なお、詳細については大阪府水道部において検討されているところでございます。
 次に、府県間道路についてお答え申し上げます。
 阪和両府県の区域にまたがる広域的な課題については、阪和開発連絡協議会を中心に、事業実施の促進や整備計画に係る調整を図っているところでございます。
 府県間の道路については、県民の利便性の向上を図るためにも、関西国際空港のインパクトを最大限に受けるためにも、効果的、効率的なネットワークの早期構築が必要であり、昭和六十二年十二月に締結した紀の川利水に関する協定を踏まえながら、昨年の協議会においても、近畿自動車道紀勢線の松原─阪南間の早期完成や第二阪和国道の延伸、三百七十一号ほか主要府県道の整備について協議を行い、両府県が事業推進を図るとともに、国や関係機関に要望しているところでございます。また、林道網についてもこの協議会で取り上げ、昨年、粉河から貝塚までのルートが整備されてございます。
 府県境の各市町から大阪府域へ各一本の幹線道路をという議員御指摘の点につきましては、大阪府と引き続き協議してまいりたいと存じます。
 最後に、関西空港をにらんだ山のリゾートについてお答え申し上げます。
 議員御提案のとおり、関西空港を利用する人々を本県に導入するためには、リゾートの開発・整備が有効な方策であると認識してございます。和泉葛城山系は、大阪都市圏に近接するとともに、さらに関空にも極めて近く、加えて自然環境や歴史・文化資源等にも恵まれた地域であると考えてございます。
 昨年三月に策定した県リゾート開発基本構想において当地域を都市近郊型リゾートゾーンとして位置づけ、リゾート機能をあわせ持つ定住型のリゾートニュータウンの開発と多様なスポーツ・レクリエーション機能を備えた施設整備を促進することといたしてございます。
 さらに、和泉葛城山系において関空のインパクトを想定したリゾート構想として、民間事業者による幾つかのプロジェクトが進められているところでございまして、粉河町においても、町が主体となって民活方式によるリゾート構想に取り組まれていると聞いてございます。
 県としても、地域の振興と雇用の増大を図っていくために、環境保全等に留意しながら、民間のノーハウを活用して、多様で質の高いリゾート開発に向けて地元市町村とともに積極的に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 初めに、紀の川大堰と丹生川ダムの建設プログラムでございます。
 紀の川大堰の完成見通しについてでございますが、建設省では現在、工事着手に向けて地元の漁業、水利、周辺自治会等の関係者と協議中であります。県としては、今後とも、平成四年度に完成できるよう、和歌山市とともに建設省に協力をしていく所存でございます。
 次に紀伊丹生川ダムの完成についてでございますが、一般的にダム事業は、予備調査、実施計画調査、用地買収及び建設という順序で進められます。建設省における平成元年度政府予算案において実施計画調査が認められましたので、今後、具体化に向けて大きく前進するものと考えております。今後、国及び関係地方公共団体等と連携を密にし、平成十二年の目標年次に完成できるよう、県の立場として努力してまいる所存でございます。
 次に、二十四号バイパスの打田町から東への延伸についてでございます。
 先般、京奈和自動車道は高規格幹線道路としてその整備の促進が図られることとなり、このうち橋本道路十一キロメートルが平成元年度に事業化されることとなりました。残る区間についても、早期着工に向けて調査の促進が図られるよう努力してまいります。
 一方、現国道二十四号の打田町より東の再改築については、町づくりの観点をも勘案しつつ、地域の幹線道路網計画を策定するため、地元を含む関係機関から成る連絡会を平成元年に発足させ、整備手法をも含め、調査検討をしていくこととしております。
 次に、山と海のリゾートに関連して、マリーナシティへの進入路に新しい発想をした対策についてでございます。
 マリーナシティへの進入路については毛見一号及び毛見二号の進入路が計画されており、これによりピーク時の交通に対応できる容量となっておりますが、一方、周辺道路の対策として、市内環状機能を持つ松島本渡線、布引本渡線の整備による高速道路との連係強化、国道四十二号紀三井寺交差点の立体化などの整備を図らなければならないと考えており、その整備の推進に努めてまいります。
 また、関空から直接の湾岸道路をという御提案につきましては、将来の検討課題とさせていただきたいと思います。
 次に、マリーナシティの公共部門のあり方でございます。
 マリーナシティ計画の公共部門については、公共用地として必要な公共マリーナ及び旅客船埠頭、フィッシャーマンズワーフなど、全体四十八・三ヘクタールのうち三二・五%に当たる十五・七ヘクタールを現在計画しております。残り六七・五%に当たる三十二・六ヘクタールについては、住居施設用地、商業業務用地など、可能な限り民間活力を導入して地域の活性化を図ろうというものでございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 企業局長吉井清純君。
