平成元年2月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(和田正人議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

○議長(西本長浩君) 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番和田正人君。
 〔和田正人君、登壇〕(拍手)
○和田正人君 お許しをいただき、初日の一般質問の機会を与えていただきました。とりわけ、公明党県議団の御理解にお礼を申し上げておきます。
 最初に、昨日、不慮の事故で帰らぬ人となりました佐竹交通部長に対し、県民クラブ並びに経済警察委員会の委員として、謹んで心から御冥福をお祈りいたします。
 さて、現在の私の気持ちは、「リクルート関与するほど地位もなし」──気の入らない五七五であります。また、けさほど来、御意見を拝聴しながら、「リクルート」とかけて何と解く、「庭に咲いたコスモス」と解く、その心は「大きく咲き過ぎた」、こういう気持ちでございますが、自主財源に乏しいとはいえ、消費税の公共料金への転嫁を避けられない県の実情について、実に残念に思います。
 けさほど、自民党県議団を代表して、鈴木議員の方から御発言がございました。私たちは、常日ごろ、知事与党としての県民クラブの立場をとっておりますけれども、問題に対しては是々非々の態度であります。特にこの議場では、県の行政に対し、あらゆる観点からチェックをする機能を持つべきであります。
 私ども県民クラブも、県民の心の痛みを我が痛みとして選挙を戦ってきたものであります。今、多くの皆さんが仮谷知事に求め、この県政に求めておる消費税に関する県民クラブの基本的な考え方は、今回提案された内容については問題大いにありということで、後日、同僚の松本議員がそれに触れさしていただきますので、私は、観点を変えて本論に入らせていただきたいと思います。
 十二年ぶりに東西両陣営から百六十カ国、地域代表として一万三千六百二十六人の選手、役員が参加。七百七十二人と一番多いアメリカ選手団の中には、「ママ、僕はここにいるよ」と書いた紙をテレビカメラの前に差し出す選手がいる。六百五十五人という二番目の大選手団のソ連は、七十三番目の入場。こちらの拍手も大きい。中国は百二十二番目に入場。やはり盛大な拍手を受けて行進──これは、昨年九月十七日開会されたソウルオリンピック入場式の一こまであります。
 スポーツの祭典オリンピックは、この韓国ソウルでの開催を契機に、世界の政治、経済の両面に大きな役割と影響を与えたと言えます。世界平和のためにも、またそれぞれの国が経済発展する中で韓国という国との交流を深めたということで、大きく寄与したオリンピックであったというふうにも報道されています。
 九月一日から十月二日までに外国人観光客として入国した者は二十四万一千二百九十九人を数え、その後、報道されている常設代表部の開設や貿易事務所の開設に続き、十月二十日から十月三十一日まで十二日間、ソウル市内で開催された国際貿易博覧会では五十余の国が参加をし、内外五百十一社から出品されたようであります。
 国内企業三百十三社、外国企業百九十八社。主な展示品は、機械部品六十二社、電気・電子四十二社、玩具・文具三十社、繊維製品二十一社、独立館を設けた国は十四カ国、百十社等であり、六億ドルを超す商談が成立し、社会主義国からの参加も積極的であったと報道されています。
 一方、日本では、六十年を超える「昭和」の時代が終わりました。対立の時代から敗戦の混迷期を経て、やがて「調和」から「協調」へと、日本の社会と国の役割が大きく変化した昭和の時代でありました。この間、多くの犠牲と苦しい体験を伴って、平和のとうとさとその価値を厳しく学んだのであります。
 今、「平成」の時代に移り、昭和から引き継がれた課題は何か。私は、日本の政治、経済、その他あらゆる分野で必要な、国際化への対応であると考えるのであります。
 今から二十五年前の一九六四年、昭和三十九年でありますが、東京オリンピックが開催されました。この五年前の一九五九年五月、IOCミュンヘン会議でオリンピックが東京と決定したとき、日本のいわゆる文化人という人たちがどう言って批判をし、反対したか。いわく、「オリンピックの招致は、一握りのスポーツマン屋が世間知らずでやったたわごとにすぎない」「日本はまだ被占領国の域を脱していない。一人前に背伸びする思い上がりは慎むべきである」「社会福祉国家建設には、まだまだやる仕事が山積している。しかも、国民生活は不安定である」。このような時期尚早論がマスコミの表面現象として、ある程度支配的であったと言われています。しかし、五年間の準備期間を経て東京オリンピックは、「新生日本」を世界にアピールする大会として、一都四県、三十三会場で各競技が催され、熱戦が展開されたのであります。