 〔吉井清純君、登壇〕
○企業局長(吉井清純君) 和歌山マリーナシティ建設のプログラムについて、お答えをいたしたいと思います。
 関西国際空港の開港時にはマリーナを中心として一部供用開始できるよう埋立地造成を行うこととしており、工程としては、昭和六十三年度において既に護岸ケーソンやブロック製作に入っており、平成元年度から本格的に海上工事に着手をし、防波堤及び護岸工事等を進めつつ、平成三年初めより埋め立て土砂の搬入を行い、平成三年度末で第一期工事としての二十七ヘクタールの埋め立て工事を完了することとしております。残りの第二工区の二十一ヘクタールについては、平成五年度末に埋め立てを完了する予定でございます。
 なお、マリーナシティの上物も含め、完全に全施設が完了するのは平成十年ごろと予定をしております。
 続きまして、県内商工業者のマリーナシティへの参画でございます。
 和歌山マリーナシティは、和歌山の特色を生かしつつ、議員御指摘にもございました航空機の搭乗員を初めとする海外からの多くの人々も受け入れていく、国際的に通用するリゾート地を形成しようとしております。したがって、一つには、地場の新鮮な農水産物や特産物を販売し、また本県のPRをするということで、観光魚市場や和歌山コーナーを設けることとしております。一方、島内の商業業務施設として予定されているハーバーレストラン、ショッピングモールなどについて、松下興産としてはグレードの高い、また特色のあるものにしたいとの意向であり、地元の参画についても県の要請に対して非常に大切なことと、非常に理解を示されてございます。
 一方、地元の動きについては、観光魚市場への参画や施設計画についての問い合わせなど、一部には勉強しようとしている個人や団体がございますが、現時点では具体的な要請はございません。
 いずれにしても、地場として特色ある製品の創出やリゾート地での商業活動のための知識を高め知恵を出す、そうしたみずからの取り組みが肝要かと存じます。こうした商工業の方々の熱意と関係機関、関係各部局の御協力をいただきながら、議員御指摘の趣旨に沿えるよう、引き続き一層の努力をいたす所存でございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり」
○議長(西本長浩君) 以上で、岸本光造君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
○議長(西本長浩君) この際、暫時休憩いたします。
 午後零時七分休憩
 ──────────────────── 
 午後零時四十五分再開
○副議長(山本 一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
○副議長(山本 一君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番森 利一君。
 〔森 利一君、登壇〕(拍手)
○森 利一君 私は、まず、産業廃棄物処理場の問題について質問をいたします。
 三輪崎高地区における産業廃棄物処理場問題は、住民の強い反対のため長期にわたり紛争を続けていたのでありますが、去る十二月二十一日付をもって、県は申請者にその許可を与えたのであります。
 反対する住民と県との間では若干の話し合いが持たれたのでありますが、県はこの許可申請について、法的には許可の基準に適合しておれば許可しなければならないのだという理由をもって、十団体の反対、五千二百名に及ぶ反対署名もむなしく、住民の納得のいかないまま一方的に許可されたのであります。許可を得た業者は直ちに処理場の建設工事にかかり、目下、建築中であります。
 私も、先日、現地を見に行ってまいりましたが、既に廃棄物の搬入が始まったのか、焼却炉もできていないのに廃材を焼く煙が噴火のように立ち上り、ちょうどその日は小雨の日でありましたけれども、煙は処理場から下にはい下がって三輪崎・佐野住宅街に濃霧のように立ち込めていました。この処理場に隣接して一軒の農家があるのでありますが、そこのおばさんは、「きょうは風があちらに吹いていますが、風向きによっては煙に襲われたら洗濯物も干した布団も台なしで、それこそ人間も犬も家の中に閉じこもっているのがやっとです」という話をしていました。そして、反対した地元住民たちは、許可を強行された今、「わしらはどんな条件をもって許可されたのかは知らんけど」と言いながら、処理場建設工事を横目で見ながら、白けた態度で行政の今後を見守っているのであります。
 したがって、住民の側から申せば、懸案の事項は話の詰まらないまま、また業者との話し合いもなされないままの許可でありますから、企業との公害防止協定を結ぶなどという和らいだ段階ではさらさらないのであります。
 そもそも、この処理場許可申請の前、昭和五十九年ごろから、ある業者が許可を得ないまま廃棄物をこの場所に持ち込み、不法処理を行っていたのであります。地元民の話では、勝浦ドックに毒性の強いドラム缶入りの廃油や近畿電気のPCBを含んでいるおそれのある廃棄物など多種多様なものが埋められ、放棄されたと言っているのであります。もちろん、地元からは再三再四にわたり強い取り締まりを要求したのでありますが、この不法投棄が何と四年にわたり強行されたのであります。