 九十四カ国、七千人の選手・代表団が参加したのでありますが、その受け入れ整備に、当時の投資で、大会運営費や施設整備費等の直接費用が約三百億円、道路整備や新幹線建設を中心とした間接投資が約一兆円と言われています。これら公共投資は数年前から実施され、その内容は、東海道新幹線工事、地下鉄整備、道路整備、上下水道整備、宿泊施設整備、放送・通信施設整備、私鉄の都心乗り入れ工事、清掃施設整備、中央線と環状七号線との立体交差工事、東京国際空港整備、公園整備、隅田川浄化、横浜港整備等、実に多岐にわたって投資による整備が進められ、約五年間の公共投資額と波及効果額の総額は約二兆四千八百億円と試算されているのであります。
 御参考までに、「東京オリンピックが日本経済に与えた影響」という資料をお手元に配付していますので、よろしくごらんいただきたいと思います。
 一方、この機会にと期待をした海外からの観光客は意外と少なかったようであり、日本が国際社会の一員として世界の人々から認知される時期でなかったのでしょうか。いずれにしても、東京オリンピックを契機に日本の社会は経済の成長路線を進み、多くの課題と国際的な問題を乗り越え、今日の繁栄と国際的な責任を果たすべき国として存在しているのであります。
 今、日本国内では、九州オリンピックの誘致がにわかに浮上してきているようであります。福岡を初めとして九州は、ソウルオリンピックの景気や活発なアジア交流で、ホテルや会議場、オフィスビルなど、空前の建設ラッシュを迎えているとさえ言われています。さらに九州全体の活性化手段として、経済波及効果一兆円とはじき出している、本年三月十七日から九月三日までの百七十一日間にわたって開催されるアジア太平洋博覧会──議会運営委員会がこの会場視察に行ってまいりました。いろんなパビリオンも参考までに見させていただきましたが、これに引き続き、来年の福岡国体をばねに、近い将来、九州でオリンピックの開催をと、九州各県の知事と九州連──九州・山口経済連合会の略称であります──が、それぞれ九州共同体構想の実現に向けて動き出したと言われています。
 九州連や各自治体では、欧米、韓国、中国、オーストラリアなどへ大型視察団を派遣し、そのときにオリンピック開催への理解活動をされているようであります。
 一九九二年はバルセロナ、そして一九九六年は、オリンピック開催百周年で発祥地アテネが有力視されているところから、次の二〇〇〇年か二〇〇四年を目標とした誘致運動のようであります。
 ここで知事に質問をいたしますが、この九州連の誘致運動を承知されているかどうか。私は、この機会に、近畿知事会議で仮谷知事から近畿圏でのオリンピック誘致を提唱されたいと提言するものであります。具体的な考え方を申し上げますので、御所見をいただきたいと思います。
 その一つは、一九九三年春、二十四時間開かれた関西新空港が国際空港として開港されることにより、関西の復権はもとより、今後の波及効果ははかり知れないものがあるはずであります。人、物、情報の世界的交流を初め、この関西新空港を拠点にさまざまなメリットが生み出され、二十一世紀に向けた新しい社会の構造と価値が創出されなければなりません。また一方で、各府県が第一期工事の完成と開港を記念してお祝いのイベントを開催するなど、それぞれ計画されるのであれば、私はむしろ、近畿圏全体でオリンピック誘致運動を官民が協力して展開することの方がはるかに大きな意義があるのではないかと考えるわけでありますが、いかがでしょうか。そして、その盛り上がりが、近い将来必要な二本目の滑走路を含めた第二期工事へ大きなインパクトを与えるものだと考えるからであります。
 ソウルでの競技数は二十三、公開競技三であり、種目別では、男子百五十一、女子七十二、共通種目十四の各競技であったわけですが、将来、正式種目は増加することでもあり、これら各競技の開催を近畿各府県に割り当て、近畿の広域にまたがるオリンピックということも意義ある大会となるのではないか。大阪を中心に各県それぞれに特徴を生かして受け皿を整備していくことが、二十一世紀を生きる世代に基盤整備のされた環境を申し送ることにもつながるものと考えるわけであります。