 結局、この不法業者が現在の申請して許可された業者に昭和六十二年三月に土地所有権を移転しているのでありますが、地元民は、何で不法投棄の最中に権限を持つ県が強い取り締まりをしてこれを制止することができないのかという、不法者に弱く住民に強いという行政に対する不信が根本に大きく横たわっているのであります。
 実際問題として、掘削調査や土壌、水質検査を行わなければならないところまで、どうして不法投棄を放任していたのかということについて、その理由をまずお伺いいたしたいのであります。
 次に、当廃棄物処理場のある高地区は、時間雨量で百ミリに及ぶことが珍しくないという大降雨地帯であり、その背後の山林はすべて東南斜面に位置して、しかも地すべり地質で、その山林に降った雨はこの傾斜の急な六千五百平米の処理場に流れ込むのであります。現に昨年九月の豪雨でも山崩れがあり、大量の土砂が現場に流入し、下流の農地や共同墓地にまで被害を及ぼしているのであります。これらのことから地元の人々は、災害時に土石流が処理場もろとも下流へ押し流されて下流域に大惨事を引き起こすおそれがあるとして反対をしたのでありますが、強固な土どめや擁壁などの安全確保について、あわせて環境の保全、火災の防止などについてどのような条件や留意事項を課しているのか、説明を願いたいのであります。
 次に、地元の人は、下流の谷には昔はハゼや小エビが多く見られたが、今では全然姿が見えなくなってしまった、不法投棄のせいではないかとうわさしているのであります。これらの因果関係については別の機に譲るとして、現在、この下流には伏流水を飲用している家庭も相当数あり、また三輪崎漁協も海岸のアラメ等の枯死によりアワビ、サザエの稚貝の死滅が多くなっていると警戒しているのでありますが、不法投棄を含め、廃棄物からの有害物質の溶出、水質検査等について、許可条件の中で今後どのように規制されていくのか、説明を願いたいのであります。
 次に、この処理場に至る道路は農道であります。もともとこの高地区には道がなくて架線や背中で荷物を運んでいたのでありますが、ここ十数年ほど前にありがたくも農道の指定を受け、地区民が農地や山林を喜んで寄付もして完成された、本当に価値のある道路であります。いまだに未登記のために税金を払っているということであります。そこへ、地区民の反対する処理場が来てトラックやダンプが頻繁に往来するのであります。私も、時にこの坂道を車で上ることがありますが、大型の対向車にでも出会ったら大変で、幅員三・五メートルの曲がりくねった坂道を三十メートルも五十メートルもバックさせられることは、まさに命がけの感であります。また、運搬車から落ちこぼれた廃棄物の処理や整理などについて道交法以外の交通の問題も含めてどのように指導しているのか、質問をいたします。
 次に、さきの不法投棄以来、住民は行政に対して大きな不満と不信を持っているのでありますが、納得のいかないまま許可された今も、設置反対代表から質問状も出されているとおり、住民は「どんな条件で許可されたのか。毎日監視人がついているわけではないし、何を持ってきて焼かれるのか、どんな毒性のものを埋められるのかわかったものではない。それかと言うて、わしらではなかなか業者に何もよう言わんしのう」とこぼしているのであります。許可をした県行政はこれらの声に何と答えられるのか。すなわち、不法投棄など許可条件の違反にどのように取り組み、監視、監督をしていくのか、住民の納得いく答弁を求めるものであります。
 次の問題でありますが、新宮市の浸水対策について質問をいたします。
 昨年九月六日、新宮地方を襲った集中豪雨は、午前九時から十時までの時間雨量が八十一ミリ、午前九時半から十時半までの参考時間雨量は実に百三十三ミリという、新宮としては過去にその例を見ない記録的な豪雨であり、恐らく全国的にも市街地に降った雨としては最高のものではないかと言われているのであります。いかに多雨地帯で雨になれている市民でも、真っ暗くなった空から走る閃光、割れるような雷鳴、たたきつけて降るような雨には慄然として恐怖におびえたのであります。
 この記録的な豪雨により、瞬く間に床上浸水二百三十八世帯、床下浸水千六百二十九世帯、道路崩壊、橋梁流失、河川の決壊など、六億五千万円に及ぶ甚大な被害を受けたのであります。特に新宮市の低地帯である市田川流域におきましては、二十数地区、七十ヘクタール以上にわたって浸水被害を受けているのであります。
 この集中豪雨は那智勝浦町から新宮市に集中し、熊野川上流に至らなかったために熊野川の増水がなく、したがって熊野川本川から新宮市の市田川への逆流がなかったという好条件の中でありましたが、それでもこのような浸水被害が出たのであります。新宮市の低地帯浸水対策につきましては、昭和四十五年以来、国や県のお世話になりまして公共事業として巨額の予算が導入されて市田川、浮島川の改修が進められ、その効果も大きく上がっているときにこの記録的な大災害に見舞われたのであります。
 さて、これらの災害により新宮市の浸水対策の問題点が明らかになってまいりました。まずその一つは、浮島川排水機の問題であります。
 災害当日の新宮土木の浮島川ポンプ操作状況を見ると、「九時三十二分、運転体制に入る。水位三・二八メートル。この間、降雨状況、十分間降雨強度十・五ミリから判断して自然流下。九時四十分も同じ。十時二十五分ごろから、気象アメダスによる雨雲の移動状況及び水位上昇の鈍化から判断して排水開始。水位四・四○メートル。この間、雨量及び水位の状況を見ながらゲートの開閉操作を繰り返す。十一時三十分、ゲートを全閉し排水する」といったような記録をされているのであります。
 この土木事務所の記録にもありますとおり、予想を上回る降雨のため、ポンプ排水をとめて自然流下の方法をとっているのでありますが、この浮島のポンプ排水能力は五トンであり、時間雨量三十五ミリに対応するものであります。今回のような時間雨量百三十三ミリというような時点でゲートを閉めてポンプを操作しても、排水能力が低いため、かえって上流の浸水被害を大きくするだけであります。今回も、ポンプに頼り切った浸水地域の住民から、ポンプ操作がおくれたための人災だという強い抗議が出たのでありますが、結局はポンプの排水能力が低いため、上流に浸水被害が出ていても、その上にゲートを閉めて被害を大きくするよりも、自然流下により被害を最小限に食いとめる方法をとったのであります。
 この浮島浸水地帯は年に数回浸水の起きる低地帯でありますが、幸い県の施策として浮島川ポンプ排水場が設置され、被害を最小限に食いとめ、住民も喜んでいたのでありますが、今回の豪雨の結果、ポンプ能力の問題がクローズアップしてきたのであります。
 なお、ポンプの技術者の話によりますと、現在のようにポンプ一台で操業中、何かの故障で運転不能にでもなれば大惨事を引き起こす可能性を憂えていることもつけ加えて申しておきたいと思います。
 以上のとおり、浮島川排水機の増設は緊急を要する問題でありまして、浸水地の住民とともに、その増設を強く要望する次第であります。
 次に、問題の第二点でありますけれども、市田川下流にかかるJR鉄橋の橋脚の問題であります。
 この鉄橋は本線と引き込み線が併設され、それぞれ三台ずつ計六台の橋脚が川幅の狭い市田川を占有しているのであります。その上、二列に並ぶ橋脚が左右ちぐはぐになっているため水の流れを阻害し、増水のときは水をせきとめる作用をして、しかもこの橋脚は相当古い時代の工事のため、橋脚の根入れが浅く周囲の掘り下げができないため、これより上流の河積が確保されていない、すなわち上流の河床の掘り下げができないため市田川の完全な改修が不可能な状態になっているのであります。この橋脚のネックが解消されない限り、市田川周辺の浸水問題は解消されないのであります。この橋脚問題について、JRとの交渉経過等について説明をお願いしたいのであります。
 第三の問題は、市田川河口のポンプ排水機であります。
 このポンプ場は、昭和五十七年八月、台風十号により熊野川が増水し、その上、ダムの放流などが重なって市田川に逆流、市内各地に大きな被害を受け、激甚災害対策特別緊急措置事業として建設されたものであります。熊野川本川からの逆流を防ぎ、あわせて市田川の排水を行うものでありますが、今次災害の経験を通して、十トンポンプ一台の能力では到底増水した市田川の水を吐き出すことは不可能であることが証明されたのであります。新たにポンプの増設を国に強く要望しているのでありますが、これについてもその経過状況等を説明いただきたいと思います。
 次に、市田川上流の仙竜橋から磐盾橋に至る約六百メートルが未改修になっているのでありますが、今後の改修計画を説明願いたい。
 佐野川の大幅な予算確保と早期整備を要望しているのでありますが、当面の改修計画を質問いたします。
 次に、道路の問題であります。
 紀南・新宮地方から阪神・京都方面への輸送、観光などの交通は、ほとんど百六十八号、百六十九号が利用されるのであります。また、松阪を通って名阪高速に入る方法もあります。紀伊半島縦貫道とか高速道路の紀南延長などとありがたいことではありますが、これはまだまだ夢の時代のことでありますから、現実の問題といたしましては、中京方面や阪神地方へ出るためには松阪へ五条へ橿原への道が早く改修されることが望ましいのであります。新宮市及び新宮商工会議所の大きな方針の中にも、百六十八号、百六十九号の早期改修が取り上げられているのであります。県としても、この百六十八号、百六十九号の改修のおくれが県南部発展に大きく関係することを強く念頭に置かれて、奈良県、三重県との協調の上、この促進を強く要望するものであります。答弁を願います。
 次に、学習指導要領の改訂について質問をいたします。
 文部省は、去る二月十一日、幼稚園指導要領及び小・中・高の学習指導要領案を発表したのであります。この学習指導要領は、中曽根前首相の「戦後教育の総決算」の意を受けて設けられた臨時教育審議会の答申に基づいて新しい教育課程がつくられ、それをもとにして今回の学習指導要領が作成されたのであります。