 わかりやすい例を挙げれば、ヨット競技などは奈良県では適さないわけで、競技数を各府県で分担し、近畿圏挙げて一つの目標に協力していくことこそ、東京一極主義を具体的に改善していく官民一体の作業ではないか。
 近畿圏にオリンピックを誘致するこの実現性というのは、過去の誘致合戦を参考にしても、確かに困難かもしれない。しかし、新空港開港を契機として、具体的に将来に夢を持てる、すばらしい近畿圏整備を仮谷知事の提唱で進めていただきたいのであります。
 この機会に、二十一世紀に向け、近畿各府県がばらばらの投資をする行政から、投資効果のある、それぞれの特色を生かした役割分担を明確にしていくべきではないか。競争原理がそれぞれプラスに作用するものと、結果としてそれぞれがマイナス作用する投資などは、厳しく避けるべきであります。この整理について、近畿各県が具体的なビジョンづくりの段階から十分に話し合い、役割分担が明確にできれば、おのずと特色ある県づくりが可能になると考えますが、知事並びに企画部長の御所見をいただきたい。
 早く運動を始めた九州連の皆さんに申しわけないが、新国際空港の開港という絶対的なプラス条件が近畿にはあるわけでありますから、もし誘致に成功すればすばらしいことであり、和歌山を含めた近畿圏二十一世紀の幕あけとなるのではないでしょうか。
 今、和歌山を考えるとき、下水道整備、内川の浄化、公園を含めた市街地の再開発など、都市環境の整備がおくれているのであります。今後、計画的に整備する意欲的な姿勢を示していただきたい。土木部長の答弁を求めます。
 いま一つは、ヘリコプター群舞の時代が来ているということであります。
 現在、日本の空を飛んでいるヘリコプターは約七百機であり、二、三年後には、現在千機から千二百機と言われるカナダを抜いて世界第二位のヘリコプター大国になると予想されています。
 ヘリコプター急増の理由は、基本的には円高で購入しやすくなったこともありますが、ヘリは償却期間が二年と短く、有力な節税対策として活用されていること、政府がアクショクプログラムで輸入促進を打ち出し、その目玉に航空機とヘリコプターを挙げたのを受けて、通産省が代表的な輸出企業に輸入拡大の行政指導を実施したことから、トヨタなどの企業が昭和六十二年以降購入を始め、その長所が活用され、急増してきたと言われています。
 現在売れているヘリの巡航速度は時速二百キロから三百キロ程度で新幹線より速いという高速性と、所要時間が確実に計算できること、また滑走路を必要としない、発着に縦横三十メートル程度のスペースで済むといった利点がある反面、国内事情として、ヘリポートの設置に関する規制や免許取得に膨大な金と時間を要することから、近い将来、パイロットと整備士の不足が課題とも言われています。
 一方、昭和六十年十二月、運輸省がヘリ発着場の新設に対する規制緩和を行ったことに加え、昨年度政府予算でヘリポート建設用にNTT無利子貸付制度──三割助成であります──によって四十カ所分、五十億円が計上されたことからも、ヘリポート建設に弾みがついたようであります。
 可住地面積が狭い、地価に問題が多い、高速道路も建設に時間がかかる和歌山の現状を考えるとき、近畿自動車道の紀南延伸、第二阪和国道の早期完成、京奈和高規格自動車道の早期実現など、その対応に今日まで努力されている知事並びに県当局、議連を中心とした先輩各議員に、今後とも引き続きその実現に格段の御努力をお願いすることは当然でありますが、時代の先を見越し、空の交通網実現のためヘリポート整備を進める一方、近畿圏でのオリンピック誘致の運動を強力に進めることができれば和歌山の欠点やおくれを補えるとともに、これら諸問題を実現する具体的な手段として適切な方法ではないか。
 日赤の救命救急センターが完成をしたとき、厚生常任委員会の皆さんと視察に行かせていただきました。当時、現地で私は、あれだけのものをつくりながら、その屋上にヘリポートすらないというのは、計画段階から一体どういうことを考えておられたのですかという指摘をさせていただいた記憶がございます。また建設委員会でも、これから和歌山県内で民間企業が建設をしていく大きなビルについても、その建設段階から民間の皆さんと協議をして、将来、県にとっても、民間にとっても、あらゆる角度から必要なヘリポート設置の協力をお願いできないかという話し合いを先取りしてやっておくべきではないか、こういう意見を申し上げた記憶がございます。この件についても、後ほど御答弁をいただきたいと思います。