 学習指導要領とは、教科の目標や内容、学校行事の方針、授業時間数、教科書作成の基準となるものでありまして、学校教育の基本となる非常に重要な指導要領であります。今回の改訂は、「ゆとりのある教育」を柱として定められた十二年前の指導要領を全面的に改訂したもので、戦後教育の流れを大きく変えるものであるとして注目されているのであります。
 制度面におきましては、小学校一、二年の社会、理科を廃止し、新たに生活科を設け、また習熟度別学習を中学校に導入し、選択科目の履修を中学校にまで引き下げ、高校の社会科は解体、そうして地理歴史及び公民の両教科に編成し、高校の家庭科は男女必修となったのであります。教育の目標を「情報化、国際化、価値観の多様化の進む二十一世紀の社会に対応できる心豊かな人間を育成する」として、個性の重視、道徳教育の充実を図ることに重点を置き、国旗、国歌の指導を強化し、入学式や卒業式には日の丸を掲揚し、「君が代」の斉唱を義務づけているのであります。
 この学習指導要領の改訂によって日本の教育が大きく変わり、学校が変わり、子供が変わるのでありますから、国家百年の大計にもかかわる重大な問題としてとらえられ、特に生活科の新設、中学校の差別、選別につながる習熟度別学習、高校社会科の解体などに大きな反対の世論が起こっているのであります。
 私は、この重要な問題のすべてを取り上げて論ずる時間もありませんし、またその能力も及びませんが、この指導要領改訂に対する県教委の考え方やその中で特に問題となっている日の丸・「君が代」の義務化と日露戦争の東郷元帥の登場についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 それについて、まず指導要領改訂に対する新聞論調でありますが、毎日新聞二月十二日の「学校の授業は良くなるのか」という社説をちょっと読み上げてみます。
 「(前略)その意味で、今回の改定案は次の三点で不満である。第一は、国粋主義的な傾向がうかがわれることだ。従来、日の丸と君が代を学校行事で掲揚、斉唱することが『望ましい』となっていたのを、強制に変えたのはその一つだが、小学校の歴史では、各時代の事項ごとに取り上げるべき人物四十二人をはじめて例示している。現在でも、七社の教科書には百三十四人が登場している。文部省が取捨選択した基準は明確ではないが、例示には新たに東郷平八郎元帥など三人が含まれている。 日清戦争や日露戦争での勝利が、日本の国際的地位を高めたことは歴史的事実としても、戦争を扱うならば、戦争の悪もまた理解させる必要がある。戦争と将軍が主体の歴史像を子どもに植えつけるようなことは、平和国家の形成者を育てるという教育基本法の精神からも好ましくない」。
 次に、朝日新聞のこれも社説であります。見出しは「学習指導要領は『個性重視』か」。たくさんあるわけですが、前略いたしまして読んでみます。
 「一方で、懸念される個所が少なくない。 一つは『日の丸・君が代』の問題だ。おとなの世界で意見が大きく分かれていることがらを、特定の立場に立って学校教育に持ち込むのには疑問がある。 それなのに、今回の指導要領は『入学式や卒業式などでは、国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導するものとする』と、現行の指導要領の表現(『儀式などの場合は……望ましい』)よりもさらに具体的で厳しくなった。義務化であり、学校での混迷は深まるだろう。納得しがたい。 国民的合意ができていないのに、文部省が主張を通した部分は、ほかにもある。道徳をさらに重視する方向しかり、高校社会科の廃止しかり。小学六年の社会科で日本海海戦の東郷平八郎のように、これまでの教科書にはまったく登場していない人物を『取り上げて指導すること』とした点も、そうだ。 東郷平八郎を小学生に必ず教えるべきかどうかについては、中島前文相が最後まで反対したように、さまざまな意見がある。しかし、文部省の担当幹部は『これまで日露戦争の記述では、与謝野晶子ら反戦的な人物が扱われ過ぎた』と主張した。こうした多分にイデオロギー的な発想で『取り上げる人物』を指定しているのであれば、その姿勢の公正さに疑問を持たれても仕方がない」──後略いたします。
 私も、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するとして、これを守らねば処分するというような文部省の態度は、国民の良心や思想の自由、また信教の自由にも抵触するものであり、「文句を言わんと黙って歌え」──黙っては歌えませんが──式の極めて高圧的な国家主義的な復古調の教育と考えるのであります。
 さて、先ほどの新聞社説にもありましたが、東郷元帥の例示をめぐって中島前文相は、「日本海海戦という局地戦の司令官である東郷元帥をもって日露戦争全体は語れないのではないか。また、新指導要領に国旗、国歌の学校への定着、高校社会科の解体は盛り込みたいが、これに東郷元帥を加えると特定の意図があるような誤解を生む」として反対。これに対して文部官僚は、「現行の教科書には『君死にたまふこと勿れ』の与謝野晶子など反戦の人物ばかり取り上げているので東郷元帥は絶対必要だ」として平行線をたどり、結局、中島文相の退任を待って東郷元帥の例示が正式に決定したと報じているのであります。
 かくして、「敵艦見ゆ、本日、天気晴朗なれども波高し、各員一層奮励努力せよ」と指令した東郷元帥が日露戦争を代表する人物として登場し、反戦平和の詩人・与謝野晶子の名は消えていったのであります。
 この文部官僚の調子でいけば、海軍の東郷が出るなら陸軍は二○三高地の乃木将軍、まかり間違えば東条英機も復活するというようなことになれば、日本はもう一度奈落の底へということになるのでありますが、そういった冗談は別として、この日の丸・「君が代」の強制と東郷元帥の登場は、「天気晴朗」ではなく「雨もあらしも呼ぶものである」と私は強く感ずるのであります。
 そこで、私の申し述べたいその一は、国会において第二次大戦の歴史的認識を問われた竹下首相は、「侵略戦争かどうかは後世の史家が評価する問題」だと居直りの答弁をし、国内外から厳しい反発を受けていることは御承知のところであります。
 その二は、我が国の防衛費であります。これも国会で論議されたところでありますが、日本の防衛費は米ソに次いで世界第三位まで増強されているということであります。平和憲法のもとで専守防衛のはずの防衛費がついにGNPの一%枠を突破し、毎年五%、六%の突出を重ねている日本の防衛費が世界第三位と評されているのであります。
 さらにその三は、今回の学習指導要領における国旗、国歌の強制であります。国粋主義的である、国民的合意ができていない、国家主義的イデオロギーの注入であるとして厳しい批判にさらされているのであります。混乱の起きることは必定であります。
 その四は、東郷元帥の登場であります。戦後の教科書で初めて、かつて「軍神」とうたわれた東郷元帥が平和の詩人・与謝野晶子にかわって登場してきたことであります。
 さて、私の懸念する第五番目であります。この指導要領を作成した直接の責任者は、リクルート未公開株の譲渡を受けながら「妻のしたことだ」と大うそをつき、政界進出をたくらんでパーティー券を各県教委に押しつけ、文部省ルートで既に事情聴取を受け、特捜部の捜査寸前と言われる元初等中等教育局長、元文部省事務次官・高石邦男氏であります。また、リクルートの家元であり既に逮捕され起訴された江副浩正は教育課程審議委員であります。このほかの審議委員の中にも、リクルートに汚染された者が数名いるのであります。
 「教育は、不当な支配に服することなく」という教育基本法の精神のもとで、神聖であるべき学習指導要領がリクルート汚染にまみれ、しかもそうした汚れた手でつくられた指導要領の柱が、皆さん、「道徳教育の充実」であります。まさに、日本の教育を冒涜することも甚だしいと言わざるを得ないのであります。私は、戦争の時代と平和の時代を生きてきたのでありますが、今、平成元年ではなく、あの昭和初年の「いつか来た道」の感さえするのであります。
 以上、るる申し述べましたとおりでありますが、県教育委員会は今回の学習指導要領案をどのように受けとめているのか、特に混乱を予想される日の丸・「君が代」の義務化についてどのように考えておられるのか、東郷元帥の例示についてもその所見をお伺いするものであります。
 以上で、私の第一問を終わります。
○副議長(山本 一君) ただいまの森利一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 森議員にお答え申し上げます。
 産業廃棄物の問題、新宮市の浸水対策は担当部長から答弁させていただきます。
 私から、国道第百六十八号、第百六十九号について説明させていただきます。
 お話ございましたように、百六十八号線、百六十九号線は、新宮から国土軸へ連絡するという五條なり橿原に最も近い道でございまして、その重要性について十分認識しておるわけでございます。そうした意味において、この両線の改良計画に積極的に取り組んでおるわけでございます。
 現在、百六十八号の改良率は、和歌山県側が約八五%になっておるわけでございます。未改良区間は、奈良県との県境付近で三・四キロ、熊野川町と本宮町との境界で四・七キロとなっておるわけでございます。このうち、熊野川町と本宮町間の四・七キロについては、昭和六十三年度から事業に着手して積極的に仕事を進めておるところでございます。奈良県側は、現在、五五%程度の改良率となっております。従来、奈良県に対し、これの積極的な推進方をお願いしてきておるわけでございます。今後とも、なお一層進めてまいりたいと思っております。
 百六十九号線につきましては、御承知のように県境が入り組んでいるところが多いわけでございます。交通不能区間の早期解消を図るため、建設省に権限を移管いたしまして、建設省でこの工事をやっていただいておるわけでございます。
 現在、北山村付近の小松トンネルが開通いたしまして、その先の橋梁工事を行っております。また、北山村側だけではなしに熊野川町側からも工事をやっておるわけでございまして、平成元年度より東野トンネルに着工する予定になっており、まず、この不能区間三・七キロについて平成六年度末に供用するよう進めているところでございます。県事業としては、宮井地区において改良工事に取り組んでおり、本年度は一億五千万円の予算をお願い申し上げておるところでございます。