 ちなみに、一九九一年、ユニバーシアード冬季大会が札幌で、一九九八年、冬季五輪が長野市で予定をされ、長野市の場合、直接投資三千百五十億円に対し、二倍の六千三百億円という経済波及効果を見込んで準備を進めていると言われています。
 ヘリポート関係を含めまして、知事並びに企画部長の答弁をいただきたいと思います。
 そして、指摘される県民性の問題を脱却し、視野を広げ、将来への展望に積極的に協力をしていく、官民一体となった飛躍する和歌山への大きなステップとすべきではないか。いかがでございましょうか。
 私は、簡単に事が成るとは考えていません。しかし、高齢化社会への対応とともに、社会資本の整備など、二十一世紀までに投資すべき重点課題が山積しているのであります。
 平成元年政府予算の一般会計に占めるODA(政府開発援助)予算は七千五百五十七億円であり、前年比七・八%の伸びを計上しているのであります。今日の世界の国、とりわけ開発途上国に対する援助は日本の当然の責任であり、昨年六月に設定した第四次中期目標では、五年で五百億ドルという量的目標を立てているのであります。
 本年一九八九年実績では、予定どおり行けば世界最大の援助国になると予想されています。日本からの援助は、主として東南アジア関係でございますが、中国、インドネシア、フィリピンなどに多いようであります。一九八七年の実績は、国際機関を通しての援助二十二億ドル、無償貸与十四億ドル、技術協力九億ドル、借款三十億ドル、合計七十五億ドルであります。
 私はこのODAを否定もいたしませんし、申し上げたように、日本の国の責任において、あらゆる観点から途上国に対する援助は必要であろうと思います。しかし一方では、債務国の債務に対する考え方やその国の政情不安、政治体制等によって、日本の行う開発援助がそれぞれの国の皆さんに本当にプラスになった使われ方をしているのかどうか。国会議論の中でも、余りこの種の問題は表面化していないようであります。
 日本の国が海外からの要望を受け、さきの大喪の礼に見られるように、世界のほとんどの国が、さきの天皇に対し弔意をあらわしに日本に見えられました。その後の交渉経過を経て、経済的に成長した日本に期待を込めた弔意もあったようでありますが、そのことについては余り多くを申し上げません。言いたいのは、日本の国が行っているその責任と、私たちの足元はどうかということであります。
 一方で、働き過ぎと言われながら、積み上げてきた国力と国民生活の中に豊かさの実感が伴わない現状、そしてヨーロッパ先進国の社会資本のストックを考えるとき、政治の責任と課題を意識せざるを得ないのであります。
 二十一世紀への近畿というものをどう考えるのか。県民とともに和歌山県の将来をどのように位置づけするのか。進むべき道筋は何か。仮谷知事、夢を持とうではありませんか。社会資本を整備し、足腰の強い県民生活の基盤を築こうではありませんか。
 以上申し上げた提言と質問の趣とはいささか異なりますが、「政治は道なり」という言葉があります。人々の生活に思いをいたす道であり、文字どおり、人、物、情報が通る道であります。
 道路関連予算にも努力をされていますが、具体的な問題提起として、和歌山市内とりわけ中心部から阪和高速へのインターが無理であれば、簡易なランプ形式のインターの設置を早急に検討されたいのであります。過去、華藤土木部長の時代にそういう意見を申し上げたことがございますが、全然問題にならない検討結果でございましたし、答弁も冷ややかにされた記憶がございます。
 市内への進入道路、環状的な機能を持つ道路がないため、市内の東西を横断する道路の整備がおくれていること、東部からの交通と南を結ぶ道路が整備されていないことから、できることなら森小手穂地内から県道和歌山野上線と接続するランプを設置されたいのであります。
 東には、昨年春供用された和歌山橋本線と接続が可能であり、貴志川住民を初め那賀郡の発展にも寄与するのみならず、今、企業局が持っている企業立地の促進にも、団地活用にも大きく役立つものと考えるのであります。また西には、国体道路との接続により、紀三井寺競馬場跡地の医大、毛見のマリーナシティとの関連もあって、将来必ず有効なランプとして期待するからであります。