○副議長(山本 一君) 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) 産業廃棄物関係についてお答えを申し上げます。
 最初に、過去の不法投棄についてでございます。
 前の土地所有者の当該場所での不法投棄については、昭和五十九年から行われていたものでございます。これについては、県としても見過ごしていたものではなく、本人に対して保健所から再三にわたり、廃棄物の搬入を中止させるとともに、産業廃棄物処理業を営むには許可が必要である旨、手続等について強く指導してまいったところでございます。
 次に、今回の処理場の許可に際しての条件、留意事項等についてでございます。
 昨年十二月二十一日付の許可に係る産業廃棄物については、一般的に安定型産業廃棄物と言われる廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくずや陶器くず、及びいわゆる建築廃材と言われる五種類でございまして、有害物質が含まれていないものに限定して許可をいたしたものでございます。許可に際しましては、地元住民及び事業者と七回にわたる話し合いを行い、住民の方からの懸念については許可条件及び留意事項として業者指導に反映させております。
 許可条件といたしましては、第一に、擁壁の建設の都度、確認を受けて廃棄物を処分すること、第二に、擁壁等各設備の定期点検の励行と損壊のおそれがあるときは早期に改善措置を講ずること、第三に、処分場下流の水質測定と焼却炉の煙道排ガスの測定及び測定結果の報告など十八項目を付しております。
 また、留意事項といたしましては、第一に、処分場への車両の通行については農業用車両等の通行を優先させること、第二に、処分場の環境保全への配慮と道路清掃等の励行、及び新宮市、地域住民の行う道路清掃等環境整備に積極的に協力すること、第三に、公害防止協定の早期締結など、十項目について指示いたしております。
 その中の水質検査につきましては、許可条件の中で水質中のpH、BODなど、生活環境保全に関する項目について二カ月に一回以上、水銀カドミウムなど有害物質については六カ月に一回以上測定することとし、また焼却炉の煙道排ガス中の窒素酸化物濃度、硫黄酸化物濃度、ばいじん濃度及び塩化水素濃度については六カ月に一回以上測定をしていただくことになっております。これらの測定結果については、保健所に報告することを義務づけております。
 処分場への道路につきましては、先ほども触れたように農道として整備されたものでございますので、舗装等の現状から、搬入車両は積載能力四トン以下に限定をいたしてございます。また、通行方法につきましては、農業用車両等の通行を優先させるとともに、道路清掃の励行等を留意事項として業者に指示いたしております。
 最後に、許可条件違反等に対する監視についてでございます。
 許可条件や留意事項の履行状況につきましては、適時、立入調査の実施による確認と業者からの報告等により確認するとともに、適切な指導を行ってまいる考えでございます。工事着工後、保健所において現地調査を行い、その都度、業者を指導いたしておるところでございます。
 なお、地元新宮市職員の立入調査権を盛り込んだ公害防止協定の締結については、新宮市に対し指導しているところでございまして、これにより、きめの細かい監視ができるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) 新宮市の浸水対策について、五点、順次お答え申し上げます。
 まず、浮島川ポンプの増設についてでございます。
 浮島川のポンプによる排水計画は毎秒十立方メートルでございます。議員御指摘のとおり、現在、暫定的に毎秒五立方メートルのポンプ一台が稼働しております。残りの排水施設については、平成元年度よりポンプ増設計画の調査を行うこととしております。
 次に、市田川下流にかかるJR鉄道橋の対策についてでございます。
 御質問のJR橋の箇所は建設省管理区間であることから、かねてより建設省とJRとの間で協議を進めてまいりましたが、そのうち橋脚の補強工事については、平成元年度より着手する予定で協議が進められております。
 次に、市田川河口の直轄管理のポンプ増設については、議員御指摘の地元の状況は建設省も十分承知しているようでございますが、市田川流域の浸水対策としては、まず河道の整備を急務とし、平成元年度より先ほどのJR橋梁の補強工事に着手、引き続きしゅんせつ工事を進めることとしております。
 次に県管理区間でございますが、仙竜橋から磐盾橋に至る間の未改修箇所については、現在、用地買収を進めているところであり、地元の協力が得られるならば平成二年度で用地買収を完了し、引き続き工事に着手する予定でございます。
 最後に佐野川については、当面の整備方針として河口より支川・荒木川の合流点までの間を重点的に進め、その後、支川・荒木川の改修に移っていきたいと考えております。また支川・木の川については、今回の災害関連事業等を活用して進めることとしております。
○副議長(山本 一君) 教育長高垣修三君。
 〔高垣修三君、登壇〕
○教育長(高垣修三君) 学習指導要領の今回の改訂についてでございます。
 まず、「心の教育の充実」、「自己教育力の育成」、「基礎・基本の重視と個性教育の推進」、「文化と伝統の尊重と国際理解の推進」の四つが骨子となってございます。
 これは、二十一世紀を目指して社会の変化にみずから対応できる心豊かな児童生徒の育成を図ることをねらいとしたものでございまして、特に個性尊重と国際理解の教育を重視したものと受けとめてございます。
 次に、国旗、国歌についてでございます。
 昨日、鈴木議員にもお答えをいたしましたとおり、国際社会が到来して国家間の依存関係が深まっている中で、信頼される世界の中の日本人として生きるために、我が国の文化や伝統を大切にすることを教えるとともに、国旗、国歌を尊重し、日本人としての自覚を養うことが必要であると考えます。また、そのことが外国を正しく理解し尊重することにつながるものと考えてございます。
 最後に、お尋ねのございました東郷平八郎についてでございます。
 これは、小学校六年生の社会科に登場する、いわゆる歴史上の人物四十二人の一人として例示をされたものでございます。歴史学習では、すぐれた文化遺産や人物の働きなどについて関心や理解を深めることが重要であると考えてございます。
 以上であります。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 40番森 利一君。
○森 利一君 産業廃棄物問題についてでございます。
 私は、この質問を通じて保健環境部長、環境調整課、新宮保健所の皆さんが非常に真剣になって取り組んでおるということを強く感じたものでありますが、いよいよこれからの問題でありますから、ひとつさらに真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 なお、住民が心配しております問題について念を押しておきたいんですが、業者が許可条件に違反した、違反行為を行った場合はどういうふうにするか、はっきり答弁を願いたい。
 それからもう一つは、先ほど公害防止協定の問題等々出ておりましたけれども、住民から、この公害防止協定は住民と業者でするのではなくて、新宮市と業者との間で結んでいただきたいという要望があるわけでありますが、県はその方向に従って進めておるのかどうか。
 この二点について質問をいたします。
 それから、浸水対策について答弁をいただきまして、了承いたしました。
 ことしは暖冬異変であります。そして、記録的な雨である。浸水に遭った人々が、ことしは大分やられるんやないかと心配しておるんでございますけれども、ぜひ県の方で力を入れて緊急の問題として取り上げていただきたいと思います。
 それから、教育委員会の答弁でありますが、先ほど来、私は口角泡を飛ばして論じたわけでございますけれども、全然その論調は無視された形であります。特に、「君が代」・日の丸の問題等については、これはきのうの鈴木議員に対する答弁でありまして、きょうの私の答弁として受け取ることはできないわけでございます。
 東郷平八郎の問題についても、「東郷平八郎が入ったことをどう思うか」と私は質問したんです。そうしたら、「東郷平八郎を例示しています」という答弁です。全然、質問と答弁がかみ合っていない極めて不満な答弁でありますけれども、この指導要領の改訂ということは、今、本当に教育界で重大な問題でありますので、教育委員会もひとつ十分研修されて、自主的な和歌山県教育委員会の意見というものを十分持って今後に対処していただきたい。今後、さらに機会を重ねて質問をしてまいりたいと思います。
 以上で、私の再質問を終わります。
○副議長(山本 一君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 保健環境部長尾嵜新平君。
 〔尾嵜新平君、登壇〕
○保健環境部長(尾嵜新平君) お答えいたします。
 違法行為等に対する対応でございます。
 立入調査等により、許可条件の不履行や許可品目以外の産業廃棄物の取り扱いなど違法行為を確認した際には、措置命令、営業停止命令等の行政処分を含めて、厳正に対処してまいる所存でございます。
 二点目の公害防止協定については、県としては許可条件や留意事項を盛り込んだ包括的な公害防止協定の締結について新宮市に対して指導しているところであり、既に市と業者の間で協定の締結についての協議に入っていると聞いております。今後とも、協定の締結に向け、県といたしましても、必要に応じ支援してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山本 一君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、森利一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○副議長(山本 一君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後一時三十八分散会

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