 料金の取り扱い、インターの区間距離、財源問題など検討すべき課題があり、また道路公団との交渉も必要でありますが、ぜひ実現すべき方向で県の方針を決定いただきたい。土木部長の答弁を求めます。
 以上の提言と質問に対し、知事並びに企画、土木両部長の積極的な答弁を求め、終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(西本長浩君) ただいまの和田正人君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事仮谷志良君。
 〔仮谷志良君、登壇〕
○知事(仮谷志良君) 和田正人議員にお答え申し上げます。
 オリンピックを誘致したらどうかと、格調高い御提言をいただいたわけでございます。
 九州地方でオリンピック開催ということでございますけれども、私は、ユニバーシアードの誘致をしておるというニュースは知っておるわけでございます。
 ただ、お話のように、オリンピック大会というものは大きな効果があると思います。和田議員のお話にございましたように、東京大会のあの成果、またソウル大会のあの成果──ソウル大会は、政治的にも、国際的にも大きな意義があったと思います。
 それだけに近畿圏へ持ってきたらどうかということですが、これは近畿圏の飛躍的発展を図れるものだと思っておりますし、大変スケールの大きい事業の御提言でございます。しかしながら、お話にもございましたようなクリアしなければならない問題がいろいろございます。そうした問題等を踏まえまして、来年は花の万博が関西で行われますし、知事会等においてこの問題を話題として考えてまいりたいと思っております。
 近畿圏は一つということで、すばるプランをやってございますが、その計画の中においてもこの問題が取り上げられたことがございます。しかし、それほどの反応がなかったわけでございますので、そうした点を踏まえて検討させていただきたいと存じます。
 また、それとともに、近畿圏の発展ということで、オリンピック問題も同様でございますけれども、各県の機能分担という問題にも触れられたのでございます。
 かつて近畿は、東京圏と二極という形で進んでおったわけでございますけれども、現在では東京一極という形になっており、そういう意味からも関西復権ということが強く叫ばれておるだけに、こうした問題も考えなければならないと思います。そのためには、お互いが機能分担してこれから発展を図っていかなければなりませんし、その近畿の機能分担の中で和歌山県の果たす役割は何かという問題もございます。
 関西国際空港を契機に、今後、臨空都市圏として大きな発展を図っていかなければならないし、また関西文化学術研究都市、関西国際空港、明石海峡大橋、紀淡トンネル等のプロジェクトと絡み合わせてまいりたいと思います。
 また、余暇時代に対する機能分担ということでは、和歌山県には大きな役割があろうかと思います。そのために、交通、情報通信の基盤整備、産業の高度化や県民生活を支える社会資本の充実を十分図ってまいりたいと存じております。
 次に、ヘリポート整備の問題でございます。
 お話のように、空の整備ということは非常に重要なことでございまして、大型空港の整備とともに小型のヘリコプターの活用ということが大きな問題となっております。
 国においてもヘリポートの整備に補助金や起債を認めてくれる段階となり、近畿圏としても、近畿全般でのヘリポートの調査検討をすべく、今取り組んでおるところでございます。また、和歌山県におきましても、ヘリポートの設置や飛行の問題について調査費を組んで調査研究を進めており、これからの交通機関の一つとして、なお一層これの発展のために努力してまいりたいと思っております。
○議長(西本長浩君) 企画部長川端秀和君。
 〔川端秀和君、登壇〕
○企画部長(川端秀和君) まず第一点は、近畿圏整備の各県役割分担等についてお答えを申し上げます。
 先ほどの知事答弁にもございましたように、近年、関西復権や関西復興の強い動きがございます。近畿圏といたしましては、こうした流れを受けとめ、新近畿創生計画、いわゆるすばるプランを策定して新しい近畿の創生を図っているところでございます。それとともに、近畿ブロック知事会であるとか近畿開発促進協議会、近畿地方行政連絡会議、大阪湾知事市長会議、阪和開発連絡協議会等々の場を通じ、連携の強化に努めているところでございます。
 議員御指摘のように、それぞれの地域特性を生かす中で、ビジョンづくりの段階から役割分担を図りつつ、近畿の広域的な行政課題の解決に向かってさらに努力してまいりたいと考えてございます。
 第二点は、ヘリポートの整備と空の交通網実現についてでございます。
 ヘリポートの整備につきましては、議員のお話のとおり、国においても、整備に対する助成制度、各種規制緩和などにより、その推進が図られているところでございます。
 ただいまの知事答弁にもございましたように、こうした動きに呼応いたしまして、昭和六十二年十一月から近畿ブロック知事会の共同事業として、近畿圏におけるヘリ・コミューターネットワークのあり方、展開の可能性などについて調査研究が進められてございます。
 また、この調査と並行して、昭和六十三年度から本県独自でもヘリコプター輸送システムの導入についての調査に着手しておりまして、この中で、県内ネットワークのあり方、需要、採算性、事業運営のあり方、県としての支援方策等々、さまざまな観点から調査を進めているところでございます。
 本県におけるヘリポートの整備につきましては、こうした調査結果を踏まえ、消防、救急等の緊急活動による需要等についても考慮しながら、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(西本長浩君) 土木部長松永安生君。
 〔松永安生君、登壇〕
○土木部長(松永安生君) おくれている和歌山の都市環境の計画的な整備推進に対する姿勢についてでございます。
 議員御指摘のとおり、本県の下水道、都市河川対策、公園、市街地の都市環境の整備は、全国的に見てもおくれている状況にあります。特に県都和歌山市においては、関西国際空港の開港や阪和自動車道の全線開通等を控え、都市基盤の整備、県都の顔にふさわしい魅力ある中心市街地としての町づくりを行うことが極めて重要な課題であると考えております。
 そうした町づくりのマスタープランを策定するため、本年度より、学識経験者、地元関係者、建設省、県、市等の関係者から成る委員会を設け、うるおいのある街づくり調査を行っているところでございます。今後、地元の皆様方、関係機関等の御協力を得ながら、計画的な都市環境整備を積極的に推進していく所存であります。
 なお、平成元年度の都市基盤整備関係の予算につきましては、前年度対比五〇%の大幅な伸びを見込んでいるところでございます。
 次に、阪和自動車道のインターチェンジを増設する件でございます。
 国幹道のインターチェンジの増設につきましては、簡易なインターといえども、現行制度上、追加インターとして取り扱われます。現在、公団への追加インターの要望は、全国で百カ所を超えている状況にあります。こうしたインターの追加につきましては、都市部では数十億円の建設費を要し、この費用は、さきの国幹審でも、大規模なリゾート開発については企業や宅地開発等の開発者が負担するということで審議されております。
 追加インターの計画に当たっては、インターの設置による料金収入の新たな増加見込みで建設費、維持管理費の採算を検討することになり、道路公団、開発事業者の双方にとって採算が見込めることが前提になります。
 こういう観点から、森小手穂地域のインター設置につきましては、現在では非常に困難であると考えられます。しかしながら、議員御指摘のように、和歌山市域にとって環状的機能を持つ幹線道路及び放射道路の整備が非常に重要でありますので、今後、関係機関と協力しながら、その一環となる松島本渡線や湊神前線等の整備促進に努めてまいります。
○議長(西本長浩君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
35番和田正人君。
○和田正人君 知事、企画部長、土木部長、それぞれ御答弁をいただきました。答弁内容は答弁内容といたしておきますが、この近畿圏でのオリンピック誘致というのは、確かに唐突のようであり、いろんなクリアしなければならない問題を考えるとき、そう簡単にいかないだろうという意識が先立つものと思います。しかし、オリンピックの誘致が成功するか──可能なことであれば成功してほしいが、むしろそれよりも、それに向けて近畿が一体となって努力する姿勢を求めたつもりでありますし、知事もその意を受けて、これから努力をしていただけることだと思います。
 端的に、知事会議で提唱するのかどうかということまではお聞きいたしません。おくれておるこの和歌山の社会資本の整備というものを、あらゆる機会を通して何とか進めておかなければ、表現としてまことに恐縮でありますが、ポトン、ピチャン──よく御存じだと思います。これをなくしていただきたい。水洗化できない住宅が和歌山市内にどれだけあるのか。
 一方、関空を目の前にして「国際都市和歌山」ということを言いながら、生活環境は著しくおくれているのであります。言葉として、また行政の目標として、この議場を通しても、再々、答弁をされます。しかし、遅々として進まないのが和歌山の実情であります。
 土地収用の問題なり、いろいろと副知事を中心にして御努力をいただいている委員会もございます。県民は、なぜこの道が早くつかないのかという率直な疑問を持ちながら、一方で県政に期待を持っているのであります。
 いろいろ申し上げたその気持ちは、そういうものをこの時代にやらなければ──二十一世紀以降、二人に一人の高齢者を抱えた日本の実情というものは避けられないのであります。厚生年金の支給時期の問題等、いろいろ検討もされています。六十歳支給が六十五歳と、いとも簡単にそういうことがまとめられるかもしれませんが、それでは、六十五歳まで完全に働ける職場づくりをしてもらえるのかどうか。
 日本の社会はまだまだ問題が多いわけでありますし、県政の課題はたくさんあると思います。しかし、申し上げたそのような大きな発想のもとでの取り組みから、いろいろと手がけられる背景というものが生まれてくるんではないかという期待を含めて、オリンピックの誘致を提言したつもりであります。
 高速道路の問題につきましては、確かに、国幹審の現状の討議経過なり、最近の名古屋におけるインターの状況等から、財政的な問題を踏まえ、いろいろ問題点が多いがゆえに前に進まないということも予測できます。しかし、一方で考えていただきたい。現在の和歌浦の旅館街の状況はどうか。高速道路から市内におりる道がないから、全部上を通っているのであります。観光バスで来られる他府県の運転手から、和歌山市内の道路は二度と通りたくないという声すら聞かれる道路状況であります。
 近く表面化するでありましょう、名の通った、社会的に有名な和歌浦のある旅館が転売をし、そして和歌山を離れるのであります。その旅館の経営が放漫であったとか、経営者が失敗をしたということではございません。和歌浦旅館街全体の地域活性化のためにいろいろ努力はしていただいておりますが、現実の問題はそのように厳しいのであります。
 将来、紀南に延伸をし、さらに岸和田まで来年供用がされ、松原まで平成五年につながるこの近畿自動車道が、和歌山市内では十分活用できない現在のインターで果たしていいのかどうか。難しいということを超えて、体現的に、地元でどういうふうにしていったらいいのかという方法論を考えていただきたいのであります。役人の発想ではなくて、民間の人たちは何を求めているのかということを行政の中に取り入れていただきたいのであります。
 お答えはお答えとしていただいておきます。しかし、本当におくれている和歌山県の現状というものを、乾坤一てき、改善をしていく知事の政治力を期待いたします。
 本県は現実には、県税収入で見る限り、二割自治であります。地方の時代や三割自治は、はるかに遠のいたことしの県税収入の予算でありますが、地方交付税や国庫支出金に依存せざるを得ない現状から近い将来の和歌山を考えるとき、先ほどの中村博議員の御指摘にもありましたように、今進めているプロジェクトの財政負担が後年的に増加するであろうことは避けられないと思うのであります。それだけに、県勢発展のために、おくれている社会資本整備のために、近畿の中で取り残されないように、むしろ仮谷知事が近畿圏で先頭を切ってこの運動を提唱していただきたいということをあえて要望しておきたいのであります。
 大きな発想のもとに、具体的に、堅実な行政を進め、そして将来に希望の持てる基礎づくりをしていただくよう仮谷知事に要望し、再質問といたします。
 以上で終わります。
○議長(西本長浩君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で和田正人君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
○議長(西本長浩君) 本日は、これをもって散会いたします。
 午後三時二十九分散会

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